(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】尿取りパッド
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20230210BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
A61F13/15 200
A61F13/56 110
(21)【出願番号】P 2019194740
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】森 和隆
(72)【発明者】
【氏名】河村 浩治
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-226459(JP,A)
【文献】特開2010-057930(JP,A)
【文献】特開2012-249692(JP,A)
【文献】特開2019-097613(JP,A)
【文献】特開2016-209202(JP,A)
【文献】特開2019-170738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
A61F 13/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌対向面を形成する表面シートと、非肌対向面を形成する裏面シートと、これらのシートの間に配置された吸収体と、前記裏面シートの非肌対向面側の表面に配置された粘着部とを備えた、長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する尿取りパッドであって、
前記尿取りパッドは、展開した状態の平面視にて、前記幅方向に延びる少なくとも2本の折り線を有し、
前記少なくとも2本の折り線は、
前記尿取りパッドの前記長手方向の一方側端縁に最も近い位置にある第1折り線と、
前記尿取りパッドの前記長手方向の他方側端縁に最も近い位置にある第2折り線と、を含み、
前記粘着部は、少なくとも前記第1折り線及び前記第2折り線の各々を前記長手方向に跨ぐように配置され、
前記尿取りパッドは、前記幅方向の両端部に位置し且つ前記長手方向に延在するように前記表面シートの肌対向面側の表面に配置された一対のサイドシートと、前記一対のサイドシートの各々に固定され且つ前記長手方向に延びる弾性部材と、を含む、一対の防漏壁部を更に有しており、
前記粘着部は、前記弾性部材の長手方向固定端よりも長手方向外方側の位置まで、前記長手方向に延在
し、
前記吸収体は、展開した状態の平面視にて、幅方向中央部に位置し且つ前記長手方向に延在する変形誘導部を有し、
前記尿取りパッドは、展開した状態の平面視にて、前記第1折り線と前記第2折り線との間に前記幅方向に延びる第3折り線を有し、さらに、前記長手方向の一方側端縁と前記第1折り線とによって区画される第1領域と、前記第1折り線と前記第3折り線とによって区画される第2領域と、前記第3折り線と前記第2折り線とによって区画される第3領域と、前記第2折り線と前記長手方向の他方側端縁とによって区画される第4領域と、を有し、
前記変形誘導部は、展開した状態の平面視にて、前記第2領域及び前記第3領域において、前記第1折り線及び前記第2折り線を跨がず、且つ、前記第3折り線を跨ぐように前記長手方向に延在していることを特徴とする、
前記尿取りパッド。
【請求項2】
肌対向面を形成する表面シートと、非肌対向面を形成する裏面シートと、これらのシートの間に配置された吸収体と、前記裏面シートの非肌対向面側の表面に配置された粘着部とを備えた、長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する尿取りパッドであって、
前記尿取りパッドは、展開した状態の平面視にて、前記幅方向に延びる少なくとも2本の折り線を有し、
前記少なくとも2本の折り線は、
前記尿取りパッドの前記長手方向の一方側端縁に最も近い位置にある第1折り線と、
前記尿取りパッドの前記長手方向の他方側端縁に最も近い位置にある第2折り線と、を含み、
前記粘着部は、少なくとも前記第1折り線及び前記第2折り線の各々を前記長手方向に跨ぐように配置され、
前記尿取りパッドは、前記幅方向の両端部に位置し且つ前記長手方向に延在するように前記表面シートの肌対向面側の表面に配置された一対のサイドシートと、前記一対のサイドシートの各々に固定され且つ前記長手方向に延びる弾性部材と、を含む、一対の防漏壁部を更に有しており、
前記粘着部は、前記弾性部材の長手方向固定端よりも長手方向外方側の位置まで、前記長手方向に延在し、
前記尿取りパッドは、展開した状態の平面視にて、前記第1折り線と前記第2折り線との間に前記幅方向に延びる第3折り線を有し、さらに、前記長手方向の一方側端縁と前記第1折り線とによって区画される第1領域と、前記第1折り線と前記第3折り線とによって区画される第2領域と、前記第3折り線と前記第2折り線とによって区画される第3領域と、前記第2折り線と前記長手方向の他方側端縁とによって区画される第4領域と、を有し、
少なくとも前記第1領域及び前記第4領域において、幅方向両端部にラウンドシール部を有することを特徴とする、
前記尿取りパッド。
【請求項3】
前記尿取りパッドは、展開した状態の平面視にて、前記第1折り線と前記第2折り線との間に前記幅方向に延びる少なくとも1本の折り線を更に有し、
前記粘着部は、前記少なくとも1本の折り線を前記長手方向に跨ぐように配置されていることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の尿取りパッド。
【請求項4】
前記尿取りパッドは、展開した状態の平面視にて、
前記第1折り線から前記吸収体の前記長手方向の一方側端縁までの長手方向長さが、前記第1折り線から前記尿取りパッドの前記長手方向の一方側端縁までの長手方向長さの半分の長さよりも長く、
前記第2折り線から前記吸収体の前記長手方向の他方側端縁までの長手方向長さが、前記第2折り線から前記尿取りパッドの前記長手方向の他方側端縁までの長手方向長さの半分の長さよりも長いことを特徴とする、請求項1
~3のいずれか一項に記載の尿取りパッド。
【請求項5】
前記変形誘導部と前記粘着部とが、前記厚さ方向において重複していないことを特徴とする、請求項
1に記載の尿取りパッド。
【請求項6】
前記吸収体は、展開した状態の平面視にて、前記尿取りパッドの長手方向中央部における幅方向長さが相対的に短い幅狭部を有することを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載の尿取りパッド。
【請求項7】
前記尿取りパッドの少なくとも長手方向中央部の幅方向両端部に前記ラウンドシール部が配置されていない、請求項
2に記載の尿取りパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつや紙パンツ等の外装体の内面に装着される尿取りパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
おむつや紙パンツ等の外装体の内面に装着される吸収性物品として尿取りパッドが知られている。尿取りパッドは、通常、おむつや紙パンツなどの外装体の内面に装着された後、外装体を引き上げて、尿取りパッドの表面を着用者の股間部に密着させることにより、使用される。そのため、着用者に違和感や不快感などを生じさせないように、着用者の股間部へのフィット性を向上させる技術や着用者から排出された尿を外部に漏れ出さないようにする技術が、種々検討されている。
【0003】
そして、近年では、これらの技術に加えて着用者の利便性などを考慮した様々なタイプの尿取りパッドが提案されており、例えば、特許文献1には、展開可能に折り畳まれた吸収性物品であって、展開状態の平面視にて、幅方向に延びる長手方向中心軸線及び長手方向の一方側端縁部の間に位置し且つ前記幅方向に延びる幅方向第1仮想直線と、前記長手方向中心軸線及び長手方向の他方側端縁部の間に位置し且つ前記幅方向に延びる幅方向第2仮想直線と、の間に延在する長手方向中央領域と;前記一方側端縁部及び前記幅方向第1仮想直線の間に延在する長手方向第1領域と;前記他方側端縁部及び前記幅方向第2仮想直線の間に延在する長手方向第2領域と;を有し、さらに、前記吸収性物品は、前記幅方向第1仮想直線で表面シート側に折られた後、前記長手方向第1領域と前記長手方向第2領域とが前記厚さ方向において少なくとも部分的に重複し且つ対向するように、前記幅方向第2仮想直線で折られることにより、展開可能に折り畳まれた状態を形成しているとともに、前記長手方向第1領域内において前記長手方向第2領域と前記厚さ方向に重複する位置の前記非肌対向面に係合部材を備えた前記吸収性物品が開示されており、さらに、かかる吸収性物品の一実施形態として、前記幅方向第1仮想直線及び幅方向第2仮想直線(幅方向に延びる2本の折り曲げ線)によって長手方向に3つ折りされた尿取りパッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の3つ折りの尿取りパッドは、幅方向に延びる2本の折り線があることで、尿取りパッドが長手方向に湾曲したような形状(すなわち、略U字状)に変形しやすく、外装体の内面形状に適合しやすくなっている。
しかしながら、特許文献1の尿取りパッドでは、折り線の折り癖によって尿取りパッドと外装体内面との間に隙間が生じやすく、おむつや紙パンツなどの外装体の内面に装着された後、外装体を引き上げて尿取りパッドの表面を着用者の股間部に密着させる際に(以下、単に「装着時の引き上げの際に」と称する。)、上述の折り線が基点となって尿取りパッドが折れ曲がり、長手方向の端部からめくれてしまうことがあった。尿取りパッドがこのようにめくれてしまうと、着用者に異物感を生じさせたり、着用者から排出された尿が外部に漏出したりする恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、外装体の内面形状に適合しやすく、装着時の引き上げの際にめくれにくい尿取りパッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様(態様1)は、肌対向面を形成する表面シートと、非肌対向面を形成する裏面シートと、これらのシートの間に配置された吸収体と、前記裏面シートの非肌対向面側の表面に配置された粘着部とを備えた、長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する尿取りパッドであって、
前記尿取りパッドは、展開した状態の平面視にて、前記幅方向に延びる少なくとも2本の折り線を有し、
前記少なくとも2本の折り線は、
前記尿取りパッドの前記長手方向の一方側端縁に最も近い位置にある第1折り線と、
前記尿取りパッドの前記長手方向の他方側端縁に最も近い位置にある第2折り線と、を含み、
前記粘着部は、少なくとも前記第1折り線及び前記第2折り線の各々を前記長手方向に跨ぐように配置されていることを特徴とする、前記尿取りパッドである。
【0008】
本態様1の尿取りパッドは、幅方向に延びる少なくとも2本の折り線を有していることで、尿取りパッドが長手方向に湾曲したような形状(すなわち、略U字状)に変形しやすく、外装体の内面形状に適合しやすくなっている。
さらに、そのうちの長手方向端部に近い2本の折り線、すなわち長手方向の一方側端縁に最も近い位置にある第1折り線と、長手方向の他方側端縁に最も近い位置にある第2折り線の、2本の折り線の各々を長手方向に跨ぐように粘着部が配置されていることで、これらの折り線を有する部分を外装体内面に着実に粘着固定することができるため、装着時の引き上げの際に、これらの折り線を基点として尿取りパッドが折れ曲がって長手方向の端部がめくれるようなことを生じにくくすることができる。
したがって、本態様1の尿取りパッドは、外装体の内面形状に適合しやすく、装着時の引き上げの際にめくれにくいものとなっている。
【0009】
また、本発明の別の態様(態様2)では、上記態様1の尿取りパッドにおいて、前記尿取りパッドは、展開した状態の平面視にて、前記第1折り線と前記第2折り線との間に前記幅方向に延びる少なくとも1本の折り線を更に有し、
前記粘着部は、前記少なくとも1本の折り線を前記長手方向に跨ぐように配置されていることを特徴とする。
【0010】
本態様2の尿取りパッドは、第1折り線と第2折り線との間に少なくとも1本の折り線を有していることで、尿取りパッドが長手方向に湾曲したような形状に更に変形しやすくなっているため、より精度よく外装体の内面形状に適合することができる。
さらに、粘着部が、第1折り線と第2折り線との間に位置する折り線についても、それを長手方向に跨ぐように延在しており、当該折り線を有する部分を外装体内面に着実に粘着固定することができるため、折り線の折り癖などによって当該折り線を有する部分が外装体内面から剥がれたり、不用意な折れ曲がりが生じたりしにくくなっている。
これにより、本態様2の尿取りパッドは、着用者の股間部に対してより的確に密着することができ、着用中の快適性及び防漏性に優れたものとなっている。
【0011】
本発明の更に別の態様(態様3)では、上記態様1又は2の尿取りパッドにおいて、前記尿取りパッドは、前記幅方向の両端部に位置し且つ前記長手方向に延在するように前記表面シートの肌対向面側の表面に配置された一対のサイドシートと、前記一対のサイドシートの各々に固定され且つ前記長手方向に延びる弾性部材と、を含む、一対の防漏壁部を更に有しており、
前記粘着部は、前記弾性部材の長手方向固定端よりも長手方向外方側の位置まで、前記長手方向に延在していることを特徴とする。
【0012】
通常、尿取りパッドがこのような弾性部材の収縮力によって起立する一対の防漏壁部を有していると、良好な防漏性を発揮することができるものの、外装体内面に装着した後に弾性部材の収縮力によって尿取りパッドが長手方向内方側に収縮して、長手方向の端部がめくれやすくなる恐れがあるが、本態様3の尿取りパッドは、弾性部材の長手方向固定端よりも長手方向外方側の位置まで粘着部が延在しているので、当該弾性部材の収縮力が作用する部分を外装体内面に着実に粘着固定することができ、尿取りパッドの長手方向の端部をめくれにくくすることができる。
【0013】
本発明の更に別の態様(態様4)では、上記態様1~3のいずれかの尿取りパッドにおいて、前記尿取りパッドは、展開した状態の平面視にて、
前記第1折り線から前記吸収体の前記長手方向の一方側端縁までの長手方向長さが、前記第1折り線から前記尿取りパッドの前記長手方向の一方側端縁までの長手方向長さの半分の長さよりも長く、
前記第2折り線から前記吸収体の前記長手方向の他方側端縁までの長手方向長さが、前記第2折り線から前記尿取りパッドの前記長手方向の他方側端縁までの長手方向長さの半分の長さよりも長いことを特徴とする。
【0014】
本態様4の尿取りパッドは、第1折り線及び第2折り線の各々から吸収体の長手方向の各端縁までの長手方向長さが、第1折り線及び第2折り線の各々から尿取りパッドの長手方向の各端縁までの長手方向長さの半分の長さよりも長いことにより、第1折り線及び第2折り線の各々から尿取りパッドの長手方向の各端縁までの間の領域において、吸収体が配置された領域(すなわち、相対的に剛性の高い領域)を長手方向に広く確保することができるため、尿取りパッドの長手方向の端部を更にめくれにくくすることができ、仮に一時的にめくれたとしても戻りやすくすることができる。
【0015】
本発明の更に別の態様(態様5)では、上記態様1~4のいずれかの尿取りパッドにおいて、前記吸収体は、展開した状態の平面視にて、幅方向中央部に位置し且つ前記長手方向に延在する変形誘導部を有することを特徴とする。
【0016】
本態様5の尿取りパッドは、装着時の引き上げの際に、長手方向に延在する変形誘導部を基点として、当該変形誘導部の形成された部分(すなわち、幅方向中央部)が肌対向面側に向かって突出するように尿取りパッドが幅方向に折れ曲がり、幅方向の断面形状が略W字状となるように変形しやすくなるため、尿取りパッドの幅方向中央部が着用者の股間部に密着しやすくなり、より優れたフィット性を発揮することができる。
さらに、変形誘導部が長手方向に延在していることで、着用者から排出された尿を変形誘導部に沿って長手方向に拡散させることができ、より優れた吸収性能を発揮することができるという利点もある。
【0017】
本発明の更に別の態様(態様6)では、上記態様5の尿取りパッドにおいて、前記変形誘導部と前記粘着部とが、前記厚さ方向において重複していないことを特徴とする。
【0018】
本態様6の尿取りパッドは、変形誘導部と粘着部とが厚さ方向に重複していないため、装着時の引き上げの際に、上述の変形誘導部による変形がより得られやすくなる。これにより、本態様6の尿取りパッドは、上記態様5の尿取りパッドの作用効果をより確実に発揮することができる。
【0019】
本発明の更に別の態様(態様7)では、上記態様1~6のいずれかの尿取りパッドにおいて、前記吸収体は、展開した状態の平面視にて、前記尿取りパッドの長手方向中央部における幅方向長さが相対的に短い幅狭部を有することを特徴とする。
【0020】
本態様7の尿取りパッドは、吸収体が幅狭部を有していることによって、着用時に、尿取りパッドの長手方向中央部をより的確に着用者の股間部に密着させることができ、更に優れたフィット性を発揮することができる。さらに、尿取りパッドにおいて相対的に剛性の高い吸収体が着用者の両脚の内側部分に接触しにくくなるため、着用者に異物感を生じさせにくくすることができるという利点もある。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、外装体の内面形状に適合しやすく、装着時の引き上げの際にめくれにくい尿取りパッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る尿取りパッド1を展開した状態で表面シート2側から厚さ方向に見た平面図である。
【
図2】
図2は、尿取りパッド1を展開した状態で裏面シート3側から厚さ方向に見た平面図である。
【
図3】
図3は、尿取りパッド1を第1折り線L
1~第3折り線L
3で折り畳む様子を模式的に示す説明図である。
【
図4】
図4は、尿取りパッド1を外装体10の内面に装着する様子を模式的に示す図である。なお、
図4(a)は、側面側から見た図であり、
図4(b)は、
図4(a)の矢印Vの方向(すなわち、上方側)から見た図である。
【
図5】
図5は、尿取りパッド1を展開した状態で裏面シート3側から厚さ方向に見た平面図であって、弾性部材6と粘着部7の位置関係を示す図である。
【
図6】
図6は、尿取りパッド1が長手方向Lに延在する変形誘導部43を基点として、幅方向中央部が肌対向面側に向かって突出するように変形した状態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(各種定義)
以下、本発明の尿取りパッドの好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開した状態で水平面上に置いた対象物(例えば、尿取りパッド、吸収体等)を、垂直方向の上方側(対象物が尿取りパッドの場合は表面シート側あるいは裏面シート側)から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」という。
【0024】
本明細書において用いられる各種方向等については、特に断りのない限り、以下のとおりである。
本明細書において、「長手方向」は、「平面視における縦長の対象物(例えば、展開した状態の尿取りパッド、吸収体等)の長さの長い方向」を指し、「幅方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向」を指し、「厚さ方向」は、「展開した状態で水平面上に置いた対象物に対して垂直方向」を指し、これらの長手方向、幅方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。
【0025】
さらに、本明細書では、「縦長の対象物の幅方向の中央に位置し且つ長手方向に延びる軸線」を「幅方向中心軸線CL」といい、「縦長の対象物の長手方向の中央に位置し且つ幅方向に延びる軸線」を「長手方向中心軸線CW」という。これに関連して、「縦長の対象物の長手方向において、長手方向中心軸線CWに対して相対的に近位側」を「長手方向内方側」といい、「縦長の対象物の長手方向において、長手方向中心軸線CWに対して相対的に遠位側」を「長手方向外方側」という。同様に、「縦長の対象物の幅方向において、幅方向中心軸線CLに対して相対的に近位側」を「幅方向内方側」といい、「縦長の対象物の幅方向において、幅方向中心軸線CLに対して相対的に遠位側」を「幅方向外方側」という。
【0026】
また、本明細書では、特に断りのない限り、尿取りパッドの厚さ方向において、「尿取りパッドの着用時に、着用者の肌面に対して相対的に近位側」を「肌対向面側」といい、「尿取りパッドの着用時に、着用者の肌面に対して相対的に遠位側」を「非肌対向面側」という。これに関連して、尿取りパッドにおいては、厚さ方向に対向する肌対向面側及び非肌対向面側の2つの表面を、それぞれ肌対向面及び非肌対向面といい、表面シートや裏面シート、吸収体等の構成部材においては、厚さ方向に対向する肌対向面側及び非肌対向面側の2つの表面を、それぞれ肌対向面側の表面及び非肌対向面側の表面という。
【0027】
[尿取りパッド]
本発明の一実施形態に係る尿取りパッド1は、
図1及び
図2に示すように、平面視にて、長手方向L及び幅方向Wを有する縦長の略矩形状の外形形状を有している。なお、尿取りパッド1の外形形状はこのような態様に限定されず、縦長の形状のものであれば、各種用途や使用態様等に応じた任意の形状(例えば、楕円形、砂時計形、瓢箪形など)を採用することができる。
【0028】
また、上述の尿取りパッド1は、厚さ方向において、尿取りパッド1の肌対向面を形成する液透過性の表面シート2と、尿取りパッド1の非肌対向面を形成する裏面シート3と、これらのシートの間に配置された吸収体4と、裏面シート3の非肌対向面側の表面に配置された粘着部7とを、基本構成として備えている。
【0029】
なお、上述の尿取りパッド1においては、
図1に示すように、尿取りパッド1の幅方向Wの両端部に位置し且つ長手方向Lに延在するように表面シート2の肌対向面側の表面に配置された一対のサイドシート5、5と、当該一対のサイドシート5、5の各々に固定され且つ長手方向Lに延びる複数本の弾性部材6と、を含む、一対の防漏壁部を更に備えている。かかる一対の防漏壁部は、尿取りパッド1を外装体内面へ装着する際に(すなわち、尿取りパッド1が長手方向Lに湾曲した時に)、弾性部材6が一対のサイドシート5、5を長手方向Lに収縮させて、当該一対のサイドシート5、5の各々の幅方向内方側の端縁部が起立することにより、一対の防漏壁を形成することができる。
【0030】
また、尿取りパッド1は、
図1及び
図2に示すように、展開した状態の平面視にて、尿取りパッド1の長手方向Lの一方側端縁E
1と、長手方向Lの他方側端縁E
2との間に、尿取りパッド1を長手方向Lに折り畳むための、幅方向Wに延びる3本の折り線、すなわち尿取りパッド1の長手方向Lの一方側端縁E
1に最も近い位置にある第1折り線L
1と、尿取りパッド1の長手方向Lの他方側端縁E
2に最も近い位置にある第2折り線L
2と、これらの折り線の間に位置する第3折り線L
3と、を有しており、さらに、長手方向Lの一方側端縁E
1と第1折り線L
1とによって区画される第1領域A
1と、上記第1折り線L
1と第3折り線L
3とによって区画される第2領域A
2と、上記第3折り線L
3と第2折り線L
2とによって区画される第3領域A
3と、上記第2折り線L
2と長手方向Lの他方側端縁E
2とによって区画される第4領域A
4と、を有している。
【0031】
このような3本の折り線を有する尿取りパッド1は、展開した状態から
図3(a)に示すように第2折り線L
2を境にして第3領域A
3及び第4領域A
4の肌対向面が互いに対向するように長手方向Lに折り曲げられた後、その状態から
図3(b)に示すように第3折り線L
3を境にして第4領域A
4の非肌対向面と第2領域A
2の肌対向面とが互いに対向するように(換言すれば、第2領域A
2及び第3領域A
3の肌対向面が互いに対向するように)長手方向Lに折り曲げられ、さらに、その状態から
図3(c)に示すように第1折り線L
1を境にして第1領域A
1の肌対向面と第3領域A
3の非肌対向面が互いに対向するように長手方向Lに折り曲げられることにより、
図3(d)に示すようなコンパクトな形態に折り畳むことができる。
【0032】
また、尿取りパッド1は、幅方向Wに延びる少なくとも2本の折り線を有していることによって、
図4(a)に示すように、使い捨ておむつ等の外装体10の内面に装着する際に長手方向Lに湾曲したような形状(すなわち、略U字状)に変形しやすく、外装体10の内面形状に適合しやすくなっている。
特に、上述の尿取りパッド1においては、第1折り線L
1と第2折り線L
2との間に第3折り線L
3を更に有していることによって、尿取りパッド1が長手方向Lに湾曲したような形状に更に変形しやすくなっているため、より精度よく外装体10の内面形状に適合することができる。
【0033】
なお、上述の尿取りパッド1においては、第3折り線L
3は、
図1に示すように尿取りパッド1の長手方向中央部に位置している。これにより、尿取りパッド1は、
図4(a)及び(b)に示すように、外装体10の内面に装着する際に、長手方向中央部に位置する第3折り線L
3によって表面シート2が内側となるように尿取りパッド1を長手方向Lに折り曲げつつ(
図4(a)を参照)、当該第3折り線L
3を位置決めの目印にして(
図4(b)を参照)、外装体10の内面に粘着固定することができるので、尿取りパッド1を外装体10の内面の適切な位置に装着しやすくなっている。
【0034】
ここで、本明細書において「長手方向中央部」とは、幅方向Wに延びる長手方向中心軸線CWを中心として、その長手方向中心軸線CWからの長手方向Lの距離が尿取りパッド1の全長に対して15%以内となる部分を意味する。なお、幅方向中央部についても同様である。
【0035】
そして、上述の尿取りパッド1においては、粘着部7は、
図2に示すように、第1折り線L
1、第2折り線L
2及び第3折り線L
3の各々を長手方向Lに跨ぐように配置されている。
尿取りパッド1は、長手方向端部に近い2本の折り線、すなわち長手方向Lの一方側端縁E
1に最も近い位置にある第1折り線L
1と、長手方向Lの他方側端縁E
2に最も近い位置にある第2折り線L
2の、2本の折り線の各々を長手方向Lに跨ぐように粘着部7が配置されていることで、これらの折り線を有する部分を外装体10の内面に着実に粘着固定することができるため、装着時の引き上げの際に、これらの折り線を基点として尿取りパッド1が折れ曲がって長手方向Lの端部がめくれるようなことを生じにくくすることができる。
したがって、尿取りパッド1は、外装体10の内面形状に適合しやすい上、装着時の引き上げの際にめくれにくいものとなっている。
【0036】
さらに、上述の尿取りパッド1においては、粘着部7が、第1折り線L1と第2折り線L2との間に位置する第3折り線L3についても、それを長手方向Lに跨ぐように延在しており、当該第3折り線L3を有する部分を外装体10の内面に着実に粘着固定することができるため、第3折り線L3の折り癖などによって当該第3折り線L3を有する部分が外装体10の内面から剥がれたり、不用意な折れ曲がりが生じたりしにくくなっている。これにより、上述の尿取りパッド1は、着用者の股間部に対してより的確に密着することができ、着用中の快適性及び防漏性に優れたものとなっている。
【0037】
また、上述の尿取りパッド1は、
図1及び
図2に示すように、展開した状態の平面視にて、第1折り線L
1から吸収体4の長手方向Lの一方側端縁41までの長手方向長さ、すなわち第1折り線L
1と、吸収体4の長手方向Lの一方側端縁41を通る仮想線EA
1との間の距離d
11が、第1折り線L
1から尿取りパッド1の長手方向Lの一方側端縁E
1までの長手方向長さd
12の半分の長さよりも長く、さらに、第2折り線L
2から吸収体4の長手方向Lの他方側端縁42までの長手方向長さ、すなわち第2折り線L
2と、吸収体4の長手方向Lの他方側端縁42を通る仮想線EA
2との間の距離d
21が、第2折り線L
2から尿取りパッド1の長手方向Lの他方側端縁E
2までの長手方向長さd
22の半分の長さよりも長くなっている。
このように、尿取りパッド1は、第1折り線L
1及び第2折り線L
2の各々から吸収体4の長手方向Lの各端縁までの長手方向長さが、第1折り線L
1及び第2折り線L
2の各々から尿取りパッド1の長手方向Lの各端縁までの長手方向長さの半分の長さよりも長いことにより、第1折り線L
1及び第2折り線L
2の各々から尿取りパッド1の長手方向Lの各端縁までの間の領域において、吸収体4が配置された領域(すなわち、相対的に剛性の高い領域)を長手方向Lに広く確保することができるため、尿取りパッド1の長手方向Lの端部を更にめくれにくくすることができ、仮に一時的にめくれたとしても戻りやすくなっている。
【0038】
なお、本発明において、尿取りパッドの折り畳み形態や各折り線の位置、折り線の本数等は、本発明の効果を阻害しない限り上述の実施形態のものに限定されない。
例えば、本発明の尿取りパッドは、展開した状態から第2折り線を境にして第3領域及び第4領域の肌対向面が互いに対向するように長手方向Lに折り曲げられるとともに、第1折り線を境にして第1領域の肌対向面と第2領域の肌対向面が互いに対向するように長手方向Lに折り曲げられた後、第3折り線を境にして第1領域及び第4領域の非肌対向面が互いに対向するように(換言すれば、第2領域及び第3領域の肌対向面が互いに対向するように)長手方向Lに折り曲げられることにより、コンパクトに折り畳まれるようにしてもよい。
また、折り線についても、幅方向に延びる少なくとも2本の折り線(すなわち、第1折り線及び第2折り線)を有していれば、本発明の効果を阻害しない範囲内において、上述の第3折り線やそれ以外の折り線(すなわち、合計4本以上の折り線)を有していてもよい。
【0039】
以下、本発明の尿取りパッドの各種構成部材について、上述の実施形態の尿取りパッド1を用いて更に詳細に説明する。
【0040】
[粘着部]
尿取りパッド1において、当該尿取りパッド1を使い捨ておむつ等の外装体10の内面に粘着固定するための粘着部7は、
図2に示すように、裏面シート3の非肌対向面側の表面において長手方向Lに連続的に延在し且つ幅方向Wに所定の間隔をあけて並ぶ、6本のストライプ状の形態で配置されている。
【0041】
なお、このような粘着部7の表面には、通常、粘着部7を保護するための剥離シート(不図示)が貼付されているため、尿取りパッド1を外装体10の内面に装着する際には、その剥離シートを剥がしてから、粘着部7を外装体10の内面に押し当てることにより、尿取りパッド1を外装体10の内面に粘着固定することができる。
【0042】
また、粘着部7は、上述のとおり長手方向Lに連続的に延在し、且つ第1折り線、第2折り線及び第3折り線の各々を長手方向Lに跨ぐように延在している。
本発明の尿取りパッドにおいて、粘着部は、少なくとも第1折り線及び第2折り線の各々を長手方向Lに跨ぐように配置されていれば、それ以外の配置形態は特に制限されず、例えば、粘着部は、第1折り線及び第2折り線以外の折り線(例えば、第3折り線等)を、長手方向Lに跨いでいなくてもよい。
【0043】
また、上述の尿取りパッド1は、
図1に示すように、幅方向Wの両端部に位置し且つ長手方向Lに延在するように表面シート2の肌対向面側の表面に配置された一対のサイドシート5、5と、当該一対のサイドシート5、5の各々に固定され且つ長手方向Lに延びる弾性部材6と、を含む、一対の防漏壁部を更に有しており、上述の粘着部7は、
図5に示すように、弾性部材6の長手方向固定端よりも長手方向外方側の位置まで、長手方向に延在している。
なお、
図5において粘着部7は、当該粘着部7の長手方向Lにおける一方側端部が、弾性部材6の一方側固定端を含み且つ幅方向Wに延びる仮想線61よりも長手方向外方側に位置しており、さらに、粘着部7の長手方向Lにおける他方側端部もまた、弾性部材6の他方側固定端を含み且つ幅方向Wに延びる仮想線62よりも長手方向外方側に位置している。
【0044】
通常、尿取りパッドがこのような弾性部材の収縮力によって起立する一対の防漏壁部を有していると、良好な防漏性を発揮することができるものの、外装体内面に装着した後に弾性部材の収縮力によって尿取りパッドが長手方向内方側に収縮して、長手方向の端部がめくれやすくなる恐れがあるが、上述の尿取りパッド1は、弾性部材6の長手方向固定端よりも長手方向外方側の位置まで粘着部7が延在しているので、当該弾性部材6の収縮力が作用する部分を外装体内面に着実に粘着固定することができ、尿取りパッド1の長手方向Lの端部をめくれにくくすることができる。
【0045】
また、上述の尿取りパッド1においては、粘着部7は、
図2に示すように、展開した状態の平面視にて、吸収体4と厚さ方向に重複する領域内に配置され、且つ、長手方向Lに延びる幅方向中心軸線C
Lを挟んでその両側に配置されている。
粘着部7がこのように吸収体4と厚さ方向に重複する領域内に配置され且つ長手方向Lに延びる幅方向中心軸線C
Lを挟んでその両側に配置されていると、吸収体4と厚さ方向に重複する部分を外装体10の内面の形状に沿わせて着実に粘着固定することができ、さらに、外装体10の着用中に着用者の両脚や臀部が左右交互に動いたりしても、外装体10と共にその動きに追従して変形しやすいため、着用中に尿取りパッド1がめくれたり、剥がれたりするようなことが生じにくくなる。
【0046】
このような粘着部7に用い得る粘着剤としては、当分野において公知の任意の粘着剤を採用することができ、例えば、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)等のスチレン系コポリマーを主体とした感圧型粘着剤などを用いることができる。
【0047】
なお、本発明の尿取りパッドにおいて、粘着部の配置量や配置形状等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、粘着部は、裏面シートの非肌対向面側の表面において、例えば、長手方向Lに1本又は2本以上の複数本の直線状(ストライプ状)、点線状、曲線状、ジグザグ状等の任意の線状の形態で配置することができる。また、粘着部は、上述のように長手方向Lに連続的に延在していても、間欠的に延在していてもよい。
【0048】
本発明において、粘着部の各種寸法(例えば、長手方向長さ、幅方向長さ等)や坪量等も、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、尿取りパッドの外装体への固定のしやすさやフィット性などを考慮した任意の寸法や坪量等を採用することができる。
【0049】
[表面シート]
上述の尿取りパッド1において表面シート2は、
図1及び
図2に示すように、展開した状態の平面視にて、尿取りパッド1の長手方向Lの一方側端縁E
1から他方側端縁E
2にわたって延在し、且つ、尿取りパッド1の幅方向Wの一方側端縁近傍から他方側端縁近傍にわたって延在する、縦長の外形形状を有している。かかる表面シート2は、尿取りパッド1の厚さ方向において肌対向面側の位置に配置され、着用者の肌に当接し得る接触面、すなわち尿取りパッド1の肌対向面を形成する、液透過性のシート状部材によって構成されている。
【0050】
表面シート2は、
図1及び
図2に示すように、当該表面シート2の非肌対向面側に配置される吸収体4に比べて、長手方向L及び幅方向Wにやや大きいサイズを有しており、幅方向Wの両端部の肌対向面側の表面に一対のサイドシート5、5が接合されている。
【0051】
表面シート2として用い得る液透過性のシート状部材は、尿取りパッドの表面シートとして用い得る諸特性(例えば、液透過性や肌触り、柔軟性、強度等)を有するものであれば特に制限されず、例えば、エアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布等の不織布や、多孔性樹脂フィルムなどの任意の液透過性のシート状部材を用いることができる。
【0052】
なお、表面シートとして不織布を用いる場合、不織布は、単層構造を有していても、2層以上の多層構造を有していてもよい。かかる不織布の構成繊維の種類は特に制限されず、例えば、セルロース系繊維や親水化処理を施した熱可塑性樹脂繊維などの親水性繊維が挙げられる。これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
【0053】
さらに、不織布の構成繊維に用い得るセルロース系繊維としては、例えば、天然セルロース繊維(例えば、コットン等の植物繊維など)や再生セルロース繊維、精製セルロース繊維、半合成セルロース繊維などが挙げられる。
また、不織布の構成繊維に用い得る熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、6-ナイロン等のポリアミド系樹脂などの公知の熱可塑性樹脂からなる繊維が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。
【0054】
表面シート2として用いられる液透過性のシート状部材の構造は、本発明の効果を阻害しないものであれば特に制限されず、全体的に平坦なシート状構造を有していても、複数の凸部及び凹部を備えた凹凸構造(例えば、断面形状が波形となる凹凸構造や畝溝構造等)を有していてもよい。なお、液透過性のシート状部材がこのような凹凸構造を有する場合、当該凹凸構造における複数の凸部の各々は、中実の内部構造を有していても、中空の内部構造を有していてもよい。
【0055】
表面シート2の肌対向面側の表面には、例えば植物由来エキスやスキンケア剤等の任意の薬剤が塗布されていてもよく、また、表面シート2の非肌対向面側には、所定の液拡散性及び液透過性を有する中間シートが配置されていてもよい。
【0056】
本発明において、表面シートの外形形状や各種寸法、坪量等は、尿取りパッドの表面シートとして用い得るものであれば特に制限されず、所望の液透過性や肌触り、柔軟性、強度等に応じた任意の形状や各種寸法、坪量等を採用することができる。
【0057】
[裏面シート]
上述の尿取りパッド1において裏面シート3は、
図2に示すように、展開した状態の平面視にて、尿取りパッド1の長手方向Lの一方側端縁E
1から他方側端縁E
2にわたって延在し、且つ、尿取りパッド1の幅方向Wの一方側端縁から他方側端縁にわたって延在する、縦長の外形形状を有している。かかる裏面シート3は、
図2に示すように、尿取りパッド1の厚さ方向において非肌対向面側の位置に配置されて、尿取りパッド1の非肌対向面を形成するとともに、吸収体4を透過してきた尿が尿取りパッド1の外部へ漏出するのを防ぐ、液不透過性のシート状部材によって構成されている。
【0058】
なお、裏面シート3の非肌対向面側の表面には、尿取りパッド1を外装体10の内面に粘着固定するための粘着部7が配置されている。
【0059】
裏面シート3として用い得る液不透過性のシート状部材は、着用者から排出される尿の透過を防止し得るものであれば特に制限されず、例えば、疎水性の熱可塑性樹脂繊維(例えば、ポリオレフィン系樹脂繊維、ポリエステル系樹脂繊維、芯鞘型複合繊維等の各種複合繊維など)によって形成された疎水性不織布;PEやPP等の疎水性の熱可塑性樹脂によって形成された有孔又は無孔の樹脂フィルム;該樹脂フィルムに不織布を貼り合わせた積層体;SMS不織布等の積層不織布などの公知の液不透過性のシート状部材を採用することができる。
なお、裏面シート3の肌対向面側には、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂フィルムによって形成された防漏シートが配置されていてもよい。
【0060】
本発明において、裏面シートの外形形状や各種寸法、坪量等は、尿取りパッドの裏面シートとして用い得るものであれば特に制限されず、所望の防漏性能や通気性、強度等に応じた任意の形状や各種寸法、坪量等を採用することができる。
【0061】
[吸収体]
上述の尿取りパッド1において吸収体4は、
図1及び
図2に示すように、展開した状態の平面視にて、尿取りパッド1の長手方向中央部を中心にして、長手方向Lの一方側端縁E
1近傍の第1領域A
1から他方側端縁E
2近傍の第4領域A
4にわたる長手方向Lの広範囲の領域に延在するとともに、幅方向Wにおいても、当該幅方向Wの一方側端縁近傍から他方側端縁近傍にわたる広範囲の領域に延在する、縦長の外形形状を有している。
【0062】
吸収体4は、尿取りパッド1の厚さ方向において表面シート2と裏面シート3との間に配置されて、表面シート2を透過してきた着用者の尿を吸収して保持し得る、所定の吸水性部材によって形成されている。
なお、吸収体4は、肌対向面側の表面シート2及び非肌対向面側の裏面シート3と、それぞれホットメルト型接着剤等の任意の接着剤により接合されている。
【0063】
吸収体4として用い得る吸水性部材は、着用者から排出される尿を吸収して保持し得るものであれば特に制限されず、当分野において公知の吸水性部材を採用することができる。そのような吸水性部材の例としては、所定の吸水性材料によって構成される少なくとも一つの吸収コアを、親水性を有するティッシュ等のコアラップシートで覆ったものなどが挙げられる。
ここで、吸収コアを構成する吸水性材料としては、例えば、親水性繊維や高吸収性ポリマーなどが挙げられ、更に具体的には、粉砕パルプ、コットン、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維;アクリル酸ナトリウムコポリマー等の高吸収性ポリマーからなる粒状物;これらを任意に組み合わせた混合物などが挙げられる。
なお、上述の尿取りパッド1においては、吸収体4は、吸水性材料からなる吸収性コアと、それを被覆するコアラップシートによって構成されている。
【0064】
そして、上述の尿取りパッド1においては、吸収体4は、
図1及び
図2に示すように、展開した状態の平面視にて幅方向中央部に位置し且つ長手方向Lに延在する貫通又は非貫通のスリット部からなる変形誘導部43と、尿取りパッド1の長手方向中央部における幅方向長さが相対的に短い幅狭部44とを有する、特有の構造を備えている。
尿取りパッド1は、このような変形誘導部43を有する吸収体4を備えていることによって、装着時の引き上げの際に、
図6に示すように、長手方向Lに延在する変形誘導部43を基点として、当該変形誘導部43の形成された部分(すなわち、幅方向中央部)が肌対向面側に向かって突出するように尿取りパッド1が幅方向Wに折れ曲がり、幅方向Wの断面形状が略W字状となるように変形しやすくなるため、尿取りパッド1の幅方向中央部が着用者の股間部に密着しやすくなり、より優れたフィット性を発揮することができる。
さらに、上述の変形誘導部43が長手方向Lに延在していることで、着用者から排出された尿を当該変形誘導部43に沿って長手方向Lに拡散させることができ、より優れた吸収性能を発揮することができるという利点もある。
【0065】
また、上述の尿取りパッド1においては、
図2に示すように、変形誘導部43と粘着部7とが、厚さ方向において重複していない。
このように変形誘導部43と粘着部7とが厚さ方向に重複していないと、装着時の引き上げの際に、上述の変形誘導部43による変形がより得られやすくなるため、上記の作用効果、すなわち尿取りパッド1の幅方向中央部が着用者の股間部に密着しやすくなり、より優れたフィット性を発揮することができるという作用効果を、より確実に発揮することができる。
【0066】
さらに、尿取りパッド1においては、変形誘導部43が、
図1に示すように第1折り線L
1と第2折り線L
2との間に位置し、且つ、第3折り線L
3を跨ぐように長手方向Lに延在している。
変形誘導部43がこのように長手方向Lに延在していると、当該変形誘導部43の形成された部分、すなわち長手方向L及び幅方向Wの中央部をより的確に着用者の股間部に密着させることができるため、更に優れたフィット性を発揮することができる。また、変形誘導部43が第1折り線L
1及び第2折り線L
2の各折り線を跨ぐように長手方向Lに延在していないことで、着用者から排出された尿が変形誘導部43に沿って長手方向Lに拡散したとしても、尿が第1折り線L
1及び第2折り線L
2の各折り皺を伝って尿取りパッド1の幅方向外方側から漏出するようなことが生じにくいという利点もある。
【0067】
変形誘導部43の形態は、吸収体4、ひいては尿取りパッド1における上記のような変形を促し得るものであれば特に限定されず、上述の貫通又は非貫通のスリット部のほか、例えば、吸水性材料の低坪量化による低坪量部や、吸収体をエンボス等により厚さ方向に圧搾してなる圧搾部などを採用することができる。
【0068】
なお、本発明の尿取りパッドにおいて、吸収体が変形誘導部を有することは必須の構成要件でないため、吸収体は、例えば、全体的に略均等な坪量を有し、肌対向面側及び非肌対向面側の両方の表面が略平坦となる構造を有していてもよい。
【0069】
また、尿取りパッド1においては、上述のとおり、吸収体4は、尿取りパッド1の長手方向中央部における幅方向長さが相対的に短い幅狭部44を有している。
吸収体4がこのような幅狭部44を有していると、着用時に、尿取りパッド1の長手方向中央部をより的確に着用者の股間部に密着させることができるため、更に優れたフィット性を発揮することができる。さらに、尿取りパッド1において相対的に剛性の高い吸収体4が着用者の両脚の内側部分に接触しにくくなるため、着用者に異物感を生じさせにくくすることができるという利点もある。
【0070】
なお、本発明の尿取りパッドにおいて、吸収体が幅狭部を有することは必須の構成要件ではないため、吸収体は、例えば、幅方向長さが長手方向に一定となる構造を有していてもよい。
【0071】
本発明において、吸収体の平面視形状や各種寸法、坪量等は、尿取りパッドの吸収体として用い得るものであれば特に制限されず、所望の吸収性能や柔軟性、強度等に応じた任意の形状(例えば、長方形、楕円形、砂時計形等)や各種寸法、坪量等を採用することができる。
また、吸収体が配置される位置についても、尿取りパッドの長手方向中央部を含む位置であれば特に制限されず、吸収体は、例えば尿取りパッドにおける長手方向の一方寄りに偏って配置されていてもよい。
【0072】
[サイドシート]
上述の尿取りパッド1において、一対のサイドシート5、5は、
図1に示すように、表面シート2の肌対向面側の位置において、尿取りパッド1の幅方向Wの両端部に配置されており、尿取りパッド1を外装体10の内面へ装着する際に(すなわち、尿取りパッド1が長手方向Lに湾曲した時に)、当該一対のサイドシート5、5の各々に固定され且つ長手方向Lに延びる複数本の弾性部材6によって長手方向Lに収縮し、幅方向内方側の端縁部が起立して一対の防漏壁を形成し得る、長手方向Lに延在する一対の帯状の液不透過性シートによって構成されている。
なお、一対のサイドシート5、5の各々は、平面視にて、尿取りパッド1の長手方向Lの一方側端縁E
1から他方側端縁E
2にわたって延在している。
【0073】
一対のサイドシート5、5の各々は、幅方向Wの外方側端部がホットメルト型接着剤等の任意の接合手段(不図示)により、それぞれ裏面シート3における幅方向Wの外方側端部と接合されて固定端を形成している一方、幅方向Wの内方側端部は、いずれのシート状部材とも接合されておらず自由端を形成している。
なお、一対のサイドシート5、5の各々は、
図1に示すように、糸ゴム等の弾性部材6が長手方向Lに沿ってそれぞれ配置されている。
【0074】
サイドシート5として用い得る帯状の液不透過性シートは、尿取りパッドのサイドシートとして用い得る諸特性(例えば、液不透過性や肌触り、柔軟性、強度等)を有するものであれば特に制限されず、例えば、疎水性不織布(例えば、疎水性を有する又は疎水性が付与された、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、SMS不織布等)、液不透過性を有する合成樹脂製フィルム、及びこれらの積層体などを用いることができる。
【0075】
サイドシートとして用い得る帯状の液不透過性シートの外形形状や坪量、厚み等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の液不透過性や肌触り、柔軟性等に応じた任意の形状や坪量、厚み等を採用することができる。
【0076】
なお、本発明の尿取りパッドにおいて、このようなサイドシートを備えることは必須の構成要件ではないため、尿取りパッドはサイドシートを備えていなくてもよい。
【0077】
(弾性部材)
また、上述の尿取りパッド1においては、
図1に示すように、一対のサイドシート5、5の各々に、当該一対のサイドシート5、5を長手方向Lに収縮させて、幅方向Wの内方側端縁の起立を促すための、それぞれ3本(合計6本)の弾性部材6が長手方向Lに沿って配置されている。
【0078】
一対のサイドシート5、5の各々に配置される弾性部材6は、展開した状態の一対のサイドシート5、5、さらには当該一対のサイドシート5、5を介して尿取りパッド1に長手方向Lの収縮力を付与し得るものであれば特に制限されず、例えば、天然ゴムからなる糸ゴムや平ゴム;ウレタン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性エラストマーを糸状又は帯状に成形したものなどの任意の弾性部材を用いることができる。
【0079】
弾性部材6の寸法形状や本数は、展開した状態の一対のサイドシート5、5、さらには当該一対のサイドシート5、5を介して尿取りパッド1に長手方向Lの収縮力を付与し得るものであれば特に制限されず、例えば、弾性部材6の長手方向長さとして、尿取りパッド1全体の長手方向長さ(全長)の1/2以上の長手方向長さ、好ましくは2/3以上の長手方向長さを採用することができ、また、弾性部材6の繊度として、200dtex~800dtexの繊度、好ましくは300dtex~700dtexの繊度を採用することができ、さらに、弾性部材6の本数として、一対のサイドシート5、5の各々に1本ずつ配置されていても、2本ずつ或いは3本以上ずつ配置されていてもよい。
【0080】
[ラウンドシール部]
上述の尿取りパッド1は、
図1及び
図2に示すように、平面視にて尿取りパッド1の外周縁部に沿って間欠的に配置され、且つ、尿取りパッド1をエンボス加工等により厚さ方向に圧搾してなるラウンドシール部を有している。
かかるラウンドシール部は、
図1及び
図2に示すように、第1領域A
1の幅方向両端部において長手方向Lに延在するように形成された一対の第1シール部81、81と、第3領域A
3及び第4領域A
4の幅方向両端部において当該第3領域A
3から第4領域A
4にわたって長手方向Lに延在するように形成された一対の第2シール部82、82と、尿取りパッド1の長手方向Lの一方側端部に形成された第3シール部83と、長手方向Lの他方側端部に形成された第4シール部84と、によって構成されている。
【0081】
本発明の尿取りパッドにおいては、ラウンドシール部の構成、すなわち各シール部の配置形態は、このような態様に限定されないが、尿取りパッドは、少なくとも第1領域及び第4領域において、幅方向両端部にラウンドシール部を有していることが好ましい。
尿取りパッドがこのようなラウンドシール部を有していると、吸収体のない(すなわち、相対的に剛性の低い)幅方向両端部の剛性を向上させることができるので、装着時の引き上げの際に、尿取りパッドがめくれたり、剥がれたりするのを更に生じにくくすることができる。
さらに、尿取りパッドの少なくとも長手方向中央部の幅方向両端部にラウンドシール部が配置されていない場合は、剛性の高いシール部が着用者の両脚の内側部分に接触しにくくなるため、着用者に異物感を生じさせにくくすることができるという利点もある。
【0082】
ラウンドシール部を構成する個々のシール部の寸法形状や配置位置等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の剛性や柔軟性、フィット性等を考慮した任意の寸法形状や配置位置を採用することができる。
【0083】
なお、本発明の尿取りパッドにおいて、このようなラウンドシール部を有することは必須の構成要件ではないため、尿取りパッドはラウンドシール部を有していなくてもよい。
【0084】
本発明の尿取りパッドは、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。なお、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。
【符号の説明】
【0085】
1 尿取りパッド
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 サイドシート
6 弾性部材
7 粘着部
A1 第1領域
A2 第2領域
A3 第3領域
A4 第4領域
E1 長手方向の一方側端縁
E2 長手方向の他方側端縁
L1 第1折り線
L2 第2折り線
L3 第3折り線