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特許7228719充放電制御回路、充放電制御方法及び電池装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】充放電制御回路、充放電制御方法及び電池装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230216BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20230216BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230216BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
H02J7/00 302D
H02H7/18
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021572626
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(86)【国際出願番号】 JP2021001725
(87)【国際公開番号】W WO2022157836
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2021-12-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 アメリカ合衆国、19341、ペンシルベニア州、エクストン、イーグルビュー・ブルーバード、300番、スイー200リコー・ユーエスエー・インコーポレイテッド内に居所を有する鹿嶋祐樹は、2020年1月21日に、アマゾ・ラブ126のトートリエロ・アンドレアほか17名に対して、発明の名称「充放電制御回路、充放電制御方法及び電池装置」に係る、件名「RE:AMZ - リコーR5448Zの明細書とスケジュールの調整」を有する別紙電子メール本文に、別紙の2個のPDFデータA,B([RICOH]R5448Z_Specificationn Change Notification.pdf、および(E)R5448Z501AHE2-F_Preliminary(20200120).pdf)を添付して、電気通信回線を通じて電子メールの送信を行った。なお、国際出願の願書の「不利にならない開示又は新規性喪失の例外に関する申立て」において、開示の日付を「2020年1月19日」と記載しましたが、これは誤記であって、正しくは、前記の通り「2020年1月21日」であり、これについて別紙証明書において宣誓して証明いたします。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 アメリカ合衆国、19341、ペンシルベニア州、エクストン、イーグルビュー・ブルーバード、300番、スイート 200 リコー・ユーエスエー・インコーポレイテッド内に居所を有する鹿嶋祐樹は、2020年1月21日に、アマゾン・ラブ126のトートリエロ・アンドレアほか17名に対して、発明の名称「充放電制御回路、充放電制御方法及び電池装置」に係る、件名「RE:AMZ - リコーR5448Zの明細書とスケジュールの調整」を有する別紙電子メール本文に、別紙の2個のPDFデータA,B([RICOH]R5448Z_Specificationn Change Notification.pdf、および(E)R5448Z501AHE2-F_Preliminary(20200120).pdf)を添付して、電気通信回線を通じて電子メールの送信を行った。なお、国際出願の願書の「不利にならない開示又は新規性喪失の例外に関する申立て」において、開示の日付を「2020年1月19日」と記載しましたが、これは誤記であって、正しくは、前記の通り「2020年1月21日」であり、これについて別紙証明書において宣誓して証明いたします。以上
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】吉川 貴康
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106748(JP,A)
【文献】特開2010-124640(JP,A)
【文献】特開2019-075861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/18
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電源端子と負極電源端子との間に接続される二次電池の充放電を、前記二次電池と負荷又は充電器との間に接続される放電制御スイッチ素子及び充電制御スイッチ素子を用いて制御する充放電制御回路であって、
前記充電器に接続される外部負極端子の電圧に基づいて、充電器接続検出信号を発生する充電器接続検出回路と、
前記外部負極端子の電圧に基づいて、前記外部負極端子の電圧のプルアップを検出して、プルアップ検出信号を発生するプルアップ検出回路とを備え、
前記充放電制御回路は、前記放電制御スイッチ素子をオフした後、前記プルアップ検出信号を受信するまでは、前記充電器接続検出信号を受信しないように制御され、前記プルアップ検出信号を受信しかつ前記充電器接続検出信号を受信した後に、前記放電制御スイッチ素子をオンすることを特徴とする充放電制御回路。
【請求項5】
前記充放電制御回路は、
前記外部負極端子の電圧を所定の第3の閾値電圧と比較することで、前記充電器による充電開始を検出して、充電開始検出信号を発生する充電開始検出回路をさらに備え、
前記充放電制御回路は、前記放電制御スイッチ素子をオフした後、前記充電開始検出信号を受信したとき、前記プルアップ検出信号及び前記充電器接続検出信号にかかわらず、前記放電制御スイッチ素子をオンすることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか1つに記載の充放電制御回路。
【請求項6】
請求項1~5のうちのいずれか1つに記載の充放電制御回路と、
前記二次電池と、
前記放電制御スイッチ素子と、
前記充電制御スイッチ素子と、
を備えることを特徴とする電池装置。
【請求項7】
正極電源端子と負極電源端子との間に接続される二次電池の充放電を、前記二次電池と負荷又は充電器との間に接続される放電制御スイッチ素子及び充電制御スイッチ素子を用いて制御する充放電制御回路により実行される充放電制御方法であって、
充電器接続検出回路が、前記充電器に接続される外部負極端子の電圧に基づいて、充電器接続検出信号を発生するステップと、
プルアップ検出回路が、前記外部負極端子の電圧に基づいて、前記外部負極端子の電圧のプルアップを検出して、プルアップ検出信号を発生するステップと、
前記充放電制御回路が、前記放電制御スイッチ素子をオフした後、前記プルアップ検出信号を受信するまでは、前記充電器接続検出信号を受信しないように制御するステップと、
前記充放電制御回路が、前記プルアップ検出信号を受信しかつ前記充電器接続検出信号を受信した後に、前記放電制御スイッチ素子をオンするステップとを含むことを特徴とする充放電制御方法。
【請求項8】
正極電源端子と負極電源端子との間に接続される二次電池の充放電を、前記二次電池と負荷又は充電器との間に接続される放電制御スイッチ素子及び充電制御スイッチ素子を用いて制御する充放電制御回路であって、
前記充電器に接続される外部正極端子の電圧に基づいて、充電器接続検出信号を発生する充電器接続検出回路と、
前記外部正極端子の電圧に基づいて、前記外部正極端子の電圧のプルダウンを検出して、プルダウン検出信号を発生するプルダウン検出回路とを備え、
前記充放電制御回路は、前記放電制御スイッチ素子をオフした後、前記プルダウン検出信号を受信するまでは、前記充電器接続検出信号を受信しないように制御され、前記プルダウン検出信号を受信しかつ前記充電器接続検出信号を受信した後に、前記放電制御スイッチ素子をオンすることを特徴とする充放電制御回路。
【請求項9】
請求項8に記載の充放電制御回路と、
前記二次電池と、
前記放電制御スイッチ素子と、
前記充電制御スイッチ素子と、
を備えることを特徴とする電池装置。
【請求項10】
正極電源端子と負極電源端子との間に接続される二次電池の充放電を、前記二次電池と負荷又は充電器との間に接続される放電制御スイッチ素子及び充電制御スイッチ素子を用いて制御する充放電制御回路により実行される充放電制御方法であって、
充電器接続検出回路が、前記充電器に接続される外部正極端子の電圧に基づいて、充電器接続検出信号を発生するステップと、
プルダウン検出回路が、前記外部正極端子の電圧に基づいて、前記外部正極端子の電圧のプルダウンを検出して、プルダウン検出信号を発生するステップと、
前記充放電制御回路が、前記放電制御スイッチ素子をオフした後、前記プルダウン検出信号を受信するまでは、前記充電器接続検出信号を受信しないように制御するステップと、
前記充放電制御回路が、前記プルダウン検出信号を受信しかつ前記充電器接続検出信号を受信した後に、前記放電制御スイッチ素子をオンするステップとを含むことを特徴とする充放電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば二次電池などの電池の充放電を制御する充放電制御回路、充放電制御方法及び電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、二次電池の電池装置は、二次電池と、いわゆる保護回路と呼ばれる充放電制御回路と、二次電池の充放電に使用する外部正極端子と、外部負極端子とを備えて構成される。ここで、充放電制御回路は、二次電池の充放電を制御する充放電制御電界効果トランジスタ(以下、充放電制御FETという)と、二次電池の状態を監視して充放電制御FETのオンオフを切り替える信号を出力する充放電制御回路とを備えて構成される。電池装置の外部端子に接続される負荷及び充電器は、充放電制御回路を介して二次電池と接続される。
【0003】
充放電制御回路は、二次電池の負極と接続された負極電源端子の負極電源電圧VSSを基準として動作し、二次電池の正極と接続された正極電源端子の正極電源電圧VDDを監視して、二次電池の過充電や過放電を検出する機能を有する。充放電制御回路は、過充電を検出すると、充電制御信号をハイレベルからロウレベルに切り替えて、充電制御電界効果トランジスタ(以下、充電制御FETという)をオフすることで充電器から二次電池への充電を禁止する一方、過放電を検出すると、放電制御信号をハイレベルからロウレベルに切り替えて、放電制御電界効果トランジスタ(以下、放電制御FETという)をオフすることで二次電池から負荷への放電を禁止する。
【0004】
さらに、充放電制御回路は、外部負極端子と接続された外部負極入力端子の電圧(以下、外部負極入力電圧という)VMを監視して、電池装置に負荷又は充電器が接続されていることを検出でき、過放電を検出した状態から復帰するための条件として、充電器接続の検出を含むように構成されている。
【0005】
上記のような充放電制御回路による充放電禁止の制御機能は、過充電や過放電から二次電池を保護するために用いられるだけでなく、例えば電池装置の外部正極端子と外部負極端子との間に負荷となる部品が組付けられた状態の機器が、輸送中に負荷への放電を続けて、電池残量が消費され続けることを防ぐために、その機器の出荷前に、強制的に放電制御FETをオフの状態にして、電池消費を減少させるような使い方をすることがある。この状態を「強制スタンバイ」と呼ぶ。ここで、「強制スタンバイ」は、「強制パワーダウン」、「強制スリープ」、「シッピングモード」、「低消費モード」などと呼称されることもある。
【0006】
強制スタンバイで出荷された電池装置は、充電器が接続されると強制スタンバイから復帰して、二次電池から負荷への放電を可能とし、その機器を使用できるように構成されていることが既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-75861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の充放電制御回路には、強制スタンバイの利用に際して、以下の2つの課題1及び2があった。
【0009】
(課題1)電池電圧よりある程度低い電圧の充電器が接続されても充電器接続を検出できるように、外部負極電圧入力端子による充電器接続の検出電圧を所定値よりも高く設定すると、強制スタンバイ状態になった直後に充電器接続を誤検出するので、意図せず復帰する。
【0010】
(課題2)強制スタンバイ状態になった直後に充電器接続を誤検出しないよう、外部負極電圧入力端子による充電器接続検出の検出電圧を所定値よりも低く設定すると、電池電圧よりある程度低い電圧の充電器では充放電制御回路が充電器接続を検出することができず、強制スタンバイから復帰することができない。
【0011】
本発明の目的は以上の課題を解決し、電池装置の充放電制御回路が放電制御FETをオフしている状態において、所定値よりも低い電圧の充電器が接続された場合にも、充電器が接続されたことを確実に検出できる充放電制御回路、充放電制御方法、及び前記充放電制御回路を備えた電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る充放電制御回路は、
正極電源端子と負極電源端子との間に接続される二次電池の充放電を、前記二次電池と負荷又は充電器との間に接続される放電制御スイッチ素子及び充電制御スイッチ素子を用いて制御する充放電制御回路であって、
前記充電器に接続される外部負極端子の電圧に基づいて、充電器接続検出信号を発生する充電器接続検出回路と、
前記外部負極端子の電圧に基づいて、前記外部負極端子の電圧のプルアップを検出して、プルアップ検出信号を発生するプルアップ検出回路とを備え、
前記充放電制御回路は、前記放電制御スイッチ素子をオフした後、前記プルアップ検出信号を受信しかつ前記充電器接続検出信号を受信した後に、前記放電制御スイッチ素子をオンすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
従って、本発明に係る充放電制御回路によれば、電池装置の充放電制御回路が放電制御FETをオフしている状態において、所定値よりも低い電圧の充電器が接続された場合にも、充電器が接続されたことを安全かつ確実に識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る電池装置10の構成例を示すブロック図である。
図2A図1の過放電ラッチ回路112の制御処理を示すフローチャートである。
図2B】実施形態1の変形例に係る過放電ラッチ回路112の制御処理を示すフローチャートである。
図3図1の電池装置10の動作を示す各電圧のタイミングチャートである。
図4】従来技術に係る電池装置において過放電検出状態から意図せずに過放電ラッチが解除されて復帰してしまう課題1を説明するための各電圧のタイミングチャートである。
図5】従来技術に係る電池装置において過放電検出状態から過放電ラッチの解除に復帰できない課題2を説明するための各電圧のタイミングチャートである。
図6】実施形態2に係る電池装置10Aの構成例を示すブロック図である。
図7図6の過放電ラッチ回路112Aの制御処理を示すフローチャートである。
図8図6の電池装置10Aの動作を示す各電圧のタイミングチャートである。
図9】変形例1に係る電池装置の動作を示す各電圧のタイミングチャートである。
図10】変形例2に係る電池装置の動作を示す各電圧のタイミングチャートである。
図11】変形例3に係る電池装置10Bの構成例を示すブロック図である。
図12図11の強制スタンバイラッチ回路112Bの制御処理を示すフローチャートである。
図13】変形例4に係る電池装置10Cの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態及び変形例について図面を参照して説明する。なお、同一又は同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0016】
(発明者の知見)
「発明が解決しようとする課題」の欄において上述したように、従来の強制スタンバイの利用に際して2つの課題があることを説明した。
【0017】
特許文献1においては、充電器接続検出の閾値が高い場合に発生する誤復帰の課題1が、解決すべき課題として取り挙げられている。ここでは、強制スタンバイからの誤復帰が発生しないように、外部負極入力電圧VMがプルアップされるまで「長時間待つ必要がある」ことが、課題として開示されている。具体的には、電池装置に充電器が接続されておらず、負荷が接続されている状態において、充放電制御回路が放電制御FETをオフしたときに外部負極入力電圧VMは外部正極端子の電位にプルアップされていく。しかし、接続されている負荷の容量が比較的大きい場合には、外部負極電圧入力端子のプルアップに時間がかかり、数秒を要する場合もある。
【0018】
このように、外部負極電圧入力端子のプルアップによる電圧上昇に時間がかかる場合、充電器接続検出の閾値が所定値よりも高いと、プルアップの初期段階において、外部負極入力電圧VMが充電器接続検出の閾値よりも低いときに、実際には充電器が接続されていなくとも、充電器が接続されていると充放電制御回路が誤判定してしまう「充電器接続誤検出期間」が長くなってしまう。そうすると、充放電制御回路を外部から制御して強制的に放電制御FETをオフさせて強制スタンバイ状態にした直後に、充放電制御回路は充電器接続を誤検出して、意図せず強制スタンバイから復帰してしまうことになる。
【0019】
この誤復帰を避けるためには、外部負極電圧入力端子が充電器接続の検出電圧以上にプルアップされるまで、外部から充放電制御回路を制御している状態を維持し続ける必要があり、その状態を維持する時間は「充電器接続誤検出時間」に依存して長くなるため、出荷前工程時間の増加とそれに伴うコストアップに繋がってしまう。
【0020】
この課題を解決する目的で、特許文献1には、外部負極入力電圧VMが所定の設定電圧以上であるときに過放電検出状態をラッチするというアイデアが開示されている。本発明の実施形態とは確かに過放電検出直後の誤復帰を防ぐために、外部負極入力電圧VMを条件として使用する点では似ている点がある。しかし、上述の課題2である、電池電圧よりある程度低い電圧の充電器が接続された場合に強制スタンバイから復帰することができないという課題は解消できていない。
【0021】
そこで、本発明の実施形態1に係る充放電制御回路では、放電禁止状態に移行する条件が成立した直後に、まずは外部負極入力電圧VMに関わらず過放電禁止検出状態をラッチし、その後外部負極入力端子が負荷でプルアップされて一度所定の電圧を超えたことをプルアップ検出回路が検出すると、プルアップ状態をラッチする。充放電制御回路は、プルアップ状態がラッチされるまでは、充電器接続検出の機能を無効化する。これにより、外部負極電圧入力端子のプルアップがゆっくりと進行したとしても、所定の電圧以下の時に充放電制御回路は誤って充電器が接続されたと誤判定してしまうことがなくなる。従って、充電器接続検出の閾値を所定値よりも高い電圧に設定することができる。充電器接続検出の閾値を所定値よりも高い電圧に設定することで、電池電圧よりある程度低い電圧の充電器でも、正しく接続を判定することができる。
【0022】
以上の本発明に係る実施形態1の要旨をまとめると以下のようになる。
【0023】
放電禁止状態のラッチが解除され、放電制御FETをオンするためには、以下の条件Aを満たした後で、条件Bを満たす必要がある。
【0024】
(条件A)外部負極入力電圧VM>VMプルアップ検出閾値Vtp(例えば、Vtp=3V)
(条件B)外部負極入力電圧VM<充電器接続検出閾値Vtc(例えば、Vtc=2V)
【0025】
ここで、Vtc≦Vtpであり、例えばVMプルアップ検出閾値Vtpの3Vは、正極電源電圧VDDが4Vとして、当該正極電源電圧VDDから1Vだけ減算した値として定義される場合が考えられる。しかし、上記のアイデアだけを充放電制御回路に取り入れた場合、また別の課題3が発生してしまうケースがある。この課題3を解決するための実施形態2の条件Cに係る充電開始検出閾値電圧Vtsについても以下に述べる。
【0026】
充放電制御回路が放電制御FETをオフしてから、外部負極入力電圧VMが条件Aを満たす前に、充電器が外部正極端子及び外部負極端子に接続されるケースや、すでに充電器が接続されている状態で充放電制御回路が放電制御FETをオフするようなケースがある。
【0027】
充電器が接続されていると、外部負極入力端子はプルアップされず、仮に正極電源電圧VDDが4Vであり、充電器電圧が5Vであるときに、外部負極入力電圧VMは-1Vに固定されるので、条件Aを満たさない状態に固定され、充電器接続検出の機能は無効化されたままとなってしまう。この場合、充電器の電圧が電圧(VDD-Vtc)よりも大きくても、充放電制御回路は充電器接続を検出しないという課題が生じる。加えてこのとき、放電制御FETがオフ状態のまま、充電制御FETの寄生ダイオード経由で充電が行われてしまうことも課題である。例えば、寄生ダイオード経由で充電電流を流すと、充電制御FETがオン状態のときに比較して大幅に熱損失が大きい。例えば、数分~1時間等長時間寄生ダイオード経由の電流を流すとなると、熱損失に耐えられる充電制御FETは高価なので、このままでは電池装置のコストアップにつながってしまう。
【0028】
この課題3を解決するために、本発明に係る実施形態2では、充放電制御回路が外部負極入力電圧VMに基づいて、充電器電圧>電池電圧の関係を検出した場合には、条件Aを無視して、短時間で放電制御FETをオン状態に復帰させる。この検出の方法としては、充電器電圧>電池電圧となって放電制御FETがオフの状態で寄生ダイオード経由の充電電流が流れたとき、すなわち、充電を開始したとき、電池装置の外部負極端子電圧は二次電池の負極電圧よりも寄生ダイオードの順方向電圧Vf分だけ低くなる現象を利用する。
【0029】
この実施形態2に係る要旨は以下のようになる。
【0030】
上述の条件A,Bと併せて、条件Cを設定し、充電電流が検出されて充電を開始したときには条件Aが満たされていなくとも、充電器が接続されたと判定し、放電禁止状態のラッチを解除する。
【0031】
(条件C)外部負極入力電圧VM<充電開始検出閾値電圧Vts(例えば、Vts=0V又は-0.5V)
【0032】
以上の条件A及びB、もしくは条件A、B及びCを併せ持つ充放電制御回路を構成することで、本発明の実施形態1,2に係る以下の効果を得ることができる。
【0033】
本発明の実施形態1によれば、外部負極電圧入力端子のプルアップによる電圧上昇に時間がかかる場合でも誤復帰しない。さらに、充電器の電圧が低くても充電器接続を正しく判定できるので、充電器が接続されると放電制御FETを確実にオン状態にできる。従って、出荷前工程時間は短縮し、さらに、電池装置を搭載した機器において、強制スタンバイで出荷されたり、使用中に過放電状態や放電過電流検出状態となったりして、放電制御FETがオフ状態となった場合において、機器の利用を開始したいときに、充電器を接続することでその後確実かつ安全に機器の利用を開始できる。
【0034】
それ故、二次電池を過充電又は過放電などから保護する充放電制御回路において、充放電制御が放電制御信号をハイレベルからロウレベルに切り替えて放電を禁止した直後に、まずは放電禁止状態がラッチされて、その外部負極入力電圧VMが一度所定の電圧を超えてプルアップされることを充放電制御回路が検出するまでは、充電器接続検出回路が無効化される。従って、外部負極入力電圧VMのプルアップがゆっくりと進行したとしても、充放電制御回路は充電器接続を誤判定してしまうことがなくなるので、充電器接続の誤判定による強制スタンバイからの誤復帰を気にせずに、充電器接続検出の閾値を所定値よりも高い電圧に設定することができ、また、所定値よりも低い電圧の充電器が接続された場合にも確実にそれを検出し、充放電制御回路は放電禁止状態から復帰できる。
【0035】
また、実施形態2によれば、充電器がすでに接続されている状態や、放電制御FETがオフした直後に充電器が接続されるような、特殊な状況を想定したときに生じる、上述の問題を解決することができる。
【0036】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電池装置10の構成例を示すブロック図である。
【0037】
図1において、電池装置10は、二次電池SCと、充放電制御回路11と、放電制御電界効果FET12と、充電制御電界効果FET13と、負荷20又は充電器30が接続される外部正極端子T21及び外部負極端子T22とを備えて構成される。ここで、放電制御FET12及び充電制御FET13はそれぞれ、スイッチ素子の一例であり、スイッチ素子は例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のバイポーラトランジスタなどの別のスイッチ素子であってもよい。
【0038】
ここで、充電器30又は負荷20は物理的に脱着し、もしくはスイッチを用いて電気的に導通/遮断したりするが、図1では、これをスイッチ16及びスイッチ17を用いて図示している。外部正極端子T21は、スイッチ16及び負荷20を介して外部負極端子T22に接続され、スイッチ17及び充電器30を介して外部負極端子T22に接続される。なお、負荷20として抵抗負荷又は容量負荷が存在し、抵抗負荷は例えばCPU(Central Processing Unit)又はモータなど、電池で駆動する機器を指し、容量負荷はコンデンサ容量、もしくは配線等の寄生容量を全て合計した容量などを指す。
【0039】
充放電制御回路11は、過放電検出回路111と、過放電ラッチ回路112と、制御回路113と、VMプルアップ検出回路114と、充電器接続検出回路115と、正極電源端子T1及び負極電源端子T2と、放電制御端子T12と、充電制御端子T13と、外部負極電圧入力端子T11とを備えて構成される。
【0040】
放電制御FET12のソースは二次電池SCの負極に接続されて接地され、放電制御FET12のドレインは充電制御FET13のドレインに接続され、放電制御FET12のゲートは放電制御端子T12を介して制御回路113と接続され、制御回路113から出力される放電制御信号DOが入力される。また、充電制御FET13のソースは外部負極端子T11に接続され、充電制御FET13のゲートは充電制御端子T13を介して制御回路113と接続され、制御回路113から出力される充電制御信号COが入力される。なお、放電制御FET12及び充電制御FET13はそれぞれ、寄生ダイオードD1,D2を有する。放電制御FET12は、制御回路113からゲートに入力される放電制御信号DOによりオンオフ制御され、充電制御FET13は、制御回路113からゲートに入力される充電制御信号COによりオンオフ制御される。
【0041】
正極電源端子T1が二次電池SCの正極と外部正極端子T21に接続され、負極電源端子T2が二次電池SCの負極に接続され、外部負極電圧入力端子T11が外部負極端子T22に接続される。過放電検出回路111は、正極電源端子T1の正電源電圧VDDを過放電検出電圧Vdeと比較することで二次電池SCの過放電を検出し、VDD≦Vdeのときにハイレベルの過放電検出信号SUVDを発生して、過放電ラッチ回路112及び制御回路113に出力する。一方、過放電検出回路111は、VDD>Vdeのときにロウレベルの過放電検出信号SUVDを発生する。なお、負極電源端子T2の電圧は充放電制御回路11の各回路に入力されているが、図1以降のブロック図において省略する。また、外部負極電圧入力端子T11の電圧は充電制御信号COのロウレベルの基準電圧として制御回路113に入力されているが、図1以降のブロック図において省略する。
【0042】
制御回路113は、入力される過放電検出信号SUVD及び過放電ラッチ信号SUVLがともにロウレベルであって二次電池SCの放電を許可するときに、ハイレベルの放電制御信号DOを、放電制御端子T12を介して放電制御FET12のゲートに出力する。一方、制御回路113は、過放電検出信号SUVDが入力されて所定の遅延時間が経過して、過放電検出状態信号SUVS及び過放電ラッチ信号SUVLのうちの少なくとも1つがハイレベルであって二次電池SCの放電を禁止するときに、ロウレベルの放電制御信号DOを、放電制御端子T12を介して放電制御FET12のゲートに出力する。なお、各信号のハイレベルを図2A以降のタイミングチャートにおいて「H」で示し、各信号のロウレベルを図2A以降のタイミングチャートにおいて「L」で示す。
【0043】
また、制御回路113は、二次電池SCの充電を許可するときに、ハイレベルの充電制御信号COを、充電制御端子T13を介して充電制御FET13のゲートに出力することで、充電制御FET13をオンする。一方、制御回路113は、二次電池SCの充電を禁止するときに、ロウレベルの充電制御信号COを、充電制御端子T13を介して充電制御FET13のゲートに出力することで、充電制御FET13をオフする。ここで、制御回路113は、通常は、ハイレベルの放電制御信号DOを、放電制御端子T12を介して放電制御FET12のゲートに出力することにより、放電制御FET1をオンにする。次いで、制御回路113は、ハイレベルの過放電検出信号SUVDを受信してから所定の遅延時間Td1後に、ハイレベルの放電検出状態信号SUVSを過放電ラッチ回路112に出力し、放電制御端子T12を介して放電制御FET12のゲートにロウレベルの放電制御信号DOを出力し、二次電池SCからの放電を禁止する。
【0044】
VMプルアップ検出回路114は、外部負極電圧入力端子T11の外部負極入力電圧VMを、VMプルアッ検出閾値電圧Vtpと比較して、外部負極入力電圧VMがVMプルアッ検出閾値電圧Vtpまでプルアップされたことを検出すると、そのラッチ14LからVMプルアップ検信号SVMPUを充電器接続検出回路115に出力する。ここで、VMプルアッ検出閾値電圧Vtpは、例えば正極電源電圧VDD-1.2Vなどで定義される電圧であり、正極電源端子T1の正極電源電圧VDDが4.4Vのとき、VMプルアップ検出閾値電圧Vtpは3.2Vである。
【0045】
充電器接続検出回路115は、外部負電圧入力端子T11の電圧VMを、充電器接続検出閾値電圧Vtcと比較することで、外部負極入力電圧VMが充電器の接続によって当該充電器接続検出閾値電圧Vtcより低い電圧にプルダウンされたことを検出したとき、充電器接続検出信号SCHDを過放電ラッチ回路112に出力する。当該充電器接続検出閾値電圧Vtcは、例えば負極電源電圧VSS+0.8Vで定義される電圧であり、外部負極入力電圧VMが0.8Vを下回るまでプルダウンするためには充電器電圧が正電源電圧VDD-0.8V以上、つまり正電源電圧VDDが4.4Vであれば3.6V以上であることが必要である。
【0046】
ここで、充電器接続検出回路115は、VMプルアップ検出回路114から、ハイレベルのVMプルアップ検信号SVMPUを受信するまでは、充電器接続検出信号SCHDを出力できないように構成される。
【0047】
過放電ラッチ回路112は、ハイレベルの放電検出状態信号SUVSを受信すると、そのラッチ11Lからハイレベルの過放電ラッチ信号SUVLを出力し、ハイレベルの充電器接続検出信号SCHDを受信すると、ハイレベルの過放電ラッチ信号SUVLの出力を停止する。さらに、制御回路113は、過放電ラッチ回路112からハイレベルの過放電ラッチ信号SUVLを受信している間は、ハイレベルの放電検出状態信号SUVSを出力し続けるように構成される。なお、ハイレベルの各信号の出力の停止は、当該各信号の信号レベルをロウレベルに変化させることをいう。
【0048】
図2Aは、図1の過放電ラッチ回路112の制御処理を示すフローチャートである。
【0049】
図2AのステップS1において、ハイレベルの過放電検出状態信号(放電禁止状態信号SUVSを制御回路113から受信したか否かが判断され、YESとなるまでステップS1の処理で待機し、YESとなったときに、ステップS2において、ハイレベルの過放電ラッチ信号SUVLを制御回路113に出力する。ここで、過放電ラッチ回路112がハイレベルの放電禁止ラッチ信号SUVLを出力している間は、放電検出状態信号SUVSの出力は停止されない。さらに、ステップS3において、放電制御FET12がオフした後に、ハイレベルのVMプルアップ検出信号SVMPUを受信したか否かが判断され、YESとなるまでステップS3の処理を待機し、YESとなったときに、ステップS4に進む。ステップS4では、ハイレベルの充電器接続検出信号SCHDを充電器接続検出回路115から受信したか否かが判断され、YESとなるまでステップS4の処理を待機、YESとなったときに、ステップS5に進む。ステップS5では、過放電ラッチ信号SUVLの出力を停止して当該制御処理を終了する。
【0050】
図2AのステップS3において、放電制御FET12がオフした後にハイレベルのVMプルアップ検出信号SVMPUを受信したか否かの判断を行っている。しかし、本発明はこれに限られず、実施形態1の変形例に係る図2BのステップS3Aにおいて、放電制御FET12がオフした後にVMプルアップ検出信号SVMPUを受信し、もしくは所定時間が経過したか否かの判断を行ってもよい。なお、所定時間の経過はCPUによる計時又は負荷20の容量と抵抗から算出される時定数に基づいて、外部負極入力電圧VMがプルアップされるために必要な当該遅延時間が経過すれば、ステップS3Aの条件が満たされるように構成してもよい。
【0051】
図3は、図1の電池装置10の動作を示す各電圧のタイミングチャートである。図3を参照して、電池装置10における過放電検出と復帰の制御動作について説明する。図3において、VMプルアップ検出閾値電圧Vtpは例えば3.2Vであり、充電器接続検出閾値電圧Vtcは例えば0.8Vである。なお、充電器接続の検出機能は外部負極入力電圧VMのプルアップが検出されるまで無効化されている。また、電池装置10に接続されている負荷20の容量は比較的大きく、外部負極入力電圧VMのプルアップがゆっくりと進行するものとする。
【0052】
図3の時刻t1で、正極電源電圧VDDが電池電圧である4.4Vから2.2Vまで強制的にプルダウンされる。なお、強制的にプルダウンする方法は、例えば、電池電圧を外部制御によって抵抗分圧するなどして、電池電圧をそのままに正極電源端子T1の正極電源電圧VDDだけを強制的にプルダウンする。
【0053】
時刻t1から所定遅延時間Td1だけ経過した時刻t2において、制御回路113が過放電検出状態となり、ハイレベルの過放電検出状態信号SUVSを出力すると、過放電ラッチ回路112はそれを受信し、過放電ラッチ回路112はその過放電検出状態をラッチしてラッチ11Lからハイレベルの過放電検信号SUVLを制御回路113に出力する。これに応答して、制御回路113は、ロウレベルの放電制御信号DOを放電制御FET12のゲートに出力して放電制御FET12をオフする。また、時刻t2を起点として、外部負極端子T22の電圧、すなわち外部負極入力電圧VMは、外部正極端子T21との間に接続されたコンデンサ(容量負荷)の電荷が抵抗負荷によって放電されることで、徐々に電圧が上昇する。
【0054】
例えば時刻t3において正極電源電圧VDDの強制プルダウンが解除されると、正極電源電圧VDDは例えば2.2Vから元の電池電圧である4.4Vに戻る。当該時刻t3から計時する期間TFCHG(外部負極入力電圧VMが充電器接続検出閾値電圧Vtcを超えるまでの期間)は、外部負極入力電圧VMが充電器接続検出閾値電圧Vtcより低い状態が所定時間続くが、充電器接続検出は無効化を解除する条件が満たされているため、過放電検出状態のラッチが解除されることなく、放電禁止状態を維持できる。
【0055】
次いで、時刻t4において、外部の負荷20により徐々にプルアップされている外部負極入力電圧VMが、例えば3.2VであるVMプルアップ検出閾値電圧Vtpを超えると、充電器接続検出機能の無効化が解除され、充電器接続が有効になる。すなわち、VMプルアップ検出回路114はハイレベルのVMプルアップ検出信号SVMPUを充電器接続検出回路115及び過放電ラッチ回路112に出力する。
【0056】
次いで、時刻t5において、スイッチ17がオンされて例えば3.8Vの充電器30が接続されて外部負極入力電圧VMが例えば0.6Vまでプルダウンされる。このとき、充電器接続検出回路115は、ハイレベルの充電器接続検出信号SCHDを過放電ラッチ回路112に出力する。ここで、充電器接続検出閾値電圧を0.8Vに設定しているので、充電器30の電圧は正極電源電圧VDDより低いにも関わらず、外部負極入力電圧VMが充電器接続検出閾値電圧Vtp以下にプルダウンされるので、充電器接続検出回路115は正しく充電器30が接続されたことを判定できる。充電器30の接続が検出されると、過放電ラッチ回路112は、ハイレベルの過放電状態ラッチ信号SUVLの出力を停止し、すなわち、放電検出状態ラッチ信号SUVLがロウレベルとなる。
【0057】
なお、充電器接続検出閾値電圧Vtcを例えば0.8Vと比較的高く設定できるのは上述の通り、過放電直後のラッチと、VMプルアップ検信号SVMPUが出力されるまでは充電器接続検出が無効化される過放電ラッチ回路112の復帰条件制御によって、時刻t3から計時する期間TFCHGにおいて、充電器30の接続が誤判定されることを防止しているからである。
【0058】
時刻t5から所定の遅延時間Td2が経過した時刻t6において、制御回路113は過放電検出状態から正常状態に復帰する。
【0059】
以上説明したように、本発明に係る実施形態1によれば、以下の図4及び図5を参照して説明する従来技術における課題が発生せず、出荷工程の時間を短縮し、かつ、充電器30の電圧が3.8Vと電池電圧よりもある程度低い場合でも、過放電検出状態から復帰することができるという特有の効果を有する。
【0060】
図4は、従来技術に係る電池装置において過放電検出状態から意図せずに過放電ラッチが解除されて復帰してしまう課題1を説明するための各電圧のタイミングチャートである。
【0061】
図1図3を参照して説明した実施形態1では、制御回路113が過放電検出状態になった後、すぐに過放電ラッチ回路112がハイレベルの放電禁止ラッチ信号SUVLを出力して過放電ラッチ状態となり、過放電ラッチ状態を解除する充電器接続検出の機能は、外部負極入力電圧VMのプルアッを検出するまでマスクされていることが実施形態1の特徴であることを述べた。
【0062】
これに対して、従来技術では、充放電制御回路が過放電検出状態となった後、外部負極入力電圧VMが過放電ラッチ検出閾値電圧Vtlを超えていれば、過放電検出状態をラッチする構成が一般的であり、外部負極入力電圧VMがプルアップされるまでは過放電検出状態がラッチされていないので、以下で説明する過放電検出状態からの意図しない復帰が発生してしまうことがあった。なお、図4の従来技術では過放電ラッチ閾値電圧Vtlを0.8Vとする。
【0063】
図4の時刻t11において、正極電源電圧VDDが例えば電池電圧である4.4Vから2.2Vまで強制的にプルダウンされる。次いで、時刻t12において、充放電制御回路が過放電検出状態となり、放電制御FET12がオフされる。従来技術では外部負極入力電圧VMが過放電ラッチ閾値電圧Vtlを超えていないとき、ハイレベルの放電ラッチ解除信号SUVLRを出力してしまう。さらに、時刻t13において、電池電圧の強制プルダウンが解除されて、電池電圧である正極電源電圧VDDが例えば2.2Vから元の4.4Vに戻る。
【0064】
図4の時刻t14において、時刻t12から所定の遅延時間が経過するまで、外部負極入力電圧VMが過放電ラッチ閾値電圧Vtlを超えていないので、充放電制御回路は過放電検出状態から意図せず復帰してしまうことになる。つまり、従来技術に係る回路構成において過放電ラッチ閾値電圧Vtlを比較的高くすると、意図せず過放電検出状態から復帰する、という前記課題1が生じる。
【0065】
図5は、従来技術に係る電池装置において過放電検出状態から過放電ラッチの解除に復帰できない課題2を説明するための各電圧のタイミングチャートである。
【0066】
別の従来技術によれば、上記過放電ラッチ閾値電圧Vtlを下げることで、図4で説明した充放電制御回路が過放電検出状態から意図せず復帰してしまう課題1を克服している。この従来技術においても、充放電制御回路が過放電検出状態となった後、外部負極入力電圧VMが過放電ラッチ閾値電圧Vtlを超えてプルアップされたことを検出して、過放電検出状態をラッチする構成となっている。なお、図5の例では過放電ラッチ閾値電圧Vtlを0.2Vとしている。
【0067】
図5の時刻t21において、正極電源電圧VDDが例えば電池電圧である4.4Vから2.2Vまで強制的にプルダウンされる。次いで、時刻t22で、充放電制御回路が過放電検出状態となり、放電制御FETがオフされる。従来技術では、外部負極入力電圧VMが過放電ラッチ閾値電圧Vtlを超えていないとき、ハイレベルの放電ラッチ解除信号SVMPUを出力してしまう。さらに、時刻t23で、正極電源電圧VDDの強制プルダウンが解除されて、正極電源電圧VDDが例えば2.2Vから元の4.4Vに戻る。また、このとき、ちょうど外部負極入力電圧VMが過放電ラッチ閾値電圧Vtlを超えて、過放電検出状態がラッチされる。その後、時刻t24で、例えば3.8Vの充電器が接続されて外部負極入力電圧VMが例えば0.6Vまでプルダウンされるが、過放電ラッチ閾値電圧Vtlである0.2Vを下回らないので、過放電ラッチ状態を解除することができない。つまり、過放電ラッチ閾値電圧Vtlを低く設定すると、図4を参照して説明した「意図せず保護状態から復帰してしまう」という課題1を解決できるが、「低電圧の充電器でラッチを解除できない」という別の課題2が生じる。
【0068】
従って、本発明に係る実施形態は、上述の課題1及び2を解決するものである。
【0069】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る電池装置10Aの構成例を示すブロック図である。
【0070】
図6において、実施形態2に係る電池装置10Aは、図1の実施形態1に係る電池装置10と比較して以下の相違点を有する。
(1)充放電制御回路11に代えて、充放電制御回路11Aを備える。
(2)充放電制御回路11Aは充放電制御回路11に比較して、充電開始検出回路116をさらに備えたことを特徴とする。
(3)過放電ラッチ回路112に代えて、充電開始検出回路116から、ハイレベルの充電開始検出信号SCHSを受信して所定の処理をさらに行う過放電ラッチ回路112Aを備える。
以下、相違点について説明する。
【0071】
図6において、充電開始検出回路116は、外部負極入力電圧VMを充電開始検出閾値電圧Vtsと比較して、VM<Vtsであることを検出すると、充電が開始されたと判断し、そのラッチ16Lから充電開始検出信号SCHSを過放電ラッチ回路112Aに出力する。ここで、実施形態2に係る充放電制御回路11Aは、充電開始検出閾値電圧Vtsは、外部負極電圧入力端子T11の外部負極入力電圧VMが二次電池SCの負極電圧と同程度であるか、それよりも低いことを検出できる電圧であることを特徴とする。ここで、充電開始検出閾値電圧Vtsは、例えば負極電源電圧VSS+0Vで定義される電圧であり、負極電源電圧VSSを基準に考えれば、充電開始検出電圧は0Vであり、もしくは、例えば-0.01Vなどの微小負電圧であってもよい。
【0072】
過放電ラッチ回路112Aは、VMプルアップ検出信号SVMPUを受信していない場合に、充電器接続検出回路15からの充電器接続検出信号SCHDを無視して無効化するが、充電開始検出回路116からの充電開始検出信号SCHSを無効化しないように構成されている。すなわち、過放電ラッチ回路112Aは、放電検出状態信号SUVSを受信した直後に、外部負極入力電圧VMに関わらず、ハイレベルの放電検出状態ラッチ信号SUVLを出力し、放電禁止状態に移行して、ロウレベルの放電制御信号DOを放電制御FET12に出力することで、放電制御FET12をオフする。過放電ラッチ回路112Aは、ハイレベルの充電器接続検出信号SCHD又はハイレベルの充電開始検出信号SCHSを受信すると、放電禁止ラッチ信号SUVLの出力を停止する。
【0073】
次に、充電開始検出信号SCHSによって、放電禁止ラッチ信号SUVLの出力を停止する、具体的な使用ケースについて以下に説明する。
【0074】
放電制御FET12がオフされた直後、もしくはそれ以前から前記のような充電器30が接続されていた場合には、放電制御FET12がオフした直後に、外部負極入力電圧VMが寄生ダイオードD1の順方向電圧Vf分だけプルダウンされるので、外部負極入力電圧VMは放電制御FET12がオフされた直後に、充電開始検出閾値電圧Vtsを下まわり、充電開始検出回路116がハイレベルの充電開始検出信号SCHSを出力して、放電禁止ラッチ信号SUVLの出力を停止する。これにより、放電制御FET12がオフされた状態で、充電電流が流れ続けることを防止できるため、結果として、許容損失が比較的低い放電制御FET12を電池装置10Aに使用することが可能となり、電池装置10Aのコストダウンの実現に寄与する。
【0075】
図7は、図6の過放電ラッチ回路112Aの制御処理を示すフローチャートである。図7の制御処理は、図2Aの制御処理に比較して、以下の相違点を有する。
(1)ステップS2と、ステップS3との間にステップS6の判断分岐処理を挿入する。ステップとS6では、充電開始検出信号SCHSを受信したか否かが判断され、YESのときはステップS5に進む一方、NOのときはステップS3に進む。すなわち、ステップS6で、上述の条件Cが満たされると、上述の条件A及びBを満たしていなくとも、ステップS5において、放電禁止ラッチ信号の出力を停止する。ここで、条件Cは、上述のように、「外部負極入力電圧VMに基づいて充電の開始を検出した」ことである。
【0076】
以上説明したように、実施形態2によれば、過放電検出ラッチ回路112Aは、充電開始検出信号SCHSを受信すると、充電器接続検出信号SCHDを受信していなくとも、放電禁止ラッチ信号SUVLの出力を停止することを特徴とする。
【0077】
図8は、図6の電池装置10Aの動作を示す各電圧のタイミングチャートであり、電池装置10Aに係る過放電検出と復帰の制御動作を示す。図8において、
(1)VMプルアップ検出閾値電圧Vtpは、例えば3.2Vであり、
(2)充電器接続検出閾値電圧Vtcは、例えば0.8Vであり、
(3)充電開始検出閾値電圧Vtsは、例えば-0.1Vである。
【0078】
なお、この実施形態2では、充電器接続検出の機能はVMプルアップが検出されるまで無効化されているが、充電開始検出の機能は無効化されていない。また、図8の時刻t31より前の時点で、電池装置10Aには例えば最大5.0Vまで出力可能な充電器30が接続されているものとする。
【0079】
図8の時刻t31において、正極電源電圧VDDが例えば電池電圧である4.4Vから2.2Vまで強制的にプルダウンされる。次いで、時刻t31から所定の遅延時間Td3が経過した時刻t32において、制御回路113は過放電検出状態となり、ロウレベルの放電制御信号DOを放電制御FET12のゲートに出力することで放電制御FET12をオフする。しかし、放電制御FET12がオフされると、充電電流が放電制御FET12の寄生ダイオードD1を流れるので、外部負極入力電圧VMが寄生ダイオードD1の順方向電圧Vf分だけプルダウンされ、充電開始検出閾値電圧Vtsを下回る。このとき、充電器接続検出回路115は無効化されているので、ハイレベルの充電器接続検出信号SCHDを受信しないが、充電開始検出回路116は無効化されていないので、充電開始検出信号SCHSを出力し、出力を始めたばかりの放電禁止ラッチ信号SUVLの出力を停止する。
【0080】
次いで、時刻t33において、正極電源電圧VDDの強制プルダウンが解除されて、正極電源電圧VDDは例えば2.2Vから元の4.4Vに戻る。そして、時刻t33から所定の遅延時間Td4だけ経過した時刻t34において、制御回路113は過放電検出状態から正常に復帰する。
【0081】
以上説明したように、実施形態2によれば、スイッチ17がオンされて充電器30が接続されている状態で、充放電制御回路11Aが過放電検出状態となって、放電制御FET12がオフした場合には、外部負極入力電圧VMに基づいて充電が開始されたことを検出可能としている。充放電制御回路11Aが充電開始検出信号SCHSに基づいて充電開始を検出すると、充電器接続検出信号SCHDの有無に関わらず、放電禁止ラッチ信号SUVLの出力が停止される。従って、電池電圧である正極電源電圧VDDが過放電検出電圧Vdeを超えていれば、充放電制御回路11Aは所定の遅延時間Td4の経過後に、過放電検出状態から復帰する。これにより、放電制御FET12の寄生ダイオードD1経由で充電電流が流れ続けて、放電制御FET12に与えるダメージを軽減することができる。
【0082】
また、実施形態2では、実施形態1で説明した以下の作用効果も奏する。
(1)充放電制御回路11Aが放電制御信号をハイレベルからロウレベルに切り替えて放電を禁止した直後に、充放電制御回路11Aが充電器接続を誤判定して強制スタンバイから誤復帰することがない。
(2)充電器接続検出閾値電圧Vtcを比較的高い電圧に設定することができるので、低い電圧の充電器30が接続された場合にも、確実にそれを検出して、充放電制御回路11Aは放電制御信号DOをロウレベルからハイレベルに切り替えられる。
【0083】
さらに、実施形態2によれば、充電器接続検出の無効化が解除される前に、充電器30が接続されたケースにおいて、充電開始検出信号SCHSに基づいて、放電禁止ラッチ信号SUVLの出力を停止する制御を追加することで、充電器30が放電制御FET12の寄生ダイオードD1経由で電流を流した場合には、即座に放電制御FET12をロウレベルからハイレベルに切り替えられる。
【0084】
さらに補足すると、実施形態2で追加した充電開始検出に基づく復帰ロジックの制御は、放電制御FET12に与えるダメージを軽減することが目的であるので、この目的を鑑みれば、充電開始検出信号SCHSが出力された場合には、できる限り短時間で放電制御FET12がオンすることが望ましい。そのため、放電禁止ラッチ信号SUVLの出力を停止するとともに、電池電圧に関わらず充放電制御回路11Aを過放電検出状態から復帰させる制御を行うように制御ロジック回路を構成してもよい。
【0085】
(変形例1)
図9は、変形例1に係る電池装置の動作を示す各電圧のタイミングチャートである。
【0086】
以上の実施形態1及び2では、充電器接続検出回路115のマスクの解除は、VMプルアップ検出回路114の電圧検出に基づいて発生されるVMプルアップ検出信号SVMPUによって解除されるとした。しかし、本発明はこれに限らず、ある特定の条件を満たした後でなければ充電器接続を検出できないことが、図4図5で説明した課題1及び2を解決するために必要となることが、本発明の趣旨である。例えば、図9に示すように、放電制御FET12がオフされてから、外部負極入力電圧VMが十分にプルアップされるために必要な、所定の遅延時間Td5が経過する時刻t8までは充電器接続検出回路115が無効化される、というように、充放電制御回路11,11A,11Bの制御ロジックを構成しても良い。そして、時刻t8で、ハイレベルのVMプルアップ検出信号SVMPUが出力される。なお、所定の遅延時間Td5は負荷容量と負荷抵抗から計算される時定数を考慮して選択される。このように所定の遅延時間Td5によって充電器接続検出回路を無効化する制御ロジックを構成した場合においても、実施形態2で述べた充電開始検出を備える構成であった場合には、所定の遅延時間Td5が経過していなくとも、放電禁止ラッチ信号SUVLの出力を解除するように構成する。
【0087】
(変形例2)
図10は、変形例2に係る電池装置の動作を示す各電圧のタイミングチャートである。図9の変形例1では、放電制御FET12がオフされてから所定の遅延時間Td5が経過したときに、VMプルアップ検出信号SVMPUが出力されている。しかし、本発明はこれに限らず、図10に示すように、時刻t4において、外部の負荷20により徐々にプルアップされている外部負極入力電圧VMが、例えば3.2VであるVMプルアップ検出閾値電圧Vtpを超えてから、所定の遅延時間Td6だけ経過した後、時刻t7で、ハイレベルのVMプルアップ検出信号SVMPUを出力するように構成してもよい。
【0088】
(変形例3)
図11は変形例3に係る電池装置10Bの構成例を示すブロック図である。図11の変形例3に係る電池装置10Bは、図6の電池装置10Aに比較して、以下の相違点を有する。
(1)充放電制御回路11Aに代えて、充放電制御回路11Bを備える。
(2)過放電ラッチ回路112Aに代えて、強制スタンバイラッチ回路112Bを備える。
(3)充放電制御回路11Bは、強制スタンバイ信号入力端子T14及び強制スタンバイ検出回路117をさらに備える。
以下、相違点について説明する。
【0089】
図11において、強制スタンバイ検出回路117は、強制スタンバイ信号入力端子T14に入力される強制スタンバイ信号VCTLを検出して、ハイレベルの強制スタンバイ検出信号SFSDを制御回路113に出力する。
【0090】
制御回路113は、ハイレベルの強制スタンバイ検出信号SFSDを受信してから所定の遅延時間Td1後に、ハイレベルの強制スタンバイ検出状態信号SFSSを強制スタンバイラッチ回路112Bに出力し、放電制御端子T12を介して放電制御FET12のゲートにロウレベルの放電制御信号DOを出力し、二次電池SCからの放電を禁止する。
【0091】
強制スタンバイラッチ回路112Bは、ハイレベルの強制スタンバイ検出状態信号SFSSを受信すると、そのラッチ11Lからハイレベルの強制スタンバイラッチ信号SFSLを出力し、ハイレベルの充電器接続検出信号SCHDを受信すると、ハイレベルの強制スタンバイラッチ信号SFSLの出力を停止する。さらに、制御回路113は、強制スタンバイラッチ回路112Bからハイレベルの強制スタンバイラッチ信号SFSLを受信している間は、ハイレベルの強制スタンバイ検出状態信号SFSSを出力し続けるように構成される。なお、ハイレベルの各信号の出力の停止は、当該各信号の信号レベルをロウレベルに変化させることをいう。
【0092】
図12図11の強制スタンバイラッチ回路112Bの制御処理を示すフローチャートである。図12の制御処理は、図7の制御処理に比較して以下の相違点を有する。
(1)ステップS1に代えて、ステップS1Bを備える。ステップS1Bにおいて、ハイレベルの強制スタンバイ検出状態信号SFSSを受信したか否かが判断される。
(2)ステップS2に代えて、ステップS2Bを備える。ステップS2Bにおいて、ハイレベルの強制スタンバイラッチ信号SFSLが出力される。
(3)ステップS5に代えて、ステップS5Bを備える。ステップS5Bにおいて、ロウレベルの強制スタンバイラッチ信号SFSLが出力される。
【0093】
すなわち、上述の実施形態1及び2では、強制スタンバイにエントリする手段の一例として強制的に過放電検出させる方法で説明を行った。しかし、変形例3では、充放電制御回路11Bが強制スタンバイ信号入力端子T14及び強制スタンバイ検出回路117をさらに備え、外部からの強制スタンバイ信号VCTLを受けて、強制スタンバイ検出回路117が強制スタンバイ検出信号SFSDを出力し、強制スタンバイ検出信号SFSDが入力された制御回路113が、所定の遅延時間後に強制スタンバイ検出状態信号SFSSを出力して、放電制御信号DOをロウレベルに制御することによって、強制スタンバイにエントリする手段を用いてもよい。
【0094】
なお、変形例3は実施形態2に対する適用例を示したが、本発明はこれに限らず、実施形態1に対して適用してもよい。
【0095】
また、充放電制御回路11Bは過放電ラッチ回路112Aと、強制スタンバイラッチ回路112Bを両方備えてもよい。このとき、過放電ラッチ回路112Aと、強制スタンバイラッチ回路112Bは共通する回路部分をもつように構成してもよい。
【0096】
(別の変形例)
さらに、充電器接続検出が復帰の条件に含まれる機能は全て、本発明の対象となる。
【0097】
以上の実施形態1、2及び変形例において、図1図6及び図11の制御回路113は、VMプルアップ検出回路114から、ハイレベルのVMプルアップ検出信号SVMPUを受信すると、充放電制御回路11,11A,11Bをパワーダウン状態にするパワーダウン信号を出力するように構成してもよい。
【0098】
以上の実施形態1、2及び変形例では、放電制御FET12及び充電制御FET13が、二次電池CSの負極端子(すなわち、負極電源端子T2)と外部負極端子T22との間に直列に接続されているものとして説明した。しかし、本発明はこれに限らず、放電制御FET12及び充電制御FET13は、二次電池CSの正極端子(すなわち、正極電源端子T1)と、外部正極端子T21との間に直列に接続されていてもよい。この場合を変形例4とし、図13に変形例4に係る電池装置10Cの構成例を示す。
【0099】
図13の電池装置10Cは、充放電制御回路11,11A,11Bに代えて、充放電制御回路11Cを備える。ここで、外部負極入力電圧VMを監視する外部負極電圧入力端子T11の代わりに、外部正極端子T21の外部正極入力電圧VPを監視するための外部正極電圧入力端子T11Cを有し、VMプルアップ検出回路114の代わりにVPプルダウン検出回路を有してもよい。この場合、本実施形態で説明した外部負極入力電圧VMのプルアップ及びプルダウンの動きは、変形例4の外部正極入力電圧VPでは極性が反転した動きとなる。
【0100】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更や組み合わせが可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上詳述したように、本発明によれば、電池装置の充放電制御回路が放電制御FETをオフしている状態において、所定値よりも低い電圧の充電器が接続された場合にも、充電器が接続されたことを確実に検出できる。
【符号の説明】
【0102】
10,10A,10B,10C 電池装置
11,11A,11B,11C 充放電制御回路
11L,14L,16L ラッチ
12 放電制御電界効果トランジスタ(放電制御FET)
13 充電制御電界効果トランジスタ(充電制御FET)
16,17 スイッチ
20 負荷
30 充電器
111 過放電検出回路
112,112A 過放電ラッチ回路
112B 強制スタンバイラッチ回路
113 制御回路
114 VMプルアップ検出回路
115 充電器接続検出回路
116 充電開始検出回路
117 強制スタンバイ検出回路
SC 二次電池
T1 正極電源端子
T2 負極電源端子
T11 外部負極電圧入力端子
T12 放電制御端子
T13 充電制御端子
T14 強制スタンバイ信号入力端子
T21 外部正極端子
T22 外部負極端子
CO 充電制御信号
DO 放電制御信号
SCHD 充電器接続検出信号
SCHS 充電開始検出信号
SFSD 強制スタンバイ検出信号
SFSS 強制スタンバイ検出状態信号
SFSL 強制スタンバイラッチ信号
SUVD 過放電検出信号
SUVS 過放電検出状態信号
SUVL 過放電ラッチ信号
SVMPU VMプルアップ検出信号
SUVLR 放電ラッチ解除信号
Vde 過放電検出電圧
VDD 正極電源電圧
VSS 負極電源電圧
VM 外部負極入力電圧
Vtp VMプルアップ検出閾値電圧
Vtc 充電器接続検出閾値電圧
Vtl 過放電ラッチ閾値電圧
Vts 充電開始検出閾値電圧
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13