(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】基板及びチャンバ部品上への金属ケイ素化合物層の堆積
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230207BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20230207BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
H01L21/302 301
C23C16/455
C23C16/42
(21)【出願番号】P 2019562370
(86)(22)【出願日】2018-05-11
(86)【国際出願番号】 US2018032267
(87)【国際公開番号】W WO2018209200
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-05-10
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クルシュレシャータ, パラシャント クマール
(72)【発明者】
【氏名】ワン, チアルイ
(72)【発明者】
【氏名】リー, クァンドゥック ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ガドレ, ミリンド
(72)【発明者】
【氏名】ミン, シアオチュアン
(72)【発明者】
【氏名】コナーズ, ポール
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181687(JP,A)
【文献】特開2009-024252(JP,A)
【文献】特表2010-536176(JP,A)
【文献】特開2009-060083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23C 16/455
C23C 16/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にハードマスクを形成する方法であって、
ターゲット層を有する基板を処理チャンバ内に位置づけすることと、
金属ケイ素化合物を含むシード層
であって、シリコンの濃度が金属の濃度よりも高いシード層を前記ターゲット層上に形成することと、
タングステン系バルク層を前記シード層上に堆積させることと
を含み、
前記金属ケイ素化合物
を含む前記シード層と前記タングステン系バルク層とにより前記ハードマスクが形成される、方法。
【請求項2】
前記金属ケイ素化合物を含むシード層を前記ターゲット層上に形成することは、
(A)第1の時間間隔の間に、金属六フッ化物をガスアプリケータから前記処理チャンバの中へ流入させることと、
(B)第2の時間間隔の間に、前記金属六フッ化物を前記処理チャンバから除去することと、
(C)第3の時間間隔の間に、シランを前記ガスアプリケータから前記処理チャンバの中へ流入させることと、
(D)第4の時間間隔の間に、前記シランを前記処理チャンバから除去することと、
(E)(A)、(B)、(C)及び(D)を繰り返すことと
を含み、前記第1、第2、第3及び第4の時間間隔が1つの時間サイクルを構成している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シード層を形成する前に、前記ターゲット層をシランに暴露すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ハードマスクにパターンを形成することと、
パターン形成された前記ハードマスクを通して前記ターゲット層をエッチングすることと、
前記ハードマスクを除去することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲット層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、アモルファスシリコン及びポリシリコンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記タングステン系バルク層は、タングステン、炭化タングステン、窒化タングステン、炭窒化タングステン、タングステンホウ素炭化物及びタングステンホウ素窒化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シード層の厚さが
、1nm
と100nmの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記タングステン系バルク層の厚さが
、10nm
と5000nmの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板上に層を形成する方法であって、
ターゲット層を有する基板を処理チャンバ内に位置づけすることと、
アルゴン又はヘリウムを含む不活性ガスをガスアプリケータから前記処理チャンバの中へ流入させることと、
プラズマを前記処理チャンバ内で活性化させることと、
前記プラズマの存在下で金属ケイ素化合物を含むシード層
であって、シリコンの濃度が金属の濃度よりも高いシード層を前記ターゲット層上に形成することと
を含む方法。
【請求項10】
前記シード層を形成することが、
(A)第1の時間間隔の間に、アルゴンを混合した金属六フッ化物をガスアプリケータから前記処理チャンバの中へ流入させることと、
(B)第2の時間間隔の間に、前記アルゴンを混合した金属六フッ化物を前記処理チャンバから除去することと、
(C)第3の時間間隔の間に、ヘリウムを混合したシランを前記ガスアプリケータから前記処理チャンバの中へ流入させることと、
(D)第4の時間間隔の間に、前記ヘリウムを混合したシランを前記処理チャンバから除去することと、
(E)(A)、(B)、(C)及び(D)を繰り返すことと
を含み、前記第1、第2、第3及び第4の時間間隔が1つの時間サイクルを構成している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シード層は、ケイ化タングステン、ケイ化チタン、又はケイ化モリブデンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記シード層を形成することが更に、
シリコンリッチシード層を形成すること
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1、第2、第3、及び第4の時間間隔がそれぞれ
、0.1秒
と100秒の間である、請求項
2に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の時間間隔及び前記第3の時間間隔が、繰り返しごとに増加する、請求項
2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は概して、集積回路の製造に関するものである。より具体的には、本書に記載の実施形態は、基板及びチャンバ部品上に金属ケイ素化合物層を堆積させるための技法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
[0003]ハードマスクは、フォトリソグラフィにおいてパターンを転写するのに使用される。基板上にハードマスクを形成する方法は、当技術分野において周知のものである。高いデバイス密度と低いコストを達成するために次世代デバイスに垂直積層スキームを用いることを可能にする、高アスペクト比の非崩壊性選択エッチング構造を提供しうるハードマスクが引き続き必要とされる。タングステン系ハードマスクは、高い弾性係数、高い密度、優れたエッチング選択性、及び剥離のしやすさのために、この必要を満たすことが見込まれる。例えば、アモルファスタングステンのハードマスクは、従来のアモルファス炭素系膜と比べて2倍を上回る高さのエッチング選択性と機械的安定性を示す。しかしながら、厚いタングステン系層からのフッ素がしばしば基板及びバルク膜の界面中に急速に熱拡散し、従来の厚い層の堆積は実行不可能となる。更に、タングステン系膜は、一般に基板上に堆積される酸化ケイ素、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、及びポリシリコンでできた膜に対する接着性が弱い。このため、タングステン系膜の堆積は、現在、高アスペクト比の用途における間隙充填として通常使用される薄い層に限られている。
【0003】
[0004]更に、堆積後にフッ素系洗浄剤のプラズマを使用して部品上にタングステン膜が堆積しているチャンバを洗浄すると、フッ素イオンがチャンバのアルミニウム、例えばヒータの製造に使用される窒化アルミニウム(AlN)と反応する。この反応により、フッ化アルミニウム(AlFx)が形成され、プロセスドリフト、及び基板上の粒子生成の原因となる。基板上のAlFxにより、欠陥のある基板となり、シャワーヘッド又はチャンバの壁への昇華に起因して基板の洗浄効果が低減する。このため、AlFx汚染及びフレーキングは概して望ましくないものである。
【0004】
[0005]したがって、厚いタングステン系ハードマスクを基板上に形成し、AlFxによるチャンバ部品の汚染を防止するための、改善された方法及び装置が必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0006]本開示の実施形態は概して、金属ケイ素化合物層(例えば、ケイ化タングステン)を基板及びチャンバ部品上に堆積させるための方法及び装置に関するものである。一実施形態では、金属ケイ素化合物層を基板上に堆積させることによってハードマスクを形成する方法が開示される。本方法は、ターゲット層を有する基板を処理チャンバ内に位置づけすることと、金属ケイ素化合物のシード層をターゲット層上に形成することと、タングステン系バルク層をシード層上に堆積させることとを含み、金属ケイ素化合物層とタングステン系バルク層とによりハードマスクが形成される。
【0006】
[0007]別の実施形態では、金属ケイ素化合物層をチャンバ部品上に堆積させることによってプラズマ処理チャンバ部品を調整する方法が開示される。本方法は、不活性ガスをガスアプリケータからプラズマ処理チャンバの中へ流入させることと、プラズマ処理チャンバ内で基板支持体をプラズマに暴露することと、金属ケイ素化合物のシーズニング層(seasoning layer)を基板支持体のアルミニウム系表面上に形成することとを含む。不活性ガスは、アルゴン又はヘリウムを含む。
【0007】
[0008]更に別の実施形態では、処理チャンバが開示される。処理チャンバは、内部に画定されたチャンバ領域を有するチャンバ本体と、チャンバ領域内に配置された基板支持体と、チャンバ本体に連結されたリッドと、リッドを通してチャンバ領域に流体接続されたガスアプリケータとを含む。ガスアプリケータは、管状本体と、管状本体を通して形成され、チャンバ領域に流体連結された通路と、第1の交差孔と、管状本体を通して形成された第2の交差孔とを含む。第1の交差孔は、通路の中へ第1のガスを送るように構成されている。第2の交差孔は、管状本体の中心線に対して第1の交差孔の下に軸方向に間隔を置いて配置され、通路の中へ第2のガスを送るように構成されている。
【0008】
[0009]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本書に記載の実施形態を実施するのに使用されうる、プラズマ化学気相堆積(PECVD)チャンバを示す簡易化した正面断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る、
図1のチャンバのガスアプリケータを示す部分断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る、
図1のチャンバに置かれた基板上にハードマスクを形成するための方法のブロック図である。
【
図4A】本開示の一実施形態に係る、ハードマスクを使用して基板上にターゲット層をパターン形成する段階を示す図である。
【
図4B】本開示の一実施形態に係る、ハードマスクを使用して基板上にターゲット層をパターン形成する段階を示す図である。
【
図4C】本開示の一実施形態に係る、ハードマスクを使用して基板上にターゲット層をパターン形成する段階を示す図である。
【
図4D】本開示の一実施形態に係る、ハードマスクを使用して基板上にターゲット層をパターン形成する段階を示す図である。
【
図4E】本開示の一実施形態に係る、ハードマスクを使用して基板上にターゲット層をパターン形成する段階を示す図である。
【
図4F】本開示の一実施形態に係る、ハードマスクを使用して基板上にターゲット層をパターン形成する段階を示す図である。
【
図4G】本開示の一実施形態に係る、ハードマスクを使用して基板上にターゲット層をパターン形成する段階を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係るプラズマ処理チャンバ部品を調整するための方法のブロック図である。
【
図6】A~Bは、本開示の一実施形態に係るプラズマ処理チャンバ部品を調整する2つの段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0016]理解を容易にするため、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうると考えられる。
【0011】
[0017]本開示の実施形態は概して、基板及びチャンバ部品上に金属ケイ素化合物(金属シリサイド)層を堆積させるための方法及び装置に関するものである。
【0012】
[0018]本書に記載の実施形態を、任意の好適な薄膜堆積システムを使用して実行することができるPECVD処理を参照しながら、以下に説明する。好適なシステムの例には、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているDXZ(登録商標)処理チャンバを使用しうるCENTURA(登録商標)システム、PRODUCER(登録商標)システム、PRODUCER(登録商標)GTシステム、PRODUCER(登録商標)XP PrecisionTMシステム及びPRODUCER(登録商標)SETMシステムが含まれる。PECVD処理を実行可能な他のツールも、本書に記載の実施実態から利点を得るように適合させることができる。本書に記載の装置は例示的なものであり、本書に記載の実施形態の範囲を限定するものとして理解又は解釈するべきではない。
【0013】
[0019]原子層堆積(ALD)を通して堆積させたシード層(例:TiN、WSi、WB、WN膜)は、酸化ケイ素及び窒化ケイ素に対して良好な接着性を示したが、厚いタングステン系膜を基板に接着させるのには十分ではない。本書に記載の実施形態により、基板に良く接着される厚いタングステン系膜の形成が可能になる。本書に記載の方法及び装置は、従来のALD膜に比べて、単位厚さ当りにより多くのフッ化物トラップをもたらし、基板へのタングステン系膜の接着性を高める薄いシード層の堆積を可能にする。本方法は、膜の粒径及び粗さを減らし、膜の接着性を高めるために、交互のガス流パルスを使用する。一又は複数のガスのガス流(例:H2、He、B2H6、炭化水素、N2、N2O、NO2、N2O4、NH3、NF3、SiH4、Si2H6、CH4、C2H2、C3H6、C4H8、C5H10、O2、O3、H2O、Ar、WF6、WCl6、W(CO)6、及びタングステンの有機金属化合物)を交互にすることができる。各ガス流パルスの時間間隔は、例えば、0.1~100秒等の範囲で同じであってよい又は異なっていてよい。各ガス流パルスの期間は、幾つかのパルスサイクルにわたって徐々に短くすることができる、または幾つかのパルスサイクルにわたって徐々に長くすることができる。堆積処理中の種々のガスの交互のガス流パルスにより結晶化が中断され、フッ素を閉じ込める欠陥が発生し、等方性成長が可能になる。粒径の縮小、並びにインターフェースでの及び堆積した膜内のより良好な化学結合によって、堆積した膜の形態及び接着性が改善される。
【0014】
[0020]本書に開示の方法及び装置において、チャンバ部品上のシーズニング層、及び基板上にタングステン系バルク層を堆積させるためのシード層の例としてケイ化タングステン層の形成を説明した。しかしながら、本書に開示の方法及び装置を、例えば非限定的にケイ化モリブデン、ケイ化チタン等の他の金属ケイ素化合物層の形成にも等しく適用可能であることに留意されたい。
【0015】
[0021]
図1は、本開示の技術が実施されうる、PECVDチャンバ100の簡易化された正面断面図の一例を示すものである。チャンバ100は概して、チャンバリッド104を支持するチャンバ本体102を含む。チャンバリッド104は、ヒンジ(図示せず)によってチャンバ本体102に取り付けられる。チャンバ本体102は、側壁112と、底壁116とを含み、側壁112と底壁116はチャンバリッド104とともに内部チャンバ領域120を限定する。チャンバリッド104は、ガス供給システム108と連動して、チャンバ領域120の中へ反応物質及び/又は洗浄ガスを送る。円周ポンプチャネル125が側壁112に形成され、ポンピングシステム164に連結される。ポンピングシステム164は、チャンバ領域120からガスを排気し、チャンバ領域120内の圧力を制御するように構成される。基板支持体128は、処理チャンバ120に配置される。基板支持体128は、底壁116を貫通するように形成された通路122を通るステム126を有する。ロッド130は、底壁116を貫通するように形成された別の通路124を通る基板リフトピン161を作動させるように構成される。ロッド130は、アクチュエータ107に連結される。
【0016】
[0022]基板支持体128はチャンバ領域120に配置され、処理中に基板121を支持し、保持するように構成される。駆動システム103は、基板支持体128に連結され、チャンバ領域120内で基板支持体128を降ろす又は引き上げる。駆動システム103は、基板支持体128に連結され、チャンバ領域120内で基板支持体128を降ろす又は引き上げる。
【0017】
[0023]ある実施形態では、基板支持体128は静電チャックである。基板支持体128は、電圧が印加され、その上にある基板121を静電気で固定する、少なくとも1つのチャック電極123を含む。電極123は、低域フィルタ177を介して電極123に接続された直流(DC)電源176によって電力供給される。基板支持体128の電極123は、モノポーラ、バイポーラ、三極、相互嵌合型、帯状等であってよい。別の実施形態においては、基板支持体128は、静電チャックを含まない。
【0018】
[0024]ある実施形態では、基板支持体128は、その上に位置づけされた基板121を所望の処理温度に加熱する、抵抗要素等の一又は複数の加熱要素605(
図6A~6Bに示す)を含む。代替的には、基板支持体128が、ランプアセンブリなどの外部の加熱要素によって加熱される。加熱要素605は、基板支持体128が静電チャックとして構成されている実施形態においても使用可能である。
【0019】
[0025]遠隔プラズマ源162は、ガス供給システム108のガスアプリケータ140を通してチャンバ領域120に流体接続され、処理中にイオン化されたラジカルを発生させるように操作される。イオン化されたラジカルは遠隔プラズマ源162からガス入口通路167を通ってガス供給システム108の中へ流入する。遠隔プラズマ源162は、洗浄ガス等のガスを遠隔プラズマ源162の中へ供給するガス源169に接続される。
【0020】
[0026]少なくとも2つの別々のガス源163、168が、ガス供給システム108に連結される。ガス源163、168は、ガスアプリケータ140を通してチャンバ領域120の中へ送られうる種々のガスを提供する。
【0021】
[0027]RF電源165は、インピーダンス整合回路173を通してリッド104の下でシャワーヘッドアセンブリ142に連結される。シャワーヘッドアセンブリ142は、面板146との中間に配置された遮蔽板144を有する環状のベースプレート148を含む。シャワーヘッドアセンブリ142の面板146、及びコンデンサ178等の高域フィルタを介して接地されている電極123により容量性プラズマ発生器が形成される。RF電源165は、シャワーヘッドアセンブリ142の面板146と基板支持体128との間で容量性プラズマの発生を促すために、シャワーヘッドアセンブリ142に高周波エネルギーを供給する。したがって、電極123が、RF電源165の接地経路とDC電源176からの電気バイアスの両方を提供することで、基板121を基板支持体128に静電クランプ留めすることが可能になる。
【0022】
[0028]RF電源165は、高周波(HFRF)電源、例えば13.56MHzの高周波発振器、及び/又は低周波(LFRF)電源、例えば300kHzの高周波発振器を含む。LFRF電源は、低周波の発振及び固定整合要素の両方を提供する。HFRF電源は、固定整合とともに使用され、負荷に送られた電力を調整し、進行電力及び反射電力についての懸念を取り除くように設計される。
【0023】
[0029]腐食性の処理環境から側壁112を保護するために、チャンバ領域120にセラミック又は他の好適な材料でできたチャンバライナ127が配置される。チャンバライナ127は、側壁112に形成されたリッジ129によって支持される。複数の排気口131が、チャンバライナ127に形成される。排気口131は、チャンバ領域120をポンプチャネル125に流体接続させるように構成される。
【0024】
[0030]
図2は、反応物質と洗浄ガスをチャンバ領域120の中へ送るためにチャンバリッド104を貫通するように配置されたガス供給システム108を示す部分断面図である。ガス供給システム108は、リッド210と、出力マニホルド220と、アイソレータ230と、ガスアプリケータ140とを含む。
【0025】
[0031]出力マニホルド220とアイソレータ230は積層され、それを貫通する通路239を有する。ガスアプリケータ140は、通路239内でガスアプリケータ140の縦軸が通路239の縦軸と同一線上になるように配置される。通路239の上端は、ガス入口通路167に接続される。通路239の下端は、
図1に示すように、チャンバ領域120に接続され、シャワーヘッドアセンブリ142に面している。出力マニホルド220は、上面221及び底面229を有する。上面221は、リッド210に連結される。底面229は、アイソレータ230の上面231に連結される。出力マニホルド220は、ガス源163、168が分離されるように連結された第1の導管222と第2の導管226とを有する。リッド210は、上端において出力マニホルド220とガスアプリケータ140とを覆っている。リッド210が通路239の一部を覆うことにより、ガスアプリケータ140が通路239内に保持されうる。
【0026】
[0032]アイソレータ230は、上面231と底面237を有する。上面231は、出力マニホルド220の底面229に連結される。底面237は、ベースプレート148に連結される。アイソレータ230は、通路239の一部を画定している内壁235を有する。内壁235は、ガスアプリケータ140を通路239内に収容するように構成される。アイソレータ230は、ガスアプリケータ140に熱及び電気分離を提供するように構成される。
【0027】
[0033]ガスアプリケータ140は、通路239に配置される。ガスアプリケータ140は、チャンバ領域120の中へガスを送るように構成された中央通路255を有する。一実施形態では、ガスアプリケータ140は円筒形であるが、他の実施形態では、ガスアプリケータ140は、他の異なる断面形状を有しうる。ガスアプリケータ140がベースプレート148を貫通していることで、中央通路255をチャンバ領域120に流体接続させることが可能になる。ガスアプリケータ140は、外壁240と内壁250とを有する。内壁250と外壁240は、ガスアプリケータ140の上面241で交わる。内壁250と外壁240はまた、ガスアプリケータ140の底面249でも交わる。内壁250は、ガスアプリケータ140を貫通する中央通路255を限定している。内壁250は、中心部分246、第1のテーパ部分247、及び第2のテーパ部分248を有する。内壁250は、第1のテーパ部分247を通して中央通路255の上端においてガス入口マニホルド167に接続する。内壁250は、第2のテーパ部分248を通して中央通路255の下端においてベースプレート148に接続する。
【0028】
[0034]外壁240は、出力マニホルド220を貫通している通路239の一部を画定し、出力マニホルド220の下にアイソレータ230が配置される。外壁240は、第1の部分242、第2の部分243、第3の部分245、及び第4の部分244を有する。第1の部分242は、アイソレータ230の内壁235を含む。第2の部分243は、出力マニホルド220に形成され、第1の部分242に接続される。第3の部分245は、第2の部分243に接続される。第4の部分244は、第3の部分245に接続される。第3の部分245は外側に延び、第1の部分242の直径よりも大きい直径を有する。第2の部分243と第4の部分244は、第1の部分242よりも小さい直径を有する。第2の部分243と第4の部分244は、出力マニホルド220の段付き孔とインターフェースで接続する。段付き孔は、段225によって第2の内壁227に接続された第1の内壁223を含む。段225には、第3の部分245によって輪郭形成されたフランジ290が着座している。シール280、例えば非限定的にOリングが、フランジ290周囲のガス漏れを防止するために、ガスアプリケータ140と出力マニホルド220との間を密閉する。したがって、下部プレナム228は、フランジ290の下の、第2の部分243と出力マニホルド220の内壁227との間に形成される。同様に、上部プレナム224は、フランジ290の上の、第4の部分244と出力マニホルド220の内壁223との間に形成される。上部プレナム224は、導管222によってガス源163に流体接続される。下部プレナム228は、導管226によってガス源168に流体接続される。
【0029】
[0035]ガスアプリケータ140は、上部プレナム224を中央通路255に流体接続させるように構成された第1の交差孔260を有する。ガスアプリケータ140はオプションとして、任意の好適な数の第1の交差孔260を有しうる。第1の交差孔260は、第1の交差孔260により中央通路255の中へ流体が効率的に送られうるように、円形、四角形又は他の好適な形状寸法の断面形状を有しうる。更に、第1の交差孔260は、径方向に内側及び下側の角度で(底面249の方へ)形成されうる。第1の交差孔260の内側及び下側の角度により、第1の交差孔260を出て、チャンバ領域120へ向かう方向にRPS162から中央通路255の中へ流れる流体に勢いが加わる。したがって、第1の交差孔260の角度により、遠隔プラズマ源162に接続されたガス入口通路167の中へのガスの逆流が防止され、望ましくない堆積及び汚染の可能性が低減する。ガスアプリケータ140は、第1の交差孔260の下で下部プレナム228を中央通路255に流体接続させるように構成された第2の交差孔270を有する。ガスアプリケータ140は、オプションとして、任意の好適な数の第2の交差孔270を有しうる。第2の交差孔270は、第2の交差孔270により中央通路255の中へ流体が送られうるように、円形、四角形又は他の形状寸法の断面形状を有しうる。
【0030】
[0036]
図1を再び参照すると、動作中にベースプレート148を冷却するために、ガス供給システム108のベースプレート148に冷却チャネル147が連結される。冷却入口145は、水等の冷却剤流体を冷却チャネル147の中へ送る。冷却剤流体は、冷却剤出口149を通って冷却チャネル147を出ていく。
【0031】
[0037]
図1に示すように、PECVDシステム100は更に、遠隔プラズマ源162の動作を制御するシステムコントローラ175と、RF電源165と、DC電源176とを含む。システムコントローラ175はまた、ポンピングシステム164、駆動システム103、アクチュエータ107、及びガス源163、168及び169の動作も制御する。システムコントローラ175は、中央処理装置(CPU)、メモリ、及び補助回路を含む。CPUは、産業用設定で使用されうる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサでありうる。ソフトウェアルーチンを、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピー、若しくはハードディスクドライブ、又は他の形態のデジタルストレージなどのメモリに記憶させることができる。補助回路は従来、CPUに接続され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力システム、電源などを含みうる。
【0032】
[0038]ガスアプリケータ140を組み込んだチャンバ100を有利に使用して、金属ケイ素化合物層がチャンバ100のチャンバ領域120に形成される。一実施形態では、例えば非限定的に基板支持体128等のチャンバ100の部品上にケイ化タングステンのシーズニング層が形成される。動作中に、DC電源176によって基板支持体128内の電極123の通電がオンになる。基板121の温度を制御するために、基板支持体128内の加熱要素605(
図6A~6Bに示す)がオンにされる。アルゴン等の不活性ガスは、ガスアプリケータ140の導管222と中央通路255を通してチャンバ領域120の中へ供給される。代替的に又は付加的に、ガスアプリケータ140の導管222と中央通路255を通して、ヘリウム等の不活性ガスがチャンバ領域120の中へ供給されうる。不活性ガスは、ポンピングシステム164によって継続的にチャンバ領域120に供給され、チャンバ領域120から除去される。RF電源165の通電をオンにすることによってチャンバ領域120内にプラズマ(図示せず)が生成される。基板支持体128を含むチャンバ100の部品がプラズマに暴露される。
【0033】
[0039]一例では、所定の時間間隔の間に、六フッ化タングステンがガスアプリケータ140を通してチャンバ領域120の中へ流入される。その後、不活性パージガスをチャンバ領域120の中へ導入して、又は導入せずに、六フッ化タングステンがポンピングシステム164によってチャンバ領域120から除去される。次に、所定の時間間隔の間に、シランがガスアプリケータ140を通してチャンバ領域120の中へ流入される。その後、不活性パージガスをチャンバ領域120の中へ導入して、又は導入せずに、シランがポンピングシステム164によってチャンバ領域120から除去される。基板支持体128とチャンバの他の部品の上に均一なケイ化タングステンの層が堆積されるまで、一連の六フッ化タングステンとシランの導入及び除去が一回又はそれ以上の回数繰り返される。
【0034】
[0040]別の実施形態では、ケイ化タングステンのシード層は、基板支持体128上に配置された基板121上に形成される。基板121は、その上に配置されたターゲット層を有する。ターゲット層は、基板1212上に形成されている集積回路デバイスの一部を形成するために後にエッチングされる材料の層である。ある実施形態では、ターゲット層は、基板支持体128上に置かれる前にシランに暴露される。基板支持体128内の電極123は、DC電源176によって通電がオンになる。加熱要素605は、処理中に基板支持体128を加熱する。アルゴン等の不活性ガスが、ガスアプリケータ140の導管222と中央通路255を通してチャンバ領域120の中へ供給される。代替的に又は付加的に、ヘリウム等の不活性ガスが、ガスアプリケータ140の導管226と中央通路255を通してチャンバ領域120の中へ供給される。ポンピングシステム164によって、不活性ガスが継続的にチャンバ領域120の中へ供給され、チャンバ領域120から除去される。オプションとして、RF電源165の通電をオンにすることによってチャンバ領域120にプラズマ(図示せず)が生成される。その場合、ターゲット層を有する基板121がプラズマに暴露される。
【0035】
[0041]一例では、所定の時間間隔の間に、六フッ化タングステンがガスアプリケータ140を通してチャンバ領域120の中へ流入される。プラズマが使われる場合、六フッ化タングステンにアルゴンが混合される。その後、不活性パージガスを導入して、又は導入せずに、六フッ化タングステンとアルゴン(アルゴンが使用される場合)がポンピングシステム164によってチャンバ領域120から除去される。次に、別の所定の時間間隔の間に、シランがガスアプリケータ140を通してチャンバ領域120の中へ流入される。プラズマが使用される場合、シランにヘリウムが混合される。その後、不活性パージガスを導入して、又は導入せずに、ポンピングシステム164によってシランとヘリウム(ヘリウムが使用される場合)がチャンバ領域120から除去される。均一なケイ化タングステンの層がターゲット層の上にシード層として堆積されるまで、一連の六フッ化タングステンとシランの導入及び除去が一回又はそれ以上の回数繰り返される。プラズマにより、ケイ化タングステン層の形成が促進される。シード層は、シランからの高い割合(51~99%)のシリコンと、六フッ化タングステンからの低い割合(1~49%)のタングステンとを反応させることによって、シリコンの含有率が高くなる。次に、タングステン系バルク層をシード層上に堆積させて、ハードマスクが形成される。タングステン系バルク層は、オプションでホウ素、炭素、窒素及び/又はケイ素をドープすることができる。ハードマスクは、基板121上にパターンを現像するために使用される。
【0036】
[0042]
図3は、本開示の一実施形態に係る、基板上にハードマスクを形成する方法300のブロック図である。方法300は、ブロック310において、ターゲット層を有する基板を処理チャンバ内に位置付けすることによって開始される。ターゲット層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、ポリシリコン、又は後続のエッチング処理のターゲットとなる別の誘電体層であってよい。ある実施形態では、例えば非限定的に、チャンバ内に配置された静電チャック等の基板支持体上に基板が位置づけされる。他のある実施形態では、基板がプラズマ処理チャンバ内に位置づけされる。これらの実施形態では、アルゴン又はヘリウムを含む不活性ガスが、ガスアプリケータを通してプラズマ処理チャンバのチャンバ領域の中へ流入される。その後、処理チャンバ内でプラズマが励起される。
図4Aに示すように、ターゲット層410を有する基板400が処理チャンバ、例えば上述した処理チャンバ100の内部に置かれる。
【0037】
[0043]ブロック320において、ターゲット層上にシード層が形成される。シード層は、例えば非限定的に、ケイ化タングステン、ケイ化チタン、又はケイ化モリブデン等の金属ケイ素化合物を含む。本開示において、ケイ化タングステンは一例として使用される。ある実施形態では、シード層が形成される前に、ターゲット層がシランに暴露される。更に、ある実施形態では、プラズマの存在下でケイ化タングステンを含むシード層がターゲット層上に形成される。ケイ化タングステン層の形成には、幾つかの工程が必要となる。第1の工程では、第1の時間間隔の間に、六フッ化タングステンがガスアプリケータから処理チャンバのチャンバ領域の中へ流入される。プラズマが使用される実施形態では、六フッ化タングステンにアルゴンが混合される。第2の工程では、第2の時間間隔の間に、不活性パージガスを導入して又は導入せずに、六フッ化タングステンとアルゴン(アルゴンが使用される場合)が処理チャンバから除去される。第3の工程では、第3の時間間隔の間に、シランがガスアプリケータから処理チャンバのチャンバ領域の中へ流入される。プラズマが使用される実施形態では、シランにヘリウムが混合される。第4の工程では、第4の時間間隔の間に、不活性パージガスを導入して又は導入せずに、次にシランとヘリウム(ヘリウムが使用される場合)が処理チャンバから除去される。
【0038】
[0044]第1、第2、第3及び第4の時間間隔は、約0.1秒と約100秒の間の期間を有しうる。第1、第2、第3及び第4の時間間隔を組み合わせたものが時間サイクルとして定義される。ある実施形態では、第1の時間間隔と第3の時間間隔は各時間サイクルで期間が同じである、異なる、又は変化する。基板のターゲット層上に所望の厚さのケイ化タングステンの層が堆積されるまで、第1、第2、第3、及び第4の工程を含む時間サイクルが複数回繰り返される。
図4Bに、どのようにケイ化タングステンを含むシード層420がターゲット層410上に形成されるかを示す。ケイ化タングステンを含むシード層の厚さは、約1nmと約100nmの間である。ある実施形態では、形成された金属ケイ素化合物のシード層のケイ素含有率は高く、シード層の濃度は、室温において約1.8g/cc~約15g/ccの範囲である。ケイ化タングステンのシード層の濃度は、室温において約4.5g/ccと約10.0g/ccの間である(室温において約19.25g/ccのタングステンと約2.3g/ccのアモルファスシリコンとの比較)。ケイ化タングステンの濃度が、タングステンの濃度よりもシリコンの濃度の方へ傾いているということは、従来のやり方で堆積させたケイ化タングステンと比べて、ケイ化タングステンのシード層ではシリコンの方がタングステンよりも濃度が高いことを示している。
【0039】
[0045]ブロック330において、タングステン系バルク層がシード層上に堆積される。ケイ化タングステンでできたシード層とタングステン系バルク層の両方でハードマスクが形成され、これは後にパターン形成され、ターゲット層をエッチングするのに使用されうる。
図4Cに示すように、タングステン系バルク層430がシード層420上に堆積される。シード層420とタングステン系バルク層430の両方によりハードマスク440が形成される。タングステン系バルク層430は、タングステン、炭化タングステン、窒化タングステン、炭窒化タングステン、タングステンホウ素炭化物及びタングステンホウ素窒化物のうちの一又は複数から製造されうる。タングステン系バルク層430の厚さは、約10nmと約5ミクロン(5000nm)の間である。
【0040】
[0046]上述した方法によって形成されたハードマスクを使用して、基板上に配置されたターゲット層にパターンが転写され、これには
図4D~4Gに示す幾つかの工程が必要となる。
図4Dでは、フォトレジスト層450がバルク層430上に配置されたハードマスク440上に配置され、ハードマスク440の上でパターン形成される。
図4Eでは、パターン形成されたフォトレジスト層450を貫通するように形成された開口部を通してエッチングし、パターンをターゲット層410に転写することによって、ハードマスク440の一部が除去される。ここで、ハードマスク440は、パターン形成されたシード層420´及びパターン形成されたバルク層430´を含む、パターン形成されたハードマスク440´として定義される。
図4Fでは、パターン形成されたハードマスク440´を通してターゲット層410がエッチングされ、パターン形成されたターゲット層410´ができる。最終的に
図4Gでは、例えばアッシングで、パターン形成されたターゲット層410´を完全に暴露することによって、パターン形成されたハードマスク440´が除去される。
【0041】
[0047]
図5は、上述した処理チャンバ100又は他の好適な処理チャンバの基板支持体128等の、プラズマ処理チャンバ部品を調整する方法500のブロック図である。方法500は、ブロック510において、不活性ガスがガスアプリケータから、中に基板支持体128が配置されたプラズマ処理チャンバの中へ流入されることによって、開始される。不活性ガスは、ヘリウム又はアルゴンであってよい。
図6Aを更に参照すると、基板支持体128は本体600を有する。本体600は、上にある基板121を支持するための上面601を有する(
図1に示す)。本体600は、内部に埋め込まれた加熱要素605(
図6A~6Bに示す)を有する。
【0042】
[0048]ブロック520において、プラズマ処理チャンバ内で処理チャンバ内に配置された基板支持体128がプラズマに暴露される。
図6Aに示すように、プラズマに暴露されるときは基板支持体128の上に基板は配置されない。
【0043】
[0049]ブロック530において、
図6Bに示すように、シーズニング層610が基板支持体128のアルミニウム系表面上に形成される。
図6Bに示すように、シーズニング層は基板支持体128の側面及び下に堆積される。基板支持体128は、シーズニング層610によって調整されるチャンバ100の部品を表すが、チャンバ100の他の部品もシーズニング層610を使用して調整可能でありうる。チャンバ100の上記部品は、中でも、チャンバリッド104、側壁112、底壁116、ロッド130、リフトピン161、及びシャワーヘッドアセンブリ142を含みうる。
図6Bに示すように、シャワーヘッドアセンブリ142と側壁112にもシーズニング層が堆積される。シーズニング層は、例えば非限定的に、ケイ化タングステン、ケイ化チタン又はケイ化モリブデン等の金属ケイ素化合物を含む。本開示では、ケイ化タングステンを一例として使用する。
【0044】
[0050]ある実施形態では、ケイ化タングステン層の形成には幾つかの工程が必要となる。第1の工程では、第1の時間間隔の間に、六フッ化タングステンがガスアプリケータからプラズマ処理チャンバのチャンバ領域の中へ流入される。ある実施形態では、六フッ化タングステンにアルゴンが混合される。第2の工程では、第2の時間間隔の間に、不活性パージガスを導入して又は導入せずに、六フッ化タングステンとアルゴンがプラズマ処理チャンバから除去される。第3の工程では、第3の時間間隔の間に、シランがガスアプリケータからプラズマ処理チャンバのチャンバ領域の中へ流入される。ある実施形態では、シランにヘリウムが混合される。第4の工程では、第4の時間間隔の間に、不活性パージガスを導入して又は導入せずに、次にシランとヘリウムがプラズマ処理チャンバから除去される。第1、第2、第3、及び第4の時間間隔は、約0.1秒と約100秒の間の期間を有しうる。第1、第2、第3及び第4の時間間隔を組み合わせたものが時間サイクルとして定義される。ある実施形態では、第1の時間間隔と第3の時間間隔は各時間サイクルで期間が同じである、異なる、又は変化する。基板が配置されていない基板支持体及びチャンバの他の部品上に所望の厚さのケイ化タングステンの層が堆積されるまで、第1、第2、第3、及び第4の工程を含む時間サイクルが複数回繰り返される。ケイ化タングステンのシーズニング層の厚さは、約10nmと約10ミクロン(10000nm)の間である。
【0045】
[0051]本開示は、厚いタングステン系ハードマスク層を基板上に形成することを可能にする、薄い金属ケイ素化合物層を基板上に堆積させるための方法及び装置を説明するものである。チャンバの中にもたらされたフッ化物ラジカルが原因で、タングステン系ハードマスクとシリコン系基板との間の接着性と応力の不一致に起因して、タングステン系ハードマスク層がシリコン系基板から剥がれてしまう。しかしながら、厚いタングステン系層の堆積前にシリコン系基板上に堆積された薄い金属ケイ素化合物のシード層がフッ化物ラジカルを閉じ込めるため、シード層の下の表面にフッ化物が到達するのが実質的に抑制される。薄い金属ケイ素化合物のシード層はまた、タングステン系ハードマスク層とシリコン系基板の同質性に起因して、十分な応力緩和も付与する。したがって、種々の量のホウ素、炭素、窒素及びケイ素がドープされた種々の厚いタングステン系層を、シリコン系基板上に堆積させることができる。この結果、薄い金属ケイ素化合物のシード層のおかげでタングステン系層がシリコン系基板に良く接着され、タングステン系層が剥がれることなく、後続のエッチング処理を実施することが可能になる。薄い金属ケイ素化合物のシード層はまた、後続のエッチング処理と相性が合わない元素も除去する。
【0046】
[0052]本開示は更に、チャンバ部品上のAlFxの形成を防止するために、薄い金属ケイ素化合物のシーズニング層をチャンバ部品上に堆積させるための方法及び装置を説明するものである。AlFxが原因で、プロセスドリフト及び基板上の粒子汚染が起こるため、基板の洗浄が効果的でなくなる。本書に記載のガスアプリケータを使用して堆積された薄い金属ケイ素化合物のシーズニング層により、粒子の形成が減り、基板の汚染が防止される。それと同時に、金属ケイ素化合物のシーズニング層がチャンバ部品のアルミニウム系表面に良く接着されるため、後にチャンバの中へもたらされるすべてのフッ化物イオンが金属ケイ素化合物のシーズニング層内に閉じ込められ、いかなるアルミニウム系表面とも反応せず、AlFxが形成されない。
【0047】
[0053]上述の内容は本開示の特定の実施形態を対象としているが、これらの実施形態は本開示の原理及び用途の例示にすぎないことを理解されたい。したがって、特許請求の範囲によって規定されるように、本開示の意図及び範囲を逸脱しない限り、図示した実施形態に多数の修正を行って他の実施形態に到達することができることを理解すべきである。