(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-20
(45)【発行日】2023-01-30
(54)【発明の名称】光ファイバの支持構造および半導体レーザモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20230123BHJP
H01S 5/02251 20210101ALI20230123BHJP
【FI】
G02B6/42
H01S5/02251
(21)【出願番号】P 2022544000
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2021030444
(87)【国際公開番号】W WO2022039233
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】P 2020139502
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中角 真也
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 哲
(72)【発明者】
【氏名】早水 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 彪利
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-168435(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105720464(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1674113(KR,B1)
【文献】特開2014-215607(JP,A)
【文献】特開2013-097064(JP,A)
【文献】特開平11-340556(JP,A)
【文献】特開2021-110828(JP,A)
【文献】特開2018-146723(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0170143(US,A1)
【文献】中国実用新案第204462463(CN,U)
【文献】国際公開第2020/196626(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/43
H01S 3/00-3/30
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアとクラッドとを含む芯線と当該芯線を取り囲む被覆とを有した光ファイバを支持する第一部材と、
前記第一部材に取り付けられた第二部材と、
前記芯線の端部と接続した状態に設けられるとともに前記第一部材と前記第二部材との間に位置し、空間から入力される光を受光する受光面を有し、当該受光面の面積が前記端部の面積よりも大きい緩和部材と、
を有し
、
前記第一部材の、前記端部に対して前記受光面とは反対側となる位置に、前記光ファイバのコアに結合されなかった光を前記緩和部材から外れた方向に反射する反射部、または前記光ファイバのコアに結合されなかった光を散乱する散乱部が設けられた、光ファイバの支持構造。
【請求項2】
前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のうち一方の部材に取り付けられ、
前記緩和部材と、前記第一部材および前記第二部材のうち他方の部材と、の間には隙間が設けられた、請求項1に記載の光ファイバの支持構造。
【請求項3】
コアとクラッドとを含む芯線と当該芯線を取り囲む被覆とを有した光ファイバを支持する第一部材と、
前記第一部材に取り付けられた第二部材と、
前記芯線の端部と接続した状態に設けられるとともに前記第一部材と前記第二部材との間に位置し、空間から入力される光を受光する受光面を有し、当該受光面の面積が前記端部の面積よりも大きい緩和部材と、
を有し、
前記緩和部材は、前記第一部材に取り付けられ、
前記緩和部材と前記第二部材との間に隙間が設けられた、光ファイバの支持構造。
【請求項4】
-20[℃]以上かつ120[℃]以下において前記隙間が確保されるよう構成された、請求項
2または
3に記載の光ファイバの支持構造。
【請求項5】
前記隙間は、-20[℃]において0.05[mm]以上かつ0.6[mm]以下である、請求項
2~4のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項6】
前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のそれぞれに接触するかまたは取り付けられた、請求項
1に記載の光ファイバの支持構造。
【請求項7】
前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のそれぞれに少なくとも1箇所以上で支持されるとともに、前記第一部材および前記第二部材に合計3箇所以上で支持された、請求項
1または6に記載の光ファイバの支持構造。
【請求項8】
前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のそれぞれに少なくとも2箇所以上で支持された、請求項
7に記載の光ファイバの支持構造。
【請求項9】
前記第二部材には、前記端部と前記緩和部材との接続部分を前記第一部材とは反対側に露出する開口が設けられた、請求項1~
8のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項10】
前記開口は、貫通穴である、請求項
9に記載の光ファイバの支持構造。
【請求項11】
前記開口は、切欠である、請求項
9に記載の光ファイバの支持構造。
【請求項12】
前記第二部材は、常温よりも高い温度において常温状態よりも縮むインバー材で作られた、請求項1~
11のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項13】
前記緩和部材は、前記受光面に入力された光に対して99%以上の透過率を有した透明な部材である、請求項1~
12のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項14】
前記緩和部材は、前記コアと同じ屈折率を有した材料で作られた、請求項1~
13のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項15】
前記緩和部材は、石英系ガラス材料で作られた、請求項1~
14のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項16】
前記端部と前記緩和部材とは、融着接続された、請求項1~
15のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項17】
前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方に接着剤を介して支持された、請求項1~
16のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項18】
前記接着剤の硬化した状態での弾性率は、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方の弾性率よりも小さい、請求項
17に記載の光ファイバの支持構造。
【請求項19】
前記接着剤は、有機系接着剤である、請求項
17または
18に記載の光ファイバの支持構造。
【請求項20】
前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方に接着剤を介して支持され、
前記第一部材および前記第二部材のうち前記接着剤と接した部材は、前記受光面に対して前記端部とは反対側で前記接着剤を覆う第一被覆部を有した、請求項1~
19のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項21】
前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方は、前記受光面のうちの受光領域とは外れた部位を覆う第二被覆部を有した、請求項1~
20のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項22】
前記第一部材と前記第二部材とを固定する固定部材を有した、請求項1~
21のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項23】
前記第一部材と前記第二部材とは、スナップフィット機構を介して結合された、請求項1~
22のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項24】
前記光ファイバは、前記端部から所定区間において前記被覆が除去され前記芯線が露出した剥離端部を有し、
前記第一部材内に設けられた収容室内に、前記剥離端部の周囲に存在する状態で収容され、前記剥離端部から漏れた光を透過または散乱する処理材を備えた、請求項1~
23のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造。
【請求項25】
請求項1~
24のうちいずれか一つに記載の光ファイバの支持構造と、
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子から出力されたレーザ光を前記緩和部材に導くとともに当該緩和部材を介して前記端部に結合する光学系と、
を備えた、半導体レーザモジュール。
【請求項26】
前記半導体レーザ素子として複数の半導体レーザ素子を備え、
前記光学系は、前記複数の半導体レーザ素子から出力されたレーザ光を前記緩和部材に導くとともに当該緩和部材を介して前記端部に結合する、請求項
25に記載の半導体レーザモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの支持構造および半導体レーザモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空間的に多重化されたレーザ光を光ファイバの芯線の端部(入力端)に結合する半導体レーザモジュールにおいて、当該端部と接するように緩和部材が設けられた光ファイバの支持構造が知られている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の光ファイバの支持構造および当該光ファイバの支持構造を備えた半導体レーザモジュールにあっては、例えば、緩和部材が外れ難かったり、光ファイバの支持構造の組立時に緩和部材を取り付けやすかったりするなど、より不都合の少ない改善された新規な構成を有した光ファイバの支持構造および半導体レーザモジュールが望まれている。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、より不都合の少ない改善された新規な構成を有した光ファイバの支持構造および当該光ファイバの支持構造を備えた半導体レーザモジュールを得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光ファイバの支持構造では、例えば、コアとクラッドとを含む芯線と当該芯線を取り囲む被覆とを有した光ファイバを支持する第一部材と、前記第一部材に取り付けられた第二部材と、前記芯線の端部と接続した状態に設けられるとともに前記第一部材と前記第二部材との間に位置し、空間から入力される光を受光する受光面を有し、当該受光面の面積が前記端部の面積よりも大きい緩和部材と、を有する。
【0007】
前記光ファイバの支持構造では、前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のそれぞれに接触するかまたは取り付けられてもよい。
【0008】
前記光ファイバの支持構造では、前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のそれぞれに少なくとも1箇所以上で支持されるとともに、前記第一部材および前記第二部材に合計3箇所以上で支持されてもよい。
【0009】
前記光ファイバの支持構造では、前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のそれぞれに少なくとも2箇所以上で支持されてもよい。
【0010】
前記光ファイバの支持構造では、前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のうち一方の部材に取り付けられ、前記緩和部材と、前記第一部材および前記第二部材のうち他方の部材と、の間には隙間が設けられてもよい。
【0011】
前記光ファイバの支持構造では、-20[℃]以上かつ120[℃]以下において前記隙間が確保されるよう構成されてもよい。
【0012】
前記光ファイバの支持構造では、前記隙間は、-20[℃]において0.05[mm]以上かつ0.6[mm]以下であってもよい。
【0013】
前記光ファイバの支持構造では、前記第二部材には、前記端部と前記緩和部材との接続部分を前記第一部材とは反対側に露出する開口が設けられてもよい。
【0014】
前記光ファイバの支持構造では、前記開口は、貫通穴であってもよい。
【0015】
前記光ファイバの支持構造では、前記開口は、切欠であってもよい。
【0016】
前記光ファイバの支持構造では、前記第二部材は、常温よりも高い温度において常温状態よりも縮むインバー材で作られてもよい。
【0017】
前記光ファイバの支持構造では、前記緩和部材は、前記受光面に入力された光に対して99%以上の透過率を有した透明な部材であってもよい。
【0018】
前記光ファイバの支持構造では、前記緩和部材は、前記コアと同じ屈折率を有した材料で作られてもよい。
【0019】
前記光ファイバの支持構造では、前記緩和部材は、石英系ガラス材料で作られてもよい。
【0020】
前記光ファイバの支持構造では、前記端部と前記緩和部材とは、融着接続されてもよい。
【0021】
前記光ファイバの支持構造では、前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方に接着剤を介して支持されてもよい。
【0022】
前記光ファイバの支持構造では、前記接着剤の硬化した状態での弾性率は、前記第一部材および前記第二部材の弾性率より小さくてもよい。
【0023】
前記光ファイバの支持構造では、前記接着剤は、有機系接着剤であってもよい。
【0024】
前記光ファイバの支持構造では、前記緩和部材は、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方に接着剤を介して支持され、前記第一部材および前記第二部材のうち前記接着剤と接した部材は、前記受光面に対して前記端部とは反対側で前記接着剤を覆う第一被覆部を有してもよい。
【0025】
前記光ファイバの支持構造では、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方は、前記受光面のうちの受光領域とは外れた部位を覆う第二被覆部を有してもよい。
【0026】
前記光ファイバの支持構造では、前記第一部材と前記第二部材とを固定する固定部材を有してもよい。
【0027】
前記光ファイバの支持構造では、前記第一部材と前記第二部材とは、スナップフィット機構を介して結合されてもよい。
【0028】
前記光ファイバの支持構造では、前記光ファイバは、前記端部から所定区間において前記被覆が除去され前記芯線が露出した剥離端部を有し、前記第一部材内に設けられた収容室内に、前記剥離端部の周囲に存在する状態で収容され、前記剥離端部から漏れた光を透過または散乱する処理材を備えてもよい。
【0029】
本発明の半導体レーザモジュールは、例えば、光ファイバの支持構造と、半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子から出力されたレーザ光を前記緩和部材に導くとともに当該緩和部材を介して前記端部に結合する光学系と、を備える。
【0030】
前記半導体レーザモジュールは、前記半導体レーザ素子として複数の半導体レーザ素子を備え、前記光学系は、前記複数の半導体レーザ素子から出力されたレーザ光を前記緩和部材に導くとともに当該緩和部材を介して前記端部に結合してもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、より不都合の少ない改善された新規な構成を有した光ファイバの支持構造および半導体レーザモジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、第1実施形態の支持部材の例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の支持部材の例示的かつ模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のエンドキャップ内の光路を示す説明図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の支持部材の例示的かつ模式的な正面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の第1変形例の支持部材の例示的かつ模式的な平面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の第2変形例の支持部材の例示的かつ模式的な正面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の第3変形例の支持部材の例示的かつ模式的な正面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の第4変形例の支持部材の例示的かつ模式的な正面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態の第5変形例の支持部材の例示的かつ模式的な正面図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態の第6変形例の支持部材の例示的かつ模式的な正面図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態の第7変形例の支持部材の
図12と同等位置での断面図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態の第8変形例の支持部材の例示的かつ模式的な正面図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態の発光装置の例示的な概略構成図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態の発光装置の一部の例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図17】
図17は、第3実施形態の発光装置の例示的な概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0034】
以下に示される実施形態および変形例は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態および変形例の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0035】
図1~5の各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに直交している。
【0036】
本明細書において、序数は、部品や、部材、部位等を区別するために便宜上付与されており、優先度や順番を示すものではない。
【0037】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の支持部材10A(10)の斜視図である。支持部材10Aは、種々の光学機器において、主に、レーザ光を出力する出力光ファイバとしての光ファイバ20の、端部の支持に、適用される。支持部材10Aは、端部支持構造や、支持部とも称されうる。支持部材10Aは、光ファイバの支持構造の一例である。
【0038】
図1に示されるように、支持部材10Aは、ベース11と、カバー12と、エンドキャップ13と、ホルダ14と、を備えている。
【0039】
ベース11は、X方向に延びた直方体状の形状を有しており、X方向に延びた光ファイバ20を支持している。
【0040】
ベース11は、Z方向の反対側の端部に位置された面11aと、Z方向の端部に位置された面11bと、を有している。
【0041】
面11aは、Z方向の反対方向を向き、Z方向と交差しかつ直交している。面11aは、長方形状の平面である。
【0042】
面11bは、Z方向を向き、Z方向と交差しかつ直交している。面11bは、Z方向にずれた三つの面11b1、11b2,11b3を有している。面11b1,11b2,11b3は、いずれもZ方向を向き、Z方向と交差しかつ直交している。面11b1,11b2,11b3は、いずれも平面である。面11b2は、面11b1からZ方向の反対方向にずれて位置され、面11b3は、面11b2からZ方向の反対方向にずれて位置されている。面11b1,11b2,11b3は、段差を構成している。面11a、面11b1、面11b2、および面11b3は、平行である。
【0043】
カバー12は、Z方向と交差しかつ直交している。カバー12は、X方向に延びた長方形状を有している。
【0044】
ベース11およびカバー12は、いずれも、例えば、銅系材料やアルミニウム系の材料のような、熱伝導性の高い材料で作られうる。
【0045】
光ファイバ20は、ベース11とカバー12との間に設けられX方向に延びる収容室S(
図5参照)内に収容されている。収容室S内では、光処理機構40が構成されている。光処理機構40については、後述する。
【0046】
カバー12は、例えば、ねじのような固定具16によって、ベース11と固定されている。空間内に光ファイバ20の剥離端部20aと処理材とが収容された状態で、ベース11とカバー12とが一体化されることにより、空間内に剥離端部20aと処理材とが収容された構成を、比較的簡素な構成により実現することができる。光ファイバ20は、ベース11とカバー12とによって支持されている。ベース11およびカバー12は、第一部材の一例であり、支持部材とも称されうる。なお、ベース11とカバー12とは、固定具16による結合とは異なる結合方式によって一体化されてもよい。
【0047】
エンドキャップ13は、ベース11と、エンドキャップ13に対してベース11とは反対側に位置されたホルダ14とによって、取り囲まれている。ホルダ14は、ねじのような固定具16によって、ベース11と固定されている。ホルダ14は、ベース11との間にエンドキャップ13を挟む状態で、当該ベース11に取り付けられている。ホルダ14は、第二部材の一例である。なお、ベース11とホルダ14とは、固定具16による結合とは異なる結合方式によって一体化されてもよい。
【0048】
図2は、支持部材10Aの部分的な平面図である。
図2に示されるように、エンドキャップ13は、剥離端部20aの先端20a1、すなわち芯線21の先端20a1に対して、X方向に面している。エンドキャップ13は、円柱部13aと、突出部13bとを有している。円柱部13aは、円柱状の形状を有し、剥離端部20aの直径よりも十分に大きい直径を有して、X方向に延びている。円柱部13aのX方向の端面13a1の面積は、先端20a1の断面積よりも広い。また、突出部13bは、円錐状かつテーパ状の形状を有しており、円柱部13aから先端20a1に近付くように、X方向の反対方向に突出している。突出部13bの先端は、例えば、剥離端部20aと融着接続されている。先端20a1は、端部の一例である。なお、エンドキャップ13の形状は、このような形状には限定されない。例えば、エンドキャップ13は、突出部13bを有することなく、円柱部13aだけを有してもよい。
【0049】
エンドキャップ13は、例えば、端面13a1で受光された光であって、光ファイバ20(芯線21)で伝送される光に対して、99%以上の透過率を有した透明な部材である。エンドキャップ13は、光ファイバ20のコアと同程度の屈折率を有する材料で作られうる。一例として、エンドキャップ13は、光ファイバ20のコアと同じ石英系ガラス材料で作られうる。
【0050】
図3は、エンドキャップ13内において芯線21の先端20a1に至るまでのレーザ光Lの光路を示す模式図である。仮に、エンドキャップ13が設けられていない構成において、剥離端部20aの先端20a1に向けて集光レンズ(不図示)等によって集光されたレーザ光が到来すると、界面となる先端20a1においてビーム径が小さくなるのに伴ってパワー密度が過度に大きくなり、これにより過度な温度上昇が生じ、ひいては当該先端20a1が損傷してしまう虞がある。そこで、本実施形態では、先端20a1にエンドキャップ13を接続することにより、界面の拡大を図っている。
図3に示されるように、本実施形態では、レーザ光Lは、先端20a1よりも広いエンドキャップ13の端面13a1に、ビーム径がより大きくパワー密度がより小さい状態で到達するので、界面となる端面13a1ならびに導光部材の途中となる芯線21の先端20a1の双方において、過度な温度上昇ひいては損傷を、抑制することができる。エンドキャップ13は、緩和部材の一例である。端面13a1は、受光面の一例である。
【0051】
また、エンドキャップ13の突出部13bとは反対側の端面13a1には、AR(anti
reflection)コーティングが施されている。これにより、端面13a1における光の反射が抑制される。
【0052】
また、
図2に示されるように、ホルダ14には、X方向の反対方向に向けて開放された切欠14aが設けられている。この切欠14aにより、エンドキャップ13の突出部13bと芯線21の先端20a1との接続部分が、Z方向に、すなわち、ベース11とは反対側に、露出している。このような構成により、作業者の視認やカメラによる撮影等によって、切欠14aを通じて、突出部13bと先端20a1との接続状態を確認することができる。切欠14aは、開口の一例である。
【0053】
図4は、支持部材10AをX方向の反対方向に見た場合の正面図である。
図4に示されるように、ホルダ14は、ベース11の面11b3に対してZ方向に隣接している。
【0054】
ホルダ14は、Y方向に離間しZ方向に延びた二つの側壁14bと、側壁14bのZ方向の端部間でY方向に延びた頂壁14cと、を有している。これら、二つの側壁14bと頂壁14cとが、エンドキャップ13の円柱部13aを覆っている。
【0055】
また、ベース11の面11b3上には、二つの突起11cが設けられている。突起11cは、それぞれ、Y方向に離間し、面11b3からZ方向に突出し、かつX方向に延びている。また、突起11cは、それぞれ、傾斜面11c1を有している。傾斜面11c1は、エンドキャップ13の円柱部13aの中心軸(すなわち光軸Ax)の径方向内側を向いている。傾斜面11c1は、光軸Axの径方向と直交する方向(接線方向)に延びるとともに、光軸Axの軸方向すなわちZ方向に延びた平面である。円柱部13aの外周面は、これら傾斜面11c1に接している。
【0056】
円柱部13aの外周面は、二つの突起11cとは反対側で、ホルダ14の頂壁14cの内面14c1にも接している。当該内面14c1は、Y方向に延びるとともにZ方向に延びた平面である。すなわち、この内面14c1も、光軸Axの径方向と直交する方向(接線方向)に延びるとともに、光軸Axの軸方向に延びた平面である。
【0057】
このように、円柱部13aの外周面は、二つの傾斜面11c1および内面14c1、すなわち三つの面に内接している。円柱部13a、すなわちエンドキャップ13は、これら三つの面との線接触、あるいは微少幅でX方向に延びた細長い面での面接触により、支持部材10Aに支持されている。この場合、支持部材10Aは、接着剤等を用いることなく、エンドキャップ13を支持することができる。
【0058】
このような構成において、ホルダ14は、例えば、インバー材で作られてもよい。本明細書において、インバー材とは、常温よりも高い温度において常温状態よりも縮む部材であり、一例としては、ニッケルを含有した鉄系の合金(ニッケル合金)である。この種の支持部材10Aは、例えば、熱硬化性樹脂としての接着剤を含む装置に組み込まれているような場合には、支持部材10Aのサブアセンブリ後(組立後)において、高温状態となることがある。熱硬化処理における高温状態での温度は、例えば、130[℃]等である。このような場合において、仮に、エンドキャップ13の熱膨張が、ベース11およびホルダ14によって妨げられるような構成であると、エンドキャップ13や、当該エンドキャップ13と接続した剥離端部20aに作用する応力が高くなり、ひいては、エンドキャップ13や剥離端部20aの変形や損傷の一因となる虞がある。この点、ホルダ14がインバー材で作られている場合には、エンドキャップ13が熱膨張した場合にあっても、ホルダ14の頂壁14cの厚さtが小さくなり、エンドキャップ13の熱膨張を過度に妨げずに済むため、エンドキャップ13や剥離端部20aの変形や損傷を抑制することができる。
【0059】
また、
図1,2に示されるように、エンドキャップ13に対してX方向の反対側に離れた位置には、反射部11dが設けられている。反射部11dは、エンドキャップ13と面している。反射部11dは、ベース11において、面11b1と面11b2との間においてZ方向に延びた段差面に、設けられている。反射部11dは、例えば、ベース11の一部を加工し、メッキ処理を施すことにより、構成することができるし、別途作成された反射部11dがベース11に取り付けられてもよい。このような構成により、反射部11dは、エンドキャップ13から到来して光ファイバ20のコアに結合されなかった光を、エンドキャップ13から外れた方向、本実施形態では、一例としてY方向またはY方向の反対方向に反射する。これにより、エンドキャップ13から漏れた光がベース11等で反射してエンドキャップ13に戻り当該エンドキャップ13の温度が上昇するような事態を、回避することができる。なお、反射部11dは、
図1,2の構成には限定されない。また、反射部11dに替えて、光を散乱する散乱面を有した散乱部が設けられてもよい。
【0060】
[光処理機構]
図5は、
図1のV-V断面図であって、光処理機構40の断面図である。
図5に示されるように、カバー12は、Z方向の反対側の端部に位置された面12aと、Z方向の端部に位置された面12bと、を有している。カバー12では、面11b1を覆っている。面12aは、面11b1と面するとともに、接している。また、ベース11の面11b1には、Z方向の反対方向に凹みX方向に延びた凹溝11eが設けられている。凹溝11eは、X方向と交差した断面において、V字状の断面を構成する所謂V字溝である。凹溝11eは、二つの面11e1,11e2の間に設けられている。面11e1は、Y方向に向かうにつれてZ方向の反対方向に向かう方向に延びるとともに、X方向に延びている。面11e2は、Y方向に向かうにつれてZ方向に向かう方向に延びるとともに、X方向に延びている。
【0061】
凹溝11eの面11e1,11e2と、カバー12の面12aとによって囲まれた収容室Sは、X方向に延びている。収容室Sには、X方向に延びた光ファイバ20が収容されている。
【0062】
また、面11e1,11e2,12aは、剥離端部20aの、X方向と直交する方向における位置ずれを抑制している。面11e1,11e2,12aは、位置決め部、あるいはずれ防止部とも称されうる。
【0063】
収容室S内の、光ファイバ20を除く部分には、処理材15が収容されている。光処理機構40は、処理材15を有している。処理材15は、剥離端部20a(芯線21)と接した状態で、剥離端部20aの周囲に存在している。芯線21は、コア21aとクラッド21bとを有している。処理材15は、剥離端部20aのクラッド21bから漏れた光を透過または散乱する。これにより、クラッド21bから被覆22への光の伝播を抑制することができる。また、処理材15は、光エネルギを熱エネルギに変換してもよい。
【0064】
処理材15は、例えば、光を透過または散乱する性質を有した無機系接着剤で作られうる。無機系接着剤は、例えば、ケイ素系やアルミナ系の接着剤である。この場合、無機系接着剤は、未硬化の状態で塗布した後に硬化することにより、セラミック状の膜となる。無機系接着剤は光を透過または散乱することができる。なお、無機系接着剤が有機溶剤を使用するものである場合、有機溶剤は、硬化の際に揮発する。無機系接着剤は耐熱性が高いため、処理材15として好適である。
【0065】
また、処理材15は、光を透過または散乱する性質を有した樹脂材料で作られてもよい。樹脂材料は、例えば、シリコーン系、エポキシ系、あるいはウレタンアクリレート系等である。樹脂材料は、フィラーとして、例えば、窒化ホウ素や、タルク、窒化アルミ(AlN)等を含んでもよい。この場合、光はフィラーによっても散乱される。また、フィラーの屈折率は、クラッド21bの屈折率より高いことが望ましい。なお、樹脂材料やフィラーは、上記のものには限定されない。
【0066】
以上、説明したように、本実施形態では、エンドキャップ13(緩和部材)は、ベース11(第一部材)とホルダ14(第二部材)との間に挟まれた状態で、当該ベース11およびホルダ14に支持されている。言い換えると、エンドキャップ13は、ベース11とホルダ14との間に位置するとともに、ベース11およびホルダ14のそれぞれに接触している。
【0067】
このような構成によれば、例えば、エンドキャップ13を、より容易にあるいはより確実に、ベース11に取り付けることができる。また、例えば、ホルダ14が無い場合に比べて、製造時にエンドキャップ13が工具や部品と干渉するのを抑制できたり、エンドキャップ13への迷光の進入を抑制することができたりといった効果が得られる。なお、エンドキャップ13は、ベース11またはホルダ14のうち少なくとも一方と例えば接着剤を介して取り付けられてもよい。ただし、エンドキャップ13の固定に接着剤を使わない場合には、製造コストを低減できたり、接着剤に起因した不都合を抑制できたり、といった利点が得られる。
【0068】
また、本実施形態では、ホルダ14には切欠14a(開口)が設けられており、当該切欠14aにより、エンドキャップ13の突出部13bと光ファイバ20の芯線21の先端20a1との接続部分が、ベース11とは反対側に、露出している。このような構成により、作業者の視認やカメラによる撮影等によって、切欠14aを通じて、突出部13bと先端20a1との接続状態を確認することができる。
【0069】
また、本実施形態では、ホルダ14は、インバー材で作られている。このような構成によれば、例えば、エンドキャップ13が熱膨張した場合にあっても、ホルダ14によってエンドキャップ13の熱膨張を過度に妨げずに済むため、エンドキャップ13や剥離端部20aの変形や損傷を抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、ホルダ14は、ベース11およびホルダ14のそれぞれに少なくとも1箇所以上で支持されるとともに、ベース11およびホルダ14に合計3箇所以上で支持されている。このような構成によれば、例えば、エンドキャップ13の位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0071】
[第1変形例]
図6は、第1実施形態の第1変形例の支持部材10B(10)の平面図である。
図6に示されるように、本変形例では、ホルダ14Bには、開口として、切欠14aではなく、貫通穴14dが設けられている。ホルダ14Bに切欠14aに替えて貫通穴14dが設けられている点を除き、支持部材10Bは、第1実施形態の支持部材10Aと同様の構成を備えている。貫通穴14dは、頂壁14cを、Z方向に貫通しており、これにより、エンドキャップ13の突出部13bと芯線21の先端20a1との接続部分が、ベース11とは反対側に、露出している。このような構成により、作業者の視認やカメラによる撮影等によって、貫通穴14dを通じて、突出部13bと先端20a1との接続状態を確認することができる。
【0072】
[第2変形例]
図7は、第1実施形態の第2変形例の支持部材10C(10)の正面図である。
図7に示されるように、本変形例では、ホルダ14Cには、二つの側壁14bと頂壁14cとの間の二箇所の隅部に、それぞれ、傾斜面14eが設けられている。傾斜面14eは、エンドキャップ13の円柱部13aの中心軸(すなわち光軸Ax)の径方向内側を向いている。傾斜面14eは、光軸Axの径方向と直交する方向(接線方向)に延びるとともに、光軸Axの軸方向すなわちZ方向に延びた平面である。円柱部13aの外周面は、これら傾斜面14eに接している。円柱部13a、すなわちエンドキャップ13は、突起11cの二つの傾斜面11c1、二つの傾斜面14e、およびホルダ14の頂壁14cの内面14c1の、合計五つの面との線接触、あるいは微少幅でZ方向に延びた細長い面での面接触により、支持部材10Cに支持されている。本変形例にあっても、支持部材10Cは、接着剤等を用いることなく、エンドキャップ13を支持することができる。
【0073】
また、本変形例によれば、ホルダ14は、ベース11およびホルダ14のそれぞれに少なくとも2箇所以上で支持されるとともに、ベース11およびホルダ14に合計4箇所以上で支持されている。このような構成によれば、例えば、エンドキャップ13の位置ずれをより一層確実に抑制することができる。
【0074】
[第3変形例]
図8は、第1実施形態の第3変形例の支持部材10D(10)の正面図である。
図8に示されるように、本変形例でも、エンドキャップ13は、ベース11とホルダ14Dとの間に位置している。ただし、本変形例では、エンドキャップ13はホルダ14Dとは接触せず、当該エンドキャップ13とホルダ14Dとの間には隙間gが設けられている。他方、エンドキャップ13はベース11とは接触しており、当該エンドキャップ13の外周面と突起11cの傾斜面11c1とは接着剤17を介して結合されている。言い換えると、エンドキャップ13は、接着剤17を介して、ベース11に取り付けられている。このような構成によれば、接着剤17によってエンドキャップ13がベース11またはホルダ14Dに支持された状態を確保するとともに、隙間gが無い場合よりもベース11またはホルダ14Dからエンドキャップ13に作用する力を低減することができ、当該力によってエンドキャップ13が変形したり損傷したりするのを抑制することができる。
【0075】
ここで、支持部材10Dは、当該支持部材10Dが使用される温度範囲、例えば-20[℃]以上かつ120[℃]以下において、隙間gが0.05[mm]より大きくなるよう、より好ましくは隙間gが0.1[mm]以上となるよう、設定される。このような構成によれば、各部材の熱膨張や熱収縮によってエンドキャップ13がベース11とホルダ14Dとの間で圧縮され、ひいては当該エンドキャップ13が変形したり損傷したりするのを、抑制することができる。
【0076】
また、各部材の熱膨張を想定し、隙間gの大きさ(g)を、例えば、次の式(1)を満たすように設定してもよい。
g>ΔT(αh×t+αe×D) ・・・(1)
ここに、ΔTは、支持部材10Dの最大温度差、αhは、ホルダ14Dの熱膨張係数、tは、ホルダ14Dの頂壁14cの厚さ、αeは、エンドキャップ13の熱膨張係数、Dは、エンドキャップ13の直径である。なお、式(1)は、ホルダ14DのZ方向の端面とエンドキャップ13のZ方向の反対方向の端部との間の長さLtが略一定であることを前提としている。
【0077】
さらに、隙間gへのピンセットのような工具や異物の進入抑制という観点から、当該隙間gは、0.6[mm]以下であるのが好ましく、0.4[mm]以下であるのがより好ましい。
【0078】
また、接着剤17の硬化した状態での弾性率は、ベース11およびホルダ14Dの弾性率よりも小さいのが好ましい。このような構成によれば、ベース11およびホルダ14Dよりも柔軟な接着剤17の緩衝作用によって、エンドキャップ13の保護性をより高めることができる。また、このような観点から、接着剤17は、有機系接着剤であるのが好ましい。
【0079】
また、ホルダ14Dのエンドキャップ13と面した内面14b1,14c1には、例えば、塗布された黒色塗料などにより、光を吸収する光吸収性材料の層が設けられてもよい。このような構成によれば、内面14b1,14c1に到達した迷光(漏洩光)が当該内面14b1,14c1で反射しエンドキャップ13に結合されるのを抑制することができる。なお、内面14b1,14c1は、単に面とも称されうる。また、光吸収性材料の層は、ベース11のエンドキャップ13と面する面に設けられてもよい。
【0080】
なお、本変形例では、ベース11の面11b3とホルダ14Dの底面14b2とは互いに接している。また、エンドキャップ13は、一例としてベース11に取り付けられているが、これには限定されず、エンドキャップ13がホルダ14Dに取り付けられるとともに、エンドキャップ13とベース11との間に隙間gが設けられてもよい。
【0081】
[第4変形例]
図9は、第1実施形態の第4変形例の支持部材10E(10)の正面図である。
図9に示されるように、本変形例では、第2変形例の支持部材10C(
図7参照)と同様の構成において、エンドキャップ13とホルダ14Eとの間に隙間gが設けられている。また、本変形例では、エンドキャップ13は、ベース11の二つの突起11cに、接着剤17を介して取り付けられている。言い換えると、エンドキャップ13は、複数箇所で、ベース11に取り付けられている。このような構成によっても、隙間gおよび接着剤17による上記第3変形例と同様の効果が得られる。
【0082】
なお、エンドキャップ13は複数箇所でホルダ14Eに取り付けられるとともに、エンドキャップ13とベース11との間に隙間gが設けられてもよい。
【0083】
[第5変形例]
図10は、第1実施形態の第5変形例の支持部材10F(10)の正面図である。
図10に示されるように、ホルダ14Fは、端壁14fを有している。端壁14fは、エンドキャップ13のX方向の端面13a1よりもX方向にずれた位置で、所定の厚さでX方向と交差するとともに直交しており、当該端壁14fには、端面13a1における受光領域を露出する開口14f1が設けられている。このような構成によれば、ホルダ14Fは、エンドキャップ13の周囲のより広い範囲を覆うことができるため、エンドキャップ13の保護性をより高めることができる。端壁14fは、受光面としての端面13a1のうち周縁部を覆う第二被覆部の一例であり、端面13a1の周縁部は、受光領域とは外れた部位の一例である。
【0084】
また、
図10に示されるように、端壁14fは、端面13a1に対してX方向にずれた位置で、言い換えると端面13a1に対して光ファイバ20の先端20a1(
図3等参照)とは反対側で、接着剤17を覆っている。このような構成によれば、接着剤17に向けてX方向の反対方向に略沿って進む迷光(漏洩光)を端壁14fによって遮ることができ、当該迷光による接着剤17の劣化を抑制することができる。端壁14fは、第一被覆部の一例である。
【0085】
[第6変形例]
図11は、第1実施形態の第6変形例の支持部材10G(10)の正面図であり、
図12は、
図11のXII-XII断面図である。本変形例では、
図12に示されるように、ホルダ14Gの側壁14bおよび頂壁14cが、エンドキャップ13の端面13a1よりもX方向の前方に延びている。そして、
図11,12に示されるように、二つの側壁14bは、それぞれ、ベース11の面11b3に近い部位から互いに近付く方向に突出した突出部14gを有している。突出部14gは、エンドキャップ13を通る光の光路を遮らないよう、エンドキャップ13の周縁部を部分的に覆うとともに、端面13a1に対して光ファイバ20の先端20a1とは反対側で、接着剤17を覆っている。このような構成によれば、頂壁14c、側壁14b、および突出部14gによって、エンドキャップ13の保護性をより高めることができる。また、突出部14gにより、接着剤17に向けてX方向の反対方向に略沿って進む迷光を遮ることができ、当該迷光による接着剤17の劣化を抑制することができる。突出部14gは、第一被覆部の一例であり、第二被覆部の一例でもある。
【0086】
[第7変形例]
図13は、第1実施形態の第7変形例の支持部材10H(10)の
図12と同等位置での断面図である。本変形例では、ホルダ14Hには突出部は設けられず、これに替えて、ベース11Hに突出部11fが設けられている。突出部11fは、上記第6変形例の突出部14gと同様の形状および構成を有している。ただし、突出部11fは、ベース11Hの面11b3からZ方向に突出している。このような構成によれば、突出部11fにより、エンドキャップ13の保護性をより高めることができる。また、突出部11fにより、接着剤17に向けてX方向の反対方向に略沿って進む迷光を遮ることができ、当該迷光による接着剤17の劣化を抑制することができる。突出部11fは、第一被覆部の一例であり、第二被覆部の一例でもある。
【0087】
[第8変形例]
図14は、第1実施形態の第8変形例の支持部材10I(10)の正面図である。
図14に示されるように、本変形例では、ベース11Iとホルダ14Iとは、スナップフィット機構18を介して接続されている。スナップフィット機構18は、ベース11Iに設けられた凹部11gと、当該凹部11gに挿入される爪とアームとを有したフック14hと、を有している。ホルダ14Iのベース11Iへの装着に際し、ホルダ14Iは、ベース11Iに対してZ方向の反対方向に近づけられる。ホルダ14Iは、ベース11Iからの相対的な押圧によってフック14hのアームが弾性的に屈曲変形した状態で、さらにZ方向の反対方向に動かされる。フック14hの爪が凹部11gと重なる位置に到達した時点で、ベース11Iからのフック14hに対する押圧が解除され、これにより、爪が凹部11gに挿入され、ホルダ14Iがベース11Iに装着された
図14に示される装着状態が得られる。装着状態では、爪が凹部11gに引っ掛かることにより、ベース11Iとホルダ14Iとが分離するのが抑制される。なお、スナップフィット機構18は、
図14の例には限定されず、凹部がホルダ14Iに設けられ、爪がベース11Iに設けられてもよい。また、スナップフィット機構は、ベース11Iとホルダ14Iとを固定できる構成であればよく、ベース11Iおよびホルダ14Iとは別の部材に設けられてもよい。
【0088】
[第2実施形態]
図15は、第2実施形態の発光装置30Aの概略構成図であって、カバーを取り外した状態で発光装置30Aの内部をZ方向の反対方向に見た平面図である。発光装置30Aは、光学装置の一例であって、半導体レーザモジュールとも称されうる。
【0089】
図15に示されるように、発光装置30Aは、ベース31と、当該ベース31と固定された光ファイバ20と、複数の発光ユニット32と、複数の発光ユニット32からの光を合成する光合成部33と、を有している。
【0090】
光ファイバ20は、出力光ファイバであって、第1実施形態またはその変形例の支持部材10を介して、ベース31と固定されている。
【0091】
支持部材10は、ベース31の一部として当該ベース31と一体的に構成されてもよいし、ベース31とは別部材として構成された支持部材10が、例えばねじのような固定具を介してベース31に取り付けられてもよい。
【0092】
ベース31は、例えば、銅系材料やアルミニウム系材料のような、熱伝導性の高い材料で作られる。ベース31は、カバー(不図示)で覆われている。光ファイバ20、発光ユニット32、光合成部33、および支持部材10は、ベース31とカバーとの間に形成された収容室内に収容され、封止されている。
【0093】
図16は、発光装置30Aの一部の斜視図である。
図16に示されるように、ベース31には、X方向に複数の発光ユニット32が所定間隔(例えば一定間隔)で並ぶアレイA1,A2のそれぞれについて(ただし、
図16にはアレイA2のみ図示)、X方向に向かうにつれて、発光ユニット32の位置がZ方向にずれるよう、段差面31cが設けられている。段差面31cは、X方向およびY方向に延びている。発光ユニット32は、それぞれ、段差面31c上に載置されている。X1方向は、第一方向の一例である。また、段差面は、載置面とも称されうる。また、このような構成により、発光ユニット32、コリメートレンズ33b、およびミラー33cが設けられる部位において、ベース31のZ方向の厚さは、X方向に向かうにつれて厚くなっている。
【0094】
発光ユニット32は、一例として、チップオンサブマウントである。発光ユニット32は、それぞれ、サブマウント32aと、当該サブマウント32a上に実装された発光素子32bと、を有している。発光素子32bは、例えば、半導体レーザチップである。複数の発光素子32bは、例えば、同じ波長(単一の波長)の光を出力する。
【0095】
図15に示されるように、複数の発光素子32bから出力された光は、光合成部33によって合成される。光合成部33は、コリメートレンズ33a,33b、ミラー33c,33d、コンバイナ33e、集光レンズ33f,33g等の光学部品を有している。光合成部33に含まれる光学部品は、発光素子32b(発光ユニット32)と光ファイバ20とを光学的に接続する光学系の一例である。
【0096】
コリメートレンズ33aは、光をZ方向(速軸方向)にコリメートし、コリメートレンズ33bは、光をX2方向(遅軸方向)にコリメートする。コリメートレンズ33aは、例えば、サブマウント32aに取り付けられ、発光ユニット32と一体化されている。コリメートレンズ33bは、対応する発光ユニット32が実装されている段差面31c上に載置されている。
【0097】
ミラー33cは、コリメートレンズ33bからの光をコンバイナ33eに向かわせる。ミラー33cは、対応する発光ユニット32およびコリメートレンズ33bが実装されている段差面31c上に載置されている。すなわち、発光ユニット32、当該発光ユニット32が有する発光素子32bからの光が通るコリメートレンズ33b、および当該コリメートレンズ33bからの光を反射するミラー33cは、同一の段差面31c上に実装されている。すなわち、アレイA1,A2毎に、Y方向に並ぶ発光ユニット32、コリメートレンズ33b、およびミラー33cは、同一の段差面31c上に実装されている。なお、段差面31cのZ方向の位置およびミラー33cのZ方向のサイズは、他のミラー33cからの光と干渉しないように設定されている。また、以下では、段差面31c上に実装されている発光ユニット32、コリメートレンズ33b、およびミラー33cは、単に実装部品と称することがある。また、発光ユニット32、コリメートレンズ33b、およびミラー33cは、同一の段差面(平面)上に実装されなくてもよい。
【0098】
コンバイナ33eは、二つのアレイA1,A2からの光を合成して集光レンズ33fに向けて出力する。アレイA1からの光は、ミラー33dおよび1/2波長板33e1を介してコンバイナ33eに入力され、アレイA2からの光は、コンバイナ33eに直接入力される。1/2波長板33e1は、アレイA1からの光の偏波面を回転させる。コンバイナ33eは、偏波合成素子とも称されうる。
【0099】
集光レンズ33fは、光をZ方向(速軸方向)に集光する。集光レンズ33gは、集光レンズ33fからの光をY方向(遅軸方向)に集光し、光ファイバ20の端部に光学的に結合する。なお、集光レンズ33gは、支持部材10に設けられてもよいし、ベース31上に設けられてもよい。また、集光レンズ33fは、支持部材10上に設けられてもよい。
【0100】
上記第1実施形態の効果は、本実施形態の発光装置30Aにおいても得られる。
【0101】
[第3実施形態]
図17は、第3実施形態の発光装置30Bの平面図である。発光装置30Bは、光学装置の一例であって、半導体レーザモジュールとも称されうる。本実施形態では、段差面31cが、X方向およびY方向に延びるとともに、Z方向にずれており、階段状に形成されている。ミラー33cからの光は、集光レンズ33f、ローパスフィルタ33h、および集光レンズ33gを経由して、支持部材10に支持された光ファイバ20の芯線21の先端20a1(
図17には不図示)に結合される。本実施形態でも、ベース31のZ方向の厚さは、X方向に向かうにつれて、厚くなっている。上記第1実施形態の効果は、本実施形態の発光装置30Bにおいても得られる。
【0102】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、光ファイバの支持構造および半導体レーザモジュールに利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
10,10A~10I…支持部材(支持構造)
11,11H,11I…ベース(第一部材)
11a…面
11b…面
11b1,11b2,11b3…面
11c…突起
11c1…傾斜面
11d…反射部
11e…凹溝
11e1,11e2…面
11f…突出部(第一被覆部、第二被覆部)
11g…凹部
12…カバー
12a,12b…面
13…エンドキャップ(緩和部材)
13a…円柱部
13a1…端面
13b…突出部
14,14B~14I…ホルダ(第二部材)
14a…切欠(開口)
14b…側壁
14b1…内面
14b2…底面
14c…頂壁
14c1…内面
14d…貫通穴(開口)
14e…傾斜面
14f…端壁(第一被覆部、第二被覆部)
14f1…開口
14g…突出部(第一被覆部、第二被覆部)
14h…フック
15…処理材
16…固定具
17…接着剤
18…スナップフィット機構
20…光ファイバ
20a…剥離端部
20a1…先端
21…芯線
21a…コア
21b…クラッド
22…被覆
30A,30B…発光装置(光学装置)
31…ベース
31c…段差面
32…発光ユニット
32a…サブマウント
32b…発光素子
33…光合成部
33a…コリメートレンズ
33b…コリメートレンズ
33c…ミラー
33d…ミラー
33e…コンバイナ
33e1…1/2波長板
33f…集光レンズ
33g…集光レンズ
33h…ローパスフィルタ
40…光処理機構
A1,A2…アレイ
Ax…光軸
D…直径
g…隙間
L…レーザ光
Lt…長さ
S…収容室
t…厚さ
X…方向
Y…方向
Z…方向