IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KOKUSAI ELECTRICの特許一覧

特許7214834半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム
<>
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図1
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図2
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図3
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図4
  • 特許-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230123BHJP
【FI】
H01L21/68 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021506888
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2019011456
(87)【国際公開番号】W WO2020188743
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】山口 天和
(72)【発明者】
【氏名】吉田 秀成
(72)【発明者】
【氏名】大野 健治
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-014469(JP,A)
【文献】特表2016-540372(JP,A)
【文献】特開2007-311724(JP,A)
【文献】特開2004-006508(JP,A)
【文献】特表2015-526594(JP,A)
【文献】特開平10-012703(JP,A)
【文献】特開平10-326731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板を収容する複数のスロットを有する基板保持具を反応室内で加熱する工程と、
(b)前記複数のスロットのうちの一部のスロットを前記反応室外へ位置させるように前記基板保持具を移動させるステップと、前記一部のスロットに基板を装填するステップと、を含むセットを、前記基板保持具の上端に設けられ、前記反応室の炉口と対応した形状を有する天板により、前記炉口の全体を開放させないようにしながら繰り返し行う工程と、
(c)前記複数のスロットに装填された基板を前記反応室内に収容させるように前記基板保持具を移動させる工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
(b)では、1セットごとに移動させる前記基板保持具の移動距離を、1スロット分とする、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記一部のスロットに基板を装填するステップでは、前記スロット内に装填されていた基板と、前記基板とは異なる他の基板と、を入れ替える、
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
移動させた前記一部のスロットへ基板を装填するステップでは、前記基板保持具の移動を停止させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
(b)では、前記基板保持具を最大限移動させた場合であっても、前記天板により、前記炉口の全体を開放させないようにする、
請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
(c)では、前記基板保持具を回転させながら移動させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
(a)、(b)、(c)のいずれの工程においても、前記反応室内の温度を所定の基板処理温度に維持する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
(a)、(b)、(c)のいずれの工程においても、前記反応室内の圧力と前記反応室外の圧力とを、減圧状態を維持する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
(c)における前記基板保持具の速度を、(b)における前記基板保持具の速度よりも大きくする、
請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
基板を収容する複数のスロットを有する基板保持具と、
前記基板保持具を収容する反応室と、
前記基板保持具の上端に設けられる、前記反応室の炉口と対応した形状を有する天板と、
前記反応室内を加熱する加熱機構と、
前記基板保持具を前記反応室の内外へ搬送する搬送機構と、
前記スロット内へ基板を装填する基板装填機構と、
前記加熱機構、前記搬送機構および前記基板装填機構に接続された制御部と、を有し、
前記制御部は、
(a)前記基板保持具を前記反応室内で加熱する処理と、(b)前記複数のスロットのうちの一部のスロットを前記反応室外へ位置させるように前記基板保持具を移動させる処理と、前記一部のスロットに基板を装填する処理と、を含むセットを、前記天板により前記炉口の全体を開放させないようにしながら繰り返す処理と、(c)前記複数のスロットに装填された基板を前記反応室内に収容させるように前記基板保持具を移動させる処理と、を行わせるように、前記加熱機構、前記搬送機構および前記基板装填機構を制御する基板処理装置。
【請求項11】
(a)基板を収容する複数のスロットを有する基板保持具を基板処理装置の反応室内で加熱する手順と、
(b)前記複数のスロットのうちの一部のスロットを前記反応室外へ位置させるように前記基板保持具を移動させる手順と、前記一部のスロットに基板を装填する手順と、を含むセットを、前記基板保持具の上端に設けられ、前記反応室の炉口と対応した形状を有する天板により、前記炉口の全体を開放させないようにしながら繰り返す手順と、
(c)前記複数のスロットに装填された基板を前記反応室内に収容させるように前記基板保持具を移動させる手順と、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の一工程として、基板保持具に装填した複数の基板を、加熱された処理炉内で処理する基板処理が行われる場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-194951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上述の基板処理の生産性を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
(a)基板を収容するスロットを多段に有する基板保持具を反応室内で加熱する工程と、
(b)複数のスロットのうちの一部のスロットを反応室外へ位置させるように基板保持具を移動させるステップと、一部のスロットに基板を装填するステップと、を含むセットを繰り返し行う工程と、
(c)複数のスロットに装填された基板を反応室内に収容させるように基板保持具を移動させる工程と、
を行う技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、上述の基板処理の生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一態様に係る基板処理装置の透視斜視図である。
図2】本開示の一態様に係る基板処理装置に設けられた処理炉とその周辺の構造を示す図である。
図3】本開示の一態様に係る基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図4】本開示の一態様に係る基板処理工程を例示するフロー図である。
図5】本開示の一態様に係るウエハの装填、脱装、ボートの搬入、搬出動作を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面に基づき本開示の基板処理装置を説明する。
【0009】
<1.基板処理装置の構成例>
本開示の基板処理装置10の構成例について図1、2を用いて説明する。
【0010】
(全体構成)
図1に示すように、基板処理装置10は、バッチ式縦型熱処理装置として構成されている。基板処理装置10は、内部に例えば処理炉202が設けられ、耐圧容器である筐体12を備えている。基板としてのウエハ200を筐体12内外へ搬送するのに、基板搬送容器としてのポッド16が用いられる。ポッド16は、シリコン(Si)または炭化シリコン(SiC)等により構成されたウエハ200を、例えば200枚収納可能に構成されている。筐体12には、ポッド16を筐体12内外へ搬送するポッド搬送口(図示せず)が、筐体12の内外を連通するように設けられている。ポッド搬送口は、開閉機構としてのフロントシャッタ17により開閉されるようになっている。
【0011】
筐体12には、ポッド受渡し台としてのポッドステージ18が設けられている。ポッドステージ18上に、蓋が閉じられた状態でポッド16が載置され、ポッドステージ18上でポッド16の位置合わせが可能となっている。ポッド16は、工程内搬送装置(図示せず)によってポッドステージ18上に載置され、また、ポッドステージ18上から搬出されるようになっている。
【0012】
筐体12内の上部空間には、ポッド載置棚としての回転式ポッド棚22が設けられている。回転式ポッド棚22は、垂直方向に設けられ、水平面内で間欠回転する支柱(図示せず)と、ポッド載置台としての複数枚の棚板22aと、を備えている。複数枚の棚板22aは、支柱における上下3段の各位置において、水平姿勢で放射状に固定されるようにそれぞれ構成されている。なお、各棚板22aは、ポッド16が載置されるようになっている。
【0013】
筐体12内のポッドステージ18と回転式ポッド棚22との間には、ポッド搬送装置20が設けられている。ポッド搬送装置20は、ポッド16を保持したまま昇降移動するポッド昇降機構としてのポッドエレベータ20aと、ポッド16を保持したまま水平移動するポッド搬送機構20bと、を備えている。ポッド搬送装置20は、ポッドエレベータ20aとポッド搬送機構20bとの協調動作により、ポッドステージ18と回転式ポッド棚22とポッドオープナ24との間でポッド16を搬送するように構成されている。
【0014】
筐体12内の下部空間には、装填室141が設けられている(図1、2参照)。装填室141は、ポッド搬送装置20や回転式ポッド棚22等が設けられた筐体12内の他の空間から気密に隔離されている。図1では、便宜上、装填室141の一側壁を破線で示している。当該側壁の上方には、ウエハ200を装填室141内外に搬送する開口15と、開口15を開閉するゲート15aとが設けられている。装填室141を構成するサブ筐体13には、ウエハ200を後述のウエハ装填機構28に搬送するウエハ搬送口14が、上下段に設けられている(図1参照)。ウエハ搬送口14は、上下段それぞれにポッドオープナ24が設けられている。ポッドオープナ24は、ポッド16を載置する載置台25と、ポッド16の蓋体であるキャップを着脱するキャップ着脱機構26と、を備えている。ポッドオープナ24は、載置台25に載置されたポッド16のキャップをキャップ着脱機構26で着脱することにより、ポッド16のウエハ出し入れ口を開閉するようになっている。ポッドオープナ24の近傍には、ウエハ枚数検出器27が設けられている。ウエハ枚数検出器27は、蓋を開けられたポッド16内のウエハ200の枚数を検知する。
【0015】
続いて、処理炉202の構成例について図1、2を用いて説明する。
【0016】
(反応管)
図2に示すように、処理炉202は、反応室としての反応管205を有している。反応管205は、石英(SiO)またはSiC等の耐熱性を有する非金属材料により構成されており、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管205の内側の筒中空部には、ウエハ200を処理する処理室201が形成されている。反応管205の内径は、ウエハ200を装填したボート217の最大外径よりも大きくなるように構成されている。
【0017】
反応管205の下方には、反応管205と同心円状に、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス鋼(SUS)等の金属材料により構成され、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の内径は、ボート217の最大外径よりも大きくなるように構成されている。マニホールド209の上端部は、反応管205の下端部に係合し、反応管205を支持するようになっている。マニホールド209と反応管205との間には、シール部材としてのOリングが設けられている。マニホールド209の下方には、後述のボート217へのウエハ200の装填、またはボート217からのウエハ200の脱装を行う装填室141が設けられている。装填室141の天板142とマニホールド209との間には、シール部材としてのOリングが設けられている。マニホールド209が天板142に支持されることにより、反応管205は垂直に据え付けられた状態となっている。なお、天板142には、処理炉202の開口部となる炉口160が設けられている。
【0018】
(ボート)
処理室201内は、基板保持具としてのボート217が、マニホールド209の下端開口の下方側から搬送されるように構成されている。ボート217は、上下で一対の天板210及び底板211と、天板210及び底板211間に架設されて垂直に配設された複数本の保持部材212とを備えている(図1参照)。天板210、底板211及び保持部材212は、例えばSiOやSiC等の耐熱性材料により構成されている。各保持部材212には、複数枚のウエハ200を多段に支持可能な基板支持部としての溝(図示せず)が、長手方向に等間隔に配されて互いに対向して開口するように没設されている。ウエハ200の外周縁辺が各保持部材212の多数条の溝間にそれぞれ挿入されることにより、ボート217は、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で垂直方向に多段に整列させて保持する。本明細書では、ボート217内に設けられたウエハ200の収容予定領域を「スロット」とも称する。ボート217内には、ウエハ200を収容するスロットが、垂直方向に多段に設けられていることになる。
【0019】
ボート217の下部には、円板形状をした断熱部材としての断熱板216が、水平姿勢で多段に複数枚配置されている。断熱板216は、例えばSiOやSiC等の耐熱性材料により構成されている。断熱板216は、後述するヒータ206からの熱をマニホールド209側に伝え難くするようになっている。
【0020】
ボート217の下方には、ボート217を回転させるボート回転機構254が設けられている。ボート回転機構254を駆動させることにより、ボート217を処理室201及び装填室141内で回転させることが可能となっている。ボート回転機構254の構成については後述する。
【0021】
(ガス供給系)
マニホールド209には、処理室201内へ処理ガスを供給するガス供給ノズル280が、マニホールド209の側壁を貫通するように接続されている。ガス供給ノズル280は、例えばSiOやSiC等により構成されている。ガス供給ノズル280は、水平部と垂直部とを有するL字形状に形成され、水平部がマニホールド209の側壁に接続され、垂直部が反応管205の内壁と処理室201内のウエハ200との間における空間に、反応管205の下部より上部の内壁に沿って、ウエハ200の積層方向に向かって立ち上がるように設けられている。ガス供給ノズル280の垂直部の側面には、ガスを供給する複数の供給孔が、それぞれウエハ200の中心に向けて設けられている。供給孔の開口径は、処理室201内のガスの流量分布や速度分布を適正化するように適宜調整することができ、下部から上部にわたって同一としてもよいし、徐々に大きくしてもよい。
【0022】
ガス供給ノズル280の上流端には、ガス供給管232が接続されている。ガス供給管232は上流側で4本に分岐している。4つに分岐したガス供給管232には、上流側から順に、供給源191~194、ガス流量制御装置としてのマスフローコントローラ(MFC)181~184、及び開閉弁としてのバルブ171~174がそれぞれ接続されている。ガス供給源191からは例えばシラン(SiH)ガス、ジシラン(Si)ガス、ジクロロシラン(SiHCl)ガス等のSi元素含有ガスが供給される。ガス供給源192からは例えばゲルマン(GeH)ガス等のゲルマニウム(Ge)元素含有ガスが供給される。ガス供給源193からは水素(H)ガスが供給される。ガス供給源194からは不活性ガスとして例えば窒素(N)ガスが供給される。バルブ171~173を開けることにより、処理ガスとしてのSi元素含有ガス及びGe元素含有ガスと、希釈ガスとしてのHとの混合ガスが、処理室201内へ供給される。また、バルブ171~173を閉め、バルブ174を開けることにより、ガス供給ノズル280内がパージガスとしてのNガスによりパージされる。パージガスの流量はMFC184により調整することが可能である。
【0023】
MFC181~184及びバルブ171~174には、後述するコントローラ240が電気的に接続されている。コントローラ240は、処理室201内へ供給するガスの流量が所定のタイミングにて所定の流量となるように、MFC181~184の開度を制御することができる。主に、ガス供給ノズル280、ガス供給管232、バルブ171~174、MFC181~184、ガス供給源191~194により、ガス供給系が構成される。
【0024】
(ヒータ)
反応管205の外側には、反応管205の側壁面を囲う同心円状に、反応管205内を加熱する加熱機構としてのヒータ206が設けられている。ヒータ206は円筒形状に形成されている。ヒータ206は、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ206の近傍には、処理室201内の温度を検出する温度検出器としての温度センサ(図示せず)が設けられている。ヒータ206及び温度センサには、後述するコントローラ240が電気的に接続されている。コントローラ240は、処理室201内の温度が所定のタイミングにて所定の温度分布となるように、温度センサにより検出された温度情報に基づいてヒータ206への供給電力を所定のタイミングで制御する。
【0025】
(排気系)
マニホールド209の側壁には、処理室201内を排気する排気管231が設けられている。排気管231の下流側(マニホールド209との接続側と反対側)には、上流側から順に、処理室201内の圧力を検知する圧力検知手段としての圧力センサ(図示せず)、圧力調整装置としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ242、真空ポンプ246が設けられている。APCバルブ242は、その開度により処理室201内の圧力を調整する。なお、圧力センサは、排気管231内に限らず、処理室201内に設けられていてもよい。
【0026】
圧力センサ及びAPCバルブ242には、後述するコントローラ240が電気的に接続されている。コントローラ240は、圧力センサにより検知した圧力情報に基づいて、処理室201内の圧力が所定のタイミングにて所定の圧力(真空度)となるように、APCバルブ242の開度を制御する。主に、排気管231、圧力センサ、APCバルブ242及び真空ポンプ246により、排気系が構成される。
【0027】
(ウエハ装填機構)
図1に示すように、装填室141の外側には、基板装填機構としてのウエハ装填機構28が設けられている。ウエハ装填機構28は、基板保持体としてのツイーザ32上にウエハ200を載置して水平方向に移動させる基板装填装置としてのウエハ装填装置28aと、ウエハ装填装置28aを昇降移動させる基板装填装置昇降機構としてのウエハ装填装置エレベータ(図示せず)と、を備えている。ウエハ装填装置28aとウエハ装填装置エレベータとの協調動作により、開口15を介して装填室141の外側から装填室141の内部へウエハ200を搬入し、ボート217内のスロットに装填することが可能となっている。また、ウエハ装填装置28aとウエハ装填装置エレベータとの協調動作により、ボート217内のスロットからウエハ200を取り出して(脱装して)、開口15を介して装填室141の内部から装填室141の外側へ搬出することが可能となっている。後述するウエハ装填、脱装の手順によれば、ウエハ装填装置エレベータを省略できる。なお、本開示のウエハ装填機構28は、装填室141の外側上方に配置されるが、図1では、便宜上、装填室141の外側下方に図示している。
【0028】
(ボートエレベータ)
図2に示すように、装填室141を構成するサブ筐体13の側壁の外面には、ボート217を昇降移動させる搬送機構としてのボートエレベータ115が設けられている。ボートエレベータ115は、下基板245、ガイドシャフト264、ボール螺子244、上基板247、昇降モータ248、昇降基板252、及びベローズ265を備えている。下基板245は、装填室141を構成する側壁の外面に水平姿勢で固定されている。下基板245には、昇降台249と嵌合するガイドシャフト264、及び昇降台249と螺合するボール螺子244がそれぞれ鉛直姿勢で設けられている。ガイドシャフト264及びボール螺子244の上端には、上基板247が水平姿勢で固定されている。ボール螺子244は、上基板247に設けられた昇降モータ248により回転させられるように構成されている。ガイドシャフト264は、昇降台249の上下動を許容しつつ水平方向の回転を抑制するように構成されている。ボール螺子244を回転させることにより、昇降台249が昇降可能となっている。
【0029】
昇降台249には、中空の昇降シャフト250が垂直姿勢で固定されている。昇降台249と昇降シャフト250との連結部は、気密に構成されている。昇降シャフト250は、昇降台249と共に昇降するように構成されている。昇降シャフト250の下方側端部は、装填室141を構成する天板142を貫通している。装填室141の天板142に設けられる貫通穴の内径は、昇降シャフト250と天板142とが接触することのないように、昇降シャフト250の外径よりも大きく形成されている。装填室141と昇降台249との間には、昇降シャフト250の周囲を覆うように、伸縮性を有する中空伸縮体としてのベローズ265が設けられている。昇降台249とベローズ265との連結部、及び天板142とベローズ265との連結部はそれぞれ気密に構成されており、装填室141内の気密が保持されるようになっている。ベローズ265は、昇降台249の昇降量に対応できる充分な伸縮量を有している。ベローズ265の内径は、昇降シャフト250とベローズ265とが接触することのないように、昇降シャフト250の外径よりも充分に大きく形成されている。
【0030】
装填室141内に突出した昇降シャフト250の下端には、昇降基板252が水平姿勢で固定されている。昇降シャフト250と昇降基板252との連結部は、気密に構成されている。昇降基板252の上面には、Oリング等のシール部材を介してシールキャップ219が気密に取付けられている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属により構成され、円盤状に形成され、ボート217を下方から垂直に支持するとともに、ボートエレベータ115が上昇した時に処理炉202の下端部に設けられた炉口160を閉塞するように形成されている。昇降モータ248を駆動してボール螺子244を回転させ、昇降台249、昇降シャフト250、昇降基板252、及びシールキャップ219を上昇させることにより、処理室201内にボート217が搬入されるとともに、処理炉202の開口部である炉口160がシールキャップ219により閉塞可能となっている。昇降モータ248を駆動してボール螺子244を回転させ、昇降台249、昇降シャフト250、昇降基板252、及びシールキャップ219を下降させることにより、処理室201内からボート217が搬出される。昇降モータ248には、後述するコントローラ240が電気的に接続されている。コントローラ240は、ボートエレベータ115が所定の動作を所定のタイミングにて制御する。
【0031】
昇降基板252の下面には、Oリング等のシール部材を介して駆動部カバー253が気密に取付けられている。昇降基板252と駆動部カバー253とにより駆動部収納ケース256が構成されている。駆動部収納ケース256の内部は、装填室141内の雰囲気と隔離されている。駆動部収納ケース256の内部には、ボート回転機構254が設けられている。ボート回転機構254には電力供給ケーブル258が接続されている。電力供給ケーブル258は、昇降シャフト250の上端から昇降シャフト250内を通ってボート回転機構254まで導かれており、ボート回転機構254に電力を供給するように構成されている。ボート回転機構254が備える回転軸255の上端部は、シールキャップ219を貫通して、上述したボート217を下方から支持している。ボート回転機構254を作動させることにより、ボート217に保持されたウエハ200を処理室201内及び装填室141内で回転させることが可能となっている。ボート回転機構254には、後述するコントローラ240が電気的に接続されている。コントローラ240は、ボート回転機構254が所定の動作を所定のタイミングにて制御する。
【0032】
駆動部収納ケース256の内部であってボート回転機構254の周囲には、冷却機構257が設けられている。冷却機構257及びシールキャップ219には冷却流路259が形成されている。冷却流路259には冷却水を供給する冷却水配管260が接続されている。冷却水配管260は、昇降シャフト250の上端から昇降シャフト250内を通って冷却流路259まで導かれ、冷却流路259にそれぞれ冷却水を供給するように構成されている。
【0033】
(コントローラ)
図3に示すように、制御部としてのコントローラ240は、CPU(Central Processing Unit)300、RAM(Random Access Memory)302、記憶装置304、I/Oポート306を備えたコンピュータとして構成されている。RAM302、記憶装置304、I/Oポート306は、内部バス308を介して、CPU300とデータ交換可能なように構成されている。コントローラ240には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置310が接続されている。
【0034】
記憶装置304は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置304内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理における各手順をコントローラ240に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、制御プログラム、プロセスレシピ等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM302は、CPU300によって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0035】
I/Oポート306は、上述のMFC181~184、バルブ171~174、APCバルブ242、真空ポンプ246、ヒータ206、回転機構254、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0036】
CPU300は、記憶装置304から制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置310からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置304からレシピを読み出すように構成されている。CPU300は、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC181~184による各種ガスの流量調整動作、バルブ171~174の開閉動作、APCバルブ242の開閉動作および圧力センサに基づくAPCバルブ242による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサに基づくヒータ206の温度調整動作、回転機構254によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0037】
コントローラ240は、外部記憶装置312に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置312は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ等を含む。記憶装置304や外部記憶装置312は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置304単体のみを含む場合、外部記憶装置312単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置312を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0038】
<2.基板処理装置の動作例>
本開示の基板処理装置10は、ウエハ200の脱装や装填、ボート217の搬入や搬出、成膜処理を含む一連の処理(以下、バッチ処理ともいう)を繰り返し行う。成膜処理は、後述するようにウエハ200を加熱した状態で行うことから、成膜処理を実施すると、ウエハ200だけでなく、処理室201内の各種部材、すなわち、ボート217や反応管205等も加熱された状態となる。以下、所定のバッチ処理(n回目)における成膜処理が完了し、加熱されたウエハ200やボート217を加熱された処理室201内から搬出して、次のバッチ処理(n+1回目)を実施する一連の動作フローについて、図4を用いて詳しく説明する。
【0039】
(ボート移動工程)
n回目の成膜処理工程(ステップ10、以下ステップを「S」と略す。)が完了したら、ボート移動工程(S20)を行う。ボート移動工程(S20)では、ボート217の全体を処理室201内から装填室141内へ移動させるのではなく、一部のみを移動させる。具体的には、処理済みウエハ200を保持したボート217を、1スロット分だけ処理室201内から装填室141内へ移動(下降)させるように、ボートエレベータ115を動作させる(図5(b)参照)。1スロット分の移動が完了したら、ボート217の移動を停止させる。
【0040】
なお、後述するウエハ200の脱装・装填を安全に行うため、少なくともボート217の移動を停止させた後は、ボート217の回転を停止させておくことが好ましい。
【0041】
(ウエハ脱装・装填工程)
ボート移動工程(S20)が完了したら、ウエハ脱装・装填工程(S30)を行う。ウエハ脱装・装填工程(S30)では、ゲート15aを下降させて開口15を開放し、ウエハ装填機構28を作動させ、反応管205外へ移動させたボート217のスロット内から処理済みウエハ200(1枚)を脱装し、開口15を介して装填室141の内部から装填室141の外側へ当該ウエハ200を搬出し、ポッドオープナ24にセットされたポッド16内へ収容する。また、ウエハ装填機構28を作動させ、新たなウエハ200が収容されているポッド16内から新たなウエハ200(1枚)を取り出し、開口15を介して装填室141の外側から装填室141の内部へ当該ウエハ200を搬入し、処理済みウエハ200を脱装して空になったスロット内へ新たなウエハ200を装填する。ボート217が停止した状態となっているので、ウエハ200の脱装・装填を安全かつ確実に行うことができる。
【0042】
(ボート移動とウエハ脱装・装填の繰り返し)
複数のスロットのうちの一部のスロットを反応管205外へ位置させるようにボート217を移動させるステップと、前記一部のスロットにウエハ200を装填するステップと、を含むセットを、対象のウエハ全てが脱装・装填されるまで繰り返し行う(図5(b)、(c)参照)。以下、本明細書において、ボート217の移動とウエハ200の脱装・装填をセットとして繰り返し行う工程を「繰り返し工程」と略していう場合がある。なお、対象のウエハ全てが脱装・装填されるとは、例えば、最下段から最上段までの全てのスロットに収容された処理済みウエハ200が脱装され、空になったスロットの全てに新たなウエハ200が装填されることをいう。
【0043】
上述したように、成膜処理を行うことで、ウエハ200だけでなく、ボート217や反応管205等も加熱された状態となる。1回の繰り返し工程(S20、S30)では、ボート217の全体を装填室141内へ搬出させるのではなく、1スロット分のみを移動させるので、加熱された状態のボート217の一部が反応管205の内部に挿入されたままとなり、ボート217の降温を抑制することができる。
【0044】
また、ボート217の一部が反応管205の内部に挿入されたままとなることで、炉口160がボート217により塞がれ、炉口160を介した反応管205内の輻射による降温を抑制することができる。
【0045】
これらのことから、基板処理の生産性を高めることができるとともに、ヒータ206への供給電力を低減させたとしても、反応管205内の温度を一定に維持することが容易となる。
【0046】
ボート217の上端の天板210を、反応管205の下端に形成された炉口160と対応した形状にし、炉口160の全体を開放させないようにする(図5(c)参照)。このようにすれば、ボート移動工程(S20)でボート217を最大限移動(下降)させた場合であっても、ボート217の上端の天板が炉口160を塞ぐので、処理室201内の降温をより抑制することができる。
【0047】
(ボート搬入工程)
対象のウエハ全てを脱装・装填したら、ボート搬入工程(S40)を行う。ボート搬入工程(S40)では、複数のスロットに装填されたウエハ200を反応管205(処理室201)内に収容させるように、ボート217を、途中で停止させることなく連続的に上昇させる。ゲート15aを上昇させて開口15を塞ぐ(図5(d)参照)。
【0048】
なお、ボート搬入工程(S40)では、ボート217を回転させながら上昇させる。装填室141から処理室201内へ搬入されたウエハ200は、処理室201内の余熱により加熱されるが、このようにすれば、処理室201内へ搬入されたウエハ200を、周方向にわたって均一に加熱させることが可能となる。
【0049】
ボート移動工程(S20)、ウエハ脱装・装填工程(S30)、ボート搬入工程(S40)は、パーティクルが外部から流入しない手段を確保した上で、処理室201内と装填室141内を真空状態(減圧状態)にして行うことが好ましい。このようにすることにより、ボート217、処理室201内等の降温を更に抑制することができる。
【0050】
(成膜処理工程)
ボート搬入工程(S40)が完了したら、n+1回目の成膜処理工程(S10)を行う。この工程では、処理室201内を所定の圧力、温度にして、反応管205内に挿入されたボート217を加熱する。処理ガスと希釈ガスとの混合ガスを処理室201内へ供給し、ウエハ200表面上に所定の膜を堆積させる(図5(a)参照)。
【0051】
その後、上述のボート移動工程(S20)、ウエハ脱装・装填工程(S30)、ボート搬入工程(S40)、成膜処理工程(S10)を含む一連のバッチ処理が繰り返し行う。
【0052】
<3.本開示の効果>
本開示の効果を従来例と比較しつつ説明する。
【0053】
従来、ウエハ脱装・装填工程は、ボート217の全体を処理室201内から装填室141内へ完全に搬出させた後、完全に搬出させた状態で行われているので、当該工程が終了するときには、処理室201内やボート217の温度は著しく低下しているおそれがある。その結果、次のバッチ処理を行い得る処理室201内やボート217を最適な処理温度に回復させるのに時間を要し、基板処理の生産性の低下が生じる。
【0054】
(a)これに対し、本開示の基板処理装置10によれば、ボート217が多段に有するスロットのうちの一部のスロットを反応管205外へ位置させるようにボート217を移動させるステップと、当該一部のスロットにウエハ200を装填するステップと、を含むセットを、繰り返し行い、対象のウエハ全てが脱装・装填されたら、複数のスロットに装填されたウエハ200を反応管205内に収容させるように、ボート217を、途中で停止させることなく連続的に上昇させる。
【0055】
このように、1回の繰り返し工程(S20、S30)では、ボート217の全体を装填室141内へ搬出させるのではなく、1スロット分のみを移動させるので、加熱された状態のボート217の一部が反応管205の内部に挿入されたままとなり、ボート217の降温を抑制することができる。
【0056】
また、ボート217の一部が反応管205の内部に挿入されたままとなることで、炉口160がボート217で塞がれ、炉口160を介した反応管205内の輻射による降温を抑制することができる。
【0057】
これらのことから、基板処理の生産性を高めることができるとともに、ヒータ206への供給電力を低減させたとしても、反応管205内の温度を一定に維持することが容易となる。
【0058】
(b)ボート搬入工程(S40)では、ボート217を、途中で停止させることなく連続的に上昇させるのに対し、繰り返し工程(S20、S30)では、ボート217を1スロット分ずつ下降させ、その都度ボート217を停止させるので、ボート搬入工程におけるボート217の速度は、繰り返し工程におけるボート217の速度よりも大きい。これにより、ウエハ200の脱装、装填を安全に行うことができるとともに、処理室201内やボート217の降温を抑制することができ、結果として基板処理の生産性を高めることができる。
【0059】
(c)本開示の基板処理装置10によれば、ボート移動工程(S20)では、ボート217を1スロット分ずつ下降させ、さらに、開口15を装填室141の側壁の上方に設け、かつ、ウエハ装填機構28を装填室141の外側上方に配置しているので、ウエハ200の脱装・装填が装填室141内の上方高い位置(図5(b)、(c)に示すAの位置参照)で行われ、ウエハ装填機構28を上昇・下降させるウエハ装填装置エレベータを省略することができる。これらにより、ボート217の降温をより抑制できるとともに、基板処理装置10の構成をより簡素にすることができる。
【0060】
(d)本開示は、脱装・装填されるウエハ200の枚数が多い場合に特に有意義である。例えば、脱装・装填に1枚あたり5秒必要だと仮定すると、従来技術では、200枚のウエハの全てを脱装・装填するのに1000秒(約17分)間、ボート217が反応管205外へ移動した状態となり、その間の降温は著しいものとなるからである。
【0061】
<4.変形例>
以上、本開示の態様を具体的に説明した。しかしながら、本開示の態様は上述の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0062】
上述の開示では、成膜処理工程(S10)において、ウエハ200を装填したボート217を装填室141内から処理室201内へ搬入した後に、混合ガスを処理室201内へ供給することを例示したが、これに限定するものではなく、ボート217を処理室201内へ搬入している途中で処理室201内への混合ガスの供給を開始してもよい。このようにすることで、より迅速に成膜処理を終了することができる。
【0063】
上述の開示では、縦型熱処理装置におけるボート217の上下移動を例示したが、これに限定されるものではなく、反応管205外へ1スロット分ずつボート217を移動できるのであれば、横型熱処理装置においてボート217を水平移動させてもよい。この場合においても上述の開示と同様の効果が得られる。
【0064】
上述の開示では、ボート移動工程(S20)において、1スロット分のみボート217を移動させること例示したが、これに限定されるものではなく、2スロット分、3スロット分ボート217を移動させてもよい。この場合においても上述の開示と同様の効果が得られる。ただし、1スロット分のみにした方が、降温抑制効果が最大限得られる点で好ましい。
【0065】
上述の開示では、ボート搬入工程(S40)において、ボート217を回転させながら上昇させることを例示したが、これに限定されるものではなく、ボート217を回転させなくてもよい。ただし、回転させた方が、ウエハ200を均一に加熱することができる点で好ましい。
【0066】
上述の開示では、最下段から最上段までの全てのスロットにウエハ200が収容されていることを例示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、最下段から中段までのスロットにしかウエハ200が保持されていない場合でもよい。この場合は、最下段から中段までの全てのスロットに収容された処理済みウエハ200が脱装され、空になったスロットの全てに新たなウエハ200が装填されるまで、繰り返し工程(S20、S30)を行う。
【0067】
上述の開示では、ステップに含まれる加熱処理として成膜処理を例示したが、これに限定されるものではなく、加熱を伴うものであれば、アニール、エッチング、拡散処理など他の処理でもよい。この場合においても上述の開示と同様の効果が得られる。
【0068】
<5.本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0069】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
(a)基板を収容するスロットを多段に有する基板保持具を反応室内で加熱する工程と、
(b)前記複数のスロットのうちの一部のスロットを前記反応室外へ位置させるように前記基板保持具を移動させるステップと、前記一部のスロットに基板を装填するステップと、を含むセットを繰り返し行う工程と、
(c)前記複数のスロットに装填された基板を前記反応室内に収容させるように前記基板保持具を移動させる工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0070】
(付記2)
好ましくは、
(b)では、1セットごとに移動させる前記基板保持具の移動距離を、1スロット分とする、
付記1に記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0071】
(付記3)
好ましくは、
前記一部のスロットに基板を装填するステップでは、前記スロット内に装填されていた基板と、前記基板とは異なる他の基板と、を入れ替える、
付記1または2に記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0072】
(付記4)
好ましくは、
移動させた前記一部のスロットへ基板を装填するステップでは、前記基板保持具の移動を停止させる、
付記1から3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0073】
(付記5)
好ましくは、
(b)では、前記基板保持具の上端に設けられ、前記前記反応室の炉口と対応した形状を有する天板により、前記炉口の全体を開放させないようにする、
付記1から4のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0074】
(付記6)
好ましくは、
(b)では、前記基板保持具を最大限移動させた場合であっても、前記炉口と対応した形状を有する天板により、前記炉口の全体を開放させないようにする、
付記5に記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0075】
(付記7)
好ましくは、
(c)では、前記基板保持具を回転させながら移動させる、
請求項1から6のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0076】
(付記8)
好ましくは、
(a)、(b)、(c)のいずれの工程においても、前記反応室内の温度を所定の基板処理温度に維持する、
請求項1から7のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0077】
(付記9)
好ましくは、
(c)における前記基板保持具の速度を、(b)における前記基板保持具の速度よりも大きくする、
付記1から8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0078】
(付記10)
本開示の他の一態様によれば、
基板を収容するスロットを多段に有する基板保持具と、
前記基板保持具を収容する反応室と、
前記反応室内を加熱する加熱機構と、
前記基板保持具を前記反応室の内外へ搬送する搬送機構と、
前記スロット内へ基板を装填する基板装填機構と、
前記加熱機構、前記搬送機構および前記基板装填機構に接続された制御部と、を有し、
前記制御部は、
(a)前記基板保持具を前記反応室内で加熱する処理と、(b)前記複数のスロットのうちの一部のスロットを前記反応室外へ位置させるように前記基板保持具を移動させる処理と、前記一部のスロットに基板を装填する処理と、を含むセットを繰り返す処理と、(c)前記複数のスロットに装填された基板を前記反応室内に収容させるように前記基板保持具を移動させる処理と、を行わせるように、前記加熱機構、前記搬送機構および前記基板装填機構を制御する基板処理装置が提供される。
【0079】
(付記11)
本開示のさらに他の一態様によれば、
(a)基板を収容するスロットを多段に有する基板保持具を基板処理装置の反応室内で加熱する手順と、
(b)前記複数のスロットのうちの一部のスロットを前記反応室外へ位置させるように前記基板保持具を移動させる手順と、前記一部のスロットに基板を装填する手順と、を含むセットを繰り返す手順と、
(c)前記複数のスロットに装填された基板を前記反応室内に収容させるように前記基板保持具を移動させる手順と、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【符号の説明】
【0080】
10…基板処理装置、202…処理炉、217…ボート、28…ウエハ装填機構、115…ボートエレベータ、240…コントローラ、205…反応管、206…ヒータ、201…処理室、200…ウエハ、141…装填室、209…マニホールド、280…ガス供給ノズル
図1
図2
図3
図4
図5