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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】光制御素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/035 20060101AFI20230131BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20230131BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
G02F1/035
G02B6/12 361
G02B6/122 311
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019064333
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020166050
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-08-23
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人情報通信研究通信機構、「高度通信・放送研究開発委託研/高い環境耐性を有するキャリアコンバータ技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】山根 裕治
(72)【発明者】
【氏名】及川 哲
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-222229(JP,A)
【文献】特開2008-281639(JP,A)
【文献】特開平06-289346(JP,A)
【文献】特開2005-084290(JP,A)
【文献】特開2006-284961(JP,A)
【文献】国際公開第2008/114624(WO,A1)
【文献】特表2013-540351(JP,A)
【文献】特開2017-227770(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0109659(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0129402(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0230274(US,A1)
【文献】特表2015-516697(JP,A)
【文献】特開2015-203737(JP,A)
【文献】特開2015-069162(JP,A)
【文献】特開2005-300905(JP,A)
【文献】特表2017-504830(JP,A)
【文献】国際公開第2018/174179(WO,A1)
【文献】特開平04-237001(JP,A)
【文献】特開2004-325520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-1/39
G02B 6/12-6/14
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板が石英系材料又はニオブ酸リチウムであり、前記第1の基板の一面に第1の光導波路が形成され、
前記第1の基板の端には、前記第1の光導波路へ光を入射する入射部前記第1の光導波路から光を出射する出射部が設けられ、
第2の基板がニオブ酸リチウムであり、前記第2の基板の一面に第2の光導波路が形成され、
前記第2の基板には、前記第2の光導波路を伝搬する光を変調する光変調部を備え、
前記第1の基板の前記一面上に前記第2の基板を配置し両基板が互いに直接接合しており、
前記第2の基板の厚みが20μm以下であり、前記第1の基板の厚みは前記第2の基板の厚みより厚くなるように設定され、
前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との並進部において、両者が光結合しており、
該並進部には、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との間に、前記第1の光導波路よりも高い屈折率を有する高屈折率層が配置されていることを特徴とする光制御素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光制御素子において、該並進部では、前記第1の光導波路の端部又は前記第2の光導波路の端部の少なくとも一方には、光導波路の先端に向かって光導波路の幅が徐々に狭くなるテーパ構造が形成されていることを特徴とする光制御素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光制御素子において、該並進部では、前記第1の基板又は前記第2の基板の少なくとも一方には、周期的な屈折率の構造が形成されていることを特徴とする光制御素子。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載の光制御素子において、前記第1の基板又は前記第2の基板のいずれかに、光制御用の直交バイアス電極を設けることを特徴とする光制御素子。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載の光制御素子において、前記第2の基板の該並進部には、光結合用の電極を設けることを特徴とする光制御素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光制御素子において、前記第2の基板の端は、前記第1の基板の該入射部が形成された端から前記第1の基板の内側方向に離れた位置に配置されていることを特徴とする光制御素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光制御素子に関し、特に、光入射部及び光出射部を有する基板と光変調部を有する基板とを分離した光制御素子に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の光ファイバー通信で用いられる光変調器は、多値変調に利用されるため、小型で低光損失であることに加えて、出力される光信号の消光比(ON/OFF消光比)も高いことが必要になる。光変調器などの小型化を実現する上で、低駆動電圧化のために光と電界の重なり効率を向上させた、薄板構造の光変調器が提案されている。
【0003】
従来の薄板構造の光変調器は、図1及び2に示すように、ニオブ酸リチウム(LN)等の基板1を20μm以下の厚みに薄板化すると共に、該基板1に光導波路2を形成している。図1は、光制御素子である光変調器の平面図であり、変調電極等の電極は、簡略化のため省略している。図2は、図1の側面図である。薄板となる基板1は、接着層3を介して保持基板10に接合されている。Linは入射光、Loutは出射光を示す。
【0004】
基板1に形成された光導波路2に光波が入射する入射部や、光導波路2から光波が出射する出射部は、光変調部が形成された基板1と同一基板上に形成されている。例えば、光ファイバーと入射部のモードフィールド径のミスマッチによる迷光や、光変調器をOFF状態にした際に光変調部(マッハツェンダー型光導波路の合波部)から発生する放射光は、光導波路が形成されている薄板構造の基板1の内部に残留する。これらの迷光や放射光などの不要光が、出射部から出射した出力光と一緒に出力用光ファイバーに入射するため、OFF状態の信号レベルを十分に下げられないという問題が発生している。また、不要光が光変調部を構成する光導波路に入射し、変調信号を劣化させるなどの不具合も生じている。
【0005】
薄板である基板1から迷光や放射光の除去するため、特許文献1では、基板の表面に一部に高屈折率部材を配置したり、特許文献2や特許文献3では、不要光用導波路を基板に形成することなどが開示されている。
【0006】
しかしながら、複数のマッハツェンダー型光導波路を入れ子状に組み込んだネスト型光導波路のように、多くのマッハツェンダー型光導波路を集積化した光変調器では、迷光や放射光などの不要光を完全に除去することは困難である。しかも、高周波変調を行う光変調器などでは、わずかな不要光が光変調部の信号光や出力光に混入することによって、変調信号の特性が大きく劣化するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4658658号公報
【文献】特許第6299170号公報
【文献】特開2016-191820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、不要光が光変調部や出力光に混入することを抑制し、光変調信号の消光比等の特性を改善した光制御素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の光制御素子は、以下の技術的特徴を有する。
(1) 第1の基板が石英系材料又はニオブ酸リチウムであり、前記第1の基板の一面に第1の光導波路が形成され、前記第1の基板の端には、前記第1の光導波路へ光を入射する入射部前記第1の光導波路から光を出射する出射部が設けられ、第2の基板がニオブ酸リチウムであり、前記第2の基板の一面に第2の光導波路が形成され、前記第2の基板には、前記第2の光導波路を伝搬する光を変調する光変調部を備え、前記第1の基板の前記一面上に前記第2の基板を配置し両基板が互いに直接接合しており、前記第2の基板の厚みが20μm以下であり、前記第1の基板の厚みは前記第2の基板の厚みより厚くなるように設定され、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との並進部において、両者が光結合しており、該並進部には、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との間に、前記第1の光導波路よりも高い屈折率を有する高屈折率層が配置されていることを特徴とする。
【0013】
) 上記(1)に記載の光制御素子において、該並進部では、前記第1の光導波路の端部又は前記第2の光導波路の端部の少なくとも一方には、光導波路の先端に向かって光導波路の幅が徐々に狭くなるテーパ構造が形成されていることを特徴とする。
【0014】
) 上記(1)又は(2)に記載の光制御素子において、該並進部では、前記第1の基板又は前記第2の基板の少なくとも一方には、周期的な屈折率の構造が形成されていることを特徴とする。
【0015】
) 上記(1)乃至()のいずれかに記載の光制御素子において、前記第1の基板又は前記第2の基板のいずれかに、光制御用の直交バイアス電極を設けることを特徴とする。
【0016】
) 上記(1)乃至()のいずれかに記載の光制御素子において、前記第2の基板の該並進部には、光結合用の電極を設けることを特徴とする。
(6) 上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の光制御素子において、前記第2の基板の端は、前記第1の基板の該入射部が形成された端から前記第1の基板の内側方向に離れた位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、第1の基板が石英系材料又はニオブ酸リチウムであり、前記第1の基板の一面に第1の光導波路が形成され、前記第1の基板の端には、前記第1の光導波路へ光を入射する入射部前記第1の光導波路から光を出射する出射部が設けられ、第2の基板がニオブ酸リチウムであり、前記第2の基板の一面に第2の光導波路が形成され、前記第2の基板には、前記第2の光導波路を伝搬する光を変調する光変調部を備え、前記第1の基板の前記一面上に前記第2の基板を配置し両基板が互いに直接接合しており、前記第2の基板の厚みが20μm以下であり、前記第1の基板の厚みは前記第2の基板の厚みより厚くなるように設定され、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との並進部において、両者が光結合しており、該並進部には、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との間に、前記第1の光導波路よりも高い屈折率を有する高屈折率層が配置されているため、不要光が光変調部や出力光に混入することを抑制され、光変調信号の消光比等の特性を改善した光制御素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来の光制御素子の例を示す平面図である。
図2図1の光制御素子の側面図である。
図3】本発明の光制御素子に係る第1の実施例を示す側面図である。
図4図3に示す光制御素子の平面図である。
図5】本発明の光制御素子に係る第2の実施例を示す平面図である。
図6】本発明の光制御素子に係る第3の実施例を示す平面図である。
図7】本発明の光制御素子に係る第4の実施例を示す平面図である。
図8】本発明の光制御素子に係る第5の実施例を示す側面図である。
図9】本発明の光制御素子に係る第6の実施例を示す平面図である。
図10】本発明の光制御素子に用いられる光導波路間の接続構造(その1)を説明する平面図である。
図11】本発明の光制御素子に用いられる光導波路間の接続構造(その2)を説明する平面図である。
図12】本発明の光制御素子に用いられる光導波路間の接続構造(その3)を説明する側面図である。
図13】本発明の光制御素子に用いられる光導波路間の接続構造(その4)を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の光制御素子について、好適例を用いて詳細に説明する。
本発明の光制御素子は、図3及び4に示すように、第1の基板(11)の一面に第1の光導波路(21,23)が形成され、前記第1の基板の端には、前記第1の光導波路へ光を入射する入射部(21)、及び前記第1の光導波路から光を出射する出射部(23)が設けられ、第2の基板(12)の一面に第2の光導波路(22)が形成され、前記第2の基板には、前記第2の光導波路を伝搬する光を変調する光変調部を備え、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との並進部(S1,S2)において、両者が光結合していることを特徴とする。
【0020】
本発明の光制御素子は、図3に示すように、光の入射部(21)及び出射部(23)を有する第1の基板(11)と、光変調部(図4のマッハツェンダー型光導波路の2つの分岐導波路部分)を有する第2の基板(12)が分離している。そして、第1の基板(11)と第2の基板(12)は、図2のような樹脂等の接着層3を介さず、直接接合で結合され、基板間の光結合(図3の黒塗りの矢印が表示されている部分参照)を利用している。
【0021】
第1の基板(11)の入射部(21)で発生する光ファイバーと入射部のモードフィールド径のミスマッチによる不要光は、第1の基板内を伝搬するため、光変調部がある第2の基板(12)には伝搬せず、光変調部に不要光が混入することが抑制される。
【0022】
また、第1の基板(11)の入射部で発生した不要光は、基板(11)の内部(基板の厚み方向)に広がり、図2の基板1(薄板)内を伝搬する不要光よりも、出力光に混入され難い。
【0023】
さらに、第2の基板(12)の光変調部で発生する変調OFF状態に基板内部に残留する不要光は、第1の基板(11)の出射部(23)に結合しない構造となっている。
【0024】
図1との比較のため、図3の上面図を図4に示す。入射部(21)と出射部(23)の近傍において、第1の基板(11)に形成された光導波路(21,23)と第2の基板(12)に形成された光導波路(22)とは、並進部(S1,S2)において互いに重なり合い、基板間で光結合している。
【0025】
第1の基板(11)として、ガラス基板などの石英系材料を用いた平面光波回路(PLC;Planar Lightwave Circuit)や、ニオブ酸リチウム材料のLN基板が利用可能である。
【0026】
第2の基板(12)として、電気光学効果を有するニオブ酸リチウム(LN)材料のLN基板が挙げられる。LN基板には、コングルエント組成のLNの他、光損傷耐性の高い酸化マグネシウムドープ(MgOドープ)LNが挙げられる。LN基板に熱拡散やイオン注入などにより金属イオンをドープすることで屈折率を調整することも可能である。
【0027】
第2の基板(12)の厚みは、変調信号のマイクロ波と光波との速度整合を図るため、20μm以下、より好ましくは10μm以下に設定される。また、第2の基板(12)の光変調部の下面側に位置する第1の基板の部分には、第2の基板よりもより低誘電率な材料を配置することが、より好ましい。
【0028】
並進部(S1,S2)では、近接して配置された導波路間の伝搬距離が完全結合長を満たす場合、光電磁界のエバネッセント結合により、一方の導波路から他方の導波路にパワーが完全に推移する。このため、第1の基板に形成された光導波路(21)から第2の基板に形成された光導波路(22)への光結合、及び第2の基板に形成された光導波路(22)から第1の基板に形成された光導波路(23)への光結合が可能になる。
【0029】
第1の基板(11)にガラス材料のPLCを用いる場合、LNの屈折率2.2に対してPLCの屈折率は1.5であり、両者の屈折率差が大きいため、光導波路間の伝搬定数も大きく異なる。このため、単純に近接して光導波路を配置しても光結合は生じない。そこで、第1の基板の光導波路よりも高い屈折率材料からなる層を形成することにより、第2の基板に形成された光導波路の伝搬定数を第2の基板に形成された光導波路の伝搬定数に近づけることによって光導波路間の光結合が可能になる。
【0030】
一方、第1の基板(11)にLNを用いる場合、第1の基板に形成された光導波路の伝搬定数と第2の基板に形成された光導波路の伝搬定数が近いため、高屈折率材料からなる層を形成しなくても近接して配置することで光導波路間の光結合が可能である。
【0031】
図5は、本発明の光制御素子に係る第2の実施例であり、第2の基板(12)に光制御用の変調電極(CE)、直交バイアス電極(BE)及び光導波路(22)の分岐部(マッハツェンダー型光導波路の分岐部や合波部)を形成したものである。光結合部(S1,S2)が光入射部(21)と光出射部(23)に限定されるため、光結合部における結合効率がマッハツェンダー型光導波路の両アーム(分岐導波路)間の光強度の差に影響を及ぼすことがないという利点がある。一方、薄板構造である第2の基板(12)に光分岐部および光変調部を形成するため、高精度なプロセス技術が要求される。
【0032】
図6は、本発明の光制御素子に係る第3の実施例であり、第1の基板と第2の基板(12)に光導波路の分岐を分けて形成したものである。第2の基板(12)に光制御用の変調電極(CE)、直交バイアス電極(BE)および光導波路の分岐部の一部を形成している。光分岐部の一部を、光導波路を高精度で作製可能な第1の基板(PLC等)に形成できるという利点がある。
【0033】
図7は、本発明の光制御素子に係る第4の実施例であり、第1の基板に光導波路の全ての分岐部と直交バイアス電極(BE)を形成し、第2の基板(12)に光制御用の変調電極(CE)を形成した構成である。全ての光分岐部を高精度で作製可能な第1の基板(PLC等)に形成でいることが利点となる。ただし、直交バイアス電極(BE)は、熱光学効果によって駆動することが必要になる。薄板構造である第2の基板は、直線の光導波路(22)と光制御用の変調電極(CE)のみであるため、図5の構成と比較して、要求されるプロセス技術の難易度が低下するという利点もある。
【0034】
図8は、本発明の光制御素子に係る第5の実施例を説明する側面図である。第1の基板(11)と第2の基板(12)は同一のサイズである必要はなく、第2の基板を小型基板にして、縮小投影型露光や電子線描画などのより高精度なプロセス技術を適用することができる。また、第2の基板は1枚である必要は無く、第1の基板上に複数の第2の基板を並べて配置することも可能である。
【0035】
図9は、本発明の光制御素子に係る第6の実施例であり、第1の基板と第2の基板(12)の光導波路の並進部における光結合を高効率に行うため、光結合用の電極(OE)を形成した例を示す。電気光学効果を利用することにより、光導波路の伝搬定数を調整することが可能であるため、高効率に光結合を行うことが可能になる。
【0036】
図10は、本発明の光制御素子に用いられる光導波路間の接続構造(その1)を説明する図であり、低駆動電圧化のために、第2の基板(12)にミクロンレベルの微細な光導波路(WG2)を形成した場合の平面図である。低損失な光結合のため、第2の基板に形成された光導波路(WG2)を光結合部においてテーパ構造(T2)にしている。
【0037】
図11は、光導波路間の他の接続構造(その2)を説明する図である。第1の基板(11)に形成された第1の光導波路(WG1)から第2の基板(12)に形成された第2の光導波路(WG2)への低損失な光結合のために、第1の基板に形成された第1の光導波路(WG1)を光結合部においてテーパ構造T1にした構成を示す。テーパ構造にすることで各基板に形成された光導波路のモード移行が円滑になる。
【0038】
図12は、光導波路間の他の接続構造(その3)を説明する図である。第1の基板(11)に形成された第1の光導波路(21)から第2の基板(12)に形成された第2の光導波路(22)への低損失な光結合、あるいは第2の基板(12)に形成された第2の光導波路(22)から第1の基板(11)に形成された第1の光導波路(23)への低損失な光結合のために、光結合部において第1の基板の光導波路(21,23)よりも高い屈折率材料からなる高屈折率層(4)を形成した構成を示す。第1の光導波路と第2の光導波路の間に高屈折率層を形成することにより、二つの光導波路の伝搬定数差が緩和されるため、光導波路間の光結合が可能になる。
【0039】
図13は、光導波路感の他の接続構造(その4)を説明する図である。第1の光導波路(WG1)から第2の光導波路(WG2)、及び第2の光導波路(WG2)から第1の光導波路(WG1)への低損失かつ波長特性の少ない光結合のために、光結合部において周期的な屈折率構造からなるフォトニック結晶構造にした構成を示す。光の禁制帯であるフォトニックバンドギャップを利用することで低損失かつ波長特性に優れた光結合が可能になる。フォトニック結晶構造は、図13の点線領域Aの第1の基板又は第2の基板のいずれかに形成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明したように、本発明によれば、不要光が光変調部や出力光に混入することを抑制し、光変調信号の消光比等の特性を改善した光制御素子を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
11 第1の基板
12 第2の基板
21,23 第1の光導波路
22 第2の光導波路
S1~S6 並進部(光結合部)
CE 変調電極
BE 直交バイアス電極
OE 光結合用電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13