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特許7227909インシトゥ監視からの測定値の、抵抗率に基づく調整
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】インシトゥ監視からの測定値の、抵抗率に基づく調整
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230215BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20230215BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
H01L21/304 622S
B24B37/013
B24B49/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019537296
(86)(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 US2018013092
(87)【国際公開番号】W WO2018132424
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-04
(31)【優先権主張番号】62/446,277
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/562,976
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュー, クン
(72)【発明者】
【氏名】カールッソン, インゲマール
(72)【発明者】
【氏名】シェン, シーハル
(72)【発明者】
【氏名】スウェデク, ボグスロー エー.
(72)【発明者】
【氏名】リュウ, チュウ
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0224623(US,A1)
【文献】特表2012-506152(JP,A)
【文献】特開2008-004648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/013
B24B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非一時的なコンピュータ可読媒体に有形に符号化されたコンピュータプログラム製品であって、コンピュータシステムに、
1の抵抗率値と、前記第1の抵抗率値を有する導電層の厚さをインシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に関連付ける相関関数とを、格納することと、
研磨される基板上の導電層の測定により生成される、前記研磨される基板上の導電層の第2の抵抗率値を受け取ることと、
前記研磨される基板上の前記導電層の厚さに依存する一続きの信号値を、研磨中の基板を監視する前記インシトゥ電磁誘導監視システムから受け取ることと、
前記一続きの信号値および前記相関関数に基づいて、一続きの厚さ値を生成することと、
前記一続きの厚さ値の少なくともいくつかの厚さ値について、前記第1の抵抗率値と前記第2の抵抗率値とに基づいて、異なる研磨される基板間の導電層の抵抗率値の変動を補償する調整された厚さ値を生成して、一続きの調整された厚さ値を生成することと、
前記一続きの調整された厚さ値に基づいて、研磨終点を検出することと、研磨パラメータの調整を決定することと、のうちの少なくとも一方を行うことと、
を行わせる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項2】
調整された厚さ値を生成する前記命令が、厚さ値に前記第1の抵抗率値と前記第2の抵抗率値との比を掛ける命令を含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項3】
調整された厚さ値を生成する前記命令が、前記研磨される基板上の導電層が前記第2の抵抗率値を有する温度と、研磨中の前記研磨される基板の温度との間の温度の変動を補償する命令を含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項4】
第1の温度を格納し、研磨システムから第2の温度の測定値を受け取る命令を含み、温度の変動を補償する前記命令が、前記第2の抵抗率値、前記第1の温度、および前記第2の温度に基づいて、調整された第2の抵抗率値を計算することを含む、請求項3に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項5】
前記調整された第2の抵抗率値を計算する前記命令が、下記式を満足する抵抗率ρを計算する命令を含む、請求項4に記載のコンピュータプログラム製品。
ρ=ρ[1+α(T-T)]
ただし、Tは前記第1の温度、Tは前記第2の温度、ρは前記第2の抵抗率、αは前記研磨される基板の前記導電層の抵抗率温度係数である。
【請求項6】
非一時的なコンピュータ可読媒体に有形に符号化されたコンピュータプログラム製品であって、コンピュータシステムに、
第1の抵抗率値と、前記第1の抵抗率値を有す導電層の厚さをインシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に関連付ける相関関数とを、格納することと、
較正基板上の導電層についての第2の抵抗率値およびシート抵抗を受け取ることと、
前記インシトゥ電磁誘導監視システムのセンサが前記較正基板の前記導電層を監視するように配置されているときに、前記インシトゥ電磁誘導監視システムからの第1の信号値を測定し、前記インシトゥ電磁誘導監視システムの前記センサが前記導電層を監視するように配置されていないときに、前記インシトゥ電磁誘導監視システムからの第2の信号値を測定することと、
異なる研磨される基板間の導電層の抵抗率値の変動を補償する閾値信号値を、前記第1の抵抗率値と前記第2の抵抗率値とに基づいて、前記相関関数を用いて目標厚さから計算することと、
前記研磨される基板の前記導電層の厚さに依存する一続きの信号値を、研磨中の基板を監視する前記インシトゥ電磁誘導監視システムから受け取ることと、
前記一続きの信号値を前記閾値信号値と比較することにより、研磨終点を検出することと、
を行わせる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項7】
閾値信号値を計算する前記命令が、前記目標厚さに前記第1の抵抗率値と前記第2の抵抗率値との比を掛ける命令を含む、請求項6に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項8】
閾値信号値を計算する前記命令が、前記導電層が前記第2の抵抗率値を有する温度と、研磨中の前記研磨される基板の温度との間の温度の変動を補償する命令を含む、請求項7に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項9】
1の抵抗率値と、前記第1の抵抗率値を有する導電層の厚さをインシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に関連付ける相関関数とを、格納することと、
研磨される基板上の導電層の測定により生成される前記研磨される基板上の導電層についての第2の抵抗率値を受け取ることと、
前記研磨される基板上の前記導電層を研磨することと、
研磨中の基板上の前記導電層を、前記導電層の厚さに依存する一続きの信号値を生成する前記インシトゥ電磁誘導監視システムで監視することと、
前記一続きの信号値および前記相関関数に基づいて、一続きの厚さ値を生成することと、
前記一続きの厚さ値の少なくともいくつかの厚さ値について、前記第1の抵抗率値と前記第2の抵抗率値とに基づいて、異なる研磨される基板間の導電層の抵抗率値の変動を補償する調整された厚さ値を生成して、一続きの調整された厚さ値を生成することと、
前記一続きの調整された厚さ値に基づいて、研磨終点を検出することと、研磨パラメータの調整を決定することと、のうちの少なくとも一方を行うことと、
を含む研磨方法。
【請求項10】
研磨パッドを支持するための回転可能なプラテンと、
基板を前記研磨パッドに当てて保持するためのキャリアヘッドと、
前記基板上の導電層の厚さに依存する一続きの信号値を生成する、センサを含むインシトゥ電磁誘導監視システムと、
コントローラと、
を備える研磨システムであって、前記コントローラが、
1の抵抗率値と、前記第1の抵抗率値を有する導電層の厚さを前記インシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に関連付ける相関関数とを、格納し、
研磨される基板上の導電層の測定により生成される前記研磨される基板上の前記導電層についての第2の抵抗率値を受け取り、
前記インシトゥ電磁誘導監視システムから前記一続きの信号値を受け取り、
前記一続きの信号値および前記相関関数に基づいて、一続きの厚さ値を生成し、
前記一続きの厚さ値の少なくともいくつかの厚さ値について、前記第1の抵抗率値と前記第2の抵抗率値とに基づいて、異なる研磨される基板間の導電層の抵抗率値の変動を補償する調整された厚さ値を生成して、一続きの調整された厚さ値を生成し、
前記一続きの調整された厚さ値に基づいて、研磨終点を検出することと、研磨パラメータの調整を決定することと、のうちの少なくとも一方を行う
ように構成されている、研磨システム。
【請求項11】
非一時的なコンピュータ可読媒体に有形に符号化された、インシトゥ電磁誘導監視システムを較正するためのコンピュータプログラム製品であって、コンピュータシステムに、
第1の抵抗率値と、前記第1の抵抗率値を有する導電層の厚さを前記インシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に関連付ける相関関数とを、格納することと、
較正基板上の第1の導電層についての第2の抵抗率値およびシート抵抗値を受け取ることと、
前記インシトゥ電磁誘導監視システムから、前記較正基板上の前記第1の導電層の第1の信号値の測定値を受け取ることと、
前記インシトゥ電磁誘導監視システムから、前記第1の導電層なしで、第2の信号値の測定値を受け取ることと、
前記インシトゥ電磁誘導監視システムにおける変動を補償し、異なる研磨される基板間の導電層の抵抗率値の変動を補償するために、前記第1の信号値の測定値と、前記第2の信号値の測定値と、前記第1の抵抗率値と、前記第2の抵抗率値とに基づいて前記インシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に適用すべきオフセットおよびゲインを計算することと、
を行わせる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
第2の研磨される基板上の第2の導電層についての第3の抵抗率値を受け取り、
研磨中の前記第2の研磨される基板を監視する前記インシトゥ電磁誘導監視システムから、前記第2の導電層の厚さに依存する一続きの信号値を受け取り、
前記一続きの信号値からの信号値に前記オフセットおよびゲインを適用することにより、一続きの調整された信号値を生成し、
前記一続きの調整された信号値および前記相関関数に基づいて、一続きの厚さ値を生成し、
前記一続きの厚さ値の少なくともいくつかの厚さ値について、前記第1の抵抗率値と前記第3の抵抗率値とに基づいて、異なる研磨される基板間の導電層の抵抗率値の変動を補償する調整された厚さ値を生成して、一続きの調整された厚さ値を生成し、
前記一続きの調整された厚さ値に基づいて、研磨終点を検出することと、研磨パラメータの調整を決定することと、のうちの少なくとも一方を行う
命令を含む、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
インシトゥ電磁誘導監視システムを較正する方法であって、
第1の抵抗率値と、前記第1の抵抗率値を有する導電層の厚さをインシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に関連付ける相関関数とを、格納することと、
較正基板上の第1の導電層についての第2の抵抗率値およびシート抵抗値を受け取ることと、
前記インシトゥ電磁誘導監視システムを使用して、前記較正基板上の前記第1の導電層の第1の信号値の測定を行うことと、
前記インシトゥ電磁誘導監視システムを使用して、前記第1の導電層なしで、第2の信号値の測定を行うことと、
前記インシトゥ電磁誘導監視システムにおける変動を補償し、異なる研磨される基板間の導電層の抵抗率値の変動を補償するために、前記第1の信号値と、前記第2の信号値と、前記第1の抵抗率値と、前記第2の抵抗率値とに基づいて前記インシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に適用すべきオフセットおよびゲインを計算することと、
を含む方法。
【請求項14】
研磨パッドを支持するための回転可能なプラテンと、
基板を前記研磨パッドに当てて保持するためのキャリアヘッドと、
前記基板上の導電層の厚さに依存する一続きの信号値を生成する、センサを含むインシトゥ電磁誘導監視システムと、
コントローラと、
を備える研磨システムであって、前記コントローラが、
第1の抵抗率値と、前記第1の抵抗率値を有する導電層の厚さを前記インシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に関連付ける相関関数とを、格納し、
較正基板上の第1の導電層についての第2の抵抗率値およびシート抵抗値を受け取り、
前記インシトゥ電磁誘導監視システムから、前記較正基板上の前記第1の導電層の第1の信号値の測定値を受け取り、
前記インシトゥ電磁誘導監視システムから、前記第1の導電層なしで、第2の信号値の測定値を受け取り、
前記インシトゥ電磁誘導監視システムにおける変動を補償し、異なる研磨される基板間の導電層の抵抗率値の変動を補償するために、前記第1の信号値の測定値と、前記第2の信号値の測定値と、前記第1の抵抗率値と、前記第2の抵抗率値とに基づいて前記インシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に適用すべきオフセットおよびゲインを計算する
ように構成されている、研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨に関し、より具体的には、化学機械研磨中の導電層の監視に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、通常、シリコンウェハ上に導電層、半導体層、または絶縁層を順次堆積させることにより、基板上に形成される。様々な製造プロセスが、基板上の層の平坦化を必要とする。例えば、1つの製造ステップは、非平坦面上に充填層を堆積し、充填層を平坦化することを含む。特定の用途では、充填層は、パターニングされた層の上面が露出するまで平坦化される。例えば、金属層が、パターニングされた絶縁層上に堆積されて、絶縁層のトレンチとホールを充填することができる。平坦化後、パターニングされた層のトレンチとホール内の金属の残った部分は、ビア、プラグ、およびラインを形成して、基板上の薄膜回路間に導電経路を提供する。
【0003】
化学機械研磨(CMP)が、1つの受け入れられている平坦化の方法である。この平坦化方法では、通常、基板をキャリアヘッドに取り付ける必要がある。基板の露出面が、通常、回転する研磨パッドに当てられて配置される。キャリアヘッドは、制御可能な荷重を基板に与えて、基板を研磨パッドに押し付ける。研磨粒子を含む研磨スラリが、通常、研磨パッドの表面に供給される。
【0004】
CMPにおける1つの問題は、研磨プロセスが完了したかどうか、すなわち、基板層が所望の平坦度もしくは厚さに平坦化されたかどうか、または所望の量の材料がいつ除去されたかを、決定することである。スラリ組成、研磨パッドの状態、研磨パッドと基板との間の相対速度、基板層の初期厚さ、および基板への荷重の変動により、材料除去速度に変動が生じる可能性がある。これらの変動により、研磨終点に到達するのに必要な時間が変動する。したがって、単に研磨時間の関数として研磨終点を決定すると、ウェハ内またはウェハ間で不均一性が生じる可能性がある。
【0005】
いくつかのシステムでは、基板が、研磨中に、例えば研磨パッドを通して、インシトゥ(その場)で監視される。1つの監視手法は、導電層に渦電流を誘導し、導電層が除去されたときの渦電流の変化を検出することである。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、第1の抵抗率値および第1の抵抗率値を有する導電層の厚さをインシトゥ監視システムからの信号に関連付ける相関関数が格納され、基板上の導電層の第2の抵抗率値が受け取られ、導電層の厚さに依存する一続きの信号値が、研磨中の基板を監視するインシトゥ電磁誘導監視システムから受け取られ、一続きの厚さ値が、一続きの信号値と相関関数に基づいて生成され、一続きの厚さ値の少なくともいくつかの厚さ値について、第1の抵抗率値と第2の抵抗率値の間の変動を補償する調整された厚さ値が生成されて、一続きの調整された厚さ値を生成し、一続きの調整された厚さ値に基づいて、研磨終点が検出されるか、または研磨パラメータの調整が決定される。
【0007】
別の態様では、第1の抵抗率値および第1の抵抗率値を有する導電層の厚さをインシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に関連付ける相関関数が格納され、較正基板上の導電層の第2の抵抗率値およびシート抵抗が受け取られ、監視システムのセンサが較正基板の導電層を監視するように配置されているときに測定されるインシトゥ電磁誘導監視システムからの第1の信号値が受け取られ、監視システムのセンサが導電層を監視するように配置されていないときに測定されるインシトゥ電磁誘導監視システムからの第2の信号値が受け取られ、第1の抵抗率値と第2の抵抗率値の間の変動を補償する閾値信号値が、目標厚さに基づいて相関関数から計算され、導電層の厚さに依存する一続きの信号値が、研磨中の基板を監視するインシトゥ電磁誘導監視システムから受け取られ、一続きの信号値を閾値と比較することにより、研磨終点が検出される。
【0008】
別の態様では、第1の抵抗率値および第1の抵抗率値を有する導電層の厚さをインシトゥ監視システムからの信号に関連付ける相関関数が格納され、較正基板上の第1の導電層の第2の抵抗率値およびシート抵抗値が受け取られ、較正基板上の第1の導電層の第1の信号値の測定が、インシトゥ電磁誘導監視システムを使用して行われ、第2の信号値の測定が、インシトゥ電磁誘導監視システムを使用して第1の導電層なしで行われ、インシトゥ電磁誘導監視システムの変動を補償し、第1の抵抗率値と第2の抵抗率値の間の変動を補償するために、インシトゥ電磁誘導監視システムからの信号に適用すべきオフセットとゲインが、計算される。
【0009】
別の態様では、第1の抵抗率値および第1の抵抗率値を有する導電層の厚さをインシトゥ監視システムからの信号に関連付ける相関関数が格納され、基板上の導電層の第2の抵抗率値が受け取られ、基板上の導電層が研磨され、基板上の導電層が、導電層の厚さに依存する一続きの信号値を生成するインシトゥ電磁誘導監視システムで、研磨中に監視され、一続きの厚さ値が、一続きの信号値と相関関数に基づいて生成され、一続きの厚さ値の少なくともいくつかの厚さ値について、第1の抵抗率値と第2の抵抗率値の間の変動を補償する調整された厚さ値が生成されて、一続きの調整された厚さ値を生成し、一続きの調整された厚さ値に基づいて、研磨終点が検出されるか、または研磨パラメータの調整が決定される。
【0010】
これらの各態様は、方法として、コンピュータシステムにオペレーションを実行させるための命令を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体に有形に符号化されたコンピュータプログラム製品として、またはオペレーションを実行するように構成されたコントローラを含む研磨システムとして、適用することができる。
【0011】
方法、コンピュータプログラム製品、および/またはシステムの実施態様は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
【0012】
調整された厚さ値は、厚さ値に第1の抵抗率値と第2の抵抗率値との比を掛けることにより生成することができる。
【0013】
調整された厚さ値は、導電層が第2の抵抗率値を有する温度と研磨中の基板の温度との間の温度の変動を補償することができる。第1の温度が格納され、第2の温度の測定値が、研磨システムから受け取られることができる。調整された第2の抵抗率値が、第2の抵抗率値、第1の温度および第2の温度に基づいて計算されることができる。調整された抵抗率値を計算することは、以下を満たす抵抗率ρを計算することを含むことができる。
ρ=ρ[1+α(T-T)]
ここで、Tは第1の温度、Tは第2の温度、ρは第2の抵抗率、αは導電層の抵抗率温度係数である。
【0014】
相関関数は、以下を満たすことができる。
S=W・D+W・D+W
ここで、Sは信号値、Dは厚さであり、W、W、Wは係数である。
【0015】
第2の基板上の第2の導電層の第3の抵抗率値が、受け取られることができる。第2の導電層の厚さに依存する一続きの信号値が、研磨中の第2の基板を監視するインシトゥ電磁誘導監視システムから受け取られることができる。一続きの信号値からの信号値にオフセットとゲインを適用することにより、一続きの調整された信号値を生成することができる。一続きの調整された信号値と相関関数に基づいて、一続きの厚さ値を生成することができる。一続きの厚さ値の少なくともいくつかの厚さ値について、第1の抵抗率値と第3の抵抗率値の間の変動を補償する調整された厚さ値が生成されて、一続きの調整された厚さ値を生成することができる。一続きの調整された厚さ値に基づいて、研磨終点を検出することができるか、または研磨パラメータの調整を決定することができる。
【0016】
ゲインを適用することは、以下を満たす調整された信号値S’を計算することを含むことができる。
S’=G*S-ΔK
ここで、Gはゲイン、ΔKはオフセットである。
【0017】
ゲインGを計算することは、以下を満たすことができる。
G=(SDH-SDL)/(S-S
ここで、Sは第1の信号値、Sは第2の信号値、SDHは第2の導電層についての所望の高い信号値、SDLは第2の導電層がない場合の所望の低い信号値である。
【0018】
所望の高い信号値SDHを計算することは、以下を満たすことができる。
ここで、ρは第1の抵抗率、RsCALはシート抵抗値であり、W、W、Wは係数である。
【0019】
導電層は、導電性シートを含むことができ、監視システムは、導電性シートに渦電流を生成することができる。導電層は、導電性ループを含むことができ、監視システムは、導電性ループに電流を誘導的に生成することができる。
【0020】
温度センサが、導電層に関連する温度を監視することができる。
【0021】
実施態様は、以下の利点の1つ以上を含むことができる。導電層の抵抗率の変動によって引き起こされる、測定された渦電流信号と導電層の厚さとの間の相関の起こり得る不正確さを、小さくすることができる。補償プロセスを使用した、調整された渦電流信号または調整された導電層の厚さが、より正確であり得る。調整された渦電流信号および/または調整された導電層は、研磨プロセス中の制御パラメータを決定するため、および/または研磨プロセスの終点を決定するために、使用されることができる。制御パラメータの決定と終点検出の信頼性を向上させ、ウェハの研磨不足を回避し、ウェハ内の不均一性を低減することができる。
【0022】
1つ以上の実施態様の詳細が、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の態様、特徴、および利点が、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】電磁誘導監視システムを含む研磨ステーションの一例の概略断面図を示す。
図2】基板を横切るセンサスキャンの経路を示す例示的な化学機械研磨ステーションの概略上面図を示す。
図3A-3C】研磨プロセスを示す基板の概略断面図である。
図4】電磁誘導センサによって生成された例示的な磁場を示す概略断面図である。
図5】導電層の厚さの関数としての例示的な渦電流位相信号のグラフを示す。
図6】較正基板内の導電層の抵抗率の変動を考慮に入れた電磁誘導監視システムを較正する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
研磨作業の1つの監視手法は、例えば交流(AC)駆動信号を使用して、基板上の導電層に渦電流を誘導することである。誘導された渦電流は、研磨中にインシトゥで渦電流センサによって測定されて、信号を生成することができる。研磨されている最外層が導電層であると仮定すると、センサからの信号は、導電層の厚さに依存するはずである。監視に基づいて、研磨速度などの、研磨作業の制御パラメータを、インシトゥで調整することができる。加えて、研磨作業は、監視された厚さが所望の終点厚さに達したことの表示に基づいて、終了することができる。
【0025】
渦電流信号と導電層の厚さとの間の相関の正確さは、さまざまな要因によって影響され得る。1つの要因は、導電層の抵抗率である。具体的には、表面上は同じ組成(化学組成と、例えば結晶構造の両方を含む)の材料であっても、製造プロセスの違いにより、抵抗率に違いが生じる可能性がある。例えば、電気めっきによって堆積された銅は、蒸着によって堆積された銅とは異なる抵抗率を持つことができる。渦電流システムの構造などの他のパラメータが同じ場合、同じ厚さの導電層から生成される渦電流信号は、導電層の抵抗率が異なるならば、異なるであろう。
【0026】
したがって、渦電流信号および渦電流信号に基づく測定された厚さを含む電磁誘導測定値は、導電層の抵抗率に基づいて調整される。さらに、導電層の抵抗率は、導電層を形成したプロセスに依存する可能性があるため、単に導電性材料の抵抗率の教科書値に基づいて補償するだけでは不十分な場合がある。
【0027】
加えて、組立のばらつきにより、電磁誘導センサは、異なるゲインとオフセットを示す場合がある。したがって、これらの変動を補償するために、また較正のために使用される基板上の層の抵抗率も考慮しながら、電磁誘導監視システムが較正され得る。
【0028】
図1および図2は、化学機械研磨システムの研磨ステーション20の例を示している。研磨ステーション20は、回転可能なディスク形状のプラテン24を含み、その上に研磨パッド30が位置する。プラテン24は、軸25の周りに回転するように動作可能である。例えば、モータ22が、駆動シャフト28を回転させて、プラテン24を回転させることができる。研磨パッド30は、外側研磨層34およびより柔らかいバッキング層32を有する2層研磨パッドとすることができる。
【0029】
研磨ステーション20は、研磨スラリなどの研磨液38を研磨パッド30上に分配するための供給ポートまたは組み合わされた供給リンスアーム39を含むことができる。研磨ステーション20は、研磨パッドの表面粗さを維持するための調整ディスクを備えたパッド調整装置を含むことができる。
【0030】
キャリアヘッド70は、基板10を研磨パッド30に当てて保持するように動作可能である。キャリアヘッド70は、支持構造72、例えば、カルーセルまたはトラックから吊り下げられ、キャリアヘッドが軸71の周りに回転できるように、駆動シャフト74によってキャリアヘッド回転モータ76に接続される。任意選択で、キャリアヘッド70は、トラックに沿った移動によって、またはカルーセル自体の回転振動によって、例えばカルーセル上のスライダー上で、横方向に振動することができる。
【0031】
キャリアヘッド70は、基板を保持する保持リング84を含むことができる。いくつかの実施態様では、保持リング84は、高導電性部分を含むことができ、例えば、キャリアリングは、研磨パッドに接触する薄い下部プラスチック部分86と、厚い上部導電性部分88を含むことができる。いくつかの実施態様では、高導電性部分は、金属であり、例えば研磨されている層と同じ金属、例えば銅である。
【0032】
動作中、プラテンは、その中心軸25の周りに回転し、キャリアヘッドは、その中心軸71の周りに回転し、研磨パッド30の上面を横切って横方向に並進する。複数のキャリアヘッドがある場合、各キャリアヘッド70は、その研磨パラメータを独立に制御することができ、例えば、各キャリアヘッドは、それぞれの基板に加えられる圧力を独立して制御することができる。
【0033】
キャリアヘッド70は、基板10の裏側に接触する基板取り付け面を有する可撓性膜80と、基板10上の異なるゾーン、例えば異なる半径方向ゾーンに異なる圧力を加える複数の加圧可能チャンバ82とを含むことができる。キャリアヘッドは、基板を保持する保持リング84を、さらに含むことができる。
【0034】
いくつかの実施態様では、研磨ステーション20は、研磨ステーションまたは研磨ステーションの/内の構成要素の温度を監視するための温度センサ64を含む。図1では、研磨パッド30および/またはパッド30上のスラリ38の温度を監視するために配置されて示されているけれども、温度センサ64は、基板10の温度を測定するために、キャリアヘッド70内に配置されてもよい。温度センサ64は、研磨パッドまたは基板の最外層の温度を正確に監視するために、研磨パッド、または導電層であり得る基板10の最外層と直接接触することができる(すなわち、接触センサ)。温度センサは、非接触センサ(例えば、赤外線センサ)であってもよい。いくつかの実施態様では、例えば研磨ステーションの/内の異なる構成要素の温度を測定するために、複数の温度センサが、研磨ステーション22に含まれる。温度は、リアルタイムで、例えば、定期的に、および/または渦電流システムによって行われるリアルタイム測定に関連して、測定することができる。監視された温度は、インシトゥで渦電流測定値を調整する際に使用することができる。
【0035】
図3Aを参照すると、研磨システムは、パターニングされた誘電体層の上にあるおよび/またはそこに嵌め込まれた導電性材料を含む基板10を研磨するために使用することができる。例えば、基板10は、誘電体層14、例えば、酸化シリコンまたは高誘電率の誘電体のトレンチの上にあり、トレンチを充填する導電性材料16、例えば金属、例えば銅、アルミニウム、コバルトまたはチタンの層を含むことができる。任意選択で、バリア層18、例えばタンタルまたは窒化タンタルが、トレンチを覆って、誘電体層14から導電性材料16を分離することができる。トレンチ内の導電性材料16は、完成した集積回路にビア、パッドおよび/またはインターコネクトを提供することができる。誘電体層14は、半導体ウェハ12上に直接堆積されているものとして示されているが、1つ以上の他の層が、誘電体層14とウェハ12との間に挿入されてもよい。
【0036】
最初、導電性材料16は、誘電体層14全体の上にある。研磨が進行すると、導電性材料16のバルクが除去され、バリア層18が露出する(図3Bを参照)。その後、研磨を続けると、誘電体層14のパターニングされた上面が露出する(図3Cを参照)。その後、追加の研磨を使用して、導電性材料16を含むトレンチの深さを制御することができる。
【0037】
いくつかの実施態様では、研磨システムは、追加の研磨ステーションを含む。例えば、研磨システムは、2つまたは3つの研磨ステーションを含むことができる。例えば、研磨システムは、第1の電磁誘導監視システムを備えた第1の研磨ステーションと、第2の電磁誘導電流監視システムを備えた第2の研磨ステーションとを含むことができる。
【0038】
例えば、動作中、基板上の導電層のバルク研磨を第1の研磨ステーションで実行することができ、導電層の目標厚さが基板上に残ったときに、研磨を停止することができる。次に、基板は、第2の研磨ステーションに移されて、下地層、例えば、パターニングされた誘電体層まで研磨されることができる。
【0039】
図1に戻って、研磨システムは、コントローラ90に結合することができる、またはコントローラ90を含むと考えることができるインシトゥ電磁誘導監視システム100を含む。回転カプラー29を使用して、回転可能なプラテン24内の構成要素、例えばインシトゥ監視システムのセンサを、プラテン外部の構成要素、例えば駆動および感知回路またはコントローラ90に、電気的に接続することができる。
【0040】
インシトゥ電磁誘導監視システム100は、導電性材料16、例えば金属の深さに依存する信号を生成するように構成される。電磁誘導監視システムは、誘電体層の上にある導電性材料のシートもしくは誘電体層が露出した後にトレンチ内に残っている導電性材料のいずれかであり得る導電性材料内での渦電流の発生によって、または基板上の誘電体層内のトレンチに形成された導電性ループでの電流の発生によって、動作することができる。
【0041】
動作中、研磨システムは、インシトゥ監視システム100を使用して、導電層が目標厚さ、例えば、トレンチ内の金属の目標深さ、または誘電体層の上にある金属層の目標厚さに、いつ到達したかを決定することができ、その後、研磨を停止する。代替的または追加的に、研磨システムは、インシトゥ監視システム100を使用して、基板10全体にわたっての導電性材料16の厚さの差を決定し、この情報を使用して、研磨の不均一性を低減するために、研磨中にキャリアヘッド80の1つ以上のチャンバ82内の圧力を調整することができる。
【0042】
プラテン24に凹部26を形成することができ、任意選択で、凹部26の上にある研磨パッド30に、薄いセクション36を形成することができる。凹部26および薄いセクション36は、キャリアヘッドの並進位置にかかわらず、プラテンの回転の一部分の間に基板10の下を通過するように配置することができる。研磨パッド30が2層パッドであると仮定すると、薄いセクション36は、バッキング層32の一部を除去することにより、および任意選択で研磨層34の底部に凹部を形成することにより、構築することができる。例えば、インシトゥ光学監視システムがプラテン24に統合されている場合、薄いセクションは、任意選択で光学的に透過性であり得る。
【0043】
インシトゥ監視システム100は、凹部26に設置されたセンサ102を含むことができる。センサ102は、凹部26内に少なくとも部分的に配置された磁気コア104と、コア104の一部の周りに巻かれた少なくとも1つのコイル106とを含むことができる。駆動および感知回路108が、コイル106に電気的に接続されている。駆動および感知回路108は、コントローラ90に送信することができる信号を生成する。プラテン24の外側として図示されているが、駆動および感知回路108の一部または全てが、プラテン24内に設置されてもよい。
【0044】
図1および図4を参照すると、駆動および感知回路108は、コイル104にAC電流を印加し、コア104の2つの極152aおよび152b間に磁場150を生成する。動作中、基板10が断続的にセンサ102の上になると、磁場150の一部が、基板10内に広がる。回路108は、コイル106と並列に接続されたコンデンサを含むことができる。コイル106とコンデンサは合わせてLC共振タンクを形成することができる。
【0045】
基板上の導電層の厚さの監視が求められている場合、磁場150が導電層に到達したとき、磁場150が通り抜けて、電流を発生させる(ターゲットがループの場合)、または渦電流を生成する(ターゲットがシートの場合)ことができる。これは、LC回路を特徴付ける実効インピーダンスを変更する。
【0046】
駆動および感知回路108は、組み合わされた駆動/感知コイル106に結合されたマージナル発振器を含むことができ、出力信号は、例えば米国特許第7,112,960号に記載されているように、正弦波発振のピークツーピーク振幅を一定値に維持するのに必要な電流であり得る。他の構成が、駆動および感知回路108には可能である。例えば、駆動コイルと感知コイルが別々にコアの周りに巻かれてもよい。駆動および感知回路108は、一定の周波数で電流を印加することができ、駆動および感知回路108からの信号は、駆動コイルに対する感知コイル内の電流の位相シフトであってもよいし、または、例えば、米国特許第6,975,107号に記載されているように、感知された電流の振幅であってもよい。
【0047】
図2を参照し、プラテン24が回転すると、センサ102は、基板10の下をスイープする。特定の周波数で回路108からの信号をサンプリングすることにより、回路108は、基板10を横切る一続きのサンプリングゾーン94で測定値を生成する。各スイープについて、サンプリングゾーン94のうちの1つ以上のサンプリングゾーンでの測定値を、選択または組み合わせることができる。したがって、複数のスイープにわたって、選択されたまたは組み合わされた測定値は、時間とともに変化する一続きの値を提供する。
【0048】
研磨ステーション20はまた、センサ102が基板10の下にあるか、およびセンサ102が基板から離れているかを感知するための、光学インタラプタなどの位置センサ96を含むことができる。例えば、位置センサ96は、キャリアヘッド70と向かい合う固定位置に取り付けることができる。プラテン24の周囲にフラグ98を取り付けることができる。フラグ98の取り付け点および長さは、センサ102が基板10の下をスイープしたときに、フラグ98が位置センサ96に信号を送ることができるように、選択される。
【0049】
代替的または追加的に、研磨ステーション20は、プラテン24の角度位置を決定するエンコーダを含むことができる。
【0050】
図1に戻って、例えば汎用プログラマブルデジタルコンピュータであるコントローラ90が、インシトゥ監視システム100のセンサ102から信号を受け取る。センサ102は、プラテン24が回転するたびに基板10の下をスイープするので、導電層、例えば、バルク層またはトレンチ内の導電性材料の深さに関する情報が、インシトゥで蓄積される(プラテン回転ごとに1回)。コントローラ90は、基板10が一般にセンサ102の上にあるときに、インシトゥ監視システム100から測定値をサンプリングするように、プログラムすることができる。
【0051】
加えて、コントローラ90は、各測定値の半径方向位置を計算し、測定値を半径区域に分類するように、プログラムすることができる。測定値を半径区域に配列することにより、各半径区域の導電膜の厚さに関するデータが、コントローラ(例えば、コントローラ90)に供給されて、キャリアヘッドによって加えられる研磨圧力プロファイルを調整することができる。コントローラ90はまた、インシトゥ監視システム100の信号によって生成された一続きの測定値に終点検出ロジックを適用し、研磨終点を検出するように、プログラムすることができる。
【0052】
センサ102は、プラテン24が回転するたびに基板10の下をスイープするので、導電層の厚さに関する情報が、インシトゥで連続的にリアルタイムで蓄積されている。研磨中に、センサ102からの測定値が、出力装置に表示されて、研磨ステーションのオペレータが研磨作業の進行を視覚的に監視できるようにすることができる。
【0053】
渦電流監視システムとして、電磁誘導監視システム100が使用されて、導電性シートに渦電流を誘導することにより導電層の厚さを監視し、または導電性材料に渦電流を誘導することによりトレンチ内の導電性材料の深さを監視することができる。あるいは、誘導監視システムとして、電磁誘導監視システムは、例えば米国特許公開第2015-0371907号に記載されているように、監視の目的で基板10の誘電体層14に形成された導電性ループに誘導的に電流を発生させることにより、動作することができる。
【0054】
図5は、所与の抵抗率に対する、導電層の厚さと電磁誘導監視システム100からの信号との間の関係曲線410を示すグラフ400を示す。グラフ400において、DSTARTは、導電層の初期厚さを表し、SSTARTは、初期厚さDSTARTに対応する所望の信号値である。DFINALは、導電層の最終的な厚さを表し、SFINALは、最終的な厚さに対応する所望の信号値である。Kは、導電層の厚さがゼロの場合の信号の値を表す定数である。
【0055】
層の厚さの減少に加えて、導電層の抵抗率の基板間差が、センサ102からの出力信号を変更する可能性がある。詳細には、抵抗率が高いと、導電層のシート抵抗が増加し、層が薄く見えるようになる。逆に、抵抗率が低いと、導電層のシート抵抗が減少し、層が厚く見えるようになる。導電層の値に対する誤った仮定に基づいて決定された終点は、層の研磨不足または研磨過剰につながる可能性がある。
【0056】
上記のように、導電層の抵抗率は、導電層を形成したプロセスに依存する可能性があるため、単に導電性材料の抵抗率の教科書値に基づいて補償するだけでは、十分な正確さが得られない場合がある。したがって、コントローラ90は、抵抗率値を受け取り、その測定値を使用して、信号強度と層の厚さとの関係を生成するために使用された抵抗率に対する差を補償するように、構成することができる。
【0057】
センサ間のわずかな構造の違いのため、および例えば研磨パッドの厚さの変化による時間的変化の可能性のため、電磁誘導監視システム100は、基板の研磨に使用される前に、較正することができる。
【0058】
関係曲線410は、コントローラ90において、関数、例えば、多項式関数、例えば、二次関数、三次関数、またはより高次の関数によって表すことができる。例えば、信号Sと厚さDとの間の相関は、次の式で表すことができる。
S=W・D+W・D+W (式1)
ここで、W、W、およびWは、実数係数である。したがって、コントローラは、関数の係数の値、例えば、W、W、およびW、ならびに関係曲線410が適用される抵抗率ρを格納することができる。さらに、この関係は、線形関数、ベジェ曲線、または非多項式関数、例えば指数関数または対数関数で表すことができる。
【0059】
図5を参照すると、較正の方法500は、例えば2000から20000オングストロームの比較的厚い導電層が、既知の抵抗率ρCALを提供することをユーザが知っている製造プロセスによって形成された較正基板を、ユーザが製造することから、開始する。この既知の抵抗率ρCALは、例えば他の計測システムによる製造方法の認定中に設定することができる。
【0060】
この較正基板上の導電層のシート抵抗RsCALが、例えば4点プローブを使用して、測定される(ステップ502)。同じ4点プローブ測定を、較正用の全ての4点プローブ測定に使用することができ、測定は、例えばASTM F390-11などの規格に従って実行することができる。
【0061】
次に、較正基板上の導電層の厚さを計算することができる(ステップ504)。例えば、コントローラ90は、例えば、ユーザインターフェースへのユーザ入力によって、またはコンピュータ可読媒体から、抵抗率ρCALおよび測定されたシート抵抗RsCALを受け取ることができる。コントローラは、例えば単に、DCAL=ρCAL/RsCALとして、較正厚さDCALを計算することができる。あるいは、ユーザが、計算を実行して、抵抗率ρCALと較正厚さDCALをコントローラ90に入力するだけでもよい。
【0062】
次に、インシトゥ計測システム100を使用して、2つの測定が行われる(ステップ506)。第1の測定は、キャリアヘッドがセンサ102の上の所定の位置に較正基板を保持する状態で、実行される。これにより、「測定された高い」第1の信号SMHが生成される。第2の測定は、基板またはキャリアヘッドがセンサ102上にない状態で実行され、例えば、プラテンは、センサ102がキャリアヘッド70の下にないような位置に回転されている。これにより、「測定された低い」第2の信号SMLが生成される。あるいは、センサがキャリアヘッド70の下にあるが、キャリアヘッド70によって保持された基板がない、または完全に誘電性の基板がキャリアヘッド70によって保持されているときに、第2の測定が実行されてもよい。
【0063】
次に、コントローラ90が信頼性をもって厚さ測定を行えるように、インシトゥ監視システム100についてオフセットおよびゲインを計算することができる(ステップ508)。
【0064】
ゲインGは、次のように計算することができる。
G=(SDH-SDL)/(SMH-SML
ここで、SDHは、層が、較正基板上の導電層と同じ厚さに研磨されているときの「所望の高い」信号であり、SDLは、層が除去されたときの「所望の低い」信号である。
【0065】
「所望の低い」信号は、単に設定値、例えば、0または0.2または20%であってもよい。
【0066】
「所望の高い」信号は、相関関数の生成に使用される層の抵抗率に対する較正基板の導電層の抵抗率の変動を考慮に入れている。
【0067】
「所望の高い」信号を計算するために、計算された厚さDCALに、較正基板の導電層の既知の抵抗率ρCALに対する、関係曲線410が適用される抵抗率ρの比を掛けて、修正された厚さを生成し、「所望の高い」信号値SDHが、この修正された厚さに対して関係曲線から計算される。すなわち、
【0068】
CAL/ρCALの値の代わりに1/RsCALを使用することもできるが、関係する値がやや直感的ではないため、不適切に入力されたデータを見つけるのが難しくなる。しかし、これにより、較正基板の導電層の厚さの計算が不要になる。そのため、計算は、次のように表すことができる。
【0069】
以下を満たすオフセットΔKを計算することができる。
ΔK=G*SML-SDL
【0070】
較正後、較正された信号S’は、以下に従って生成されることができる。
S’=G*S-ΔK (式2)
【0071】
したがって、インシトゥ監視システムが、既知の抵抗率ρCALと所定の厚さ、例えば較正厚さである層を有する基板を測定する場合、インシトゥ監視システムが、同じ所望の高い信号値SDHを出力するように、ゲインとオフセットを設定することができる。
【0072】
研磨作業中に導電層16の厚さを監視するために、コントローラは、研磨されている基板10の抵抗率ρの測定値を受け取る。この抵抗率ρは、較正抵抗率ρCALと同じであってもよいが、そうである必要はない。
【0073】
信号の一続きの値S(t)が、インシトゥ監視システムから時間の経過とともに受け取られる。各値は、例えば上記の式2を使用して正規化され、一続きの較正された値S’(t)が提供される。各較正された値S’(t)は、相関曲線を使用して厚さ値D(t)を計算するために使用されて、一続きの厚さ値D(t)を提供することができる。加えて、各厚さ値は、層の抵抗率に基づいて調整されて、修正された厚さ値を提供し、したがって、一続きの修正された厚さ値D’(t)を提供することができる。修正された厚さ値は、以下のように計算することができる。
D’(t)=D(t)*(ρ/ρ) (式3)
【0074】
修正された厚さ値D’(t)は、研磨パラメータの制御のために、例えば、不均一性を低減するための研磨圧力の計算のために、使用することができる。
【0075】
修正された厚さ値D’(t)が目標厚さ値DTARGETに達したときに、終点を判定することができる。
【0076】
あるいは、較正された値S’(t)が目標トリガー値STARGETに達したときに、終点を判定することができる。例えば、STARGETは、次のように計算することができる。
較正された値S’(t)が、目標トリガー値STARGETと比較されて、研磨終点を決定する。
【0077】
抵抗率の基板間変動に加えて、層の温度の変化が、導電層の抵抗率の変化をもたらす可能性がある。例えば、研磨が進むにつれて、導電層は、より高温になる可能性があり、したがって、より導電性が高くなる(抵抗率が低くなる)。したがって、電磁誘導監視システムからの信号に基づいて決定された測定された厚さは、導電層の温度が上昇するにつれて、実際の厚さよりも小さくなる可能性がある。換言すれば、所与の厚さを有する層の温度が上昇するにつれて、層は、より薄く見える。そのような測定された厚さに基づいて決定された終点により、研磨プロセスは、測定された厚さよりも大きい実際の厚さで停止する可能性があるため、層が研磨不足になる可能性がある。
【0078】
センサ102からの信号に基づいて決定された測定された厚さは、例えば、導電層の温度変動を補償することにより、および/または導電層の温度変動に対して測定された厚さを補償することにより、実際の厚さに近づくように調整することができる。
【0079】
詳細には、プロセス500を実行するコントローラは、リアルタイム温度T(t)における導電層の抵抗率ρを計算することもできる。いくつかの実施態様では、調整された抵抗率ρは、次の式に基づいて計算される。
ρ=ρ[1+α(T(t)-Tini)]
ここで、Tiniは、研磨プロセスが開始されるときの導電層の初期温度である。次に、調整された抵抗率ρが、抵抗率ρの代わりに、例えば上記の式3および式4で使用される。
【0080】
研磨プロセスが室温で実行される状況では、Tiniは、およそ20Cの値を取ることができる。ρは、室温であってもよいTiniでの導電層の抵抗率である。通常、αは、文献に見出すことができる、または実験から取得できる既知の値である。
【0081】
いくつかの実施態様では、測定された渦電流信号の調整に使用される温度TおよびTiniは、例えばキャリアヘッドの温度センサによって測定された、導電層の温度である。いくつかの実施態様では、温度TおよびTiniは、導電層の温度の代わりに、研磨パッドの温度またはスラリの温度とすることができる。
【0082】
特定の理論に拘束されることを望まないが、研磨パッドまたはスラリの温度を使用して計算された抵抗率ρは、導電層の温度を使用して計算された抵抗率ρに類似すると考えられ、何故なら、温度差が類似しており、かつαもパッドまたはスラリの温度を使用して一貫して決定されているからである。
【0083】
上述の研磨装置および方法は、様々な研磨システムに適用することができる。研磨パッド、またはキャリアヘッド、またはその両方が移動して、研磨面と基板との間の相対運動を提供することができる。例えば、プラテンは、回転するのではなく、周回してもよい。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(または他の形状)のパッドとすることができる。終点検出システムのいくつかの側面は、例えば、研磨パッドが、直線的に移動する連続的またはリール・トゥ・リールのベルトであるような、線形研磨システムに適用可能であり得る。研磨層は、標準的な(例えば、充填材を含むまたは含まないポリウレタン)研磨材料、柔らかい材料、または固定砥粒材料とすることができる。相対配置の表現が使用されている。研磨面と基板は垂直配向に保持されてもよいし、または他の配向に保持されてもよいことを、理解されたい。
【0084】
実施形態は、データ処理装置、例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータによる実行のための、またはそれらの動作を制御するための、1つ以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、非一時的な機械可読記憶媒体に有形に具現化された1つ以上のコンピュータプログラムとして実施することができる。本発明の多くの実施形態が説明された。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることを、理解されたい。例えば、より多くのまたはより少ない較正パラメータが、使用されてもよい。さらに、較正および/またはドリフト補償方法が、変更されてもよい。したがって、他の実施形態が、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3A-3C】
図4
図5
図6