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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】光変調器及びそれを用いた光送信装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/03 20060101AFI20230124BHJP
   G02F 1/035 20060101ALI20230124BHJP
   H04B 10/516 20130101ALI20230124BHJP
   H01P 3/00 20060101ALI20230124BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20230124BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
G02F1/03 505
G02F1/035
H04B10/516
H01P3/00 101
H05K1/11 C
H05K1/02 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019044149
(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2020148833
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徳一
(72)【発明者】
【氏名】菅又 徹
【審査官】井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098070(JP,A)
【文献】特開2001-077240(JP,A)
【文献】特開2009-218359(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0179653(US,A1)
【文献】特開2018-017761(JP,A)
【文献】特開2004-064459(JP,A)
【文献】特開2018-106091(JP,A)
【文献】特開2009-158892(JP,A)
【文献】特開2003-233043(JP,A)
【文献】特開2018-054929(JP,A)
【文献】特開2016-191871(JP,A)
【文献】特開2012-114365(JP,A)
【文献】特開2004-289590(JP,A)
【文献】特開2010-062516(JP,A)
【文献】特開2016-181737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
H04B 10/00 -10/90
H04J 14/00 -14/08
H05K 1/00 - 1/02
H05K 1/11
H05K 3/40 - 3/42
H05K 3/46
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号電極を備える光変調素子と、
前記光変調素子を収容する筺体と、
前記信号電極のそれぞれに印加する電気信号を入力する複数の信号入力端子と、
前記信号入力端子のそれぞれと前記信号電極のそれぞれとを電気的に接続する複数の信号導体パターンと、複数のグランド導体パターンとが形成された中継基板と、
を備える光変調器であって、
前記中継基板は、前記筺体の内部に収容され、前記信号入力端子からの電気信号が前記信号導体パターンに入力される側の辺を一辺とする入力側側面の平面部に、前記中継基板の上面に形成された少なくとも一つの前記グランド導体パターンから延在して、前記中継基板の裏面に形成された前記グランド導体パターンと接続する少なくとも一つの入力側面グランド導体パターンが形成されており、
前記中継基板は、台座部と突起部とを有する構造物の前記台座部に固定され、
前記中継基板の前記入力側側面は、グランド電位に接続される前記構造物の前記突起部と当接して、当該入力側側面に設けられた入力側面グランド導体パターンが前記構造物と電気的に接続される、
光変調器。
【請求項2】
前記入力側側面には、前記信号導体パターンが形成された前記中継基板のオモテ面に対向するウラ面から延在する入力グランド用凹部が形成されており、前記入力側面グランド導体パターンの少なくとも一部は、前記入力グランド用凹部の内部に設けられている、
請求項1に記載の光変調器。
【請求項3】
前記入力グランド用凹部は前記オモテ面及びウラ面の双方まで延在し、前記入力グランド用凹部の内部に前記入力側面グランド導体パターンが形成されている、請求項2に記載の光変調器。
【請求項4】
前記入力側側面には、さらに、少なくとも一つの前記信号導体パターンから延在する少なくとも一つの側面信号導体パターンが形成されている、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項5】
前記入力側側面には、前記信号導体パターンが形成された面から延在する信号用凹部が形成されており、前記側面信号導体パターンの少なくも一部は、前記信号用凹部の内部に形成されている、
請求項4に記載の光変調器。
【請求項6】
前記中継基板は、前記信号導体パターンから前記信号電極へ電気信号が出力される側の辺を一辺とする出力側側面に、少なくとも一つの前記グランド導体パターンから延在する少なくとも一つの出力側面グランド導体パターンが形成されている、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項7】
前記出力側側面には、前記中継基板のウラ面から延在する出力グランド用凹部が形成されており、前記出力側面グランド導体パターンの少なくとも一部は、前記出力グランド用凹部の内部に設けられている、
請求項6に記載の光変調器。
【請求項8】
前記信号入力端子と前記信号導体パターンとは、ハンダ、ロウ材、又は導電性接着剤により電気的に接続され、前記信号導体パターンと前記信号電極とは、導体ワイヤ又は導体リボンを介して電気的に接続される、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項9】
前記光変調素子及び前記中継基板を収容する筺体を備え、
前記構造物は前記筺体を介してグランド電位に接続される、
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の光変調器と、
当該光変調器に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路と、
を備える、
光送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号入力端子と光変調素子電極との間の電気信号の伝搬を中継する中継基板を備える光変調器及び当該光変調器を用いた光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速/大容量光ファイバ通信システムにおいては、導波路型の光変調素子を組み込んだ光変調器が多く用いられている。中でも、電気光学効果を有するLiNbO(以下、LNともいう)を基板に用いた光変調素子は、光の損失が少なく且つ広帯域な光変調特性を実現し得ることから、高速/大容量光ファイバ通信システムに広く用いられている。
【0003】
このLN基板を用いた光変調素子では、マッハツェンダ型光導波路と、当該光導波路に変調信号である高周波信号を印加するための信号電極が設けられている。そして、光変調素子に設けられたこれらの信号電極は、当該光変調素子を収容する光変調器の筺体内に設けられた中継基板を介して、当該筺体に設けられた信号入力端子であるリードピンやコネクタと接続される。これにより、信号入力端子である上記リードピンやコネクタが、光変調器に変調動作を行わせるための電子回路が搭載された回路基板に接続されることで、当該電子回路から出力された電気信号が、上記中継基板を介して上記光変調素子の信号電極に印加される。
【0004】
光ファイバ通信システムにおける変調方式は、近年の伝送容量の増大化の流れを受け、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)やDP-QPSK(Dual Polarization - Quadrature Phase Shift Keying)等、多値変調や、多値変調に偏波多重を取り入れた伝送フォーマットが主流となっており、基幹光伝送ネットワークにおいて用いられるほか、メトロネットワークにも導入されつつある。
【0005】
QPSK変調を行う光変調器(QPSK光変調器)やDP-QPSK変調を行う光変調器(DP-QPSK光変調器)は、所謂ネスト型と呼ばれる入れ子構造になった複数のマハツェンダ型光導波路を備え、そのそれぞれが少なくとも一つの信号電極を備える。したがって、これらの光変調器は、複数の信号電極を備えるものとなり、これらの信号電極に与えられる高周波電気信号が協働して上記DP-QPSK変調動作を行う。
【0006】
そして、このような複数の信号電極にそれぞれ与えられる高周波電気信号が協働する光変調器においては、すべての高周波電気信号が雑音等の影響を受けることなく光変調器の信号電極に入力されることが必要となることから、上記中継基板における高周波電気信号の漏洩や反射を効果的に低減することが必須となる。特に、光変調器への小型化の要請から中継基板のサイズが更に小型化されれば、複数の異なる高周波電気信号が狭い中継基板上を集中して伝搬されることとなり、当該中継基板におけるそれぞれの高周波電気信号の漏洩や放射は、互いに干渉してノイズとして作用しやすい状況となり得る。
【0007】
従来、上記のような中継基板における高周波の反射、放射、及び又は漏洩を抑制するため、中継基板の導体パターンと上記リードピンとの接続部におけるインピーダンスを、導体パターン及びリードピンのそれぞれが構成する高周波伝送路のインピーダンスに対してより高精度に整合させること等が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
しかしながら、光変調器の小型化の要請に加えて、伝送容量の増大化への要求は不変であり、DP-QPSK変調等に対して求められる変調速度の高速化が進展すれば、上記中継基板で発生する高周波信号の反射や放射等をより抑制することが求められることとなる。例えば、現在使用されているDP-QPSK変調器は100Gb/sの伝送レートで動作するが、この伝送レートを400Gb/s以上へ拡大した場合には、上記中継基板で発生する高周波電気信号の反射や放射等が光変調動作に与える影響を更に抑制すべく、上記従来の光変調器の構成に加えて又はこれに代えて、新たな構成上の対策が必要となる。
【0009】
更に、上記中継基板の筺体への固定時に用いる半田やロウ材が不定形状態で中継基板側面に固着することで中継基板でのインピーダンスのバラつきを生じ、これにより電気信号の安定した伝搬が阻害される。このような問題は伝送レートの高周波化に伴って大きくなっている(無視できなくなってきている)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2018-106091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記背景より、光変調素子の信号電極のそれぞれと信号入力端子のそれぞれとを電気的に接続する中継基板を備えた光変調器において、中継基板またはその周囲で発生する電気信号の反射、放射、漏洩等の影響を更に低減して、伝送レートが400Gb/sを超えて高くなった場合にも良好な光変調特性の実現できるようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一の態様は、複数の信号電極を備える光変調素子と、前記光変調素子を収容する筺体と、前記信号電極のそれぞれに印加する電気信号を入力する複数の信号入力端子と、前記信号入力端子のそれぞれと前記信号電極のそれぞれとを電気的に接続する複数の信号導体パターンと、複数のグランド導体パターンとが形成された中継基板と、を備える光変調器であって、前記中継基板は、前記筺体の内部に収容され、前記信号入力端子からの電気信号が前記信号導体パターンに入力される側の辺を一辺とする入力側側面の平面部に、前記中継基板の上面に形成された少なくとも一つの前記グランド導体パターンから延在して、前記中継基板の裏面に形成された前記グランド導体パターンと接続する少なくとも一つの入力側面グランド導体パターンが形成されており、前記中継基板は、台座部と突起部とを有する構造物の前記台座部に固定され、前記中継基板の前記入力側側面は、グランド電位に接続される前記構造物の前記突起部と当接して、当該入力側側面に設けられた入力側面グランド導体パターンが前記構造物と電気的に接続される。
本発明の他の態様によると、前記入力側側面には、前記信号導体パターンが形成された前記中継基板のオモテ面に対向するウラ面から延在する入力グランド用凹部が形成されており、前記入力側面グランド導体パターンの少なくとも一部は、前記入力グランド用凹部の内部に設けられている。
本発明の他の態様によると、前記入力グランド用凹部は前記オモテ面及びウラ面の双方まで延在し、前記入力グランド用凹部の内部に前記入力側面グランド導体パターンが形成されている。
本発明の他の態様によると、前記入力側側面には、さらに、少なくとも一つの前記信号導体パターンから延在する少なくとも一つの側面信号導体パターンが形成されている。
本発明の他の態様によると、前記入力側側面には、前記信号導体パターンが形成された面から延在する信号用凹部が形成されており、前記側面信号導体パターンの少なくも一部は、前記信号用凹部の内部に形成されている。
本発明の他の態様によると、前記中継基板は、前記信号導体パターンから前記信号電極へ電気信号が出力される側の辺を一辺とする出力側側面に、少なくとも一つの前記グランド導体パターンから延在する少なくとも一つの出力側面グランド導体パターンが形成されている。
本発明の他の態様によると、前記出力側側面には、前記中継基板のウラ面から延在する出力グランド用凹部が形成されており、前記出力側面グランド導体パターンの少なくとも一部は、前記出力グランド用凹部の内部に設けられている。
本発明の他の態様によると、前記信号入力端子と前記信号導体パターンとは、ハンダ、ロウ材、又は導電性接着剤により電気的に接続され、前記信号導体パターンと前記信号電極とは、導体ワイヤ又は導体リボンを介して電気的に接続される。
本発明の他の態様によると、前記光変調素子及び前記中継基板を収容する筺体を備え、前記構造物は前記筺体を介してグランド電位に接続される。
本発明の他の態様は、上述したいずれかの光変調器と、当該光変調器に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路と、を備える光送信装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、中継基板を備えた光変調器において、中継基板またはその周囲で発生する電気信号の反射、放射、漏洩等の影響を更に低減して、伝送レートが400Gb/sを超えて高くなった場合にも良好な光変調特性を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光変調器の平面図である。
図2図1に示す光変調器の側面図である。
図3図1に示す光変調器のA部詳細図である。
図4図1に示す光変調器に用いられる中継基板のオモテ面を、信号入力端子が配される側から見た斜視図である。
図5図1に示す光変調器に用いられる中継基板のウラ面を、信号入力端子が配される側から見た斜視図である。
図6図1に示す光変調器に用いられる中継基板のオモテ面を、光変調素子が配される側から見た斜視図である。
図7】第1の実施形態に係る光変調器に用いられる中継基板の第1の変形例を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る光変調器に用いられる中継基板の第2の変形例を示す図である。
図9】第1の実施形態に係る光変調器に用いられる中継基板の第3の変形例を示す図である。
図10図9に示す中継基板のB部詳細図である。
図11】第1の実施形態に係る光変調器に用いられる第4の変形例に係る中継基板のオモテ面を、信号入力端子が配される側から見た斜視図である。
図12】第1の実施形態に係る光変調器に用いられる第4の変形例に係る中継基板のオモテ面を、光変調素子が配される側から見た斜視図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る光変調器の平面図である。
図14図13に示す光変調器のCC断面矢視図である。
図15図13に示す光変調器に用いられるサポートの構成、及びサポートに固定される中継基板と当該サポートとの位置関係を示す図である。
図16図13に示す光変調器に用いられるサポートの変形例を示す図である。
図17】本発明の第3の実施形態に係る光送信装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1および図2は、本発明の第1の実施形態に係る光変調器の構成を示す図である。ここで、図1図2は、それぞれ本光変調器100の平面図および側面図である。
【0016】
本光変調器100は、光変調素子102と、光変調素子102を収容する筺体104と、光変調素子102に光を入射するための入力光ファイバ108と、光変調素子102から出力される光を筺体104の外部へ導く出力光ファイバ110と、を備える。
【0017】
光変調素子102は、例えばLN基板上に設けられた4つのマッハツェンダ型光導波路を備える。4つのマッハツェンダ型光導波路には、当該マッハツェンダ型光導波路を伝搬する光波をそれぞれ変調する4つの信号電極112a、112b、112c、112dが設けられている。従来技術として知られているように、光変調素子102のLN基板の表面には、さらに、上記4つの信号電極112a、112b、112c、112dのそれぞれに、例えばコプレーナ線路(CPW、Coplanar Waveguide)を構成するようにグランド電極(図1においては不図示。図3に示す122a、122b、122c、122d、122e)が設けられている。
【0018】
具体的には、上記グランド電極は、LN基板表面の面内において信号電極112a、112b、112c、112dをそれぞれ挟むように配され、4つの信号電極112a、112b、112c、112dと共に所定の動作周波数において所定の特性インピーダンスを有するコプレーナ線路を構成する。
【0019】
光変調素子102は、例えば400Gb/sの光変調を行うDP-QPSK変調器であり、4つの高周波の電気信号(変調信号)が4つの信号電極112a、112b、112c、112dのそれぞれに入力される。これらの電気信号は、協働して上記4つのマッハツェンダ型光導波路における光波の伝搬を制御し、全体として400Gb/sのDP-QPSK変調の動作を行う。
【0020】
光変調素子102から出力される2つの光は、例えばレンズ光学系(不図示)により偏波合成され、出力光ファイバ110を介して筺体104の外部へ導かれる。
【0021】
筺体104は、光変調素子102が固定されるケース114aとカバー114bとで構成されている。なお、筺体104内部における構成の理解を容易するため、図1においては、カバー114bの一部のみを図示左方に示しているが、実際には、カバー114bは、箱状のケース114aの全体を覆うように配されて筺体104の内部を気密封止する。ケース114aは、金属、又は例えば金メッキされたセラミック等で構成されており、電気的には導電体として機能する。また、筺体104には通常、DC制御用等の複数のピンが設置されるが、本図面では省略している。
【0022】
ケース114aは、光変調素子102の信号電極112a、112b、112c、112dのそれぞれに印加する高周波の電気信号を入力する信号入力端子124a、124b、124c、124dを備えた電気コネクタ116a、116b、116c、116dが設けられている。また、筺体104の内部には、また、中継基板118が収容されている。中継基板118には、後述するように、信号入力端子124a、124b、124c、124dのそれぞれと、光変調素子102の信号電極112a、112b、112c、112dのそれぞれとを電気的に接続する信号導体パターン330a、330b、330c、330dと、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eと、が形成されている。
【0023】
信号入力端子124a、124b、124c、124dから入力された電気信号のそれぞれは、中継基板118を介して光変調素子102の信号電極112a、112b、112c、112dのそれぞれの一端に入力される。信号電極112a,112b、112c、112dの他端は、所定のインピーダンスを有する終端器120により終端されている。これにより、信号電極112a、112b、112c、112dのそれぞれの一端に入力された電気信号は、進行波として信号電極112a、112b、112c、112d内を伝搬する。
【0024】
電気コネクタ116a、116b、116c、116dのそれぞれは、例えば、プッシュオン型の同軸コネクタのソケットである。これらの電気コネクタ116a、116b、116c、116dの円柱状のグランド導体は、ケース114aに電気的に接続され固定される。したがって、ケース114aは、グランド電位に接続される構造物に対応する。なお、信号入力端子124a、124b、124c、124dは、例えば、電気コネクタ116a、116b、116c、116dであるコネクタソケットのそれぞれにおいて上記グランド導体の円柱形状の中心線にそって延在する中心導体(芯線)で構成される。
【0025】
図3は、図1におけるA部の部分詳細図であり、中継基板118及びその周囲の構成を示す図である。また、図4は、中継基板118単体のオモテ面を、信号入力端子124a等の配される側から見た斜視図、図5は、中継基板118単体のウラ面(すなわち、オモテ面に対向する面)を信号入力端子124a等の配される側から見た斜視図である。また、図6は、中継基板単体のオモテ面を、光変調素子102の配される側から見た斜視図である。
【0026】
中継基板118のオモテ面(図1及び図3における図示の面)には、信号導体パターン330a、330b、330c、330dと、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eと、が設けられている。
【0027】
これらのグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eは、信号導体パターン330a、330b、330c、330dのそれぞれを中継基板118のオモテ面の面内において挟むように設けられており、これにより、信号導体パターン330a、330b、330c、330dは、それぞれ、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eと共にコプレーナ線路を構成している。
【0028】
図3に示すように、光変調素子102の信号電極112a、112b、112c、112dは、それぞれ、例えば導体ワイヤ126を用いたワイヤボンディングにより、中継基板118の信号導体パターン330a、330b、330c、330dの一端と電気的に接続されている。ここで、導体ワイヤ126は、例えば金ワイヤであるものとすることができる。
【0029】
また、光変調素子102において信号電極112a、112b、112c、112dと共にコプレーナ線路を構成するグランド電極122a、122b、122c、122d、122eは、それぞれ、上記と同様に例えば導体ワイヤ126を用いたワイヤボンディングにより、中継基板118のグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eの一端と電気的に接続されている。なお、上述した導体ワイヤ126を用いたワイヤボンディングは一例であって、これには限られない。導体ワイヤ126のワイヤボンディングに代えて、例えば金リボン等の導体リボンを用いたリボンボンディングを用いることもできる。
【0030】
また、図3図4に示すように、筺体104のケース114aに配された電気コネクタ116a、116b、116c、116dの信号入力端子124a、124b、124c、124dは、それぞれ、中継基板118の信号導体パターン330a、330b、330c、330dの他端に固定される共に電気的に接続されている。これらの固定および電気的接続は、例えば、ハンダ、ロウ材、又は導電性接着剤により行うものとすることができる。
【0031】
特に、本実施形態の光変調器100の中継基板118は、図4及び図5に示すように、中継基板118のうち、信号入力端子124a、124b、124c、124dからの電気信号が信号導体パターン330a、330b、330c、330dに入力される側の辺418a(以下、信号入力辺418aという)を一辺とする側面418b(以下、入力側側面418bという)に、入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eが設けられている。
【0032】
具体的には、これらの入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eは、中継基板118のオモテ面のグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eのそれぞれから延在してウラ面のグランド導体パターン542につながるように(又は、ウラ面のグランド導体パターン542から延在してオモテ面のグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eのそれぞれにつながるように)形成されている。また、入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eは、例えば、信号入力辺418aにおけるグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eの幅と同じ幅で形成される。
【0033】
中継基板118は、ウラ面(図5に示すグランド導体パターン542が形成された面)がケース114aに固定され、当該ウラ面のグランド導体パターン542がケース114aに電気的に接続される。また、中継基板118は、入力側側面418bが、グランド電位に接続される構造物であるケース114aの内壁面314(図3)と当接し、当該入力側側面418bに設けられた入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eと上記構造物であるケース114aの内壁面314と電気的に接続される(図3図4参照)。上記中継基板118とケース114aとの間の上記固定及び電気的接続は、例えば、ハンダ、ロウ材、または導電性接着剤等々により行うものとすることができる。
【0034】
なお、本実施形態においては、図6に示すように、中継基板118のうち、信号導体パターン330a、330b、330c、330dから光変調素子102の信号電極112a、112b、112c、112dへ電気信号が出力される側の辺418c(信号出力辺418cという)を一辺とする側面418d(出力側側面418dという)には、導体は設けられていない(図6)。ただし、これは一例であって、出力側側面418dには、中継基板118のオモテ面のグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eのそれぞれ、及び又はウラ面のグランド導体パターン542から延在するように、グランド導体パターンが形成されていてもよい。
【0035】
上記の構成を有する光変調器100は、中継基板118の入力側側面418bに、中継基板118のオモテ面のグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eのそれぞれ及びウラ面のグランド導体パターン542から延在する入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442dが形成されている。このため、信号入力辺418aの近傍に生じる高周波電気信号の反射等に起因する当該電気信号の空間放射や、当該空間放射に起因する当該電気信号の漏洩が効果的に抑制されると共に、当該信号入力辺418aにおいて放射され又は漏洩した高周波電気信号の光変調素子102方向への伝搬が抑制される。
【0036】
更に、延在した入力側面グランド導体パターン442a等は、不定形に染み出した溶融半田やロウ材を、金属反応や表面張力の作用により、延在した入力側面グランド導体パターン442a等の形状に合わせ中継基板118の側面に固着させる事が出来る。これにより製造バラつきによるインピーダンスのバラつきを抑制し、安定した高周波電気信号伝搬を実現する事が出来る。
【0037】
すなわち、一般に、同軸コネクタから出力された高周波電気信号が中継基板上の導体パターンが構成するコプレーナ線路へ入力される場合には、当該高周波電気信号は、その伝搬モードが同軸モードからコプレーナモードへと変換される。このため、中継基板においては、信号入力辺の近傍において、高周波電気信号の反射、放射、漏洩等が発生しやすい。これに対し、光変調器100では、信号入力辺418aを1辺とする入力側側面418bに形成された入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442dによりグランドの強化が図られるため、信号入力辺418a近傍における高周波電気信号の放射や漏洩が抑制される。また、入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442dがシールドとして作用することにより、信号入力辺418a近傍において放射され又は漏洩した高周波電気信号が、例えば中継基板118の基板内部を伝搬して光変調素子102に到達するのを防止することができる。
【0038】
その結果、光変調器100では、例えば伝送レートが400Gb/sを超えて高くなった場合でも、中継基板118またはその周囲で発生する電気信号の反射、放射、漏洩等の影響が効果的に低減されて、良好な光変調特性が実現され得る。
【0039】
次に、第1の実施形態に係る光変調器100に用いることのできる中継基板118の変形例について説明する。
【0040】
<第1変形例>
図7は、第1の変形例に係る中継基板718の構成を示す図である。この中継基板718は、図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。図7において、図4に示す中継基板118と同じ構成要素については、図4における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した図4についての説明を援用する。なお、図7においては中継基板718のみを示し、図4において参考として示した電気コネクタ116a、116b、116c、116d及び信号入力端子124a、124b、124c、124dについては図示していない。また、中継基板718のウラ面の構成は、図5に示す中継基板118のウラ面と同様に、グランド導体パターン542が設けられている。また、中継基板718の出力側側面418dの構成は、図6に示す中継基板118と同様である。
【0041】
図7に示す中継基板718は、図4に示す中継基板118と同様の構成を有するが、入力側側面418bに、入力グランド用凹部750a、750b、750c、750d、750eが設けられ、それぞれ入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eの一部が入力グランド用凹部750a、750b、750c、750d、750e内に設けられている点が異なる。
【0042】
本変形例では、入力グランド用凹部750a、750b、750c、750d、750eは、中継基板718のオモテ面(グランド導体パターン340a等が設けられた面)及びオモテ面に対向するウラ面まで延在している。
【0043】
一般に、中継基板のウラ面を光変調器のケースに対してハンダ等により固定する場合、ハンダ量の調整精度には限界があり、これを高精度に調整して当該ハンダが中継基板外にはみ出ることなく且つ当該中継基板のウラ面全面に行き渡るようにすることは困難である。
【0044】
本変形例の中継基板718では、入力側側面418bにおいて入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eの一部が形成された入力グランド用凹部750a、750b、750c、750d、750eを有する。このため、中継基板718のウラ面のグランド導体パターン542をハンダ等によりケース114aに固定する際に当該ウラ面からはみ出たハンダは入力グランド用凹部750a、750b、750c、750d、750eに流入し、当該入力グランド用凹部750a等の内部に滞留する。
【0045】
このため、中継基板718では、中継基板718のウラ面におけるケース114aとのハンダ固定の状態、言い換えると電気的接続の状態が良好となるように、再現性良く安定して光変調器100を製造することができる。また、当該ウラ面からハンダがはみ出た場合でも入力グランド用凹部750a、750b、750c、750d、750eがあることにより、及び上記はみ出たハンダが入力グランド用凹部750a等の内部に滞留することにより、オモテ面及びウラ面のグランド導体パターン間の電導性が高まるため、中継基板118に比べて更に効果的に、信号入力辺418aの近傍にけるグランドを強化することができる。その結果、中継基板718では、中継基板118に比べて更に効果的に、高周波電気信号の反射、放射、漏洩等を抑制し、及び当該放射又は漏洩した高周波電気信号が中継基板718の内部を通って光変調素子102に向かって伝搬するのを抑制することができる。
【0046】
なお、上記の効果は、中継基板718とケース114aとの固定をハンダにより行う場合のほか、ロウ材や導電性接着剤により行う場合にも、同様に奏することができる。
【0047】
更に、本変形例においても、上述した中継基板118の場合と同様に、延在した入力側面グランド導体パターン442a等は、不定形に染み出した溶融半田やロウ材を、金属反応や表面張力の作用により、延在した入力側面グランド導体パターン442a等の形状に合わせ中継基板718の側面に固着させる事が出来る。これにより製造バラつきによるインピーダンスのバラつきを抑制し、安定した高周波電気信号伝搬を実現する事が出来る。
【0048】
<第2変形例>
図8は、第2の変形例に係る中継基板818の構成を示す図である。この中継基板818は、図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。図8において、図4に示す中継基板118と同じ構成要素については、図4における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した図4についての説明を援用する。なお、図8においては中継基板818のみを示し、図4において参考として示した電気コネクタ116a、116b、116c、116d及び信号入力端子124a、124b、124c、124dについては図示していない。また、中継基板818のウラ面の構成は、図5に示す中継基板118のウラ面と同様に、グランド導体パターン542が設けられている。また、中継基板818の出力側側面418dの構成は、図6に示す中継基板118と同様である。
【0049】
図8に示す中継基板818は、図4に示す中継基板118と同様の構成を有するが、入力側側面418bに、入力グランド用凹部850a、850b、850c、850d、850eが設けられている点で異なっている。また、入力グランド用凹部850a、850b、850c、850d、850eは、図7に示す中継基板718の入力グランド用凹部750a等と同様の構成を有するが、中継基板818のオモテ面(グランド導体パターン340a等が設けられた面)に対向するウラ面から、中継基板818の厚みの途中まで延在し、上記オモテ面までは延在していない点が入力グランド用凹部750a等と異なる。
【0050】
なお、入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442dの一部は、それぞれ、入力グランド用凹部850a、850b、850c、850d、850e内に設けられている。
【0051】
上記の構成を有する中継基板818は、第1の変形例に係る中継基板718と同様に、中継基板818のウラ面のグランド導体パターン542をハンダ等によりケース114aに固定する際に当該ウラ面からはみ出たハンダは入力グランド用凹部850a、850b、850c、850d、850eに流入し、当該入力グランド用凹部850a等の内部に滞留する。
【0052】
このため、中継基板818では、中継基板718と同様に、中継基板818のウラ面におけるケース114aとのハンダ固定の状態、したがって電気的接続の状態が良好となるように、再現性良く安定して光変調器100を製造することができる。例えば、図7の構成と比べてはみ出す半田の量が少ない場合、中継基板818のように厚み方向の途中まで延在する入力グランド用凹部850a、850b、850c、850d、850eにより上記の効果を奏することができる。
【0053】
中継基板818では、中継基板718と同様に、入力グランド用凹部850a、850b、850c、850d、850eがあることにより、及び上記はみ出たハンダが入力グランド用凹部850a等の内部に滞留することにより、図4の中継基板118に比べて更に効果的に、信号入力辺418aの近傍にけるグランドを強化することができる。その結果、中継基板818では、図4の中継基板118に比べて更に効果的に、高周波電気信号の反射、放射、漏洩等を抑制し、及び当該放射又は漏洩した高周波電気信号が中継基板818の内部を通って光変調素子102に向かって伝搬するのを抑制することができる。
【0054】
なお、上記の効果は、第1の変形例の場合と同様に、中継基板818とケース114aとの固定をハンダにより行う場合のほか、ロウ材や導電性接着剤により行う場合にも、同様に奏することができる。
【0055】
更に、本変形例においても、上述した中継基板118の場合と同様に、延在した入力側面グランド導体パターン442a等は、不定形に染み出した溶融半田やロウ材を、金属反応や表面張力の作用により、延在した入力側面グランド導体パターン442a等の形状に合わせ中継基板818の側面に固着させる事が出来る。これにより製造バラつきによるインピーダンスのバラつきを抑制し、安定した高周波電気信号伝搬を実現する事が出来る。
【0056】
<第3変形例>
図9は、第3の変形例に係る中継基板918の構成を示す図である。この中継基板918は、図7に示す中継基板718と同様に、図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。図9において、図7に示す中継基板718と同じ構成要素については、図7における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した図7についての説明を援用する。また、中継基板918のウラ面の構成は、図5に示す中継基板118のウラ面と同様に、グランド導体パターン542が設けられている。また、中継基板918の出力側側面418dの構成は、図6に示す中継基板118と同様である。
【0057】
図9に示す中継基板918は、図7に示す中継基板718と同様の構成を有するが、入力側側面418bに、オモテ面の信号導体パターン330a、330b、330c、330dのそれぞれから延在する側面信号導体パターン952a、952b、952c、952dが設けられている点が異なる。また、中継基板918は、入力側側面418bに、オモテ面から延在し且つウラ面までは延在しない信号用凹部954a、954b、954c、954dが設けられている点が、中継基板718と異なる。
【0058】
本変形例では、側面信号導体パターン952a、952b、952c、952dは、それぞれ、信号入力辺418aにおける信号導体パターン330a、330b、330c、330dの幅と略同じ幅を持つ。そして、側面信号導体パターン952a、952b、952c、952dのそれぞれの一部は、それぞれ、信号用凹部954a、954b、954c、954dの内側面に設けられている。
【0059】
図10は、図9のC部の部分詳細図であり、信号導体パターン330aと、側面信号導体パターン952aと、信号用凹部954aと、の関係を示す図である。側面信号導体パターン952aは、信号入力辺418aにおける信号導体パターン330aの幅と同じ幅を持ち、その一部が信号用凹部954aの内側面に設けられている。なお、他の信号導体パターン330b、330c、330dと、側面信号導体パターン952b、952c、952dと、信号用凹部954b、954c、954dと、のそれぞれの関係も、図10に示す信号導体パターン330aと、側面信号導体パターン952aと、信号用凹部954aと、の関係と同様である。
【0060】
上記の構成を有する中継基板918は、入力グランド用凹部750a、750b、750c、750d、750eを有することから、第1の変形例に係る中継基板718と同様に、中継基板918のウラ面におけるケース114aとの電気的接続の状態が良好となるように、再現性良く且つ安定して光変調器100を製造することができる。また、同様の理由から、中継基板918では、中継基板718と同様に、中継基板118に比べて更に効果的に、信号入力辺418aの近傍にけるグランドを強化して、高周波電気信号の反射、放射、漏洩等を抑制し、及び当該放射又は漏洩した高周波電気信号が中継基板918の内部を通って光変調素子102に向かって伝搬するのを抑制することができる。
【0061】
そして、更に、中継基板918では、入力側側面418bに、オモテ面の信号導体パターン330a、330b、330c、330dから延在する側面信号導体パターン952a、952b、952c、952dが設けられ、そのそれぞれの一部が、オモテ面から延在しウラ面までは延在しない信号用凹部954a、954b、954c、954dに設けられている。
【0062】
このため、中継基板918では、信号入力端子124a、124b、124c、124dと信号導体パターン330a、330b、330c、330dとを、それぞれ例えばハンダで接続される場合に、ハンダ量のばらつきがあっても、余剰のハンダは側面信号導体パターン952a、952b、952c、952dを伝わって信号用凹部954a、954b、954c、954dに滞留することとなる。したがって、中継基板918では、信号入力端子124a、124b、124c、124dと信号導体パターン330a、330b、330c、330dとのそれぞれの接続部分においては、当該信号用凹部がない場合と比べ、より適切な半田接続状態とすることができ、それぞれの接続部分における接続が均質に行われることとなる。その結果、上記接続部分間でのインピーダンスのばらつきが抑制されることとなり、良好な光変調特性を安定して確保することができる。
【0063】
なお、本変形例においても、上述した中継基板118の場合と同様に、延在した入力側面グランド導体パターン442a等は、不定形に染み出した溶融半田やロウ材を、金属反応や表面張力の作用により、延在した入力側面グランド導体パターン442a等の形状に合わせ中継基板918の側面に固着させる事が出来る。これにより製造バラつきによるインピーダンスのバラつきを抑制し、安定した高周波電気信号伝搬を実現する事が出来る。
【0064】
<第4変形例>
図11図12は、第4の変形例に係る中継基板1118の構成を示す図である。中継基板1118は、図9に示す中継基板918と同様に、図1に示す光変調器100において中継基板118に代えて用いることができる。ここで、図11は、中継基板1118単体のオモテ面を、信号入力端子124a等の配される側から見た斜視図、図12は、中継基板1118単体のオモテ面を、光変調素子102の配される側から見た斜視図である。
【0065】
図11において、図9に示す中継基板918と同じ構成要素については、図9における符号と同じ符号を用いるものとし、上述した図9についての説明を援用する。また、中継基板1118のウラ面の構成は、図5に示す中継基板118のウラ面と同様に、グランド導体パターン542が設けられている。
【0066】
図11図12に示す中継基板1118は、図9に示す中継基板918と同様の構成を有するが、図12に示すように、出力側側面418dに、オモテ面のグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eのそれぞれから延在する出力側面グランド導体パターン1250a、1250b、1250c、1250d、1250eが設けられている点が異なる。また、中継基板1118は、出力側側面418dに、オモテ面から延在し且つウラ面まで延在する出力グランド用凹部1254a、1254b、1254c、1254d、1254eが設けられている点が、中継基板918と異なる。
【0067】
本変形例では、出力側面グランド導体パターン1250a、1250b、1250c、1250d、1250eは、それぞれ、信号出力辺418cにおけるグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eの幅と同じ幅を持つ。そして、出力側面グランド導体パターン1250a、1250b、1250c、1250d、1250eのそれぞれの一部は、それぞれ、出力グランド用凹部1254a、1254b、1254c、1254d、1254eの内側面に設けられている。
【0068】
上記の構成を有する中継基板1118では、第3変形例の図9で示した中継基板918と同様の構成を有することから上述した当該中継基板918の効果と同様の効果を奏する。また、これに加えて、中継基板1118では、中継基板1118をケース114aに固定する際に用いる例えばハンダの量が多い場合には、中継基板1118からはみ出したハンダは出力グランド用凹部1254a、1254b、1254c、1254d、1254e内の出力側面グランド導体パターン1250a、1250b、1250c、1250d、1250eにも流入し、当該出力グランド用凹部1254a、1254b、1254c、1254d、1254e内にも滞留するので、上記ハンダの量の調整に求められる精度が大きく緩和される。
【0069】
また、信号入力辺418a側と信号出力辺418c側の双方においてハンダがグランド用凹部にはみ出すため、はみ出したハンダ量の対称性が向上する。これにより中継基板1118におけるハンダの固化による応力の偏在が低減でき、中継基板1118の剥離や割れの低減など信頼性の向上をはかることができる。
【0070】
また、出力側面グランド導体パターン1250a、1250b、1250c、1250d、1250eがあること、及び上記はみ出たハンダが出力グランド用凹部1254a、1254b、1254c、1254d、1254eの内部に滞留することにより、中継基板118に比べて更に効果的に、信号入力辺418aの近傍から放射又は漏洩した高周波電気信号が光変調素子102に到達するのを抑制することができる。
【0071】
ここで、中継基板1118では、中継基板118と同様に、信号導体パターン330a、330b、330c、330dが、それぞれ、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eと共にコプレーナ線路を構成している。したがって、信号入力端子124a等が配される信号入力辺418aにおいては、信号入力端子124a等から入力される高周波電気信号は同軸モードからコプレーナモードへの伝搬モードが変換されるのに対し、光変調素子102へ電気信号が出力される信号出力辺418cにおいては、中継基板1118において伝搬したコプレーナモードの高周波電気信号は、モード変換されることなく、光変調素子102上においてコプレーナ線路を構成している信号電極112a、112b、112c、112dへ出力される。
【0072】
このため、信号入力辺418aに比べて信号出力辺418cにおいては、高周波電気信号の反射、放射、漏洩等が発生しにくく、出力側側面418dに設ける出力グランド用凹部1254a等は入力側側面418bに設ける入力グランド用凹部750a等に比べてその幅を小さくすることができる。
【0073】
本変形例では、出力側側面418dに設けられた出力グランド用凹部1254a等は、入力側側面418bに設けられた入力グランド用凹部750a等に対して、その凹部開口の幅が半分程度に狭く形成されている。
【0074】
なお、本変形例においても、上述した中継基板118の場合と同様に、延在した入力側面グランド導体パターン442a等は、不定形に染み出した溶融半田やロウ材を、金属反応や表面張力の作用により、延在した入力側面グランド導体パターン442a等の形状に合わせ中継基板1118の側面に固着させる事が出来る。これにより製造バラつきによるインピーダンスのバラつきを抑制し、安定した高周波電気信号伝搬を実現する事が出来る。
【0075】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る光変調器について説明する。図13は、本実施形態に係る光変調器1300の構成を示す図である。なお、図13においては、第1の実施形態に係る光変調器100と同じ構成要素については図1と同じ符号を用いるものとし、上述した図1についての説明を援用するものとする。
【0076】
本光変調器1300は、光変調器100と同様の構成を有するが、中継基板118に代えて中継基板718を備え、当該中継基板718は、筺体104とは別体の構造物であるサポート1360を介して、筺体104のケース114aに固定され及び電気的に接続されている。ここで、光変調器1300において、中継基板として中継基板718を用いるものとしたのは単なる例示のためであって、中継基板718に代えて中継基板118、818、918、または1118を用いてもよい。
【0077】
光変調器1300は、ケース114a及びカバー114bにより構成される筺体104に代えて、ケース1314a及びカバー1314bにより構成される筺体1304を備える。ケース1314aは、ケース114aと同様の構成を有するが、上記サポート1360を収容するためのスペースを確保するため、ケース114aよりも若干大きい幅を有している点が異なるが、光素子や筺体内部の設計調整等によって、ケース114aと同じ幅にする事も可能である。
【0078】
なお、光変調器1300における中継基板718の信号導体パターン330a等と信号入力端子124a等との接続は、光変調器100の場合と同様に、例えばハンダ、ロウ材、導電性接着剤等により行われ得る。また、光変調器1300における中継基板718の信号導体パターン330a等及びグランド導体パターン340a等と光変調素子102の信号電極112a等及びグランド電極122a等との接続は、光変調器100の場合と同様に、例えば導体ワイヤ126を用いてワイヤボンディングにより行われ得る。
【0079】
図14は、図13のCC断面矢視図である。中継基板718は、そのウラ面(より詳細には、ウラ面に設けられたグランド導体パターン542)が、サポート1360を介してケース1314aの内部に固定され、及び電気的に接続されている。
【0080】
図15は、サポート1360の構成、及びサポート1360に固定される中継基板718と当該サポート1360との位置関係を示す図である。サポート1360は、中継基板718のウラ面が固定される台座部1562と、台座部1562の長さ方向に延在する一の辺に沿って設けられた突起部1564a、1564b、1564c、1564d、1564eと、で構成されている。中継基板718は、サポート1360上の図示点線に示される位置に配置され、固定されると共に電気的に接続される(以下、単に「固定」又は「固定される」という)。このとき、特に、中継基板718の入力側側面418b(図15に示す出力側側面418dに対向する面)は、サポート1360の突起部1564a等と当接し、入力側側面418bに設けられた入力側面グランド導体パターン442a等が突起部1564a等と電気的に接続される。
【0081】
突起部1564a、1564b、1564c、1564d、1564eは所定の間隔を置いて設けられ、互いの間に4つのスリットを構成する。本実施例に於いては好適な例として、この4つのスリットの間隔は、中継基板718の信号導体パターン330a等の間隔と同じ距離に設定しているが、4つのスリットの間隔がのうち少なくとも一つが異なる間隔であっても良い。中継基板718は、これらのスリットを介して、ケース1314aに配された信号入力端子124a等に対し信号導体パターン330a等が接続される。
【0082】
例えば、中継基板718は、サポート1360上に固定された後、ケース1314a内に固定される。サポート1360は、例えば金属で構成され、ケース1314aを介してグランド電位に接続される構造物を構成する。
【0083】
一般に、光変調器の内部に用いられる中継基板は、セラミックで構成される場合が多い。これに対し、光変調器の筺体はKOVAR等の、上記セラミックとは異なる材料で構成される。このため、環境温度が変動した場合には、筺体および中継基板のぞれぞれの素材における線膨張係数差に起因して、中継基板と筺体との接続部分に繰り返し応力が発生し、当該接続部分におけるクラックや剥離等の問題が発生する場合があり得る。
【0084】
上記の構成を有する光変調器1300は、中継基板718を筺体104のケース1314aとは別体のサポート1360を介してケース1314aへ固定するので、サポート1360として用いる素材を適宜選択することにより、上記クラックや剥離等の問題の発生を効果的に回避して、長期信頼性を向上することができる。また、上記のようにサポート1360の素材を適宜選択することができるので、中継基板718及びケース1314aの素材選択や構造設計に関する自由度を向上することができる。
【0085】
更に中継基板を直接ケースにロウ材などで固定するのに比べ、予め別体のサポートに固定する事によって、ロウ材溶融固定時の熱均一性や熱伝導をより高精度に管理する事が容易になり、更に高精度なロウ材固定が可能となる。
【0086】
なお、本変形例においても、上述した中継基板118の場合と同様に、延在した入力側面グランド導体パターン442a等は、不定形に染み出した溶融半田やロウ材を、金属反応や表面張力の作用により、延在した入力側面グランド導体パターン442a等の形状に合わせ中継基板718の側面に固着させる事が出来る。これにより製造バラつきによるインピーダンスのバラつきを抑制し、安定した高周波電気信号伝搬を実現する事が出来る。
【0087】
なお、サポート1360の変形例として、図16に示すような単純な形状のサポート1660を、光変調器1300において使用することもできる。図16に示すサポート1660は、サポート1360と異なり、スリットを有さず、台座部1662と、台座部1662の一のエッジに沿って延在する一つの突起部1664と、で構成されている。中継基板718は、例えばサポート1660の台座部1662に固定された後、ケース1314a内に固定される。台座部1662からの図示上面からの突起部1664の高さhは、中継基板718の信号導体パターン330a等と信号入力端子124a等とを接続する際に信号入力端子124a等が突起部1664と接触しないように、少なくとも中継基板718の厚さtよりも小さく構成される。
【0088】
一方、中継基板718における入力側側面418bでのグランドの強化、及び放射された高周波電気信号の阻止の観点からは、中継基板718の入力側側面418bと突起部1664との接触面積はできるだけ広く確保できることが望ましい。このため、突起部1664の上記高さhは、例えば、中継基板718の厚さtの1/2より大きいこと(h>/2)が望ましい。
【0089】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態に係る光変調器100、第1の実施形態についての第1から第4の変形例に係る中継基板718、818、918、1118を備える光変調器100、及び第2の実施形態に係る光変調器1300の、いずれかに係る光変調器を搭載した光送信装置である。
【0090】
図17は、本実施形態に係る光送信装置の構成を示す図である。本光送信装置1700は、光変調器1702と、光変調器1702に光を入射する光源1704と、変調信号生成部1706と、変調データ生成部1708と、を有する。
【0091】
光変調器1702は、上述した第1の実施形態に係る光変調器100、第1の実施形態についての第1から第4の変形例に係る中継基板718、818、918、1118を備える光変調器100、及び第2の実施形態に係る光変調器1300の、いずれかに係る光変調器であるものとすることができる。
【0092】
変調データ生成部1708は、外部から与えられる送信データを受信して、当該送信データを送信するための変調データ(例えば、送信データを所定のデータフォーマットに変換又は加工したデータ)を生成し、当該生成した変調データを変調信号生成部1706へ出力する。
【0093】
変調信号生成部1706は、光変調器1702に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路(ドライブ回路)であり、変調データ生成部1708が出力した変調データに基づき、光変調器1702に当該変調データに従った光変調動作を行わせるための高周波信号である変調信号を生成して、光変調器1702に入力する。当該変調信号は、光変調器1702である光変調器100が備える光変調素子102の4つの信号電極112a、112b、112c、112dに対応する4つの高周波電気信号から成る。
【0094】
当該4つの高周波電気信号は、光変調器1702である光変調器100の電気コネクタ116a、116b、116c、116dのそれぞれの信号入力端子124a、124b、124c、124dから中継基板118の信号導体パターン330a、330b、330c、330dへ入力され、これらの信号導体パターン330a等を介して、光変調素子102の信号電極112a、112b、112c、112dに入力される。
【0095】
これにより、光源1704から出力された光は、光変調器1702により、例えばDP-QPSK変調され、変調光となって光送信装置1700から出力される。
【0096】
特に、本光送信装置1700では、光変調器1702として、第1の実施形態に係る光変調器100、第1の実施形態についての第1から第4の変形例に係る中継基板718、818、918、1118を備える光変調器100、及び第2の実施形態に係る光変調器1300の、いずれかに係る光変調器を用いるので、安定且つ良好な光変調特性を確保することができ、従って、安定且つ良好な伝送特性を実現することができる。
【0097】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0098】
例えば、上述した実施形態においては、中継基板118等には、入力側側面418bに、オモテ面に形成されたグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eのそれぞれからウラ面のグランド導体パターンまで延在する入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eが設けられるものとしたが、これには限られない。中継基板118等における信号入力辺418aにおけるグランド強化等の観点から必要とされる範囲において、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eの少なくとも一つから延在するように、入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eの少なくとも一つが形成されていればよい。あるいは、上記観点から必要とされる範囲において、入力側側面418bには、例えば中継基板118等のウラ面のグランド導体パターン542のみから延在し、信号入力辺418aまでは延在しないように、入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eの少なくとも一つが形成されているものとしてもよい。
【0099】
同様に、上述した実施形態における中継基板1118においては、信号出力辺418cにおけるグランド強化等の観点から必要とされる範囲において、出力側側面418dには、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eの少なくとも一つから延在するように、出力側面グランド導体パターン1250a、1250b、1250c、1250d、1250eのうちの対応する少なくとも一つが形成されていればよい。あるいは、上記観点から必要とされる範囲において、出力側側面418dには、例えば中継基板1118等のウラ面のグランド導体パターン542のみから延在し、信号出力辺418cまでは延在しないように、出力側面グランド導体パターン1250a、1250b、1250c、1250d、1250eの少なくとも一つが形成されているものとしてもよい。
【0100】
また、上述した実施形態における中継基板1118においては、信号出力辺418cにおけるグランド強化等の観点から必要とされる範囲において、出力側面グランド導体パターン1250a、1250b、1250c、1250d、1250eのそれぞれの幅は、信号出力辺418cにおけるグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eの幅より狭くてもよい。さらに、上記観点から必要とされる範囲において、出力側面グランド導体パターン1250a、1250b、1250c、1250d、1250eのそれぞれの少なくとも一部(従って、それぞれの一部又は全部)が、出力グランド用凹部1254a、1254b、1254c、1254d、1254eの内部(内側面)に設けられるものとしてもよい。
【0101】
また、上述した実施形態における中継基板1118においては、出力グランド用凹部1254a、1254b、1254c、1254d、1254eは、オモテ面及びウラ面の双方まで延在するものとしたが、これには限られない。信号出力辺418cにおけるグランド強化等の観点から必要とされる範囲において、出力グランド用凹部1254a、1254b、1254c、1254d、1254eは、少なくともウラ面から延在するように(すなわち、必ずしも信号出力辺418cまで延在することなく)形成されていてもよい。
【0102】
また、上述した実施形態における中継基板918、1118においては、オモテ面に形成された信号導体パターン330a、330b、330c、330dのそれぞれから延在する側面信号導体パターン952a、952b、952c、952dが設けられるものとしたが、これには限られない。例えば、信号導体パターン330a、330b、330c、330dと信号入力端子124a、124b、124c、124dとのそれぞれの接続部分におけるハンダ量の調整精度に応じて、信号導体パターン330a、330b、330c、330dの少なくとも一つから延在するように、側面信号導体パターン952a、952b、952c、952dのうちの対応する一つが入力側側面418bに設けられるものとしてもよい。
【0103】
また、上述の実施形態においては、中継基板718、918、1118において、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eから延在する入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eは、信号入力辺418aにおけるグランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eの幅と同じ幅を有し、そのそれぞれの一部が、入力グランド用凹部750a、750b、750c、750d、750eの内部(内側面)に設けられるものとしたが、これには限られない。入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eは、グランド導体パターン340a、340b、340c、340d、340eの幅よりも狭い幅を有していてもよい。また、入力側面グランド導体パターン442a、442b、442c、442d、442eは、そのそれぞれの少なくとも一部が入力グランド用凹部750a、750b、750c、750d、750eの内部(内側面)に設けられていればよく、そのそれぞれの全部が入力グランド用凹部750a、750b、750c、750d、750eの内部に設けられていてもよい。
【0104】
同様に、中継基板918、1118においては、側面信号導体パターン952a、952b、952c、952dは、信号導体パターン330a、330b、330c、330dの幅よりも狭い幅を有していてもよい。また、側面信号導体パターン952a、952b、952c、952dは、そのそれぞれの少なくとも一部が信号用凹部954a、954b、954c、954dの内部(内側面)に設けられていればよく、そのそれぞれの全部が信号用凹部954a、954b、954c、954dの内部に設けられていてもよい。
【0105】
また、中継基板918、1118においては、側面信号導体パターン952a等と併せて信号用凹部954a等を設けるものとしたが、これには限られない。入力側側面418bには、信号用凹部954a等を設けることなく、側面信号導体パターン952a等を設けるものとしてもよい。このように構成しても、信号導体パターン330a、330b、330c、330dと信号入力端子124a、124b、124c、124dとの接続部分に導入された余剰のハンダは側面信号導体パターン952a等の上に溜まって固化するので、或る程度、当該余剰ハンダを信号導体パターン330a、330b、330c、330dの上から排除することができる。
【0106】
また、上述の実施形態においては、信号入力端子124a、124b、124c、124dは、電気コネクタ116a等の芯線又は中心導体であるものとしたが、これには限られない。例えば、信号入力端子124a、124b、124c、124dは、ケース114a等の底面から延在するリードピンであってもよい。
【0107】
以上説明したように、上述した光変調器100、1300は、複数の信号電極112a等を備える光変調素子102と、当該光変調素子102を収容する筺体104、1304と、信号電極112a等のそれぞれに印加する電気信号を入力する複数の信号入力端子124a等と、を備える。また、光変調器100、1300は、信号入力端子124a等のそれぞれと信号電極112a等のそれぞれとを電気的に接続する複数の信号導体パターン330a等と複数のグランド導体パターン340a等とが形成された中継基板118等を備える。中継基板118等は、筺体104等の内部に収容され、信号入力端子124a等からの電気信号が信号導体パターン330a等に入力される側の信号入力辺418aを一辺とする入力側側面418bに、少なくとも一つのグランド導体パターン340a等から延在する少なくとも一つの入力側面グランド導体パターン442a等が形成されている。
【0108】
この構成によれば、入力側面グランド導体パターン442a等により、信号入力辺418aの近傍におけるグランドが強化されるので、例えば伝送レートが400Gb/sを超える場合でも、信号入力端子124a等と信号導体パターン330a等との接続部における当該電気信号の反射、放射、漏洩等を効果的に低減して、光変調素子102における良好な光変調特性の実現を可能とすることができる。
【0109】
また、光変調器100に用いることのできる中継基板718、818、918、1118では、入力側側面418bには、信号導体パターン330aが形成された中継基板118等のオモテ面に対向するウラ面から延在する入力グランド用凹部750a等、850a等が形成されており、入力側面グランド導体パターン442a等のそれぞれの少なくとも一部は、入力グランド用凹部750a等、850a等の内部に設けられている。
【0110】
この構成によれば、中継基板718、818、918、1118を光変調器100等のケース114a等にハンダ等で固定する際に、中継基板718、818、918、1118からはみ出たハンダを入力グランド用凹部750a等、850a等に滞留させることができるので、中継基板718、818、918、1118とケース114a等との間を適切な量のハンダで固定して、良好な電気的接続(例えば、グランド電位の接続)を確保することができる。
【0111】
また、光変調器100等では、中継基板718、918、1118の入力グランド用凹部750a等は前記オモテ面及びウラ面の双方まで延在し、入力グランド用凹部750a等の内部に入力側面グランド導体パターン442a等が形成されている。
【0112】
この構成によれば、中継基板718、918、1118をその厚さ方向においては機構的に均一で単純な構成として、安価に構成することができる。
【0113】
また、光変調器100等に用いることのできる中継基板918、1118では、入力側側面418bには、さらに、少なくとも一つの信号導体パターン330a等から延在する少なくとも一つの側面信号導体パターン952a等が形成されている。
【0114】
この構成によれば、信号導体パターン330a等と信号入力端子124a等との間の余剰ハンダを側面信号導体パターン952a等の上に誘導して、信号導体パターン330a等と信号入力端子124a等とのハンダ固定を再現性よく均質に行うことができる。
【0115】
また、光変調器100等に用いる中継基板918、1118では、入力側側面418bには、信号導体パターン330aが形成された面から延在する信号用凹部954a等が形成されており、側面信号導体パターン952a等のそれぞれの少なくも一部は、信号用凹部954a等の内部に形成されている。
【0116】
この構成によれば、信号導体パターン330a等と信号入力端子124a等との間の余剰ハンダを信号用凹部954a等の内部に誘導して滞留させることができるので、信号導体パターン330a等と信号入力端子124a等とのハンダ固定を、より再現性よく均質に行うことができる。
【0117】
また、光変調器100等に用いる中継基板1118は、信号導体パターン330a等から信号電極112a等へ電気信号が出力される信号出力辺418cを一辺とする出力側側面418dに、少なくとも一つのグランド導体パターン340a等から延在する少なくとも一つの出力側面グランド導体パターン1250a等が形成されている。
【0118】
この構成によれば、信号導体パターン330a等と信号電極112a等への接続部近傍におけるグランドを強化すると共に、入力側側面418b等から中継基板1118の内部を伝搬する高周波ノイズを阻止して、光変調素子102における良好な光変調特性を確保することができる。
【0119】
また、光変調器100等に用いられる中継基板1118では、出力側側面418dには、中継基板1118のウラ面から延在する出力グランド用凹部1254a等が形成されており、出力側面グランド導体パターン1250a等のそれぞれの少なくとも一部は、出力グランド用凹部1254a等の内部に設けられている。
【0120】
この構成によれば、中継基板1118とケース114aとの間の余剰ハンダを、出力グランド用凹部1254a等の内部に誘導して滞留させることができるので、ハンダ量の調整に必要な精度を緩和して、中継基板1118とケース114aとの間の電気的接続をより安定に行うことができる。
【0121】
また、光変調器100等では、信号入力端子124a等と信号導体パターン330a等とが、ハンダ、ロウ材、又は導電性接着剤により電気的に接続され、信号導体パターン330a等と信号電極112a等とが、導体ワイヤ又は導体リボンを介して電気的に接続される。
【0122】
この構成によれば、特別な手法を用いることなく、信号入力端子124a等と信号導体パターン330a等との電気的接続、および信号導体パターン330a等と信号電極112a等との電気的接続を、容易に行うことができる。
【0123】
また、光変調器100等では、中継基板118等の入力側側面418bは、グランド電位に接続される構造物、例えばケース114a等やサポート1360等と当接し、当該入力側側面418bに設けられた入力側面グランド導体パターン442a等が上記構造物と電気的に接続される。
【0124】
この構成によれば、入力側面グランド導体パターン442a等に対し、それらの面内において電位分布を持たない一様なグランド電位を容易に与えることができる。
【0125】
また、光変調器1300では、光変調素子102及び中継基板718を収容する筺体1304を備え、上記構造物であるサポート1360は、筺体1304のケース1314aを介してグランド電位に接続される。
【0126】
この構成によれば、上記構造物であるサポート1360は筺体1304と別体に構成されるので、例えば上記構造物であるサポート1360の素材を適宜選択することにより、環境温度変動に起因する中継基板718に加わる応力を緩和して良好な長期信頼性を確保することができる。
【0127】
また、光変調器100では、中継基板118等の入力側側面418bの入力側面グランド導体パターン442a等が当接する構造物は、光変調素子102及び中継基板118等を収容する光変調器100の筺体104、より具体的には、当該筺体104を構成するケース114aである。
【0128】
この構成によれば、サポート1360等の追加部品を用いることなく、入力側面グランド導体パターン442a等に対し、それらの面内において電位分布を持たない一様なグランド電位を容易かつ直接的に与えることができる。
【0129】
また、本発明の他の態様である光送信装置1700は、上述したいずれかの中継基板118等を備える光変調器100または1300である光変調器1702と、当該光変調器1702に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路を構成する、例えば変調信号生成部1706及び変調データ生成部1708を備える。
【0130】
この構成によれば、光変調素子102を駆動するために例えば伝送レートが400Gb/sを超える光送信装置においても、良好な光変調特性を実現して良好な光伝送特性を実現することができる。
【符号の説明】
【0131】
100、1300、1702…光変調器、102…光変調素子、104、1304…筺体、108…入力光ファイバ、110…出力光ファイバ、112a、112b、112c、112d…信号電極、114a、1314a…ケース、114b、1314b…カバー、116a、116b、116c、116d…電気コネクタ、118、718、818、918、1118…中継基板、120…終端器、122a、122b、122c、122d…グランド電極、124a、124b、124c、124d…信号入力端子、126…導体ワイヤ、314…内壁面、330a、330b、330c、330d…信号導体パターン、340a、340b、340c、340d、340e、542…グランド導体パターン、418a…信号入力辺、418b…入力側側面、418c…信号出力辺、418d…出力側側面、442a、442b、442c、442d、442e…入力側面グランド導体パターン、750a、750b、750c、750d、750e、850a、850b、850c、850d、850e…入力グランド用凹部、952a、952b、952c、952d…側面信号導体パターン、954a、954b、954c、954d…信号用凹部、1250a、1250b、1250c、1250d、1250e…出力側面グランド導体パターン、1254a、1254b、1254c、1254d、1254e…出力グランド用凹部、1360、1660…サポート、1562、1662…台座部、1564a、1564b、1564c、1564d、1564e、1664…突起部、1700・・・光送信装置、1704・・・光源、1706・・・変調信号生成部、1708・・・変調データ生成部。
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