(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】誘電体堆積で使用するための消失しないアノード
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20230220BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
C23C14/34 T
H01L21/31 D
(21)【出願番号】P 2018545945
(86)(22)【出願日】2017-03-29
(86)【国際出願番号】 US2017024749
(87)【国際公開番号】W WO2017189146
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-02-07
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】コックス マイケル エス
(72)【発明者】
【氏名】ハウリーチャク ララ
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト ブライアン ティー
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-188108(JP,A)
【文献】特開2006-199989(JP,A)
【文献】特開平08-124857(JP,A)
【文献】特表2013-501855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/34
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバのための処理キットであって、
導電性円筒状本体を含み、
前記導電性円筒状本体は円筒状シールドとして構成され、前記導電性円筒状本体は内部表面と外部表面を有し、前記導電性円筒状本体は、前記プラズマ処理チャンバ内で前記導電性円筒状本体が使用中であるとき、前記導電性円筒状本体の頂部および垂直中心線を画定する向きを有し、前記導電性円筒状本体の頂部は、前記プラズマ処理チャンバによって支持され、前記垂直中心線から半径方向に延びるように構成され、前記導電性円筒状本体が、前記プラズマ処理チャンバ内で使用中であるときプラズマに曝される前記導電性円筒状本体の前記内部表面に形成された特徴物のアレイを有し、前記特徴物の前記アレイ内の各特徴物が、前記内部表面を越えて延びる突起、前記導電性円筒状本体の前記内部表面に形成された開口、前記開口から前記外部表面に向かって前記導電性円筒状本体に延びる窪みによって画定され、前記窪みが前記導電性円筒状本体の前記内部表面を露出させ、前記窪みが前記内部表面から等距離の前記開口を通って延びる幾何学的中心線を有し、前記幾何学的中心線が、前記導電性円筒状本体の頂部から離れて前記開口を通って前記垂直中心線に向かって延び、前記幾何学的中心線が前記導電性円筒状本体の前記垂直中心線と鈍角を形成し、各特徴物は前記幾何学的中心線の向きを有し、前記導電性円筒状本体の底部に向けられている、プラズマ処理チャンバのための処理キット。
【請求項2】
前記特徴物は、
前記導電性円筒状本体の前記頂部に最も近い前記開口の側に画定された張出し部分をさらに含み、プロファイルのより大きい部分が、前記垂直中心線を通って垂直に延び、前記張出し部分の先端と交差する想像線の上に存在する、請求項1に記載の処理キット。
【請求項3】
前記導電性円筒状本体が、堆積リング、カバーリング、または円筒状シールドのうちの1つまたは複数として構成される、請求項1に記載の処理キット。
【請求項4】
前記導電性円筒状本体の前記
内部表面がグリットブラストテクスチャを有し、前記グリットブラストテクスチャが約175μinから約450μinの間の表面粗さを有する、請求項1に記載の処理キット。
【請求項5】
RF物理的気相堆積(RFPVD)チャンバのための処理キットであって、
導電性円筒状本体を含み、
前記導電性円筒状本体は円筒状シールドとして構成され、前記導電性円筒状本体は内部表面と外部表面を有し、前記導電性円筒状本体は、前記RFPVDチャンバ内で前記処理キットが使用中であるとき、前記導電性円筒状本体の頂部および垂直中心線を画定する向きを有し、前記導電性円筒状本体の頂部は、前記RFPVDチャンバによって支持され、前記垂直中心線から半径方向に延びるように構成され、前記導電性円筒状本体は、前記処理キットが前記RFPVDチャンバ内で使用中であるときプラズマに曝される前記導電性円筒状本体の実質的に垂直な表面に形成された特徴物のアレイを有し、前記特徴物の前記アレイ内の各特徴物が、前記内部表面を越えて延びる突起、前記導電性円筒状本体の前記内部表面に形成された開口、前記開口から前記外部表面に向かって前記導電性円筒状本体に延びる窪みによって画定され、前記窪みが前記導電性円筒状本体の前記内部表面を露出させ、前記窪みが前記内部表面から等距離の前記開口を通って延びる幾何学的中心線を有し、前記幾何学的中心線が、前記導電性円筒状本体の頂部から離れて前記開口を通って前記垂直中心線に向かって延び、前記幾何学的中心線が前記導電性円筒状本体の前記垂直中心線と鈍角を形成し、各特徴物は前記幾何学的中心線の向きを有し、前記導電性円筒状本体の底部に向けられている、処理キット。
【請求項6】
前記特徴物の
プロファイルが、
前記開口を通って前記導電性円筒状本体の前記頂部から離れるように延びる幾何学的中心線をさらに含み、前記幾何学的中心線が、前記導電性円筒状本体の前記垂直中心線と鈍角を形成し、前記特徴物は、前記処理キットが前記RFPVDチャンバ内で使用中であるときスパッタリングターゲットへの直線露出を防止する構成を有する影区域を有する、請求項5に記載の処理キット。
【請求項7】
前記導電性円筒状本体が堆積リングとして構成される、請求項5に記載の処理キット。
【請求項8】
前記導電性円筒状本体がカバーリングとして構成される、請求項5に記載の処理キット。
【請求項9】
前記導電性円筒状本体が円筒状シールドとして構成され、垂直表面が前記導電性円筒状本体の内側円筒状側壁を画定する、請求項5に記載の処理キット。
【請求項10】
前記導電性円筒状本体の表面がグリットブラストテクスチャを有し、前記グリットブラストテクスチャが約175μinから約450μinの間の表面粗さを有する、請求項5に記載の処理キット。
【請求項11】
物理的気相堆積(PVD)チャンバであって、
内部容積部に画定されたチャンバ本体と、
前記内部容積部に配設された基板支持体と、
前記基板支持体の上の前記内部容積部に配設されたスパッタリングターゲットと、
前記基板支持体と前記スパッタリングターゲットとの間の前記内部容積部に配設された処理キットとを含み、前記処理キットが、
導電性円筒状本体を含み、
前記導電性円筒状本体は円筒状シールドとして構成され、前記導電性円筒状本体は内部表面と外部表面と垂直中心線を有し、前記導電性円筒状本体は、前記PVDチャンバ内で使用中であるときプラズマに曝される前記導電性円筒状本体の表面に形成された特徴物のアレイを有し、前記特徴物の前記アレイ内の各特徴物が、前記内部表面を越えて延びる突起、前記導電性円筒状本体の前記内部表面に形成された開口、前記開口から前記外部表面に向かって前記導電性円筒状本体に延びる窪みによって画定され、前記窪みが前記導電性円筒状本体の前記内部表面を露出させ、前記窪みが前記内部表面から等距離の前記開口を通って延びる幾何学的中心線を有し、
前記幾何学的中心線が、前記ターゲットから離れて前記開口を通って前記垂直中心線及び前記幾何学的中心線に向かって延び、前記幾何学的中心線が前記導電性円筒状本体の前記垂直中心線と鈍角を形成し、各特徴物は前記幾何学的中心線の向きを有し、前記導電性円筒状本体の底部に向けられており、前記導電性円筒状本体の頂部は、前記PVDチャンバによって支持され、前記垂直中心線から半径方向に延びるように構成されている、物理的気相堆積(PVD)チャンバ。
【請求項12】
前記特徴物のプロファイルが、前記垂直中心線を通って垂直に延びる想像線の上で、前記導電性円筒状本体の頂部に最も近い前記開口のエッジの上に存在するより大きい部分を有する、請求項11に記載のPVDチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラズマ強化処理を利用したチャンバ内の誘電体膜の堆積に適用される。より詳細には、本発明の実施形態は、物理的堆積チャンバのアノードを維持するのに好適な処理キットに関する。
【背景技術】
【0002】
物理的気相堆積(PVD)またはスパッタリングは、電子デバイスの製造において最も一般的に使用される処理のうちの1つである。PVDは、負にバイアスされたターゲットが比較的重い原子(例えば、アルゴン(Ar))を有する不活性ガスまたはそのような不活性ガスを含む混合ガスのプラズマ、すなわち荷電粒子に曝される真空チャンバ内で実行されるプラズマ処理である。追加として、ターゲット材料と結合する酸素、窒素などのような反応性ガスもまた使用することができる。プラズマは、混合ガスにエネルギー(RF、磁気、電気、…)を供給することによってチャンバ内に維持される。不活性ガスのイオンでターゲットに衝撃を与えることにより、ターゲット材料の原子の放出がもたらされる。放出された原子は、チャンバ内に配設された基板支持体ペデスタルに置かれた基板に堆積膜として蓄積する。
【0003】
処理キットは、プラズマの荷電粒子に対してアノードとして働くことができる。誘電体膜がPVDチャンバ内で膜として堆積される場合、誘電体層が処理キットならび基板に堆積される。処理キットに堆積された誘電体層はプラズマの特性に悪影響を与え、それは、被覆されていないアノードを基準としてプロセスドリフトを引き起こす。プラズマ特性、主として電圧のドリフトは、基板上の堆積膜に、それゆえに、基板上に形成されるデバイスの品質および性能に悪影響を与える。追加として、プラズマ電圧が十分に上昇すると、プラズマは、アーク放電によって放電することになり、アーク放電は、処理キットまたは基板に堆積された誘電体材料を通る孔を作り出し、それにより、基板への汚染および/または損傷を引き起こすことになる。プラズマがチャンバの上部部分でアーク放電しない場合、アーク放電は、チャンバ区域の下部部分の基板支持体またはペデスタルの下で発生し、プラズマを徐々に減らし不安定にし、再び堆積膜品質に悪影響を与えることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以前の解決策は、キットが被覆されたときプラズマ電圧ドリフトによって引き起こされるプロセスドリフトを除くために何もしないままチャンバ可用性および処理安定性に悪影響を与える処理キットの頻繁な交換を必要とした。
【0005】
それゆえに、アノードの性能を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、一般に、半導体処理チャンバのためのアノードに関する。より詳細には、本明細書で説明する実施形態はプラズマ処理チャンバのための処理キットに関し、処理キットを有する物理的気相堆積チャンバが本明細書に記載される。1つの例において、プラズマ処理チャンバのための処理キットは、導電性本体を含み、導電性本体は、この本体がプラズマ処理チャンバ内で使用中であるとき、本体の頂部および垂直中心線を画定する向きを有する。本体は、処理チャンバ内で使用中であるときプラズマに曝される本体の表面に形成された特徴物のアレイを有する。特徴物は、表面にプロファイルおよび開口を有する。プロファイルは、開口を通って本体の頂部から離れるように延びる幾何学的中心線を有する。幾何学的中心線は、本体の垂直中心線と鈍角を形成する。
【0007】
別の実施形態では、導電性本体を含むRF物理的気相堆積(RFPVD)チャンバのための処理キットが提供される。本体は、RFPVDチャンバ内で処理キットが使用中であるとき、本体の頂部および垂直中心線を画定する向きを有する。本体は、処理キットがRFPVDチャンバ内で使用中であるときプラズマに曝される本体の実質的に垂直な表面に形成された特徴物のアレイを有する。特徴物は、表面にプロファイルおよび開口を有する。プロファイルのより大きい部分は、垂直中心線を通って垂直に延びる想像線の上で、本体の頂部に最も近い開口のエッジの上に存在する。
【0008】
さらなる別の実施形態では、物理的気相堆積(PVD)チャンバが提供される。PVDチャンバは、内部容積部に画定されたチャンバ本体と、内部容積部に配設された基板支持体と、基板支持体の上の内部容積部に配設されたスパッタリングターゲットと、基板支持体とスパッタリングターゲットとの間の内部容積部に配設された処理キットとを含む。処理キットは、垂直中心線を有する導電性本体を含む。本体は、PVDチャンバ内で使用中であるときプラズマに曝される本体の表面に形成された特徴物のアレイを有する。特徴物は、表面にプロファイルおよび開口を有する。プロファイルは、開口を通ってターゲットから離れるように延びる幾何学的中心線を有する。幾何学的中心線は、本体の垂直中心線と鈍角を形成する。
【0009】
本発明の上述で列挙した特徴を詳細に理解できるようにするために、上述で簡単に要約した本発明のより詳細な説明を、実施形態を参照して行うことができ、実施形態のうちのいくつかを添付図面に示す。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、それゆえに、本発明は他の等しく効果的な実施形態を認めることができるので、本発明の範囲を限定すると見なされるべきでないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】上部シールドを有する半導体処理システムの簡単化した断面図である。
【
図2】表面テクスチャの一実施形態を有する上部シールドの部分断面図である。
【
図3】表面テクスチャの別の実施形態を有するチャンバライナの部分断面図である。
【
図4】表面テクスチャの他の実施形態のための部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするために、図に共通する同一の要素を指定するのに、可能な限り、同一の参照番号を使用している。ある実施形態で開示された要素は、特定の詳述なしに他の実施形態で有益に利用できることが意図されている。
【0012】
本発明の実施形態は、一般に、物理的気相堆積(PVD)チャンバで使用するための処理キットを提供する。一実施形態では、処理キットは、使用中に堆積材料によって全面的に被覆されるのを実質的に防止するように構成されたアノードを備え、これにより、チャンバ部品、すなわち処理キットのより長い耐用寿命とともにより優れた処理均一性および反復性に寄与する強固なリターン経路が維持される。
【0013】
方向性のある表面形状またはテクスチャが、上部シールドなどのチャンバアノードの内部表面に配設され、影区域(shadowed area)を作り出すことができる。影区域は、アノードの垂直上方に位置づけられたターゲットへの直線露出から遮蔽される特徴物の区域として画定される。表面形状における影区域は、堆積材料がそこに蓄積されるのを実質的に阻止される。影区域は、堆積材料がチャンバアノードを絶縁し分離し、プラズマの電気接地経路を遮断しないようにする。表面形状は、機械的もしくは化学的侵食によりエッチングされたか、レーザもしくは電子ビーム表面変形、3D印刷により形成されたか、または他の好適な技法により形成された部品表面、すなわち、アノードに加工することができる。影区域では堆積が生じないかまたは堆積が十分に薄いので、DCおよび/またはRFリターン経路が多くの堆積サイクルを通して維持され、それにより、処理安定性が提供され、処理キットなどのチャンバ部品の耐用寿命が延ばされる。
【0014】
一実施形態では、方向性のある表面形状または特徴物は、表面変形の形態とすることができる。表面変形は影区域を有し、影区域により、プラズマのために存続可能な接地リターン経路が確実に維持される。十分な深さの堆積膜が表面変形の入口の大部分を閉鎖した場合、影区域には堆積膜が実質的にないままであるために、接地リターンは存続可能なままである。処理キットの膜厚は、粒子脱落を防止するためにモニタすることができる。それにより、表面変形、特に、影区域は、プラズマの安定性の強化を可能にし、誘電体膜に関連するアーク放電の可能性を低減または除去しながら、誘電体堆積膜に対するキット寿命をより長くする。
【0015】
図1は、上部シールド160を有する例示的な半導体処理チャンバ100を示す。上部シールド160は、処理キット150の一部とすることができる。処理キット150はまた、カバーリング170、絶縁体リング180、および/または下部シールド137を含むことができる。処理キット150、またはその一部分、例えば上部シールド160などは、プラズマ処理動作の間RFリターン経路を与えるためのチャンバアノード112として働くことができる。
【0016】
処理チャンバ100は、基板105に膜を堆積させることができるスパッタリングチャンバ、すなわち、物理的気相堆積(PVD)チャンバとすることができる。例えば、処理チャンバ100は、酸化ケイ素(SiO2)などの誘電体材料を基板105に堆積させることができる。他の堆積チャンバも本発明から利益を得るように構成できることが意図される。
【0017】
処理チャンバ100は、内部容積部110を囲む側壁104、底壁106、およびリッドアセンブリ108を有するチャンバ本体101を含む。チャンバ本体101は、ステンレス鋼、アルミニウム、またはから他の好適な材料から形成することができる。側壁104は、一般に、処理チャンバ100からの基板105の出入りために設けられるスリットバルブ(図示せず)を含む。リッドアセンブリ108は、上部シールド160と協力して、内部容積部110に形成されたプラズマ111を基板105の上の領域に閉じ込める。
【0018】
処理チャンバ100は、基板105を処理するために処理チャンバ100の動作を制御するように構成された命令セットを有するプログラムコードを含むコントローラ190によって制御される。例えば、コントローラ190は、材料の層を基板105に堆積させるために処理チャンバ100においてPVC処理を実行する命令セットを含むプログラムコードを含むことができる。
【0019】
ペデスタルアセンブリ120は、処理チャンバ100の内部容積部110に配設される。ペデスタルアセンブリ120は、処理の間、基板105に加えて堆積リング125を支持する。ペデスタルアセンブリ120は、処理チャンバ100の底壁106または側壁104から支持することができる。一実施形態では、ペデスタルアセンブリ120は、ペデスタルアセンブリ120を上側位置と下側位置との間で移動させるように構成されたリフト機構122によって処理チャンバ100の底壁106に結合される。
【0020】
ペデスタルアセンブリ120は、一般に、プラットホームハウジング128に密閉結合された基板支持体126を含む。プラットホームハウジング128は、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属材料から製造することができる。基板支持体126を熱的に調整するために、冷却プレート(図示せず)がプラットホームハウジング128内に配設されてもよい。基板支持体126は、アルミニウム合金、セラミック、または他の好適な材料で構成することができる。基板支持体126は、処理の間基板105を受け取り支持する基板受け面127を有する。基板支持体126はまた、基板105の張出しエッジの前で終了する周辺エッジ129を有する。基板支持体126は、静電チャック、セラミック体、ヒータ、またはそれらの組合せとすることができる。一実施形態では、基板支持体126は静電チャックであり、静電チャックは、内部に埋め込まれた導電層を有する誘電体を含む。
【0021】
リッドアセンブリ108は、一般に、リッド130と、スパッタリングターゲット132と、マグネトロン134とを含む。リッド130は側壁104によって支持される。スパッタリングターゲット132は、リッド130に結合され、処理チャンバ100の内部容積部110に露出される。スパッタリングターゲット132はスパッタリング表面133を有する。スパッタリングターゲット132、特に、スパッタリング表面133は、処理中に基板105に堆積される材料を含む。絶縁体リング180が、リッド130およびチャンバ本体101からスパッタリングターゲット132を電気的に絶縁するためにスパッタリングターゲット132、リッド130、およびチャンバ本体101の間に配設される。スパッタリングターゲット132は、処理チャンバ100に結合された共通接地199、197に対して電源140によってバイアスされる。
【0022】
処理ガスが、ガス源142から導管144を介して内部容積部110に供給される。ガス源142は、スパッタリングターゲット132のスパッタリング表面133に勢いよく衝突しそこから材料をスパッタすることができるアルゴンまたはキセノンなどの非反応性ガスを含むことができる。ガス源142は、追加として、スパッタリングターゲット132からスパッタされた材料と反応するための酸素、窒素、水素、または他の好適なガスなどの反応性ガスを含むことができる。使用済み処理ガスおよび副産物は、排気口146通して処理チャンバ100から排気される。排気口146は、排気導管148に流体的に取り付けられる。排気導管148は、1つまたは複数の排気ポンプ149に接続される。排気導管148は、処理チャンバ100の内部容積部110の気圧を制御するためにスロットルバルブを有することができる。
【0023】
マグネトロン134は、処理チャンバ100の外側のリッド130に結合される。マグネトロン134は、電源140に電気的に結合される。マグネトロン134からの電気エネルギーは、ガスにエネルギーを与えてイオンを形成し、処理チャンバ100の内部容積部110においてプラズマ111を維持する。プラズマ111は、基板105とスパッタリングターゲット132との間に形成される。ガスイオンは、スパッタリングターゲット132に向かって加速され、材料をスパッタリング表面133から取り除く。スパッタリング表面133からの取り除かれた材料は、基板105に堆積される。追加として、スパッタリング表面133からの取り除かれた材料は、上部シールド160などの処理キット150の一部分に膜を形成することがある。
【0024】
上部シールド160、および実施形態によっては下部シールド137は、スパッタリングターゲット132のスパッタリング表面133および基板支持体126の周辺エッジ129を取り囲む。上部シールド160および下部シールド137は、処理チャンバ100の側壁104を覆い、スパッタリングターゲット132のスパッタリング表面133から生じた、側壁104上、および上部シールド160、下部シールド137の裏側の表面上のスパッタリング堆積物の堆積を低減させる。例えば、上部シールド160は、下部シールド137と一緒に、基板支持体126の表面、基板105の張出しエッジ、処理チャンバ100の側壁104および底壁106を保護することができる。上部シールド160は、下部シールド137と一体構造としてもよい。代替として、上部シールド160および下部シールド137は別々に形成されてもよい。
【0025】
上部シールド160は、頂部165および底部167を有する円筒状外側バンド168を含むことができる。円筒状外側バンド168は、頂部165でスパッタリングターゲット132のスパッタリング表面133、および底部167で基板支持体126を取り囲むように寸法合わせされた直径を有する。上部シールド160は、処理チャンバ100の内部容積部110に面する露出表面、例えば、内部表面162を有することができる。一実施形態では、内部表面162は、約175μinから約450μinの間などの表面粗さを有するようにグリットブラストすることができる。表面粗さは、膜接着を促進し、すなわち、粒子脱落を低減し、処理チャンバ100の内部容積部110内の汚染を防止するのに役立つ。
【0026】
上部シールド160および下部シールド137は、処理チャンバ100、すなわち、接地199に電気的に接合され、内部容積部110に形成されたプラズマ111の接地リターン経路のためのチャンバアノード112を形成することができる。プラズマ動作中に、内部表面162に付着する膜は絶縁層を形成することがある。膜がチャンバアノード112を絶縁し、プラズマ111に悪影響を与えてプロセスドリフトおよび/またはアーク放電を引き起こすのを防止するために、上部シールド160はその上に形成された表面テクスチャを有することができる。
【0027】
図2は、表面テクスチャ260の一実施形態を有する上部シールド160の部分断面図である。表面テクスチャ260は、上部シールド160の内部表面162または処理キット150と一体であってもよい。RF接地経路の性能に対する究極の成果を達成するために、表面テクスチャ260を下部シールド137などの追加のチャンバ部品に適用できることを理解されたい。しかしながら、以下の議論は、簡単にするために主として上部シールド160に関する。表面テクスチャ260は、任意の好適な方法によって内部表面162中にまたは内部表面162上に形成することができる。例えば、表面テクスチャ260は、刻印づけ、機械加工、その中への焼き込み、その上への堆積、それへの付着、3D印刷によって、または好適な技法によって形成することができる。上部シールド160は、垂直中心線291を有する。垂直中心線291は、追加として、ターゲット132のスパッタリング表面133に対して垂直である。
【0028】
表面テクスチャ260は、複数の特徴物210を含むことができる。表面テクスチャ260の特徴物210は、内部容積部110から離れるように内部表面162中に延びることができる。例えば、表面テクスチャ260は、内部表面214を含むことができる。代替として、表面テクスチャ260の特徴物210は、内部表面162から内部容積部110中に突き出ることができる。さらなる他の実施形態では、特徴物210は、内部表面162中に延び、そこから突き出る、例えば、
図3に示すものなどとすることができる。1つまたは複数の実施形態において、特徴物210は、表面テクスチャ260に、1cm
2当たり30個と1cm
2当たり約60個との間、例えば、1cm
2当たり約42個などの密度を有することができる。この例の特徴物210はまた、1cm当たり2個と1cm当たり10個との間の特徴物の垂直密度を有するような特徴物サイズで、上部シールド160の円周方向にあってもよい(シールドのまわりに刻まれた溝であってもよい)。
【0029】
粒子211は、スパッタリングターゲット132から取り除かれる。粒子211は、矢印(211でラベル付けされている)によって示されるような下向きの軌跡を有する。粒子は、上部シールド160、すなわち、チャンバアノード112の内部表面162に膜250を形成することがある。膜250は、表面テクスチャ260の一部分に生じることがある。特徴物210のプロファイルは、
図2に示すように、上部シールド160の垂直中心線291から垂直に延びる想像線292から角度293をなす中心線294を有することができる。角度293は、一般に、0°よりも大きく、例えば、10°よりも大きいなど、例えば、約20°と約70°との間などである。特徴物210は、シールド160の張出し部分によって粒子211の軌跡230から遮断される遮蔽区域(shaded area)232を有する。角度293は、今でも、特徴物210に入ることから堆積物の大部分を遮っているが、角度293が大きいほど、遮りの効果は高まることになる。一般に、角度293が90°に向かって大きいほど、すなわち、角度293が90°に近いほど、遮蔽区域232は大きくなる。例えば、特徴物210の内部表面214に配設された遮蔽区域232(軌跡線230の左側に示される)は、スパッタリングターゲット132、したがって、粒子211には見えない、すなわち、直線露出してない。特徴物210の角度293は、粒子211の軌跡230に対して90°にまたは90°の近くに維持することができる。粒子211は、内部表面214の一部分に膜を形成することがある。しかしながら、粒子211は、ターゲット132に対して直線露出を有する内部表面214の部分とは対照的に、遮蔽区域232に認めうるほどには蓄積しない。大きい角度293により、特徴物210の大部分が、遮蔽区域232によって画定され、それにより、以下で説明するように、多くの堆積サイクルの後アノードとして機能するように利用可能であることが保証される。
【0030】
特徴物210の遮蔽区域232は小さいアノード表面区域212を有し、それは、特徴物210の下向きに面する向きのために実質的に膜250がないままである。各特徴物210は、膜250がないそれぞれの小さいアノード表面区域212を有する。第1の実施形態では、各特徴物210の小さいアノード表面区域212は、約0.0005cm
2である。この面積計算は、
図3の実施形態における代表である。
図2に示した第2の実施形態では、各特徴物210の小さいアノード表面区域212は、約10cm
2である。上部シールド160の約10cm
2の垂直面積と、1mmのリングを影にする約3mmの特徴物サイズとを仮定すると、表面区域212の第2の実施形態は、約300cm
2の影になった表面区域をもたらす。表面テクスチャ260の特徴物210の数およびパターンは、RFリターン経路のための好適な電気経路を維持するために、十分な量の小さいアノード表面区域212を設けるように決定することができる。例えば、200mm基板のために構成された処理チャンバ100のプラズマ処理性能は、少なくとも約15cm
2、例えば約15cm
2と約70cm
2との間などのアノードのための膜なし表面区域(区域212)を維持することによって強化される。(
図3の実施形態に示されている。)別の例では、300mm基板のために構成された処理チャンバ100のプラズマ処理性能は、少なくとも約300cm
2、例えば約300cm
2と約600cm
2との間などのアノードのための膜なし表面区域(区域212)を維持することによって強化される。一実施形態では、処理チャンバ100のすべての特徴物210の小さいアノード表面区域212の合計は、約32cm
2である。したがって、小さいアノード表面区域212は、膜250がアノード112の外側部分に蓄積し絶縁した後長い間プラズマ111のための強化された接地経路を提供し、それは、良質基板処理のための処理安定性を維持するのに役立つ。小さいアノード表面区域212によって与えられる強化された接地は、アーク放電を防止し、それにより、装置損傷の防止とともに基板105の汚染を防止する。このようにして、特徴物210の下向きに面する向きにより、遮蔽区域232のかなりの部分が堆積なしのままであり、アノードとして機能し、その結果、膜被覆されたチャンバ装置の耐用寿命を延ばすことが保証される。
【0031】
代替として、特徴物210は、円周方向溝とすることができる。円周方向溝の遮蔽区域232は、
図2に示したものなどの断面で採られたとき約1mm幅とすることができる。12個以上の特徴物210(円周方向溝)を上部シールド160に形成することができる。このようにして、上部シールド160の小さいアノード表面区域212は、誘電体膜250のない約125cm
2以上の区域をもたらすように増加させることができる。
【0032】
図3は、表面テクスチャ260の別の実施形態を有する上部シールド160の部分断面図である。表面テクスチャ260は、内部表面162中に延びる窪み320を形成する特徴物210を有する。表面テクスチャ260は、追加として、内部表面162から離れるように延びる突起340を形成する特徴物210を有する。窪み320および突起340は、繰り返しパターンまたはアレイで形成することができる。窪み320および突起340は、円形、矩形を有することができ、または他の好適な形状を有することができる。窪み320は開口395を有する。開口395は、窪み320を処理チャンバ100の内部容積部110に露出する。窪み320および突起340は、追加として、遮蔽区域232を最大にするように配置された形状の混合とすることができる。例えば、各窪み320は、それに隣接する1つの突起340を有することができる。一実施形態では、突起340のそれぞれのものは、各窪み320の上に位置づけられる。別の実施形態では、各窪み320は、窪み320が別の窪み320と隣接しないように突起340によって境界をつけられる。これらおよび他の同様の構成において、突起340は、ライン330で示したスパッタリングターゲット132への見通し線を、窪み320の開口395からさらに離れるように限定し、それにより、各窪み320の遮蔽区域232のサイズを増加させることができる。
【0033】
図3に示すような窪み320のプロファイルは、それを通って延びる中心線394を有することができる。中心線394は、上部シールド160の垂直中心線291から垂直に延びる想像線の392に対して角度393を形成することができる。特徴物210は、膜250が形成を実質的に防止される、窪み320に配設された遮蔽区域232を有する。開口395による特徴物210の露出を減少させることによって窪み320内の遮蔽区域232のサイズを増加させるように角度393を調節することができる。例えば、窪み320の中心線394の角度393は、粒子211の予想経路に対して実質的に垂直にすることができ、その結果、角度393は、約30°と約60°との間、例えば、45°などとすることができる。一実施形態では、各特徴物210の角度393は実質的に同様である。別の実施形態では、特徴物210とスパッタリングターゲット132との間の距離が増加するにつれて、各特徴物210の角度393は増加する。窪み320の遮蔽区域232の直線露出は、突起340によってさらに限定することができる。膜250は、上部シールド160に付着する粒子211から生ずる。
【0034】
膜250は、スパッタリングターゲット132からの粒子211に直接曝される区域に、より厚い区域358を有することがある。膜250は、追加として、プラズマ111を接地するための導電性経路を依然として提供することができるより少ない厚さの区域352の複数の区域を有することができる。より少ない厚さの区域352とより厚い区域358との間のどこかに厚み区域356を有する膜250の他の区域があり、膜250の他の区域は接地リターン経路導電率を低下させることがある。膜なしアノード区域314が、遮蔽区域232に存在する。窪み320および突起340の構成およびサイズは、アノード区域314の表面積を最大にするように構成することができる。200mm基板のために構成された処理チャンバ100の表面テクスチャ260の各特徴物210のアノード区域314と最小厚み区域352の合計の面積は、少なくとも約15cm2、例えば、約15cm2と約70cm2との間などとすることができる。代替として、300mm基板のために構成された処理チャンバ100では、表面テクスチャ260の各特徴物210のアノード区域314と最小厚み区域352の合計の面積は、少なくとも約30cm2、例えば約30cm2と約210cm2との間などである。したがって、角度393などの角度での窪み320と突起340の両方の構成は、プラズマ111を制御するためのより良好な接地を提供することができる。
【0035】
図4は、特徴物210を有する表面テクスチャ260の他の実施形態の部分断面図である。特徴物210は、遮蔽区域232を最大にするように構成することができる形状420を有する。形状420は、矩形であるように示しているが、任意の形状とすることができる。例えば、特徴物210の形状420は、円形、六角形、矩形、不規則なまたは任意の好適な形状とすることができる。特徴物210の形状420は、遮蔽区域232の小さいアノード表面区域212を増加または減少させるように選択することができる。中心線494は、上部シールド160の垂直中心線291から垂直に延びる想像線492に対して角度493を形成することができる。特徴物210の中心線494は、粒子211がその中に入るのを最小にするように粒子211に対して角度495で構成することができる。角度495は、0度よりも大きく、例えば10度よりも大きいなど、例えば20度と70度との間などとすることができる。想像線492からの約20度と約70度との間の特徴物210(すなわち中心線494)の回転により、特徴物210の中心線494とスパッタリングターゲット132の見通し線(粒子211によって示される)との間の角度495は、30°以上、例えば90°などとなり得る。
図3の突起340と同様の張出しが形状420の上部部分424から下方に延びて、スパッタリングターゲット132への直線露出がない区域を増加させることができる。張出しが大きいほど、遮蔽区域232が大きくなり、それにより、小さいアノード表面区域212が増加する。それゆえに、小さいアノード表面区域212の全体量は、電気回路の所定の接地経路に対して選択することができる。膜250のない区域は、プラズマ特性および全体的な基板品質を制御する接地を設けることの助けになることが理解されよう。
【0036】
テクスチャ260が上に形成された上述の処理キット150の部品は、粒子発生および漂遊プラズマを著しく低減するように単独でおよび組合せで動作する。処理キャビティの外に漂遊プラズマを引き起こすRF高調波の一因となるRFリターン経路、すなわち、接地経路は、アノードの表面テクスチャによって改善される。したがって、誘電体膜がPVDチャンバに堆積されたとき、処理キットへの誘電体層の蓄積はアノードに影響を与えない。表面テクスチャは、被覆されていないキットを基準としたプロセスドリフトを防止する。追加として、表面テクスチャは、処理キットまたはウエハのどこかに堆積物を通る孔を開け、それにより、粒子および/またはウエハ損傷を引き起こすことになるアーク放電による電圧放電を防止する。
【0037】
前述は本発明の実施形態に関するが、本発明の基本範囲から逸脱することなく本発明の他のおよびさらなる実施形態を考案することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。