IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7227910滅菌培地を放出するためのシステムおよび器具
<>
  • 特許-滅菌培地を放出するためのシステムおよび器具 図1
  • 特許-滅菌培地を放出するためのシステムおよび器具 図2
  • 特許-滅菌培地を放出するためのシステムおよび器具 図3
  • 特許-滅菌培地を放出するためのシステムおよび器具 図4
  • 特許-滅菌培地を放出するためのシステムおよび器具 図5
  • 特許-滅菌培地を放出するためのシステムおよび器具 図6
  • 特許-滅菌培地を放出するためのシステムおよび器具 図7
  • 特許-滅菌培地を放出するためのシステムおよび器具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】滅菌培地を放出するためのシステムおよび器具
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20230215BHJP
   C12N 1/00 20060101ALN20230215BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
C12N1/00 J
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019538175
(86)(22)【出願日】2018-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018050808
(87)【国際公開番号】W WO2018130674
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】17290003.7
(32)【優先日】2017-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ボーア,ガエタン
【審査官】藤澤 雅樹
(56)【参考文献】
【文献】特表平06-508551(JP,A)
【文献】特開平11-266853(JP,A)
【文献】特開2015-188390(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0231010(US,A1)
【文献】国際公開第2016/042741(WO,A1)
【文献】米国特許第05350080(US,A)
【文献】実開昭61-193800(JP,U)
【文献】特開2009-034603(JP,A)
【文献】米国特許第05069370(US,A)
【文献】特開昭51-108887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
C12N 1/00-7/08
C12P 1/00-41/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌培地のためのチュービング装置(40)であって以下、
滅菌培地を収容するための容器(54);
液体滅菌培地を放出するための放出ポート(52);
チュービング装置の中に流体を導入するための入口ポート(41);および
多方向コネクタ(50)を含み、
ここで多方向コネクタ(50)は、容器(54)、放出ポート(52)および入口ポート(41)へ接続されており、
前記流体が水である、前記チュービング装置。
【請求項2】
多方向コネクタ(50)が、バルブまたはポンプである、請求項1に記載のチュービング装置(40)。
【請求項3】
入口ポート(41)と多方向コネクタ(50)との間に配置されているワンウェイバルブ(48)をさらに含む、請求項1または2に記載のチュービング装置(40)。
【請求項4】
入口ポートを介して導入された水をろ過するためのろ過装置(44)であって、入口ポート(41)と多方向コネクタ(50)との間に配置される、前記ろ過装置をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のチュービング装置(40)。
【請求項5】
ろ過装置が換気ベント(46)を含む、請求項4に記載のチュービング装置(40)。
【請求項6】
複数のチュービング(61)が、ろ過装置(44)と多方向コネクタ(50)との間に位置し、ここでチュービングが開閉可能なロック装置(62)および圧縮スリーブ(65)を含む、請求項4または5に記載のチュービング装置(40)。
【請求項7】
放出ポート(52)および出口ポート(104)へと接続される入口ポート(103)を有するバッファーリザーバー(100)をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のチュービング装置(40)。
【請求項8】
菌培地の調製、混合および放出のための器具(80)であって、
水を導入するための入口ポート(81);
チュービング装置(40)の入口ポート(41)に接続されるよう構成された出口ポート(87);
流体を運ぶための流体ポンプ(82)であって、流体ポンプ(82)が、入口ポート(81)および出口ポート(87)に接続される;および
チュービング装置(40)の容器(54)を支持するための容器支持体(88)、
を含む、前記器具(80)
をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のチュービング装置(40)
【請求項9】
器具が、チュービング装置(40)中で流体を運ぶための二次ポンプ(86)をさらに含む、請求項8に記載のチュービング装置(40)
【請求項10】
器具が、入口ポート(81)において導入された流体を加熱するための加熱器(84)をさらに含む、請求項8または9に記載のチュービング装置(40)
【請求項11】
器具が、加熱器(84)がフロースルー式加熱器であるか、または加熱器(84)がチュービングを囲っている、請求項10に記載のチュービング装置(40)
【請求項12】
器具が、多方向コネクタ(50)を作動させるアクチュエーター(90)をさらに含む、請求項8~11のいずれか一項に記載のチュービング装置(40)
【請求項13】
器具が、バッファーリザーバー(100)から出口ポート(104)へと流体を運ぶための移送ポンプ(101)をさらに含む、請求項8~12のいずれか一項に記載のチュービング装置(40)
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のチュービング装置(40)の使用により、滅菌培地を調製、混合および放出するための方法であって以下、
チュービング装置(40)の入口ポート(41)とチュービング装置(40)の容器(54)との間に非開放的な接続を提供するステップ;
流体を、入口ポート(81)から、出口ポート(87)および多方向コネクタ(50)を介してチュービング装置(40)の容器(54)へとポンピングするステップ;
容器(54)中で滅菌培地を所定の濃度に調製するステップ;
容器(54)とチュービング装置(40)の放出ポート(52)との間に接続を提供するステップ;
容器(54)から調製された培地を引き出し、放出ポート(52)から放出するステップ、
を含む、前記方法。
【請求項15】
所定の温度まで水を加熱するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
滅菌培地の引き出しの間に容器(54)への入口ポート(81)の接続を維持することにより滅菌培地を希釈するステップ、および
多方向コネクタ(50)中に流体をポンピングするステップ、
をさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
所定の量の希釈された培地が、所定の温度で放出される、請求項15または16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌培地の混合、希釈および放出のためのシステムおよび器具ならびにかかるシステムを使用するための方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
一般に、滅菌培地を調製し、それぞれのバッグまたは容器の中へ放出するためのいくつかの方法が存在する。例えば滅菌フィルターを通した20リットルのRO/脱イオン水で再調製することができる脱水培地をプレ充填する、20リットルまでの容量を含有できる大きな乾燥バッグが存在する。このために、脱イオン水は、標準コネクタを介してバッグの中へ導入されるだろう。バッグ中の培地は、次いで実際の濃度に応じて所定の濃度まで水を混合されるだろう。混合は、例えば、すべての脱水培地が溶解するまで培地バッグに充填された水で練り合わせることによりなされる。
【0003】
別の可能性は、粉末状培地が、その中のステンレス鋼ベッセル中で混合される、培地調製器である。調製器はまた、混合培地を加熱して滅菌し、その後それを冷却する。しかしながら、この培地調製器は、異なる位置で柔軟に使用されることはできず、さらに一定の保守および洗浄を要求する、大きな器具である。そのうえ培地調製器は、培地の製法を速やかにたやすく変更することはできず、残っている培地を廃棄すること、洗浄、再充填、再滅菌のステップか、または2つの培地を有することを可能にするための第2の調製器を使用することが必要である。
【0004】
しかしながら、これらの方法はすべて、それぞれのバッグまたは容器中で滅菌培地の混合および調製のためのいくつかのステップを要求する。そのうえ、滅菌培地のためのこれらのバッグはすべて、滅菌培地が正確な濃度に達するまで水を充填されるだろう。これは、滅菌培地の入ったバッグが、最初は全ての滅菌培地を含有しているため非常に重く、最大30kgまたはそれ以上はあろうことを意味する。これらのバッグの滅菌性を保つことはまた、放出チューブが通常バッグにある放出ポートに直接接続しており、接続されている間は、水をフラッシングできないため、煩雑である。
加えて、試験の間のいくつかの場合において、最小限の時間での大量の培地の移送が必要とされる。このような場合においては、大流量ポンプまたはプレ充填されたボトルが、典型的には使用される。
【発明の概要】
【0005】
発明の開示
本発明の対象は、滅菌培地の調製、混合、希釈および放出のためのクローズドシステムであって、重量、調製時間およびシステムのための費用を低減し、専用の培地調製場を必要とすることのないものを提供することである。これは、好ましくは使い捨てである、器具およびチュービング(tubing)装置の形でこのようなシステムを提供することにより達成される。器具およびチュービング装置は、互いに作用しあって上述のシステムを提供する2つの要素である。使用において、器具は長期間使用されるであろう一方で、チュービングは通常滅菌培地の新しいバッチごとに取り換えられるであろう。
上記の対象は、請求項1に記載のチュービング装置、請求項8に記載の器具、同様に請求項14に記載の方法によって達成される。
【0006】
本発明に従った滅菌培地のためのチュービング装置は、滅菌培地を収容するための容器、液体滅菌培地を放出するための放出ポート、流体をチュービング装置および多方向コネクタの中へ導入するための入口ポートであって、ここで多方向コネクタが、チュービングを用いて容器、放出ポートおよび入口ポートへ接続されているものを含む。本発明において、チュービングは、例えばチューブ、パイプ、ホースまたはスリーブであり、それを通して滅菌培地が流れるものであり、プラスチックのような種々の材料から、または金属からでさえ作られ得る。滅菌培地を収容するための容器は、好ましくはバッグであり、滅菌培地は、容器に収容された少なくとも部分的に脱水された培地であり、好ましくは、完全に脱水されている。実際の濃度より高濃度のプレミックスの滅菌培地を有することが可能である。チュービング装置は、滅菌培地を調製、混合、希釈および放出するためのシステムの使い捨て部分である。チュービング装置の異なる要素が、異なるライフサイクルを有することが可能であり、そのため本出願の後の方で説明しているように、単一の要素ずつ、異なる時期に交換されてもよい。
【0007】
好ましくは、多方向コネクタは、バルブまたはポンプである。多方向コネクタは、好ましくは3方向コネクタである。このようなバルブまたはポンプとして形成された多方向コネクタは、一方向を塞ぐかまたは開放するかのいずれか、あるいは流れの方向を調節することにより、チュービング装置中の流体の流れを制御することができる。
さらに、チュービング装置は、入口ポートと多方向コネクタとの間に配置されているワンウェイバルブを含み得る。このようにして、チュービング装置に入る流体が、入口ポートの外へ逆流することを避けることができる。
【0008】
チュービング装置は、好ましくは、入口ポートを介して導入される流体をろ過するためのろ過装置をさらに含み、ろ過装置は、入口ポートと多方向コネクタとの間に配置され、好ましくは、入口ポートとワンウェイバルブとの間に配置される。ろ過装置は、滅菌培地と混合される流体が滅菌培地の質を悪化させるいずれかの要素を含まないことを保証する。
さらに、ろ過装置は、ろ過装置から流体および気泡をパージするための換気ベントを含んでもよい。したがって、ろ過装置は、使用の間に乾燥させることができ、ろ過装置の寿命は増加するだろう。
【0009】
ろ過装置を有するチュービング装置は、さらにろ過装置と多方向コネクタとの間に配置された複数のチュービングを含み得、該チュービングは、開閉可能なロック装置、特にオスメス式ブレイカブルルアー(breakable luers)、および圧縮スリーブのそれぞれ、および好ましくは各チュービングの端のキャップもまた含む。ブレイカブルルアーの代わりに、開閉可能なロック装置はまた、医療用途のための標準コネクタまたは無菌コネクタであってもよい。好ましい態様において、オスメス式ブレイカブルルアーが使用される。このようにして、単一のチュービングは、使用のためにチュービングの残りの部分へと開放され、接続され、使用後に、それぞれのチュービングが、遮断され、圧縮スリーブで切り離され得るために圧縮スリーブが圧着され固定されるであろうことから、複数のチュービングを有するろ過装置は、チュービング装置の残り(すなわち、多方向コネクタ、容器等)よりも長期に、多くの回数使用され得る。次いで、複数のチュービングのうち別のチュービングが、チュービング装置の残りに接続されるだろう。したがって、ろ過装置は、チュービング装置の残りと同じような頻度で取り換える必要はない。
【0010】
別の態様において、チュービング装置の放出ポートは、バッファーリザーバー、たとえば入口ポートおよび出口ポートを有するバッファーバッグの入口ポートに接続されている。
バッファーリザーバーの存在は、試験中の非常に短い時間において要求に応じて分配され得る非常に大量の培地を提供することを可能にする。
【0011】
発明の別の側面は、流体を導入するための流体入口ポート、チュービング装置の入口ポートへと接続されるよう構成された流体出口ポート、流体を流体入口ポートから流体出口ポートへチュービングを介して運ぶための、好ましくは蠕動ポンプである、流体ポンプおよびチュービング装置の容器を支持するための容器支持体を含む、チュービング装置と共に使用するための滅菌培地を調製、混合および放出するための器具である。容器支持体は、例えば、バッグを支持するトレイ、または容器の小穴の中へとひっかけるためのフックであり得る。この器具は、上記のようなチュービング装置の使用を可能にする。チュービング装置および器具は、滅菌培地を混合、調製、希釈および放出するための後に記載するような機能を有するシステムを提供する。
器具は、流体をチュービング装置の中に運ぶための二次ポンプをさらに含み得る。これは、チュービング装置が、ポンプ自体を含有しない場合に必要である。
【0012】
器具は、流体入口ポートの中に導入された流体を加熱するための加熱器をさらに含んでいてもよい。加熱は、30~50℃、好ましくは35℃~45℃、最も好ましくは40℃の温度で実施される。加熱器は、好ましくは、流体ポンプと出口ポートとの間に配置される。流体を加熱することは、滅菌培地のための容器中でよりよい反応を可能にさせる、すなわち、滅菌培地の調製および混合は、加熱された流体、特に上述の範囲内にあるものを用いてより容易に実施される。加熱器は、導入された流体に直接接しているフロースルー式加熱器か、または流体が流れるチュービングを囲っている囲繞式加熱器かのいずれかであり得る。フロースルー式加熱器は、より効率的であるが、衛生について考慮すると囲繞式加熱器のほうがよい。
器具は、チュービング装置の多方向コネクタを作動させるためのアクチュエーターをさらに含み得る。このアクチュエーターは、多方向コネクタの通路を制御するための回転装置でも、リニア電磁バルブアクチュエーターでもあり得る。
【0013】
さらなる態様において、チュービング装置の放出ポートが、バッファーリザーバーへと接続されているときに、器具は、流体ポンプおよび/または培地ポンプから独立して働き、その出口ポートを通してバッファーリザーバーから引き出された流体を分配するために使用される、移送ポンプをさらに含んでいてもよい。このポンプは、外部機器の一部であり得る、すなわちバッファーリザーバーのポンピングシステムは、他のポンプピングシステム(単数または複数)から独立していてもよい。あるいは、バッファーリザーバーの流体移送ポンプは、他のポンプ(単数または複数)もまた含んでいる1つの統合システムの一部であってもよい。
器具は、秤量システム、液面センサーまたはこのような目的について当業者に公知のいずれか他の解決策を用いてバッファーリザーバーの中の流体量をモニターするためのシステムをさらに含んでいてもよい。
【0014】
本発明の別の側面は、上述の装置および器具を用いることによる滅菌培地を調製、混合および放出するための方法であって、チュービング装置の入口ポートとチュービング装置の容器との間に非開放的な接続を提供すること、流体入口ポートから流体出口ポートおよび多方向コネクタを介してチュービング装置の容器へと流体をポンピングすること、容器中の滅菌培地を所定の濃度に調製すること、チュービング装置の容器と放出ポートとの間に接続を提供すること、および容器から調製培地を引き出すこと、および放出ポートからそれを放出することのステップを含む。
【0015】
方法は、所定の温度まで流体を加熱するステップをさらに含み得る。さらに、方法は滅菌培地の放出中に流体入口ポートから容器への接続を維持することにより滅菌培地を希釈すること、および多方向コネクタの中へと流体をポンピングすることのステップを含んでもよい。このようにして、滅菌培地を放出されるべき濃度で提供する必要はなく、それがチュービング装置を通して流れることが可能であるよう調製することで十分である。放出動作中のさらなる流体の添加により、滅菌培地は、放出されるであろう滅菌培地における所定の濃度まで多方向コネクタ中でさらに希釈される。あるいは、滅菌培地および滅菌流体は、多方向コネクタを通してポンピングされ、あるいは最終容器中に放出され、混合後に所定の濃度に到達し得る。
滅菌培地の希釈は、放出滅菌培地が所定の温度、好ましくは35~45℃、および最も好ましくは37℃であることを可能にするために、予め加熱された流体を用いて実施され得る。
【0016】
チュービング装置の放出ポートがバッファーリザーバーの入口ポートへと接続されている場合において、方法は、希釈された培地をバッファーリザーバーの中へと充填するステップ、およびその出口ポートを通してバッファーリザーバーから希釈された培地を放出するステップをさらに含んでいてもよい。このような場合において、バッファーリザーバーは、器具の流体ポンプおよび培地ポンプを使用することにより最大量まで連続的に充填され得る。バッファーリザーバー中の培地は、次いで、バッファーリザーバーの移送ポンプを使用することにより、バッファーリザーバーの出口ポートを通して、器具の希釈動作からは独立して、要求に応じて所望の量を放出され得る。そのポンプは、外部の独立した希釈器の一部であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、滅菌培地を調製、混合、希釈および放出するためのシステムの略図である;
図2図2は、本発明に従ったチュービング装置を示す;
図3図3は、本発明に従った器具を示す;
図4図4は、図2のチュービング装置と図3の器具の組み合わせを含むシステムである;
図5図5は、複数の用法についてのろ過装置を示す;
図6図6は、3方向ポンプとして形成される多方向コネクタを示す;
図7図7は、図1と同様であるが、バッファーリザーバーをさらに包含するシステムの略図である;
図8図8は、図2のチュービング装置と図3の器具の組み合わせを含むシステムであって、チュービング装置の放出ポートが、バッファーリザーバーへと接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好ましい態様の説明
図1は、滅菌培地を調製、混合、希釈および放出するためのシステム10の略図を示す。図1において、チュービング装置40および器具80の単一の要素を通した流体の流れが模式的に示されている。流体は、入力ポート(input port)で器具80に入り込み、水ポンプ82という手段により加熱器84へと運ばれる。流体は、その中で加熱されて、チュービング装置40へと移送する。チュービング装置40において、流体は、その中でろ過されるろ過装置44を通って流れる。そこから、流体は、ワンウェイバルブ48を通って多方向コネクタ50(ここでは、3方向コネクタであるか、またはより好ましくは3方向バルブもしくは3方向ポンプである)へと流れていく。3方向コネクタ50から、一方向のみが放出ポート52へと通じており、他の通路は滅菌培地を収容する容器54へと通じている。図1および図7において示されるような要素の全てが、本発明の実行のために存在していないければならないわけではないが、これらの要素を包含することにより、本発明は最も適応性のあるものとなる。
【0019】
理論上では、流体は、容器中の粉末状であるかまたは高濃縮の培地と混合するのに適したいずれかの流体であり得る。しかしながら、本願明細書中においては、水、特に本発明において使用される流体の好ましい形態である脱イオン水または蒸留水が指定される。
【0020】
第一に、チュービング装置40が説明されるであろう。チュービング装置40において、単一の要素は、チュービング、すなわち小スリーブ、ホースまたはチューブを介して互いに接続されている。これらのチュービングは、好ましくはプラスチック材料から作製される。チュービング装置40は、滅菌培地のための容器54を含む。通常、これは、脱水培養培地、特に完全脱水培地を充填するバッグである。完全脱水培地は、非常に長い保存可能期間および安定性を有する。そのうえ、(完全)脱水培地を有するバッグの容量は、最終の実際の濃度で送られ得る培地の総量よりもいくつかの要因で小さくなっている。乾燥培地は、ペプトン水、乳糖ブイヨン培地、改変トリプシン大豆ブイヨン培地または無菌または滅菌調製および分配条件を要求するいずれか他の培地で緩衝液処理され得る。容器54は、チュービングを介して多方向コネクタ50へと接続されている。いくつかの適用において、容器54中に収容されている培地は、さらに添加物を添加することにより完成する必要がある。このような場合において、容器54が標準シリンジまたはセプタムシステムを用いて無菌移送を可能とするようにセプタムが利用できる。いくつかの溶解しにくい培地について沈殿物の形成を避けるために、連続的な再調製を可能にする区画化された培地バッグを使用することもまた可能である。例えば、培地バッグは、粉末状培地およびプレ希釈バッファーをバッグ内の2つの異なる区画に含有し得る。次いで、バッグが器具上に置かれる場合かまたは、器具上に置かれる前に、2つの区画の間のシールは、破られ得、プレ希釈バッファーは、粉末状培地と混合される。次いで、調製培地は滅菌水を用いて完成し、混合される。
【0021】
多方向コネクタ50は、本態様において図に示されるように3方向コネクタである。しかしながら、必要性がある場合に、必要に応じて通路と同数にするために4方向または5方向コネクタでもまたあり得る。多方向コネクタ50は、あらゆるチュービングが他のチュービングと接続され得るという方法で、各通路を開放および閉鎖することができる。好ましくは、各通路は、例えば、リニア電磁バルブアクチュエーターを用いることにより、個別に閉鎖および解放され得る。このアクチュエーターは、チュービング装置40の一部であり得るが、後述するように器具80の一部でもまたあり得る。本態様において、多方向コネクタ50は、3つの位置の間で切り替えることのできるレバーを含む。上述したように、1つの通路は容器54へと通じ、別の通路は、そこを通って液体滅菌培地が所定の濃度において放出されるであろう放出ポート52へと通じ、第3の通路はチュービング装置40内に水を導入するための入口ポート41へと通じる。図2~4において示される態様において、3方向コネクタ50のスイッチは、第1の位置で入口装置41へのチュービングと共に出口装置52へのチュービングに接続しており、および容器54へのチュービングは閉鎖されている。3方向コネクタ50のスイッチの第2の位置において、入口ポート41は、容器54へと接続されているが、放出ポート52へのチュービングは、閉鎖されている。3方向コネクタ50のスイッチの第3の位置において、容器54は、放出ポート52へと接続され、および3方向コネクタ50のスイッチの第4の位置において、すべてのチュービングは、3方向コネクタ50に互いに接続されている。
【0022】
液体滅菌培地を放出するための放出ポート52は、チュービングを介して多方向コネクタ50へと接続されており、およびキャップまたはチッププラグのような閉鎖物を端に含む。放出ポート52へのチュービングは、チュービングの一方の端が単純に行き止まりになっているためにチュービングにおいて閉鎖されている。使用のために、出口チュービングの閉鎖端は、洗浄され、次いで滅菌ハサミを用いて無菌的に切断されるかまたはキャップもしくはプラグが取り除かれ、滅菌培地の放出を可能にする。
本態様の多方向コネクタ50の最終通路は、入口ポート41へと通じる。入口ポート41は、放出ポート52と同様に覆われて閉鎖されているが、器具80の放出ポート87上の対応するコネクタソケットに接続され得るコネクタプラグもまた有し得る。多方向コネクタ50と入口ポート41との間は、好ましくはワンウェイバルブ48がアレンジされている。ワンウェイバルブは、液体が多方向コネクタ50から入口ポート41へと逆流することを防止する。ワンウェイバルブは、ろ過装置44と多方向コネクタ50との間にアレンジされる。
【0023】
さらに、チュービング装置40は、ろ過装置44を含み得る。ろ過装置44は、水入口ポート41内へと導入された水をろ過する働きをする。ろ過装置44は、汚染されていない滅菌流体のみが容器54内へと運ばれていることを保証する。ろ過装置44は、システムが未使用であるときに、脱気の働きをする換気ベント46を含む。
一態様において、ろ過装置44は、単一の無菌コネクタ62を通して多方向バルブ50へと接続されている。この単一のコネクタ62は、ろ過装置44を多方向バルブ50へと接続するように一度使用され得るかまたは同様に数回使用され得る、すなわち使用後にコネクタは開放され、容器54は、次いでコネクタ62に接続される新しいものに置き換えられる。
【0024】
別の態様において、多方向バルブ50は、単一の無菌コネクタ62を通って容器54に接続されている。この単一のコネクタ62は、多方向バルブ50を接続するよう一度使用され得るかまたは同様に数回使用され得る、すなわち、使用後にコネクタは開放され、容器54は次いでコネクタ62に接続される新しいものに取り換えられる。
【0025】
図1および5において示される好ましい態様において、ろ過装置44は、別の多方向コネクタ60を含有していてもよい。多方向コネクタ60から出ているチュービングのそれぞれは、容器54および放出ポート52への通路に接続するための多方向コネクタ50から通じるチュービングと接続されるよう構成される。異なるチュービング61a、61b、61cは、出口63a~cのそれぞれを通って流体が流れることを可能にするよう分けることができるブレイカブル(オスメス式)ルアーを含む。さらに、ブレイカブルルアーの前には圧縮スリーブ65a~cが提供される。これらの圧縮スリーブ65a~cは、それが使用されて、別の容器54がろ過装置44へと接続されるであろうときに、それぞれの通路を閉鎖する働きをする。すなわち、チュービング装置40が使い捨ての製品であるにもかかわらず、チュービング装置40のいくつかの部分は他のものよりも長く持続し得る。このために、ろ過装置は、異なる通路61a~cを伴う上述の多方向コネクタ60を含み得る。ある通路が使用される場合に、対応する保護キャップ66が取り除かれて、通路61は多方向コネクタ50へのチュービングに接続される。次いで容器54が空になっている場合に、多方向コネクタ50へと接続されている通路61a~cは、圧縮スリーブ65a~cと共にきつく締めることにより閉鎖され、別の通路は、別のチュービング装置の別のチュービングへと接続され得る。
【0026】
さらに、多方向コネクタ50は、ポンプとしてもまた形成され得る。このようにすることにより、その後に記載されるように器具80は、チュービング装置中で流体を運ぶための分離ポンプ86を必要としない。多方向コネクタ50が、フロースルー式ポンプとして形成されている場合、異なる通路の開放および閉鎖は、以下において管理されている。まず初めに、放出ポート52が、使用前にプラグかまたは上述の放出ポート52の行き止まりのどちらかにより閉鎖される。それゆえに、多方向コネクタ50から放出ポート52へのチュービングは、流体で充填することはできない。したがって、入口ポート41に入り込むすべての流体は、やがては容器54内に流れるだろう。その後にフロースルー式ポンプ50のモーターの回転方向は、逆転し得、放出ポート52は開放され、入口ポート41への通路は、ワンウェイバルブ48によって、または、流体ポンプ82によるフロースルー式ポンプ50内へポンピングされる流体によってのいずれかでふさがれるだろう。
【0027】
図7は、チュービング装置の放出ポート52がバッファーリザーバー100(たとえば、入口ポート103および出口ポート104を有するバッファーバッグ)の入口ポートへと接続されている態様を示している。このような場合において、バッファーリザーバーの出口ポート104は、システムのための放出ポートとしての働きをする。
バッファーリザーバーの存在は、試験中の非常に短い時間中に、要求に応じて分配され得る、非常に大量の培地を提供することを可能にする。
【0028】
器具80は、主に流体ポンプまたは水ポンプ82およびチュービング装置40の容器54を支持するための容器支持体88を含む。図3において示される本態様において、支持体88は、バッグのような容器54を受け入れ、支持することができるトレイである。容器支持体は、容器に含まれる対応する小穴の中に引っ掛けるフックでもまたあり得る。さらに、器具80は、流体/水を導入するための入口ポート81およびチュービング装置40の入口ポート41へと接続されるであろう出口ポート87を含む。入口ポートは、流体ポンプ82に位置するかまたはその一部として位置する、もしくは流体ポンプ82と入口ポート81を接続するチュービングの端に配置され得る。流体ポンプ82は、フロースルー式ポンプであり得るが、好ましくは、チュービングがその中に受け入れられ得る、蠕動ポンプのような囲繞式ポンプである。このようにして、必要ならば、チュービングは器具においても容易に交換され得る。このような流体ポンプは当業者に公知である。最終的に、器具80は、流体ポンプ82かまたは加熱器84の一部であり得るか、もしくはチュービングといった手段によりそれらへと接続され得る出口ポート87を含む。出口ポート87は、チュービング装置40の入口ポート41へと接続されるだろう。
【0029】
器具80は、好ましくは、加熱器84をもまた含む。入口ポート81が冷水を供給することもでき、バッグ54中の培地が温水でなお混合および調製することができるために、加熱器84は、水を加熱する働きをする。加熱器84は、水が加熱器を通って流れるフロースルー式加熱器でも器具のチュービングを受け入れている囲繞式加熱器でもあり得る。フロースルー式加熱器は、水をより効率的に加熱するのに対して、囲繞式加熱器は、衛生的にはより清潔であるが、水を加熱するためにより多くのエネルギーが必要であるだろう。
入口ポート81は、実験室における水道に接続され得るが、器具80の一部でもあり得る水容器にもまた接続され得る。
【0030】
システムを使用するために、チュービング装置40は、はじめに器具80に取り付けられる。このために、器具は、入口ポート81、水ポンプ82、出口ポート87および好ましくは加熱器84もまた含む。これらの要素は、互いにチュービングを介して接続されている。容器54は、容器54のための支持体88上に置かれ、例えばトレイ上に横たえられているかまたはフックに引っ掛けられており、チュービング装置40の入口ポート41は、器具80の出口ポート87に接続されている。チュービング装置40が自身のポンプを含む場合に、ポンプは、器具80上の対応する受け入れ位置に置かれる。このようなポンプは、多方向コネクタとしての働きをする前述の3方向ポンプであり得るが、同時に容器54と多方向コネクタ50の間に位置する追加的なポンプでもまたあり得る。チュービング装置40がポンプを含まない場合に、容器54と多方向コネクタ50との間のチュービングは、好ましくは、器具80にもまた含まれる、培地ポンプ86内に取り付けられている。このポンプ86は、好ましくは蠕動ポンプである。多方向コネクタ50が多方向または3方向バルブである場合において、多方向コネクタは、好ましくは器具上に提供される、回転アクチュエーター90と結びついている。多方向コネクタがリニア電磁バルブである場合に、器具上の対応するアクチュエーター/コントロール装置に結びついているだろう。滅菌培地を調製、混合、希釈および放出するためのシステム10は、次いで使用可能状態になる。
【0031】
はじめに、器具80の入口ポート81は、例えば水道である流体の供給へと接続されるだろう(以下において、用語「水」はその機能性を記載するために使用される)。これは、実験室における水道であるか、または上で述べたような水を有する容器であり得る。水は、好ましくは脱イオン水のような前処理された水である。以下において、システム10の使用は、加熱器84、ろ過装置44、多方向コネクタとしての3方向バルブ50を包含する、前に述べたような要素すべてとともに記載されているが、多方向コネクタ60および上記された通路61と共には記載されていない。
【0032】
はじめに、入口ポート41が容器54に接続され、放出ポート52が閉鎖されたまま、および/またはシールされたままであるように、3方向バルブは、位置2に調節される。水は、入口ポート81からシステム10へ入り込む。水ポンプ82は、器具80のチュービングを通って水を運び、水は加熱器84内へと流れて、30~50℃、好ましくは35~45℃または本質的に40℃の温度まで加熱される。その後、加熱された水は、出口ポート87を通って、チュービング装置40の入口ポート41内へと流れる。水はろ過装置44中へ流れ、そこでは粒子、微生物および要素を水からろ過することができ、滅菌水のみがろ過装置44から流出することを保証する。水は、次いでワンウェイバルブ48を通過し、水が容器54へのチュービング内を通過することができるように、第2位置に調節されている3方向バルブ50内へと流れる。容器54は、この例において完全脱水培地で充填されており、水は培地ポンプ86といった手段により容器54内へとポンピングされる。脱水培地の溶解は、加熱された水によって大いに改善されている。溶解は、手動でもみほぐすことを伴い、操縦(磁気バー)を伴って、自動化された繰り返しのバッグのティルティングまたは繰り返しおよび自動化された局所的なバッグの圧縮(蠕動式ブレンダーに類似したもの)により作り出される波立ちによって完全になされ得る。このようにして、容器またはバッグ中の培地は、溶解して均一な液体懸濁液となっている。バッグ中の培地は、好ましくは、放出ポートのために決定された濃度にまでは溶解していない。実際、容器中の培地の濃度は、非常に高くなっている。
【0033】
放出ポート52は、次いで端を切断することによるかまたはキャップを外すかにより開放され、3方向バルブ50が、3つのチュービングすべてが接続される位置3へと切り替えられる。次いで、水ポンプ82が、チュービング装置内へとより多くの水をポンピングする一方で、培地ポンプ86は逆に動き、高濃度培地を3方向バルブ50内へとポンピングする。滅菌培地は、所定の濃度まで、3方向バルブ中で水と混ぜ合わせられ、放出ポート52へのチュービングを通って流れ、放出される。
滅菌培地を放出する前および/または後に、多方向コネクタ50から容器54へのチュービングを除くチュービングは、洗浄されることができる。これは、3方向バルブ50を、放出ポート52が入口ポート41へと接続されるが、容器54へのチュービングがふさがれている、位置1に切り替えることによりなされる。次いで、好ましくは熱水でチュービングをフラッシングし、それを培地残渣から洗浄することができる。
滅菌培地の濃度は、3方向バルブが位置1の洗浄配置にあるときに、さらに水のみを放出することにより希釈された培地が放出された後にもまた調節され得る。
【0034】
使用後に、滅菌培地を放出するためのシステム10は、別のときにさらに使用するために一時的に停止されることもまた可能である。このために、チュービングは、記載されるような暖かい滅菌水でフラッシングされる。流速および温度は、最適にチューブを洗浄するために選択される。その後、放出ポートは、少なくとも1つの放出装置の端部分にアレンジされ得る圧縮スリーブ51で圧縮され得る。このようにして、放出ポートは、無菌的にシールされる。圧縮スリーブ51は、各使用のために複数あり得、放出ポートは、圧縮スリーブの間の所定の位置で再び切り開かれ得る。チュービング装置40の入口ポート41は、次いで、器具80の出口ポート87から切り離され、入口ポート41および出口ポート87は、保護プラグで閉鎖される。次いで、容器54は、最適な温度で安全に収容され、後に再利用され得る。
放出ポートは、希釈された培地が、放出ポートを通って放出されるときに、次いでまた同時に充填される異なる試験バッグに同時に接続することができる多方向コネクタもまた含み得る。
【0035】
器具80は、放出ポート52を通して分配される培地の量を、試料重量に従って決定するために、台ばかりもまた含み得る。
チュービング装置40の放出ポート52が図8において示されているようにバッファーリザーバー100へと接続されているときに、器具は、流体ポンプ82および/または培地ポンプ86からは独立して働き、その出口ポート104を通ってバッファーリザーバー100から引き出された流体を分配するために使用される移送ポンプ101をさらに含んでもよい。このポンプは、外部機器の一部であり得る、すなわちバッファーリザーバーのポンピングシステムは、他のポンピングシステム(単数または複数)から独立していてもよい。あるいは、バッファーリザーバーの流体移送ポンプは、他のポンプ(単数または複数)もまた含んでいる1つの統合システムの一部であってもよい。移送ポンプ101は、所望の量のバッファーリザーバーの内容物を移送することを可能にする蠕動ポンプであってもよい。
【0036】
器具80は、バッファーリザーバー100を保持するために使用され得るフックを有するポッドもまた含み得る。
器具は、秤量システム、液面センサーまたはこのような目的について当業者にとって公知のいずれか他の解決策を用いるバッファーリザーバー内の流体量をモニターするためのシステムをさらに含んでもよい。
【0037】
バッファーリザーバーを有する器具の作動中に、希釈された培地は、その入口ポート103を通ってバッファーリザーバー100内へと移送され、その出口ポート104を通ってバッファーリザーバーから放出される。
一態様において、バッファーリザーバー100は、器具の流体ポンプおよび培地ポンプを使用することにより最大量まで連続的に充填される。バッファーリザーバー中の培地は、バッファーリザーバーの移送ポンプ101を使用することにより、バッファーリザーバーの出口ポート104を通って、要求に応じて、所望の量で器具の希釈動作からは独立して放出される。
【0038】
以下に、適用の例が与えられる。
シングルストレングス(single strength)培地を分配することによる食品製品中の病原菌試験(例えば、サルモネラ菌、リステリア、およびEHEC)についての適用1:システムは、増菌の前の食品試料の初期希釈のために使用される。25gのプレ秤量された食品試料は、システムによって、滅菌ろ過水を用いて希釈され、再調製された濃縮培地ストックから調製される適切な濃度の、予め加熱された(またはされていない)培養培地(例えば、BPW、乳糖ブイヨン培地、mTSB、ハーフフレーザー、bLEB)225mlを添加することにより1/10に希釈される。希釈された食品試料は、次いで当業者に公知の標準的な手順に従って処理される。いくつかの食品製品について、375gの混合試料は、3.375Lの培地を添加することにより、1/10に希釈される。他の食品製品について、試料は、培養培地で1/4、1/6に希釈される。ろ過水を加熱することにより得られた、プレ加温培地は、いくつかの適用においてもまた必要とされる(例えば、サルモネラ菌の迅速検出)。
【0039】
シングルストレングス培地を分配することによる食品製品中の病原菌試験(例えば、サルモネラ菌、リステリア、およびEHEC)についての適用2:システムは、増菌の前の食品試料の初期希釈のために使用される。食品試料(例えば、25g、375g)が秤量され、滅菌ろ過水を用いて希釈され、再調製された濃縮培地ストックから調製された適切な濃度(例えば、1x)の、予め加熱された(またはされていない)培養培地(例えば、BPW、乳糖ブイヨン培地、mTSB、ハーフフレーザー、bLEB)の対応する量を添加することによりシステムによって希釈される(例えば、1/10、1/4、1/6、1/20)。希釈された食品試料は、次いで当業者に公知の標準的な手順に従って処理される。ろ過水を加熱することにより得られたプレ加温培地は、いくつかの適用においてもまた必要とされる(例えば、サルモネラ菌の迅速検出)。
【0040】
ダブルストレングスの培養培地を分配することによる、水質試験についての適用3:システムは、増菌の前に水試料の初期希釈のために使用される。水試料は、例えば、サルモネラ菌(ISO19250:2010)について記載されるように、システムによって分配された50mlの1x濃縮培養培地に希釈されるか(試料<10ml)、またはシステムによって分配された2x培養培地を用いて1/2に希釈されるか(試料>10ml)いずれかである。希釈された試料は、次いで、当業者に公知の標準的な手順に従い、処理される。いくつかの液体食品試料の試験は、ダブルストレングス培養培地において希釈が必要となってもよい。
【0041】
環境モニタリングのための培養培地の固定量を分配することについての適用4:システムは、試料バッグまたは相当するものの中の滅菌ろ過水で希釈され、再調製された濃縮培地ストックから1x濃縮培養培地(例えば、100ml)を分配するために使用される。試験のスワブまたはスポンジは、次いでバッグの中に置かれ、インキュベートされる。
【0042】
USP71および相当するヨーロッパならびに日本の薬局方に従った培養培地の直接的な播種による医薬品無菌試験についての適用5:システムは、(溶解を促進するために予め加熱された)滅菌ろ過水を用いて滅菌培地(例えば、TSBまたはFTM)の濃縮ストックを再調製すること、および希釈することにより、個別の滅菌容器に滅菌培養培地を無菌的に充填するために使用される。試料(例えば、ろ過性の液体、抗菌液、溶解可能な固体、油および油性溶液、軟膏およびクリーム、プレフィルドシリンジ、注入のための固体、滅菌エアロゾル製品、滅菌標識された通路を有するデバイス)のろ過後に、フィルターは培地でプレ充填された1つの容器内に無菌的に置かれ、容器は推奨されている温度で推奨されている期間中(例えば、FTMについて32.5℃+/-2.5で14dおよびTSBについて22.5℃+/-2.5で14d)インキュベートされる。
【0043】
USP71および相当するヨーロッパならびに日本の薬局方に従った医薬品無菌試験についての適用6:システムは、(溶解を促進するために予め加熱された)滅菌ろ過水を用いて滅菌培地(例えば、TSBまたはFTM)の濃縮ストックを再調製すること、および希釈することにより、滅菌培養培地を個別の滅菌容器に無菌的に充填するために使用される。
非ろ過性試料(例えば、カットグット、外科用縫合糸、固体、精製綿、ガーゼ、外科用包帯、滅菌装置、油性液体、必要に応じて、希釈および中和後の軟膏およびクリーム)、フィルターは無菌的に培地でプレ充填された1つの容器内に無菌的に置かれ、容器は推奨されている温度で推奨されている期間中(例えば、FTMについて32.5℃+/-2.5で14dおよびTSBについて22.5℃+/-2.5で14d)インキュベートされる。大量の希釈された試料が分析されるべき場合に、システムにより分配された培養培地の濃度は、1x、またはより高い濃度であり得る。
【0044】
顧客が培地に特定の滅菌化学物質を補足することを望む場合の、適用1~6において前に記載されたものと同じ適用についての適用7。滅菌溶液は、セプタムを通って無菌的にバッグ内に注入される。あるいは、バッグまたは同様の容器中の、滅菌溶液は、滅菌チュービングを通ってバッグへと無菌的に接続され得る。
食品病原菌試験のための選択培地について、補足物はより選択性を提供する抗生物質または化学物質であり得る(例えば、ISO16654に従ったSTEC検出のためのノボビオシンを補足されたmTSB、下痢原性大腸菌検出のためのBAM4Aに従ったピルビン酸を補足されたmBPW)。
補足物は、試料中の抗微生物剤を中和する、医薬品無菌試験または化粧品用試験のための中和物であり得る。
【0045】
適用8:培地が再調製されるべき粉末ではなく濃縮液体溶液として提供されている場合の、適用1~6において前に記載されたものと同じ適用。
【0046】
適用9:培養培地が、沈殿の形成を減らすための連続的な再調製を必要とする場合の、適用1~6において前に記載されたものと同じ適用。
【0047】
適用10:培養培地が、高い流速(例えば、2L/min以上)で運ばれる必要がある場合の、適用1~6において前に記載されたものと同じ適用。システムは、培養培地を調製し、バッファーバッグに送り込むために使用される。バッファーバッグは、システムの流速よりも大きな流速で試験容器中に培養培地を分配するための追加の分配ポンプチュービング(例えば、蠕動ポンプまたは重量式希釈器)に接続されている。バッファーバッグは、システムにより連続的に再充填されている。このことが、とりわけ大きな試料バッチを最小時間で処理すること(例えば、375gの試料を3.375L中に希釈する)において、より高いスループットを可能にする。
【0048】
参照番号のリスト
システム 10
チュービング装置 40
チュービング装置の入口ポート 41
ワンウェイバルブ 48
ろ過装置 44
換気ベント 46
多方向コネクタ 50
圧縮スリーブ 51
チュービング装置の放出ポート 52
容器 54
多方向コネクタ 60
通路 61(a~c)
ブレイカブルルアー 62(a~c)
出口コネクタ 63(a~c)
圧縮スリーブ 65(a~c)
保護キャップ 66
器具 80
器具の入口ポート 81
流体ポンプ 82
加熱器 84
培地ポンプ 86
器具の出口ポート 87
アクチュエーター 90
バッファーリザーバー 100
移送ポンプ 101
バッファーリザーバーの入口ポート 103
バッファーリザーバーの出口ポート 104

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8