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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】符号化装置及び復号装置
(51)【国際特許分類】
   H03M 7/30 20060101AFI20230125BHJP
   H03M 7/42 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
H03M7/30 Z
H03M7/42
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019038959
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2020145518
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(73)【特許権者】
【識別番号】591053926
【氏名又は名称】一般財団法人NHKエンジニアリングシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】青木 勝典
(72)【発明者】
【氏名】今村 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 健治
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-244922(JP,A)
【文献】特開2011-109385(JP,A)
【文献】特開2009-273035(JP,A)
【文献】特開昭59-188250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 7/30
H03M 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離散時間信号の一部を構成するサンプル値を、一定の長さを有する符号化ビット列に符号化する符号化装置であって、
前記サンプル値を正負符号と上位ビット部と下位ビット部とに分割する分割部と、
前記上位ビット部に対して可変長符号化処理を行うことにより符号を出力する可変長符号化部と、
前記正負符号と前記符号と前記下位ビット部との合計の長さが前記一定の長さを超える場合、前記合計の長さが前記一定の長さになるように前記下位ビット部に対して丸め処理を行う丸め処理部と、
前記正負符号と前記符号と前記下位ビット部とを結合することにより前記符号化ビット列を出力する結合部と、を備えることを特徴とする符号化装置。
【請求項2】
前記離散時間信号は、無線伝送システムにおける無線伝送用信号であり、
前記上位ビット部が表す値が小さいほど、前記符号の長さが短いことを特徴とする請求項1に記載の符号化装置。
【請求項3】
前記離散時間信号の一部を構成する複数のサンプル値を前記一定の長さを有する符号化ビット列に符号化する場合において、
前記分割部は、前記複数のサンプル値のそれぞれを、前記正負符号と前記上位ビット部と前記下位ビット部とに分割し、
前記可変長符号化部は、前記複数のサンプル値に対応する複数の上位ビット部に対して前記可変長符号化処理を纏めて行うことにより1つ又は複数の符号を出力し、
前記丸め処理部は、前記複数のサンプル値に対応する複数の正負符号と、前記1つ又は複数の符号と、前記複数のサンプル値に対応する複数の下位ビット部との合計の長さが前記一定の長さを超える場合、前記合計の長さが前記一定の長さになるように前記複数の下位ビット部に前記丸め処理を行い、
前記結合部は、前記複数の正負符号と前記1つ又は複数の符号と前記複数の下位ビット部とを結合することにより前記符号化ビット列を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の符号化装置。
【請求項4】
前記丸め処理後における前記複数の下位ビット部の長さの差が1ビット以下であることを特徴とする請求項3に記載の符号化装置。
【請求項5】
一定の長さを有する符号化ビット列から、離散時間信号の一部を構成するサンプル値を復号する復号装置であって、
前記符号化ビット列に含まれる符号から、前記サンプル値の一部を構成する上位ビット部を復号する可変長符号復号部と、
前記上位ビット部の復号結果に基づいて、前記符号化ビット列に含まれる正負符号及び下位ビット部を抽出する抽出部と、
前記正負符号と前記上位ビット部と前記下位ビット部とを結合することにより前記サンプル値を出力する結合部と、を備えることを特徴とする復号装置。
【請求項6】
前記離散時間信号は、無線伝送システムにおける無線伝送用信号であり、
前記上位ビット部が表す値が小さいほど、前記符号の長さが短いことを特徴とする請求項5に記載の復号装置。
【請求項7】
前記離散時間信号の一部を構成する複数のサンプル値を前記符号化ビット列から復号する場合において、
前記可変長符号復号部は、前記符号化ビット列に含まれる1つ又は複数の符号から、前記複数のサンプル値に対応する複数の上位ビット部を復号し、
前記抽出部は、前記複数の上位ビット部の復号結果に基づいて、前記複数のサンプル値に対応する複数の正負符号及び複数の下位ビット部を前記符号化ビット列から抽出し、
前記結合部は、前記複数の正負符号と前記複数の上位ビット部と前記複数の下位ビット部とを前記サンプル値ごとに結合することにより前記複数のサンプル値を出力することを特徴とする請求項5又は6に記載の復号装置。
【請求項8】
前記複数の下位ビット部の長さの差が1ビット以下であることを特徴とする請求項7に記載の復号装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化装置及び復号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、セルラー無線基地局の機能を信号処理部と無線部とに分割し、これらの間で光ファイバーを介して無線伝送用信号をデジタル信号として伝送するデジタルRoFの技術が記載されている。デジタルRoFでは、信号処理部で作成した無線伝送用信号、もしくは、無線部で受信した無線伝送用信号の同相(I)チャネル、直交(Q)チャネルのベースバンド信号をサンプリングして離散時間信号に変換し、そのサンプル値を光信号に変換して伝送する。特許文献1では、無線端末への無線帯域の割り当て状況に応じて、サンプリング周波数の変更及びサンプル値の送信・停止を行うことで、伝送するデータを削減している。
【0003】
特許文献2には、伝送するサンプル値のデータを圧縮して伝送する手法として、MPEG-4 ALSを用いてIQ信号を可逆圧縮して伝送する手法が記載されている。
【0004】
特許文献3には、IQ信号の空間的及び時間的な相関を利用してIQ信号を圧縮する技術が記載されている。カルーネン・レーベ変換(Karhunen-Loeve Transform)やFFT(Fast Fourier Transform)、DCT(Discrete Cosine Transform)などの線形変換によりIQ信号を特徴成分信号に変換し、重要な特徴成分信号を抽出し、変換した成分信号の相対的な重要度に応じて量子化を行うことで、IQ信号のデータ量を削減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2014/061552号
【文献】国際公開第2016/185820号
【文献】特表第2014-513461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、デジタル放送の無線伝送用信号などのように無線帯域の割り当て状況の変化に乏しいアプリケーションでは、無線帯域の割り当て状況に応じたサンプリング周波数の変更やサンプル値の送信・停止制御は有効ではない。
【0007】
また、特許文献2に記載のように、可逆圧縮を用いてサンプル値を圧縮する場合、符号化ビット列の長さが一定にならないため、符号化後のデータのビットレートの増減が発生する。ビットレートの一時的な増加による予期せぬ品質劣化を防ぐには、想定されるビットレートの上限以上の帯域をもつ通信ネットワークが必要であり、効率がよくない。
【0008】
また、通信ネットワークを用いた無線伝送用信号の伝送システムでは、サンプル値の圧縮は、通信回線費用削減を可能とする。圧縮する符号化処理は、一般に、歪みが小さくかつ圧縮後の平均ビットレートが小さいほど良い。
【0009】
一時的であっても圧縮後のビットレートが、利用する通信ネットワークの上限ビットレートを超えると、遅延の増加やパケットロスを発生することがある。この現象は予期せぬ品質劣化を引き起こす。このため、無線伝送用信号の品質を保つ上では、圧縮後のデータのビットレートが、設計したビットレートを超えないように制御できることが重要である。
【0010】
また、特許文献3に記載のように、線形変換と非可逆圧縮を併用した手法によれば、量子化の単位(量子化ステップ)の大きさを調整することでデータ量を一定の範囲に収めることができる。しかし、カルーネン・レーベ変換やFFT、DCTには大量の計算処理を必要とし、大規模な回路が必要であり、且つ遅延も大きくなる問題がある。また、変換符号化では、変換後の個々の係数毎に量子化ステップ幅の情報を伝送する必要があり、装置の複雑度が増加するとともに、これらの情報の分だけビットレートが増加する問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、符号化後のビットレートを一定に維持することで通信回線の利用効率を高めつつ、計算処理量を抑制することで回路規模及び遅延を削減した符号化装置及び復号装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様に係る符号化装置は、離散時間信号の一部を構成するサンプル値を、一定の長さを有する符号化ビット列に符号化する符号化装置であって、前記サンプル値を正負符号と上位ビット部と下位ビット部とに分割する分割部と、前記上位ビット部に対して可変長符号化処理を行うことにより符号を出力する可変長符号化部と、前記正負符号と前記符号と前記下位ビット部との合計の長さが前記一定の長さを超える場合、前記合計の長さが前記一定の長さになるように前記下位ビット部に対して丸め処理を行う丸め処理部と、前記正負符号と前記符号と前記下位ビット部とを結合することにより前記符号化ビット列を出力する結合部とを備えることを要旨とする。
【0013】
第2の態様に係る復号装置は、一定の長さを有する符号化ビット列から、離散時間信号の一部を構成するサンプル値を復号する復号装置であって、前記符号化ビット列に含まれる符号から、前記サンプル値の一部を構成する上位ビット部を復号する可変長符号復号部と、前記上位ビット部の復号結果に基づいて、前記符号化ビット列に含まれる正負符号及び下位ビット部を抽出する抽出部と、前記正負符号と前記上位ビット部と前記下位ビット部とを結合することにより前記サンプル値を出力する結合部とを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、符号化後のビットレートを一定に維持することで通信回線の利用効率を高めつつ、計算処理量を抑制することで回路規模及び遅延を削減した符号化装置及び復号装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るシステム構成を示す図である。
図2】地上デジタル放送のOFDM信号をサンプリングしたときのサンプル値の分布の例を示す図である。
図3】実施形態に係る符号化装置の構成を示す図である。
図4】実施形態に係る分割部の動作例を示す図である。
図5】実施形態に係る可変長符号化部の動作例を示す図である。
図6図2に示したような生起確率を有する信号を、R=2及びR=3の条件で分割した振幅部の値を、NS=1及びNS=2で纏めた場合における振幅部の値の生起確率の例を示す図である。
図7】実施形態に係る符号化装置の動作例を示す図である。
図8】実施形態に係る一度に符号化するサンプル数(NS)と符号数の例を示す図である。
図9】地上デジタル放送の信号から計算したビット削減効果の例を示す。
図10】W=8,R=2,NS=2の条件における振幅部符号と小数部の長さの割り当て表の例を示す図である。
図11】サンプル値を2サンプル毎に符号化する例を示す図である。
図12】地上デジタル放送のI成分及びQ成分の振幅部の頻度分布の観測例を示す図である。
図13】4サンプルもしくは2サンプル毎に符号化する例を示す図である。
図14】実施形態に係る符号化ビット列の具体例を示す図である。
図15】実施形態に係る符号化ビット列の具体例を示す図である。
図16】実施形態に係る復号装置の構成を示す図である。
図17】実施形態に係る符号化の効果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して実施形態について説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0017】
(システム構成)
まず、本実施形態に係るシステム構成について説明する。図1は、本実施形態に係るシステム構成を示す図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係るシステムは、送信装置1と、受信装置2とを有する。送信装置1は、通信ネットワーク上の通信路を介してデータを受信装置2に送信する。
【0019】
例えば、送信装置1はデジタル放送の放送設備(親局)に設けられ、受信装置2は放送設備からのデジタル放送波を中継する中継設備に設けられる。この場合、送信装置1及び受信装置2は、放送設備と中継設備との間のバックアップ用の通信回線を提供する。
【0020】
送信装置1には、放送設備に設けられた変調装置1030Tから無線伝送用信号が入力される。変調装置1030Tは、中間周波数(Intermediate Frequency)の中心周波数を持つ無線伝送用信号(IF信号)を生成し、無線伝送用信号を送信装置1に出力する。
【0021】
送信装置1は、AD変換部104と、フィルタ部105と、符号化装置106と、フレーム化部107と、通信インターフェース(IF)108とを有する。
【0022】
AD変換部104は、変調装置1030Tから入力されたIF信号をデジタル信号に変換し、このデジタル信号をフィルタ部105に出力する。
【0023】
フィルタ部105は、AD変換部104から入力されたデジタル信号に含まれる不要成分や雑音の除去を行い、離散時間信号のサンプル値を符号化装置106に出力する。
【0024】
フィルタ部105は、フィルタ処理とダウンサンプルとを組み合わせサンプル値の数を削減する機能を備えていてもよいし、IF信号を直交復調してベースバンドの同相(I)成分と直交(Q)成分に変換したのちダウンサンプルを行うことで効率的にサンプル値を削減する機能を備えていてもよい。
【0025】
符号化装置106は、フィルタ部105から入力された所定数のサンプル値を一定の長さのビット列に符号化し、符号化ビット列をフレーム化部107に出力する。符号化装置106の詳細については後述する。
【0026】
フレーム化部107は、符号化装置106から入力された符号化ビット列を通信フレームに格納し、この通信フレームを通信インターフェース108に出力する。
【0027】
通信インターフェース108は、フレーム化部107から入力された通信フレームを通信路に出力する。
【0028】
受信装置2は、通信インターフェース208と、デフレーム化部207と、復号装置206と、フィルタ部205と、DA変換部204とを有する。
【0029】
通信インターフェース208は、送信装置1から通信路を介して通信フレームを受信し、受信した通信フレームをデフレーム化部207に出力する。
【0030】
デフレーム化部207は、通信インターフェース208から入力された通信フレームから符号化ビット列を取り出し、この符号化ビット列を復号装置206に出力する。
【0031】
復号装置206は、デフレーム化部207から入力された符号化ビット列から離散時間信号のサンプル値を復号し、復号したサンプル値をフィルタ部205に出力する。復号装置206の詳細については後述する。
【0032】
フィルタ部205は、復号装置206から入力された離散時間信号のサンプル値をDA変換に適した信号に変換してDA変換部204に出力する。例えば、フィルタ部205は、DA変換に適したサンプリング周波数になるようにアップサンプル処理及びフィルタ処理を行う。
【0033】
DA変換部204は、フィルタ部205から入力された信号をIF帯のアナログ信号に変換し、このアナログ信号を外部に出力する。
【0034】
なお、フィルタ部105によってIF信号がI成分とQ成分に変換されている場合、受信装置2は、復号装置206が出力するサンプル値のI成分及びQ成分を分離し、フィルタ部205にて直交変調を行ったのちDA変換部204でIF信号を作成してもよい。もしくは、さらに直交変調器と2式のDA変換部204とを備え、2式のDA変換部204にてI成分とQ成分をそれぞれアナログ信号に変換したのち直交変調器を行う構成としてもよい。
【0035】
受信装置2のDA変換部204が出力するIF信号は、アップコンバーター2030Tに入力される。アップコンバーター2030Tは、入力されたIF信号の中心周波数を無線周波数に変換して増幅装置2020Tに出力する。
【0036】
増幅装置2020Tは、アップコンバーター2030Tの出力信号を電力増幅してアンテナ2010Tに出力する。
【0037】
アンテナ2010Tは、増幅装置2020Tの出力信号を電波として放射する。
【0038】
本実施形態において、符号化装置106と、フレーム化部107と、通信インターフェース108と、通信インターフェース208と、デフレーム化部207と、復号装置206とにより、離散時間信号伝送システム10が構成される。
【0039】
離散時間信号伝送システム10は、通信路を用いて、離散時間信号のサンプルを伝送するシステムである。離散時間信号伝送システム10は、離散時間信号のサンプルを所定の数毎に一定の長さの符号化ビット列に符号化する符号化装置106と、符号化ビット列から離散時間信号のサンプル値を復号する復号装置206とを有する。
【0040】
(サンプル値)
次に、本実施形態に係るサンプル値について説明する。
【0041】
サンプル値は、無線伝送用信号の波形を直接AD変換して得られた値や、無線伝送用信号を直交復調したIQ信号をAD変換して得られたI成分及びQ成分の値である。
【0042】
サンプル値は、整数、固定小数点、浮動小数点表現による実数で表すことができるが、信号の振幅を一定の範囲に制限することで、一定のビット幅をもつ2の補数表現の二進数として扱うことができる。
【0043】
このため、以下の説明では、サンプル値はビット幅Wの2の補数表現の二進数とする。ビット幅がWであるため、サンプル値の振幅は-2^(W-1)から2^(W-1)-1の範囲に分布する。
【0044】
図2は、地上デジタル放送のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号をW=16でサンプリングしたときのサンプル値の分布の例を示す図である。
【0045】
図2に示すように、無線伝送用信号のサンプル値は、大振幅の信号の出現頻度が小さく、相対的に小振幅の信号出現頻度が高い。特に、OFDM信号では、大振幅信号の出現頻度が小さい傾向がある。すなわち、振幅部の値が小さな小振幅のサンプルの出現頻度が高い。
【0046】
また、サンプル値の振幅の絶対値は0から2^(W-1)に分布する。サンプル値の分布は一様ではなく、大振幅の信号の出現頻度は小さい。本実施形態では、この振幅の出現頻度の偏りを利用することで、線形変換を行うことなく情報量の削減を行う。
【0047】
(符号化装置)
次に、本実施形態に係る符号化装置106について説明する。
【0048】
符号化装置106は、所定個数のサンプル値を入力し、このサンプル値を一定の長さのビット列に符号化して出力する。ここで、入力するサンプル値の個数をNS、NS個のサンプル値を符号化したビット列の長さをLSビットとする。符号化により情報量が減少するためW×NS>LSとなる。ここでNS,LS,Wは、正の整数とする。
【0049】
図3は、本実施形態に係る符号化装置106の構成を示す図である。図3に示すように、符号化装置106は、分割部106aと、可変長符号化部106bと、丸め処理部106cと、結合部106dとを有する。
【0050】
分割部106aは、各サンプル値を正負符号と上位ビット部と下位ビット部とに分割し、正負符号を結合部106dに出力し、上位ビット部を可変長符号化部106bに出力し、下位ビット部を丸め処理部106cに出力する。
【0051】
正負符号は、サンプル値が正の値であるか又は負の値であるかを示す1ビットの符号であり、サンプル値の最上位ビットに相当する。
【0052】
上位ビット部は、サンプル値から正負符号を除いたビット列のうちの上位所定数のビットに対応するビット列である。このような上位ビット部を「振幅部」と呼ぶ。
【0053】
下位ビット部は、サンプル値から正負符号及び振幅部を除いたビット列である。このような下位ビット部を「小数部」と呼ぶ。
【0054】
図4は、本実施形態に係る分割部106aの動作例を示す図である。
【0055】
図4(a)に示すように、分割部106aは、ビット幅Wの2の補数表現で表されたサンプル値を、上位1ビット、次のRビットで区切り、正負符号1ビットと、2ビット目から(R+1)ビット目までのRビットを振幅部、下位(W-R-1)ビットを小数部に分解する。図4において、R=2、且つW=8である一例を示している。
【0056】
図4(b)に示すように、サンプル値が負(正負符号が「1」)である場合の振幅部の値は、2ビット目からR+1ビット目までのRビットをビット反転した値とする。
【0057】
可変長符号化部106bは、分割部106aから入力された振幅部に対して可変長符号化処理を行うことにより符号(以下、適宜「振幅部符号」と呼ぶ)を出力する。
【0058】
可変長符号化部106bは、振幅部だけを可変長符号化するため、サンプル値の全体を可変長符号化処理する場合に比べて、符号数を抑制でき、これにより計算処理量を抑制できる。
【0059】
具体的には、Wビットの信号を符号に1対1に対応付けると2^W個の符号が必要であり、回路規模が増加する。上位R+1ビットの絶対値を取り出した振幅部はRビットであるから、符号数は2^R個に減少し、回路を作りやすい。なお、NS個のサンプルの振幅部の値を纏めて符号化する場合の符号数は、2^(R×NS)個となる。
【0060】
また、可変長符号化部106bは、複数の振幅部を纏めて1つに符号化する。振幅部のビット数Rが小さいと振幅部の符号の設計の自由度が少ないため、振幅の出現頻度と符号長のバランスが悪くなり、各符号の出現確率と符号長の積の総和(平均符号長)が大きくなる。複数の振幅部を1つもしくは数個に纏めることにより、符号設計の自由度が増加する。振幅部を個々に符号化する場合に比べて、平均符号長を大幅に小さくできる。
【0061】
特に、出現頻度の高い組み合わせに対しては、まとめた1つの符号を割り当てることで、振幅部の符号の平均的な長さが短くなり、小数部の長さの平均を長く保ち、量子化雑音の総量を抑えることができる。
【0062】
さらに、可変長符号化部106bは、纏めて符号化する各振幅部の値が小さな値で構成されている組み合わせに対する符号に対して、短い符号を割り当てる。この結果、平均符号長が小さくなり、小数部の長さの平均を長く保つことができ、丸め処理による量子化雑音の総量が小さくなる。
【0063】
なお、符号の割り当て方としては、ハフマン符号や算術符号など、振幅部の信号の生起確率に基づくエントロピー符号化の手法を利用できる。
【0064】
図5は、本実施形態に係る可変長符号化部106bの動作例を示す図である。
【0065】
図5に示すように、可変長符号化部106bは、入力した所定個数のサンプル値の振幅部を、纏めて1つもしくは2つ以上一定個数を組みにして、可変長符号に符号化する。図5において、4個の振幅部を纏めて1つの符号に符号化する例と、2個ずつ組にして符号化する例とを示している。
【0066】
図5(a)に示すように、振幅部を1つに纏めて符号化すると平均符号長を小さくできるが、一度に入力するサンプル値の個数(所定個数)が大きくなると急激に符号数が増加し、符号化もしくは復号する回路が複雑になる。図5(b)に示すように、纏めて符号化する代わりに一定個数毎に分割して符号化すると、符号数が大幅に減り回路が簡単になる。
【0067】
本実施形態では、分割して符号化する最初の符号と、纏めて符号化する場合の符号が重ならないように符号を設計する。これにより、振幅部を纏めて1つもしくは、2つ以上の一定個数の組で符号化することが可能になる。これにより回路の複雑さを防ぎながら、振幅部を纏めて符号化することが可能になる。
【0068】
ここで、図2に示したような生起確率を有する信号を、R=2及びR=3の条件で分割した振幅部の値を、NS=1及びNS=2で纏めた場合における振幅部の値の生起確率の例を図6に示す。
【0069】
図6に示すように、線形変換を用いなくても、生起確率に大きな偏りがあることが確認できる。NS個の振幅部の符号化前の情報量H0は、RビットのNS倍(H0=R×NS)である。生起確率におおきな偏りがあることから、まとめた振幅部のエントロピーH1は、H0>H1となり情報量が減少する。
【0070】
丸め処理部106cは、可変長符号化部106bにより得られる振幅部符号と、正負符号と、小数部との合計の長さが一定の長さを超える場合、この合計の長さが一定の長さ(LSビット)になるように、小数部に対して丸め処理を行う。
【0071】
具体的には、振幅部符号と正負符号と小数部との合計の長さが一定となるように、小数部の長さを割り当てる。これにより、サンプル値を一定の長さのビット列に符号化可能になる。
【0072】
丸め処理部106cは、割り当てた長さになるように小数部の二進ビット列を丸める処理を行うため、丸め処理により量子化雑音が発生する。量子化雑音の電力は、丸めるビット数をTとすると、2の2T乗(22T)に比例するため、丸めるビット数の合計が等しくても、突出しておおきな値をもつサンプルがあると、非常に大きな雑音が加算される。
【0073】
このため、丸め処理部106cは、各サンプル値の小数部の長さができるだけ均等となるように割り当てる。本実施形態では、各サンプル値の小数部の長さの差(の最大値)を1ビット以下とする。
【0074】
結合部106dは、分割部106aから入力された正負符号と、可変長符号化部106bから入力された振幅部符号と、丸め処理部106cから入力された小数部とを結合することにより、符号化ビット列を出力する。
【0075】
各サンプル値の小数部は長さ情報を含まないため、復号装置206は、長さ情報を得るまでは小数部を抽出できない。このため、結合部106dは、復号装置206が最初に振幅部符号を復号できるように、振幅部符号を特定の位置に配置する。特定の位置としては、符号化ビット列の先頭もしくは末尾、あるいは先頭もしくは末尾から一定のビット数だけ離れた位置などを用いることができる。
【0076】
振幅部符号を2つ以上の符号に分割してもよい。2つ以上の符号に分割する場合は、符号毎に継続する符号の有無を定めるとともに、継続する符号の開始位置を定める。
【0077】
図7は、本実施形態に係る符号化装置106の動作例を示す図である。図7において、NS=4である一例を示している。
【0078】
図7(a)に示すように、分割部106aは、4つのサンプル値のそれぞれを、正負符号と振幅部と小数部とに分割する。
【0079】
図7(b)に示すように、可変長符号化部106bは、4つのサンプル値の振幅部を纏めて可変長符号化し、1つの振幅部符号を生成する。
【0080】
また、図7(b)に示すように、丸め処理部106cは、1つの振幅部符号と、4つのサンプル値のそれぞれの正負符号及び小数部との合計の長さが一定となるように、小数部を丸める。ここで、丸め処理部106cは、小数部の下位ビットを削除するよう丸める。丸め処理は、削除した下位ビットに相当する値だけ信号を減算する処理と等価であり、この減算した値が量子化雑音となる。
【0081】
(R及びNSの具体例)
次に、本実施形態に係るR及びNSの具体例について説明する。振幅の出現頻度の偏りが大きいほどRを大きくすることで、符号化ビット列の平均符号長を小さくすることができるが、符号数が2^(R×NS)必要であるため、Rを大きくすると複雑度が増す。
【0082】
図8に、一度に符号化するサンプル数(NS)と符号数の例を示す。例えば、符号数の上限を1024個とすると、利用できるNSとRの組み合わせは自動的に定まる。
【0083】
なお、符号数が増えると符号長が長くなり、符号化及び復号処理の回路規模が大きくなる。例えば、テーブルを用いて可変長符号を復号する場合、ビット列から符号の長さや符号に対応するデータ(振幅部の値など)を検索するため高速メモリを用いるが、符号数1024、最大符号長14ビットでは、符号長の格納に14 x 2^14 =229kbit、データ格納に10 x 2^14=163 kbit程度のメモリを要する。符号数や符号長が長くなるとさらに大きなメモリが必要となる。一般的なFPGA(Field-programmable gate array)に内蔵されたブロックRAM(Random Access Memory)の大きさは、最大38kbit程度であるため、1024を超える符号を扱うには多数のブロックRAMを組み合わせるなど複雑な実装が必要となる。よって、符号数の上限は一例として1024個とすることができる。
【0084】
絞られたNSとRの組み合わせに対して、実際に伝送する信号のエントロピーを計算することで、NSとRの組み合わせに対するビット削減効果を計算することができる。符号数が少なく、ビット削減効果の高いNSとRの組み合わせが好適である。
【0085】
1サンプルの振幅部に換算したビット削減効果は、振幅部ビット数Rから符号の情報量であるエントロピーをNSで除した値である。
【0086】
図9に、地上デジタル放送の信号から計算したビット削減効果の例を示す。なお、符号長は1より短くできないため、計算で得られたエントロピーが1以下の場合はエントロピーの値を1として計算した。
【0087】
この例では、符号数1024以下の条件では、ビット削減効果は-1.4ビットが下限である。このため、この例ではR=2,NS=2,3,4またはR=3,NS=1,2,3の組み合わせが好適である。
【0088】
このため、OFDM信号のサンプル値を2から4個符号化する場合(NS=2,3,4)、Rの好適値は2もしくは3(R=2,3)となる。
【0089】
(符号化の具体例)
次に、本実施形態に係る符号化の具体例について説明する。
【0090】
図10に、W=8,R=2,NS=2の条件における振幅部符号と小数部の長さの割り当て表の例を示す。2つのサンプルの振幅部の値をキーとしてこの値に一致する行の符号及び小数部の長さを得る。
【0091】
なお、図10の割り当て表において、振幅部符号の長さと小数部の長さの合計がいずれも12ビットと一定の値となっている。出力する符号化ビット列には、これにサンプル数分の正負符号が加わることから、符号化処理部の出力ビット数が常に14となることが確認できる。
【0092】
図11に、サンプル値を2サンプル毎に符号化する例を示す。この例ではサンプル値は2の補数表現による8ビット整数とし、2つのサンプルの振幅部の合計4ビットを2ビットから6ビットの二進ビット列に符号化し、出力する符号化ビット列の先頭に配置する。サンプル値毎に正負符号1ビットと小数部を多重して、合計14ビットを出力する。すなわち、8ビットのサンプル値2個の計16ビットを14ビットに符号化する。
【0093】
出現頻度の少ない振幅部の絶対値が大きなサンプル値の組に対しては、振幅部符号が長くなり、小数部の符号長が短く量子化雑音が大きくなっている。逆に出現頻度の高い振幅部の絶対値が小さなサンプル値の組に対しては、振幅部符号が短く、小数部の符号長も長いため、量子化雑音が小さくなっている。このため、平均化した量子化雑音を小さくすることができる。
【0094】
また、共に符号化されるサンプルの小数部の長さの差は高々1ビットになっていることから、サンプル間の量子化雑音の電力差は4倍以下になっている。
【0095】
図12に、地上デジタル放送のI成分及びQ成分の振幅部の頻度分布の観測例を示す。この分布を用いて、図11の符号化により、I成分のサンプルとQ成分のサンプル各1個、2サンプルを組みにして符号化する場合の小数部の符号長の分布を説明する。
【0096】
図11に示すように、2つのサンプルの振幅部が共に”00”である場合は、振幅部符号の長さが2ビット、小数部の長さは共に5ビットとなり、元の8ビットの情報がそのまま符号化される。
【0097】
図12に示すように、この組み合わせは全体の63.3%を占める。また、振幅部が”00”と”01”の組み合わせの場合は符号の長さは3ビット、小数部の符号長は4及び5ビットとなるこの組み合わせは全体の31%を占める。図11の符号化では8ビットの信号2個を14ビットに符号化することによって情報量が7/8に削減されるが、78.8%の信号が8ビットの情報をそのまま保ち、15.5%が7ビットの情報で符号化することができる。
【0098】
雑音については、1ビット分の量子化雑音は15.5%、残り5.7%が2ビット分以下の量子化雑音となる。このように、この符号化を用いれば符号化による雑音の総量を簡単に見積もることも可能となる。
【0099】
図13に、4サンプルもしくは2サンプル毎に符号化する例を示す。但し、W=8,R=2,NS=2である。
【0100】
この例ではサンプル値は2の補数表現による8ビット整数とし、4つのサンプルの振幅部合計8ビットを4ビットから6ビットの二進ビット列の符号1つもしくは、6ビットの符号と4ビットの符号2つで符号化している。
【0101】
最初の符号を符号化ビット列の先頭に多重し、最初の2つのサンプルの正負符号及び小数部を多重したのち、残りの2つのサンプルの符号を14ビット目に多重し、正負符号及び小数部を多重出力している。
【0102】
2つのサンプルの符号の長さが14ビット幅となるように符号の長さ及び小数部の長さを制限している。このような制限は必須ではないが、この制限により振幅部の符号長及び小数部の割り当ての複雑化・回路規模が大きくなることを防ぐとともに、2つ目の符号を必ず14ビット目に配置することを可能としている。
【0103】
(符号化ビット列の具体例)
図11に示したようにサンプル値をW=8,R=2,NS=2のパラメータで2サンプル毎に符号化する例について、図14を用いて、最初の2サンプルを符号化する手順を詳しく説明する。
【0104】
最初の入力サンプルは0001101000001011の2つである。まず、正負符号、振幅部、小数部に分割する。正負符号はともに、振幅部も共に00である。小数部は、それぞれ11010及び01011となる。
【0105】
振幅部が0000であるので、図10によれば符号は00の2ビットで、小数部は各5ビットになる。この符号00を最初に出力する。
【0106】
次に、正負符号1として最初のサンプルの正負符号を出力し、次に小数部1として最初のサンプルの小数部5ビットをそのまま出力する。
【0107】
次に、正負符号2として2つめのサンプルの正負符号を出力し、次に小数部2として2つめのサンプルの小数部5ビットをそのまま出力すると、固定長14ビットのビットストリームが得られる。
【0108】
また、図15(a)に、4サンプルの振幅部を4ビットの1つの符号で符号化する例を示す。図15(b)に、4サンプルの振幅部を6ビットの符号と4ビットの符号に分け、2サンプルずつ符号化する例を示す。図15(c)に、図15(b)において振幅部符号を連続して配置するように変更した例を示す。
【0109】
(復号装置)
次に、本実施形態に係る復号装置206について説明する。
【0110】
図16は、本実施形態に係る復号装置206の構成を示す図である。図16に示すように、復号装置206は、可変長符号復号部206aと、抽出部206bと、結合部206cとを有する。
【0111】
可変長符号復号部206aは、符号化ビット列に含まれる振幅部符号から振幅部を復号し、復号した振幅部を結合部206cに出力する。可変長符号復号部206aは、図10に示すような表を符号化装置106と共有している。振幅部符号は、各サンプルの振幅部の値の組み合わせ及び、各サンプル値の小数部の長さの組み合わせに対して1つ割り当てられているため、振幅部符号を復号すれば、各サンプル値の振幅部と小数部の長さの情報を得ることができる。
【0112】
抽出部206bは、可変長符号復号部206aによる振幅部符号の符号結果に基づいて、順序に従って正負符号及び小数部を順番に抽出し、正負符号及び小数部を結合部206cに出力する。
【0113】
結合部206cは、可変長符号復号部206aから入力された振幅部と、抽出部206bから入力された正負符号及び小数部とをサンプル値ごとに結合することにより、復号されたサンプル値を出力する。
【0114】
復号装置206は、継続する符号がある場合には、定められた開始位置から継続する符号を復号し、残りのサンプル値の振幅部の値と小数部の長さを得て、残りのサンプル値を復号する。
【0115】
本実施形態に係る離散信号伝送システムは、ビット列の長さを変えない性質の誤りに対しては強い耐性をもつ。可変長符号により符号化されたビット列は、ビット列に誤りがあると、誤り以降のビット列の復号ができなくなる。ここで、本実施形態では、所定個数のサンプル値を一定の長さのビット列に符号化する。このため、符号化ビット列に誤りが発生し、誤り以降のビット列の復号ができなくなったとしても、この一定の長さ毎に新たな符号が開始することから、この一定の長さの区切りの位置からビット列の復号を再開することができる。
【0116】
(実施形態の効果の一例)
次に、本実施形態に係る効果の一例について説明する。図17は、本実施形態に係る効果の一例を説明するための図である。
【0117】
図17(a)に示すように、ISDB-T方式の地上デジタル放送の信号からIQ信号のサンプル値を作成した。
【0118】
図17(b)に、量子化によりデータ量を削減した場合と、本実施形態に係る符号化装置106及び復号装置206によりデータ量を削減した場合の信号対雑音比(SNR)の例を示す。
【0119】
本実施形態に係る符号化によれば、サンプル値あたり5ビット、6ビット、7ビットにデータ量を削減したいずれの場合においても、信号対雑音比が5.4dB改善する効果が得られた。
【0120】
この改善量はほぼ1ビット分に相当する。したがって、本実施形態によれば、従来1サンプルあたり7ビットのSNRが必要であったシステムにおいてはデータ量を1/7削減することができる。
【0121】
(その他の実施形態)
符号化装置106が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラム及び復号装置206が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0122】
また、符号化装置106が行う各処理を実行する機能部(回路)を集積化し、符号化装置106を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。同様に、復号装置206が行う各処理を実行する機能部(回路)を集積化し、復号装置206を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0123】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0124】
1 :送信装置
2 :受信装置
10 :離散時間信号伝送システム
104 :AD変換部
105 :フィルタ部
106 :符号化装置
106a :分割部
106b :可変長符号化部
106c :丸め処理部
106d :結合部
107 :フレーム化部
108 :通信インターフェース
204 :DA変換部
205 :フィルタ部
206 :復号装置
206a :可変長符号復号部
206b :抽出部
206c :結合部
207 :デフレーム化部
208 :通信インターフェース
1030T :変調装置
2010T :アンテナ
2020T :増幅装置
2030T :アップコンバーター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17