(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】モニタリング用のニューラルネットワークを用いた研磨装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230214BHJP
B24B 37/013 20120101ALI20230214BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20230214BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
H01L21/304 622S
H01L21/304 621B
B24B37/013
B24B49/04 Z
B24B49/10
(21)【出願番号】P 2019556937
(86)(22)【出願日】2018-04-13
(86)【国際出願番号】 US2018027562
(87)【国際公開番号】W WO2018194929
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-06
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュー, クン
(72)【発明者】
【氏名】イラヴァニ, ハサン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】イヴァノフ, デニス
(72)【発明者】
【氏名】スウェデク, ボグスロー エー.
(72)【発明者】
【氏名】シェン, シーハル
(72)【発明者】
【氏名】リー, ハリー キュー.
(72)【発明者】
【氏名】シェリアン, ベンジャミン
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-164110(JP,A)
【文献】米国特許第06594024(US,B1)
【文献】特表2016-538728(JP,A)
【文献】特開2014-096585(JP,A)
【文献】特表2017-506438(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0028279(US,A1)
【文献】特表2007-501509(JP,A)
【文献】米国特許第09281253(US,B2)
【文献】米国特許第07001243(US,B1)
【文献】特表2004-525521(JP,A)
【文献】特表2012-508983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/013
B24B 49/04
B24B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の研磨方法であって、
研磨ステーションで前記基板上の層を研磨することと、
前記層上の複数の異なる箇所について複数の測定信号を生成するため、インシトゥモニタリングシステムにより、前記研磨ステーションで研磨中の前記層をモニタすることと、
前記複数の異なる箇所の各箇所について、前記
複数の異なる箇所
についての前記複数の測定信号から、ニューラルネットワークを介して
前記箇所での厚みの推定値を生成することと、
厚みの各推定値に基づいて研磨パラメータを修正すること、又は研磨終点を検出することのうちの、少なくとも1つと、
を含む基板の研磨方法。
【請求項2】
前記層の一又は複数の異なる箇所の各箇所について厚みのグラウンドトゥルース値を取得することと、
各箇所についての厚みの前記推定値と、これに対応する前記箇所の厚みの前記グラウンドトゥルース値との間の、誤差量を計算することと、
前記誤差量に基づいて、前記ニューラルネットワー
クのパラメータを更新することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
厚みの前記グラウンドトゥルース値は4点プローブ法に基づいて特定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
基板を保持するキャリアと、
研磨面用の支持体と、
センサを有するインシトゥモニタリングシステムであって、層の複数の異なる箇所について測定信号を生成するように構成されたインシトゥモニタリングシステムと、
前記センサと前記基板との間の相対運動を生成するモーターと、
コントローラであって、
前記インシトゥモニタリングシステムから前記複数の測定信号を受信し、
前記複数の異なる箇所の各箇所に
ついて、前記
複数の異なる箇所
についての前記複数の測定信号から、ニューラルネットワークを介して
前記箇所での厚みの推定値を生成することを含み、
厚みの各推定値に基づいて研磨パラメータを修正する、研磨終点を検出する、或いはその両方を行うように構成された、
コントローラと、
を備える、研磨システム。
【請求項5】
前記コントローラはさらに、前記層の第2の複数の異なる箇所の各箇所について、
前記第2の複数の異なる箇所の前記箇所の前記測定信号に基づいて、
前記第2の複数の異なる箇所の前記箇所の厚みの推定値を生成するように構成され、前記生成することは、厚みの推定値の複数の値に、前記測定信号の複数の値に関連する静的な公式を使用することを含む、請求項4に記載の研磨システム。
【請求項6】
前記コントローラはさらに、第2の基板の層の第3の複数の異なる箇所の各箇所について、前記箇所の前記測定信号に基づいて、前記箇所の厚みの推定値を生成するように構成され、前記生成することは、厚みの推定値の複数の値に、前記測定信号の複数の値に関連する静的な公式を使用することを含む、請求項4に記載の研磨システム。
【請求項7】
前記インシトゥモニタリングシステムは、渦電流センサを備える、請求項4に記載の研磨システム。
【請求項8】
一又は複数のコンピュータによって実行されると、前記一又は複数のコンピュータに操作を実行させる命令が、エンコードされたコンピュータ記憶媒体であって、前記操作は、
研磨ステーションで基板の層の研磨中に、インシトゥモニタリングシステムから前記層の複数の異なる箇所についての複数の測定信号を受信することと、
前記複数の異なる箇所の各箇所について、前記
複数の異なる箇所
についての前記複数の測定信号から、ニューラルネットワークを介して
前記箇所での厚みの推定値を生成することと、
厚みの各推定値に基づいて研磨パラメータを修正すること、又は研磨終端を検出することのうちの、少なくとも1つと、
を含む、コンピュータ記憶媒体。
【請求項9】
前記操作はさらに、
前記層の第2の複数の異なる箇所について、第2の複数の測定信号を受信することと、
前記第2の複数の異なる箇所の各箇所について、
前記第2の複数の異なる箇所の前記箇所の前記測定信号に基づいて、
前記第2の複数の異なる箇所の前記箇所の厚みの推定値を生成することであって、厚みの推定値の複数の値に、前記測定信号の複数の値に関連する静的な公式を使用することを含む、生成することと、
を含む、請求項8に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項10】
前記操作はさらに、
第2の基板上の層の第3の複数の測定信号を受信することであって、前記第3の複数の測定信号の各々が、前記第2の基板上の前記層の第3の複数の
異なる箇所の1つの箇所に対応する、受信することと、
前記第3の複数の異なる箇所の各箇所について、
前記第3の複数の異なる箇所の前記箇所の前記測定信号に基づいて、
前記第3の複数の異なる箇所の前記箇所の厚みの推定値を生成することであって、厚みの推定値の複数の値に、前記測定信号の複数の値に関連する静的な公式を使用することを含む、生成することと、
を含む、請求項8に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項11】
前記ニューラルネットワークは、入力層、出力層、及び一又は複数の隠れた層を含む、一又は複数のニューラルネットワーク層を含み、
各ニューラルネットワーク層は一又は複数のニューラルネットワークノードを含み、
各ニューラルネットワークノードは、出力を生成するために、一組のパラメータに従って入力を処理するように構成されている、請求項8に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項12】
前記入力層のニューラルネットワークノードへの前記入力は、前記研磨ステーションのパッドの摩耗の測定値を含む、請求項11に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項13】
前記層上の前
記複数の異なる箇所
の少なくとも1つはアンカー
領域の箇所を含み、厚みの各第1の測定値を特定することは、前記測定信号を更新するため、前記アンカー
領域の前記箇所についての前記測定信号に基づいて、各測定信号を正規化することを含む、請求項
8に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項14】
厚みの各推定値は正規化された値であって、前記操作はさらに、厚みの推定値を更新するために、前記アンカー
領域の前記箇所についての前記測定信号を用いて、厚みの各推定値を非正規化値に変換することを含む、請求項13に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項15】
前記層の一又は複数の異なる箇所の各箇所について厚みのグラウンドトゥルース値を受信することと、
各箇所に対する厚みの前記推定値とこれに対応する前記箇所の厚みの前記グラウンドトゥルース値と間の誤差量を計算することと、
前記誤差量に基づいて、前記ニューラルネットワー
クのパラメータを更新することと
をさらに含む、請求項8に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項16】
前記複数の異なる箇所は、前記基板のエッジ領域及びアンカー領域内の箇所を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板研磨中のインシトゥモニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、典型的には、シリコンウエハに導電層、半導電層、又は絶縁層を連続して堆積させ、その後層を処理することによって、基板(例えば、半導体ウエハ)上に形成される。
【0003】
ある製造ステップは、非平面の表面上に充填層を堆積し、非平面が露出するまで充填層を平坦化することを含む。例えば、パターニングされた絶縁層上に導電性充填層が堆積され、絶縁層内のトレンチまたは孔を充填することができる。その後充填層は、絶縁層の隆起したパターンが露出するまで研磨される。平坦化後、絶縁層の隆起したパターンの間に残っている導電層の部分が、基板上の薄膜回路の間の導電経路を提供するビア、プラグ、およびラインを形成する。さらに、リソグラフィ用に基板表面を平坦にするため、平坦化が使用されうる。
【0004】
化学機械研磨(CMP)は、認知されている平坦化方法の1つである。この平坦化方法では、典型的には、基板をキャリアヘッドに装着することが必要となる。基板の露出面は、回転する研磨パッドに当たるように置かれる。キャリアヘッドは、基板に制御可能な荷重をかけて、基板を研磨パッドに押し付ける。砥粒を含むスラリなどの研磨液が、研磨パッドの表面に供給される。
【0005】
半導体の処理中には、基板又は基板上の層の一又は複数の特性を特定することが重要となりうる。例えば、処理が適切な時間で終了されるよう、CMP処理中の導電層の厚みを知ることが重要になりうる。基板特性を特定するため、多数の方法が使用されうる。例えば、化学機械研磨中の基板のインシトゥモニタリングに光学センサが使用されうる。代替的に(又は追加的に)、導電性領域の局所厚みなどのパラメータを特定するため、基板の導電性領域内に渦電流を誘導するように渦電流検知システムが使用されうる。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、研磨ステーションで基板上の層を研磨する方法は、層上の複数の異なる箇所について複数の測定信号を生成するため、インシトゥモニタリングシステムを用いて、研磨ステーションで研磨中の層をモニタすることと、層上の複数の異なる箇所について複数の推定値を生成することであって、ニューラルネットワークを介して複数の測定信号の処理を含む、生成することと、厚みの各推定値に基づいて研磨パラメータを修正すること又は研磨終点を検出することのうちの少なくとも1つとを含む。
【0007】
別の態様では、対応するコンピュータシステム、装置、及び一又は複数のコンピュータストレージデバイス上に記録されたコンピュータプログラムが、この方法を実施するように構成されている。一又は複数のコンピュータシステムは、動作中にシステムが作用を実行しうるように、システム上にインストールされたソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はこれらの組み合わせによって、特定の動作又は作用を実行するように構成されうる。一又は複数のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行された時に、装置に動作を実行させる命令を含むことによって、特定の操作又は動作を実行するように構成されている。
【0008】
別の態様では、研磨システムは、基板を保持するキャリア、研磨面の支持体、センサを有するインシトゥモニタリングシステム、基板とセンサとの間の相対運動を生み出すモーター、及びコントローラを含む。インシトゥモニタリングシステムは、層上の複数の異なる箇所について測定信号を生成するように構成されている。コントローラは、インシトゥモニタリングシステムから複数の測定信号を受信し、複数の異なる箇所の各箇所について、その箇所の厚みの推定値を生成するように構成されており、生成することは、ニューラルネットワークを介して複数の信号を処理することを含み、研磨終点を検出し、厚みの各推定値に基づいて研磨パラメータを修正し、又はその両方を行う。
【0009】
上記態様のいずれかの実装は、以下の一又は複数の特徴を含みうる。
【0010】
第2の複数の測定信号は、層の第2の複数の異なる箇所について得られうる。第2の複数の異なる箇所の各箇所について、その箇所での厚みの推定値は、その箇所での測定信号に基づいて生成されうる。厚みの推定値を生成することは、厚みの推定値の複数の値に、測定信号の複数の値に関連する静的な公式(static formula)を使用することを含みうる。第3の複数の測定信号は、第2の基板の層について得られる。第3の複数の測定信号の各々は、第2の基板上の層の第3の複数の箇所のうちの1つの箇所に対応しうる。第3の複数の異なる箇所の各箇所について、その箇所の厚みの推定値は、その箇所の測定信号に基づいて生成されうる。厚みの推定値を生成することは、厚みの推定値の複数の値に、測定信号の複数の値に関連する静的な公式を使用することを含みうる。
【0011】
インシトゥモニタリングシステムは、渦電流センサを含みうる。ニューラルネットワークは、入力層、出力層、及び一又は複数の隠れた層を含む、一又は複数のニューラルネットワーク層を含み、各ニューラルネットワーク層は一又は複数のニューラルネットワークノードを含む。各ニューラルネットワークノードは、出力を生成するための一組のパラメータに従って入力を処理するように構成されうる。入力層のニューラルネットワークノードへの入力は、研磨ステーションのパッドの摩耗の測定値を含みうる。一又は複数の異なる箇所はアンカー箇所を含み、厚みの各第1の測定値を特定することは、測定信号を更新するため、アンカー箇所の測定信号に基づいて、各測定信号を正規化することを含みうる。アンカー箇所は、基板のエッジから離間されうる。厚みの各推定値は正規化された値であってもよく、方法はさらに、厚みの推定値を更新するためのアンカー箇所の測定信号を用いて、厚みの各推定値を非正規化値に変換する動作を含みうる。
【0012】
厚みのグラウンドトゥルース値(ground truth measure)は、層の一又は複数の箇所の各箇所について得られる。各箇所についての厚みの推定値とこれに対応する当該箇所の厚みのグラウンドトゥルース値と間の誤差量が計算されうる。ニューラルネットワークシステムのパラメータは、誤差量に基づいて更新されうる。厚みのグラウンドトゥルース値は、4点プローブ法に基づいて特定されうる。誤差量に基づいてニューラルネットワークシステムのパラメータを更新することは、ニューラルネットワークの複数の層を介して誤差量の勾配(gradient of the measure of error)をバックプロパゲートすることを含みうる。
【0013】
ある種の実装は、以下の利点のうちの一又は複数を含みうる。インシトゥモニタリングシステム、例えば、渦電流モニタリングシステムは、センサが基板を横切ってスキャンするにつれて信号を生成することができる。システムは、基板エッジに対応する信号の一部の歪みを補償することができる。信号はキャリアヘッド圧力などの研磨パラメータの終点制御及び/又は閉ループ制御に使用可能で、これによって、ウエハ内不均一性(WIWNU)及びウエハ対ウエハ不均一性(WTWNU)の改善がもたらされる。
【0014】
一又は複数の実装の詳細を、添付図面及び以下の説明において明記する。他の態様、特徴および利点は、これらの記述および図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】渦電流モニタリングシステムを含む化学機械研磨ステーションの、部分的な断面図になっている概略側面図である。
【
図1B】化学機械研磨ステーションの概略上面図である。
【
図2】研磨装置のセンサヘッドによってスキャンされる基板の概略上面図である。
【
図3】測定信号に基づいて基板の厚みを特定する静的な公式の概略グラフである。
【
図4】基板上の箇所のモニタリング中に得られる測定信号の概略グラフである。
【
図6】基板の研磨の例示的なプロセスのフロー図である。
【
図7】ニューラルネットワークを用いて、厚みの推定値を生成するための例示的な処理のフロー図である。
【
図8】一群の測定信号に対して修正信号を生成するようにニューラルネットワークをトレーニングするための例示的な処理のフロー図である。
【0016】
様々な図面における類似の参照符号は、類似した要素を指し示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
研磨装置は、基板の研磨に使用される外側層の厚みを検出するため、渦電流モニタリングシステムなどのインシトゥモニタリングシステムを使用することができる。外側層の研磨中、インシトゥモニタリングシステムは、基板上の層の異なる箇所での厚みを特定することができる。厚みの測定値は、研磨終了のきっかけとなるように、及び/又は、研磨処理の処理パラメータをリアルタイムで調節するために、使用されうる。例えば、基板キャリアヘッドは、基板の裏側の圧力を調整して、外側層の複数の箇所で研磨速度を加速又は減速することができる。研磨速度は、層の複数の箇所で研磨後の厚みが実質的に同じになるように、調整することができる。CMPシステムは、層の複数の箇所での研磨がほぼ同じ時間で完了するように、研磨速度を調整することができる。このようなプロファイル制御は、リアルタイムプロファイル制御(RTPC)と呼ばれることがある。
【0018】
インシトゥモニタリングシステムは、基板エッジに近い箇所での測定に関しては、信号歪みを被ることがありうる。例えば、渦電流モニタリングシステムは、磁場を生成しうる。基板エッジの近傍では、磁場が基板の導電層と部分的にのみ重なるため、信号は人為的に低くなりうる。しかしながら、研磨装置が、インシトゥモニタリングシステムによって生成された測定信号に基づいて修正された信号を生成するためにニューラルネットワークを使用する場合には、装置は歪みを補償すること、例えば、基板エッジで信号強度を弱めることができる。
【0019】
図1A及び
図1Bは、研磨装置100の一例を示す。研磨装置100は、上に研磨パッド110が位置する、回転可能な円盤状のプラテン120を含む。プラテンは、軸125を中心に回転するように操作可能である。例えば、モーター121はドライブシャフト124を回して、プラテン120を回転させることができる。研磨パッド110は、外側研磨層112及び、より軟性のバッキング層114を有する、二層研磨パッドであってよい。
【0020】
研磨装置100は、スラリなどの研磨液132を研磨パッド110上に分注するためのポート130を含むことができる。研磨装置はまた、研磨パッド110を磨いて研磨パッド110を一貫した研磨状態に維持する、研磨パッドコンディショナーも含むことができる。
【0021】
研磨装置100は、少なくとも1つのキャリアヘッド140を含む。キャリアヘッド140は、基板10を研磨パッド110に当てて保持するように動作可能である。キャリアヘッド140は、例えば圧力といった、各基板それぞれに関連付けられた研磨パラメータを、個別に制御することができる。
【0022】
具体的には、各キャリアヘッド140は、基板10を可撓性膜144の下に保持する保持リング142を含むことができる。キャリアヘッド140はまた、膜によって画定された、個別制御可能で加圧可能な複数のチャンバ(例えば3つのチャンバ146a~146c)を含み、これらのチャンバは、可撓性膜144上の(したがって基板10上の)関連するゾーンに、個別に制御可能な圧力を印加することができる。説明を簡略化するために、
図1には3個のチャンバのみを図示したが、1個もしくは2個のチャンバ、又は4個もしくはそれ以上のチャンバ、例えば5個のチャンバがあってもよい。
【0023】
キャリアヘッドが軸155の周りで回転しうるように、キャリアヘッド140は、カルーセル又はトラックのような支持構造物150から吊るされ、駆動シャフト152によってキャリアヘッド回転モーター154に接続される。オプションでは、キャリアヘッド140は、例えば、カルーセル150又はトラック上のスライダで、或いは、カルーセル自体の回転振動によって、横方向に振動しうる。操作中、プラテンはその中心軸125の周りで回転し、キャリアヘッドは、その中心軸155の周りで回転し、かつ研磨パッドの上面の端から端まで横方向に平行移動する。
【0024】
1つのキャリアヘッド140のみが示されているが、追加の基板を保持するためにより多くのキャリアヘッドを設けることができ、それによって研磨パッド110の表面積が効率的に使用されうる。
【0025】
研磨装置100は、1つのインシトゥモニタリングシステム160を含む。インシトゥモニタリングシステム160は、基板上の層の厚みに依存する、時間で変動する値のシーケンスを生成する。インシトゥモニタリングシステム160は、測定値が生成されるセンサヘッドを含み、基板とセンサヘッドとの間の相対運動によって、測定は基板上の異なる箇所で行われる。
【0026】
インシトゥモニタリングシステム160は、渦電流モニタリングシステムになりうる。渦電流モニタリングシステム160は、基板上の導電層に渦電流を誘導する駆動システムと、駆動システムによって導電層に誘導される渦電流を検出する検知システムと、を含む。モニタリングシステム160は、プラテンと共に回転する凹部128に配置されるコア162と、コア162の一部の周囲に巻き付けられた少なくとも1つのコイル164と、配線168によってコイル164に接続された駆動及び検知回路166を含む。コア162及びコイル164は、センサヘッドを提供しうる。幾つかの実装では、コア162は、プラテン120の上面より上方に、例えば、研磨パッド110の底部にある凹部118の中へと突出する。
【0027】
駆動及び検知回路166は、振動する電気信号をコイル164に印加し、その結果生ずる渦電流を測定するように構成されている。例えば、米国特許第6,924,641号、第7,112,960号及び第8,284,560号、並びに米国特許出願公開第2011-0189925号及び第2012-0276661号に記載されているように、駆動及び検知回路に関しては、また、コイルの構成及び位置に関しては、様々な構成が可能である。駆動及び検知回路166は、同一の凹部128又はプラテン120の異なる部分に配置可能で、或いは、プラテン120の外側に配置すること、及び、回転式電気結合129によって、プラテンの構成要素に連結されうる。
【0028】
操作中に、駆動及び検知回路166はコイル164を駆動して、振動磁場を生成する。少なくとも磁場の一部は、研磨パッド110を通って基板10へ延びる。導電層が基板10に存在する場合には、振動磁場は導電層に渦電流を生成する。渦電流によって、導電層は、駆動及び検知回路166に連結されるインピーダンス源として動作する。導電層の厚みが変化すると、インピーダンスが変化し、これは駆動及び検知回路166によって検出することができる。
【0029】
代替的に又は追加的に、反射率計又は干渉計として機能しうる光学モニタリングシステムは、凹部128のプラテン120に固定することができる。両システムが使用される場合には、光学モニタリングシステム及び渦電流モニタリングシステムは、基板の同じ部分をモニタすることができる。
【0030】
CMP装置100はまた、コア162が基板10の下にあるときを検知するため、光遮断器などの位置センサ180を含みうる。例えば、光遮断器は、キャリアヘッド140の反対側の定位置に装着されうる。フラッグ182は、プラテンの周縁部に取り付けられる。フラッグ182の取り付け位置及び長さは、コア162が基板10の下を通過する間に、フラッグ182がセンサ180の光信号を遮るように選択される。代替的に又は追加的に、CMP装置は、プラテンの角度位置を特定するためのエンコーダを含みうる。
【0031】
汎用プログラマブルデジタルコンピュータなどのコントローラ190が、渦電流モニタリングシステム160から強度信号を受信する。コントローラ190は、プロセッサ、メモリ、I/Oデバイス、並びにモニタなどの出力デバイス192、及びキーボードなどの入力デバイス194を含みうる。
【0032】
信号は、渦電流モニタリングシステム160から、回転式電気結合129を経由して、コントローラ190まで通過しうる。あるいは、回路166は、無線信号によってコントローラ190と通信することが可能である。
【0033】
センサ162はプラテンの各回転のたびに基板の下を通過するため、導電層の厚みの情報は、インシトゥ(その場)で、かつ連続的なリアルタイムベースで(プラテンの1回転につき1回)、蓄積される。コントローラ190は、基板が(位置センサによって特定されるように)一般的にコア162の上にある時に、モニタリングシステムから測定値をサンプリングするよう、プログラムされうる。研磨が進行するにつれて導電層の厚みは変化し、サンプリングされる信号も時間と共に変動する。時間変動するサンプリングされた信号は、トレースと称されることがある。研磨中、モニタリングシステムからの測定値は出力デバイス192上に表示され、当該デバイスのオペレータは研磨操作の進行を視覚的にモニタすることができる。
【0034】
操作中、CMP装置100は、充填層のバルクが除去されるときを特定するため、及び/又は、下方の停止層が実質的に露出するときを特定するため、渦電流モニタリングシステム160を使用することができる。検出器のロジックに対して可能な処理制御、及び終点基準は、極小値又は極大値、勾配の変化、振幅又は勾配の閾値、或いはこれらの組み合わせを含む。
【0035】
コントローラ190はまた、キャリアヘッド140によって印加される圧力を制御する圧力機構に、キャリアヘッドの回転速度を制御するためのキャリアヘッド回転モーター154に、プラテンの回転速度を制御するためのプラテン回転モーター121に、又は、研磨パッドに供給されるスラリの組成を制御するためのスラリ分配システム130に、接続されうる。加えて、コンピュータ190は、米国特許第6,399,501号に記載されているように、各サンプリングゾーンの径方向位置を算出するため、及び、振幅測定値を複数の径方向範囲ごとに分類するために、渦電流モニタリングシステム160からの測定値と基板の下の各通過による測定値を、複数のサンプリングゾーンごとに分けるようプログラムされうる。測定値を径方向範囲ごとに分類した後、キャリアヘッドによって印加される研磨圧力のプロファイルを周期的又は連続的に修正し、改善された研磨の一様性を提供するために、膜の厚みについての情報がリアルタイムで閉ループコントローラへと送られうる。
【0036】
コントローラ190は、研磨される層の厚みの推定値を生成するため、インシトゥモニタリングシステム160によって測定された信号を基板10の上で研磨される層の厚みに関連付ける相関曲線を使用することができる。相関曲線303の実施例を
図3に示す。
図3に描かれた座標系では、水平軸はインシトゥモニタリングシステム160から受信した信号の値を表し、一方、垂直軸は基板10の層の厚みに対する値を表す。所定の信号値に対して、コントローラ190は、対応する厚みの値を生成する相関曲線303を使用することができる。相関曲線303は、センサヘッドが信号を取得した時間又は位置に関わりなく、各信号値に対する厚みの値を予測するという点で、「静的な」公式とみなされうる。相関曲線は、多項式関数、或いは線形補間に結び付けられた参照テーブル(LUT)など、様々な関数によって表されうる。
【0037】
図1B及び
図2を参照すると、基板10に対するセンサヘッドの位置の変更は、インシトゥモニタリングシステム160の信号を変える結果となることがありうる。すなわち、センサヘッドが基板10を横切ってスキャンするにつれて、インシトゥモニタリングシステム160は複数の領域94(例えば、基板10上の異なる箇所の測定スポット)を測定する。領域94は部分的に重なりうる(
図2を参照)。
【0038】
図4は、センサヘッドが基板10の下を1回通過する間に、インシトゥモニタリングシステム160からの1つの信号401を示すグラフ420である。信号401は、センサヘッドが基板の下を通過する際の、センサヘッドからの一連の個々の測定値で構成される。グラフ420は、測定時間又は位置(例えば、基板上での測定の半径方向の位置)の関数になりうる。いずれの場合でも、信号401の異なる部分は、センサヘッドによってスキャンされた基板10上の異なる位置での測定スポット94に対応する。したがって、グラフ420は、センサヘッドによってスキャンされた基板の所定の箇所に対して、信号401からの対応する測定信号値を示している。
【0039】
図2及び
図4を参照すると、信号401は、センサヘッドが基板10の前方エッジと交差するときの、基板10のエッジ領域203内の箇所に対応する第1の部分422と、基板10の中央領域201内の箇所に対応する第2の部分424と、センサヘッドが基板10の後方エッジと交差するときの、エッジ領域203内の箇所に対応する第3の部分426と、を含む。信号はまた、基板を外れた測定値、すなわち、センサヘッドが
図2の基板10のエッジ204を越える領域をスキャンするときに生成される信号に対応する部分428を含みうる。
【0040】
エッジ領域203は、センサヘッドの測定スポット94が基板エッジ204に重なる基板の部分に対応しうる。中央領域201は、エッジ領域203に隣接する環状アンカー領域202と、アンカー領域202によって囲まれる内部領域205とを含みうる。センサヘッドは、その経路210上でこれらの領域をスキャンし、経路210に沿った一連の箇所に対応する一連の測定値を生成する。
【0041】
第1の部分422では、信号強度は初期強度(典型的には、基板及びキャリアヘッドが存在しないときに発生する信号)から高い強度まで上昇する。これは、最初に基板のエッジ204で基板にわずかにだけ重なっているモニタリング箇所(初期の低い値を生成する)から、基板のほぼ全体が重なっているモニタリング箇所(高い値を生成する)へ移ることによって引き起こされる。同様に、第3の部分426では、信号強度は、モニタリング箇所がエッジ204から基板に移るときに下降する。
【0042】
第2の部分424は平坦に描かれているが、これは単純化するためで、第2の部分424での実際の信号は、ノイズによる変動及び層の厚みの変化を含むことがありうる。第2の部分424は、中央領域201をスキャンするモニタリング箇所に対応する。第2の部分424は、中央領域201のアンカー領域202をスキャンするモニタリング箇所によって引き起こされるサブ部分421及び423、並びに、中央領域201の内部領域205をスキャンするモニタリング箇所によって引き起こされるサブ部分427を含む。
【0043】
上述のように、領域422、426での信号強度の変動は、モニタリングされる層の厚み又は導電性の固有の変動ではなく、基板エッジに重なるセンサの測定領域によって部分的に引き起こされる。その結果、信号401のこの歪みは、基板の特性値、例えば、基板エッジ近傍の層の厚みを計算する際の誤差の原因になりうる。この問題に対処するため、コントローラ190は、これらの箇所に対応する測定信号に基づく基板10の一又は複数の箇所に対応する修正信号を生成するニューラルネットワーク(例えば、
図5のニューラルネットワーク500)を含みうる。
【0044】
図5を参照すると、ニューラルネットワーク500は、適切にトレーニングされると、基板エッジ近傍の計算された信号値の歪みを低減及び/又は除去するように構成されている。ニューラルネットワーク500は、一群の入力504を受信し、一又は複数のニューラルネットワーク層を介して入力504を処理し、一群の出力550を生成する。ニューラルネットワーク500の層は、入力層510、出力層530、及び一又は複数の隠れた層520を含む。
【0045】
ニューラルネットワーク500の各層は、一又は複数のニューラルネットワークノードを含む。ニューラルネットワーク層の各ニューラルネットワークノードは、一又は複数の入力値を(ニューラルネットワーク500への入力504から、或いは、先行するニューラルネットワーク層の一又は複数のノードの出力から)受信し、活性化値(activation value)を生成するため、一又は複数のパラメータ値に従ってノード入力値を処理し、オプションにより、ニューラルネットワークノードの出力を生成するため、活性化値に非線形変換関数(例えば、シグモイド関数又はtanh関数)を活性化値に適用する。
【0046】
入力層510の各ノードは、ニューラルネットワーク500への入力504のうちの1つをノード入力値として受信する。
【0047】
ニューラルネットワークの入力504は、第1の測定信号値501、第2の測定信号値502、第N番目の測定信号値503に至るまで、基板10上の複数の異なる箇所についてのインシトゥモニタリングシステム160の測定信号値を含む。測定信号値は、信号401の一連の値のうちの個々の値になりうる。
【0048】
一般的に、複数の異なる箇所は、基板10のエッジ領域203及びアンカー領域202の複数の箇所を含む。幾つかの実装では、複数の異なる箇所は、エッジ領域203及びアンカー領域202内だけにある。他の実装では、複数の異なる箇所は、基板の全領域に広がっている。
【0049】
これらの測定信号値は、信号入力ノード544で受信される。オプションにより、ニューラルネットワーク500の入力ノード504はまた、一又は複数の処理状態信号504(例えば、研磨装置100のパッド110の摩耗の測定値)を受信する一又は複数の状態入力ノード516を含みうる。
【0050】
隠れた層520及び出力層530のノードは、先行する層のすべてのノードからの入力を受信するように描かれている。これは、完全に接続されたフィードフォワードネットワークのケースである。しかしながら、ニューラルネットワーク500は、非完全接続のフィードフォワードニューラルネットワーク、又は非フィードフォワードニューラルネットワークであってよい。しかも、ニューラルネットワーク500は、一又は複数の完全接続フィードフォワード層、一又は複数の非完全接続フィードフォワード層、及び一又は複数の非フィードフォワード層のうちの少なくとも1つを含みうる。
【0051】
ニューラルネットワークは、出力層530のノード、すなわち「出力ノード」550で、一群の修正信号値550を生成する。幾つかの実装では、ニューラルネットワーク500に入力されたインシトゥモニタリングシステムからの各測定信号に対して、出力ノード550がある。この場合、出力ノード550の数は、入力層510の信号入力ノード504の数に対応しうる。
【0052】
例えば、信号入力ノード544の数は、エッジ領域203及びアンカー領域202の測定値の数に等しくなることがあり、出力ノード550と同数になりうる。したがって、各出力ノード550は、信号入力ノード544への入力として供給された各測定信号に対応する修正信号(例えば、第1の測定信号501に対する第1の修正信号551、第2の測定信号502に対する第2の修正信号5552、及び第N番目の測定信号503に対する第N番目の修正信号553)を生成する。
【0053】
幾つかの実装では、出力ノード550の数は、入力ノード504の数より少なくなる。幾つかの実装では、出力ノード550の数は、信号入力ノード544の数より少なくなる。例えば、信号入力ノード544の数は、エッジ領域203の測定値の数に等しくなりうる、或いは、エッジ領域203及びアンカー領域202の測定値の数に等しくなりうる。再び、出力層530の各出力ノード550は、信号入力ノード504として供給された各測定信号に対応する修正信号(例えば、第1の測定信号501に対する第1の修正信号551、但し、エッジ領域203から信号を受信する信号入力ノード554に対するもののみ)を生成する。
【0054】
研磨装置100は、修正信号を生成するため、ニューラルネットワーク500を使用することができる。修正信号は次に、基板の箇所の第1のグループ内の各箇所、例えば、エッジ領域内の箇所(及び、場合によってはアンカー領域)について厚みを特定するように使用されうる。例えば、
図4に戻って参照すると、エッジ領域に対する修正信号値は、信号401の修正部分430を提供しうる。
【0055】
修正信号値430は、静的な公式、例えば、相関曲線を用いて、厚みの測定値に変換されうる。例えば、コントローラ190は、基板のエッジ箇所及び一又は複数のアンカー箇所の厚みを特定するため、ニューラルネットワーク500を使用することができる。対象的に、コントローラ190は静的な公式を直接用いて、他の領域、例えば、内部領域205に対して厚みの測定値を生成することができる。すなわち、他の領域、例えば、内部領域205の信号値は、ニューラルネットワークで変換されることなく、厚みの値に変換されうる。
【0056】
幾つかの実装では、所定の測定箇所に対応する修正信号値に対して、ニューラルネットワーク500は、所定の箇所から所定の距離の範囲内にある測定箇所の信号値のみが修正信号値の決定に使用されるように、構成されうる。例えば、経路210上のN個の連続する箇所での測定値に対応する信号値S1、S2、…、SM、…SNが受信されると、Nが受信されると、第M番目の箇所(RMと示される)に対する修正信号値S’Mは、SM-L(min 1)、…SM、…SM+L(max N)のみを使用して、修正信号値S’Mを計算することができる。Lの値は、最大で約2~4mm離れた測定値が所定の修正信号値S’Mの生成に使用され、測定値SMの箇所から約1~2mm(例えば、1.5mm)の範囲内の測定値が使用されうるように、選択されうる。例えば、Lは0から4の範囲内の数(例えば、1又は2)になりうる。例えば、3mm以内の測定値が使用され、測定値間の間隔が1mmの場合には、Lは1になり、間隔が0.5mmの場合には、Lは2になり、間隔が0.25mmの場合には、Lは4になりうる。しかしながら、これは研磨装置の構成と処理条件に依存する。他のパラメータ(例えばパッドの摩耗)は依然として、修正信号値S’Mの計算に使用されうる。
【0057】
例えば、信号入力ノード544の数に等しい、一又は複数の隠れた層520の多数の隠れたノード570(すなわち、「隠れノード」570)があってよく、各隠れノード570は、それぞれの信号入力ノード544に対応している。各隠れノード570は、対応する入力ノードの測定箇所から所定の距離以上離れた箇所の測定値に対応する入力ノード544から分離されうる(或いは、0のパラメータ値を有しうる)。例えば、M番目の隠れノードは、1番目から(M-L-1)番目までの入力ノード544、及び(M+L+1)番目からN番目までの入力ノードから分離されうる。同様に、各出力ノード560は、出力ノードの測定箇所から所定の距離以上離れた箇所の修正信号に対応する隠れノード570から分離されうる(或いは、0のパラメータ値を有しうる)。例えば、M番目の出力ノードは、1番目から(M-L-1)番目までの隠れノード570、及び(M+L+1)番目からN番目までの隠れノードから分離されうる。
【0058】
幾つかの実施形態では、研磨装置100は、複数の箇所(例えば、基板の第1のグループのエッジ領域内の箇所)の厚みを特定する静的な公式を使用することができる。これらの基板は、ニューラルネットワークのトレーニングに使用されるデータの生成に使用することができる。次に、研磨装置100は、複数の箇所(例えば、基板の第2のグループのエッジ領域内の箇所)の厚みを特定するために使用される修正信号を生成するニューラルネットワーク500を使用することができる。例えば、研磨装置100は、基板の第1のグループの厚みの値を特定するため、静的な公式を適用することができ、基板の第2のグループの厚みの値を特定するために使用される修正信号を生成するため、トレーニングされたニューラルネットワーク500を使用する。
【0059】
図6は、基板10を研磨するための例示的な処理600のフロー図である。処理600は、研磨装置100によって実行されうる。
【0060】
研磨装置100は、基板10の上の層を研磨(602)し、研磨中に当該層をモニタ(604)して、層上の異なる箇所について測定信号値を生成する。層上の箇所には、(信号401の領域422/426に対応する)基板のエッジ領域203内の一又は複数の箇所、及び(信号の領域421/423に対応する)基板のアンカー領域202内の一又は複数の箇所が含まれうる。アンカー領域202は、基板エッジ204から離間され、基板の中央領域201内にあり、したがって、基板エッジ204によって作り出される歪みに影響されない。しかしながら、アンカー領域202はエッジ領域203に隣接しうる。アンカー領域202はまた、中央領域201の内部領域205を取り囲みうる。アンカー箇所の数は、インシトゥモニタリングシステム160による測定スポットサイズ及び測定周波数に依存しうる。幾つかの実施形態では、アンカー箇所の数は最大値(例えば、最大値4)を超えることはできない。
【0061】
研磨装置100は、当該箇所の測定信号に基づいて、異なる箇所の各箇所に対して厚みの推定値を生成(606)する。これは、ニューラルネットワーク500を介して測定信号を処理することを含む。
【0062】
ニューラルネットワーク500への入力は、異なる箇所についてインシトゥモニタリングシステム160によって生成される生の測定信号、又は更新された測定信号になりうる。幾つかの実施形態では、装置100は、信号の値を正規化することによって、各測定信号を更新する。このような正規化は、ニューラルネットワークシステム500への入力504の少なくとも幾つかが特定の範囲内に入る可能性を高め、次にニューラルネットワークのトレーニングの品質、及び/又は、ニューラルネットワーク500によって行われる推論の精度を高めることができる。
【0063】
ニューラルネットワーク500の出力は、各々が入力測定信号に対応した修正信号である。測定信号が正規化された値である場合には、測定信号に対応した修正信号もまた正規化された値になる。したがって、研磨装置100は、基板の厚みの推定に修正信号を使用する前に、このような修正信号を非正規化値に変換することが必要になることがある。
【0064】
研磨装置100は、厚みの各推定値に基づいて、研磨パラメータを修正、及び/又は、研磨終点を検出(608)する。
【0065】
図7は、ニューラルネットワーク500を使用して、厚みの推定値を生成するための例示的な処理700のフロー図である。処理700は、研磨装置100によって実行されうる。
【0066】
研磨装置100は、基板の一群の箇所からアンカー箇所を特定(702)し、一群の箇所の各箇所について測定値を取得(704)する。幾つかの実施形態では、アンカー箇所は基板のエッジから離間されている。
【0067】
研磨装置100は、アンカー箇所の測定信号に基づいて、例えば、各測定信号をアンカー箇所の測定信号で除算して測定信号を更新することによって、アンカー箇所の各測定信号を正規化(706)する。研磨装置100は次いで、ニューラルネットワーク500を介して更新された測定信号を処理(708)して、各正規化された測定信号を生成し、アンカー箇所の測定信号を用いて、例えば、各測定信号をアンカー箇所の測定信号で除算して測定信号を更新することによって、修正信号を非正規化信号に変換(710)する。研磨装置100は次いで、非正規化信号を使用(612)して、ニューラルネットワーク500の一群の箇所の各箇所での厚みの推定値を生成する。
【0068】
図8は、一群の測定信号に対して修正信号を生成するようにニューラルネットワーク500をトレーニングするための例示的な処理800のフロー図である。処理800は、ニューラルネットワーク500をトレーニングするように構成された一又は複数のコンピュータのシステムによって実行されうる。
【0069】
システムは、基板の一群の箇所の各箇所に対する測定値を含む入力値に基づいて、ニューラルネットワーク500によって生成される厚みの推定値を取得(802)する。システムはまた、一群の箇所の各箇所に対する厚みのグラウンドトゥルース値を取得(804)する。システムは、4点プローブ法などの、電気インピーダンス測定法を用いて、厚みのグラウンドトゥルース値を生成することができる。
【0070】
システムは、厚みの推定値と厚みのグラウンドトゥルース値との間の誤差量を計算(806)し、誤差量に基づいてニューラルネットワーク500の一又は複数のパラメータを更新する。そのようにするため、システムは、バックプロパゲーションによる勾配下降を用いるトレーニングアルゴリズムを使用してもよい。
【0071】
モニタリングシステムは、様々な研磨システムにおいて使用されうる。研磨パッド又はキャリアヘッドのいずれか、或いはその両方は、移動して、研磨面と基板との相対運動を起こしうる。研磨パッドは、プラテン、供給ローラと回収ローラとの間に延びるテープ、又は連続ベルトに固定された、円形(又は他の何らかの形状)のパッドでありうる。研磨パッドは、プラテンに取り付けられうるか、研磨操作の合間にプラテン上で漸進的に送られうるか、又は、研磨中にプラテン上で連続的に駆動されうる。パッドは研磨中にプラテンに固定されうるか、又は、研磨中にプラテンと研磨パッドとの間には流体軸受が存在しうる。研磨パッドは、標準的な(例えば充填材を伴う又は伴わないポリウレタンの)粗パッド、軟性パッド、又は固定砥粒パッドでありうる。
【0072】
上記の説明は渦電流モニタリングシステムに注目しているが、修正技術は、他の種類のモニタリングシステム(例えば、基板のエッジの上をスキャンする光学モニタリングシステム)に適用可能である。加えて、上記の説明は研磨システムに注目しているが、修正技術は、他の種類の基板処理システム(例えば、基板のエッジの上をスキャンするインシトゥモニタリングシステムを含む堆積システム又はエッチングシステム)に適用可能である。
【0073】
本発明の数多くの実施形態について説明した。しかしながら、本発明の本質及び範囲から逸脱しない限り、様々な修正が行われうることを理解されたい。したがって、その他の実施形態は下記の特許請求の範囲内にある。