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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】イオン交換樹脂再生装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 49/09 20170101AFI20230124BHJP
   B01J 39/04 20170101ALI20230124BHJP
   B01J 39/18 20170101ALI20230124BHJP
   B01J 41/04 20170101ALI20230124BHJP
   B01J 41/12 20170101ALI20230124BHJP
   B01J 47/04 20060101ALI20230124BHJP
   B01J 49/60 20170101ALI20230124BHJP
   C02F 1/42 20230101ALI20230124BHJP
   B01J 49/53 20170101ALI20230124BHJP
【FI】
B01J49/09
B01J39/04
B01J39/18
B01J41/04
B01J41/12
B01J47/04
B01J49/60
C02F1/42 A
B01J49/53
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018211528
(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公開番号】P2020075226
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】安達 恒康
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-099244(JP,A)
【文献】特開平09-085106(JP,A)
【文献】特開平04-298245(JP,A)
【文献】特開昭58-159889(JP,A)
【文献】特開2002-361245(JP,A)
【文献】特開昭48-028378(JP,A)
【文献】特開昭51-142159(JP,A)
【文献】特開2018-126687(JP,A)
【文献】特開2019-181363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 49/00 - 49/90
B01J 39/00 - 39/26
B01J 41/00 - 41/20
C02F 1/42
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
復水脱塩塔と、カチオン交換樹脂再生塔と、アニオン交換樹脂再生塔と、樹脂貯槽とが配管により樹脂移送可能に接続された復水脱塩用イオン交換樹脂再生装置において、
前記カチオン交換樹脂再生塔の上下方向途中に設けられたアニオン交換樹脂排出口と前記アニオン交換樹脂再生塔とを接続する樹脂移送配管に、再生剤供給用の薬注部が接続されていることを特徴とするイオン交換樹脂再生装置。
【請求項2】
前記薬注部は、上下方向に設けられ、前記再生剤が下方に向って流れる薬注配管と、該薬注配管に設けられた薬注弁とを有することを特徴とする請求項1に記載のイオン交換樹脂再生装置。
【請求項3】
前記アニオン交換樹脂排出口よりも上方の位置に管状排水口が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン交換樹脂再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復水脱塩装置のイオン交換樹脂再生装置に係り、特に火力発電所、原子力発電所等における復水脱塩装置用のイオン交換樹脂再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、復水脱塩は、イオン交換樹脂再生のためにカチオン交換樹脂再生塔、アニオン交換樹脂再生塔および樹脂貯槽が設置されており、薬液再生は硫酸および苛性ソーダで行なわれる(例えば特許文献1,2)。
【0003】
特許文献1に記載のイオン交換再生装置及び再生方法について図5及び図6(a)~(c)を参照して説明する。この再生装置は、復水脱塩塔1、カチオン交換樹脂再生塔3、アニオン交換樹脂再生塔5、樹脂貯槽8及びこれらを接続して樹脂移送を可能にする配管2,4,6,7,9を有する塔外再生方式を用いた復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂再生装置である。復水脱塩塔1には、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とが混合状態で充填されている。
【0004】
通常運転時には、配管2,4,6,7,9は、各配管に設けられた弁(図示略)が閉とされることにより通液停止している。配管1a、1bのみを介して復水脱塩塔1に復水を通水することにより、脱塩処理を行う。この再生装置によるイオン交換樹脂再生は次の樹脂抜き・分離工程、逆洗再生工程及び樹脂混合・返送工程によって行われる。
【0005】
<樹脂抜き・分離工程>
(i) 配管1a、1bの通液を停止し、復水脱塩塔1を主系統から切り離す。
(ii) 復水脱塩塔1内のイオン交換樹脂を、配管2を通じてカチオン交換樹脂再生塔3に移送する。(図6(a))
(iii) 図6(b)の通り、カチオン交換樹脂再生塔3に逆洗水を上向流にて通水することにより、混合状態のイオン交換樹脂を比重差でアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の上下2層に分離する。
(iv) 図6(c)の通り、配管4を通じてアニオン交換樹脂を選択的に引き抜き、アニオン交換樹脂再生塔5に移送する。
【0006】
なお、特許文献2には、その後、さらに図6(d)~(f)の通り、再度樹脂分離及び移送を行うことが行うことが記載されている。即ち、アニオン交換樹脂がアニオン交換樹脂排出口4aのレベルまで排出・移送されると、図6(c)の通り、アニオン交換樹脂排出口4aとカチオン交換樹脂層上面との間には、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混在層が残存する。
【0007】
そこで、逆洗水をLVを速めて上向流通水する逆洗を行い、混在層とカチオン交換樹脂層との界面を押し上げると共に混在層においてさらなる樹脂分離を促進し(図6(d))、この界面がアニオン交換樹脂排出口4a付近まで下がるように逆洗水上向流速を調整し(図6(e))、次いで、混在層を構成するアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の混合樹脂を、アニオン交換樹脂排出口4a、配管4及び配管7Aを介して樹脂貯槽8に移送する(図6(f))。これにより、カチオン交換樹脂再生塔3内のカチオン交換樹脂中のアニオン交換樹脂の残留量が著しく少なくなる。
【0008】
<逆洗再生工程>
(v) カチオン交換樹脂再生塔3内でイオン交換樹脂を水に浸漬した状態で下部より空気を吹き込み(エアスクラビング)、樹脂に付着した腐食生成物(クラッド等)を脱離する。
(vi) カチオン交換樹脂はカチオン交換樹脂再生塔3、アニオン交換樹脂はアニオン交換樹脂再生塔5において、それぞれ酸、アルカリを注入して薬液再生を行う。
【0009】
<樹脂混合・返送工程>
(vii) 薬液再生が終了した後、再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を、それぞれ配管6と配管7を通じて樹脂貯槽8に移送する。
(viii) 樹脂貯槽8において洗浄および混合操作を行う。
(ix) 樹脂貯槽8内のイオン交換樹脂を混合状態のまま配管9を通じて復水脱塩塔1に返送する。
(x) 配管9を通液停止し、復水脱塩塔1を予備塔として待機状態とする。
【0010】
これにより、再生が終了するので、配管1a、1bを介して復水通水を再開し、脱塩処理運転に戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開昭55-051445号公報
【文献】特開2018-126687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のカチオン交換樹脂再生塔にあっては、図示は省略するが、アニオン交換樹脂排出口4aの下方に、排水配管および薬注配管が配置されていた。排水配管はウェッジワイヤなどで樹脂は流出せず水および微小鉄クラッドのみが排出される直管である。薬注配管は放射状配管に下方を向いた小穴が設けられたもので、樹脂排出口4aの下方に設置される。
【0013】
しかしながら、これら配管が設置されている箇所は、混合樹脂の逆洗分離における樹脂分離境界面近傍であるため、逆洗流が薬注配管に当たり乱流が生じ、樹脂分離境界面を乱すことでアニオン交換樹脂層へのカチオン交換樹脂の混入を促進する原因となっていた。
【0014】
本発明は、樹脂分離境界面近傍の逆洗水の流れの乱れを低減し、樹脂分離精度を向上することができるイオン交換樹脂再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のイオン交換樹脂再生装置は、復水脱塩塔と、カチオン交換樹脂再生塔と、アニオン交換樹脂再生塔と、樹脂貯槽とが配管により樹脂移送可能に接続された復水脱塩用イオン交換樹脂再生装置において、前記カチオン交換樹脂再生塔の上下方向途中に設けられたアニオン交換樹脂排出口と前記アニオン交換樹脂再生塔とを接続する樹脂移送配管に、再生剤供給用の薬注部が接続されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様では、前記薬注部は、上下方向に設けられ、前記再生剤が下方に向って流れる薬注配管と、該薬注配管に設けられた薬注弁とを有する。
【0017】
本発明の一態様では、前記アニオン交換樹脂排出口よりも上位に管状排水口が設けられている。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、アニオン交換樹脂引抜配管と薬注配管を共用する。即ち、アニオン交換樹脂引抜配管から薬液の注入を行うようにして、カチオン交換樹脂再生塔内の薬注配管を省略する。また、好ましくは、管状排水口をアニオン交換樹脂排出口より上方に配置する。これにより、樹脂排出口の下方の構造物を排除し、混合樹脂分離用の逆洗水の整流化を行う。
【0019】
また、カチオン交換樹脂再生塔内の構成が簡易となり、カチオン交換樹脂再生塔の製作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態に係るイオン交換樹脂再生装置の系統図である。
図2図1のカチオン交換樹脂再生塔の一部の断面図である。
図3図2の樹脂排出口の断面図である。
図4】(a)は放射配管の平面図、(b)はその側面図である。
図5】従来例に係るイオン交換樹脂再生装置の系統図である。
図6】カチオン交換樹脂再生塔内の樹脂分離工程の説明図である。
図7】比較例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は、実施の形態に係るイオン交換樹脂再生装置を示す系統図であり、カチオン交換樹脂再生塔は概略的な縦断面として示されている。
【0022】
カチオン交換樹脂再生塔10内の下部に下部集水板11が設置されており、該下部集水板11の上側に樹脂が貯留される。該下部集水板11には、弁V8を有した樹脂排出用の配管12が接続されている。カチオン交換樹脂再生塔10の底部管板には、後述の再生水供給用配管37が接続されている。
【0023】
カチオン交換樹脂再生塔10の頂部には、弁V4を有した樹脂導入用の配管13が接続されている。カチオン交換樹脂再生塔10内の上部に、多孔管よりなる排水部14が設置されており、該排水部14には、逆洗水排出弁V6を有した配管15が接続されている。
【0024】
カチオン交換樹脂再生塔10の上下方向途中の側面の一部に、透光性窓部(符号略)が設けられ、該窓部に対面してカチオン交換樹脂再生塔10内のカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂との境界面を検知するセンサ17が設置されている。センサ17としては、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂との色の相違に基づいて境界面を検知する光学センサ等を用いることができるが、これに限定されない。後述の通り、このセンサ17の検知信号に基づいて、再生水供給用の弁V3が制御される。
【0025】
カチオン交換樹脂再生塔10内の上下方向の途中にアニオン交換樹脂排出口20及び管状排水口18(図2)が設置されている。該アニオン交換樹脂排出口20は、分岐配管30を介して、アニオン交換樹脂排出用及び薬注用の配管31の一端側に連なっている。
【0026】
配管31の他端は、再生水弁V2、配管32,33を介して再生水の供給部に連なっている。再生水としては、電気伝導率1mS/m以下の純水などが例示される。
【0027】
配管31の途中からアニオン交換樹脂抜出配管35が分岐しており、該配管35に樹脂移送弁V7が設けられている。
【0028】
また、配管31の途中に薬注配管36が接続されており、該配管36に薬注弁V1が設けられている。配管36は配管31から上方に立ち上がっている。薬注弁V1は配管36の下部に設けられており、これにより、弁V1よりも下位側の配管36内に残留する薬液(硫酸水溶液)量を少なくしている。
アニオン交換樹脂抜出管35の分岐位置と薬注配管36の分岐位置の順序はどちらでも可能であるが、塔10に近い方をアニオン交換樹脂抜出配管35とすると、薬注配管36から薬注注入後のフラッシング時にアニオン交換樹脂抜出配管35の方に薬液が拡散するリスクがあるので、図1のように塔10に近い方を薬注配管36として当該リスクを低減することが好ましい。
【0029】
再生水供給用配管33からは、配管34,39が分岐している。配管34は、弁V3を介して前記配管37に連なっている。配管37の途中から配管38が分岐しており、該配管38に排水弁V9が設けられている。配管39は、弁V5を介して前記配管15に連なっている。
【0030】
前記アニオン交換樹脂排出口20の構成について、図2,3を参照して説明する。
【0031】
配管31の前記一端は複数本(好ましくは3~6本)の放射状の分岐配管30に分岐している。各分岐配管30の先端側は下方に向って曲がっている。各分岐配管30の先端側の下端にそれぞれアニオン交換樹脂排出口20が設けられている。排出口20は、図3に示す通り、下方に向って開放している。この排出口20は、下方ほど径が大きくなるテーパ形状のカバー24を有している。
【0032】
各排出口20の設置レベルは同一である。即ち各排出口20の下端(開口面)は同一水平面上に位置している。
【0033】
分岐配管30の下端には、外向き鍔状のフランジ21が設けられている。分岐配管30の下端開口及び該フランジ21の下側に、所定間隔をおいて、水平なバッフル22が配置されている。バッフル22はボルト23によってフランジ21に取り付けられている。分岐配管30の下部外周を囲むように、テーパ形のカバー24が設けられている。カバー24は上方に向って小径となっている。カバー24の上端は配管30に連結されている。カバー24の下部外周縁は、フランジ21の外周縁に連結されている。
【0034】
図2の通り、管状排水口18は、水平な多孔管よりなる。管状排水口18は、分岐配管30の水平な放射状部よりも下位かつアニオン交換樹脂排出口20の開口面よりも上位に配置されている。管状排水口18には、排水配管18aが連なっており、該配管18aに弁(図示略)が設けられている。
【0035】
このイオン交換樹脂再生装置は、次の樹脂抜き・分離工程、再生工程及び樹脂混合・返送工程によって運転される。
【0036】
(1) 樹脂導入
V4,V6を開とし、脱塩塔から混合樹脂をカチオン交換樹脂再生塔10に移送する。
【0037】
(2) 樹脂の逆洗分離
V4を閉、V3,V6を開とし、再生水をLV8~15m/hrで塔10内に上向流通水してカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を上下2層に分離する。
【0038】
(3) 樹脂分離境界面の高さ調整
V3の開度調整を行うと共に、V6を開とし、センサ17で検知される樹脂分離境界面の高さがバッフル型の樹脂排出口20の下端から150~30mm下方の位置になるように逆洗流量を調整する。
【0039】
(4) アニオン交換樹脂引抜き
V3の開度調整を継続した状態で、樹脂移送弁V7を開け、次に塔上部の逆洗水排出弁V6を閉める。アニオン交換樹脂抜出配管35から流出する逆洗水に随伴して、アニオン交換樹脂が引き抜かれ、アニオン交換樹脂再生塔へ移送される。この間、樹脂分離境界面は同じ高さになるようにV3を調整する。
【0040】
アニオン交換樹脂の引抜きが終了した後、逆洗水排出弁V6を開けて、樹脂移送弁V7を閉める。
【0041】
(5) 樹脂分離堺界面の高さ調整
V6を開とすると共に、V3を開度調整し、センサ17で検知される樹脂分離境界面の高さがバッフル型の樹脂排出口20の下端(開口面)から0~20mm下方の位置になるように逆洗流量を調整する。
【0042】
(6) 再度のアニオン交換樹脂引抜き
樹脂移送弁V7を開け、次に塔上部の逆洗水排出弁V6を閉める。アニオン交換樹脂抜出配管35から流出する逆洗水に随伴して、分離境界面近傍のアニオン交換樹脂(および混入したカチオン交換樹脂)がアニオン交換樹脂再生塔へ移送される(アニオン交換樹脂再生塔側の樹脂受入弁を開)。この間、樹脂分離境界面は同じ高さになるようにV3を調整する。
【0043】
アニオン交換樹脂の引抜きが完了した後、逆洗水排出弁V6を開けて樹脂移送弁V7を閉める。V3を閉めて逆洗を止める。
【0044】
(7) カチオン交換樹脂の再生
カチオン交換樹脂が沈降した後、V6閉、V1,V9を開とし、再生用硫酸を所定時間、所定SVで供給する。
【0045】
(8) 押出し再生
その後、V1閉、V2,V9を開とし、再生水で押出し再生を行う。
【0046】
(9) 水洗
その後、V2閉、V5,V9を開とし、水洗を行う。
【0047】
本発明では、アニオン交換樹脂排出口20の代わりに、図4に示すアニオン交換樹脂排出口40を設置してもよい。
【0048】
このアニオン交換樹脂排出口40は、中空のボス部41と、該ボス部41から放射方向(この実施の形態では放射8方向)に延在する水平な管状体42とを有する。管状体42には、樹脂流入口43が設けられている。なお、図4(a)はアニオン交換樹脂排出口の平面図、図4(b)は図4(a)のB-B矢視図である。管状体42よりも高位かつ配管31よりも下位に管状排水口18が略水平に設置されている。
【実施例
【0049】
[実施例1]
図1~3の構成を有するイオン交換樹脂再生装置において、カチオン交換樹脂再生塔(内径1900mm、塔高5000mm)10内の下部集水板11から高さ1600mmの位置にアニオン交換樹脂排出口20を配置した。イオン交換樹脂としては以下のものを用いた。
【0050】
カチオン交換樹脂:ダイヤイオンUBk14HK(層高約1300mm)
アニオン交換樹脂:ダイヤイオンPA312LOH(層高約500mm)
【0051】
上記カチオン交換樹脂3900Lとアニオン交換樹脂1500Lとを混合状態でカチオン交換樹脂再生塔10内に収容した。その後、上記工程(1)~(9)を下記のようにして行った。そして、カチオン交換樹脂再生塔10から分離して抜き出したアニオン交換樹脂に混入したカチオン交換樹脂の量をカチオン交換樹脂混入率(体積%)として算出して効果検証を行った。結果を再生率と共に表1に示す。
【0052】
逆洗水排出弁V6を開けて逆洗分離を行い、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を分離した後で、センサ17で樹脂分離境界面がアニオン交換樹脂排出口20下端から下方へ110mm位置になるようにV3で逆洗流量を調整した。逆洗を継続し、樹脂移送弁V7を開けてから逆洗水排出弁V6を閉じてアニオン交換樹脂移送を行った。移送中の樹脂を採取し、アニオン交換樹脂中に含まれるカチオン交換樹脂混入率を測定した。
【0053】
次に、樹脂分離境界面の位置が樹脂排出口20下端から下方へ20mmになるように逆洗LVを調節して、樹脂分離境界面近傍の樹脂移送を行った。移送を20分間行った後、逆洗を止めてカチオン交換樹脂を沈降させた。
【0054】
次いで、薬注弁V1と排水弁V9を開けて、6%硫酸をSV3(1/Hr)で45分間通水した。次いで、V1を閉じて再生水弁V2を開けて再生水をSV3(1/Hr)で60分間通水した。再生水のSVを30(1/Hr)に上げて洗浄を行った。その後、塔内に空気を供給して樹脂を混合し、均一樹脂を採取しR-H比率から再生率を求めた。
【0055】
[実施例2]
アニオン交換樹脂排出口付近の構成を図4の通りとしたこと以外は実施例1と同一の操作を行った。カチオン交換樹脂混入率及び再生率の測定結果を表1に示す。
【0056】
[比較例1]
図7の通り、図2において、管状排出口18をアニオン交換樹脂排出口20より200mm下位とした。また、管状排出口18より150mm下位に、放射状の管状薬注口(図4と同様形状)50を配置した。薬注用の配管36は、配管31ではなく、この管状薬注口50に連なる配管51に接続した。また、該配管51を、弁V10及び配管52を介して前記配管39に接続した。
【0057】
実施例1と同様に、逆洗水排出弁V6を開けて逆洗分離を行い、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を分離した後で、センサ17で検知される樹脂分離境界面が樹脂排出口20下端から110mm下方になるようにV3によって逆洗流量を調整した。逆洗を継続し、樹脂移送弁V7を開けてから逆洗水排出弁V6を閉じてアニオン交換樹脂移送を行った。移送中の樹脂を採取し、アニオン交換樹脂中に含まれるカチオン交換樹脂混入率を測定した。次に、樹脂分離境界面の位置が樹脂排出口20下端から20mm下方になるように逆洗LVを調節して、樹脂分離境界面近傍の樹脂移送を行った。移送を20分間行った後、逆洗を止めてカチオン交換樹脂を沈降させた。
【0058】
薬注弁V1と排水弁V9を開けて、6%硫酸をSV3(1/Hr)で45分間通水し、V1を閉じて再生水弁V10を開けて再生水をSV3(1/Hr)で60分間通水した。再生水のSVを30(1/Hr)に上げて洗浄を行った。その後、塔内に空気を供給して樹脂を混合し、均一樹脂を採取しR-H比率から再生率を求めた。
【0059】
[比較例2]
比較例1において、アニオン交換樹脂排出口20を図3に示した放射状アニオン交換樹脂排出口40とした。その他は比較例1と同一の操作を行った。カチオン交換樹脂混入率及び再生率の測定結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
<結果と考察>
表1において、混入率の許容値0.02vol%以下の場合は○、超過した場合は×を表示してある。同様に、再生率の合格値80%以上の場合は○、未満の場合は×を表示してある。
【0062】
実施例1、2では、樹脂混入率と再生率がともに満足のいく性能を有している。一方、比較例1、2は、再生率は満足のいく性能を示すが、樹脂混入率が許容値を超過した。この原因は、アニオン樹脂排出口の下方の内部構造の存在が逆洗水流の乱流原因となり、樹脂分離作用を阻害したためと考えられる。
【符号の説明】
【0063】
1 復水脱塩塔
3,10 カチオン交換樹脂再生塔
4 アニオン交換樹脂移送配管
4a アニオン交換樹脂排出口
5 アニオン交換樹脂再生塔
8 樹脂貯槽
17 樹脂界面検知センサ
18 管状排水口
20,40 アニオン交換樹脂排水口
22 バッフル
50 薬注口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7