(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-31
(45)【発行日】2023-02-08
(54)【発明の名称】油脂加工澱粉、これを用いた揚げ物用衣材、食品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 29/212 20160101AFI20230201BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20230201BHJP
A23L 7/157 20160101ALI20230201BHJP
A23L 35/00 20160101ALN20230201BHJP
A23L 13/00 20160101ALN20230201BHJP
A23L 17/40 20160101ALN20230201BHJP
【FI】
A23L29/212
A23L5/10 E
A23L7/157
A23L35/00
A23L13/00 A
A23L17/40 A
(21)【出願番号】P 2019544328
(86)(22)【出願日】2018-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2018027258
(87)【国際公開番号】W WO2019064846
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2017186545
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】河合 正悟
(72)【発明者】
【氏名】水品 亜由菜
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅博
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-235475(JP,A)
【文献】特開昭62-143663(JP,A)
【文献】特開昭62-195259(JP,A)
【文献】特開2009-284827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
日経テレコン
AGRICOLA/BIOSIS/BIOTECHNO/CABA/CAplus/SCISEARCH/TOXCENTER(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(D)を含む組成物
の油脂加工
物である油脂加工澱粉であって、
前記組成物中の前記成分(A)100質量部に対する前記成分(B)の配合量が、0.03質量部以上7質量部以下であ
り、
前記組成物中の前記成分(A)100質量部に対する前記成分(C)の配合量が、0.01質量部以上10質量部以下であり、
前記組成物中の前記成分(A)100質量部に対する前記成分(D)の配合量が、0.1質量部以上10質量部以下である、油脂加工澱粉。
(A)冷水膨潤度が1超3.5未満の澱粉
(B)冷水膨潤度が3.5以上40以下の澱粉
(C)食用油脂
(D)タンパク質素材
【請求項2】
前記成分(A)が、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉およびこれらの加工澱粉からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の油脂加工澱粉。
【請求項3】
前記成分(B)が、α化澱粉である、請求項1または2に記載の油脂加工澱粉。
【請求項4】
前記成分(D)が含有するタンパク質が、大豆タンパク質、卵タンパク質および小麦タンパク質からなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求項1乃至3いずれか1項に記載の油脂加工澱粉。
【請求項5】
請求項1乃至
4いずれか一項に記載の油脂加工澱粉を含む、揚げ物用衣材。
【請求項6】
種物と、
前記種物の外側に設けられた衣材(I)と、
もっとも外側に設けられた衣材(II)と、
を含み、
前記衣材(I)が、請求項1乃至
4いずれか1項に記載の油脂加工澱粉を含むとともに、前記衣材(II)が、請求項1乃至
4いずれか1項に記載の油脂加工澱粉を実質的に含まない、食品。
【請求項7】
種物の外側に、請求項1乃至
4いずれか1項に記載の油脂加工澱粉を含む衣材(I)を付着させる工程と、
衣材(I)を付着させる前記工程の後、食品のもっとも外側に、請求項1乃至
4いずれか1項に記載の油脂加工澱粉を実質的に含まない衣材(II)を付着させる工程と、
を含む、食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂加工澱粉、これを用いた揚げ物用衣材、食品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揚げ物等の食品の衣材としては、グルテンの少ない小麦粉が主体として用いられてきたが、揚げた後の種物と衣との結着性が充分でないためこれらが剥がれ易く、見た目の悪化と食感悪化により、商品価値の低下につながることがあった。
【0003】
これらの点を解決するために、油脂加工澱粉とα化澱粉とを衣材に配合することが提案されている。油脂加工澱粉は、澱粉と食用油脂もしくは油脂類縁物質を混合した後、乾燥もしくは加熱して得られる澱粉である。
【0004】
特許文献1(特開昭62-143663号公報)には、揚げ物用の衣材に、油脂加工澱粉とα化澱粉又は/及びα化穀粉とをそれぞれ特定量添加する技術が記載されており、これにより、バッターとした場合適度な粘度を有し、しかも種の付着量も十分大きくなり種に対する衣の付着割合の大きい揚げ物が得られ、このとき種と衣との結着性も良好であるとされている。
【0005】
また、特許文献2(特開2009-284827号公報)には、特定量の油脂加工澱粉と、増粘剤、α化穀粉及び澱粉から選ばれる1種以上を含有する凍結乾燥天ぷら用バッターミックスに関する技術が記載されており、これにより、湯戻りが良く、熱湯を注ぐことにより食感及び外観の良好な天ぷらとなる凍結乾燥天ぷらを、簡単な工程で製造効率良く得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭62-143663号公報
【文献】特開2009-284827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した各特許文献に記載の材料を衣材として用いた場合でも、衣と種物との結着性に優れるとともに、内側の衣が柔らかく、外側の衣の好ましい食感が自然に感じられる食品を提供するという点でなお改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
以下の成分(A)~(D)を含む組成物を油脂加工してなる油脂加工澱粉であって、
前記組成物中の前記成分(A)100質量部に対する前記成分(B)の配合量が、0.03質量部以上7質量部以下である、油脂加工澱粉が提供される。
(A)冷水膨潤度が1超3.5未満の澱粉
(B)冷水膨潤度が3.5以上40以下の澱粉
(C)食用油脂
(D)タンパク質素材
【0009】
本発明によれば、前記本発明における油脂加工澱粉を含む、揚げ物用衣材が提供される。
また、本発明によれば、前記本発明における揚げ物用衣材を用いて得られる食品が提供される。
【0010】
本発明によれば、
種物と、
前記種物の外側に設けられた衣材(I)と、
もっとも外側に設けられた衣材(II)と、
を含み、
前記衣材(I)が、前記本発明における油脂加工澱粉を含むとともに、前記衣材(II)が、前記本発明における油脂加工澱粉を実質的に含まない、食品が提供される。
【0011】
本発明によれば、
種物の外側に、前記本発明における油脂加工澱粉を含む衣材(I)を付着させる工程と、
衣材(I)を付着させる前記工程の後、食品のもっとも外側に、前記本発明における油脂加工澱粉を実質的に含まない衣材(II)を付着させる工程と、
を含む、食品の製造方法が提供される。
【0012】
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
たとえば、本発明によれば、前記成分(A)~(D)を含む組成物を油脂加工して油脂加工澱粉を得る工程と、
前記油脂加工澱粉を配合した、打ち粉またはバッターである揚げ物用衣材を得る工程と、
を含む揚げ物用衣材の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、衣と種物との結着性に優れるとともに、内側の衣が柔らかく、外側の衣の好ましい食感が自然に感じられる食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
(油脂加工澱粉)
本実施形態において、油脂加工澱粉とは、原料澱粉に食用油脂もしくは油脂類縁物質を添加する工程を含み、前記工程後に混合、加熱する操作を備えた工程を経て生産される澱粉質素材を指す。
また、本実施形態において、衣の種物との接触層の食感の好ましさとは、衣の種物との接触層に硬さやヌメリが感じられず、衣の種物との非接触層のサクサク感や種物のジューシー感を邪魔しない状態のことをいう。
また、本実施形態において、「揚げ物用衣材」を、単に「衣材」とも呼ぶ。
【0016】
本実施形態において、油脂加工澱粉は以下の成分(A)~(D)を含む組成物を油脂加工してなり、組成物中の成分(A)100質量部に対する成分(B)の配合量が、0.03質量部以上7質量部以下である。
(A)冷水膨潤度が1超3.5未満の澱粉
(B)冷水膨潤度が3.5以上40以下の澱粉
(C)食用油脂
(D)タンパク質素材
本実施形態の油脂加工澱粉においては、組成物中の原料澱粉として、冷水膨潤度が異なる成分(A)および(B)を特定の割合で含むとともに、組成物が(C)および(D)をさらに含む。これらの成分(A)~(D)を含む組成物を油脂加工してなる油脂加工澱粉を用いることにより、本実施形態によれば、衣と種物との結着性に優れる食品を得ることができる。また、本実施形態により得られる食品においては、内側の衣が好ましい柔らかさであるとともに、外側の衣の好ましい食感が自然に感じられるものである。
さらに具体的には、本実施形態における油脂加工澱粉は、冷水膨潤度が異なる成分(A)および(B)を特定の割合で含むとともに成分(C)および(D)を含む組成物を油脂加工してなるため、衣と種物との優れた結着性を得ることができる。ここで、衣と種物との結着性を向上させようとすると、衣の食感が過度に硬くなってしまう場合や、衣の種物側と外側とで食感差が生じ、衣全体の食感に違和感が生じてしまう場合があることが本発明者の検討により見出された。そこで、衣と種物との優れた結着性と、衣全体の好ましい食感とのバランスを向上させるため本発明者がさらに検討した結果、上記構成の油脂加工澱粉を用いることにより、種物との接触層が硬くなりすぎず、衣層における、種物側と外側との食感差を感じにくくできることが明らかになった。
以下、油脂加工澱粉に配合される各成分について説明する。
【0017】
(成分(A))
成分(A)は、冷水膨潤度が1超3.5未満の澱粉である。さらに具体的には、成分(A)の冷水膨潤度は、衣の種物側と外側との食感差を感じにくくさせる観点から、1超であり、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.0以上、さらにより好ましくは2.2以上、よりいっそう好ましくは2.4以上である。
また、成分(A)の冷水膨潤度は、衣と種物との結着性を向上させる観点から、3.5未満であり、好ましくは3.2以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.8以下、さらにより好ましくは2.6以下である。
なお、成分(A)および後述する成分(B)の冷水膨潤度の測定方法については、実施例の項で後述する。
【0018】
成分(A)は、好ましくはコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ等のとうもろこし澱粉;馬鈴薯澱粉;小麦澱粉;タピオカ澱粉およびこれらの加工澱粉からなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくはコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、リン酸架橋タピオカ澱粉、アセチル架橋タピオカ澱粉、エーテル化タピオカ澱粉からなる群から選択させる1種または2種以上であり、さらに好ましくはコーンスターチである。
【0019】
(成分(B))
成分(B)は、冷水膨潤度が3.5以上40以下の澱粉である。さらに具体的には、成分(B)の冷水膨潤度は、衣の種物側と外側との食感差を感じにくくさせる観点から、3.5以上であり、好ましくは5以上、より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上、さらにより好ましくは30以上である。
また、成分(B)の冷水膨潤度は、衣と種物との結着性を向上させる観点から、40以下であり、好ましくは38以下、より好ましくは36以下、さらに好ましくは34以下である。
【0020】
成分(B)は、好ましくはα化澱粉である。
また、成分(B)の由来としては、成分(A)について前述した植物由来の澱粉等が挙げられる。成分(A)の由来と成分(B)の由来とは同じであってもよく、異なってもよいが、成分(B)の由来はワキシーコーンであることが好ましい。
【0021】
組成物中の成分(B)の配合量については、組成物中の成分(A)100質量部に対する成分(B)の配合量が、衣の種物側と外側との食感差を感じにくくさせる観点から、0.03質量部以上であり、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.7質量部以上、さらにより好ましくは1質量部以上、よりいっそう好ましくは1.5質量部以上である。
また、衣と種物との結着性を向上させる観点から、組成物中の成分(A)100質量部に対する成分(B)の配合量は、7質量部以下であり、好ましくは5.5質量部以下、より好ましくは4.5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
【0022】
組成物中の成分(A)および(B)を含む原料澱粉の合計配合量は、衣と種物との結着性をより一層安定的に得る観点から、組成物全体に対して、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは84質量%以上、さらに好ましくは87質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上である。また、同様の観点から、組成物中の成分(A)および(B)を含む原料澱粉の合計配合量は、組成物全体に対して、好ましくは99.9質量%以下であり、より好ましくは99.5質量%以下、さらに好ましくは99質量%以下である。
また、組成物中の原料澱粉は、好ましくは成分(A)および(B)からなる。そして、このとき、組成物中の成分(A)および(B)の合計量が組成物全体に対して上記範囲にあることがより好ましい。
【0023】
(成分(C))
成分(C)は、食用油脂である。成分(C)の具体例としては、大豆油、ハイリノールサフラワー油等のサフラワー油、コーン油、ナタネ油、エゴマ油、アマニ油、ヒマワリ油、落花生油、綿実油、オリーブ油、コメ油、パーム油等が挙げられる。作業性の観点からは、食用油脂として液油が好ましく用いられ、大豆油、ナタネ油、コーン油、ハイリノールサフラワー油、アマニ油、エゴマ油からなる群から選択される1または2以上の液油がさらに好ましい。
また、食用油脂として、ヨウ素価が100以上の油脂を用いることがより好ましく、135以上の油脂を用いることがさらに好ましい。このようなヨウ素価の高い油脂は加熱による酸化を受けやすく、原料澱粉の改質効果が高く、衣材に配合されたときの種物に対する結着性向上効果がより一層期待できる。ヨウ素価が135以上の油脂として、具体的には、ハイリノールサフラワー油、アマニ油、エゴマ油が挙げられる。食用油脂のヨウ素価の上限はないが、たとえば、250以下である。
【0024】
組成物中の成分(A)100質量部に対する成分(C)の配合量は、衣の種物側と外側との食感差を感じにくくさせる観点から、好ましくは0.01質量部以上であり、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上、さらにより好ましくは0.08質量部以上である。
また、衣と種物との結着性を向上させる観点から、組成物中の成分(A)100質量部に対する成分(C)の配合量は、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下、さらにより好ましくは3質量部以下、よりいっそう好ましくは1質量部以下、殊更好ましくは0.4質量部以下である。
【0025】
(成分(D))
成分(D)は、タンパク質素材である。成分(D)としては、たとえば、植物タンパク質、動物タンパク質等を高含有する天然タンパク質素材、天然タンパク質素材に由来する粗精製タンパク質、精製タンパク質等が挙げられる。植物タンパク質としては、グルテン等の小麦タンパク質;大豆タンパク質、とうもろこしタンパク質等の種子タンパク質等があげられる。動物タンパク質としては、卵白タンパク質、卵黄タンパク質等の卵タンパク質;ホエータンパク質、カゼイン等の乳タンパク質;血漿タンパク質、血球タンパク質等の血液タンパク質;食肉タンパク質、魚肉タンパク質等の筋肉タンパク質等が挙げられる。
【0026】
衣と種物との結着性を向上させる観点、および、衣の種物側と外側との食感差を感じにくくさせる観点から、成分(D)は、好ましくは植物タンパク質および動物タンパク質からなる群から選択される1種または2種以上を含み、より好ましくは大豆タンパク質、卵タンパク質および小麦タンパク質からなる群から選択される1種または2種以上を含み、さらに好ましくは大豆タンパク質を含む。なお、大豆タンパク質を含むタンパク質素材としては、脱脂大豆粉、全脂大豆粉、濃縮大豆タンパク質、分離大豆タンパク質等が挙げられ、好ましくは脱脂大豆粉である。
【0027】
組成物中の成分(A)100質量部に対する成分(D)の配合量は、衣と種物との結着性を向上させる観点、および、衣の種物側と外側との食感差を感じにくくさせる観点から、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.4質量部以上、さらにより好ましくは0.6質量部以上である。
また、同様の観点から、組成物中の成分(A)100質量部に対する成分(D)の配合量は、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下、さらにより好ましくは4質量部以下である。
【0028】
次に、本実施形態における油脂加工澱粉の製造方法を説明する。
油脂加工澱粉は、上述した成分(A)~(D)および適宜他の成分を用いて、たとえば、以下の工程を含む製造方法により得られる。
(第一工程)成分(A)~(D)を混合してこれらを含む組成物を調製する工程、ならびに
(第二工程)第一工程で得られた組成物を加熱処理する工程。
【0029】
第一工程において、成分の混合順序に制限はないが、好ましくは成分(C)以外の成分を混合した後、成分(C)を添加してさらに混合する。
【0030】
第二工程において、第一工程で得られた組成物を加熱することにより油脂加工澱粉が得られる。
加熱処理については、衣と種物との結着性をより一層安定的に得る観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは105℃以下、さらにより好ましくは90℃以下でおこなう。なお、加熱温度の下限に制限はないが、加熱処理の期間を適度に短縮して生産性を向上させる観点から、たとえば40℃以上、好ましくは45℃以上、より好ましくは55℃以上とする。
【0031】
加熱処理の期間は、得られる油脂加工澱粉の状態および加熱温度に応じて適宜設定される。加熱処理の期間は、衣と種物との結着性をより一層安定的に得る観点から、たとえば0.5時間以上、好ましくは5時間以上であり、より好ましくは6時間以上、さらにより好ましくは24時間以上である。また、加熱処理の期間の上限は、同様の観点から、たとえば25日以下、好ましくは20日以下であり、より好ましくは18日以下である。
【0032】
以上の手順により、油脂加工澱粉が得られる。得られる油脂加工澱粉は、打ち粉、バッター等の揚げ物用衣材に好適であり、中でも、種物と衣の最外層との間に設けられる衣材にさらに好適である。
また、本実施形態における揚げ物用衣材は、上述した本実施形態における油脂加工澱粉を含む。
【0033】
打ち粉とは、バッターと併用され、バッターより内側(種物側)に適用される衣材である。たとえば、バッターを付着させる前の種物に打ち粉を使用する。衣と種物が剥がれやすい種物、たとえば加熱処理した食肉や水産製品などに対して、打ち粉を使用することで、より効果的に衣と種物との剥がれを抑制することができる。
本実施形態において、打ち粉中の油脂加工澱粉の含有量は、衣と種物との結着性を向上させる観点、および、衣の種物側と外側との食感差を感じにくくさせる観点から、打ち粉全体に対して好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、また、上限はなく、たとえば100質量%以下である。
【0034】
また、バッターは、液状の衣材であり、種物に直接バッターを付着させることもあれば、打ち粉した種物にバッターを付着させることもある。本実施形態において、バッターは、パン粉、ブレッダー等の他の衣材と併用され、かかる他の衣材より内側(種物側)に適用される。
本実施形態において、バッター中の油脂加工澱粉の含有量は、衣と種物との結着性を向上させる観点、および、衣の種物側と外側との食感差を感じにくくさせる観点から、バッター中の固形分に対して好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、また、上限はなく、たとえば100質量%以下である。
【0035】
なお、衣材には、本実施形態における油脂加工澱粉以外の成分を含んでもよい。他の成分として、たとえばコーンスターチ等、本実施形態における油脂加工澱粉以外の澱粉類;キサンタンガム等の上記以外の多糖類やその他の粘度調整剤;小麦粉、米粉、コーンフラワー等の穀粉;大豆タンパク質、乳蛋白、卵白、卵黄等の蛋白質;みりん、しょうゆ、食塩、香辛料等の調味料;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;レシチン、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤;およびベーキングパウダー等の膨張剤が挙げられる。
【0036】
本実施形態における食品は、本実施形態における揚げ物用衣材を含むもの、または本実施形態における揚げ物用衣材を用いてなるものであり、さらに具体的には、種物に本実施形態における揚げ物用衣材を付着させて得られるものである。すなわち、本実施形態における食品は、具体的には揚げ物(様)食品である。
【0037】
さらに具体的には、本実施形態における食品は、種物と、種物の外側に設けられた衣材(I)と、もっとも外側に設けられた衣材(II)と、を含む。そして、衣材(I)は、前述の本実施形態における油脂加工澱粉を含むとともに、衣材(II)は、前述の本実施形態における油脂加工澱粉を実質的に含まない。ここで、衣材(II)が本実施形態における油脂加工澱粉を実質的に含まないとは、衣材(II)中に本実施形態における油脂加工澱粉が意図的に配合されていないことをいう。
また、本実施形態における食品は、衣材(I)および衣材(II)以外の複数の衣材を設けられてもよく、複数の衣材(I)を設けられてもよい。また、本実施形態における食品は、衣材(I)の内側に、衣材(I)および衣材(II)以外の衣材を設けられてもよいが、衣と種物との結着性を向上させる観点から、種物の表面に直接、衣材(I)を設けられることが好ましい。
衣材(I)および衣材(II)を含む組み合わせ例として、衣材(I):打ち粉、衣材(II):バッター、の組み合わせ;衣材(I):打ち粉およびバッターの少なくとも1以上、衣材(II):パン粉、の組み合わせ;衣材(I):打ち粉およびバッターの少なくとも1以上、衣材(II):ブレッダー、の組み合わせ;衣材(I):バッター、衣材(II):パン粉、の組み合わせ;衣材(I):バッター、衣材(II):ブレッダー、の組み合わせ等が挙げられる。
【0038】
本実施形態における食品の製造方法は、たとえば種物の外側に、前述の本実施形態における油脂加工澱粉を含む衣材(I)を付着させる工程と、衣材(I)を付着させる上記工程の後、食品のもっとも外側に、前述の本実施形態における油脂加工澱粉を実質的に含まない衣材(II)を付着させる工程と、を含む。
また、本実施形態における食品の製造方法は、衣材(II)を付着させる工程の後、加熱調理する工程をさらに含んでもよい。
加熱調理する際の調理方法に制限はなく、たとえば本実施形態の衣材を揚げることにより得られる揚げ物食品に用いることもできるし、いわゆるノンフライ食品すなわち揚げ物様食品に用いることもできる。揚げ物様食品の具体例として、オーブンでの焼成やスチーム加熱して得られる食品が挙げられる。
【0039】
本実施形態における食品として、たとえば、パン粉衣を有するフライ類;
唐揚げ、竜田揚げ等の唐揚げ類;
天ぷら、かき揚げ等の天ぷら類;および
フリッター類が挙げられる。
このうち、パン粉衣を有するフライ類として、さらに具体的には、ポテトコロッケ、クリームコロッケ等のコロッケ類、豚カツ、メンチカツ、ビーフカツ、チキンカツ、ハムカツ;エビフライ、イカフライ等の水産物のフライが挙げられる。
【0040】
また、揚げ物用衣材を付着させる種物の具体例として、豚肉、鶏肉、牛肉等の肉類、および食肉加工品;
エビ、イカ、牡蠣、帆立貝等の貝類、アジ等の魚類、その他の魚介類、および水産練り製品等の水産加工品;ならびに
野菜類等の青果物が挙げられる。
実際の食品の製造では、衛生上の観点から肉類を加熱処理(たとえばスチーム処理)することがおこなわれており、加熱処理した肉と衣の結着性は生肉と比べて著しく劣るにもかかわらず、本実施形態の衣材によれば、たとえば加熱処理した肉であっても、充分な結着性を得ることも可能となる。
【実施例】
【0041】
はじめに、以下の例で用いた原料を示す。
(冷水膨潤度が3.5未満の澱粉)
コーンスターチ:J-オイルミルズコーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製、冷水膨潤度2.58
ワキシーコーンスターチ:J-オイルミルズワキシーコーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製、冷水膨潤度2.68
ハイアミロースコーンスターチ:J-オイルミルズHS-7、株式会社J-オイルミルズ製、冷水膨潤度2.96
馬鈴薯澱粉:ジェルコールBP-200、株式会社J-オイルミルズ製、冷水膨潤度2.23
小麦澱粉:WS-525、千葉製粉株式会社製、冷水膨潤度2.33
リン酸架橋タピオカ澱粉:アクトボディーTP-1、株式会社J-オイルミルズ製、冷水膨潤度2.09
アセチル化タピオカ澱粉:アクトボディーA-700、株式会社J-オイルミルズ製、冷水膨潤度2.28
アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉:アクトボディーATP-27、株式会社J-オイルミルズ製、冷水膨潤度2.22
エーテル化タピオカ澱粉:ジェルコールPOT-05、株式会社J-オイルミルズ製、冷水膨潤度2.32
湿熱処理コーンスターチ:日食ロードスター、日本食品化工株式会社製、冷水膨潤度2.77
(冷水膨潤度が3.5以上の澱粉)
アルファーワキシーコーンスターチ:株式会社J-オイルミルズ製、冷水膨潤度33.0
α化コーンスターチ:製造例1で得られたもの、冷水膨潤度9.8
AH-F:ジェルコールAH-F、株式会社J-オイルミルズ製、冷水膨潤度6.5
GT-α:ジェルコールGT-α、株式会社J-オイルミルズ製、冷水膨潤度14.1
(食用油脂)
ハイリノールサフラワー油(ヨウ素価145):サミット製油株式会社製
大豆油(ヨウ素価132):大豆白絞油、株式会社J-オイルミルズ製
(タンパク質素材)
脱脂大豆粉:ニッカミルキーS、株式会社J-オイルミルズ製
乾燥卵白:乾燥卵白Wタイプ、キューピー株式会社製
グルテン:A-グルGB、グリコ栄養食品株式会社製
【0042】
上述した原料の冷水膨潤度の測定方法は、以下のとおりである。
(冷水膨潤度の測定方法)
「澱粉・関連糖質実験法」、279-280頁、1986年、学会出版センターに記載される方法で冷水膨潤度を測定した。具体的には以下の方法で測定した。
(1)試料を、水分計(研精工業株式会社、電磁水分計:型番MX50)を用いて、125℃で加熱乾燥させて水分測定し、得られた水分値から乾燥物質量を算出した。
(2)この乾燥物質量換算で試料1g精秤し、遠心管にとり、メチルアルコール1mLで含浸させ、ガラス棒で撹拌しながら、25℃の蒸留水を加え正確に50mLとした。ときどき振盪し、25℃で20分間放置した。25℃で30分間、4500rpmで遠心分離し、上清を傾斜して、秤量瓶にとった。秤量瓶にとった上清を蒸発乾固させ、さらに110℃にて3時間減圧乾燥し、秤量し上清乾燥質量を求めた。さらに沈澱部質量を求め、次式で溶解度を算出後、冷水膨潤度を算出した。
溶解度(S)db%=上清乾燥質量(mg)/1000×100
冷水膨潤度=沈澱部質量(mg)/(1000×(100-S)/100)
【0043】
(製造例1)α化コーンスターチの製造方法
200質量部の水に攪拌しながらコーンスターチ100質量部を混ぜてスラリーを調製した。そして、スラリーを攪拌しながらオンレーター(出口温度約100℃)で糊化させた。この糊液をただちに常法によりドラムドライヤーに薄く広げ、150℃で加熱、乾燥した後、粉砕機で粉砕してα化コーンスターチを得た。
【0044】
(実施例1~27、比較例1~6)
表1~表4に記載の原料を配合した組成物を油脂加工し、油脂加工澱粉を製造した。すなわち、表1~表4に記載の油脂加工澱粉原料(単位:質量部)を混合機(スーパーミキサー、株式会社カワタ製)で2000rpm、3分間均一に混合し、混合物(水分含量12.5質量%)を得た。
この混合物を棚段式乾燥機にて、70℃14日間加熱し、各例における油脂加工澱粉を得た。
実施例1~27、比較例1~3、5および6については、得られた油脂加工澱粉を衣材の原料として用いて食品を製造し、評価した。
比較例4については、得られた油脂加工澱粉およびα化コーンスターチの混合物を衣材の原料として用いて食品を製造し、評価した。ここで、α化コーンスターチの配合量は油脂加工澱粉の原料のコーンスターチ100質量部に対して2質量部とした(表1)。
食品の製造および評価方法は以下のとおりである。
【0045】
(豚カツの製造方法)
各例の油脂加工澱粉(ただし、比較例4は表1に記載の油脂加工澱粉とα化コーンスターチの混合物)90g、コーンスターチ9.6g、キサンタンガム(エコーガムF、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)0.4gをよく混合した後、氷冷水200gを加えてさらに混合し、これをバッターとした。
冷凍豚肉(約80g)にバッターを付け、さらにパン粉を付け、その後一晩凍結保存した後、キャノーラ油で170℃、5分間揚げて豚カツを得た。
【0046】
(豚カツの評価方法)
<豚カツ結着性の評価>
揚げてから1分後の豚カツを5等分にカットし、その4つの切断面について、衣と種物の間に剥離がないものを1点、一部に剥離があるものを0.5点、全部が剥離しているものを0点とした。
豚カツ2枚、計8切断面について評価した(8点満点)。(8切断面の評価の合計点/8点×100)(%)を算出し、80%以上を合格とした。
【0047】
<豚カツの衣中の食感評価>
上述の豚カツ結着性の評価で評価した切断された豚カツを3人の専門パネラーで食し、合議の上、衣中のパン粉層と非パン粉層との食感差を下記評価基準にてA~Eの5段階で評価し、A、BおよびCを合格とした。
A(全く感じない。):非パン粉層はとても柔らかくて食感を感じず、パン粉層のサクサク感との食感差を全く感じない。
B(ほとんど感じない。):非パン粉層は糊っぽさ粉っぽさがあるものの柔らかいため、パン粉層のサクサク感との食感差はほとんど感じない。
C(あまり感じない。):非パン粉層は糊っぽさ粉っぽさがあるもののやや柔らかいため、パン粉層のサクサク感との食感差はあまり感じない。
D(やや感じる。):非パン粉層がやや硬く、パン粉層のサクサク感との食感差をやや感じる。
E(感じる。):非パン粉層が硬く、パン粉層のサクサク感との食感差を大きく感じる。
【0048】
(ハムカツの製造方法)
前述の豚カツの製造方法における冷凍豚肉を、約1cm厚にカットしたボロニアソーセージ(トップバリュ ボロニアソーセージ、イオン株式会社製)にしたこと、および揚げ時間を3分間にしたこと以外は、豚カツと同じ方法で製造し、ハムカツを得た。
【0049】
(ハムカツの評価方法)
<ハムカツ結着性の評価>
揚げてから1分後のハムカツを5等分にカットし、その4つの切断面について、衣と種物の間に剥離がないものを1点、一部に剥離があるものを0.5点、全部が剥離しているものを0点とした。
ハムカツ4枚、計16切断面について評価した(16点満点)。(16切断面の評価の合計点/16点×100)(%)を算出し、60%以上を合格とした。
【0050】
<ハムカツの衣中の食感評価>
前述の豚カツの衣中の食感評価と同じ方法で評価した。
【0051】
(コロッケの製造方法)
各例の油脂加工澱粉90g、コーンスターチ9.6g、キサンタンガム(エコーガムF、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)0.4gをよく混合した後、氷冷水200gを加えてさらに混合し、これをバッターとした。
乾燥マッシュポテト(じゃがマッシュ、カルビーポテト株式会社製)35質量部に熱湯120質量部を注ぎ、良く混ぜた後、成型して成型マッシュポテト(約40g)を得た。
成型マッシュポテトにバッターを付け、さらにパン粉を付け、その後一晩凍結保存した後、キャノーラ油で170℃、4分間揚げてコロッケを得た。
【0052】
(コロッケの評価方法)
<コロッケ結着性の評価>
揚げてから1分後のコロッケを3等分にカットし、その2つの切断面について、衣と種物の間に剥離がないものを1点、一部に剥離があるものを0.5点、全部が剥離しているものを0点とした。
コロッケ7個、計14切断面について評価した(14点満点)。(14切断面の評価の合計点/14点×100)(%)を算出し、80%以上を合格とした。
【0053】
<コロッケの衣中の食感評価>
前述の豚カツの衣中の食感評価と同じ方法で評価した。
【0054】
(エビの天ぷらの製造方法)
解凍した尾付きのばしエビ(約13g/1尾)に、各例の油脂加工澱粉を打ち粉としてエビ100質量部に対し約3質量部まぶした。
打ち粉をまぶしたエビにバッター(薄力粉100質量部に卵液50質量部および氷冷水100質量部を混合した液)を付け、キャノーラ油で170℃、3分間揚げてエビの天ぷらを得た。
【0055】
(エビの天ぷらの評価方法)
<エビの天ぷら結着性の評価>
揚げてから1分後のエビの天ぷらを尾側と頭側に沿って縦半分にカットし、その切断面について、衣と種物の間に剥離がないものを1点、一部に剥離があるものを0.5点、全部が剥離しているものを0点とした。
エビの天ぷら4本、計4切断面について評価した(4点満点)。(4切断面の評価の合計点/4点×100)(%)を算出し、60%以上を合格とした。
【0056】
<エビの天ぷらの衣中の食感評価>
上述のエビの天ぷら結着性の評価で評価した切断されたエビの天ぷらを3人の専門パネラーで食し、合議の上、衣中のバッター層と打ち粉層との食感差を下記評価基準にてA~Eの5段階で評価し、A、BおよびCを合格とした。
A(全く感じない。):打ち粉層はとても柔らかくて食感を感じず、バッター層のサクサク感との食感差を全く感じない。
B(ほとんど感じない。):打ち粉層は糊っぽさ粉っぽさがあるものの柔らかいため、バッター層のサクサク感との食感差はほとんど感じない。
C(あまり感じない。):打ち粉層は糊っぽさ粉っぽさがあるもののやや柔らかいため、バッター層のサクサク感との食感差はあまり感じない。
D(やや感じる。):打ち粉層がやや硬く、バッター層のサクサク感との食感差をやや感じる。
E(感じる。):打ち粉層が硬く、バッター層のサクサク感との食感差を大きく感じる。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
表1~表4より、各実施例においては、油脂加工澱粉をバッター中に用いたときのバッター付着性、または、打ち粉として用いたときの打ち粉付着性が良く、結着性が良好であった。また、各実施例においては、豚カツ、ハムカツまたはコロッケの衣中のパン粉層と非パン粉層との食感差、あるいは、エビの天ぷらの衣中のバッター層と打ち粉層との食感差が感じにくく、衣の内側が柔らく、衣の外側のサクサクした好ましい食感が自然に感じられた。
【0062】
この出願は、2017年9月27日に出願された日本出願特願2017-186545号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 以下の成分(A)~(D)を含む組成物を油脂加工してなる油脂加工澱粉であって、
前記組成物中の前記成分(A)100質量部に対する前記成分(B)の配合量が、0.03質量部以上7質量部以下である、油脂加工澱粉。
(A)冷水膨潤度が1超3.5未満の澱粉
(B)冷水膨潤度が3.5以上40以下の澱粉
(C)食用油脂
(D)タンパク質素材
2. 前記成分(A)が、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉およびこれらの加工澱粉からなる群から選択される1種または2種以上である、1.に記載の油脂加工澱粉。
3. 前記成分(B)が、α化澱粉である、1.または2.に記載の油脂加工澱粉。
4. 前記成分(D)が含有するタンパク質が、大豆タンパク質、卵タンパク質および小麦タンパク質からなる群から選択される1種または2種以上を含む、1.乃至3.いずれか1つに記載の油脂加工澱粉。
5. 前記組成物中の前記成分(A)100質量部に対する前記成分(C)の配合量が、0.01質量部以上10質量部以下である、1.乃至4.いずれか1つに記載の油脂加工澱粉。
6. 前記組成物中の前記成分(A)100質量部に対する前記成分(D)の配合量が、0.1質量部以上10質量部以下である、1.乃至5.いずれか1つに記載の油脂加工澱粉。
7. 1.乃至6.いずれか一つに記載の油脂加工澱粉を含む、揚げ物用衣材。
8. 種物と、
前記種物の外側に設けられた衣材(I)と、
もっとも外側に設けられた衣材(II)と、
を含み、
前記衣材(I)が、1.乃至6.いずれか1つに記載の油脂加工澱粉を含むとともに、前記衣材(II)が、1.乃至6.いずれか1つに記載の油脂加工澱粉を実質的に含まない、食品。
9. 種物の外側に、1.乃至6.いずれか1つに記載の油脂加工澱粉を含む衣材(I)を付着させる工程と、
衣材(I)を付着させる前記工程の後、食品のもっとも外側に、1.乃至6.いずれか1つに記載の油脂加工澱粉を実質的に含まない衣材(II)を付着させる工程と、
を含む、食品の製造方法。