(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】亜酸化物からの自己整合構造
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20230206BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20230206BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
H01L21/88 B
H01L21/88 M
(21)【出願番号】P 2020512525
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(86)【国際出願番号】 US2018048343
(87)【国際公開番号】W WO2019050715
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-23
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ガンディコッタ, シュリーニヴァース
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, サスミット シンハー
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-109099(JP,A)
【文献】特表2020-532870(JP,A)
【文献】特表2020-530663(JP,A)
【文献】特表2020-501344(JP,A)
【文献】特表2019-534573(JP,A)
【文献】特表2019-534384(JP,A)
【文献】特表2019-530242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己整合構造を作製する方法であって、
少なくとも1つの特徴が形成された基板表面を有する基板を提供することであって、前記少なくとも1つの特徴が前記基板表面から前記基板の中へある距離だけ延在し且つ側壁及び底部を有する、前記基板を提供することと、
前記基板表面上及び前記少なくとも1つの特徴内に金属亜酸化膜を形成することと、
前記金属亜酸化膜を前記少なくとも1つの特徴外の前記基板表面から除去することと、
前記少なくとも1つの特徴から膨張する金属酸化物の自己整合構造を形成するために前記金属亜酸化膜を酸化させることであって、前記金属亜酸化膜は、0よりも高く、前記金属酸化物の平均金属酸化状態よりも低い範囲の平均金属酸化状態を有する、前記金属亜酸化膜を酸化させることと
を含む方法。
【請求項2】
前記金属亜酸化膜は、前記金属酸化物の平均金属酸化状態の約80%以下の平均金属酸化状態を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自己整合構造は前記基板表面に対して実質的に直交している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属亜酸化膜は金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物又は金属ケイ化物のうちの1又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属亜酸化膜は本質的に金属窒化物で構成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記
金属亜酸化膜および前記金属酸化物に含まれる金属はタングステンである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属酸化物はWO
3である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記金属亜酸化膜は約1:2.8以下のタングステンと酸素との比を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記自己整合構造は約1:2.85以上のタングステンと酸素との比を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
自己整合構造を作製する方法であって、
少なくとも1つの特徴が形成された基板表面を有する基板を提供することであって、前記少なくとも1つの特徴は前記基板表面から前記基板の中へある距離だけ延在し且つ側壁及び底部を有する、前記基板を提供することと、
前記基板表面上及び前記少なくとも1つの特徴内に金属膜を形成することと、
前記基板表面上及び前記少なくとも1つの特徴内に金属亜酸化膜を形成するために前記金属膜を処理することと、
前記金属亜酸化膜を前記少なくとも1つの特徴外の前記基板表面から除去することと、
前記少なくとも1つの特徴から膨張する金属酸化物の自己整合構造を形成するために前記金属亜酸化膜を酸化させることであって、前記金属亜酸化膜は、0よりも高く、前記金属酸化物の平均金属酸化状態よりも低い範囲の平均金属酸化状態を有する、前記金属亜酸化膜を酸化させることと
を含む方法。
【請求項11】
前記金属亜酸化膜は前記金属酸化物の平均金属酸化状態の約80%以下の平均金属酸化状態を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記自己整合構造は前記基板表面に対して実質的に直交している、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記金属亜酸化膜を形成するために前記金属膜を処理する前に、前記少なくとも1つの特徴を前記金属膜で充填する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの特徴が前記金属膜で部分的に充填され、金属亜酸化膜を形成するために前記金属膜が処理され、前記方法は更に、前記少なくとも1つの特徴が前記金属亜酸化膜で充填されるまで前記金属亜酸化膜を形成するために前記金属膜の形成と前記金属膜の処理とを繰り返すことを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
自己整合構造を作製する方法であって、
(A)少なくとも1つの特徴が形成された基板表面を有する基板を提供することであって、前記少なくとも1つの特徴は前記基板表面から前記基板の中へある距離だけ延在し且つ側壁及び底部を有する、前記基板を提供することと、
(B)前記少なくとも1つの特徴を部分的に充填する金属膜を前記基板表面上に形成することと、
(C)金属亜酸化膜を形成するために、前記金属膜を処理することと、
(D)前記少なくとも1つの特徴の所定体積が充填されるまで(B)及び(C)を繰り返すことと、
(E)前記金属亜酸化膜を前記少なくとも1つの特徴外の前記基板表面から除去することと、
(F)前記少なくとも1つの特徴から膨張する金属酸化物の自己整合構造を形成するために前記金属亜酸化膜を酸化させることであって、前記金属亜酸化膜は、0よりも高く、前記金属酸化物の平均金属酸化状態よりも低い範囲の平均金属酸化状態を有する、前記金属亜酸化膜を酸化させることと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は概して、薄膜を堆積させて処理する方法に関する。具体的には、本開示は、自己整合構造を作製するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]自己整合金属酸化物ピラーは、間隙充填された金属膜の酸化を通して形成されうる。金属をALDによって孔又はトレンチの構造上に堆積させ、次にそれを酸化させて金属酸化物を形成し、酸化中の体積膨張により、孔又はトレンチからピラーが押し出される。ピラーはボトムアップであり、金属からのみ選択的に成長する。
【0003】
[0003]しかしながら、金属酸化物柱を形成するための金属の急速な体積膨張のために、このプロセスを使用することには幾つかの課題が存在する。第1に、応力の急速な変化は時々、固有の構造の劣化をもたらす。これはCDが小さい場合に時々、背の高い柱のたわみをもたらしうる。第2に、体積の急速な変化は時々、金属酸化物ピラーと基板との間の付着の問題をもたらす。第3に、残留した酸化していない金属がしばしば、トレンチの底部に残る。
【0004】
[0004]当技術分野において、自己整合柱及び構造を作製する代替的な方法が必要である。より具体的には、当技術分野において、よりゆっくりとした形成速度が得られる自己整合柱及び構造を作製する代替的な方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示の1又は複数の実施形態は、自己整合構造を作製する方法を対象とする。本方法は、少なくとも1つの特徴を有する基板表面を有する基板を提供することを含む。特徴は、表面から基板の中へある距離だけ延在し且つ側壁及び底部を有する。基板表面上及び少なくとも1つの特徴内に金属亜酸化膜が形成される。少なくとも1つの特徴外の基板表面から金属亜酸化膜が除去される。特徴から膨張する金属酸化物の自己整合構造を形成するために、金属亜酸化膜の酸化が行われる。金属亜酸化膜は、0よりも高い平均金属酸化状態から金属酸化物の平均酸化状態よりも低い範囲の平均金属酸化状態を有する。
【0006】
[0006]本開示の付加的実施形態は、自己整合構造を作製する方法を対象とする。本方法は、少なくとも1つの特徴を有する基板表面を有する基板を提供することを含む。特徴は、基板表面から基板の中へある距離だけ延在し且つ側壁及び底部を有する。基板表面上及び特徴内に金属膜が形成される。基板表面上及び特徴内に金属亜酸化膜を形成するために、金属膜が処理される。特徴外の基板表面から金属亜酸化膜が除去される。特徴から膨張する金属酸化物の自己整合構造を形成するために、金属亜酸化膜の酸化が行われる。金属亜酸化膜は、0よりも高い平均金属酸化状態から金属酸化物の平均金属酸化状態よりも低い範囲の平均金属酸化状態を有する。
【0007】
[0007]本開示の更なる実施形態は、自己整合構造を作製する方法を対象とする。本方法は、少なくとも1つの特徴を有する基板表面を有する基板を提供することを含む。特徴は、基板表面から基板の中へある距離だけ延在し且つ側壁及び底部を有する。基板表面上に特徴を部分的に充填する金属膜が形成される。金属亜酸化膜を形成するために、金属膜が処理される。特徴の所定体積が充填されるまで、金属膜の形成及び処理が繰り返される。特徴外の基板表面から金属亜酸化膜が除去される。特徴から膨張する金属酸化物の自己整合構造を形成するために、金属亜酸化膜の酸化が行われる。金属亜酸化膜は、0よりも高い平均金属酸化状態から金属酸化物の平均金属酸化状態よりも低い範囲の平均金属酸化状態を有する。
【0008】
[0008]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、本書に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを例示するものであり、したがって、実施形態の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の1又は複数の実施形態に係る基板の特徴を示す断面図である。
【
図2】A~Cは、本開示の1又は複数の実施形態に係る自己整合構造形成プロセスを示す概略断面図である。
【
図3】A~Dは、本開示の1又は複数の実施形態に係る自己整合構造形成プロセスを示す概略断面図である。
【
図4】A~Dは、本開示の1又は複数の実施形態に係る自己整合構造形成プロセスを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0013]本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示が以下の説明で提示される構成又は処理ステップの詳細に限定されないということを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。
【0011】
[0014]本書で使用する「基板」とは、製造プロセス中に膜処理が実施される任意の基板又は基板上に形成された材料表面のことを指す。例えば、処理が実施されうる基板表面は、用途に応じて、シリコン、酸化シリコン、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化シリコン、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、並びに、金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電材料などの他の任意の材料を含む。基板は半導体ウエハを含むが、それに限定されるわけではない。基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、電子ビーム(eビーム)硬化、且つ/又はベークするために、基板を前処理プロセスに曝すことができる。基板自体の表面上で直接膜処理することに加えて、本開示では、開示された任意の膜処理ステップは、以下でより詳細に開示される基板上に形成された下層にも実施され得る。「基板表面」という用語は、文脈が示すように、このような下層を含むことが意図されている。ゆえに、例えば、膜/層又は部分的な膜/層が基板表面上に堆積されている場合、新たに堆積された膜/層の曝露面が基板表面となる。
【0012】
[0015]本開示の1又は複数の実施形態は、いずれかの共形性、非共形性の、及び/又は低アスペクト比から高アスペクト比の間隙/トレンチ/ボイドの充填用途のために金属亜酸化膜を堆積させるための方法を対象とする。本開示の実施形態は、小さい寸法を有する高アスペクト比(AR)構造の膜(例:金属亜酸化膜)を堆積させる方法を有利に提供する。本開示のある実施形態は、自己整合構造を作製するために金属亜酸化膜を酸化させる方法を有利に提供する。
【0013】
[0016]本開示の1又は複数の実施形態は、よりゆっくりと作製される自己整合構造を作製するための方法を提供する。理論によって束縛されることなく、より遅い速度の形成により、金属亜酸化膜及び構造の体積膨張が減り、基板に対するより良好な付着及び自己整合構造の劣化の抑制が実証される。
【0014】
[0017]
図1に、特徴110を有する基板100の部分断面図を示す。この図面は、例示を目的として、単一の特徴を有する基板を示すが、当業者であれば、特徴は1つ以上あり得ることを理解するであろう。特徴110の形状は、非限定的に、トレンチ及び円筒形のビアを含む、いずれかの好適な形状であってよい。特定の実施形態では、特徴110はトレンチである。これに関して使用する場合、「特徴」という用語は、あらゆる意図的な表面の不規則性を意味する。特徴の適切な例には、非限定的に、上部、2つの側壁、及び底部を有するトレンチ、上部と、表面から上向きに延びている2つの側壁とを有する先端部、及び表面から下向きに延び、空いた底部を有する側壁を有するビアとが含まれる。特徴又はトレンチは、任意の好適なアスペクト比(特徴の深さと特徴の幅との比率)を有しうる。ある実施形態では、アスペクト比は、約5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1又は40:1以上である。
【0015】
[0018]基板100は、上面120を有する。少なくとも1つの特徴110は、上面120において開口部を形成する。特徴110は、上面120から、深さDへと、底面112まで延在する。特徴110は、特徴110の幅Wを画定する第1の側壁114及び第2の側壁116を有する。側壁及び底面によって形成される開口領域は、間隙とも呼ばれる。
【0016】
[0019]金属酸化物ピラーは、特徴に自己整合構造として形成されうる。金属亜酸化膜を使用して、トレンチを充填することができる。トレンチが充填された後、金属亜酸化ラインを分離させるために、表層(over-burden)(すなわち、トレンチ外の基板の上部に堆積された金属亜酸化物)が化学機械的平坦化(CMP)プロセスによって除去される。結果的に得られた金属亜酸化ラインを、酸化雰囲気でアニールして、金属酸化物ピラーを形成することができる。
【0017】
[0020]基板200が処理のために提供される、
図2A~
図2Cを参照する。装置200は、
図1に示す基板100と同様のものである。これに関連して使用する「提供される(provided)」という用語は、更なる処理のために、基板がある位置又は環境に置かれることを意味する。
図2Aに示す基板200は、第1の表面材料250と第2の表面材料260とを有する。第1の表面材料250と第2の表面材料260は、基板200上の同じ又は異なる表面材料であってよい。特徴210は、第1の表面250である底部212と、第2の表面材料260である側壁214、216及び上面220とで形成される。
【0018】
[0021]膜230は、上面220と、特徴210の壁及び底部に形成される。膜230は、限定しないが、化学気相堆積、プラズマ強化化学気相堆積、原子層堆積、プラズマ強化原子層堆積、及び/又は物理的気相堆積を含む任意の適切なプロセスによって形成された任意の適切な膜であり得る。ある実施形態では、膜230は、原子層堆積又はプラズマ強化原子層堆積によって形成される。
【0019】
[0022]ある実施形態では、膜230は、少なくとも1つの特徴210上に共形的に形成される。本書で使用する「共形性(conformal)」又は「共形的(conformally)」という用語は、膜の平均的な厚みに対して1%未満の変動を有する厚みで露出面に付着して、その面を均一に覆う層のことを指す。例えば、1000Åの厚さの膜は、厚さにおいて10Å未満の変動を有する。この厚み及び変動は、凹部のエッジ、角部、側面、及び底部を含む。例えば、本開示の様々な実施形態において、ALDによって堆積された共形層は、複雑な表面上において、本質的に均一な厚みの堆積領域上のカバレッジを提供する。
【0020】
[0023]ある実施形態では、膜230を、約25Å~約200Åの範囲、又は約50Å~約150Åの範囲の厚さに堆積させる。1又は複数の実施形態では、膜230は、約50Åの厚さで堆積され、膜には実質的に継目が形成されない。継目の形成は、特徴210が膜で充填される前に、膜の厚みが特徴の上部で閉じるところで起きる。ある実施形態では、基板表面は、少なくとも1つの特徴の側壁間に継目を有する膜を有する。これに関連して使用する「間(between)」という用語は、継目と特徴の側壁との間で、継目のどちらの側にもいくらかの膜があることを意味する。継目は、側壁のぴったり中心であることに限定されない。
【0021】
[0024]ある実施形態では、膜230は、連続的な膜である。本書で使用する「連続」という用語は、堆積層の下層の材料を露出させる間隙又はベアスポット(bare spot)がない状態で露出面全体を覆う層のことを指す。連続層は、膜の総表面積の約1%未満の表面積の間隙又はベアスポットを有し得る。
【0022】
[0025]ある実施形態では、膜230は、特徴210内でほぼ継目なしに形成される。ある実施形態では、特徴210の幅内に継目が形成されうる。継目は、特徴210の壁214、216の間に形成されるいずれかの間隙、空間又はボイドであってよい。
【0023】
[0026]膜230は、完全な酸化物の酸化状態よりも低い酸化状態を有するいずれかの好適な材料であってよい。ある実施形態では、膜230は金属亜酸化膜である。
【0024】
[0027]本書で使用する亜酸化物とは、金属の酸化状態が0よりも高く、完全に酸化した形態(すなわち、最も高い酸化状態)の金属の酸化状態よりも低いいずれかの金属錯体である。例えば、酸化タングステンは、幾つかの形態、すなわち、W2O3、WO2又はWO3で存在しうる。この場合、W2O3及びWO2はいずれもそれぞれ+3と+4の酸化状態に対応しているので亜酸化物と考えられ、WO3は+6の酸化状態を有する。当業者は、亜酸化物に酸素が含まれている必要がないことを認識するだろう。ある実施形態では、好適な亜酸化物は、酸素、ホウ素、窒素、炭素、ゲルマニウム又はシリコンの1又は複数を含有しうる。つまり、ある実施形態では、好適な金属亜酸化物は、金属酸化物、金属窒化物、金属ほう化物、金属炭化物、金属ゲルマニウム化物、金属ケイ化物、又はそれらの組み合わせ(すなわち、金属酸化窒化物)を含みうる。ある実施形態では、金属亜酸化物は本質的に金属窒化物で構成される。
【0025】
[0028]当業者は、金属亜酸化膜は、不定比量の原子を有しうることを理解するだろう。例えば、WNと記号表示された膜は、異なる量のタングステン及び窒素を有しうる。WN膜は例えば、90原子%のタングステンであってよい。窒化タングステン膜を表すのにWNを使用するのは、膜がタングステンと窒素原子を含み、膜が特定の組成物に限定されると見なすべきでないことを意味する。ある実施形態では、膜は、本質的に記号表示された原子で構成される。例えば、本質的にWNで構成される膜とは、膜の組成物が約95%、98%、又は99%以上タングステン及び窒素原子であることを意味する。ある実施形態では、膜230はタングステンを含む。1又は複数の実施形態では、膜230はチタンを含む。
【0026】
[0029]
図2Bでは、膜230は、膜230が全体的に特徴210内に含まれるように、上部220から除去されている。膜230は、任意の好適なエッチングプロセスによって除去されうる。ある実施形態では、膜230は、化学機械的平坦化(CMP)プロセスによって除去される。
【0027】
[0030]ある実施形態では、実質的に全ての膜230が特徴210内に形成される。これに関して使用する「実質的に全て」という用語は、重量基準で膜の約95%、98%、又は99%以上が特徴210内に形成されることを意味する。
【0028】
[0031]ある実施形態では、膜230は特徴210内に選択的に堆積され、基板の上面220には堆積されない。これらの実施形態では、基板200は、
図2Aのような外観にはならず、流れが
図1から
図2Bへとなるように処理される。第1の表面材料250と第2の表面材料260の組成は、膜230が他に対して1つの表面に選択的に堆積されることが可能になるように選択されうる。
【0029】
[0032]ある実施形態では、方法は、膜230をトレンチ内に特徴210の深さ以下の高さHまで選択的に堆積させることを含む。一実施形態では、膜230は、トレンチ体積の少なくとも10%を充填する。他の実施形態では、膜130は、トレンチ体積の少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%を充填する。ある実施形態では、特徴210に堆積された膜230は、特徴210の深さの約98%、95%、90%、80%、70%、60%又は50%以下の高さHを有する。
【0030】
[0033]
図2Cに示すように、処理方法は更に、膜の材料体積を膨張させて膨張した膜240を得るために、膜230を処理することを含む。膨張した膜240は、基板の上面220を越えて延在する。膨張した膜240は、金属酸化物を含む。膨張した膜240は、自己整合構造を形成する。
【0031】
[0034]膜230は、0よりも高く、膨張した膜240の平均金属酸化状態よりも低い範囲の平均金属酸化状態を有する。ある実施形態では、膜230は、膨張した膜240の金属と酸化物との比の約80%以下の金属と酸化物との比を有する。ある実施形態では、膨張した膜240は、基板の上面220に実質的に直交する。
【0032】
[0035]金属又は金属亜酸化膜に使用される好適な金属は、非限定的に、2よりも大きい、2.25よりも大きい、又は2.5よりも大きいピリング-ベドワース比を有する金属を含む。ピリング-ベドワース比とは、金属酸化物の基本セルの体積と、酸化物が形成される、対応する金属の基本セルの体積との比を指すものである。ピリング-ベドワース比は、Voxide/Vmetalして定義され、Vは体積である。金属酸化物のピリング-ベドワース比を決定するために、Voxideは、金属酸化物の分子量に金属の密度を乗算したものに等しく、Vmetalは、酸化物の一分子当たりの金属原子の数に金属の原子量と酸化物の密度とを乗算したものに等しい。上記膜の例は、Co、Mo、W、Ta、Ti、Ru、Rh、Cu、Fe、Mn、V、Nb、Hf、Zr、Y、Al、Sn、Cr、Os、U及び/又はLaの1又は複数を含む。ある実施形態では、金属は、Co、Fe、Mn、Nb、Os、Ta、U及びVで構成される群から選択される。ある実施形態では、金属は、2よりも大きい、2.25よりも大きい、又は2.5よりも大きいピリング-ベドワース比を有する。ある実施形態では、金属は、Mo、Os、及びVで構成される群から選択される。ある特定の実施形態では、金属はタングステンを含む。ある特定の実施形態では、金属はタングステンを含まない。
【0033】
[0036]膜230は、Co、Cr、Fe、Mn、Nb、Os、Ta、U、W及びVを含む材料を非限定的に含む任意の好適な材料であってよい。ある実施形態では、金属亜酸化膜の金属はタングステンである。
【0034】
[0037]ある実施形態では、膨張した金属膜はWO3を含む。ある実施形態では、膜230は約1:2.8以下のタングステンと酸素との比を有する。ある実施形態では、膨張した膜240は、約1:2.85以上のタングステンと酸素との比を有する。
【0035】
[0038]膜230の膨張は、約10%~約1000%の範囲、又は約50%~約800%の範囲、又は約100%~約700%の範囲であってよい。ある実施形態では、膜230は、約150%、200%、250%、300%又は350%以上の量だけ膨張する。ある実施形態では、膜230は、約300%~約400%の範囲の量だけ膨張する。1又は複数の実施形態では、膜を処理した結果、膜の体積が少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%又は400%増加する。複数の特徴が膜230で充填された場合、複数の膨張した膜240を形成して、自己整合構造を得ることができる。ある実施形態では、これらの自己整合構造は、マスクを使用しないパターンとして機能しうる。
【0036】
[0039]一実施形態では、膜230を処理することは、膜を酸化環境に暴露することを含む。初期の膜を処理する実施形態は、初期の膜を酸化環境に暴露することを含み、膨張した膜240はCoO、Fe2O3、Fe3O4、MnO2、Mn2O3、Mn3O4、MoO3、Nb2O5、Ta2O5、OsO2、UO2、及びV2O5で構成される群から選択された材料を含みうる。
【0037】
[0040]ある実施形態では、膜130を処理することは、初期の膜をO2、O3、N2O、H2O、H2O2、CO、CO2、NH3、N2/Ar、N2/He又はN2/Ar/Heの1又は複数を含む酸化剤に暴露することを含む。ある実施形態では、酸化条件には、熱酸化、プラズマ酸化、遠隔プラズマ酸化、マイクロ波及び高周波(例えば、ICP、CCP)が含まれる。
【0038】
[0041]膜230の処理は、例えば膜の組成及び膨張剤に応じて、いずれかの好適な温度で行われうる。ある実施形態では、膜の膨張は、約25℃~約1100℃の範囲の温度で行われる。ある実施形態では、膨張は、約250℃、約300℃、約350℃、約400℃、約450℃、約500℃又は約550℃以上の温度で行われる。
【0039】
[0042]ある実施形態では、膜230の処理は、約450℃、又は約400℃、又は約350℃、又は約300℃、又は約250℃、又は約200℃以下の温度で行われる。ある実施形態では、膜230はタングステンを含み、約150℃~約200℃の範囲の温度で形成される。
【0040】
[0043]
図2Cに示すように、膨張中、特徴の形状の忠実度が特徴の上部で維持され、膜230が特徴210からまっすぐ上に成長する。これに関して使用する「まっすぐ上」とは、膨張した膜240の側面が、特徴210の側壁214、216と実質的に同一平面であることを意味する。表面は、側壁214と同一平面にあり、側壁214と表面との接合点で形成される角度は、±10°である。これに関し、特徴から「まっすぐ上」に延在する膨張した膜は、側壁が上面に垂直である場合に、基板の上面に直交しているということができる。
【0041】
[0044]金属酸化物ピラーは、特徴内に自己整合構造として形成されうる。金属膜を使用して、トレンチを充填することができる。金属膜を処理して、金属亜酸化膜を形成することができる。いずれの表層(すなわち、トレンチ外の基板の上部、又は基板の上面の上に堆積された金属又は金属亜酸化物)も、金属亜酸化物ラインを分離させるために、化学機械的平坦化(CMP)プロセスによって除去される。結果的に得られた金属亜酸化物ラインを酸化雰囲気でアニールして、金属酸化物ピラーを形成することができる。
【0042】
[0045]基板200が処理のために提供される、
図3A~
図3Dを参照する。基板200は、
図1に示す基板100と同様のものである。これに関連して使用する「提供される(provided)」という用語は、更なる処理のために、基板がある位置又は環境に置かれることを意味する。
図3Aに示す基板200は、第1の表面材料250と、第2の表面材料260とを有する。第1の表面材料250と第2の表面材料260は、基板200上の同じ又は異なる表面材料であってよい。特徴210は、第1の表面材料250である底部212と、第2の表面材料260である側壁214、216及び上面220で形成される。
【0043】
[0046]金属膜225は、上面220と、特徴210の壁及び底部に形成される。金属膜225は、限定しないが、化学気相堆積、プラズマ強化化学気相堆積、原子層堆積、プラズマ強化原子層堆積、及び/又は物理的気相堆積を含む任意の適切なプロセスによって形成された任意の適切な膜であり得る。ある実施形態では、金属膜225は、原子層堆積又はプラズマ強化原子層堆積によって形成される。
【0044】
[0047]ある実施形態では、金属膜225は、少なくとも1つの特徴210に共形的に形成される。本書で使用する「共形性(conformal)」又は「共形的(conformally)」という用語は、膜の平均的な厚みに対して1%未満の変動を有する厚みで露出面に付着して、その面を均一に覆う層のことを指す。例えば、1000Åの厚さの膜は、厚さにおいて10Å未満の変動を有する。この厚み及び変動は、凹部のエッジ、角部、側面、及び底部を含む。例えば、本開示の様々な実施形態において、ALDによって堆積された共形層は、複雑な表面上において、本質的に均一な厚みの堆積領域上のカバレッジを提供する。
【0045】
[0048]ある実施形態では、金属膜225を、約25Å~約200Åの範囲、又は約50Å~約150Åの範囲の厚さに堆積させる。1又は複数の実施形態では、金属膜225は約50Åの厚さで堆積され、膜には実質的に継目が形成されない。継目の形成は、特徴210が膜で充填される前に、膜の厚みが特徴の上部で閉じるところで起きる。ある実施形態では、基板表面は、少なくとも1つの特徴の側壁間に継目を有する膜を有する。これに関連して使用する「間(between)」という用語は、継目と特徴の側壁との間で、継目のどちらの側にもいくらかの膜があることを意味する。継目は、側壁のぴったり中心であることに限定されない。
【0046】
[0049]ある実施形態では、金属膜225は、連続的な膜である。本書で使用する「連続」という用語は、堆積層の下層の材料を露出させる間隙又はベアスポットがない状態で露出面全体を覆う層のことを指す。連続層は、膜の総表面積の約1%未満の表面積の間隙又はベアスポットを有し得る。
【0047】
[0050]ある実施形態では、金属膜225は、特徴210内でほぼ継目なしに形成される。ある実施形態では、特徴210の幅内に継目が形成されうる。継目は、特徴210の壁214、216の間に形成されるいずれかの間隙、空間又はボイドであってよい。
【0048】
[0051]金属膜225は、+0の平均酸化状態を有するいずれかの好適な金属含有膜であってよい。ある実施形態では、膜225は本質的に金属原子で構成される。
【0049】
[0052]金属膜225を部分的に酸化させて膜230が形成される、
図3Bを参照する。
図2A~
図2Cを参照して説明した方法では、膜230は、完全な酸化物の酸化状態よりも低い酸化状態を有するいずれかの好適な材料であってよい。ある実施形態では、膜230は金属亜酸化膜である。金属膜225を膜230に変換する酸化反応は、金属膜225に存在する金属原子の酸化状態を高めるいずれかの反応であってよい。好適な反応は、非限定的に、酸化反応、ホウ素化反応、窒化反応、ケイ化反応、又はゲルマニサイド化反応を含む。当業者は、他のプロセス及び反応を使用して金属膜225を処理して膜230を形成することができることを理解するだろう。選択された処理にかかわらず、形成された膜230は、それ自体の完全な酸化形態にある金属の酸化状態よりも低い酸化状態を有する。
【0050】
[0053]ある実施形態では、金属膜225は、酸化剤又は酸化条件に暴露することによって膨張させる。酸化剤は、非限定的に、O2、O3、N2O、H2O、H2O2、CO、CO2、NH3、N2/Ar、N2/He、N2/Ar/He及びこれらの組合せを含むいずれかの好適な酸化剤であってよい。ある実施形態では、酸化条件には、熱酸化、プラズマ増速酸化、遠隔プラズマ酸化、マイクロ波及び高周波(例えば、ICP、CCP)が含まれる。
【0051】
[0054]ある実施形態では、金属膜225は、金属を金属窒化膜に変換するために、窒化剤又は窒化条件に暴露することによって膨張させる。窒化剤は、非限定的に、アンモニア、ヒドラジン、NO2、N2/Arプラズマ、N2/Heプラズマ、N2/Ar/Heプラズマ及びそれらの組みあわせを含むいずれかの好適な窒化剤であってよい。ある実施形態では、窒化条件は、熱窒化、プラズマ増速窒化、遠隔プラズマ窒化、マイクロ波及び高周波(例:ICP、CCP)を含む。
【0052】
[0055]ある実施形態では、金属膜225は、金属膜を金属ケイ化膜に変換するために、ケイ化剤又はケイ化条件に暴露することによって膨張させる。ケイ化剤は、非限定的に、シラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、ペンタシラン、ヘキサシラン、トリメチルシラン、トリメチルシリル置換基を有する化合物及びこれらの組合せを含むいずれかの好適なケイ化剤であってよい。幾つかの実施形態では、ケイ化条件は、熱ケイ化、プラズマ増速ケイ化(plasma enhanced siliciding)、遠隔プラズマケイ化(remote plasma siliciding)、マイクロ波及び高周波(例えば、ICP、CCP)を含む。
【0053】
[0056]ある実施形態では、金属膜225は、金属を金属ゲルマニサイド化膜に変換するために、ゲルマニサイド化剤又ゲルマニサイド化条件に暴露することによって膨張させる。ゲルマニサイド化剤は、非限定的に、ゲルマン、ジゲルマン、トリゲルマン、テトラゲルマン、ペンタゲルマン、ヘキサゲルマン、トリメチルゲルマニウム、トリメチルゲルマニル置換基を有する化合物及びこれらの組合せを含むいずれかの好適なゲルマニサイド化剤であってよい。ある実施形態では、ゲルマニサイド化条件は、熱ゲルマニサイド化(thermal germaniciding)、プラズマ増速ゲルマニサイド化(plasma enhanced germaniciding)、遠隔プラズマゲルマニサイド化(remote plasma germaniciding)、マイクロ波及び高周波(例えば、ICP、CCP)を含む。
【0054】
[0057]金属膜225の処理は、例えば金属膜の組成及び所望の処理に応じて、いずれかの好適な温度で行われうる。ある実施形態では、金属膜の処理は、約25℃~約1100℃の範囲の温度で行われる。ある実施形態では、処理は、約250℃、約300℃、約350℃、約400℃、約450℃、約500℃又は約550℃以上の温度で行われる。
【0055】
[0058]
図3Cでは、膜230は、膜230が全体的に特徴210内に含まれるように、上部220から除去されている。膜230は、任意の好適なエッチングプロセスによって除去されうる。ある実施形態では、膜230は、化学機械的平坦化(CMP)プロセスによって除去される。
【0056】
[0059]ある実施形態では、実質的に全ての金属膜225が特徴210内に形成される。これに関して使用する「実質的に全て」という用語は、重量基準で膜の約95%、98%、又は99%以上が特徴210内に形成されることを意味する。
【0057】
[0060]ある実施形態では、金属膜225は、特徴210内に選択的に堆積され、基板の上面220には堆積されない。これらの実施形態では、基板200は、金属膜225が堆積され処理されて、膜230が全体的に特徴210内に形成されるように処理される。基板は、
図3A又は
図3Bのような外観にはならず、流れは
図1から
図3Cへとなる。第1の表面材料250と第2の表面材料260の組成は、金属膜225が他に対して1つの表面に選択的に堆積されることが可能になるように選択されうる。
【0058】
[0061]ある実施形態では、方法は、金属膜225をトレンチ内に特徴210の深さ以下の高さHまで選択的に堆積させることを含む。一実施形態では、金属膜225は、トレンチの体積の少なくとも10%を充填する。他の実施形態では、膜130は、トレンチの体積の少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%を充填する。ある実施形態では、特徴210に堆積された金属膜225は、特徴210の深さの約98%、95%、90%、80%、70%、60%又は50%以下の高さHを有する。
【0059】
[0062]
図3Dに示すように、処理方法は更に、膜材料体積を膨張させて、膨張した膜240を得るために、膜230を処理することを含む。膨張した膜240は、基板の上面220を越えて延在する。膨張した膜240は、金属酸化物を含む。膨張した膜240は、自己整合構造を形成する。その他の点では、
図3Dに示す膨張した膜240を形成するための膜230の処理は、
図2Cに対して上述したプロセスと同様のものである。
【0060】
[0063]金属酸化物ピラーは、自己整合構造として特徴に形成されうる。金属膜を使用して、トレンチをライニングすることができる。金属膜を処理して、トレンチをライニングする金属亜酸化膜を形成することができる。金属膜は、トレンチが金属亜酸化膜で所定の深さに充填されるまで、繰り返し堆積され処理されうる。いずれの表層(すなわち、トレンチ外の基板の上部、又は基板の上面に堆積された金属又は金属亜酸化物)も、金属亜酸化物ラインを分離させるために、化学機械的平坦化(CMP)プロセスによって除去される。結果的に得られた金属亜酸化物ラインを酸化雰囲気でアニールして、金属酸化物ピラーを形成することができる。
【0061】
[0064]基板200が処理のために提供される、
図4A~
図4Dを参照する。基板200は、
図1に示す基板100と同様のものである。これに関連して使用する「提供される(provided)」という用語は、更なる処理のために、基板がある位置又は環境に置かれることを意味する。
図3Aに示す基板200は、第1の表面材料250と第2の表面材料260とを有する。第1の表面材料250と第2の表面材料260は、基板200上の同じ又は異なる表面材料であってよい。特徴210は、第1の表面材料250である底部212と、第2の表面材料260である側壁214、216及び上面220で形成される。
【0062】
[0065]金属膜225は、上面220と、特徴210の壁及び底部に形成される。膜225は、限定しないが、化学気相堆積、プラズマ強化化学気相堆積、原子層堆積、プラズマ強化原子層堆積、及び/又は物理的気相堆積を含む任意の適切なプロセスによって形成された任意の適切な膜であり得る。ある実施形態では、金属膜225は、原子層堆積又はプラズマ強化原子層堆積によって形成される。
【0063】
[0066]ある実施形態では、金属膜225は、少なくとも1つの特徴210上に共形的に形成される。本書で使用する「共形性(conformal)」又は「共形的(conformally)」という用語は、膜の平均的な厚みに対して1%未満の変動を有する厚みで露出面に付着して、その面を均一に覆う層のことを指す。例えば、1000Åの厚さの膜は、厚さにおいて10Å未満の変動を有する。この厚み及び変動は、凹部のエッジ、角部、側面、及び底部を含む。例えば、本開示の様々な実施形態において、ALDによって堆積された共形層は、複雑な表面上において、本質的に均一な厚みの堆積領域上のカバレッジを提供する。
【0064】
[0067]ある実施形態では、金属膜225を、約25Å~約200Åの範囲、又は約50Å~約150Åの範囲の厚さに堆積させる。1又は複数の実施形態では、金属膜225は約50Åの厚さで堆積され、膜には実質的に継目が形成されない。継目の形成は、特徴210が膜で充填される前に、膜の厚みが特徴の上部で閉じるところで起きる。ある実施形態では、基板表面は、少なくとも1つの特徴の側壁間に継目を有する膜を有する。これに関連して使用する「間(between)」という用語は、継目と特徴の側壁との間で、継目のどちらの側にもいくらかの膜があることを意味する。継目は、側壁のぴったり中心であることに限定されない。
【0065】
[0068]ある実施形態では、金属膜225は、連続的な膜である。本書で使用する「連続」という用語は、堆積層の下層の材料を露出させる間隙又はベアスポットがない状態で露出面全体を覆う層のことを指す。連続層は、膜の総表面積の約1%未満の表面積の間隙又はベアスポットを有し得る。
【0066】
[0069]ある実施形態では、金属膜225は、特徴210内でほぼ継目なしに形成される。ある実施形態では、特徴210の幅内に継目が形成されうる。継目は、特徴210の壁214、216の間に形成されるいずれかの間隙、空間又はボイドであってよい。
【0067】
[0070]金属膜225は、+0の平均酸化状態を有するいずれかの好適な金属含有膜であってよい。ある実施形態では、膜225は、本質的に金属原子で構成される。
【0068】
[0071]膜230を形成するために、金属膜225を部分的に酸化させる、
図4Bを参照する。
図2A~
図2Cを参照して説明した方法では、膜230は、完全な酸化物の酸化状態よりも低い酸化状態を有するいずれかの好適な材料であってよい。ある実施形態では、膜230は、金属亜酸化膜である。金属膜225を膜230に変換する酸化反応は、金属膜225に存在する金属原子の酸化状態を高めるいずれかの反応であってよい。好適な反応は、非限定的に、酸化反応、ホウ素化反応、窒化反応、ケイ化反応、又はゲルマニサイド化反応を含む。当業者は、他のプロセス及び反応を使用して金属膜225を処理して膜230を形成することができることを理解するだろう。選択された処理にかかわらず、形成された膜230は、それ自体の完全な酸化形態にある金属の酸化状態よりも低い酸化状態を有する。
【0069】
[0072]
図4A及び4Bにおいて図示したプロセスは、金属膜225の層を堆積させることと、次に、亜酸化膜230を形成するために堆積させた金属膜を処理することを含む。このプロセスは、
図4Cに示すように、特徴210が所定の深さまで亜酸化膜で充填されるまで繰り返されうる。ある実施形態では、基板220の上面に堆積された膜の深さが、各堆積及び処理サイクルに伴って増加しうる。
【0070】
[0073]
図4Dでは、膜230は、膜230が全体的に特徴210内に含まれるように、上部220から除去されている。膜230は、任意の好適なエッチングプロセスによって除去されうる。ある実施形態では、膜230は、化学機械的平坦化(CMP)プロセスによって除去される。
【0071】
[0074]ある実施形態では、金属膜225の実質的に全てが特徴210内に形成される。これに関して使用する「実質的に全て」という用語は、重量基準で膜の約95%、98%、又は99%以上が特徴210内に形成されることを意味する。
【0072】
[0075]ある実施形態では、金属膜225は特徴210内に選択的に堆積され、基板の上面220には堆積されない。これらの実施形態では、基板200は、金属膜225が堆積され処理されて、膜230が全体的に特徴210内に形成されるように処理される。基板は、
図4A、
図4B又は
図4Cのような外観にはならず、流れは
図1から
図4Dへとなる。第1の表面材料250と第2の表面材料260の組成は、金属膜225が他に対して1つの表面に選択的に堆積されることが可能になるように選択されうる。
【0073】
[0076]ある実施形態では、方法は、トレンチ内に金属膜225を選択的に堆積させることと、次に、膜230を形成するためにトレンチ内の金属膜225を処理することとを含む。特徴210の深さ以下の高さHの膜230が形成されるまで、この堆積させて処理するプロセスが繰り返されうる。一実施形態では、堆積及び処理サイクルを繰り返した後に、トレンチの体積の少なくとも10%が膜230で充填される。他の実施形態では、膜230は、トレンチの体積の少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%を充填する。ある実施形態では、堆積及び処理サイクルを繰り返した後に特徴210に形成された膜230は、特徴210の深さの約98%、95%、90%、80%、70%、60%又は50%以下の高さHを有する。
【0074】
[0077]図示していないが、処理方法は更に、
図2C又は3Dに示すプロセスと同様に、膜の材料体積を膨張させて膨張した膜240を得るために、膜230を処理することを含む。膨張した膜240は、基板の上面220を越えて延在する。膨張した膜240は、金属酸化物を含む。膨張した膜240は、自己整合構造を形成する。その他の点では、膨張した膜240を形成するために膜230を処理することは、
図2Cにおいて上述したプロセスと同様である。
【0075】
[0078]ある実施形態は、オプションの処理プロセスを含む。処理プロセスは、膜の幾つかのパラメータを改善するために膜230を処理する。ある実施形態では、処理プロセスは、膜をアニーリングすることを含む。ある実施形態では、処理は、堆積及び/又は酸化に使用されるのと同じプロセスチャンバでのインシトゥ(その場)アニールによって実施されうる。好適なアニーリング処理には、非限定的に、急速熱処理(RTP)又は急速熱アニール(RTA)、スパイクアニール、又はUV硬化、又は電子ビーム硬化及び/又はレーザアニールが含まれる。アニール温度は、約500℃~900℃の範囲でありうる。アニール中の環境の組成物には、H2、Ar、He、N2、NH3、SiH4等の1又は複数が含まれうる。アニール中の圧力は、約100mTorr~約1atmの範囲であってよい。
【0076】
[0079]1又は複数の実施形態により、基板は、層230又は膨張した層240の形成前に、及び/又は層230又は膨張した層240の形成後に処理を受ける。この処理は、同じチャンバ、又は1又は複数の別個の処理チャンバで実施されうる。ある実施形態では、基板は、第1のチャンバから、更なる処理のために別個の第2のチャンバに移動される。基板は、第1のチャンバから別個の処理チャンバに直接移動されうる、又は、第1のチャンバから1又は複数の移送チャンバに移動され、次いで別個の処理チャンバへと移動されうる。したがって、処理装置は、移送ステーションと連通している複数のチャンバを備えうる。この種の装置は「クラスタツール(cluster tool)」又は「クラスタシステム(clustered system)」などと称されうる。
【0077】
[0080]クラスタツールは概して、基板の中心検出及び配向、ガス抜き、アニーリング、堆積、及び/又はエッチングを含む様々な機能を実施する、複数のチャンバを備えるモジュールシステムである。1又は複数の実施形態によれば、クラスタツールは、少なくとも第1のチャンバ及び中央移送チャンバを含む。中央移送チャンバは、処理チャンバとロードロックチャンバの間で基板を往復搬送することができるロボットを収容しうる。移送チャンバは通常、真空条件で維持されており、基板を、1つのチャンバから、別のチャンバ及び/又はクラスタツールの前端部に位置付けられたロードロックチャンバへ往復搬送するための、中間ステージを提供する。本発明のために適合されうる二つのよく知られたクラスタツールは、Centura(登録商標)及びEndura(登録商標)であり、両方とも、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能である。しかしながら、チャンバの実際の配置及び組合せは、本書に記載のプロセスの特定のステップを実施する目的で変更することが可能である。使用可能な他の処理チャンバには、限定されないが、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、予洗浄、化学洗浄、RTPなどの熱処理、プラズマ窒化、ガス抜き、配向、ヒドロキシル化、及びその他の基板処理が含まれる。クラスタツール上のチャンバでプロセスを実行することにより、その次の膜を堆積させる前に酸化させることなく、空気中の不純物による基板の表面汚染を回避することができる。
【0078】
[0081]1又は複数の実施形態によれば、基板は、継続的に真空条件又は「ロードロック」条件下にあり、1つのチャンバから次のチャンバへ移動するときに周囲空気に曝露されない。したがって、移送チャンバは真空下にあり、真空圧力下で「ポンプダウン」される。処理チャンバ又は移送チャンバには、不活性ガスが存在し得る。ある実施形態では、不活性ガスは、反応物質の一部又は全部を除去するために、パージガスとして使用される。1又は複数の実施形態によれば、堆積チャンバから移送チャンバ及び/又は付加的な処理チャンバへの反応物質の移動を防止するために、パージガスを堆積チャンバの出口において噴射する。したがって、不活性ガスの流れにより、チャンバの出口にカーテンが形成される。
【0079】
[0082]基板は、単一の基板堆積チャンバで処理されてよく、この単一の基板堆積チャンバでは、別の基板が処理される前に単一の基板がローディングされ、処理され、かつアンローディングされる。基板は、複数の基板が個々に、チャンバの第1の部分へローディングされ、チャンバを通って移動し、かつ、チャンバの第2の部分からアンローディングされる、コンベヤシステムに類似した連続的な様態で処理することも可能である。チャンバ及び関連するコンベヤシステムの形状により、直線経路又は湾曲経路が形成されうる。加えて、処理チャンバはカルーセルであってよく、このカルーセルにおいて、複数の基板が、中心軸の周りで移動し、かつ、カルーセル経路全体を通じて堆積、エッチング、アニーリング、洗浄などのプロセスに曝露される。
【0080】
[0083]処理中に、基板は加熱又は冷却されうる。そうした加熱又は冷却は、限定されないが、基板支持体の温度を変化させること、及び、加熱された又は冷却されたガスを基板表面へ流すことを含む、任意の適切な手段によって達成することができる。ある実施形態では、基板支持体は、伝導的に基板温度を変化させるように制御されうるヒータ/クーラを含む。1又は複数の実施形態では、基板温度を局所的に変化させるため、使用するガス(反応性ガス又は不活性ガス)を加熱又は冷却する。ある実施形態では、基板温度を対流によって変化させるため、ヒータ/クーラがチャンバ内で基板表面に隣接するように位置づけされる。
【0081】
[0084]基板はまた、処理中に、静止状態にありうる、又は回転しうる。回転する基板は、連続的に又は非連続的に回転しうる。例えば、基板は、処理全体を通じて回転しうる、又は、種々の反応性ガス若しくはパージガスへの曝露と曝露との間に、少しずつ回転しうる。処理中に基板を(連続的に或いは段階的に)回転させることは、例えばガス流形状の局所的可変性の影響を最小限に抑えることによって、より均一な堆積又はエッチングの生成に役立ちうる。
【0082】
[0085]プロセスを酸化と称したが、当業者には、本開示が酸化反応で膜を膨張させることに限定されないことが理解されるだろう。様々な実施形態を表すのに酸化反応を使用することは便宜上のためだけであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0083】
[0086]この明細書全体を通じて、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1又は複数の実施形態」、又は「実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。ゆえに、この明細書全体の様々な箇所での「1又は複数の実施形態で」、「特定の実施形態で」、「一実施形態で」、又は「実施形態で」などの表現は、必ずしも、本開示の同一の実施形態に言及するものではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1又は複数の実施形態において任意の適切な様態で組み合わせることができる。
【0084】
[0087]本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の例示にすぎないことを理解されたい。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対して様々な改変及び変形を行い得ることが、当業者には明らかになろう。ゆえに、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内である改変例及び変形例を含むことが意図されている。