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特許7215113アクリル樹脂改質剤及びアクリル樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】アクリル樹脂改質剤及びアクリル樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/00 20060101AFI20230124BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20230124BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20230124BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20230124BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
C08L33/00
C08L75/04
C08G18/42
C08G18/44
C08G18/48
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018223585
(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2020084104
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】松村 優佑
(72)【発明者】
【氏名】中村 昭文
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-006664(JP,A)
【文献】特開2019-081850(JP,A)
【文献】特開2019-081851(JP,A)
【文献】特開平11-035779(JP,A)
【文献】特開平09-286890(JP,A)
【文献】特開平07-206971(JP,A)
【文献】特開2013-209506(JP,A)
【文献】特開平08-120046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/16
C08G 18/42
C08G 18/44
C08G 18/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)を含むアクリル樹脂改質剤であって、
前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)は、
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコールとトリレンジイソシアネートとの反応物であるポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオールとトリレンジイソシアネートとの反応物であるポリウレタンポリオール、及び、ポリテトラメチレングリコールとトリレンジイソシアネートとの反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーからなる群より選ばれる1種以上のものであり、
前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)の溶解度パラメータが、9(cal/cm30.5以上であり、
前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)の数平均分子量が、500以上であるアクリル樹脂改質剤。
【請求項2】
請求項記載のアクリル樹脂改質剤と、アクリル樹脂とを含む樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル樹脂改質剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクリル樹脂は、透明性や表面硬度等に優れることから、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装、照明機器、自動車部品、ハウジング、光学部品等に用いられている。特に、自動車部品(ヘッドランプ、テールランプ、導光棒、レンズ、メーターカバー、カーナビゲーションの前面板等)に用いられる場合、視認性や配光性能を維持するため、微小な傷を防止し、透明性を維持できることが求められる。
【0003】
こうした耐擦傷性を達成できるメタクリル系樹脂組成物として、メタクリル系樹脂と、表面コーティング剤によりコーティングされたカーボンブラックと、シロキサン系化合物とを含むメタクリル系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1ご参照)。また、ポリカーボネートを含有する基材層と、特定のアクリル系共重合体と活性エネルギー線硬化性化合物とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化して形成される第一の層と、アクリル当量が100以上である樹脂を含む樹脂組成物からなる第二の層とから構成される積層体が提案されている(例えば、特許文献2ご参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-137474号公報
【文献】特開2015-013473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から知られるアクリル樹脂では、透明性と耐擦傷性とを両立することが困難な場合があった。本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、透明性と耐擦傷性とを両立したアクリル樹脂を提供可能なアクリル樹脂改質剤及び樹脂組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の樹脂組成物は、ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)を含み、前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)は、ポリオール化合物(a1)及び/又は前記ポリオール化合物(a1)とポリイソシアネート化合物(b)との反応物(a2)を含むものであり、前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)の溶解度パラメータが、9(cal/cm30.5以上であり、前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)の数平均分子量が、500以上である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂組成物によれば、得られる成形体において、透明性と耐擦傷性とを両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のアクリル樹脂改質剤は、アクリル樹脂の特性を変化させる作用を有するものであり、ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)を含む。
【0009】
前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)の溶解度パラメータは、9(cal/cm30.5以上であり、好ましくは9.1(cal/cm30.5以上、より好ましくは9.4(cal/cm30.5以上、さらに好ましくは9.9(cal/cm30.5以上であり、好ましくは13(cal/cm30.5以下、よりこのましくは11(cal/cm30.5以下、さらに好ましくは10.5(cal/cm30.5以下である。前記アクリル樹脂改質剤の溶解度パラメータが前記範囲にあると、透明性を維持しつつ耐擦傷性を高めることが容易となる。
【0010】
前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)の溶解度パラメータは、Fedorsの方法(Polymer Engineering and Science,1974,vol.14,No.2)に基づいて求めることができる。具体的には、原料として用いた各化合物由来の単位の溶解度パラメータを算出し、各化合物由来の単位の質量基準の比率に基づき、加重平均値として求めることができる。
【0011】
前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)は、ポリオール化合物(a1)及び/又は前記ポリオール化合物(a1)とポリイソシアネート化合物(b)との反応物(a2)を含む。
【0012】
前記ポリオール化合物(a1)としては、1種又は2種以上を用いることができ、ポリマーポリオールを含むことが好ましい。前記ポリマーポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
【0013】
前記ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシアルキレンポリオールが好ましく、必要に応じ活性水素原子を2個以上有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として用いて、アルキレンオキシド等の環状エーテルを開環重合させたもの等が挙げられる。
【0014】
前記環状エーテルの炭素原子数は、好ましくは2~10、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4である。前記環状エーテルに含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。前記環状エーテルとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、テトラヒドロフラン、アルキル化テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0015】
前記開始剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水等の活性水素原子を2個有する化合物;グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ペンタエリスリトール、糖類等の活性水素原子を3個以上有する化合物などが挙げられる。
【0016】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオール(例えば、分子量50以上300以下のポリオール)とポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるポリエステルポリオール;ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルポリオール;ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる1種以上及び/又は前記ポリエステルポリオールの製造に用いられる低分子量ポリオールを開始剤として、ラクトン化合物と反応(付加)させたもの;これらの共重合ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0017】
前記ポリエステルポリオールの製造に用いられる低分子量ポリオールとしては、分子量が50以上300以下程度のポリオールを用いることができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、トリメチルールプロパン、グリセリン等の炭素原子数2以上6以下の脂肪族ポリオール(ジオール又は3官能以上のポリオール);1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式構造含有ポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物及びそれらのアルキレンオキシド付加物等の芳香族構造含有ポリオールなどが挙げられる。
【0018】
前記ポリエステルポリオールの製造に用いられるポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;並びに前記脂肪族ポリカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸の無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0019】
前記ラクトン化合物としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、δ-バレロラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、β-メチル-ε-カプロラクトン、γ-メチル-ε-カプロラクトン、β、δ-ジメチル-ε-カプロラクトン、3,3,5-トリメチル-ε-カプロラクトン、エナントラクトン(7-ヘプタノリド)、ドデカノラクトン(12-ドデカノリド)等を用いることができる。
【0020】
前記ラクトン化合物の付加率は、前記ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる1種以上及び/又は前記低分子量ポリオールの合計100質量部に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは200質量%以下、より好ましくは100質量%以下である。
【0021】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとの反応物;ホスゲンとビスフェノールA等との反応物などが挙げられる。
【0022】
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0023】
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えば、上記低分子量ポリオールとして例示したポリオール;ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、ポリエステルポリオール(ポリヘキサメチレンアジペート等)等の高分子量ポリオール(重量平均分子量500以上5,000以下)などが挙げられる。
【0024】
前記ポリマーポリオールの官能数は、2以上であり、5以下であることが好ましい。
【0025】
前記ポリマーポリオールの数平均分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、さらに好ましくは700以上であり、好ましくは10,000以下、より好ましくは7,000以下、さらに好ましくは5,000以下である。
【0026】
前記ポリマーポリオールの数平均分子量は、水酸基価に基づいて算出することができる。前記水酸基価は、JIS K 1557-1:2007に準拠して測定することができる。
【0027】
前記ポリイソシアネート化合物(b)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式構造を有するポリイソシアネート;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0028】
前記ポリイソシアネート化合物(b)1分子あたりに含まれるイソシアネート基の数は、2以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。
【0029】
前記ポリオール化合物(a1)と前記ポリイソシアネート化合物(b)との反応物(a2)において、前記ポリイソシアネート化合物(b)に含まれるイソシアネート基と、前記ポリオール化合物(a1)に含まれる水酸基との当量比(NCO/OH)は、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上であり、好ましくは6.5以下、より好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。
【0030】
前記ポリオール化合物(a1)と前記ポリイソシアネート化合物(b)との反応物(a2)は、水酸基を有するものであってもよく、水酸基を有するものであってもよい。前記ポリオール化合物(a1)と前記ポリイソシアネート化合物(b)との反応物(a2)が水酸基を有するものである場合、該反応物(a2)の水酸基価は、好ましくは11mgKOH/g以上、より好ましくは16mgKOH/g以上、さらに好ましくは23mgKOH/g以上であり、好ましくは225mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下、さらに好ましくは112mgKOH/g以下である。前記ポリオール化合物(a1)と前記ポリイソシアネート化合物(b)との反応物(a2)が、イソシアネート基を有するものである場合、該反応物(a2)のイソシアネート基当量は、好ましくは250以上、より好ましくは750以上、さらに好ましくは1000以上であり、好ましくは5000以下、より好ましくは3500以下、さらに好ましくは2250以下である。
【0031】
前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)の数平均分子量は、500以上であり、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは1500以上、特に好ましくは2000以上であり、好ましくは10000以下、より好ましくは7000以下、さらに好ましくは5000以下である。
【0032】
本発明において、前記ポリオール化合物(a1)の数平均分子量及び前記ポリオール化合物(a1)と前記ポリイソシアネート化合物(b)との反応物(a2)であって水酸基を有するものの数平均分子量は、水酸基価に基づいて算出することができる。前記水酸基価は、JIS K 1557-1:2007に準拠して測定することができる。また、前記ポリオール化合物(a1)と前記ポリイソシアネート化合物(b)との反応物(a2)であって、イソシアネート基を有するものの数平均分子量は、イソシアネート基当量に基づいて算出することができる。
【0033】
前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)としては、前記ポリオール化合物(a1)を含むものであってもよく、前記ポリオール化合物(a1)と前記ポリイソシアネート化合物(b)との反応物(a2)を含むものであってもよく、前記ポリオール化合物(a1)と前記ポリオール化合物(a1)と前記ポリイソシアネート化合物(b)との反応物とを含むものであってもよい。
【0034】
前記ポリオール化合物及び/又はその誘導体(A)中、前記ポリオール化合物(a1)及び/又は前記ポリオール化合物(a1)とポリイソシアネート化合物(b)との反応物(a2)の含有率は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
【0035】
前記アクリル樹脂改質剤と、アクリル樹脂とを含む樹脂組成物も本発明の技術的範囲に包含される。前記樹脂組成物において、アクリル樹脂改質剤の含有率は、前記樹脂組成物の不揮発分中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。前記樹脂組成物の不揮発分は、前記樹脂組成物の溶剤以外の成分の総量を表すものとする。
【0036】
前記アクリル樹脂としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、(メタ)アクリル単量体と、必要に応じて用いる(メタ)アクリル単量体と共重合しうる単量体との重合体であることが好ましい。
【0037】
前記(メタ)アクリル単量体としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、
(メタ)アクリル酸;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸ジシクロオクチル、(メタ)アクリル酸トリシクロドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸1-フェニルエチル、(メタ)アクリル酸2-フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3-フェニルプロピル、(メタ)アクリル酸2,4,6-トリブロモフェニル等の(メタ)アクリル酸エステル;
N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-(2-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ブロモフェニル)マレイミド、N-(2-メチルフェニル)マレイミド、N-(2-エチルフェニル)マレイミド、N-(2-メトキシフェニル)マレイミド、N-(2-ニトロフェニル)マレイミド、N-(2、4、6-トリメチルフェニル)マレイミド、N-(4-ベンジルフェニル)マレイミド、N-(2、4、6-トリブロモフェニル)マレイミド、N-ナフチルマレイミド、N-アントラセニルマレイミド、3-メチル-1-フェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン、3,4-ジメチル-1-フェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン、1,3-ジフェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン、1,3,4-トリフェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-n-プロピルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-n-ブチルマレイミド、N-イソブチルマレイミド、N-s-ブチルマレイミド、N-t-ブチルマレイミド、N-n-ペンチルマレイミド、N-n-ヘキシルマレイミド、N-n-ヘプチルマレイミド、N-n-オクチルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-ステアリルマレイミド、N-シクロペンチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、1-シクロヘキシル-3-メチル-1-フェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン、1-シクロヘキシル-3,4-ジメチル-1-フェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン、1-シクロヘキシル-3-フェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン、1-シクロヘキシル-3,4-ジフェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン等のマレイミド単量体;
2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリル酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリル酸アルキル(例えば、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリル酸メチル、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリル酸エチル、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリル酸イソプロピル、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリル酸n-ブチル、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリル酸t-ブチル)、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル、等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体;
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノエチル
(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトール、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のエーテル結合含有(メタ)アクリル酸エステル;
2-アクリロイルオキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-(メタ)アクリロイルプロピルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ジカルボン酸エステル
グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)メタクリレート、アリルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-エメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメトキシ(メタ)アクリルアミド、N-エトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N-エトキシ(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、及びN,N-エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド単量体;
α-クロロアクリロニトリル、α-クロロメチルアクリロニトリル、α-トリフルオロメチルアクリロニトリル、α-メトキシアクリロニトリル、α-エトキシアクリロニトリル、及びシアノ化ビニリデン等の(メタ)アクリロニトリル単量体;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;
トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル単量体;
ポリジメチルシロキサン等のポリオルガノシロキサンの(メタ)アクリル酸エステル;
などが挙げられる。
【0038】
前記(メタ)アクリル単量体と共重合しうる単量体としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、3,4-ジメチルスチレン、3,5-ジメチルスチレン、p-エチルスチレン、m-エチルスチレン、о-エチルスチレン、ptert-ブチルスチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1,1-ジフェニルエチレン、イソプロペニルベンセン(α-メチルスチレン)、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン、α-ヒドロキシメチルスチレン、α-ヒドロキシエチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸類、及びこれらの半エステル化物又は無水物;3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルトリメトキシシラン、及び3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のオルガノシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル;(メタ)アリルアルコール等の不飽和アルコール化合物;エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン等のオレフィン化合物;酢酸ビニル、2-ヒドロキシメチル-1-ブテン、メチルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール等のその他のビニル化合物又はビニリデン化合物;
ジビニルベンゼン等の芳香族多官能単量体;
などが挙げられる。
【0039】
前記アクリル樹脂の重量平均分子量は、好ましくは50000以上、より好ましくは70000以上、さらに好ましくは90000以上であり、好ましくは300000以下、より好ましくは250000以下、さらに好ましくは200000以下である。
【0040】
前記アクリル樹脂改質剤と、前記アクリル樹脂の含有量の比率(アクリル樹脂改質剤/アクリル樹脂)は、質量基準で、好ましくは1/100以上、より好ましくは3/100以上、さらに好ましくは5/100以上であり、好ましくは30/100以下、より好ましくは20/100以下、さらに好ましくは10/100以下である。
【0041】
前記樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化性化合物を含んでいてもよい。
【0042】
前記活性エネルギー線硬化性化合物としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、前記多官能(メタ)アクリル単量体;無水コハク酸ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート付加物、無水コハク酸ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート付加物等の無水ジカルボン酸の多官能(メタ)アクリル単量体付加物;ポリエステル(メタ)アクリレート化合物;ジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)のイソシアヌレート体とポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等)、とヒドロキシエチルアクリレートの反応物等の多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物;ポリエステル化合物への多官能(メタ)アクリル単量体付加物;ビスフェノールAの(メタ)アクリル酸付加物等のビスフェノール化合物の(メタ)アクリル酸付加物;トリエトキシイソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、トリエトキシイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌル酸の(メタ)アクリル酸付加物;これらのアルキレンオキサイド変性物;これらのポリカプロラクトン変性物;などが挙げられる。
【0043】
前記活性エネルギー線硬化性化合物と、前記アクリル樹脂の含有量の比率(活性エネルギー線硬化性化合物/アクリル樹脂)は、質量基準で、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは1以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、さらにこのましくは8以下である。
【0044】
前記樹脂組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。前記重合開始剤としては、α-ヒドロキシアセトフェノン(α-ヒドロキシフェニルケトン)系、α-アミノアセトフェノン系、ベンジルケタール系などのアルキルフェノン型化合物;アシルホスフィンオキシド型化合物;オキシムエステル化合物;オキシフェニル酢酸エステル;ベンゾインエ-テル類;芳香族ケトン;ケトン/アミン化合物;ベンゾイルギ酸およびそのエステル誘導体等が挙げられ、具体的には、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、ミヒラーズケトン、N,N-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンゾイルギ酸、ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2-クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のベンゾフェノン類;ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸、ベンゾイルギ酸エチル、O-アセチル-1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンオキシム、2-((ベンゾイルオキシ)イミノ)-1-(4-(フェニルチオ)フェニル)オクタン-1-オン等が好ましい。
【0045】
前記重合開始剤の含有量は、前記活性エネルギー線硬化性化合物100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下である。
【0046】
前記樹脂組成物は、さらに、無機粒子;酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤;紫外線吸収剤;離型剤;他の熱可塑性樹脂;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルパラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤;難燃剤;帯電防止剤;有機繊維、酸化鉄等の顔料等の無機充填剤;ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;着色剤;亜リン酸エステル類、ホスホナイト類、リン酸エステル類等の有機リン化合物;レベリング剤;界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0047】
前記添加剤の含有率は、前記樹脂組成物中、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であり、0質量%であってもよい。
【0048】
前記樹脂組成物は、透明性を維持したまま、得られる成形体の耐擦傷性を向上することが可能であり、その用途としては、例えば、家庭用品(衛生陶器代替等)、OA機器、AV機器、電池電装(太陽電池用透明基板等)、照明機器、自動車部品(ヘッドランプ、テールランプ、導光棒、レンズ、メーターカバー、カーナビゲーションの前面板等)、ハウジング、光学部品(液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等の表示装置に用いられる導光板、拡散板、偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板、視野角制御フィルム、液晶光学補償フィルム等の位相差フィルム、ディスプレイ前面板、ディスプレイ基盤、レンズ、タッチパネル、光通信システム、光交換システム、光計測システム、ヘッドマウントディスプレイ、液晶プロジェクタ、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバー等)に好適に用いることができる。
【実施例
【0049】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0050】
〔合成例1〕ポリエステルポリオールAの合成
反応装置に、3-メチル-1,5-ペンタンジオールを430.9質量部と、セバシン酸を629.4質量部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇した後、TiPTを0.03質量部仕込み、220℃で24時間縮合反応させポリエステルポリオールを合成した。
得られたポリエステルポリオールの水酸基価は24.6、数平均分子量は4,560であった。
【0051】
〔合成例2〕ポリエステルポリオールBの合成
反応装置に、1,4-ブタンジオールを486.2質量部と、アジピン酸を710.8質量部仕込み、昇温と撹拌を開始した。
次いで、内温を220℃に上昇した後、TiPTを0.03質量部仕込み、220℃で24時間縮合反応させポリエステルポリオールを合成した。
得られたポリエステルポリオールの水酸基価は56.1、数平均分子量は2,000であった。
【0052】
〔合成例3〕ポリウレタンポリオールAの合成
反応装置に、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学株式会社製、『PTMG-1000』)を1000.0質量部加えて、トリレンジイソシアネート(三井化学株式会社製、『コスモネート(登録商標)T-80』)79.4質量部を仕込んだ。次いで、外温80℃に昇温した後、10時間反応を継続させ、ポリオールを合成した。
得られたポリオールの水酸基価は55.1、数平均分子量は2,040であった。
【0053】
〔合成例4〕ポリウレタンポリオールBの合成
反応装置に、ポリカーボネートジオール(三菱化学株式会社製、『ETERNACOLL(商標)UH-100』)を1000.0質量部加えて、トリレンジイソシアネート(三井化学株式会社製、『コスモネート(登録商標)T-80』)79.4質量部を仕込んだ。次いで、外温80℃に昇温した後、10時間反応を継続させ、ポリオールを合成した。
得られたポリオールの水酸基価は55.3、数平均分子量は2,030であった。
【0054】
〔合成例5〕ポリウレタンポリオールCの合成
反応装置に、ポリプロピレングリコール(AGC株式会社製、『EXCENOL(商標)1020』)を1000.0質量部加えて、トリレンジイソシアネート(三井化学株式会社製、『コスモネート(登録商標)T-80』)78.5質量部を仕込んだ。次いで、外温80℃に昇温した後、10時間反応を継続させ、ポリオールを合成した。
得られたポリオールの水酸基価は55.0、数平均分子量は2,042であった。
【0055】
〔合成例6〕ポリウレタンポリオールDの合成
反応装置に、ポリエステルポリオール(DIC株式会社製、『クリスボン(商標)CMA-24』)を1000.0質量部加えて、トリレンジイソシアネート(三井化学株式会社製、『コスモネート(登録商標)T-80』)81.4質量部を仕込んだ。次いで、外温80℃に昇温した後、10時間反応を継続させ、ポリオールを合成した。
得られたポリオールの水酸基価は56.3、数平均分子量は1,992であった。
【0056】
〔合成例7〕ウレタンプレポリマーAの合成
反応装置に、トリレンジイソシアネート(三井化学株式会社製、『コスモネート(登録商標)T-80』)284.3質量部加えて、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学株式会社製、『PTMG-1000』)1000.0質量部を分割しながら仕込んだ。次いで、外温80℃に昇温した後、10時間反応を継続させ、ポリオールを合成した。
得られたウレタンプレポリマーのNCO当量は1,012、数平均分子量は2,024であった。
【0057】
〔実施例1〕
メタクリル酸メチル単量体100重量部に、粉末状にしたメタクリル樹脂(旭化成株式会社製、『デルペット(商標) 80N』)30重量部を撹拌しながら添加し、60℃で1時間撹拌を継続してアクリルシロップを得た。このアクリルシロップ100重量部に、2、2’アゾビスイソブチロニトリル0.15重量部およびポリエーテルポリオールA5重量部を添加溶解して脱気した後、2mm厚のシリコンゴム製スペーサーをガラス板で挟んだ注型板に流し込み、70℃で1時間重合を行った。さらに120℃で2時間熱処理を施し、ガラス板を除去して厚さ2mmのメタクリル樹脂成形物(X1)を得た。
【0058】
〔実施例2〕
ポリエーテルポリオールA5質量部の代わりに、合成例1で得られたポリエステルポリオールA5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、本発明のメタクリル樹脂成形物(X2)を得た。
【0059】
〔実施例3〕
ポリエーテルポリオールA5質量部の代わりに、合成例2で得られたポリエステルポリオールB5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、本発明のメタクリル樹脂成形物(X3)を得た。
【0060】
〔実施例4〕
ポリエーテルポリオールA5質量部の代わりに、合成例3で得られたポリウレタンポリオールA5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、本発明のメタクリル樹脂成形物(X4)を得た。
【0061】
〔実施例5、6〕
ポリウレタンポリオールAを、1、3質量部用いること以外は、実施例4と同様にして、本発明のメタクリル樹脂成形物(X5、6)を得た。
【0062】
〔実施例7〕
ポリエーテルポリオールA5質量部の代わりに、合成例4で得られたポリウレタンポリオールB5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、本発明のメタクリル樹脂成形物(X7)を得た。
【0063】
〔実施例8〕
ポリエーテルポリオールA5質量部の代わりに、合成例5で得られたポリウレタンポリオールC5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、本発明のメタクリル樹脂成形物(X8)を得た。
【0064】
〔実施例9〕
ポリエーテルポリオールA5質量部の代わりに、合成例6で得られたポリウレタンポリオールD5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、本発明のメタクリル樹脂成形物(X9)を得た。
【0065】
〔実施例10〕
ポリエーテルポリオールA5質量部の代わりに、合成例7で得られたポリウレタンプレポリマーA5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、本発明のメタクリル樹脂成形物(X10)を得た。
【0066】
〔比較例1〕
メタクリル酸メチル単量体100重量部に、粉末状にしたメタクリル樹脂(旭化成株式会社製、『デルペット(商標) 80N』)30重量部を撹拌しながら添加し、60℃で1時間撹拌を継続してアクリルシロップを得た。このアクリルシロップ100重量部に、2、2’アゾビスイソブチロニトリル0.15重量部を添加溶解して脱気した後、2mm厚のシリコンゴム製スペーサーをガラス板で挟んだ注型板に流し込み、70℃で1時間重合を行った。さらに120℃で2時間熱処理を施し、ガラス板を除去して厚さ2mmのメタクリル樹脂成形物(Y1)を得た。
【0067】
〔比較例2〕
ポリエーテルポリオールA5質量部の代わりに、シリコーンポリオールA5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、本発明のメタクリル樹脂成形物(Y2)を得た。
【0068】
〔比較例3〕
ポリエーテルポリオールA5質量部の代わりに、水添ブタジエンポリオールA5質量部を用いること以外は、実施例1と同様にして、本発明のメタクリル樹脂成形物(Y3)を得た。
【0069】
<耐擦傷性評価>
耐擦傷試験は以下の方法で実施した。注型板によって成形された平板状評価用試料を用いて、平面磨耗試験機(インデック株式会社製 AR-2S)の摩擦子に6号綿帆布を取り付け、荷重1kgf、試験距離140mm、試験速度60往復/minの条件で1000回往復させた。耐擦傷性試験後の試料表面を蛍光灯の光の入射角をいろいろと変えて当てながら目視観察にて観察し、次の評価基準で評価した。
◎・・・傷跡がない、もしくは試料を傾けて観察するとわずかに摩耗痕が観察できる。
○・・・試料を傾けて観察すると少数の摩耗痕が観察できる。
×・・・試料を傾けずとも明瞭に摩耗痕が認められる。
【0070】
<全光線透過率>
JIS K 7361に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH5000(商品名)」を用いて測定し、次の評価基準で評価した。
〇・・・全光透過率90%以上
×・・・全光透過率90%未満
【0071】
<タック>
注型板によって成形された平板状試料の表面を常温にて指で触り、次の評価基準に従いタックの有無を判定した。
○・・・タックなし
×・・・粘着性、ぬめりがある
【0072】
【表1】
【0073】
実施例1~10は、本発明の実施例であり、耐擦傷性及び全光線透過率を両立できた。比較例1は、改質剤を含まない例であり、耐擦傷性に劣るものであった。比較例2、3は、改質剤の溶解度パラメータが9(cal/cm30.5未満の例であり、透明性及びタック性に劣るものであった。