(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/11 20060101AFI20230201BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20230201BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20230201BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230201BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20230201BHJP
C25D 5/18 20060101ALI20230201BHJP
C25D 5/02 20060101ALI20230201BHJP
C25D 5/10 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
H05K1/11 N
H05K3/40 K
H05K3/46 G
H05K3/46 Q
H01L23/12 N
H01L23/12 501B
C25D7/00 J
C25D5/18
C25D5/02 E
C25D5/10
(21)【出願番号】P 2018221293
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 和弘
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-075548(JP,A)
【文献】特開2006-310779(JP,A)
【文献】特開2007-109706(JP,A)
【文献】国際公開第2011/062037(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/11
H05K 3/40
H05K 3/46
H01L 23/12
C25D 7/00
C25D 5/18
C25D 5/02
C25D 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア層と、
前記コア層の一方の面から前記コア層の他方の面に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の内壁面を被覆すると共に、前記コア層の一方の面及び前記コア層の他方の面に延在する第1金属層と、
前記第1金属層上に形成されると共に、前記貫通孔の中央部を塞ぐ第2金属層と、
前記貫通孔の内側において、前記中央部より前記コア層の一方の面側の前記第2金属層上に選択的に形成され、前記貫通孔内を充填する第3金属層と、
前記貫通孔の内側において、前記中央部より前記コア層の他方の面側の前記第2金属層上に選択的に形成され、前記貫通孔内を充填する第4金属層と、
前記コア層の一方の面の前記第2金属層上及び前記第3金属層上に形成された第5金属層と、
前記コア層の他方の面の前記第2金属層上及び前記第4金属層上に形成された第6金属層と、
を有し、
前記コア層の一方の面側には、前記コア層の一方の面側に設けられた前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第5金属層を含む第1配線層が形成され、
前記コア層の他方の面側には、前記コア層の他方の面側に設けられた前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第6金属層を含む第2配線層が形成され、
前記貫通孔内には、前記貫通孔内に設けられた前記第1金属層、前記第2金属層、前記第3金属層及び前記第4金属層を含む貫通配線が形成されて
おり、
前記第3金属層の平均結晶粒径及び前記第4金属層の平均結晶粒径は、前記第2金属層の平均結晶粒径よりも小さいことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記貫通孔内において、前記第2金属層は前記貫通孔の内壁面に設けられた前記第1金属層を被覆すると共に前記貫通孔の中央部を塞いで形成され、
前記貫通孔内には、前記貫通孔の中央部を塞ぐ前記第2金属層を底部とし前記コア層の一方の面側に開口する第1凹部と、前記貫通孔の中央部を塞ぐ前記第2金属層を底部とし前記コア層の他方の面側に開口する第2凹部と、が形成され、
前記第3金属層は前記第1凹部を充填し、
前記第4金属層は前記第2凹部を充填することを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記コア層の一方の面には第1金属箔が形成され、前記コア層の他方の面には第2金属箔が形成され、
前記貫通孔は、前記第1金属箔、前記コア層及び前記第2金属箔を貫通し、
前記第1金属層は、前記貫通孔の内壁面を被覆すると共に、前記第1金属箔上及び前記第2金属箔上に延在し、
前記第1配線層は前記第1金属箔を含み、
前記第2配線層は前記第2金属箔を含むことを特徴とする請求項1
又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
コア層の一方の面から前記コア層の他方の面に貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記コア層の一方の面、前記コア層の他方の面、及び前記貫通孔の内壁面を被覆する第1金属層を形成する工程と、
前記第1金属層上に、前記貫通孔の中央部を塞ぐ第2金属層を形成する工程と、
前記貫通孔の内側において、前記中央部より前記コア層の一方の面側の前記第2金属層上に第3金属層を選択的に形成し、前記貫通孔内を前記第3金属層で充填する工程と、
前記貫通孔の内側において、前記中央部より前記コア層の他方の面側の前記第2金属層上に第4金属層を選択的に形成し、前記貫通孔内を前記第4金属層で充填する工程と、
前記コア層の一方の面の前記第2金属層上及び前記第3金属層上に第5金属層を形成する工程と、
前記コア層の他方の面の前記第2金属層上及び前記第4金属層上に第6金属層を形成する工程と、
を有
し、
前記第3金属層の平均結晶粒径及び前記第4金属層の平均結晶粒径は、前記第2金属層の平均結晶粒径よりも小さいことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記第2金属層を形成する工程において、前記第2金属層は、前記コア層の一方の面、他方の面、及び前記貫通孔の内壁面に設けられた前記第1金属層を被覆して形成され、かつ、前記貫通孔の中央部を塞いで形成され、前記貫通孔内には、前記貫通孔の中央部を塞ぐ前記第2金属層を底部とし前記コア層の一方の面側に開口する第1凹部と、前記貫通孔の中央部を塞ぐ前記第2金属層を底部とし前記コア層の他方の面側に開口する第2凹部と、が形成され、
前記第3金属層を形成する工程は、
前記コア層の一方の面の前記第2金属層上に、前記第1凹部に対応する第1開口部を有する第1レジスト層を形成する工程と、
前記第1金属層を給電層とする電解めっき法により、前記第1開口部内に露出する前記第2金属層上に前記第1凹部を充填する前記第3金属層を形成する工程と、
を有し、
前記第4金属層を形成する工程は、
前記コア層の他方の面の前記第2金属層上に、前記第2凹部に対応する第2開口部を有する第2レジスト層を形成する工程と、
前記第1金属層を給電層とする電解めっき法により、前記第2開口部内に露出する前記第2金属層上に前記第2凹部を充填する前記第4金属層を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項
4に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記第3金属層を形成する工程及び前記第4金属層を形成する工程では、第1の濃度の硫酸銅及び第2の濃度の硫酸を含む第1のめっき液を用い、
前記第5金属層及び前記第6金属層は、前記第1の濃度よりも低い第3の濃度の硫酸銅及び前記第2の濃度よりも高い第4の濃度の硫酸を含む第2のめっき液を用いた電解めっき法により形成することを特徴とする請求項
5に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記第2金属層は、パルス電源を用いた電解めっき法により形成し、
前記第3金属層、前記第4金属層、前記第5金属層及び前記第6金属層は、直流電源を用いた電解めっき法により形成することを特徴とする請求項
4乃至
6のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記第5金属層を形成する工程は、
前記コア層の一方の面の前記第2金属層上及び前記第3金属層上に第3開口部を有する第3レジスト層を形成する工程と、
前記第1金属層を給電層とする電解めっき法により、前記第3開口部内に露出する前記第2金属層上及び前記第3金属層上に前記第5金属層を形成する工程と、
を有し、
前記第6金属層を形成する工程は、
前記コア層の他方の面の前記第2金属層上及び前記第4金属層上に第4開口部を有する第4レジスト層を形成する工程と、
前記第1金属層を給電層とする電解めっき法により、前記第4開口部内に露出する前記第2金属層上及び前記第4金属層上に前記第6金属層を形成する工程と、
を有し、
前記第5金属層をマスクとして前記第5金属層から露出する部分の前記第1金属層及び前記第2金属層を除去して、前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第5金属層を含む第1配線層を形成する工程と、
前記第6金属層をマスクとして前記第6金属層から露出する部分の前記第1金属層及び前記第2金属層を除去して、前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第6金属層を含む第2配線層を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項
4乃至
7のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記コア層の一方の面の第5金属層上に第5開口部を有する第5レジスト層を形成する工程と、
前記コア層の他方の面の第6金属層上に第6開口部を有する第6レジスト層を形成する工程と、
前記第5レジスト層をマスクとして前記第5レジスト層から露出する部分の前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第5金属層を除去して、前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第5金属層を含む第1配線層を形成する工程と、
前記第6レジスト層をマスクとして前記第6レジスト層から露出する部分の前記第1金属層、記第2金属層及び前記第6金属層を除去して、前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第6金属層を含む第2配線層を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項
4乃至
7のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コア層に設けた貫通孔をめっきで充填して貫通配線を形成した配線基板が知られている。このような配線基板の製造方法として、セミアディティブ法により配線層を形成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6079150号公報
【文献】特許第6114527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、貫通孔のサイズや形状によっては、貫通孔を適切に充填しながら、コア層上に適切な厚さで配線層を形成することが困難である。例えば、貫通孔の断面形状のアスペクト比が大きい場合や、貫通孔の径が大きい場合、貫通孔を適切に充填しようとすると、配線層が過剰に厚くなってしまう。
【0005】
本発明は、貫通孔が適切に充填され、適切な厚さの配線層を得ることができる配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
配線基板の一態様は、コア層と、前記コア層の一方の面から前記コア層の他方の面に貫通する貫通孔と、前記貫通孔の内壁面を被覆すると共に、前記コア層の一方の面及び前記コア層の他方の面に延在する第1金属層と、前記第1金属層上に形成されると共に、前記貫通孔の中央部を塞ぐ第2金属層と、前記貫通孔の内側において、前記中央部より前記コア層の一方の面側の前記第2金属層上に選択的に形成され、前記貫通孔内を充填する第3金属層と、前記貫通孔の内側において、前記中央部より前記コア層の他方の面側の前記第2金属層上に選択的に形成され、前記貫通孔内を充填する第4金属層と、前記コア層の一方の面の前記第2金属層上及び前記第3金属層上に形成された第5金属層と、前記コア層の他方の面の前記第2金属層上及び前記第4金属層上に形成された第6金属層と、を有する。前記コア層の一方の面側には、前記コア層の一方の面側に設けられた前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第5金属層を含む第1配線層が形成され、前記コア層の他方の面側には、前記コア層の他方の面側に設けられた前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第6金属層を含む第2配線層が形成され、前記貫通孔内には、前記貫通孔内に設けられた前記第1金属層、前記第2金属層、前記第3金属層及び前記第4金属層を含む貫通配線が形成されており、前記第3金属層の平均結晶粒径及び前記第4金属層の平均結晶粒径は、前記第2金属層の平均結晶粒径よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、貫通孔が適切に充填され、適切な厚さの配線層を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る配線基板の構造を示す断面図である。
【
図2】コア層の貫通孔及びその近傍を示す断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図4】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図5】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図6】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図7】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図8】配線層及び貫通配線を形成する第1の方法を示す断面図(その1)である。
【
図9】配線層及び貫通配線を形成する第1の方法を示す断面図(その2)である。
【
図10】配線層及び貫通配線を形成する第1の方法を示す断面図(その3)である。
【
図11】配線層及び貫通配線を形成する第2の方法を示す断面図である。
【
図12】配線層及び貫通配線を形成する参考例の方法を示す断面図である。
【
図13】第2の実施形態に係る半導体パッケージを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は配線基板に関する。
【0011】
[配線基板の構造]
まず、配線基板の構造について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る配線基板の構造を示す断面図である。
図2は、コア層の貫通孔及びその近傍を示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、第1の実施形態に係る配線基板10は、コア層11と、配線層21及び31と、貫通配線12と、絶縁層22と、配線層23と、絶縁層24と、配線層25と、絶縁層26と、配線層27と、外部接続端子28と、絶縁層32と、配線層33と、絶縁層34と、配線層35と、絶縁層36と、配線層37と、ソルダレジスト層29及び39とを有する。
【0013】
なお、配線基板10において、便宜上、ソルダレジスト層29が形成される側を一方の側(一方の面)、ソルダレジスト層39が形成される側を他方の側(他方の面)と称する場合がある。
【0014】
配線基板10において、コア層11の一方の面には配線層21が形成され、他方の面には配線層31が形成されている。配線層21と配線層31とはコア層11の一方の面からコア層11の他方の面に貫通する貫通孔11x内に形成された貫通配線12により電気的に接続されている。配線層21及び31は、各々所定の平面形状にパターニングされている。第1の実施形態において、配線層21は第1配線層の一例であり、配線層31は第2配線層の一例である。
【0015】
コア層11としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア層11として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。コア層11の厚さは、例えば、100μm~200μm程度とすることができる。コア層11には、コア層11を厚さ方向に貫通する貫通孔11xが設けられている。なお、各図において、ガラスクロス等の図示は省略されている。
【0016】
貫通孔11xは、コア層11の一方の面から形成された第1の孔11x1と、コア層11の他方の面から形成された第2の孔11x2とを有する。第1の孔11x1は、コア層11の一方の面側の開口部の面積がコア層11内に形成された頂部の面積よりも大となる円錐台状の孔である。また、第2の孔11x2は、コア層11の他方の面側の開口部の面積がコア層11内に形成された頂部の面積よりも大となる円錐台状の孔である。第1の孔11x1と第2の孔11x2の各々の頂部がコア層11内(例えば、コア層11の厚さ方向の中央部近傍)で連通して貫通孔11xを形成している。なお、第1の孔11x1と第2の孔11x2の各々の頂部が連通した部分を、頂部連通部と称する場合がある。
【0017】
換言すれば、貫通孔11xは、鼓状である。ここで、鼓状とは、貫通孔11xにおいて、コア層11の一方の面側の開口部及びコア層11の他方の面側の開口部の各々から頂部連通部にかけて、断面積(平面方向の断面積)が連続的に減少する形状を指す。貫通孔11xにおいて、頂部連通部が最も断面積の小さい部分(小径部)となる。
【0018】
つまり、貫通孔11xの断面(厚さ方向の断面)は、コア層11の一方の面側の開口部から貫通孔11xの略中央部の小径部(頂部連通部)にかけての傾斜面を有する。また、貫通孔11xの断面(厚さ方向の断面)は、コア層11の他方の面側の開口部から貫通孔11xの略中央部の小径部(頂部連通部)にかけての傾斜面を有する。
【0019】
貫通孔11xにおいて、コア層11の一方の面側の開口部の径及びコア層11の他方の面側の開口部の径は、各々、例えば、80μm~100μm程度とすることができる。また、頂部連通部の径は、例えば、60μm~70μm程度とすることができる。
【0020】
但し、第1の孔11x1及び第2の孔11x2は各々円錐台状の孔でなくてもよく、その場合には、貫通孔11xの一方の側の開口部、他方の側の開口部、頂部連通部の各々の断面形状(平面方向の断面形状)は、例えば、楕円形や他の形状となる。
【0021】
また、頂部連通部は、コア層11の厚さ方向の中央部近傍に位置するが、中央部近傍からコア層11の一方の側又は他方の側にずれてもよい。つまり、頂部連通部は、コア層11の厚さ方向の中央部近傍から垂直方向に多少ずれても問題はない。また、第1の孔11x1の軸部及び第2の孔11x2の軸部が水平方向に多少ずれても問題はない。
【0022】
また、貫通孔11xにおいて、一方の側の開口部から頂部連通部に至る部分の内壁面の断面形状(厚さ方向の断面形状)、及び他方の側の開口部から頂部連通部に至る部分の内壁面の断面形状(厚さ方向の断面形状)は、直線状であっても曲線状であってもよい。
【0023】
図2に示すように、配線層21は、コア層11の一方の面に、第1金属箔21a、第1金属層51、第2金属層52及び第5金属層55が順次積層された構造を有する。配線層31は、コア層11の他方の面に、第2金属箔31a、第1金属層51、第2金属層52及び第6金属層56が順次積層された構造を有する。
【0024】
貫通孔11x内及びその周辺部において、第1金属層51及び第2金属層52は、コア層11の一方の面から貫通孔11xを介してコア層11の他方の面にかけて連続的に形成されている。より詳しくは、貫通孔11x内及びその周辺部において、第1金属層51は、貫通孔11xの内壁面を被覆すると共に、コア層11の一方の面及び他方の面に延在している。そして、第1金属層51は、コア層11の一方の面において第1金属箔21aを被覆し、コア層11の他方の面において第2金属箔31aを被覆している。
【0025】
また、貫通孔11x内において、第2金属層52は貫通孔11xを完全には充填せずに、貫通孔11xの内壁面を被覆する第1金属層51を被覆すると共に、貫通孔11xの中央部を塞いで形成されている。貫通孔11x内及び貫通孔11x上には、貫通孔11xの中央部を塞ぐ第2金属層52を底部としコア層11の一方の面側に開口する第1凹部21xが形成されている。また、貫通孔11xの中央部を塞ぐ第2金属層52を底部としコア層11の他方の面側に開口する第2凹部31xが形成されている。
【0026】
換言すれば、貫通孔11x内にける第2金属層52の断面形状は、X字形状とされている。なお、X字形状とは、おおよそX字の形をしていることを示しており、例えば、Xを構成する斜線部が直線状であってもよいし曲線状であってもよいし両者を含んでいてもよい。
【0027】
第3金属層53は第1凹部21xを充填している。第3金属層53の上面は、略平坦であり、好ましくは第2金属層52の上面と面一である。また、第4金属層54は第2凹部31xを充填している。第4金属層54の下面は、略平坦であり、好ましくは第2金属層52の下面と面一である。
【0028】
なお、第3金属層53が第1凹部21xの全体を充填していなくてもよいが、第5金属層55の上面に第1凹部21xの凹みが反映されない程度に第1凹部21xを充填していることが好ましい。例えば、厚さ方向にて第3金属層53が第1凹部21xの80%程度以上を充填していることが好ましい。同様に、第4金属層54が第2凹部31xの全体を充填していなくてもよいが、第6金属層56の下面に第2凹部31xの凹みが反映されない程度に第2凹部31xを充填していることが好ましい。例えば、厚さ方向にて第4金属層54が第2凹部31xの80%程度以上を充填していることが好ましい。また、第3金属層53の上面が第2金属層52の上面より上方にあってもよく、第4金属層54の下面が第2金属層52の下面より下方にあってもよい。
【0029】
第5金属層55は、コア層11の一方の面側の第2金属層52及び第3金属層53を被覆する。第5金属層55の上面は、略平坦である。第2金属層52及び第3金属層53の上面は、第5金属層55のコア層11側の面と接している。また、第6金属層56は、コア層11の他方の面側の第2金属層52及び第4金属層54を被覆する。第6金属層56の下面は、略平坦である。第2金属層52及び第4金属層54の下面は、第6金属層56のコア層11側の面と接している。
【0030】
例えば、第3金属層53の平均結晶粒径及び第4金属層54の平均結晶粒径は、第2金属層52の平均結晶粒径よりも小さい。第3金属層53の平均結晶粒径及び第4金属層54の平均結晶粒径が第2金属層52の平均結晶粒径よりも小さいため、第1凹部21x及び第2凹部31xを適切に充填しやすい。第5金属層55の平均結晶粒径及び第6金属層56の平均結晶粒径は、例えば第3金属層53の平均結晶粒径及び第4金属層54の平均結晶粒径と同程度とすることができる。
【0031】
なお、貫通孔11x内に形成された第1金属層51、第2金属層52、第3金属層53及び第4金属層54から構成される部分が貫通配線12である。第1金属箔21a、第2金属箔31a、第1金属層51、第2金属層52、第3金属層53、第4金属層54、第5金属層55及び第6金属層56の各々の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0032】
第1金属箔21a及び第2金属箔31aの厚さは、例えば、各々3μm~5μm程度とすることができる。第1金属層51の厚さは、例えば、0.5μm~1.0μm程度とすることができる。コア層11の一方の面上及び他方の面上の第2金属層52の厚さは、例えば、5μm~7μm程度とすることができる。第2金属層52は、例えば、貫通孔11xの中央でコア層11の厚さの60%~70%程度の厚さを有する。第3金属層53及び第4金属層54の貫通孔11xの中央での厚さは、例えば、各々30μm~50μm程度とすることができる。第5金属層55及び第6金属層56の厚さは、例えば、各々10μm~15μm程度とすることができる。例えば、第5金属層55はコア層11の一方の面の第2金属層52よりも厚く、第6金属層56はコア層11の他方の面の第2金属層52よりも厚い。第5金属層55がコア層11の一方の面の第2金属層52より薄くてもよく、第6金属層56がコア層11の他方の面の第2金属層52より薄くてもよい。
【0033】
図1に示すように、絶縁層22は、コア層11の一方の面に配線層21を覆うように形成されている。絶縁層22の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁層22は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層22の厚さは、例えば30μm~70μm程度とすることができる。
【0034】
配線層23は、絶縁層22の一方の側に形成されている。配線層23は、絶縁層22を貫通し配線層21の一方の面を露出するビアホール22x内に充填されたビア配線、及び絶縁層22の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール22xは、絶縁層24側に開口されていると共に、配線層21の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層23の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層23の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。
【0035】
絶縁層24は、絶縁層22の一方の面に配線層23を覆うように形成されている。絶縁層24の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層24は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0036】
配線層25は、絶縁層24の一方の側に形成されている。配線層25は、絶縁層24を貫通し配線層23の一方の面を露出するビアホール24x内に充填されたビア配線、及び絶縁層24の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール24xは、絶縁層26側に開口されていると共に、配線層23の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層25の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0037】
絶縁層26は、絶縁層24の一方の面に配線層25を覆うように形成されている。絶縁層26の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層26は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0038】
配線層27は、絶縁層26の一方の側に形成されている。配線層27は、絶縁層26を貫通し配線層25の一方の面を露出するビアホール26x内に充填されたビア配線、及び絶縁層26の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール26xは、ソルダレジスト層29側に開口されていると共に、配線層25の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層27の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0039】
ソルダレジスト層29は、絶縁層26の一方の面に、配線層27を覆うように形成されている。ソルダレジスト層29は、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等の感光性樹脂等から形成することができる。ソルダレジスト層29の厚さは、例えば30μm~70μm程度とすることができる。
【0040】
ソルダレジスト層29は、開口部29xを有し、開口部29x内には配線層27の一部が露出している。開口部29x内に露出する配線層27は、半導体チップ等(図示せず)と電気的に接続されるパッドとして機能する。そこで、開口部29x内に露出する配線層27を第1パッド27と称する場合がある。
【0041】
第1パッド27の一方の面に金属層が形成されていたり、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理が施されていたりしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。金属層の厚さは、例えば、0.03μm~10μm程度とすることができる。
【0042】
第1パッド27の一方の面に外部接続端子28が設けられている。外部接続端子28としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0043】
但し、ソルダレジスト層29は、配線層27を完全に露出するように設けてもよい。この場合、配線層27の側面とソルダレジスト層29の側面とが接するようにソルダレジスト層29を設けてもよいし、配線層27の側面とソルダレジスト層29の側面との間に隙間ができるようにソルダレジスト層29を設けてもよい。
【0044】
なお、配線層27を構成する配線パターンを絶縁層26の一方の面に引き出して形成し、絶縁層26の一方の面に引き出された配線パターン上に開口部29xを形成してもよい。つまり、配線層27のビアホール26x上以外の部分に、開口部29xを配置してもよい。また、外部接続端子28が設けられていなくてもよい。
【0045】
絶縁層32は、コア層11の他方の面に配線層31を覆うように形成されている。絶縁層32の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層32は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0046】
配線層33は、絶縁層32の他方の側に形成されている。配線層33は、絶縁層32を貫通し配線層31の他方の面を露出するビアホール32x内に充填されたビア配線、及び絶縁層32の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール32xは、絶縁層34側に開口されていると共に、配線層31の他方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層33の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0047】
絶縁層34は、絶縁層32の他方の面に配線層33を覆うように形成されている。絶縁層34の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層34は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0048】
配線層35は、絶縁層34の他方の側に形成されている。配線層35は、絶縁層34を貫通し配線層33の他方の面を露出するビアホール34x内に充填されたビア配線、及び絶縁層34の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール34xは、絶縁層36側に開口されていると共に、配線層33の他方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層35の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0049】
絶縁層36は、絶縁層34の他方の面に配線層35を覆うように形成されている。絶縁層36の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層36は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0050】
配線層37は、絶縁層36の他方の側に形成されている。配線層37は、絶縁層36を貫通し配線層35の他方の面を露出するビアホール36x内に充填されたビア配線、及び絶縁層36の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール36xは、ソルダレジスト層39側に開口されていると共に、配線層35の他方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層37の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0051】
ソルダレジスト層39は、絶縁層36の他方の面に、配線層37を覆うように形成されている。ソルダレジスト層39の材料や厚さは、例えば、ソルダレジスト層29と同様とすることができる。
【0052】
ソルダレジスト層39は、開口部39xを有し、開口部39x内には配線層37の一部が露出している。開口部39x内に露出する配線層37は、マザーボード等の実装基板等(図示せず)と電気的に接続されるパッドとして機能する。そこで、開口部39x内に露出する配線層37を第2パッド37と称する場合がある。なお、第2パッド37の平面形状は第1パッド27の平面形状よりも大きく、かつ、第2パッド37のピッチは第1パッド27のピッチよりも広い。
【0053】
第2パッド37の他方の面に金属層が形成されていたり、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理が施されていたりしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。金属層の厚さは、例えば、0.03μm~10μm程度とすることができる。また、第2パッド37の他方の面に、はんだボールやリードピン等の外部接続端子が形成されていてもよい。
【0054】
なお、配線層37を構成する配線パターンを絶縁層36上に引き出して形成し、絶縁層36上に引き出された配線パターン上に開口部39xを形成してもよい。つまり、配線層37のビアホール36x上以外の部分に、開口部39xを配置してもよい。
【0055】
第1の実施形態によれば、第3金属層53の平均結晶粒径及び第4金属層54の平均結晶粒径が第2金属層52の平均結晶粒径よりも小さいため、第1凹部21x及び第2凹部31xが適切に充填される。また、第5金属層55が第3金属層53から独立して形成されているため、第5金属層55の厚さは第3金属層53の厚さの影響を受けない。同様に、第6金属層56が第4金属層54から独立して形成されているため、第6金属層56の厚さは第4金属層54の厚さの影響を受けない。従って、第1凹部21x及び第2凹部31xの充填性から独立して、配線層21及び31の各厚さを制御することができる。このため、貫通孔11xが適切に充填され、適切な厚さの配線層21及び31を得ることができる。
【0056】
[配線基板の製造方法]
次に、第1の実施形態に係る配線基板10の製造方法について説明する。
図3~
図7は、第1の実施形態に係る配線基板10の製造方法を示す断面図である。
【0057】
まず、
図3(a)に示すように、コア層11の一方の面に第1金属箔21P(パターニングされていないベタ状の金属箔)、他方の面に第2金属箔31P(パターニングされていないベタ状の金属箔)が形成された積層板を準備する。
【0058】
コア層11としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア層11として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。コア層11の厚さは、例えば、100μm~200μm程度とすることができる。
【0059】
第1金属箔21P及び第2金属箔31Pとしては、例えば、各々銅箔等を用いることができる。第1金属箔21P及び第2金属箔31Pの各々の厚さは、例えば、12μm~18μm程度とすることができるが、エッチング等により3μm~5μm程度に薄型化しておくことが好ましい。第1金属箔21P及び第2金属箔31Pが各々銅箔である場合には、例えば、硫酸過酸化水素系のエッチング液や過硫酸塩素系のエッチング液等を用いてエッチングして薄型化できる。
【0060】
なお、第1金属箔21P及び第2金属箔31Pを薄型化する目的は、後工程におけるレーザ加工を容易にするためや、レーザ加工時に第1金属箔21P及び第2金属箔31Pの加工部端に生じるバリを小さくするためである。また、配線層21及び31のファインピッチ化を実現するためである。第1金属箔21P及び第2金属箔31Pは、後工程でパターニングされて、各々第1金属箔21a及び第2金属箔31aとなる部分である。
【0061】
次に、
図3(b)に示すように、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により、コア層11、第1金属箔21P及び第2金属箔31Pを貫通する貫通孔11xを形成する。貫通孔11xを形成するには、まず、第1金属箔21Pを介して、コア層11の一方の面側にレーザ光を照射し、コア層11の一方の面側に第1の孔11x
1を形成する。
【0062】
次に、第2金属箔31Pを介して、第1の孔11x1に対応する位置のコア層11の他方の面側にレーザ光を照射し、コア層11の他方の面側に第2の孔11x2を形成する。これにより、第1の孔11x1と第2の孔11x2の各々の頂部がコア層11の厚さ方向の中央部近傍で連通し、貫通孔11xが形成される。第1の孔11x1の形成では、最終的に貫通孔11xが形成されれば、第1の孔11x1はコア層11を貫通してもしなくてもよい。
【0063】
第1の孔11x1は、コア層11の一方の面側の開口部の面積がコア層11内に形成された頂部の面積よりも大となる円錐台状の孔である。また、第2の孔11x2は、コア層11の他方の面側の開口部の面積がコア層11内に形成された頂部の面積よりも大となる円錐台状の孔である。換言すれば、貫通孔11xは、鼓状である。
【0064】
なお、第1の孔11x1及び第2の孔11x2は各々円錐台状の孔でなくてもよく、その場合には、貫通孔11xの一方の側の開口部、他方の側の開口部、頂部連通部の各々の断面形状(平面方向の断面形状)は、例えば、楕円形や他の形状となる。また、頂部連通部は、コア層11の厚さ方向の中央部近傍に位置するが、中央部近傍からコア層11の一方の側又は他方の側にずれてもよい。
【0065】
また、貫通孔11xにおいて、一方の側の開口部から頂部連通部に至る部分の内壁面の断面形状(厚さ方向の断面形状)、及び他方の側の開口部から頂部連通部に至る部分の内壁面の断面形状(厚さ方向の断面形状)は、直線状であっても曲線状であってもよい。
【0066】
レーザ加工法により貫通孔11xを形成すると、貫通孔11xの一方の側の開口端において、第1金属箔21Pの端部が貫通孔11x内にひさし状に張り出したバリが生じる場合がある。同様に、貫通孔11xの他方の側の開口端において、第2金属箔31Pの端部が貫通孔11x内にひさし状に張り出したバリが生じる場合がある。なお、バリの端部がめくれ上がったり、バリの端部にレーザにより溶融した第1金属箔21P又は第2金属箔31Pの材料が付着したりする場合もある。
【0067】
このような場合には、例えば、硫酸過酸化水素系エッチング液や過硫酸塩素系エッチング液等を用いたエッチングによりバリを除去することが好ましい。また、エッチングに代えて、バフ研磨やブラスト処理、高圧スプレー洗浄等によりバリを除去することもできる。なお、前述のように第1金属箔21P及び第2金属箔31Pを薄型化しておくと、容易にバリを除去できる点で好適である。
【0068】
バリを除去する際に、コア層11の一方の面の貫通孔11xの開口部周縁の第1金属箔21Pがバリと共に環状に除去されてコア層11の一方の面が環状に露出する場合があるが特に問題はない。同様に、コア層11の他方の面の貫通孔11xの開口部周縁の第2金属箔31Pがバリと共に環状に除去されてコア層11の他方の面が環状に露出する場合があるが特に問題はない。
【0069】
なお、
図3(a)に示す工程と
図3(b)に示す工程の間に、第1金属箔21Pの一方の面及び第2金属箔31Pの他方の面に各々表面処理を施しておくと、レーザ加工が容易になり好適である。表面処理の一例としては、例えば、黒化処理を挙げることができる。黒化処理とは、亜塩素酸ナトリウム等を用いて金属箔表面を酸化処理することをいう。黒化処理は、粗化処理の一種である。
【0070】
黒化処理によって、第1金属箔21Pの一方の面及び第2金属箔31Pの他方の面に、1μm程度の微小な凹凸からなる酸化膜が形成される。つまり、第1金属箔21Pの一方の面及び第2金属箔31Pの他方の面に、酸化膜による粗化面が形成される。この酸化膜は(この粗化面は)、黒色系又は褐色系に視認される。
【0071】
黒色系又は褐色系の酸化膜は、後工程で照射するレーザ光の波長を吸収しやすいため、レーザ加工の加工性を高めることができる。例えば、CO2レーザの波長帯は赤外であるが、黒色系又は褐色系の酸化膜は紫外光、可視光、赤外光等を含む波長帯の光を広く吸収するため、レーザ加工の加工性を高めることができる。なお、前述のようにエッチングによりバリを除去すると、バリと共に黒色系又は褐色系の酸化膜も除去される。但し、後工程で照射するレーザ光の波長を吸収しやすくできれば、黒化処理以外の処理を施してもよい。
【0072】
次に、必要に応じて貫通孔11x内や第1金属箔21Pの表面及び第2金属箔31Pの表面のデスミア処理を行い、
図4(a)に示すように、配線層21及び31と貫通配線12とを形成する。配線層21及び31と貫通配線12とを形成する方法については、後述する。
【0073】
配線層21及び31と貫通配線12を形成した後、
図4(b)に示すように、コア層11の一方の面に配線層21を覆うようにフィルム状のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂フィルムをラミネートし、絶縁層22を形成する。また、コア層11の他方の面に配線層31を覆うようにフィルム状のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂フィルムをラミネートし、絶縁層32を形成する。或いは、フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を塗布後、硬化させて絶縁層22及び32を形成してもよい。絶縁層22及び32の各々の厚さは、例えば、30μm~70μm程度とすることができる。絶縁層22及び32の各々は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0074】
次に、
図5(a)に示すように、絶縁層22に、絶縁層22を貫通し配線層21の一方の面を露出させるビアホール22xを形成する。また、絶縁層32に、絶縁層32を貫通し配線層31の他方の面を露出させるビアホール32xを形成する。ビアホール22x及び32xは、例えば、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール22x及び32xを形成後、デスミア処理を行い、ビアホール22x及び32xの底部に各々露出する配線層21及び配線層31の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0075】
次に、
図5(b)に示す工程では、絶縁層22の一方の側に配線層23を形成する。配線層23は、ビアホール22x内に充填されたビア配線、及び絶縁層22の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層23は、ビアホール22xの底部に露出した配線層21と電気的に接続される。
【0076】
同様に、絶縁層32の他方の側に配線層33を形成する。配線層33は、ビアホール32x内に充填されたビア配線、及び絶縁層32の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層33は、ビアホール32xの底部に露出した配線層31と電気的に接続される。
【0077】
配線層23及び33の各々の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層23及び33の各々の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。配線層23及び33の各々は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。
【0078】
次に、
図6(a)に示すように、
図4(b)~
図5(b)に示す工程を繰り返すことにより、配線層23に、絶縁層24、配線層25、絶縁層26及び配線層27を順次積層する。また、配線層33に、絶縁層34、配線層35、絶縁層36及び配線層37を順次積層する。但し、配線層と絶縁層は任意の積層数とすることができる。
【0079】
すなわち、絶縁層22の一方の面に配線層23を覆うように絶縁層24を形成する。同様に、絶縁層32の他方の面に配線層33を覆うように絶縁層34を形成する。そして、絶縁層24を貫通し配線層23の一方の面を露出するビアホール24xを形成する。同様に、絶縁層34を貫通し配線層33の他方の面を露出するビアホール34xを形成する。絶縁層24及び34の各々の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層24及び34の各々は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0080】
更に、絶縁層24の一方の側に配線層25を形成する。配線層25は、ビアホール24x内に充填されたビア配線、及び絶縁層24の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層25は、ビアホール24x内に露出した配線層23と電気的に接続される。同様に、絶縁層34の他方の側に配線層35を形成する。配線層35は、ビアホール34x内に充填されたビア配線、及び絶縁層34の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層35は、ビアホール34x内に露出した配線層33と電気的に接続される。配線層25及び35の各々の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0081】
更に、絶縁層24の一方の面に配線層25を覆うように絶縁層26を形成する。同様に、絶縁層34の他方の面に配線層35を覆うように絶縁層36を形成する。そして、絶縁層26を貫通し配線層25の一方の面を露出するビアホール26xを形成する。同様に、絶縁層36を貫通し配線層35の他方の面を露出するビアホール36xを形成する。絶縁層26及び36の各々の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層26及び36の各々は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0082】
更に、絶縁層26の一方の側に配線層27を形成する。配線層27は、ビアホール26x内に充填されたビア配線、及び絶縁層26の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層27は、ビアホール26x内に露出した配線層25と電気的に接続される。同様に、絶縁層36の他方の側に配線層37を形成する。配線層37は、ビアホール36x内に充填されたビア配線、及び絶縁層36の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層37は、ビアホール36x内に露出した配線層35と電気的に接続される。配線層27及び37の各々の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0083】
次に、
図6(b)に示すように、絶縁層26の一方の面に配線層27を被覆するソルダレジスト層29を形成する(但し、前述のように、ソルダレジスト層29は、配線層27を完全に露出するように形成してもよい)。ソルダレジスト層29は、例えば、液状又はペースト状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂を、配線層27を被覆するように絶縁層26の一方の面にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。或いは、例えば、フィルム状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂を、配線層27を被覆するように絶縁層26の一方の面にラミネートすることにより形成してもよい。同様にして、絶縁層36の他方の面に配線層37を被覆するソルダレジスト層39を形成する。
【0084】
そして、塗布又はラミネートした絶縁性樹脂を露光及び現像することでソルダレジスト層29に開口部29xを形成する(フォトリソグラフィ法)。また、ソルダレジスト層39に開口部39xを形成する(フォトリソグラフィ法)。なお、開口部29x及び39xは、レーザ加工法やブラスト処理により形成してもよい。開口部29x及び39xの各々の平面形状は、例えば、円形状とすることができる。開口部29x及び39xの各々の直径は、半導体チップやマザーボードの端子ピッチ等に合わせて任意に設計できる。
【0085】
必要に応じ、開口部29x及び39xの各々の底部に露出する配線層27(第1パッド27)の一方の面及び配線層37(第2パッド37)の他方の面に、例えば無電解めっき法等により金属層等を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。また、金属層の形成に代えて、開口部29x及び39xの各々の底部に露出する配線層27の一方の面及び配線層37の他方の面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施してもよい。
【0086】
次に、
図7(a)に示すように、第1パッド27上に、第1パッド27上に金属層等が形成されている場合には金属層等の上に、外部接続端子28を形成する。外部接続端子28としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0087】
外部接続端子28の形成方法の一例では、例えば、まず、第1パッド27上に、第1パッド27上に金属層等が形成されている場合には、金属層等の上に、表面処理剤としてのフラックスを塗布する。そして、はんだボールを搭載し、240℃~260℃程度の温度でリフローする。その後、表面を洗浄してフラックスを除去する。このようにして、外部接続端子28を形成することができる。
【0088】
外部接続端子28の形成後、
図7(b)に示すように、切断線Cに沿って配線基板10を切断し、個片化する。配線基板10は、切断線Cに沿ってスライサー等で切断することにより個片化される。
【0089】
このようにして、第1の実施形態に係る配線基板10を製造することができる。なお、配線基板10の個片化は、
図6(b)に示す工程の後で、外部接続端子28を形成せずに行ってもよい。つまり、配線基板10に外部接続端子28を含ませなくてもよい。
【0090】
ここで、配線層21及び31と貫通配線12とを形成する方法について説明する。配線層21及び31と貫通配線12とは、大別して2種類の方法により製造することができる。
【0091】
<第1の方法>
第1の方法では、セミアディティブ法により配線層21及び31を形成する。
図8~
図10は、配線層21及び31と、貫通配線12とを形成する第1の方法を示す断面図である。
図8~
図10には、
図2に対応する部分を示している。
【0092】
第1の方法では、
図3(a)に示す工程及び
図3(b)に示す工程の後、
図8(a)に示すように、第1金属箔21P、貫通孔11xの内壁面、及び第2金属箔31Pを被覆する第1金属層51Aを形成する。第1金属層51Aは、例えば、無電解めっき法等により形成できる。第1金属層51Aの材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。第1金属層51Aの厚さは、例えば、0.5μm~1.0μm程度とすることができる。第1金属層51Aは後工程で電解めっきを行うための給電層であり、最終的にはエッチングされて第1金属層51となる層である。
【0093】
次に、
図8(b)に示すように、第1金属層51Aを給電層とする電解めっき法により、第1金属層51A上に第2金属層52Aを形成する。第2金属層52Aは、コア層11の一方の面の第1金属層51A上にベタ状に形成される。また、第2金属層52Aは、コア層11の他方の面の第1金属層51A上にベタ状に形成される。また、第2金属層52Aは、貫通孔11xを完全には充填せずに、貫通孔11xの内壁面を被覆する第1金属層51Aを被覆すると共に、貫通孔11xの中央部を塞いで形成される。第2金属層52Aの材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。コア層11の一方の面上及び他方の面上の第2金属層52Aの厚さは、例えば、5μm~7μm程度とすることができる。第2金属層52Aは、最終的にはエッチングされて第2金属層52となる層である。
【0094】
なお、貫通孔11xの中央部近傍は第2金属層52Aにより塞がれるが、貫通孔11x内及び貫通孔11x上には、貫通孔11xの中央部を塞ぐ第2金属層52Aを底部としコア層11の一方の面側に開口する第1凹部21xが形成される。また、貫通孔11xの中央部を塞ぐ第2金属層52Aを底部としコア層11の他方の面側に開口する第2凹部31xが形成される。換言すれば、貫通孔11x内に形成される第2金属層52Aの断面形状はX字形状となる。第2金属層52Aは、例えば、貫通孔11xの中央でコア層11の厚さの60%~70%程度の厚さを有する。
【0095】
第2金属層52Aの形成に用いる電解めっきでは、例えば、パルス電源を用い、電流密度は3.0A/dm2~4.0A/dm2程度とする。また、めっき液としては、例えば、硫酸銅の濃度が260g/L~280g/L程度、硫酸の濃度が50g/L~90g/L程度、塩化物イオンの濃度が80g/L~100g/L程度のめっき液を用いる。パルス電源を用いるため、貫通孔11xの中央部を塞ぐ第2金属層52Aを形成しやすい。
【0096】
次に、
図8(c)に示すように、コア層11の一方の面側の第2金属層52A上に第1凹部21xに対応する第1開口部151xを有する第1レジスト層151を形成する。また、コア層11の他方の面側の第2金属層52A上に第2凹部31xに対応する第2開口部152xを有する第2レジスト層152を形成する。第1レジスト層151及び第2レジスト層152としては、例えば、ドライフィルム等を用いることができ、パターニング処理をして第1開口部151x及び第2開口部152xを形成できる。
【0097】
次に、
図9(a)に示すように、第1金属層51Aを給電層とする電解めっき法により、第1開口部151x内に露出する第2金属層52A上に第3金属層53を形成し、第1凹部21x内に第3金属層53を充填する。また、第1金属層51Aを給電層とする電解めっき法により、第2開口部152x内に露出する第2金属層52A上に第4金属層54を形成し、第2凹部31x内に第4金属層54を充填する。第3金属層53及び第4金属層54の各々の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。第3金属層53及び第4金属層54の各々の貫通孔11xの中央での厚さは、例えば、30μm~50μm程度とすることができる。
【0098】
第3金属層53及び第4金属層54の形成に用いる電解めっきでは、例えば、直流電源を用い、電流密度は1.5A/dm2~2.0A/dm2程度とする。また、めっき液としては、例えば、硫酸銅の濃度(第1の濃度)が220g/L~270g/L程度、硫酸の濃度(第2の濃度)が40g/L~80g/L程度、塩化物イオンの濃度が20g/L~40g/L程度のめっき液(第1のめっき液)を用いる。このようなめっき液を用いることにより、第1凹部21x内に第3金属層53を充填しやすく、第2凹部31x内に第4金属層54を充填しやすい。また、第3金属層53の平均結晶粒径及び第4金属層54の平均結晶粒径は、第2金属層52Aの平均結晶粒径より小さいものとなる。
【0099】
なお、第3金属層53の上面及び第4金属層54の下面は、各々略平坦となり、好ましくは、第3金属層53の上面は第2金属層52の上面と面一となり、第4金属層54の下面は第2金属層52の下面と面一となる。
【0100】
次に、
図9(b)に示すように、第1レジスト層151及び第2レジスト層152を剥離する。
【0101】
次に、
図9(c)に示すように、コア層11の一方の面側の第2金属層52A上に配線層21に対応する第3開口部153xを有する第3レジスト層153を形成する。また、コア層11の他方の面側の第2金属層52A上に配線層31に対応する第4開口部154xを有する第4レジスト層154を形成する。第3レジスト層153及び第4レジスト層154としては、例えば、ドライフィルム等を用いることができ、パターニング処理をして第3開口部153x及び第4開口部154xを形成できる。
【0102】
次に、
図10(a)に示すように、第1金属層51Aを給電層とする電解めっき法により、第3開口部153x内に露出する第2金属層52A上及び第3金属層53上に第5金属層55を形成する。また、第1金属層51Aを給電層とする電解めっき法により、第4開口部154x内に露出する第2金属層52A上及び第4金属層54上に第6金属層56を形成する。第5金属層55及び第6金属層56の各々の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。第5金属層55及び第6金属層56の各々の厚さは、例えば、10μm~15μm程度とすることができる。例えば、第5金属層55はコア層11の一方の面の第2金属層52よりも厚く形成し、第6金属層56はコア層11の他方の面の第2金属層52よりも厚く形成する。第5金属層55をコア層11の一方の面の第2金属層52より薄く形成してもよく、第6金属層56をコア層11の他方の面の第2金属層52より薄く形成してもよい。
【0103】
第5金属層55及び第6金属層56の形成に用いる電解めっきでは、例えば、直流電源を用い、電流密度は1.0A/dm2~1.5A/dm2程度とする。また、めっき液としては、第3金属層53及び第4金属層54の形成時よりも、硫酸銅の濃度が低く、硫酸の濃度が高いめっき液を用いる。例えば、硫酸銅の濃度(第3の濃度)が140g/L~180g/L程度、硫酸の濃度(第4の濃度)が120g/L~160g/L程度、塩化物イオンの濃度が10g/L~20g/L程度のめっき液(第2のめっき液)を用いる。このようなめっき液を用いることにより、上面の平坦性が優れた第5金属層55を形成しやすく、下面の平坦性が優れた第6金属層56を形成しやすい。また、例えば、第5金属層55の平均結晶粒径及び第6金属層56の平均結晶粒径は、第3金属層53の平均結晶粒径及び第4金属層54の平均結晶粒径と同程度となる。
【0104】
次に、
図10(b)に示すように、第3レジスト層153及び第4レジスト層154を除去する。次いで、第5金属層55をマスクとして、第5金属層55から露出する部分の第1金属箔21P、第1金属層51A及び第2金属層52Aをエッチングにより除去する。また、第6金属層56をマスクとして、第6金属層56から露出する部分の第2金属箔31P、第1金属層51A及び第2金属層52Aをエッチングにより除去する。
【0105】
これにより、コア層11の一方の面側に、第1金属箔21a、第1金属層51、第2金属層52及び第5金属層55を含み、所定の平面形状にパターニングされた配線層21が形成される。また、コア層11の他方の面側に、第2金属箔31a、第1金属層51、第2金属層52及び第6金属層56を含み、所定の平面形状にパターニングされた配線層31が形成される。更に、貫通孔11x内の第1金属層51、第2金属層52、第3金属層53及び第4金属層54を含む貫通配線12が形成される。
【0106】
<第2の方法>
第2の方法では、サブトラクティブ法により配線層21及び31を形成する。
図11は、配線層21及び31と、貫通配線12とを形成する第2の方法を示す断面図である。
図11には、
図2に対応する部分を示している。
【0107】
第2の方法では、まず、第1の方法と同様にして、第1レジスト層151及び第2レジスト層152の剥離までの処理を行う(
図9(b)参照)。次に、
図11(a)に示すように、第1金属層51Aを給電層とする電解めっき法により、コア層11の一方の面側の第2金属層52A上及び第3金属層53上に第5金属層55Bを形成する。また、第1金属層51Aを給電層とする電解めっき法により、コア層11の他方の面側の第2金属層52A上及び第4金属層54上に第6金属層56Bを形成する。第5金属層55B及び第6金属層56Bの各々の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。第5金属層55B及び第6金属層56Bの各々の厚さは、例えば、10μm~15μm程度とすることができる。第5金属層55B及び第6金属層56Bの各々は、最終的にはエッチングされて第5金属層55及び第6金属層56となる層である。
【0108】
第5金属層55B及び第6金属層56Bの形成に用いる電解めっきでは、例えば、直流電源を用い、電流密度は1.0A/dm2~1.5A/dm2程度とする。また、めっき液としては、第3金属層53及び第4金属層54の形成時よりも、硫酸銅の濃度が低く、硫酸の濃度が高いめっき液を用いる。例えば、硫酸銅の濃度が140g/L~180g/L程度、硫酸の濃度が120g/L~160g/L程度、塩化物イオンの濃度が10g/L~20g/L程度のめっき液を用いる。このような条件を用いることにより、上面の平坦性が優れた第5金属層55Bを形成しやすく、下面の平坦性が優れた第6金属層56Bを形成しやすい。また、例えば、第5金属層55Bの平均結晶粒径及び第6金属層56Bの平均結晶粒径は、第3金属層53の平均結晶粒径及び第4金属層54の平均結晶粒径と同程度となる。
【0109】
次に、
図11(b)に示すように、第5金属層55B上に配線層21を形成する予定の領域を除く部分に対応する第5開口部155xを有する第5レジスト層155を形成する。また、第6金属層56B上に配線層31を形成する予定の領域を除く部分に対応する第6開口部156xを有する第6レジスト層156を形成する。第5レジスト層155及び第6レジスト層156としては、例えば、ドライフィルム等を用いることができ、パターニング処理をして第5開口部155x及び第6開口部156xを形成できる。
【0110】
次に、
図11(c)に示すように、第5レジスト層155をマスクとして、第5レジスト層155から露出する部分の第1金属箔21P、第1金属層51A、第2金属層52A及び第5金属層55Bをエッチングにより除去する。また、第6レジスト層156をマスクとして、第6レジスト層156から露出する部分の第2金属箔31P、第1金属層51A、第2金属層52A及び第6金属層56Bをエッチングにより除去する。そして、第5レジスト層155及び第6レジスト層156を除去する。
【0111】
これにより、コア層11の一方の面側に、第1金属箔21a、第1金属層51、第2金属層52、第3金属層53及び第5金属層55を含み、所定の平面形状にパターニングされた配線層21が形成される。また、コア層11の他方の面側に、第2金属箔31a、第1金属層51、第2金属層52、第4金属層54及び第6金属層56を含み、所定の平面形状にパターニングされた配線層31が形成される。更に、貫通孔11x内の第1金属層51、第2金属層52、第3金属層53及び第4金属層54を含む貫通配線12が形成される。
【0112】
このような製造方法によれば、第1凹部21xを第3金属層53により適切に充填し、第2凹部31xを第4金属層54により適切に充填することができる。また、第3金属層53を形成する際には、コア層11の一方の側で配線層21を形成する予定の領域を第1レジスト層151で覆い、第3金属層53の形成後に、第5金属層55又は55Bを形成するため、第3金属層53から独立して配線層21の厚さを適切に調整することができる。同様に、第4金属層54を形成する際には、コア層11の他方の側で配線層31を形成する予定の領域を第2レジスト層152で覆い、第4金属層54の形成後に、第6金属層56又は56Bを形成するため、第4金属層54から独立して配線層31の厚さを適切に調整することができる。
【0113】
<参考例の方法>
比較のために、参考例の方法について説明する。参考例の方法では、セミアディティブ法により配線層21及び31を形成する。
図12は、配線層21及び31と、貫通配線12とを形成する参考例の方法を示す断面図である。
【0114】
参考例の方法では、まず、第1の方法と同様にして、第2金属層52Aの形成までの処理を行う(
図8(b)参照)。次に、
図12(a)に示すように、コア層11の一方の面側の第2金属層52A上に配線層21に対応する第3開口部153xを有する第3レジスト層153を形成する。また、コア層11の他方の面側の第2金属層52A上に配線層31に対応する第4開口部154xを有する第4レジスト層154を形成する。
【0115】
次に、
図12(b)に示すように、第1金属層51Aを給電層とする電解めっき法により、第3開口部153x内に露出する第2金属層52A上に第3金属層53Cを形成する。また、第1金属層51Aを給電層とする電解めっき法により、第4開口部154x内に露出する第2金属層52A上に第4金属層54Cを形成する。第3金属層53C及び第4金属層54Cの各々の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。第3金属層53C及び第4金属層54Cの各々の厚さは、第1凹部21x及び第2凹部31xを充填できる厚さとする。
【0116】
次に、
図12(c)に示すように、第3レジスト層153及び第4レジスト層154を除去する。次いで、第3金属層53Cをマスクとして、第3金属層53Cから露出する部分の第1金属箔21P、第1金属層51A及び第2金属層52Aをエッチングにより除去する。また、第4金属層54Cをマスクとして、第4金属層54Cから露出する部分の第2金属箔31P、第1金属層51A及び第2金属層52Aをエッチングにより除去する。
【0117】
これにより、コア層11の一方の面側に、第1金属箔21a、第1金属層51、第2金属層52及び第3金属層53を含み、所定の平面形状にパターニングされた配線層21が形成される。また、コア層11の他方の面側に、第2金属箔31a、第1金属層51、第2金属層52及び第4金属層54を含み、所定の平面形状にパターニングされた配線層31が形成される。
【0118】
しかしながら、
図12(b)に示すように、この参考例の方法では、第3金属層53Cのコア層11の一方の面上の厚さが過剰になったり、第4金属層54Cの他方の面上の厚さが過剰になったりする。これは、電解めっきにより平坦部分と凹部分とに同時にめっき金属を析出させた場合、平坦部分への析出量が、凹部分への析出量より多くなるためである。すなわち、この参考例の方法では、電解めっきにより、第1凹部21xを十分に充填する厚さに第3金属層53Cを形成し、第2凹部31xを十分に充填する厚さに第4金属層54Cを形成すると、コア層11の一方の面上及び他方の面上において、第3金属層53C及び第4金属層54Cの厚さが過剰になるのである。そして、第3金属層53Cの厚さが過剰になると、第1金属箔21P、第1金属層51A及び第2金属層52Aのエッチングに支障を来たすおそれがあり、第4金属層54Cの厚さが過剰になると、第2金属箔31P、第1金属層51A及び第2金属層52Aのエッチングに支障を来たすおそれがある。
【0119】
その一方で、第3金属層53Cのコア層11の一方の面上の厚さ及び第4金属層54Cの他方の面上の厚さを、第1の方法の第5金属層55及び第6金属層56の各々の厚さ(例えば、10μm~15μm程度)と同程度とすると、第1凹部21x及び第2凹部31xを適切に充填できなくなる。
【0120】
このように、この参考例の方法では、第3金属層53Cによる第1凹部21xの適切な充填及び適切な厚さの配線層21の形成を両立することができない。同様に、第4金属層54Cによる第2凹部31xの適切な充填及び適切な厚さの配線層31の形成を両立することができない。
【0121】
サブトラクティブ法により配線層21を形成するために、コア層11の一方の側の第2金属層52A上に形成する金属層で第1凹部21xを充填しようとする場合も、第1凹部21xの適切な充填及び適切な厚さの配線層21の形成の両立が困難である。同様に、サブトラクティブ法により配線層31を形成するために、コア層11の他方の側の第2金属層52A上に形成する金属層で第2凹部31xを充填しようとする場合も、第2凹部31xの適切な充填及び適切な厚さの配線層31の形成の両立が困難である。
【0122】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、配線基板10及び半導体チップを含む半導体パッケージに関する。
図13は、第2の実施形態に係る半導体パッケージを示す断面図である。
【0123】
図13に示すように、第2の実施形態に係る半導体パッケージ20は、配線基板10と、配線基板10上に実装された半導体チップ70とを有する。半導体チップ70は電極パッド(図示せず)を有しており、半導体チップ70の電極パッドが外部接続端子28に接続されている。また、配線基板10と半導体チップ70との間にアンダーフィル樹脂80が充填されている。
【0124】
このような半導体パッケージ20を製造するには、例えば、配線基板10の外部接続端子28と半導体チップ70の電極パッドとが対応する位置に来るように、配線基板10上に半導体チップ70を配置する。そして、例えば230℃程度に加熱し、外部接続端子28(はんだボール)を構成するはんだを融解させ、配線基板10の第1パッド27と半導体チップ70の電極パッドとを電気的及び機械的に接続する。そして、配線基板10と半導体チップ70との間にアンダーフィル樹脂80を充填する。
【0125】
なお、半導体チップ70の電極パッド上にはんだが形成されている場合には、半導体チップ70の電極パッド上のはんだと外部接続端子28を構成するはんだとが溶融して合金となり、1つのバンプが形成される。
【0126】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0127】
10 配線基板
11 コア層
11x 貫通孔
12 貫通配線
21、23、25、27、31、33、35、37 配線層
21a、21P 第1金属箔
21x 第1凹部
22、24、26、32、34、36 絶縁層
22x、24x、26x、32x、34x、36x ビアホール
28 外部接続端子
29、39 ソルダレジスト層
29x、39x 開口部
31a、31P 第2金属箔
31x 第2凹部
51、51A 第1金属層
52、52A 第2金属層
53 第3金属層
54 第4金属層
55、55B 第5金属層
56、56B 第6金属層
70 半導体チップ
80 アンダーフィル樹脂
151 第1レジスト層
151x 第1開口部
152 第2レジスト層
152x 第2開口部
153 第3レジスト層
153x 第3開口部
154 第4レジスト層
154x 第4開口部
155 第5レジスト層
155x 第5開口部
156 第6レジスト層
156x 第6開口部