(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】非接触式変位計
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
G01B11/00 B
(21)【出願番号】P 2018144933
(22)【出願日】2018-08-01
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 光司
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 裕子
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-098290(JP,A)
【文献】特開2015-001531(JP,A)
【文献】特開2015-104136(JP,A)
【文献】特開平07-113617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定光を出射する光源と、
入力される駆動信号に応じて屈折率が周期的に変化する液体レンズユニットと、
前記光源から出射されて前記液体レンズユニットを通過した前記測定光を測定対象物に照射させる対物レンズと、
前記対物レンズを介して前記測定対象物に、前記測定光とは異なる波長の観察光を照射する照明部と、
前記測定対象物で反射された後に前記対物レンズおよび前記液体レンズユニットを経由した前記測定光および前記観察光のそれぞれを、2方向の光に分離させる光分離部と、
前記光分離部で分離された一方向の光を受光して受光信号を出力する受光部と、
前記受光部から出力される受光信号に基づき、前記測定光が前記測定対象物の表面で合焦した合焦タイミングを算出し、前記駆動信号の周期に対する前記合焦タイミングの位相に基づき、前記測定対象物の位置を求める信号処理部と、
前記光分離部で分離された他方向の光である前記測定光および前記観察光をそれぞれ結像する結像レンズと、
前記結像レンズによって結像された像を撮像する撮像部と、を備えることを特徴とする非接触式変位計。
【請求項2】
請求項1に記載された非接触式変位計において、
前記駆動信号の周期に同期した基準信号を出力する基準信号出力部をさらに備え、
前記信号処理部は、前記基準信号に対する前記合焦タイミングの遅延時間に基づいて、前記駆動信号の周期に対する前記合焦タイミングの位相を算出することを特徴とする非接触式変位計。
【請求項3】
請求項1に記載された非接触式変位計において、
前記信号処理部は、前記駆動信号の1周期中に現れる2つの前記合焦タイミングの時間差に基づいて、前記駆動信号の周期に対する前記合焦タイミングの位相を算出することを特徴とする非接触式変位計。
【請求項4】
請求項
1に記載された非接触式変位計において、
前記撮像部に撮像された画像にデコンボリューション処理を行う画像処理部をさらに備えることを特徴とする非接触式変位計。
【請求項5】
請求項
1または請求項
4に記載された非接触式変位計において、
前記対物レンズの射出瞳と前記液体レンズユニットの主点位置とを共役にするよう配置された複数のリレーレンズをさらに備えることを特徴とする非接触式変位計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式変位計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象物の表面の変位を測定する非接触式変位計として、レーザー変位センサやクロマティックポイントセンサなどが存在する。このような非接触式変位計では、測定光の合焦位置を変化させながら測定対象物での反射光を検出することで、測定対象物の表面までの距離を求めている。
【0003】
例えば、レーザー変位センサは、共焦点方式等を利用しており、対物レンズを光軸上で駆動することで測定光の合焦位置を変化させる。そして、測定対象物の表面で反射した測定光を検出したときの対物レンズの光軸上の位置情報に基づいて、測定対象物の表面までの距離を求める(例えば特許文献1参照)。
一方、クロマティックポイントセンサは、白色共焦点方式を利用しており、白色光源を軸上色収差によって分散させることで、測定光の波長毎の合焦位置を変化させる。そして、波長毎の強度プロファイルを分析することで、測定対象物の表面で合焦した波長光を検出し、当該波長光に基づいて測定対象物の表面までの距離を求める(例えば特許文献2参照)。
【0004】
ところで、近年、屈折率が周期的に変化する液体レンズシステム(以下単にレンズシステムと呼ぶ)を利用した焦点距離可変レンズが開発されている(例えば特許文献3参照)。
レンズシステムは、圧電材料で形成された円筒状の振動部材を、透明な液体に浸漬して形成される。レンズシステムにおいて、振動部材の内周面と外周面とに交流電圧を印加すると、振動部材が厚み方向に伸縮し、振動部材の内側の液体を振動させる。液体の固有振動数に応じて印加電圧の周波数を調整することで、液体には同心円状の定在波が形成され、振動部材の中心軸線を中心として屈折率が異なる同心円状の領域が形成される。このため、レンズシステムにおいて、振動部材の中心軸線に沿って光を通せば、この光は同心円状の領域ごとの屈折率に従って、発散または収束する経路を辿ることになる。
【0005】
焦点距離可変レンズは、前述したレンズシステムと、焦点を結ぶための対物レンズ(例えば通常の凸レンズあるいはレンズ群)とを、同じ光軸上に配置して構成される。
通常の対物レンズに平行光を入射させると、レンズを通過した光は所定の焦点距離にある合焦位置に焦点を結ぶ。これに対し、対物レンズと同軸に配置されたレンズシステムに平行光を入射させると、この光はレンズシステムで発散または収束され、対物レンズを通過した光は元の(レンズシステムがなかった状態の)合焦位置よりも遠くまたは近くにずれた位置に焦点を結ぶ。
従って、焦点距離可変レンズにおいては、レンズシステムに入力される駆動信号(内部の液体に定在波を発生させる周波数の交流電圧)を印加し、この駆動信号の振幅を増減させることで、焦点距離可変レンズとしての合焦位置を一定の範囲内(対物レンズの焦点距離を基準としてレンズシステムにより増減できる所定の変化幅)で任意に制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-23219号公報
【文献】特開2009-122105号公報
【文献】米国特許出願公開第2010/0177376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来の非接触式変位計には、以下の問題が存在する。
レーザー変位計では、対物レンズを駆動するレンズ駆動機構およびレンズ駆動機構の駆動量を測定するためのスケールが必須になり、その構造が複雑化してしまう。一方、クロマティックポイントセンサでは、レンズ駆動機構やスケールが必須でないものの、波長毎の強度プロファイルを分析するために、データ処理量が多くなる。
【0008】
本発明の目的は、構成および処理を簡潔化できる非接触式変位計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の非接触式変位計は、測定光を出射する光源と、入力される駆動信号に応じて屈折率が周期的に変化する液体レンズユニットと、前記光源から出射されて前記液体レンズユニットを通過した前記測定光を測定対象物に照射させる対物レンズと、前記測定対象物で反射された前記測定光を受光して受光信号を出力する受光部と、前記受光部から出力される受光信号に基づき、前記測定光が前記測定対象物の表面で合焦した合焦タイミングを算出し、前記駆動信号の周期に対する前記合焦タイミングの位相に基づき、前記測定対象物の位置を求める信号処理部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成において、液体レンズユニットは、上述したレンズシステムを有しており、入力される駆動信号に応じて屈折率が周期的に変化する。この液体レンズユニットは、対物レンズと共に焦点距離可変レンズを構成しており、焦点距離可変レンズによる測定光の合焦位置は、液体レンズユニットに入力される駆動信号に応じて周期的に変化する。すなわち、測定用光源から出射されて焦点距離可変レンズを通過した測定光は、光軸方向の集光位置を変化させながら測定対象物に照射される。
受光部は、測定対象物で反射された測定光を受光して受光信号を出力する。信号処理部は、受光部から出力される受光信号に基づき、測定光が測定対象物の表面で合焦した合焦タイミングを算出する。
なお、受光信号に基づいて合焦タイミングを求める方法は、共焦点法、ダブルピンホール法、非点収差法、ナイフエッジ法など、様々な焦点検出法を利用することができる。例えば、共焦点法を利用する場合、焦点距離可変レンズは、測定光の合焦位置が測定対象物の表面に一致したときに受光部から出力される受光信号がピークとなるような光学系を構成する。この場合、信号処理部は、受光信号のピーク時刻を合焦タイミングとして算出することができる。
【0011】
ここで、駆動信号の周期に対する合焦タイミングの位相は、対物レンズを通る光軸上における測定対象物の表面の位置に対応する。よって、信号処理部は、駆動信号の周期に対する合焦タイミングの位相に基づき、関数やテーブル等を用いることにより、光軸上の測定対象物の表面位置を求めることができる。
【0012】
以上のように、本発明は、焦点距離可変レンズを用いることにより、従来のレーザー変位計で必須の構成であるレンズ駆動機構およびスケールを用いる必要がない。また、駆動信号および受光信号に基づいて、光軸上の測定対象物の表面位置を求められるため、従来のクロマティックポイントセンサで行うような多量のデータ処理を行わないで済む。
従って、本発明によれば、構成および処理を簡潔化できる非接触式変位計が提供される。
【0013】
本発明の非接触式変位計において、前記駆動信号の周期に同期した基準信号を出力する基準信号出力部をさらに備え、前記信号処理部は、前記基準信号に対する前記合焦タイミングの遅延時間に基づいて、前記駆動信号の周期に対する前記合焦タイミングの位相を算出することが好ましい。
本発明では、信号処理部は、合焦タイミングの位相を簡単な演算によって算出することができる。
【0014】
本発明の非接触式変位計において、前記信号処理部は、前記駆動信号の1周期中に現れる2つの前記合焦タイミングの時間差に基づいて、前記駆動信号の周期に対する前記合焦タイミングの位相を算出することが好ましい。
本発明では、基準信号を必要とせず、合焦タイミングの位相をより簡単な演算によって算出することができる。
【0015】
本発明の非接触式変位計において、前記対物レンズを介して前記測定対象物に観察光を照射する照明部と、前記測定対象物で反射された後に前記対物レンズおよび前記液体レンズユニットを経由した前記観察光を結像する結像レンズと、前記結像レンズによって結像された像を撮像する撮像部と、をさらに備えることが好ましい。
【0016】
本発明では、測定対象物の表面の位置を測定すると共に、測定中の測定対象物の表面を撮像することができる。これにより、測定を実施しながら測定対象物の状態を画像によって確認することができる。なお、測定光が結像レンズに入射する場合には、測定対象物における測定部分の位置を画像によって確認することもできる。
【0017】
本発明の非接触式変位計において、前記撮像部に撮像された画像にデコンボリューション処理を行う画像処理部をさらに備えることが好ましい。
本発明では、画像処理部がデコンボリューション処理を行うことにより、撮像画像からぼけを除くことができる。これにより、焦点距離可変レンズの合焦位置の全変化範囲において、高精度な観察を行うことができる。
【0018】
本発明の非接触式変位計において、前記対物レンズの射出瞳と前記液体レンズユニットの主点位置とを共役にするよう配置された複数のリレーレンズをさらに備えることが好ましい。
本発明では、焦点距離可変レンズによる合焦位置が変動しても、撮像部に入射する像の倍率は一定になるため、視野の変動がなく良好な観察が可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、構成および処理を簡潔化できる非接触式変位計が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る非接触式変位計を示す模式図。
【
図2】前記第1実施形態の液体レンズユニットの構成を示す模式図。
【
図3】前記第1実施形態の液体レンズユニットの振動状態を示す模式図。
【
図4】前記第1実施形態の液体レンズユニットの合焦位置を示す模式図。
【
図5】前記第1実施形態の制御部を模式的に示すブロック図。
【
図6】前記第1実施形態における駆動信号、合焦位置、基準信号および受光信号を示すグラフ。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る非接触式変位計を示す模式図。
【
図8】前記第2実施形態の制御部を模式的に示すブロック図。
【
図9】前記第1実施形態の変形例に係る非接触式変位計を示す模式図。
【
図10】前記第1実施形態の他の変形例に係る非接触式変位計を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態を図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
(非接触変位計)
図1に示すように、非接触式変位計1は、周期的に屈折率が変化する液体レンズユニット3を含んで構成され、液体レンズユニット3を通る光軸Aに交差して配置された測定対象物Wの表面の変位を測定するものである。
具体的には、非接触式変位計1は、測定光Lmを出射する光源6と、測定光Lmの光路を形成する光学系(コリメートレンズ4および導光部5)と、液体レンズユニット3と、液体レンズユニット3と共に焦点距離可変レンズ10を構成する対物レンズ2と、測定対象物Wで反射された測定光を受光する受光部7と、を備えている。
【0022】
さらに、非接触式変位計1は、液体レンズユニット3の動作を制御するレンズ制御部8と、レンズ制御部8を操作するための制御部9と、を備えている。制御部9は、受光信号Smを取り込んで処理し、光軸A上における測定対象物Wの表面の位置を算出する機能も含んでいる。
【0023】
(焦点距離可変レンズ)
対物レンズ2および液体レンズユニット3は、焦点距離可変レンズ10を構成している。
対物レンズ2は、既存の凸レンズあるいはレンズ群で構成される。対物レンズ2は、液体レンズユニット3と同じ光軸A上に配置されている。
液体レンズユニット3は、内部に液体レンズシステムが構成され、レンズ制御部8から入力される駆動信号Cfに応じて屈折率が変化する。駆動信号Cfは、液体レンズユニット3に定在波を発生させる周波数の交流であって、正弦波状の交流信号である。
焦点距離可変レンズ10を通過する光の合焦位置Pfは、対物レンズ2の焦点位置を基本としつつ、液体レンズユニット3の屈折率を変化させることで、任意に変化させることができる。
【0024】
図2において、液体レンズユニット3は、円筒形のケース31を有し、ケース31の内部には円筒状の振動部材32が設置されている。振動部材32は、その外周面33とケース31の内周面との間に介装されたエラストマ製のスペーサ39で支持されている。
振動部材32は、圧電材料を円筒状に形成したものであり、外周面33と内周面34との間に駆動信号Cfの交流電圧が印加されることで、厚み方向に振動する。
ケース31の内部には、透過性の高い液体35が充填されており、振動部材32は全体を液体35に浸漬され、円筒状の振動部材32の内側は液体35で満たされている。駆動信号Cfの交流電圧は、振動部材32の内側にある液体35に定在波を発生させる周波数に調整されている。
【0025】
図3に示すように、液体レンズユニット3においては、振動部材32を振動させると、内部の液体35に定在波が生じ、屈折率が交替する同心円状の領域が生じる(
図3(A)部および
図3(B)部参照)。
このとき、液体レンズユニット3の中心軸線からの距離(半径)と液体35の屈折率との関係は、
図3(C)部に示す屈折率分布Rのようになる。
【0026】
図4において、駆動信号Cfは正弦波状の交流信号であるため、液体レンズユニット3における液体35の屈折率分布Rの変動幅もこれに従って変化する。そして、液体35に生じる同心円状の領域の屈折率が正弦波状に変化し、これにより合焦位置Pfが正弦波状に変動する。なお、
図4では、対物レンズ2の焦点位置から合焦位置Pfまでの距離Dが示される。
図4(A)の状態では、屈折率分布Rの振れ幅が最大となり、液体レンズユニット3は通過する光を収束させ、合焦位置Pfは対物レンズ2に最も近くなっている。
図4(B)の状態では、屈折率分布Rが平坦となり、液体レンズユニット3は通過する光をそのまま通過させ、合焦位置Pf標準的な値となっている。
図4(C)の状態では、屈折率分布Rが
図4(A)と逆極性で振れ幅が最大となり、液体レンズユニット3は通過する光を拡散させ、合焦位置Pfは対物レンズ2から最も遠くなっている。
図4(D)の状態では、再び屈折率分布Rが平坦となり、液体レンズユニット3は通過する光をそのまま通過させ、合焦位置Pfは標準的な値となっている。
図4(E)の状態では、再び
図4(A)の状態に戻っており、以下同様の変動を繰り返すことになる。
このように、焦点距離可変レンズ10においては、駆動信号Cfは正弦波状の交流信号であり、合焦位置Pfも、
図4の変動波形Mfのように正弦波状に変動する。
【0027】
なお、焦点距離可変レンズ10では、焦点距離可変レンズ10の主点が変動することで、焦点距離(焦点距離可変レンズ10の主点から合焦位置Pfまでの距離)が一定のまま、合焦位置Pfが変化する場合も含む。
【0028】
(他の光学系)
図1を再び参照して、非接触式変位計1における焦点距離可変レンズ10以外の光学系について説明する。
光源6は、例えばレーザー光源等であり、測定光を出射する。
導光部5は、ファイバスプリッタ51および光ファイバ52~54を有する。ファイバスプリッタ51は、光ファイバ52~54のそれぞれの一端部が接合される光路を有しており、光ファイバ53から入射される光を光ファイバ52に導き、光ファイバ52から入射される光を光ファイバ54に導くように構成されている。
【0029】
光ファイバ53の他端部は、光源6に接続されている。このため、光源6から出射した測定光Lmは、光ファイバ53、ファイバスプリッタ51、および光ファイバ52を経由し、光ファイバ52の端面520から出射する。ここで、光ファイバ52の端面520は、点光源として機能する。
また、光ファイバ54の他端部は、受光部7に接続されている。このため、光ファイバ52の端面520に入射された測定光は、光ファイバ52、ファイバスプリッタ51および光ファイバ54を経由して受光部7に入射される。
ここで、光ファイバ52の端面520は、コリメートレンズ4の後側焦点Pcに配置されている。すなわち、光ファイバ52の端面520は、焦点距離可変レンズ10による合焦位置Pfに対して共役関係を成す位置に配置されている。
【0030】
コリメートレンズ4は、光軸A上において光ファイバ52の端面520と、液体レンズユニット3との間に配置される。
コリメートレンズ4は、光ファイバ52の端面520から出射した測定光Lmを平行光に変換し、焦点距離可変レンズ10に入射させる。また、コリメートレンズ4は、測定対象物Wで反射して焦点距離可変レンズ10を再通過した測定光Lmを集光する。
【0031】
受光部7は、例えば光電子倍増管やフォトダイオード等であり、光ファイバ54の他端部に接続されている。受光部7は、光ファイバ54を介して入射される測定光Lmを受光し、受光した光の強度に応じた受光信号Smを出力する。
【0032】
以上の構成において、光源6から出射した測定光Lmは、導光部5を経由して光ファイバ52の端面520から出射した後、コリメートレンズ4によって光軸Aに沿って平行化され、焦点距離可変レンズ10を介して測定対象物Wに照射される。測定対象物Wの表面で反射された測定光Lmは、焦点距離可変レンズ10を再通過した後、コリメートレンズ4により集光される。
ここで、焦点距離可変レンズ10による合焦位置Pfは、光軸A方向に周期的に変化する。このため、合焦位置Pfが測定対象物Wの表面に一致しているときのみ、当該表面で反射した測定光Lmが、コリメートレンズ4の後側焦点Pcにスポットを形成し、光ファイバ52の端面520に入射される。
よって、受光部7に入射される測定光Lmは、合焦位置Pfが測定対象物Wの表面に一致しているときに極大化する。すなわち、受光部7が出力する受光信号Smは、合焦位置Pfが測定対象物Wの表面に一致したときにピークを示す。
【0033】
(レンズ制御部)
図5に示すように、レンズ制御部8は、液体レンズユニット3の動作を制御する制御ユニットとして構成され、液体レンズユニット3に駆動信号Cfを出力する駆動信号出力部81を有する。
また、レンズ制御部8は、駆動信号Cfの周期に同期したパルス状の基準信号Scを信号処理部92に出力する基準信号出力部82を有する。駆動信号Cfの周期に対する基準信号Scの出力タイミングは、任意に設定可能である。本実施形態では、基準信号Scは、駆動信号Cfが0レベルに交差する2回に1回のタイミング(例えば
図6では合焦位置Pfの変動波形Mfが正のピークになるタイミング)で立ち上がる。
【0034】
(制御部)
制御部9は、例えばCPU(Central Precessing Unit)およびメモリ等を有するパーソナルコンピュータ等により構成される。制御部9は、所定のソフトウェアを実行することで所期の機能が実現されるものであり、レンズ制御部8の設定を行うレンズ設定部91と、入力される各種信号の処理を行う信号処理部92とを有する。また、制御部9は、メモリ等により構成される記憶部93を有する。
【0035】
レンズ設定部91は、レンズ制御部8が出力する駆動信号Cfの周波数、振幅および最大駆動電圧の設定などを行う。
なお、液体レンズユニット3は、周囲温度の変化等により共振変化数が変化する。このため、レンズ設定部91は、フィードバック制御により駆動信号Cfの周波数をリアルタイムに変化させ、液体レンズユニット3の安定した動作を実現する。
【0036】
信号処理部92には、受光部7から受光信号Smが入力され、レンズ制御部8から基準信号Scが入力される。信号処理部92は、受光信号Smおよび基準信号Scに基づく処理を行うことにより、測定対象物Wの表面の光軸A上の位置(測定対象物位置Pw)を算出する。信号処理部92による信号処理の方法については後述する。
記憶部93には、予め校正用ワークなどを用いて作成されたテーブル94が記憶されている。テーブル94には、後述する駆動信号Cfの周期に対する合焦タイミングTの位相φと測定対象物位置Pwとが対応付けられている。
【0037】
(信号処理部)
次に、本実施形態の信号処理部92における処理について説明する。
信号処理部92は、非接触式変位計1の測定動作開始後、
図6に示すような基準信号Scおよび受光信号Smを取得する。
図6において、焦点距離可変レンズ10による合焦位置Pfは、駆動信号Cfと同じ周期で周期的に変化しておてり、基準信号Scは、駆動信号Cfの周期(合焦位置Pfの変動波形Mfの周期)に同期してパルス状に出力される。
また、
図6には、合焦位置Pfの変化範囲内に位置する測定対象物位置Pwの例を示している。受光信号Smは、合焦位置Pfが測定対象物位置Pwに一致したタイミング(合焦タイミングT)でピークを示し、駆動信号Cfの1周期当たりに2回のピークを示す。
【0038】
まず、信号処理部92は、受光信号Smのピーク時刻を合焦タイミングTとして算出した後、基準信号Scに対する合焦タイミングTの遅延時間Δtを算出する。
本実施形態では、基準信号Scに対する合焦タイミングTの遅延時間Δtとして、基準信号Scの立ち上がり時刻から、この基準信号Scの直後の合焦タイミングTまでの時間を計測する。
【0039】
その後、信号処理部92は、遅延時間Δtに基づいて、駆動信号Cfの周期に対する合焦タイミングTの位相φを算出する。具体的には、遅延時間Δtおよびお駆動信号Cfの周波数fを用い、以下の式(1)に基づいて合焦タイミングTの位相φを算出する。
φ=2πfΔt ・・・式(1)。
このように求められる合焦タイミングTの位相φは、合焦位置Pfの変化範囲における測定対象物位置Pwとの対応関係を有する。
【0040】
その後、信号処理部92は、算出した合焦タイミングTの位相φに基づいて、テーブル94を参照することにより、測定対象物位置Pwを求める。このテーブル94には、予め行われる実験等により、合焦タイミングTの位相φと、測定対象物位置Pwとが対応付けられている。
以上の信号処理部92の信号処理により、非接触式変位計1は、測定対象物位置Pwを測定することができる。なお、信号処理部92は、以上の処理を一定期間毎に行い、求めた測定対象物位置Pwを記憶部93に逐次記憶させてもよい。
【0041】
〔第1実施形態の効果〕
本実施形態の非接触式変位計1は、焦点距離可変レンズ10を用いることにより、従来のレーザー変位計で必須の構成であるレンズ駆動機構およびスケールを用いる必要がない。また、駆動信号Cfおよび受光信号Smを利用して測定対象物位置Pwを求められるため、従来のクロマティックポイントセンサで行うような多量のデータ処理を行わないで済む。
従って、本実施形態によれば、構成および処理を簡潔化できる非接触式変位計1が提供される。
また、本実施形態では、基準信号Scに対する合焦タイミングTの遅延時間Δtに基づいて、駆動信号Cfの周期に対する合焦タイミングTの位相φを算出することによって、測定対象物位置Pwを簡単に求めることができる。
【0042】
また、本実施形態の非接触式変位計1は、従来技術では困難であった対物レンズ2の倍率切換えを容易にする。
具体的には、従来技術において、レーザー変位計では、対物レンズがレンズ駆動機構に組み込まれており、クロマティックポイントセンサでは、対物レンズが白色光を軸上色収差によって分散させる特殊レンズ群と共にモジュール化されている。このため、レーザー変位計およびクロマティックポイントセンサでは、対物レンズのみを倍率の異なる別個のものに交換することは困難であり、異なる測定範囲および分解能で測定するためには、別個の装置を準備することが必要であった。
これに対して、本実施形態の非接触式変位計1では、従来技術のように対物レンズを他の構成と一体化する必要がない。このため、対物レンズ2を倍率の異なる別個の対物レンズ2に切り替え可能な構成とすることが容易である。
【0043】
本実施形態では、合焦位置Pfが測定対象物Wの表面に一致した合焦タイミングTを検出するために共焦点光学系を構成している。このため、他の焦点検出方式を用いた場合よりも、測定対象物Wの表面の傾斜や粗さ等の表面性状による測定精度やの影響を受け難く、測定精度を向上できる。
また、光ファイバ52を利用することにより、熱源となる光源6や受光部7を測定ヘッドとなる部分から離れて配置でき、測定への熱影響を低減できる。
さらに、光ファイバ52の端面520は、共焦点光学系の点光源および検出用ピンホールの両方の役割を果たしているため、製造時の調整工数を大幅に低減することができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の非接触式変位計1Aについて、
図7および
図8を参照して説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0045】
第2実施形態の非接触式変位計1Aは、第1実施形態の非接触式変位計1に対して、測定対象物Wを観察するための構成を追加したものである。
図7に示すように、非接触式変位計1Aは、第1実施形態にて説明した構成に加え、照明部11、光分離部14、反射板15、結像レンズ16および撮像部17を備える。
【0046】
照明部11は、光源112、照明光学系113およびビームスプリッタ114を有する。光源112は、例えばLED(light emitting diode)であり、光源6とは異なる波長の観察光を出射する。照明光学系113は、光源112から出射された観察光を拡散する。ビームスプリッタ114は、対物レンズ2および液体レンズユニット3の間に配置され、照明光学系113から入射される観察光を測定対象物W側に反射させる。また、ビームスプリッタ114は、光軸Aに沿って進む測定光Lmおよび測定対象物Wで反射された観察光を透過させる。
このように照明部11から出射した観察光は、対物レンズ2を介して測定対象物Wに照射される。
【0047】
光分離部14は、例えばビームスプリッタまたはダイクロイックミラーであり、液体レンズユニット3およびコリメートレンズ4の間に配置され、測定対象物Wで反射されて焦点距離可変レンズ10を再通過した光(測定光Lmおよび観察光)を、コリメートレンズ4側に向かう光と、撮像部17側に向かう光とに分離させる。
例えば、光分離部14は、測定対象物Wで反射されて焦点距離可変レンズ10Aを再通過した光を、波長に基づいて分離させ、測定光Lmをコリメートレンズ4側に向かわせ、観察光を撮像部17に向かわせてもよい。
あるいは、光分離部14は、測定対象物Wで反射されて焦点距離可変レンズ10Aを再通過した光を、測定光Lmおよび観察光の区別なく、単に任意の割合で分離してもよい。
【0048】
このような構成において、測定対象物Wで反射されて、焦点距離可変レンズ10Aを再通過した後、光分離部14を透過した測定光は、コリメートレンズ4に入射して集光される。一方、測定対象物Wで反射されて焦点距離可変レンズ10Aを再通過した後、光分離部14で反射された観察光は、反射板15等を経由し、結像レンズ16によって結像される。撮像部17は、結像レンズ16によって結像された像を撮像する。
【0049】
焦点距離可変レンズ10Aは、対物レンズ2および液体レンズユニット3の間に、複数のリレーレンズ21,22を備えている。
リレーレンズ21,22は、対物レンズ2の射出瞳と液体レンズユニット3の主点位置とを共役にするように配置され、テレセントリック光学系を保ちながら対物レンズ2の射出瞳のリレーを行っている。これにより、合焦位置Pfが変動しても、撮像部17に入射する像の倍率は一定になる。
【0050】
図8に示すように、制御部9Aは、画像処理部95を有している。画像処理部95は、撮像部17から画像を取り込んで処理を行う。
ここで、測定対象物Wに照射される観察光は常時照明される一方、合焦位置Pfは周期的に変化する。このため、撮像部17が撮像する画像は、測定対象物Wの表面に合焦したときの像と、当該表面に合焦していないときの像とが混合したものとなり、その結果ぼけたものとなる。
【0051】
そこで、画像処理部95は、撮像部17から取り込んだ画像に対してデコンボリューション処理を行うことで、拡張焦点深度画像を生成する。デコンボリューション処理の具体的方法については、例えば特開2015-104136号公報を参照することができる。
【0052】
このような非接触式変位計1Aによれば、測定対象物Wの表面の光軸A上の位置を測定すると共に、測定対象物Wの表面を撮像することができる。これにより、測定を実施しながら測定対象物Wの状態を画像によって確認することができる。特に、測定光が撮像部17に入射する場合には、測定対象物Wにおける測定部分の位置を画像によって確認できる。
また、拡張焦点深度画像は、撮像画像からぼけが除かれたものであるため、焦点距離可変レンズ10Aによる合焦位置Pfの全可変範囲において、高精度な観察を行うことができる。
また、合焦位置Pfが変動しても、撮像部17に入射する像の倍率は一定になるため、視野の変動がなく良好な観察が可能である。
【0053】
〔変形例〕
本発明は、前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれる。
【0054】
前記各実施形態では、駆動信号Cfおよび合焦位置Pfの変動波形Mfは正弦波であるが、これは三角波、鋸歯状波、矩形波、その他の波形であってもよい。
液体レンズユニット3の具体的構成は、適宜変更してよく、ケース31および振動部材32は円筒状のほか六角筒状などであってもよく、これらの寸法や、液体35の属性も適宜選択することができる。
【0055】
前記各実施形態では、焦点距離可変レンズ10,10Aは、コリメートレンズ4と共に、無限遠補正光学系(コリメートレンズ4による平行光が焦点距離可変レンズ10,10Aに入射する光学系)を構成しているが、これに限定されない。
例えば、
図9に示すように、第1実施形態の変形例である非接触式変位計1Bにおいて、コリメートレンズ4が省略され、焦点距離可変レンズ10が有限遠補正光学系を構成してもよい。このような構成によっても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0056】
前記各実施形態において、導光部5を省略し、ピンホールを利用してもよい。
例えば、
図10に示すように、第1実施形態の変形例である非接触式変位計1Cは、導光部5の替わりに、ビームスプリッタ55およびピンホール部材56,57を備えていてもよい。
具体的には、ビームスプリッタ55は、光源6から出射された測定光Lmをコリメートレンズ4側に折り曲げると共に、コリメートレンズ4側から入射された光をピンホール部材57側に透過させるよう構成されている。ピンホール部材56は、ビームスプリッタ55と光源6との間に配置される。光源6は、ピンホール部材56のピンホールを介して測定光Lmを出射することにより、当該ピンホールは点光源となる。ピンホール部材57は、ビームスプリッタ55と受光部7との間に配置され、コリメートレンズ4の後側焦点に配置されたピンホールを有している。測定対象物Wで合焦して反射された測定光Lmは、ピンホール部材57のピンホールを通過した後、受光部7に入射される。このような構成によっても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0057】
前記各実施形態において、非接触式変位計1,1Aは、共焦点法を利用して合焦タイミングTを求めているが、本発明はこれに限定されない。具体的には、非接触式変位計1,1Aは、ダブルピンホール法、非点収差法、ナイフエッジ法など、他の様々な焦点検出法を利用することにより、合焦タイミングTを求めてもよい。
例えば、非接触式変位計1,1Aがダブルピンホール形式による光学系を構成する場合、合焦位置Pfと共役関係を成す集光位置の前後にそれぞれ受光部を設け、各受光部から出力される受光信号に基づいて演算を行うことにより、合焦タイミングTを求めることができる。
なお、共焦点法では、合焦タイミングTを求めるために受光信号Smのピーク位置を検出する必要があり、この検出のための演算が複雑であるが、ダブルピンホール法、非点収差法、ナイフエッジ法は、共焦点法に比べて、合焦タイミングTを求めるために要する演算が簡潔である。このため、これらの方法を採用することにより、演算時間を短縮し、測定の高速化を図ってもよい。
【0058】
前記各実施形態では、基準信号Scに対する合焦タイミングTの遅延時間Δtとして、基準信号Scの立ち上がり時刻から、この基準信号Scの直後の合焦タイミングTまでの時間を計測しているが、これに限られない。例えば、基準信号Scの立ち下がり時刻から計測を開始してもよい。また、基準信号Scから1回目の合焦タイミングTまでの時間ではなく、基準信号Scから2回目の合焦タイミングTまでの時間を計測してもよい。
【0059】
前記各実施形態では、非接触式変位計1,1Aが基準信号出力部82を備えており、信号処理部92は、基準信号Scに対する合焦タイミングTの遅延時間Δtに基づいて合焦タイミングTの位相φを算出しているが、本発明はこれに限られない。
例えば、非接触式変位計1,1Aは、基準信号出力部82を備えなくてもよい。この場合、信号処理部92は、駆動信号Cfの1周期中に現れる2つの合焦タイミングTの時間差に基づいて、合焦タイミングTの位相φを算出してもよい。具体的には、信号処理部92は、駆動信号Cfの周波数fおよび2つの合焦タイミングTの時間差Δtaを用いて、式(2)に基づき合焦タイミングTの位相φを算出することができる。
φ=π[1-f(Δta)] ・・・式(2)
このような方法によれば、より簡単な演算によって合焦タイミングTの位相φを算出することができる。
あるいは、非接触式変位計1,1Aは、駆動信号Cfが示す正弦波に基づき、合焦タイミングTの位相φを演算等により求めてもよい。
【0060】
前記各実施形態では、信号処理部92は、遅延時間Δtと測定対象物位置Pwとが対応付けられたテーブル94を参照することで測定対象物位置Pwを求めているが、本発明はこれに限られない。例えば、信号処理部92は、遅延時間Δtと測定対象物位置Pwとの関係を表わす演算式を利用することにより、測定対象物位置Pwを算出してもよい。
【0061】
前記各実施形態において、レンズ制御部8が基準信号出力部82を有する替わりに、制御部9が基準信号出力部を有していてもよい。あるいは、レンズ制御部8および制御部9とは別に基準信号出力部が構成されていてもよい。また、レンズ制御部8および制御部9が一体の制御装置として構成されてもよい。
【0062】
第2実施形態では、焦点ぼけを含む画像にデコンボリューション処理を行うことで、拡張焦点深度画像を生成しているが、本発明はこれに限られない。
例えば、第2実施形態において、照明部11の光源112は、パルス発光を行うものであってもよい。この場合、光源112は、例えば制御部9Aに制御され、駆動信号Cfに対する位相および振幅に基づいて設定された発光信号によって発光することが好ましい。これにより、所望の合焦位置Pfにおける画像を取得できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、構成および処理を簡潔化できる非接触式変位計として利用できる。
【符号の説明】
【0064】
1,1A…非接触式変位計、10,10A…焦点距離可変レンズ、11…照明部14…光分離部、16…結像レンズ、17…撮像部、2…対物レンズ、21,22…リレーレンズ、3…液体レンズユニット、4…コリメートレンズ、5…導光部、51…ファイバスプリッタ、52~54…光ファイバ、520…端面、6…光源、7…受光部、8…レンズ制御部、81…駆動信号出力部、82…基準信号出力部、9,9A…制御部、91…レンズ設定部、92…信号処理部、93…記憶部、94…テーブル、95…画像処理部、A…光軸、Cf…駆動信号、Lm…測定光、Mf…焦点変動波形、Pf…合焦位置、Pw…測定対象物位置、Sm…受光信号、Sc…基準信号、t…時間、W…測定対象物、Δt…遅延時間。