(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】V字型シールバンドを有するセラミック静電チャック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019524432
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(86)【国際出願番号】 US2017053470
(87)【国際公開番号】W WO2018097888
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-09-23
(32)【優先日】2016-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】ノールバクシュ ハミド
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-501538(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0263427(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1439824(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持アセンブリであって、
ワークピース支持面と底面を有する静電チャックと、
上面を有する冷却プレートと、
静電チャックの底面と冷却プレートの上面とを固定する接合層であって、接合層は、
接着層と、
接着層を囲み、静電チャックと冷却プレートに接触し、リング状本体を有するシールバンドを含み、リング状本体は、
V字型を有する輪郭と、
内面と
上面と底面であって、各々が内面から110°超の角度で延びており、
0℃~50℃で上面の長さの40%~59.2%が静電チャックの底面と接触するように構成されている上面と底面と、
内部に形成され
、シールバンドの取り付けに必要な力を低減するインデントを有し、上面を底面に接続する外面を有する、基板支持アセンブリ。
【請求項2】
シールバンドは、306mm~310mmの直径を有する請求項1記載の基板支持アセンブリ。
【請求項3】
リング状本体は、破断前に160%まで延伸することができる請求項2記載の基板支持アセンブリ。
【請求項4】
リング状本体は、60~80のショアD硬度を有する請求項1記載の基板支持アセンブリ。
【請求項5】
リング状本体は、10MPa~15MPaの引張強度を有する請求項1記載の基板支持アセンブリ。
【請求項6】
リング状本体は、テトラフルオロエチレン/プロピレン、又はペルフルオロエラストマーから形成される請求項1記載の基板支持アセンブリ。
【請求項7】
シールバンドの材料は充填剤を含まず、フッ素及び酸素ケミストリに対して耐性がある請求項6記載の基板支持アセンブリ。
【請求項8】
シールバンドの直径は、静電チャックの外径よりも小さい請求項1記載の基板支持アセンブリ。
【請求項9】
シールバンドの直径は、冷却プレートの外径よりも小さい請求項8記載の基板支持アセンブリ。
【請求項10】
基板支持アセンブリであって、
ワークピース支持面とチャック直径と底面を有する静電チャックと、
上面と冷却プレート直径を有する冷却プレートと、
静電チャックの底面と冷却プレートの上面とを固定する接合層であって、接合層は、
接着層と、
接着層を囲み、静電チャックと冷却プレートに接触し、リング状本体を有するシールバンドを含み、リング状本体はチャック直径又は冷却プレート直径より小さく、306mm~310mmの外径を有し、充填材を含まないペルフルオロエラストマーから形成され、60~80のショアD硬度と10MPa~15MPaの引張強度を有し、リング状本体は、
内面と
上面と底面であって、各々が内面から110°超の角度で延びており、
0℃~50℃で上面の長さの40%~59.2%が静電チャックの底面と接触するように構成されている上面と底面と、
内部に形成され
、シールバンドの取り付けに必要な力を低減するインデントを有し、上面を底面に接続する外面を有し、インデントはV字形を有するシールバンドの輪郭を形成する、基板支持アセンブリ。
【請求項11】
シールバンドのリング状本体は、V字型を有する輪郭を有する請求項1又は10記載の基板支持アセンブリ。
【請求項12】
シールバンドの0℃での圧縮荷重が0.23N/mmであり、シールバンドの25℃での圧縮荷重が0.26N/mmであり、シールバンドの50℃での圧縮荷重が0.15N/mmである、請求項1又は10記載の基板支持アセンブリ。
【請求項13】
接着層の外周と静電チャックの外径の間に形成されたノッチを含み、シールバンドはノッチ内に配置される請求項1又は10記載の基板支持アセンブリ。
【請求項14】
インデントは、0.30mm~0.50mmの深さを有する請求項1又は10記載の基板支持アセンブリ。
【請求項15】
シールバンドは、インデントと内面とを分岐する仮想線を介して対称である請求項1又は10記載の基板支持アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本明細書に記載の実装形態は、一般に半導体製造に係り、より詳細には高温半導体製造に適した基板支持アセンブリに関する。
【0002】
(関連技術の説明)
ナノメートル以下のフィーチャを確実に製造することは、半導体デバイスの次世代超大規模集積回路(VLSI)及び超々大規模集積回路(ULSI)のための重要な技術的課題の1つである。しかしながら、回路技術の限界が押し進められるにつれて、VLSI及びULSI相互接続技術の寸法の縮小は処理能力に対するさらなる要求を課している。基板上にゲート構造を確実に形成することは、VLSI及びULSIの成功、及び個々の基板及びダイの回路密度及び品質を向上させるための継続的な努力にとって重要である。
【0003】
製造コストを下げるために、集積チップ(IC)製造業者は、処理されるすべてのシリコン基板からより高いスループット、並びにより良いデバイス歩留まり及び性能を要求する。従来の静電チャック(ESC)は、通常、基板支持アセンブリ内の冷却プレートに接合されている。接合はシールで保護することができる。しかしながら、シールは、ESCと冷却プレートの間の最小限の表面接触のために、わずかな保護しか提供しない。シールが劣化すると、フッ素ラジカルの浸透が接合層をエッチング除去することにより、静電チャックは基板支持アセンブリ内で接合の問題を起こす可能性がある。接合材料の損失は、冷却プレートからのESCの剥離を加速させる。更に、シールの劣化により、接合材料が処理容積内にガスを放出し、それによりチャンバ内の汚染を引き起こす可能性がある。チャンバは、基板支持アセンブリを修理又は交換するためにダウンタイムを必要とし、コスト、歩留まり及び性能に影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
従って、改良された基板支持アセンブリに対するニーズがある。
【概要】
【0005】
本明細書に記載の実施形態は、接合層を保護するシールバンドを有する基板支持アセンブリを提供する。基板支持アセンブリは、ワークピース支持面と底面を有する静電チャックと、上面を有する冷却プレートと、静電チャックの底面と冷却プレートの上面とを固定する接合層を含む。接合層は、接着層と、接着層を囲むシールバンドを有する。シールバンドは静電チャックと冷却プレートの間にシールを提供する。シールバンドはリング状本体を有する。本体は内面と、上面と、内面により上面に接続された底面と、外面を有する。上面と底面は内面から85°より小さな角度をなしている。外面は内部に形成されたインデントを有する。外面は上面を底面に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の上記の構成を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本発明のより詳細な説明は、実装形態を参照することにより得ることができる。実装形態の幾つかは添付図面に記載されている。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態を例示するに過ぎず、従って本発明の範囲を限定するものと解釈されず、本発明は他の同等に有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【
図1】基板支持アセンブリの一実施形態を有する処理チャンバの概略断面側面図である。
【
図2A】基板支持アセンブリ用のシールの上平面図である。
【
図2B】
図2Aの切断線B-Bに沿ったシールの断面図である。
【
図3】静電基板支持体と冷却プレートの間に配置されたシールの一実施形態を詳細に示す基板支持体アセンブリの部分断面概略側面図である。
【0007】
理解を容易にするため、可能な場合には、図面に共通の同一要素を示すために同一参照番号が用いられる。一実施形態で開示された要素は、具体的な言及なしに、他の実施形態で有利に使用されることが意図される。
【詳細な説明】
【0008】
本明細書に記載の実施形態は、シールバンドを含む基板支持アセンブリを提供する。シールバンドは、基板支持アセンブリの静電チャック(ESC)と冷却プレートの間に配置される接着層を保護する。シールバンドは、高温オペレーションに曝露されるESC用途に特に有利である。高温とは、約150℃を超える温度、例えば、約250℃を超える温度、例えば、約250℃~約300℃の温度を指すことを意図している。シールバンドは接合層の外周に配置され、接合材料がガスを放出したり、過酷なチャンバ環境により攻撃されたりするのを防止する。シールバンドは、シールの完全性及び寿命を維持するために増大した接触面積を有するように構成される。基板支持アセンブリは以下でエッチング処理チャンバにおいて説明されるが、基板支持アセンブリは、他のタイプのプラズマ処理チャンバ(例えば、とりわけ、物理気相堆積チャンバ、化学気相堆積チャンバ、イオン注入チャンバ等)、及び接合層の保護が望ましい他のシステムで用いることができる。
【0009】
図1は、エッチングチャンバとして構成された、基板支持アセンブリ126を有する例示的なプラズマ処理チャンバ100の概略断面図である。基板支持アセンブリ126は、他の種類の処理プラズマチャンバ(例えば、とりわけ、プラズマ処理チャンバ、アニーリングチャンバ、物理気相堆積チャンバ、化学気相堆積チャンバ、及びイオン注入チャンバ等)、並びに、表面又は基板等のワークピースの処理均一性を制御する能力がある他のシステムで用いることができる。高温範囲での基板支持体の誘電特性tan(δ)、即ち誘電損失、又はρ、即ち体積抵抗率の制御は、基板124上の方位角方向の処理均一性を有利にすることができる。
【0010】
プラズマ処理チャンバ100は、処理領域110を囲む側壁104、底部106、及び蓋108を有するチャンバ本体102を含む。注入装置112は、チャンバ本体の側壁104及び/又は蓋108に結合される。ガスパネル114は注入装置112に結合され、処理ガスを処理領域110内に供給することを可能にする。注入装置112は、1以上のノズル又は入口ポート、代替的には、シャワーヘッドであってもよい。処理ガスは、処理副生成物と共に、チャンバ本体102の側壁104又は底部106に形成された排気口128を介して処理領域110から除去される。排気口128はポンピングシステム132に結合され、ポンピングシステム132は処理領域110内の真空レベルを制御するために用いられるスロットルバルブ及びポンプを含む。
【0011】
処理ガスは、処理領域110内にプラズマを形成するように励起されることができる。処理ガスは、処理ガスに容量的又は誘導的に結合されたRF電力により励起されることができる。
図1に示される実施形態では、複数のコイル116がプラズマ処理チャンバ100の蓋108の上方に配置され、整合回路118を介してRF電源120に接続される。
【0012】
基板支持アセンブリ126は、注入装置112の下方の処理領域110内に配置される。基板支持アセンブリ126は、静電チャック174と、冷却プレート130を含む。冷却プレート130は、ベースプレート176により支持される。ベースプレート176は、処理チャンバの側壁104又は底部106の一方により支持される。追加的に、基板支持アセンブリ126はヒータアセンブリ(図示せず)を含むことができる。追加的に、基板支持アセンブリ126は、冷却プレート130とベースプレート176の間に配置されたファシリティプレート145、及び/又は絶縁プレート(図示せず)を含むことができる。
【0013】
冷却プレート130は、金属材料又は他の適切な材料から形成することができる。例えば、冷却プレート130は、アルミニウム(Al)で形成することができる。冷却プレート130は、内部に形成された冷却チャネル190を含むことができる。冷却チャネル190は、熱伝達流体源122に接続されることができる。熱伝達流体源122は、熱伝達流体(例えば、液体、気体、又はこれらの組合せ等)を提供し、これは冷却プレート130の内部に配置された1以上の冷却チャネル190を介して循環する。隣接する冷却チャネル190を介して流れる流体は、静電チャック174と冷却プレート130の異なる領域の間の熱伝達の局所的制御を可能にするように分離されてもよく、これにより、基板124の横方向温度プロファイルの制御を援助する。一実施形態では、冷却プレート130の冷却チャネル190を介して循環する熱伝達流体は、冷却プレート130を、約90℃~約80℃の温度、又は90℃より低い温度に維持する。
【0014】
静電チャック174は、誘電体175内に配置されたチャッキング電極186を含む。誘電体175は、ワークピース支持面137と、ワークピース支持面137の反対側の底面133を有する。静電チャック174の誘電体175は、セラミック材料(例えば、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)又は他の適切な材料等)から製造することができる。代替的に、誘電体175は、ポリマー(例えば、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン等)から製造することができる。
【0015】
また、誘電体175は、内部に埋設された1以上の抵抗ヒータ188を含むことができる。抵抗ヒータ188は、基板支持アセンブリ126のワークピース支持面137上に配置される基板124の処理に適した温度まで基板支持アセンブリ126の温度を上昇させるために設けることができる。抵抗ヒータ188はファシリティプレート145を介してヒータ電源189に結合される。ヒータ電源189は、900ワット以上の電力を抵抗ヒータ188に供給することができる。コントローラ(図示せず)はヒータ電源189のオペレーションを制御することができ、一般に、基板124を所定の温度に加熱するように設定する。一実施形態では、抵抗ヒータ188は、横方向に分離された複数の加熱ゾーンを含み、コントローラは、抵抗ヒータ188の少なくとも1のゾーンを、他のゾーンの1以上に位置する抵抗ヒータ188に対して優先的に加熱することを可能にする。例えば、抵抗ヒータ188は、複数の分離された加熱ゾーンを同心円状に配置することができる。抵抗ヒータ188は処理に適した温度に基板124を維持することができる。高い処理温度を用いる幾つかの実施形態では、抵抗ヒータ188は基板124を約180℃~約500℃の温度に維持することができる。
【0016】
静電チャック174は、一般に、誘電体175に埋設されたチャッキング電極186を含む。チャッキング電極186は、単極又は双極電極、又は他の適切なアレンジメントで構成することができる。チャッキング電極186はRFフィルタを介してチャッキング電源187に結合され、チャッキング電源187は基板124を静電チャック174のワークピース支持面137に静電的に固定するためにRF又はDC電力を供給する。RFフィルタは、プラズマ処理チャンバ100内でプラズマ(図示せず)を形成するために用いられるRF電力が、電気機器に損傷を与えたり、チャンバの外側に電気的な危険を与えたりすることを防止する。
【0017】
静電チャック174のワークピース支持面137は、基板124と静電チャック174のワークピース支持面137の間に画定された間隙空間に裏側熱伝達ガスを供給するためのガス通路(図示せず)を含むことができる。また、静電チャック174は、静電チャック174のワークピース支持面137の上方に基板124を上昇させるためのリフトピン(図示せず)を収容するためのリフトピン穴を含むことができ、プラズマ処理チャンバ100内への及びプラズマ処理チャンバ100からのロボット移送を容易にする。
【0018】
接合層150は静電チャック174と冷却プレート130の間に配置される。接合層150は、静電チャック174と冷却プレート130との異なる熱膨張を提供する幾つかの層から形成されてもよい。接合層150は接着層(
図3で308で示される)と、シールバンド140を含む。シールバンド140は、静電チャック174と冷却プレート130の間に配置された接合層150の接着層を形成する接着材料を処理領域110内に存在するガス及びプラズマから保護するように構成される。
【0019】
図2Aは、シールバンド140の上面平面図である。シールバンド140は、リング状本体201を有する。リング状本体201は、周りにシールバンド140が実質的に一致する中心202を有する。リング状本体201は、内面212と外面210とを有する。リング状本体201の外面210は、シールバンド140の外径を画定する直径208を有する。一実施形態では、直径は約306mm~約310mm(例えば、約308mm)であってもよい。他の実施形態では直径208は約206mm~約210mm(例えば、約208mm)であってもよい。更に他の実施形態では、直径208は約456mm~約460mm(例えば、約458mm)であってもよい。
【0020】
シールバンド140は、例えば、約60~約80(例えば、72)のショアD硬度を有する軟質エラストマー材料から形成することができる。更に、シールバンド140は、約10MPa~約15MPa(例えば、11.1MPa)の引張強度を有することができる。シールバンド140を形成するエラストマー材料は、破断前にその元のサイズの約160%まで延伸することができる。シールバンド140は、高性能エラストマー(例えば、テトラフルオロエチレン/プロピレン、Fluoritz-TR(商標名)又はPerlastG67P(商標名)等のペルフルオロエラストマー、又は他の適切な材料)から形成することができる。一実施形態では、シールバンド140は、Fluoritz-TR(登録商標)から形成される。シールバンド140の材料は充填剤を含まず、クラッキング及びプラズマラジカルに対する耐性を高めるためにフッ素及び酸素のケミストリに対して耐性がある。フィラー材料が存在しないため、ベースエラストマーがエッチング除去されたフィラー材料の境界で従来のフィラーシールに起こる早期のクラッキング形成が防止される。フィラー材料が存在しないので、材料の侵食速度が増加する可能性があるが、より大きい接触及びクラッキングがないことがシールバンド140の耐用年数を有利に改善する。
【0021】
図2Bは、
図2Aの切断線B-Bに沿ったシールバンド140の断面図である。シールバンド140は、上面254と底面252を有する。上面254と底面252は、内面212により接続されている。仮想法線253は、内面212から90°に配置することができる。角度220は、仮想法線253と底面252の間に形成することができる。上面254は、仮想法線253に対して底面252と同様に角度が付けられてもよい。角度220は、約10°~約30°(例えば20°)であってもよい。従って、上面254及び底面252は、内面212から約100°~約120°(例えば、約110°を超える角度)を有することができる。上面254及び底面252は、内面212と外面210の間の法線に沿って測定される長さ262を有することができる。長さ262は、約1.55mm~約1.25mm(例えば、1.40mm)とすることができる。
【0022】
外面210は、上面254と底面252の間に延びる高さ264を有することができる。高さ264は、約2.075mm~約2.125mm(例えば、約2.100mm)とすることができる。外面210は、その中に形成されたインデント(窪み)230を有することができる。インデント230は、シールバンド140にV字形の輪郭を形成することができる。インデント230は、約0.30mm~約0.50mm(例えば、約0.40mm)の深さ232を有することができる。インデント230は、取り付けを容易にするためにシールバンド140が容易に圧縮することを可能にし、基板支持アセンブリ127に配置される際、シール形成時に、静電チャック174と冷却プレート130の接触面積を増大させる実質的に平行な配向に上面254及び底面252を配向することを可能にする。一実施形態では、シールバンド140は、インデント230と内面212とを分岐する仮想線に関して対称的である。
【0023】
基板支持アセンブリ127におけるシールバンド140の使用について、
図3に関連して説明する。
図3は、静電チャック174と冷却プレート130の間に配置されたシールバンド140の一実施形態を詳細に示す基板支持アセンブリ126の部分断面概略側面図である。静電チャック174と冷却プレート130の間に配置された接合層150は、異なる材料から形成することができる。電気ソケット360は、誘電体175に埋設された抵抗ヒータ188及びチャッキング電極186への接続を提供することができる。抵抗ヒータ188は、静電チャック174の底部133を250℃を超える温度に加熱することができる。接合層150は、静電チャック174又は冷却プレート130の外径352まで延びることができる。接合層150は、静電チャック174と冷却プレート130の間の熱膨張を考慮して可撓性であり、これにより、クラッキングを実質的に防止し、静電チャック174が冷却プレート130から剥離する可能性を低減する。
【0024】
接合層150は、少なくとも1つの接着層308を含む。接着層308は、ペルフルオロ化合物、シリコーン、多孔質グラファイト、アクリル化合物、ペルフルオロメチルビニルエーテル、アルコキシビニルエーテル、CIRLEX(商標名)、TEFZEL(商標名)、KAPTON(商標名)、VESPEL(商標名)、KERIMID(商標名)、ポリエチレン、又は他の適切な材料から形成することができる。接着層308は、約1mm~約5mm(例えば、約1.75mm等)の厚さ302を有することができる。接着層308は、約0.1W/mK~約1W/mK(例えば、約0.17W/mK)の熱伝導率を有することができる。
【0025】
ノッチ342が接着層308の外周350と静電チャック174の外径352の間に形成されている。シールバンド140の直径208は、静電チャック174の外径352よりも小さい。更に、シールバンド140の直径208は冷却プレート130の外径よりも小さい。シールバンド140は接着層308の外周350の周りに配置され、即ち外接する。ノッチ342は、シールバンド140が静電チャック174と冷却プレート13をシールするように係合させることができるようなサイズにすることができる。シールバンド140は静電チャック174と冷却プレート130の間に真空気密シールを任意に形成してもよいが、シールの主な機能は接着層308の露出している外周部350を処理領域110内の環境から保護することである。
【0026】
一実施形態では、シールバンド140は、基板支持アセンブリ126の接合材料(接着層308)に対する処理ガスの曝露を防止する。即ち、シールバンド140は、基板支持アセンブリ126の内部をプラズマ環境への曝露から保護する。シールバンド140は、接着層308からの揮発ガスがプラズマ環境を汚染するのを防止する。シールバンド140は、接着層308及び基板支持アセンブリ127の他の内部構造をプラズマ環境から保護する。
【0027】
シールバンド140は、V字形とすることができる。シールバンド140の形状は、従来のOリングシールよりも実質的に大きいシールのための接触面310を提供する。更に、V字形はシールバンド140の取り付けをより容易にする。例えば、V字形を有するシールバンド140を取り付けるのに必要な力は、従来のOリングを取り付けるのに必要な力と比較して約40%減少する。例えば、0℃では、シールバンド140は約0.63N/mmの取付力を有するのに対し、従来のOリングは約1.00N/mmの取付力を有する。V字形を有するシールバンド140の接触面310は、従来のOリングの接触面積と比較して(幅において)実質的に大きい。例えば、シールバンド140の接触面310は、従来のOリングの接触面積よりも約30%大きい。温度が0℃から50℃に上昇すると、シールバンド140の接触面310は約0.62mmから約0.74mmに上昇する。
【0028】
設置後、シールバンド140にかかる圧縮荷重は、シールバンド140の温度と共に変化する。オペレーション中、シールバンド140は、20%程圧縮される可能性がある。高温でのシールバンド140の圧縮の増加は、いくらかの侵食後でさえもシール能力を向上させる。シールバンド140の侵食プロファイルは、シールバンド140の寿命の指標となり得る。800RF時間及び1700RF時間における侵食プロファイルは、シールバンド140の交換を必要とする磨耗がほとんどないことを示している。シールバンド140の熱膨張はシールバンド140の圧迫を増大させ、その結果、圧縮荷重が増大するので、圧縮荷重は線形ではない。同時に、シールバンド140の材料は熱により軟化し、その結果、圧縮荷重が減少する。例えば、0℃では、シールバンド140にかかる圧縮荷重は約0.23N/mmである。25℃では、シールバンド140の圧縮荷重は約0.26N/mmに増大する。50℃では、シールバンド140の圧縮荷重は約0.15N/mmまで減少する。
【0029】
初期クラッキングに対するシールバンド140の耐性が金属製ドラム上で試験された。シールバンド140は金属ドラム上で28%延伸された。シールバンド140は、196:4の重量比で流れるO2及びCF4を有するプラズマに曝露された。Fluorit-TRから形成されたシールバンド140は、Fluoritz-T20、透明ペルフルオロエラストマー(FFKM)B又はD、白色FFKM F、K又はL、及びPORから形成されたシールバンド140と比較して、クラッキングからの寿命が100%超の増加を示した。更に、侵食による重量損失は、Fuoritz-T20を除く全ての前述の材料よりも少なかった。有利なことに、シールバンド140の圧縮荷重及び材料は、シールを劣化させる可能性があるクラッキングを著しく減少させた。例えば、320RF時間及び600RF時間後に、Fluoritz-TRから形成されたシールバンド140は目に見える侵食又はクラッキングの兆候を示さなかった。
【0030】
有利なことに、V字形を有するシールバンド140は、処理チャンバ内の過酷なラジカル化学(例えば、接合層を保護するシールを貫通してシールをエッチング除去するようなフッ素ラジカル)からシールのクラッキング又は劣化を実質的に防止する。V字形を有するシールバンド140は、ESCと冷却プレートの間の接合の劣化を実質的に最小限に抑えると共に、接合層から放出される揮発性物質が処理環境に入るのを実質的に防止する。従って、V字形を有するシールバンド140は、チャンバ内の汚染を防ぎ、プロセス歩留まり及びオペレーショコストに影響を及ぼす可能性があるチャンバのダウンタイムを短縮する。
【0031】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態はその基本的な範囲から逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。