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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/12 20060101AFI20230210BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
F25C1/12 301Z
F25B1/00 399Y
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021519498
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 JP2020019392
(87)【国際公開番号】W WO2020230879
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2019092070
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】391043505
【氏名又は名称】アイスマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】神戸 雅範
(72)【発明者】
【氏名】岸本 啓
(72)【発明者】
【氏名】忽那 都志夫
(72)【発明者】
【氏名】白戸 匠
(72)【発明者】
【氏名】片見 正樹
(72)【発明者】
【氏名】秋山 知昭
(72)【発明者】
【氏名】秋山 怜那
(72)【発明者】
【氏名】胡 博
(72)【発明者】
【氏名】秋山 恵杜
(72)【発明者】
【氏名】井植 哲二
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-080254(JP,A)
【文献】特開2018-071835(JP,A)
【文献】特開2003-314910(JP,A)
【文献】特開2017-072358(JP,A)
【文献】特開2018-159483(JP,A)
【文献】特開2006-110416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/12
F25C 1/147
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷面および前記製氷面を冷却する寒剤を流すための寒剤流路を備えた製氷ユニットと、
前記製氷面に水を供給する給水機構と、
前記寒剤流路の出口から流出した前記寒剤を冷却するための熱交換器と、
前記熱交換器により冷却された前記寒剤を加圧して吐出するポンプと、
前記ポンプの吐出量を制御する制御部とを具備し、
前記寒剤は二酸化炭素であり、
前記制御部は、前記寒剤流路の入口では二酸化炭素の全量が液体であり、前記寒剤流路の出口では二酸化炭素の全量が気体となる前記ポンプの吐出量を全気化臨界吐出量とした場合に、前記ポンプの吐出量が前記全気化臨界吐出量の1.6倍以上となるように前記ポンプを制御し、前記寒剤流路の出口で前記寒剤が気液混合状態となるようにすることを特徴とする製氷機。
【請求項2】
前記ポンプが吐出した前記寒剤を減圧する減圧弁を備えることを特徴とする請求項1記載の製氷機。
【請求項3】
前記熱交換器により冷却され液化した二酸化炭素を蓄えるレシーバタンクを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の製氷機。
【請求項4】
前記熱交換器は、冷却された一次冷媒が通過する一次冷媒流路と、前記寒剤が通過する寒剤流路とを有し、前記一次冷媒流路を通過する一次冷媒と、前記寒剤流路を通過する前記寒剤とを熱交換させるものであり、
前記一次冷媒を前記一次冷媒流路へ供給するための一次冷媒冷却器をさらに具備することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項5】
前記寒剤流路の出口から流出した前記寒剤の物理量を測定し、前記寒剤の気液混合割合に対応した信号を出力するセンサを有し、
前記制御部は、前記センサからの前記信号に対応して、前記ポンプの吐出量が前記全気化臨界吐出量の1.6倍以上となるように前記ポンプをフィードバック制御することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項6】
前記製氷ユニットは、円筒状の冷却ドラムを有し、前記冷却ドラムの内部に前記寒剤流路が形成され、前記冷却ドラムの内面に前記製氷面が形成されており、
前記給水機構は前記冷却ドラムの中心線の回りを回転しつつ前記冷却ドラムの前記製氷面に散水するノズルを有し、
前記冷却ドラムの前記製氷面に固着した氷を破砕するための破砕機をさらに備えたことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項7】
前記製氷ユニットは前記寒剤流路を内部に有する製氷板を有し、前記製氷板の一方の面は製氷面とされ、他方の面は熱媒供給面とされており、
前記熱媒供給面に加温された熱媒を供給する熱媒供給機がさらに設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を凍らせて氷を製造するための製氷機に関する。
本願は、2019年5月15日に、日本に出願された特願2019-092070号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷媒や寒剤によって冷却された製氷ユニットの製氷面に散水することにより、前記製氷面上に一定の厚さまで氷を成長させた後、前記製氷面から氷を脱落させて氷を製造する製氷機が知られている。
例えば、特許文献1には、冷媒としてフロンを用い、製氷ユニットである製氷板の内部に液化フロンを循環させ、前記製氷板の表面に氷を成長させたうえで、氷を製氷板から脱落させる製氷機が開示されている。この種の製氷機では、冷媒流路の入口ではフロンのほぼ全量が液体であり、冷媒流路を流れるにつれ製氷ユニットの熱を奪ってフロンが気化していき、冷媒流路の出口ではちょうどフロンのほぼ全量が気体となるように流量が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6215742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の製氷機では、省エネルギー化を図りつつ、高品質の氷を作る上で改善の余地があった。すなわち、特許文献1のように、冷媒としてフロンを用いた直膨方式(以下「フロン直膨方式」という)では、冷媒が液の状態で圧縮機に吸入される液バックを防止するため、冷媒が冷媒流路出口付近で完全に気化するように過熱度(ある圧力のもとでの過熱蒸気温度と渇き飽和蒸気温度との間の温度差)をとる必要がある。このため、冷媒流路の入口と出口で冷媒の温度差が生じ、これが製氷ムラの原因となっていた。
【0005】
また、フロン直膨方式では、冷媒に冷凍機油が混入することが避けられず、この冷凍機油が冷媒流路の内面に付着して伝熱を阻害するため、その分の伝熱効率が低下する。
【0006】
フロン直膨方式の他に、従来から、プロピレングリコールやエチレングリコール等のブラインを用いた製氷システムも知られているが、ブラインは粘弾性が高いため製氷板内を流れる際の圧力損失が大きくなりやすい。製氷板内での圧力損失が大きくなると、製氷板内で偏流しやすくなるため、偏流を抑制する目的で流量を大きくする必要があり、搬送動力が増大する。さらに、ブラインは毒性があるため、食品に用いる氷の製造には適していない。
【0007】
本発明は、製氷面における製氷ムラが少なく、氷の生産効率を高めて省エネルギー化を図ることができ、さらに、高品質の氷を作ることが可能な製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 本発明の一態様に係る製氷機は、製氷面および前記製氷面を冷却する寒剤を流すための寒剤流路を備えた製氷ユニットと、前記製氷面に水を供給する給水機構と、前記寒剤流路の出口から流出した前記寒剤を冷却するための熱交換器と、前記熱交換器により冷却された前記寒剤を加圧して吐出するポンプと、前記ポンプの吐出量を制御する制御部とを具備し、前記寒剤は二酸化炭素であり、前記制御部は、前記寒剤流路の入口では二酸化炭素の全量が液体であり、前記寒剤流路の出口では二酸化炭素の全量が気体となる前記ポンプの吐出量を全気化臨界吐出量とした場合に、前記ポンプの吐出量が前記全気化臨界吐出量の1.6倍以上となるように前記ポンプを制御し、前記寒剤流路の出口で前記寒剤が気液混合状態となるようにすることを特徴とする。
【0009】
前記態様の製氷機によれば、前記寒剤として二酸化炭素を用いるとともに、前記ポンプの吐出量が前記寒剤流路の出口で前記寒剤が気液混合状態となるように前記ポンプを制御することにより、冷却ユニットの寒剤流路へ供給する液体二酸化炭素が液体部分を残したまま寒剤流路を通過することになる。このように、液体二酸化炭素が寒剤流路の出口に到るまで残存することにより、液体二酸化炭素の潜熱を主に利用して、冷却ユニットが冷却されることになる。
【0010】
このため、フロン直膨式のように冷媒流路出口付近で過熱度をとり、冷媒が完全に気化する場合に比して、寒剤流路出口まで寒剤を気液混合状態で循環させることができるため、寒剤流路の全長に亘って冷却のムラが生じにくい。したがって、冷却ユニットで構成される製氷面の全域に亘って温度分布および冷却をほぼ均一にすることができ、水を製氷面のほぼ全域に亘ってばらつきの少ない厚さで凍らせることができるから、厚さおよび品質が均一な氷を製造することが可能である。
【0011】
また、従来のフロン直膨方式と異なり、製氷ユニットの寒剤流路に冷凍機油が侵入しないため、寒剤流路内面への冷凍機油の付着による伝熱性能の低下が生じず、省エネルギー化を図れるうえ、液体二酸化炭素の潜熱を主として冷却に利用するため、製氷面に氷が生成される際の凍結速度が比較的に遅く、氷の中に気泡や水中の不純物が取り込まれにくくなり、透明度の高い高品質の氷を作ることができるという優れた効果も奏する。
【0012】
また、前記制御部は、前記全気化臨界吐出量の1.6倍以上となるように前記ポンプの吐出量を制御することにより、冷却ユニットの寒剤流路へ供給する液体二酸化炭素の0.6/1.6=37.5%以上が液体のまま寒剤流路を通過することになる。このように、37.5%を超える比較的に大量の液体二酸化炭素が寒剤流路の出口に至るまで残存することで、寒剤流路の全長に亘って液体二酸化炭素の潜熱を利用することができ、製氷面の全域に亘り冷却をほぼ均一に行うことができる。
[2] 前記態様[1]において、前記ポンプが吐出した前記寒剤を減圧して前記寒剤流路の入口から前記寒剤を注入する減圧弁を有していてもよい。
【0013】
[3] 前記態様[1]または[2]において、前記ポンプの吐出量は前記全気化臨界吐出量の1.6倍以上かつ5倍以下であってもよい。この場合、製氷ユニットや加圧ポンプなど循環系設備の耐圧強度をあまり高めなくて済むから、設備コストを含むコストパフォーマンスが良い。前記ポンプの吐出量は、前記全気化臨界吐出量の1.6倍以上かつ3.0倍以下であってもよい。
【0014】
[4] 前記態様[1]~[3]において、前記構成の製氷機は、前記熱交換器により冷却され液化した二酸化炭素を蓄えるレシーバタンクを備えていてもよい。
【0015】
前記レシーバタンクを備えることで、寒剤が気液混合状態となっても寒剤を重力によりレシーバタンク内の上下で気液分離し、液体寒剤のみポンプを用いて寒剤流路へ循環させることができる。
【0016】
[5] 前記態様[1]~[4]において、前記熱交換器は、冷却された一次冷媒が通過する一次冷媒流路と、前記寒剤が通過する寒剤流路とを有し、前記一次冷媒流路を通過する一次冷媒と、前記寒剤流路を通過する前記寒剤とを熱交換させるものであってもよく、前記一次冷媒を前記一次冷媒流路へ供給するための一次冷媒冷却器をさらに具備していてもよい。一次冷媒としては、例えば、液体アンモニアなどを使用することで効率よく寒剤を冷却することができる。
【0017】
[6] 前記態様[1]~[5]において、前記製氷機は、前記寒剤流路の出口から流出した前記寒剤の物理量を測定し、前記寒剤の気液混合割合に対応した信号を出力するセンサを有していてもよく、前記制御部は、前記センサからの前記信号に対応して、前記ポンプの吐出量が前記全気化臨界吐出量の1.6倍以上となるように前記ポンプをフィードバック制御するものであってもよい。この場合、水の温度や外気温が変化したとしても、ポンプの吐出量を自律的に全気化臨界吐出量の1.6倍以上の一定範囲に保つことが容易となり、氷の成長条件を一定化して、氷の品質ばらつきを防ぐことが可能である。
【0018】
[7] 前記態様[1]~[6]において、前記製氷ユニットは、円筒状の冷却ドラムを有し、前記冷却ドラムの内部に前記寒剤流路が形成され、前記冷却ドラムの内面に前記製氷面が形成されており、前記給水機構は前記冷却ドラムの中心線の回りを回転しつつ前記冷却ドラムの前記製氷面に散水するノズルを有していてもよく、前記冷却ドラムの前記製氷面に固着した氷を破砕するための破砕機をさらに備えていてもよい。この場合、前記冷却ドラムの内面である製氷面に給水機構から散水し、製氷面に氷を成長させ、次に破砕機により製氷面に付着した氷を破砕する工程を連続的に行うことが可能であり、高品質な氷を高い生産効率を以て、連続的に製造することが可能である。
【0019】
[8] 前記態様[1]~[7]において、前記製氷ユニットは前記寒剤流路を内部に有する製氷板を有し、前記製氷板の一方の面は製氷面とされ、他方の面は熱媒供給面とされており、前記熱媒供給面に加温された熱媒を供給する熱媒供給機がさらに設けられていてもよい。この場合、製氷板の製氷面に水を供給して氷を成長させ、一定の厚さに成長した時点で製氷板の他面の熱媒供給面に加温した熱媒を供給することより、製氷面に付着した氷を脱落させ、高い生産性を以て高品質な氷を間欠的に製造することが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製氷機によれば、製氷面における製氷ムラが少なく、氷の生産効率を高めて省エネルギー化を図ることができ、さらに、高品質の氷を作ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る製氷機のブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る製氷機の変形例のブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る製氷機の変形例のブロック図である。
図4】同実施形態の冷却ドラムの周辺を示す縦断面図である。
図5図4中のIII-III線視図である。
図6】本発明の実施例の効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の一実施形態である製氷機1を示すブロック図である。この製氷機1は、軸線を垂直にして配置された円筒形の保護カバー2と、その中に同心状に配置された円筒形の冷却ドラム4(製氷ユニット)を有し、冷却ドラム4の内面のほぼ全域を製氷面4Aとして氷を生成し、その氷を砕いて薄片状のフレーク氷を生産するものである。
【0023】
この実施形態では、複数(図では3台であるがこれに限定されない)の同一径の冷却ドラム4が垂直方向に軸線を向けて上下に隙間無く重ねて配置され、これら冷却ドラム4の全体が保護カバー2で覆われている。保護カバー2と冷却ドラム4との間には、図示しない断熱材が充填され、冷却ドラム4の冷温が保たれる。冷却ドラム4は、限定はされないがステンレス等の耐食性に優れた金属で形成され、その周壁の内部には、冷却ドラム4の中心軸と同軸の螺旋状に延びる寒剤流路6が全周および軸方向のほぼ全長に亘って形成されている。
【0024】
各寒剤流路6は、冷却ドラム4の上側にある入口6Aと、下側の出口6Bを有し、入口6Aから寒剤としての液体二酸化炭素が注入されると、寒剤は寒剤流路6を螺旋状に走って、出口6Bから排出される。その間に寒剤の一部は気化し、その潜熱を主として利用し冷却ドラム4の内周面である製氷面4Aが冷却される。各寒剤流路6の入口6Aは、それぞれ減圧弁7を経て共通の配管12に接続され、配管12はポンプ14を介して寒剤導出部18Bに接続されている。
【0025】
ポンプ14は、寒剤である液体二酸化炭素を加圧して配管12および減圧弁7を通じて寒剤流路6へ供給するものであり、コンピューター等を具備する制御部15に接続され、制御部15からの電気信号によって吐出量が制御される。この実施形態の制御部15には製氷機各部の温度流量などの情報も伝達され、コンピューターで実行される制御プログラムに基づき、ポンプ14の吐出量を制御する。なお、本発明では制御部15の動作はコンピュータープログラムによるものだけでなく、場合によっては手動操作であっても構わないし、さらに事前に機械学習を行わせた人工知能プログラムにより制御するものであってもよい。
【0026】
この実施形態の制御部15は、ポンプ14の吐出量が「全気化臨界吐出量」の1.6倍以上となるようにポンプ14を制御することを特徴とする。全気化臨界吐出量は、製氷機の性能および運転状況に応じて値が決まるパラメータであり、本明細書では、下記の3つの条件をちょうど満たす吐出量と定義する。
(1)寒剤流路6の入口6Aでは、供給される二酸化炭素の全量が液体である。
(2)寒剤流路6の内部では、二酸化炭素の一部が気体で残部が液体である。すなわち、気液混合状態である。
(3)寒剤流路6の出口6Bでは、二酸化炭素の全量が気体となる。
ポンプ14の吐出量は、前記全気化臨界吐出量の1.6倍以上3.0倍未満に制御されてもよい。この場合、冷却ドラム4やポンプ14、配管系など循環系設備の耐圧強度をあまり高めなくて済むから、設備コストを含むコストパフォーマンスが良い。また、本実施形態では、ポンプ14の吐出量が、全気化臨界吐出量の1.6倍以上かつ5倍以下に制御されてもよい。
【0027】
全気化臨界吐出量は、可能であれば、ポンプ14の吐出量をコントロールしつつ、寒剤流路6の入口6A、寒剤流路6内、出口6Bを流れる寒剤の状態を観察して、上記条件(1)~(3)を満たす吐出量を決定しても良いが、後述する実施例に示すように熱量計算からも求めることが可能である。すなわち、冷却ドラム4が生産すべき氷の量と、その氷を製造するために必要な潜熱から、上記条件(1)~(3)を満たす全気化臨界吐出量が求められる。
【0028】
制御部15が、ポンプ14の吐出量が「全気化臨界吐出量」の1.6倍以上となるようにポンプ14を制御することにより、冷却ドラム4の入口6Aを通過した液体二酸化炭素の0.6/1.6=37.5%以上が液体のまま出口6Bを通過することになる。このように、37.5%を越える比較的に大量の液体二酸化炭素が寒剤流路6の出口6Bに到るまで残存することにより、液体二酸化炭素の潜熱を主に利用して、冷却ドラム4が冷却されることになる。
【0029】
従来、このように冷却ユニットの出口に到るまで冷媒を液体状態のまま多量に流すことは行われていなかった。それは、運転コスト的に無駄があり、かつ、循環系の強度を高めるなどの設備コストも余計にかかると考えられていたためである。しかし、本発明者らの実験によれば、特に寒剤で製氷を行う場合、製氷ユニットの温度を均一化し、しかも氷の生産性を高めることができるという従来公知でなかった効果が見いだされた。本発明はこの観点に基づいてなされたものである。例えば、従来のフロン直膨方式では、全気化臨界吐出量の0.95倍~1倍程度に設定されることが多かった。
【0030】
本実施形態では、フロン直膨式のように冷媒の過熱度をとる必要があり冷媒流路出口付近で冷媒が完全に気化する場合に比して、寒剤の過熱度をゼロに抑えることができ、寒剤流路6の全長に亘って冷却のムラが生じにくい。したがって、3つの冷却ドラム4で構成される広い製氷面4Aの全域に亘って温度分布および冷却をほぼ均一にすることができ、ノズル50から供給される水を製氷面4Aのほぼ全域に亘って均一の厚さで凍らせることができるから、氷の厚さが均一で、かつ、凍結速度が均一であるため氷の品質も均一なフレーク氷P2を製造することが可能である。
【0031】
本実施形態では、冷却効率の観点から、寒剤流路6の入口6Aにおける寒剤の温度は-30℃~-20℃であることが好ましく、寒剤流路6の入口6Aにおける寒剤の圧力は1.3MPa~1.9MPaであることが好ましい。より好ましくは寒剤流路6の入口6Aにおける寒剤の温度は-26℃~-23℃であり、寒剤流路6の入口6Aにおける寒剤の圧力は1.5MPa~1.7MPaである。ただし、本発明はこの範囲に限定されない。
【0032】
寒剤流路6の出口6Bは、それぞれ温度センサー9を経て共通の配管10へ接続され、配管10は蒸発器18(熱交換器)の寒剤導入部18Aへ接続されている。温度センサー9は出口6Bから排出される寒剤の気液混合物の温度(物理量)を測定して、温度に対応した電気信号を発生させ、この電気信号を制御部15へ伝達する。温度センサー9は、寒剤流路6内における過熱度の測定にも役立つ。制御部15は温度センサー9からの信号に応じて、各寒剤流路6内における気体二酸化炭素の過熱度を測定し、過熱度が上がってきたらポンプ14による液体二酸化炭素の吐出量を増してフィードバック制御し、過熱度を許容範囲に抑えることもできる。
【0033】
温度センサー9は寒剤の流速(物理量)を感知する流速センサーや圧力センサーを具備していてもよく、その場合には、流速センサーおよび/または圧力センサーの電気出力も制御部15へ伝達してもよい。流速センサーおよび/または圧力センサーによって計測された流速および/または圧力(物理量)が増加した場合には、寒剤の気化割合が増えたと判断し、ポンプ14による液体二酸化炭素の吐出量を増してフィードバック制御し、過熱度を許容範囲に抑えることもできる。
【0034】
蒸発器18は、寒剤導入部18Aから寒剤導出部18Bへ流れる寒剤と、冷媒導入部18Dから導出部18Cへ流れる一次冷媒とを熱交換させる。本実施形態では、一次冷媒として液体アンモニアを用いることが好ましい。一次冷媒としては、アンモニアの他にもR404A、COなども用いることができるが、アンモニアが使用温度・圧力域の点で最も好ましい。一次冷媒として有毒で臭気のあるアンモニアを用いたとしても、寒剤として二酸化炭素を使用し、一次冷却側と二次冷却側とを完全分離することにより、アンモニアが氷に影響を及ぼす虞がない。このため本実施形態では、安全に冷却効率のよいアンモニアを使用することが可能である。
【0035】
蒸発器18の導出部18Cからは、寒剤を潜熱により冷却した後の一部または全部が気化した一次冷媒が排出され、一次冷媒は配管20を介して圧縮機22へ導入され、圧縮機22で所定圧力に圧縮された後、冷媒導入部24Aから凝縮器24(一次冷媒冷却器)へ導入される。凝縮器24では、加圧され昇温した一次冷媒を水または空気により冷却し、冷却されて液化した一次冷媒を導出部24Bから流出させ、配管23および減圧弁25を経て冷媒導入部18Dから蒸発器18へ導入する。
【0036】
本実施形態では、冷却効率の観点から、蒸発器18の冷媒導入部18Dにおける一次冷媒の温度は-32℃~-22℃であることが好ましく、冷媒導入部18Dにおける一次冷媒の圧力は0.006MPa~0.07MPaであることが好ましい。より好ましくは蒸発器18の冷媒導入部18Dにおける一次冷媒の温度は-28℃~-25℃であり、冷媒導入部18Dにおける一次冷媒の圧力は0.03MPa~0.05MPaである。ただし、本発明はこの範囲に限定されない。
【0037】
次に、図2および図3を用いて本発明の他の実施形態を説明する。これらの実施形態では図1の構成に加えて、ポンプ14よりも上流側において配管19に液体二酸化炭素を一時的に貯留するレシーバタンク16を設けたことを新たな特徴とする。
【0038】
図2の実施形態では、レシーバタンク16に、蒸発器18で冷却され液化された寒剤が配管19を経て導入される。この構成によれば、蒸発器18により液化された寒剤をレシーバタンク16に貯留することにより、レシーバタンク16内で気液分離させて、液体寒剤のみをポンプ14を用いて寒剤流路6へ送ることができる。
【0039】
図3の実施形態では、レシーバタンク16の導出部16Cに、配管17を通じて蒸発器18(熱交換器)の寒剤導入部18Aに接続される一方、レシーバタンク16の導入部16Dは、配管19を通じて蒸発器18の寒剤導出部18Bへ接続されている。これにより、レシーバタンク16内の寒剤の一部は、導出部16Cから配管17を経て寒剤導入部18Aから蒸発器18を通過し、後述する一次冷媒で冷却される。蒸発器18で冷却された寒剤は、導出部18Bから配管19を経て導入部16Dからレシーバタンク16へ入る。
【0040】
レシーバタンク16へは、蒸発器18で冷却された寒剤と、冷却ドラム4の寒剤流路6から戻ってきた寒剤とが導入される。レシーバタンク16の内部では、気液が混じった寒剤を重力によりレシーバタンク16内の上下に気液分離し、液体寒剤のみを液吐出口16Bから導出し、ポンプ14を経て寒剤流路6へ戻す。また、レシーバタンク16内の気体または気液混合した寒剤の一部を導出部16Cから導出させ、寒剤導入部18Aから蒸発器18へ寒剤を供給して冷却および液化する。
【0041】
次に、図4および図5を用いて、製氷機1の冷却ユニットである冷却ドラム4と、その周辺を説明する。これらは先の図1図3いずれの実施形態にも適用できる。この例の冷却ドラム4は、薄片状のフレーク氷P2を連続的に製造するためのものであるが、本発明はフレーク氷の製造に限定されることなく、後述するようにブロック氷やプレート氷、その他の形状の氷の製造に用いることもできる。
【0042】
円筒形の保護カバー2の内側には、先に述べたように3つの冷却ドラム4が上下に重ねて隙間無く配置されている。各冷却ドラム4の周壁部内には、ステンレス等からなる金属製の仕切が螺旋状に配列されることにより、断面矩形状をなす寒剤流路6が螺旋状に形成され、寒剤流路6の始まりと終わりには、入口6Aと出口6Bが形成されている。この実施形態では、入口6Aと出口6Bは同じ側に配置されているが、互いに異なる方向に向けられていても良い。
【0043】
一番下の冷却ドラム4の下端には、冷却ドラム4と同径かつ同軸の円筒状の排水部30が取り付けられ、排水部30の内壁面は、径方向において、その上端が冷却ドラム4の製氷面4Aに揃った位置にあり、下方へいくにしたがって外側へ広がる傾斜面30Aにされている。冷却ドラム4の製氷面4Aに供給され、凍らずに製氷面4Aを伝わって落ちた過剰の水は、排水部30の傾斜面30Aを伝わって冷却ドラム4の製氷面4Aよりも外側の位置に落ちる。
【0044】
冷却ドラム4の下方には、円環状の受水部32が水平に配置されており、受水部32の内周側には上端に行くにつれ径が窄まる受水壁32Aが形成され、傾斜面30Aから落ちる水は受水壁32Aに当たって、受水部32内に溜まる。受水部32の内底面は一方に向かってわずかに傾斜しており、最も低い位置に排水口36が形成され、下面には排水管34が接続されている。これにより、受水部32に溜まった水は排水口36を経て排水管34を流れ、さらに受水部62に貯められ、循環ポンプ60で加圧されて、冷却ドラム4の内面へ水を供給するための給水管56へ供給される。給水管56にはまた、給水ポンプ58を介して図示しない原水供給源から水が供給される。
【0045】
3連の冷却ドラム4の中心軸に沿って、回転軸40が配置されており、回転軸40の上端はモータ42に連結され、回転軸40の下端は軸受44で回転可能に支持されている。回転軸40の上部には、円盤形のノズル支持部46が水平かつ相対回転不能に固定されており、このノズル支持部46の外周面の片側から、複数(この実施形態では3本であるがこれに限定されない)のノズル50が外方へ向けて放射状に取り付けられている。ノズル支持部46の内部には、各ノズル50に連通する水流路48が形成され、水流路48の上端は図5に示すように、受水口48Aとしてノズル支持部46の上面に開口している。
【0046】
ノズル支持部46の上には、リング状の給水部52が回転軸40を通して液密に配置されている。給水部52は不動であるが、回転軸40およびノズル支持部46は、給水部52に対して相対回転可能とされている。給水部52の内部には、給水部52の下面に開口する給水路54が形成され、ノズル支持部46がいずれの回転位置にあっても給水路54は水流路48と気密的に連通している。給水部52には給水管56が連結され、給水管56から供給される水は、給水路54および水流路48を経て、各ノズル50の先端から外方へ散布され、冷却ドラム4の製氷面4Aに当たって流れ落ちる。その過程で、水は冷却ドラム4によって冷却され、冷却ドラム4の製氷面4Aに一定厚さの氷P1が成長する。
【0047】
ノズル支持部46のノズル50と反対側の端部には、支持部64および軸受部66が取り付けられ、軸受部66により、ロータリーカッタ70(破砕機)の回転軸68の上端が回転自在に支持されている。回転軸68の下端は、支持アーム74によって回転自在に支持され、支持アーム74は回転軸40の下部に相対回転不能に固定されている。
【0048】
ロータリーカッタ70は、冷却ドラム4の製氷面4Aに沿って垂直に向けて配置され、ロータリーカッタ70の外周面には緩い螺旋状のスクリュウ刃72が複数本形成されている。ロータリーカッタ70はノズル支持部46の回転に伴って、冷却ドラム4の製氷面4Aに沿って転がり、スクリュウ刃72は、製氷面4Aに堆積した氷P1を1辺が数cm程度の大きさのフレーク状に破砕する。破砕されたフレーク氷P2は、冷却ドラム4の製氷面4Aから垂直に落下し、氷貯留タンク8に溜まるようになっている。
【0049】
前記構成からなる製氷機によれば、図1に示すように、液体二酸化炭素はポンプ14により加圧されて配管12を通り、3つの減圧弁7に分配されて減圧されたうえ、入口6Aから各冷却ドラム4の寒剤流路6に入る。入口6Aでは寒剤である二酸化炭素のほぼ全量が液体である。液体二酸化炭素は寒剤流路6を螺旋状に流れながら、冷却ドラム4を冷却し、潜熱を発生させながら、液体二酸化炭素の一部が徐々に気化していく。
【0050】
この時、制御部15は、ポンプ14の吐出量が「全気化臨界吐出量」の1.6倍以上となるようにポンプ14を制御してもよい。この場合、冷却ドラム4の入口6Aを通過した液体二酸化炭素の0.6/1.6=37.5%以上が液体のまま出口6Bを通過することになる。このように、37.5%を越える比較的に大量の液体二酸化炭素が寒剤流路6の出口6Bに到るまで残存することにより、液体二酸化炭素の潜熱を主に利用して、冷却ドラム4が冷却されることになる。
【0051】
蒸発器18は気体または気液混合の二酸化炭素を冷却し、それによって温度が上昇した気体または気液混合の一次冷媒は、導出部18Cから配管20を通じて圧縮機22で圧縮され、さらに凝縮器24へ送られる。圧縮および昇温された気体または気液混合の一次冷媒は、凝縮器24内で、図示しない冷水または空気と熱交換し、液体一次冷媒にされたあと、配管23および減圧弁25を経て再び蒸発器18へ導入される。
【0052】
本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲において、いかなる構成変更も可能である。
【実施例
【0053】
次に、本発明の実施例を、熱力計算の例も挙げてより具体的に説明する。
図1図5の冷却ドラムを用いたフレーク製氷機において、必要な冷却能力が下記のとおりであったとする。
(1)製氷能力:7000kg/日
(2)冷媒温度 一次冷媒(アンモニア)飽和温度:-28℃、
寒剤(二酸化炭素)飽和温度:-25℃
(3)冷凍能力:53kW(液体二酸化炭素供給温度:-25℃)
(4)原水温度:25℃
(5)氷の潜熱:80kcal/kg
(6)過冷温度:0℃
【0054】
上記の条件で、製氷1kg当たりの冷却熱量は、
q=((25-0)+80)×1(kg)=105(kcal/kg)
製氷能力を7000kg/日にするために必要な冷凍能力は、
冷凍能力(kW)=(7000(kg)×105(kcal/kg))
/(860×24H/日)
=35.6(kW)
【0055】
一時間当たりに必要な冷熱量R(kcal/H)は、
R=7000(kg/日)×105(kcal/H)/24(H/日)
=30625kcal/H
一時間当たりに必要な液体二酸化炭素の供給量は、
W(LCO)=R/(i-i)=30625/(156.5-86.5)
=437.5kg/H
【0056】
一時間当たりに必要な液体二酸化炭素の供給量437.5kg/Hは、-25℃における液体二酸化炭素の体積流量に換算すると
V(LCO)=0.416m/H
になる。これが、前記運転条件における全気化臨界吐出量V(m/H)である。
したがって、この実施形態で必要なポンプ14による液体二酸化炭素の吐出量は、
0.416(m/H)×1.6以上
=0.6656(m/H)以上である。このように、ポンプ14による液体二酸化炭素の吐出量が計算できる。
【0057】
なお、ポンプ14による液体二酸化炭素の吐出量が変化した場合に、冷却ドラム4の出口6Bにおける気液混合二酸化炭素の流速がどのように変わるかを計算し、出口6Bでの流速が過度に高くなっていないか検証すると、下記のとおりである。
【0058】
[全気化臨界吐出量V×1倍での出口6Bの流速(従来例)]
各冷却ドラム4の入口6Aでの流量は、冷却ドラム4が3つあるから、
0.416(m/H)/3=0.139(m/H)である。
この場合、各冷却ドラム4の出口6Bでは全量が気体になる。-25℃における気体二酸化炭素のガス比容積=0.0228m/kgであるから、-25℃における気体二酸化炭素の流量は、
ガス流量=437.5(kg/H)×0.0228(m/kg)
=9.975(m/H)となる。
したがって、出口6Bでのガス流速は、
9.975(m/H)/(3×3600)
/(0.0275m×0.017m)(寒剤流路6の断面積)
=1.975(m/s)となる。
【0059】
[全気化臨界吐出量V×2倍での出口6Bの流速(実施例1)]
この場合、各冷却ドラム4の出口6Bでは1/2量が気体になる。よって、出口6Bでの気液混合体の流速は、
(0.416(m/H)+9.975(m/H))/(3×3600)
=2.06(m/s)となる。
【0060】
[全気化臨界吐出量V×3倍での出口6Bの流速(実施例2)]
この場合、各冷却ドラム4の出口6Bでは1/3量が気体になる。よって、出口6Bでの気液混合体の流速は、
(0.416(m/H)×2+9.975(m/H))/(3×3600)
=2.14(m/s)となる。
【0061】
[全気化臨界吐出量V×4倍での出口6Bの流速(実施例3)]
この場合、各冷却ドラム4の出口6Bでは1/4量が気体になる。よって、出口6Bでの気液混合体の流速は、
(0.416(m/H)×3+9.975(m/H))/(3×3600)
=2.22(m/s)となる。
【0062】
以上の計算からわかるように、ポンプ14による吐出量を、全気化臨界吐出量Vの1倍から4倍に増大させても、出口6Bでの気液混合体の流速は1.124倍に増えるに過ぎない。よって、製氷機の各部に過大な負荷をかけることはない。
【0063】
次に、表1に全気化臨界吐出量(COポンプ流量)を9.3L/minとした場合の流量の適正を示す。本発明の実施形態で述べたように全気化臨界吐出量の1.6倍以上の9.3(L/min)×1.6=14.8(L/min)を境に製氷量に差が出ることがわかる。実施例では、ポンプ吐出量を全気化臨界吐出量の1.6倍以上である15.2L/min流した場合製氷量は9888kg/日であり、1.6倍に満たない14.5L/min流した場合製氷量は8256kg/日であった。
【0064】
【表1】
【0065】
次に、図6は、寒剤としての二酸化炭素流量と、製氷量の関係を示すグラフであり、下記の条件で測定した。使用した装置は、図1および図4に示す実施形態と同じである。
(1)製氷能力:10000kg/日
(2)冷媒温度 一次冷媒(アンモニア)飽和温度:-28℃、
寒剤(二酸化炭素)飽和温度:-25℃
(3)冷凍能力:53kW(液体二酸化炭素供給温度:-25℃)
(4)原水温度:25℃
(5)氷の潜熱:80kcal/kg
(6)過冷温度:0℃
(7)フレーク氷の厚さ:1.5mm
図6に示すように、「全気化臨界吐出量」の1.6倍である流量域で製氷量が不連続的に上昇し、その後、緩やかに下降する傾向が得られた。このような傾向は従来知られておらず、本発明の顕著な効果が確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の製氷機によれば、製氷面における製氷ムラが少なく、氷の生産効率を高めて省エネルギー化を図ることができ、さらに、高品質の氷を作ることが可能であるから、本発明は産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1:製氷機、2:保護カバー、4:冷却ドラム(製氷ユニット)、6:寒剤流路、
8:氷貯留タンク、6A:入口、6B:出口、7:減圧弁、8:氷貯留タンク、
9:温度センサー、10:配管、14:ポンプ、15:制御部、16:レシーバタンク
18:蒸発器(熱交換器)、20:配管、22:圧縮機、
24:凝縮器(一次冷媒冷却機)、
30:排水部、32:受水部、32A:受水壁、34:排水管
36:排水口、40:回転軸、42:モータ、44:軸受、46:ノズル支持部
48:水流路、48A:受水口、50:ノズル、52:給水部、54:給水路
56:給水管、58:給水ポンプ、60:循環ポンプ、62:受水部
64:支持部、66:軸受部、68:回転軸、70:ロータリーカッタ(破砕機)
72:スクリュウ刃、74:支持アーム、P1:氷、P2:フレーク氷。
図1
図2
図3
図4
図5
図6