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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20230208BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230208BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H01L21/30 541B
H01L21/30 541W
G03F7/20 504
H01J37/305 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019204800
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021077802
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 史朗
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩
(72)【発明者】
【氏名】片岡 憲一
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-004366(JP,A)
【文献】特開2012-079475(JP,A)
【文献】特表2014-519724(JP,A)
【文献】特開2019-165188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01J 37/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の貫通孔を有する第1の基板と、
前記第1の基板上に、複数の前記第1の貫通孔のそれぞれに隣接して設けられた複数の第1の電極と、
前記第1の基板上に、前記第1の貫通孔のそれぞれに隣接して前記第1の電極とそれぞれ対向するように設けられた複数の第2の電極と、
前記第1の基板内に設けられ、複数の前記第1の電極に電気的に接続された制御回路と、
前記第1の基板と対向するように設けられ、複数の前記第1の貫通孔のそれぞれに対向する複数の第2の貫通孔を有する第2の基板と、
複数の前記第1の電極と前記第2の基板の間に設けられた複数の第3の電極と、
複数の前記第2の電極と前記第2の基板の間に設けられた複数の第4の電極と、
を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極の距離をd、前記第3の電極と前記第4の電極の距離をd、前記第1の貫通孔の前記第1の電極と前記第2の電極との対向方向における開口寸法をLとしたときに、d≦Lであり、d≦Lであ
前記複数の前記第1の電極と複数の前記第3の電極の対向するそれぞれが接合されており、
前記複数の前記第2の電極と複数の前記第4の電極の対向するそれぞれが接合されている、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1の基板の基板面に平行な方向における前記第1の電極の幅をk、前記第1の基板の基板面に平行な方向における前記第2の電極の幅をk、前記第1の基板の基板面に平行な方向における前記第3の電極の幅をk、前記第1の基板の基板面に平行な方向における前記第4の電極の幅をkとしたときに、k≧kかつk≧kである、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の基板の基板面に平行な方向における前記第1の電極の幅をk、前記第1の基板の基板面に平行な方向における前記第2の電極の幅をk、前記第1の基板の基板面に平行な方向における前記第3の電極の幅をk、前記第1の基板の基板面に平行な方向における前記第4の電極の幅をkとしたときに、k<kかつk<kである、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の基板は、少なくとも前記第1の基板との対向面において導電性を有している、
請求項1乃至請求項3いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の基板は、複数の前記第2の貫通孔に隣接し前記第1の基板に対向して設けられた複数の第1の凹部と、複数の前記第2の貫通孔に隣接し前記第1の基板及び複数の前記第1の凹部と対向して設けられた複数の第2の凹部と、をさらに有し、
複数の前記第3の電極は複数の前記第1の凹部内に設けられ、
複数の前記第4の電極は複数の前記第2の凹部内に設けられた、
請求項1乃至請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
複数の前記第3の電極及び複数の前記第4の電極は、前記第2の基板の上面に露出していない、
請求項1乃至請求項5いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の電極の高さをt、前記第2の電極の高さをt、前記第3の電極の高さをt、前記第4の電極の高さをt、前記第2の基板の板厚をhとしたときに、t<t<hであり、t<t<hである、
請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
≦20μmであり、t≦20μmである、
請求項7記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は、極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される制御回路線幅は、年々微細化されてきている。電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しているため、マスクブランクスへ電子線を使ってマスクパターンを描画することが行われている。
【0003】
マルチ電子ビーム(マルチビーム)を用いた描画装置は、1本の電子ビームを描画する場合に比べて、スループットを大幅に向上させることができる。かかるマルチビーム方式の描画装置では、例えば、電子銃から放出された電子ビームを、複数の穴を持った成型アパーチャに通してマルチビームを形成する。形成されたマルチビームを構成するそれぞれの電子ビームは、ブランキングアパーチャアレイによりブランキング制御される。具体的には、ブランキングアパーチャアレイに設けられた電極対間に印加される電圧により生じる電界により、それぞれの電子ビームは独立して偏向される。ブランキングアパーチャアレイにより偏向された電子ビームは遮蔽され(ブランキング)、偏向されなかった電子ビームはマスクブランクス等の試料に照射される。
【0004】
ブランキングアパーチャアレイには、それぞれの電子ビームが通過する貫通孔が設けられている。そして、貫通孔の周囲には、電子ビームを偏向させるためのそれぞれ一対の電極対が設けられている。ブランキングアパーチャアレイの製造においては、半導体製造技術を用いて、例えばシリコン(Si)基板に上述のそれぞれの貫通孔及びそれぞれの電極対等を形成していく方法が採られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4648087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の向上した半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の半導体装置は、複数の第1の貫通孔を有する第1の基板と、第1の基板上に、複数の第1の貫通孔のそれぞれに隣接して設けられた複数の第1の電極と、第1の基板上に、第1の貫通孔のそれぞれに隣接して第1の電極とそれぞれ対向するように設けられた複数の第2の電極と、第1の基板内に設けられ、複数の第1の電極に電気的に接続された制御回路と、第1の基板と対向するように設けられ、複数の第1の貫通孔のそれぞれに対向する複数の第2の貫通孔を有する第2の基板と、複数の第1の電極と第2の基板の間に設けられた複数の第3の電極と、複数の第2の電極と第2の基板の間に設けられた複数の第4の電極と、を備え、第1の電極と第2の電極の距離をd、第3の電極と第4の電極の距離をd、第1の貫通孔の第1の電極と第2の電極との対向方向における開口寸法をLとしたときに、d≦Lであり、d≦Lであ複数の前記第1の電極と複数の前記第3の電極の対向するそれぞれが接合されており、複数の前記第2の電極と複数の前記第4の電極の対向するそれぞれが接合されている
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の電子ビーム描画装置の模式断面図である。
図2】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図3】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図4】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図5】第1の実施形態の半導体装置の要部の模式上面図及び模式下面図である。
図6】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。なお、図面中、同一又は類似の箇所には、同一又は類似の符号を付している。
【0010】
本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0011】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0012】
以下、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも良い。
【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、複数の第1の貫通孔を有する第1の基板と、第1の基板上に、複数の第1の貫通孔のそれぞれに隣接して設けられた複数の第1の電極と、第1の基板上に、第1の貫通孔のそれぞれに隣接して第1の電極とそれぞれ対向するように設けられた複数の第2の電極と、第1の基板内に設けられ、複数の第1の電気制御回路に電気的に接続された制御回路と、第1の基板と対向するように設けられ、複数の第1の貫通孔のそれぞれに対向する複数の第2の貫通孔を有する第2の基板と、複数の第1の電極と第2の基板の間に設けられた複数の第3の電極と、複数の第2の電極と第2の基板の間に設けられた複数の第4の電極と、を備え、第1の電極と第2の電極の距離をd、第3の電極と第4の電極の距離をd、第1の貫通孔の第1の電極と第2の電極との対向方向における開口寸法をLとしたときに、d≦Lであり、d≦Lである。
【0014】
図1は、本実施形態の電子ビーム描画装置150の模式断面図である。電子ビーム描画装置150は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置の一例である。
【0015】
本実施形態の半導体装置100aは、電子ビーム描画装置150に用いられるブランキングアパーチャアレイである。
【0016】
電子ビーム描画装置150は、電子鏡筒102(マルチ電子ビームカラム)と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、成型アパーチャアレイ203、半導体装置100a(ブランキングアパーチャアレイ)、縮小レンズ205、制限アパーチャ部材206、対物レンズ207、主偏向器208、副偏向器209、及びミラー210が配置されている。
【0017】
ここで、x軸と、x軸に垂直なy軸と、x軸及びy軸に垂直なz軸を定義する。電子銃201はz方向に平行な方向に電子ビーム200を放出するものとする。また、試料101は、xy面に平行な面内に配置されているものとする。
【0018】
電子銃201から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202により、ほぼ垂直に成型アパーチャアレイ203を照明する。そして、成型アパーチャアレイ203の開口部を電子ビーム200が通過することにより、マルチビーム110が形成される。マルチビーム110は、電子ビーム120a、120b、120c、120d、120e及び120fを有する。それぞれの電子ビーム120の形状は、成型アパーチャアレイ203の開口部の形状を反映したものであり、例えば矩形形状である。なお、図1において成型アパーチャアレイ203の開口部の個数は6個であることが示されているが、これに限定されるものではない。成型アパーチャアレイ203により形成されるマルチビーム110の本数は、図1においては6本である。しかし、形成されるマルチビーム110の本数は、勿論6本に限定されるものではない。一例としては、成型アパーチャアレイ203の開口部は、x方向及びy方向にそれぞれ512個ずつ、マトリックス状に配置されている。
【0019】
ブランキングアパーチャアレイとしての半導体装置100aは、成型アパーチャアレイ203の下に設けられている。半導体装置100aによって偏向された電子ビーム120は、制限アパーチャ部材206の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ部材206によって遮蔽される。一方、偏向されなかった電子ビーム120は、制限アパーチャ部材206の中心の穴を通過する。これにより、電子ビームのオンオフが制御される。
【0020】
制限アパーチャ部材206を通過した電子ビーム120は、対物レンズ207により焦点が合わされ、所望の縮小率のパターン像となり、主偏向器208及び副偏向器209によって一括して偏向される。そして、XYステージ105に載置された試料101上の、それぞれの照射位置に照射される。XYステージ105には、さらに、XYステージ105の位置測定用のミラー210が配置されている。
【0021】
図2図3及び図4は、本実施形態の半導体装置100aの模式断面図である。図2(a)は、第1の電極14と第3の電極34及び第2の電極16と第4の電極36が接合されていない状態を示した模式断面図である。図2(b)は、第1の電極14と第3の電極34及び第2の電極16と第4の電極36が接合され、第1の接合部22及び第2の接合部24がそれぞれ設けられている状態を示した模式断面図である。図2(c)、図2(d)、図3(a)、図3(b)、図3(c)、図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、本実施形態の半導体装置100aの模式断面図の一部を拡大した模式断面図である。
【0022】
第1の基板20は、例えば、シリコン基板などの半導体基板である。図2において、第1の基板20の基板面21は、xy面に平行に配置されている。
【0023】
第1の基板20は、複数の第1の貫通孔12を有する。図2においては、複数の第1の貫通孔12として、第1の貫通孔12a、12b、12c、12d、12e及び12fが示されている。例えば、第1の貫通孔12は、x方向及びy方向にそれぞれ6個ずつ配置されている。なお、複数の第1の貫通孔12の個数は、勿論これに限定されるものではない。
【0024】
複数の第1の電極14は、第1の基板20の上において、複数の第1の貫通孔12のそれぞれに隣接して設けられている。図2においては、第1の貫通孔12a、12b、12c、12d、12e、12fに隣接して、複数の第1の電極14としての、それぞれ第1の電極14a、14b、14c、14d、14e、14fが設けられている。
【0025】
制御回路10は、第1の基板20内に設けられている。図2(a)、図2(b)及び図2(c)においては、制御回路10として、制御回路10a、10b、10c、10d、10e及び10fが示されている。制御回路10は、第1の電極14に、例えば5V程度の所定の電圧を印加する機能を有する。制御回路10は、例えば、CMOS(Complimentary Metal-Oxide-Semiconductor)制御回路である。
【0026】
図5は、本実施形態の半導体装置100aの要部の模式上面図及び模式下面図である。図5(a)は、第1の基板20、及び第1の基板20に設けられた第1の貫通孔12、第1の電極14、第2の電極16、第1の配線26及び第2の配線28を示した模式上面図である。図5(b)は、第2の基板40、及び第2の基板40に設けられた第2の貫通孔32、第3の電極34及び第4の電極36を示した模式下面図である。
【0027】
例えば、第1の電極14a、14g、14iには、それぞれ第1の配線26a、26g、26iが接続されている。そして、第1の配線26a、26g、26iにより、第1の電極14a、14g、14iは、制御回路10a(例えば図2(a)及び図2(b)に図示)と接続されている。また、第1の電極14b、14h、14jには、それぞれ第1の配線26b、26h、26jが接続されている。そして、第1の配線26b、26h、26jにより、第1の電極14b、14h、14jは、制御回路10b(例えば図2(a)及び図2(b)に図示)と接続されている。同様に、第1の配線26c、26d、26e、26fにより、第1の電極14c、14d、14e、14fは、それぞれ制御回路10c、10d、10e及び10f(例えば図2(a)及び図2(b)に図示)と接続されている。
【0028】
第2の電極16は、第1の基板20の上に設けられている。図2においては、第2の電極16は、第1の貫通孔12のそれぞれに隣接して第1の電極14とそれぞれ対向するように設けられている。図2においては、複数の第2の電極16として、第2の電極16a、16b、16c、16d、16e、16fが示されている。例えば、第2の電極16a、16b、16c、16d、16e、16fは、第1の貫通孔12a、12b、12c、12d、12e、12fのそれぞれに隣接して、第1の電極14a、14b、14c、14d、14e、14fとそれぞれ対向するように設けられている。
【0029】
例えば、第2の電極16a、16g、16iには、それぞれ第2の配線28a、28g、28iが接続されている。そして、第2の配線28a、28g、28iにより、第2の電極16a、16g、16iは、電子ビーム描画装置150内において図示しない、グランドと接続される。また、第2の電極16b、16h、16jには、それぞれ第2の配線28b、28h、28jが接続されている。そして、第2の配線28b、28h、28jにより、第2の電極16b、16h、16jは、電子ビーム描画装置150内において図示しないグランドと接続される。同様に、第2の配線28c、28d、28e、28fにより、第2の電極16c、16d、16e、16fは、電子ビーム描画装置150内において図示しないグランドと接続される。
【0030】
なお、第1の電極14と制御回路10の接続の態様、及び第2の電極16とグランドの接続の態様は、これに限定されない。また、例えば、制御回路10は、図2において図示しない、第1の基板20上に設けられた絶縁膜内に設けられていても良い。そして、第1の電極14及び第2の電極16は、上記の図示しない絶縁膜の上に配置されていても良い。本実施形態において、第1の基板20の上に図示しない絶縁膜が設けられている場合、第1の基板20は、上記の図示しない絶縁膜も含むものとする。
【0031】
第2の基板40は、第1の基板20と対向するように設けられている。第2の基板40は、例えばSi基板等の半導体基板である。なお、第2の基板40は、少なくとも第1の基板との対向面45が導電性を有していることが好ましい。ある所定の第1の貫通孔12を通過する電子ビーム120を偏向させるための電界が、他の第1の貫通孔12を通過する電子ビーム120を偏向させてしまうというクロストークを抑制するためである。
【0032】
第2の基板40は、複数の第2の貫通孔32を有する。複数の第2の貫通孔32は、複数の第1の貫通孔12のそれぞれに対向するように設けられている。第2の貫通孔32a、32b、32c、32d、32e、32fは、第1の貫通孔12a、12b、12c、12d、12e及び12fにそれぞれ対向するように設けられている。
【0033】
複数の第3の電極34は、複数の第1の電極14と第2の基板40の間に設けられている。図2には、複数の第3の電極34として、第3の電極34a、34b、34c、34d、34e及び34fが示されている。そして、複数の第3の電極34は、複数の第1の電極14とそれぞれ接合されている。接合されることにより、複数の第3の電極34と複数の第1の電極14aの間には、複数の第1の接合部22がそれぞれ設けられている。第3の電極34aと第1の電極14aの間には、第1の接合部22aが設けられている。第3の電極34bと第1の電極14bの間には、第1の接合部22bが設けられている。第3の電極34cと第1の電極14cの間には、第1の接合部22cが設けられている。第3の電極34dと第1の電極14dの間には、第1の接合部22dが設けられている。第3の電極34eと第1の電極14eの間には、第1の接合部22eが設けられている。第3の電極34fと第1の電極14fの間には、第1の接合部22fが設けられている。
【0034】
複数の第4の電極36は、複数の第2の電極16と第2の基板40の間に設けられている。図2には、複数の第4の電極36として、第4の電極36a、36b、36c、36d、36e及び36fが示されている。そして、複数の第4の電極36は、複数の第2の電極16とそれぞれ接合されている。接合されることにより、複数の第4の電極36と複数の第2の電極16の間には、複数の第2の接合部24がそれぞれ設けられている。第4の電極36aと第2の電極16aの間には、第2の接合部24aが設けられている。第4の電極36bと第2の電極16bの間には、第2の接合部24bが設けられている。第4の電極36cと第2の電極16cの間には、第2の接合部24cが設けられている。第4の電極36dと第2の電極16dの間には、第2の接合部24dが設けられている。第4の電極36eと第2の電極16eの間には、第2の接合部24eが設けられている。第4の電極36fと第2の電極16fの間には、第2の接合部24fが設けられている。
【0035】
複数の第3の電極34と複数の第1の電極14は、接合されることにより、電気的に接続される。このため、複数の第3の電極34と複数の第1の電極14は、一体として、電源電極として機能する。
【0036】
複数の第4の電極36と複数の第2の電極16は、接合されることにより、電気的に接続される。このため、複数の第4の電極36と複数の第2の電極16は、一体として、接地電極として機能する。
【0037】
第1の電極14、第2の電極16、第3の電極34及び第4の電極36は、導電材料を含む。第1の電極14、第2の電極16、第3の電極34及び第4の電極36は、例えばAu(金)を含むことが、良好な電子ビームの偏光特性を得ることができるため好ましい。ただし、第1の電極14、第2の電極16、第3の電極34及び第4の電極36の材料は、特にAuに限定されるものではない。
【0038】
複数の第3の電極34と複数の第1の電極14が接合され、複数の第1の接合部22が設けられている点は、例えば、複数の第3の電極34と複数の第1の電極14の間を顕微鏡等で観察することにより明らかにすることができる。複数の第4の電極36と複数の第2の電極16が接合され、複数の第2の接合部24が設けられている点は、例えば、複数の第4の電極36と複数の第2の電極16の間を顕微鏡等で観察することにより明らかにすることができる。
【0039】
本実施形態の半導体装置100aを形成する際には、制御回路10、複数の第1の貫通孔12が形成された第1の基板20に、複数の第1の電極14及び複数の第2の電極16を、例えば電解めっき法により形成する。また、複数の第2の貫通孔32が形成された第2の基板40に、複数の第3の電極34及び複数の第4の電極36を、例えば電解めっき法により形成する。そして、複数の第1の電極14と複数の第3の電極34、及び複数の第2の電極16と複数の第4の電極36に適切な熱を印加し、複数の第1の電極14と複数の第3の電極34、及び複数の第2の電極16と複数の第4の電極36を、適切な圧力により接合し、複数の第1の接合部22及び複数の第2の接合部24を形成して、本実施形態の半導体装置100aを得る。
【0040】
第1の電極14と第2の電極16の対向方向(X方向)の距離をd、第3の電極34と第4の電極36の対向方向(X方向)の距離をd、第1の貫通孔12の電極対向方向(X方向)の開口寸法をLとしたときに、d≦Lであり、d≦Lである(図2(c)、図2(d))。なお図2(c)では、d=Lであり、d=Lであるものとして図示をしている。また、図2(d)では、d<Lであり、d<Lであるものとして図示をしている。
【0041】
第1の基板20の基板面21に平行な方向(電極対向方向、X方向)における第1の電極14の幅をk、第1の基板20の基板面21に平行な方向(電極対向方向、X方向)における第2の電極16の幅をk、第1の基板20の基板面21に平行な方向(電極対向方向、X方向)における第3の電極34の幅をk、第1の基板20の基板面21に平行な方向(電極対向方向、X方向)における第4の電極36の幅をkとしたときに、k≧kかつk≧k、又はk<kかつk<kであることが好ましい(図3(a)、図3(b)、図3(c))。言い換えると、kとkが異なり、かつkとkが異なることが好ましい。なお図3(a)では、k>kかつk>kとして図示をしている。図3(b)では、k=kかつk=kとして図示をしている。図3(c)では、k<kかつk<kとして図示をしている。同様に、第1の基板20の基板面21に平行な方向(Y方向)における第1の電極14の幅をk、第1の基板20の基板面21に平行な方向(Y方向)における第2の電極16の幅をk、第1の基板20の基板面21に平行な方向(Y方向)における第3の電極34の幅をk、第1の基板20の基板面21に平行な方向(Y方向)における第4の電極36の幅をkとしたときに、k≧kかつk≧k、又はk<kかつk<kであることが好ましい(図4(a)、図4(b)、図4(c))。なお図4(a)では、k>kかつk>kとして図示をしている。図4(b)では、k=kかつk=kとして図示をしている。図4(c)では、k<kかつk<kとして図示をしている。
【0042】
さらに、第2の基板40を成型アパーチャアレイ203の機能を兼ねたものとし、第2の貫通孔32によりマルチビームを形成してもよい。この場合、第2の貫通孔32の大きさを第1の貫通孔12の大きさよりも小さい所望の大きさとすることが好ましい。
【0043】
また、第2の基板40の材料としてタングステン(W)、金(Au)等の重金属を用いることにより、X線遮蔽機能を備えることもできる。このとき、第2の貫通孔32の大きさを第1の貫通孔12の大きさよりも小さい所望の大きさとすることにより、成型アパーチャアレイ203の機能とX線遮蔽機能の両方を兼ね備えることもできる。
【0044】
成型アパーチャアレイ203により成型された電子ビーム120は、それぞれ第2の貫通孔32及び第1の貫通孔12を通過する。ここで、例えば制御回路10を用いて第1の電極14a及び第3の電極34aに所定の電圧が印加されると、第2の電極16a及び第4の電極36aと第1の電極14a及び第3の電極34aの間に電界が発生する。発生した電界により、第1の貫通孔12aを通過する電子ビーム120は偏向される。
【0045】
なお電子ビーム120は、第2の貫通孔32から第1の貫通孔12へ向かって通過しても良いし、第1の貫通孔12から第2の貫通孔32へと通過しても良いが、第2の基板40を成型アパーチャアレイ203の機能、X線遮蔽機能、もしくはその両方を兼ね備える場合は、電子ビーム120が第2の貫通孔32から第1の貫通孔12へ向かって通過する場合に有効である。
【0046】
次に、本実施形態の作用効果を記載する。
【0047】
電子ビーム120の偏向角度は、電源電極と接地電極の間に印加される電圧と、電源電極と接地電極の間の距離と、電極高さによって決定される。電源電極と接地電極の間に印加される電圧を高くし、電源電極と接地電極の距離を短くし、電極高さを高くすると、大きな偏向角度を得ることができる。ここで、電極高さについては、電極に用いられる材料の加工精度に基づき決定される限界の高さがある。そのため、電極高さを、上記の限界の高さよりも高くすることは困難である。また、電子ビーム120については、偏向制御して、電源電極と接地電極の間を通過させることが求められる。そのため、電源電極と接地電極の間の距離をあまりにも短くすることは、困難である。従って、より大きな電子ビーム120の偏向角度を得るためには、電源電極に印加される電圧を高くすることが好ましい、しかし高すぎる電圧を電源電極に印加すると、第1の基板20が高温化するという問題があった。
【0048】
本実施形態の半導体装置では、第1の電極14と第3の電極34を接合して電源電極を形成している。また、第2の電極16と第4の電極36を接合して接地電極を形成している。これにより、たとえ電極高さの加工精度に基づく限界高さが同様であっても、第1の基板20の基板面21に垂直な方向すなわち電子ビーム120が通過する方向の、電源電極及び接地電極の長さを長くすることが出来る。従って、電源電極に印加される電圧を高くしなくとも、大きな電子ビーム120の偏向角度を得ることができる。よって、信頼性の向上した半導体装置の提供が可能となる。
【0049】
また、第1の電極14と第2の電極16の距離をd、第3の電極34と第4の電極36の距離をd、第1の貫通孔12の第1の電極と第2の電極との対向方向における開口寸法をLとしたときに、d≦Lであり、d≦Lであることで、電源電極と接地電極の間の距離を必要以上に大きくしないようにすることができるため、電源電極に印加する電圧を大きくしなくても良い。従って、信頼性の向上した半導体装置の提供が可能となる。
【0050】
例えば、k<kかつk<kである場合には、接合の際に、第2の基板40を固定し、これに対して第1の基板20を近づけて、第1の電極14と第3の電極34の接合及び第2の電極16と第4の電極36の接合を行うことが出来る。一方、例えば、k≧kかつk≧kである場合には、接合の際に、逆に第1の基板20を固定し、これに対して第2の基板40を近づけて、第1の電極14と第3の電極34の接合及び第2の電極16と第4の電極36を行う。すなわち、幅のより大きな電極を有する基板を固定して、幅のより小さな電極を有する基板を近づけることにより、接合を行うことが出来る。これにより、位置ずれが発生しても接合面積が確保できるため、接合を容易に行うことが出来る。
【0051】
本実施形態の半導体装置によれば、信頼性の向上した半導体装置を提供することが可能となる。
【0052】
(第2の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第2の基板は、複数の第2の貫通孔に隣接し第1の基板に対向して設けられた複数の第1の凹部と、複数の第2の貫通孔に隣接し第1の基板及び複数の第1の凹部と対向して設けられた複数の第2の凹部と、をさらに有し、複数の第3の電極は複数の第1の凹部内に設けられ、複数の第4の電極は複数の第2の凹部内に設けられた点で、第1の実施形態と異なっている。ここで、第1の実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0053】
図6は、第2の実施形態の半導体装置100bの模式断面図である。図6(a)は、第1の電極14と第3の電極34及び第2の電極16と第4の電極36が接合されていない状態を示した模式断面図である。図6(b)は、第1の電極14と第3の電極34及び第2の電極16と第4の電極36が接合され、第1の接合部22及び第2の接合部24がそれぞれ設けられている状態を示した模式断面図である。
【0054】
図6には、複数の第1の凹部42としての、第1の凹部42a、42b、42c、42d、42e及び42fが図示されている。第1の凹部42aは、第2の貫通孔32aに隣接し第1の基板20に対向して設けられている。第1の凹部42bは、第2の貫通孔32bに隣接し第1の基板20に対向して設けられている。第1の凹部42cは、第2の貫通孔32cに隣接し第1の基板20に対向して設けられている。第1の凹部42dは、第2の貫通孔32dに隣接し第1の基板20に対向して設けられている。第1の凹部42eは、第2の貫通孔32eに隣接し第1の基板20に対向して設けられている。第1の凹部42fは、第2の貫通孔32fに隣接し第1の基板20に対向して設けられている。
【0055】
図6には、複数の第2の凹部44としての、第2の凹部44a、44b、44c、44d、44e及び44fが図示されている。第2の凹部44aは、第2の貫通孔32aに隣接し第1の基板20及び第1の凹部42aに対向して設けられている。第2の凹部44bは、第2の貫通孔32bに隣接し第1の基板20及び第1の凹部42bに対向して設けられている。第2の凹部44cは、第2の貫通孔32cに隣接し第1の基板20及び第1の凹部42cに対向して設けられている。第2の凹部44dは、第2の貫通孔32dに隣接し第1の基板20及び第1の凹部42dに対向して設けられている。第2の凹部44eは、第2の貫通孔32eに隣接し第1の基板20及び第1の凹部42eに対向して設けられている。第2の凹部44fは、第2の貫通孔32fに隣接し第1の基板20及び第1の凹部42fに対向して設けられている。
【0056】
第3の電極34aは、第1の凹部42a内に設けられている。第3の電極34bは、第1の凹部42b内に設けられている。第3の電極34cは、第1の凹部42c内に設けられている。第3の電極34dは、第1の凹部42d内に設けられている。第3の電極34eは、第1の凹部42e内に設けられている。第3の電極34fは、第1の凹部42f内に設けられている。
【0057】
第4の電極36aは、第2の凹部44a内に設けられている。第4の電極36bは、第2の凹部44b内に設けられている。第4の電極36cは、第2の凹部44c内に設けられている。第4の電極36dは、第2の凹部44d内に設けられている。第4の電極36eは、第2の凹部44e内に設けられている。第4の電極36fは、第2の凹部44f内に設けられている。
【0058】
第1の電極14の高さをt、第2の電極16の高さをt、第3の電極34の高さをt、第4の電極36の高さをt、第2の基板40の板厚をhとしたときに、t<t<hであり、t<t<hであることが好ましい。また、t≦20μmであり、t≦20μmであることが好ましい。
【0059】
複数の第3の電極34及び複数の第4の電極36は、第2の基板40の上面41に露出していないことが好ましい。
【0060】
次に、本実施形態の作用効果を記載する。
【0061】
本実施形態においては、第3の電極34及び第4の電極36を第1の凹部42内及び第2の凹部44内に形成する。これにより、第1の実施形態で記載したような電極に用いられる材料の加工精度に基づき決定される限界の高さよりも、さらに第3の電極34及び第4の電極36の電極高さを高くすることが出来る。そのため、電源電極に印加する電圧をさらに低くすることが可能であるため、さらに信頼性の向上した半導体装置の提供が可能となる。
【0062】
また、第3の電極34及び第4の電極36の高さを高くすることが出来る分、第1の電極14の高さ及び第2の電極16の高さを低くして、第1の電極14及び第2の電極16の形成を容易に行うことが出来る。例えば、第1の電極14及び第2の電極16を薄膜として形成することにより、第1の電極14及び第2の電極16の平坦性をより容易に確保することが出来る。そのため、第3の電極34と第1の電極14の接合及び第4の電極36と第2の電極16の接合がより容易になる。例えば、第1の電極14の高さtが第3の電極34の高さtより低い、すなわちt<tであることが好ましい。また、例えば、第2の電極16の高さtが第4の電極36の高さtより低い、すなわちt<tであることが好ましい。また、例えば、第1の電極14の高さtがt≦20μmであり、第2の電極16の高さtがt≦20μmであることが好ましい。
【0063】
また、複数の第3の電極34及び複数の第4の電極36が第2の基板40の上面41に露出している場合を考える。例えば、第3の電極34bと第4の電極36bの間で第2の貫通孔32b内に形成される電界が、隣接する第2の貫通孔32a及び第2の貫通孔32c内に及ぶことが発生しやすくなる。これにより、意図しない電子ビームの偏向(クロストーク)を引き起こしてしまう。これを抑制するためには、第2の基板が導電性であるとともに、電源電極である第1の電極14および第3の電極34と、第2の基板とが絶縁されている必要があり、接地電極である第2の電極16および第4の電極36と、第2の基板とが接続されている必要がある。また、第3の電極34、第4の電極36の高さtは、t<hであり、t<hであることが好ましい。また、複数の第3の電極34及び第4の電極36は、第2の基板40の上面41に露出していないことが好ましい。
【0064】
本実施形態の半導体装置によれば、信頼性の向上した半導体装置を提供することが可能となる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10 制御回路
12 第1の貫通孔
14 第1の電極
16 第2の電極
20 第1の基板
21 第1の基板の基板面
22 第1の接合部
24 第2の接合部
26 第1の配線
28 第2の配線
32 第2の貫通孔
34 第3の電極
36 第4の電極
40 第2の基板
41 第2の基板の上面
42 第1の凹部
44 第2の凹部
100a 半導体装置(ブランキングアパーチャアレイ)
100b 半導体装置(ブランキングアパーチャアレイ)
101 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 マルチビーム
120 電子ビーム
150 電子ビーム描画装置
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203 成型アパーチャアレイ
205 縮小レンズ
206 制限アパーチャ部材
207 対物レンズ
208 主偏向器
209 副偏向器
210 ミラー

図1
図2
図3
図4
図5
図6