(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】発光粒子及び発光粒子含有組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09K 11/08 20060101AFI20230124BHJP
C09K 11/61 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
C09K11/08 A ZNM
C09K11/08 G
C09K11/61
(21)【出願番号】P 2022571822
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 JP2022031158
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2021140991
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】堀口 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】青木 良夫
(72)【発明者】
【氏名】延藤 浩一
(72)【発明者】
【氏名】乙木 栄志
(72)【発明者】
【氏名】野中 祐貴
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0060832(KR,A)
【文献】ABOU-HASSAN, Ali et al.,Angew. Chem.,2009年,121,7316-7319,DOI: 10.1002/ange.200902181
【文献】LEE, Sang Yeop et al.,Applied Surface Science,2021年06月02日,563,150229,DOI: 10.1016/j.apsusc.2021.150229
【文献】LUO, Binbin et al.,Angew. Chem. Int. Ed.,2016年,55,8864-8868,DOI: 10.1002/anie.201602236
【文献】WANG, Tong et al.,J. Mater. Chem. C,2020年,8,12196-12203,DIO: 10.1039/d0tc02852e
【文献】HE, Kun et al.,Langmuir,2020年,36,10210-10217
【文献】WACKER, Josias B. et al.,Lab on a Chip,2012年,12,3111-3116,DOI: 10.1039/c21c40300e
【文献】GENG, Yuhao et al.,Small,2022年04月10日,18,2200740,DOI: 10.1002/smll.202200740
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K11/08
C09K11/61
CAplus/REGISTRY(STN)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ナノ粒子を含むコアと、前記コアにアミノ基を介して結合した配位子層とを備え、前記配位子層がシロキサン結合を含む発光粒子の製造方法において、
複数の導入部から導入した異なる液体を合流させ混合可能な流路を備えたフローリアクターを用い、異なる前記導入部から、前記発光粒子の製造原料又は前駆体を含有する少なくとも1種の第1の液体と、前記第1の液体とは成分が異なる少なくとも1種の第2の液体とを前記流路に導入して混合し、混合後の流体中で前記発光粒子を含有するコロイド溶液を製造する工程を備えた、発光粒子の製造方法。
【請求項2】
前記第1の液体又は前記第2の液体の少なくとも一方が、下記の一般式(L1)
【化1】
(式中、R
1、R
2及びR
3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状アルキル基及び炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状アルコキシ基からなる群から選ばれる基を表し(ただし、R
1、R
2及びR
3のうち少なくとも1つはハロゲン原子、ヒドロキシル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる基を表す。)、
R
4及びR
5は各々独立して水素原子及び炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素原子数3から20の非芳香族炭化水素環基、及び炭素原子数6から20の芳香族炭化水素環基からなる群から選ばれる基を表すが、当該アルキル基及び炭化水素環基中の任意の水素原子はハロゲン原子、非芳香族炭化水素環基又は芳香族炭化水素環基に置換されても良く、当該アルキル基中の1又は2以上の-CH
2-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられても良く、R
4とR
5とが直接又は結合基を介して結合して環を形成しても良く、
Sp
1は各々独立して炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキレン基、炭素原子数3から20の非芳香族炭化水素環基、及び炭素原子数6から20の芳香族炭化水素環基からなる群から選ばれる基を表すが、当該アルキレン基中の任意の水素原子がハロゲン原子に置換されても良く、当該アルキレン基中の1又は2以上の-CH
2-が各々独立して-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられても良いが、Sp
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
1は各々独立して-O-、-S-、-NH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH(CH
2CH
2NH
2)-、-N(CH
2CH
2NH
2)-、-NHC(=NH)-又は単結合を表すが、Z
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m1は1から20の整数を表す。)で表される化合物を含有する、請求項1に記載の発光粒子の製造方法。
【請求項3】
前記第1の液体及び第2の液体のいずれか一方が1価の陽イオンAを含有し、他方が金属イオンBとハロゲン化物イオンXとを含有する、請求項1又は請求項2に記載の発光粒子の製造方法。
【請求項4】
前記第1の液体及び第2の液体のいずれか一方が、1価の陽イオンAと金属イオンBとハロゲン化物イオンXと第1の溶媒とを含有し、他方が、前記半導体ナノ粒子の溶解度が第1の溶媒よりも低い第2の溶媒を含有する、請求項1又は請求項2に記載の発光粒子の製造方法。
【請求項5】
前記半導体ナノ粒子がA、B及びX(式中、Aは1価の陽イオンを表し、Bは金属イオンを表し、Xはハロゲン化物イオンを表す。)を含む化合物半導体からなるである、請求項1又は請求項2に記載の発光粒子の製造方法。
【請求項6】
前記半導体ナノ粒子がペロブスカイト型結晶構造を有する、請求項1又は請求項2に記載の発光粒子の製造方法。
【請求項7】
前記発光粒子の体積平均径が9nm以上80nm以下である、請求項1又は請求項2に記載の発光粒子の製造方法。
【請求項8】
下記の式(1)
SD=(d84%-d16%)/2 (1)
(式中、d84%は発光粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、累積カーブが84%となる点の粒子径(nm)を表し、d16%は発光粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、累積カーブが16%となる点の粒子径(nm)を表す。)で表されるSD値が1nm以上40nm以下である、請求項1又は請求項2記載の発光粒子の製造方法。
【請求項9】
前記発光粒子を含有するコロイド溶液を製造する工程が、連続層流フローリアクターを用いて行われる、請求項1又は請求項2に記載の発光粒子の製造方法。
【請求項10】
前記発光粒子を含有するコロイド溶液を製造する工程が、液滴ベースフローリアクターを用いて行われる、請求項1又は請求項2に記載の発光粒子の製造方法。
【請求項11】
前記発光粒子を含有するコロイド溶液を製造する工程が、強制薄膜式フローリアクターを用いて行われる、請求項1又は請求項2に記載の発光粒子の製造方法。
【請求項12】
請求項7に記載の製造方法によって得られた前記発光粒子を含有するコロイド溶液と光重合性化合物とを混合することにより発光粒子含有組成物を製造する工程を備えた、発光粒子含有組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項7に記載の製造方法によって得られた前記コロイド溶液から溶媒を除去して前記発光粒子を回収する工程と、
回収した前記発光粒子と光重合性化合物とを混合することにより発光粒子含有組成物を製造する工程とを備えた、発光粒子含有組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光粒子の製造方法及び得られた発光粒子を含有する組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノメートルオーダーの粒子(ナノ粒子)は量子サイズ効果によって、バルクとは異なる物性を示すことが知られている。例えば化合物半導体のナノ粒子であるCdSe量子ドットは、室温で発光を示し、粒子サイズによって発光波長の制御が可能であることから、液晶ディスプレイのバックライト用波長変換フィルムやカラーフィルターなどへの利用が検討されている。CdSe量子ドットは、従来、バッチリアクターを用いて製造されてきたが、目的とする波長で色純度の高い発光を得るためには、適切な粒子サイズでかつ粒子サイズのばらつきが少ないことが求められている。そこで、このような量子ドットを得るために、フローリアクターを用いた製造方法が提案されている(特許文献1及び特許文献2)。フローリアクターは、流体中の微小空間の中で化学反応を行うため、ナノ粒子の粒子サイズを好適に制御することが可能である。
【0003】
近年、メタルハライドからなる半導体ナノ粒子の一種である、ペロブスカイト構造を有する量子ドットが見出され、主に、バッチリアクターによって製造されている。ペロブスカイト量子ドットは、例えばCsPbX3(X=Cl、Br、I)のような化学式で表され、粒子径とハロゲン化物イオンの組成によって発光波長を調整することが可能である(非特許文献1)。ペロブスカイト量子ドットは、フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)が高く、発光スペクトルの半値幅(FWHM)が狭いことから、CdSe系材料に代わる量子ドットとして注目されている。さらに、発光波長及び粒子サイズの制御されたペロブスカイト量子ドットの製造方法として、フローリアクターを用いた方法が報告されている(特許文献3、非特許文献2及び非特許文献3)。
【0004】
一方、ペロブスカイト量子ドットは、水分、光及び熱に対する安定性の向上が求められている。これまでに、バッチリアクターによって、ペロブスカイト量子ドット粒子の外側に3-アミノプロピルトリエトキシシランを用いて、シロキサン結合を含む配位子層を形成させ、安定性を高める検討が報告されている(特許文献4及び非特許文献4)。しかしながら、バッチリアクターを用いて製造方法は、過剰量の貧溶媒に対し発光粒子の前駆体溶液を添加していく必要があるため、添加開始直後に形成された発光粒子と、添加終了直前に形成された発光粒子の粒子サイズが異なってしまい、目的とする粒子サイズを有する発光粒子の含有量が低下してしまったり、品質のばらつきが大きくなってしまう問題があった。また、量産規模でのスケールアップを行った場合、反応容器内の多量の反応液を、高温状態から急速に冷却する際に、冷却効率が低くなってしまい発光粒子の粒子サイズがばらつき、目的とする粒子サイズを有する発光粒子の含有量が低下してしまったりする問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2009/008393号
【文献】国際公開第2009/020188号
【文献】中国特許出願公開第109456764号明細書
【文献】特開2020-122901号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Nano Letters誌、2015年、15巻、6号、3692-3696頁
【文献】Nano Letters誌、2016年、16巻、3号、1869-1877頁
【文献】Japanese Journal of Applied Physics誌、2020年、59巻、SIIG02頁
【文献】Advanced Materials誌、2016年、28巻、10088-10094頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、水分、光及び熱に対する安定性が高く、発光波長及び粒子サイズの制御された発光粒子を、高収率で製造可能な発光粒子の製造方法を提供することにある。さらに、当該発光粒子を含有する組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、特定の製造工程を備えた発光粒子の製造方法を開発した。すなわち、本発明は、半導体ナノ粒子を含むコアと、前記コアにアミノ基を介して結合した配位子層とを備え、前記配位子層がシロキサン結合を含む発光粒子の製造方法において、複数の導入部から導入した異なる液体を合流させ混合可能な流路を備えたフローリアクターを用い、異なる前記導入部から、前記発光粒子の製造原料又は前駆体を含有する少なくとも1種の第1の液体と、前記第1の液体とは成分が異なる少なくとも1種の第2の液体とを前記流路に導入して混合し、混合後の流体中で前記発光粒子を含有するコロイド溶液を製造する工程を備えた、発光粒子の製造方法を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、上記発光粒子の製造方法によって得られた前記発光粒子を含有するコロイド溶液又は当該コロイド溶液から回収した発光粒子と、光重合性化合物とを混合することにより発光粒子含有組成物を製造する工程を備えた、発光粒子含有組成物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の発光粒子の製造方法によれば、水分、光及び熱に対する安定性が高く、発光波長及び粒子サイズの制御された発光粒子を、高収率で製造することができる。さらに、当該発光粒子を含有する発光粒子含有組成物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態の製造方法によって製造される発光粒子の模式図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態の製造方法によって製造される発光粒子表面の構造模式図を示す。
【
図3】
図3は、連続層流フローリアクターに用いられる装置構成例を示す。
【
図4】
図4は、液滴ベースフローリアクターに用いられる装置構成例を示す。
【
図5】
図5は、強制薄膜式フローリアクターに用いられる装置構成例を示す。
図5(a)は装置の断面図を示し、
図5(b)は
図5(a)中のB-B’線断面図を示す。
【
図6】
図6は、実施例1から実施例13の発光粒子の製造に用いた連続層流フローリアクター装置を示す。
【
図7】
図7は、実施例14から実施例23の発光粒子の製造に用いた液滴ベースフローリアクター装置を示す。
【
図8】
図8は、実施例24から実施例33の発光粒子の製造に用いた強制薄膜式フローリアクター装置を示す。
【
図9】
図9は、実施例34から実施例41の発光粒子の製造に用いた連続層流フローリアクター装置を示す。
【
図10】
図10は、実施例42から実施例49の発光粒子の製造に用いた液滴ベースフローリアクター装置を示す。
【
図11】
図11は、実施例50から実施例57の発光粒子の製造に用いた強制薄膜式フローリアクター装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、半導体ナノ粒子を含むコアと、前記コアにアミノ基を介して結合した配位子層とを備え、前記配位子層がシロキサン結合を含む発光粒子の製造方法に関する。
図1に本発明の実施形態の製造方法によって製造される発光粒子の模式図を示す。本発明は、上記発光粒子を製造するに際し、複数の導入部から導入した異なる液体を合流させ混合可能な流路を備えたフローリアクターを用い、異なる前記導入部から、前記発光粒子の製造原料又は前駆体を含有する少なくとも1種の第1の液体と、前記第1の液体と成分が異なる少なくとも1種の第2の液体とを前記流路に導入して混合し、混合後の流体中で前記発光粒子を含有するコロイド溶液を製造する工程を備えた、発光粒子の製造方法を提供し、併せて前記発光粒子と光重合性化合物とを含有する発光粒子含有組成物の製造方法を提供する。以下、発光粒子の製造方法の実施形態について説明する。
【0013】
本実施形態の製造方法によって製造される発光粒子を構成する半導体ナノ粒子は、光学特性の調整の容易さの観点から、化合物半導体であることが好ましく、III-V族化合物半導体、II-VI族化合物半導体及び金属ハライド化合物半導体からなる群から選ばれる化合物半導体であることがより好ましく、A、B及びX(式中、Aは1価の陽イオンを表し、Bは金属イオンを表し、Xはハロゲン化物イオンを表す。)を含む化合物半導体であることが特に好ましい。
図2に発光粒子表面の構造模式図を示す。
図2中の右下がりのハッチングの丸印は1価の陽イオンAを示し、左下がりのハッチングの丸印は金属イオンBを示し、黒丸印はハロゲン化物イオンXを示す。合成の容易さ、発光波長、量子収率及び結晶構造の堅牢性の観点から、AはCs、Rb、メチルアンモニウム、ホルムアミジニウム、アンモニウム、2-フェニルエチルアンモニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、1-ブチル-1-メチルピペリジニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム及びベンジルトリエチルアンモニウムからなる群から選ばれる陽イオンであることが好ましく、AはCs、Rb、メチルアンモニウム及びホルムアミジニウムから選ばれる陽イオンであることがより好ましく、AはCs、メチルアンモニウム及びホルムアミジニウムから選ばれる陽イオンであることが特に好ましい。合成の容易さ、発光波長、量子収率及び結晶構造の堅牢性の観点から、BはPb、Sn、Ge、Bi、Sb、Ag、In、Cu、Yb、Ti、Pd、Mn、Eu、Zr及びTbからなる群から選ばれる金属イオンを表すことが好ましく、BはPb、Sn、Bi、Sb、Ag、In、Cu、Mn及びZrからなる群から選ばれる金属イオンを表すことがより好ましく、BはPb、Sn及びCuからなる群から選ばれる金属イオンを表すことがさらに好ましく、BはPbを表すことが特に好ましい。合成の容易さ、発光波長、量子収率及び結晶構造の堅牢性の観点から、XはF、Cl、Br及びIからなる群から選ばれるハロゲン化物イオンを表すことが好ましく、XはCl、Br及びIからなる群から選ばれるハロゲン化物イオンを表すことがより好ましく、XはBrを表すことが特に好ましい。半導体ナノ粒子はどのような結晶構造であっても良いが、合成の容易さ、発光波長、量子収率及び結晶構造の堅牢性の観点から、半導体ナノ粒子はペロブスカイト構造及びペロブスカイトに類似の構造であることが好ましく、半導体ナノ粒子はペロブスカイト構造であることが特に好ましい。前記A、B及びXを含む化合物半導体において、A、B及びXは各々単一種によって構成されていても良く、各々複数種によって構成されていても良い。また、半導体ナノ粒子は他のイオンによってドープされていても良い。
【0014】
半導体ナノ粒子を含むコアは、半導体ナノ粒子のみから構成されていても良く、半導体ナノ粒子以外にシェル等の成分を含んでいても良い。また、コアは単一の半導体ナノ粒子から構成されていても良く、複数の半導体ナノ粒子が結合、凝集又は複合化していても良い。溶液や組成物を構成した場合の分散安定性及びフィルム状に塗布した際の平滑性の観点から、半導体ナノ粒子を含むコアは、単一の半導体ナノ粒子のみから構成されることが特に好ましい。
【0015】
本実施形態の製造方法によって製造される発光粒子は、半導体ナノ粒子を含むコアと、前記コアにアミノ基を介して結合した配位子層とを備え、前記配位子層がシロキサン結合を含む。配位子層は、合成の容易さ、発光粒子の構造安定性及び量子収率の観点から、シリル基とアミノ基とを有する化合物から形成される構造を含むことが好ましく、配位子層が下記の一般式(L1)
【化1】
(式中、R
1、R
2及びR
3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状アルキル基及び炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状アルコキシ基からなる群から選ばれる基を表し(ただし、R
1、R
2及びR
3のうち少なくとも1つはハロゲン原子、ヒドロキシル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる基を表す。)、
R
4及びR
5は各々独立して水素原子及び炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素原子数3から20の非芳香族炭化水素環基、及び炭素原子数6から20の芳香族炭化水素環基からなる群から選ばれる基を表すが、当該アルキル基及び炭化水素環基中の任意の水素原子はハロゲン原子、非芳香族炭化水素環基又は芳香族炭化水素環基に置換されても良く、当該アルキル基中の1又は2以上の-CH
2-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられても良く、R
4とR
5とが直接又は結合基を介して結合して環を形成しても良く、
Sp
1は各々独立して炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキレン基、炭素原子数3から20の非芳香族炭化水素環基、及び炭素原子数6から20の芳香族炭化水素環基からなる群から選ばれる基を表すが、当該アルキレン基中の任意の水素原子がハロゲン原子に置換されても良く、当該アルキレン基中の1又は2以上の-CH
2-が各々独立して-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられても良いが、Sp
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
1は各々独立して-O-、-S-、-NH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH(CH
2CH
2NH
2)-、-N(CH
2CH
2NH
2)-、-NHC(=NH)-又は単結合を表すが、Z
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m1は1から20の整数を表す。)で表される化合物から形成される構造を含むことがより好ましく、配位子層が下記の一般式(L11)
【化2】
(式中、R
11、R
21及びR
31は各々独立して炭素原子数1から10の直鎖状アルキル基及び炭素原子数1から10の直鎖状アルコキシ基からなる群から選ばれる基を表し(ただし、R
11、R
21及びR
31のうち少なくとも1つはアルコキシ基を表す。)、
R
41及びR
51は各々独立して水素原子及び炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基、及び炭素原子数6から20の芳香族炭化水素環基からなる群から選ばれる基を表すが、当該アルキル基及び炭化水素環基中の任意の水素原子は芳香族炭化水素環基に置換されても良く、
Sp
11は各々独立して炭素原子数2から20の直鎖状アルキレン基を表すが、Sp
11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
11は各々独立して-NH-、-CO-NH-、-NH-CO-又は単結合を表すが、Z
11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m11は1から5の整数を表す。)で表される化合物から形成される構造を含むことがさらに好ましく、配位子層が下記の一般式(L111)
【化3】
(式中、R
111、R
211及びR
311は各々独立してメチル基、メトキシ基及びエトキシ基からなる群から選ばれる基を表し(ただし、R
111、R
211及びR
311のうち少なくとも1つはメトキシ基又はエトキシ基を表す。)、
Sp
111は各々独立して炭素原子数2から20の直鎖状アルキレン基を表すが、Sp
111が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
111は各々独立して-NH-又は単結合を表すが、Z
111が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m111は1又は2を表す。)で表される化合物から形成される構造を含むことがさらにより好ましく、配位子層が下記の一般式(L1111)
【化4】
(式中、R
1111、R
2111及びR
3111はメトキシ基又はエトキシ基を表す。)で表される化合物から形成される構造を含むことが特に好ましい。
【0016】
前記一般式(L1)で表される化合物は、
図2に示すように、半導体ナノ粒子を含むコアに対してアミノ基が配位する。前記一般式(L1)で表される化合物に含まれるSi-ハロゲン結合又はSi-アルコキシ結合が加水分解を起こしシラノールが生じ、縮合反応により隣接する分子どうしでシロキサン結合を形成することができる。その結果、
図1及び
図2に示すように、半導体ナノ粒子を含むコアに、アミノ基を介して、シロキサン結合を含む配位子層が形成される。加水分解反応を促進するために、反応溶液に水を添加しても良く、水を添加しなくても良い。水を添加しない場合、加水分解反応は反応系中に含まれる微量の水分によって進行する。
【0017】
前記一般式(L1)で表される化合物として、具体的には下記の式(L1-1)から式(L1-36)
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
で表される化合物が挙げられる。
【0018】
本実施形態の製造方法で得られる発光粒子は、半導体ナノ粒子を含むコアにアミノ基を介して結合した配位子層を備える。半導体ナノ粒子の粒子形成過程における結晶成長を制御するために、前記配位子層には、アミノ基を有する化合物の他に、配位子としてカルボン酸、リン酸、スルホン酸、カルボン酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩等を併用することが好ましい。具体的には、オレイン酸(OA)、2-ヘキシルデカン酸(DA)、デカン酸(CA)、プロパン酸(PA)、オクタン酸(OTAc)、ラウリン酸(LA)、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、オクチルリン酸、n-オクチルホスホン酸、1-テトラデシルリン酸、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(TMPPA)、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、アミノ基を有する化合物として一般式(L1)で表される化合物を用いる場合、一般式(L1)で表される化合物の他に、アミノ基を有する化合物を併用しても良い。具体的には、オレイルアミン(OAm)、オクチルアミン(OLA)、フェネチルアミン(PEA)、ブチルアミン(BLA)が挙げられる。その他、添加剤としてアンモニウム塩を添加しても良い。具体的には、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、フェネチルアンモニウムブロミド(PEAB)、フェネチルアンモニウムヨージド(PEAI)、メチルトリオクチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド(TOAB)が挙げられる。
【0019】
前記配位子層として、前記一般式(L1)で表される化合物から形成される構造に加えて、他の化合物から形成される構造を含んでも良い。配位子層を形成するための他の化合物としては、シロキサン結合を形成することができる化合物であれば良く、シラザン、ポリシラザン及びアルコキシシランからなる群から選ばれる化合物であることが好ましい。シラザンとして具体的には、オクタメチルシクロテトラシラザン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。ポリシラザンとして具体的には、「NN120-10」、「NN120-20」(以上、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)、「Durazane1500 Slow Cure」(Durazaneは登録商標である。)、「Durazane1500 Rapid Cure」(以上、メルクパフォーマンスマテリアルズ社製)が挙げられる。アルコキシシランとして具体的には、オルトけい酸テトラエチル、オルトけい酸テトラメチル、オルトけい酸テトライソプロピル、オルトけい酸テトラプロピル、トリメトキシ(メチル)シラン、ジメトキシジメチルシラン、「メチルシリケート51」(コルコート社製)が挙げられる。
【0020】
本実施形態の製造方法は、複数の導入部から導入した異なる液体を合流させ混合可能な流路を備えたフローリアクターを用い、異なる前記導入部から、前記発光粒子の製造原料又は前駆体を含有する少なくとも1種の第1の液体と、前記第1の液体とは成分が異なる少なくとも1種の第2の液体とを前記流路に導入して混合し、混合後の流体中で前記発光粒子を含有するコロイド溶液を製造する工程を備える。
【0021】
前記第1の液体又は前記第2の液体の少なくとも一方が、上述した一般式(L1)で表される化合物を含有することが好ましい。これにより、一般式(L1)で表される化合物から形成される構造を含む配位子層を備えた発光粒子を製造することができる。
【0022】
そして、合成の容易さ、量子収率、収率、粒子サイズの均一性の観点から、前記第1の液体又は第2の液体のいずれか一方が1価の陽イオンAを含有し、他方が金属イオンBとハロゲン化物イオンXとを含有することが好ましい。
【0023】
1価の陽イオンAを含有する第1の液体は、1価の陽イオンAに加えて溶媒を含むことが好ましい。発光粒子の安定性及び収率の観点から、低極性、高沸点、発光粒子の分散性が高い溶媒を使用することが好ましい。溶媒として具体的には、1-オクタデセンが挙げられる。また、1価の陽イオンAは溶媒に溶解していることが好ましく、例えばオレイン酸塩等の状態であることが好ましい。オレイン酸塩は、1価の陽イオンAの炭酸塩、ハロゲン化物、酢酸塩又は酸化物と、オレイン酸とを溶媒中で加熱混合することによって調製することができる。
【0024】
金属イオンBとハロゲン化物イオンXとを含有する第2の液体は、金属イオンBとハロゲン化物イオンXに加えて溶媒を含むことが好ましい。発光粒子の安定性及び収率の観点から、低極性、高沸点、発光粒子の分散性が高い溶媒を使用することが好ましい。溶媒として具体的には、1-オクタデセンが挙げられる。また、半導体ナノ粒子の粒子形成過程における結晶成長を制御するために、金属イオンBとハロゲン化物イオンXとを含有する液体には、アミノ基を有する化合物、カルボシキル基を有する化合物又はそれら両方の基を有する化合物が含まれていることが好ましい。具体的には、前記配位子と同様の化合物が挙げられる。
【0025】
前記第1の液体と第2の液体は、発光粒子の量子収率及び収率の観点から、反応に使用する前に水分を除去しておくことが好ましい。水分除去は、液体を加熱しながら減圧することによって行うことができる。加熱温度は40℃以上、250℃以下であることが好ましく、60℃以上、200℃以下であることがより好ましく、80℃以上、150℃以下であることが特に好ましい。また、水分除去は、モレキュラーシーブやシリカゲル等の乾燥剤を用いて行っても良い。
【0026】
本実施形態の製造方法は、発光粒子の製造原料又は前駆体を含有する少なくとも2種の液体を、異なる流路から導入し流体中で反応させることにより、前記発光粒子を含有するコロイド溶液を製造する工程を含む。前記第1の液体と第2の液体を混合した際に、全ての成分が溶解していることが好ましい。混合時の温度は、100℃以上220℃以下であることが好ましく、120℃以上200℃以下であることが好ましく、140℃以上180℃以下であることが特に好ましい。前記第1の液体と第2の液体を混合し、均一になった後、発光粒子をナノサイズで析出させるために混合液を冷却する。冷却温度は-50℃以上100℃以下であることが好ましく、-20℃以上50℃以下であることがより好ましく、0℃以上30℃以下であることが特に好ましい。混合液を急速に冷却することによって、粒子サイズのばらつきが少ない発光粒子を含有するコロイド溶液を得ることができる。
【0027】
前記コロイド溶液を製造する工程において、製造設備の簡素さ、作業の容易さを重視する場合、前記第1の液体及び第2の液体のいずれか一方が、1価の陽イオンAと金属イオンBとハロゲン化物イオンXと第1の溶媒とを含有し、他方が、前記半導体ナノ粒子の溶解度が第1の溶媒よりも低い第2の溶媒を含有することが好ましい。第1の液体と第2の液体とを混合することによって、発光粒子を析出させ、発光粒子を含有したコロイド溶液を得ることができる。その場合、第1の液体に使用する溶媒としては、なるべく少量で発光粒子の製造原料又は前駆体を溶解可能な極性溶媒が好ましい。使用する溶媒として具体的には、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルホルムアミドが挙げられる。第2の液体としては、低極性溶媒を含むことが好ましい。使用する溶媒として具体的には、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンが挙げられる。半導体ナノ粒子の粒子形成過程における結晶成長を制御するために、第1の液体及び第2の液体のうち少なくとも一方に、アミノ基を有する化合物、カルボン酸又はそれら両方が含まれていることが好ましい。具体的には、前記配位子と同様の化合物が挙げられる。
【0028】
前記第1の液体と第2の液体は、発光粒子の量子収率及び収率の観点から、反応に使用する前に水分を除去しておくことが好ましい。水分除去は、液体を加熱しながら減圧することによって行っても良く、モレキュラーシーブやシリカゲル等の乾燥剤を用いて行っても良い。
【0029】
本実施形態の製造方法によれば、発光波長及び粒子サイズの制御された発光粒子を得ることができる。発光粒子の粒子サイズの均一性、量子収率の高さ、発光スペクトルの半値幅の狭さ、温度の迅速な制御の観点から、流体の流路は流路断面積が400mm2以下であることが好ましく、流路断面積が100mm2以下であることがより好ましく、流路断面積が25mm2以下であることがさらに好ましく、流路断面積が4mm2以下であることが特に好ましい。なお、本実施形態において、断面とは流路中の流れ方向に対して垂直方向の断面を意味し、断面積はその面積を意味する。流路の断面形状は、略正方形、長方形を含む矩形、台形や平行四辺形、三角形、五角形等の多角形状(これらの角が丸められた形状、アスペクト比の高い、すなわちスリット形状を含む。)、星形状、略正円、半円、略楕円状等の円状であっても良い。また、流路の断面形状は一定でなくても良い。
【0030】
流路のレイアウトは、直線、分岐、櫛型、曲線、渦巻き、つづら折り(ジグザグ)、その他任意の形状であって良い。流路は伝熱性容器に設置されていても良く、オイルバス、ウォーターバス等に浸漬されていても良い。さらに、流路が形成された伝熱性容器からなる装置として、表面に複数の溝部が形成された伝熱性プレート状構造体を積層してなる構造を有する装置を用いても良い。
【0031】
液体の導入方法として例えば、送液速度を制御可能なシリンジポンプに接続したシリンジを用いる方法、送液ポンプによる方法が挙げられる。各導入部から導入された液体は、各々流路を経由し、ミキサーで混合される。その後、混合された液体は流路を経由し、排出部から排出される。排出部には、排出された液体を受けるための容器を設置しても良く、例えば、混合場、抽出場、分離場、流量測定部、検出部、貯液槽、膜分離機構、デバイス内外への接続口、絡路、クロマトグラフィーや電気泳動の展開路、バルブ構造の一部(弁の周囲部分)、加圧機構、減圧機構などと接続していても良い。また、導入する液体の種類を増やしたり、同じ種類の液体を複数の導入部から導入したりするために、導入部を適宜増やしても良い。その場合、流路及びミキサーを適宜追加することができる。ミキサーの形状はT字型形状であっても良く、Y字型形状、その他任意の形状であって良い。また、3種以上の液体を1カ所で混合する場合には十字型形状であっても良い。
【0032】
フローリアクターとしては、連続層流式、液滴ベース又は強制薄膜式のいずれかの方式であることが好ましい。発光粒子の量子収率の高さと、コストを特に重視する場合、高温状態からの急速な冷却が容易であることから、連続層流フローリアクターを用いることが好ましい。発光粒子の発光スペクトルの半値幅の狭さを特に重視する場合、反応が液滴内でのみ進行することから、液滴ベースフローリアクターを用いることが好ましい。発光粒子の濃度の高さを特に重視する場合、反応液の粘度上昇による流速の変化が起こりにくく高濃度化が容易であることから、強制薄膜式フローリアクターを用いることが好ましい。
【0033】
上記連続層流フローリアクターに用いられる装置構成例を
図3に示す。連続層流フローリアクター装置100において、発光粒子の製造原料又は前駆体を含有する2種の液体を、異なる導入部110及び導入部120から導入する。各導入部から導入された液体は、各々流路111及び流路121を経由し、T字型ミキサー101で混合される。その後、混合された液体は流路131を経由し、排出部130から排出される。
【0034】
液滴ベースフローリアクターは、1種以上の液相流と、液滴を生成するためのキャリア液体としての非混和性液相流とを含む。導入された液体は独立した部分に分割されるため、逆混合が抑制される。液滴生成の設計として具体的には、T字型ミキサー、Y字型ミキサー、十字型ミキサーを使用した構成が挙げられる。T字型ミキサーを使用した液滴ベースフローリアクターに用いられる装置構成例を
図4に示す。液滴ベースフローリアクター装置200において、発光粒子の製造原料又は前駆体を含有する2種の液体を、異なる導入部210及び導入部220から導入する。各導入部から導入された液体は、各々流路211及び流路221を経由し、T字型ミキサー201で混合される。その後、混合された液体は流路231を経由し、T字型ミキサー202へ流入する。流路231から流入する液体とは非混和性のキャリア液体を、別の導入部240から導入する。キャリア液体は、流路241を経由しT字型ミキサー202へと流入し、流路231から流入する液体の液滴を形成する。流路231から流入する液体の液滴とキャリア液体は、流路251を経由し、排出部250から排出される。排出された液体から、キャリア液体を分離することによって、発光粒子を含有するコロイド溶液を得ることができる。
【0035】
強制薄膜式フローリアクターは、相対的に回転する2枚のディスク間に閉じ込められた微小空間微小空間を液体の流路とすることによって、液体の強制薄膜を形成する。強制薄膜式フローリアクターの具体例としては、強制薄膜式マイクロリアクターULREA(エム・テクニック社製)が挙げられる。強制薄膜式フローリアクターに用いる装置構成例を
図5に示す。
図5(a)は装置の断面図、
図5(b)は
図5(a)中のB-B’線断面図を表す。薄膜式フローリアクター装置300において、発光粒子の製造原料又は前駆体を含有する2種の液体を、異なる導入部310及び導入部320から導入する。導入部310から導入された液体は、流路311を経由し、回転可能なディスク302と、ディスク302に対して接近、離反可能なディスク301との間に形成された流路331へ、接続部312を通り送液される。その後、液体は処理用面303に形成された流路へと導入される。導入部320から導入された液体は、流路321を経由し、処理用面303に形成された流路へ、環状の接続部322を通り導入され、導入部310から導入された液体と混合される。その後、混合された液体は、2枚のディスク301及び302の外周に設けられた回収部304へと集められる。回収部304に集められた液体は、流路332を経由し排出部330から排出される。ディスク301の処理用面303に接する部位には、冷却用又は加熱用媒体を流すための流路が設けられており、処理用面303に形成された流路の温度を制御することができる。
【0036】
本実施形態の製造方法によって製造された発光粒子は、発光波長、溶液や組成物を構成した場合の分散安定性の観点から、体積平均径が9nm以上、80nm以下であることが好ましく、体積平均径が11nm以上、60nm以下であることがより好ましく、体積平均径が13nm以上、40nm以下であることがさらに好ましく、体積平均径が15nm以上、30nm以下であることが特に好ましい。
【0037】
本実施形態の製造方法によって製造された発光粒子は、発光波長、発光スペクトルの半値幅及びフィルム状に塗布した際の平滑性の観点から、下記の式(1)
SD=(d84%-d16%)/2 (1)
(式中、d84%は発光粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、累積カーブが84%となる点の粒子径(nm)を表し、d16%は発光粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、累積カーブが16%となる点の粒子径(nm)を表す。)で表されるSD値が1nm以上、40nm以下であることが好ましく、SD値が2nm以上、30nm以下であることがより好ましく、SD値が3nm以上、25nm以下であることがさらに好ましく、SD値が4nm以上、20nm以下であることがさらにより好ましく、SD値が5nm以上、15nm以下であることが特に好ましい。
【0038】
本実施形態の製造方法によって製造された発光粒子の体積平均径、d84%及びd16%は、市販の粒子径分布測定装置を使用して測定することができる。本実施形態では、体積平均径、d84%及びd16%は、粒子径分布測定装置NanotracWaveII-UT151(マイクロトラック・ベル社製、Nanotracは登録商標である。)を使用し動的光散乱法により求めた。データの測定および解析にはソフトウェア「Microtrac Application ver.11.1.0-257H(マイクロトラック・ベル社製)」を使用し、下記の条件を用いた。
溶媒:トルエン
セル温度:25℃
溶媒屈折率:1.50
溶媒粘度:0.590cP(20℃)、0.526cP(30℃)
測定時間:300秒
測定回数:1回
粒子屈折率:1.81
透過性:透過
粒子形状:非球形
粒子密度:4.42g/cm3
【0039】
本実施形態の製造方法によって製造された発光粒子は、溶媒に分散したコロイド溶液として得ることができる。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液は、精製によって、過剰の製造原料又は前駆体、配位子、不純物、望ましくない粒子サイズを有する粒子等を除去することが好ましい。精製方法としては、濾過、再沈殿、抽出、遠心分離、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフ等が挙げられる。作業の容易さ、コストの観点から、得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、遠心分離により精製することが好ましい。精製した発光粒子は、有機溶媒に再分散させても良く、乾燥させて固体として取り出しても良い。次工程にすぐに使用しない場合は、光学特性の安定性及び分散安定性の観点から、精製した発光粒子はコロイド溶液とすることが好ましい。精製後の発光粒子を分散させる有機溶媒としては、低極性の溶媒が好ましい。有機溶媒として具体的には、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンが挙げられる。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液は、光学物性の安定性の観点から、水、アルコール等の不純物をなるべく含有しないことが好ましい。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液において、水又はアルコールは1.0%以下であることが好ましく、水又はアルコールは0.1%以下であることがより好ましく、水又はアルコールは100ppm以下であることが特に好ましい。
【0040】
本実施形態の製造方法は、発光粒子の製造原料又は前駆体を含有する少なくとも2種の液体を、異なる流路から導入し流体中で反応させることにより、前記発光粒子を含有するコロイド溶液を製造する工程と、前記発光粒子と光重合性化合物とを混合し、発光粒子含有組成物を製造する工程とを含むことが好ましい。前記発光粒子含有組成物を製造する工程において、発光粒子を含有するコロイド溶液をそのまま光重合性化合物と混合しても良く、発光粒子を含有するコロイド溶液から溶媒を除去した後に光重合性化合物と混合しても良い。混合する光重合性化合物は、好ましくは光の照射によって重合する光ラジカル重合性化合物であり、光重合性のモノマーまたはオリゴマーであってよい。これらは、光重合開始剤と共に用いられる。光重合性化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。光ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリレートであってよく、(メタ)アクリロイル基を複数有する多官能(メタ)アクリレートであっても良い。インク組成物を調製した際の流動性に優れる観点、吐出安定性により優れる観点および発光粒子塗膜製造時における硬化収縮に起因する平滑性の低下を抑制し得る観点から、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを組み合わせて用いることが好ましい。発光粒子含有組成物中に含まれる光重合性化合物の量は、40質量%以上、80質量%以下であることが好ましく、45質量%以上、75質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上、70質量%以下であることが特に好ましい。光重合開始剤としては、アルキルフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物及びオキシムエステル系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0041】
発光粒子含有組成物を製造する工程において、光重合性化合物及び光重合開始剤以外の成分を混合しても良い。具体的には、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、レベリング剤、光散乱性粒子が挙げられる。
【0042】
重合禁止剤として具体的には、p-メトキシフェノール、クレゾール、t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン等のキノン系化合物、p-フェニレンジアミン、4-アミノジフェニルアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン等のアミン系化合物、フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート等のチオエーテル系化合物、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルフリーラジカル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルフリーラジカル等のN-オキシル化合物、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソフェニルナフチルアミン、N-ニトロソジナフチルアミン等のニトロソ系化合物が挙げられる。重合禁止剤の添加量は、発光粒子含有組成物に含まれる光重合性化合物の総量に対して、0.01質量%以上、1.0質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
【0043】
酸化防止剤として具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(「IRGANOX1010」(IRGANOXは登録商標である。))、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(「IRGANOX1035」)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(「IRGANOX1076」)が挙げられる。酸化防止剤の添加量は、発光粒子含有組成物に含まれる光重合性化合物の総量に対して、0.01質量%以上、2.0質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上、1.0質量%以下であることが特に好ましい。
【0044】
分散剤として具体的には、TOP(トリオクチルフォスフィン)、TOPO(トリオクチルフォスフィンオキサイド)、ヘキシルホスホン酸(HPA)等のリン原子含有化合物、オレイルアミン、オクチルアミン、トリオクチルアミン等の窒素原子含有化合物、1-デカンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール等の硫黄原子含有化合物、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の高分子分散剤、DISPERBYK(ビックケミー社製、登録商標)、TEGO Dispers(エボニック社製、TEGOは登録商標である。)、EFKA(BASF社製、登録商標)、SOLSPERSE(日本ルーブリゾール社製、登録商標)、アジスパー(味の素ファインテクノ社製、登録商標)、DISPARLON(楠本化成社製、登録商標)、フローレン(共栄社化学社製)が挙げられる。分散剤の添加量は、発光粒子含有組成物に含まれる光重合性化合物の総量に対して、0.05質量%以上、10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上、5質量%以下であることが特に好ましい。
【0045】
レベリング剤として具体的には、「メガファックF-114」、「メガファックF-251」、「メガファックF-281」(以上、DIC社製、メガファックは登録商標である。)、「フタージェント100」、「フタージェント100C」、「フタージェント110」(以上、ネオス社製、フタージェントは登録商標である。)、「BYK-300」、「BYK-302」、「BYK-306」(以上、BYK社製、BYKは登録商標である。)、「TEGO Rad2100」、「TEGO Rad2011」、「TEGO Rad2200N」(以上、エボニック社製、TEGOは登録商標である。)、「DISPARLON OX-880EF」、「DISPARLON OX-881」、「DISPARLON OX-883」(以上、楠本化成社製、DISPARLONは登録商標である。)、「ポリフローNo.7」、「フローレンAC-300」、「フローレンAC-303」(以上、共栄社化学社製)が挙げられる。レベリング剤の添加量は、発光粒子含有組成物に含まれる光重合性化合物の総量に対して、0.005質量%以上、2質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
【0046】
光散乱性粒子は光学的に不活性な無機微粒子であることが好ましい。光散乱性粒子として具体的には、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムが挙げられる。
【0047】
以上、本発明の発光粒子の製造方法及び発光粒子含有組成物の製造方法の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、本発明の発光粒子の製造方法及び発光粒子含有組成物の製造方法は、各々上述した実施形態の構成において、他の任意の構成を追加して有していても良く、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていても良い。また、本発明の発光粒子の製造方法は、上述した実施形態の構成において、他の任意の目的の工程を有していても良く、同様の効果を発揮する任意の工程と置換することもできる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。MAはメチルアンモニウム、FAはホルムアミジニウムを表す。
1.発光粒子の製造原料又は前駆体を含有する液体の調製
《1価の陽イオンAを含有する液体の調製》
(液体LR1-1)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに炭酸セシウム2.4g、オレイン酸25mL、1-オクタデセン250mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(15±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除した。140℃に昇温し、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR1-2)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに炭酸ルビジウム2.4g、炭酸セシウム1.5g、オレイン酸25mL、1-オクタデセン260mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(9±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除した。140℃に昇温し、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR1-3)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化メチルアンモニウム(MABr)3.2g、オレイン酸25mL、1-オクタデセン250mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(17±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除し、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR1-4)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコにホルムアミジン酢酸塩3.2g、オレイン酸100mL、1-オクタデセン200mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(15±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除し、均一な溶液となるまで撹拌した。
【0049】
《金属イオンBとハロゲン化物イオンXとを含有する液体の調製》
(液体LR2-1)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化鉛(II)2.7g、オレイン酸20mL、1-オクタデセン200mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(15±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除し、式(L1-1)で表される化合物20mLを加えた。140℃に昇温し、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR2-2)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化鉛(II)3.6g、オレイン酸60mL、1-オクタデセン200mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(20±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除し、式(L1-1)で表される化合物60mLを加えた。140℃に昇温し、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR2-3)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化鉛(II)2.7g、オレイン酸20mL、1-オクタデセン200mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(6±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除し、式(L1-2)で表される化合物20mLを加えた。140℃に昇温し、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR2-4)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化鉛(II)2.7g、オレイン酸20mL、1-オクタデセン200mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(15±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除し、式(L1-3)で表される化合物20mLを加えた。140℃に昇温し、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR2-5)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化鉛(II)2.0g、ヨウ化鉛(II)0.9g、オレイン酸20mL、1-オクタデセン200mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(10±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除し、式(L1-1)で表される化合物20mLを加えた。140℃に昇温し、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR2-6)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに塩化鉛(II)0.2g、臭化鉛(II)2.4g、オレイン酸20mL、トリオクチルホスフィン10mL、1-オクタデセン200mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(15±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除し、式(L1-1)で表される化合物20mLを加え、150℃に昇温し、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR2-7)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化鉛(II)2.7g、オレイン酸36mL、1-オクタデセン310mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(15±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除し、式(L1-1)で表される化合物20mLを加えた。140℃に昇温し、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR3-1)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化鉛(II)2.7g、オレイン酸20mL、1-オクタデセン200mLを加えた。真空ポンプで減圧しながら(15±3kPa)、120℃で30分間加熱撹拌した。アルゴン雰囲気のまま減圧を解除し、オレイルアミン20mLを加えた。140℃に昇温し、均一な溶液となるまで撹拌した。
【0050】
《1価の陽イオンA、金属イオンB及びハロゲン化物イオンXを含有する液体の調製》
(液体LR4-1)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化セシウム1.7g、臭化鉛(II)2.9g、脱水したN,N-ジメチルホルムアミド200mLを加え、室温で撹拌し溶解させた。式(L1-1)で表される化合物4mLを加え、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR4-2)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化ルビジウム0.9g、臭化セシウム0.5g、臭化鉛(II)2.9g、脱水したN,N-ジメチルホルムアミド200mLを加え、室温で撹拌し溶解させた。式(L1-1)で表される化合物4mLを加え、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR4-3)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化メチルアンモニウム(MABr)0.9g、臭化鉛(II)2.9g、脱水したN,N-ジメチルホルムアミド200mLを加え、室温で撹拌し溶解させた。式(L1-1)で表される化合物4mLを加え、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR4-4)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化セシウム1.7g、臭化鉛(II)2.9g、脱水したN,N-ジメチルホルムアミド200mLを加え、室温で撹拌し溶解させた。式(L1-2)で表される化合物4mLを加え、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR4-5)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化セシウム1.7g、臭化鉛(II)2.9g、脱水したN,N-ジメチルホルムアミド200mLを加え、室温で撹拌し溶解させた。式(L1-3)で表される化合物4mLを加え、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR4-6)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化セシウム1.3g、ヨウ化セシウム0.4g、臭化鉛(II)2.2g、ヨウ化鉛(II)0.9g、脱水したN,N-ジメチルホルムアミド200mLを加え、室温で撹拌し溶解させた。式(L1-1)で表される化合物4mLを加え、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR4-7)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに塩化セシウム0.1g、臭化セシウム1.2g、塩化鉛(II)0.2g、臭化鉛(II)2.6g、脱水したN,N-ジメチルホルムアミド200mLを加え、室温で撹拌し溶解させた。式(L1-1)で表される化合物4mLを加え、均一な溶液となるまで撹拌した。
(液体LR5-1)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに臭化セシウム1.7g、臭化鉛(II)2.9g、脱水したN,N-ジメチルホルムアミド200mLを加え、室温で撹拌し溶解させた。オレイルアミン4mLを加え、均一な溶液となるまで撹拌した。
【0051】
《配位子を含有する液体の調製》
(液体LR6-1)
アルゴン雰囲気下、3口フラスコにオレイン酸4mL、脱水したトルエン200mLを加え、室温で撹拌し溶解させた。
【0052】
2.発光粒子の製造
(比較例1)バッチリアクターを用いた製造
アルゴン雰囲気下、3口フラスコに液体LR2-1を4mL加え140℃で加熱撹拌した。シリンジで液体LR1-1を1mL採取し、3口フラスコに素早く注入した。140℃で5秒間加熱撹拌した後、3口フラスコを氷水で急冷した。反応液が凝固するまで冷却した後、室温まで昇温することにより、発光粒子を含有するコロイド溶液を得た。撹拌子を備えたガラス製バイアルに酢酸メチル15mLを加えた。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液5mLをピペットで採取し、撹拌しながら加えた。得られた懸濁液を高速冷却遠心機Avanti J-E(Beckman Coulter社製、Avantiは登録商標)を用いて、25℃、10,000rpm(12,096×g)で1分間遠心分離した。上澄み液を除去し、得られた固形物にトルエン10mLを加え振り混ぜ溶解させた。得られたコロイド溶液を25℃、10,000rpm(12,096×g)で3分間遠心分離した。沈殿物を除去し、CsPbBr3を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0053】
(比較例2)バッチリアクターを用いた製造
比較例1において、液体LR1-1を液体LR1-2に置き換えた以外は同様の方法によって、Rb0.7Cs0.3PbBr3を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0054】
(比較例3)バッチリアクターを用いた製造
比較例1において、液体LR1-1を液体LR1-3に置き換えた以外は同様の方法によって、MAPbBr3を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0055】
(比較例4)バッチリアクターを用いた製造
比較例1において、液体LR2-1を液体LR2-2に置き換えた以外は同様の方法によって、CsPbBr3を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0056】
(比較例5)バッチリアクターを用いた製造
比較例1において、液体LR2-1を液体LR2-5に置き換えた以外は同様の方法によって、CsPbBr2.25I0.75を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0057】
(比較例6)バッチリアクターを用いた製造
比較例1において、液体LR2-1を液体LR2-6に置き換えた以外は同様の方法によって、CsPbCl0.3Br2.7を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0058】
(比較例7)バッチリアクターを用いた製造
比較例1において、液体LR1-1を液体LR1-4に、液体LR2-1を液体LR2-7に置き換えた以外は同様の方法によって、FAPbBr3を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0059】
(比較例8)バッチリアクターを用いた製造
アルゴン雰囲気下、撹拌子を備えた3口フラスコに液体LR6-1を6mL加えた。シリンジで液体LR4-1を0.3mL採取し、撹拌しながら3口フラスコに素早く注入した。室温で撹拌することにより、発光粒子を含有するコロイド溶液を得た。撹拌子を備えたガラス製バイアルに酢酸メチル18mLを加えた。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液6mLをピペットで採取し、撹拌しながら加えた。得られた懸濁液を高速冷却遠心機Avanti J-E(Beckman Coulter社製、Avantiは登録商標)を用いて、25℃、10,000rpm(12,096×g)で1分間遠心分離した。上澄み液を除去し、得られた固形物にトルエン10mLを加え振り混ぜ溶解させた。得られたコロイド溶液を25℃、10,000rpm(12,096×g)で3分間遠心分離した。沈殿物を除去し、CsPbBr3を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0060】
(比較例9)バッチリアクターを用いた製造
比較例8において、液体LR4-1を液体LR4-2に置き換えた以外は同様の方法によって、Rb0.7Cs0.3PbBr3を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0061】
(比較例10)バッチリアクターを用いた製造
比較例8において、液体LR4-1を液体LR4-3に置き換えた以外は同様の方法によって、MAPbBr3を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0062】
(比較例11)バッチリアクターを用いた製造
比較例8において、液体LR4-1の量を0.6mLに変更した以外は同様の方法によって、CsPbBr3を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0063】
(比較例12)バッチリアクターを用いた製造
比較例8において、液体LR4-1を液体LR4-6に置き換えた以外は同様の方法によって、CsPbBr2.25I0.75を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0064】
(比較例13)バッチリアクターを用いた製造
比較例8において、液体LR4-1を液体LR4-7に置き換えた以外は同様の方法によって、CsPbCl0.3Br2.7を含む発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。
【0065】
比較例1から比較例13において製造した発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を測定した。測定結果を下記の表1及び表2に示した。比較例1から比較例12における収率は、1価の陽イオンAを基準とし、比較例13における収率は、ハロゲン化物イオンXを基準とした。発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液に含まれる半導体ナノ粒子成分をABX3とし、原料として使用した1価の陽イオンAあるいはハロゲン化物イオンXの物質量に対するABX3の物質量の割合として求めた。発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液に含まれる半導体ナノ粒子成分ABX3の物質量は、発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液の400nmにおける吸光度を分光光度計(UV-Vis/NIR)U-4100(日立ハイテクサイエンス社製)を使用し求めた。半導体ナノ粒子成分ABX3のモル吸光係数は、The Journal of Physical Chemistry Letters誌、2018年、9巻、11号、3093-3097頁に記載のCsPbBr3ナノ粒子についてのε値(2.42±0.04)×10-2×d3(cm-1・μM-1)を使用した(dは半導体ナノ粒子成分ABX3の平均エッジ長を表す。)。半導体ナノ粒子成分ABX3の平均エッジ長dは、原子分解能電子顕微鏡JEM-ARM300F GRAND ARM(日本電子社製)を使用し、グリッド上の様々な領域に存在する250個の粒子についてTEM画像を撮影し、得られたTEM画像から長さを計測しその平均値を求めた。絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)及び発光スペクトル半値幅(FWHM)は、絶対PL量子収率測定装置Quantaurus-QY(浜松ホトニクス社製、登録商標)を使用し励起波長400nmにより求めた。体積平均径(MV)及びSD値は、前記の測定装置、解析ソフトウェア及び条件を使用し求めた。
【0066】
【0067】
【0068】
(実施例1から実施例13)連続層流フローリアクターを用いた製造
図6に示される連続層流フローリアクター装置400を用いて、実施例1~13の発光粒子の製造を行った。前記1価の陽イオンAを含有する液体LR1-1~LR1-4を第1の液体として用い、前記金属イオンB及びハロゲン化物イオンXを含有する液体LR2-1~LR2-7を第2の液体として用いる。連続層流フローリアクター装置400において、第1の液体及び第2の液体を各々採取したガスタイトシリンジ(Hamilton社製)をシリンジポンプ(Cetoni社製)に固定し、ガスタイトシリンジのルアーロックコネクターを各々導入部410及び導入部420に接続した。配管411(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)、配管421(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)、配管431(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)及び配管432(内径0.8mm、外径1/16”、長さ50cm)はいずれもステンレスチューブを用いた。T字型ミキサー401は流路内径0.25mmのステンレス製マイクロミキサー(三幸精機工業社製)を使用した。配管411、配管421、配管431及びT字型ミキサー401はオイルバス402に浸漬し、下記の表3に記載した温度に設定した。配管432は20℃のクーリングバス403に浸漬した。排出部430に、排出される液体を受けるためのガラス瓶を設置した。実施例番号、第1の液体の種類及び流速、第2の液体の種類及び流速、オイルバスの設定温度並びに得られる半導体化合物ABX
3の濃度の計算値を下記の表3に示した。
【0069】
【0070】
撹拌子を備えたガラス製バイアルに酢酸メチル15mLを加えた。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液5mLをピペットで採取し、撹拌しながら加えた。得られた懸濁液を高速冷却遠心機Avanti J-E(Beckman Coulter社製)を用いて、25℃、10,000rpm(12,096×g)で1分間遠心分離した。上澄み液を除去し、得られた固形物にトルエン10mLを加え振り混ぜ溶解させた。得られたコロイド溶液を25℃、10,000rpm(12,096×g)で3分間遠心分離した。沈殿物を除去し、発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液を得た。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を測定した。測定結果を下記の表4に示した。実施例1から実施例12における収率は、1価の陽イオンAを基準とし、比較例13における収率は、ハロゲン化物イオンXを基準とした。発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液に含まれる半導体ナノ粒子成分をABX3とし、原料として使用した1価の陽イオンA、あるいはハロゲン化物イオンXの物質量に対するABX3の物質量の割合として求めた。発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液に含まれる半導体ナノ粒子成分ABX3の物質量は、発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液の400nmにおける吸光度を分光光度計(UV-Vis/NIR)U-4100(日立ハイテクサイエンス社製)を使用し求めた。半導体ナノ粒子成分ABX3のモル吸光係数は、The Journal of Physical Chemistry Letters誌、2018年、9巻、11号、3093-3097頁に記載のCsPbBr3ナノ粒子についてのε値(2.42±0.04)×10-2×d3(cm-1・μM-1)を使用した(dは半導体ナノ粒子成分ABX3の平均エッジ長を表す。)。半導体ナノ粒子成分ABX3の平均エッジ長dは、原子分解能電子顕微鏡JEM-ARM300F GRAND ARM(日本電子社製)を使用し、グリッド上の様々な領域に存在する250個の粒子についてTEM画像を撮影し、得られたTEM画像から長さを計測しその平均値を求めた。絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)及び発光スペクトル半値幅(FWHM)は、絶対PL量子収率測定装置Quantaurus-QY(浜松ホトニクス社製)を使用し励起波長400nmにより求めた。体積平均径(MV)及びSD値は、前記の測定装置、解析ソフトウェア及び条件を使用し求めた。
【0071】
【0072】
実施例1から実施例13の製造方法によって製造した発光粒子は、比較例1から比較例7に示したバッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、収率が高いことがわかる。また、PLQYが高く、FWHMが小さいことから、優れた光学特性を有することがわかる。また、実施例1から実施例13の製造方法によって製造した発光粒子は、バッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、体積平均径が小さく、SD値が小さいことから、粒子サイズのばらつきが少ないことがわかる。
【0073】
(比較例14)連続層流フローリアクターを用いた製造
実施例1において、液体LR2-1を液体LR3-1に置き換えた以外は同様の方法によって、発光粒子の製造を行った。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、実施例1から実施例13と同様の方法によって精製した。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、1価の陽イオンAを基準とした収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を同様の方法によって測定した。測定結果を下記の表5に示した。
【0074】
【0075】
(実施例14から実施例23)液滴ベースフローリアクターを用いた製造
図7に示される液滴ベースフローリアクター装置500を用いて、発光粒子の製造を行った。液滴ベースフローリアクター装置500において、第1の液体、第2の液体及びキャリア液体としてパーフルオロポリエーテルフッ素系流体Galden PFPE(SOLVAY社製)を各々採取したガスタイトシリンジ(Hamilton社製)をシリンジポンプ(Cetoni社製)に固定し、ガスタイトシリンジのルアーロックコネクターを各々導入部510、導入部520及び導入部530に接続した。配管511(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)、配管521(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)、配管531(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)、配管541(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)及び配管542(内径0.5mm、外径1/16”、長さ50cm)はいずれも四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)製チューブを用いた。十字型ミキサー501はスルーホール径0.50mmのポリエーテルエーテルケトン樹脂製ユニオン継手(IDEX Health & Science社製)を使用した。配管511、配管521、配管531、配管541及び十字型ミキサー501はオイルバス502に浸漬し、下記の表6に記載した温度に設定した。配管542は20℃のクーリングバス503に浸漬した。排出部540に、排出される液体を受けるためのガラス瓶を設置した。実施例番号、第1の液体の種類及び流速、第2の液体の種類及び流速、キャリア液体の流速、オイルバスの設定温度並びに得られる半導体化合物ABX
3の濃度の計算値を下記の表6に示した。但し、半導体化合物ABX
3はキャリア液体には含まれず、キャリア液体を除いた液体中の濃度を計算値とした。
【0076】
【0077】
得られた発光粒子を含有するコロイド溶液とキャリア液体との混合物から、キャリア液体を分液処理によって分離した。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、実施例1から実施例10と同様の方法によって精製した。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、1価の陽イオンAを基準とした収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を同様の方法によって測定した。測定結果を下記の表7に示した。
【0078】
【0079】
実施例14から実施例23の製造方法によって製造した発光粒子は、比較例1から比較例7に示したバッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、収率が高いことがわかる。また、PLQYが高く、FWHMが小さいことから、優れた光学特性を有することがわかる。また、実施例14から実施例23の製造方法によって製造した発光粒子は、バッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、体積平均径が小さく、SD値が小さいことから、粒子サイズのばらつきが少ないことがわかる。さらに、実施例14から実施例23に示したように、液滴ベースフローリアクターを用いて製造した発光粒子は、実施例1から実施例13に示した連続層流フローリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、PLQYは同等であり、FWHMが小さいことがわかる。
【0080】
(比較例15)液滴ベースフローリアクターを用いた製造
実施例14において、液体LR2-1に代えて液体LR3-1を用いた以外は同様の方法によって、発光粒子の製造を行った。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、実施例1から実施例13と同様の方法によって精製した。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、1価の陽イオンAを基準とした収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を同様の方法によって測定した。測定結果を下記の表8に示した。
【0081】
【0082】
(実施例24から実施例33)強制薄膜式フローリアクターを用いた製造
図8に示される強制薄膜式フローリアクター装置600を用いて、発光粒子の製造を行った。この装置600を構成するリアクター本体として、強制薄膜式マイクロリアクターULREA(エム・テクニック社製)を使用した。リアクター本体は、接近且つ離反可能なディスク601と、回転可能なディスク602と、処理用面603と、回収部604とを備える。強制薄膜式フローリアクター装置600において、第1の液体を採取したガスタイトシリンジ(Hamilton社製)をシリンジポンプ(Cetoni社製)に固定し、ガスタイトシリンジのルアーロックコネクターを導入部620に接続した。また、第2の液体を採取したガスタイトシリンジ(Hamilton社製)をシリンジポンプ(Cetoni社製)に固定し、ガスタイトシリンジのルアーロックコネクターを導入部610に接続した。配管611(内径0.5mm、外径1/16”、長さ50cm)、配管621(内径0.5mm、外径1/16”、長さ50cm)、及び配管632(内径0.8mm、外径1/16”、長さ100cm)はいずれもステンレスチューブを用いた。配管611及び配管621はオイルバス605に浸漬し、下記の表9に記載した温度に設定した。ディスク601の処理用面603に接する部位には20℃の冷却媒体を循環させた。排出部630に、排出される液体を受けるためのガラス瓶を設置した。ディスクの回転数を1000rpmとした。第2の液体の供給圧力は0.2MPaであった。実施例番号、第1の液体の種類及び流速、第2の液体の種類及び流速、オイルバスの設定温度並びに得られる半導体化合物ABX
3の濃度の計算値を下記の表9に示した。
【0083】
【0084】
得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、実施例1から実施例13と同様の方法によって精製した。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、1価の陽イオンAを基準とした収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を同様の方法によって測定した。測定結果を下記の表10に示した。
【0085】
【0086】
実施例24から実施例33の製造方法によって製造した発光粒子は、比較例1から比較例6に示したバッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、収率が高いことがわかる。また、PLQYが高く、FWHMが小さいことから、優れた光学特性を有することがわかる。また、実施例24から実施例33の製造方法によって製造した発光粒子は、バッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、体積平均径が小さく、SD値が小さいことから、粒子サイズのばらつきが少ないことがわかる。さらに、実施例24から実施例33に示したように、強制薄膜式フローリアクターを用いて製造した発光粒子は、実施例1から実施例13に示した連続層流フローリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、PLQYはやや低く、FWHMが同等であることがわかる。実施例24から実施例33に示したように、強制薄膜式フローリアクターを用いて製造した発光粒子は、実施例14から実施例23に示した液滴ベースフローリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、PLQYはやや低く、FWHMはやや大きいことがわかる。また、実施例29に示すように、強制薄膜式フローリアクターを用いて、濃度の高い発光粒子のコロイド溶液を製造した場合、実施例8及び実施例19に示した連続層流フローリアクター及び液滴ベースフローリアクターを用いて製造した場合と比較して、収率が高く、PLQYは高く、FWHMが小さいことから、高濃度化した際にも粘度の影響を受けにくく、高収率で優れた光学特性を有する発光粒子を製造可能であることがわかる。
【0087】
(比較例16)強制薄膜式フローリアクターを用いた製造
実施例24において、液体LR2-1を液体LR3-1に置き換えた以外は同様の方法によって、発光粒子の製造を行った。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、実施例1から実施例13と同様の方法によって精製した。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、1価の陽イオンAを基準とした収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を同様の方法によって測定した。測定結果を下記の表11に示した。
【0088】
【0089】
(実施例34から実施例41)連続層流フローリアクターを用いた製造
図9に示される連続層流フローリアクター700を用いて、発光粒子の製造を行った。連続層流フローリアクター700において、第1の液体及び第2の液体を各々採取したガスタイトシリンジ(Hamilton社製)をシリンジポンプ(Cetoni社製)に固定し、ガスタイトシリンジのルアーロックコネクターを各々導入部710及び導入部720に接続した。配管711(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)、配管721(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)及び配管731(内径0.5mm、外径1/16”、長さ200cm)はいずれもステンレスチューブを用いた。T字型ミキサー701は流路内径0.25mmのステンレス製マイクロミキサー(三幸精機工業社製)を使用した。排出部730に、排出される液体を受けるためのガラス瓶を設置した。実施例番号、第1の液体の種類及び流速、第2の液体の種類及び流速並びに得られる半導体化合物ABX
3の濃度の計算値を下記の表12に示した。
【0090】
【0091】
得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、実施例1から実施例13と同様の方法によって精製した。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、1価の陽イオンAを基準とした収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を同様の方法によって測定した。測定結果を下記の表13に示した。
【0092】
【0093】
実施例34から実施例41の製造方法によって製造した発光粒子は、比較例8から比較例13に示したバッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、収率が高いことがわかる。また、PLQYが高く、FWHMが小さいことから、優れた光学特性を有することがわかる。また、実施例34から実施例41の製造方法によって製造した発光粒子は、バッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、体積平均径が小さく、SD値が小さいことから、粒子サイズのばらつきが少ないことがわかる。
【0094】
(比較例17)連続層流フローリアクターを用いた製造
実施例34において、液体LR4-1を液体LR5-1に置き換えた以外は同様の方法によって、発光粒子の製造を行った。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、実施例1から実施例13と同様の方法によって精製した。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、1価の陽イオンAを基準とした収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を同様の方法によって測定した。測定結果を下記の表14に示した。
【0095】
【0096】
(実施例42から実施例49)液滴ベースフローリアクターを用いた製造
図10に示される液滴ベースフローリアクター800を用いて、発光粒子の製造を行った。液滴ベースフローリアクター800において、第1の液体、第2の液体及びキャリア液体としてパーフルオロポリエーテルフッ素系流体Galden PFPE(SOLVAY社製)を各々採取したガスタイトシリンジ(Hamilton社製)をシリンジポンプ(Cetoni社製)に固定し、ガスタイトシリンジのルアーロックコネクターを各々導入部810、導入部820及び導入部830に接続した。配管811(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)、配管821(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)、配管831(内径0.5mm、外径1/16”、長さ20cm)及び配管841(内径0.5mm、外径1/16”、長さ300cm)はいずれも四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)製チューブを用いた。十字型ミキサー801はスルーホール径0.50mmのポリエーテルエーテルケトン樹脂製ユニオン継手(IDEX Health & Science社製)を使用した。排出部840に、排出される液体を受けるためのガラス瓶を設置した。実施例番号、第1の液体の種類及び流速、第2の液体の種類及び流速、キャリア液体の流速並びに得られる半導体化合物ABX
3の濃度の計算値を下記の表15に示した。但し、半導体化合物ABX
3はキャリア液体には含まれず、キャリア液体を除いた液体中の濃度を計算値とした。
【0097】
【0098】
得られた発光粒子を含有するコロイド溶液とキャリア液体との混合物から、キャリア液体を分液処理によって分離した。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、実施例1から実施例13と同様の方法によって精製した。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、1価の陽イオンAを基準とした収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を同様の方法によって測定した。測定結果を下記の表16に示した。
【0099】
【0100】
実施例42から実施例49の製造方法によって製造した発光粒子は、比較例8から比較例13に示したバッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、収率が高いことがわかる。また、PLQYが高く、FWHMが小さいことから、優れた光学特性を有することがわかる。また、実施例42から実施例49の製造方法によって製造した発光粒子は、バッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、体積平均径が小さく、SD値が小さいことから、粒子サイズのばらつきが少ないことがわかる。さらに、実施例42から実施例49に示したように、液滴ベースフローリアクターを用いて製造した発光粒子は、実施例34から実施例41に示した連続層流フローリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、PLQYは同等であり、FWHMが小さいことがわかる。
【0101】
(比較例18)液滴ベースフローリアクターを用いた製造
実施例39において、液体LR4-1を液体LR5-1に置き換えた以外は同様の方法によって、発光粒子の製造を行った。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、実施例1から実施例13と同様の方法によって精製した。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、1価の陽イオンAを基準とした収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を同様の方法によって測定した。測定結果を下記の表17に示した。
【0102】
【0103】
(実施例50から実施例57)強制薄膜式フローリアクターを用いた製造
図11に示される強制薄膜式フローリアクター装置900を用いて発光粒子の製造を行った。この装置900を構成するリアクター本体として、強制薄膜式マイクロリアクターULREA(エム・テクニック社製)を使用した。リアクター本体は、接近且つ離反可能なディスク901と、回転可能なディスク902と、処理用面903と、回収部904とを備える。強制薄膜式フローリアクター装置900において、第1の液体を採取したガスタイトシリンジ(Hamilton社製)をシリンジポンプ(Cetoni社製)に固定し、ガスタイトシリンジのルアーロックコネクターを導入部920に接続した。また、第2の液体を採取したガスタイトシリンジ(Hamilton社製)をシリンジポンプ(Cetoni社製)に固定し、ガスタイトシリンジのルアーロックコネクターを導入部910に接続した。配管911(内径0.5mm、外径1/16”、長さ50cm)、配管921(内径0.5mm、外径1/16”、長さ50cm)、及び配管932(内径0.8mm、外径1/16”、長さ100cm)はいずれもステンレスチューブを用いた。排出部930に、排出される液体を受けるためのガラス瓶を設置した。ディスクの回転数を1000rpmとした。第2の液体の供給圧力は0.2MPaであった。実施例番号、第1の液体の種類及び流速、第2の液体の種類及び流速並びに得られる半導体化合物ABX
3の濃度の計算値を下記の表18に示した。
【0104】
【0105】
得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、実施例1から実施例13と同様の方法によって精製した。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、1価の陽イオンAを基準とした収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を同様の方法によって測定した。測定結果を下記の表19に示した。
【0106】
【0107】
実施例50から実施例57の製造方法によって製造した発光粒子は、比較例8から比較例13に示したバッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、収率が高いことがわかる。また、PLQYが高く、FWHMが小さいことから、優れた光学特性を有することがわかる。また、実施例50から実施例57の製造方法によって製造した発光粒子は、バッチリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、体積平均径が小さく、SD値が小さいことから、粒子サイズのばらつきが少ないことがわかる。さらに、実施例50から実施例57に示したように、強制薄膜式フローリアクターを用いて製造した発光粒子は、実施例34から実施例41に示した連続層流フローリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、PLQYが高く、FWHMが同等かやや小さいことがわかる。実施例50から実施例57に示したように、強制薄膜式フローリアクターを用いて製造した発光粒子は、実施例42から実施例49に示した液滴ベースフローリアクターを用いて製造した発光粒子と比較して、PLQYは高く、FWHMは同等かやや小さいことがわかる。また、実施例53に示すように、強制薄膜式フローリアクターを用いて、濃度の高い発光粒子のコロイド溶液を製造した場合、実施例37及び実施例45に示した連続層流フローリアクター及び液滴ベースフローリアクターを用いて製造した場合と比較して、収率が高く、PLQYは高く、FWHMが小さいことから、高濃度化した際にも粘度の影響を受けにくく、高収率で優れた光学特性を有する発光粒子を製造可能であることがわかる。
【0108】
(比較例19)強制薄膜式フローリアクターを用いた製造
実施例50において、液体LR4-1を液体LR5-1に置き換えた以外は同様の方法によって、発光粒子の製造を行った。得られた発光粒子を含有するコロイド溶液を、実施例1から実施例13と同様の方法によって精製した。得られた発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液について、1価の陽イオンAを基準とした収率、絶対量子収率(PLQY)、発光スペクトルピーク値(λem)、発光スペクトル半値幅(FWHM)、体積平均径(MV)及びSD値を同様の方法によって測定した。測定結果を下記の表20に示した。
【0109】
【0110】
(実施例58から実施例114、比較例20から比較例38)発光粒子含有組成物の製造、発光粒子を含有するフィルムの製造及び評価
撹拌子を備えたガラス製バイアルに酢酸メチル9mLを加えた。実施例1から実施例54、比較例1から比較例18において製造した、発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液各3mLをピペットで採取し、撹拌しながら加えた。得られた懸濁液を遠心機IKA G-L(IKA社製)を用いて、10,000rpmで5分間遠心分離した。上澄み液を除去することにより、発光粒子を含有する固形物を得た。
波長500nm以下の光をカットしたクリーンルーム内で、撹拌子を備えたガラス製バイアルに、ライトアクリレートL-A(共栄社化学社製)65質量部、ライトアクリレート1.6HX-A(共栄社化学社製)32質量部及びOmnirad TPO(IGM Resin社製)3質量部を加え、室温で撹拌し溶解させた。発光粒子を含有する固形物1.5質量部を加え、室温で撹拌し溶解させることによって、発光粒子含有組成物を製造した。得られた発光粒子含有組成物を、メンブレンフィルター(孔径0.50μm)により濾過した。得られた濾過後の発光粒子含有組成物を、ガラス基板EagleXG(コーニング社製)に滴下し、スピンコーターMS-B100(ミカサ社製)を用いて、膜厚が約10μmとなるようにスピンコートした。得られた塗布膜に対し、窒素雰囲気下、主波長が395nmのUV光を、積算光量が10J/cm2になるように照射することによって、発光粒子を含有するフィルムを製造した。
【0111】
(耐熱性の評価)
得られた発光粒子を含有する各フィルムについて、遮光下、空気中、80℃、50%RHで5時間加熱した。加熱前後におけるフィルムの絶対量子収率(PLQY)を測定し、加熱処理後PLQY保持率(%)を求めた。加熱処理後PLQY保持率(%)は、下記の式(a)によって算出した。
加熱処理後PLQY保持率(%)=
(加熱後のフィルムのPLQY)/(加熱前のフィルムのPLQY)*100 (a)
【0112】
(耐光性の評価)
得られた発光粒子を含有する各フィルムについて、耐光性試験機(シーシーエス社製)を用いて、空気中、ピーク発光波長450nmの青色光を、ステージ温度30℃で60mW/cm2、2時間照射した。光照射前後におけるフィルムの絶対量子収率(PLQY)を測定し、光照射処理後PLQY保持率(%)を求めた。光照射処理後PLQY保持率(%)は、下記の式(b)によって算出した。
光照射処理後PLQY保持率(%)=
(光照射後のフィルムのPLQY)/(光照射前のフィルムのPLQY)*100 (b)
得られた発光粒子を含有する各フィルムについて、発光粒子を含有する精製後のコロイド溶液の実施例番号、加熱処理後PLQY保持率(%)及び光照射処理後PLQY保持率(%)を下記の表21から表28に示した。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
実施例58から実施例114の製造方法によって製造したフィルムは、実施例1から実施例57の製造方法によって製造した発光粒子を含有する一方、比較例33から比較例38の製造方法によって製造したフィルムは、比較例13から比較例19の製造方法によって製造した発光粒子を含有し当該発光粒子は配位子層にシロキサン結合を含まない実施例58から実施例114の製造方法によって製造したフィルムは、比較例33から比較例38の製造方法によって製造したフィルムと比較して、加熱処理後PLQY保持率(%)及び光照射処理後PLQY保持率(%)がいずれも高いことから、水分、光及び熱に対する安定性が高いことがわかる。また、実施例58から実施例114の製造方法によって製造したフィルムは、比較例20から比較例32に示したバッチリアクターを用いて製造した発光粒子を含有するフィルムと比較して、加熱処理後PLQY保持率(%)及び光照射処理後PLQY保持率(%)がいずれもやや高いことがわかる。これは、実施例1から実施例57の製造方法によって製造した発光粒子はSD値が小さく粒子サイズのばらつきが少ないため、フィルムを形成した場合に凹凸が少なくなり、水分子や酸素ラジカルとの接触面積が小さく劣化が起こりにくいことが原因と推定される。
【0122】
以上に示すとおり、本発明の製造方法によれば、水分、光及び熱に対する安定性が高く、発光波長及び粒子サイズの制御された発光粒子を、高収率で製造できることが明らかである。
【符号の説明】
【0123】
10 発光粒子
11 コア
12 配位子
13 配位子層
14 シロキサン結合
20 発光粒子表面の構造模式図
100 連続層流フローリアクター装置
101 T字型ミキサー
110、120 導入部
111、121、131 流路
130 排出部
200 液滴ベースフローリアクター装置
201、202 T字型ミキサー
210、220、240 導入部
211、221、231、241、251 流路
250 排出部
300 強制薄膜式フローリアクター装置
300a 装置の断面図
300b 装置のB-B’線断面図
301 接近、離反可能なディスク
302 回転可能なディスク
303 処理用面
304 回収部
310、320 導入部
311、321、331、332 流路
312、322 接続部
330 排出部
400 連続層流フローリアクター装置
401 T字型ミキサー
402 オイルバス
403 クーリングバス
410、420 導入部
411、421、431、432 流路
430 排出部
500 液滴ベースフローリアクター装置
501 十字型ミキサー
502 オイルバス
503 クーリングバス
510、520、530 導入部
511、521、531、541、542 流路
540 排出部
600 強制薄膜式マイクロリアクター装置
601 接近且つ離反可能なディスク
602 回転可能なディスク
603 処理用面
604 回収部
605 オイルバス
610、620 導入部
611、621、631、632 流路
612、622 接続部
630 排出部
700 連続層流フローリアクター装置
701 T字型ミキサー
710、720 導入部
711、721、731 流路
730 排出部
800 液滴ベースフローリアクター装置
801 十字型ミキサー
810、820、830 導入部
811、821、831、841 流路
840 排出部
900 強制薄膜式マイクロリアクター装置
901 接近且つ離反可能なディスク
902 回転可能なディスク
903 処理用面
904 回収部
910、920 導入部
911、921、931、932 流路
912、922 接続部
930 排出部
【要約】
本発明が解決しようとする課題は、水分、光及び熱に対する安定性が高く、発光波長及び粒子サイズの制御された発光粒子を、高収率で製造可能な発光粒子の製造方法を提供することにある。さらに、当該発光粒子を含有する組成物の製造方法を提供することにある。本発明は、半導体ナノ粒子を含むコアと、前記コアにアミノ基を介して結合した配位子層とを備え、前記配位子層がシロキサン結合を含む発光粒子の製造方法において、フローリアクター100を用い、異なる導入部110、120から、発光粒子の製造原料又は前駆体を含有する少なくとも1種の第1の液体と、前記発光粒子の製造原料又は前駆体を含有し且つ前記第1の液体とは成分が異なる少なくとも1種の第2の液体とを流路111、121に導入して混合し、混合後の流体中で前記発光粒子を含有するコロイド溶液を製造する工程を備えた、発光粒子の製造方法を提供する。