(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】電子機器及び配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K1/02 P
(21)【出願番号】P 2018087671
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-02-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】島崎 広野
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0145180(US,A1)
【文献】特開2001-135898(JP,A)
【文献】特開2007-081364(JP,A)
【文献】特開2001-144205(JP,A)
【文献】特開平09-326451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H01L 23/12
H05K 3/46
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同じ電位の電圧が印加される複数の端子を有する半導体装置及び前記半導体装置が搭載された搭載領域を有する配線基板を含む電子機器であって、
前記配線基板は、
前記複数の端子のうちの1つの端子が接続される接続部から前記搭載領域の内側を経由して前記複数の端子のうちの他の端子が接続される接続部に至る基板上配線を有
し、
前記半導体装置は、前記複数の端子を互いに接続する導電経路を有し、
前記基板上配線の前記搭載領域の内側を経由する部分が、前記導電経路に沿って配置されている
電子機器。
【請求項2】
前記基板上配線は、前記導電経路と重なる部分を有する
請求項
1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記半導体装置は、半導体チップ、及び前記半導体チップと前記複数の端子の各々とを接続する複数のワイヤを含み、
前記導電経路は、前記ワイヤ及び前記半導体チップの内部に形成されたチップ内配線を含んで構成されている
請求項
1または請求項
2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記基板上配線及び前記導電経路によって囲まれた領域の面積が、前記搭載領域の面積の半分以下である
請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記配線基板は、前記搭載領域を含む領域に、間隙を隔てて互いに分離して設けられた複数の導体パターンを更に含み、
前記基板上配線が、前記間隙に配置されている
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記複数の端子のうちの1つが、前記複数の導体パターンのうちの1つに接続され、前記複数の端子のうちの他の1つが、前記複数の導体パターンのうちの他の1つに接続されている
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記複数の端子の各々が、前記複数の導体パターンのうちの1つに接続されている
請求項5に記載の電子機器。
【請求項8】
前記配線基板は、
第1の面に設けられた第1の導体パターンと、
前記第1の面において、前記第1の導体パターンと間隙を隔てて設けられた第2の導電パターンと、
前記第1の面とは反対側の第2の面において、前記間隙と重なる部分を有して設けられた第3の導体パターンと、
を含み、
前記基板上配線が、前記間隙に配置されている
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
互いに同じ電位の電圧が印加される複数の端子を有する半導体装置を搭載するための搭載領域と、
前記複数の端子のうちの1つの端子が接続される接続部から前記搭載領域の内側を経由して前記複数の端子のうちの他の端子が接続される接続部に至る基板上配線と、
を有
する配線基板であって、
前記半導体装置は、前記複数の端子を互いに接続する導電経路を有し、
前記基板上配線の前記搭載領域の内側を経由する部分が、前記導電経路に沿って配置されている
配線基板。
【請求項10】
前記搭載領域を含む領域に、間隙を隔てて互いに分離して設けられた複数の導体パターンを更に含み、
前記基板上配線が、前記間隙に配置されている
請求項
9に記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップをパッケージングした半導体装置と、半導体装置を搭載した配線基板とを含む電子機器におけるノイズ対策に関する技術として、以下の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の電源ピンと複数の信号ピンを有するLSIが実装される多層プリント配線板において、複数の電源ピンの一部または全部がインダクタンスパターンを介して電源パターンと接続されるよう構成した多層プリント配線板が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体チップをパッケージングした半導体装置は、電源を強化することを目的として、互いに同じ電位の電圧が印加される複数の電源端子を有する場合がある。複数の電源端子を有する半導体装置は、複数の電源端子のうちの1つから、ワイヤ、半導体チップの内部に形成されたチップ内配線及びワイヤを経由して複数の電源端子のうちの他の1つに至る導電経路を含み得る。このような導電経路を有する半導体装置が搭載される配線基板は、複数の電源端子の各々を互いに接続する基板上配線を含み得る。ここで、外部から到来するノイズに対する耐性を高めることを目的として、配線基板には、半導体装置が搭載される搭載領域を覆うグランドパターンが設けられる場合がある。半導体装置が搭載される搭載領域にグランドパターンが設けられる場合、複数の電源端子の各々を互いに接続する基板上配線は、半導体装置が搭載される搭載領域を迂回するように配置される。この場合、半導体装置の内部に形成される上記導電経路と、複数の電源端子の各々を互いに接続する上記基板上配線と、によって導電ループが形成され、外部から到来する電磁ノイズに対する耐性が低下するおそれがある。例えば、導電ループの内側を貫く磁束が変化すると、電磁誘導によって電源電圧が変動し、これによって回路動作が不安定となったり、回路素子が破壊したりするおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、外部から到来する電磁ノイズに対する耐性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器は、互いに同じ電位の電圧が印加される複数の端子を有する半導体装置及び前記半導体装置が搭載された搭載領域を有する配線基板を含む電子機器であって、前記配線基板は、前記複数の端子のうちの1つの端子が接続される接続部から前記搭載領域の内側を経由して前記複数の端子のうちの他の端子が接続される接続部に至る基板上配線を有する。前記半導体装置は、前記複数の端子を互いに接続する導電経路を有し、前記基板上配線の前記搭載領域の内側を経由する部分が、前記導電経路に沿って配置されている。
【0008】
本発明に係る配線基板は、互いに同じ電位の電圧が印加される複数の端子を有する半導体装置を搭載するための搭載領域と、前記複数の端子のうちの1つの端子が接続される接続部から前記搭載領域の内側を経由して前記複数の端子のうちの他の端子が接続される接続部に至る基板上配線と、を有する。前記半導体装置は、前記複数の端子を互いに接続する導電経路を有し、前記基板上配線の前記搭載領域の内側を経由する部分が、前記導電経路に沿って配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部から到来する電磁ノイズに対する耐性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の第1の実施形態に係る電子機器1の概略的な構成の一例を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る半導体装置の内部構造の一例を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る配線基板に形成された配線パターンの一例を示す平面図である。
【
図4A】本発明の実施形態に係る半導体装置の内部構造、半導体装置に形成された導電経路及び配線基板に形成された基板上配線を併せて示した平面図である。
【
図4B】
図4Aに示される各要素のうち導電経路及び基板上配線を抽出して示した平面図である。
【
図5A】比較例に係る電子機器の構成の一例を示す平面図である。
【
図5B】
図5Aに示される各要素のうち、導電経路及び基板上配線を抽出して示した平面図である。
【
図6A】本発明の第2の実施形態に係る電子機器の構成の一例を示す平面図である。
【
図6B】
図6Aに示される各要素のうち、導電経路及び基板上配線を抽出して示した平面図である。
【
図7A】本発明の第3の実施形態に係る電子機器の構成の一例を示す平面図である。
【
図7B】
図7Aに示される各要素のうち、導電経路及び基板上配線を抽出して示した平面図である。
【
図8A】本発明の第4の実施形態に係る電子機器の構成の一例を示す平面図である。
【
図8B】
図8Aに示される各要素のうち、導電経路及び基板上配線を抽出して示した平面図である。
【
図9A】本発明の第5の実施形態に係る電子機器の構成の一例を示す平面図である。
【
図9B】本発明の実施形態に係る配線基板の第1の面に形成される配線パターンの一例を示す平面図である。
【
図9C】本発明の実施形態に係る配線基板の第2の面に形成される配線パターンの一例を示す平面図である。
【
図10A】本発明の第6の実施形態に係る電子機器の構成の一例を示す平面図である。
【
図10B】本発明の実施形態に係る配線基板の第1の面に形成された配線パターンの一例を示す平面図である。
【
図10C】本発明の実施形態に係る配線基板の第2の面に形成される配線パターンの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、開示の技術の実施形態の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。
【0012】
[第1の実施形態]
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る電子機器1の概略的な構成の一例を示す平面図である。
図1Bは、
図1Aにおける1B-1B線に沿った断面図である。電子機器1は、配線基板10と、配線基板10に搭載された半導体装置20とを含んで構成されている。
【0013】
図2は、半導体装置20の内部構造の一例を示す平面図である。半導体装置20は、集積回路が形成された半導体チップ21と、半導体チップ21にワイヤ22を介して接続された複数の端子23と、半導体チップ21を封止する封止部材24とを含んで構成されている。本実施形態において、半導体装置20の平面視における外形は、略矩形である。半導体装置20は、例えば、QFP(Quad Flat Package)のパッケージ形態を有していてもよい。
【0014】
本実施形態において、複数の端子23には、互いに同じ電位の電源電圧VDDが印加される2つの電源端子23Pa、23Pbが含まれている。電源端子23Paは、半導体装置20のコーナ部25Aの近傍に配置され、ワイヤ22を介して半導体チップ21に接続されている。電源端子23Pbは、半導体装置20のコーナ部25Aの対角となるコーナ部25Bの近傍に配置され、ワイヤ22を介して半導体チップの、電源端子23Paが接続された箇所とは異なる箇所に接続されている。半導体装置20が、複数の電源端子23Pa及び23Pbを有することで、半導体チップ21の面内における電源電圧の均一性を高めることができる。
【0015】
半導体装置20は、電源端子23Pa、ワイヤ22、半導体チップ21内に形成されたチップ内配線(図示せず)、及びワイヤ22を経由して、電源端子23Pbに至る導電経路26を有する。なお、導電経路26の、半導体チップ21の内部を通過する部分は、必ずしも
図2に例示するような直線状に限らず、屈曲していても構わない。
【0016】
図3は、配線基板10に形成された配線パターンの一例を示す平面図である。配線基板10は、半導体装置20の複数の端子23が接続される接続部としての複数のランド11を有する。複数のランド11には、電源端子23Paが接続されるランド11Pa及び電源端子23Pbが接続されるランド11Pbが含まれている。配線基板10は、ランド11Pa、搭載領域30の内側及びランド11Pbを経由する基板上配線12を有する。このように、ランド11Pa及び11Pbを、基板上配線12によって相互に接続することで、半導体装置20の電源端子23Pa及び23Pbに、それぞれ、同じ電位を有する電源電圧VDDを供給することが可能となる。
【0017】
図4Aは、半導体装置20の内部構造、半導体装置20に形成された導電経路26及び配線基板10に形成された基板上配線12を併せて示した平面図である。
図4Bは、
図4Aに示される各要素のうち、導電経路26及び基板上配線12を抽出して示した平面図である。本実施形態に係る電子機器1によれば、半導体装置20に形成された導電経路26と、配線基板10に形成された基板上配線12とが、電気的に接続され、これにより、導電ループ40が構成される。導電ループ40は、ループアンテナとして作用するおそれがあり、外部から到来する電磁ノイズによって、導電ループ40の内側を貫く磁束が変化すると、電磁誘導によって導電経路26及び基板上配線12の電位(すなわち、電源電圧VDDの電位)が変動する。このような電位変動を抑制するためには、導電ループ40の内側領域(
図4Bにおいてハッチングで示された領域)の面積を可能な限り小さくすることが好ましい。
【0018】
ここで、
図5Aは、比較例に係る電子機器1Xの構成の一例を示す平面図である。
図5Aにおいて半導体装置20の内部構造、半導体装置20に形成された導電経路26及び配線基板10に形成された基板上配線12Xが併せて示されている。
図5Bは、
図5Aに示される各要素のうち、導電経路26及び基板上配線12Xを抽出して示した平面図である。比較例に係る電子機器1Xは、基板上配線12Xの引き回しが、本発明の実施形態に係る基板上配線12と異なる。すなわち、比較例に係る基板上配線12Xは、電源端子23Paが接続されるランド11Paから搭載領域30の外側を経由して電源端子23Pbが接続されるランド11Pbに至っている。
【0019】
比較例に係る電子機器1Xによれば、基板上配線12Xのランド11Paからランド11Pbに至る部分が、半導体装置20の搭載領域30の外側を通過するので、半導体装置20に形成された導電経路26と、基板上配線12Xとによって構成される導電ループ40Xの内側領域(
図5Bにおいてハッチングで示された領域)の面積が、本発明の実施形態に係る導電ループ40よりも大きくなる。
【0020】
一方、本発明の実施形態に係る電子機器1によれば、基板上配線12の、ランド11Paからランド11Pbに至る部分が、半導体装置20の搭載領域30の内側を通過するので、導電ループ40の内側領域の面積を、比較例に係る導電ループ40Xよりも小さくすることができる。従って、本発明の実施形態に係る電子機器1によれば、比較例に係る電子機器1Xと比較して、外部から到来する電磁ノイズに対する耐性を高めることが可能となる。なお、導電ループ40の内側領域の面積は、半導体装置20の搭載領域30の面積の半分(50%)以下であることが好ましい。
【0021】
更に、本発明の実施形態に係る電子機器1によれば、基板上配線12の、搭載領域30の内側を通過する部分が、半導体装置20のワイヤ22及び端子23によって覆われる。ワイヤ22及び端子23は、電磁ノイズに対するシールドとして機能するので、基板上配線12の、搭載領域30の内側を通過する部分を、ワイヤ22及び端子23によって覆うことで、電磁ノイズに対する耐性を更に高めることができる。
【0022】
また、本発明の実施形態に係る電子機器1によれば、電磁ノイズの影響を低減させるための、キャパシタ等の電磁ノイズ対策部品を実装することなく電磁ノイズに対する耐性を高めることができるので、電磁ノイズ対策部品を実装する電子機器と比較して、製造コストを抑えることが可能となる。
【0023】
[第2の実施形態]
図6Aは、本発明の第2の実施形態に係る電子機器1Aの構成の一例を示す平面図である。
図6Aにおいて半導体装置20の内部構造、半導体装置20に形成された導電経路26及び配線基板10に形成された基板上配線12Aが併せて示されている。
図6Bは、
図6Aに示される各要素のうち、導電経路26及び基板上配線12Aを抽出して示した平面図である。
【0024】
本発明の第2の実施形態に係る電子機器1Aは、基板上配線12Aの引き回しが、第1の実施形態に係る基板上配線12と異なる。第2の実施形態に係る基板上配線12Aは、電源端子23Paが接続されるランド11Paから、半導体装置20の搭載領域30の内側を経由して電源端子23Pbが接続されるランド11Pbに至る。基板上配線12Aの、搭載領域30の内側を経由する部分は、半導体装置20に形成された導電経路26に沿って配置されている。より具体的には、基板上配線12Aの、搭載領域30の内側を経由する部分は、導電経路26と重なるように、導電経路26の直下に配置されている。
【0025】
本発明の第2の実施形態に係る電子機器1Aによれば、半導体装置20に形成された導電経路26と、配線基板10に形成された基板上配線12Aとによって構成される導電ループ40の内側領域の面積を略ゼロとすることが可能となる。これにより、導電ループ40の内側を貫く磁束が、略ゼロとなり、電磁ノイズに対する耐性を、更に高めることが可能である。
【0026】
[第3の実施形態]
図7Aは、本発明の第3の実施形態に係る電子機器1Bの構成の一例を示す平面図である。
図7Aにおいて半導体装置20の内部構造、半導体装置20に形成された導電経路26B及び配線基板10に形成された基板上配線12Bが併せて示されている。
図7Bは、
図7Aに示される各要素のうち、導電経路26B及び基板上配線12Bを抽出して示した平面図である。
【0027】
本発明の第3の実施形態に係る電子機器1Bにおいて、半導体装置20の電源端子23Pa及び電源端子23Pbは、半導体装置20の1つの辺に沿って設けられている。従って、電源端子23Pa、ワイヤ22、半導体チップ21内に形成されたチップ内配線(図示せず)、及びワイヤ22を経由して、電源端子23Pbに至る導電経路26Bは、
図7A及び
図7Bに示すように屈曲している。
【0028】
基板上配線12Bは、電源端子23Paが接続されるランド11Paから、半導体装置20の搭載領域30の内側を経由して電源端子23Pbが接続されるランド11Pbに至る。基板上配線12Bの、搭載領域30の内側を経由する部分は、半導体装置20に形成された導電経路26Bに沿って配置されている。より具体的には、基板上配線12Bの、搭載領域30の内側を経由する部分は、導電経路26Bと重なるように、導電経路26Bの直下に配置されている。
【0029】
本発明の第3の実施形態に係る電子機器1Bによれば、半導体装置20に形成された導電経路26Bと、配線基板10に形成された基板上配線12Bとによって構成される導電ループ40の内側領域の面積を略ゼロとすることが可能となる。これにより、導電ループ40の内側を貫く磁束が、略ゼロとなり、電磁ノイズに対する耐性を、更に高めることが可能である。
【0030】
[第4の実施形態]
図8Aは、本発明の第4の実施形態に係る電子機器1Cの構成の一例を示す平面図である。
図8Aにおいて半導体装置20の内部構造、半導体装置20に形成された導電経路26C及び配線基板10に形成された基板上配線12Cが併せて示されている。
図8Bは、
図8Aに示される各要素のうち、導電経路26C及び基板上配線12Cを抽出して示した平面図である。
【0031】
本発明の第4の実施形態に係る半導体装置20は、互いに同じ電位の電源電圧VDDが印加される4つの電源端子23Pa、23Pb、23Pc、23Pdを有する。電源端子23Pa、23Pb、23Pc、23Pdは、それぞれ、半導体装置20の各コーナ部の近傍に配置されている。半導体装置20は、電源端子23Pa、23Pb、23Pc、23Pdを相互に接続する導電経路26Cを有する。導電経路26Cは、ワイヤ22及び半導体チップ21内に形成されたチップ内配線(図示せず)を含んで構成されている。
【0032】
配線基板10は、電源端子23Paが接続されるランド11Pa、電源端子23Pbが接続されるランド11Pb、電源端子23Pcが接続されるランド11Pc及び電源端子23Pdが接続されるランド11Pdを有する。配線基板10は、ランド11Paから半導体装置20の搭載領域30の内側を経由して他のランド11Pb、11Pc、11Pdに至る基板上配線12Cを有する。このように、ランド11Pa、11Pb、11Pc、11Pdを、基板上配線12Cによって相互に接続することで、半導体装置20の電源端子23Pa、23Pb、23Pc、23Pdに、それぞれ、同じ電位を有する電源電圧VDDを供給することが可能となる。
【0033】
基板上配線12Cの、搭載領域30の内側を経由する部分は、半導体装置20に形成された導電経路26Cに沿って配置されている。より具体的には、基板上配線12Cの、搭載領域30の内側を経由する部分は、導電経路26Cと重なるように、導電経路26Cの直下に配置されている。
【0034】
本発明の第4の実施形態に係る電子機器1Cによれば、半導体装置20に形成された導電経路26Cと、配線基板10に形成された基板上配線12Cとによって構成される導電ループ40の内側領域の面積を略ゼロとすることが可能となる。これにより、導電ループ40の内側を貫く磁束が、略ゼロとなり、電磁ノイズに対する耐性を、更に高めることが可能である。
【0035】
[第5の実施形態]
図9Aは、本発明の第5の実施形態に係る電子機器1Dの構成の一例を示す平面図である。
図9Aにおいて半導体装置20の内部構造、半導体装置20に形成された導電経路26及び配線基板10に形成された配線パターンが併せて示されている。
図9Bは、配線基板10の、半導体装置20が搭載される第1の面S1に形成された配線パターンの一例を示す平面図である。
図9Cは、配線基板10の第1の面S1とは反対側の第2の面S2に形成された配線パターンの一例を示す平面図である。
図9Dは、
図9Aにおける9D-9D線に沿った断面図である。
【0036】
半導体装置20は、電源端子23Pa及び23Pbに加え、グランド端子23Ga、23Gb及び複数の信号端子23Sを有する。
【0037】
配線基板10の第1の面S1には、電源端子23Pa及び23Pbがそれぞれ接続されるランド11Pa及び11Pbに加え、グランド端子23Ga及び23Gbがそれぞれ接続されるランド11Ga及び11Gb、並びに信号端子23Sがそれぞれ接続される複数のランド11Sが設けられている。また、配線基板10の第1の面S1には、ランド11Sの各々に接続された複数の信号配線12sが設けられている。
【0038】
配線基板10の第2の面S2には、電源配線12pが設けられている。信号配線12s及び電源配線12pは、それぞれ、基板上配線12を構成する配線である。電源配線12pは、スルーホール13Paを介して、配線基板10の第1の面S1に設けられたランド11Paに接続されている。また、電源配線12pは、スルーホール13Pbを介して、配線基板10の第1の面S1に設けられたランド11Pbに接続されている。電源配線12pは、ランド11Paから搭載領域30の内側を経由してランド11Pbに至っている。このように、ランド11Pa及び11Pbを、電源配線12pによって相互に接続することで、半導体装置20の電源端子23Pa及び23Pbに、それぞれ、同じ電位を有する電源電圧VDDを供給することが可能となる。
【0039】
配線基板10の第2の面S2には、間隙15を隔てて互いに分離している導体パターン14a、14bが設けられている。配線基板10の第2の面S2は、搭載領域30を含む領域の大部分(例えば70%以上)が、導体パターン14a、14bによって覆われている。導体パターン14a及び14bには、グランド電位が印加される。導体パターン14aは、スルーホール13Gaを介して、配線基板10の第1の面S1に設けられたランド11Gaに接続されている。導体パターン14bは、スルーホール13Gbを介して、配線基板10の第1の面S1に設けられたランド11Gbに接続されている。導体パターン14aと導体パターン14bとを隔てる間隙15は、搭載領域30の内側を経由するように伸びている。電源配線12pは、間隙15に配置されている。
【0040】
電源配線12pの、搭載領域30の内側を経由する部分は、半導体装置20に形成された導電経路26に沿って配置されている。より具体的には、電源配線12pの、搭載領域30の内側を経由する部分は、導電経路26と重なるように、導電経路26の直下に配置されている。
【0041】
本発明の第5の実施形態に係る電子機器1Dによれば、半導体装置20に形成された導電経路26と、配線基板10に形成された電源配線12pとによって構成される導電ループの内側領域の面積を略ゼロとすることが可能となる。これにより、導電ループの内側を貫く磁束が、略ゼロとなり、電磁ノイズに対する耐性を高めることが可能である。
【0042】
また、配線基板10の第2の面S2は、搭載領域30を含む領域の大部分が、グランド電位が印加される導体パターン14a及び14bによって覆われている。グランド電位が印加される導体パターン14a及び14bは、電磁ノイズに対するシールドとして機能するので、配線基板10の第2の面S2における搭載領域30を含む領域の大部分を、導体パターン14a及び14bによって覆うことで、電磁ノイズに対する耐性を更に高めることができる。
【0043】
また、半導体装置20のグランド端子23Gaが、スルーホール13Gaを介して、その直下に配置されている導体パターン14aに接続され、半導体装置20のグランド端子23Gbが、スルーホール13Gbを介して、その直下に配置されている導体パターン14bに接続されている。これにより、グランド端子23Ga及び23Gbを、最短経路で、グランド電位に接続することが可能となる。
【0044】
なお、グランド端子23Ga及び23Gbの双方が共通の導体パターン14a(または導体パターン14b)に接続されていてもよい。これにより、電磁ノイズに対する耐性を更に高めることが可能となる。
【0045】
[第6の実施形態]
図10Aは、本発明の第6の実施形態に係る電子機器1Eの構成の一例を示す平面図である。
図10Aにおいて半導体装置20の内部構造、半導体装置20に形成された導電経路26及び配線基板10に形成された配線パターンが併せて示されている。
図10Bは、配線基板10の半導体装置20が搭載される第1の面S1に形成された配線パターンの一例を示す平面図である。
図10Cは、配線基板10の第1の面S1とは反対側の第2の面S2に形成された配線パターンの一例を示す平面図である。
図10Dは、
図10Aにおける10D-10D線に沿った断面図である。
【0046】
半導体装置20は、電源端子23Pa及び23Pbに加え、グランド端子23Ga、23Gb及び複数の信号端子23Sを有する。
【0047】
配線基板10の第1の面S1には、電源端子23Pa及び23Pbがそれぞれ接続されるランド11Pa及び11Pb及び信号端子23Sがそれぞれ接続される複数のランド11Sが設けられている。また、配線基板10の第1の面S1には、ランド11Sの各々に接続された複数の信号配線12sが設けられている。また、配線基板10の第1の面S1には、ランド11Pa及び11Pbに接続された電源配線12pが設けられている。電源配線12pは、ランド11Paから搭載領域30の内側を経由してランド11Pbに至っている。このように、ランド11Pa及び11Pbを、電源配線12pによって相互に接続することで、半導体装置20の電源端子23Pa及び23Pbに、それぞれ、同じ電位を有する電源電圧VDDを供給することが可能となる。信号配線12s及び電源配線12pは、それぞれ、基板上配線12を構成する配線である。
【0048】
また、配線基板10の第1の面S1には、グランド端子23Ga及び23Gbがそれぞれ接続される導体パターン14a及び14bが設けられている。導体パターン14a及び14bは、間隙15を隔てて互いに分離している。導体領域14a及び14bは、半導体装置20の搭載領域30の内外に延材しており、配線基板10の第1の面S1において、搭載領域30の大部分(例えば70%以上)が、導体パターン14a、14bによって覆われている。導体パターン14a及び14bには、グランド電位が印加される。導体パターン14aと導体パターン14bとを隔てる間隙15は、搭載領域30の内側を経由するように伸びている。電源配線12pは、間隙15に配置されている。
【0049】
配線基板10の第2の面S2には、導体パターン16が設けられている。配線基板10の第2の面S2は、搭載領域30を含む領域の大部分(例えば70%以上)が、導体パターン16によって覆われている。導体パターン16は、半導体装置20の搭載領域30において、導体パターン14aと導体パターン14bとを隔てる間隙15と重なるように配置されている。導体パターン16には、グランド電位が印加される。
【0050】
電源配線12pの、搭載領域30の内側を経由する部分は、半導体装置20に形成された導電経路26に沿って配置されている。より具体的には、電源配線12pの、搭載領域30の内側を経由する部分は、導電経路26と重なるように、導電経路26の直下に配置されている。
【0051】
本発明の第6の実施形態に係る電子機器1Eによれば、半導体装置20に形成された導電経路26と、配線基板10に形成された電源配線12pとによって構成される導電ループの内側領域の面積を略ゼロとすることが可能となる。これにより、導電ループの内側を貫く磁束が、略ゼロとなり、電磁ノイズに対する耐性を高めることが可能である。
【0052】
また、配線基板10の第1の面S1において、搭載領域30の大部分が、グランド電位が印加される導体パターン14a及び14bによって覆われている。グランド電位が印加される導体パターン14a及び14bは、電磁ノイズに対するシールドとして機能するので、配線基板10の第1の面S1において、搭載領域30の大部分を、導体パターン14a及び14bによって覆うことで、電磁ノイズに対する耐性を更に高めることができる。ここで、導体パターン14aと導体パターン14bとを互いに隔てる間隙15が、搭載領域30の内側に配置されることで、シールド効果が減退するおそれがある。しかしながら、配線基板10の第2の面S2には、間隙15と重なる位置に、導体パターン16が設けられているので、間隙15が搭載領域30の内側に配置されることによるシールド効果の減退を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1X 電子機器
10 配線基板
11、11Ga、11Gb、11Pa、11Pb、11Pc、11Pc、11S ランド
12、12A、12B、12C、12X 基板上配線
12p 電源配線
12s 信号配線
14a、14b、16 導体パターン
15 間隙
20 半導体装置
21 半導体チップ
22 ワイヤ
23 端子
23Ga、23Gb グランド端子
23Pa、23Pb、23Pc、23Pd 電源端子
23S 信号端子
26、26B、26C 導電経路
30 搭載領域
40、40X 導電ループ