(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】付着物除去装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/27 20190101AFI20230209BHJP
B29C 48/345 20190101ALI20230209BHJP
B29B 9/06 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B29C48/27
B29C48/345
B29B9/06
(21)【出願番号】P 2019027401
(22)【出願日】2019-02-19
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】望月 正俊
(72)【発明者】
【氏名】吉野 豊
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-011459(JP,A)
【文献】国際公開第2012/131980(WO,A1)
【文献】特開平09-254234(JP,A)
【文献】特公昭47-047951(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイの吐出面に形成された吐出孔から吐出された溶融した樹脂のストランド及び/又は前記吐出孔の周囲に生じた付着物を除去するための付着物除去装置であって、
前記付着物が除去されるように前記吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように気体を噴射する噴射手段を含
み、
前記噴射手段は、
気体を噴射するノズルと、
前記ノズルの位置及び/又は方向を制御することができる駆動手段とを含み、
前記駆動手段は、前記吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように、前記ノズルがその位置及び/又は方向について所定の動作をするように駆動し、
前記吐出面には、水平方向に複数の吐出孔が一列に形成され、前記駆動手段は、前記ノズルの位置について、前記一列の吐出孔に沿って所定の動作をするように制御する付着物除去装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記ノズルの位置について、前記ノズルが前記吐出面との間に所定の間隔を有して動作するように制御する請求項
1に記載の付着物除去装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記ノズルの位置について、前記ノズルが前記吐出面からの距離も変動して動作するように制御する請求項
1に記載の付着物除去装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記ノズルの方向について、前記吐出面に対して所定の角度を有するように制御する請求項
1から
3のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項5】
前記所定の動作は、所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように、前記ノズルを位置及び/又は方向について揺動させる揺動動作を含む請求項
1から
4のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項6】
前記噴射手段は、一つの吐出孔の周囲に異なる方向から同時に気流を当てることができるような二本以上のノズルを含む請求項
1から
5のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項7】
前記二本以上のノズルを支持する支持台をさらに含み、前記駆動手段は前記支持台を介して前記二本以上のノズルを駆動する請求項
6に記載の付着物除去装置。
【請求項8】
前記支持台は、前記二本以上のノズルの間の距離及び前記二本以上のノズルの方向を調整することができる請求項
7に記載の付着物除去装置。
【請求項9】
前記所定の動作は、前記吐出孔について所定の吐出孔に対応する位置から他の吐出孔に対応する位置に前記ノズルを並進させる並進動作を含む請求項
1に記載の付着物除去装置。
【請求項10】
前記噴射手段は、所定の軸の周りに回転可能であり、気体を噴射するノズルを含む請求項1に記載の付着物除去装置。
【請求項11】
前記ノズルは、前記所定の軸について、隣接する吐出孔の方向を含む所定の角度範囲にわたって回転可能である請求項
10に記載の付着物除去装置。
【請求項12】
前記ノズルは、吐出面に沿って所定の軸の周りに回転可能であり、吐出面上で前記ノズルが回転可能な範囲を覆い、前記ノズルが回転可能な周方向に、隣接する吐出孔を含む所定の角度範囲にのみ開口して前記ノズルから噴射された気体を当該開口した範囲に案内するフードをさらに含む請求項
10に記載の付着物除去装置。
【請求項13】
ダイの吐出面に形成された吐出孔から吐出された溶融した樹脂のストランド及び/又は前記吐出孔の周囲に生じた付着物を除去するための付着物除去装置であって、
前記付着物が除去されるように前記吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように気体を噴射する噴射手段を含み、
前記噴射手段は、前記吐出面に沿って延び、気体を噴射する噴射孔が形成されたパイプを含み、前記パイプは前記吐出面に沿って移動可能であ
り、
前記パイプは、一方向に延び、前記パイプは当該一方向に沿って移動可能である請求項1に記載の付着物除去装置。
【請求項14】
前記パイプは、前記噴射孔から噴射された気体により所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように揺動される請求項
13に記載の付着物除去装置。
【請求項15】
前記噴射手段は、所定の流量の気体を噴射する請求項1から
14のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項16】
前記噴射手段に気体を供給する気体供給手段をさらに含む請求項1から
15のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項17】
前記噴射手段に供給する気体の圧力を調整する圧力調整手段をさらに含む請求項1から
16のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項18】
前記噴射手段に供給する気体を加熱する気体加熱手段をさらに含む請求項1から
17のいずれかに記載の付着物除去装置。
【請求項19】
ダイの吐出面に形成された吐出孔から吐出された溶融した樹脂のストランド及び/又は前記吐出孔の周囲に生じた付着物を除去するための付着物除去方法であって、
前記付着物が除去されるように前記吐出孔の周囲に時間的/及び空間的に強度が変動する気流が当たるように気体を噴射する噴射ステップを含
み、
前記噴射ステップは、気体を噴射するノズルの位置及び/又は方向を制御し、前記吐出孔について所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように、前記ノズルがその位置及び/又は方向について所定の動作をするように駆動する駆動ステップを含み、
前記吐出面には、水平方向に複数の吐出孔が一列に形成され、前記駆動ステップは、前記ノズルを前記一列の吐出孔に沿って駆動する付着物除去方法。
【請求項20】
前記噴射ステップは、前記吐出面との間に所定の間隔を有するように前記ノズルを駆動する請求項
19に記載の付着物除去方法。
【請求項21】
前記駆動ステップは、前記吐出面との間の距離が変動するように前記ノズルを駆動する請求項
19に記載の付着物除去方法。
【請求項22】
前記駆動ステップは、前記吐出面に対して所定の角度を有するように前記ノズルを駆動する請求項
19から
21のいずれかに記載の付着物除去方法。
【請求項23】
前記駆動ステップは、所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように、前記ノズルを位置及び/又は方向について揺動させる揺動ステップを含む請求項
19から
22のいずれかに記載の付着物除去方法。
【請求項24】
前記駆動ステップは、所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように、前記ノズルを位置及び/又は方向について揺動させる揺動ステップと、所定の吐出孔に対応する位置から他の吐出孔に対応する位置に前記ノズルを並進させる並進ステップとを交互に繰り返す請求項
19に記載の付着物除去方法。
【請求項25】
前記噴射ステップは、所定の軸の周りに隣接する吐出孔の方向を含む所定の角度範囲にわたって回転可能である気体を噴射するノズルを回転させるように駆動する駆動ステップを含む請求項
19に記載の付着物除去方法。
【請求項26】
前記噴射ステップは、吐出面に沿って所定の軸の周りに回転可能であって、吐出面上で回転可能な周方向に隣接する吐出孔を含む所定の角度範囲にのみ開口したフードによって覆われた気体を噴射するノズルを回転させるように駆動する駆動ステップを含む請求項
19に記載の付着物除去方法。
【請求項27】
前記噴射ステップは、吐出面に沿って延び吐出面に沿って移動可能である気体を噴射する噴射孔が形成されたパイプを移動させるように駆動する駆動ステップを含む請求項
19に記載の付着物除去方法。
【請求項28】
前記駆動ステップは、前記噴射孔から噴射された気体により所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように前記パイプを揺動させる揺動ステップを含む請求項
27に記載の付着物除去方法。
【請求項29】
前記噴射ステップは、所定の流量の気体を噴射する請求項
19から
28のいずれかに記載の付着物除去方法。
【請求項30】
前記噴射ステップは、噴射する気体を供給する気体供給ステップをさらに含む請求項
19から
29のいずれかに記載の付着物除去方法。
【請求項31】
前記噴射ステップは、噴射する気体の圧力を調整する圧力調整ステップをさらに含む請求項
19から
30のいずれかに記載の付着物除去方法。
【請求項32】
前記噴射ステップは、噴射する気体を加熱する気体加熱ステップをさらに含む請求項
19から
31のいずれかに記載の付着物除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機を用いて樹脂組成物をストランド状に押し出す際に、ストランド又は押出機用ダイの吐出孔の周囲に付着する付着物を除去するための除去装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
押出機を用いて樹脂組成物をストランド状に押し出す際、樹脂組成物によっては、その一部の成分が押出機用ダイの吐出孔の周囲に付着することがある。このような付着物は、メヤニと呼ばれることがあり種々の悪影響を及ぼす。例えば、吐出孔の周囲にメヤニが付着した状態で樹脂組成物の押し出しを続けると、メヤニが成長してストランドに絡まりつくことがある。そのようなメヤニを放置すると製品に混入することがあり、製品へのメヤニの混入により品質低下が懸念される。あるいは、成長したメヤニが押出機用ダイから離脱する際にストランドが切断されることがある。これは1時間当たり数回高頻度で発生するため、常に監視し、必要に応じてメヤニの除去が必要となるが、除去を行う吐出孔のストランドを切断し実施する必要があり、除去操作間の吐出分はロスとなる。
【0003】
そのため、押出機用ダイから吐出する溶融樹脂のストランド又は吐出孔の周囲に生じるメヤニを除去するため、従来、種々の検討がなされている(例えば、特許文献1、2)。特許文献1、2には、樹脂が押し出される吐出孔の付近に気体を吹き付けてメヤニを吹き飛ばすための機構を有する押出機用ダイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-232432号公報
【文献】特開2017-47638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に開示されている押出機用ダイは、メヤニに対して単に気体を吹き付ける構成であり、メヤニが強固に付着していると十分に除去できないことがある。そして、そのようなメヤニを十分に除去するには長時間にわたり気体の噴射を継続したり、噴射する気体の圧力を高めたりする必要がある。これらは、ストランドの切断の原因となることがある。また、吹き付ける気体を加熱し、熱風の状態で付着物に吹き付けることが考えられるが、それのみでは十分に除去することができない。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものである。そして、その目的は、押出機用ダイから吐出した溶融樹脂のストランド又はダイの樹脂吐出孔の周囲に生じた付着物を短時間で十分に除去し得る、付着物除去装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本願に係る付着物除去装置は、ダイの吐出面に形成された吐出孔から吐出された溶融した樹脂のストランド及び/又は吐出孔の周囲に生じた付着物を除去するためのものであって、付着物が除去されるように吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように気体を噴射する噴射手段を含んでいる。
【0008】
噴射手段は、気体を噴射するノズルと、ノズルの位置及び/又は方向を制御することができる駆動手段とを含み、駆動手段は、吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように、ノズルがその位置及び/又は方向について所定の動作をするように駆動してもよい。
【0009】
駆動手段は、ノズルの位置について、ノズルが吐出面との間に所定の間隔を有して動作するように制御してもよい。駆動手段は、ノズルの位置について、ノズルが吐出面からの距離も変動して動作するように制御してもよい。駆動手段は、ノズルの方向について、吐出面に対して所定の角度を有するように制御してもよい。
【0010】
所定の動作は、所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように、ノズルを位置及び/又は方向について揺動させる揺動動作を含んでもよい。
【0011】
噴射手段は、一つの吐出孔の周囲に異なる方向から同時に気流を当てることができるような二本以上のノズルを含んでもよい。二本以上のノズルを支持する支持台をさらに含み、駆動手段は支持台を介して二本以上のノズルを駆動してもよい。支持台は、二本以上のノズルの間の距離及び二本以上のノズルの方向を調整することができてもよい。
【0012】
吐出面には、水平方向に複数の吐出孔が一列に形成され、駆動手段は、ノズルの位置について、一列の吐出孔に沿って所定の動作をするように制御してもよい。所定の動作は、吐出孔について所定の吐出孔に対応する位置から他の吐出孔に対応する位置にノズルを並進させる並進動作を含んでもよい。
【0013】
噴射手段は、所定の軸の周りに回転可能であり、気体を噴射するノズルを含んでもよい。ノズルは、所定の軸について、隣接する吐出孔の方向を含む所定の角度範囲にわたって回転可能であってもよい。
【0014】
ノズルは、吐出面に沿って所定の軸の周りに回転可能であり、吐出面上でノズルが回転可能な範囲を覆い、ノズルが回転可能な周方向に、隣接する吐出孔を含む所定の角度範囲にのみ開口してノズルから噴射された気体を当該開口した範囲に案内するフードをさらに含んでもよい。
【0015】
噴射手段は、吐出面に沿って延び、気体を噴射する噴射孔が形成されたパイプを含み、パイプは吐出面に沿って移動可能であってもよい。パイプは、一方向に延び、パイプは当該一方向に沿って移動可能であってもよい。パイプは、噴射孔から噴射された気体により所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように揺動されてもよい。
【0016】
噴射手段は、所定の流量の気体を噴射してもよい。噴射手段に気体を供給する気体供給手段をさらに含んでもよい。噴射手段に供給する気体の圧力を調整する圧力調整手段をさらに含んでもよい。噴射手段に供給する気体を加熱する気体加熱手段をさらに含んでもよい。
【0017】
本願に係る付着物除去方法は、ダイの吐出面に形成された吐出孔から吐出された溶融した樹脂のストランド及び/又は吐出孔の周囲に生じた付着物を除去するためのものであって、付着物が除去されるように吐出孔の周囲に時間的/及び空間的に強度が変動する気流が当たるように気体を噴射する噴射ステップを含んでもよい。
【0018】
噴射ステップは、気体を噴射するノズルの位置及び/又は方向を制御し、吐出孔について所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように、ノズルがその位置及び/又は方向について所定の動作をするように駆動する駆動ステップを含んでもよい。
【0019】
噴射ステップは、吐出面との間に所定の間隔を有するようにノズルを駆動してもよい。駆動ステップは、吐出面との間の距離が変動するようにノズルを駆動してもよい。駆動ステップは、吐出面に対して所定の角度を有するようにノズルを駆動してもよい。
【0020】
駆動ステップは、所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように、ノズルを位置及び/又は方向について揺動させる揺動ステップを含んでもよい。
【0021】
吐出面には、水平方向に複数の吐出孔が一列に形成され、駆動ステップは、ノズルを一列の吐出孔に沿って駆動してもよい。駆動ステップは、所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように、ノズルを位置及び/又は方向について揺動させる揺動ステップと、所定の吐出孔に対応する位置から他の吐出孔に対応する位置にノズルを並進させる並進ステップとを交互に繰り返してもよい。
【0022】
噴射ステップは、所定の軸の周りに隣接する吐出孔の方向を含む所定の角度範囲にわたって回転可能である気体を噴射するノズルを回転させるように駆動する駆動ステップを含んでもよい。
【0023】
噴射ステップは、吐出面に沿って所定の軸の周りに回転可能であって、吐出面上で回転可能な周方向に隣接する吐出孔を含む所定の角度範囲にのみ開口したフードによって覆われた気体を噴射するノズルを回転させるように駆動する駆動ステップを含んでもよい。
【0024】
噴射ステップは、吐出面に沿って延び吐出面に沿って移動可能である気体を噴射する噴射孔が形成されたパイプを移動させるように駆動する駆動ステップを含んでもよい。駆動ステップは、噴射孔から噴射された気体により所定の吐出孔の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるようにパイプを揺動させる揺動ステップを含んでもよい。
【0025】
噴射ステップは、所定の流量の気体を噴射してもよい。噴射ステップは、噴射する気体を供給する気体供給ステップをさらに含んでもよい。噴射ステップは、噴射する気体の圧力を調整する圧力調整ステップをさらに含んでもよい。噴射ステップは、噴射する気体を加熱する気体加熱ステップをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、押出機用ダイから吐出した溶融樹脂のストランド又はダイの樹脂吐出孔の周囲に生じた付着物を短時間で十分に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】単一の吐出孔を有するダイに適用した付着物除去装置を示す図である。
【
図2】単一の吐出孔を有するダイに適用した付着物除去装置の揺動動作を説明する図である。
【
図3】付着物除去装置を適用した一連の製造工程を説明する概念図である。
【
図4】複数の吐出孔を有するダイに適用した付着物除去装置を示す図である。
【
図5】複数の吐出孔を有するダイに適用した付着物除去装置の動作を説明する図である。
【
図6】単一の吐出孔を有するダイに適用した第1変形例の付着物除去装置を示す図である。
【
図7】第1変形例の二本のノズルの支持台を示す斜視図である。
【
図8】複数の吐出孔を有するダイに適用した第1変形例の付着物除去装置を示す図である。
【
図9】第2変形例の付着物除去装置を示す斜視図である。
【
図10】第3変形例の付着物除去装置を示す図である。
【
図11】第4変形例の付着物除去装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、付着物除去装置及び方法の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態の付着物除去装置及び方法は、ダイの吐出面に形成された吐出孔から吐出された溶融した樹脂のストランド及び/又は吐出孔の周囲に生じた付着物を除去するものである。溶融した樹脂のストランドを吐出するダイには、吐出孔が単一のものと複数のものがある。本実施の形態の付着物除去装置及び方法は、吐出孔が単一のダイにも吐出孔が複数のダイにも適用することができるが、以下の説明では、便宜上、単一の吐出孔を有するダイと複数の吐出孔を有するダイとに分けて説明する。
【0029】
図1は、単一の吐出孔を有するダイに適用した本実施の形態の付着物除去装置を示す図である。
図1(a)は付着物除去装置の斜視図、
図1(b)は付着物除去装置の正面図、
図1(c)は付着物除去装置の左側面図である。ダイ10において、略鉛直方向に延びた吐出面11の略中央に所定径を有する単一の吐出孔12が形成されている。吐出孔12からは、溶融した樹脂のストランド100が所定の線速度で吐出されている。
【0030】
本実施の形態の付着物除去装置は、所定の流量で気体を噴射する一本のノズル1を有している。ノズル1は、図示しない駆動手段によって駆動され、ダイ10の吐出面11に対して所定の間隔を有し、吐出面11に形成された吐出孔12に対してその位置及び/又は方向について所定の動作をすることにより、吐出孔12の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるように制御されている。本明細書においては、吐出面11の吐出孔12の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにノズル1を空間及び/又は方向について動作させることについて、ノズル1を揺動させるということにする。ノズル1の駆動手段は、適切なアクチュエータによって構成してもよく、ロボットアームによって構成してもよい。
【0031】
本実施の形態において、ノズル1は、ダイ10の吐出面11の吐出孔12に向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第1位置P1と、第1位置P1と略同じ高さにあり、吐出面11の吐出孔12に向かって右上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第2位置P2との間で揺動する。このような揺動の動作によって、吐出面11の吐出孔12の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。
【0032】
本実施の形態の付着物除去装置においては、所定の流量で気体を噴射するノズル1が第1位置P1と第2位置P2との間を揺動することにより、吐出面11の吐出孔12の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の吐出孔12から吐出されたストランド100又は吐出面11の吐出孔12の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばし、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。
【0033】
本実施の形態の付着物除去装置において、吐出面11とノズル1との間隔は2~30mmであってもよい。本明細書において、吐出面11とノズル1との間隔とは、
図1(c)に示したノズル1の先端と吐出面11において気体が実際に当たる位置との距離aと、吐出面11を真横から見た際のノズル1の先端と吐出面11との距離bとの内で、ノズル1の先端と吐出面11において気体が実際に当たる位置との距離aをいうものとする。
【0034】
本実施の形態の付着物除去装置は、ノズル1に所定の種類の気体を供給する気体供給手段を有してもよい。気体供給手段は、圧縮気体を供給するコンプレッサであってもよい。気体は、空気であってもよく、非酸化性ガスであってもよい。また、本実施の形態の付着物除去装置は、ノズル1から所定の圧力の気体を噴射するように圧力を調整する圧力調整手段を有してもよい。圧力調整手段は、気体供給手段からノズル1に気体を供給する給気管に設けられた減圧弁であってもよい。
【0035】
さらに、本実施の形態の付着物除去装置は、ノズル1から噴射する気体を所定の温度に加熱するための気体加熱手段を有してもよい。気体加熱手段は、給気管又はノズル1に設けられたヒーターであってもよい。ノズル1へ供給する加熱した気体の温度は、20~800℃の範囲にあってもよく、好ましくは20℃~600℃の範囲にあってもよい。ノズル1から噴射されて吐出孔12の周囲に当たる気流の温度は、ノズル1に供給された加熱した気体の温度から低下している。吐出孔12の周囲に当たる気流の温度は、ヒーター設定温度、気体流量、ノズル1の内径・長さ、ノズル1先端と吐出面11の間隔などの影響因子があり、適宜これらを調整して、対象物に適した条件を選択すればよい。
【0036】
図2は、単一の吐出孔を有するダイに適用した付着物除去装置の揺動動作を説明する図である。
図2(a)に示す第1態様の揺動動作においては、ノズル1が吐出面11の吐出孔12に向かって左上にある第1位置P1からダイ10の吐出面11の吐出孔12に向かって右上にある第2位置P2まで略水平方向に順方向に移動して進み、第2位置P2から第1位置P1まで略水平方向に逆方向に移動して戻る動作を1サイクルとする。そして、このサイクルを所定回数繰り返す。このような揺動動作によって、吐出面11の吐出孔12の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。
【0037】
第1態様の揺動動作においては、所定の流量で気体を噴射するノズル1が第1位置P1と第2位置P2との間を揺動することにより、吐出面11の吐出孔12の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の吐出孔12から吐出されたストランド100又は吐出面11の吐出孔12の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばし、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。
【0038】
なお、本明細書ではノズル1の吐出面11に沿った所定の動作を例示するが、ノズル1は例示するような動作の順序には限定されず、逆の順序で動作してもよい。例えば、
図2(a)に示した第1態様の揺動動作においては、第2位置P2から第1位置P1まで進んで第1位置P1から第2位置P2に戻る動作を1サイクルとしてもよい。以下でも同様である。
【0039】
図2(b)に示す第2態様の揺動動作においては、ノズル1が吐出面11の吐出孔12に向かって直上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第0位置P0を始点とする。そして、ノズル1が始点の第0位置P0から吐出面11の吐出孔12に向かって右上にある第2位置P2まで略水平方向に順方向に移動して進み、次に第2位置P2から第0位置P0に略水平方向に逆方向に移動して戻る動作を第1サイクルとする。また、ノズル1が始点の第0位置P0から吐出面11の吐出孔12に向かって左上にある第1位置P1まで略水平方向に逆方向に移動して進み、次に第1位置P1から第0位置P0に略水平方向に順方向に移動して戻る動作を第2サイクルとする。そして、このような第1サイクルと第2サイクルを合わせた動作を1サイクルとし、このサイクルを所定回数繰り返す。このような揺動動作によって、吐出面11の吐出孔12の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。
【0040】
第2態様の揺動動作の第1サイクル及び第2サイクルを第1態様の揺動動作の1サイクルと比較すると、第2態様の動作の第1サイクルと第2サイクルを合わせた振幅が第1態様の揺動動作の1サイクルの振幅に相当している。また、第2態様の揺動動作の第1サイクルと第2サイクルの期間の和が第1態様の揺動動作の1サイクルの期間に相当している。さらに、第2態様の揺動動作の第1サイクルと第2サイクルの回数の和は、対応する第1態様の動作の1サイクルの回数の2倍に相当している。
【0041】
第2態様の揺動動作においても、所定の流量で気体を噴射するノズル1が第0位置P0を始点として第1位置P1又は第2位置P2との間を揺動することにより、吐出面11の吐出孔12の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の吐出孔12から吐出されたストランド100又は吐出面11の吐出孔12の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばし、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。
【0042】
また、第2態様の揺動動作においては、第0位置P0と第2位置P2との間でノズル1を駆動する第1サイクル及び第0位置P0と第1位置P1との間でノズル1を駆動する第2サイクルを個別に制御することができる。したがって、吐出面11に向かって吐出孔12に右側と左側とから当たる気流の強さを個別に制御することができる。このため、吐出孔12の左右について発生する付着物の量が異なる場合にも、吐出孔12に右側と左側とから当たる気流の強さを個別に調整することによって対応することができる。
【0043】
本実施の形態の付着物除去装置においては、吐出孔12に対応する揺動動作は、吐出孔12の径の0.5~3倍の振幅で行われてもよい。また、単独の吐出孔12に対応する揺動動作の周期は、0.5~3秒であってもよい。吐出孔12に対して揺動する回数は、2~4回であってもよい。
【0044】
なお、本実施の形態の付着物除去装置においては、ダイ10の吐出面11とノズル1との間隔は、一定の距離でなくてもよい。吐出面11とノズル1との距離は、駆動手段によるノズル1の所定の動作において変動するように制御されてもよい。
【0045】
図3は、付着物除去装置を適用した一連の製造工程を説明する概念図である。本実施の形態の付着物除去装置は、押出機40に取り付けられたダイ10に適用され、ダイ10の吐出孔12から吐出された溶融した樹脂のストランド100及び/又は吐出孔12の周囲に生じた付着物を除去している。付着物が除去されたストランド100は、ウォーターバス50に投入されて冷却水51によって冷却される。その後、カッター60に搬送され所定の長さにカッティングされてペレット110となる。
【0046】
押出機40においては、ダイ10の吐出面11の上方に付着物除去装置が設置されている。押出機40は押出スクリューを有する押出機であれば特に限定はなく、単軸押出機、異方向二軸押出機、同方向二軸押出機等を挙げることができる。そして、押出機40においては、付着物除去装置による除去操作を実施するため、ダイ10の吐出孔12周辺の付着物の成長を抑制することができる。そのため、押し出しの際に吐出孔12周辺に発生する付着物が除去され、付着物が最終製品に混入することや、付着物に起因するストランド100の切断や付着物除去のためのメンテンナンス作業頻度を低減することができる。
【0047】
本実施形態において、ストランド100を構成する樹脂組成物は、少なくとも樹脂及び添加剤を、押出機40に投入して、ダイ10から吐出させて製造している。本実施形態において使用される樹脂には特に制限はなく、汎用樹脂でも、エンジニアリング樹脂でもよい。これらの樹脂を複数混ぜ合わせてもよい。また、使用される添加剤においても制限はなく、各種安定剤、各種機能付与剤、各種物性強化剤等の使用が可能である。本実施形態の付着物除去装置は、特に付着物を発生しやすい樹脂組成物の製造に有効である。
【0048】
樹脂組成物としては、例えば、少なくとも、ポリアセタール樹脂と、主鎖がポリエチレンであり、側鎖がアクリロニトリル-スチレン共重合体であるグラフト共重合体とを、押出機40に投入して、ダイ10から吐出させてポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。このような樹脂組成物を得る際に押出機40により押し出しをすると、当該グラフト共重合体を由来とする付着物がダイ10の吐出孔12の周囲に発生しやすい傾向にある。本実施形態の付着物除去装置を用いると、付着物が低減され、最終製品への付着物の混入や、ストランド100の切断を抑制することができる。
【0049】
このように、本実施の形態においては、付着物除去装置によって、ダイ10の吐出孔12から吐出された樹脂のストランド100及び/又は吐出孔12の周囲に生じた付着物が短時間で十分に除去されている。したがって、付着物の発生によってストランド100が切断されることがなくなり、製造の効率を向上させることができる。また、ストランド100から付着物が十分に除去されているため、ストランド100をカッティングして製造したペレット110の品質を向上させることができる。
【0050】
図4は、複数の吐出孔を有するダイに適用した本実施の形態の付着物除去装置を示す図である。
図4(a)は付着物除去装置の斜視図、
図4(b)は付着物除去装置の正面図、
図4(c)は付着物除去装置の左側面図である。ダイ10において、略鉛直方向に延びた吐出面11の鉛直方向の略中央に所定径を有する第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の4個の吐出孔が略水平方向に所定間隔をおいて一列に並んで形成されている。第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16からは、それぞれ第1ストランド101、第2ストランド102、第3ストランド103及び第4ストランド104が所定の線速度で吐出されている。
【0051】
本実施の形態の付着物除去装置は、所定の流量で気体を噴射するノズル1を有している。ノズル1は、図示しない駆動手段によって駆動され、ダイ10の吐出面11に対して所定の間隔を有し、吐出面11に形成された第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対してその位置及び方向について所定の動作をすることにより、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるように駆動される。
【0052】
本実施の形態において、ノズル1は、ダイ10の吐出面11の第1吐出孔13に向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第1位置P1と、第1位置P1と略同じ高さにあり、吐出面11の第1吐出孔13に向かって右上、第2吐出孔14に対して向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第2位置P2と、第1位置P1及び第2位置P2と略同じ高さにあり、吐出面11の第2吐出孔14に向かって右上、第3吐出孔15に対して向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第3位置P3と、第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3と略同じ高さにあり、吐出面11の第3吐出孔15に向かって右上、第4吐出孔16に対して向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第4位置P4と、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3及び第4位置P4と略同じ高さにあり、吐出面11の第4吐出孔16に向かって右上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第5位置P5との間で一列の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に沿って所定の動作をなす。この動作は、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにする揺動動作を含んでいる。
【0053】
本実施の形態の付着物除去装置においては、所定の流量で気体を噴射するノズル1が一列の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に沿って第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3、第4位置P4及び第5位置P5の間で揺動する。例えば、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3、第4位置P4及び第5位置P5から選択された適切な折り返し端点について揺動してもよい。これによって、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16からそれぞれ吐出された第1ストランド101、第2ストランド102、第3ストランド103及び第4ストランド104又は吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばすことができる。したがって、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。
【0054】
なお、複数の吐出孔を有するダイ10として吐出面11に第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の四個の吐出孔が形成された例を示したが、本実施の形態の付着物除去装置が適用されるダイ10は四個の吐出孔を有するものに限られない。本実施の形態の付着物除去装置は、複数の吐出孔を有するダイ10として、吐出面11に二個以上の吐出孔が形成されたダイ10に適用することができる。
【0055】
図5は、複数の吐出孔を有するダイに適用した付着物除去装置の動作を説明する図である。
図5においては、
図2(a)に第1態様の揺動動作として示したように所定の吐出孔に対応する揺動動作の始点を吐出面11に向かって該当する吐出孔の左上として説明するものとするが、
図2(b)に第2態様の揺動動作として示したように所定の吐出孔に対応する揺動動作の始点を吐出面11に向かって該当する吐出孔の直上としてもよい。
【0056】
図5(a)に示す第1態様の動作においては、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16のそれぞれについて揺動動作を行う。第1吐出孔13に対応する揺動動作として、第1吐出孔13に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1から第2位置P2に向けて、吐出面11に向かって第1吐出孔13の直上を越えて所定の折り返し端点までノズル1が略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第1位置P1まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第1サイクルとし、第1サイクルを所定回数繰り返す。このような揺動動作によって、吐出面11の第1吐出孔13の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。
【0057】
第1吐出孔13に対応する揺動動作に続いて、第2吐出孔14に対応する揺動動作を可能にするために、第1吐出孔13に対応する揺動動作の始点となっていた第1位置P1から第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となる第2位置P2までノズル1を進める。以下の本明細書では、所定の吐出孔に対応する位置から他の吐出孔に対応する位置までノズルを移動させることについてノズルを並進させるということにする。このような並進動作に続いて、第2吐出孔14に対応する揺動動作として、ノズル1が第2位置P2から第3位置P3に向けて、吐出面11に向かって第2吐出孔14の直上を越えて所定の折り返し端点まで略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第2位置P2まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第2サイクルとし、第2サイクルを所定回数繰り返す。このような揺動動作によって、吐出面11の第2吐出孔14の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。
【0058】
第2吐出孔14に対応する揺動動作に続いて、第3吐出孔15に対応する揺動動作を可能にするために、第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となっていた第2位置P2から第3吐出孔15に対応する揺動動作の始点となる第3位置P3までノズル1を並進させる。このような並進動作に続いて、第3吐出孔15に対応する揺動動作として、ノズル1が第3位置P3から第4位置P4に向けて、吐出面11に向かって第3吐出孔15の直上を越えて所定の折り返し端点まで略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第3位置P3まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第3サイクルとし、第3サイクルを所定回数繰り返す。このような揺動動作によって、吐出面11の第3吐出孔15の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。
【0059】
第3吐出孔15に対応する揺動動作に続いて、第4吐出孔16に対応する揺動動作を可能にするために、第3吐出孔15に対応する揺動動作の始点となっていた第3位置P3から第4吐出孔16に対応する揺動動作の始点となる第4位置P4までノズル1を並進させる。このような並進動作に続いて、第4吐出孔16に対応する揺動動作として、ノズル1が第4位置P4から第5位置P5に向けて、吐出面11に向かって第4吐出孔16の直上を越えて所定の折り返し端点まで略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第4位置P4まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第4サイクルとし、第4サイクルを所定回数繰り返す。
【0060】
このような揺動動作によって、吐出面11の第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。このような一連の動作を終えると、第1吐出孔13に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1にノズル1を戻してもよい。所定回数の第1サイクル、第2サイクル、第3サイクル及び第4サイクルを併せて1サイクルとし、このサイクルを所定回数にわたり繰り返してもよい。
【0061】
第1態様の動作においては、所定の流量で気体を噴射するノズル1が第1吐出孔13に対応する第1位置P1を始点とした第1サイクル、第2吐出孔14に対応する第2位置P2を始点とした第2サイクル、第3吐出孔15に対応する第3位置P3を始点とした第3サイクル、第4吐出孔16に対応する第4位置P4を始点とした第4サイクルのそれぞれの揺動動作をすることにより、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲にそれぞれ強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16からそれぞれ吐出された第1ストランド101、第2ストランド102、第3ストランド103及び第4ストランド104又は吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばし、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。
【0062】
また、第1態様の動作においては、ノズル1が第1吐出孔13に対応する第1位置P1を始点とした第1サイクル、第2吐出孔14に対応する第2位置P2を始点とした第2サイクル、第3吐出孔15に対応する第3位置P3を始点とした第3サイクル、第4吐出孔16に対応する第4位置P4を始点とした第4サイクルの揺動動作を個別に制御することができる。したがって、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に当たる気流の強さを個別に制御することができる。このため、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に発生する付着物の量が異なる場合にも、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に当たる気流の強さを個別に調整することによって対応することができる。
【0063】
図5(b)に示す第2態様の動作においては、第1吐出孔13及び第2吐出孔14と、第3吐出孔15及び第4吐出孔16とのように、2個の吐出孔を一組としてそれぞれについて揺動動作を行う。第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作として、第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1から第3位置P3に向けて、吐出面11に向かって第1吐出孔13及び第2吐出孔14の直上を越えて所定の折り返し端点までノズル1が略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第1位置P1まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第1サイクルとし、第1サイクルを所定回数繰り返す。このような揺動動作によって、吐出面11の第1吐出孔13及び第2吐出孔14の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。
【0064】
第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作に続いて、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する揺動動作を可能にするために、第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となっていた第1位置P1から第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する揺動動作の始点となる第3位置P3までノズル1を並進させる。このような並進動作に続いて、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する揺動動作として、ノズル1が第3位置P3から第5位置P5に向けて、吐出面11に向かって第3吐出孔15及び第4吐出孔16の直上を越えて所定の折り返し端点までノズル1が略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第3位置P3まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第2サイクルとし、第2サイクルを所定回数繰り返す。このような揺動動作によって、吐出面11の第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。このような一連の動作を終えると、第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1にノズルを戻してもよい。所定回数の第1サイクル及び第2サイクルを併せて1サイクルとし、このサイクルを所定回数にわたり繰り返してもよい。
【0065】
第2態様の動作においても、所定の流量で気体を噴射するノズル1が第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する第1位置P1を始点とした第1サイクル、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する第3位置P3を始点とした第2サイクルのそれぞれの揺動動作により、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16からそれぞれ吐出された第1ストランド101、第2ストランド102、第3ストランド103及び第4ストランド104又は吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばし、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。
【0066】
また、第2態様の動作においては、ノズル1が第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する第1位置P1を始点とした第1サイクル、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する第3位置P3を始点とした第2サイクルの揺動動作を個別に制御することができる。したがって、吐出面11の第1吐出孔13及び第2吐出孔14と、第3吐出孔15及び第4吐出孔16との周囲に当たる気流の強さを個別に制御することができる。このため、第1吐出孔13及び第2吐出孔14と、第3吐出孔15及び第4吐出孔16とに発生する付着物の量が異なる場合にも、第1吐出孔13及び第2吐出孔14と、第3吐出孔15及び第4吐出孔16との周囲に当たる気流の強さを個別に調整することによって対応することができる。
【0067】
さらに、第2態様の動作を第1態様の動作と比較すると、第1態様の動作においては、1サイクルが、ノズル1が第1吐出孔13に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1から、第2吐出孔14対応する揺動動作の始点となる第2位置P2、第3吐出孔15に対応する揺動動作の始点となる第3位置P3、第4吐出孔16に対応する揺動動作の始点となる第4位置P4に並進し、その後で第1位置P1に並進するような5ステップの並進動作を含んでいたのに対し、第2の揺動動作においては、1サイクルが、ノズル1が第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1から、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する揺動動作の始点となる第3位置P3に並進し、その後で第1位置P1に並進するような3ステップの並進動作を含んでいる点で相違している。したがって、第2態様の動作は、第1態様の動作と比べると並進動作のステップが減少するため、揺動動作及び並進動作を含むノズル1の所定の動作がより簡単になり、所定の動作の1サイクルの周期も短縮される。
【0068】
なお、第2態様の揺動動作として、第1吐出孔13及び第2吐出孔14と、第3吐出孔15及び第4吐出孔16とのように、2個の吐出孔を一組としてそれぞれについて揺動動作を行う例を示したが、2個以上の吐出孔を一組としてそれぞれについて揺動動作を行ってもよい。以下でも同様である。
【0069】
図5(c)に示す第3態様の動作においては、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の4個の吐出孔を一括として揺動動作を行う。第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する揺動動作として、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1から第5位置P5に向けて吐出面11に向かって第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の直上を越えて所定の折り返し端点までノズル1が略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第1位置P1まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を1サイクルとし、このサイクルを所定回数繰り返す。このような揺動動作によって、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。
【0070】
第3態様の動作においても、所定の流量で気体を噴射するノズル1が第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する第1位置P1と折り返し端点との間を揺動することにより、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲にそれぞれ強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16からそれぞれ吐出された第1ストランド101、第2ストランド102、第3ストランド103及び第4ストランド104又は吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばし、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。
【0071】
また、第3態様の動作を第1態様及び第2態様の動作と比較すると、第1態様の動作においては、1サイクルが、ノズル1が第1吐出孔13に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1から、第2吐出孔14対応する揺動動作の始点となる第2位置P2、第3吐出孔15に対応する揺動動作の始点となる第3位置P3、第4吐出孔16に対応する揺動動作の始点となる第4位置P4に並進し、その後で第1位置P1に並進するような5ステップの並進動作を含み、第2態様の動作においては、1サイクルが、ノズル1が第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1から、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する揺動動作の始点となる第3位置P3に並進し、その後で第1位置P1に並進するような3ステップの並進動作を含んでいたのに対し、第3態様の動作においては並進動作が含まれていない点で相違している。したがって、第3態様の動作は、第1態様及び第2態様の動作と比べると並進動作のステップが存在しないため、揺動動作を含むノズル1の所定の動作がより簡単になり、所定の動作の1サイクルの周期も短縮される。
【0072】
図6は、単一の吐出孔を有するダイに適用した第1変形例の付着物除去装置を示す図である。
図6(a)は第1変形例の斜視図、
図6(b)は第1変形例の正面図、
図1(c)は第1変形例の左側面図である。ダイ10において、略鉛直方向に延びた吐出面11の略中央に所定径を有する単一の吐出孔12が形成されている。吐出孔12からは、溶融した樹脂のストランド100が所定の線速度で吐出されている。
【0073】
第1変形例の付着物除去装置は、所定の流量で気体を噴射する第1ノズル2及び第2ノズル3の二本のノズルを有している。第1ノズル2及び第2ノズル3は、これら第1ノズル2及び第2ノズル3を支持する支持台8を介して、図示しない駆動手段によって駆動され、ダイ10の吐出面11に対して所定の間隔を有し、吐出面11に形成された吐出孔12に対してその位置及び/又は方向について所定の動作をすることにより、吐出孔12の周囲に時間的及び/又は空間的に強度が変動する気流が当たるように揺動される。
【0074】
第1変形例においては、第1ノズル2及び第2ノズル3の二本のノズルにより、吐出面11の吐出孔12の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の吐出孔12から吐出されたストランド100又は吐出面11の吐出孔12の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばし、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。また、第1変形例においては、第1ノズル2及び第2ノズル3の二本のノズルにより吐出面11の吐出孔12の周囲に異なる方向から同時に気流が当てることにより、付着物を確実に除去することができる。
【0075】
なお、第1変形例の付着物除去装置として、第1ノズル2及び第2ノズル3の二本のノズルを有する例を示したが、本実施の形態は二本のノズルに限定されない。本実施の形態は、複数のノズルとして、三本以上のノズルについても同様に適用することができる。
【0076】
図7は、第1変形例の二本のノズルの支持台を示す斜視図である。支持台8は、第1ノズル2及び第2ノズル3のそれぞれの角度や高さ、互いの距離等を調整することができるように支持している。第1ノズル2及び第2ノズル3は、支持台8によって、それぞれから噴射される気体の気流が例えば一点で合流するような方向に設定されてもよい。また、それぞれから噴射される気体の気流が合流しないように設定されてもよい。第1ノズル2及び第2ノズル3の角度や高さ、互いの距離等は、ダイ10の吐出面11の吐出孔に対する支持台8の位置等に基づいて適切に調整することができる。
【0077】
第1変形例において、第1ノズル2及び第2ノズル3は、ダイ10の吐出面11の吐出孔12に向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第1位置P1と、第1位置P1と略同じ高さにあり、吐出面11の吐出孔12に向かって右上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第2位置P2との間で揺動する。このような揺動動作によって、吐出面11の吐出孔12の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。
【0078】
第1変形例における第1ノズル2及び第2ノズル3の揺動動作は、
図2(a)に第1態様の揺動動作として一本のノズル1について示したように、第1ノズル2及び第2ノズル3が吐出面11の吐出孔12に向かって左上にある第1位置P1からダイ10の吐出面11の吐出孔12に向かって右上にある第2位置P2まで略水平方向に順方向に移動して進み、第2位置P2から第1位置P1まで略水平方向に逆方向に移動して戻る動作を1サイクルとして、このサイクルを所定回数繰り返すものであってもよい。
【0079】
なお、第1変形例における第1ノズル2及び第2ノズル3の揺動動作は、
図2(b)に第2態様の揺動動作として一本のノズル1について示したように、第1ノズル2及び第2ノズル3が吐出面11の吐出孔12に向かって直上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する位置P0から吐出面11の吐出孔12に向かって右上にある第2位置P2まで略水平方向に順方向に移動して進み、次に第2位置から位置P0に略水平方向に逆方向に移動して戻る動作を第1サイクルとし、位置P0から吐出面11の吐出孔12に向かって左上にある第1位置P1まで略水平方向に逆方向に移動して進み、次に第1位置P1から位置P0に略水平方向に順方向に移動して戻る動作を第2サイクルとし、このような第1サイクルと第2サイクルを合わせた動作を1サイクルとし、このサイクルを所定回数繰り返すものであってもよい。
【0080】
図8は、複数の吐出孔を有するダイに適用した第1変形例の付着物除去装置を示す図である。
図8(a)は第1変形例の斜視図、
図8(b)は第1変形例の正面図、
図8(c)は第1変形例の左側面図である。ダイ10において、略鉛直方向に延びた吐出面11の鉛直方向の略中央に所定径を有する第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の4個の吐出孔が略水平方向に所定間隔をおいて一列に並んで形成されている。第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16からは、それぞれ第1ストランド101、第2ストランド102、第3ストランド103及び第4ストランド104が所定の線速度で吐出されている。
【0081】
第1変形例の付着物除去装置は、所定の流量で気体を噴射する第1ノズル2及び第2ノズル3の二本のノズルを有している。第1ノズル2及び第2ノズル3は、これら第1ノズル2及び第2ノズル3を支持する支持台8を介して図示しない駆動手段によって駆動され、ダイ10の吐出面11に対して所定の間隔を有し、吐出面11に形成された第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対してその位置及び方向について所定の動作をすることにより、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるように揺動される。
【0082】
なお、複数の吐出孔を有するダイに適用した第1変形例においても、
図2(a)に第1態様の揺動動作として示したように所定の吐出孔に対応する揺動動作の始点を吐出面11に向かって該当する吐出孔の左上として説明するものとするが、
図2(b)に第2態様の揺動動作として示したように所定の吐出孔に対応する揺動動作の始点を吐出面11に向かって該当する吐出孔の直上としてもよい。
【0083】
第1変形例において、第1ノズル2及び第2ノズル3は、ダイ10の吐出面11の第1吐出孔13に向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第1位置P1と、第1位置P1と略同じ高さにあり、吐出面11の第1吐出孔13に向かって右上、第2吐出孔14に対して向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第2位置P2と、第1位置P1及び第2位置P2と略同じ高さにあり、吐出面11の第2吐出孔14に向かって右上、第3吐出孔15に対して向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第3位置P3と、第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3と略同じ高さにあり、吐出面11の第3吐出孔15に向かって右上、第4吐出孔16に対して向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第4位置P4と、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3及び第4位置P4と略同じ高さにあり、吐出面11の第4吐出孔16に向かって右上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして下側に向けて気体を噴射する第5位置P5との間で一列の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に沿って所定の動作をなす。この動作は、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/空間的に変動する気流が当たるようにする揺動動作を含んでいる。
【0084】
第1変形例においては、第1ノズル2及び第2ノズル3の二本のノズルにより、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16から吐出された第1ストランド101、第2ストランド102、第3ストランド103及び第4ストランド104又は吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばし、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。また、第1変形例においては、第1ノズル2及び第2ノズル3の二本のノズルにより吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に異なる方向から同時に気流が当てることにより、付着物を確実に除去することができる。
【0085】
第1変形例における第1ノズル2及び第2ノズル3の動作は、
図5(a)に第1態様の動作として一本のノズル1について示したように、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16のそれぞれについて揺動動作を行ってもよい。この場合には、第1吐出孔13に対応する揺動動作として、第1吐出孔13に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1から第2位置P2に向けて、吐出面11に向かって第1吐出孔13の直上を越えて所定の折り返し端点まで第1ノズル2及び第2ノズル3が略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第1位置P1まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第1サイクルとし、第1サイクルを所定回数繰り返す。第1吐出孔13に対応する揺動動作に続いて、第1吐出孔13に対応する揺動動作の始点となっていた第1位置P1から第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となる第2位置P2まで第1ノズル2及び第2ノズル3を並進させ、第2吐出孔14に対応する揺動動作として、第2位置P2から第3位置P3に向けて、吐出面11に向かって第2吐出孔14の直上を越えて所定の折り返し端点まで略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第2位置P2まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第2サイクルとし、第2サイクルを所定回数繰り返す。第2吐出孔14に対応する揺動動作に続いて、第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となっていた第2位置P2から第3吐出孔15に対応する揺動動作の始点となる第3位置P3まで第1ノズル2及び第2ノズル3を並進させ、第3吐出孔15に対応する揺動動作として、第3位置P3から第4位置P4に向けて、吐出面11に向かって第3吐出孔15の直上を越えて所定の折り返し端点まで略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第3位置P3まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第3サイクルとし、第3サイクルを所定回数繰り返す。第3吐出孔15に対応する揺動動作に続いて、第3吐出孔15に対応する揺動動作の始点となっていた第3位置P3から第4吐出孔16に対応する揺動動作の始点となる第4位置P4まで第1ノズル2及び第2ノズル3を並進させ、第4吐出孔16に対応する揺動動作として、第4位置P4から第5位置P5に向けて、吐出面11に向かって第4吐出孔16の直上を越えて所定の折り返し端点まで略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第4位置P4まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第4サイクルとし、第4サイクルを所定回数繰り返す。このような一連の動作を終えると、第1吐出孔13に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1に第1ノズル2及び第2ノズル3を戻してもよい。所定回数の第1サイクル、第2サイクル、第3サイクル及び第4サイクルを併せて1サイクルとし、このサイクルを所定回数にわたり繰り返してもよい。
【0086】
また、第1変形例における第1ノズル2及び第2ノズル3の動作は、
図5(b)に第2態様の動作として一本のノズル1について示したように、第1吐出孔13及び第2吐出孔14と、第3吐出孔15及び第4吐出孔16とのように、2個の吐出孔を一組としてそれぞれについて揺動動作を行ってもよい。この場合には、第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作として、第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1から第3位置P3に向けて、吐出面11に向かって第1吐出孔13及び第2吐出孔14の直上を越えて所定の折り返し端点まで第1ノズル2及び第2ノズル3が略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第1位置P1まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第1サイクルとし、第1サイクルを所定回数繰り返す。第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作に続いて、第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となっていた第1位置P1から第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する揺動動作の始点となる第3位置P3まで第1ノズル2及び第2ノズル3を並進させ、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する揺動動作として、第3位置P3から第5位置P5に向けて、吐出面11に向かって第3吐出孔15及び第4吐出孔16の直上を越えて所定の折り返し端点まで略水平方向に順方向に移動して進み、当該折り返し端点から第3位置P3まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を第2サイクルとし、第2サイクルを所定回数繰り返す。このような一連の動作を終えると、第1吐出孔13及び第2吐出孔14に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1に第1ノズル2及び第2ノズル3を戻してもよい。所定回数の第1サイクル及び第2サイクルを併せて1サイクルとし、このサイクルを所定回数にわたり繰り返してもよい。
【0087】
さらに、第1変形例における第1ノズル2及び第2ノズル3の動作は、
図5(c)に第3態様の動作として一本のノズル1について示したように、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の4個の吐出孔を一括として揺動動作を行ってもよい。この場合には、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する揺動動作として、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16に対応する揺動動作の始点となる第1位置P1から第5位置P5まで第1ノズル2及び第2ノズル3が略水平方向に順方向に移動して進み、折り返し端点となる第5位置P5から第1位置P1まで略水平方向に逆方向に移動して戻る所定振幅の動作を1サイクルとし、このサイクルを所定回数繰り返す。
【0088】
図9は、第2変形例の付着物除去装置を示す斜視図である。ダイ10において、略鉛直方向に延びた吐出面11の鉛直方向の略中央に所定径を有する第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の4個の吐出孔が略水平方向に所定間隔をおいて一列に並んで形成されている。第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16からは、それぞれ第1ストランド101、第2ストランド102、第3ストランド103及び第4ストランド104が所定の線速度で吐出されている。
【0089】
第2変形例の付着物除去装置は、所定の流量で気体を噴射する第1ノズル21、第2ノズル22、第3ノズル23、第4ノズル24及び第5ノズル25の五本のノズルを有している。第1ノズル21は、ダイ10の吐出面11の第1吐出孔13に向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして気体を噴射する第1位置P1にある。第2ノズル22は、第1位置P1と略同じ高さにあり、吐出面11の第1吐出孔13に向かって右上、第2吐出孔14に対して向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして気体を噴射する第2位置P2にある。第3ノズル23は、第1位置P1及び第2位置P2と略同じ高さにあり、吐出面11の第2吐出孔14に向かって右上、第3吐出孔15に対して向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして気体を噴射する第3位置P3にある。第4ノズル24は、第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3と略同じ高さにあり、吐出面11の第3吐出孔15に向かって右上、第4吐出孔16に対して向かって左上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして気体を噴射する第4位置P4にある。第5ノズル25は、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3及び第4位置P4と略同じ高さにあり、吐出面11の第4吐出孔16に向かって右上にあって、吐出面11に所定間隔を有して対向し、吐出面11と所定の角度をなして気体を噴射する第5位置P5にある。
【0090】
第1ノズル21、第2ノズル22、第3ノズル23、第4ノズル24及び第5ノズル25は、それぞれ所定の軸の周りに図示しない駆動手段によって駆動され、第1位置P1にある第1ノズル21は隣接する第1吐出孔13の方向を含む角度範囲で、第2位置P2にある第2ノズル22は隣接する第1吐出孔13及び第2吐出孔14を含む角度範囲で、第3位置P3にある第3ノズル23は隣接する第2吐出孔14及び第3吐出孔15を含む角度範囲で、第4位置P4にある第4ノズル24は隣接する第3吐出孔15及び第4吐出孔16を含む角度範囲で、第5位置P5にある第5ノズル25は隣接する第4吐出孔16を含む角度範囲でそれぞれ所定の回転速度で揺動するように回転する。
【0091】
第2変形例においては、第1ノズル21、第2ノズル22、第3ノズル23及び第4ノズル24及び第5ノズル25の五本のノズルにより、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16から吐出された第1ストランド101、第2ストランド102、第3ストランド103及び第4ストランド104又は吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばし、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。また、第2変形例においては、第1吐出孔13に対して第1ノズル21及び第2ノズル22が、第2吐出孔14に対して第2ノズル22及び第3ノズル23が、第3吐出孔15に対して第3ノズル23及び第4ノズル24が、第4吐出孔16に対して第4ノズル24及び第5ノズル25がそれぞれ対応しているため、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲に異なる方向から十分な流量の気流が供給され、付着物を確実に除去することができる。
【0092】
図10は、第3変形例の付着物除去装置を示す図である。
図10(a)は第3変形例の斜視図であり、
図10(b)は第3変形例の
図10(a)中の切断面X―Xにおける断面図である。ダイ10において、略鉛直方向に延びた吐出面11の略中央やや下に所定径を有する単一の吐出孔12が形成されている。吐出孔12からは、溶融した樹脂のストランド100が所定の線速度で吐出されている。
【0093】
第3変形例の付着物除去装置は、吐出面11上で吐出孔12の直上に位置し、吐出面11に沿って所定の軸30の周りに所定の回転速度で回転し、気体を吐出面11に沿って所定の流量を噴射する一本のノズル31と、吐出面11上で回転するノズル31を覆い、ノズル31が回転する周方向に前記軸30について直下にある吐出孔12を含む所定の角度範囲にわたり開口33が設けられたフード32とを有している。
【0094】
第3変形例において、ノズル31から噴射された気体は、ノズル31を覆うフード32内においてフード32の開口33から噴射されるように案内される。フード32の開口33からは、ノズル31の回転に応じて時間的に及び/又は空間的に変動する強度を有する気流がノズル31の回転の周方向に吐出面11の吐出孔12を含む所定の角度範囲内で噴射され、吐出面11の吐出孔12の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の吐出孔12から吐出されたストランド100又は吐出面11の吐出孔12の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばし、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。第3変形例においては、ノズル31の回転によりフード32の開口33から噴射される気流の時間的及び/又は空間的な強度の変動が担保されている。したがって、第3変形例においては、気流の十分な強度の変動により、付着物を確実に除去することができる。
【0095】
図11は、第4変形例の付着物除去装置を示す斜視図である。ダイ10において、略鉛直方向に延びた吐出面11の鉛直方向の略中央に所定径を有する第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の4個の吐出孔が略水平方向に所定間隔をおいて一列に並んで形成されている。第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16からは、それぞれ第1ストランド101、第2ストランド102、第3ストランド103及び第4ストランド104が所定の線速度で吐出されている。
【0096】
第4変形例の付着物除去装置は、吐出面11上で一列の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16から所定間隔を有して上側にあって、この一列に沿って略水平方向に延びるように配置されたパイプ35を有している。パイプ35には所定の圧力の気体が供給され、パイプ35の下側には所定の方向に気体を噴射するように所定の位置に第1噴射孔35A、及び第2噴射孔35Bが形成されている。図中に示すように、吐出面11に向かって右下の方向に気体を噴射する第1噴射孔35Aと、吐出面11に向かって左下の方向に気体を噴射する第2噴射孔35Bとが交互に形成されている。パイプ35において、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の上側には、第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15及び第4吐出孔16の周囲にそれぞれ気流が当たるように、それぞれ一対の第1噴射孔35A及び第2噴射孔35Bが形成されている。パイプ35は、このパイプ35が延びる方向に沿って所定の距離を所定の周期で揺動される。
【0097】
第4変形例において、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15、第4吐出孔16には、それぞれ上側のパイプ35に形成された一対の第1噴射孔35A及び第2噴射孔35Bから気体が噴射され、吐出面の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15、第4吐出孔16の周囲に強度が時間的及び/又は空間的に変動する気流が当たるようにすることができる。したがって、吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15、第4吐出孔16から吐出された第1ストランド101、第2ストランド102、第3ストランド103及び第4ストランド104又は吐出面11の第1吐出孔13、第2吐出孔14、第3吐出孔15、第4吐出孔16の周囲に生じた付着物を強度が変動する気流で吹き飛ばし、これらの付着物を短時間で十分に除去することができる。また、第4変形例は、パイプ35の延びる方向への揺動のみで足りるため駆動が容易である。さらに、吐出孔の数が異なるダイ10に適用する場合にも、パイプ35の長さを変更することにより容易に対応することができる。
【実施例】
【0098】
以下、実施例と比較例を挙げて本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0099】
[実施例1]
ポリアセタール樹脂(トリオキサン96.7質量%と1,3-ジオキソラン3.3質量%とを共重合させてなるポリアセタール共重合体(メルトマスフローレイト(ISO1133に準拠し、温度190℃,荷重2160gで測定):2.5g/10min)100質量部と、主鎖がポリエチレンであり、側鎖がアクリロニトリル-スチレン共重合体であるグラフト共重合体7質量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(製品名:Irganox 1010,BASFジャパン社製)0.5質量部とを、二軸押出機(日本製鋼所製TEX65)に投入し、バレル設定温度:200℃、ダイ設定:170℃、温度スクリュー回転数:280rpm、押出量:350kg/hにて押し出しを行った。また、押し出されたストランドは、
図3に示すように、ウォーターバス50を経てカッター60に搬送されるようにした。吐出面11には一列に並んだ直径4.0mmの円形の吐出孔を24個設置した。
【0100】
付着物除去装置は2本のノズルを有する第1変形例のものを使用した。コンプレッサを用いて30L/分の流量で空気を設定温度350℃のヒーターに送り込み加熱したのち、これを内径2mmの円筒断面を有する長さ50mmのノズルへ供給し、ノズル先端から吐出孔付近に噴出させた。ノズルの先端と樹脂吐出面の間隔は5mmとした。吐出孔付近での気体の温度は、気体流量、ノズルの形状、ノズルの先端と樹脂吐出面の間隔等に応じて、ヒーターの設定温度350℃より低下している。各吐出孔について、隣接吐出孔の中心距離を振幅とする二回の揺動を行った後、隣接する吐出孔の揺動開始位置に並進する動作を繰り返した。押出を60時間継続し実施したが、その間、付着物除去の操作は不要であった。
【0101】
表1に、実施例1の条件と付着物除去の結果を示した。表1には、以下の実施例2~4及び比較例1についても併せて示した。
【0102】
【0103】
[実施例2]
付着物除去装置の揺動を各吐出孔ではなく、全体の吐出孔に対して、両端の吐出孔の間隔を振幅とする揺動を継続して実施した以外は実施例1と同様の操作を行った。押出中の付着物除去操作は30時間に一度実施が必要であった。
【0104】
[実施例3]
目ヤニ除去装置のノズルへ送り込む空気を加熱しない以外は実施例1と同様の操作を行った。押出中の付着物除去操作は8時間に一度実施が必要であった。
【0105】
[実施例4]
付着物装置のノズルへ送り込む空気を加熱しないことと両端の吐出孔の間隔を振幅とする揺動を継続して実施した以外は実施例1と同様の操作を行った。押出中の付着物除去操作は5時間に一度実施が必要であった。
【0106】
[比較例1]
付着物除去装置を使用せずに実施例1と同様の押出を実施した。押出中の付着物除去操作は20分に一度実施する必要があった。
【0107】
[実施例5]
ポリブチレンテレフタレート樹脂(固有粘度(o-クロロフェノール中で温度35℃の条件で測定):0.69dL/g)100質量部と、繊維径13μmのガラス繊維45質量部を、二軸押出機(日本製鋼所製TEX65)に投入し、バレル設定温度:250℃、ダイ設定温度:270℃、スクリュー回転数:280rpm、押出量:350kg/hにて押し出しを行った。また、押し出されたストランドは、
図3に示すように、ウォーターバス50を経てカッター60に搬送されるようにした。吐出面11には一列に並んだ直径4.0mmの円形の吐出孔を21個設置した。
【0108】
付着物除去装置は2本のノズルを有する第1変形例のものを使用した。コンプレッサを用いて30L/分の流量で空気を設定温度350℃のヒーターに送り込み加熱したのち、これを内径2mmの円筒断面を有する長さ50mmのノズルへ供給し、ノズル先端から吐出孔付近に噴出させた。ノズルの先端と樹脂吐出面の間隔は5mmとした。吐出孔付近での気体の温度は、気体流量、ノズルの形状、ノズルの先端と樹脂吐出面の間隔等に応じて、ヒーターの設定温度350℃より低下している。各吐出孔について、隣接吐出孔の中心距離を振幅とする二回の揺動を行った後、隣接する吐出孔の揺動開始位置に並進する動作を繰り返した。押出を60時間継続し実施したが、その間、付着物除去の操作は不要であった。
【0109】
表2に、実施例5の条件と付着物除去の結果を示した。表2には、以下の実施例6~8及び比較例2についても併せて示した。
【0110】
【0111】
[実施例6]
目ヤニ除去装置の揺動を各吐出孔ではなく、全体の吐出孔に対して、両端の吐出孔の間隔を振幅とする揺動を継続して実施した以外は実施例5と同様の操作を行った。押出中の目ヤニ除去操作は25時間に一度実施が必要であった。
【0112】
[実施例7]
目ヤニ除去装置のノズルへ送り込む空気を加熱しない以外は実施例5と同様の操作を行った。押出中の付着物除去操作は7時間に一度実施が必要であった。
【0113】
[実施例8]
目ヤニ除去装置のノズルへ送り込む空気を加熱しないことと両端の吐出孔の間隔を振幅とする揺動を継続して実施した以外は実施例5と同様の操作を行った。押出中の付着物除去操作は4.5時間に一度実施が必要であった。
【0114】
[比較例2]
目ヤニ除去装置を使用せずに実施例5と同様の押出を実施した。押出中の目ヤニ除去操作は20分に一度実施する必要があった。
【符号の説明】
【0115】
1 ノズル
2 第1ノズル
3 第2ノズル
10 ダイ
11 吐出面
12 吐出孔
13 第1吐出孔
14 第2吐出孔
15 第3吐出孔
16 第4吐出孔
100 ストランド
101 第1ストランド
102 第2ストランド
103 第3ストランド
104 第4ストランド