IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ADEKAの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-02
(45)【発行日】2023-02-10
(54)【発明の名称】抗菌抗黴組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230203BHJP
   A01N 31/02 20060101ALI20230203BHJP
   A01N 31/04 20060101ALI20230203BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20230203BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230203BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230203BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230203BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20230203BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230203BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
A61K8/34
A01N31/02
A01N31/04
A01P1/00
A01P3/00
A61Q19/00
A61Q19/10
C11D1/68
C11D3/20
C11D3/48
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019539145
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2018029755
(87)【国際公開番号】W WO2019044436
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2017163099
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】津島 康宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕之
(72)【発明者】
【氏名】八澤 麻貴子
(72)【発明者】
【氏名】山下 小丹
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0055877(KR,A)
【文献】特開2008-266332(JP,A)
【文献】特開2017-025005(JP,A)
【文献】特表2012-527411(JP,A)
【文献】Night Cream,DATABASE GNPD [ONLINE],MINTEL, 2016.07,[検索日 2018.10.19],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra> (Database accession no.4149111)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/34
A01N 31/02
A01N 31/04
A01P 1/00
A01P 3/00
A61Q 19/00
A61Q 19/10
C11D 1/68
C11D 3/20
C11D 3/48
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1,2-オクタンジオールと、
(B)2-エチルヘキシルグリセリルエーテルと、
(C)ベンジルアルコール及びフェネチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種
を含有し、
成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計質量を100質量部としたときに、成分(A)が2550質量部、成分(B)が2550質量部、成分(C)が2033質量部であることを特徴とする抗菌抗黴組成物。
【請求項2】
請求項に記載の抗菌抗黴組成物を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項3】
請求項に記載の抗菌抗黴組成物を含有することを特徴とする洗浄剤。
【請求項4】
(A)1,2-オクタンジオールと、
(B)2-エチルヘキシルグリセリルエーテルと、
(C)ベンジルアルコール及びフェネチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種とを化粧料又は洗浄剤に添加することを含み、
成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計質量を100質量部としたときに、成分(A)が2550質量部、成分(B)が2550質量部、成分(C)が2033質量部である化粧料又は洗浄剤における成分(A)及び成分(B)の抗菌抗黴効果を成分(C)により増強する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に対し高い安全性を有しながら、高い抗菌性及び抗黴性を有する抗菌抗黴組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料、洗浄剤等には、通常、防腐等の目的で抗菌剤や防黴剤が使用されている。こうした抗菌防黴剤としてパラベン類が使用されてきたが、近年ではパラベン類に対してアレルギー反応を起こす人が増加しているため、パラベン類を配合しない人体に対して安全性の高い抗菌抗黴剤が求められていた。
【0003】
そこで、アルカンジオール類、アルキルグリセリルエーテル類等のジオール化合物及びこれらの混合物を抗菌剤として使用することが知られている。特許文献1には、3価以上のアルコールから1つの水酸基を取り除いた残基を有するジオール化合物からなる抗菌剤が開示されている。特許文献2には、1,2-ペンタンジオール及び2-フェノキシエタノールを含んでなる外用組成物が開示されている。特許文献3には、1,2-アルカンジオールと、感光素201号、安息香酸及びその塩、フェノキシエタノール、4-イソプロピル-3-メチルフェノールのうちの1種以上とが組み合わされてなる防腐殺菌剤が開示されている。特許文献4には、アルカンジオール化合物やグリセリルエーテル化合物とカチオン化βグルカンとを含有する抗菌性組成物が開示されている。これらの組成物は、パラベン類を使用しないため人体に対する高い安全性を有しながら、抗菌剤として良好な性能を持つとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-016018号公報
【文献】特開平10-053510号公報
【文献】特開平11-322591号公報
【文献】特開2014-005209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の抗菌剤は、人体に対する安全性は高いものの、抗菌抗黴剤として用いるためには抗菌性や抗黴性が十分ではない場合や、化粧料や洗浄料などとして用いる際に多量に使用する必要があるため、市場からは抗菌性能及び抗黴性能の向上が望まれていた。本発明が解決しようとする課題は、人体に対し高い安全性を有しながら、且つ高い抗菌性及び抗黴性を有する抗菌抗黴組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者等は鋭意検討したところ、パラベン類を使用せずとも、高い抗菌性及び抗黴性を有する抗菌抗黴組成物を見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、(A)炭素数6~8の直鎖アルキル基を有する少なくとも1種の1,2-アルカンジオールと、(B)炭素数6~8の直鎖アルキル基、炭素数6~8の分岐アルキル基又は炭素数6~8のシクロアルキル基を有する少なくとも1種のモノアルキルグリセリルエーテルと、(C)下記の一般式(1)
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、nは1~4の自然数を表す)で表される少なくとも1種の芳香族アルコールとを含有することを特徴とする抗菌抗黴組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人体に対し高い安全性を有しながら、高い抗菌性及び抗黴性を有する抗菌抗黴組成物を提供することができる。また、本発明の抗菌抗黴組成物は、特に皮膚への刺激が少なく保湿性能に優れるため、化粧料及び洗浄剤に好適に処方することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に使用する成分(A)は、炭素数6~8の直鎖アルキル基を有する1,2-アルカンジオールである。このような1,2-アルカンジオールとしては、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオールが挙げられる。これらの1,2-アルカンジオールは、単独で用いてもよいし、又は2種以上を用いてもよい。これらの中でも、成分(C)との抗菌抗黴性の増強効果の発揮による高い抗菌抗黴性の観点から、1,2-オクタンジオールが好ましい。
【0011】
本発明に使用する成分(B)は、炭素数6~8の直鎖アルキル基、炭素数6~8の分岐アルキル基又は炭素数6~8のシクロアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルである。このような直鎖アルキル基、分岐アルキル基及びシクロアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、2級ヘキシル基、ヘプチル基、2級ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、2級オクチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘプチル基等が挙げられる。炭素数が6未満の場合は抗菌性が低下するために実際の使用に耐えられない。一方、炭素数が8を超えると抗菌性が低下する上に肌への刺激性が強くなる場合があることに加え、水に対する溶解性が悪くなるため、水溶液の製品へ配合し難くなる。これらの直鎖アルキル基、分岐アルキル基又はシクロアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルは、単独で用いてもよいし、又は2種以上を用いてもよい。これらの中でも、成分(C)との抗菌抗黴性の増強効果の発揮による高い抗菌抗黴性の観点から、2-エチルヘキシルグリセリルエーテルが好ましい。
【0012】
本発明に使用する成分(C)は、下記の一般式(1)
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、nは1~4の自然数を表す)で表される芳香族アルコールである。このような芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール(n=1)、フェネチルアルコール(n=2)、3-フェニルプロピルアルコール(n=3)及び4-フェニルブチルアルコール(n=4)が挙げられる。これらの芳香族アルコールは、単独で用いてもよいし、又は2種以上を用いてもよい。これらの中でも、成分(A)及び成分(B)との抗菌性及び抗黴性の増強効果や入手容易性等の観点から、ベンジルアルコール及びフェネチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。このような特定の芳香族アルコールからなる成分(C)を用いることで、フェノキシエタノール等の化合物を用いる場合と比べ、高い抗菌性及び抗黴性、特に多種の細菌及び黴類に対して抗菌性及び抗黴性を発揮する組成物を得ることができる。
【0015】
本発明の抗菌抗黴組成物は、上記の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有するものである。このような3種類の成分を含有させることで特異的な相乗効果を示し、高い抗菌性及び抗黴性を発揮することができる。
【0016】
成分(A)及び成分(B)は抗菌効果を有することが知られているが、成分(A)及び成分(B)と成分(C)を併用すると、成分(A)を単独で含む組成物、成分(B)を単独で含む組成物又は成分(A)及び成分(B)を含む組成物よりも、抗菌性及び抗黴性が著しく向上する。なお、成分(A)及び成分(B)の両方が配合されないと、抗菌性及び抗黴性の著しい向上は望めない。
【0017】
本発明の抗菌抗黴組成物中の成分(A)~(C)の量については特に限定されないが、成分(C)の含有量は、成分(A)と成分(B)との合計質量を100質量部としたときに、10~1000質量部であることが好ましく、20~800質量部であることがより好ましく、25~500質量部であることがさらに好ましく、33~200質量部であることがさらにより好ましく、33~100質量部であることが最も好ましい。成分(C)の含有量が上記範囲内であると、成分(C)による成分(A)及び成分(B)の抗菌抗黴効果を特に増強することができ、よってこの相乗効果により抗菌抗黴組成物の抗菌性及び抗黴性が特に良好となる。また、抗菌性及び抗黴性と人体に対する安全性とを両立する観点から、抗菌抗黴組成物中の成分(A)と成分(B)との質量比は20:80~80:20(質量比の合計は100)であることが好ましく、33:67~67:33(質量比の合計は100)であることがより好ましい。成分(A)と成分(B)との質量比が上記範囲内であると、抗菌抗黴組成物の抗菌性及び抗黴性が特に良好となる。なお、各成分が2種以上の化合物からなる場合は、その合計質量をその成分の含有量とする。また、抗菌抗黴組成物中における成分(A)、成分(B)及び成分(C)の含有量は、成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計質量を100質量部としたときに、成分(A)が5~60質量部、成分(B)が5~60質量部、成分(C)が10~90質量部の範囲にあることが好ましく、成分(A)が20~50質量部、成分(B)が20~50質量部、成分(C)が15~40質量部の範囲にあることがより好ましい。成分(A)、成分(B)及び成分(C)の含有量が上記範囲内であると、成分(A)及び成分(B)の抗菌抗黴効果を有効に活用できると共に、成分(C)による成分(A)及び成分(B)の抗菌抗黴効果の増強効果も有効に利用することができる。
【0018】
本発明の抗菌抗黴組成物のpHは特に限定されないが、保存安定性や安全性の観点から、2~12であることが好ましく、3~11であることがより好ましい。
【0019】
本発明の抗菌抗黴組成物は、公知の抗菌剤、防黴剤、殺菌剤、消毒剤と同様の目的用途に使用することができ、例えば、化粧料、医療用洗浄剤、家庭用洗浄剤、食品工業用洗浄剤、合成樹脂や日用品を抗菌加工するための抗菌剤、水性もしくは非水性塗料、医療用柔軟剤等に用いることができる。これらの中でも、本発明の抗菌性組成物は人体に対する安全性が高いことから、洗浄剤、化粧料等の人体に直接触れるものに好適に使用することができる。また、本発明の抗菌抗黴組成物を含有する化粧料、洗浄剤、抗菌剤、塗料、医療用柔軟剤等の使用方法も特に限定されず、例えば、抗菌処理を施したい対象物にスプレーする方法、塗布する方法、基布等に含浸した状態で対象物に適用する方法、対象物に含浸させる方法、対象物を浸漬させる方法、対象物の成形加工時や調製時に配合する方法等を用いることができる。また、本発明の抗菌抗黴組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内で用途に応じてその他の成分を含んでもよい。
【0020】
本発明の化粧料は、本発明の抗菌抗黴組成物を含有する化粧料である。こうした化粧料としては、例えば、洗顔クリーム、洗顔フォーム、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、マッサージクリーム、コールドクリーム、モイスチュアクリーム、シェービングクリーム、日焼け止めクリーム、養毛剤、ヘアクリーム、ヘアリキッド、セットローション、ヘアブリーチ、カラーリンス、パーマネントウェーブ液、ハンドクリーム、口紅、各種パック、ファンデーション、化粧水、化粧液、乳液、オーデコロン、爪用化粧品、ウエットティッシュや抗菌シート等の衛生用品用薬液等が挙げられる。本発明の抗菌抗黴組成物の配合量は、目的とする抗菌性及び抗黴性を発揮できる量であれば特に限定されず、用途に応じて適宜調節できるが、抗菌性及び抗黴性と安全性とを両立する観点から、化粧料全体に対し、0.001~10質量%であることが好ましく、0.01~3.0質量%であることがより好ましく、0.1~2.0質量%であることが最も好ましい。
【0021】
本発明の化粧料は、本発明の抗菌抗黴組成物の効果を阻害しない範囲内で使用目的に応じてその他の成分を含んでもよく、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、キレート剤、低級アルコール、多価アルコール(本発明における成分(A)及び成分(B)を除く)、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤等の1種又は2種以上を必要に応じて適宜配合することができる。なお、下記において「POE」は「ポリオキシエチレン」を表し、「POP」は「ポリオキシプロピレン」を表す。
【0022】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0023】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0024】
ロウとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0025】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0026】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0027】
エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0028】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0029】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0030】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0031】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸Na)、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0032】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル;POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0033】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0034】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン、ジェランガム等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0035】
水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等);ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0036】
キレート剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等が挙げられる。
【0037】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0038】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,5,6-ヘキサンテトラオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);アルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0039】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0040】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアーガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0041】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0042】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。本発明の化粧料のpHは用途に応じて適宜調節すればよいが、肌への適用性等の観点から、3.0~7.5であることが好ましい。
【0043】
ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0044】
その他の配合可能成分としては、例えば、消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0045】
本発明の洗浄剤は、本発明の抗菌抗黴組成物と界面活性剤を含有した洗浄剤である。こうした洗浄剤としては、例えば、台所用洗浄剤、トイレ用洗浄剤、風呂用洗浄剤等の家庭用洗浄剤;シャンプー、リンス、ハンドソープ、ボディーソープ等の身体洗浄剤が挙げられる。本発明の抗菌抗黴組成物の配合量は、目的とする抗菌性及び抗黴性を発揮できる量であれば特に限定されず、用途に応じて適宜調節できるが、抗菌性及び抗黴性と安全性とを両立する観点から、例えば0.001~10質量%、好ましくは0.01~3.0質量%程度、特に好ましくは0.1~2.0質量%である。
【0046】
本発明の洗浄剤に使用できる界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、本発明の洗浄剤は、特に、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
【0047】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、硫化オレフィン塩、高級アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、硫酸化脂肪酸塩、スルホン化脂肪酸塩、リン酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、グリセライド硫酸エステル塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、スルホコハク酸エステルの塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸塩、N-アシル-N-メチルタウリンの塩、N-アシルグルタミン酸又はその塩、アシルオキシエタンスルホン酸塩、アルコキシエタンスルホン酸塩、N-アシル-β-アラニン又はその塩、N-アシル-N-カルボキシエチルタウリン又はその塩、N-アシル-N-カルボキシメチルグリシン又はその塩、アシル乳酸塩、N-アシルサルコシン塩、及びアルキル又はアルケニルアミノカルボキシメチル硫酸塩等が挙げられる。このようなアニオン性界面活性剤の塩の対イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウム;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、モノイソプロパノールアンモニウム、ジイソプロパノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム等の有機アンモニウム等が挙げられる。
【0048】
上記高級脂肪酸塩としては、炭素数12~18の脂肪酸の塩が好ましく、ヤシ油脂肪酸塩、ドデカン酸塩、テトラデカン酸塩、ヘキサデカン酸塩、オレイン酸塩が更に好ましい。同様に、高級アルキル硫酸エステル塩としては、アルキルが炭素数10~18のものが好ましく、炭素数12~16のものが更に好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、アルキルが炭素数10~18のものが好ましく、炭素数12~16のものが更に好ましい。また、ポリオキシエチレン基の平均重合度は、1~12が好ましく、2~10がより好ましく、3~8が更に好ましい。
【0049】
これらのアニオン性界面活性剤の中でも、皮膚等への刺激性が少ないことから、高級脂肪酸塩、高級アルキル硫酸エステル塩、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩が好ましく、高級脂肪酸塩、高級アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が更に好ましい。また、同様の理由から、アニオン性界面活性剤の塩の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウムが好ましい。
【0050】
また、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル又はそのエチレンオキサイド付加物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレート等が挙げられる。
【0051】
本発明の洗浄剤は、上述した界面活性剤成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分、例えば、シリコーン油、増粘剤、油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、その他の抗菌剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、パール化剤、中和剤、pH調整剤、酵素等の成分を適宜配合することができる。本発明の洗浄剤のpHは用途に応じて適宜調節すればよいが、洗浄性等の観点から、6.0~12であることが好ましい。
【0052】
増粘剤としては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、セルロース又はその誘導体、ケラチン及びコラーゲン又はそれらの誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、β-グルカン、ジェランガム、デキストラン等が挙げられる。
【0053】
油剤は、通常化粧料に用いられる揮発性及び不揮発性の油剤、溶剤及び樹脂が挙げられ、常温で液体、ペースト、固体であっても構わないが、ハンドリングに優れる液体が好ましい。油剤としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ラノリンアルコール等の高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸へキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、エゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油、コーン油、ホホバ油、ナタネ油等の油脂等が挙げられる。
【0054】
粉体としては、例えば、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン粉末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母、チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)に特に制限はない。
【0055】
これらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていても構わない。
【0056】
その他の抗菌剤としては、例えば、チアベンダゾール、2-ベンツイミダゾリルカルバミン酸メチルプリベントール等のイミダゾール系抗菌剤;トリクロロカルバニリド、クロフルカルバン等のカーバニリド系抗菌剤;ベンゾチアゾール等のチアゾール系抗菌剤;デブコナゾール、カビノン等のトリアジン系抗菌剤;クロルヘキシジン塩酸塩、ポリヘキサメチレンビグアナイド等のビグアナイド系抗菌剤等が挙げられるが、これらの抗菌剤を併用する場合には、人体に対する刺激性等を考慮して慎重に使用することが望ましい。
【0057】
保湿剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜等の生体高分子、アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ等が挙げられる。
【0058】
溶媒としては、例えば、精製水、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、次世代フロン等が挙げられる。
【実施例
【0059】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。なお、以下の実施例等において「%」は特に記載が無い限り質量基準である。
【0060】
〔実施例1~2、比較例1~11〕
<抗菌抗黴組成物の調製>
本発明の3成分からなる抗菌抗黴組成物と、比較例として、2成分のみ、1成分のみもしくは他の3成分からなる抗菌抗黴組成物とを、表1及び2に示す成分の質量比率(各例における成分の質量比率の合計はいずれも1.0)の通りにそれぞれ調製した。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
<使用した化合物>
成分(A)
A-1:1,2-オクタンジオール(カプリリルグリコール)
成分(B)
B-1:2-エチルヘキシルグリセリルエーテル(エチルヘキシルグリセリン)
成分(C)
C-1:フェネチルアルコール
C-2:ベンジルアルコール
成分(D)(比較成分)
D-1:安息香酸ナトリウム
D-2:フェノキシエタノール
【0064】
<最小発育阻止濃度(MIC)試験>
<試験対象の菌類>
E.coli:Escherichia coli(細菌)ATCC 8739
P.aer:Pseudomonas aeruginosa(細菌)ATCC 9027
S.aur:Staphylococcus aureus(細菌)ATCC 6538
C.alb:Candida albicans(酵母)ATCC 10231
A.bra:Aspergillus brasiliensis(カビ)ATCC 16404
【0065】
<菌液の調製>
細菌はSCD液体培地、酵母及びカビはブドウ糖寒天培地で前培養後、それぞれ0.9%NaCl水溶液で液中の生菌の濃度を107cfu/mLレベルに調整することで試験菌液を調製した。
【0066】
<試験方法>
マイクロプレートに各試験菌液を0.020μL分注し、さらに実施例1~2及び比較例1~11で調製した抗菌抗黴組成物を培地により各種濃度に調整した抗菌抗黴溶液0.18μLをそれぞれ添加・撹拌し混合溶液とした。このとき各抗菌抗黴溶液のpHは、6.89~7.24であった。次に各混合溶液について、細菌混合溶液は37℃の恒温槽で24時間、酵母混合溶液は25℃で3日間、カビ混合溶液は25℃で1週間それぞれ培養後、各混合溶液の濁度を観察することで、菌類と抗菌抗黴溶液の組合せ毎に混濁やコロニー・菌糸の存在が見られなかった(試験対象の菌類の発育を阻止した)混合溶液中の抗菌抗黴組成物の最低濃度を特定し、各菌類に対する最小発育阻止濃度(MIC)とし、さらに試験対象とした5種の菌類すべてに対して発育を阻止した濃度(すなわち5種菌類のMICのうち最も高かった濃度)を5種最小発育阻止濃度(5種MIC)とした。また抗菌抗黴溶液の外観評価として、特定された5種最小発育阻止濃度に調整した抗菌抗黴溶液を別途4mLチューブに滴下・静置し、溶液の外観を目視にて観察し、下記基準に従って評価した。結果を表3及び4に示す。
【0067】
溶液外観の評価基準
〇:透明
×:分離や濁りが観察された
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
上記の結果から、本発明の3成分からなる抗菌抗黴組成物を用いた場合は、MIC評価及び外観評価いずれも良好な結果を示した。一方、2成分のみ、1成分のみもしくは他の3成分からなる抗菌抗黴組成物を用いた場合においては、5種最小発育阻止濃度によって評価される各種の菌類に対する抗菌抗黴性能が不十分であったり、溶液とした際に分離や濁りが観察されたりするなど、実用性の面で問題があることが示された。このように本発明の抗菌抗黴組成物は、従来の抗菌抗黴組成物よりも低濃度で各種菌類への抗菌抗黴性能を十分に発揮するとともに、化粧料や洗浄剤に処方する際に、溶液中において白濁や沈殿を生じにくいため、抗菌抗黴組成物として高い実用性を有することが示された。
【0071】
〔実施例3~6、比較例12〕
<ウエットティッシュ用薬液処方>
下記に示す組成を有する実施例3~6及び比較例12のウエットティッシュ用薬液を調製した。なお、表5の数字は、ウエットティッシュ用薬液に対する質量%である。
<ウエットティッシュ用薬液の組成>
1,3-ブタンジオール 5質量%
エデト酸二ナトリウム 0.2質量%
アラントイン 0.05質量%
ココアンホ酢酸Na 0.3質量%
抗菌抗黴組成物 0.60質量%~0.90質量%(表5に記載の配合)
クエン酸 適量(pH4.5~5.0に調整)
水 残部
【0072】
【表5】
【0073】
<抗菌抗黴試験>
滅菌済み30mL容量の蓋付ガラス瓶に20gの実施例3~6及び比較例12で作製したウエットティッシュ用薬液と、生菌の濃度が1.0×108cfu/mLレベルの菌液を0.20mLいれ、均一に混合する。ガラス瓶を25℃の恒温槽に保存した日を0日目とし、2日後、7日後にそれぞれサンプリングして、生菌数の濃度(単位:cfu/mL)を測定し、以下の式により抗菌活性値LRV(Log Reduction Value)を求めた。抗菌活性値LRVの値が大きいほど、抗菌抗黴性能が高いことを示す。
LRV=log10(0日目の生菌濃度/サンプリング時の生菌濃度)
求めた抗菌活性値LRVから抗菌抗黴性能を下記基準に従って評価した。各試験結果を表6に示す。
抗菌抗黴性能の評価基準
◎:抗菌活性値が4.0以上
〇:抗菌活性値が2.0以上4.0未満
△:抗菌活性値が1.0以上2.0未満
×:抗菌活性値が1.0未満
なお、試験に使用した菌は下記のとおりである。
A.bra:Aspergillus brasiliensis(カビ)ATCC 16404
【0074】
【表6】
【0075】
以上の結果から、成分(A)と成分(B)と成分(C)とを併用した抗菌抗黴組成物を含有するウエットティッシュ用薬液は、いずれも良好な抗菌抗黴性能を示し、また、実施例3~6の結果と比較例12(成分(A)及び成分(B)のみを用いる)の結果との対比から、成分(C)の添加によってその抗菌抗黴効果が顕著に増強されることが分かった。よって成分(A)と成分(B)と成分(C)とを含有する抗菌抗黴組成物を含有する化粧料は、高い抗菌抗黴性能、特に多種の細菌類、酵母及び黴類に対して抗菌抗黴性能を発揮することが示された。
【0076】
〔実施例7~13、比較例13~14〕
<抗菌抗黴性の増強効果の評価>
本発明の3成分からなる抗菌抗黴組成物と、比較例として、2成分のみからなる抗菌抗黴組成物とを、表7に示す成分の質量比率(各例における成分の質量比率の合計はいずれも1.0)の通りにそれぞれ調製した。各抗菌抗黴組成物について、実施例1の試験方法と同様の方法により菌類に対する最小発育阻止濃度を測定し、次式に従いFIC(Fractional Inhibitory Concentration)指数を算出した。FIC指数は、2成分以上からなる組成物において抗菌性の相乗効果を評価する指数であり、FIC指数が1未満であれば相乗効果があることを示し、1より大きい場合は拮抗効果があることを示す。FIC指数の算出結果を表7に示す。
FIC=A1/A0+B1/B0+C1/C0
式中、A0は成分(A)単独のMIC値、A1は他成分と併用時のMICにおける成分(A)の濃度、B0は成分(B)単独のMIC値、B1は他成分と併用時のMICにおける成分(B)の濃度、C0は成分(C)単独のMIC値、C1は他成分と併用時のMICにおける成分(C)の濃度を表す。このとき、各成分単独のMIC値は実施例1の試験方法と同様の方法により測定した値を用い、併用時の各成分の濃度は、測定された抗菌抗黴組成物のMIC値と、対応する成分の質量比率から算出した値を用いた。なお、試験に使用した菌は下記のとおりである。
C.alb:Candida albicans(酵母)ATCC 10231
【0077】
【表7】
【0078】
以上のように、成分(A)と成分(B)と成分(C)とを併用することにより抗菌性の相乗効果を示し、かつ、成分(A)と成分(B)のみを併用した場合と比べてより高い相乗効果を示す(より小さいFIC指数を示す)ことがわかった。よって成分(A)と成分(B)と成分(C)とを含有する抗菌抗黴組成物及び該抗菌抗黴組成物を含有する化粧料又は洗浄剤は、高い抗菌抗黴性能を発揮することが示唆された。