(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】半導体ウェハを研磨するための設備および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230213BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230213BHJP
B24B 37/08 20120101ALI20230213BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20230213BHJP
【FI】
H01L21/304 621A
H01L21/304 622L
H01L21/304 622Q
H01L21/68 A
B24B37/08
B24B41/06 A
(21)【出願番号】P 2021573888
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2020063685
(87)【国際公開番号】W WO2020249360
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】102019208704.3
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Einsteinstrasse 172,81677 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランケ,ジョニー
(72)【発明者】
【氏名】ランプレヒト,ルートビヒ
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-098089(JP,A)
【文献】特開2002-321152(JP,A)
【文献】特開2018-146531(JP,A)
【文献】特開昭64-069204(JP,A)
【文献】特開平08-111448(JP,A)
【文献】特開2010-188488(JP,A)
【文献】特開2005-238405(JP,A)
【文献】特開2005-144661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/677
B24B 37/08
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハを研磨するための設備であって、
半導体ウェハの同時両面研磨のための少なくとも2台の研磨機と、
前記研磨機のそれぞれの下方研磨プレートの研磨パッド上にあり、半導体ウェハを受けるための凹部を有する、1つ以上のキャリアと、
研磨用半導体ウェハを収容するカセットを送出するための頭上搭載搬送システムと、
前記頭上搭載搬送システムから送出された前記カセットを受け取るための、前記研磨機の各々に割り当てられた垂直搬送システムとを含み、前記垂直搬送システムは、前記研磨用半導体ウェハを前記カセットから持ち上げるための一体型のウェハ持ち上げ器を含み、前記設備はさらに、
前記少なくとも2台の研磨機まで自律的に移動し、マニピュレータを有するロボットを含み、前記マニピュレータは、前記ウェハ持ち上げ器から前記研磨用半導体ウェハを受け取り、前記研磨用半導体ウェハを前記凹部のうちの1つに挿入し、研磨動作の終わりに研磨された半導体ウェハを前記凹部から持ち上げるためのものであり、前記設備はさらに、
自律的に移動する前記ロボットの前記マニピュレータから前記研磨された半導体ウェハを受け取り、前記研磨された半導体ウェハを、一体型のウェハ受けを有する湿式搬送コンテナに入れるためのウェハ把持器を有する、前記研磨機の各々に割り当てられたx/yリニアユニットと、
前記湿式搬送コンテナを研磨された半導体ウェハのためのクリーニングユニットへ搬送するための無人搬送車両とを含む、設備。
【請求項2】
前記カセットは開放されていることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
3~10台の研磨機を特徴とする、請求項1または2に記載の設備。
【請求項4】
前記ウェハ把持器はエンドエフェクタを有し、前記エンドエフェクタは前記半導体ウェハをウェハの縁で保持し、前記湿式搬送コンテナの前記ウェハ受けのスロット間で漬かることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の設備。
【請求項5】
半導体ウェハを研磨するための方法であって、
半導体ウェハの同時両面研磨のための研磨機を少なくとも2台提供するステップと、
カセットに入った研磨用半導体ウェハを頭上搭載搬送システムによって送出するステップと、
垂直搬送システムのウェハ持ち上げ器によって、研磨用半導体ウェハを前記カセットから持ち上げるステップと、
自律移動ロボットのマニピュレータによって、前記研磨用半導体ウェハのうちの1つを、前記垂直搬送システムの前記ウェハ持ち上げ器から、またはセンタリングステーションから受け取るステップと、
前記自律移動ロボットの前記マニピュレータによって、前記研磨用半導体ウェハを少なくとも2台の前記研磨機のキャリアの凹部に挿入するステップと、
前記自律移動ロボットの前記マニピュレータによって、研磨された半導体ウェハを前記キャリアの前記凹部のうちの1つから除去するステップと、
x/yリニアユニットのウェハ把持器によって、前記研磨された半導体ウェハを前記自律移動ロボットの前記マニピュレータから受け取るステップと、
前記ウェハ把持器によって、前記研磨された半導体ウェハを湿式搬送コンテナのウェハ受けに入れるステップと、
前記湿式搬送コンテナを前記x/yリニアユニットから無人搬送車両へ移送するステップと、
前記無人搬送車両によって、前記湿式搬送コンテナを研磨された半導体ウェハのためのクリーニングユニットへ搬送するステップとを含む、方法。
【請求項6】
前記研磨機のうちの少なくとも1台上の前記半導体ウェハのうちのいくつかを、前記自律移動ロボットが前記半導体ウェハのうちの他のいくつかの半導体ウェハのうちの1つを受け取り、それを前記凹部のうちの1つに挿入し、または、それを前記凹部のうちの1つから除去する間に、研磨するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の主題は、半導体ウェハの同時両面研磨のための研磨機を少なくとも2台含み、高度の自動化を特徴とする、半導体ウェハを研磨するための設備である。この発明はまた、半導体ウェハを研磨するための方法にさらに関し、当該設備は当該方法を実行するために使用される。
【背景技術】
【0002】
先行技術/問題
半導体ウェハの同時両面研磨のための研磨機は、この明細書ではDSP(double-sided polishing)研磨機とも呼ばれるが、上方および下方研磨プレートを含み、それらは各々、研磨パッドと並んでいる。半導体ウェハは、それらがキャリアの凹部にあるとき、研磨スラリーの存在下で研磨プレート間で研磨される。
【0003】
キャリアの凹部への研磨用半導体ウェハの挿入と、キャリアの凹部からの研磨された半導体ウェハの除去とを自動化するために、提案がすでに行なわれてきた。これに関連して、たとえば、EP 0 931 623 A1、DE 100 07 389 A1およびDE 102 28 441 A1、JP 2005-243 996 A、JP 2005-294378 A、US 6 361 418 B1およびUS 2017 0 323 814 A1が言及され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの提案にもかかわらず、向上、特にその効果がコスト削減および時間節約を含む向上に対する要望が引き続き存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、半導体ウェハを研磨するための設備であって、
半導体ウェハの同時両面研磨のための少なくとも2台の研磨機と、
研磨機のそれぞれの下方研磨プレートの研磨パッド上にあり、半導体ウェハを受けるための凹部を有する、1つ以上のキャリアと、
研磨用半導体ウェハを収容するカセットを送出するための頭上搭載搬送システムと、
頭上搭載搬送システムから送出されたカセットを受け取るための、研磨機の各々に割り当てられた垂直搬送システムとを含み、垂直搬送システムは、研磨用半導体ウェハをカセットから持ち上げるための一体型のウェハ持ち上げ器を含み、設備はさらに、
少なくとも2台の研磨機まで自律的に移動し、マニピュレータを有するロボットを含み、マニピュレータは、ウェハ持ち上げ器から研磨用半導体ウェハを受け取り、研磨用半導体ウェハを凹部のうちの1つに挿入し、研磨動作の終わりに研磨された半導体ウェハを凹部から持ち上げるためのものであり、設備はさらに、
自律的に移動するロボットのマニピュレータから研磨された半導体ウェハを受け取り、研磨された半導体ウェハを、一体型のウェハ受けを有する湿式搬送コンテナに入れるためのウェハ把持器を有する、研磨機の各々に割り当てられたx/yリニアユニットと、
湿式搬送コンテナを研磨された半導体ウェハのためのクリーニングユニットへ搬送するための無人搬送車両とを含む、設備によって達成される。
【0006】
この発明のさらに別の主題は、半導体ウェハを研磨するための方法であって、
半導体ウェハの同時両面研磨のための研磨機を少なくとも2台提供するステップと、
カセットに入った研磨用半導体ウェハを頭上搭載搬送システムによって送出するステップと、
垂直搬送システムのウェハ持ち上げ器によって、センタリングされた研磨用半導体ウェハをカセットから持ち上げるステップと、
自律移動ロボットのマニピュレータによって、研磨用半導体ウェハのうちの1つを、垂直搬送システムのウェハ持ち上げ器から、またはセンタリングステーションから受け取るステップと、
自律移動ロボットのマニピュレータによって、研磨用半導体ウェハを少なくとも2台の研磨機のキャリアの凹部に挿入するステップと、
自律移動ロボットのマニピュレータによって、研磨された半導体ウェハをキャリアの凹部のうちの1つから除去するステップと、
x/yリニアユニットのウェハ把持器によって、研磨された半導体ウェハを自律移動ロボットのマニピュレータから受け取るステップと、
ウェハ把持器によって、研磨された半導体ウェハを湿式搬送コンテナのウェハ受けに入れるステップと、
湿式搬送コンテナをx/yリニアユニットから無人搬送車両へ移送するステップと、
無人搬送車両によって、湿式搬送コンテナを研磨された半導体ウェハのためのクリーニングユニットへ搬送するステップとを含む、方法である。
【0007】
この発明は、研磨用半導体ウェハの送出から研磨後の半導体ウェハのクリーニングユニットへの搬送までの、全自動で場所を取らずコストを削減する動作設計を許可する。半導体ウェハは好ましくは、単結晶シリコン半導体ウェハであり、より好ましくは、少なくとも200mmの直径を有する単結晶シリコン半導体ウェハである。
【0008】
この発明の規定は、半導体ウェハが装填され、自律移動ロボットによって取り外される、半導体ウェハの同時両面研磨のための研磨機を、少なくとも2台有することを含む。自律移動ロボットに割り当てられるDSP研磨機の数は好ましくは、研磨動作の持続時間に従って最適化される。好ましくは少なくとも3~10台、より好ましくは少なくとも3~6台のDSP研磨機が、同じ自律移動ロボットによって作動される。この解決策は、研磨機の各々について別個のロボットが提供された場合に生じるであろうコストを節約する。それに応じて、空間要求もより小さい。自律移動ロボットは、研磨用半導体ウェハを、垂直搬送システムのウェハ持ち上げ器(ウェハリフトアウト)から、またはセンタリングステーションから受け取る。DSP研磨機の各々には、そのような垂直搬送システムが1つ割り当てられる。研磨用半導体ウェハはカセット内で積み重ねられ、それを、頭上搭載搬送システム(天井吊下式搬送装置(overhead hoist transport:OHT))が、DSP研磨機への装填のためにDSP研磨機に送出する。使用されるカセットは開放されていても閉鎖されてもいてもよく、例は、FOUPとして知られるものである。前面扉のないカセットである開放カセットは、そこに研磨用半導体ウェハが垂直に立って積み重ねられる場合に好ましい。その構造により、この種の開放カセットは、開放カセットがOHTによって垂直搬送システムのカセット受けに載せられ、垂直搬送システムによってウェハ持ち上げ器へと端位置まで降下されるやいなや、半導体ウェハへの直接アクセスを可能にする。端位置で、研磨用半導体ウェハは、ウェハ持ち上げ器のウェハ受けの溝において立っており、垂直搬送システムのガイドの溝によって横方向に支持される。この配置により、垂直搬送システムは固有のセンタリング機能を有する。つまり、研磨用半導体ウェハは、ウェハ持ち上げ器上にセンタリングされた状態で立って位置している。この重要性は、自律移動ロボットのマニピュレータが、それ自体にウェハの中心を前もって確認させることなく、または、研磨用半導体ウェハが自律移動ロボットへ移送される前にセンタリングされなければならないであろうセンタリングステーションを必要とすることなく、半導体ウェハを中心で吸引できるようなやり方で、研磨用半導体ウェハがすでに自律移動ロボットへの移送のために利用可能になっている、ということである。独立型のセンタリングステーションがないことも、コストを削減するとともに場所を取らず、また、装填手順を加速する。なぜなら、自律移動ロボットのマニピュレータが、第1にカセットから、次にセンタリングステーションへ、その後キャリアの凹部へ多段階で半導体ウェハを移送することが要求されないためである。
【0009】
これにもかかわらず、研磨用半導体ウェハが垂直搬送システムのウェハ持ち上げ器によって入れられるセンタリングステーション、たとえばセンタリングリングの提供を除外する意図はない。そのようなステーションの提供は特に、研磨用半導体ウェハがFOUPに入って頭上搭載搬送システムから水平に送出される場合に有用である。その場合、研磨用半導体ウェハのうちの1つが、垂直搬送システムのウェハ持ち上げ器によってFOUPから除去され、まずセンタリングステーションに入れられてから、センタリングされた状態で自律移動ロボットのマニピュレータによって受けられる。
【0010】
自律移動ロボットは、無人車両(自動誘導車両(automated guided vehicle:AGV))として設計されるか、または、AGVに搭載されてその動きを制御する。自律移動ロボットは好ましくは、車輪で走行する。自律移動ロボットはアームを含み、半導体ウェハ用のマニピュレータは前記アームの端に取り付けられており、自律移動ロボットはまた、光学認識システム、好ましくはカメラを含む。このカメラは、研磨機のキャリア上のマーキング、好ましくは、キャリアの表面上のマーキングを認識するために使用される。マーキングの配置に基づいて、ロボットは、凹部の中心の位置を計算する。この目的のために、さらに別のカメラは提供されない。マニピュレータは好ましくは、半導体ウェハをその両面のうちの一方で吸引するための装置を含む。マニピュレータは、センタリングされた状態の研磨用半導体ウェハを、垂直搬送システムのウェハ持ち上げ器から、またはセンタリングステーションから受け取る。
【0011】
自律移動ロボットは次に、装填待機状態にあるDSP研磨機への装填を開始する。カメラにより、自律移動ロボットは、装填されるDSP研磨機のキャリアの空いた凹部の中心の位置を確認し、空いた凹部に研磨用半導体ウェハを入れる。垂直搬送システムのウェハ持ち上げ器による研磨用半導体ウェハの持ち上げから、自律移動ロボットのマニピュレータによるDSP研磨機のキャリアの空いた凹部への研磨用半導体ウェハの挿入までの手順は、意図された数の研磨用半導体ウェハがDSP研磨機に装填されるまで繰り返される。半導体ウェハを受けるために存在する研磨機のキャリアの凹部に研磨用半導体ウェハが装着されると、手順はほぼ終わりである。装填の終了後、研磨が、上方研磨プレートが下方研磨プレートに対して降下されて閉鎖された状態で、自律移動ロボットからの信号を介して開始される。これらの半導体ウェハの研磨中、自律移動ロボットは、研磨機のうちの別のものに研磨用半導体ウェハを装填するか、または、研磨機のうちの別のものから研磨された半導体ウェハを取り外す。
【0012】
研磨機のうちの少なくとも1台上で設備に提供された半導体ウェハのうちのいくつかを、自律移動ロボットがこれらの半導体ウェハのうちの他のいくつかの半導体ウェハのうちの1つを、垂直搬送システムのウェハ持ち上げ器から、またはセンタリングステーションから受け取り、または、それを凹部のうちの1つに挿入し、または、それを凹部のうちの1つから除去する間に、研磨することが特に優先される。
【0013】
取り外し手順のために、研磨機の各々にはx/yリニアユニットが割り当てられ、それは、研磨された半導体ウェハが3つの空間方向のうちの少なくとも2つに搬送されることを可能にする。x/yリニアユニットは、エンドエフェクタを有するウェハ把持器を含み、それは、研磨された半導体ウェハを縁で損傷なく把持する。研磨動作の終了後、研磨された半導体ウェハは、自律移動ロボットのマニピュレータによってキャリアの凹部から連続的に吸引され、x/yリニアユニットのウェハ把持器へ移送され、その後、一体型のウェハ受けを有する湿式搬送コンテナへ仕分けされる。この目的のために、エンドエフェクタを有するウェハ把持器は、好ましくはそれが5mm以下の幅を有するスロットに嵌まるように、非常に狭い設計を有する。湿式搬送コンテナのウェハ受けは複数のスロットを有し、それらの各々に、研磨された半導体ウェハを垂直位置付けで入れることができる。自律移動ロボットのアーム上のマニピュレータによるキャリアの凹部からの研磨された半導体ウェハの除去の後で、x/yリニアユニットのウェハ把持器は、そのエンドエフェクタを用いて、研磨された半導体ウェハを自律移動ロボットから受け取る。この瞬間から、研磨された半導体ウェハに対する責任は自律移動ロボットから取り上げられるため、取り外し手順の持続時間は、ロボットが責任を有し続ける場合よりも少ない。
【0014】
次に、x/yリニアユニットは、ウェハ把持器によって、研磨された半導体ウェハを液体で満たされた湿式搬送コンテナ上へ搬送し、半導体ウェハを湿式搬送コンテナのウェハ受けの空いたスロットに上から押し込む。エンドエフェクタによる研磨された半導体ウェハの解放およびウェハ把持器の撤退の後で、半導体ウェハは、湿式搬送コンテナのウェハ受けにおいて垂直に立っており、湿式搬送コンテナ内の液体によって包囲される。少なくとも、液体と接触している湿式搬送コンテナの表面は好ましくは、塩基および酸含有媒体双方に対して耐性のある、化学的耐性のある材料から構成される。
【0015】
研磨された半導体ウェハの表面で生じる化学反応または物理的改変を防止するために、研磨動作後、好ましくは、研磨された半導体ウェハのすべてが自律移動ロボットによってDSP研磨機から取り外されてから、自律移動ロボットは、DSP研磨機のうちの別のものに研磨用半導体ウェハを装填するか、または、別のDSP研磨機から研磨された半導体ウェハを取り外す。
【0016】
キャリアの凹部からの研磨された半導体ウェハの取り外しは、研磨用半導体ウェハの装填と同様に起こる。研磨された半導体ウェハは、研磨された上面を自律移動ロボットのアーム上のマニピュレータで吸引されて、凹部から持ち上げられる。ロボットのメモリは、半導体ウェハが装着されたキャリアの凹部についての情報、特に半導体ウェハの中心の位置についての情報を、役に立つように含む。
【0017】
湿式搬送コンテナは、好ましくは自動的に液体が充填されたり空にされたりし得るが、研磨された半導体ウェハをそこに収容した状態で、たとえばベルト、ローラー、またはリニア運搬によって自動的にAGVへ移送され、AGVによって、自動ナビゲーションで、空間において自律的にかつ自由に、研磨された半導体ウェハのためのクリーニングユニットまで動かされ、そこで、湿式搬送コンテナは自動的に引き渡され、好ましくは湿式搬送コンテナの端面に搭載されたアダプタを介して結合される。このAGVの動作は、付随するロボットを必要としない。好みで、湿式搬送コンテナを収集し、提供するために、複数のDSP研磨機に同じAGVが割り当てられる。たとえば、10台までのDSP研磨機に対して1台のAGVが割り当てられ、より好ましくは、自律移動ロボットが責任を有するDSP研磨機に対して1台のAGVが割り当てられる。
【0018】
この発明を、図面を参照して、以下により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】この発明に従った設備の垂直搬送システムを示す図である。
【
図4】この発明に従った設備のx/yリニアユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の例示的な実施形態の詳細な説明
一例として理解されるべき、半導体ウェハの研磨のための、
図1に示すこの発明に従った設備1は、3台のDSP研磨機2を含み、それらの下方研磨プレート3が平面図に示されている。下方研磨プレート上にあるのは、半導体ウェハ6用の凹部5を有するキャリア4である。左側に配置されたDSP研磨機は動作中であり、キャリア4の凹部5のすべてに研磨用の半導体ウェハ6が装着されている。このDSP研磨機の閉鎖された上方研磨プレートと、他の2台のDSP研磨機の開放された上方研磨プレートとは、図示されていない。中央のDSP研磨機2には研磨用半導体ウェハ6が部分的に装填され、一方、右側に配置されたDSP研磨機2は無装填状態である。
【0021】
装填および取り外しのために、単一の自律移動ロボット7がDSP研磨機2に割り当てられる。
図1の表示では、自律移動ロボット7は、中央のDSP研磨機2のキャリア4の残りの空いた凹部5に研磨用半導体ウェハ6を入れるのに忙しい。この目的のために、ロボットのアーム上に搭載されたマニピュレータが、研磨用半導体ウェハ6を、垂直搬送システム13から、またはセンタリングステーション20から受け取る。研磨用半導体ウェハはカセットに入ってOHT8によって垂直搬送システム13へ送出され、カセットは好ましくは開放構成を有し、垂直に立った研磨用半導体ウェハを収容する。自律移動ロボット7は、垂直搬送システム13のウェハ持ち上げ器から、またはセンタリングステーション20から受け取られた半導体ウェハ6を中央のDSP研磨機2へ搬送し、それをその研磨機のキャリア4の空いた凹部5のうちの1つに入れる。この手順は、中央のDSP研磨機2に研磨用半導体ウェハ6がフル装填されるまで繰り返されるであろう。
【0022】
DSP研磨機2の各々に割り当てられているのは、
図1に図示されていないx/yリニアユニット9である。
図2は、右側に配置されたDSP研磨機2と、それに割り当てられたx/yリニアユニット9とを示す。この研磨機2上で研磨された半導体ウェハ6は、自律移動ロボット7のマニピュレータによってキャリア4の凹部5から持ち上げられ、x/yリニアユニット9から受け取られ、湿式搬送コンテナ10のウェハ受けに入れられる。
図2の表示によれば、研磨された半導体ウェハ6を有する湿式搬送コンテナ10は、x/yリニアユニット9からAGV11上へ移送されており、AGV11によって、研磨された半導体ウェハ6のためのクリーニングユニット12へ搬送されている。同時に、自律移動ロボット7は、中央のDSP研磨機2のキャリア4の残りの空いた凹部5に研磨用半導体ウェハ6を入れるのに忙しい。
【0023】
DSP研磨機の各々に割り当てられているのは、垂直搬送システム13、たとえば
図3に示す好ましい垂直搬送システム13である。この垂直搬送システム13はカセット受け14を含み、その上に、研磨用半導体ウェハを有する送出された開放カセットがOHT8によって載せられる。カセット受け14は、OHTの領域における高さからDSP研磨機の下方研磨プレートの領域における高さまで、キャリッジによって垂直に上昇または降下され得る。垂直搬送システム13はさらに、定義された位置を有するウェハ持ち上げ器15と、研磨用半導体ウェハを横方向に支持するためのガイド16とを含む。カセット受け14に載せられた開放カセット(図示せず)が端位置まで降下されると、開放カセットに収容された研磨用半導体ウェハは、ウェハ持ち上げ器15によって開放カセットから持ち上げられ、その後、ウェハ持ち上げ器15の定義された位置により、ウェハ持ち上げ器15のバー19の溝においてセンタリングされた状態にあり、ガイド16によって横方向に支持される。ガイド16も同様に、研磨用半導体ウェハの縁を受けるための溝を有する。このセンタリングされた状態で、研磨用半導体ウェハは、自律移動ロボットのマニピュレータにより、片面の中心で吸引されることによって連続的に受け取られる。ウェハ持ち上げ器15は好ましくは、少なくとも1つの測定ユニットを装備しており、それは、送出される半導体ウェハの数を確定し、この数を妥当性について検証し、この情報を制御信号として自律移動ロボットに送信する。垂直搬送システム13はまた、垂直移動のための独立して機能する制御を有し、それは、具体的には速度の、無段階に調整可能な移動プロファイルを保証する。垂直搬送システムの構造的設計はまた、DSP研磨機の広範な修正に着手する必要なく、DSP研磨機への垂直搬送システム13のその後の搭載を可能にする。
【0024】
この代替案として、カセット受けはFOUPを受けることができるように構成されてもよく、ウェハ持ち上げ器は追加でFOUPオープナを有していてもよい。
【0025】
同様にDSP研磨機の各々に割り当てられているのは、x/yリニアユニット、たとえば
図4に示すx/yリニアユニット9である。x/yリニアユニット9は、自己駆動ロボットのマニピュレータから研磨された半導体ウェハを受け取るためのエンドエフェクタ18を有するウェハ把持器17を含む。エンドエフェクタ18は半導体ウェハをその縁で保持する。
【0026】
例示的な実施形態の上述の説明は、例として理解されるべきである。このように行なわれた開示は、第1に、当業者が本発明および関連する利点を理解することを可能にし、第2に、当業者の理解の範囲内で、説明された構造および方法への明らかな変更および修正も包含する。したがって、そのような変更および修正、ならびに均等物はすべて、請求項の保護の範囲によって網羅されることになっている。
【符号の説明】
【0027】
使用される参照番号のリスト
1:半導体ウェハを研磨するための設備、2:DSP研磨機、3:下方研磨プレート、4:キャリア、5:凹部、6:半導体ウェハ、7:自律移動ロボット、8:OHT、9:x/yリニアユニット、10:湿式搬送コンテナ、11:AGV、12:クリーニングユニット、13:垂直搬送システム、14:カセット受け、15:ウェハ持ち上げ器、16:ガイド、17:ウェハ把持器、18:エンドエフェクタ、19:バー、20:センタリングステーション。