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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】マスクキャリアを有する基板ホルダ機構
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/50 20060101AFI20230217BHJP
   C23C 14/04 20060101ALI20230217BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20230217BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230217BHJP
【FI】
C23C14/50 F
C23C14/04 A
H05B33/10
H05B33/14 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019550807
(86)(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2018056034
(87)【国際公開番号】W WO2018166954
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】102017105379.4
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコブ、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン、ヴィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】アウドゥス、ヤープ
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3195992(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/50
C23C 14/04
H05B 33/10
H10K 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(13)上にマスク(4)を適用することにより構造化された層を堆積するための装置であって、
前記マスク(4)を有するマスク機構(3)と、
前記マスク機構(3)を担持するマスクキャリア(6)と、
前記マスクキャリア(6)を担持する支持フレーム(7)と、
前記支持フレーム(7)により支持されかつ前記支持フレーム(7)に対する前記マスクキャリア(6)の位置を調整するための調整装置(100、200)と、
前記マスク機構(3)及び前記マスクキャリア(6)と共に前記支持フレーム(7)を、前記マスク機構(3)のマスク変更位置から処理位置へと鉛直方向に変位させることができるマスクリフト装置と
前記基板(13)が載置される基板ホルダ(10)と、
前記基板ホルダ(10)を、前記基板ホルダ(10)の搭載位置から処理位置へと鉛直方向に変位させることができる基板ホルダリフト装置と、を備え、
前記支持フレーム(7)が球状要素を有すると共に前記基板ホルダ(10)がV溝(21)を有し、前記基板ホルダ(10)の処理位置において、前記V溝(21)の側面が前記球状要素の球面(20)を支持することによって前記支持フレーム(7)が前記基板ホルダ(10)により拘束されることを特徴とする装置。
【請求項2】
複数の前記V溝(21)とそれぞれ相互作用する複数の前記球面(20)が設けられ、それらの前記V溝(21)が共通点の方に向いて配列していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記マスクリフト装置が、リアクタハウジング(2)の外側に配置された駆動装置により鉛直方向に変位可能である少なくとも1つの支持柱(8)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記基板ホルダリフト装置が、リアクタハウジング(2)の外側に配置された駆動装置により鉛直方向に変位可能である少なくとも1つの支持柱(11)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記マスクリフト装置及び/又は前記基板ホルダリフト装置が、リアクタハウジング(2)に接続されたフレーム上で案内され水平方向に延在するマスクリフトプレート(9)又は基板リフトプレート(12)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
ローズ機構である気密性の運動伝達手段が設けられ、それによって前記駆動装置の鉛直運動が支持柱(8、11)に伝達されることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記マスク(4)が前記基板(13)の表面に接触して載置されるマスク機構(3)の処理位置において、前記マスクリフト装置の前記支持柱(8)が、前記リアクタハウジング(2)に機械的に結合したフレームに取り付けられたマスクリフトプレート(9)から機械的に切り離されていることによって、前記支持フレーム(7)が前記基板ホルダ(10)のみにより支持されることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記支持柱(8)の前記マスクリフトプレート(9)からの機械的な切り離しは、前記支持柱(8)と前記マスクリフトプレート(9)との間の間隙(14)の形成により得られることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記マスクリフトプレート(9)から機械的に切り離された前記支持柱(8)をその位置に保持するためのバネ要素(22)を有することを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項10】
中心の支持柱(11)が前記基板ホルダ(10)を支持すると共に、前記支持柱(11)の周囲に配置された複数の支持柱(8)が前記支持フレーム(7)を支持することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
記支持フレーム(7)上で前記調整装置(100、200)が、アクチュエータ(121、221)により鉛直方向に変位可能である制御ロッド(108、208)と係合することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記制御ロッド(108、208)が、外部環境に対して気密態様でシールされたリアクタハウジング(2)の外側から気密性の運動伝達手段を用いて変位可能であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
基板(13)上にマスク(4)を適用することにより構造化された層を堆積するための装置であって、
前記マスク(4)を有するマスク機構(3)と、
前記マスク機構(3)を担持するマスクキャリア(6)と、
前記マスクキャリア(6)を担持する支持フレーム(7)と、
前記マスク機構(3)及び前記マスクキャリア(6)と共に前記支持フレーム(7)を、前記マスク機構(3)のマスク変更位置から処理位置へと鉛直方向に変位させることができるマスクリフト装置と
前記基板(13)が載置される基板ホルダ(10)と、
前記基板ホルダ(10)を、前記基板ホルダ(10)の搭載位置から処理位置へと鉛直方向に変位させることができる基板ホルダリフト装置と、を備え、
記マスクリフト装置及び前記基板ホルダリフト装置がそれぞれ、リアクタハウジング(2)の外側に配置された駆動装置により鉛直方向に変位可能でありかつ前記支持フレーム(7)及び前記前記基板ホルダ(10)をそれぞれ支持する少なくとも1つの支持柱(8、11)を有し、
記マスクリフト装置が水平方向に延在するマスクリフトプレート(9)を有し、前記マスクリフト装置の前記支持柱(8)が前記マスクリフトプレート(9)により支持されて変位させられることによって、前記支持フレーム(7)を前記マスク機構(3)のマスク変更位置から処理位置へと鉛直方向に変位させ、
前記マスク(4)が前記基板(13)の表面に接触して載置される前記マスク機構(3)の処理位置において、前記マスクリフト装置の支持柱(8)が、前記マスクリフトプレート(9)から機械的に切り離されていることによって、前記支持フレーム(7)が前記基板ホルダ(10)のみによって支持されることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記支持フレーム(7)に対する前記マスクキャリア(6)の位置を調整するための調整装置(100、200)を有することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
中空の前記支持柱(8)内に延在し、かつ、前記リアクタハウジング(2)の外側に配置されたアクチュエータ(121、221により鉛直方向に変位可能である制御ロッド(108、208)が、前記調整装置(100、200)と係合することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記基板ホルダリフト装置が、前記リアクタハウジング(2)に接続されたフレーム上で案内され水平方向に延在する基板リフトプレート(12)を有することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項17】
ベローズ機構である気密性の運動伝達手段が設けられ、それによって前記駆動装置の鉛直方向の運動が前記支持柱(8、11)に伝達されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記支持柱(8)が前記マスクリフトプレート(9)から機械的切り離されているとき、前記支持柱(8)と前記マスクリフトプレート(9)との間間隙(14)形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記マスクリフトプレート(9)から機械的に切り離された前記支持柱(8)をその位置に保持するためのバネ要素(22)を特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項20】
記支持フレーム(7)上で前記調整装置(100、200)が、アクチュエータ(121、221)により鉛直方向に変位可能である制御ロッド(108、208)と係合することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項21】
前記制御ロッド(108、208)が、外部環境に対して気密態様でシールされたリアクタハウジング(2)の外側から気密性の運動伝達手段を用いて変位可能であることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上にマスクを適用することにより構造化された層を堆積するための装置に関し、装置は、支持フレームに対するマスクキャリアの位置を調整するための調整装置と、マスクキャリア、調整装置、及びマスクキャリアにより担持されかつマスクを具備するマスク機構と共に支持フレームを鉛直方向にマスク変更位置から処理位置へと変位可能とするマスクリフト装置と、基板ホルダを鉛直方向に搭載位置から処理位置へと変位可能とする基板ホルダリフト装置とを有する。
【背景技術】
【0002】
本発明の装置は、例えばガラスからなる平坦な基板上にOLEDを堆積するために用いられる。このような装置は、粉体有機開始材料を蒸気に変換するために、例えば特許文献1に記載されたソース配置を用いる。気化した開始材料は、例えば特許文献2に記載のように搬送ガスと共にガス入口装置へと搬送される。ガス入口装置は、シャワーヘッドである。それは、コーティングされる基板の実質的に全体亘って延在する拡張表面を有する。ガス入口装置のガス出口面には、多数のガス出口孔があり、それらを通って蒸気がプロセスチャンバに入る。ガス入口装置の領域での蒸気の凝縮を回避するために、ガス入口装置は加熱される。ガス入口装置の下方にはプロセスチャンバが位置し、その床は基板ホルダにより形成されている。基板は、基板ホルダ上に載置される。特許文献3に記載されるように、基板ホルダは、搭載位置から処理位置へと鉛直方向に変位させることができる。処理位置において、フレームにより保持されたマスクが基板上に置かれる。それはシャドウマスクの形態をとり、コーティングプロセス中、ガス入口装置に対向する基板の広い面上に接触して載置されている。この手段により、構造化された層が堆積される。堆積プロセスは、実質的に、基板表面におけるマスクによりカバーされていない部分上での蒸気の凝縮である。このために、本発明の基板ホルダは、例えばそれに冷媒を通過させることによって能動的に冷却される。マスクも含め基板表面の冷却は、マスク又は基板表面から基板を通って基板ホルダ内への熱フローにより生じる。基板が変更されるとき、マスクと基板との間の接触が取り除かれることによって、熱放散が低減してマスクの加熱を生じる。このことは、熱膨張によるマスク幾何学形状の歪みを生じさせる。これを回避するために、上述した特許文献3では、基板又はマスクを変更するときに入口装置と基板ホルダとの間に導入される遮蔽板を提案している。
【0003】
基板ホルダと、マスク機構のための支持フレームとを鉛直変位させるための装置は、特許文献4、5、6及び7からも公知の技術である。支持フレームと基板ホルダとは、実質的に互いに独立して鉛直方向に変位可能である。その場合、装置の動作中、マスクリフト装置の支持フレームが先ず、マスク変更位置から処理位置へとマスクリフト装置により鉛直変位させられ、そしてその後、基板ホルダが、基板ホルダリフト装置により搭載位置から処理位置へと変位させられる。鉛直変位行程は、数デシメートルとすることができる。この長い変位行程は、数ミクロンのマスクの構造寸法とは対照的である。不可避の振動及び不可避の公差のため、支持フレームに対する基板ホルダの再現性ある位置決めは、極めて困難である。さらに、支持柱を形成する長い鉛直アームによって、基板ホルダに対する支持フレームの鉛直方向の振動、及びそれによる基板ホルダに対するマスクの振動は避けることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2012/175128号パンフレット
【文献】独国特許出願公開第10 2014 116 991号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2010 000 447号明細書
【文献】国際公開第2007/023 533号パンフレット
【文献】韓国特許出願公開第2014 0100119号明細書
【文献】韓国特許出願公開第2014 0115484号明細書
【文献】国際公開第 2006/090 748号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、基板ホルダを、その処理位置において支持フレームに対して、より安定させる手段を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、請求の範囲で特定された本発明により達成される。その場合、従属項は従来技術の有利な進展であるだけでなく、個々の目的達成も示している。従属項で特定された発明は、互いに組み合わせることができ、それらの場合、問題とする目的に不要な特徴を省略することもできる。
【0007】
本発明の装置は、例えばスクリーン、ディスプレイ又はソーラーセル等の光学的にアクティブな平坦素子を作製するために、平坦な基板上に有機物質を堆積させるために用いられる。装置は、リアクタハウジングを有し、その中には特にシャワーヘッドの形態のガス入口装置がある。ガス入口装置は、プロセスチャンバ内へ導入される蒸気の開始材料がガス入口装置上で凝縮しないような高温に加熱される。基板は基板ホルダ上に載置され、基板ホルダは、シャワーヘッドから鉛直方向に離れた搭載位置から、ガス入口装置のガス出口面から短い鉛直方向距離に配置される処理位置まで変位可能である。基板上に堆積する層を構造化するためにマスクが設けられ、マスクはキャリア装置により担持される。マスクキャリア装置は、マスク機構を担持してリアクタハウジング内で鉛直方向にマスク変更位置から処理位置へと変位可能であるマスクキャリアを有する。処理位置において、マスクは基板表面上の接触位置に載置される。
【0008】
基板ホルダは、別のリフト装置によりその搭載位置から処理位置へと変位させられる。このために好ましくは、リアクタハウジングの外側に配置された駆動装置により鉛直方向に変位可能である基板リフトプレートが設けられる。基板リフトプレートは、支持柱を担持する。しかしながら、複数の支持柱があることも可能である。支持柱は、外部環境に対して気密態様でシールされたリアクタハウジングの内側に配置されている。マスク機構を支持する支持フレームもまた、リアクタハウジングの内側に配置された1又は複数の支持柱により支持されている。その場合、ベローズ機構等の運動伝達手段が設けられることによってリアクタの外側から支持柱を鉛直方向に変位させる。したがって、運動伝達手段は、気密性の運動伝達手段である。よって、基板リフトプレート及びマスクリフトプレートは、ハウジングの外側に位置する。
本発明によれば、支持フレームをその処理位置において基板ホルダに接続するための拘束手段が設けられる。特に、その拘束手段は、それ以外の場合にはマスクリフト装置の支持柱により実行される支持機能を、基板ホルダが引き受けるように構成されている。本発明では、基板ホルダがその処理位置に変位させられたとき、基板ホルダは拘束手段により支持フレームに直接接続される。拘束手段は、V溝と球面の形態をとることができる。球面は、好ましくは、支持フレームに割り当てられた球状要素から形成される。これらの球状要素は、V溝の傾斜側面上で支持される。3つの球状要素の3つのV溝との相互作用により静的に決定された拘束位置が得られる。その場合、それらのV溝の頂点ラインが、共通点で交差することが好ましい。
基板のコーティングを実行するために、装置は先ず、以下に記載するようにセッティングされる。これは、基板ホルダ上に基板を載置せずに行うことができる。搭載のために、基板ホルダは、鉛直方向に降下した搭載位置において基板を搭載される。基板の予備的な配列は、このプロセス中に行われる。その後、基板ホルダは、その拘束手段により支持フレームの下面を把持するまで基板ホルダリフト装置により上昇させられる。マスク機構は未だ上昇位置にあることができ、それによってマスクが基板表面に接触しない。しかしながら、基板ホルダが支持フレームに対するその拘束位置に到達したときに、マスクが基板表面に接触することも可能である。基板ホルダはこの位置より上方に持ち上げられるが、マスクリフトプレートは動かない。この結果、更なるリフト運動によって、支持フレームがマスクリフトプレートから鉛直方向にさらに離れるように移動させられる。マスクリフト装置の少なくとも1つの支持柱は、好ましくは支持フレームにのみ固定されておりマスクリフトプレートには固定されていないので、支持柱の下端はマスクリフトプレートから離れ、それによって支持柱はマスクリフトプレートから機械的に切り離される。したがって、マスクリフトプレートの振動は、支持柱へ伝達されず、よって支持フレームへも伝達されない。しかしながら、機械的な切り離し中、基板ホルダに対する支持フレームの装着の静的な決定が保持されることが重要である。
必要に応じて、その後マスクを基板との接触位置へと降下させるために鉛直調整を用いることができる。マスク変更中又は基板変更中に、加熱されたガス入口装置のガス出口面の前に配置される遮蔽板が、堆積プロセスの開始前にリアクタハウジングのプロセスチャンバから取り除かれる。堆積プロセスが完了した後、マスクリフト装置の支持柱をマスクリフトプレートに再び適宜の態様で機械的に結合させるために、支持柱の、切り離された端部の位置を保持するバネ要素が設けられている。
【0009】
調整装置を設けることができる。調整装置は、マスク機構を載置するマスクキャリアを支持する支持フレーム上に装着されている。その場合、マスク機構は、マスクを把持するフレームを有する。マスクフレームは、マスクキャリアに対する規定された位置を維持するように、適切な手段によりマスクキャリアに拘束することができる。調整装置は、好ましくは、旋回ベアリングの回転軸の周りで回転可能であるように装着された調整レバーを有する。
調整レバーは2つのアームを有する。1つのアームは鉛直方向に装着された制御ロッドと係合する。制御ロッドは、リアクタハウジングの開口を通って気密性のリアクタハウジングの外側の領域へと延在し、そこにアクチュエータが設けられており、それにより制御ロッドはその延在方向に変位することができる。このような調整装置は、鉛直調整装置又は水平調整装置の形態をとることができる。好適な装置は、鉛直調整装置及び水平調整装置の双方を有する。制御ロッドガイド内で制御ロッドを案内することにより、制御ロッドガイドの下端に配置されたアクチュエータユニットの位置とは所定の独立性がある。制御ロッドの上端は、支持フレームに固定的に取り付けることができ、そして下端は、アクチュエータユニットのハウジングに固定的に取り付けることができる。
アクチュエータユニットは、好ましくは、鉛直調整装置の調整レバーを調整するためのアクチュエータと、水平調整装置の調整レバーを調整するためのアクチュエータとを収容している。好ましくは制御ロッドが引きロッドの形態をとるので、制御ロッドガイドが支持フレームへ圧力を伝達するか、又は、アクチュエータユニットのハウジングに取り付けられることが重要となる。しかしながら、それらが支持フレームにすなわちアクチュエータユニットのハウジングに引張に抗する態様で接続されることも好ましく、それによって制御ロッドが引き-押しロッドとして作用することができる。特に支持フレームを支持する支持柱を支持するマスクリフトプレートが開口を有することができ、それを通して、アクチュエータユニットに接続された制御ロッドガイドが自由に通過している。この構成により、例えば支持柱をマスクリフトプレートから機械的に切り離すために、支持フレームをマスクリフトプレートに対して変位させることができる。ここでも、リアクタハウジングの外側に配置されたアクチュエータの鉛直運動をリアクタハウジング内に配置された制御ロッドに伝達するために、気密性の運動伝達手段が設けられている。ここでも、好ましくはベローズ機構が用いられる。
以下、本発明の実施形態の例が添付の図面を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本質的構成要素及びそれらの相互作用を明確とするために高度に概略化した態様で鉛直断面における装置の断面を示し、マスクリフト装置がマスク変更位置に位置し、かつ基板ホルダリフト装置が搭載位置に位置している。
図2図2は、図1と同様の図を示すが、マスクリフト装置が処理位置に変位している。
図3図3は、図2に続く図を示すが、基板ホルダリフト装置が処理位置に変位している。
図4図4は、図3に続く図を示すが、基板リフトプレート12が僅かに上昇し、又は、マスクリフトプレート9が僅かに降下することによって、間隙14が形成されている。
図5図5は、図4に続く図を示すが、基板ホルダ10に基板13を搭載した後、基板ホルダ10を処理位置とし、コーティングされる基板13の基板表面上にマスク4を降下している。
図6図6は、支持フレーム7に対するマスクキャリア6の水平位置及び鉛直位置を調整可能とする鉛直調整装置100及び水平調整装置200の配置を示すために、支持フレーム7に対する概略平面図を示す。
図7図7は、水平調整装置200の調整面201を概略的に示す。
図8図8は、プリズムジョイント210を概略的に示す。
図9図9は、鉛直調整装置100の調整レバー101を概略的に示す。
図10図10は、図1のXの詳細拡大図を示す。
図11図11は、図4のXIの詳細拡大図を示す。
図12図12は、図11のXIIの詳細拡大図を示す。
図13図13は、本発明による装置の台フレームの斜視図を示す。
図14図14は、支持フレーム7に対する平面図、及び支持フレーム7のポケットに配置された調整装置100、200を示す。
図15図15は、図13に示す装置の幾つかの部品の展開図を示す。
図16図16は、図14のラインXVI-XVIに沿った断面図を示す。
図17図17は、図16のXVIIの詳細拡大図を示す。
図18図18は、図16のXVIIIの詳細拡大図を示す。
図19図19は、図16のXIXの詳細拡大図を示す。
図20図20は、図19に示す拡大図の領域であるが、図14のラインXX-XXに沿った断面図を示す。
図21図21は、旋回ベアリング106、206を形成するリーフスプリング27の斜視図を示す。
図22図22は、図21のラインXXIIに沿った断面図を示す。
図23図23は、図21のラインXXIII-XXIIIに沿った断面図を示す。
図24図24は、鉛直調整装置100の斜視図を示す。
図25図25は、調整レバー101に対する平面図を示す。
図26図26は、図25のラインXXVI-XXVIに沿った断面図を示す。
図27図27は、水平調整装置200の斜視図を示す。
図28図28は、水平調整装置を示す。
図29図29は、図28のラインXXIX-XXIXに沿った断面図を示す。
図30図30は、第2の例示的実施形態の水平調整装置を示す。
図31図31は、図30の水平調整装置に対する平面図を示す。
図32図32は、図31のラインXXXII-XXXIIに沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図12は、以下に説明する本発明の動作及び構成の説明に関する詳細を概略的に示す。
【0012】
鋼製のリアクタハウジング2は、外部環境に対して気密態様でシールされ、真空にすることができる。このために真空ポンプ(ここでは図示せず)が設けられる。さらに、リアクタハウジング2は閉鎖可能な開口を有し、それを通してマスク4及びマスクフレーム5からなるマスク機構をリアクタハウジング2内に挿入することができる。リアクタハウジング2の壁も開口(図示せず)を有し、それを通して基板を搭載することができる。
【0013】
鉛直方向に変位可能な基板リフトプレート12は、リアクタハウジング2を担持できるフレーム(図示せず)に装着されている。基板リフトプレート12は、開口を通してリアクタハウジング2内に突出する支持柱11を担持する。支持柱11はそこで基板ホルダ10を担持し、基板ホルダ10は冷却チャネル23を有し、それを通して冷媒が基板ホルダ10の基板支持面を冷却するために流れることができる。リアクタハウジング2において、開口を通して気密態様で支持柱11を動作可能とするために、運動伝達手段、例えばベローズを設けることができる。
【0014】
基板ホルダ10の鉛直上方には、シャワーヘッドの形態のガス入口装置1があり、それは図示しない加熱要素を有することができ、加熱要素は、ガス入口装置1を通って下方のプロセスチャンバ内に導入される有機原材料の蒸気が凝縮しない温度にガス入口装置1を加熱する。
【0015】
リアクタハウジング2の外側には、マスクリフトプレート9も配置されており、それも鉛直方向に変位可能である。支持柱11は、マスクリフトプレート9の開口を通過することができる。ここでも、マスクリフトプレートの運動を気密態様でリアクタハウジング2内に伝達するために適切な運動伝達手段を設けることができる。マスクリフトプレート9は、複数の支持柱8を担持しており、それらは開口を通ってリアクタハウジング2内に突出している。それらの上端において、支持柱8は支持フレーム7を支持し、その中には3つの鉛直調整装置100及び3つの水平調整装置200が配置されている。図1図6では、それらは符号のみで表され、図7図9では機能に関して符号のみで表される。
【0016】
支持柱8の下端は、マスクリフトプレート9上でのみ支持されている。それらの支持柱8は、図示の間隙14を調整できるように、それらが鉛直方向にマスクリフトプレート9から離れて変位可能であるようにバネ要素22によりマスクリフトプレート9に接続されている。そのとき支持柱8は、マスクリフトプレート9から切り離されている。
【0017】
支持柱8は中空である。制御ロッドガイド109は、鉛直調整装置100の制御ロッド108のためにマスク支持柱の空洞内に延在し、制御ロッドガイド209は、水平調整装置200の制御ロッド208のためのマスク支持柱の空洞内に延在している。1つの制御ロッドガイド109及び1つの制御ロッドガイド209は、それぞれマスクリフトプレート9の開口17を通過し、そしてそれらの下端はアクチュエータユニット16のハウジングに接続されている。したがって、アクチュエータユニット16は、直接的にマスクリフトプレート9に接続されていない。アクチュエータユニット16には、制御ロッド108を制御ロッドガイド109内で変位させるための第1のアクチュエータ121が配置され、そして制御ロッド208を制御ロッドガイド209内で変位させるための第2のアクチュエータ221が配置されている。
【0018】
鉛直調整装置100は、旋回ベアリング106を具備する調整レバー101をそれぞれ有する。旋回ベアリング106の回転軸107同士は、支持フレーム7により囲まれた面内にある点P1で交差する(図6参照)。
【0019】
水平調整装置200は3つの調整レバー201を有し、それらは、大凡、3つの調整レバー101も配置されているところに配置されている。調整レバー201はさらに、旋回ベアリング206の周りで回転可能である。旋回ベアリング206の回転軸207同士は、点P2において交差する。点P1と点P2の位置は、原理的には任意とすることができる。しかしながら好ましくは、点P1と点P2がほぼ一致している。図6に一点鎖線で示される軸107、207は、好ましくは120°の角度αをなす。しかしながら、その角度は100°~160°の範囲内とすることもできる。
【0020】
図7は、水平調整装置200の単一要素の構成を概略的に示している。支持フレーム7に固定的に接続された旋回ベアリング206は、特に遊びなしで、ここではアングルレバーとして構成された調整レバー201をリーフスプリングベアリングを用いて支持する。短尺レバーアーム203の約5倍の長さである長尺レバーアーム202が水平方向に延在し、一方、短尺レバーアーム203は鉛直方向に延在する。長尺アーム202の自由端における関節点204において制御ロッド208が関節接続され、制御ロッド208は管状の制御ロッドガイド209内で鉛直方向に変位可能である。短尺アーム203の自由端における関節点205においてリンクアーム210が関節接続され、リンクアーム210は他方で柱222に関節接続され、柱222はマスクキャリア6に固定的に接続されている。
【0021】
制御ロッド208が鉛直方向に変位する場合、調整レバー201がその旋回ベアリング206の周りで回転することで、図7の両矢印の方向の水平運動となる短尺アーム203上の関節点205の変位を生じさせる。この水平運動は、剛体柱222を介してマスクキャリア6に伝達される。
【0022】
図8は、リンクアーム210の好ましい構成の例を示す。リンクアームは、端部片213及び214により短尺アーム203の関節点205及び柱222に接続される。端部片213、214の互いに対向する側には凹部216を有し、その中で、押しロッド211の互いに反対向きの先端215が支持されている。各凹部216はカップ状の最下点を有し、そこで先端215が支持されている。端部片213、214は、反対側にも凹部216’を有し、その中で支持要素217、217’が支持されている。支持要素217、217’は、引張部材212により互いに接続されている。ここで、これらは、一端を支持要素217に取り付けられた引きロッドの形態をとる。それらの他端は、他方の支持要素217’の通路218を通過する。先端215の反対側では、ここでは圧縮バネであり支持要素217’上で支持されるバネ要素220が引張部材212により貫通され、それらのバネ要素220の他端は、引張部材212の端が取り付けられた接続片219により作用されることによって、バネ要素220が、凹部216に割り当てられた凹部216内の先端215を保持する引張力を形成する。
【0023】
図9は、鉛直調整装置100の要素の調整レバー101の構成及びベアリング機構を概略的に示す。それは、短尺アーム103の約5倍の長さである長尺レバーアーム102を具備する2アームレバーの形態をとる。2つのアーム102及び103は、180°の角度で水平方向に延在している。しかしながら、それらは互いに90°の角度でも延在することができる。長尺レバーアーム102の自由端において、管状の制御ロッドガイド109により案内される制御ロッド108が、関節点104で関節接続されている。短尺アーム103の自由端において、マスクキャリア6の下に係合する押しロッド110が関節点105で関節接続されている。押しロッド110は、関節点111においてスライド又は関節接続の態様でマスクキャリア6と係合している。制御ロッド108が鉛直方向に変位した場合、この鉛直変位は、押しロッド110の鉛直変位へと縮小される。さらに、任意のバネ要素120が設けられ、バネ要素120は、押しロッド110がマスクキャリア6に対して単純にスライド接続されている場合にマスクキャリア6に対して鉛直方向に付加的な引張力を印加する。
【0024】
図11及び図12は、基板ホルダ10の上部を示す。基板ホルダ10は、V溝の形態の拘束要素21を有する。V溝21はここでは概略のみを示す。それは延長部24に設けられている。全部で3つのV溝21が設けられる。それらのV溝21の頂点ラインは共通点で交差する。V溝21は水平面内に延在する。V溝21は上方に開いている。
【0025】
支持フレーム7は、その下面に球を有し、それはV溝の側面上で支持される球面20を形成する。V溝21と球面20により形成されるこの拘束手段により、支持フレーム7は、基板ホルダ10により静的に決定された態様で直接支持されることができる。その結果、基板ホルダ10と支持フレーム7との間の剛性かつ特に耐振動性の接続が得られる。支持フレーム7は、調整レバー101及び201によって、マスクフレーム5を担持するマスクキャリア6に機械的に剛接合されている。
【0026】
マスク変更後の装置のセッティングは、好ましくは以下のステップにより行われる。
【0027】
図1に示す位置では、基板ホルダ10と、支持フレーム、マスクキャリア6及び調整装置100、200により形成されるマスクキャリア装置との双方が、それぞれ変更位置を占める。基板は、支持面10’を形成する基板ホルダ10の上面に配置することができる。そのマスクフレーム5を具備する別のマスクを、マスクキャリア6上に配置することができる。開口部を有する薄いマスク4がほぼ1つの面内に延在するように、マスクフレーム5上に引き伸ばされる。
【0028】
交換されたマスク機構3を設けられたマスクキャリア6は、マスクリフトプレート9を変位させることによって図2に示す処理位置へと上方に変位させられる。
【0029】
その後、基板リフトプレート12の変位により、基板ホルダ10が上方に、球面20が未だV溝21内で支持されていない図3に示す位置に持ち上げられる。
【0030】
その後、基板ホルダ10が、マスクリフトプレート9に対して上方に変位させられるか、又は、マスクリフトプレート9が下方に僅かに変位させられる。この基板リフトプレート12とマスクリフトプレート9との間の相対的変位により、球面20がV溝21に入り込む。マスクリフトプレート9と支持フレーム7との間の距離が大きくなる。支持柱8は、引張に抗する態様ではマスクリフトプレート9に接続されていないので、図4に符号14で示すように支持柱8とマスクリフトプレート9との間に間隙が形成される。支持フレーム7は、もはやマスクリフトプレート9によって支持されておらず、基板ホルダ10のみによって支持され、特に球面20がV溝21の側面上でそれぞれ支持される3つの支持点において支持されている。
【0031】
次のステップでは、図4に示す動作位置において、マスク4の縁と基板ホルダ10との間の鉛直方向の距離が、近接スイッチの形態をとり得る図11に示す距離センサ25により少なくとも3つの位置において決定され、好ましくは鉛直調整装置100の要素が配置された3つの位置において決定される。それらの鉛直方向の距離が均等になるまで、鉛直調整装置100の調整レバー101を用いてそれらの鉛直方向の距離が変更される。その後、マスク4は、基板ホルダ10に対して平行に位置する。
【0032】
しかしながら、本発明の変形形態では、距離センサ25を支持フレーム7に取り付けることもできる。
【0033】
マスク4が基板ホルダ10の上面10’に対して平行な位置とされた後、基板ホルダ10は、基板13を搭載するためにその搭載位置(図2)へと降下させて戻すことができる。その後、基板ホルダ10は処理位置へと変位させられ、そこではマスク4が、最初はまだ基板13の上面から例えば0.5mmの僅かな離間距離を有している。マスク4は、水平調整装置200及び画像調整補助具(図示せず)を用いて基板13に対して水平方向に調整することができる。このために、マスクの配列マーク(図示せず)が基板の配列マーク(図示せず)と一致させられる。調整レバー101、及び各短尺アーム103のマスクキャリア6との関節的な接続によって、マスクキャリア6は、面内で線形にのみ変位できるのではない。マスクキャリア6は回転することもできる。調整補助具は、基板ホルダに取り付けられたレーザーを有することができ、そしてそのレーザービームがマスクに向かう方向に向けられる。
【0034】
図13図32は、基板上に有機分子を堆積するための本発明の装置を詳細に示す。図13の斜視図は、マスクリフトプレート9及び基板リフトプレート12が互いに実質的に独立して鉛直方向に変位可能であるフレームを具備する台フレームを示す。マスクリフトプレート9及び基板リフトプレート12の変位のために電気的駆動部が設けられる。マスクリフトプレート9により、マスクキャリア6を担持する支持フレーム7が鉛直方向に変位可能であり、マスクキャリア6は他方では、シャドウマスク(図示せず)が取り付けられたマスクフレーム5を担持する。シャドウマスクは、鉛直方向において僅かだけ撓むようにマスクフレーム5に対して挟持される。基板ホルダ及びそれに載置される基板は、気密性のリアクタハウジングであるのでこの図では隠れている。
【0035】
図14は、マスクキャリア6を取り外した支持フレーム7の方を向いた平面図である。支持フレーム7は、長方形の輪郭と、水平調整装置200が中に配置されたポケット28とを有する。それらのポケット28は上方に開いており、鉛直調整装置100が中に配置されたポケット29も同様である。各鉛直調整装置100は、それぞれ押しロッド110を有する。それらの押しロッド110は、三角形の頂点に配置されている。水平調整装置200は、水平方向に変位可能な柱222を有する。柱222もまた、三角形の頂点に配置されている。
【0036】
2つの調整装置は、支持フレーム7の短いレグ上に、その延在方向に前後して位置している。鉛直調整装置100は、水平調整装置200と並んで延在している。押しロッド110と柱222は、鉛直調整装置100及び水平調整装置200により形成される配置における互いに反対側の2つの端部に位置している。
【0037】
鉛直調整装置100及び水平調整装置200の2つの更なる鏡像配置が、もう一方の短いフレームレグの隅領域に配置されている。ここでも、鉛直調整装置100が、水平調整装置200の隣に配置され、押しロッド110が柱222の反対側に配置されている。鉛直調整装置100及び水平調整装置200の配置は、調整レバー101、201の旋回ベアリング106、206がそれぞれ支持フレーム7により囲まれた領域内の点の方に向くようになっている。
【0038】
図15は、調整装置100、200の旋回ベアリング206、106が装着されるベアリング凹部30を示す。これらは、それぞれ半円凹部の形態をとって互いに並んでおり、その中に旋回ベアリング106、206のスタブシャフトが配置されている。ベアリング凹部30を上方にてロックするベアリングロック要素31が設けられる。
【0039】
図17は、鉛直調整装置100の断面を示す。調整レバー101は、旋回ベアリング106の周りで回転可能に装着されている。調整レバー101は、水平方向に延在する長尺アームを有する。長尺アーム102の端部における関節点104にて制御ロッド108が関節接続され、それは制御ロッドガイド109を通って延在している。バネ要素120が、やはり水平方向に延在する調整レバー101の短尺アーム103と係合している。短尺アーム103は、バネ要素により上方に引っ張られている。短尺アーム103上には、マスクキャリア6上で支持される押しロッド110もある。
【0040】
図18は、水平調整装置200の複数の例の1つを示す。レバーアーム201が、旋回ベアリング206の周りに装着されている。レバーアームは、長尺レバーアーム202と、短尺レバーアーム203とを有する。長尺レバーアーム202は水平方向に延在し、そして関節点204において制御ロッド208と関節接続され、制御ロッド208は、制御ロッドガイド209を通って鉛直方向に延在している。
【0041】
短尺レバーアーム203は、鉛直方向上方に延在している。リンクアーム210は、短尺レバーアーム203と関節接続されている。リンクアーム210は、押しロッド211とバネ要素220の形態の引張部材とを有する。押しロッド211は、その一端にて短尺アーム203上で支持され、その他端にて柱222上で支持され、柱222は曲げ抵抗を有する態様でマスクキャリア6に接続されている。バネ要素226は、柱222に対して下方への負荷を掛ける。バネ要素226はポケット28の床に取り付けられている。
【0042】
図19は、マスクリフトプレート9を貫通する通路17を示す。部品35がマスクリフトプレート9に取り付けられ、その部品の上で端部プレート33を支持可能である。ベローズ26の形態の運動伝達手段が、端部プレート33に取り付けられている。ベローズの外側は大気圧であり、ベローズの内側は真空又は低圧である。端部プレート3の縁領域は、バネ22により部品34に対してバネ付勢されている。部品34は、部品35と同様に、マスクリフトプレート9に固定的に接続されている。マスクリフトプレート9が降下されるとき、端部プレート33は部品35から離れ、部品34と部品35との間の空間に浮くことができる。
【0043】
部品33はリング片36を担持しており、リング片36は、鉛直調整装置の制御ロッド108用の通路125、及び、水平調整装置200の制御ロッド208用の通路225を形成している。それらのリング片6は、それぞれベローズ223、123の端部分であり、それらの他端において、押しロッド108、208に固定的に接続されたリング片124、224を形成している。したがって、ベローズ123、223は、制御ロッド108及び208のための運動伝達手段を形成している。ベローズ123、223の内側は大気圧である。ベローズ123、223の外側は、真空又は低圧である。
【0044】
リング片124、224の上方には、端部プレート33に固定的に接続されたブリッジ32がある。制御ロッドガイド109、209は両方とも管状の形態であり、ブリッジ32上で支持されている。制御ロッド109、209が支持柱として機能できることによって、端部プレート33が部品35上に載置されたとき、マスクリフトプレート9により支持フレーム7を支持する。そのとき、ブリッジ32は、端部プレート33に剛性的に接続されていることが好ましい。
【0045】
制御ロッド108、208の2つの下端は、アクチュエータ121、221に接続されている。図19には示されていないアクチュエータハウジングは、端部プレート33に、したがってブリッジ32にも固定的に接続されている。
【0046】
図20の断面は、図19と同様の、後方に変位した断面を示す。端部プレート33は、ここでは球37により部品35に対して支持されている。部品35は、ここでは2つのV溝38を形成し、それらは互いに反対側に位置し、そしてその中に球37が位置している。
【0047】
図21は、旋回ベアリング106及び206に用いられるリーフスプリング要素27の斜視図を示す。中央領域42が調整レバー101又は201を支持する。このために調整レバーが円形孔を有し、その円形孔は、中央領域42が旋回ベアリング106又は206のベアリング孔内に回転可能に固定されて位置するようにクランプ螺子を用いて狭めることができる。
【0048】
両方の軸方向において、調整レバー101、201の広い面からスタブシャフト41、43が突出している。リーフスプリング27の2つの部分の間、すなわちスタブシャフト41の領域と中央領域42との間及びスタブシャフト43の領域と中央領42との間には、ジョイント44が延在している。リーフスプリング27の端部には、ウェブ39又は40がそれぞれ設けられ、ウェブ39はスタブシャフト41、32の領域に配置され、そしてウェブ40は中央領域42に配置されている。中央領域42が2つの外側のスタブシャフト41、43の領域に対して回転する場合、ウェブ39、40が曲がることによって、単に曲げの結果として摩擦のない態様で回転運動が生じ得る。その際、ジョイント44の領域においてリーフスプリングの領域42と43が互いに対して回転方向に動く。
【0049】
図24図26は、鉛直調整装置の調整レバー101を示す。押しロッド110は、開口126内に挿入される。旋回ベアリング106を形成するリーフスプリングは、ベアリングアイ127に挿入することができる。
【0050】
図27図29は、水平調整装置の実施形態の一例を示す。調整レバー201は長尺アーム202を有し、その端部に関節点204が配置されている。リーフスプリング27が、ベアリングアイ227に挿入される。短尺レバーアーム203は、短尺レバーアーム203を効果的に形成する端部片213を担持している。引張部材212は、端部片の一方の面上で支持されている。端部片213の他方の面上では押しロッド211が支持されている。引張部材212は空洞を有し、それを押しロッド211が通過している。押しロッド211は、マスクキャリア6に固定的に接続された柱22上に置かれた他方の先端により、端部片214上で支持されている。引張部材212の一部228は、圧縮ばねとして構成されたバネ要素220の背面に係合する。バネ要素220は別の引張部材230の突起229上で支持されている。引張部材230は管形態を有し、バネ要素220をその外壁上で支持している。引張部材230は、端部片214に取り付けられている。引張部材は、ここでは互いにバネ付勢された2つの引張部材により形成されている。
【0051】
図30図32は、水平調整装置200の別の例示的実施形態を示し、その場合、引張部材212が互いに平行に延在する2つの引きロッドからなる。ここでも、調整レバー201が、旋回ベアリング206を形成するためのベアリングアイを有し、その中にリーフスプリングベアリング27が挿入される。ベアリングアイは、リーフスプリングベアリング27の中央領域に対して押圧することができる。この例示的実施形態の説明のために、図8の説明を参照する。
【0052】
上記の説明は、本願により記録された発明を全体的に説明するためのものであり、それは、少なくとも以下の特徴の組合せにより及び各々独立しても従来技術をさらに進展させるものであり、その場合、2つ、複数、又は全てのこれらの特徴の組合せもまた組み合わせることができる。
【0053】
調整装置100、200が、旋回ベアリング106、206の回転軸107、207の周りで回転可能であるように支持フレーム7上に装着された調整レバー101、201を有すると共に、第1のアーム101、202及び第2のアーム103、203を有し、前記第2のアーム103、203がマスクキャリア6と係合し、かつ、アクチュエータ121、221により鉛直方向に変位可能な制御ロッド108、208が第1のアーム102、202と係合することを特徴とする装置。
【0054】
鉛直調整装置100において、前記第2のアーム103及び前記第1のアーム102が水平方向に延在し、前記第2のアーム103が、前記マスクキャリア6に接続された押しロッド110と係合することを特徴とする装置。
【0055】
水平調整装置200において、前記第2のアーム203が鉛直方向に延在すると共に、前記第1のアーム202が水平方向に延在し、前記第2のアーム203が、前記第2のアームに関節接続されたリンクアーム220により前記マスクキャリア6に接続されていることを特徴とする装置。
【0056】
前記第1のアームが前記調整レバー101、201の長尺アームであり、かつ前記第2のアームが前記調整レバー101、201の短尺アームであることを特徴とする装置。
【0057】
前記水平調整装置200の前記リンクアーム220がプリズムジョイントであり、押しロッド211の互いに反対側の先端215が、それぞれ端部片213、214の凹部216内で支持され、かつ、引張部材213が前記端部片213、214と係合すると共に前記凹部216内の前記先端215に対して負荷を掛けることを特徴とする装置。
【0058】
前記引張部材212が取付点217において端部片213に固定的に接続され、前記引張部材により作用するバネ要素220が設けられ、前記バネ要素220が前記引張部材212上で支持されることにより一方の端部片214に対して他方の端部片213の方への力を印加することを特徴とする装置。
【0059】
前記引張部材212が空洞を有し、それを通して前記押しロッド211が案内されることを特徴とする装置。
【0060】
前記引張部材212が2つの入れ子要素を有し、前記要素のうちの内側の1つが、圧縮バネの形態のバネ要素220により囲まれていることを特徴とする装置。
【0061】
前記旋回ベアリング106、206が、摩擦のないリーフスプリングベアリングであることを特徴とする装置。
【0062】
前記長尺レバーアーム102、202が、前記短尺レバーアーム103、203の少なくとも5倍、好ましくは少なくとも6倍の長さであることを特徴とする装置。
【0063】
前記マスクキャリア6と、前記調整レバー101、201と、前記支持フレーム7とが、外部環境に対して気密態様でシールされたリアクタハウジング2内においてマスクリフト装置により鉛直方向に変位可能であるように配置されており、前記制御ロッド108、208と、前記支持フレーム7に対して作用する支持柱とが、前記リアクタハウジング2の外側から気密性の運動伝達手段によって変位可能であることを特徴とする装置。
【0064】
特にマスクリフトプレート9を有する前記マスクリフト装置が、前記リアクタハウジング2の外側に配置されていることを特徴とする装置。
【0065】
前記調整レバー101、201の回転軸107、207が、前記支持フレーム7により囲まれた面内に位置する共通点P1、P2の方に向いていることを特徴とする装置。
【0066】
3つの水平調整装置200の各々、及び/又は、3つの鉛直調整装置100の各々が設けられ、調整レバー101、201をそれぞれ有し、それらの回転軸106、206が、前記共通点P1、P2に対して100°~160°の角度で互いに離れて配置されていることを特徴とする装置。
【0067】
前記制御ロッド108、208が、制御ロッドガイド109、209内で案内され、前記制御ロッドガイド109、209が、上端において圧力伝達態様で前記支持フレーム7に取り付けられると共に、それらの下端において圧力伝達態様でアクチュエータユニット(16)のハウジングに取り付られ、特に、前記アクチュエータユニット16が、前記鉛直調整装置の前記制御ロッド108を変位させるためのアクチュエータ121と、前記水平調整装置200のアクチュエータ221とを有するように設けられていることを特徴とする装置。
【0068】
駆動ユニットにより鉛直方向に変位可能であるマスクリフトプレート9が、開口17を有し、それを通って前記アクチュエータユニットに接続された前記制御ロッドガイド109、209が延在することを特徴とする装置。
【0069】
前記鉛直調整装置100が前記マスクキャリア6と係合する位置において、前記マスク4の縁から前記基板ホルダ10又は前記支持フレーム7までの鉛直方向の距離を検知するように装備された距離センサ25が設けられていることを特徴とする装置。
【0070】
前記距離センサ19が誘導性又は容量性の近接スイッチ、又は、光学的距離計測装置であることを特徴とする装置。
【0071】
以下のステップを有することを特徴とする方法。
- マスクキャリア6を担持する支持フレーム7をマスク変更位置へと変位させるステップ。
- マスク4を把持するマスクフレーム5を有するマスク機構3を前記マスクキャリア6上に配置するステップ。
- 前記マスクキャリア6及び前記マスク機構3と共に前記支持フレーム7を、前記マスク変更位置から処理位置へと鉛直方向に変位させ、前記マスクキャリア6が前記支持フレーム7に対して配列位置をとるステップ。
- 鉛直調整装置が前記マスクキャリア6と係合する3つの位置において、前記処理位置に変位させた前記マスク4の各縁から前記支持フレーム7又は前記基板ホルダ10までの鉛直方向の距離15を決定するステップ。
- 前記距離15が均等になるまで前記鉛直調整装置10を用いて前記距離を変更するステップ。
- 前記基板ホルダ10を搭載位置へと変位させるステップ。
- 基板13を前記基板ホルダ10上に配置するステップ。
- 前記マスクキャリア6が前記配列位置にあるとき、前記基板ホルダ10が前記マスク4から最小の前記距離15を有する前記処理位置へと前記基板ホルダ10を変位させるステップ。
- 前記マスク4が前記基板13に対して配列位置に変位するまで、水平調整装置200を用いて前記マスクキャリア6の水平方向の調整を行うステップ。
- 前記マスクを、前記配列位置から前記基板13の表面に対する接触位置へと前記鉛直調整装置100を用いて降下させるステップ。
【0072】
前記鉛直調整装置100及び/又は前記水平調整装置200が調整レバー101、201を有し、前記調整レバー101、201は、前記リアクタハウジングの外側に配置されたアクチュエータ121、221により変位可能な制御ロッド108、208による鉛直方向の変位を含み、かつ、前記マスクキャリア6に接続された押しロッド110又はリンクアーム210に係合することを特徴とする方法。
【0073】
中心の支持柱11が前記基板ホルダ10を支持し、かつ、前記支持柱11の周囲に配置された複数の支持柱8が前記支持フレーム7を支持することを特徴とする装置。
【0074】
前記基板ホルダ10を、前記支持フレーム7の前記処理位置に拘束する拘束手段20、21を特徴とする装置。
【0075】
前記拘束手段が、V溝21と球面20とを有することを特徴とする装置。
【0076】
前記球面20が、前記支持フレーム7の球状要素により形成され、かつ、前記球面20が前記基板ホルダ10により形成された前記V溝21の側面上で支持されることを特徴とする装置。
【0077】
V溝21とそれぞれ相互作用する前記球状要素が設けられ、それらの前記V溝21が共通点の方に向いて配列していることを特徴とする装置。
【0078】
前記マスクリフト装置が、前記リアクタハウジング2の外側に配置された駆動装置により鉛直方向に変位可能である少なくとも1つの支持柱8を有することを特徴とする装置。
【0079】
前記基板ホルダリフト装置が、前記リアクタハウジング2の外側に配置された駆動装置により鉛直方向に変位可能である少なくとも1つの支持柱11を有することを特徴とする装置。
【0080】
前記マスクリフト装置及び/又は前記基板ホルダリフト装置が、前記リアクタハウジング2に接続されたフレーム上で案内され水平方向に延在するマスクリフトプレート9又は基板リフトプレート12を有することを特徴とする装置。
【0081】
特にベローズ機構である気密性の運動伝達手段が設けられ、それによって前記駆動装置の鉛直方向の運動が前記支持柱8、11に伝達されることを特徴とする装置。
【0082】
前記マスク4が前記基板13の表面に接触して載置されている前記マスク機構3の処理位置において、前記マスクリフト装置の前記支持柱8が、前記リアクタハウジング2に機械的に結合したフレームに取り付けられたマスクリフトプレート9から機械的に切り離されていることによって、前記支持フレーム7が前記基板ホルダ10のみにより支持されることを特徴とする装置。
【0083】
前記支持柱8の前記マスクリフトプレート9からの機械的な切り離しは、前記支持柱8と前記マスクリフトプレート9との間の間隙14の形成により得られることを特徴とする装置。
【0084】
前記マスクリフトプレート9から機械的に切り離された前記支持柱8をその位置に保持するためのバネ要素22を特徴とする装置。
【0085】
中心の支持柱11が前記基板ホルダ10を支持すると共に、前記支持柱11の周囲に配置された複数の支持柱8が前記支持フレーム7を支持することを特徴とする装置又は方法。
【0086】
前記支持フレーム7に対する前記マスクキャリア6の位置を調整するための調整装置100、200であって、前記支持フレーム7上で前記調整装置100、200が、アクチュエータ121、221により鉛直方向に変位可能である制御ロッド108、208と係合することを特徴とする装置。
【0087】
前記制御ロッド108、208が、外部環境に対して気密態様でシールされたリアクタハウジング2の外側から気密性の運動伝達手段を用いて変位可能であることを特徴とする装置。
【0088】
開示されたすべての特徴は、(個別に、そして互いの組合せの双方において)本発明にとって不可欠である。本願の開示において、関連する/添付の優先書類の開示内容(先行出願の複写)もまた、本願の請求項にこれらの書類の特徴を組込む目的のために、ここに完全に包含される。従属項は、特にこれらの請求項に基づいて分割出願を行うために、先行技術の本発明の開発とは独立した構成を特徴とする。各請求項で特定される本発明は、上記の説明で説明された特徴、特に参照符号を備えた特徴および/または参照符号のリストで特定された特徴をさらに含むことができる。本発明はまた、特に個々の目的のために認識可能に不要であるか、または他の技術的に均等の手段で置き換えることができる限り、上記の説明で言及した特徴の各々が実装されない形態にも関連する。
【符号の説明】
【0089】
1 ガス入口装置
2 リアクタハウジング
3 マスク機構
4 マスク
5 マスクフレーム
6 マスクキャリア
7 支持フレーム
8 支持柱
9 マスクリフトプレート
10 基板ホルダ
10’ 支持面
11 支持柱
12 基板リフトプレート
13 基板
14 間隙
15 距離
16 アクチュエータユニット
17 開口
19 保持バネ
20 球面
21 V溝
22 バネ要素
23 冷却通路
24 延長部
25 距離センサ
26 運動伝達手段、ベローズ
27 リーフスプリング、リーフスプリングベアリング
28 ポケット
29 ポケット
30 ベアリング凹部
31 ベアリングロック要素
32 ブリッジ
33 端部プレート
34 部品
35 部品
36 リング片
37 球
38 V溝
39 ウェブ
40 ウェブ
41 スタブシャフト軸方向端部
42 中央領域
43 スタブシャフト軸方向端部
100 鉛直調整装置
101 調整レバー
102 長尺アーム
103 短尺アーム
104 関節点
105 関節点
106 回転軸、旋回ベアリング
107 回転軸
108 制御ロッド
109 制御ロッドガイド
110 押しロッド
120 バネ要素
121 アクチュエータ
123 ベローズ
124 リング
125 開口
126 開口
127 ベアリングアイ
200 水平調整装置
201 調整レバー
202 長尺アーム
203 短尺アーム
204 関節点
205 関節点
206 旋回ベアリング
207 回転軸
208 制御ロッド
209 制御ロッドガイド
210 リンクアーム
211 押しロッド
212 引張部材
213 端部片
214 端部片
215 先端
216 凹部
216’ 凹部
217 支持要素
217’ 支持要素
218 開口
219 接続片
220 バネ要素
221 アクチュエータ
222 柱
223 ベローズ
224 リング
225 開口
226 バネ要素
227 ベアリングアイ
228 引張部材の一部
229 突起
230 引張部材
P1 点
P2 点
α 角度
図1
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