(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】三次元メモリデバイスを形成するための方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20230210BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20230210BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230210BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20230210BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
(21)【出願番号】P 2021518938
(86)(22)【出願日】2018-10-08
(86)【国際出願番号】 CN2018109294
(87)【国際公開番号】W WO2020073158
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】519237948
【氏名又は名称】長江存儲科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Yangtze Memory Technologies Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Weilai 3rd Road,East Lake High-tech Development Zone,Wuhan,Hubei,China
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ワン・チーグアン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・レイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ・ホンタオ
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0284695(US,A1)
【文献】特開2006-128703(JP,A)
【文献】特開2014-135492(JP,A)
【文献】特開2008-270664(JP,A)
【文献】特開2008-258286(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0092705(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0198572(US,A1)
【文献】米国特許第10020314(US,B1)
【文献】特開2017-050526(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0263623(US,A1)
【文献】国際公開第2017/039784(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/11582
H01L 27/11556
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互配置されている第1の誘電体層及び第2の誘電体層を含む誘電体スタックを、基板上に形成することと、
前記誘電体スタックを貫通して垂直方向に延在する開口部を形成することと、
前記開口部の側壁に沿って自然酸化膜を形成することであって、前記自然酸化膜は、前記第1の誘電体層の少なくとも一部の自然酸化物を含む、自然酸化膜を形成することと、
蒸着酸化膜、蓄積層、トンネル層、及び半導体チャネルを、続けてこの順序で、前記自然酸化膜上に、かつ前記開口部の側壁に沿って形成することと、
前記誘電体スタック内の前記第1の誘電体層を導電体層に置き換えることにより、交互配置されている前記導電体層及び前記第2の誘電体層を含むメモリスタックを形成することと、を含み、
前記自然酸化膜は湿式化学酸化によって形成され
、
前記湿式化学酸化では、オゾンを含有する湿式化学物質を使用し、
前記湿式化学物質は、フッ化水素酸とオゾンとの混合物である、
三次元(3D)メモリデバイスを形成するための方法。
【請求項2】
前記自然酸化膜を形成することは、自然酸化物になる、前記第1の誘電体層において前記開口部の側壁に当接している部分を酸化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自然酸化膜は、前記第2の誘電体層において前記開口部の側壁に当接している部分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記自然酸化膜の厚さは約0.5 nm~約5 nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記自然酸化膜の厚さは約1 nmである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の誘電体層はそれぞれ窒化シリコンを含み、前記第2の誘電体層はそれぞれ酸化シリコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記蒸着酸化膜と前記自然酸化膜とは、ブロッキング層を形成している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記蒸着酸化膜は原子層蒸着(ALD)によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記メモリスタックを形成することは、前記自然酸化膜で停止するまで前記第1の誘電体層をエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
交互配置されている第1の誘電体層及び第2の誘電体層を含む誘電体スタックを、基板上に形成することと、
前記誘電体スタックを貫通して垂直方向に延在する開口部を形成することと、
前記開口部の側壁に沿って自然酸化膜を形成することであって、前記自然酸化膜は、前記第1の誘電体層の少なくとも一部である自然酸化物を含む、自然酸化膜を形成することと、
蓄積層、トンネル層、及び半導体チャネルを、続けてこの順序で、前記自然酸化膜上に、かつ前記開口部の側壁に沿って形成することと、
前記誘電体スタック内の前記第1の誘電体層を導電体層に置き換えることにより、交互配置されている前記導電体層及び前記第2の誘電体層を含むメモリスタックを形成することと、を含み、
前記自然酸化膜は湿式化学酸化によって形成され
、
前記湿式化学酸化では、オゾンを含有する湿式化学物質を使用し、
前記湿式化学物質は、フッ化水素酸とオゾンとの混合物である、
三次元(3D)メモリデバイスを形成するための方法。
【請求項11】
前記自然酸化膜を形成することは、自然酸化物になる、前記第1の誘電体層において前記開口部の側壁に当接している部分を酸化することを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記自然酸化膜は、前記第2の誘電体層において前記開口部の側壁に当接している部分を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記自然酸化膜の厚さは約4 nm~約8 nmである、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
前記蓄積層を形成することは、前記自然酸化膜上に窒化シリコン層又は酸窒化シリコン層を蒸着することを含む、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、三次元(3D)メモリデバイス及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平面メモリセルは、プロセス技術、回路設計、プログラミングアルゴリズム、及び形成プロセスを改良することにより、より小さいサイズに縮小されている。しかしながら、メモリセルのフィーチャサイズが下限に近づくにつれ、平面処理及び形成技術の難易度が高くなり、またコストがかかるようになる。結果として、平面メモリセルのメモリ密度は上限に近づくことになる。
【0003】
3Dメモリ構造により、平面メモリセルの密度制限に対処することができる。この3Dメモリ構造は、メモリアレイと、メモリアレイとの間で信号を制御する周辺デバイスと、を含む。
【発明の概要】
【0004】
自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた3Dメモリデバイス、及びそれを形成するための方法の実施形態を、本明細書に開示している。
【0005】
一例では、3Dメモリデバイスを形成するための方法が開示されている。誘電体スタックが基板上に形成される。この誘電体スタックは、基板上で交互配置されている第1の誘電体層及び第2の誘電体層を含む。この誘電体スタックを貫通して垂直方向に延在する開口部が形成される。この開口部の側壁に沿って、自然酸化膜が形成される。本自然酸化膜は、第1の誘電体層の少なくとも一部の自然酸化物を含む。蒸着酸化膜、蓄積層、トンネル層、及び半導体チャネルが、続けてこの順序で、本自然酸化膜上に、かつ当該開口部の側壁に沿って形成される。メモリスタックは、交互配置されている導電体層及び第2の誘電体層を含み、本誘電体スタック内の第1の誘電体層を導電体層に置き換えることによって形成される。
【0006】
別の例では、3Dメモリデバイスを形成するための方法が開示されている。交互配置されている第1の誘電体層及び第2の誘電体層を含む誘電体スタックが、基板上に形成される。この誘電体スタックを貫通して垂直方向に延在する開口部が形成される。この開口部の側壁に沿って、自然酸化膜が形成される。本自然酸化膜は、第1の誘電体層の少なくとも一部の自然酸化物を含む。蓄積層、トンネル層、及び半導体チャネルが、続けてこの順序で、本自然酸化膜上に、かつ当該開口部の側壁に沿って形成される。本誘電体スタック内の第1の誘電体層を導電体層に置き換えることにより、交互配置されている導電体層及び第2の誘電体層を含むメモリスタックが形成される。
【0007】
さらに別の例では、3Dメモリデバイスは、基板と、この基板上に配置され、かつ交互配置されている導電体層及び誘電体層を含むメモリスタックと、このメモリスタックを貫通して垂直方向に延在するチャネル構造と、を備える。このチャネル構造は、交互配置されている導電体層及び酸化物誘電体層に当接している自然酸化膜を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に取り入れられて本明細書の一部を形成している添付の図面は本開示の実施形態を例示しており、本明細書と共に本開示の原理を説明し、当業者による本開示の製造及び使用を有効にする役割をさらに果たしている。
【
図1A】本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた、典型的な3Dメモリデバイスの断面を示す。
【
図1B】本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた、別の典型的な3Dメモリデバイスの断面を示す。
【
図2A】本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた、典型的な3Dメモリデバイスの断面を示す。
【
図2B】本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた、典型的な3Dメモリデバイスの断面を示す。
【
図2C】本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた、典型的な3Dメモリデバイスの断面を示す。
【
図2D】本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた、典型的な3Dメモリデバイスの断面を示す。
【
図2E】本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた、典型的な3Dメモリデバイスの断面を示す。
【
図2F】本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた、典型的な3Dメモリデバイスの断面を示す。
【
図2G】本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた、典型的な3Dメモリデバイスの断面を示す。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた3Dメモリデバイスを形成するための、典型的な方法のフローチャートを示す。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた3Dメモリデバイスを形成するための、別の典型的な方法のフローチャートを示す。
【0009】
本開示の実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特定の構成及び配置について述べているが、例示のみを目的としてこれを行っていることを理解すべきである。当業者であれば、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の構成及び配置が使用できることを認識するであろう。本開示を他の種々の用途にも使用できることは、当業者には明らかであろう。
【0011】
なお、本明細書において「一(one)実施形態」、「一(an)実施形態」、「典型的な一実施形態」、「いくつかの実施形態」などへ言及する場合、記載している実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示しているが、全ての実施形態がその特定の特徴、構造、又は特性を必ずしも含み得るとは限らない。また、そのような語句は必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性を一実施形態に関連して記載している場合、これらを明示的に記載しているかどうかにかかわらず、そのような特徴、構造、又は特性が他の実施形態との関連においても有効であることは、当業者に知られていると考えられる。
【0012】
通常、用語法はその文脈での使用状況から少なくとも部分的に理解され得る。たとえば、本明細書で「1つ又は複数の(one or more)」という用語を使用する場合、文脈に少なくとも部分的に依存して、これを使用して任意の特徴、構造、若しくは特性を単数の意味で表してもよいし、これを使用してこうした特徴、構造又は特性の組み合わせを複数の意味で表してもよい。同様に「1つの(a)」、「1つの(an)」、又は「その(the)」などの用語を、ここでも文脈に少なくとも部分的に依存して、単数形の用法を表していると理解してもよいし、複数形の用法を表していると理解してもよい。また、「based on(に基づいて/を基に)」という用語は、排他的な一連の要因を表すことを必ずしも意図していないと理解され、その代わりに、ここでも文脈に少なくとも部分的に依存して、必ずしも明示的に記載されていない別の要因が存在できるようにしている可能性がある。
【0013】
本開示における「上(on)」、「上側(above)」、及び「上方(over)」の意味について、「上(on)」が何かの「上に直接ある」ことを意味するだけでなく、それらの間に中間の特徴部又は層を伴って何かの「上にある」という意味を含み、また「上側(above)」又は「上方(over)」が何かの「上側にある」若しくは「上方にある」ことを意味するだけでなく、それらの間に中間の特徴部又は層を何ら伴わずに何かの「上側にある」又は「上方にある」(すなわち、何かの上に直接ある)という意味をも含み得るように、最も広義の意味で解釈すべきであることは容易に理解されるべきである。
【0014】
さらに、「下(beneath)」、「下側(below)」、「下部(lower)」、「上側(above)」、及び「上部(upper)」などの空間的な相対語を、図面に示しているある要素又は特徴と他の要素(複数可)又は特徴(複数可)との関係を表す際、説明を簡単にするために本明細書で用いてもよい。これらの空間的な相対語は、図面に示している向きに加えて、使用中又は動作中のデバイスの種々の向きをも包含することが意図されている。本装置を他の方向に向けてもよく(90度又は他の方位に回転させて)、また本明細書で使用している空間的な相対記述子を、それに応じて同様に解釈してもよい。
【0015】
本明細書で使用する場合、「基板」という用語は、後続の材料層がその上に付加される材料を指す。この基板自体をパターン化することができる。基板の上部に付加される材料をパターン化することも、パターン化しないままにすることもできる。また基板は、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウムなどの多様な半導体材料を含み得る。あるいは、この基板をガラス、プラスチック、又はサファイアウェハなどの非導電性材料から作製することもできる。
【0016】
本明細書で使用する場合、「層」という用語はある厚さを有する領域を含む材料部分を指す。層は、下にあるか若しくは上にある構造の全体にわたって延在し得、又はその範囲が、下にあるか若しくは上にある構造の範囲よりも狭くなる可能性がある。また層を、その厚さが連続構造の厚さよりも薄い、均一又は不均一な連続構造の領域とすることができる。たとえば、この連続構造の上面と底面との間、又は上面及び底面にある任意の一対の水平面間に層を配置することができる。層は水平方向に、垂直方向に、かつ/又はテーパ面に沿って延在し得る。基板は層であり得、その中に1つ又は複数の層を含み得、かつ/又はその上、その上側、及び/若しくはその下側に1つ又は複数の層を有し得る。1つの層は複数の層を含み得る。たとえば、相互接続層は1つ又は複数の導電体層及びコンタクト層(その中に互接続線、及び/又はヴィアコンタクトが形成される)と、1つ又は複数の誘電体層と、を含み得る。
【0017】
本明細書で使用する場合、「名目の/名目上」という用語は、製品又はプロセス設計段階で設定される構成要素若しくはプロセス工程の特性又はパラメータにおいて、希望値を上回り、かつ/又は下回る範囲の値も含めて希望値又は目標値を指すものである。値に幅があるのは、製造プロセス又は製造公差にわずかな変動が生じることに起因している可能性がある。本明細書で使用する場合、「約」という用語は、当該半導体デバイスと関連している特定のテクノロジーノードに基づいて変動する可能性のある、所与の量の値を示す。特定のテクノロジーノードに基づいて、「約」という用語は、たとえば値の10~30%以内で変動する所与の量の値を示し得る(たとえば、その値の±10%、±20%、又は±30%)。
【0018】
本明細書で使用する場合、「3Dメモリデバイス」という用語は、メモリストリングが基板に対して垂直方向に延在するように、メモリセルトランジスタのストリング(NANDメモリストリングなど、本明細書では「メモリストリング」と呼んでいる)が横向きの基板に対して垂直に配置されている半導体デバイスを指す。本明細書で使用する場合、「垂直方向の/垂直方向に」という用語は、基板の側面に対して名目上垂直であることを意味する。
【0019】
3D NANDメモリデバイスなどの一部の3Dメモリデバイスでは、メモリ膜は通常、酸化シリコンのトンネル層、窒化シリコンの電荷トラップ層、及び酸化シリコンのブロッキング層を含む複合誘電体層である。ブロッキング層は、ゲートからの電子注入を防止し、チャネル電界を調整し、かつ電荷損失を抑制することにより、プログラム速度、軽減深度、及びデバイス信頼性を向上させることができる。ブロッキング層は通常、酸化シリコン又は酸化アルミニウム(Al2O3)などの高誘電率(high‐k)誘電体から作製されている。
【0020】
既存の3D NANDメモリデバイスでは、誘電体スタック(たとえば、交互配置されている酸化シリコン層及び窒化シリコン層を含む)を貫通エッチングしてチャネルホールを形成した後、化学蒸着(chemical vapor deposition:CVD)又は原子層蒸着(atomic layer deposition:ALD)などのコンフォーマルな薄膜蒸着プロセスを用いて、各チャネルホールの側壁に沿ってブロッキング層が蒸着されている。しかしながら、その後のゲート置換プロセス中、とりわけ湿式エッチングを用いて誘電体スタック内の窒化シリコン層を除去する際に、エッチャントによってブロッキング層の一部がエッチングされることが避けられず、これによってブロッキング層に損傷が発生して、3D NANDメモリデバイスの動作性が損なわれることになる。
【0021】
本開示による様々な実施形態は、自然酸化膜を使用して、3Dメモリデバイスのメモリ膜内のブロッキング層を、その後のゲート置換プロセス中の損傷から保護するための、効果的な構造及び方法を提供するものである。いくつかの実施形態では、窒化シリコン層においてチャネルホールの側壁に当接している部分を、メモリ膜を蒸着する前に酸化させて、自然酸化物を形成している。本自然酸化膜を保護層として機能させることにより、その後のゲート置換プロセス中に、本自然酸化膜がエッチャントによって完全にエッチングされていない限り、ブロッキング層が損なわれないままとなり得るようにすることができる。本開示の様々な実施形態によれば、本自然酸化膜がブロッキング層の一部となり得るか、又はそれ自体がブロッキング層として機能できるように、本自然酸化膜の厚さを種々の範囲に制御することができる。
【0022】
図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜128を有するチャネル構造112Aを備えた、典型的な3Dメモリデバイス100の断面を示す。3Dメモリデバイス100は、シリコン(たとえば、単結晶シリコン)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウムヒ素(GaAs)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、ゲルマニウム・オン・インシュレータ(GOI)、又はその他の適切な材料を含み得る基板102を備え得る。いくつかの実施形態では、基板102は、研削、エッチング、化学機械研磨(chemical mechanical polishing:CMP)、又はそれらの任意の組み合わせによって薄肉化されている薄肉基板(たとえば、半導体層)である。なお、3Dメモリデバイス100内の構成要素の空間的相関関係をさらに示すために、
図1Aにはx軸及びy軸が含まれている。3Dメモリデバイス100の基板102は、x方向(すなわち、横方向)に横方向に延在する2つの側面(たとえば、上面及び底面)を含む。本明細書で使用する場合、1つの構成要素(たとえば、層又はデバイス)が、3Dメモリデバイス(たとえば、3Dメモリデバイス100)の別の構成要素(たとえば、層又はデバイス)の「上」、「上側」、又は「下側」にあるかどうかは、基板がy方向に3Dメモリデバイスの最下平面内に位置決めされたときに、3Dメモリデバイスの基板(たとえば、基板102)に対してy方向(すなわち、垂直方向)において判定される。空間的相関関係を説明するための同一の概念が、本開示全体にわたって適用されている。
【0023】
3Dメモリデバイス100を、モノリシック3Dメモリデバイスの一部とすることができる。「モノリシック」という用語は、3Dメモリデバイスの構成要素(たとえば、周辺デバイスやメモリアレイデバイス)が単一の基板上に形成されていることを意味する。モノリシック3Dメモリデバイスの場合、周辺デバイス処理及びメモリアレイデバイス処理の畳み込みにより、その形成には別途制限が生じることになる。たとえば、メモリアレイデバイス(たとえば、NANDメモリストリング)の形成は、同じ基板上に形成されているか、又は形成される予定の周辺デバイスと関連する熱履歴によって制約を受けるものである。
【0024】
あるいは、3Dメモリデバイス100を、非モノリシック3Dメモリデバイスの一部とすることができ、この場合、構成要素(たとえば、周辺デバイスやメモリアレイデバイス)は異なる基板上に別々に形成され、次いで、たとえば対向して接合され得る。いくつかの実施形態では、メモリアレイデバイス基板(たとえば、基板102)は、接合済みの非モノリシック3Dメモリデバイスの基板として残存し、また、周辺デバイス(たとえば、ページバッファ、デコーダ、及びラッチなど、3Dメモリデバイス100の動作を容易にするために使用される任意の適切なデジタル回路、アナログ回路、及び/又は混合信号周辺回路を含むが、図示せず)は、ハイブリッド接合を行うために、メモリアレイデバイス(たとえば、NANDメモリストリング)に向かって反転して下向きになる。いくつかの実施形態では、メモリアレイデバイス基板(たとえば、基板102)が、ハイブリッド接合を行うために、周辺デバイス(図示せず)に向かって反転して下向きになり、その結果、接合済みの非モノリシック3Dメモリデバイスにおいて、メモリアレイデバイスが周辺デバイスよりも上側になるようにしていることが理解される。
【0025】
いくつかの実施形態では、3Dメモリデバイス100は、基板102の上側でそれぞれが垂直方向に延在するNANDメモリストリング110のアレイの形態でメモリセルが設けられる、NANDフラッシュ・メモリ・デバイスである。このメモリアレイデバイスは、それぞれが誘電体層106及び導電体層を含む複数の対(本明細書では「導電体層/誘電体層対」と呼んでいる)を貫通して延在しているNANDメモリストリング110を含み得る。積層されている導電体層/誘電体層対を、本明細書では「メモリスタック」104とも呼んでいる。メモリスタック104内の導電体層/誘電体層対の数(たとえば、32、64、96、又は128)により、3Dメモリデバイス100内のメモリセルの数が決まる。メモリスタック104内の導電体層108と誘電体層106とは、垂直方向に交互に並び得る。すなわち、メモリスタック104の上部及び下部にあるものを除いて、導電体層108にはそれぞれ、両側で2つの誘電体層106が隣接し得、また誘電体層106にはそれぞれ、両側で2つの導電体層108が隣接し得る。導電体層108はそれぞれ、同じ厚さを有し得るか、又は異なる厚さを有し得る。同様に、誘電体層106はそれぞれ、同じ厚さを有し得るか、又は異なる厚さを有し得る。導電体層108は、タングステン(W)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ポリシリコン、ドープシリコン、シリサイド、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない導電性材料を含み得る。誘電体層106は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない誘電体材料を含み得る。いくつかの実施形態では、基板102とメモリスタック104との間に絶縁層118が形成され、この絶縁層118は、酸化シリコンなどの誘電体材料を含む。
【0026】
図1Aに示すように、NANDメモリストリング110は、メモリスタック104を貫通して垂直方向に延在するチャネル構造112Aを含み得る。チャネル構造112Aは、半導体材料(複数可)(たとえば、右側の拡大図で図示する半導体チャネル132として)及び誘電体材料(複数可)(たとえば、右側の拡大図で図示するメモリ膜120として)で充填されているチャネルホールを含み得る。いくつかの実施形態では、半導体チャネル132は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、又は単結晶シリコンなどのシリコンを含む。いくつかの実施形態では、メモリ膜120は、トンネル層126、蓄積層124(「電荷トラップ層」としても知られる)、及びブロッキング層130を含む複合層である。チャネル構造112Aの残りの空間は、酸化シリコンなどの誘電体材料を含むキャッピング層134で部分的に、又は完全に充填され得る。チャネル構造112Aは、円筒形状(たとえば、柱形状)を有し得る。いくつかの実施形態によれば、キャッピング層134、半導体チャネル132、トンネル層126、蓄積層124、及びブロッキング層130は、柱の中心から外面に向かって半径方向に、この順序で配置されている。トンネル層126は、酸化シリコン、酸窒化シリコン、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。蓄積層124は、窒化シリコン、酸窒化シリコン、シリコン、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0027】
図1Aに示すように、チャネル構造112Aのブロッキング層130を、(i)メモリスタック104において交互配置されている導電体層108及び誘電体層106に当接している自然酸化膜128と、(ii)(自然酸化膜128と蓄積層124との間で)自然酸化膜128と接触している蒸着酸化膜122と、を含む複合層とすることができる。いくつかの実施形態では、自然酸化膜128は、導電体層108に置き換えられている誘電体層(たとえば、窒化シリコン層)において、チャネル構造112Aの側壁に当接している部分の自然酸化物と、誘電体層106(たとえば、酸化シリコン層)において、チャネル構造112Aの側壁に当接している部分と、を含む。すなわち、チャネル構造112A内の自然酸化膜128は、蒸着酸化膜122と共にブロッキング層130を形成するため、蓄積層124と接触してはいない。
【0028】
以下に詳述しているように、この自然酸化膜128は、熱酸化又は湿式化学酸化(たとえば、オゾンを含有する化学物質を使用する)などの任意の適切な方法で形成され得る。薄膜蒸着プロセスを用いて、構造の表面に酸化物(たとえば、酸化シリコン)を蒸着することで形成できる蒸着酸化膜122と比較すると、自然酸化膜128は、当該構造それ自体の酸化物である。自然酸化膜128と蒸着酸化膜122とが酸化シリコンなどの同じ酸化物材料を含む場合、自然酸化膜128及び蒸着酸化膜122を形成する特定のプロセスに依存して、自然酸化膜128と蒸着酸化膜122との間の界面を識別するのが困難となる可能性があることが理解される。自然酸化膜128が熱酸化によって形成されるいくつかの実施形態では、蒸着酸化膜122のものよりも界面がより清浄になる(たとえば、界面のダングリングボンドが少なくなる)ため、蒸着酸化膜122よりも自然酸化膜128の品質が高くなる(たとえば、高密度であり、かつ/又は高絶縁耐力である)。
【0029】
誘電体層106が酸化シリコンを含み、また導電体層108に置き換えられている誘電体層が窒化シリコンを含むいくつかの実施形態では、自然酸化膜128は、誘電体層106の一部と、窒化シリコン層の自然酸化物との両方に由来する酸化シリコンを含む。酸化プロセス(たとえば、窒素原子とイオンとが自然酸化物から除去される程度)に依存して、自然酸化物は完全に酸化シリコンであり得、また完全に酸窒化シリコンであり得、また酸化シリコンと酸窒化シリコンとの混合物であり得ることが理解される。結果として、いくつかの実施形態では、自然酸化膜128は酸化シリコンと酸窒化シリコンとの両方を含む。蒸着酸化膜122は、自然酸化膜128と同じ酸化物材料又は異なる酸化物材料を含み得る。たとえば、蒸着酸化膜122は、酸化シリコン、酸窒化シリコン、high‐k誘電体、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、自然酸化膜128の厚さは約0.5 nm~約5 nm、たとえば0.5 nm~5 nm(たとえば、0.5 nm、1 nm、1.5 nm、2 nm、2.5 nm、3 nm、3.5 nm、4 nm、4.5 nm、5 nm、これらの値のいずれかで下限によって境界付けられる任意の範囲、又はこれらの値のうちのいずれか2つによって規定される任意の範囲内にあるもの)である。いくつかの実施形態では、自然酸化膜128の厚さは約0.5 nm~約3 nm、たとえば0.5 nm~3 nmである。いくつかの実施形態では、自然酸化膜128の厚さは約1 nm、たとえば1 nmである。いくつかの実施形態では、自然酸化膜128の厚さと蒸着酸化膜122の厚さとの合計厚さ(すなわち、ブロッキング層130の厚さ)は約約4 nm~約8 nm、たとえば4 nm~8 nmである。したがって、蒸着酸化膜の厚さを、約7.5 nm以下とすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、メモリスタック104内の導電体層108(それぞれがワード線の一部である)は、NANDメモリストリング110内のメモリセルのゲート導電体として機能している。導電体層108は複数のNANDメモリセルにおける複数の制御ゲートを含み得、かつメモリスタック104の縁部で終端するワード線として、横方向に延在し得る(たとえば、メモリスタック104の階段構造において)。いくつかの実施形態では、NANDメモリストリング110内のメモリセルトランジスタは、タングステンから作製されているゲート導電体(すなわち、導電体層108においてチャネル構造112Aに当接している部分)、チタン/窒化チタン(Ti/TiN)又はタンタル/窒化タンタル(Ta/TaN)を含む接着層(図示せず)、high‐k誘電体材料から作製されているゲート誘電体層(図示せず)、及びポリシリコンを含むチャネル構造112Aを備える。
【0032】
いくつかの実施形態では、NANDメモリストリング110は、NANDメモリストリング110の下部(たとえば、下端)に半導体プラグ114をさらに含む。本明細書で使用する場合において、基板102が3Dメモリデバイス100の最下平面に位置しているときは、構成要素(たとえば、NANDメモリストリング110)の「上端」は、基板102からy方向にさらに離隔している端部であり、またその構成要素(たとえば、NANDメモリストリング110)の「下端」は、基板102に対してy方向により接近している端部である。半導体プラグ114は、基板102から任意の適切な方向にエピタキシャル成長した、シリコンなどの半導体材料を含み得る。いくつかの実施形態では、半導体プラグ114が、基板102の材料と同じである単結晶シリコンを含むことが理解される。すなわち、半導体プラグ114は、基板102とその材料が同じである、エピタキシャル成長した半導体層を含み得る。いくつかの実施形態では、半導体プラグ114の一部は、基板102の上面よりも上側にあり、半導体チャネル132と接触している。半導体プラグ114は、NANDメモリストリング110のソース選択ゲートによって制御されるチャネルとして機能し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、NANDメモリストリング110は、NANDメモリストリング110の上部に(たとえば、上端に)チャネルプラグ116をさらに含む。チャネルプラグ116は、半導体チャネル132の上端と接触し得る。チャネルプラグ116は、半導体材料(たとえば、ポリシリコン)又は導電性材料(たとえば、金属)を含み得る。いくつかの実施形態では、チャネルプラグ116は、接着層としてのTi/TiN又はTa/TaNと、導電体としてのタングステンとで充填されている開口部を含む。3Dメモリデバイス100の形成中にチャネル構造112Aの上端を覆うことにより、チャネルプラグ116は、チャネル構造112Aに充填されている酸化シリコン及び窒化シリコンなどの誘電体のエッチングを防止するためのエッチング停止層として機能し得る。いくつかの実施形態では、チャネルプラグ116は、NANDメモリストリング110のドレインとしても機能している。
【0034】
図1Bは、本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜128を有するチャネル構造112Bを備えた、別の典型的な3Dメモリデバイス101の断面を示す。
図1Aで上述している3Dメモリデバイス100と同様に、3Dメモリデバイス101は、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた、3Dメモリデバイスの例を示す。自然酸化膜128と蒸着酸化膜122とが共にブロッキング層130を形成している、
図1Aで上述している3Dメモリデバイス100とは異なり、
図1Bの3Dメモリデバイス101内のチャネル構造112Bは、ブロッキング層130の一部として蒸着酸化膜を含んでおらず、その結果、自然酸化膜128自体が3Dメモリデバイス101のブロッキング層となるようにしている。3Dメモリデバイス100及び101の両方における同様の構造(たとえば、材料、形成プロセス、機能など)の詳細については、以下で繰り返さなくてもよいことが理解される。
【0035】
図1Bに示すように、NANDメモリストリング111は、メモリスタック104を貫通して垂直方向に延在するチャネル構造112Bを含み得る。チャネル構造112Bは、半導体材料(複数可)(たとえば、右側の拡大図で図示する半導体チャネル132として)及び誘電体材料(複数可)(たとえば、右側の拡大図で図示するメモリ膜120として)で充填されているチャネルホールを含み得る。いくつかの実施形態では、半導体チャネル132は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、又は単結晶シリコンなどのシリコンを含む。いくつかの実施形態では、メモリ膜120は、トンネル層126、蓄積層124(「電荷トラップ層」としても知られる)、及びブロッキング層(自然酸化膜)128を含む複合層である。チャネル構造112Bの残りの空間は、酸化シリコンなどの誘電体材料を含むキャッピング層134で部分的に、又は完全に充填され得る。チャネル構造112Bは、円筒形状(たとえば、柱形状)を有し得る。いくつかの実施形態によれば、キャッピング層134、半導体チャネル132、トンネル層126、蓄積層124、及びブロッキング層128は、柱の中心から外面に向かって半径方向に、この順序で配置されている。トンネル層126は、酸化シリコン、酸窒化シリコン、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。蓄積層124は、窒化シリコン、酸窒化シリコン、シリコン、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0036】
図1Bに示すように、チャネル構造112Bのブロッキング層128を、メモリスタック104において交互配置されている導電体層108及び誘電体層106に当接しており、かつ(メモリスタック104と蓄積層124との間で)蓄積層124と接触している自然酸化膜128とすることができる。蓄積層124が窒化シリコン層又は酸窒化シリコン層を含むいくつかの実施形態では、自然酸化膜128はこれらの窒化シリコン層又は酸窒化シリコン層と接触している。いくつかの実施形態では、自然酸化膜128は、導電体層108に置き換えられている誘電体層(たとえば、窒化シリコン層)において、チャネル構造112Bの側壁に当接している部分の自然酸化物と、誘電体層106(たとえば、酸化シリコン層)において、チャネル構造112Bの側壁に当接している部分と、を含む。誘電体層106が酸化シリコンを含み、また導電体層108に置き換えられている誘電体層が窒化シリコンを含むいくつかの実施形態では、自然酸化膜128は、誘電体層106の一部と、窒化シリコン層の自然酸化物との両方に由来する酸化シリコンを含む。酸化プロセス(たとえば、窒素原子とイオンとが自然酸化物から除去される程度)に依存して、自然酸化物は完全に酸化シリコンであり得、また完全に酸窒化シリコンであり得、また酸化シリコンと酸窒化シリコンとの混合物であり得ることが理解される。結果として、いくつかの実施形態では、自然酸化膜128は酸化シリコンと酸窒化シリコンとの両方を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、自然酸化膜128の厚さ(すなわち、ブロッキング層の厚さ)は約4 nm~約8 nm、たとえば4 nm~8 nm(たとえば、4 nm、4.5 nm、5 nm、5.5 nm、6 nm、6.5 nm、7 nm、7.5 nm、8 nm、これらの値のいずれかで下限によって境界付けられる任意の範囲、又はこれらの値のうちのいずれか2つによって規定される任意の範囲内にあるもの)である。いくつかの実施形態では、チャネル構造112Bのブロッキング層が自然酸化膜128のみを含むので、チャネル構造112B内の自然酸化膜128の厚さは、チャネル構造112A内の自然酸化膜128の厚さよりも厚い。たとえば、自然酸化膜128の厚さは約5 nm~約8 nm、たとえば5 nm~8 nmである。いくつかの実施形態では、自然酸化膜128の厚さは約6 nm、たとえば6 nmである。
【0038】
図2A~
図2Gは、本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた3Dメモリデバイスを形成するための、典型的な形成プロセスを示す。
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた3Dメモリデバイスを形成するための、典型的な方法300のフローチャートを示す。
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、自然酸化膜を有するチャネル構造を備えた3Dメモリデバイスを形成するための、別の典型的な方法400のフローチャートを示す。
図2A~
図2G及び
図3~
図4に示す3Dメモリデバイスの例には、
図1A~
図1Bに示す3Dメモリデバイス100及び101が含まれる。
図2A~
図2G及び
図3~
図4については併せて説明する。方法300及び400に示す工程は網羅的なものではなく、他の工程も、図示している工程のいずれかの前、後、又は合間に実行され得ることが理解される。さらに、一部の工程は同時に、又は
図3~
図4に示すものとは異なる順序で実行されてもよい。
【0039】
図3を参照すると、方法300は工程302から開始され、ここで、基板上に誘電体スタックが形成される。同様に、
図4を参照すると、方法400は工程402から開始され、ここで、基板上に誘電体スタックが形成される。この基板をシリコン基板とすることができる。この誘電体スタックは、交互配置されている第1の誘電体層及び第2の誘電体層を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の誘電体層はそれぞれ窒化シリコンを含み、第2の誘電体層はそれぞれ酸化シリコンを含む。
【0040】
図2Aを参照すると、交互配置されている第1の誘電体層208及び第2の誘電体層206を含む誘電体スタック204が、シリコン基板202上に形成される。いくつかの実施形態では、誘電体スタック204を形成する前に、シリコン基板202上に、酸化シリコンなどの誘電体材料を蒸着するか、又は熱酸化を行うことにより、誘電体スタック204とシリコン基板202との間に絶縁層212が形成される。第1の誘電体層208及び第2の誘電体層206がシリコン基板202上に交互に蒸着されることにより、誘電体スタック204が形成され得る。いくつかの実施形態では、第2の誘電体層206はそれぞれ酸化シリコンの層を含み、第1の誘電体層208(「犠牲層」としても知られる)はそれぞれ窒化シリコンの層を含む。誘電体スタック204は、CVD、PVD、ALD、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない1つ又は複数の薄膜蒸着プロセスによって形成され得る。
【0041】
図3に示すように、方法300は工程304に進み、ここで、誘電体スタックを貫通して垂直方向に延在する開口部が形成される。同様に、
図4に示すように、方法400は工程404に進み、ここで、誘電体スタックを貫通して垂直方向に延在する開口部が形成される。
【0042】
図2Aに示すように、誘電体スタック204を貫通して垂直方向に延在するチャネルホール210が形成される。いくつかの実施形態では、複数のチャネルホール210が誘電体スタック204に貫通形成され、その結果、これらのチャネルホール210がそれぞれ、その後のプロセスで個々のNANDメモリストリングを成長させるための場所となるようにしている。いくつかの実施形態では、チャネルホール210を形成する形成プロセスには、湿式エッチング、及び/又はディープイオン反応性エッチング(deep‐ion reactive etching:DRIE)などの乾式エッチングが含まれる。いくつかの実施形態では、チャネルホール210は、シリコン基板202の上部を貫通してさらに延在している。誘電体スタック204に貫通エッチングを行うプロセスは、シリコン基板202の上面で停止しなくてもよく、さらにシリコン基板202の一部をエッチングし続けてもよい。いくつかの実施形態では、誘電体スタック204の貫通エッチングを行った後、別のエッチングプロセスを用いて、シリコン基板202の一部をエッチングする。
【0043】
図3に示すように、方法300は工程306に進み、ここで、当該開口部の下部に半導体プラグが形成される。同様に、
図4に示すように、方法400は工程406に進み、ここで、当該開口部の下部に半導体プラグが形成される。この半導体プラグを、第1の開口部の下部で、基板からエピタキシャル成長させることができる。いくつかの実施形態では、この半導体プラグは、エピタキシャル成長したシリコンプラグである。
【0044】
図2Aに示すように、シリコン基板202から任意の適切な方向(たとえば、底面及び/又は側面から)にエピタキシャル成長させた単結晶シリコンで、チャネルホール210の下部を充填することによって、シリコンプラグ214が形成され得る。エピタキシャル成長型シリコンプラグ214の形成プロセスは、気相エピタキシー(vapor‐phase epitaxy:VPE)、液相エピタキシー(liquid‐phase epitaxy:LPE)、分子線エピタキシー(molecular‐beam epitaxy:MPE)、又はそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0045】
図3に示すように、方法300は工程308に進み、ここで、当該開口部の側壁に沿って自然酸化膜が形成される。本自然酸化膜は、第1の誘電体層の少なくとも一部の自然酸化物を含む。いくつかの実施形態では、本自然酸化膜を形成するために、第1の誘電体層において当該開口部の側壁に当接している部分を酸化させて、自然酸化物となるようにしている。本自然酸化膜は、熱酸化又は湿式化学酸化によって形成され得る。いくつかの実施形態では、本自然酸化膜の厚さは約0.5 nm~約5 nm、たとえば約1 nmである。本自然酸化膜は、第2の誘電体層において当該開口部の側壁に当接している部分を含み得る。
【0046】
同様に、
図4に示すように、方法400は工程408に進み、ここで、当該開口部の側壁に沿って自然酸化膜が形成される。本自然酸化膜は、第1の誘電体層の少なくとも一部の自然酸化物を含む。いくつかの実施形態では、本自然酸化膜を形成するために、第1の誘電体層において当該開口部の側壁に当接している部分は、自然酸化物になるよう酸化される。本自然酸化膜は、熱酸化又は湿式化学酸化によって形成され得る。いくつかの実施形態では、本自然酸化膜の厚さは約4 nm~約8 nm、たとえば約6 nmである。本自然酸化膜は、第2の誘電体層において当該開口部の側壁に当接している部分を含み得る。
【0047】
図2Bに示すように、チャネルホール210の側壁に沿って自然酸化膜228が形成される。いくつかの実施形態では、自然酸化膜228は、チャネルホール210の側壁を完全に覆っている。自然酸化膜228の厚さを約0.5 nm~約5 nm、たとえば0.5 nm~5 nm(たとえば、0.5 nm、1 nm、1.5 nm、2 nm、2.5 nm、3 nm、3.5 nm、4 nm、4.5 nm、5 nm、これらの値のいずれかで下限によって境界付けられる任意の範囲、又はこれらの値のうちのいずれか2つによって規定される任意の範囲内にあるもの)とすることができる。いくつかの実施形態では、自然酸化膜228の厚さは約0.5 nm~約3 nm、たとえば0.5 nm~3 nmである。いくつかの実施形態では、自然酸化膜228の厚さは約1 nm、たとえば1 nmである。別の例では、自然酸化膜228の厚さを約4 nm~約8 nm、たとえば4 nm~8 nm(たとえば、4 nm、4.5 nm、5 nm、5.5 nm、6 nm、6.5 nm、7 nm、7.5 nm、8 nm、これらの値のいずれかで下限によって境界付けられる任意の範囲、又はこれらの値のうちのいずれか2つによって規定される任意の範囲内にあるもの)とすることができる。いくつかの実施形態では、自然酸化膜228の厚さは約5 nm~約8 nm、たとえば5 nm~8 nmである。いくつかの実施形態では、自然酸化膜228の厚さは約6 nm、たとえば6 nmである。自然酸化膜228の異なる厚さ範囲を、異なる例、たとえば、以下に詳述しているように、
図2D及び
図2Eで使用することができる。
【0048】
自然酸化膜228は、チャネルホール210(第1の誘電体層208の左側部分を含む)の側壁を酸化させて、厚さが上述した範囲内となる自然酸化物を形成することにより、形成され得る。いくつかの実施形態では、第1の誘電体層208においてチャネルホール210の側壁に当接している部分が有する自然酸化物は、熱酸化プロセスによって酸化されている。酸化剤として分子状酸素を使用する乾式酸化、又は酸化剤として水蒸気を使用する湿式酸化のいずれを用いても、たとえば約850℃以下の温度で自然酸化物を形成することができる。いくつかの実施形態では、この熱酸化は約500℃~約850℃、たとえば500℃~850℃(たとえば、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃、これらの値のいずれかで下限によって境界付けられる任意の範囲、又はこれらの値のうちのいずれか2つによって規定される任意の範囲内にあるもの)で実行される。いくつかの実施形態では、この熱酸化は約700℃、たとえば700℃で実行される。熱酸化物は、誘電体スタック204から消費されるシリコンと、周囲空気から供給される酸素とを取り込むので、自然酸化膜228は、誘電体スタック204内へと右側にも、そして誘電体スタック204から左側にも成長し得、その結果、本自然酸化膜の厚さの一部がチャネルホール210の元の側壁表面上に重なり得、また一部が誘電体スタック204の内側に存在し得る。ここで結果として得られる自然酸化膜の厚さは、熱酸化温度及び/又は熱酸化時間によって制御され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体層208においてチャネルホール210の側壁に当接している部分の自然酸化物を、湿式化学酸化プロセスによって酸化させている。オゾンを含有する湿式化学物質を使用して、第1の誘電体層208においてチャネルホール210の側壁に当接している部分を酸化させることにより、自然酸化物を形成することができる。いくつかの実施形態では、この湿式化学物質は、フッ化水素酸とオゾンとの混合物(たとえば、FOM)である。たとえば、超純水中のフッ化水素酸濃度は49%である。ここで結果として得られる自然酸化膜の厚さは、湿式化学組成、湿式化学処理温度、及び/又は湿式化学処理時間によって制御され得る。酸素ガス及び水素ガスを使用して、蒸気状の水を生成するインサイチュ蒸気生成(in situ steam generation:ISSG)プロセスなど、その他の適切なプロセスを用いて自然酸化膜228を形成できることが理解される。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体層208は窒化シリコンを含み、第2の誘電体層206は酸化シリコンを含む。第1の誘電体層208内の窒化シリコンが酸化することにより、酸窒化シリコンが生成され得、この酸窒化シリコンは、酸化シリコンと共に自然酸化膜228内にとどまるか、又は 任意の適切なプロセスを用いて、自然酸化膜228から部分的に、若しくは完全に除去され得る。それでもなお、自然酸化膜228は、第2の誘電体層206からの酸化シリコン、及び/又は第1の誘電体層208が有する自然酸化物を含み得る。
【0051】
図3に示すように、方法300は工程310に進み、ここで、ブロッキング層、蓄積層、トンネル層、及び半導体チャネルが、続けてこの順序で、本自然酸化膜上に、かつ当該開口部の側壁に沿って形成される。いくつかの実施形態では、ブロッキング層を形成するために、本自然酸化膜上に酸化シリコン層が蒸着される。この酸化シリコン層は、ALDによって蒸着され得る。
【0052】
図2Cに示すように、自然酸化膜228上に蒸着酸化膜222が形成される。いくつかの実施形態では、この蒸着酸化膜222は、誘電体スタック204(
図2Aに図示)の側壁の深さ全体に沿って、自然酸化膜228を完全に覆っている。蒸着酸化膜222及び自然酸化膜228を含む複合層は、3Dメモリデバイスのブロッキング層230となり得る。本例のブロッキング層230は蒸着酸化膜222を有する複合層であるため、自然酸化膜228の厚さを、上記で詳述したように、約0.5 nm~約 5nmなどの比較的薄い範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、自然酸化膜228の厚さと蒸着酸化膜222の厚さとの合計厚さ(すなわち、ブロッキング層230の厚さ)は約約4 nm~約8 nm、たとえば4 nm~8 nmである。蒸着酸化膜の厚さを、約7.5 nm以下とすることができる。ALD及びCVDなどの1つ又は複数のコンフォーマルな薄膜蒸着プロセスを用いて、上述した範囲内の厚さで、酸化シリコンなどの酸化物材料によるコンフォーマル層を蒸着することによって、蒸着酸化膜222が形成され得る。いくつかの実施形態では、自然酸化膜228上に蒸着酸化膜222を形成するように、酸化シリコン層がALDによって蒸着される。
【0053】
図2Dに示すように、チャネルホール210(
図2Cに図示)の側壁に沿って、メモリ膜220(ブロッキング層230、蓄積層224、及びトンネル層226を含む)が形成される。蓄積層224(たとえば、窒化シリコン層又は酸窒化シリコン層)及びトンネル層226(たとえば、酸化シリコン層)が、続けてこの順序で、ALD、CVD、PVD、その他の適切なプロセス、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数の薄膜蒸着プロセスを用いて、ブロッキング層230の蒸着酸化膜222上に蒸着され得る。いくつかの実施形態では、メモリ膜220は、チャネルホール210の側壁を完全に覆うことができる。
図2Dに示すように、CVD、PVD、ALD、電解めっき、無電解めっき、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数の薄膜蒸着プロセスを用いて、メモリ膜220のトンネル層226上に半導体チャネル232が形成される。いくつかの実施形態では、半導体チャネル232はポリシリコンを含む。
図2Dに示すように、CVD、PVD、ALD、電解めっき、無電解めっき、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数の薄膜蒸着プロセスを用いて、酸化シリコン層などのキャッピング層234がチャネルホール210内に、チャネルホール210の残りの空間を完全に、又は部分的に充填するように形成される。したがって、ブロッキング層230(自然酸化膜228及び蒸着酸化膜222を有する)、蓄積層224、トンネル層226、半導体チャネル232、及びキャッピング層234を含むチャネル構造201Aが、
図2Dに示すように形成される。自然酸化膜228は、誘電体スタック204において交互配置されている誘電体層206及び208と接触している、チャネル構造201Aの最外層であり得る。
【0054】
図4を参照すると、別の例において、
図4に示すように方法400は工程410に進み、ここで、蓄積層、トンネル層、及び半導体チャネルが、続けてこの順序で、本自然酸化膜上に、かつ当該開口部の側壁に沿って形成される。いくつかの実施形態では、蓄積層を形成するために、本自然酸化膜上に窒化シリコン層又は酸窒化シリコン層が蒸着される。
【0055】
図2Eに示すように、自然酸化膜228が単独でブロッキング層になる。本例のブロッキング層230は蒸着酸化膜を含まず、自然酸化膜228のみを含むので、自然酸化膜228の厚さを、上記で詳述したように、約4 nm~約8 nmなどの比較的厚い範囲内とすることができる。チャネルホール210(
図2Cに図示)の側壁に沿って、メモリ膜220(ブロッキング層228、蓄積層224、及びトンネル層226を含む)が形成される。蓄積層224(たとえば、窒化シリコン層又は酸窒化シリコン層)及びトンネル層226(たとえば、酸化シリコン層)が、続けてこの順序で、ALD、CVD、PVD、その他の適切なプロセス、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数の薄膜蒸着プロセスを用いて、自然酸化膜228上に蒸着され得る。いくつかの実施形態では、自然酸化膜228上に、窒化シリコン層又は酸窒化シリコン層が蓄積層224として蒸着される。いくつかの実施形態では、メモリ膜220は、チャネルホール210の側壁を完全に覆うことができる。
【0056】
図2Eに示すように、CVD、PVD、ALD、電解めっき、無電解めっき、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数の薄膜蒸着プロセスを用いて、メモリ膜220のトンネル層226上に半導体チャネル232が形成される。いくつかの実施形態では、半導体チャネル232はポリシリコンを含む。
図2Eに示すように、CVD、PVD、ALD、電解めっき、無電解めっき、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数の薄膜蒸着プロセスを用いて、酸化シリコン層などのキャッピング層234がチャネルホール210内に、チャネルホール210の残りの空間を完全に、又は部分的に充填するように形成される。したがって、ブロッキング層228(すなわち、自然酸化膜228)、蓄積層224、トンネル層226、半導体チャネル232、及びキャッピング層234を含むチャネル構造201Bが、
図2Eに示すように形成される。自然酸化膜228は、誘電体スタック204において交互配置されている誘電体層206及び208と接触している、チャネル構造201Bの最外層であり得る。
【0057】
図3に示すように、方法300は工程312に進み、ここで、ゲート置換によってメモリスタックが形成される。同様に、
図4に示すように、方法400は工程412に進み、ここで、ゲート置換によってメモリスタックが形成される。このメモリスタックは、交互配置されている導電体層及び第2の誘電体層を含み、本誘電体スタック内の第1の誘電体層を導電体層に置き換えることによって形成される。いくつかの実施形態では、このメモリスタックを形成するために、本誘電体スタックにスリット開口部(たとえば、ゲート線スリット)が貫通形成され得、このスリット開口部を介してエッチャントを適用することにより、本誘電体スタック内の第1の誘電体層をエッチングして、複数の横方向凹部が形成され得、また、この横方向凹部に導電体層が蒸着され得る。いくつかの実施形態では、このメモリスタックを形成する際に、本自然酸化膜で停止するまで本誘電体スタックの第1の誘電体層がエッチングされる。
【0058】
図2Fに示すように、たとえば湿式エッチングによって、第1の誘電体層208(たとえば、
図2D又は
図2Eに図示する酸化シリコン層)が除去され、これにより、第2の誘電体層206間に複数の横方向凹部236が形成される。いくつかの実施形態では、第2の誘電体層206の酸化シリコンに対して第1の誘電体層208の窒化シリコンを選択的にエッチングするように、スリット開口部(図示せず)を介してエッチャント(たとえば、リン酸)が適用される。第1の誘電体層208のエッチングは、チャネル構造201へのさらなる損傷を防止するように、横方向において自然酸化膜228で停止され得る。すなわち、自然酸化膜228は、第1の誘電体層208の除去中にエッチング停止層として機能し得る。第1の誘電体層208を除去するためのエッチャントで、自然酸化膜228をさらにある程度までエッチングしてもよいことが理解される。一例では、自然酸化膜228は、その厚さが第1の誘電体層208のエッチング後に減少してもよいが、蒸着酸化膜222の有無にかかわらず、結果として得られる3Dメモリデバイス内に依然として存在することになる。別の例では、第1の誘電体層208のエッチング後に自然酸化膜228が完全に除去され得、その際、結果として得られる3Dメモリデバイスのブロッキング層として、蒸着酸化膜222が単独で残存し得る。いずれの場合も、自然酸化膜228を使用して、結果として得られる3Dメモリデバイス内のブロッキング層の厚さを制御することができる。
【0059】
図2Gに示すように、CVD、PVD、ALD、電解めっき、無電解めっき、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数の薄膜蒸着プロセスを用いて、横方向凹部236(
図2Fに図示)を充填するように、導電体層238(たとえば、タングステン層)が蒸着される。したがって、交互配置されている導電体層238と誘電体層206とで、メモリスタック240が形成され得る。導電体層238は、最外層のチャネル構造201(たとえば、ブロッキング層の自然酸化膜228)と接触することができる。
図2F~
図2Gのチャネル構造201は蒸着酸化膜222及び自然酸化膜228を含むが、いくつかの実施形態では、チャネル構造201が蒸着酸化膜222のみを含む(自然酸化膜228が、ゲート置換プロセス中に完全に除去されているので)か、又は自然酸化膜228のみを含む(たとえば、
図2Eのチャネル構造201Bの例のように)ことが理解される。
【0060】
本開示の一態様によれば、3Dメモリデバイスを形成するための方法が開示されている。誘電体スタックが基板上に形成される。本誘電体スタックは、基板上で交互配置されている第1の誘電体層及び第2の誘電体層を含む。この誘電体スタックを貫通して垂直方向に延在する開口部が形成される。この開口部の側壁に沿って、自然酸化膜が形成される。本自然酸化膜は、第1の誘電体層の少なくとも一部の自然酸化物を含む。蒸着酸化膜、蓄積層、トンネル層、及び半導体チャネルが、続けてこの順序で、本自然酸化膜上に、かつ当該開口部の側壁に沿って形成される。メモリスタックは、交互配置されている導電体層及び第2の誘電体層を含み、本誘電体スタック内の第1の誘電体層を導電体層に置き換えることによって形成される。
【0061】
いくつかの実施形態では、本自然酸化膜を形成するために、第1の誘電体層において当該開口部の側壁に当接している部分を酸化させている。いくつかの実施形態では、本自然酸化膜は熱酸化によって形成される。いくつかの実施形態によれば、この熱酸化の温度は約850℃以下である。いくつかの実施形態では、本自然酸化膜は湿式化学酸化によって形成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、本自然酸化膜は、第2の誘電体層において当該開口部の側壁に当接している部分を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、本自然酸化膜の厚さは約0.5 nm~約5 nmである。本自然酸化膜の厚さを約1 nmとすることができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体層はそれぞれ窒化シリコンを含み、第2の誘電体層はそれぞれ酸化シリコンを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、蒸着酸化膜と本自然酸化膜とは、ブロッキング層を形成している。いくつかの実施形態では、蒸着酸化膜はALDによって形成される。
【0066】
いくつかの実施形態では、メモリスタックを形成するために、本自然酸化膜で停止するまで第1の誘電体層がエッチングされる。
【0067】
いくつかの実施形態では、本自然酸化膜を形成する前に、当該開口部の下部に半導体プラグが形成される。
【0068】
本開示の別の態様によれば、3Dメモリデバイスを形成するための方法が開示されている。交互配置されている第1の誘電体層及び第2の誘電体層を含む誘電体スタックが、基板上に形成される。この誘電体スタックを貫通して垂直方向に延在する開口部が形成される。この開口部の側壁に沿って、自然酸化膜が形成される。本自然酸化膜は、第1の誘電体層の少なくとも一部の自然酸化物を含む。蓄積層、トンネル層、及び半導体チャネルが、続けてこの順序で、本自然酸化膜上に、かつ当該開口部の側壁に沿って形成される。本誘電体スタック内の第1の誘電体層を導電体層に置き換えることにより、交互配置されている導電体層及び第2の誘電体層を含むメモリスタックが形成される。
【0069】
いくつかの実施形態では、本自然酸化膜を形成するために、第1の誘電体層において当該開口部の側壁に当接している部分を酸化させて、自然酸化物となるようにしている。いくつかの実施形態では、本自然酸化膜は熱酸化によって形成される。いくつかの実施形態によれば、この熱酸化の温度は約850℃以下である。いくつかの実施形態では、本自然酸化膜は湿式化学酸化によって形成される。
【0070】
いくつかの実施形態では、本自然酸化膜は、第2の誘電体層において当該開口部の側壁に当接している部分を含む。いくつかの実施形態では、本自然酸化膜の厚さは約4 nm~約8 nmである。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体層はそれぞれ窒化シリコンを含み、第2の誘電体層はそれぞれ酸化シリコンを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、蓄積層を形成するために、本自然酸化膜上に窒化シリコン層又は酸窒化シリコン層が蒸着される。
【0073】
いくつかの実施形態では、メモリスタックを形成するために、本自然酸化膜で停止するまで第1の誘電体層がエッチングされる。
【0074】
いくつかの実施形態では、本自然酸化膜を形成する前に、当該開口部の下部に半導体プラグが形成される。
【0075】
本開示のさらに別の態様によれば、3Dメモリデバイスは、基板と、この基板上に配置され、かつ交互配置されている導電体層及び誘電体層を含むメモリスタックと、このメモリスタックを貫通して垂直方向に延在するチャネル構造と、を備える。このチャネル構造は、交互配置されている導電体層及び酸化物誘電体層に当接している自然酸化膜を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、本自然酸化膜の厚さは約0.5 nm~約5 nmである。いくつかの実施形態では、本自然酸化膜の厚さは約1 nmである。いくつかの実施形態によれば、チャネル構造は、本自然酸化膜と接触している蒸着酸化膜をさらに含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、本自然酸化膜の厚さは約4 nm~約8 nmである。
【0078】
いくつかの実施形態では、チャネル構造は、本自然酸化膜と接触している窒化シリコン層又は酸窒化シリコン層をさらに含む。
【0079】
特定の実施形態に関する前述の説明により、本開示の一般的性質が完全に明らかになるので、当業者であれば、自身が有する範囲内の知識を適用することにより、過度の実験を実施することなく、また本開示の一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を容易に修正し、かつ/又は種々の用途にこれらを適合させることができる。したがって、そのような適合及び修正は、本明細書に提示している教示及び指針に基づいて、開示している実施形態の等価物の意味するところ及び範囲内にあることが意図される。本明細書における表現法又は用語法は説明を目的とするものであって、限定するものではなく、そのため本明細書の用語法又は表現法は、その教示及び指針に照らして、当業者により解釈されるべきである、と理解すべきである。
【0080】
特定の諸機能及びそれらの関係の実装形態を示す機能的構成ブロックを用いて、本開示の実施形態を上記で説明してきた。これらの機能的構成ブロックの境界を、本明細書では説明の便宜を図って任意に定義している。特定の諸機能とその関係とが適切に実行される限り、代替の境界を定義することができる。
【0081】
「発明の概要」及び「要約書」のセクションには、本発明者(複数可)によって企図される1つ又は複数の典型的な実施形態を記載できるが、その全ては記載できないことから、本開示及び添付の特許請求の範囲を何ら限定することを意図したものではない。
【0082】
本開示の範囲及び領域を、上記の典型的な実施形態のいずれによっても限定すべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物によってのみ定義すべきである。