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特許7223141PVDチャンバのための縦長の堆積リングを有するプロセスキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】PVDチャンバのための縦長の堆積リングを有するプロセスキット
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/50 20060101AFI20230208BHJP
   C23C 14/00 20060101ALI20230208BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
C23C14/50 Z
C23C14/00 B
C23C14/34 T
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021534367
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 US2019065900
(87)【国際公開番号】W WO2020131551
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】16/222,662
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ チェン-ション
(72)【発明者】
【氏名】サヴァンダイアー キランクマール ネーラサンドラ
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-519426(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0103257(US,A1)
【文献】特表2010-513722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
H01L 21/203,21/205,21/285
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持体上に配置されるように構成された堆積リングを備え、前記堆積リングは、
前記基板支持体の下側棚部上に静止するように構成された環状バンドであって、上面および下面を有し、前記下面が、半径方向内側部分と半径方向外側部分との間に段を含み、前記段が、前記半径方向内側部分から前記半径方向外側部分へ下方に延びる、環状バンドと、
前記環状バンドの前記上面から前記環状バンドの内面の近傍で上方に延びる内側リップであって、前記内側リップの内面および前記環状バンドの前記内面が、前記堆積リングの中心開口をともに形成し、前記環状バンドの上面と前記内側リップの上面の水平部分との間の深さが、6.0mm~12.0mmである、内側リップと、
前記環状バンドの半径方向外方へ前記環状バンドの下に配置されたチャネルと、
上方に延び、前記チャネルの半径方向外方に配置された外側リップとを備え
前記チャネルが、前記環状バンドの外面の近傍から下方に延びる第1の脚部、前記第1の脚部の底部から半径方向外方に延びる第2の脚部、および前記第2の脚部から上方に延びる外側リップによって画定される、プロセスキット
【請求項2】
前記環状バンドの前記上面と前記内側リップの前記上面との間の前記深さが、7.0mm~10.0mmである、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項3】
前記環状バンドが、略平坦な上面を含む、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項4】
前記半径方向内側部分の幅が、10.0mm~13.0mmである、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項5】
前記外側リップの幅が、前記内側リップの幅より大きい、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセスキット。
【請求項6】
前記堆積リングの前記内側リップが、前記内側リップの外面の垂直部分から前記内側リップの前記内面まで1.0mm~2.0mmの幅を有し、前記外側リップの幅が、2.0mm~3.0mmである、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセスキット。
【請求項7】
前記上面から前記下面の前記半径方向外側部分までの前記環状バンドの厚さが、3.75mm~4.75mmである、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセスキット。
【請求項8】
前記内側リップが、半径方向内方に突出する複数のタブを含む、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセスキット。
【請求項9】
前記堆積リングの前記外側リップ内に配置されたスロット内で静止するクランプを有するクランプアセンブリをさらに備える、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセスキット。
【請求項10】
一体型のプロセスキットシールドをさらに備え、前記一体型のプロセスキットシールドが、上部および下部、ならびに前記下部から半径方向内方に延びるカバーリング区分を有する円筒体を有し、前記カバーリング区分が、前記堆積リングの前記チャネル内へ延びる突起と、前記カバーリング区分と前記堆積リングとの間に蛇行した流路を画定するように前記外側リップがその中へ延びる凹みとを含む、
請求項1~のいずれか1項に記載のプロセスキット。
【請求項11】
前記一体型のプロセスキットシールドが、
前記上部から半径方向外方に延びるアダプタ区分と、
前記アダプタ区分を通って延びる熱伝達チャネルとをさらに備える、請求項10に記載のプロセスキット。
【請求項12】
プロセスチャンバであって、
前記プロセスチャンバ内の内側体積を画定するチャンバ壁と、
前記内側体積の上部区分内に配置されたターゲットと、
前記内側体積内で前記ターゲットとは反対の位置に配置された基板支持体と、
請求項1~のいずれか1項に記載のプロセスキットであり、前記堆積リングが前記基板支持体上に配置される、プロセスキットと、
一体型のプロセスキットシールドとを備え、前記一体型のプロセスキットシールドが、上部および下部、ならびに前記下部から半径方向内方に延びるカバーリング区分を有する円筒体であり、前記上部が、前記上部から半径方向外方に延びるアダプタ区分を含み、前記アダプタ区分が、前記チャンバ壁によって支持される、円筒体と、前記アダプタ区分内に配置された熱伝達チャネルとを有し、前記カバーリング区分が、前記堆積リングの前記チャネル内へ延びる突起と、前記カバーリング区分と前記堆積リングとの間に蛇行した流路を画定するように前記外側リップがその中へ延びる凹みとを含む、プロセスチャンバ。
【請求項13】
前記堆積リングを前記基板支持体に締め付けるためのクランプアセンブリをさらに備え、前記クランプアセンブリが、前記基板支持体に結合されたベースプレートと、前記ベースプレート内の開口内に回転可能に配置されたクランプとを有する、請求項12に記載のプロセスチャンバ。
【請求項14】
前記クランプが、シャフトと、前記シャフトの頂部から半径方向外方に延びるタブとを含み、前記タブが、前記堆積リングのスロット内に静止するように構成され、前記クランプアセンブリが、前記クランプの周りで前記ベースプレートの上に配置されたブッシングと、前記クランプの周りで前記ベースプレートの下に配置されたワッシャに前記クランプを結合するファスナとをさらに含んでもよい、請求項13に記載のプロセスチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、基板処理機器に関する。
【背景技術】
【0002】
物理的気相堆積(PVD)チャンバでは、処理体積を非処理体積から分離するために、プロセスキットシールドを使用することができる。時間が経つにつれて、プロセスキットシールドには、PVDチャンバで実行される堆積プロセスからの堆積材料が蓄積する。高堆積プロセスの場合、プロセスキット上の堆積蓄積は非常に大きくなり、その結果、堆積が基板の裏面まで達する可能性がある。その時点で、堆積物は基板の裏面に粘着または付着する可能性があり、それにより基板の取扱い上の問題をもたらし、基板の破損を招く可能性がある。そのようなプロセスキットシールドは、取り外して清浄なプロセスキットシールドに交換することができるが、プロセスキットシールド上に堆積する材料の急速な蓄積により、プロセスキットシールドを交換するためのダウンタイムがより頻繁になる。
【0003】
したがって、本発明者らは、本明細書に開示する改善されたプロセスキットの実施形態を提供する。
【発明の概要】
【0004】
プロセスキットの実施形態が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、プロセスキットは、基板支持体上に配置されるように構成された堆積リングを含み、堆積リングは、基板支持体の下側棚部上に静止するように構成された環状バンドであって、上面および下面を有し、下面が、半径方向内側部分と半径方向外側部分との間に段を含み、段が、半径方向内側部分から半径方向外側部分へ下方に延びる、環状バンドと、環状バンドの上面から環状バンドの内面の近傍で上方に延びる内側リップであって、内側リップの内面および環状バンドの内面が、堆積リングの中心開口をともに形成し、環状バンドの上面と内側リップの上面の水平部分との間の深さが、約6.0mm~約12.0mmである、内側リップと、環状バンドの半径方向外方へ環状バンドの下に配置されたチャネルと、上方に延び、チャネルの半径方向外方に配置された外側リップとを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、プロセスチャンバは、プロセスチャンバ内の内側体積を画定するチャンバ壁と、内側体積の上部区分内に配置されたターゲットと、内側体積内でターゲットとは反対の位置に配置された基板支持体と、一体型のプロセスキットシールドと、基板支持体上に配置されるように構成された堆積リングとを含む。堆積リングは、基板支持体の下側棚部上に静止するように構成された環状バンドであって、上面および下面を有し、下面が、半径方向内側部分と半径方向外側部分との間に段を含み、段が、半径方向内側部分から半径方向外側部分へ下方に延びる、環状バンドと、環状バンドの上面から環状バンドの内面の近傍で上方に延びる内側リップ250であって、内側リップの内面および環状バンドの内面が、堆積リングの中心開口をともに形成し、内側リップが、内側リップの外面の垂直部分から内側リップの内面まで約1.0mm~約2.0mmの幅を有する、内側リップと、環状バンドの半径方向外方に配置されたチャネルと、上方に延び、チャネルの半径方向外方に配置された外側リップであって、スロットを含む外側リップとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、堆積リングは、基板支持体の下側棚部上に静止するように構成された環状バンドであって、上面および下面を有し、下面が、半径方向内側部分と半径方向外側部分との間に段を含み、段が、半径方向内側部分から半径方向外側部分へ下方に延びる、環状バンドと、環状バンドの上面から環状バンドの内面の近傍で上方に延びる内側リップであって、内側リップの内面および環状バンドの内面が、堆積リングの中心開口をともに形成し、内側リップが、内側リップの外面の垂直部分から内側リップの内面まで約1.0mm~約2.0mmの幅を有し、環状バンドの上面と内側リップの上面の水平部分との間の深さが、約6.0mm~約12.0mmである、内側リップと、環状バンドの外面の近傍から下方に延びる第1の脚部と、第1の脚部の底部から半径方向外方に延びる第2の脚部と、第2の脚部から上方に延びる外側リップとを含み、第1の脚部、第2の脚部、および外側リップは、チャネルをともに画定する。
【0007】
本開示の他のさらなる実施形態については、以下で説明する。
【0008】
上記で簡単に要約し、以下でより詳細に論じる本開示の実施形態は、添付の図面に示す本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解されよう。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得るため、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって範囲の限定であると見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のいくつかの実施形態によるプロセスチャンバの概略横断面図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態によるプロセスキットの概略横断面図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による堆積リングの概略横断面図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による堆積リングの等角図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による堆積リングおよびクランプアセンブリの概略横断面図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による堆積リングの上面図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態による堆積リングの底面図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態による堆積リングの正面図である。
図9】本開示のいくつかの実施形態による堆積リングの背面図である。
図10】本開示のいくつかの実施形態による堆積リングの左側面図である。
図11】本開示のいくつかの実施形態による堆積リングの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、これらの図に共通の同一の要素を指すために、可能な限り同一の参照番号を使用した。これらの図は、原寸に比例して描かれておらず、見やすいように簡略化されていることがある。さらなる記載がなくても、一実施形態の要素および特徴は、他の実施形態にも有益に組み込むことができる。
【0011】
プロセスキットおよびそのようなプロセスキットを組み込むプロセスチャンバの実施形態が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、一体型のプロセスキットシールドを含むプロセスキット、および縦長の堆積リングが、本明細書に提供される。堆積リングは、堆積リング上の堆積材料の蓄積の増大を可能にすることが有利である。その結果、従来の堆積リングと比較したときほど迅速に、処理されている基板の裏側に堆積物が粘着しないため、この堆積リングは、洗浄前により多くのプロセスサイクルを受けることができる。堆積物が基板の裏側に粘着することに伴う問題をさらに緩和するために、堆積リング上の堆積物が基板の裏側に粘着した場合に堆積リングを押し下げるように、クランプアセンブリを提供することができる。その結果、クランプアセンブリは堆積リングが持ち上げられることを防止することから、基板の裏側への堆積物の粘着によって基板が持ち上げられることにより堆積リングが持ち上げられることに伴う損傷が回避されることが有利である。
【0012】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるプロセスキットシールドを有するプロセスチャンバ100(たとえば、PVDチャンバ)の概略横断面図を示す。本開示のプロセスキットシールドとの使用に好適なPVDチャンバの例には、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から市販のEXECTA(商標)および他のPVD処理チャンバが含まれる。Applied Materials,Inc.または他の製造者からの他の処理チャンバも、本明細書に開示する本発明の装置から利益を得ることができる。
【0013】
プロセスチャンバ100は、内側体積108を密閉するチャンバ壁106を備える。チャンバ壁106は、側壁116、底壁120、および天井124を含む。プロセスチャンバ100は、独立型のチャンバ、または複数のチャンバを含むプラットフォーム(図示せず)の一部とすることができ、そのようなプラットフォームは、様々なチャンバ間で基板104を移送する基板移送機構によって接続された1群の相互接続されたチャンバを有する。プロセスチャンバ100は、基板104上へ材料をスパッタリング堆積させることが可能なPVDチャンバとすることができる。スパッタリング堆積に好適な材料の非限定的な例には、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステンなどの1つまたは複数が含まれる。
【0014】
プロセスチャンバ100は、基板支持体130を備え、基板支持体130は、基板104を支持するためのペデスタル134を備える。ペデスタル134は、プロセスチャンバ100の上部区分内に配置されたスパッタリングターゲット140のスパッタリング面139に対して実質上平行な平面を有する基板支持面138を有する。ペデスタル134の基板支持面138は、処理中に所与の幅を有する基板104を支持するように設計される。基板104の幅は、基板104が円形の場合は直径、または基板が正方形/長方形の場合は幅とすることができる。ペデスタル134は、静電チャックまたはヒータ(電気抵抗ヒータ、熱交換器、または他の好適な加熱デバイスなど)を含むことができる。動作の際、プロセスチャンバ100の側壁116内の基板投入入口142を介して、基板104がプロセスチャンバ100内へ導入され、基板支持体130上へ配置される。ロボットアームによる基板支持体130上への基板104の配置中、支持体持上げ機構によって、基板支持体130を上下させることができ、持上げフィンガアセンブリを使用して、基板支持体130上へ基板104を上下させることができる。ペデスタル134は、プラズマ動作中、電気浮遊電位で維持することができ、または接地することができる。
【0015】
プロセスチャンバ100はまた、図2および図3に示すように、プロセスキット102を含み、プロセスキット102は、たとえば部品の表面からスパッタリング堆積物を洗浄するため、浸食された部品を交換もしくは修理するため、またはプロセスチャンバ100を他のプロセスに適合させるために、プロセスチャンバ100から容易に取り外すことができる様々な部品を備える。プロセスキット102は、一体型のシールド110を含む。いくつかの実施形態では、一体型のシールド110は、スパッタリングターゲット140のスパッタリング面139および基板支持体130を取り囲むようなサイズの直径(たとえば、スパッタリング面139および基板支持体130の支持面より大きい直径)を有する円筒体126を含む。円筒体126は、スパッタリングターゲット140のスパッタリング面139の外縁部を取り囲む上部128と、基板支持体130を取り囲む下部132とを有する。上部128は、側壁116上に一体型のシールド110を支持するためのアダプタ区分136と、基板支持体130の周壁112の周りに配置するためのカバーリング区分122とを含む。プロセスキット102は、カバーリング区分122の下に配置された堆積リング、たとえば堆積リング125をさらに備える。堆積リング125は、基板支持体130の下側棚部135上に位置する。カバーリング区分122の底面は、堆積リング125と連係する。
【0016】
堆積リング125は、図2および図3に示すように、基板支持体130の周壁112の周りに延びて周壁112を取り囲む環状バンド215を備える。環状バンド215は、上面220および下面226を含む。環状バンド215は、内面304および外面306を含む。いくつかの実施形態では、内面034から外面306までの距離は、約20.0mm~約23.0mmである。上面220は略平坦であり、水平部分を含む。いくつかの実施形態では、環状バンド215は、外面306と上面220との間の境界面に第1の半径310を含む。いくつかの実施形態では、環状バンド215は、下面226と内面304との間の境界面に第2の半径312を含む。
【0017】
環状バンド215の下面226は、半径方向内側部分322および半径方向外側部分324、ならびに半径方向内側部分322と半径方向外側部分324との間に位置する段338を含む。段338は、半径方向内側部分322から半径方向外側部分324へ下方に延びる。下面226の半径方向内側部分322は、基板支持体130の下側棚部135上に位置し、半径方向外側部分324は、下側棚部135を取り囲む。いくつかの実施形態では、上面220から下面226の半径方向内側部分322までの環状バンド215の厚さは、約2.0mm~約2.5mmである。いくつかの実施形態では、上面220から下面226の半径方向外側部分324までの環状バンド215の厚さは、約3.75mm~約4.75mmである。環状バンド215のうち、半径方向外側部分324に対応するより厚い外側部分は、環状バンド215のうち、半径方向内側部分322に対応するより薄い内側部分への追加の支持を提供することが有利である。いくつかの実施形態では、環状バンド215の内面304から段338(たとえば、半径方向内側部分322)までの距離は、約10.0mm~約13.0である。
【0018】
内側リップ250は、上面220から環状バンド215の内面304の近傍で上方に延びる。内側リップ250は、基板支持体130の周壁112に対して実質上平行であり、したがって内側リップ250の内面308および環状バンド215の内面304は位置合わせされ、堆積リング125の中心開口をともに形成し、中心開口の幅は、基板104の所与の幅より小さい。中心開口は、堆積リング125の内径を画定することができる。
【0019】
内側リップ250は、基板104の張出し縁部114の真下で終端する。内側リップ250は、処理中に基板支持体130のうち基板104によって覆われていない領域を保護するために、基板支持体130を取り囲む堆積リング125の内周を画定する。たとえば、内側リップ250は、周壁112上へのスパッタリング堆積物の堆積を低減させ、またはさらには完全に阻止するために、普通なら処理環境に露出されるはずの基板支持体130の周壁112を取り囲み、少なくとも部分的に覆う。スパッタリング堆積物を堆積リング125の露出表面から洗浄するために、基板支持体130を分解しなくても洗浄することができるように、堆積リング125を容易に取り外すことができることが有利である。堆積リング125はまた、励磁されたプラズマ種による浸食を低減させるために、基板支持体130の露出側面を保護する働きをすることができる。
【0020】
内側リップ250は、外面314上へのスパッタリング堆積物の堆積を低減させるために、小さい幅を有することが有利である。いくつかの実施形態では、内側リップ250は、内側リップ250の外面314の垂直部分から内側リップ250の内面308まで約1.0mm~約2.0mmの幅を有する。いくつかの実施形態では、内側リップ250の幅は、約1.4mm~約1.5mmである。いくつかの実施形態では、外面314は、外面314のうち垂直に延びる部分と、環状バンド215の上面220のうち水平に延びる部分との間に、半径316を含む。半径は、外面314上へのスパッタリング堆積物の堆積を低減させるために、小さくすることができることが有利である。いくつかの実施形態では、半径は、約2.0mm~約3.0mmである。いくつかの実施形態では、半径は、約2.4mm~約2.6mmである。
【0021】
堆積リング125は、環状バンド215の外面306の近傍から下方に延びる第1の脚部210をさらに含む。第2の脚部260が、第1の脚部210の底部320から半径方向外方に延びる。外側リップ214が、第2の脚部260から上方に延びる。第1の脚部210、第2の脚部260、および外側リップ214は、堆積リング125のチャネル240をともに画定する。
【0022】
いくつかの実施形態では、環状バンド215の上面220と内側リップ250の上面326との間の深さ340が、少なくとも約8.0mmの材料堆積物を収容するように構成される。たとえば、深さ340は、約6.0mm~約12.0mmとすることができる。いくつかの実施形態では、深さ340は、約7.0mm~約10.0mmとすることができる。いくつかの実施形態では、深さ340は、約7.0mm~約8.0mmとすることができる。その結果、基板104の張出し縁部114の裏側への材料堆積物の付着が実質上低減され、または完全に解消される。いくつかの実施形態では、内側リップ250の上面326とペデスタル134の基板受取り面との間の距離は、約1.0mm~約2.0mmである。より大きい深さ340を有する堆積リング125を収容するために、下側棚部135は、基板支持面138からさらに離れて配置される。堆積リング125の上面は、内側リップ250の上面326、内側リップ250の外面314、および上面220の水平部分を含む。堆積リング125の下面は、環状バンド215の下面226、第1の脚部210の半径方向内面、第2の脚部260の下面、および外側リップ214の半径方向外面を含む。
【0023】
カバーリング区分122は、堆積リング125を少なくとも部分的に覆う。堆積リング125およびカバーリング区分122は、互いに協働して、基板支持体130の周壁および基板104の張出し縁部114上へのスパッタリング堆積物の形成を低減させる。いくつかの実施形態では、カバーリング区分122は、堆積リング125内のチャネル240と連係するように構成された突起230を含む。チャネル240の側壁は、外側リップ214の半径方向内面および第1の脚部210の半径方向外面によって画定される。チャネル240の底壁は、第2の脚部260の上面によって画定される。チャネル212は、内側リップ250の半径方向外方に配置される。外側リップ214は、チャネル212の半径方向外方に配置される。外側リップ214は、カバーリング区分122内の対応する凹み216と連係するように構成される。いくつかの実施形態では、半径方向内面から半径方向外面までの外側リップ214の幅は、約2.0mm~約3.0mmである。いくつかの実施形態では、外側リップ214の上面342は、環状バンドの下面226の下に配置される。
【0024】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による堆積リングの等角図を示す。堆積リング125は、堆積リング125と基板支持体130との間の間隙を最小にして、基板支持体130を取り囲むようなサイズであることが有利である。いくつかの実施形態では、堆積リング125の内径は、約285.0mm~約300.0mmである。いくつかの実施形態では、堆積リング125の内径は、約290.0mm~約295.0mmである。いくつかの実施形態では、堆積リング125の外径は、約315.0mm~約335.0mmである。いくつかの実施形態では、堆積リング125の外径は、約320.0mm~約330.0mmである。いくつかの実施形態では、堆積リング125は、内側リップ250の内面308から半径方向内方に突出するタブ404を含み、タブ404は、基板支持体130の対応する凹み内に保持されるように構成され、それにより基板支持体130に対して堆積リング125を位置合わせし、基板支持体130に対する堆積リング125の回転を防止することが有利である。いくつかの実施形態では、タブ404は、互いから等距離に位置決めされた3つのタブである。いくつかの実施形態では、外側リップ214は、スロット408を含む。図4に示すように、外側リップ214は、堆積リング125の周りで互いに反対の位置に配置された2つのスロット408を含む。スロット408は、図5に関して後述するように、クランプアセンブリ500を各々受け取るように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、プロセスキット102は、材料堆積物および堆積リング125が基板104の張出し縁部114の裏側に付着することをさらに有利に防止するためのクランプアセンブリ500をさらに含むことができる。図5は、本開示のいくつかの実施形態による堆積リング125およびクランプアセンブリ500の概略横断面図を示す。スロット408は各々、対応するクランプアセンブリ500を有する。クランプアセンブリ500は、堆積リング125を締め付けるためのベースプレート502およびクランプ504を含む。ベースプレート502は、基板支持体130(たとえば、ペデスタル134の底面)に結合される。クランプ504は、ベースプレート502の開口516内に配置される。クランプ504は、シャフト518と、シャフト518の頂部から半径方向外方に延びるタブ520とを含む。タブ520は、堆積リング125が上昇することを防止するために、堆積リング125のスロット408の下面上に静止するように構成される。クランプ504は、ベースプレート502に結合することができる。たとえば、クランプ504は、ねじまたはボルトを介してベースプレート502に結合することができる。いくつかの実施形態では、クランプ504は、ベースプレート502に回転可能に結合される。いくつかの実施形態では、クランプ504は、タブ520をスロット408から出し入れするために、ベースプレート502に対して上下させることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、クランプアセンブリ500は、ベースプレート502の上面上に静止するブラケット512およびブッシング510を含む。ブッシング510は、ブラケット512の中心開口514およびベースプレート502の開口516内に配置される。ブラケット512は隆起部分を含み、隆起部分は、中心開口514から半径方向内方に延びてブッシング510に張り出す段を含む。段は、ブッシング510がベースプレート502に対して持ち上げられることを防止するように構成される。ベースプレート502の下に、開口516の直径より大きい外径を有するワッシャ508が配置される。ワッシャ508をクランプ504に固定してクランプ504をベースプレート502に結合するために、ワッシャ508の下にファスナ506が配置される。ワッシャ508およびタブ520は、クランプ504をベースプレート502に結合しながら、クランプ504が開口516内で回転すること、およびベースプレート502に対して上下すること(たとえば、垂直運動)を可能にするように構成される。クランプ504は、堆積リング125の取外しを可能にするために、上昇、回転、および下降させることができる。
【0027】
堆積リング125は、従来の堆積リングと比較するとより多くの材料堆積物を収容するように構成されているが、所期の厚さの材料堆積物が堆積リング125上に蓄積した後に堆積リング125が洗浄されなかった場合、材料堆積物は基板104の張出し縁部114の裏側に付着する。その結果、基板104が基板支持体130から持ち上げられたとき、堆積リング125も基板104とともに持ち上げられる。不適切な使用によって堆積リング125が持ち上げられることを防ぐために、クランプアセンブリ500は、堆積リング125と連係して、堆積リングの垂直運動を防止するように構成され、したがって堆積リング125が基板104とともに持ち上げられることによって引き起こされる基板104または堆積リング125の損傷を回避することが有利である。
【0028】
一体型のシールド110は、基板支持体130および基板支持体130の外周に面するスパッタリングターゲット140のスパッタリング面139を取り囲む。一体型のシールド110は、プロセスチャンバ100の側壁116を覆い隠して、スパッタリングターゲット140のスパッタリング面139から生じるスパッタリング堆積物が、一体型のシールド110の後ろの部品および表面上へ堆積するのを低減させる。たとえば、一体型のシールド110は、基板支持体130、基板104の張出し縁部114、プロセスチャンバ100の側壁116および底壁120の表面を保護することができる。
【0029】
アダプタ区分136は、一体型のシールド110を支持しており、プロセスチャンバ100の側壁116の周りで熱交換器として働くことができる。いくつかの実施形態では、熱伝達媒体を流すように、上部128内に熱伝達チャネル152が配置される。いくつかの実施形態では、熱伝達チャネル152は、アダプタ区分136内に配置される。一体型のシールド110は単体構造であるため、熱伝達チャネル152を通って流れる熱伝達媒体は、一体型のシールド110のうちシールドおよびカバーリング(すなわち、それぞれ円筒体126およびカバーリング区分122)に対応する区域を直接冷却/加熱する。さらに、一体型のシールド110の単体構造により、以前はアダプタを介して熱伝達供給へ間接的に結合された熱伝達媒体供給180を、シールドに直接結合することが可能になることが有利である。熱伝達媒体供給180は、所望のシールド温度を維持するのに十分な流量で、熱伝達チャネル152を介して熱伝達媒体を流すことができる。
【0030】
図2に戻ると、一体型のシールド110により、一体型のシールド110からの改善された熱伝達が可能になり、シールド上に堆積した材料にかかる熱膨張応力が低減される。一体型のシールド110のいくつかの部分は、基板処理チャンバ内に形成されるプラズマへの露出によって過度に加熱される可能性があり、その結果、シールドの熱膨張が生じ、シールド上に形成されたスパッタリング堆積物がシールドから剥がれて基板104上に落下し、基板104を汚染する可能性がある。アダプタ区分136および円筒体126の単体構造の結果、アダプタ区分136と円筒体126との間の熱伝導率が改善される。
【0031】
いくつかの実施形態では、一体型のシールド110は、単体の材料から作られた単体構造を構成する。たとえば、一体型のシールド110は、ステンレス鋼またはアルミニウムから形成することができる。一体型のシールド110の単体構造は、完全なシールドを構成するために2つまたは3つの別個の部品を含むことが多いシールド設計に比べて有利である。たとえば、単体のシールドは、加熱プロセスおよび冷却プロセスの両方において、複数の部品を含むシールドより熱的に均一である。たとえば、一体型のシールド110により、円筒体126、アダプタ区分136、およびカバーリング区分122間の熱的境界面がなくなり、これらの区分間の熱交換に対するさらなる制御が可能になる。いくつかの実施形態では、上記で説明したように、熱伝達媒体供給180は、熱伝達チャネル152を介して冷却剤を流し、過熱されたシールドが基板104上に堆積しているスパッタリングされた材料に与える悪影響を防ぐ。いくつかの実施形態では、熱伝達媒体供給180は、熱伝達チャネル152を介して加熱された流体を流し、スパッタリングされた材料とシールドとの間の熱膨張係数の差を軽減する。
【0032】
さらに、複数の部品を有するシールドは、洗浄のために取り外すのがより困難でありかつ労力を要する。一体型のシールド110は、スパッタリング堆積物に露出された連続した表面を有しており、洗浄するのがより困難な境界面または隅部がない。一体型のシールド110はまた、プロセスサイクル中にチャンバ壁106をスパッタリング堆積物からより効果的に遮蔽する。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ100内の内側体積108に露出される一体型のシールド110の表面をビードブラスト処理して、粒子の発散を低減させ、プロセスチャンバ100内の汚染を防止することができる。
【0033】
カバーリング区分122は、堆積リング125を受け取り、したがってスパッタリング堆積物の大部分から堆積リング125を隠すように、堆積リング125を取り囲み、少なくとも部分的に覆う。カバーリング区分122は、堆積リング125の一部分に重なる突出縁270を備える。突出縁270は、半径方向内方かつ下方に傾いて基板支持体130を取り囲む傾斜面264を含む。突出縁270は、堆積リング125上へのスパッタリング堆積物の堆積を低減させる。カバーリング区分122は、堆積リング125と協働しかつ堆積リング125を補完して、カバーリング区分122と堆積リング125との間に蛇行した流路を形成し、したがって周壁112上へのプロセス堆積物の流れを抑制するようなサイズ、形状、および位置である。
【0034】
蛇行した流路により、普通なら堆積リング125およびカバーリング区分122を互いにまたは基板104の張出し縁部114に付着させるはずの堆積リング125およびカバーリング区分122の嵌合面上への低エネルギーのスパッタリング堆積物の蓄積が制限される。張出し縁部114の下に延びる堆積リング125の環状バンド215は、カバーリング区分122の突出縁270から隠してスパッタリング堆積物をスパッタリングチャンバ内に集めるとともに、カバーリング区分122および堆積リング125の嵌合面上へのスパッタリング堆積を低減させ、またはさらには実質上阻止するように設計される。
【0035】
図1および図2に示すように、スパッタリングターゲット140は、バッキング板150に取り付けられたスパッタリング板144を備える。スパッタリング板144は、基板104上へスパッタリングされる材料を含む。スパッタリング板144は、基板104の平面に対して平行な平面を形成するスパッタリング面139を有することができる。周辺傾斜側壁288が、スパッタリング面139を取り囲む。周辺傾斜側壁288は、スパッタリング面139の平面に対して傾斜させることができる。周辺傾斜側壁288は、円筒形メサ286の平面に対して、少なくとも約60°、たとえば約75°~約85°の角度だけ傾斜させることができる。
【0036】
一体型のシールド110の上部128の近傍に位置する周辺傾斜側壁288は、暗黒部領域を構成する間隙200を形成する。暗黒部領域は、自由電子がほとんど存在せず、真空としてモデル化することができる区域である。暗黒部領域の制御により、暗黒部領域へのプラズマの侵入、アークの発生、およびプラズマの不安定性を防止することが有利である。間隙200の形状により、スパッタリングされたプラズマ種が間隙200を通過することが妨げられ、したがって周辺ターゲット領域の表面上へのスパッタリングされた堆積物の蓄積が低減される。
【0037】
スパッタリング板144は、金属または金属化合物を含む。たとえば、スパッタリング板144は、たとえばアルミニウム、銅、タングステン、チタン、コバルト、ニッケル、またはタンタルなどの金属とすることができる。スパッタリング板144はまた、たとえば窒化タンタル、窒化タングステン、または窒化チタンなどの金属化合物とすることができる。
【0038】
バッキング板150は、スパッタリング板144およびスパッタリング板144の半径を越えて延びる周辺棚部202を支持するための支持面201を有する。バッキング板150は、たとえばステンレス鋼、アルミニウム、銅クロム、または銅亜鉛などの金属から作られる。バッキング板150は、スパッタリング板144およびバッキング板150の両方で形成されるスパッタリングターゲット140内で生成された熱を放散するのに十分に高い熱伝導率を有する材料から作ることができる。熱は、スパッタリング板144およびバッキング板150内で生じる渦電流、ならびにスパッタリングターゲット140のスパッタリング面139上へのプラズマからのエネルギーイオンの衝撃から生成される。バッキング板150のより高い熱伝導率により、スパッタリングターゲット140内で生成される熱が、周辺構造、またはさらには熱交換器へ放散することが可能になる。熱交換器は、バッキング板150の後ろに取り付けることができ、またはバッキング板150自体に位置することができる。たとえば、バッキング板150は、熱伝達流体を循環させるためのチャネル(図示せず)を備えることができる。バッキング板150の好適に高い熱伝導率は、少なくとも約200W/m・K、たとえば約220~約400W/m・Kである。そのような熱伝導率レベルにより、スパッタリングターゲット140内で生成される熱をより効率的に放散することによって、スパッタリングターゲット140をより長い処理期間にわたって動作させることが可能になる。
【0039】
バッキング板150は、高い熱伝導率および低い抵抗を有する材料から作られたバッキング板150と組み合わせて、または別個に単独で、1つまたは複数の溝252を有する裏面を備えることができる。たとえば、バッキング板150は、スパッタリングターゲット140の裏側141を冷却するために、環状溝などの溝252、または突条を有することができる。溝252および突条はまた、他のパターン、たとえば方形の格子パターン、チキンフィートパターン、または裏面を横切る簡単な直線を有することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、拡散接合によって、たとえばスパッタリング板144をバッキング板150上に配置し、スパッタリング板144およびバッキング板150を好適な温度、典型的には少なくとも約200℃まで加熱することによって、スパッタリング板144をバッキング板150上に取り付けることができる。任意で、スパッタリングターゲット140は、スパッタリング板およびバッキング板の両方として働くのに十分な深さを有する単体の材料を含む単体構造とすることができる。
【0041】
バッキング板150の周辺棚部202は、プロセスチャンバ100内でアイソレータ154上に静止する外側フーチング204を備える。周辺棚部202は、Oリング溝206を含み、Oリング溝206内へOリング208が配置されて、真空封止を形成する。アイソレータ154は、バッキング板150をプロセスチャンバ100から電気的に隔離および分離しており、典型的には、酸化アルミニウムなどの誘電体または絶縁材料から形成されたリングである。周辺棚部202は、スパッタリングターゲット140とアイソレータ154との間の間隙を介したスパッタリングされた材料およびプラズマ種の流れまたは移動を抑制して、低い角度でスパッタリングされた堆積物がこの間隙内へ侵入するのを防ぐような形状である。
【0042】
図1に戻ると、スパッタリングターゲット140は、DC電源146およびRF電源148の一方または両方に接続されている。DC電源146は、スパッタリングプロセス中に電気的に浮遊することができる一体型のシールド110に対して、スパッタリングターゲット140にバイアス電圧を印加することができる。DC電源146は、スパッタリングターゲット140、一体型のシールド110、基板支持体130、およびDC電源146に接続された他のチャンバ部品に電力を供給する。DC電源146およびRF電源148の少なくとも1つは、スパッタリングガスを励磁して、スパッタリングガスのプラズマを形成する。形成されたプラズマは、スパッタリングターゲット140のスパッタリング面139に衝突して衝撃を与え、スパッタリング面139からの材料を基板104上へスパッタリングする。
【0043】
いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ100は、スパッタリングターゲット140のスパッタリングを改善するように、スパッタリングターゲット140の周りに磁界を形作るための磁界発生器156を含むことができる。容量的に生成されたプラズマは、磁界発生器156によって強化することができ、たとえば磁界発生器156では、永久磁石または電磁石コイルが、基板104の平面に直交する回転軸を有する回転磁界を有する磁界を、プロセスチャンバ100内に提供することができる。プロセスチャンバ100は、追加または別法として、ターゲット材料のスパッタリングを改善するために、スパッタリングターゲット140近傍の高密度プラズマ領域内でイオン密度を増大させるように、プロセスチャンバ100のスパッタリングターゲット140付近に磁界を生成する磁界発生器156を備えることができる。
【0044】
スパッタリングガスは、ガス供給システム158を通ってプロセスチャンバ100内へ導入され、ガス供給システム158は、設定流量のガスを通すための質量流量コントローラなどのガス流量制御バルブ164を有する導管162を介して、ガス供給160からのガスを提供する。ガスは、ミキシングマニホールド(図示せず)へ送られ、ミキシングマニホールドで所望のプロセスガス組成物と混合されて、ガス分配器166へ送られる。ガス分配器166は、ガスをプロセスチャンバ100内へ導入するためのガス出口を有する。プロセスガスは、スパッタリングターゲット140からの材料に強く衝突してスパッタリングすることが可能なアルゴンまたはキセノンなどの非反応性ガスを含むことができる。プロセスガスはまた、スパッタリングされた材料と反応して基板104上に層を形成することが可能な酸素含有ガスおよび窒素含有ガスの1つまたは複数などの反応性ガスを含むことができる。ガスは次いで、DC電源146およびRF電源148の少なくとも1つによって励磁されてプラズマを形成し、スパッタリングターゲット140をスパッタリングする。使用済みのプロセスガスおよび副生成物は、排気168を通ってプロセスチャンバ100から排気される。排気168は、使用済みのプロセスガスを受け取って排気導管172へ使用済みガスを通す排気口170を備えており、排気導管172は、プロセスチャンバ100内のガスの圧力を制御するためのスロットルバルブを有する。排気導管172は、1つまたは複数の排気ポンプ174に接続される。
【0045】
プロセスチャンバ100の様々な部品は、コントローラ176によって制御することができる。コントローラ176は、基板104を処理するように部品を動作させるための命令セットを有するプログラムコードを備える。たとえば、コントローラ176は、基板支持体130および基板移送機構を動作させるための基板位置決め命令セット、プロセスチャンバ100へのスパッタリングガスの流量を設定するようにガス流量制御バルブを動作させるためのガス流量制御命令セット、プロセスチャンバ100内の圧力を維持するように排気スロットルバルブを動作させるためのガス圧力制御命令セット、ガス励磁電力レベルを設定するようにDC電源146およびRF電源148のうちの少なくとも1つを動作させるためのガス励磁器制御命令セット、熱伝達チャネル152への熱伝達媒体の流量を制御するように基板支持体130または熱伝達媒体供給180内の温度制御システムを制御するための温度制御命令セット、ならびにプロセスチャンバ100内のプロセスを監視するためのプロセス監視命令セットを含むプログラムコードを備えることができる。
【0046】
図6図11は、本開示のいくつかの実施形態による堆積リングの様々な図を示す。図6図11は、それぞれ上面図、底面図、正面図、背面図、左側面図、および右側面図を示す。
【0047】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施形態を考案することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11