(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、印刷インキ及び印刷物
(51)【国際特許分類】
C08F 290/14 20060101AFI20230216BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20230216BHJP
C08G 18/67 20060101ALI20230216BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
C08F290/14
C09D11/101
C08G18/67 055
C08G18/42 030
(21)【出願番号】P 2018228142
(22)【出願日】2018-12-05
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】青木 崇倫
(72)【発明者】
【氏名】出口 義信
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-197436(JP,A)
【文献】特開2013-249438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F290
C08F299
C08G18
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール化合物(a1)、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a2)、及びポリイソシアネート化合物(a3)を必須の反応原料とするウレタン樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
前記ポリオール化合物(a1)が、一分子中に水酸基を平均2.5個以上有であるポリエステルポリオールを含むものであり、
前記ポリエステルポリオールが、反応原料としてエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びヘキサヒドロフタル酸無水物を少なくとも含有し、
前記ウレタン樹脂(A)の相対重量平均分子量(Mw
2)が、25,000~100,000の範囲であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリエステルポリオールが、
さらなる反応原料としてカルボキシル基を少なくとも3つ有する多価カルボン酸、及び/または水酸基を少なくとも3つ有する多価アルコールを含有するものである請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリエステルポリオールの酸価が、1~10mgKOH/gの範囲である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a2)が、水酸基を少なくとも2つ有するものである請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリイソシアネート化合物(a3)が、イソシアネート基を少なくとも3つ有するものである請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記ウレタン樹脂(A)の分岐度aが、0.01~0.27の範囲である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記ポリオール化合物(a1)が有する水酸基のモル数{OH(a1)}と、前記(メタ)アクリレート化合物(a2)が有する水酸基のモル数{OH(a2)}とのモル比[{OH(a2)}/{OH(a1)}]が、0.1~0.5の範囲である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記ポリオール化合物(a1)と、前記ポリイソシアネート化合物(a3)の質量割合[(a3)/(a1)]が、0.1~15の範囲である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とする印刷インキ。
【請求項10】
基材上に請求項9記載の印刷インキの硬化物を有することを特徴とする印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、印刷インキ及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化性印刷インキのバインダー樹脂には、従来からジアリルフタレート樹脂が広く利用されているが、近年、当該ジアリルフタレート樹脂の原料であるジアリルフタレートの毒性が指摘され、これに代わる毒性懸念のない樹脂材料の開発が求められている。
【0003】
ジアリルフタレート樹脂以外の活性エネルギー線硬化性印刷インキ用バインダー樹脂としては、例えば、多官能イソシアネート化合物と2-ヒドロキシエチルアクリレートとを、イソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、次いで、得られた反応生成物の残存イソシアネート基に対して酸ジオール及びポリオールを反応させて得られるウレタンアクリレート樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このようなウレタンアクリレート樹脂は、皮膚刺激性の高い2-ヒドロキシエチルアクリレートが樹脂中に残存することがなく、印刷インキを取り扱う上での安全性や衛生面に優れるものの、耐ミスチング性、耐紙剥け性等の諸性能が十分なものではなかった。
【0004】
そこで、耐ミスチング性及び耐紙剥け性に優れた材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、耐ミスチング性及び耐紙剥け性に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、これを含有する活性エネルギー線硬化性印刷インキ、及び前記印刷インキを用いて印刷された印刷物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定のポリオール化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、及びポリイソシアネート化合物を必須の反応原料とするウレタン樹脂と、光重合開始剤とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリオール化合物(a1)、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a2)、及びポリイソシアネート化合物(a3)を必須の反応原料とするウレタン樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、前記ポリオール化合物(a1)が、一分子中に水酸基を平均2.5個以上有するポリエステルポリオールを含むものであり、前記ウレタン樹脂(A)の相対重量平均分子量(Mw2)が、25,000~100,000の範囲であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、これを含有する活性エネルギー線硬化性印刷インキ、及び前記印刷インキを用いて印刷された印刷物に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、優れた耐ミスチング性及び耐紙剥け性を有する印刷インキを形成可能なことから、活性エネルギー線硬化性印刷インキ等に好適に用いることができる。なお、本発明における「耐ミスチング性」とは、高速で回転する印刷機のローラーのせん断作用によりインキが微小な粒子・液滴となって飛散する現象(ミスチング)を抑制する性能をいう。また、「耐紙剥け性」とは、印刷の際に、インキの粘着性によって、紙の表面層が剥ける現象(紙剥け)を抑制する性能をいう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ウレタン樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有することを特徴とする。
【0011】
前記ウレタン樹脂(A)としては、ポリオール化合物(a1)、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a2)及びポリイソシアネート化合物(a3)を必須の反応原料とするものを用いる。
【0012】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/またはメタクリロイルを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/またはメタクリルを意味する。
【0013】
前記ポリオール化合物(a1)としては、一分子中に水酸基を平均2.5個以上有するポリエステルポリオールを必須として用いる。
【0014】
前記一分子中に水酸基を平均2.5個以上有するポリエステルポリオールとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合反応することにより得られるものが挙げられる。この際、カルボキシル基を少なくとも3つ有する多価カルボン酸、または水酸基を少なくとも3つ有する多価アルコールのいずれか一方または両方を必須として用いる。なお、本発明において、前記水酸基の平均官能基数は、下記の式により算出されるものである。
【0015】
平均官能基数=[(末端基当量)/{ポリエステルポリオールの数平均分子量(Mn)}]
末端基当量=56100/[{ポリエステルポリオールの水酸基価}+{ポリエステルポリオールの酸価}]
【0016】
なお、本発明において、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値である。また、本発明において、水酸基価及び酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法に基づいて測定される値である。
【0017】
前記多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸等のカルボキシル基を2つ有する化合物;オキサロコハク酸、アコニット酸、クエン酸、プロパントリカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、ノルボルナントリカルボン酸、トリメリット酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、ノルボルナントリカルボン酸無水物、無水トリメリット酸等のカルボキシル基を3つ有する化合物;ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸無水物等のカルボキシル基を4つ有する化合物などが挙げられる。これらの多価カルボン酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0018】
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、1,2-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、ダイマージオール等の水酸基を2つ有する化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン等の水酸基を3つ有する化合物;ペンタエリスリトール等の水酸基を4つ有する化合物などが挙げられる。これらの多価アルコールは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0019】
前記ポリエステルポリオールの製造方法としては、例えば、前記多価カルボン酸と、前記多価アルコールとを180℃~270℃で、常圧また減圧条件下にて、重縮合反応させる方法等が挙げられる。
【0020】
前記ポリエステルポリオールの酸価は、優れた耐ミスチング性及び耐紙剥け性を有する印刷インキを形成可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、1~10mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0021】
前記ポリオール化合物(a1)としては、必要に応じて、前記ポリエステルポリオール以外のその他のポリオール化合物を用いることもできる。
【0022】
前記その他のポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、1,2-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、ダイマージオール等が挙げられる。また、前記グリコール等の重合開始剤の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のアルキレンオキシドを付加重合したポリエーテルポリオールなども用いることができる。
【0023】
前記水酸基(メタ)アクリレート化合物(a2)としては、水酸基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート化合物をいう。
【0024】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a2)としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルメトキシ(メタ)アクリレート、2-エチルエトキシ(メタ)アクリレート、2-エチルブトキシ(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、(2ーメチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエチレンオキサイドモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリプロピレンオキサイドモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を1つ有する(メタ)アクリレート化合物;
【0025】
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエチレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエチレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリプロピレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の水酸基を2つ有する(メタ)アクリレート化合物;
【0026】
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基を3つ有する(メタ)アクリレート化合物;
【0027】
ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の水酸基を4つ有する(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基を5つ有する(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。これらの水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れた耐ミスチング性及び耐紙剥け性を有する印刷インキを形成可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、水酸基を少なくとも2つ有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0028】
前記ポリオール化合物(a1)が有する水酸基のモル数{OH(a1)}と、前記(メタ)アクリレート化合物(a2)が有する水酸基のモル数{OH(a2)}とのモル比[{OH(a2)}/{OH(a1)}]は、優れた耐ミスチング性及び耐紙剥け性を有する印刷インキを形成可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、0.1~0.5の範囲が好ましい。
【0029】
前記ポリイソシアネート化合物(a3)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式構造を有するポリイソシアネート;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物のヌレート変性体や、アダクト変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等を用いることもできる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。これらの中でも、優れた耐ミスチング性及び耐紙剥け性を有する印刷インキを形成可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、イソシアネート基を少なくとも3つ有するものが好ましく、具体的には、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが好ましい。
【0030】
前記ポリオール化合物(a1)と、前記ポリイソシアネート化合物(a3)の質量割合[(a3)/(a1)]は、優れた耐ミスチング性及び耐紙剥け性を有する印刷インキを形成可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、0.1~15の範囲が好ましい。
【0031】
前記ウレタン樹脂(A)の製造方法は、特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、ポリオール化合物(a1)と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a2)を先に混合し、次いで、ポリイソシアネート化合物(a3)を添加して反応する方法が好ましい。該反応は、例えば、ポリオール化合物(a1)と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a2)を混合し、50~90℃の温度範囲で、ポリイソシアネート化合物(a3)を発熱に注意しながら滴下し反応させる方法等により行うことができる。
【0032】
前記ウレタン樹脂(A)の分岐度aは、優れた耐ミスチング性及び耐紙剥け性を有する印刷インキを形成可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、0.01~0.27の範囲が好ましく、0.20~0.25の範囲がより好ましい。なお、本発明における分岐度aは、下記式(1)で表されるMark-Houwink-Sakurada式より算出される値である。ここで、分岐度aは、値が小さいほど高分子が分岐していることを示す。
【0033】
【0034】
[η]:高分子の固有粘度
K:高分子の密度
Mw1:高分子の絶対重量平均分子量
a:高分子鎖の分岐度
【0035】
なお、本発明において、固有粘度[η]は、下記の条件おけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に取り付けた粘度検出器により測定される値であり、絶対重量平均分子量(Mw1)は、下記の条件におけるGPCに取り付けた光散乱検出器により測定される値である。
【0036】
測定装置 ; 株式会社島津製作所社製 LC-10ADvp
カラム ; 東ソー株式会社製 ガードカラムHXL-H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
+RALS(90℃光散乱検出器)
+VISCO(粘度検出器)
データ処理; LabSolutions
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準物質 ; ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したものを100、300、500μlずつ注入した。
【0037】
なお、本発明において、分岐度a、及び密度Kは、具体的には、前記式(1)の両辺の対数をとった式(2):log([η])=log(K)+a・log(Mw1)を用いて、前記ウレタン樹脂(A)のlog([η])を縦軸に、前記ウレタン樹脂(A)のlog(Mw1)を横軸にプロットし、前記式(2)を最小二乗法によりフィッティングすることで算出することができる。
【0038】
前記ウレタン樹脂(A)の相対重量平均分子量(Mw2)は、優れた耐ミスチング性及び耐紙剥け性を有する印刷インキを形成可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、25,000~100,000の範囲であり、55,000~70,000の範囲が好ましい。なお、本発明における相対重量平均分子量(Mw2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記の条件により測定される値である。
【0039】
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC-8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL-H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC-8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0040】
前記光重合開始剤(B)としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等が挙げられる。
【0041】
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad-1173」、「Omnirad-184」、「Omnirad-127」、「Omnirad-2959」、「Omnirad-369」、「Omnirad-379」、「Omnirad-907」、「Omnirad-4265」、「Omnirad-1000」、「Omnirad-651」、「Omnirad-TPO」、「Omnirad-819」、「Omnirad-2022」、「Omnirad-2100」、「Omnirad-754」、「Omnirad-784」、「Omnirad-500」、「Omnirad-81」(IGM社製)、「カヤキュア-DETX」、「カヤキュア-MBP」、「カヤキュア-DMBI」、「カヤキュア-EPA」、「カヤキュア-OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア-10」、「バイキュア-55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア-PDO」、「クオンタキュア-ITX」、「クオンタキュア-EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure-1104」(Runtec社製)等が挙げられる。
【0042】
前記光重合開始剤(B)の使用量は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に、1~20質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0043】
また、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することもできる。
【0044】
前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物、o-トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s-ベンジルイソチウロニウム-p-トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
【0045】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、有機ビーズ、無機微粒子、有機フィラー、無機フィラー、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、着色剤等の各種添加剤を含有することもできる。
【0046】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0047】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0048】
前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン、P-メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ニトロソアミン塩等が挙げられる。
【0049】
前記シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体等のアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。これらのシリコン系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0050】
前記フッ素系添加剤としては、例えば、DIC株式会社製「メガフェース」シリーズ等が挙げられる。これらのフッ素系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0051】
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン等のビニル系のシランカップリング剤;
【0052】
ジエトキシ(グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系のシランカップリング剤;
【0053】
p-スチリルトリメトキシシラン等のスチレン系のシランカップリング剤;
【0054】
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ系のシランカップリング剤;
【0055】
N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1、3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、特殊アミノシラン等のアミノ系のシランカップリング剤;
【0056】
3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド系のシランカップリング剤;
【0057】
3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピル系のシランカップリング剤;
【0058】
3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキンシラン等のメルカプト系のシランカップリング剤;
【0059】
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系のシランカップリング剤;
【0060】
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系のシランカップリング剤;
【0061】
アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアリル系のシランカップリング剤などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0062】
前記リン酸エステル化合物としては、例えば、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられ、市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-2」、「カヤマーPM-21」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-1M」「ライトエステルP-2M」、「ライトアクリレートP-1A(N)」、SOLVAY社製「SIPOMER PAM 100」、「SIPOMER PAM 200」、「SIPOMER PAM 300」、「SIPOMER PAM 4000」、大阪有機化学工業社製「ビスコート#3PA」、「ビスコート#3PMA」、第一工業製薬社製「ニューフロンティア S-23A」;分子構造中にアリルエーテル基を有するリン酸エステル化合物であるSOLVAY社製「SIPOMER PAM 5000」等が挙げられる。
【0063】
前記有機ビーズとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ-ズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。これらの有機ビーズは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら有機ビーズの平均粒径は、1~10μmの範囲であることが好ましい。
【0064】
前記無機微粒子は、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン等の微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら無機微粒子の平均粒径は、95~250nmの範囲であることが好ましく、特に100~180nmの範囲であることがより好ましい。
【0065】
前記無機微粒子を含有する場合には、分散補助剤を用いることができる。前記分散補助剤としては、例えば、イソプロピルアシッドホスフェート、トリイソデシルホスファイト、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタクリレート等のリン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの分散補助剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記分散補助剤の市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-21」、「カヤマーPM-2」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-2M」等が挙げられる。
【0066】
前記有機フィラーとしては、例えば、セルロース、リグニン、及びセルロースナノファイバー等の植物由来の溶剤不溶性物質等が挙げられる。
【0067】
前記無機フィラーとしては、例えば、ガラス(粒子)、シリカ(粒子)、アルミナシリケート、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
【0068】
前記レオロジーコントロール剤としては、例えば、楠本化成株式会社製「ディスパロン6900」等のアマイド・ワックス類;ビッグ・ケミー社製「BYK410」等の尿素系レオロジーコントロール剤類;楠本化成株式会社製「ディスパロン4200」等のポリエチレン・ワックス;イーストマン・ケミカル・プロダクツ社製「CAB-381-2」、「CAB 32101」等のセルロース・アセテート・ブチレートなどが挙げられる。
【0069】
前記脱泡剤としては、例えば、フッ素或いは、硅素原子を含んだオリゴマー、または高級脂肪酸、アクリル重合体等のオリゴマー等が挙げられる。
【0070】
前記着色剤としては、例えば、顔料、染料等が挙げられる。
【0071】
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0072】
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。
【0073】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0074】
前記染料としては、例えば、モノアゾ・ジスアゾ等のアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリアリルメタン系染料等が挙げられる。これらの染料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0075】
本発明の活性エネルギー線硬化性印刷インキは、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有するものであればその配合組成等は特に限定されず、目的の印刷用途や性能等に応じて適宜配合物や配合割合を調整することができる。また、その製造方法は、例えば、各成分の配合物をミキサー等で撹拌混合し、三本ロールミル、ビーズミル等の分散機を用いて練肉する方法が挙げられる。
【0076】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び本発明の活性エネルギー線硬化性印刷インキは、基材に印刷後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。
【0077】
前記基材としては、例えば、金属基材、プラスチック基材、ガラス基材、紙基材、木材基材、繊維質基材等が挙げられる。これらの基材の中でも、紙基材が好ましい。
【0078】
前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射しても良い。
【0079】
前記紫外線の発生源としては、実用性、及び経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
【0080】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性印刷インキの印刷方法としては、例えば、平版オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等が挙げられる。
【0081】
本発明の印刷物としては、前記各種基材上に、前記活性エネルギー線硬化性印刷インキの硬化物を有するものであり、例えば、カタログ、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレットや、化粧品、飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージなどが挙げられる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
【0083】
なお、本実施例において、相対重量平均分子量(Mw2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
【0084】
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC-8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL-H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC-8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0085】
(合成例1:ポリエステルポリオール(1)の合成)
攪拌機、温度計、ガス導入管、コンデンサーを具備した4つ口フラスコに、エチレングリコール12.8質量部、ネオペンチルグリコール21.6質量部、トリメチロールプロパン5質量部、イソフタル酸30.6質量部、ヘキサヒドロフタル酸無水物30質量部を仕込み、240℃まで昇温した。次いで、脱水しながら、240℃で、11時間反応を行い、酸価が10mgKOH/g以下であることを確認した後、降温して取り出しポリエステルポリオール(1)を得た。このポリエステルポリオール(1)が有する水酸基数は、平均4.2であった。
【0086】
(合成例2:ポリエステルポリオール(2)の合成)
攪拌機、温度計、ガス導入管、コンデンサーを具備した4つ口フラスコに、エチレングリコール12.8質量部、ネオペンチルグリコール21.6質量部、フタル酸30.6質量部、ヘキサヒドロフタル酸無水物30質量部、グリセリン5質量部を仕込み、240℃まで昇温した。次いで、脱水しながら、240℃で、11時間反応を行い、酸価が10mgKOH/g以下であることを確認した後、降温して取り出しポリエステルポリオール(2)を得た。このポリエステルポリオール(2)が有する水酸基数は、平均5.0であった。
【0087】
(合成例3:ポリエステルポリオール(3)の合成)
攪拌機、温度計、ガス導入管、コンデンサーを具備した4つ口フラスコに、エチレングリコール12.8質量部、ネオペンチルグリコール21.6質量部、フタル酸30.6質量部、ヘキサヒドロフタル酸無水物30質量部、トリメリット酸35.6質量部を仕込み、240℃まで昇温した。次いで、脱水しながら、240℃で、11時間反応を行い、酸価が10mgKOH/g以下であることを確認した後、降温して取り出しポリエステルポリオール(3)を得た。このポリエステルポリオール(3)が有する水酸基数は、平均9.2であった。
【0088】
(合成例4:ポリエステルポリオール(4)の合成)
攪拌機、温度計、ガス導入管、コンデンサーを具備した4つ口フラスコに、エチレングリコール12.8質量部、ネオペンチルグリコール21.6質量部、トリメチロールプロパン5質量部、イソフタル酸20.6質量部、テレフタル酸10質量部、ヘキサヒドロフタル酸無水物30質量部を仕込み、240℃まで昇温した。次いで、脱水しながら、240℃で、11時間反応を行い、酸価が10mgKOH/g以下であることを確認した後、降温して取り出しポリエステルポリオール(4)を得た。このポリエステルポリオール(4)が有する水酸基数は、平均4.8であった。
【0089】
(製造例1:ウレタン樹脂(A-1)の製造)
攪拌機、冷却管、温度計を具備した1L4つ口フラスコに、合成例1で得られたポリエステルポリオール(1)100質量部、ペンタエリスリトールアクリレート付加混合物(KPX社製「KOMERATE-T001」、水酸基価150mgKOH/g)5.6質量部、反応性希釈剤としてエチレンオキシド変性トリメチロールプロパンアクリレート78.1質量部を仕込んだ。前述の仕込み全量に対して、300ppmのメトキノンと、3000ppmのジブチルヒドロキシトルエン、200ppmのジブチル錫を添加し、50℃まで昇温した。次いで、50℃にて、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート11.5質量部を撹拌しながら添加し、反応熱によりそのまま90℃まで昇温し、4時間反応させた。NCO%が0.05以下であることを確認した後、取り出しウレタン樹脂(A-1)得た。
【0090】
(製造例2~17:ウレタン樹脂(A-2)~(A-17)の製造)
下記表1及び2に示す配合に従って各成分を配合し、製造例1と同様にしてウレタン樹脂(A-2)~(A-17)を得た。
【0091】
【0092】
【0093】
表1及び2中の「反応性希釈剤」は、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパンアクリレートを示す。
【0094】
(比較製造例1:ウレタン樹脂(A-18)の製造)
攪拌機、冷却管、温度計を具備した1L4つ口フラスコに、合成例1で得られたポリエステルポリオール(1)100質量部、ペンタエリスリトールアクリレート付加物(1~4付加物)28質量部、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパンアクリレート93質量部を仕込んだ。前述の仕込み全量に対して、300ppmのメトキノンと、3000ppmのジブチルヒドロキシトルエン、200ppmのジブチル錫を添加し、50℃まで昇温した。50℃にて、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート11.5質量部を撹拌しながら添加し、反応熱によりそのまま90℃まで昇温した。4時間反応させ、NCO%が0.05以下であることを確認した後、取り出しウレタン樹脂(A-18)得た。
【0095】
(比較製造例2~9:ウレタン樹脂(A-19)~(A-24)の製造)
下記表3に示す配合に従って各成分を配合し、比較製造例1と同様にしてウレタン樹脂(A-19)~(A-24)を得た。
【0096】
【0097】
表3中の「反応性希釈剤」は、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパンアクリレートを示す。
【0098】
表3中の「-」は、ゲル化し、測定できなかったものを示す。
【0099】
(実施例1:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)の調製)
製造例1で得たウレタン樹脂(A-1)を反応性希釈剤(MIWON社製「MIRAMER-M3130」)で25℃における粘度が100Pa・sになるまで希釈し、この混合物100質量部に光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 184」)5質量部を溶かし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)を得た。なお、本発明における粘度は、E型粘度計を用いて測定した値である。
【0100】
(実施例2~17:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)~(17)の調製)
実施例1で用いたウレタン樹脂(1)の代わりに、製造例2~17で得たウレタン樹脂(A-2)~(A-17)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)~(17)を得た。
【0101】
(比較例1:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(C1)の調製)
比較製造例1で得たウレタン樹脂(A-18)を反応性希釈剤(MIWON社製「MIRAMER-M3130」)で25℃における粘度が100Pa・sになるまで希釈し、この混合物100質量部に光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 184」)5質量部を溶かし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(C1)を得た。
【0102】
(比較例2~7:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(C2)~(C7)の調製)
比較例1で用いたウレタン樹脂(A-18)の代わりに、比較製造例2~7で得たウレタン樹脂(A-18)~(A-24)をそれぞれ用いた以外は、比較例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(C2)~(C7)を得た。
【0103】
(比較例8:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(C8)の調製)
比較例1で用いたウレタン樹脂(A-18)の代わりに、ノンフタレート型アリル樹脂(C-1)(株式会社大阪ソーダ製「RADPAR-AD044」)を用いた以外は、比較例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(C8)を得た。
【0104】
(比較例9:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(C9)の調製)
比較例1で用いたウレタン樹脂(A-18)の代わりに、ジアリルフタレート樹脂(D-1)(株式会社大阪ソーダ製「ダイソーダップA」)を用いた以外は、比較例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(C9)を得た。
【0105】
上記の実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)~(17)及び(C1)~(C9)を用いて、下記の評価を行った。
【0106】
[耐ミスチング性の評価方法]
耐ミスチング性の評価は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率G’及びtanδの測定により行い、表4の評価基準に従い評価した。
【0107】
<貯蔵弾性率G’及びtanδの測定方法>
貯蔵弾性率G’及びtanδは、レオメーターを用い、下記の条件により測定し、周波数10Hzの値を採用した。
測定装置 ; Thermo Scientific社製「HAAKE Rheo Stress 600」
ローター ; チタン製PP35 プレート幅35mm
測定条件 ; 測定温度 25℃
測定周波数 1~100Hz
【0108】
【0109】
[耐紙剥け性の評価方法]
耐紙剥け性の評価は、耐ミスチング性活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率G’及びtanδの測定により行い、上記表4の評価基準に従い評価した。
【0110】
<貯蔵弾性率G’及びtanδの測定方法>
貯蔵弾性率G’及びtanδは、レオメーターを用い、下記の条件により測定し、周波数10Hzの値を採用した。
測定装置 ; Thermo Scientific社製「HAAKE Rheo Stress 600」
ローター ; チタン製PP35 プレート幅35mm
測定条件 ; 測定温度 25℃
測定周波数 1~100Hz
【0111】
実施例1~17及び比較例1~9で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)~(17)及び(C1)~(C9)の組成及び評価結果を表5~7に示す。
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
表7中の「-」は、ゲル化し、測定及び評価できなかったものを示す。