(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】システム、基板処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20230210BHJP
【FI】
G06F8/65
(21)【出願番号】P 2021546108
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2019036568
(87)【国際公開番号】W WO2021053755
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 真一朗
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-265877(JP,A)
【文献】特開2017-21545(JP,A)
【文献】特開2006-253383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモジュールをそれぞれ制御する複数のサブコントローラと、
前記複数のモジュールに現在設定されているシステムファイルを格納する第1格納部と、前記複数のモジュールに対するシステムファイルのアップロード又はダウンロードの履歴を履歴情報として格納する第2格納部とを備えた記憶部を有するメインコントローラと、を有するシステムであって、
前記メインコントローラは、前記複数のサブコントローラとの間でシステムファイルを送受信した際に、送受信したシステムファイルと、前記第1格納部に格納されているシステムファイルとの比較結果に応じて、送受信したシステムファイルを前記第1格納部に格納すると共に、前記システムファイルの履歴情報を前記第2格納部に格納するシステム。
【請求項2】
前記メインコントローラは、前記複数のモジュールにおいて使用されるシステムファイルの変更履歴が分かるような履歴情報を前記第2格納部に格納するように構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記メインコントローラは、前記複数のモジュールを対象にアップロード又はダウンロードされたシステムファイルを前記第2格納部に格納すると同時に前記第1格納部に格納するように構成されている請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記メインコントローラは、
前記複数のモジュールを対象とするシステムファイルがアップロードされ、アップロードされたシステムファイルが前記第1格納部に格納されていたものと異なるとき、または、前記複数のモジュールへシステムファイルをダウンロードし、ダウンロードしたシステムファイルが前記第1格納部に格納されていたものと異なるとき、アップロードされ又はダウンロードされたシステムファイルを前記第1格納部に格納すると共に、前記システムファイルの履歴情報を前記第2格納部に格納するよう構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記メインコントローラは、前記複数のモジュールとの接続時に、接続されたモジュールを対象とする前記システムファイルのアップロード要求を行うよう構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記メインコントローラは、前記複数のモジュールを対象にアップロード又はダウンロードされたシステムファイルを、前記第2格納部の、前記システムファイルに対してアップロード又はダウンロードを行った日付をフォルダ名としたフォルダに格納するよう構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記メインコントローラは、前記フォルダ名に、前記第2格納部へ格納された順番に1ずつ増加させたシリアル番号と、前記システムファイルに対してアップロード又はダウンロードを行った時刻を付加する請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記メインコントローラは、新たにモジュールが接続された場合、新たに接続されたモジュールを対象とするシステムファイルがアップロードされ、前記第1格納部に格納されているシステムファイルと新たに接続されたモジュールを対象とするシステムファイルを比較し相違がない場合には何もしない請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記メインコントローラは、指定された日付に基づき前記第2格納部を検索し、前記フォルダの中で、指定された日付より前のモジュールに関する最新のシステムファイルを1つだけ残すよう構成されている請求項6記載のシステム。
【請求項10】
前記メインコントローラは、指定された日付より前のモジュールに関する最新のシステムファイルより過去の前記モジュールに関するシステムファイルを消去するよう構成されている請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記メインコントローラは、中身が空の前記フォルダを消去するよう構成されている請求項6記載のシステム。
【請求項12】
前記第1格納部には、前記複数のモジュールを対象にダウンロードされたシステムファイルと同じものが格納されるよう構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記第2格納部には、前記複数のモジュールに対してアップロード又はダウンロードされたシステムファイルの情報が時系列で格納される請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記第2格納部には、前記複数のモジュールを対象にアップロード又はダウンロードを行った日時をフォルダ名としたフォルダが格納され、前記フォルダには、アップロード又はダウンロードされたシステムファイルと、アップロード又はダウンロードを行った対象のモジュールに関する情報が格納される請求項3記載のシステム。
【請求項15】
複数のモジュールをそれぞれ制御する複数のサブコントローラと、
前記複数のモジュールに現在設定されているシステムファイルを格納する第1格納部と、前記複数のモジュールに対するシステムファイルのアップロード又はダウンロードの履歴を履歴情報として格納する第2格納部とを備えた記憶部を有するメインコントローラと、を有する基板処理装置であって、
前記メインコントローラは、前記複数のサブコントローラとの間でシステムファイルを送受信した際に、送受信したシステムファイルと、前記第1格納部に格納されているシステムファイルとの比較結果に応じて、送受信したシステムファイルを前記第1格納部に格納すると共に、前記システムファイルの履歴情報を前記第2格納部に格納する基板処理装置。
【請求項16】
複数のモジュールをそれぞれ制御する複数のサブコントローラと、
前記複数のモジュールに現在設定されているシステムファイルを格納する第1格納部と、前記複数のモジュールに対するシステムファイルのアップロード又はダウンロードの履歴を履歴情報として格納する第2格納部とを備えた記憶部を有するメインコントローラとの間でシステムファイルを送受信した際、送受信したシステムファイルと、前記第1格納部に格納されているシステムファイルとの比較結果に応じて、送受信したシステムファイルを前記第1格納部に格納すると共に、前記システムファイルの履歴情報を前記第2格納部に格納する工程と、
前記システムファイルを用いてプロセスレシピを実行して基板を処理する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
複数のモジュールをそれぞれ制御する複数のサブコントローラと、前記複数のモジュールに現在設定されているシステムファイルを格納する第1格納部と、前記複数のモジュールに対するシステムファイルのアップロード又はダウンロードの履歴を履歴情報として格納する第2格納部とを備えた記憶部を有するメインコントローラと、を備えた基板処理装置で実行されるプログラムであって、
前記メインコントローラと前記サブコントローラ間で前記システムファイルを送受信する手順では、
送受信したシステムファイルと、前記第1格納部に格納されているシステムファイルとの比較結果に応じて、送受信したシステムファイルを前記第1格納部に格納すると共に、前記システムファイルの履歴情報を前記第2格納部に格納する手順を前記メインコントローラにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム、基板処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に所定の処理を施す基板処理装置の一つである半導体製造装置は、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)やシーケンサ等の各種モジュールを制御することによって、基板への所定の処理を行っている。半導体製造装置を用いて処理を行った場合に、各種モジュールの設定データの組み合わせによって処理結果が大きく変わることがある。
【0003】
特許文献1には、基板を処理するプロセスモジュールと、第1のパラメータファイルにしたがってプロセスモジュール内の温度、圧力、ガス流量を制御する処理コントローラと、第2のパラメータファイルにしたがって基板を搬送するための機構を制御する搬送コントローラと、処理コントローラおよび搬送コントローラに対して基板の処理を実行させるための制御指示を行う操作コントローラとを備え、操作ユニットが、第1パラメータファイル及び第2パラメータファイルと操作コントローラが保持する第3パラメータファイルとの整合性を確認し、整合性がとれている場合は、制御指示を行う技術が開示されている。
【0004】
ここで、成膜のために用いられる設定データやテーブルファイルをシステムファイルという。また、半導体製造装置等には、システムファイルの組み合わせを保存するためにバックアップと呼ばれる機能がある。また、その組み合わせを復元(ダウンロード)するためにリストアという機能がある。そして、半導体製造装置に用いられているソフトウェアのバージョンアップを行う際に、各種モジュールの設定データが消去されてしまう可能性があるため、バージョンアップを行う前にバックアップを行なって、バージョンアップを行った後にリストアを行う場合がある。このとき、バックアップを忘れてバージョンアップを行う等、システムファイルを元の状態に復元できないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、システムファイルのデータに影響を与えずに、半導体製造装置に搭載されているソフトウェアのバージョンアップを実行することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
複数のモジュールをそれぞれ制御する複数のサブコントローラと、
前記複数のモジュールに現在設定されているシステムファイルを格納する第1格納部と、前記複数のモジュールに対するシステムファイルのアップロード又はダウンロードの履歴を履歴情報として格納する第2格納部とを備えた記憶部を有するメインコントローラと、を有するシステムであって、
前記メインコントローラは、前記複数のサブコントローラとの間でシステムファイルを送受信した際に、送受信したシステムファイルと、前記第1格納部に格納されているシステムファイルとの比較結果に応じて、送受信したシステムファイルを前記第1格納部に格納すると共に、前記システムファイルの履歴情報を前記第2格納部に格納する技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、システムファイルのデータに影響を与えずに、半導体製造装置に搭載されているソフトウェアのバージョンアップを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置を示す斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置を示す側断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置の制御システムの概略構成図である。
【
図4】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラのハードウェア構成を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの記憶部を説明するためのブロック図である。
【
図6】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの記憶部に格納されるシステムファイルの履歴情報について説明するための図である。
【
図7】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作を示すフロー図である。
【
図8】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作について説明するための図である。
【
図9】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作について説明するための図である。
【
図10】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作を示すフロー図である。
【
図11】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作について説明するための図である。
【
図12】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作について説明するための図である。
【
図13】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作を示すフロー図である。
【
図14】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作について説明するための図である。
【
図15】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作を示すフロー図である。
【
図16】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作について説明するための図である。
【
図17】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作について説明するための図である。
【
図18】本開示の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のメインコントローラの動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本開示の一実施形態について説明する。先ず、
図1、
図2に於いて、本開示が実施される基板処理装置10について説明する。
【0011】
基板処理装置10は筐体111を備え、該筐体111の正面壁111aの下部にはメンテナンス可能な様に設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設され、該正面メンテナンス口103は正面メンテナンス扉104によって開閉される。
【0012】
筐体111の正面壁111aにはポッド搬入搬出口112が筐体111の内外を連通する様に開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ(搬入搬出口開閉機構)113によって開閉され、ポッド搬入搬出口112の正面前方側にはロードポート(基板搬送容器受渡し台)114が設置されており、ロードポート114は載置されたポッド110を位置合せする様に構成されている。
【0013】
ポッド110は密閉式の基板搬送容器であり、図示しない工程内搬送装置によってロードポート114上に搬入され、又、ロードポート114上から搬出される様になっている。
【0014】
筐体111内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚(基板搬送容器格納棚)105が設置されており、回転式ポッド棚105は複数個のポッド110を格納する様に構成されている。
【0015】
回転式ポッド棚105は垂直に立設されて間欠回転される支柱116と、該支柱116に上中下段の各位置に於いて放射状に支持された複数段の棚板(基板搬送容器載置棚)117とを備えており、棚板117はポッド110を複数個宛載置した状態で格納する様に構成されている。
【0016】
回転式ポッド棚105の下方には、ポッドオープナ(基板搬送容器蓋体開閉機構)121が設けられ、ポッドオープナ121はポッド110を載置し、又ポッド110の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0017】
ロードポート114と回転式ポッド棚105、ポッドオープナ121との間には、ポッド搬送機構(容器搬送機構)118が設置されており、ポッド搬送機構118は、ポッド110を保持して昇降可能、水平方向に進退可能となっており、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ121との間でポッド110を搬送する様に構成されている。
【0018】
筐体111内の前後方向の略中央部に於ける下部には、サブ筐体119が後端に亘って設けられている。サブ筐体119の正面壁119aにはウエハ(基板)200をサブ筐体119内に対して搬入搬出する為のウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が一対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120に対してポッドオープナ121がそれぞれ設けられている。
【0019】
ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122と、ポッド110の蓋を開閉する開閉機構123とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110の蓋を開閉機構123によって開閉することにより、ポッド110のウエハ出入口を開閉する様に構成されている。
【0020】
サブ筐体119はポッド搬送機構118や回転式ポッド棚105が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室124を構成している。移載室124の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されており、ウエハ移載機構125は、ウエハ200を載置する所要枚数(図示では5枚)のウエハ載置プレート125cを具備し、ウエハ載置プレート125cは水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又昇降可能となっている。ウエハ移載機構125はボート(基板保持体)217に対してウエハ200を装填及び払出しする様に構成されている。
【0021】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機部126が構成され、待機部126の上方には縦型の処理炉202が設けられている。処理炉202は内部に処理室201を形成し、処理室201の下端部は炉口部となっており、炉口部は炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉される様になっている。
【0022】
筐体111の右側端部とサブ筐体119の待機部126の右側端部との間にはボート217を昇降させる為のボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台に連結されたアーム128には蓋体としてのシールキャップ129が水平に取付けられており、シールキャップ129はボート217を垂直に支持し、ボート217を処理室201に装入した状態で炉口シャッタ147を気密に閉塞可能となっている。
【0023】
ボート217は、複数枚(例えば、50枚~125枚程度)のウエハ200をその中心に揃えて水平姿勢で多段に保持する様に構成されている。
【0024】
ボートエレベータ115側と対向した位置にはクリーンユニット134が配設され、クリーンユニット134は、清浄化した雰囲気若しくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給する様供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。ウエハ移載機構125とクリーンユニット134との間には、ウエハ200の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
【0025】
クリーンユニット134から吹出されたクリーンエア133は、ノッチ合せ装置(図示せず)及びウエハ移載機構125、ボート217に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、筐体111の外部に排気がなされるか、若しくはクリーンユニット134によって移載室124内に吹出されるように構成されている。
【0026】
次に、
図3を参照して、メインコントローラ242を中心とした制御システム240の構成について説明する。
図3に示すように、制御システム240は、メインコントローラ242と、搬送制御部としての搬送系コントローラ244と、処理制御部としてのプロセス系コントローラ246と、管理装置248と、外部上位コンピュータ250と、を備え、それぞれLAN(Local Area Network)により接続されている。
【0027】
搬送系コントローラ244は、主に回転式ポッド棚105、ボートエレベータ115、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118、ウエハ移載機構(基板移載機構)125等の搬送モジュールに接続されている。搬送系コントローラ244は、回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115、ポッド搬送装置118、ウエハ移載機構125等の搬送モジュールの搬送動作をそれぞれ制御するように構成されている。
【0028】
プロセス系コントローラ246は、温度コントローラ246a、圧力コントローラ246b、ガス流量コントローラ246c及びシーケンサ246dを備えている。
【0029】
温度コントローラ246aには、主にヒータ及び温度センサ等により構成される加熱機構246Aが接続されている。温度コントローラ246aは、処理炉202のヒータの温度を制御することで処理炉202内の温度を調節するように構成されている。なお、温度コントローラ246aは、サイリスタのスイッチング(オンオフ)制御を行い、ヒータ素線に供給する電力を制御するように構成されている。
【0030】
圧力コントローラ246bには、主に圧力センサ、圧力バルブとしてのAPCバルブ及び真空ポンプにより構成されるガス排気機構246Bが接続されている。圧力コントローラ246bは、圧力センサにより検知された圧力値に基づいて、処理室201内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、APCバルブの開度及び真空ポンプのスイッチング(オンオフ)を制御するように構成されている。
【0031】
ガス流量コントローラ246cは、MFC等のガス供給機構により構成される。シーケンサ246dには、バルブ246Dが接続され、処理ガス供給管,パージガス供給管からのガスの供給や停止を、バルブ246Dを開閉させることにより制御するように構成されている。また、プロセス系コントローラ246は、処理室201内に供給するガスの流量が所望のタイミングにて所望の流量となるように、ガス流量コントローラ246c(MFC)、シーケンサ246d(バルブ246D)を制御するように構成されている。
【0032】
すなわち、プロセス系コントローラ246(温度コントローラ246a、圧力コントローラ246b、ガス流量コントローラ246c及びシーケンサ246d)は、主に加熱機構246A、ガス排気機構246B、ガス供給機構(MFC)、バルブ246D等のプロセスモジュールに接続されている。プロセス系コントローラ246は、加熱機構246A、ガス排気機構246B、ガス供給機構(MFC)、バルブ246D等のプロセスモジュールの基板処理動作をそれぞれ制御するように構成されている。
【0033】
搬送系コントローラ244とプロセス系コントローラ246(温度コントローラ246a、圧力コントローラ246b、ガス流量コントローラ246c及びシーケンサ246d)は、それぞれサブコントローラを構成する。また、メインコントローラ242は、LAN252により搬送系コントローラ244及びプロセス系コントローラ246と電気的に接続されているため、それぞれ搬送モジュールやプロセスモジュールを対象とするシステムファイルの送受信を行ったり、システムファイルのダウンロード及びアップロード等が可能な構成となっている。
【0034】
尚、本開示の実施の形態にかかるメインコントローラ242、搬送系コントローラ244、プロセス系コントローラ246は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM、USBなど)308から当該プログラムをインストールすることにより、所定の処理を実行する各コントローラを構成することができる。
【0035】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板に当該プログラムを掲示し、このプログラムをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、所定の処理を実行することができる。
【0036】
次に、メインコントローラ242の構成を、
図4を参照しながら説明する。
【0037】
メインコントローラ242は、処理部としてのCPU(中央処理装置)301、一時記憶部としてのメモリ(RAM、ROM等)302、ハードディスク(HDD)等の記憶部303、通信部としての送受信モジュール304、表示部としての表示装置305、時計機能(図示せず)を備えたコンピュータとして構成されている。記憶部303には、詳細には後述するが、処理条件及び処理手順が定義されたレシピ等の各レシピファイル、これら各レシピファイルを実行させるための制御プログラムファイル、処理条件及び処理手順を設定するためのパラメータファイル等の各モジュールのシステムファイル等が格納されている。
【0038】
表示装置305には基板処理装置10を操作するための操作画面が表示されるように構成されている。表示装置305の操作画面は、例えば液晶表示パネルである。表示装置305の操作画面には、搬送モジュールやプロセスモジュール等の各モジュールの状態を確認するための画面を有する。表示装置305は、操作画面を介して基板処理装置10内で生成される情報を操作画面に表示する。また、表示装置305は、操作画面に表示された情報をメインコントローラ242に挿入されたUSBメモリなどのデバイスに出力させる。表示装置305は、操作画面からの作業者の入力データ(入力指示)を受け付け、入力データをCPU301に送信する。また、表示装置305は、後述の記憶部303等に格納されたシステムファイルのうち任意のシステムファイルをダウンロードさせる指示(制御指示)を受け付け、CPU301に送信するようになっている。
【0039】
なお、メインコントローラ242の送受信モジュール304には、スイッチングハブ等が接続されており、CPU301が、ネットワークを介してサブコントローラとしての搬送系コントローラ244やプロセス系コントローラ246等の外部のコンピュータとシステムファイル等のデータの送信及び受信を行うように構成されている。また、メインコントローラ242は、CPU301及びメモリ302などを少なくとも含む主制御部306と、ネットワークを介して外部のコンピュータなどとデータの送信及び受信を行う送受信モジュール304と、ハードディスクドライブなどの記憶部303の他、液晶ディスプレイなどの表示部並びにキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを含むユーザインタフェース(UI)部などを含む構成でも構わない。また、主制御部306は、更に送受信モジュール304を含む構成としても良い。ここで、本実施形態において、メインコントローラ242から処理条件及び処理手順が定義されたレシピ等の各レシピファイルを各サブコントローラにダウンロードする際、処理条件及び処理手順を設定するためのパラメータファイル等の各モジュールを対象とするシステムファイルも付随して(セットで)、サブコントローラにダウンロードするよう構成されている。
【0040】
また、メインコントローラ242は、ネットワークを介して外部上位コンピュータ250や管理装置248に対して基板処理装置10の状態など装置データを送信する。
【0041】
次に、基板処理装置10を用いて実施する所定の処理工程を有する基板処理工程について説明する。ここで、所定の処理工程は、半導体デバイスの製造工程の一工程である基板処理工程を実施する場合を例に挙げる。
【0042】
基板処理工程の実施にあたって、実施すべき基板処理に対応する基板処理レシピ(プロセスレシピ)が、例えば、プロセス系コントローラ246内や搬送系コントローラ244内のRAM等のメモリに展開される(ダウンロードされる)。そして、必要に応じて、メインコントローラ242からプロセス系コントローラ246や搬送系コントローラ244へ動作指示が与えられる。
【0043】
(移載工程)
メインコントローラ242からは、搬送系コントローラ244に対して、搬送モジュールの駆動指示が発せられる。そして、搬送系コントローラ244からの指示に従いつつ、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放される。ロードポート114上のポッド110はポッド搬送装置118によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口112を通して搬入され、回転式ポッド棚105の指定された棚板117へ載置される。ポッド110は回転式ポッド棚105で一時的に保管された後、ポッド搬送装置118により棚板117からいずれか一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、若しくはロードポート114から直接載置台122に移載される。
【0044】
この際、ウエハ搬入搬出口120は開閉機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満している。例えば、移載室124にはクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体111の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遙かに低く設定されている。
【0045】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aに於けるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が開閉機構123によって取外され、ウエハ出入口が開放される。
【0046】
ポッド110がポッドオープナ121によって開放されると、ウエハ200はポッド110からウエハ移載機構125によって取出され、授受ステージ122上のポッド110からボート217へのウエハ200の移載処理を開始する。この移載処理は、予定された全てのウエハ200のボート217への装填(ウエハチャージ)が完了するまで行われる。
【0047】
(搬入工程)
指定枚数のウエハ200がボート217に装填されると、ボート217は、搬送系コントローラ244からの指示に従って動作するボートエレベータ115によって上昇されて、処理炉202内に形成される処理室201に装入(ボートロード)される。ボート217が完全に装入されると、ボートエレベータ115のシールキャップ129は、処理炉202のマニホールドの下端を気密に閉塞する。
【0048】
(成膜工程)
その後は、処理室201内は、圧力コントローラ246bからの指示に従いつつ、所定の成膜圧力(真空度)となるように真空排気装置によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサで測定され、この測定された圧力情報に基づき圧力調整装置がフィードバック制御される。また、処理室201内は、温度コントローラ246aからの指示に従いつつ、所定の温度となるようにヒータによって加熱される。この際、処理室201内の温度が所定の温度(成膜温度)となるように、温度検出器としての温度センサが検出した温度情報に基づきヒータへの通電具合がフィードバック制御される。続いて、搬送系コントローラ244からの指示に従いつつ、回転機構によるボート217及びウエハ200の回転を開始する。そして、所定の圧力、所定の温度に維持された状態で、ボート217に保持された複数枚のウエハ200に所定のガス(処理ガス)を供給して、ウエハ200に所定の処理(例えば成膜処理)がなされる。
【0049】
(搬出工程)
ボート217に載置されたウエハ200に対する成膜工程が完了すると、搬送系コントローラ244からの指示に従いつつ、その後、回転機構によるボート217及びウエハ200の回転を停止させ、ボートエレベータ115によりシールキャップ129を下降させてマニホールドの下端を開口させるとともに、処理済のウエハ200を保持したボート217を処理炉202の外部に搬出(ボートアンロード)する。
【0050】
(回収工程)
そして、処理済のウエハ200を保持したボート217は、クリーンユニット134から吹出されるクリーンエア133によって極めて効果的に冷却される。そして、例えば150℃以下に冷却されると、ボート217から処理済のウエハ200を脱装(ウエハディスチャージ)してポッド110に移載した後に、新たな未処理ウエハ200のボート217への移載が行われる。
【0051】
プロセスレシピを実行することにより、以上のような各工程を繰り返すことで、本実施形態に係る基板処理装置10は、例えば、ウエハ200上へのシリコン膜の形成を、高スループットで行うことができる。
【0052】
ここで、メインコントローラ242の記憶部303には、搬送モジュールやプロセスモジュール等の各種モジュールの動作を実行するための設定データやレシピ等のシステムファイルが格納されている。成膜が実行された際のヒータの温度やガス流量等の各種モジュールのシステムファイルの組み合わせは、その組み合わせによって成膜結果が異なるため、保存しておくことが望ましい。本実施形態によれば、メインコントローラ242において、基板処理工程における任意の時点でのシステムファイルの組み合わせを復元できるように、各種モジュールにおいてシステムファイルのアップロードやダウンロードを行った際に、アップロードされたシステムファイル又はダウンロードしたシステムファイルをメインコントローラ242の記憶部303に格納する。以下、本明細書において、搬送モジュールとプロセスモジュールを総称するときに、単にモジュールということがある。
【0053】
次に、メインコントローラ242の記憶部303について詳細に説明する。以下において、メインコントローラ242に、搬送系コントローラ244やプロセス系コントローラ246等のサブコントローラがそれぞれ制御するモジュールAとモジュールBが接続されている場合を用いて説明する。
【0054】
記憶部303には、
図5に示すように、第1格納部としてのカレントフォルダ303Aと、第2格納部としての履歴フォルダ303Bが備えられている。ここで、
図5において、搬送系コントローラ244やプロセス系コントローラ246等のサブコントローラは省略している。
【0055】
カレントフォルダ303Aには、複数のモジュールに現在設定されているシステムファイルの組み合わせが格納されている。具体的には、カレントフォルダ303Aには、現在接続されている複数のモジュールを示す(モジュール名称の)サブフォルダが格納され、それぞれのサブフォルダに、それぞれのモジュールに対して現在設定されているシステムファイルが格納される。つまり、
図5に示すように、カレントフォルダ303AのモジュールAのサブフォルダには、モジュールAに現在設定されているシステムファイルFile‐Aが格納され、カレントフォルダ303AのモジュールBのサブフォルダには、モジュールBに現在設定されているシステムファイルFile‐Bが格納される。
【0056】
履歴フォルダ303Bには、各モジュールを対象にアップロード又はダウンロードされたシステムファイルの情報が時系列で格納される。具体的には、モジュールA及びモジュールBを対象にアップロード又はダウンロードが成功したときに、履歴フォルダ303Bに、アップロード又はダウンロードを行った日付をフォルダ名としたサブフォルダが格納され、このサブフォルダに、アップロード又はダウンロードされたシステムファイルに関する情報と、アップロード又はダウンロードを行った対象のモジュールに関する情報が履歴情報として格納される。つまり、履歴フォルダ303Bには、モジュールA及びモジュールBを対象とするシステムファイルの変更履歴が分かるような履歴情報が格納される。
【0057】
図6は、履歴フォルダ303Bに格納されるサブフォルダの一例を示す図である。履歴フォルダ303Bには、履歴フォルダ303Bへ格納された順番に1ずつ増加させたシリアル番号と、システムファイルのアップロード又はダウンロードを行った日付と時刻(日時)をフォルダ名としたサブフォルダが格納される。このサブフォルダには、アップロード又はダウンロードされたシステムファイルに関する情報と、アップロード又はダウンロードを行った対象のモジュールに関する情報が格納される。フォルダ名は、履歴情報として用いられる。
【0058】
次に、対象のモジュールを示すシステムファイルをアップロードする場合のメインコントローラ242のシステムファイルの記憶部303への格納動作について
図7~
図9を用いて説明する。ここで、
図8および
図9において、搬送系コントローラ244やプロセス系コントローラ246等のサブコントローラは省略している。
【0059】
先ず、ステップS10において、メインコントローラ242は、各種モジュールとの接続時に、接続されたモジュールを対象とするシステムファイルのアップロード要求を行う。つまり、メインコントローラ242は、各種モジュールと通信を開始したときや、新たにモジュールが接続されたときに、アップロード要求を行う。これにより、接続されたモジュールを対象とするシステムファイルをもれなく取得することができる。
【0060】
ステップS11において、メインコントローラ242は、システムファイルのアップロードが成功したか否かを判定する。ステップS11において、アップロードを失敗した場合には、ステップS10へ戻る。
【0061】
次に、ステップS12において、メインコントローラ242は、各モジュールを対象にするシステムファイルのアップロードが成功した場合に、アップロードされたシステムファイルと、カレントフォルダ303Aに格納されている対象モジュールのシステムファイルとを比較する。
【0062】
そして、上述のようにアップロードされたシステムファイルと、カレントフォルダ303Aに格納されている対象モジュールのシステムファイルとの比較結果に応じて、ステップS13において、各モジュールを対象とするアップロードを行ったシステムファイルを、カレントフォルダ303Aの対象モジュールのサブフォルダ内に格納(上書き)すると共に、履歴フォルダ303Bにアップロードを行った日付をフォルダ名としたサブフォルダを作成し、このサブフォルダ内に、このシステムファイルを格納する。すなわち、履歴フォルダ303Bにシステムファイルの履歴情報を格納する。
【0063】
具体的には、
図8に示すように、モジュールAを対象とするアップロードされたシステムファイル(File‐AA)が、カレントフォルダ303AのモジュールAのサブフォルダに格納されているシステムファイル(File-A)と異なる場合には、
図9に示すように、アップロードされたモジュールAのシステムファイル(File‐AA)をカレントフォルダ303AのモジュールAのサブフォルダ内に格納して上書きすると共に(同時に)、履歴フォルダ303Bに、履歴フォルダ303Bへ格納されている一番大きいシリアル番号に1増加させたシリアル番号と、システムファイルのアップロードを行った日付と時刻(日時)をフォルダ名としたサブフォルダを作成し、このサブフォルダ内にアップロードを行ったモジュールAに関する情報と、アップロードされたシステムファイルFile-AAが格納される。
【0064】
また、ステップS12において、アップロードされたシステムファイルが、カレントフォルダ303Aの対象モジュールのサブフォルダに格納されたシステムファイルと同一である場合(相違がない場合)には、何もしないで処理を終了する。
【0065】
次に、モジュール対象のシステムファイルをダウンロードする場合のメインコントローラ242のシステムファイルの記憶部303への格納動作について
図10~
図12を用いて説明する。ここで、
図11および
図12において、搬送系コントローラ244やプロセス系コントローラ246等のサブコントローラは省略している。
【0066】
先ず、ステップS20において、メインコントローラ242は、各モジュールを対象とするシステムファイルのダウンロード要求を受け付けて、ダウンロードを行う。ダウンロード要求については、詳細には後述する。
【0067】
ステップS21において、メインコントローラ242は、各モジュールを対象とするシステムファイルのダウンロードが成功したか否かを判定する。ステップS21において、ダウンロードを失敗した場合には、ステップS20へ戻る。
【0068】
次に、ステップS22において、メインコントローラ242は、各モジュールを対象とするシステムファイルのダウンロードが成功した場合に、各モジュール対象のダウンロードしたシステムファイルと、カレントフォルダ303Aに格納されている対象モジュールのシステムファイルとを比較する。
【0069】
そして、各モジュール対象のダウンロードしたシステムファイルと、カレントフォルダ303Aに格納されている対象モジュールのシステムファイルとの比較結果に応じて、ステップS23において、各モジュールを対象にダウンロードを行ったシステムファイルを、カレントフォルダ303Aの対象モジュールのサブフォルダ内に格納(上書き)すると共に、履歴フォルダ303Bにダウンロードを行った日付をフォルダ名としたサブフォルダを作成し、このサブフォルダ内に、このシステムファイルを格納する。すなわち、履歴フォルダ303Bにシステムファイルの履歴情報を格納する。
【0070】
具体的には、メインコントローラ242が、モジュールBを対象とするシステムファイル(File-BB)をダウンロードした場合に、
図11に示すように、モジュールBを対象とするダウンロードしたシステムファイル(File‐BB)が、カレントフォルダ303AのモジュールBのサブフォルダに格納されているシステムファイル(File-B)と異なる場合には、
図12に示すように、ダウンロードしたモジュールBのシステムファイル(File‐BB)をカレントフォルダ303AのモジュールBのサブフォルダ内に格納して上書きすると共に(同時に)、履歴フォルダ303Bに、履歴フォルダ303Bへ格納されている一番大きいシリアル番号に1増加させたシリアル番号と、モジュールBを対象とするシステムファイルのダウンロードを行った日付と時刻(日時)をフォルダ名としたサブフォルダを作成し、このサブフォルダ内にダウンロードを行ったモジュールBに関する情報と、ダウンロードしたシステムファイルFile-BBが格納される。
【0071】
また、ステップS22において、各モジュールを対象とするダウンロードしたシステムファイルが、カレントフォルダ303Aの対象モジュールのサブフォルダに格納されたシステムファイルと同一である場合(相違がない場合)には、何もしないで処理を終了する。
【0072】
つまり、カレントフォルダ303Aには、各モジュールを対象にアップロード又はダウンロードされたシステムファイルと同じものが格納されるよう構成されている。また、メインコントローラ242は、各モジュールを対象にアップロード又はダウンロードされたシステムファイルを、履歴フォルダ303Bの、履歴フォルダ303Bへ格納された順番に1ずつ増加させたシリアル番号と、システムファイルに対してアップロード又はダウンロードを行った日時をフォルダ名としたサブフォルダに格納するよう構成されている。
【0073】
すなわち、メインコントローラ242は、各モジュールを対象にアップロード又はダウンロードされたシステムファイルを時系列順に履歴フォルダ303Bに格納すると同時にカレントフォルダ303Aの各モジュールのサブフォルダに格納(上書き)するように構成されている。これにより、システムファイルの組み合わせを自動的に格納することができ、バックアップをし忘れてもシステムファイルを復元することができる。
【0074】
すなわち、メインコントローラ242は、各モジュールを対象とするシステムファイルがアップロードされ、アップロードされたシステムファイルが、カレントフォルダ303Aの対象モジュールのサブフォルダに格納されたシステムファイルと異なるとき、または、各モジュールを対象とするシステムファイルをダウンロードし、ダウンロードしたシステムファイルが、カレントフォルダ303Aの対象モジュールのサブフォルダに格納されたシステムファイルと異なるとき、アップロードされ又はダウンロードされたシステムファイルを、カレントフォルダ303Aの対象モジュールのサブフォルダ内に上書きして格納すると共に、対象モジュールの上述したシステムファイルの履歴情報を履歴フォルダ303Bに格納するよう構成されている。
【0075】
次に、ある指定された日時におけるシステムファイル群の復元動作について、
図13~
図15を用いて具体的に説明する。例えば、2018年1月24日の10時におけるシステムファイル群を復元する場合を用いて説明する。現在のモジュールAのシステムファイルの設定をFile‐AA、モジュールBのシステムファイルの設定をFile-BBとする。
【0076】
先ず、ステップS30において、メインコントローラ242は、表示装置305の操作画面からの作業者の入力データにより指定された日時におけるシステムファイル群の問い合わせを受け付ける。具体的には、2018/1/24の10:00におけるシステムファイル群の検索を受け付ける。
【0077】
次に、ステップS31において、メインコントローラ242は、対象モジュールを特定する。具体的には、メインコントローラ242は、履歴フォルダ303Bのサブフォルダから2018/1/24の10:00以降に変更されたシステムファイルを検索する。そして、2018/1/24の10:00以降にシステムファイルがFile-AAに変更されたモジュールAと、システムファイルがFile-BBに変更されたモジュールBを特定する。
【0078】
次に、ステップS32において、メインコントローラ242は、特定された対象モジュールの履歴フォルダ303Bに格納されているシステムファイルを特定する。具体的には、2018/1/24の10:00より前であって、モジュールAに関する最も新しい日付フォルダのシステムファイルと、2018/1/24の10:00より前であって、モジュールBに関する最も新しい日付フォルダのシステムファイルを検索する。
【0079】
図14に示すように、指定日時(2018/1/24の10:00)より前のモジュールAの最新の2018/1/23の12:11:12 203ミリ秒のサブフォルダのシステムファイルFile‐Aが特定される。同様に、指定日時(2018/1/24の10:00)より前のモジュールBの最新の2018/1/23の01:10:12 504ミリ秒のサブフォルダのシステムファイルFile‐Bが特定される。
【0080】
次に、ステップS33において、メインコントローラ242は、特定されたシステムファイルの変更履歴を表示する。具体的には、基板処理装置10の2018/1/24の10:00時点におけるモジュールAのシステムファイルFile-Aと、モジュールBのシステムファイルFile-Bが表示される。
【0081】
そして、ステップS40において、メインコントローラ242は、表示装置305の操作画面からの作業者の入力データによりシステムファイルのダウンロード要求を受け付ける。具体的には、ステップS33において表示された2018/1/24の10:00時点におけるシステムファイル群のダウンロード要求を受け付ける。
【0082】
次に、ステップS41において、メインコントローラ242は、システムファイル群をダウンロードする対象のモジュールを特定する。具体的には、ステップS32において特定されたシステムファイルに対応するモジュールを、ダウンロード対象のモジュールとして特定する。
【0083】
次に、ステップS42において、ステップS32において特定されたシステムファイルを特定する。具体的には、ステップS32において特定されたモジュールAのシステムファイルFile-Aと、モジュールBのシステムファイルFile-Bを特定する。
【0084】
次に、ステップS43において、特定されたシステムファイルを対象モジュールにダウンロードする。具体的には、基板処理装置10の2018/1/24の10:00時点におけるシステムファイルFile-AとシステムファイルFile-Bが、それぞれモジュールAとモジュールBを対象にダウンロードされる。これにより、2018/1/24の10:00時点におけるシステムファイル群を復元することができる。
【0085】
そして、上述した
図10におけるステップS20~ステップS23の動作が行なわれる。
【0086】
すなわち、指定日時におけるモジュールAとモジュールBのシステムファイル群(システムファイルの組み合わせ)を特定し、復元することができる。
【0087】
ここで、履歴フォルダ303Bには、各モジュールにおいてシステムファイルが変更される度に記録が追加されていくが、記憶部303の容量には制限があるため、システムファイルを古い日付フォルダの順に削除し、記憶部303の容量制限を満たすことが必要である。しかしながら、不用意に古い履歴順に日付フォルダを消去すると正しく復元できない場合がある。
【0088】
本実施形態では、ある指定日時より前の各モジュールのシステムファイルを削除検討対象として、ある指定日時以降の各モジュールのシステムファイルを復元できるものとしている。具体的には、ある指定日時2018年1月24日以降の各モジュールのシステムファイルの変更履歴を復元可能に設定する場合を例にして
図16~
図18を用いて説明する。
【0089】
先ず、メインコントローラ242は、履歴フォルダ303Bを検索し、指定日時である2018/1/24より前の日付フォルダを削除対象として特定する。そして、削除対象として特定されたシステムファイルの中で、各モジュールの最新のシステムファイルを1つずつだけ残して、各モジュールの残されたシステムファイルより過去のシステムファイルを削除して消去するよう構成されている。すなわち、2018/1/24より前のシステムファイルの中で、モジュールAの最新の日付フォルダ2018/1/23のシステムファイルFile-Aと、モジュールBの最新の日付フォルダ2018/1/23のシステムファイルFile-Bを残して、それより前のモジュールAの日付フォルダ2018/1/9のシステムファイルFile-Oldを削除して消去する。メインコントローラ242は、システムファイルが消去されて中身が空のサブフォルダを消去する。これにより、2018/1/24 0:00時点のシステムファイルの変更履歴を復元することができる。すなわち、記憶部303の容量制限を満たしつつ、ある指定日時までの変更履歴を復元することができる。
【0090】
このように、本開示の各実施形態(本実施形態)によれば、以下の(a)~(h)のうち、少なくとも一つ以上の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、各モジュールに対してアップロード又はダウンロードを行う際にシステムファイルをメインコントローラの記憶部に格納するので、システムファイルの組み合わせを自動的に格納することができる。
(b)また、本実施形態によれば、各モジュールを対象にアップロード又はダウンロードされるシステムファイルをメインコントローラの記憶部に格納するので、時系列でシステムファイルを格納することができ、時系列でシステムファイルを閲覧することができる。
(c)また、本実施形態によれば、メインコントローラの記憶部に時系列でシステムファイルを格納するので、過去の指定日時のシステムファイルの組み合わせ(システムファイル群)をユーザに示すことができる。また、過去の指定日時のシステムファイルの組み合わせを各モジュールに復元させることができる。
(d)また、本実施形態によれば、メインコントローラの記憶部に格納されているシステムファイルの内、指定日時より前のシステムファイルを自動的に消去することができる。
(e)本実施形態によれば、各モジュールを対象にアップロート又はダウンロードされ、アップロード又はダウンロードされたモジュールを対象とするシステムファイルをメインコントローラの記憶部に格納するので、ユーザがシステムファイルをバックアップせずにソフトウェアのバージョンアップを行なってしまった場合であっても、各モジュールのシステムファイルを復元することができる。
(f)また、本実施形態によれば、各モジュールの不揮発性メモリが故障した場合であっても、各モジュールを対象とするシステムファイルがメインコントローラ242の記憶部に格納されているので、復元することができる。
(g)また、本実施形態によれば、ユーザの操作ミスにより、不適切なバックアップ済みシステムファイルをリストアしてしまった場合であっても、各モジュールを対象とするシステムファイルがメインコントローラ242の記憶部に格納されているので、復元することができる。
(h)また、本実施形態によれば、過去の障害発生時に、その時点のシステムファイルを復元したい場合に、各モジュールを対象とするシステムファイルが、それぞれアップロード又はダウンロードされた日時フォルダに格納されているため、障害発生時の日時フォルダを検出することで、障害発生時の各モジュールを対象とするシステムファイルを復元することができる。
【0091】
尚、本開示の実施形態に於ける基板処理装置10は、半導体を製造する半導体製造装置だけではなく、LCD装置の様なガラス基板を処理する装置でも適用可能である。又、露光装置、リソグラフィ装置、塗布装置、プラズマを利用した処理装置等の各種基板処理装置にも適用可能であるのは言う迄もない。
【0092】
以上、本開示の種々の典型的な実施形態を説明してきたが、本開示はそれらの実施形態に限定されず、適宜組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0093】
10 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理室
242 メインコントローラ
244 搬送系コントローラ(サブコントローラ)
246 プロセス系コントローラ(サブコントローラ)
303 記憶部
303A カレントフォルダ(第1格納部)
303B 履歴フォルダ(第2格納部)