(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230208BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20230208BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/318 B
C23C16/44 E
(21)【出願番号】P 2021033215
(22)【出願日】2021-03-03
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 愛彦
(72)【発明者】
【氏名】大橋 直史
(72)【発明者】
【氏名】高崎 唯史
(72)【発明者】
【氏名】松井 俊
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-052339(JP,A)
【文献】特開2015-183271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/312-21/32
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469-21/475
H01L 21/86
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理容器と、
前記処理容器の内部に設けられ、複数の前記基板を平面上に支持する支持部と、
前記処理容器内に設定された第一ドメインに第一ガスを供給可能な第一ガス供給部と、
前記処理容器内に設定された第二ドメインに第二ガスを供給可能な第二ガス供給部と、
前記支持部の外周に沿って設けられた排気バッファ構造部と、
前記排気バッファ構造部に接続され、前記第一ガス供給部からの前記第一ガスの流れの下流に設けられる第一ガス排気部と、
前記排気バッファ構造部に接続され、前記第二ガス供給部からの前記第二ガスの流れの下流に設けられる第二ガス排気部と、
前記排気バッファ構造部にクリーニングガスを供給可能な第三ガス供給部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記クリーニングガスを活性化
可能な活性化部
を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第三ガス供給部は、前記クリーニングガスとして、炭素含有膜を除去可能な第一クリーニングガスと、炭素非含有膜を除去可能な第二クリーニングガスとを供給可能であり、
前記排気バッファ構造部への供給の際に、前記第一クリーニングガスを供給し、その後に前記第二クリーニングガスを供給するように構成されている
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記支持部上にクリーニングガスを供給
可能な第四ガス供給
部
を有する請求項
1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第四ガス供給部は、重力方向において、前記第三ガス供給部よりも上方に設けられる
請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第三ガス供給部が前記排気バッファ構造部をクリーニングする際のクリーニングガスの分圧が、前記第四ガス供給部が前記支持部上をクリーニングする際のクリーニングガスの分圧よりも高くなるように、前記第三ガス供給部および前記第四ガス供給部を制御するか、
前記第三ガス供給部による前記排気バッファ構造部のクリーニングの頻度が、前記第四ガス供給部による前記支持部上のクリーニングの頻度よりも高くなるように、前記第三ガス供給部および前記第四ガス供給部を制御する
制御部
を有する請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第三ガス供給部が前記排気バッファ構造部に供給するクリーニングガスの供給時間が、前記第四ガス供給部が前記支持部上に供給するクリーニングガスの供給時間よりも長くなるように、前記第三ガス供給部および前記第四ガス供給部を制御するか、
前記第四ガス供給部による前記支持部上へのクリーニングガス供給から所定時間経過後、前記支持部上へのクリーニングガス供給を停止するとともに、前記第三ガス供給部による前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給を開始するように、前記第三ガス供給部および前記第四ガス供給部を制御するか、
前記第三ガス供給部が前記排気バッファ構造部に供給するクリーニングガスの供給回数が、前記第四ガス供給部が前記支持部上に供給するクリーニングガスの供給回数よりも多くなるように、前記第三ガス供給部および前記第四ガス供給部を制御する
制御部
を有する請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第三ガス供給部が供給するクリーニングガスを活性化可能な第一の活性化部と、
前記第四ガス供給部が供給するクリーニングガスを活性化可能な第二の活性化部と、
前記第三ガス供給部が供給するクリーニングガスに対する前記第一の活性化部の活性化エネルギー量が、前記第二の活性化部の活性化エネルギー量よりも高くなるように、前記第一の活性化部および前記第二の活性化部を制御する制御部と、
を有する請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第三ガス供給部から供給するクリーニングガスと、前記第四ガス供給部から供給するクリーニングガスとは、成分が異なるように構成される
請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項10】
更に、前記クリーニングガスを活性化可能な活性化部と、
前記支持部上にクリーニングガスを供給可能な第四ガス供給部と、
前記支持部を加熱可能なヒータ部とを備え、
前記第三ガス供給部は、前記活性化部を稼働させた状態で、前記排気バッファ構造部にクリーニングガスを供給し、
前記第四ガス供給部は、前記ヒータ部を稼働させた状態で、前記支持部上にクリーニングガスを供給する
請求項
1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記処理容器内に不活性ガスを供給
可能な不活性ガス供給部と、
前記第三ガス供給部による前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と並行して、前記不活性ガス供給部から不活性ガスを供給するように、前記不活性ガス供給部および前記第三ガス供給部を制御する制御部と、
を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第三ガス供給部が前記排気バッファ構造部へクリーニングガスを供給する間、前記支持部の上方の分圧が前記排気バッファ構造部の分圧よりも高くなるように、前記不活性ガス供給部および前記第三ガス供給部を制御する
請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記支持部には、前記基板を支持するリフトピンを貫通させる貫通孔が設けられているとともに、
前記制御部は、前記第三ガス供給部が前記排気バッファ構造部へクリーニングガスを供給する間、前記貫通孔の上方の分圧が前記排気バッファ構造部の分圧よりも高くなるように、前記不活性ガス供給部および前記第三ガス供給部を制御する
請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第三ガス供給部は、
重力方向において、前記第一ガス供給部または前記第二ガス供給部と、前記排気バッファ構造部に設けられる排気孔との間に配されており、
前記重力方向との直交方向において、前記第一ガス供給部と前記第二ガス供給部との間に配されている
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記第三ガス供給部は、前記第一ドメインと前記第二ドメインとの間に設定されたパージドメインにおけるガスの流れの下流側に設けられる
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記処理容器は、開閉可能なゲートバルブと、前記ゲートバルブと前記支持部との間に設けられる通路と、を有しており、
前記第三ガス供給部は、前記通路に前記クリーニングガスを供給可能に構成されている
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記第三ガス供給部から前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と、前記第一ガス排気部による排気の停止と、前記第二ガス排気部による排気の稼働とを並行して行うか、または、前記第三ガス供給部から前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と、前記第一ガス排気部による排気の稼動と、前記第二ガス排気部による排気の停止とを並行して行うように、前記第一ガス排気部、前記第二ガス排気部および前記第三ガス供給部を制御する制御部
を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記第三ガス供給部から前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と、前記第一ガス排気部による排気量が前記第二ガス排気部による排気量よりも多くなる排気制御とを並行して行うか、または、前記第三ガス供給部から前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と、前記第一ガス排気部による排気量が前記第二ガス排気部による排気量よりも少なくなる排気制御とを並行して行うように、前記第一ガス排気部、前記第二ガス排気部および前記第三ガス供給部を制御する制御
部
を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記第三ガス供給部から前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と、前記第一ガス排気部による排気の停止および前記第二ガス排気部による排気の停止とを並行して行うように、前記第一ガス排気部、前記第二ガス排気部および前記第三ガス供給部を制御する制御部
を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項20】
前記第三ガス供給部は、前記第一ドメインと前記第二ドメインとの間に設定されたパージドメインにおけるガスの流れの下流側に設けられており、
前記排気バッファ構造部を構成する外周壁と前記支持部との間の距離は、前記第一ドメインおよび前記第二ドメインにおける距離よりも前記パージドメインにおける距離が小さくなるように構成されている
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項21】
処理容器の内部に設けられた支持部の平面上に複数の基板を支持する工程と、
前記処理容器内に設定された第一ドメインへの第一ガス供給部からの第一ガス供給と、
前記処理容器内に設定された第二ドメインへの第二ガス供給部からの第二ガス供給と、前記支持部の外周に沿って設けられた排気バッファ構造部に接続され前記第一ガス供給部によるガス流の下流に設けられた第一ガス排気部からの排気および前記排気バッファ構造部に接続され前記第二ガス供給部によるガス流の下流に設けられた部第二ガス排気部からの排気と、を行い、前記基板を処理する工程と、
前記基板を前記処理容器から搬出する工程と、
前記排気バッファ構造部に接続された第三ガス供給部からクリーニングガスを供給して、前記排気バッファ構造部内をクリーニングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項22】
処理容器の内部に設けられた支持部の平面上に複数の基板を支持する手順と、
前記処理容器内に設定された第一ドメインへの第一ガス供給部からの第一ガス供給と、
前記処理容器内に設定された第二ドメインへの第二ガス供給部からの第二ガス供給と、前記支持部の外周に沿って設けられた排気バッファ構造部に接続され前記第一ガス供給部によるガス流の下流に設けられた第一ガス排気部からの排気および前記排気バッファ構造部に接続され前記第二ガス供給部によるガス流の下流に設けられた部第二ガス排気部からの排気と、を行い、前記基板を処理する手順と、
前記基板を前記処理容器から搬出する手順と、
前記排気バッファ構造部に接続された第三ガス供給部からクリーニングガスを供給して、前記排気バッファ構造部内をクリーニングする手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程で用いられる基板処理装置として、例えば、複数の基板を円周状に並べて配置し、各基板に第一ガスおよび第二ガスを順次供給することで、各基板に対して所定の処理(成膜処理等)を行うように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、供給したガスを排気する際に第一ガスと第二ガスとのミックスが生じ得るおそれに対して、排気系のクリーニング効率を高めることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理容器と、
前記処理容器の内部に設けられ、複数の前記基板を平面上に支持する支持部と、
前記処理容器内に設定された第一ドメインに第一ガスを供給する第一ガス供給部と、
前記処理容器内に設定された第二ドメインに第二ガスを供給する第二ガス供給部と、
前記支持部の外周に沿って設けられた排気バッファ構造部と、
前記排気バッファ構造部に接続され、前記第一ガス供給部からの前記第一ガスの流れの下流に設けられる第一ガス排気部と、
前記排気バッファ構造部に接続され、前記第二ガス供給部からの前記第二ガスの流れの下流に設けられる第二ガス排気部と、
前記排気バッファ構造部にクリーニングガスを供給する第三ガス供給部と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、排気バッファ構造部にクリーニングガスを供給することで、排気系のクリーニング効率を高めることができる
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態に係る基板処理装置を上方から見た横断面概略図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の縦断面概略図であり、
図1におけるα-α’線断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の縦断面概略図であり、
図1におけるβ-β’線断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る基板処理装置における基板支持機構の構成例を示す説明図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る基板処理装置におけるガス供給部の構成例を説明する説明図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る基板処理装置におけるコントローラの機能構成例を示すブロック図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る基板処理装置が実行する基板処理工程の手順の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
本開示の一実施形態に係る基板処理装置の構成について、主に
図1、
図2、
図3、
図4を用いて説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面上の各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
図1は本実施形態に係る基板処理装置200を上方から見た横断面概略図である。
図2は本実施形態に係る基板処理装置200の縦断面概略図であり、
図1におけるα-α’線断面図である。なお、α-α’線は、αからチャンバ302の中心を通ってα’に向かう線である。
図3は本実施形態に係る基板処理装置200の縦断面概略図であり、
図1におけるβ-β’線断面図である。なお、β-β’線は、βからチャンバ302の中心を通ってβ’に向かう線である。
図4は本実施形態に係る基板処理装置200における基板支持機構の構成例を示す説明図である。
【0011】
(チャンバ)
図1、
図2および
図3に示すように、基板処理装置200は、主に円筒状の気密容器(処理容器)であるチャンバ302で構成される。チャンバ302内には、基板100を処理する処理室301が構成されている。チャンバ302にはゲートバルブ305が接続されており、ゲートバルブ305を介して基板100が搬入出される。ゲートバルブ305は通路305aに隣接する。基板100は通路305aを介して移動される。
【0012】
処理室301内には、処理ガスを供給するドメイン(領域)である処理領域306と、パージガスを供給するドメイン(領域)であるパージ領域307と、が設定されている。ここでは、処理領域306とパージ領域307は、円周状に交互に配される。例えば、第一ドメインとしての第一処理領域306a、パージドメインとしての第一パージ領域307a、第二ドメインとしての第二処理領域306bおよびパージドメインとしての第二パージ領域307bの順に配される。後述するように、第一処理領域306a内には第一ガスが供給され、第二処理領域306b内には第二ガスが供給され、また第一パージ領域307aおよび第二パージ領域307bには不活性ガスが供給される。これにより、それぞれの領域内に供給されるガスに応じて、基板100に対して所定の処理が施される。
【0013】
パージ領域307は、第一処理領域306aと第二処理領域306bとを空間的に切り分ける領域である。パージ領域307の天井308は処理領域306の天井309よりも低くなるよう構成されている。第一パージ領域307aには天井308aが設けられ、第二パージ領域307bには天井308bが設けられる。各天井を低くすることで、パージ領域307の空間の圧力を高くする。この空間にパージガスを供給することで、隣り合う処理領域306を区画している。なお、パージガスは基板100上の余分なガスを除去する役割も有する。
【0014】
チャンバ302内には、基板100を支持する支持部としての基板載置プレート317が設けられている。基板載置プレート317は、チャンバ302の中心付近に配された回転軸を有し、回転自在に構成される。また、基板載置プレート317は、複数枚(例えば5枚)の基板100を同一平面上に、かつ、回転方向に沿って同一円周状に配置可能なよう構成される。基板載置プレート317は、熱を透過する性質を有し、後述するヒータ380から放射される熱を透過させる。透過された熱は基板100を加熱する。基板載置プレート317は、例えば石英で構成される。
【0015】
基板載置プレート317の表面は、基板100が載置される基板載置面311と、それ以外の非基板載置面325と、で構成される。
【0016】
基板載置面311は、基板載置プレート317の中心から同心円状の位置に互いに等間隔(例えば72°の間隔)で配置されている。なお、
図1においては、説明の便宜上図示を省略している。基板載置面311は、凹部312の底面に設けられる。それぞれの凹部312は、例えば基板載置プレート317の上面から見て円形状であり、側面から見て凹形状である。凹部312の直径は基板100の直径よりもわずかに大きくなるように構成することが好ましい。凹部312内に基板100を載置することで、基板100を基板載置面311に載置できる。
【0017】
非基板載置面325は、基板載置面311以外の面であり、基板100が載置されない面である。例えば、複数の凹部312の間の面、凹部312から見てチャンバ302の中心側の領域を構成する面、凹部312から見てチャンバ302の外周側の領域を構成する面等が、非基板載置面325に該当する。
【0018】
基板載置面311を構成する各凹部312には、リフトピン320が貫通する貫通孔317aが複数設けられている。基板載置プレート317の下方であってゲートバルブ305と向かい合う箇所には、
図4に示す基板保持機構316が設けられている。基板保持機構316は、基板100の搬入・搬出時に、基板100を突き上げて、基板100の裏面を支持するリフトピン320を複数有する。リフトピン320は延伸可能な構成であって、例えば基板保持機構316の本体に収納可能である。基板100を移載する際には、リフトピン320が延伸され基板100を保持する。その後、リフトピン320の先端が下方に移動することで、基板100は凹部312に載置される。基板保持機構316は、基板載置時にリフトピン320を貫通孔317aに挿入可能な構成であればよい。
【0019】
基板載置プレート317は、コア部321に固定される。コア部321は、基板載置プレート317の中心に設けられ、基板載置プレート317を固定する役割を有する。コア部321の下方には、シャフト322が配される。シャフト322は、コア部321を支持する。
【0020】
シャフト322の下方は、チャンバ302の底部に設けられた孔323を貫通し、チャンバ302外で気密可能なベローズ304で覆われている。また、シャフト322の下端には、回転部319が設けられる。なお、シャフト322を昇降させる機能も有する場合は、昇降回転部と呼んでもよい。回転部319は、後述するコントローラ400の指示によって、基板載置プレート317を回転可能に構成される。
【0021】
基板載置プレート317の下方には、加熱部(ヒータ部)としてのヒータ380を内包するヒータユニット381が配される。ヒータ380は、基板載置プレート317に載置した各基板100を加熱する。ヒータ380は、チャンバ302の形状に沿って円周状に配される。ヒータ380には、ヒータ制御部387が接続される。ヒータ380は、後述するコントローラ400に電気的に接続され、コントローラ400の指示によってヒータ380への電力供給を制御し、温度制御を行う。
【0022】
基板載置プレート317の外周側には、基板載置プレート317の外周に沿うように、排気バッファ構造部386が設けられている。排気バッファ構造部386は、排気溝388と排気バッファ空間389とを有する。排気溝388、排気バッファ空間389は、チャンバ302の形状に沿って円周状に構成される。
【0023】
排気バッファ構造部386の底には、排気孔392が設けられている。排気孔392はチャンバ302内に供給されるガスを排気する。各ガスは、排気バッファ構造部386を構成する排気溝388および排気バッファ空間389を介して、排気孔392から排気されることになる。
【0024】
排気バッファ構造部386のうち、パージ領域307と隣接する箇所には、凸部390が設けられる。凸部390は、排気バッファ構造部386の外周から、基板支持部317に向けて延伸される構造である。凸部390を設けることで、パージ領域307から供給される不活性ガスが排気バッファ構造部386内に大量に流れることを防げるので、上流側から流れるガスを遮断できる。
【0025】
(ガス供給部)
次に、チャンバ302へのガス供給を行うガス供給部について、主に
図1、
図2、
図5を用いて説明する。
図5は本実施形態に係る基板処理装置200におけるガス供給部の構成例を示す説明図である。
【0026】
図1、
図2に示すように、チャンバ302には、第一処理領域306aに延びるノズル341、第二処理領域306bに延びるノズル342、第一パージ領域307aに延びるノズル344、第二パージ領域307bに延びるノズル345、排気バッファ構造部386に延びるノズル346、および、処理室301内の基板載置プレート317上に延びるノズル348が設けられている。
図1中の「A」は
図5(a)中の「A」と接続される。すなわち、ノズル341は供給管241に接続される。
図1中の「B」は
図5(b)中の「B」と接続される。すなわち、ノズル342は供給管251に接続される。
図1中の「C」は
図5(c)中の「C」と接続される。すなわち、ノズル344、ノズル345はそれぞれ供給管261に接続される。
図2中の「D」は
図5(d)中の「D」と接続される。すなわち、ノズル346は供給管271に接続される。
図1中の「E」は
図5(e)中の「E」と接続される。すなわち、ノズル348は供給管281に接続される。
【0027】
図5(a)はガス供給部の一部である第一ガス供給部240の構成例を示す。第一ガス供給部240における第一ガス供給管241には、上流方向から順に、第一ガス供給源242、流量制御器(流量制御部)であるMFC243、および、開閉弁であるバルブ244が設けられる。
【0028】
このような第一ガス供給部240における第一ガス供給管241からは、第一元素を含有するガス(以下、「第一ガス」という。)が主に供給される。つまり、第一ガスは、MFC243、バルブ244、第一ガス供給管241を介してノズル341に供給される。そして、ノズル341を通じて第一処理領域306aに供給される。
【0029】
第一ガスは、処理ガスの一つであり、第一元素を含有する原料ガスである。ここで、第一元素は、例えばシリコン(Si)である。すなわち、第一ガスは、Siガス(Si含有ガスとも呼ぶ。)であり、Siを主成分としたガスである。具体的には、ジクロロシラン(DCS、SiH2Cl2)ガスが用いられる。
【0030】
主に、第一ガス供給管241、MFC243、バルブ244、ノズル341により、第一ガス供給部240が構成される。第一ガス供給源242を第一ガス供給部240に含めて考えてもよい。
【0031】
図5(b)はガス供給部の一部である第二ガス供給部250の構成例を示す。第二ガス供給部250における第二ガス供給管251には、上流方向から順に、第二ガス供給源252、流量制御器(流量制御部)であるMFC253、バルブ254が設けられる。
【0032】
このような第二ガス供給部250における第二ガス供給管251からは、第一ガスと反応する反応ガス(以下、「第二ガス」という。)が主に供給される。つまり、第二ガスは、MFC253、バルブ254、第二ガス供給管251を介してノズル342に供給される。そして、ノズル342を通じて第二処理領域306bに供給される。
【0033】
第二ガスは、処理ガスの一つであり、例えば窒素を主成分とした窒素含有ガスである。窒素含有ガスとしては、例えばアンモニア(NH3)ガスが用いられる。
【0034】
主に、第二ガス供給管251、MFC253、バルブ254、ノズル342により、第二ガス供給部250が構成される。第二ガス供給源252を第二ガス供給部250に含めてもよい。なお、第二ガス供給部250は、反応ガスを供給する構成であるので、反応ガス供給部と呼ぶこともある。
【0035】
図5(c)はガス供給部の一部であるパージガス(不活性ガス)供給部260の構成例を示す。パージガス供給部260におけるパージガス供給管261には、上流方向から順に、パージガス供給源262、流量制御器(流量制御部)であるMFC263、バルブ264が設けられる。
【0036】
このようなパージガス供給部260におけるパージガス供給管261からは、パージガス(不活性ガス)が供給される。つまり、パージガスは、MFC263、バルブ264、パージガス供給管261を介してノズル344およびノズル345のそれぞれに供給される。そして、ノズル344を通じて第一パージ領域307aに供給されるとともに、ノズル345を通じて第二パージ領域307bに供給される。
【0037】
パージガスは、第一ガスや第二ガス等と反応しないガスであり、処理室301中の雰囲気をパージするパージガスの一つであり、例えば窒素(N2)ガスである。
【0038】
主に、パージガス供給管261、MFC263、バルブ264、ノズル344、ノズル345により、パージガス供給部260が構成される。パージガス供給源262をパージガス供給部260に含めてもよい。
【0039】
第一ガス供給部240、第二ガス供給部250をまとめて処理ガス供給部とも呼ぶ。処理ガス供給部には、パージガス供給部260を含めてもよい。
【0040】
図5(d)はガス供給部の一部である第三ガス供給部270の構成例を示す。第三ガス供給部270における第三ガス供給管271には、上流方向から順に、第三ガス供給源272、流量制御器(流量制御部)であるMFC273、バルブ274が設けられる。
【0041】
このような第三ガス供給部270における第三ガス供給管271からは、クリーニングガスが供給される。つまり、クリーニングガスは、MFC273、バルブ274、第三ガス供給管271を介してノズル346に供給される。そして、ノズル346を通じて排気バッファ構造部386に供給される。
【0042】
クリーニングガスは、第一ガスと第二ガスの反応によって生成された副生成物を除去するためのもので、例えば三フッ化(NF3)ガスまたはフッ素(F2)ガスを用いる。
【0043】
主に、第三ガス供給管271、MFC273、バルブ274、ノズル346で第三ガス供給部270が構成される。第三ガス供給源272を第三ガス供給部270に含めてもよい。また、第三ガス供給部270は、クリーニングガスを活性化させる活性化部(以下「第一の活性化部」ともいう。)275を含んでいてもよい。第一の活性化部275については、詳細を後述する。
【0044】
図5(e)はガス供給部の一部である第四ガス供給部280の構成例を示す。第四ガス供給部280における第四ガス供給管281には、上流方向から順に、第四ガス供給源282、流量制御器(流量制御部)であるMFC283、バルブ284が設けられる。
【0045】
このような第四ガス供給部280における第四ガス供給管281からは、クリーニングガスが供給される。つまり、クリーニングガスは、MFC283、バルブ284、第四ガス供給管281を介してノズル348に供給される。そして、ノズル348を通じて処理室301内の基板載置プレート317上に供給される。
【0046】
クリーニングガスは、第一ガスと第二ガスの反応によって生成された副生成物を除去するためのもので、例えばNF3ガスまたはF2ガスを用いる。ただし、第三ガス供給部270が供給するクリーニングガスとは異なる成分のものであっても構わない。
【0047】
主に、第四ガス供給管281、MFC283、バルブ284、ノズル348で第四ガス供給部280が構成される。第四ガス供給源282を第四ガス供給部280に含めてもよい。また、第四ガス供給部280は、クリーニングガスを活性化させる活性化部(以下、「第二の活性化部」ともいう。)285を含んでいてもよい。第二の活性化部285については、詳細を後述する。
【0048】
第一の活性化部275、第二の活性化部285としては、それぞれ、例えばプラズマ生成部、加熱用触媒、ヒータ380とは別の第二のヒータ、マイクロ波供給部のいずれかを用いることができる。
【0049】
(ガス排気部)
次に、チャンバ302からのガス排気を行うガス排気部について、主に
図1、
図2を用いて説明する。
【0050】
図1に示すように、チャンバ302内の排気バッファ構造部386の下方には、排気孔392が設けられる。排気口392は処理領域306毎に設けられる。具体的には、第一処理領域306aに対応して排気孔392aが設けられ、第二処理領域306bに対応して排気孔392bが設けられる。つまり、第一処理領域306aへのガス供給を行う第一ガス供給部240からのガスの流れの下流側には排気孔392aが配され、第二処理領域306bへのガス供給を行う第二ガス供給部250からのガスの流れの下流側には排気孔392bが配される。
【0051】
第一処理領域306aに対応して排気バッファ構造部386の下方に配された排気孔392aには、ガス排気部の一部である第一ガス排気部334が接続されている。つまり、排気孔392aと連通するように、第一ガス排気部334の一部を構成する第一排気管334aがチャンバ302に接続される。第一排気管334aには、開閉弁としてのバルブ334d、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ334cを介して、真空排気装置としての真空ポンプ334bが接続されている。これにより、第一ガス排気部334は、排気バッファ構造部386を通じて、処理室301内が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。
【0052】
主に、APCバルブ334c、バルブ334d、第一排気管334a、排気孔392aにより、第一ガス排気部334が構成される。真空ポンプ334bを第一ガス排気部334に含めて考えてもよい。
【0053】
第二処理領域306bに対応して排気バッファ構造部386の下方に配された排気孔392bには、ガス排気部の一部である第二ガス排気部335が接続されている。つまり、排気孔392bと連通するように、第二ガス排気部335の一部を構成する第二排気管335aがチャンバ302に接続される。第二排気管335aには、開閉弁としてのバルブ335d、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPCバルブ335cを介して、真空排気装置としての真空ポンプ335bが接続されている。これにより、第二ガス排気部335は、排気バッファ構造部386を通じて、処理室301内が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。
【0054】
主に、APCバルブ335c、バルブ335d、第二排気管335a、排気孔392bにより、第二ガス排気部335が構成される。真空ポンプ335bを第二ガス排気部335に含めて考えてもよい。
【0055】
(制御部)
以上のように構成された基板処理装置200は、制御部(制御手段)としてのコントローラ400により制御される。
以下、コントローラ400について、主に
図6を用いて説明する。
図6は本実施形態に係る基板処理装置200におけるコントローラ400の機能構成例を示すブロック図である。
【0056】
基板処理装置200は、マイクロ波供給部、昇降回転部、バルブ、MFC等、各部の動作を制御するコントローラ400を有している。コントローラ400は、演算部(CPU)401、一時記憶部402、記憶部403、送受信部404を少なくとも有する。コントローラ400は、送受信部404を介して基板処理装置200の各構成に接続され、上位コントローラや使用者の指示に応じて記憶部403からプログラムやレシピを呼び出し、その内容に応じて各構成の動作を制御する。なお、コントローラ400は、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)412を用意し、外部記憶装置412を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、本態様に係るコントローラ400を構成できる。また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置412を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用いても良いし、上位装置420から送受信部411を介して情報を受信し、外部記憶装置412を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。また、キーボードやタッチパネル等の入出力装置413を用いて、コントローラ400に指示をしても良い。
【0057】
なお、記憶部402や外部記憶装置412は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部402単体のみを含む場合、外部記憶装置412単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0058】
(2)基板処理工程
次に、上述した構成の基板処理装置200を用い、半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程としての基板処理工程を行う場合の手順を説明する。ここでは、基板処理工程において、第一ガスとしてSi含有ガスを用い、第二ガスとしてNH3ガスを用い、基板100上に薄膜として窒化シリコン(SiN)膜を形成する場合を例に挙げる。
【0059】
以下、基板処理工程について、主に
図7を用いて説明する。
図7は本実施形態に係る基板処理装置200が実行する基板処理工程の手順の例を示すフロー図である。
なお、以下の説明において、基板処理装置200を構成する各部の動作は、コントローラ400により制御される。
【0060】
(基板搬入・載置工程)
基板処理工程では、まず、基板搬入・載置工程を行う。なお、
図7中においては、基板搬入・載置工程の図示を省略している。
【0061】
基板搬入・載置工程では、基板載置プレート317を回転させ、凹部312をゲートバルブ305と隣接する位置に移動させる。そして、リフトピン320を上昇させ、基板載置プレート317の貫通孔317aに貫通させる。続いて、ゲートバルブ305を開いてチャンバ302と真空搬送室(図示せず)と連通させる。そして、この移載室からウエハ移載機(図示せず)を用いて基板100をリフトピン320上に移載し、その後リフトピン320を下降させる。これにより、基板100は基板載置面311上に支持される。
【0062】
基板100が基板載置面311上に載置されたら、基板100が載置されていない基板載置面311がゲートバルブ305と向かい合うよう、基板載置プレート317を回転させる。その後、同様に基板載置面311に基板を載置する。これを、すべての基板載置面311に基板100が載置されるまで繰り返す。
【0063】
基板100を基板載置プレート317に載置する際は、予めヒータ380に電力を供給し、基板100の表面が所定の温度となるよう制御する。基板100の温度は、例えば400℃以上であって500℃以下である。ヒータ380から放射された熱は、基板載置プレート317を介して基板100の裏面に照射される。ヒータ380は、少なくとも基板搬入・載置工程から後述する基板搬出工程が終了するまでの間は、常に通電させた状態とする。
【0064】
(基板載置プレート回転開始工程)
基板100が各凹部312に載置されたら、次いで、基板載置プレート回転開始工程(S110)を行う。基板載置プレート回転開始工程(S110)において、回転部324は基板載置プレート317をR方向に回転させる。基板載置プレート317を回転させることにより、基板100は、第一処理領域306a、第一パージ領域307a、第二処理領域306b、第二パージ領域307bの順に移動する。
【0065】
(ガス供給開始工程)
基板搬入・載置工程で基板100を加熱して所望とする温度に達し、基板載置プレート回転開始工程(S110)で基板載置プレート317が所望とする回転速度に到達したら、次いで、ガス供給開始工程(S120)を行う。ガス供給開始工程(S120)では、バルブ244を開けて第一処理領域306a内にSi含有ガスの供給を開始する。それと併行して、バルブ254を開けて第二処理領域306b内にNH3ガスを供給する。
【0066】
このとき、Si含有ガスの流量が所定の流量となるように、MFC243を調整する。Si含有ガスの供給流量は、例えば50sccm以上500sccm以下である。
【0067】
また、NH3ガスの流量が所定の流量となるように、MFC253を調整する。NH3ガスの供給流量は、例えば100sccm以上5000sccm以下である。
【0068】
なお、基板搬入・載置工程後、継続して、第一ガス排気部334および第二ガス排気部335により処理室301内が排気されるとともに、不活性ガス供給部260から第一パージ領域307a内および第二パージ領域307b内にパージガスとしてのN2ガスが供給されている。
【0069】
(成膜工程)
次いで、成膜工程(S130)を行う。成膜工程(S130)において、各基板100には、第一処理領域306aにてSi含有層が形成され、さらに回転後の第二処理領域306bにて、Si含有層とNH3ガスとが反応し、基板100上にSi含有膜が形成される。そして、基板100上のSi含有膜が所望の膜厚となるよう、基板載置プレート317を所定回数回転させる。このとき、非基板載置面325にもガスが供給されるため、非基板載置面325上にも膜が形成され得る。
【0070】
(ガス供給停止工程)
成膜工程(S130)において基板載置プレート317を所定回数回転させた後、次いで、ガス供給停止工程(S140)を行う。ガス供給停止工程(S140)では、バルブ244,バルブ254を閉じ、第一処理領域306aへのSi含有ガスの供給、第二処理領域306bへのNH3ガスの供給を停止する。
【0071】
(基板載置プレート回転停止工程)
ガス供給停止工程(S140)の後は、基板載置プレート回転停止工程(S150)を行う。基板載置プレート回転停止工程(S150)では、基板載置プレート317の回転を停止する。
【0072】
(基板搬出工程)
基板載置プレート回転停止工程(S150)の後は、基板搬出工程を行う。なお、
図7中においては、基板搬出工程の図示を省略している。
【0073】
基板搬出工程では、ゲートバルブ305と隣接する位置に搬出したい基板100を移動するよう基板載置プレート317を回転させる。その後、基板搬入時と逆の手順で基板100を搬出する。これらの動作を繰り返し、すべての基板100を搬出する。
【0074】
(3)クリーニング処理
上述したように、基板処理工程では、処理室301内の基板100に対してSi含有ガスおよびNH3ガスを供給して、その基板100上にSiN層を形成する。その際に、基板載置プレート317の非基板載置面325にもガスが供給されるため、Si含有ガスとNH3ガスとのミックスによって、非基板載置面325上にも膜が形成されるおそれがある。また、処理室301内に供給されたガスは、第一ガス排気部334および第二ガス排気部335により排気されるが、その際に排気バッファ構造部386を経由することから、排気バッファ構造部386の内壁部分等にも膜が形成されるおそれがある。
【0075】
これらの膜については、意図せずに形成される膜、すなわち膜質を制御していない膜であるから、クリーニング処理を行って除去することが必要である。
【0076】
以下、本実施形態に係る基板処理装置200で実行するクリーニング処理について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置200を構成する各部の動作は、コントローラ400により制御される。
【0077】
(排気バッファ構造部のクリーニング処理)
排気バッファ構造部386については、処理室301内に供給されたガスを排気する過程で、第一ガスであるSi含有ガスと第二ガスであるNH3ガスとがミックスされるおそれがあるため、定期的なクリーニング処理が必要である。特に、基板処理工程に際して処理室301では基板100上で膜質を制御した膜(以下「制御膜」とも呼ぶ。)とするための温度に調整する。一方、排気バッファ構造部386では温度を調整していないため、処理室301と異なる温度、例えば処理室301よりも低い温度となり、意図しない膜、すなわち膜質が制御されていない膜(以下「非制御膜」とも呼ぶ。)が形成される可能性が高い。排気バッファ構造部301中に形成された非制御膜は、制御膜に比べて低温条件で形成されているために剥がれやすく、パーティクルとなるおそれがある。
【0078】
そこで、排気バッファ構造部386に形成された非制御膜を確実に除去するために、本実施形態に係る基板処理装置200は、第三ガス供給部270を有する。そして、第三ガス供給部270は、排気バッファ構造部386の内部に対して、直接的にクリーニングガスを供給する。これにより、処理室301内から排気されるガスが排気バッファ構造部386を経由する場合であっても、その排気バッファ構造部386に対するクリーニング効率を高めることができる。つまり、排気バッファ構造部386に形成された非制御膜を、直接的なクリーニングガスの供給によって、効率的かつ確実に除去することができる。
【0079】
このとき、第三ガス供給部270に第一の活性化部275が設けられていれば、その第一の活性化部275を利用して、第三ガス供給部270が供給するクリーニングガスを活性化するようにしてもよい。第一の活性化部275としては、例えば、プラズマ生成部、加熱用触媒、ヒータ380とは別の第二のヒータ、マイクロ波供給部のいずれかを用いることができる。
【0080】
このような第一の活性化部275を利用してクリーニングガスを活性化すれば、エネルギーを添加する構成(例えばヒータ)が無い排気バッファ構造部386に対して供給する場合であっても、クリーニングガスにエネルギーを添加でき、更なる排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理の効率化が図れる。
【0081】
排気バッファ構造部386へのクリーニングガスの供給は、以下のように行ってもよい。例えば、第三ガス供給部270を、排気バッファ構造部386へのクリーニングガスとして、炭素含有膜を除去可能な第一クリーニングガスと、炭素非含有膜を除去可能な第二クリーニングガスと、を供給可能に構成する。そして、排気バッファ構造部386にクリーニングガスを供給する際には、まず第一クリーニングガスを供給し、その後に第二クリーニングガスを供給するように、コントローラ400が第三ガス供給部270を制御する。第一クリーニングガスとしては、例えば、酸素系のO3ガスやNOガス等を用いる。第二クリーニングガスとしては、例えば、NF3ガスを用いる。
【0082】
このようにクリーニングガスの供給を行えば、特に処理ガスとして炭素(カーボン)を含むガスを用いた場合に非常に優位となる。カーボンは、Si等の他の成分に比べて、壁面への吸着率が高い。そのため、通常のクリーニングでは除去しきれず、カーボンを含んだ状態の炭素含有膜が残り易くなってしまう。そこで、まず、炭素含有膜を除去可能な第一クリーニングガスを供給してカーボン成分を気化させ、その後に炭素非含有膜を除去可能な第二クリーニングガスを流して、膜全体を除去するのである。つまり、第一クリーニングガスと第二クリーニングガスとの供給によって、カーボン成分を含む膜についても、効率的かつ確実に除去することができる。
【0083】
(非基板載置面のクリーニング処理)
非制御膜の形成は、排気バッファ構造部386のみならず、基板載置プレート317の非基板載置面325でも起こり得る。
【0084】
そこで、非基板載置面325に形成された非制御膜を確実に除去するために、本実施形態に係る基板処理装置200は、第四ガス供給部280を有する。そして、第四ガス供給部280は、処理室301内の基板載置プレート317上に対して、クリーニングガスを供給する。これにより、非基板載置面325に形成された非制御膜を、基板載置プレート317上へのクリーニングガスの供給によって除去することができる。クリーニングガスを供給する間は、基板載置プレート317を回転させる。
【0085】
このとき、基板載置プレート317の下方にはヒータ380が配されているので、そのヒータ380を利用して基板載置プレート317を加熱する。このようにすれば、基板載置プレート317を加熱した状態でクリーニング処理を行うことができるので、加熱無しの場合に比べて、基板載置プレート317の非基板載置面325に対するクリーニング効率が高くなる。
【0086】
非基板載置面325に対するクリーニング処理を行う第四ガス供給部280は、重力が作用する方向(以下、「重力方向」という。)において、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理を行う第三ガス供給部270よりも、上方に設けられている。より具体的には、第四ガス供給部280を構成するノズル348は、基板処理装置200を設置した際の鉛直方向(垂直方向)において、第三ガス供給部270を構成するノズル346よりも、上方に位置するように設けられている。第四ガス供給部280のノズル348を上方側に配することで、そのノズル348からのクリーニングガスを基板載置プレート317上の全域に供給することができ、非基板載置面325に対するクリーニング処理を効率的に行うことができる。また、第三ガス供給部270のノズル346を下方側に配することで、チャンバ302内からのガス排気経路となる排気バッファ構造部386に対して直接的にクリーニングガスを供給することができ、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理を効率的に行うことができる。
【0087】
(各クリーニング処理の関係)
ここで、第三ガス供給部270によるクリーニング処理と第四ガス供給部280によるクリーニング処理との関係について説明する。既述のように、第三ガス供給部270からのクリーニングガス供給と第四ガス供給部280からのクリーニングガス供給は、いずれも、コントローラ400により制御される。
【0088】
コントローラ400は、例えば、第一の活性化部275を稼働させた状態で第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386にクリーニングガスを供給し、ヒータ380を稼働させた状態で第四ガス供給部280から基板載置プレート317上にクリーニングガスを供給するように、第三ガス供給部270および第四ガス供給部280を制御する。
各クリーニング処理をこのように行えば、基板載置プレート317上に対してはヒータ380で加熱しつつクリーニング処理を行うことが可能である。一方、排気バッファ構造部386については、ヒータ380による加熱の影響を受け難いが、その代わりに第一の活性化部275を用いてクリーニングガスのエネルギーを高めることができる。したがって、基板載置プレート317の非基板載置面325と排気バッファ構造部386とのいずれに対しても、クリーニング処理を効率的に行うことができる。
【0089】
また、コントローラ400は、例えば、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386をクリーニング処理する際のクリーニングガスの分圧が、第四ガス供給部280が基板載置プレート317上をクリーニング処理する際のクリーニングガスの分圧よりも高くなるように、第三ガス供給部270および第四ガス供給部280を制御する。
このように、排気バッファ構造部386におけるクリーニングガスの圧力を高くすると、クリーニングガスが排気バッファ構造部386に形成された非制御膜に高圧状態で接触されるので、排気バッファ構造部386にヒータがない場合であっても、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理の効率を向上させ得るようになる。
【0090】
また、コントローラ400は、例えば、第三ガス供給部270による排気バッファ構造部386のクリーニング処理の頻度が、第四ガス供給部280による基板載置プレート317上のクリーニング処理の頻度よりも高くなるように、第三ガス供給部270および第四ガス供給部280を制御する。
基板載置プレート317上では、基板100と同様に、温度等の成膜条件が整っているため、付着強度の高い膜が形成され得る。一方、排気バッファ構造部386は温度等の成膜条件が整っていないため、付着強度の弱い膜が形成され得る。すなわち、排気バッファ構造386では基板載置プレート317上に比べて高頻度でパーティクルが発生するおそれがある。そのため、各クリーニング処理を同頻度で行うと、基板載置プレート317についてはクリーニング済みの状態でさらにクリーニング処理がされることになり、オーバエッチングを起こしてしまうおそれがある。そこで、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理の頻度を高くすることで、オーバエッチングのおそれを解消して、各クリーニング処理の効率化が図れるようになる。
【0091】
また、コントローラ400は、例えば、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386に供給するクリーニングガスの供給時間が、第四ガス供給部280が基板載置プレート317上に供給するクリーニングガスの供給時間よりも長くなるように、第三ガス供給部270および第四ガス供給部280を制御する。
各クリーニング処理におけるクリーニングガスの供給時間が同じであると、基板載置プレート317についてはオーバエッチングを起こしてしまうおそれがある。そこで、排気バッファ構造部386へのクリーニングガスの供給時間を長くすることで、オーバエッチングのおそれを解消して、各クリーニング処理の効率化が図れるようになる。
【0092】
また、基板載置プレート317上の非制御膜の付着強度が、排気バッファ構造386中の非制御膜よりも強い場合、コントローラ400は、例えば、第四ガス供給部280が基板載置プレート317上に供給するクリーニングガスの供給時間が、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386に供給するクリーニングガスの供給時間よりも長くなるように、第三ガス供給部270および第四ガス供給部280を制御してもよい。
各クリーニング処理におけるクリーニングガスの供給時間が同じであると、排気バッファ構造396についてはオーバエッチングを起こしてしまうおそれがある。そこで、基板載置プレート317へのクリーニングガスの供給時間を長くすることで、オーバエッチングのおそれを解消して、各クリーニング処理の効率化が図れるようになる。
【0093】
また、コントローラ400は、例えば、第四ガス供給部280による基板載置プレート317上へのクリーニングガス供給から所定時間経過後、基板載置プレート317上へのクリーニングガス供給を停止するとともに、第三ガス供給部270による排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給を開始するように、第三ガス供給部270および第四ガス供給部280を制御する。つまり、基板載置プレート317の非基板載置面325に対するクリーニング処理を行った後に、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理を行うようにする。
仮に、逆の順でクリーニング処理を行った場合には、非基板載置面325に対するクリーニング処理で発生した異物(除去後の副生成物等)が排気バッファ構造部386に付着してしまうおそれがあるが、非基板載置面325に対するクリーニング処理の後に排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理を行うようにすれば、排気バッファ構造部386内への異物付着を抑制でき、各クリーニング処理の効率化が図れるようになる。
【0094】
また、コントローラ400は、例えば、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386に供給するクリーニングガスの供給回数が、第四ガス供給部280が基板載置プレート317上に供給するクリーニングガスの供給回数よりも多くなるように、第三ガス供給部270および第四ガス供給部280を制御する。
各クリーニング処理におけるクリーニングガスの供給回数が同じであると、上述した頻度の場合と同様に、基板載置プレート317についてはオーバエッチングを起こしてしまうおそれがある。そこで、排気バッファ構造部386へのクリーニングガスの供給回数を多くすることで、オーバエッチングのおそれを解消して、各クリーニング処理の効率化が図れるようになる。
【0095】
また、基板載置プレート317上の非制御膜の付着強度が、排気バッファ構造386中の非制御膜よりも強い場合、コントローラ400は、例えば、第四ガス供給部280が基板載置プレート317上に供給するクリーニングガスの供給回数が、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386に供給するクリーニングガスの供給回数よりも多くなるように、第三ガス供給部270および第四ガス供給部280を制御してもよい。
各クリーニング処理におけるクリーニングガス回数が同じであると、排気バッファ構造396についてはオーバエッチングを起こしてしまうおそれがある。そこで、基板載置プレート317へのクリーニングガスの供給回数を多くすることで、オーバエッチングのおそれを解消して、各クリーニング処理の効率化が図れるようになる。
【0096】
また、コントローラ400は、第四ガス供給部280に第二の活性化部285が設けられていれば、その第二の活性化部285を利用して、第四ガス供給部280が供給するクリーニングガスを活性化するようにしてもよい。第二の活性化部285としては、第三ガス供給部270の第一の活性化部275と同様に、例えば、プラズマ生成部、加熱用触媒、ヒータ380とは別の第二のヒータ、マイクロ波供給部のいずれかを用いることができる。
その場合に、コントローラ400は、例えば、第三ガス供給部270が供給するクリーニングガスに対する第一の活性化部275の活性化エネルギー量が、第四ガス供給部280が供給するクリーニングガスに対する第二の活性化部285の活性化エネルギー量よりも高くなるように、第三ガス供給部270における第一の活性化部275および第四ガス供給部280における第二の活性化部285を制御する。
このようにすれば、クリーニングガスの活性化によるクリーニング処理の効率化を図りつつ、基板載置プレート317に対するオーバエッチングのおそれを解消することができる。
【0097】
また、基板載置プレート317上の非制御膜の付着強度が、排気バッファ構造386中の非制御膜よりも強い場合、コントローラ400は、例えば、第四ガス供給部280が供給するクリーニングガスに対する第二の活性化部285の活性化エネルギー量が、第三ガス供給部270が供給するクリーニングガスに対する第一の活性化部275の活性化エネルギー量よりも高くなるように、第三ガス供給部270における第一の活性化部275および第四ガス供給部280における第二の活性化部285を制御する。
このようにすれば、クリーニングガスの活性化によるクリーニング処理の効率化を図りつつ、排気バッファ構造386に対するオーバエッチングのおそれを解消することができる。
【0098】
第三ガス供給部270から供給するクリーニングガスと、第四ガス供給部280から供給するクリーニングガスとは、それぞれの成分が互いに異なるように構成されていてもよい。その場合には、第三ガス供給部270からのクリーニングガスによる副生成物の除去作用(除去エネルギー)が、第四ガス供給部280からのクリーニングガスによる副生成物の除去作用(除去エネルギー)よりも高くなるように、各クリーニングガスが構成されるものとする。このようにすれば、各クリーニングガスの供給条件を相違させなくても、基板載置プレート317に対するオーバエッチングのおそれを解消することができる。
【0099】
(パージガス供給部との関係)
次に、第三ガス供給部270および第四ガス供給部280による各クリーニング処理と、パージガス供給部260によるパージガス供給との関係について説明する。既述のように、チャンバ302内にはパージガス供給部260からパージガスが供給されるようになっているが、そのパージガス供給部260からのパージガス供給は、コントローラ400により制御される。
【0100】
コントローラ400は、例えば、第三ガス供給部270による排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と並行して、パージガス供給部260からパージガスを供給するように、パージガス供給部260および第三ガス供給部270を制御する。
このようにすれば、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理に際して、パージガスの供給により処理室301内の圧力を排気バッファ構造部386よりも高くできるので、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理で発生した異物(除去後の副生成物等)が処理室301に側に移動してしまうのを抑制できる。つまり、処理室301と排気バッファ構造部386とが連通していても、その排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理を適切に行うことができる。
【0101】
このとき、コントローラ400は、例えば、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386へクリーニングガスを供給する間、基板載置プレート317の上方の分圧が排気バッファ構造部386の分圧よりも高くなるように、パージガス供給部260および第三ガス供給部270を制御する。
このようにすれば、基板載置プレート317の上方と排気バッファ構造部386とで圧力差が生じるので、排気バッファ構造部386から処理室301内への異物の移動抑制を確実なものとすることができる。
【0102】
特に、基板載置プレート317には基板100を支持するリフトピン320を貫通させる貫通孔317aが設けられているが、コントローラ400は、例えば、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386へクリーニングガスを供給する間、貫通孔317aの上方の分圧が排気バッファ構造部386の分圧よりも高くなるように、パージガス供給部260および第三ガス供給部270を制御する。
このようにすれば、貫通孔317aの上方の分圧を高めることができるので、リフトピン320が貫通孔317aを貫通する場合であっても、排気バッファ構造部386に供給されたクリーニングガスやそのクリーニングガスによって除去された異物等が、貫通孔317aを介して基板載置プレート317の上方に巻き上げられることがない。
【0103】
(第三ガス供給部のノズル配置)
次に、以上のように制御される第三ガス供給部270のノズル配置について説明する。
【0104】
第三ガス供給部270のノズル346は、重力方向(垂直方向)において、第一ガス供給部240のノズル341または第二ガス供給部250のノズル342と、排気バッファ構造部386の下方に設けられた排気口392(392a,392b)との間に配されていることが好ましい。さらに、第三ガス供給部270のノズル346は、重力方向との直交方向(水平方向)において、第一ガス供給部240のノズル341と第二ガス供給部250のノズル342との間に配されていることが好ましい。
【0105】
また、第三ガス供給部270のノズル346は、第一処理領域306aと第二処理領域306bとの間に設定された第一パージ領域307a、第二パージ領域307bにおけるガスの流れの下流側に設けられていることが好ましい。
【0106】
また、第三ガス供給部270のノズル346は、凸部392の下方に設けられていることが好ましい。
【0107】
また、チャンバ302は、開閉可能なゲートバルブ305と、そのゲートバルブ305と基板載置プレート317との間に設けられる通路305aと、を有している。第三ガス供給部270のノズル346は、チャンバ302内の通路305aに対しても、クリーニングガスを供給可能に構成されていることが好ましい。
【0108】
これらの各部分は、いずれも、第一ガス(Si含有ガス等)と第二ガス(NH3ガス等)とのミックスが生じやすく、クリーニング処理によって除去すべき異物(副生成物等)が溜まりやすい箇所である。特に、パージドメインとしての第一パージ領域307a、第二パージ領域307bの下流側では、ガスが天井308下方や、凸部390と基板載置プレート317または天井308との間の空間を通過した直後であり、ガスに対する圧力が変動してガスの乱流が生じるおそれがあるため、他の箇所に比べて異物が溜まりやすい。さらには、凸部390と基板載置プレート317の間の空間が狭く高圧となるため、凸部390と基板載置プレートの317の間では異物がたまりやすい。また、ゲートバルブ305の付近では、通路305aを構成する壁がガスと衝突したり、あるいはガスに対する圧力が変動して乱流が発生したりするので、通路305aには異物が溜まりやすい。
【0109】
その場合であっても、上述したノズル配置とすることで、第三ガス供給部270は、異物が溜まりやすい各部分に新鮮な(失活していない)クリーニングガスを供給することができ、各部分に対するクリーニング効率を向上させることが可能となる。
【0110】
(第三ガス供給部のガス排気部との関係)
次に、第三ガス供給部270と、ガス排気部としての第一ガス排気部334および第二ガス排気部335と、の関係について説明する。第一ガス排気部334および第二ガス排気部335によるチャンバ302からのガス排気は、コントローラ400により制御される。
【0111】
コントローラ400は、例えば、第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と、第一ガス排気部334による排気の停止と、第二ガス排気部335による排気の稼働とを並行して行うか、または、第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と、第一ガス排気部334による排気の稼動と、第二ガス排気部335による排気の停止とを並行して行うように、第一ガス排気部334、第二ガス排気部335および第三ガス供給部270を制御する。
このように、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理にあたり、第一ガス排気部334と第二ガス排気部335とのいずれかの排気系によるガスの流れを止めれば、排気バッファ構造部386の全体にクリーニングガスが行き届くようになる。したがって、排気バッファ構造部386に対して、その全体を漏れなくクリーニングできるようになる。
【0112】
また、コントローラ400は、例えば、第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と、第一ガス排気部334による排気量が第二ガス排気部335による排気量よりも多くなる排気制御とを並行して行うか、または、第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と、第一ガス排気部334による排気量が第二ガス排気部335による排気量よりも少なくなる排気制御とを並行して行うように、第一ガス排気部334、第二ガス排気部335および第三ガス供給部270を制御する。
このように、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理にあたり、第一ガス排気部334と第二ガス排気部335とのいずれかの排気系による排気ボリュームを小さくすれば、いずれかの排気系によるガスの流れを完全に止めなくても、排気バッファ構造部386の全体にクリーニングガスが行き届きやすくなる。したがって、排気バッファ構造部386に対して、その全体を漏れなくクリーニングできるようになる。
【0113】
また、コントローラ400は、例えば、第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と、第一ガス排気部334による排気の停止および第二ガス排気部335による排気の停止とを並行して行うように、第一ガス排気部334、第二ガス排気部335および第三ガス供給部270を制御する。
このように、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理にあたり、第一ガス排気部334および第二ガス排気部335によるガスの流れをいずれも止めてしまえば、クリーニングガスを排気バッファ構造部386内に閉じ込めることができる。したがって、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理の効率化を図る上で有用である。
【0114】
特に、排気バッファ構造部386内へのクリーニングガスの閉じ込めは、例えば排気バッファ構造部386における凸部390のように、クリーニングガスが入りにくい部分が排気バッファ構造部386内に設けられている場合に非常に有用である。つまり、排気バッファ構造部386を構成する外周壁と基板載置プレート317との間の距離について、凸部390が設けられている分だけ、第一処理領域306aおよび第二処理領域306bにおける距離よりもパージ領域307a,307bにおける距離が小さくなるように構成されている場合に、クリーニングガスを排気バッファ構造部386内に閉じ込めるようにすれば、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理の効率化を図る上で非常に有用である。
【0115】
(4)本実施形態の効果
本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果を奏する。
【0116】
(a)本実施形態によれば、第三ガス供給部270は、排気バッファ構造部386に対して直接的にクリーニングガスを供給する。したがって、チャンバ302内に供給したガスを排気する際に、第一ガス(Si含有ガス等)と第二ガス(NH3ガス等)とのミックスが生じる可能性があり、排気経路となる排気バッファ構造部386で非制御膜が形成されるおそれがあっても、その排気バッファ構造部386に対するクリーニング効率を高めることができる。つまり、排気系のクリーニング効率を高めることで、排気バッファ構造部386に形成された非制御膜を効率的かつ確実に除去することができる。
【0117】
(b)本実施形態によれば、第三ガス供給部270が供給するクリーニングガスを第一の活性化部275が活性化する。したがって、エネルギーを添加する構成(例えばヒータ)が無い排気バッファ構造部386に対してクリーニングガスを供給する場合であっても、そのクリーニングガスにエネルギーを添加でき、更なるクリーニング処理の効率化が図れる。
【0118】
(c)本実施形態によれば、排気バッファ構造部386にクリーニングガスを供給する際に、まず炭素含有膜を除去可能な第一クリーニングガスを供給し、その後に炭素非含有膜を除去可能な第二クリーニングガスを供給する。したがって、処理ガスとしてカーボンを含むガスを用いた場合に非常に優位となり、カーボン成分を含む膜について効率的かつ確実に除去することができる。
【0119】
(d)本実施形態によれば、第四ガス供給部280が処理室301内の基板載置プレート317上に対してクリーニングガスを供給するとともに、その際にヒータ380が基板載置プレート317を加熱する。したがって、基板載置プレート317を加熱した状態でクリーニング処理を行うことができるので、加熱無しの場合に比べて、基板載置プレート317の非基板載置面325に対するクリーニング効率が高くなる。
【0120】
(e)本実施形態によれば、重力方向において、第四ガス供給部280が第三ガス供給部270よりも上方に設けられている。したがって、上方側の第四ガス供給部280からのクリーニングガスを基板載置プレート317上の全域に供給することができ、非基板載置面325に対するクリーニング処理を効率的に行うことができる。しかも、第三ガス供給部270を下方側に配することで、チャンバ302内からのガス排気経路となる排気バッファ構造部386に対して直接的にクリーニングガスを供給することができ、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理を効率的に行うことができる。
【0121】
(f)本実施形態によれば、第一の活性化部275を稼働させた状態で第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386にクリーニングガスを供給し、ヒータ380を稼働させた状態で第四ガス供給部280から基板載置プレート317上にクリーニングガスを供給する。したがって、基板載置プレート317の非基板載置面325と排気バッファ構造部386とのいずれに対しても、クリーニング処理を効率的に行うことができる。
【0122】
(g)本実施形態によれば、第三ガス供給部270に設けられる第一の活性化部275は、プラズマ生成部、加熱用触媒、第二のヒータ、マイクロ波供給部のいずれかである。したがって、第三ガス供給部270が供給するクリーニングガスを確実に活性化することができ、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理を効率的に行う上で有用なものとなる。
【0123】
(h)本実施形態によれば、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386をクリーニング処理する際のクリーニングガスの分圧を、第四ガス供給部280が基板載置プレート317上をクリーニング処理する際のクリーニングガスの分圧よりも高くする。したがって、排気バッファ構造部386にヒータがない場合であっても、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理の効率を向上させ得るようになる。
【0124】
(i)本実施形態によれば、第三ガス供給部270による排気バッファ構造部386のクリーニング処理の頻度を、第四ガス供給部280による基板載置プレート317上のクリーニング処理の頻度よりも高くする。したがって、各クリーニング処理を同頻度で行うと基板載置プレート317についてオーバエッチングを起こしてしまうおそれがあるが、そのようなオーバエッチングのおそれを解消して、各クリーニング処理の効率化が図れるようになる。
【0125】
(j)本実施形態によれば、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386に供給するクリーニングガスの供給時間を、第四ガス供給部280が基板載置プレート317上に供給するクリーニングガスの供給時間よりも長くする。したがって、各クリーニング処理におけるクリーニングガスの供給時間が同じであると基板載置プレート317についてオーバエッチングを起こしてしまうおそれがあるが、そのようなオーバエッチングのおそれを解消して、各クリーニング処理の効率化が図れるようになる。
【0126】
(k)本実施形態によれば、第四ガス供給部280による基板載置プレート317上へのクリーニングガス供給から所定時間経過後、基板載置プレート317上へのクリーニングガス供給を停止するとともに、第三ガス供給部270による排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給を開始する。したがって、非基板載置面325に対するクリーニング処理で発生した異物(除去後の副生成物等)が排気バッファ構造部386に付着してしまうおそれがなく、排気バッファ構造部386内への異物付着を抑制でき、各クリーニング処理の効率化が図れるようになる。
【0127】
(l)本実施形態によれば、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386に供給するクリーニングガスの供給回数を、第四ガス供給部280が基板載置プレート317上に供給するクリーニングガスの供給回数よりも多くする。したがって、各クリーニング処理におけるクリーニングガスの供給回数が同じであると基板載置プレート317についてオーバエッチングを起こしてしまうおそれがあるが、そのようなオーバエッチングのおそれを解消して、各クリーニング処理の効率化が図れるようになる。
【0128】
(m)本実施形態によれば、第三ガス供給部270が供給するクリーニングガスに対する第一の活性化部275の活性化エネルギー量を、第四ガス供給部280が供給するクリーニングガスに対する第二の活性化部285の活性化エネルギー量よりも高くする。したがって、クリーニングガスの活性化によるクリーニング処理の効率化を図りつつ、基板載置プレート317に対するオーバエッチングのおそれを解消することができる。
【0129】
(n)本実施形態によれば、第三ガス供給部270から供給するクリーニングガスと、第四ガス供給部280から供給するクリーニングガスとについて、それぞれの成分が互いに異なるようにする。具体的には、例えば、第三ガス供給部270からのクリーニングガスによる副生成物の除去作用(除去エネルギー)が、第四ガス供給部280からのクリーニングガスによる副生成物の除去作用(除去エネルギー)よりも高くなるように、各クリーニングガスを構成する。したがって、各クリーニングガスの供給条件を相違させなくても、基板載置プレート317に対するオーバエッチングのおそれを解消することができる。
【0130】
(o)本実施形態によれば、第三ガス供給部270による排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と並行して、パージガス供給部260からパージガスを供給する。したがって、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理に際して、パージガスの供給により処理室301内の圧力を排気バッファ構造部386よりも高くできるので、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理で発生した異物が処理室301に側に移動してしまうのを抑制できる。つまり、処理室301と排気バッファ構造部386とが連通していても、その排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理を適切に行うことができる。
【0131】
(p)本実施形態によれば、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386へクリーニングガスを供給する間、基板載置プレート317の上方の分圧が排気バッファ構造部386の分圧よりも高くなるように、パージガス供給部260からのパージガス供給を行う。したがって、基板載置プレート317の上方と排気バッファ構造部386とで圧力差が生じるので、排気バッファ構造部386から処理室301内への異物の移動抑制を確実なものとすることができる。
【0132】
(q)本実施形態によれば、第三ガス供給部270が排気バッファ構造部386へクリーニングガスを供給する間、貫通孔317aの上方の分圧が排気バッファ構造部386の分圧よりも高くなるように、パージガス供給部260からのパージガス供給を行う。したがって、貫通孔317aの上方の分圧を高めることができるので、リフトピン320が貫通孔317aを貫通する場合であっても、排気バッファ構造部386に供給されたクリーニングガスやそのクリーニングガスによって除去された異物等が、貫通孔317aを介して基板載置プレート317の上方に巻き上げられることがない。
【0133】
(r)本実施形態によれば、重力方向において、第三ガス供給部270が、第一ガス供給部240または第二ガス供給部250と、排気バッファ構造部386の下方に設けられた排気口392(392a,392b)との間に配されている。さらに、重力方向との直交方向において、第三ガス供給部270が、第一ガス供給部240と第二ガス供給部250との間に配されている。
また、本実施形態によれば、第三ガス供給部270が、第一処理領域306aと第二処理領域306bとの間に設定された第一パージ領域307a、第二パージ領域307bにおけるガスの流れの下流側に設けられている。
また、本実施形態によれば、第三ガス供給部270は、チャンバ302内の通路305aに対してもクリーニングガスを供給可能である。
これらの各部分は、いずれも、第一ガス(Si含有ガス等)と第二ガス(NH3ガス等)とのミックスが生じやすく、クリーニング処理によって除去すべき異物が溜まりやすい箇所であるが、その場合であっても、第三ガス供給部270は、異物が溜まりやすい各部分に新鮮な(失活していない)クリーニングガスを供給することができ、各部分に対するクリーニング効率を向上させることが可能となる。
【0134】
(s)本実施形態によれば、第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と、第一ガス排気部334による排気の停止と、第二ガス排気部335による排気の稼働とを並行して行うか、または、第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と、第一ガス排気部334による排気の稼動と、第二ガス排気部335による排気の停止とを並行して行うようにする。したがって、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理にあたり、第一ガス排気部334と第二ガス排気部335とのいずれかの排気系によるガスの流れを止めることで、排気バッファ構造部386の全体にクリーニングガスが行き届くようになり、その結果として排気バッファ構造部386の全体を漏れなくクリーニングできるようになる。
【0135】
(t)本実施形態によれば、第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と、第一ガス排気部334による排気量が第二ガス排気部335による排気量よりも多くなる排気制御とを並行して行うか、または、第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と、第一ガス排気部334による排気量が第二ガス排気部335による排気量よりも少なくなる排気制御とを並行して行う。したがって、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理にあたり、第一ガス排気部334と第二ガス排気部335とのいずれかの排気系による排気ボリュームを小さくすることで、いずれかの排気系によるガスの流れを完全に止めなくても、排気バッファ構造部386の全体にクリーニングガスが行き届きやすくなり、その結果として排気バッファ構造部386の全体を漏れなくクリーニングできるようになる。
【0136】
(u)本実施形態によれば、第三ガス供給部270から排気バッファ構造部386へのクリーニングガス供給と、第一ガス排気部334による排気の停止および第二ガス排気部335による排気の停止とを並行して行う。したがって、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理にあたり、第一ガス排気部334および第二ガス排気部335によるガスの流れをいずれも止めてしまうことで、クリーニングガスを排気バッファ構造部386内に閉じ込めることができ、排気バッファ構造部386に対するクリーニング処理の効率化を図る上で有用である。
【0137】
(v)本実施形態によれば、排気バッファ構造部386内へのクリーニングガスの閉じ込めを行う。したがって、排気バッファ構造部386における凸部390のように、クリーニングガスが入りにくい部分が排気バッファ構造部386内に設けられている場合に、非常に有用である。つまり、クリーニングガスが入りにくい部分にもクリーニングガスを供給できるため、排気バッファ構造部386内に対して漏れなくクリーニング処理を行うことができる。
【0138】
(5)変形例等
以上、本開示の一実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0139】
例えば、上述の実施形態においては、第一ガスである原料ガスとしてDCSガスを例に挙げたが、これに限定されるものではない。原料ガスとしては、DCSガスの他、ヘキサクロロジシラン(Si2C6、略称:HCDS)ガス、モノクロロシラン(SiH3Cl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiH2Cl2、略称:DCS)、トリクロロシラン(SiHCl3、略称:TCS)ガス、テトラクロロシラン(SiCl4、略称:STC)ガス、オクタクロロトリシラン(Si3Cl8、略称:OCTS)ガス等のSi-Cl結合を含むクロロシラン原料ガスを用いることができる。
【0140】
また、例えば、上述の実施形態においては、第二ガスである反応ガスとしてNH3ガスを例に挙げたが、これに限定されるものではない。反応ガスとしては、NH3ガスの他、ジアゼン(N2H2)ガス、ヒドラジン(N2H4)ガス、N3H8ガス等のN-H結合を含む窒化水素系ガスを用いることができる。
【0141】
また、例えば、上述の実施形態においては、不活性ガスとしてN2ガスを例に挙げたが、これに限定されるものではない。不活性ガスとしては、N2ガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0142】
また、上述の実施形態においては、基板処理工程として基板100上への成膜処理を行う場合を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、ガスの供給および排気を要する処理であれば、他の処理にも適用可能である。他の処理としては、例えば、拡散処理、酸化処理、窒化処理、酸窒化処理、還元処理、酸化還元処理、エッチング処理、加熱処理等が有る。
【0143】
(6)本開示の好ましい態様
以下に、本開示の好ましい態様について付記する。
【0144】
[付記1]
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理容器と、
前記処理容器の内部に設けられ、複数の前記基板を平面上に支持する支持部と、
前記処理容器内に設定された第一ドメインに第一ガスを供給する第一ガス供給部と、
前記処理容器内に設定された第二ドメインに第二ガスを供給する第二ガス供給部と、
前記支持部の外周に沿って設けられた排気バッファ構造部と、
前記排気バッファ構造部に接続され、前記第一ガス供給部からの前記第一ガスの流れの下流に設けられる第一ガス排気部と、
前記排気バッファ構造部に接続され、前記第二ガス供給部からの前記第二ガスの流れの下流に設けられる第二ガス排気部と、
前記排気バッファ構造部にクリーニングガスを供給する第三ガス供給部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0145】
[付記2]
好ましくは、
前記クリーニングガスを活性化する活性化部
を有する付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0146】
[付記3]
好ましくは、
第三ガス供給部は、前記クリーニングガスとして、炭素含有膜を除去可能な第一クリーニングガスと、炭素非含有膜を除去可能な第二クリーニングガスとを供給可能であり、前記排気バッファ構造部への供給の際に、前記第一クリーニングガスを供給し、その後に前記第二クリーニングガスを供給するように構成されている
付記1または2に記載の基板処理装置が提供される。
【0147】
[付記4]
好ましくは、
前記支持部上にクリーニングガスを供給する第四ガス供給部と、
前記支持部を加熱するヒータ部と、
を有する付記2に記載の基板処理装置が提供される。
【0148】
[付記5]
好ましくは、
前記第四ガス供給部は、重力方向(垂直方向)において、前記第三ガス供給部よりも上方に設けられる
付記4に記載の基板処理装置が提供される。
【0149】
[付記6]
好ましくは、
前記第三ガス供給部は、前記活性化部を稼働させた状態で、前記排気バッファ構造部にクリーニングガスを供給し、
前記第四ガス供給部は、前記ヒータ部を稼働させた状態で、前記支持部上にクリーニングガスを供給する
付記4または5に記載の基板処理装置が提供される。
【0150】
[付記7]
好ましくは、
前記活性化部は、プラズマ生成部、加熱用触媒、第二のヒータ、マイクロ波供給部のいずれかである
付記2または6に記載の基板処理装置が提供される。
【0151】
[付記8]
好ましくは、
前記第三ガス供給部が前記排気バッファ構造部をクリーニングする際のクリーニングガスの分圧が、前記第四ガス供給部が前記支持部上をクリーニングする際のクリーニングガスの分圧よりも高くなるように、前記第三ガス供給部および前記第四ガス供給部を制御する制御部
を有する付記4から付記6のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0152】
[付記9]
好ましくは、
前記第三ガス供給部による前記排気バッファ構造部のクリーニングの頻度が、前記第四ガス供給部による前記支持部上のクリーニングの頻度よりも高くなるように、前記第三ガス供給部および前記第四ガス供給部を制御する制御部
を有する付記4から付記6のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0153】
[付記10]
好ましくは、
前記第三ガス供給部が前記排気バッファ構造部に供給するクリーニングガスの供給時間が、前記第四ガス供給部が前記支持部上に供給するクリーニングガスの供給時間よりも長くなるように、前記第三ガス供給部および前記第四ガス供給部を制御する制御部
を有する付記4から付記6のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0154】
[付記11]
好ましくは、
前記第四ガス供給部による前記支持部上へのクリーニングガス供給から所定時間経過後、前記支持部上へのクリーニングガス供給を停止するとともに、前記第三ガス供給部による前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給を開始するように、前記第三ガス供給部および前記第四ガス供給部を制御する制御部
を有する付記4から付記6のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0155】
[付記12]
好ましくは、
前記第三ガス供給部が前記排気バッファ構造部に供給するクリーニングガスの供給回数が、前記第四ガス供給部が前記支持部上に供給するクリーニングガスの供給回数よりも多くなるように、前記第三ガス供給部および前記第四ガス供給部を制御する制御部
を有する付記4から付記6のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0156】
[付記13]
好ましくは、
前記第四ガス供給部が供給するクリーニングガスを活性化する第二の活性化部と、
前記第三ガス供給部が供給するクリーニングガスに対する前記活性化部の活性化エネルギー量が、前記第二の活性化部の活性化エネルギー量よりも高くなるように、前記活性化部および前記第二の活性化部を制御する制御部と、
を有する付記4から付記6のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0157】
[付記14]
好ましくは、
前記第三ガス供給部から供給するクリーニングガスと、前記第四ガス供給部から供給するクリーニングガスとは、成分が異なるように構成される
付記4から付記6のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0158】
[付記15]
好ましくは、
前記処理容器内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、
前記第三ガス供給部による前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と並行して、前記不活性ガス供給部から不活性ガスを供給するように、前記不活性ガス供給部および前記第三ガス供給部を制御する制御部と、
を有する付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0159】
[付記16]
好ましくは、
前記制御部は、前記第三ガス供給部が前記排気バッファ構造部へクリーニングガスを供給する間、前記支持部の上方の分圧が前記排気バッファ構造部の分圧よりも高くなるように、前記不活性ガス供給部および前記第三ガス供給部を制御する
付記15に記載の基板処理装置が提供される。
【0160】
[付記17]
好ましくは、
前記支持部には、前記基板を支持するリフトピンを貫通させる貫通孔が設けられているとともに、
前記制御部は、前記第三ガス供給部が前記排気バッファ構造部へクリーニングガスを供給する間、前記貫通孔の上方の分圧が前記排気バッファ構造部の分圧よりも高くなるように、前記不活性ガス供給部および前記第三ガス供給部を制御する
付記15または付記16に記載の基板処理装置が提供される。
【0161】
[付記18]
好ましくは、
前記第三ガス供給部は、
重力方向(垂直方向)において、前記第一ガス供給部または前記第二ガス供給部と、前記排気バッファ構造部に設けられる排気孔との間に配されており、
前記重力方向との直交方向(水平方向)において、前記第一ガス供給部と前記第二ガス供給部との間に配されている
付記15に記載の基板処理装置が提供される。
【0162】
[付記19]
好ましくは、
前記第三ガス供給部は、前記第一ドメインと前記第二ドメインとの間に設定されたパージドメインにおけるガスの流れの下流側に設けられる
付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0163】
[付記20]
好ましくは、
前記処理容器は、開閉可能なゲートバルブと、前記ゲートバルブと前記支持部との間に設けられる通路と、を有しており、
前記第三ガス供給部は、前記通路に前記クリーニングガスを供給可能に構成されている
付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0164】
[付記21]
好ましくは、
前記第三ガス供給部から前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と、前記第一ガス排気部による排気の停止と、前記第二ガス排気部による排気の稼働とを並行して行うか、または、前記第三ガス供給部から前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と、前記第一ガス排気部による排気の稼動と、前記第二ガス排気部による排気の停止とを並行して行うように、前記第一ガス排気部、前記第二ガス排気部および前記第三ガス供給部を制御する制御部
を有する付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0165】
[付記22]
好ましくは、
前記第三ガス供給部から前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と、前記第一ガス排気部による排気量が前記第二ガス排気部による排気量よりも多くなる排気制御とを並行して行うか、または、前記第三ガス供給部から前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と、前記第一ガス排気部による排気量が前記第二ガス排気部による排気量よりも少なくなる排気制御とを並行して行うように、前記第一ガス排気部、前記第二ガス排気部および前記第三ガス供給部を制御する制御部
を有する付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0166】
[付記23]
好ましくは、
前記第三ガス供給部から前記排気バッファ構造部へのクリーニングガス供給と、前記第一ガス排気部による排気の停止および前記第二ガス排気部による排気の停止とを並行して行うように、前記第一ガス排気部、前記第二ガス排気部および前記第三ガス供給部を制御する制御部
を有する付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0167】
[付記24]
好ましくは、
前記第三ガス供給部は、前記第一ドメインと前記第二ドメインとの間に設定されたパージドメインにおけるガスの流れの下流側に設けられており、
前記排気バッファ構造部を構成する外周壁と前記支持部との間の距離は、前記第一ドメインおよび前記第二ドメインにおける距離よりも前記パージドメインにおける距離が小さくなるように構成されている
付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0168】
[付記25]
本開示の他の態様によれば、
前記処理容器の内部に設けられた支持部の平面上に複数の基板を支持する工程と、
前記処理容器内に設定された第一ドメインへの第一ガス供給部からの第一ガス供給と、前記処理容器内に設定された第二ドメインへの第二ガス供給部からの第二ガス供給と、前記支持部の外周に沿って設けられた排気バッファ構造部に接続され前記第一ガス供給部によるガス流の下流に設けられた第一ガス排気部からの排気および前記排気バッファ構造部に接続され前記第二ガス供給部によるガス流の下流に設けられた部第二ガス排気部からの排気と、を行い、前記基板を処理する工程と、
前記基板を前記処理容器から搬出する工程と、
前記排気バッファ構造部に接続された第三ガス供給部からクリーニングガスを供給して、前記排気バッファ構造部内をクリーニングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0169】
[付記26]
本開示のさらに他の態様によれば、
前記処理容器の内部に設けられた支持部の平面上に複数の基板を支持する手順と、
前記処理容器内に設定された第一ドメインへの第一ガス供給部からの第一ガス供給と、前記処理容器内に設定された第二ドメインへの第二ガス供給部からの第二ガス供給と、前記支持部の外周に沿って設けられた排気バッファ構造部に接続され前記第一ガス供給部によるガス流の下流に設けられた第一ガス排気部からの排気および前記排気バッファ構造部に接続され前記第二ガス供給部によるガス流の下流に設けられた部第二ガス排気部からの排気と、を行い、前記基板を処理する手順と、
前記基板を前記処理容器から搬出する手順と、
前記排気バッファ構造部に接続された第三ガス供給部からクリーニングガスを供給して、前記排気バッファ構造部内をクリーニングする手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラムが提供される。
【符号の説明】
【0170】
100 基板
200 基板処理装置
240 第一ガス供給部
250 第二ガス供給部
260 パージガス供給部(不活性ガス供給部)
270 第三ガス供給部
275 第一の活性化部
280 第四ガス供給部
285 第二の活性化部
301 処理室
302 チャンバ(処理容器)
305 ゲートバルブ
305a 通路
306a 第一処理領域(第一ドメイン)
306b 第二処理領域(第二ドメイン)
307a 第一パージ領域(パージドメイン)
307b 第二パージ領域(パージドメイン)
317 基板載置プレート(支持部)
334 第一ガス排気部
335 第二ガス排気部
380 ヒータ(ヒータ部)
386 排気バッファ構造部
400 コントローラ(制御部)