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  • 特許-超近接スイッチ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-01
(45)【発行日】2023-02-09
(54)【発明の名称】超近接スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/14 20060101AFI20230202BHJP
   G01Q 80/00 20100101ALI20230202BHJP
   G01Q 60/18 20100101ALI20230202BHJP
   G01V 8/12 20060101ALI20230202BHJP
   G02B 26/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
G01B11/14 H
G01Q80/00
G01Q60/18
G01V8/12 A
G02B26/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018050775
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019164205
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-12-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年12月2日に開催された平成29年度公益社団法人精密工学会九州支部第18回学生研究発表会にて発表。
(73)【特許権者】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】カチョーンルンルアン パナート
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵友
(72)【発明者】
【氏名】シンソムブーン カウィー
(72)【発明者】
【氏名】井上 智輝
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-194118(JP,A)
【文献】特開2000-164663(JP,A)
【文献】特開2017-161436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G02B 26/00
G01Q 80/00
G01Q 60/18
G01V 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光体を具備し、該透光体の所定の面Fの表側近傍に検出対象物が配されていることを検知する超近接スイッチであって、
第1の光を照射して、近接場光E1が存在する層L1を、前記面Fの表側に発生させ、前記第1の光と波長が異なる第2の光を照射して、近接場光E2が存在する、前記層L1より厚い層L2を、該層L1及び該層L2が重複する領域を有する状態で、前記面Fの表側に発生させる照射手段と、
前記近接場光E1が前記検出対象物に反射されて生じる第1の散乱光、及び、前記近接場光E2が前記検出対象物に反射されて生じる第2の散乱光の検出に基づいて、前記層L2外、該層L2内かつ前記層L1外の領域、又は、該層L1内のいずれに前記検出対象物が配されているかを検知する検出手段と
外部に信号S1、S2を出力する信号発信手段とを備え、
前記第1、第2の光の前記照射手段から前記面Fまでの光路は一致し、
前記照射手段は、前記第1、第2の光を同時に照射し、
前記信号発信手段は、前記層L2外に前記検出対象物が配されている状態で前記信号S1を出力し、前記層L2内かつ前記層L1外の領域への前記検出対象物の進入の前記検出手段による検出によって、前記信号S2を出力し、前記層L1内への前記検出対象物の進入の前記検出手段による検出によって、前記信号S1を出力し、
前記検出手段は、1つであって、前記第2の散乱光と同波長の光の強度の計測値の前記検出対象物が前記層L2内に不在時の値に対する増加から前記層L2内かつ前記層L1外の領域に前記検出対象物が進入したのを検出し、前記第1の散乱光と同波長の光の強度の計測値の前記検出対象物が前記層L2内に不在時の値に対する増加から前記層L1内に前記検出対象物が進入したのを検出し、
前記透光体は、該透光体を通って該透光体から出る前記第1、第2の散乱光を該検出手段に向けて屈折させる円弧状面を有し、
前記検出対象物は、工具の先端部であることを特徴とする超近接スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準位置から所定距離の範囲内に検出対象物が配されているか否かを検出する超近接スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の精密微細加工の先端技術は、高精度なマシニングセンターの利用により、加工精度が高まっている。これに伴って、ツールセッタには、工具長や工具切れ刃の先端位置等をサブミクロン(1μmの10分の1)オーダの精度で検出することが求められる。
ツールセッタは、例えば、検出方法の違いから、接触式(例えば、非特許文献1)と非接触式(例えば、非特許文献2)に大別できる。接触式は工具切れ刃をツールセッタに接触させる必要があることから、工具切れ刃が破損したり欠損したりするおそれがある。近年では接触力の低減化が図られたツールセッタが存在するが、回転中の工具をツールセッタに接触させることはできず切れ刃の位置の検出ができない。これに対し、非接触式は、工具を接触させる必要がないため、工具切れ刃の破損等を防止することができ、回転中の工具の切れ刃位置の検出が可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】株式会社メトロール、工作機械用ツールセッタ/タッチプローブ、総合カタログ、No.C5-1、2-25(2015)
【文献】中井敦生、機上計測用ソフト「フォームコントロール」と極小工具計測用レーザ、機械技術、2006年、第54巻、第7号、p.47-50
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非接触式は高精度(例えば、サブミクロンオーダの精度)な検出ができないという課題があった。また、非接触式による高精度な検出は、ツールセッタに対してだけでなく、超近接スイッチに想定される広範囲の用途(例えば、光ディスクの読み書きを行うヘッドの位置検出や、半導体製品の製造工程における製品の位置検出)に対しても有効である。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、検出精度が高い超近接スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る超近接スイッチは、透光体を具備し、該透光体の所定の面Fの表側近傍に検出対象物が配されていることを検知する超近接スイッチであって、第1の光を照射して、近接場光E1が存在する層L1を、前記面Fの表側に発生させ、前記第1の光と波長が異なる第2の光を照射して、近接場光E2が存在する、前記層L1より厚い層L2を、該層L1及び該層L2が重複する領域を有する状態で、前記面Fの表側に発生させる照射手段と、前記近接場光E1が前記検出対象物に反射されて生じる第1の散乱光、及び、前記近接場光E2が前記検出対象物に反射されて生じる第2の散乱光の検出に基づいて、前記層L2外、該層L2内かつ前記層L1外の領域、又は、該層L1内のいずれに前記検出対象物が配されているかを検知する検出手段と、外部に信号S1、S2を出力する信号発信手段とを備え、前記第1、第2の光の前記照射手段から前記面Fまでの光路は一致し、前記照射手段は、前記第1、第2の光を同時に照射し、前記信号発信手段は、前記層L2外に前記検出対象物が配されている状態で前記信号S1を出力し、前記層L2内かつ前記層L1外の領域への前記検出対象物の進入の前記検出手段による検出によって、前記信号S2を出力し、前記層L1内への前記検出対象物の進入の前記検出手段による検出によって、前記信号S1を出力し、前記検出手段は、1つであって、前記第2の散乱光と同波長の光の強度の計測値の前記検出対象物が前記層L2内に不在時の値に対する増加から前記層L2内かつ前記層L1外の領域に前記検出対象物が進入したのを検出し、前記第1の散乱光と同波長の光の強度の計測値の前記検出対象物が前記層L2内に不在時の値に対する増加から前記層L1内に前記検出対象物が進入したのを検出し、前記透光体は、該透光体を通って該透光体から出る前記第1、第2の散乱光を該検出手段に向けて屈折させる円弧状面を有し、前記検出対象物は、工具の先端部である。
【0006】
【0007】
【0008】
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る超近接スイッチは、波長が異なる第1、第2の光を照射して、近接場光E1が存在する層L1と、近接場光E2が存在する、層L1より厚い層L2とを、透光体の面Fの表側に発生させ、近接場光E1が検出対象物に反射されて生じる第1の散乱光、及び、近接場光E2が検出対象物に反射されて生じる第2の散乱光の検出に基づいて、層L2外、層L2内かつ層L1外の領域、又は、層L1内のいずれに検出対象物が配されているかを検知するので、層L1、L2の厚みレベル(例えば、サブミクロンオーダ)の精度で検出対象物の配置を検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る超近接スイッチの説明図である。
図2】(A)、(B)、(C)は検出対象物の位置と第1、第2の散乱光の発生の関係を示す説明図である。
図3】検出手段の接続を示すブロック図である。
図4】工具先端の位置と光の強度の計測値の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図3に示すように、本発明の一実施の形態に係る超近接スイッチ10は、透光体11と、光P1(第1の光)及び光P2(第2の光)を照射する照射手段12と、光の強度の計測から検出対象物Wの配置を検出する検出手段13とを備えて、透光体11の所定の面14(面F)の表面側の近接位置に検出対象物Wが配されていることを検知する。以下、詳細に説明する。
【0012】
超近接スイッチ10は、図1に示すように、照射手段12及び検出手段13を内包した筺体16を有し、透光体11は筺体16に置かれた状態で固定されている。本実施の形態では、シリアガラスを素材とする透光体11を採用しており、透光体11は、筺体16から距離を有して水平配置された面14、平行配置された半円形状の側面17、18及び一部が筺体16に接触し面14及び側面17、18に連接する円弧状面19を有している。
【0013】
照射手段12から照射される光P1、P2は光P1の波長が光P2の波長より短く(即ち、光P1、P2は波長が異なる)、本実施の形態では、照射手段12に光P1、P2を同時に照射する光ファイバを用いているが、照射手段12はこれに限定されない。照射手段12は、照射した光P1、P2がそれぞれ、図1図2(A)に示すように、透光体11の円弧状面19から透光体11内に進入して、面14に裏側から到達し、面14で全反射され、透光体11の円弧状面19から透光体11外に出る向きに配置されている。
【0014】
光P1、P2が透光体11の面14で全反射される際、面14の表側には、光P1が染み出した近接場光(エバネセント光)E1及び光P2が染み出した近接場光(エバネセント光)E2がそれぞれ生じる。従って、照射手段12は、光P1、P2を照射して、透光体11の面14の表側に、近接場光E1が存在(局在)する層L1及び近接場光E2が存在(局在)する層L2を発生させる。層L1及び層L2は、図2(A)に示すように、それぞれ透光体11の面14から連続して(面14との間に隙間を挟まないように)設けられており、層L2は層L1より厚く、層L1と層L2は重複する領域を有している。本実施の形態では、層L1、L2の厚みがそれぞれ220nm、300nmであり、層L1全体が層L2の一部と重なり合っている。
【0015】
検出対象物Wは工具Tの先端部であり、工具Tは、図1に示すように、透光体11の上方で、図示しない位置調整部材によって支持されている。位置調整部材は工具Tを昇降させることができ、工具Tは、図2(B)、(C)に示すように、位置調整手段によって降下されて、検出対象物Wが層L1、L2内に進入する。
検出対象物Wが、図2(A)に示すように、層L2の上方、即ち層L2外(層L1外かつ層L2外の領域)に配された状態では、近接場光E1、E2が検出対象物Wに当たらず散乱光は発生しない。
【0016】
これに対し、検出対象物Wが、図2(B)に示すように、層L2内かつ層L1外の領域に配された状態では、近接場光E2が検出対象物Wに反射されて散乱光Q2(第2の散乱光)が生じ、検出対象物Wが、図2(C)に示すように、層L1内(層L1内かつ層L2内の領域)に配された状態では、近接場光E2が検出対象物Wに反射されて生じる散乱光Q2に加え、近接場光E1が検出対象物Wに反射されて散乱光Q1(第1の散乱光)が生じる。散乱光Q1、Q2の波長はそれぞれ光P1、P2の波長に実質的に等しい。
【0017】
検出手段13は、図3に示すように、散乱光Q1と同じ(実質的に同じ)波長の光(以下、λ1の波長の光とする)の強度及び散乱光Q2と同じ(実質的に同じ)波長の光(以下、λ2の波長の光とする)の強度をそれぞれ計測可能なセンサ部20と、センサ部20の計測結果(計測値)を基に、検出対象物Wの配置を導出する位置検知部21を具備している。なお、筺体16は、照射手段12から透光体11に向かう光P1、P2及び透光体11を通過して検出手段13に向かう散乱光Q1、Q2が透過するように設計されている。
【0018】
位置検知部21は、図2(A)に示すように、散乱光Q1、Q2が共に検出されていないと判定した際に検出対象物Wが層L2外に配されていると検知し、図2(B)に示すように、散乱光Q1が検出されず散乱光Q2が検出されていると判定した際に検出対象物Wが層L2内かつ層L1外の領域に配されていると検知し、図2(C)に示すように、散乱光Q1、Q2が共に検出されていると判定した際に検出対象物Wが層L1内に配されていると検知する。
【0019】
即ち、位置検知部21は、センサ部20による散乱光Q1、Q2の検出(検出結果)に基づいて、層L2外、層L2内かつ層L1外の領域、又は、層L1内のいずれに検出対象物Wが配されているかを検知する。
ここで、検出手段13は、図1に示すように、光P1、P2を直接受光しない配置となっているが、検出対象物Wが散乱光Q1、Q2を生じさせない層L2外に配置されている状態で、センサ部20は波長がλ1の光及び波長がλ2の光を僅かに計測する(これは、外乱光や透光体11の面14で反射した光P1、P2の一部等と考えられる)。
【0020】
従って、本実施の形態では、センサ部20が波長λ1の光を検出したことを散乱光Q1の検出とは扱えず、センサ部20が波長λ2の光を検出したことを散乱光Q2の検出とは扱えない。
そこで、検出対象物Wが層L2内に配されていない状態でセンサ部20が計測している、波長λ1の光の強度及び波長λ2の光の強度をそれぞれR1、R2として、位置検知部21は、センサ部20による波長λ1の光の強度の計測値がR1で、センサ部20による波長λ2の光の強度の計測値がR2のとき、検出対象物Wは層L2外に配されていることを検知する。
【0021】
位置検知部21は、センサ部20によって計測された、波長λ1の光の強度がR1で、波長λ2の光の強度がR2より大きい際に(即ち、波長λ2の光の強度の計測値の増加から)、層L2内かつ層L1外の領域に検出対象物Wが進入したのを検出し、センサ部20によって計測された、波長λ1の光の強度がR1より大きく、波長λ2の光の強度がR2より大きい際に(即ち、波長λ1の光の強度の計測値の増加から)、層L1内に検出対象物Wが進入したのを検出する。
【0022】
そして、検出対象物Wが層L2内かつ層L1外の領域に配されている状態では、検出対象物Wが透光体11の面14に接近するほど散乱光Q2の強度が上昇することから、センサ部20が計測する波長がλ2の光の強度に基づいて層L2内における検出対象物Wの位置を算出可能である。この点、センサ部20による波長λ1の光の強度の計測値及びセンサ部20による波長λ2の光の強度の計測値と、層L1内における検出対象物Wの位置との関係でも同様である。
本実施の形態では、位置検知部21が、センサ部20による散乱光Q2の強度から層L2内かつ層L1外の領域に配された検出対象物Wの当該領域内での位置を導出し、散乱光Q1の強度及び散乱光Q2の強度の一方又は両方から層L1内に配された検出対象物Wの層L1内での位置を計測する。
【0023】
また、超近接スイッチ10は、図3に示すように、位置検知部21に接続され、外部に信号S1、S2を出力する信号発信手段22を備えている。信号発信手段22は、層L2外に検出対象物Wが配されている状態で信号S1を外部に出力し、層L2内かつ層L1外の領域への検出対象物Wの進入の位置検知部21による検出によって、信号S2を外部に出力し、層L1内への検出対象物Wの進入の位置検知部21による検出によって、信号S1を外部に出力する。
【0024】
本実施の形態では、信号S1、S2がそれぞれオフ信号及びオン信号であり、超近接スイッチ10を備える設備には、信号発信手段22から出力される信号を受信する図示しない情報処理装置が設けられている。情報処理装置は、信号発信手段22からオン信号を受信している際に、検出対象物Wが層L2内かつ層L1外の領域に検出対象物Wが配されているのを検出することができ、工具Tを昇降させる位置調整部材と連動して、検出対象物Wを層L2内かつ層L1外の領域(透光体11の面14からの距離が220nm以上300nm以下の範囲)に配した状態を維持することが可能である。
【実施例
【0025】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実験について説明する。
実験では、波長450nmの第1の光及び波長635nmの第2の光を照射して、透光体の所定の面Fの表側に近接場光E1、E2を発生させた状態にし、工具の先端部を透光体の面Fの上方から徐々に面Fに近づけながら、波長450nmの光の強度及び波長635nmの光の強度を計測し、各計測値の変化を記録した。
【0026】
計測結果は図4に示す通りとなった。図4のグラフにおいて、縦軸は各波長の光の強度の計測値を示し、横軸は工具先端部の基準位置からの変位(以下、単に「変位」とも言う)を示す。変位350nmで波長450nmの光の強度及び波長635nmの光の強度の各計測値が、工具先端部を表面に接触させて予め計測した光の強度と等しくなったため、変位350nmで工具先端部が面Fに接触したと考えられる。測定結果では変位が60~175nmの範囲で波長635nmの光の強度の計測値のみが増加し、変位が175~350nmの範囲で波長450nmの光の強度の計測値及び波長635nmの光の強度の計測値が増加した。
【0027】
従って、変位60nm付近で工具先端部が、近接場光E2が存在する層L2内に進入し、変位175nm付近で工具先端部が、近接場光E1が存在する層L1内に進入したものと考えられる。
よって、工具先端部が層L2外に配されている際に計測される、波長450nmの光の強度の計測値をV1、波長635nmの光の強度の計測値をV2とすると、波長450nmの光の強度の計測値がV1で波長635nmの光の強度の計測値がV2より大きければ、工具先端部が層L2内かつ層L1外の領域、即ち、幅が約115nm(=175-60nm)の領域に工具先端部が配されているとの判定ができ、波長450nmの光の強度の計測値がV1より大きく、波長635nmの光の強度の計測値がV2より大きければ、層L1内、即ち、約175nm(=350-175nm)の領域に工具先端部が配されているとの判定ができる。
【0028】
また、波長450nmの光の強度の計測値及び波長635nmの光の強度の計測値は共に、工具先端部の変位に伴った増加が始まってから工具先端部が透光体の面Fに接触するまで、継続的に増加することから、光の強度の計測値と工具先端部の位置は一対一の関係となり、計測された光の強度を基に工具先端部の位置を導出できることが確認できた。
【0029】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、信号発信手段は無くてもよい。
また、第1、第2の散乱光の強度をそれぞれ計測する2つのセンサ部を有する検出手段を採用すること、及び、第1の光を照射する照射部及び第2の光を照射する照射部を有する照射手段を用いることが可能である。
そして、検出対象物Wが第1、第2の散乱光を生じさせない位置に配されている状態で、第1の散乱光と同じ波長の光及び第2の散乱光と同じ波長の光が検出手段によって検出されなければ、検出手段が第1の散乱光と同じ波長の光を検出したことを第1の散乱光の検出とみなし、検出手段が第2の散乱光と同じ波長の光を検出したことを第2の散乱光の検出とみなすことができる。
【符号の説明】
【0030】
10:超近接スイッチ、11:透光体、12:照射手段、13:検出手段、14:面、16:筺体、17、18:側面、19:円弧状面、20:センサ部、21:位置検知部、22:信号発信手段、L1、L2:層、P1、P2:光、Q1、Q2:散乱光、T:工具、W:検出対象物
図1
図2
図3
図4