(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230208BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20230208BHJP
C23C 16/56 20060101ALN20230208BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/316 X
C23C16/56
(21)【出願番号】P 2020052414
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】上田 立志
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 正
(72)【発明者】
【氏名】中山 雅則
(72)【発明者】
【氏名】坪田 康寿
(72)【発明者】
【氏名】山角 宥貴
(72)【発明者】
【氏名】岸本 宗樹
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-504091(JP,A)
【文献】特開2012-227336(JP,A)
【文献】特表2017-521865(JP,A)
【文献】特表2008-544091(JP,A)
【文献】特開2012-069998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/316
C23C 16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)希ガスを含有する希ガス含有ガスをプラズマ化して生成された前記希ガスの元素を含む反応種を、基板上に形成された不純物、金属及び酸素を含む金属酸化膜に供給して、前記不純物と前記金属との結合、及び前記金属と前記酸素との結合とを前記希ガスが切断する工程と、
(2)(1)工程の後、前記希ガス含有ガスとは異なる酸素含有ガスをプラズマ化して生成された酸素を含む反応種を、前記金属酸化膜に供給して、前記金属酸化膜の結晶構造を整わせる工程と、
を実行することにより前記金属酸化膜を改質する工程
と、を有
し、
前記酸素含有ガスは、酸素と水素とを含むガスであり、
(2)工程では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、酸素及び水素を含む反応種を前記金属酸化膜に供給する
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
(1)希ガスを含有する希ガス含有ガスをプラズマ化して生成された前記希ガスの元素を含む反応種を、基板上に形成された不純物、金属及び酸素を含む金属酸化膜に供給して、前記不純物と前記金属との結合、及び前記金属と前記酸素との結合とを前記希ガスが切断する工程と、
(2)(1)工程の後、前記希ガス含有ガスとは異なる酸素含有ガスをプラズマ化して生成された酸素を含む反応種を、前記金属酸化膜に供給して、前記金属酸化膜の結晶構造を整わせる工程と、
を実行することにより前記金属酸化膜を改質する工程と、を有し、
前記酸素含有ガスは、前記希ガスと酸素と水素
とを含むガスであり、
(2)工程では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、前記希ガスの元素を含む反応種と酸素及び水素を含む反応種を前記金属酸化膜に供給する
半導体装置の製造方法。
【請求項3】
(2)工程では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、前記希ガスの元素を含む反応種と酸素を含む反応種を前記金属酸化膜に供給し、前記金属酸化膜中での前記酸素の失活を防ぐよう処理する請求項
2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記希ガス含有ガスにおける前記希ガスの分圧比は、前記酸素含有ガスにおける前記希ガスの分圧比よりも大きい請求項
2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記酸素含有ガスにおける前記希ガスの分圧比は50%以下である請求項
4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記酸素含有ガスは前記希ガスを非含有とするガスである請求項
1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記希ガス含有ガスは、前記希ガスのみで構成される請求項
1~6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記希ガスはヘリウムガスである請求項1~
7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
(1)工程の後、前記希ガス含有ガスの供給を停止して、前記基板上から残留ガスを除去する工程を更に有する、請求項1~
8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
(1)工程では、前記基板が収容された処理室内に前記希ガスを供給し、
(2)工程では、(1)工程の終了後、前記希ガスの供給を継続したまま、更に酸素を含むガスを前記処理室内に供給し、
前記希ガスと前記酸素を含むガスの混合ガスをプラズマ励起することにより、前記金属酸化膜中での前記酸素の失活を防ぐよう前記希ガスの元素を含む反応種と酸素を含む反応種を生成する、請求項1
又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記不純物は、水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、塩素(Cl)、ケイ素(Si)、フッ素(F)の少なくともいずれかである請求項1
又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
(1)希ガスを含有する希ガス含有ガスをプラズマ化して生成された前記希ガスの元素を含む反応種を、基板上に形成された不純物、金属及び酸素を含む金属酸化膜に供給する工程と、
(2)(1)工程の後、前記希ガス含有ガスとは異なる酸素含有ガスとをプラズマ化して生成された酸素を含む反応種を、前記金属酸化膜に供給して、リーク電流を低減するよう前記金属酸化膜を改質する工程と、
を有し、
前記酸素含有ガスは、酸素と水素とを含むガスであり、
(2)工程では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、酸素及び水素を含む反応種を前記金属酸化膜に供給する
半導体装置の製造方法。
【請求項13】
(1)希ガスを含有する希ガス含有ガスをプラズマ化して生成された前記希ガスの元素を含む反応種を、基板上に形成された不純物、金属及び酸素を含む金属酸化膜に供給する工程と、
(2)(1)工程の後、前記希ガス含有ガスとは異なる酸素含有ガスとをプラズマ化して生成された酸素を含む反応種を、前記金属酸化膜に供給して、リーク電流を低減するよう前記金属酸化膜を改質する工程と、を有し、
前記酸素含有ガスは、前記希ガスと酸素と水素とを含むガスであり、
(2)工程では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、前記希ガスの元素を含む反応種と酸素及び水素を含む反応種を前記金属酸化膜に供給する
半導体装置の製造方法。
【請求項14】
不純物、金属及び酸素を含む金属酸化膜が形成された基板を収容する処理室と、
希ガスを含有する希ガス含有ガスを前記処理室内に供給する希ガス含有ガス供給系と、
前記希ガス含有ガスとは異なる
酸素と水素とを含む酸素含有ガスを前記処理室内に供給する酸素含有ガス供給系と、
前記処理室内に供給された前記希ガス含有ガスと前記酸素含有ガスをプラズマ励起するプラズマ生成部と、
(1)前記希ガス含有ガス供給系及び前記プラズマ生成部を制御して、前記基板が収容された前記処理室内に前記希ガス含有ガスを供給するとともに、前記処理室内に供給された前記希ガス含有ガスをプラズマ励起して、前記不純物と前記金属との結合、及び前記金属と前記酸素との結合とを前記希ガスが切断する処理と、
(2)(1)処理の後、前記酸素含有ガス供給系及び前記プラズマ生成部を制御して、前記基板が収容された前記処理室内に前記酸素含有ガスを供給するとともに、前記処理室内に供給された前記酸素含有ガスをプラズマ励起して、前記金属酸化膜の結晶構造を整わせる処理と、
(2)処理では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、酸素及び水素を含む反応種を前記金属酸化膜に供給する処理
を実行させることが可能なように構成された制御部と、
を備える基板処理装置。
【請求項15】
不純物、金属及び酸素を含む金属酸化膜が形成された基板を収容する処理室と、
希ガスを含有する希ガス含有ガスを前記処理室内に供給する希ガス含有ガス供給系と、
前記希ガス含有ガスとは異なる前記希ガスと酸素と水素とを含む酸素含有ガスを前記処理室内に供給する酸素含有ガス供給系と、
前記処理室内に供給された前記希ガス含有ガスと前記酸素含有ガスをプラズマ励起するプラズマ生成部と、
(1)前記希ガス含有ガス供給系及び前記プラズマ生成部を制御して、前記基板が収容された前記処理室内に前記希ガス含有ガスを供給するとともに、前記処理室内に供給された前記希ガス含有ガスをプラズマ励起して、前記不純物と前記金属との結合、及び前記金属と前記酸素との結合とを前記希ガスが切断する処理と、
(2)(1)処理の後、前記酸素含有ガス供給系及び前記プラズマ生成部を制御して、前記基板が収容された前記処理室内に前記酸素含有ガスを供給するとともに、前記処理室内に供給された前記酸素含有ガスをプラズマ励起して、前記金属酸化膜の結晶構造を整わせる処理と、
(2)処理では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、前記希ガスの元素を含む反応種と酸素及び水素を含む反応種を前記金属酸化膜に供給する処理
を実行させることが可能なように構成された制御部と、
を備える基板処理装置。
【請求項16】
(1)希ガスを含有する希ガス含有ガスをプラズマ化して生成された前記希ガスの元素を含む反応種を、基板処理装置の処理室内に収容された基板上に形成された不純物、金属及び酸素を含む金属酸化膜に供給し、前記不純物と前記金属との結合、及び前記金属と前記酸素との結合とを前記希ガスが切断する手順と、
(2)(1)手順の後、前記希ガス含有ガスとは異なる酸素含有ガスをプラズマ化して生成された酸素を含む反応種を、前記金属酸化膜に供給して、前記金属酸化膜の結晶構造を整わせる手順と、
を有し、
前記酸素含有ガスは、酸素と水素とを含むガスであり、
(2)手順では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、酸素及び水素を含む反応種を前記金属酸化膜に供給する手順
を実行することにより前記金属酸化膜を改質する手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項17】
(1)希ガスを含有する希ガス含有ガスをプラズマ化して生成された前記希ガスの元素を含む反応種を、基板処理装置の処理室内に収容された基板上に形成された不純物、金属及び酸素を含む金属酸化膜に供給し、前記不純物と前記金属との結合、及び前記金属と前記酸素との結合とを前記希ガスが切断する手順と、
(2)(1)手順の後、前記希ガス含有ガスとは異なる酸素含有ガスをプラズマ化して生成された酸素を含む反応種を、前記金属酸化膜に供給して、前記金属酸化膜の結晶構造を整わせる手順と、を有し、
前記酸素含有ガスは、前記希ガスと酸素と水素とを含むガスであり、
(2)手順では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、前記希ガスの元素を含む反応種と酸素及び水素を含む反応種を前記金属酸化膜に供給する手順
を実行することにより前記金属酸化膜を改質する手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に形成されている膜をプラズマにより改質する処理が行われることがある(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-75579号公報
【文献】国際公開第2018/179038号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の課題は、基板上に形成されている酸化膜を改質する処理において、酸化膜の特性を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
(1)希ガスを含有する希ガス含有ガスをプラズマ化して生成された前記希ガスの元素を含む反応種を、基板上に形成された酸化膜に供給する工程と、
(2)(1)工程の後、前記希ガス含有ガスとは異なる酸素含有ガスをプラズマ化して生成された酸素を含む反応種を、前記酸化膜に供給する工程と、
を実行することにより前記酸化膜を改質する工程を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板上に形成されている酸化膜を改質する処理において、酸化膜の特性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置100の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面図で示す図である。
【
図2】本開示の一態様におけるプラズマの発生原理を例示する図である。
【
図3】本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置100のコントローラ221の概略構成図であり、コントローラ221の制御系をブロック図で示す図である。
【
図4】本開示の一態様における基板処理シーケンスを示す図である。
【
図5】
図5(A)は、アズデポ(As-depo)状態のAlO膜を説明するための図である。
図5(B)は、第1プラズマ処理によるAlO膜における作用を説明するための図である。
図5(C)は、第2プラズマ処理によるAlO膜における作用を説明するための図である。
【
図6】本開示の一態様が適用され得る基板の断面の一部を示す図である。
【
図7】本開示の一態様における基板処理シーケンスの変形例を示す図である。
【
図8】本開示の一態様における基板処理シーケンスの変形例を示す図である。
【
図9】
図9(A)は、本実施例における2段階でプラズマ処理されたAlO膜の電気的特性を、アズデポ状態のAlO膜の電気的特性と比較して示した図である。
図9(B)は、比較例における1段階でプラズマ処理されたAlO膜の電気的特性を、アズデポ状態のAlO膜の電気的特性と比較して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の一態様>
以下、本開示の一態様について
図1~
図6を参照しながら説明する。
【0009】
(1)基板処理装置
図1に示すように、基板処理装置100は、基板としてのウエハ200を収容してプラズマ処理する処理炉202を備えている。処理炉202は、処理室201を構成する処理容器203を備えている。処理容器203は、ドーム型の上側容器210と碗型の下側容器211とを備えている。上側容器210が下側容器211の上に被さることにより、処理室201が形成される。
【0010】
下側容器211の下部側壁には、搬入出口(仕切弁)としてのゲートバルブ244が設けられている。ゲートバルブ244を開くことにより、搬入出口245を介して処理室201内外へウエハ200を搬入出することができる。ゲートバルブ244を閉じることにより、処理室201内の気密性を保持することができる。
【0011】
図2に示すように、処理室201は、プラズマ生成空間201aと、プラズマ生成空間201aに連通し、ウエハ200が処理される基板処理空間201bと、を有している。プラズマ生成空間201aの周囲であって処理容器203の外周側には、後述する共振コイル212が設けられている。プラズマ生成空間201aは、プラズマが生成される空間であって、処理室201の内、例えば共振コイル212の下端(
図1における一点鎖線)よりも上方側の空間をいう。一方、基板処理空間201bは、ウエハ200がプラズマで処理される空間であって、共振コイル212の下端よりも下方側の空間をいう。
【0012】
処理室201内の底側中央には、基板載置部としてのサセプタ217が配置されている。サセプタ217の上面には、ウエハ200が載置される基板載置面217dが設けられている。サセプタ217の内部には、加熱機構としてのヒータ217bが埋め込まれている。ヒータ電力調整機構276を介してヒータ217bに電力が供給されることにより、基板載置面217d上に載置されたウエハ200を、例えば25~1000℃の範囲内の所定の温度に加熱することができる。
【0013】
サセプタ217の内部にはインピーダンス調整電極217cが装備されている。インピーダンス調整電極217cは、インピーダンス調整部としてのインピーダンス可変機構275を介して接地されている。インピーダンス可変機構275は、コイルや可変コンデンサ等を備えており、コイルのインダクタンス、抵抗、可変コンデンサの容量値等を制御することにより、インピーダンス調整電極217cのインピーダンスを所定の範囲内で変化させることが可能なように構成されている。これによって、インピーダンス調整電極217cおよびサセプタ217を介して、プラズマ処理中のウエハ200の電位(バイアス電圧)を制御することが可能となる。
【0014】
サセプタ217の下方には、サセプタ217を昇降させるサセプタ昇降機構268が設けられている。サセプタ217には、貫通孔217aが3つ設けられている。下側容器211の底面には、ウエハ200を支持する支持体としての支持ピン266が、3つの貫通孔217aのそれぞれに対応するように3本設けられている。サセプタ217が下降させられた際、3本の支持ピン266の各先端が、対応する各貫通孔217aを突き抜けて、サセプタ217の基板載置面217dよりも上面側へそれぞれ突出する。これにより、ウエハ200を下方から保持することが可能となる。
【0015】
処理室201の上方、つまり上側容器210の上部には、ガス供給ヘッド236が設けられている。ガス供給ヘッド236は、キャップ状の蓋体233と、ガス導入口234と、バッファ室237と、開口238と、遮蔽プレート240と、ガス吹出口239とを備え、処理室201内へガスを供給するように構成されている。
【0016】
ガス導入口234には、ヘリウム(He)ガス等の希ガスを供給するガス供給管232aの下流端と、酸素(O2)ガス等の酸素(O)含有ガスを供給するガス供給管232bの下流端と、水素(H2)ガス等の水素(H)含有ガスを供給するガス供給管232cの下流端と、が合流するように接続されている。ガス供給管232aには、ガス流の上流側から順に、希ガス供給源250a、流量制御装置としてのマスフローコントローラ(MFC)252a、開閉弁としてのバルブ253aが設けられている。ガス供給管232bには、ガス流の上流側から順に、O含有ガス供給源250b、MFC252b、バルブ253bが設けられている。ガス供給管232cには、ガス流の上流側から順に、H含有ガス供給源250c、MFC252c、バルブ253cが設けられている。ガス供給管232a~232cが合流した下流側には、バルブ243aが設けられている。バルブ253a~253c,243aを開閉させることで、MFC252a~252cにより流量を調整しつつ、希ガス、O含有ガス、H含有ガスのそれぞれを処理容器203内へ供給することが可能となる。なお、ガス供給管232a~232cからは、上述の各種ガスの他、不活性ガスとしてのN2ガスを供給することが可能なようにも構成されている。
【0017】
希ガスは、後述する基板処理工程の第1プラズマ処理において、プラズマ化されてウエハ200に対して供給され、ウエハ200の表面や膜中における弱い結合手をアタックして、未結合手を生成するように作用する。
【0018】
また、希ガス、O含有ガス、H含有ガスを含む混合ガスは、後述する基板処理工程の第2プラズマ処理において、プラズマ化されてウエハ200に対して供給され、ウエハ200の表面や膜中に生成された未結合手にOを結合させ、Al-O結合を再形成し、ウエハ200の表面に形成されているAlO膜を改質(酸化)するように作用する。O含有ガスは、後述する基板処理工程の第2プラズマ処理において酸化剤として作用する。H含有ガスは、それ単体では酸化作用は得られないが、後述する基板処理工程の第2プラズマ処理において、特定の条件下でO含有ガスと反応することでヒドロキシルラジカル(OHラジカル)等の反応種(酸化種、活性種)を生成し、酸化処理の効率を向上させるように作用する。希ガスは、後述する基板処理工程の第2プラズマ処理において、生成された酸素を含む反応種の失活を抑制又はその活性度を増大させる等し、酸素を含む反応種による酸化の作用を促進させ、これを維持するように作用する。N2ガスは、後述する基板処理工程において、プラズマ化されることなく用いられ、パージガス等として作用する場合がある。
【0019】
主に、ガス供給ヘッド236(蓋体233、ガス導入口234、バッファ室237、開口238、遮蔽プレート240、ガス吹出口239)、ガス供給管232a、MFC252a、バルブ253a,243aにより、第1供給系(希ガス含有ガス供給系)が構成される。また、主に、ガス供給ヘッド236、ガス供給管232b、MFC252b、バルブ253b,243aにより、第2供給系(O含有ガス供給系、酸化剤供給系)が構成される。また、主に、ガス供給ヘッド236、ガス供給管232c、MFC252c、バルブ253c,243aにより、第3供給系(H含有ガス供給系)が構成される。第3ガス供給系を第2ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0020】
下側容器211の側壁には、処理室201内を排気する排気口235が設けられている。排気口235には、排気管231の上流端が接続されている。排気管231には、上流側から順に、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ242、バルブ243b、真空排気装置としての真空ポンプ246が設けられている。主に、排気口235、排気管231、APCバルブ242、バルブ243bにより、排気部が構成されている。真空ポンプ246を排気部に含めてもよい。
【0021】
処理室201の外周部、すなわち、上側容器210の側壁の外側には、処理容器203を囲うように螺旋状の共振コイル212が設けられている。共振コイル212には、RF(Radio Frequency)センサ272、高周波電源273および周波数整合器(周波数制御部)274が接続されている。共振コイル212の外周側には、遮蔽板223が設けられている。
【0022】
高周波電源273は、共振コイル212に対して高周波電力を供給するよう構成されている。RFセンサ272は、高周波電源273の出力側に設けられ、高周波電源273から供給される高周波電力の進行波や反射波の情報をモニタするよう構成されている。周波数整合器274は、RFセンサ272でモニタされた反射波の情報に基づいて、反射波が最小となるように、高周波電源273から出力される高周波電力の周波数を整合させるよう構成されている。
【0023】
共振コイル212の両端は、電気的に接地されている。共振コイル212の一端は、可動タップ213を介して接地されている。共振コイル212の他端は、固定グランド214を介して接地されている。共振コイル212のこれら両端の間には、高周波電源273から給電を受ける位置を任意に設定できる可動タップ215が設けられている。
【0024】
遮蔽板223は、共振コイル212の外側への電磁波の漏れを遮蔽するとともに、共振回路を構成するのに必要な容量成分を共振コイル212との間に形成するよう構成されている。
【0025】
主に、共振コイル212、RFセンサ272、周波数整合器274により、プラズマ生成部(プラズマ生成ユニット)が構成されている。高周波電源273や遮蔽板223をプラズマ生成部に含めてもよい。
【0026】
以下、プラズマ生成部の動作や生成されるプラズマの性質について、
図2を用いて補足する。
【0027】
共振コイル212は、高周波誘導結合プラズマ(ICP)電極として機能するよう構成されている。共振コイル212は、所定の波長の定在波を形成し、全波長モードで共振するように、その巻径、巻回ピッチ、巻数等が設定される。共振コイル212の電気的長さ、すなわち、アース間の電極長は、高周波電源273から供給される高周波電力の波長の整数倍の長さとなるように調整される。一例として、共振コイル212の有効断面積は50~300mm2とされ、コイル直径は200~500mmとされ、コイルの巻回数は2~60回とされる。共振コイル212に供給される高周波電力の大きさは0.5~10kW、好ましくは1.0~5.0kWとされ、周波数は800kHz~50MHzとされる。共振コイル212で発生させる磁場は0.01~10ガウスとされる。本実施形態では、好適な例として、高周波電力の周波数を27.12MHz、共振コイル212の電気的長さを1波長の長さ(約11メートル)に設定している。
【0028】
高周波電源273は、電源制御手段と増幅器とを備えている。電源制御手段は、所定の高周波信号(制御信号)を増幅器に対して出力するよう構成されている。増幅器は、電源制御手段から受信した制御信号を増幅することで得られた高周波電力を、伝送線路を介して共振コイル212に向けて出力するよう構成されている。
【0029】
周波数整合器274は、反射波電力に関する電圧信号をRFセンサ272から受信し、反射波電力が最小となるように、高周波電源273が出力する高周波電力の周波数(発振周波数)を増加または減少させるような補正制御を行う。
【0030】
以上の構成により、プラズマ生成空間201a内に励起される誘導プラズマは、処理室201の内壁やサセプタ217等との容量結合が殆どない良質なものとなる。プラズマ生成空間201a中には、電気的ポテンシャルの極めて低い、平面視がドーナツ状のプラズマが生成されることとなる。共振コイル212の電気的長さを高周波電力の1波長の長さとする本実施形態の例では、共振コイルの電気的中点に相当する高さ位置の近傍において、このようなドーナツ状のプラズマが生成される。
【0031】
図3に示すように、制御部としてのコントローラ221は、CPU(Central Processing Unit)221a、RAM(Random Access Memory)221b、記憶装置221c、I/Oポート221dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM221b、記憶装置221c、I/Oポート221dは、内部バス221eを介して、CPU221aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ221には、入出力装置225として、例えばタッチパネル、マウス、キーボード、操作端末等が接続されていてもよい。コントローラ221には、表示部として、例えばディスプレイ等が接続されていてもよい。
【0032】
記憶装置221cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM等で構成されている。記憶装置221c内には、基板処理装置100の動作を制御する制御プログラム、基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ221に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。RAM221bは、CPU221aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0033】
I/Oポート221dは、上述のMFC252a~252c、バルブ253a~253c,243a,243b、ゲートバルブ244、APCバルブ242、真空ポンプ246、ヒータ217b、RFセンサ272、高周波電源273、周波数整合器274、サセプタ昇降機構268、インピーダンス可変機構275等に接続されている。
【0034】
CPU221aは、記憶装置221cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置225からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置221cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。
図1に示すように、CPU221aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、I/Oポート221dおよび信号線Aを通じてAPCバルブ242の開度調整動作、バルブ243bの開閉動作、および真空ポンプ246の起動および停止を、信号線Bを通じてサセプタ昇降機構268の昇降動作を、信号線Cを通じてヒータ電力調整機構276による温度センサに基づくヒータ217bへの供給電力量調整動作(温度調整動作)およびインピーダンス可変機構275によるインピーダンス値調整動作を、信号線Dを通じてゲートバルブ244の開閉動作を、信号線Eを通じてRFセンサ272、周波数整合器274および高周波電源273の動作を、信号線Fを通じてMFC252a~252cによる各種ガスの流量調整動作およびバルブ253a~253c,243aの開閉動作を、それぞれ制御するように構成されている。
【0035】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置100を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ200上に形成された酸化アルミニウム膜(Al
2O
3膜、以下、単にAlO膜と称する)を改質する基板処理シーケンス例について
図4及び
図5(A)~
図5(C)を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ221により制御される。
【0036】
本態様の基板処理シーケンスでは、
(1)希ガスとしてのHeを含有する希ガス含有ガスとしてのHe含有ガス(本態様では特にHeガス)をプラズマ化して生成されたHeを含む反応種を、ウエハ200上に形成された酸化膜としてのAlO膜に供給するステップ1と、
(2)(1)工程の後、He含有ガス(Heガス)とは異なるO含有ガスとしてのO2ガスを含むガスをプラズマ化して生成されたOを含む反応種(酸化種)を、AlO膜に供給するステップ2と、
を実行することによりAlO膜を改質する工程を有する。
【0037】
なお、本態様の基板処理シーケンスでは、ステップ2において、O含有ガスは、HeとOを含むガスであり、(2)工程では、HeとOを含むガスをプラズマ化して生成された、Heを含む反応種とOを含む反応種(酸化種)をAlO膜に供給する。
【0038】
また、本態様の基板処理シーケンスでは、ステップ2において、O含有ガスは、HeとOとHを含むガスであり、(2)工程では、HeとOとHを含むガスをプラズマ化して生成された、Heを含む反応種と、OとHを含む反応種(酸化種)をAlO膜に供給する。
【0039】
また、本態様の基板処理シーケンスでは、ステップ2において、O含有ガスは、OとHを含むガスであり、(2)工程では、OとHを含むガスをプラズマ化して生成された、OとHを含む反応種(酸化種)をAlO膜に供給する。
【0040】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0041】
(ウエハ搬入)
サセプタ217を所定の搬送位置まで降下させた状態で、ゲートバルブ244を開き、処理対象のウエハ200を、図示しない搬送ロボットにより処理容器203内へ搬入する。処理容器203内へ搬入されたウエハ200は、サセプタ217の基板載置面217dから上方へ突出した3本の支持ピン266上に水平姿勢で支持される。処理容器203内へのウエハ200の搬入が完了した後、処理容器203内から搬送ロボットのアーム部を退去させ、ゲートバルブ244を閉じる。その後、サセプタ217を所定の処理位置まで上昇させ、処理対象のウエハ200を、支持ピン266上からサセプタ217上へと移載させる。
【0042】
ここで、処理対象のウエハ200上には、改質対象の膜である酸化膜であり、金属酸化膜であるAlO膜が予め形成されている。AlO膜は、ウエハ200上に原料ガスを供給することによりAlOを堆積させて形成された堆積膜(デポ膜)である。このように形成されたAlO膜は、他の製法により形成されたAlO膜に比べ、アルミニウム(Al)と酸素(O)との結合が弱く、未結合手(ダングリングボンド)を多く含んでしまい、不純物を多く含む傾向がある。不純物として、例えば、水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、塩素(Cl)、ケイ素(Si)、フッ素(F)等が含まれる。不純物を多く含み、ダングリングボンドを多く含むAlO膜は、一般的に、リーク電流が多く、電気特性の悪い膜となる。
【0043】
(圧力調整、温度調整)
続いて、処理容器203内が所望の処理圧力となるように、真空ポンプ246によって真空排気される。処理容器203内の圧力は圧力センサで測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ242がフィードバック制御される。また、ウエハ200が所望の処理温度となるように、ヒータ217bによって加熱される。処理容器203内が所望の処理圧力となり、また、ウエハ200の温度が所望の処理温度に到達して安定したら、後述する第1プラズマ処理を開始する。なお、真空ポンプ246による真空排気は、第2プラズマ処理後におけるアフターパージ工程まで継続して行われ、処理容器203内が各工程における所望の圧力となるようにAPCバルブ242が制御される。
【0044】
(第1プラズマ処理、ステップ1)
この処理では、希ガス含有ガスとしてHeガスを、ウエハ200が収容された処理室201内へ供給してプラズマ化させ、プラズマ励起することにより、希ガスの元素を含む反応種であるHeの反応種を生成する。具体的には、バルブ253aを開き、MFC252aにより流量制御しながら、バッファ室237を介して処理室201内へHeガスを供給する。Heガスの供給は、前述の圧力調整の段階から開始していてもよい。そして、Heガスを供給してから所定時間経過後であって例えば30秒後に、共振コイル212に対して、高周波電源273から高周波電力を供給する。これにより、プラズマ生成空間201a内における共振コイル212の電気的中点に相当する高さ位置に、平面視がドーナツ状である誘導プラズマが励起される。
【0045】
Heガスは、誘導プラズマの励起等により活性化され、処理容器203内においてHeの反応種が生成される。Heの反応種には、励起状態のHe原子(He*)、および、イオン化されたHe原子であるHeラジカルのうち、少なくともいずれかが含まれる。
【0046】
ステップ1を行うことにより、生成されたHeの反応種がウエハ200上に形成されたAlO膜に対して供給される。Heの反応種は、ウエハ200上に形成されたAlO膜の表面や膜中における弱いAl-O結合をアタックして、未結合手を生成する。
【0047】
具体的には、
図5(A)に示すように、第1プラズマ処理前の成膜された時点のアズデポ状態のAlO膜は、Al-O結合が弱い箇所を多く含み、H等の不純物を多く含む。そして、
図5(B)に示すように、Heの反応種をウエハ200に供給することにより、Al-O結合の弱い箇所が切断される。そして、Heの反応種により弱いAl-O結合が切断されることで、Alの未結合手が生成される。また、Heの反応種は、改質対象のAlO膜中に含まれるH、C、N、Cl、Si、F等の不純物との結合を切断するようにも作用し、Alの未結合手を生成する。
【0048】
ここで、Heは、非常に小さな原子半径を有する元素であることから、Heの反応種は、改質対象のAlO膜の内部へ深く侵入(浸透)し、AlO膜の厚さ方向全体にわたって隅々まで行きわたる。AlO膜の内部へ侵入したHeの反応種は、膜中の弱いAl-O結合やAlと不純物との結合を切断し、Alの未結合手を生成する。本態様の第1プラズマ処理の作用は、AlO膜の表面だけでなく、例えば、AlO膜の厚さ方向においても及ぶこととなる。
【0049】
ステップ1における処理条件としては、
Heガス供給流量:0.1~10slm、好ましくは0.5~5slm
反応種の供給時間:30~300秒、好ましくは60~180秒
高周波電力:0.5~10kW、好ましくは1.0~5.0kW
処理温度:200~900℃、好ましくは300~800℃、より好ましくは500~800℃
処理圧力:1~300Pa、より好ましくは20~250Pa
が例示される。
なお、本明細書における「0.1~10slm」のような数値範囲の表記は、「0.1slm以上10slm以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0050】
希ガスとしては、Heガスの他、例えば、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス、キセノン(Xe)ガス等を用いることができる。
【0051】
(残留ガス除去)
バルブ253aを閉じ、Heガスの供給を停止するとともに、共振コイル212への高周波電力の供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ242は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する反応副生成物等の不純物を含むガスを処理室201内から排除する(パージする)。これにより、ウエハ200上から残留するガスが除去され、AlO膜の改質効率を向上させることができる。また、第1プラズマ処理(ステップ1)において供給されたガスが処理室201内に残留しなくなるため、次の第2プラズマ処理(ステップ2)において、処理室201内におけるO含有ガス中のそれぞれのガスの分圧(濃度)を安定させて処理を行うことが可能となる。このとき、ガス供給管232a~232cから不活性ガスとしてのN2ガスを供給してもよい。N2ガスはパージガスとして作用し、処理室201内に残留するガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0052】
(圧力調整、温度調整)
続いて、処理容器203内が所望の処理圧力となるように、真空ポンプ246によって真空排気される。処理容器203内の圧力は圧力センサで測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ242がフィードバック制御される。また、ウエハ200が所望の処理温度となるように、ヒータ217bによって加熱される。処理容器203内が所望の処理圧力となり、また、ウエハ200の温度が所望の処理温度に到達して安定したら、後述する第2プラズマ処理(酸化処理ともいう。)を開始する。すなわち、ウエハ200上のAlO膜に対して、第1プラズマ処理(ステップ1)を行った後、後述する第2プラズマ処理(ステップ2)を行う。
【0053】
(第2プラズマ処理、ステップ2)
この処理では、O含有ガスであって、HeとOを含むガスであり、HeとOとHを含むガスであり、OとHを含むガスであるHeガス、O2ガス、H2ガスを含む混合ガスを、ウエハ200が収容された処理室201内へ供給してプラズマ化させ、プラズマ励起することにより、Heを含む反応種とOとHを含む反応種(酸化種)を生成する。具体的には、バルブ253a~253cを開き、MFC252a~252cにより流量制御しながら、バッファ室237を介して処理室201内へO2ガス、H2ガス、Heガスを混合させつつ供給する。そして、O2ガス、H2ガス、Heガスの混合ガスの供給を開始してから所定時間経過後であって例えば10秒後に、共振コイル212に対して、高周波電源273から高周波電力を供給する。これにより、プラズマ生成空間201a内における共振コイル212の電気的中点に相当する高さ位置に、平面視がドーナツ状である誘導プラズマが励起される。
【0054】
混合ガスに含まれるO2ガスおよびH2ガスが、誘導プラズマの励起等により活性化(励起)されることにより、処理容器203内においてOとHを含む反応種が生成される。OとHを含む反応種には、励起状態のO原子(O*)、イオン化されたOラジカル、励起状態のH原子(H*)、イオン化されたHラジカル、励起状態のOH原子(OH*)、および、イオン化されたOHラジカルのうち、少なくともいずれかが含まれる。また、混合ガスに含まれるHeガスも、誘導プラズマの励起等により活性化されることにより、処理容器203内においてHeの反応種が生成される。Heの反応種には、励起状態のHe原子(He*)、および、イオン化されたHeラジカルのうち、少なくともいずれかが含まれる。
【0055】
ステップ2を行うことにより、生成されたOとHを含む反応種(酸化種)が、Heの反応種とともにウエハ200上のAlO膜に供給される。その結果、
図5(C)に示すように、
図5(B)において生成されたAlの未結合手にOラジカルやOHラジカルが反応してOが再結合され、酸化が促進される。そして、Al-O結合の再形成によりAlOの結晶構造が再構成され、緻密化される。また、これにより、改質対象のAlO膜の膜中に含まれるH、C、N、Cl、Si、F等の不純物が除去される。このようにして、改質対象のAlO膜は、改質前のAlO膜に比べて、不純物の含有量が少なく結晶構造の整った(即ち、AlOの化学量論組成に近づいた)、高純度で緻密なAlO膜へと改質(変化)される。改質後のAlO膜は、改質前のAlO膜に比べて、リーク電流が小さい膜となる。
【0056】
ステップ2における処理条件としては、
Heガス供給流量:0.1~10slm、好ましくは0.1~5slm
O2ガス供給流量:0.1~10slm、好ましくは0.1~5slm
H2ガス供給流量:0.1~10slm、好ましくは0.1~5slm
反応種の供給時間:30~300秒、好ましくは60~180秒
高周波電力:0.5~10kW、好ましくは1.0~5.0kW
処理温度:200~900℃、好ましくは300~800℃、より好ましくは500~800℃
処理圧力:1~300Pa、より好ましくは20~250Pa
が例示される。
また、Heガス、O2ガス、H2ガスの供給流量比、すなわちこれらの混合ガスの分圧比は、例えば1:1:1とする。但し、Heガスの分圧比が、例えば50%を超えると、Oを含む反応種の量が少なくなり、十分な改質効果が得られない可能性がある。そのため、ステップ2におけるHeガスの分圧比は50%以下であることが望ましい。
【0057】
Oを含む反応種とともにウエハ200に対して供給されるHeは、プラズマ生成空間201a(特に、誘導プラズマが生成される共振コイル212の電気的中点に相当する高さ位置)からウエハ200の表面に到達するまでの間、O含有ガスを活性化させてOを含む反応種を更に生成したり、Oを含む反応種を活性化させて失活を防いだりするよう作用する。すなわち、ウエハ200に対して供給されるHeは、Oを含む反応種がウエハ200の表面に到達するまでの間、Oを含む反応種の密度を維持、又は増大させることに貢献する。
【0058】
また、Oを含む反応種とともにウエハ200に対して供給されるHeは、非常に小さな原子半径を有する元素であることから、Heの反応種は、改質対象のAlO膜の内部へ深く侵入(浸透)し、AlO膜の厚さ方向全体にわたって隅々まで行きわたる。AlO膜の内部へ侵入したHeの反応種は、膜中でのOを含む反応種の失活を防ぎ、また、Oを含む反応種による膜中での上述の改質効果を高めるよう作用する。また、AlO膜に対するダメージを他のガスよりも抑制しながら改質処理を行うことが可能となる。そのため、Heの反応種をOを含む反応種とともに供給すると、上述したOを含む反応種によるAlO膜の酸化処理を効果的にアシストすることができ、AlO膜のより深い部分まで確実に酸化させることが可能となる。本態様の酸化処理の作用は、AlO膜の表面だけでなく、例えば、AlO膜の厚さ方向においてもなされることとなる。
【0059】
ここで、ステップ1における希ガス含有ガスに含まれるHeガスの分圧比を、ステップ2におけるO含有ガスである混合ガス(Heガス、O2ガス、H2ガス)に含まれるHeガスの分圧比よりも大きくする。すなわち、ステップ1における希ガス含有ガスに含まれるHeガス以外のガスの分圧比を、ステップ2におけるO含有ガスである混合ガス(Heガス、O2ガス、H2ガス)に含まれるHeガス以外のガスの分圧比よりも小さくする。
【0060】
ステップ1において酸化膜に供給される希ガスの反応種の比率が大きいほど、すなわち、プラズマ化される希ガス含有ガスにおける希ガスの分圧比が大きいほど、酸化膜の特性が向上される。よって、上述した態様のように、ステップ1において希ガス含有ガスは実質的に希ガスのみであるHeガスのみ(100%He元素であるガス)で構成するのが好ましい。ここで、「実質的に」とは、不純物程度に希ガス以外の元素が含まれる場合を含むことを意味する。すなわち、ステップ1において希ガス含有ガスとして希ガス以外の元素であるHe以外の元素(OやH等)を含んでもよいが、含まないようにするのが好ましい。分圧比は、処理室201内のガスの濃度比や処理室201内への供給流量比によって決定される。
【0061】
希ガスとしては、Heガスの他、例えば、Arガス、Neガス、Xeガス等を用いることができる。
【0062】
O含有ガスとしては、O2ガスの他、例えば、オゾン(O3)ガス、水蒸気(H2Oガス)、一酸化窒素(NO)ガス、亜酸化窒素(N2O)ガス等の水素非含有のO含有ガスを用いることができる。
【0063】
H含有ガスとしては、H2ガスの他、例えば、重水素(D2)ガス等を用いることができる。
【0064】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
上述の改質処理が完了した後、処理容器203内へのHeガス、O2ガス、H2ガスの供給をそれぞれ停止するとともに、共振コイル212への高周波電力の供給を停止する。そして、排気管231より処理容器203内の排気を行い、処理容器203内に残留するガスや反応副生成物を処理容器203内から除去する。その際、パージガスとしてのN2ガスを処理容器203内へ供給してもよい。その後、処理容器203内の雰囲気がN2ガスに置換され、処理容器203内の圧力が常圧に復帰される。
【0065】
(ウエハ搬出)
続いて、サセプタ217を所定の搬送位置まで下降させ、ウエハ200を、サセプタ217上から支持ピン266上へと移載させる。その後、ゲートバルブ244を開き、図示しない搬送ロボットを用い、処理後のウエハ200を処理容器203外へ搬出する。以上により、本態様に係る基板処理工程を終了する。
【0066】
(3)本態様による効果
本態様によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
【0067】
(a)ステップ1,2をこの順に実行することにより、ステップ1のみ、又はステップ2のみを行う場合と比較して、AlO膜の特性を向上させることが可能となる。例えば
図6に一例として示すように、3DNANDのブロック層として用いられるAlO膜は、絶縁層へのリーク電流を抑制することが要求される。本態様によれば、ステップ1のみ、又はステップ2のみを行う場合と比較して、AlO膜のリーク電流を低減できる。すなわち、AlO膜の電気特性を向上させることが可能となる。
【0068】
(b)ステップ1において、希ガス含有ガスとして、原子半径が小さく、膜中への浸透性が極めて高いHeガスを用いて、Heの反応種を供給することにより、Al-O結合の弱い箇所をアタックして未結合手とすることができる。さらに、ステップ1の後にステップ2においてOを含む反応種を供給することにより、未結合手が生成された箇所にOを結合させて、Al-O結合を再形成することができる。これにより、結晶構造が再構成され、緻密化されて、AlO膜の膜質が改善される。また、結晶構造が再構成され、緻密化されることにより、改質対象のAlO膜の膜中に含まれるH、C、N、Cl、Si、F等の不純物が除去される。このようにして、改質対象のAlO膜は、改質前のAlO膜に比べて、不純物の含有量が少なく、結晶構造の整った(即ち、AlOの化学量論組成に近づいた)高純度で緻密なAlO膜へと改質(変化)される。改質後のAlO膜は、改質前のAlO膜に比べて、リーク電流を低減できる。すなわち、改質後のAlO膜の電気特性を向上させることが可能となる。
【0069】
(c)ステップ1において供給される希ガス含有ガスに含まれる希ガスの分圧比が、ステップ2において供給される酸素含有ガスに含まれる希ガスの分圧比よりも大きいほど、改質後のAlO膜の特性を向上させることができる。
【0070】
(d)ステップ2では、O2ガスにH2ガスを添加して、O及びHを含む反応種をウエハ200に対して供給することにより、O含有ガスとしてO2ガスを単独供給する場合に比べ、酸化力向上効果が得られるようになる。これにより、改質後のAlO膜の特性を向上させることが可能となる。
【0071】
(e)ステップ2では、希ガスとして、原子半径が小さく、膜中への浸透性が極めて高いHeガスを用いることにより、上述した酸化アシストの効果が、例えば、AlO膜の厚さ方向においても得られるようになる。これにより、改質後のAlO膜のリーク電流を低減するなど、改質後のAlO膜の電気特性を向上させることが可能となる。
【0072】
(f)上述の効果は、Heガス以外の希ガスを用いる場合や、O2ガス以外のO含有ガスを用いる場合や、H2ガス以外のH含有ガスを用いる場合にも、同様に得られる。ただし、希ガスとしてHeガスを用いる方が、He以外の希ガスを用いるよりも、元素の原子半径が小さく、上述の効果をより確実に得ることが可能となる点で好ましい。希ガスとしてHe以外の希ガスを用いる場合は、このガスと、Heガスと、を組み合わせて用いるようにするのが好ましい。すなわち、希ガスには、少なくともHeガスを含ませるのが好ましい。
【0073】
(4)変形例
本態様における基板処理シーケンスは、上述の態様に限定されず、以下に示す変形例のように変更することができる。これらの変形例は任意に組み合わせることができる。特に説明がない限り、各変形例の各ステップにおける処理手順、処理条件は、上述の基板処理シーケンスにおける各ステップにおける処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【0074】
(変形例1)
上述した態様における第2プラズマ処理(ステップ2)において、O含有ガスとしてO
2ガスとH
2ガスとHeガスの混合ガスを供給する場合に限らず、
図7に示すように、第2プラズマ処理(ステップ2)において、O含有ガスとしてO
2ガスとH
2ガスの混合ガスを供給し、O
2ガスとH
2ガスの混合ガスをプラズマ化して生成されたOとHを含む反応種を供給するようにしてもよい。この場合であっても、上述の基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。また、O含有ガスとしてO
2ガスにH
2ガスを添加することにより酸化力を向上させることができる。
【0075】
(変形例2)
また、上述した態様では、第1プラズマ処理(ステップ1)において、Heガスを供給することでHeの反応種を供給し、その後所定の期間、Heガスの供給を停止した後に、第2プラズマ処理(ステップ2)において、HeガスとO
2ガスとH
2ガスの混合ガスを供給する。しかし、第1プラズマ処理(ステップ1)の後にHeガスの供給を停止する場合に限らず、
図8に示すように、第1プラズマ処理(ステップ1)において、Heガスを供給してプラズマ化して生成されたHeの反応種を供給した後、Heガスの供給を継続したまま、第2プラズマ処理(ステップ2)において、Oを含むガスであるO
2ガスとH
2ガスの混合ガスを処理室201内に供給し、HeガスとO
2ガスとH
2ガスの混合ガスをプラズマ励起することにより、Heの反応種とOとHを含む反応種(酸化種)を生成して処理室201内に供給するようにしてもよい。この場合であっても、上述の基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。
【0076】
(変形例3)
ウエハ200上に予め形成された改質対象の酸化膜は、AlO膜に限らず、酸化モリブデン膜(MoO膜)、酸化ジルコニウム膜(ZrO膜)、酸化ハフニウム膜(HfO膜)、酸化ジルコニウムハフニウム膜(ZrHfO膜)等の金属酸化膜、特にHigh-k酸化膜であってもよい。また、改質対象の酸化膜はシリコン酸化膜(SiO膜)であってもよい。これらの場合においても、上述の基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。
【0077】
<他の態様>
以上、本開示の態様を具体的に説明した。但し、本開示は上述の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0078】
例えば、上述の態様では、第1プラズマ処理(ステップ1)における希ガス含有ガスのプラズマ化と、第2プラズマ処理(ステップ2)におけるO含有ガスのプラズマ化を処理容器203内で行う例について説明したが、本開示はこのような態様に限定されない。すなわち、希ガス含有ガスのプラズマ化と、O含有ガスのプラズマ化をそれぞれ処理容器203の外部で行い、処理容器203の外部で生成した希ガスを含む反応種やOを含む反応種を、それぞれ処理容器203内へ供給するようにしてもよい。ただし、上述の酸化アシスト効果を十分に得るためには、上述の態様とする方が好ましい。
【0079】
上述の態様や変形例等は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の態様の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【実施例1】
【0080】
ウエハの表面に100Åの厚さのAlO膜が形成されたサンプル1~6を用意し、サンプル2~6に対して、それぞれ下記に示すプラズマ処理を行った。すなわち、サンプル1に対しては、プラズマ処理を行っていない。言い換えれば、サンプル1のウエハ上に形成されたAlO膜は、アズデポ状態の膜である。
【0081】
サンプル2は、
図1に示す基板処理装置を用い、
図4に示す基板処理シーケンス(Heの反応種を供給した後に、He、O、Hの反応種を供給)により、ウエハの表面に形成されているAlO膜を改質したものである。すなわち、2段階でプラズマ処理を実行したものである。処理条件は、上述の態様に記載した処理条件範囲内の所定の条件とした。
【0082】
サンプル3は、
図1に示す基板処理装置を用い、
図7に示す基板処理シーケンス(Heの反応種を供給した後に、O、Hの反応種を供給)により、ウエハの表面に形成されているAlO膜を改質させたものである。すなわち、2段階でプラズマ処理を実行したものである。処理条件は、上述の態様に記載した処理条件範囲内の所定の条件であって、サンプル1における処理条件と共通の条件とした。
【0083】
サンプル4として、
図1に示す基板処理装置を用い、
図4に示す基板処理シーケンスの第1プラズマ処理(Heの反応種を供給)のみを行って、ウエハの表面に形成されているAlO膜を改質させたものである。すなわち、1段階でプラズマ処理を実行したものである。処理条件は、上述の態様に記載した処理条件範囲内の所定の条件とした。
【0084】
サンプル5として、
図1に示す基板処理装置を用い、
図4に示す基板処理シーケンスの第2プラズマ処理(He、O、Hの反応種を供給)のみを行って、ウエハの表面に形成されているAlO膜を改質させたものである。すなわち、1段階でプラズマ処理を実行したものである。処理条件は、上述の態様に記載した処理条件範囲内の所定の条件とした。
【0085】
サンプル6として、
図1に示す基板処理装置を用い、
図7に示す基板処理シーケンスの第2プラズマ処理(O、Hの反応種を供給)のみを行って、ウエハの表面に形成されているAlO膜を改質させたものである。すなわち、1段階でプラズマ処理を実行したものである。処理条件は、上述の態様に記載した処理条件範囲内の所定の条件とした。
【0086】
そして、サンプル1~6のAlO膜にプローブを当ててそれぞれの電流値と電圧を測定し、リーク電流を評価した。
図9(B)に示すように、プラズマ処理が1段階のサンプル4~サンプル6では、アズデポ状態のAlO膜であるサンプル1と比較して、リーク電流は同等、若しくは悪化していた。これに対して、
図9(A)に示すように、プラズマ処理が2段階のサンプル2、3では、アズデポ状態のAlO膜であるサンプル1と比較してリーク電流が低減され、電気的特性が向上していることが確認された。
【0087】
<本開示の好ましい態様>
以下、好ましい態様について付記する。
【0088】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
(1)希ガスを含有する希ガス含有ガスをプラズマ化して生成された前記希ガスの元素を含む反応種を、基板上に形成された酸化膜に供給する工程と、
(2)(1)工程の後、前記希ガス含有ガスとは異なる酸素含有ガスをプラズマ化して生成された酸素を含む反応種を、前記酸化膜に供給する工程と、
を実行することにより前記酸化膜を改質する工程を有する
半導体装置の製造方法が提供される。
【0089】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
前記酸素含有ガスは、前記希ガスと酸素を含むガスであり、
(2)工程では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、前記希ガスの元素を含む反応種と酸素を含む反応種を前記酸化膜に供給する。
【0090】
(付記3)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
前記酸素含有ガスは、前記希ガスと酸素と水素を含むガスであり、
(2)工程では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、前記希ガスの元素を含む反応種と酸素及び水素を含む反応種を前記酸化膜に供給する。
【0091】
(付記4)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
前記酸素含有ガスは、酸素と水素を含むガスであり、
(2)工程では、前記酸素含有ガスをプラズマ化して生成された、酸素及び水素を含む反応種を前記酸化膜に供給する。
【0092】
(付記5)
付記1~付記3のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記希ガス含有ガスにおける前記希ガスの分圧比は、前記酸素含有ガスにおける前記希ガスの分圧比よりも大きい。
【0093】
(付記6)
付記5に記載の方法であって、好ましくは、
前記希ガス含有ガスは、前記希ガスのみで構成される。
【0094】
(付記7)
付記1~付記6のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
(1)工程の後、前記希ガス含有ガスの供給を停止して、前記基板上から残留ガスを除去する工程を更に有する。
【0095】
(付記8)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
(1)工程では、前記基板が収容された処理室内に前記希ガスを供給し、
(2)工程では、(1)工程の終了後、前記希ガスの供給を継続したまま、更に酸素を含むガスを前記処理室内に供給し、
前記希ガスと前記酸素を含むガスの混合ガスをプラズマ励起することにより、前記希ガスの元素を含む反応種と酸素を含む反応種を生成する。
【0096】
(付記9)
本開示の他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
希ガスを含有する希ガス含有ガスを前記処理室内に供給する希ガス含有ガス供給系と、
前記希ガス含有ガスとは異なる酸素含有ガスを前記処理室内に供給する酸素含有ガス供給系と、
前記処理室内に供給された前記希ガス含有ガスと前記酸素含有ガスをプラズマ励起するプラズマ生成部と、
(1)前記希ガス含有ガス供給系及び前記プラズマ生成部を制御して、前記基板が収容された前記処理室内に前記希ガス含有ガスを供給するとともに、前記処理室内に供給された前記希ガス含有ガスをプラズマ励起する処理と、
(2)(1)処理の後、前記酸素含有ガス供給系及び前記プラズマ生成部を制御して、前記基板が収容された前記処理室内に前記酸素含有ガスを供給するとともに、前記処理室内に供給された前記酸素含有ガスをプラズマ励起する処理と、
を実行させるように構成された制御部と、
を備える基板処理装置が提供される。
【0097】
(付記10)
本開示のさらに他の態様によれば、
(1)希ガスを含有する希ガス含有ガスをプラズマ化して生成された前記希ガスの元素を含む反応種を、基板処理装置の処理室内に収容された基板上に形成された酸化膜に供給する手順と、
(2)(1)手順の後、前記希ガス含有ガスとは異なる酸素含有ガスをプラズマ化して生成された酸素を含む反応種を、前記酸化膜に供給する手順と、
を実行することにより前記酸化膜を改質する手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム、又は当該プログラムが記録されたコンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供される。
【符号の説明】
【0098】
200 ウエハ(基板)
203 処理容器