(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】脱離基を有する有機化合物と有機ケイ素化合物とのカップリング体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07B 37/04 20060101AFI20230209BHJP
C07C 15/14 20060101ALI20230209BHJP
C07C 1/32 20060101ALI20230209BHJP
C07C 43/20 20060101ALI20230209BHJP
C07C 41/30 20060101ALI20230209BHJP
C07C 211/45 20060101ALI20230209BHJP
C07C 39/15 20060101ALI20230209BHJP
C07C 37/18 20060101ALI20230209BHJP
C07C 25/18 20060101ALI20230209BHJP
C07C 17/263 20060101ALI20230209BHJP
C07C 22/08 20060101ALI20230209BHJP
C07C 49/784 20060101ALI20230209BHJP
C07C 45/68 20060101ALI20230209BHJP
C07C 47/546 20060101ALI20230209BHJP
C07C 69/76 20060101ALI20230209BHJP
C07C 67/343 20060101ALI20230209BHJP
C07C 233/65 20060101ALI20230209BHJP
C07C 231/12 20060101ALI20230209BHJP
C07C 253/30 20060101ALI20230209BHJP
C07C 255/54 20060101ALI20230209BHJP
C07C 15/27 20060101ALI20230209BHJP
C07C 15/20 20060101ALI20230209BHJP
C07C 65/26 20060101ALI20230209BHJP
C07C 51/353 20060101ALI20230209BHJP
C07C 205/06 20060101ALI20230209BHJP
C07C 201/12 20060101ALI20230209BHJP
C07C 15/58 20060101ALI20230209BHJP
C07C 15/44 20060101ALI20230209BHJP
C07D 333/08 20060101ALI20230209BHJP
C07D 307/79 20060101ALI20230209BHJP
C07D 209/08 20060101ALI20230209BHJP
C07D 213/64 20060101ALI20230209BHJP
C07D 239/42 20060101ALI20230209BHJP
C07D 317/50 20060101ALI20230209BHJP
C07D 295/033 20060101ALI20230209BHJP
C07D 231/12 20060101ALI20230209BHJP
C07D 215/04 20060101ALI20230209BHJP
C07D 221/28 20060101ALI20230209BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20230209BHJP
B01J 31/24 20060101ALI20230209BHJP
C07C 209/68 20060101ALI20230209BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230209BHJP
A61K 31/485 20060101ALN20230209BHJP
【FI】
C07B37/04 B
C07C15/14
C07C1/32
C07C43/20 B
C07C41/30
C07C211/45
C07C39/15
C07C37/18
C07C25/18
C07C17/263
C07C22/08
C07C49/784
C07C45/68
C07C47/546
C07C69/76 A
C07C67/343
C07C233/65
C07C231/12
C07C253/30
C07C255/54
C07C15/27
C07C15/20
C07C65/26
C07C51/353
C07C205/06
C07C201/12
C07C15/58
C07C15/44
C07D333/08
C07D307/79
C07D209/08
C07D213/64
C07D239/42
C07D317/50
C07D295/033
C07D231/12
C07D215/04
C07D221/28
B01J31/22 Z
B01J31/24 Z
C07C209/68
C07B61/00 300
A61K31/485
(21)【出願番号】P 2020500340
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2019001343
(87)【国際公開番号】W WO2019159596
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】P 2018023137
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】魚住 泰広
(72)【発明者】
【氏名】浜坂 剛
(72)【発明者】
【氏名】市位 駿
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】BLASZCZYK, Izabela et al.,Suzuki-Miyaura and Hiyama reactions catalyzed by orthopalladated triarylphosphite complexes,Tetrahedron,2010年,Vol.66,pp.9502-9507
【文献】BLASZCZYK, Izabela et al.,Orthometallated palladium trimers in C-C coupling reactions,Journal of Organometallic Chemistry,2012年,Vol.710,pp.44-52
【文献】HAMASAKA, Go et al.,A palladium NNC-pincer complex: an efficient catalyst for allylic arylation at parts per billion lev,ChemCommun.,2015年,Vol.51,pp.3886-3888
【文献】GORDILLO A. et al,Consecutive palladium-catalyzed Hiyama-Heck reactions in aqueous media under ligand-free conditions,Chemical Communications(Cambridge, United Kingdom),2007年,No.39,pp.4056-4058
【文献】SHI S. et al.,Pd(OAc)2-Catalyzed Fluoride-Free Cross-Coupling Reactions of Arylsiloxanes with Aryl Bromides in Aqu,Journal of Organic Chemistry,2007年,Vol.72,No.15,pp.5927-5930
【文献】SRIMANI, D. et al.,Convenient systhesis of palladium nanoparticles and catalysis of hiyama coupling reaction in water,ORGANIC LETTERS,2007年,Vol.9, No.18,pp.3639-3642,DOI:10.1021/ol7015143
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接した2つの炭素原子がそれぞれ水酸基を有する部位を含むアルコール溶媒、無機塩基及びパラジウム触媒の存在下、下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(3)で表されるカップリング体を得る、カップリング体の製造方法であって、
前記パラジウム触媒が以下に示すパラジウム触媒から選ばれる、製造方法。
Ar
1-X…(1)
[式(1)中、Ar
1は置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、Xは臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基及びトリフルオロメタンスルホニルオキシ基から選ばれる脱離基を示す。]
Ar
2-Si(OR)
3…(2)
[式(2)中、Ar
2は置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基又は置換されていてもよいビニル基を示し、Rは炭素数1~5のアルキル基を示す。]
Ar
1-Ar
2…(3)
[式(3)中、Ar
1及びAr
2は上記と同義である。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱離基を有する有機化合物と有機ケイ素化合物とのカップリング体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脱離基を有する有機化合物と有機ケイ素化合物とのカップリング反応は、一般に檜山反応と総称されている(非特許文献1参照)。檜山反応は、安定であり且つ毒性のない有機ケイ素化合物を用いて、医薬品や液晶材料等の合成において有用なカップリング体(ビアリール化合物等)を得ることができる、有用な反応として知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Y. Nakano and T. Hiyama, Chemical Society Reviews, 2011, 40, 4893.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、檜山反応には通常パラジウム触媒が用いられるが、反応に用いる基質に対して1~10mol%の量の触媒が必要となり、その除去に多大なコストが必要である。また、パラジウムは希少な金属であり、その使用量の低減が求められる。
【0005】
そこで本発明は、使用するパラジウム触媒の量を減らした場合であっても、良好な収率で檜山反応のカップリング体を得ることが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、隣接した2つの炭素原子がそれぞれ水酸基を有する部位を含むアルコール溶媒、無機塩基及びパラジウム触媒の存在下、下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物とを反応させて下記一般式(3)で表されるカップリング体を得る、カップリング体の製造方法により、使用するパラジウム触媒の量を減らした場合であっても、良好な収率でカップリング体が得られることを見出した。
Ar1-X …(1)
[式(1)中、Ar1は置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示し、Xは臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基及びトリフルオロメタンスルホニルオキシ基から選ばれる脱離基を示す。]
Ar2-Si(OR)3 …(2)
[式(2)中、Ar2は置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基又は置換されていてもよいビニル基を示し、Rは炭素数1~5のアルキル基を示す。なお、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
Ar1-Ar2 …(3)
[式(3)中、Ar1及びAr2は上記と同義である。]
【0007】
本発明の製造方法によりこのような効果が奏される理由は必ずしも明らかでないが、本発明者等は以下のようなスキームにより、反応性が向上しているものと推察している。
まず、上記アルコール溶媒と一般式(2)で表される化合物とが、上記無機塩基の存在下で反応することにより、下記式(α)で表される中間体を形成する。この中間体が、従来の檜山反応における中間体よりも活性が高いために、一般式(1)で表される化合物との反応が円滑に進行するため、使用するパラジウム触媒の量を減らした場合であっても、良好な収率で檜山反応のカップリング体を得ることができると本発明者等は推察している。なお、式(α)で表される中間体は、上記アルコール溶媒として、プロピレングリコールを用いた場合の例であり、M+は無機塩基由来の金属イオンを示す。
【0008】
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用するパラジウム触媒の量を減らした場合であっても、良好な収率で檜山反応のカップリング体を得ることが可能な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明のカップリング体の製造方法においては、アルコール溶媒、無機塩基及びパラジウム触媒の存在下、一般式(1)で表される化合物(脱離基を有する有機化合物)と一般式(2)で表される化合物(有機ケイ素化合物)とを反応させて、一般式(3)で表されるカップリング体を得る。
【0012】
上記アルコール溶媒は、隣接した2つの炭素原子がそれぞれ水酸基を有する部位を含む。上記アルコール溶媒は、隣接した2つの炭素原子がそれぞれ水酸基を有する部位を含むものであれば、3以上の水酸基を有するものであってもよいが、水酸基の数が2又は3であると好ましく、2であるとより好ましい。上記アルコール溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、グリセロール等が挙げられる。上記アルコール溶媒における炭素原子数は特に限定されないが、例えば2~6、好ましくは2~4とすることができる。
【0013】
アルコール溶媒として、隣接した2つの炭素原子がそれぞれ水酸基を有する部位を含むものを用いた場合には、上記式(α)で表される中間体が形成され、反応性が飛躍的に向上するものと考えられる。なお、上記製造方法における溶媒は、本発明による効果を阻害しない範囲で、他の溶媒を含んでいてもよい。
【0014】
アルコール溶媒の使用量は特に限定されないが、例えば、一般式(1)で表される化合物の濃度が、0.01~2mol/Lとなる量を使用することができる。
【0015】
無機塩基としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、フッ化物、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩が挙げられる。これらの中で、アルカリ金属のフッ化物、炭酸塩又はリン酸塩が好ましく、カリウム又はセシウムのフッ化物、炭酸塩又はリン酸塩がより好ましく、フッ化カリウム、フッ化セシウム、炭酸カリウム又はリン酸カリウムが更に好ましい。
【0016】
無機塩基の量は、一般式(1)で表される化合物に対して1等量以上であればよいが、例えば1.5~5当量の無機塩基を用いることができる。
【0017】
パラジウム触媒としては、従来公知のものを種々用いることができるが、2価のパラジウム触媒であることが好ましい。2価のパラジウム触媒としては、ピンサー錯体等の実施例で用いられているものを好適に用いることができる。
【0018】
上記製造方法におけるパラジウム触媒の触媒量は特に限定されないが、パラジウム触媒の量を減らす観点から、パラジウム元素換算で1~5000mol ppmであると好ましく、3~3000mol ppmであるとより好ましい。ここで、触媒量は、一般式(1)で表される化合物を基準とした割合である。
【0019】
一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物としては、従来公知の化合物を用いることができ、市販の化合物を用いてもよい。また、一般式(2)で表される化合物は、例えば、A Hosomi et al. J.Org.Chem. 1999, 55, 2415に記載の方法で合成することもできる。
【0020】
上記「置換基を有していてもよいアリール基」における「アリール基」としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基が挙げられる。アリール基における炭素数は、例えば1~20とすることができる。
【0021】
上記「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」における「ヘテロアリール基」としては、例えばキノリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、インドリル基が挙げられる。ヘテロアリール基における炭素数は、例えば1~20とすることができる。
【0022】
上記「置換基を有していてもよいアリール基」、「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」及び「置換基を有していてもよいビニル基」における「置換基」としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アリールアルキルオキシ基、ヘテロシクロアルキル基、パーフルオロアルキル基、ホルミル基、フッ素原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。これらの基の炭素数は例えば1~20とすることができる。なお、置換基の数は単数であっても複数であってもよい。また、アリール基又はヘテロアリール基が複数の置換基を有する場合には、置換基同士が互いに結合して、アリール基又はヘテロアリール基とともに縮合環を形成していてもよい。
【0023】
上記「脱離基」は、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基及びトリフルオロメタンスルホニルオキシ基から選ばれるものであり、臭素原子又はヨウ素原子であると好ましい。
【0024】
上記「置換基を有していてもよいビニル基」の具体例としては、ビニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、4-オクテン-4-イル基、スチリル基、ナフチルビニル基が挙げられる。
【0025】
Rにおける「炭素数1~5のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられる。
【0026】
一般式(1)で表される化合物に対する一般式(2)で表される化合物の量は特に限定されず等モル量を用いても、どちらか一方を過剰に用いてもよい。
【0027】
本発明の製造方法は、通常窒素等の不活性ガス雰囲気下で行われる。また、本発明の製造方法における反応温度は、特に限定されず、例えば50~150℃とすることができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
【0029】
(実施例1~3及び比較例1~9)
下記反応式(A)に従って、種々溶媒を変更した他は、同様の条件で、パラジウム錯体(3)及びフッ化カリウム(KF)の存在下、4-ブロモトルエン(1a)とトリメトキシフェニルシラン(2a)とのカップリング反応を行い、目的のカップリング体(4a)を得た。具体的な操作を以下に示す。
【0030】
テフロン(登録商標)被覆した攪拌子が入っている試験管へ、4-ブロモトルエン(1a)(0.50mmol)、フェニルトリメトキシシラン(2a)(0.60mmol)、パラジウム錯体(3)(0.1mol%,5.0×10-4mmol)、フッ化カリウム(1.5mmol)を加えた。その後、表1に記載の溶媒(1mL)を加え、80℃で4時間反応後、水を加えた。得られた混合物をtert-ブチルメチルエーテルで抽出し、得られた有機相に内部標準としてメシチレン(0.25mmol)を加え、ガスクロマトグラフィーを用いて反応基質の転化率及びカップリング生成物の収率を求めた。その結果を表1に示す。
【0031】
【0032】
これらの結果から明らかであるように、「隣接した2つの炭素原子がそれぞれ水酸基を有する部位を含むアルコール溶媒」を用いた場合には、良好な収率で目的のカップリング体(4a)が得られたものの、その他の溶媒を用いた場合には目的のカップリング体(4a)がほとんど得られなかった。
【0033】
(実施例4~6及び比較例10、11)
用いる塩基を表2に示すように変更した他は、実施例2と同様にして、反応を行った(下記反応式(B)参照)。その結果を表2に示す。
【0034】
【0035】
これらの結果から明らかであるように、無機塩基を用いた場合には、良好な収率で目的のカップリング体(4a)が得られたものの、有機塩基を用いた場合や塩基を用いなかった場合には目的のカップリング体が得られなかった。
【0036】
(実施例7~10及び比較例12)
触媒量及び反応温度を表3に示すように変更した他は、実施例2と同様にして、反応を行った(下記反応式(C)参照)。その結果を表3に示す。
【0037】
【0038】
これらの結果から明らかであるように、触媒量を5mol ppmまで減らした場合であっても、良好な収率で目的のカップリング体(4a)が得られたものの、触媒を用いなかった場合には目的のカップリング体が得られなかった。
【0039】
(実施例11~18)
パラジウム(Pd)触媒を以下に示すように変更した他は、実施例10と同様にして、反応を行った(下記反応式(D)参照)。その結果を以下に示す。具体的には、実施例毎に、用いたPd触媒を、反応率(conv.)(%)及びカップリング体(4a)の収率(yield)(%)とともに以下に示す。
【0040】
【0041】
なお、実施例10~13のパラジウム触媒としては、以下に示す文献に記載の方法で調製したものを用い、その他のパラジウム触媒としては市販品を用いた。
実施例10:G. Hamasaka, F. Sakurai, Y. Uozumi, Chem. Commun. 2015, 51, 3886.
実施例11:F. Ragaini, M. Gasperini, S. Cenini, L. Arnera, A. Caselli, P.Macchi, N. Casati, Chem. Eur. J. 2009, 15, 8064.
実施例12:Newkome, G. R.; Pantaleo, D. C.; Puckett, W. E.; Ziefle, P. L.;Deutsch, W. A. J. Inorg. Nucl. Chem. 1981, 43, 1529.
実施例13:K. Takenaka, M. Minakawa, Y. Uozumi. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127,12273.
【0042】
(実施例19~38)
用いる基質(1)を変更した他は、実施例10と同様にして、反応を行った(下記反応式(E)参照)。その結果を以下に示す。具体的には、実施例毎に、得られたカップリング体(4’)の構造を、その収率(%)とともに以下に示す。なお、構造中、点線よりも左側が基質(1)由来の基であり、右側が基質(2a)由来の基である(以下、同様)。
【0043】
【0044】
(実施例39~47)
用いる基質(2’)をそれぞれ変更した他は、実施例10と同様にして、反応を行った(下記反応式(F)参照)。その結果を以下に示す。具体的には、実施例毎に、得られたカップリング体(4”)の構造を、その収率(%)とともに以下に示す。
【0045】
【0046】
(実施例48)
ニキビ治療薬の有効成分であるアダパレンの合成を実施した(下記反応式(G)参照)。具体的な実験操作を以下に示す。
テフロン(登録商標)被覆した攪拌子が入っている大型試験管へ、フッ化カリウム(KF)(3.1g,54.0mmol)と6-ブロモ-2-ナフタレンカルボン酸(1b)(4.5g,18.0mmol)を入れ、プロピレングリコール(36mL)を加えた。トリエトキシシラン誘導体(2b)(8.7g,21.6mmol)を反応容器へと加えた。
パラジウム触媒(3)(0.23mg,1.0×10
-3mmol)をジクロロメチレン(1mL)へと溶解させた。この溶液(0.18mL,5mol ppmPd)を反応溶液へと加え、100℃で12時間加熱攪拌した。加熱終了後、水(36mL)を加え、室温下10分間攪拌した。得られた反応混合物をセライト上で、水、tert-ブチルメチルエーテルを用い、洗浄した。テトラヒドロフランを用い、固体上に残った生成物を溶出させた。減圧下、揮発性有機物を留去することで、アダパレンを6.9g、93%単離収率で得た。
【化8】
【0047】
(実施例49~56)
用いる基質(1)及び基質(2)をそれぞれ変更し、且つ触媒量を100mol ppmとした他は、実施例10と同様にして、反応を行った(下記反応式(H)参照)。その結果を以下に示す。具体的には、実施例毎に、得られたカップリング体(4)の構造を、その収率(%)とともに以下に示す。
【0048】
【0049】
(実施例57)
用いる基質を4-ブロモトルエン(1a)から4-ヨードトルエン(1c)に変更した他は、実施例10と同様にして、反応を行った(下記反応式(I)参照)。その結果、収率87%で目的のカップリング体(4a)が得られた。
【0050】
【0051】
(実施例57)
用いる基質を基質(1d)及び基質(2c)に変更した他は、実施例10と同様にして、反応を行った(下記反応式(J)参照)。その結果、収率90%で目的のデキストロメトルファン誘導体が得られた。なお、デキストロメトルファンは、鎮咳去痰薬の一種である。
【0052】
【0053】
(実施例58)
用いる基質を基質(1e)及び基質(2d)に変更した他は、実施例10と同様にして、反応を行った(下記反応式(k)参照)。その結果、収率88%で目的の液晶化合物が得られた。
【0054】