(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】SiCエピタキシャル成長装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20230123BHJP
C30B 29/36 20060101ALI20230123BHJP
C30B 25/14 20060101ALI20230123BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230123BHJP
【FI】
H01L21/205
C30B29/36 A
C30B25/14
C23C16/44 J
(21)【出願番号】P 2021514909
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 JP2020015890
(87)【国際公開番号】W WO2020213503
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2019077204
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】水島 一郎
(72)【発明者】
【氏名】醍醐 佳明
(72)【発明者】
【氏名】森山 義和
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-044185(JP,A)
【文献】特開2013-045799(JP,A)
【文献】特開2001-126999(JP,A)
【文献】特開2016-225411(JP,A)
【文献】特開2013-227648(JP,A)
【文献】特開2013-125810(JP,A)
【文献】特開2009-016635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C30B 29/36
C30B 25/14
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともシリコンおよび炭素を含むプロセスガスが導入され、前記プロセスガスによりエピタキシャル成長される基板を収容可能なチャンバと、
前記基板上へのエピタキシャル成長に伴って生成された副生成物を含んだガスを前記チャンバから排出する配管と、
前記配管の途中に設けられた圧力制御用のバルブと、を備え、
前記バルブは、前記チャンバと前記バルブとを連通する前記配管の上流部分から前記ガスが流入する流入口と、前記バルブを介して前記上流部分と連通する前記配管の下流部分へ前記ガスを流出する流出口と、を有し、少なくとも前記流出口より低い位置に前記下流部分の一部が設けられ、前記下流部分に前記副生成物を貯留可能なトラップ部を備え
、
前記上流部分および前記下流部分の各々は、各々の両端部間に配置される最下部を有し、
前記バルブは、前記上流部分の前記最下部と、前記下流部分の前記最下部との間に配置されるSiCエピタキシャル成長装置。
【請求項2】
少なくともシリコンおよび炭素を含むプロセスガスが導入され、前記プロセスガスによりエピタキシャル成長される基板を収容可能なチャンバと、
前記基板上へのエピタキシャル成長に伴って生成された副生成物を含んだガスを前記チャンバから排出する配管と、
前記配管の途中に設けられた圧力制御用のバルブと、を備え、
前記バルブは、前記チャンバと前記バルブとを連通する前記配管の上流部分から前記ガスが流入する流入口と、前記バルブを介して前記上流部分と連通する前記配管の下流部分へ前記ガスを流出する流出口と、を有し、少なくとも前記流出口より低い位置に前記下流部分の一部が設けられ、前記下流部分に前記副生成物を貯留可能なトラップ部を備え、
前記トラップ部は、少なくとも前記下流部分の最下部に配置されている、SiCエピタキシャル成長装置。
【請求項3】
前記プロセスガスは、塩素を含む請求項1
または2に記載のSiCエピタキシャル成長装置。
【請求項4】
少なくとも前記流入口および前記流出口のいずれかが下向きの配管と連通する請求項1
または2に記載のSiCエピタキシャル成長装置。
【請求項5】
少なくとも前記流入口および流出口のいずれかと連通する前記配管は、水平部分を有し、前記水平部分の長さは、前記水平部分の直径の16倍以下である、請求項1
または2に記載のSiCエピタキシャル成長装置。
【請求項6】
前記上流部分における前記バルブよりも低い位置で前記副生成物を貯留可能なトラップ部をさらに備える、請求項1
または2に記載のSiCエピタキシャル成長装置。
【請求項7】
前記トラップ部は、前記配管に設けられ、排ガスの流れる方向に垂直な面において、前記配管に対して大きい断面積を有する請求項1
または2に記載のSiCエピタキシャル成長装置。
【請求項8】
前記トラップ部は、前記下流部分より取り外し可能である、請求項1
または2に記載のSiCエピタキシャル成長装置。
【請求項9】
前記トラップ部より上流側に、少なくとも前記トラップ部より高い位置に配置される前記配管を有する、請求項1
または2に記載のSiCエピタキシャル成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、SiCエピタキシャル成長装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜を均一に広い面積の単結晶基板上に成膜するエピタキシャル成長装置の一つに、SiCエピタキシャル成長装置がある。SiCエピタキシャル成長装置は、シリコン(Si)や炭素(C)等を含むプロセスガスを用いてSiC単結晶薄膜を基板上に成膜する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SiCエピタキシャル成長装置は、SiCの成膜に伴って生成された副生成物を排出する。副生成物は俗に爆発の危険性を有し、特に成膜ガス中に塩素を含む場合は、流動性を有する副生成物が生成され、除去には特に安全への配慮が必要である。
【0005】
このような副生成物は、排気経路において圧力制御用のバルブ付近、すなわち圧力が変動する位置で液化することがわかった。そして液化した副生成物の粘度は比較的高いためバルブに残留しやすい。そのため、高頻度なバルブの交換、クリーニングが求められる。
【0006】
本発明の実施形態は、SiCのエピタキシャル成長に伴う副生成物が、排出経路の途中に設けられたバルブに残留しにくく、バルブの交換、クリーニング頻度を低減することが可能なSiCエピタキシャル成長装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るSiCエピタキシャル成膜装置は、少なくともシリコンおよび炭素を含む原料ガスが導入され、原料ガスにより成膜される基板を収容可能なチャンバと、基板の成膜に伴って生成された副生成物を含んだガスをチャンバから排出する配管と、配管の途中に設けられた圧力制御用のバルブと、を備える。バルブは、チャンバとバルブとを連通する配管の上流部分からガスが流入する流入口と、バルブを介して上流部分と連通する配管の下流部分へガスを流出する流出口と、を有する。少なくとも流入口より低い位置に上流部分の一部が、または流出口より低い位置に下流部分の一部が設けられる。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態によれば、SiCのエピタキシャル成長に伴う副生成物が、排出経路の途中に設けられたバルブに残留しにくく、バルブの交換頻度を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るSiCエピタキシャル成長装置の概略的な構成を示す図である。
【
図2】比較例に係るSiCエピタキシャル成長装置の概略的な構成を示す図である。
【
図3】バルブの流出口を斜め下向きに配置した変形例を示す概略図である。
【
図4】配管径と、残留する副生成物の量との関係を示すグラフである。
【
図5】
図4に示す実験結果に用いた配管構造である。
【
図6】
図4に示す実験結果に基づいて副生成物量比が0.05となる配管長さを示すグラフである。
【
図7A】トラップ部を上流部分の最下部よりも下流側に配置した変形例を示す概略図である。
【
図7B】トラップ部を下流部分の最下部よりも上流側に配置した概略図である。
【
図8A】流入口および流出口が鉛直方向に開口したバルブの変形例を示す概略図である。
【
図8B】流入口および流出口が水平方向に開口したバルブの変形例を示す概略図である。
【
図9A】トラップが配管から枝分かれした変形例を示す概略図である。
【
図9B】トラップが配管から枝分かれした別の変形例を示す概略図である。
【
図9C】トラップが配管から枝分かれしたさらに別の変形例を示す概略図である。
【
図10】第2実施形態に係るSiCエピタキシャル成長装置の概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るSiCエピタキシャル成長装置の概略的な構成を示す図である。本実施形態では、エピタキシャル成長処理を行う基板として半導体ウェハWを用い、この半導体ウェハW上に単一の膜を、あるいは複数の薄膜を積層して、気相エピタキシャル成長する例を説明する。
【0012】
図1に示すSiCエピタキシャル成長装置1は、チャンバ10と、配管20と、バルブ30と、トラップ部40と、ポンプ50と、圧力センサ60と、制御部70と、除害装置80と、を備える。以下、SiCエピタキシャル成長装置1の各構成要素について説明する。
【0013】
チャンバ10内には、半導体ウェハWがステージ11上に載置された状態で収容される。載置されるウェハは1枚であっても、あるいは同時に複数枚のウェハを載置してもよい。また、チャンバ10内には、プロセスガスG1が導入される。本実施形態では、プロセスガスG1は、シリコンと、炭素と、塩素(Cl)とを含んでいる。シリコンを含むガスとして、例えばモノシラン(SiH4)あるいはジクロルシラン(SiH2Cl2)あるいはトリクロルシラン(SiHCl3)を用いることができる。炭素を含むガスとして、例えばプロパン(C3H8)あるいはアセチレン(C2H2)を用いることができる。塩素を含むガスとして、例えば塩化水素(HCl)を用いることができる。また、キャリアガスとして水素(H2)あるいはアルゴン(Ar)をプロセスガスの一つとして同時に流してもよい。またドーパントガスとして窒素(N2)あるいはトリメチルアルミニウム(TMAl)を添加してもよい。このプロセスガスG1がチャンバ10内に導入され、ウェハをヒーター等の加熱源(図示せず)によって、例えば1650℃に加熱されると、SiC単結晶薄膜が半導体ウェハWに成膜されると同時に、副生成物が生成される。
【0014】
本実施形態では、副生成物は、少なくともシリコンと、水素(H)と、塩素と、炭素とを含んだ重合体である。排ガスG2は、チャンバ10から配管20へ排出されることにより、重合体である副生成物が、配管20以降のガスが流れることが可能な部分に生成される。
【0015】
配管20は、チャンバ10とバルブ30とを連通する上流部分21と、バルブ30を介して上流部分21と連通する下流部分22と、を有する。本実施形態では、上流部分21の一端は、
図1に示すように、チャンバ10の底面に接続されている。あるいは上流部分21の一端は、チャンバ10の側面に接続されてもよい。
【0016】
上流部分21および下流部分22の各々は、
図1に示すように、U字状に湾曲している。すなわち、下部において湾曲している箇所がある。上流部分21の上端部と下流部分22の上端部との間には、バルブ30が設置されている。
【0017】
バルブ30は、弁箱31および弁体32を有する。弁箱31には、流入口31aおよび流出口31bが設けられている。流入口31aには、チャンバ10から配管20の上流部分21へ排出された排ガスG2が流入する。本実施形態では、流入口31aは、水平方向に開口し、U字状に湾曲した上流部分21の上端部に接続されている。
【0018】
流出口31bは、流入口31aに流入した排ガスG2を、下流部分22へ流出する。本実施形態では、流出口31bは、鉛直下向きに開口し、U字状に湾曲した下流部分22の上流側上端部に接続されている。
【0019】
弁体32は、制御部70の制御に基づいて、弁箱31内で動作する。弁体32の動作によって、バルブ30の開度、換言すると流入口31aにおける排ガスG2の流圧が変化する。弁体32の動作を制御することによって、配管20の上流部分21およびチャンバ10の内部圧力を制御することができる。
【0020】
トラップ部40は、U字状に湾曲した下流部分22の下端部に設置されている。すなわち、トラップ部40は、バルブ30よりも低い位置に設置されている。これにより、バルブ30の流出口31bから排出された副生成物Xは、トラップ部40の下部に貯留される。また、
図1に示すように、配管22より下方にトラップ部40の下部が設けられており、トラップ部40の内径d1は、配管22の内径d2よりも十分大きい。すなわち、排ガスG2の流れる方向に垂直な面において、配管22に対してトラップ部40が十分な大きい断面積を有するため、副生成物Xがトラップ部40内に貯留されても、排ガスG2の流路がトラップ部40内に確保される。よって、下流部分22における排ガスG2の流れは妨げられない。
【0021】
ただし、トラップ部40内で副生成物Xの貯留量が増加すると、トラップ部40の交換が必要になる。そのため、トラップ部40の少なくとも下流部分22は、交換可能に取り付けられていることが望ましい。なお、トラップ部40の下流部分22への取り付け方法は、特に制限されないが、交換作業に要する時間が短くなるように簡易な方法であることが望ましい。また、トラップ部40は、下流部分22だけでなく上流部分21にも設けられていてもよい。
【0022】
ポンプ50は、トラップ部40の下流に設置された真空ポンプである。ポンプ50は、配管20内およびチャンバ10内を真空状態に減圧動作する。この減圧動作によって、排ガスG2がチャンバ10から配管20へ吸い込まれる。
【0023】
圧力センサ60は、チャンバ10内に設置される。あるいは、配管20の上流部分21に設置してもよい。圧力センサ60は、チャンバ10の内部圧力を検出して制御部70へ出力する。
【0024】
制御部70は、SiCエピタキシャル成長装置1内のチャンバ10内部の圧力を圧力センサ60によってモニターした結果を受け、チャンバ10内の圧力を、気相エピタキシャル成長に適した圧力、例えば200Torrになるように、あるいは成膜処理の各ステップのそれぞれに適切な圧力になるように、バルブ30の開度を制御し、プロセスガスG1の導入や排ガスG2の排出などを制御する。
【0025】
除害装置80は、排ガスG2に含まれる有害なガスを除去、あるいは無害化し、大気中に放出できるようにするために設けられている。
【0026】
図2は、比較例に係るSiCエピタキシャル成長装置の概略的な構成を示す図である。
図2では、
図1に示すSiCエピタキシャル成長装置1と同様の構成要素には同じ符号を付し詳細な説明を省略する。
【0027】
図2に示すSiCエピタキシャル成長装置100では、バルブ30がトラップ部40よりも低い位置で配管20の下流部分22に接続されている。また、バルブ30の流出口31bは、鉛直上向きに開口している。そのため、排ガスG2に含まれる副生成物Xが、バルブ30の弁箱31内に付着しやすくなる。
【0028】
一方、本実施形態によれば、
図1に示すように、バルブ30の流出口31bは鉛直下向きに開口している。そのため、弁箱31内で流出口31b付近に付着した副生成物Xは、重力によって、流出口31bから排出するよう促される。これにより、副生成物Xは、弁箱31内に付着しにくくなるので、バルブ30の交換頻度を低減することが可能となる。
【0029】
本実施形態では流出口31bは、鉛直下向きに開口しているが、バルブ30内部の弁体32付近で生成された副生成物Xが、重力によって、流出口31bから排出するよう促されるよう下向きに開口した構造であればよい。例えば、
図3に示すように、バルブ30の流出口31bが斜め下向きに開口していてもよい。
【0030】
あるいは流出口31bが水平方向に開口していたとしても、副生成物が溜まることなくバルブ30からの排出を促されるような構造であればよい。すなわち、流出口31bが水平方向に開口している場合、それに接続された配管も水平方向を向くこととなるが、その水平部分の長さが配管径に対して十分に短ければ、副生成物はバルブ30に溜まることなく排出が促されることになる。
【0031】
副生成物をバルブ付近に溜めることなく排出できる水平部分の長さは、その配管径に依存するため、配管径(内径)と残留する副生成物の量との関係を調べた。配管の内径(D)を、40mm、50mm、100mmとして、配管の水平部分の長さ(配管長:L)を2000mmまで変化させたときに、その水平部分に溜まる副生成物量(v)を実測したところ、
図4のような結果となった。この検討は、
図5に示した構造で行った。ここで
図4の横軸は排気配管の水平方向の長さ(L)、縦軸は排気配管の水平部の容積(V=(L*π*(D/2)
2))に対する、水平部分に溜まる副生成物量(v)の比(v/V)を示している。
【0032】
図5に示すように、バルブの排出口31bから接続された配管22に水平部分がある限り、ある程度の量の副生成物はその水平部分に溜まる。配管の水平部分の容積の5%程度以下であれば、その溜まり量は無視できる。このことから
図4で、各プロットの縦軸が0.05となる配管長Lを求めたところ、
図6の通りとなった。この3点のプロットは、概略、縦軸が横軸の16倍の値となる直線上に乗る。すなわち配管の長さが、配管の水平部分の直径の16倍以下であれば、配管内のたまりは無視できるといえる。但し、排気には影響しないものの、トラップ部40に流れず水平部分に溜まる量は、配管の交換・クリーニングの頻度を鑑みるとできるだけ少ないほうがよいため、より好ましくは2倍以下、さらに好ましくは1倍以下である。
【0033】
また、本実施形態によれば、配管20よりも太い(配管断面積の大きい)トラップ部40が、バルブ30よりも低い位置で下流部分22に接続されている。そのため、副生成物Xは、バルブ30よりもトラップ部40に溜まりやすい。また、下流部分22における排ガスG2の流れを妨げることなく副生成物Xをトラップ部40に貯留することができる。
【0034】
なお、トラップ部40は、
図7Aに示すように上流部分21の最下部21aの下流側に配置されていてもよいし、
図7Bに示すように下流部分22の最下部22aよりも上流側に設けることもできる。すなわち、トラップ部40は、上流部分21の最下部21aと下流部分22の最下部22aとの間に設けられていてもよい。
【0035】
また、バルブ30は、
図8Aに示すように、流入口31aが鉛直方向上向きに開口するとともに、流出口31bが鉛直方向下向きに開口してもよい。
【0036】
または、バルブ30は、
図8Bに示すように、流入口31aおよび流出口31bが、互いに反対に水平方向で開口していてもよい。
【0037】
このときの水平方向の配管の長さについては、バルブの排出口31bから接続された配管22に関しては、前述のように配管の内径Dの16倍以下であることが望ましい。一方、バルブの流入口31aから接続された配管21について、排出口に接続された配管についてと同様の検討を行ったところ、
図6と同様の結果が得られた。このことからバルブの流入口31aに接続された配管21についても、その水平部分の長さは、排管径の16倍以下であることが望ましい。好ましくは2倍以下、より好ましくは1倍以下である。
【0038】
さらに、トラップ部40は、
図9Aに示すように、配管21の途中ではなく、最下部から枝分かれした部分で副生成物Xを溜めるような構造であってもよい。この構造であれば、配管21を1か所取り外すだけで、トラップ部40の交換が可能になる。
【0039】
また、
図9Bに示すように、配管21とトラップ部40をつなぐ鉛直の配管21bの途中にバルブVを設けることが好ましい。このような構成により、排ガスG2を流すとき(成膜中)はバルブVを開けておき、トラップ部40に副生成物Xを溜める。一方、エラー! リンクが正しくありません。を流さないタイミングでバルブVを閉じて、バルブVの下流側を圧力調整機構(図示せず)により大気圧力にして、切り離し部21cでトラップ部40を取り外す。そして、トラップ部40内に溜まった副生成物Xをトラップ部40から取り除き、望ましくは内部を水洗等により洗浄する。その後、トラップ部40を再び接続し、圧力調整機構(図示せず)により減圧にした後、バルブVを開けて配管21と同圧にしてから成膜を行う。このようにすることで、トラップ部40を取り外す際、配管20全体を大気解放する必要がなく、作業性を向上させることができる。
【0040】
また、エラー! リンクが正しくありません。を流すとき(成膜中)にはバルブVを閉じ、配管21に反応副生成物Xを溜める。エラー! リンクが正しくありません。を流さないタイミングでバルブVを開け、配管21に溜まった副生成物をトラップ部40に移す。続いて、バルブVを閉じた後、バルブVの下流側を圧力調整機構(図示せず)により大気圧力にして切り離し部21cでトラップ部40を取り外す。このようにすることで、トラップ部40を圧力制御バルブ31の上流に設ける場合、チャンバ10と圧力制御バルブ31との間の配管容積を小さくすることができるので、制御部70を用いた圧力制御をより容易に行うことができる。
【0041】
さらに、
図9Cに示すように、配管21を分岐させ、それぞれのラインにバルブVi、Vo及びトラップ部40を設けてもよい。例えば一方のラインのViおよびVoを閉じ、もう一方のラインのViおよびVoを開いた状態で成膜を行うことで、一方のラインに接続されたトラップ部40のみに副生成物Xが溜まる。その副生成物が溜まった状態で、もう副生成物の溜まっていない一方のラインの圧力を圧力調整機構(図示せず)により減圧にした後、そのラインの両側のVi、Voを開け、その後副生成物の溜まったラインの両側のVi、Voを閉じ、圧力調整機構(図示せず)により大気圧力にして切り離し部21cでトラップ部40を取り外すことができる。このようにすることで、一方のラインのトラップ部40に副生成物Xが溜まったら、ガスの流れる系統を切り替え、もう一方のラインのトラップ部40に副生成物Xを溜めることができ、より作業性を向上させることができる。
【0042】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係るSiCエピタキシャル成長装置の概略的な構成を示す図である。
図10では、
図1に示すSiCエピタキシャル成長装置1と同様の構成要素には同じ符号を付し詳細な説明を省略する。
【0043】
図10に示すSiCエピタキシャル成長装置2では、バルブ30の流出口31bが水平方向に開口して配管20の下流部分22に接続されている一方で、流入口31aは鉛直下向きに開口して上流部分21に接続されている。そのため、排ガスG2の排出時に弁箱31内で流入口31a付近に付着した副生成物Xは、重力によって、流入口31aから上流部分21に排出されるように促される。よって、副生成物Xは、弁箱31内に付着しにくくなるので、バルブ30の交換頻度を低減することが可能となる。このとき、
図3に示されるように、流入口31aは斜め下向きに開口して上流部分21に接続されていてもよい。
【0044】
また、上流部分21におけるバルブ30よりも低い位置には、トラップ部40が設置されている。流入口31aから排出された副生成物Xをトラップ部40に貯留することができる。
【0045】
さらに、本実施形態でもトラップ部40の内径d1は、配管20の内径d2よりも大きい。そのため、上流部分21における排ガスG2の流れを妨げることなく副生成物Xをトラップ部40に貯留することができる。なお、副生成物Xの貯蔵量が増加すると、トラップ部40の交換が必要になる。そのため、トラップ部40は上流部分21に交換可能に取り付けられることが望ましい。また、トラップ部40は、上流部分21だけでなく下流部分22にも設けられていてもよい。
【0046】
この場合も、第1実施形態と同様に、バルブ30の上流部分21において水平部分を有していてもよく、その場合、その水平部分の長さは、排管径の16倍以下であることが望ましい。好ましくは2倍以下、より好ましくは1倍以下である。
【0047】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。