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特許7221354炒め調理用油脂組成物、炒め調理品、及び炒め調理品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】炒め調理用油脂組成物、炒め調理品、及び炒め調理品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20230206BHJP
   A23D 9/007 20060101ALI20230206BHJP
   A23D 9/013 20060101ALI20230206BHJP
   A23L 35/00 20160101ALI20230206BHJP
   A23L 7/109 20160101ALI20230206BHJP
【FI】
A23D9/00 506
A23D9/007
A23D9/013
A23L35/00
A23L7/109 Z
A23L7/109 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021168284
(22)【出願日】2021-10-13
(62)【分割の表示】P 2017058976の分割
【原出願日】2017-03-24
(65)【公開番号】P2022001068
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡田 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】小澤 朋子
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-228844(JP,A)
【文献】特開2007-068462(JP,A)
【文献】特開2015-119665(JP,A)
【文献】特開2007-105035(JP,A)
【文献】特開2009-039021(JP,A)
【文献】特開平05-227897(JP,A)
【文献】特開平08-089186(JP,A)
【文献】特開平07-274859(JP,A)
【文献】特開平08-131071(JP,A)
【文献】国際公開第13/031332(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炒め調理用油脂組成物中に、多価アルコールの脂肪酸エステルを0.2~12質量%、レシチンを0.01~7質量%含有し、
炒め調理が、餃子、焼きそば、スパゲッティから選ばれる炒め調理品の炒め調理であって、
前記多価アルコールの脂肪酸エステルが、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルのみから選ばれる一種以上であり、含有する多価アルコールの脂肪酸エステルの平均エステル化率が15~55%であり、
前記レシチンが、脱糖レシチンである、炒め調理用油脂組成物(ただし、ポリグリセリン脂肪酸エステルはポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを含まない)。
【請求項2】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ジグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1に記載の炒め調理用油脂組成物。
【請求項3】
前記多価アルコールの脂肪酸エステルが、多価アルコールのオレイン酸エステルである、請求項1又は2に記載の炒め調理用油脂組成物。
【請求項4】
前記脱糖レシチンが、植物由来であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の炒め調理用油脂組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の炒め調理用油脂組成物で炒める工程を経た炒め調理品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多価アルコールの脂肪酸エステルと脱糖レシチンを含有する炒め調理用油脂組成物、さらに同炒め調理用油脂組成物で調理した炒め調理品とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、炒め調理は、少量の油脂組成物を用いて、食品素材を炒めて調理される。炒め調理は高温で調理されるために、通常の油脂を用いると、食品素材中の水による油ハネの発生や、食品素材が付着する問題が発生した。特に、食品素材が澱粉系であると最終製品に影響を及ぼし、付着によりブロック状の形状がみられ、食品素材と調理器具の付着による焦げの発生の原因になった。これらを改善するために、多価アルコールの脂肪酸エステルを配合した炒め調理用油脂組成物が提案されてきた。例えば、特許文献1には、ジグリセリンモノオレイン酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する炒め物用油脂組成物の例があり、特許文献2には、レシチンとポリグリセリン脂肪酸エステル等を含
有する離型性および焦付き防止の調理用油脂の例が提案されている。これらの改善効果は、多価アルコールの脂肪酸エステルの量と比例するが、多価アルコールの脂肪酸エステルは風味が悪く、炒め調理品に多価アルコールの脂肪酸エステルの風味が感じられるものとなっていた。
【文献】特開2007-105035号公報
【文献】特開平8-89186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、炒め調理時の食品素材の付着や油ハネを抑えるとともに、多価アルコールの脂肪酸エステル由来の風味を低減した炒め調理用油脂組成物を提供することである。また、ほぐれ性、風味が向上した炒め調理品、及び炒め調理品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、多価アルコールの脂肪酸エステルとともに、特定のレシチンを含有させることにより、炒め調理時の食品素材の付着や油ハネを抑えられることを見出し、さらに、得られた炒め調理品が、良好なほぐれ性を有するとともに、多価アルコールの脂肪酸エステル由来の風味が抑えられ、炒め調理品の風味が向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0005】
すなわち、本発明は、下記の[1]~[7]を提供する。
[1] 炒め調理用油脂組成物中に、多価アルコールの脂肪酸エステルを0.2~12質量%、レシチンを0.01~7質量%含有し、前記多価アルコールの脂肪酸エステルが、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルから選ばれる一種以上であり、含有する多価アルコールの脂肪酸エステルの平均エステル化率が15~55%であり、前記レシチンが、脱糖レシチンである、炒め調理用油脂組成物。
[2] 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ジグリセリン脂肪酸エステルである、[1]の炒め調理用油脂組成物。
[3] 前記多価アルコールの脂肪酸エステルが、多価アルコールのオレイン酸エステルである、[1]又は[2]の炒め調理用油脂組成物。
[4] 前記脱糖レシチンが、植物由来である、 [1]~[3]のいずれか1つの炒め調理用油脂組成物。
[5] 炒め調理が、澱粉系食材の炒め調理である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の炒め調理用油脂組成物。
[6] [1]~[5]のいずれか1つの炒め調理用油脂組成物で炒めた炒め調理品。
[7] [1]~[5]のいずれか1つの炒め調理用油脂組成物で炒める工程を経た炒め調理品の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、調理時に食品素材の付着や油ハネが抑えられ、また、炒め調理品が良好なほぐれ性を有し、焦げ付きが抑えられ、多価アルコールの脂肪酸エステル由来の風味が抑えられた炒め調理品が得られる、炒め調理用油脂組成物と該炒め調理用油脂組成物を使用した炒め料理品の製造方法を提供することができる。また、良好なほぐれ性を有し、焦げ付きが抑えられ、多価アルコールの脂肪酸エステル由来の風味が抑えられた炒め調理品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に例示説明する。なお、本発明の実施の形態において、A(数値)~B(数値)は、A以上B以下を意味する。
【0008】
[炒め調理用油脂組成物]
<油脂>
本発明の炒め調理用油脂組成物は、主成分として通常の食用油脂を用いることができる。例えば、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、コーン油、米油、ゴマ油、オリーブ油、えごま油、亜麻仁油、落花生油、ぶどう種子油、ヤシ油、パーム核油、パーム油等の植物油脂、乳脂、ラード等の動物油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成油を単独で、あるいは混合して用いることができる。また、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームミッドフラクション、パームステアリン等の植物油の分別油や、油脂あるいは油脂と脂肪酸低級アルコールエステルを原料にしたエステル交換油等を用いることができる。なお、エステル交換油は、エステル交換後に分別を行ったものも用いることができる。
【0009】
本発明の炒め調理用油脂組成物は、油脂を80.00~99.79質量%含有することが好ましく、82.00~99.79質量%がより好ましく、88~99.00質量%含有することがさらに好ましく、95.00~98.00質量%含有することが最も好ましい。
【0010】
<多価アルコールの脂肪酸エステル>
本発明の炒め調理用油脂組成物で用いる多価アルコールの脂肪酸エステルは、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルから選ばれる多価アルコールの脂肪酸エステルを用いることができる。それらの多価アルコールの脂肪酸エステルは、単独でも用いることができるが、複数の多価アルコールの脂肪酸エステルを組合せて用いることもできる。なお、多価アルコールの脂肪酸エステルとして、炒め調理用油脂組成物が液状になりやすいことから、構成脂肪酸の50質量%以上が炭素数16~22の不飽和脂肪酸であることが好ましく、不飽和脂肪酸がオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸であることがより好ましい。酸化安定性の点から、オレイン酸、エルカ酸がより好ましい。好ましい多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、ジグリセリン脂肪酸エステルであり、より好ましくはジグリセリンのオレイン酸エステルである。
本発明の炒め調理用油脂組成物で用いる多価アルコールの脂肪酸エステルは、平均エステル化率が15~55%である。平均エステル化率が15%以上であれば、炒め調理用油脂組成物中に多価アルコールの脂肪酸エステルが溶解あるいは分散することができる。また、平均エステル化率が55%以下であれば、調理時に食品素材の付着や油ハネが抑えられ、また、炒め調理品が良好なほぐれ性を有し、焦げ付きを抑えることができる。多価アルコールの脂肪酸エステルの平均エステル化率は20~50%であることがより好ましく、20~40%であることがさらに好ましい。エステル化率は、多価アルコールの水酸基がどれくらいエステル化されているかで示され、(多価アルコールの脂肪酸エステルのエステル結合数)/(多価アルコールの脂肪酸エステルを構成する多価アルコールの水酸基数)を100分率で表したものである。例えば、ジグリセリンモノオレイン酸エステルのエステル化率は25%である。本発明において多価アルコールの脂肪酸エステルは、複数の構造を有する多価アルコールの脂肪酸エステルの混合物であることを許容するので、個々の成分のエステル化率を加重平均した平均エステル化率を用いる。平均エステル化率の算出は、例えば、エステル価(日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.3.3-2013)とヒドロキシル価(日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.3.6.2-2013)から算出することができる。
平均エステル化率=エステル価/(エステル価+ヒドロキシル価) ×100
【0011】
本発明の炒め調理用油脂組成物は、多価アルコールの脂肪酸エステルを炒め調理用油脂組成物中に0.2~12質量%含有する。この範囲であれば、調理時に食品素材の付着や油ハネが抑えられ、また、炒め調理品が良好なほぐれ性を有し、焦げ付きを抑えることができる。また、多価アルコールの脂肪酸エステルが12質量%を超えて含有すると、脱糖レシチンによる風味抑制効果が十分得られない。多価アルコールの脂肪酸エステルは、炒め調理用油脂組成物中に、0.5~11質量%含有することが好ましく、1~10質量%含有することがより好ましく、3~10質量%含有することがさらに好ましい。
【0012】
<レシチン>
本発明の炒め調理用油脂組成物は、レシチンとして脱糖レシチンを炒め調理用油脂組成物中に0.01~7質量%含有する。この範囲であれば、多価アルコールの脂肪酸エステル由来の風味が抑えられ風味が向上するとともに、食品素材の付着や油ハネを抑えることができる。なお、炒め調理用油脂組成物中の脱糖レシチンは、好ましくは、0.05~4.5質量%含有することが好ましく、0.1~3.5質量%含有することがより好ましい。
なお、レシチンとして販売されているものには、中性油等を含むものもあり、本発明においてレシチン量は、アセトン不溶分(食品添加物公定法分析試験法で求められるアセトン不溶物換算値)として算出されたものである。アセトン不溶分は、例えば以下のように算出する。レシチン約2gの質量aを精密に量り、これを50mL共栓遠心管に入れ、石油エーテル3mLを加えて溶かし、アセトン15mLを加えてよくかき混ぜた後、氷水中に15分間放置する。これに0~5℃のアセトンを加えて50mLとし、よくかき混ぜ、氷水中に15分間放置した後、遠心分離(約3000回転/分、10分間)し、上層液をフラスコに採る。さらに共栓遠心管の沈殿物に0~5℃のアセトンを加えて50mLとし、氷水中で冷却しながらよくかき混ぜた後、同様に遠心分離する。この上層液を先のフラスコに合わせ、水浴上で蒸留し、残留物を105℃で1時間乾燥し、その質量bを精密に量る。

アセトン不溶物(質量%)=(1-b/a)×100
【0013】
本発明で用いるレシチンは、卵黄レシチンあるいは植物由来のレシチンを原料として、脱糖処理したものを用いることができる。好ましくは植物由来のレシチンを用いることであるが、植物由来のレシチンの原料としては、大豆、菜種、コーン、ヒマワリ、サフラワー、ゴマ、アマニなどの油糧種子を圧搾および/または抽出して得られる原油、該原油に水または水蒸気を吹き込んで沈澱物としで得られる油滓、分離した該油滓を乾燥して得られる粗レシチン、該粗レシチンから溶剤分別等の公知の方法で中性油脂分を除去した混合レシチン、さらには該混合レシチンから特定のリン脂質を濃縮・分画した濃縮あるいは高純度レシチン等が利用できる。かかる原料から脱糖レシチンを得るには、例えば、油滓の場合は、水分を含む油滓を必要に応じて濾過し夾雑物を除き、乾燥して粗レシチンとする。この粗レシチンは、通常トリグリセリドを主成分とする中性油脂や、前記した各種リン脂質、各種糖質成分などを含んでいる。次に上記の粗レシチンを例えばアセトンで処理し、アセトン不溶分として油脂(中性油)等を含まない混合レシチンを得る。該混合レシチンを含水(約30%以上が好ましい)エタノールで分別し、含水エタノール可溶区分(リン脂質成分をほとんど含まない糖質成分)を除去することで脱糖レシチンを得る。なお糖質成分はガラクトース、シュクロース、スタキオース、ラフィノース、マンノース、アラビノースなどの各種糖質が遊離および/またはホスファチドやその他の脂質成分と結合した状態あるいはグリコシドやステロールグリコシドとして存在する成分の混合物である。なお、前記のようにして含水アルコールで分別した際の含水アルコール不溶分、即ち大部分の糖質成分を除いたレシチンから、さらに無水アルコールにより分別して糖質成分を除去することもできる。また原油から本発明の成分を得るには、シリカゲルなどの吸着剤を用いてカラム処理などによって糖質成分を吸着除去することもできるが、無水アルコールを用いた脱糖レシチンがより好ましい。
【0014】
本発明の炊飯用油脂組成物は、上記成分以外にも、炒め調理用油脂組成物に一般的に配合される原材料を使用することができる。具体的には、例えば、pH調整剤、調味剤、着色料、香料、酸化防止剤、糖類、糖アルコール類、安定剤、乳化剤等を使用することができる。これらの成分の量は、本発明の効果を損なわない限り任意の量とすることができるが、例えば、炊飯用油脂組成物中に10質量%以下含有させることができ、好ましくは0~3質量%、より好ましくは0~1質量%含有させることができる。
【0015】
[炒め調理品およびその製造方法]
本発明の炒め調理品は、前述の炒め調理用油脂組成物を用いて、炒め調理したものである。前述の炒め調理用油脂組成物を用いることで、炒め調理時の食品素材の付着や油ハネを抑えることができ、ほぐれ性が良好で、焦げが少なく、多価アルコールの脂肪酸由来の風味が抑えられた炒め調理品となる。なお、米、小麦、イモ等の澱粉系食材を用いた炒飯、餃子、焼きそば、スパゲッティ等の炒め調理品は、本発明の効果が高く好ましい。
【実施例
【0016】
次に、実施例、比較例及び参考例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。また。以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
【0017】
[炒め調理用油脂組成物]
菜種サラダ油(日清オイリオグループ株式会社製)、ポエムDO-100V(理研ビタミン株式会社製:蒸留ジグリセリンモノオレイン酸エステル、平均エステル化率:約25%)、混合レシチン(日清オイリオグループ株式会社製:アセトン不溶分:約60%)、脱糖レシチン(日清オイリオグループ株式会社製、アセトン不溶分:約40%)を表1の配合にてブレンドし、炒め調理用油脂組成物(配合1~6)を得た。
【0018】
[焼きそば]
フライパン(24cm ステンレス製)に炒め調理用油脂組成物3gを入れ、150℃まで加熱した。150℃で、そば麺135gを入れ、炒めた(加熱しながら混ぜた)。その後、皿に移して1時間放冷した。調理時、炒め調理直後、調理後1時間後の評価結果を表2に示した。
【0019】
[白飯の炒め物]
フライパン(24cm ステンレス製)に炒め調理用油脂組成物3gを入れ、150℃まで加熱した。150℃で炊き上げた白飯200gを入れ、炒めた(加熱しながら混ぜた)。その後、皿に移して1時間放冷した。調理時、炒め調理直後、調理後1時間後の評価結果を表3に示した。
【0020】
【表1】
※表中の数値は、油脂組成物中の質量%を示す。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
<炒め時のほぐれ性>
◎:食材の付着はほとんどなく、焦付きもない。
○:食材の付着はあまりなく、焦付きもほとんどない。
△:食材の付着があり、若干の焦付きもみられる。
×:食材の付着があり、焦付きもある。
<官能評価>
炒め調理品について、5名の専門パネラーによる官能評価を行い、合議で評価を行った。官能評価の観点は以下のとおりである。
[ほぐれ性・食感]
◎:ご飯あるいは麺がそれぞれくっつかず、ほぐれている
○:ご飯あるいは麺どうしがさほどくっつかず、ほぐれている
△:ご飯あるいは麺の塊がところどころにみとめられる
×:ご飯あるいは麺全体がねばついていて塊となり、ほぐれていない
[風味]
◎:ご飯あるいは麺本来の風味が残っており、異味・異臭を感じない
○:ご飯あるいは麺本来の風味が残っており、異味・異臭をさほど感じない
△:多価アルコールの脂肪酸エステル由来の風味を少し感じる
×:ご飯本来の風味がなく、多価アルコールの脂肪酸エステル由来の風味を感じる
【0023】
表2、3の結果から明らかであるように、配合4、5の炒め調理用油脂組成物は、ほぐれ性、焦付き、風味が改善された炒め調理品を得ることができる。