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特許7223129光学系、特にマイクロリソグラフィ用の光学系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】光学系、特にマイクロリソグラフィ用の光学系
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20230208BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20230208BHJP
   G02B 1/02 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G03F7/20 521
H01S3/00 A
G02B1/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021521466
(86)(22)【出願日】2019-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2019071886
(87)【国際公開番号】W WO2020083543
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】102018218064.4
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ヨハネス
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-169431(JP,A)
【文献】特開2003-043223(JP,A)
【文献】特開2010-050299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01S 3/00
H01L 21/027
G02B 1/02
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系であって、
少なくとも1つの入光面(11)を有するビームスプリッタ(10)を備え、
前記ビームスプリッタは、前記光学系の動作中に前記入光面(11)で生じる面法線に対する入射角が45°±5°の範囲内になるように、光学系内に配置され、
前記ビームスプリッタ(10)が、[110]結晶カットで作製される、光学系。
【請求項2】
前記ビームスプリッタ(10)は、結晶方向(001)が、前記ビームスプリッタ(10)に入射するビーム(15)および前記ビームスプリッタ(10)で反射された関連のビーム(17)と共通の平面内に位置するように、前記光学系内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記ビームスプリッタ(10)は、前記入光面(11)を通って前記ビームスプリッタ(10)に入るビームが、結晶方向(111)に対して10°未満の角度で前記ビームスプリッタ(10)を通過するように、前記光学系内に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学系。
【請求項4】
前記ビームスプリッタ(10)は、前記光学系の動作中に前記ビームスプリッタ(10)で反射されたビーム(17)が、前記光学系内を循環した後に前記ビームスプリッタ(10)に入るように、前記光学系内に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項5】
前記光学系内を循環した後に前記ビームスプリッタ(10)に入るこのビーム(17)が、結晶方向(11-1)に対して10°未満の角度で前記ビームスプリッタ(10)を通過することを特徴とする、請求項4に記載の光学系。
【請求項6】
前記ビームスプリッタ(10)が、平行平面形状を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項7】
前記ビームスプリッタ(10)が、立方晶系材料から作られることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項8】
前記ビームスプリッタが、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化アルミニウム(AlF3)、およびフッ化バリウム(BaF2)を含む群から選択された材料から作られることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項9】
前記ビームスプリッタ(10)および複数の鏡を有する少なくとも1つの光パルスストレッチャを有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項10】
マイクロリソグラフィ用の光学系であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項11】
レーザ光源であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項12】
マイクロリソグラフィ投影露光装置用のレーザ光源であることを特徴とする、請求項11に記載の光学系。
【請求項13】
200nm未満の動作波長用に設計されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の光学系で使用するための光パルスストレッチャ。
【請求項15】
請求項14に記載の少なくとも1つの光パルスストレッチャを有するレーザ光源。
【請求項16】
マイクロリソグラフィ投影露光装置用のレーザ光源である、請求項15に記載のレーザ光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年10月22日出願の独国特許出願第102018218064.4号の優先権を主張する。同独国出願の内容は、参照により本出願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、光学系、特にマイクロリソグラフィ用の光学系に関する。本発明は、詳細には、少なくとも1つのビームスプリッタを有する光パルスストレッチャ(optical pulse stretcher)に関し、また有利には、特にマイクロリソグラフィ投影露光装置で使用するためのレーザ光源で適用可能である。
【背景技術】
【0003】
マイクロリソグラフィは、微細構造の電子構成要素を作製するために使用される。マイクロリソグラフィプロセスは、照射デバイスおよび投影レンズを含む投影露光装置として知られているもので実施される。この場合、照射デバイスによって照射されたマスク(=レチクル)の像が、投影レンズによって基板(たとえば、シリコンウェーハ)へ投影され、基板は感光層(フォトレジスト)で被覆され、投影レンズの像平面内に配置され、マスク構造が基板のこの感光コーティングに転写される。
【0004】
DUV範囲(たとえば、250nm未満、特に200nm未満の動作波長)で動作するように設計された投影露光装置では、たとえば圧縮効果を特に高放射線露光領域で避けるために、フッ化カルシウム(CaF2)などの立方晶系材料から作られた光学構成要素が使用される。これはまた特に、電磁放射を生成するために使用されるレーザ光源内の構成要素にも当てはまり、193nmの動作波長でフッ化アルゴンエキシマレーザが使用され、248nmの動作波長でフッ化クリプトンエキシマレーザが使用される。
【0005】
高レベルの放射に曝露される上述の光学構成要素としては、特にビームスプリッタが挙げられ、ビームスプリッタは、レーザ光源内で電磁放射の一部を分散させる光パルスストレッチャで使用される。そのような光パルスストレッチャでは、レーザ光源によって生成されたパルス(たとえば、20ナノ秒のパルス長)を複数の時間的に互い違いの部分パルスに分解し、したがってたとえば(100~150)ナノ秒のより長い期間にわたってパルスを引き伸ばし、それに対応して、そうでない場合に発生する高い出力ピークを低減させて、後続の光学構成要素の劣化を避ける目的で、当該放射が循環経路を介して偏向させられる。
【0006】
そのようなレーザ光源または光パルスストレッチャの動作中に実際に生じる問題は、電磁放射の偏光特性の望ましくない乱れであり、これは特に、比較的大きい光出力を有するレーザ放射を生成するときに観察される可能性がある。立方晶系材料で生じる、いわゆる固有複屈折(IB)という知られている作用は、上述の193nmの動作波長ではそれでも比較的弱いが、大きい光出力を生成するとき、それぞれの光学構成要素またはビームスプリッタ内の局所的な加熱の結果として熱的に誘起される機械応力が生じ、それにより次いで応力複屈折(SB)が、それ自体知られている形で生じる。同様に、劣化によって引き起こされる材料の構造的変化による並進対称性の恒久的な破壊が、恒久的な複屈折の原因となる可能性もある。この複屈折に関連する遅延(これは、2つの直交偏光状態の路間の差を示す)により、偏光特性の乱れが引き起こされ、たとえば特別に設定された偏光照射設定に望ましくない影響を与える可能性がある。
【0007】
最終的に、その結果として、投影露光装置に結合された電磁放射が、所望の偏光状態(たとえば、最大結像コントラストを実現するために所望される)からの望ましくない逸脱を生じ、したがって投影露光装置の性能が損なわれる。
【0008】
現況技術に関しては、単なる例として、独国特許第202004020810(U1)号、欧州特許第2036170(B1)号、および米国特許第7,564,888(B2)号を参照されたい。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、少なくとも1つのビームスプリッタを有し、ビームスプリッタが高レベルの放射に曝露されたときでも、上述の問題を避けながら、電磁放射の偏光特性を可能な限り保持することを可能にする光学系、特にマイクロリソグラフィ用の光学系を提供することである。
【0010】
この目的は、独立請求項1の特徴によって実現される。
【0011】
本発明によれば、光学系、特にマイクロリソグラフィ用の光学系は、
- 少なくとも1つの入光面を有するビームスプリッタを含み、
- ビームスプリッタは、光学系の動作中に入光面で生じる面法線に対する入射角が45°±5°の範囲内になるように、光学系内に配置され、
- ビームスプリッタは、[110]結晶カット(crystal cut)で作製される。
【0012】
一実施形態によれば、ビームスプリッタは、結晶方向(001)が、ビームスプリッタに入射するビームおよびビームスプリッタで反射された関連のビームと共通の平面内に位置するように、光学系内に配置される。
【0013】
本発明は特に、光パルスストレッチャ内で使用され、典型的にはたとえばフッ化アルゴンエキシマレーザなどのレーザ光源内で、好適な結晶カットおよび相対設置位置に対して好適な回転配向を使用することによって、入射電磁放射に対して45°の角度で動作するビームスプリッタにおいて、最初に述べたような熱的に誘起されまたは劣化に関連する応力複屈折の望ましくない作用、ならびにその結果生じる偏光特性の遅延および関連の乱れが可能な限り弱くなることを確実にするという概念に基づく。
【0014】
本発明は特に、以下に示す考察に基づく。すなわち、ビームスプリッタの動作中に、特有の相対設置位置または特有の結晶カットが、入光面を通ってビームスプリッタに直接入るビームにとって、応力複屈折を最小化するという点で原則的に好ましいことが判明したが、同じ相対設置位置または同じ結晶カットが、光パルスストレッチャの特徴であるパルスストレッチャ内の循環後、それぞれの結晶方向に対してそのとき修正された角度でビームスプリッタに入るビームにとっては、特に好ましくない可能性がある。
【0015】
この考察から、光学系内のその結晶カットおよびその(回転)配向に対するビームスプリッタの構成または配置は、本発明によれば、材料の引張りの発生によって引き起こされる応力複屈折、およびそれに関連の光学系を通過する電磁放射の偏光特性の乱れの最小化が、ビームスプリッタに直接入るビームに対してだけでなく、最初にビームスプリッタで反射され、光学系内を循環した後にのみビームスプリッタに入るビームに対しても実現され、したがって偏光特性の全体的な望ましくない乱れが最小化されるように実施される。
【0016】
具体的には、[110]結晶カットおよび好適な(回転)配向で作製されたビームスプリッタの本発明による使用により、以下に説明するように、ビームが直接入る場合と、ビームが光学系内を循環した後にのみ入る場合との両方で、ビームスプリッタの材料内のビーム伝播は、結晶方向(111)または結晶方向(たとえば、11-1)に対してわずかに傾斜するだけであり、これも応力複屈折の前記最小化に関して等しく好ましい。
【0017】
ビームスプリッタを(直接)通過するビームと、光パルスストレッチャ内を循環した後にのみビームスプリッタに入るビームとの両方の結果、ビームスプリッタの材料で生じる機械応力が、可能な限り小さい規模で応力複屈折をもたらし、したがって偏光特性の望ましくない乱れが最小化される。
【0018】
本発明による構成には、本発明による結晶カットおよび配向の画定が、回転配向の180°の変更または入口面および出口面の反転に比べて強固になり、その結果、製造技術の点から、対応する未完成品のマークが、(001)タイプの結晶軸の相対軸位置に対してのみ必要になり(たとえば、それぞれの未完成品の縁部をマークする線による)、対応する軸方向に対しては不要になるというさらなる利点もある。
【0019】
一実施形態によれば、ビームスプリッタは、入光面を通ってビームスプリッタに入るビームが、結晶方向(111)に対して10°未満の角度でビームスプリッタを通過するように、光学系内に配置される。
【0020】
一実施形態によれば、ビームスプリッタは、光学系の動作中、ビームスプリッタで反射されたビームが、光学系内を循環した後にビームスプリッタに入るように、光学系内に配置される。
【0021】
一実施形態によれば、光学系内を循環した後にビームスプリッタに入るビームが、結晶方向(11-1)に対して10°未満の角度でビームスプリッタを通過する。
【0022】
一実施形態によれば、ビームスプリッタは、平行平面形状を有する。
【0023】
一実施形態によれば、ビームスプリッタは、立方晶系材料から作られる。
【0024】
一実施形態によれば、ビームスプリッタは、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化カルシウム(CaF2)、およびフッ化バリウム(BaF2)を含む群から選択された材料から作られる。
【0025】
一実施形態によれば、光学系は、200nm未満の動作波長に対して設計される。
【0026】
本発明はさらに、上述の特徴を有する光学系で使用するための光パルスストレッチャ、および少なくとも1つのそのような光パルスストレッチャを有するレーザ光源、特にマイクロリソグラフィ投影露光装置用のレーザ光源に関する。
【0027】
本発明のさらなる構成は、説明および従属請求項から推定することができる。
【0028】
本発明について、添付の図に示す例示的な実施形態に基づいて、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による光学系で使用されるビームスプリッタの一実施形態を説明する概略図である。
図2】本発明による光学系で使用されるビームスプリッタの一実施形態を説明する概略図である。
図3】本発明による光学系で使用されるビームスプリッタの一実施形態を説明する概略図である。
図4】従来のビームスプリッタの動作中に生じる問題について説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明による光学系で使用されるビームスプリッタの一実施形態について、図1図4の概略図を参照して以下に説明する。
【0031】
これは、たとえばフッ化アルゴンエキシマレーザなどのレーザ光源の光パルスストレッチャで使用される前記ビームスプリッタに基づく。光パルスストレッチャでは、レーザ光源によって生成されたパルス(たとえば、20ナノ秒のパルス長)を複数の時間的に互い違いの部分パルスに分解し、したがってたとえば(100~150)ナノ秒のより長い期間にわたってパルスを引き伸ばし、後続の光学構成要素の劣化を避ける目的で、電磁放射の一部が循環経路を介して偏向させられる。
【0032】
本発明が基づく問題について説明および図示するために、図4は、フッ化カルシウム(CaF2)から作られた平行平面板の形態のビームスプリッタ40の概略図を示す。結晶カットは通常、任意に選択されるのではなく、応力複屈折の可能な拡大に対して好ましい配向で選択される。結晶配向の画定は、板の結晶カットおよび回転配向に関係することができる。ビームスプリッタ40は、入射ビーム45に対して45°の角度で典型的な相対設置位置にあり、入光面41を介してビームスプリッタ40を通過するビーム46と、入光面41で反射され、最初に光パルスストレッチャ内を循環するビーム47との両方に対するビーム経路が示されている。図4に示すように、循環ビーム47は最終的に、ビームスプリッタ40のさらなる表面42を介して入る。
【0033】
機械応力(たとえば熱的に誘起される)が結晶材料に存在する場合、結晶方向(111)に沿ったビーム経路は、応力複屈折が可能な限り最小の規模で生じるという、それ自体が知られている結果をもたらす。
【0034】
この考察に基づいて、本発明はここで、(直接)通過するビームと、光パルスストレッチャ内を循環した後に入るビームとの両方に対して、特にレーザ光源の光パルスストレッチャ内で入射電磁放射に対して45°の角度で動作する[110]結晶カットでビームスプリッタを使用することによって、応力複屈折を最小化するという点で好ましい結晶方向付近で、ビームがビームスプリッタを通過することを確実にするという概念を含む。
【0035】
本発明によるそのような構成が図1に示されており、たとえばフッ化カルシウム(CaF2)から作製された平行平面形状のビームスプリッタ10が、ビームスプリッタ10の入光面11に入射する電磁放射に対して45°の角度で配置される。
【0036】
図1は、入光面11を介してビームスプリッタ10を通過するビーム16と、最初に入光面11で反射され、したがって最初に光パルスストレッチャ内を循環してから、最後にさらなる表面12を介してビームスプリッタ10に入るビーム17との両方に対する概略的なビーム経路を示す。図1によるビームスプリッタ10は、[110]結晶カットに作製され、さらに、図1からも同様に明らかになるように、結晶方向(001)が、ビームスプリッタ10に入射するビーム15およびビームスプリッタで反射される循環ビーム17と共通の平面内に位置するように、その回転配向に対して配置される。
【0037】
ビームスプリッタ10のこの回転配向は、図2によれば、結晶方向(111)および(11-1)もまた、ビーム伝播の平面内に位置し、それぞれ方向(110)に対して35°の角度を有することを示唆する。
【0038】
本発明によるこの構成はここで、通過するビーム16が結晶方向(111)付近に位置するという結果をもたらし、これは応力複屈折の所望の最小化に関して好ましい。さらに、本発明による構成はまた、結晶方向(11-1)付近のビーム経路に特有の応力複屈折を最小化するのに対して好ましい構成が、循環ビーム17に対しても実現されるという結果をもたらす。
【0039】
ビームスプリッタ10を(直接)通過するビームと、光パルスストレッチャ内を循環した後にのみビームスプリッタ10に入るビームとの両方の結果、ビームスプリッタ10の材料で生じる熱的に誘起された機械応力が、可能な限り小さい規模で応力複屈折をもたらし、したがって偏光特性の望ましくない乱れが最小化される。
【0040】
本発明による結晶カットおよび配向の画定が、回転配向の180°の変更または入口面および出口面の反転に比べて強固になることから、対応する未完成品の識別は、図3に示すように、(001)タイプの結晶軸の相対軸位置に対してのみ必要になり(たとえば、それぞれの未完成品の縁部をマークする線による)、対応する軸方向に対しては不要になる。
【0041】
本発明について、特有の実施形態に基づいて説明したが、多数の変形例および代替実施形態が、たとえば個々の実施形態の特徴の組合せおよび/または置換えによって、当業者には明らかである。したがって、そのような変形例および代替実施形態は本発明によって包含され、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって提供される場合にのみ制限されることは、当業者には言うまでもないことである。
図1
図2
図3
図4