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特許7230044再生石膏含有硫酸カルシウム混合物のための堅牢な一次界面活性剤としての二塩
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】再生石膏含有硫酸カルシウム混合物のための堅牢な一次界面活性剤としての二塩
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/14 20060101AFI20230220BHJP
   C04B 24/16 20060101ALI20230220BHJP
   C04B 24/40 20060101ALI20230220BHJP
   C04B 24/12 20060101ALI20230220BHJP
   C04B 24/10 20060101ALI20230220BHJP
   C04B 24/02 20060101ALI20230220BHJP
   C04B 24/38 20060101ALI20230220BHJP
   C04B 24/22 20060101ALI20230220BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20230220BHJP
   C04B 22/06 20060101ALI20230220BHJP
   C04B 38/02 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
C04B28/14
C04B24/16
C04B24/40
C04B24/12 A
C04B24/10
C04B24/02
C04B24/38 B
C04B24/38 Z
C04B24/22 A
C04B24/26 E
C04B22/06 Z
C04B38/02 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020543701
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2018078575
(87)【国際公開番号】W WO2019081344
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】17198015.4
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】520141081
【氏名又は名称】サン-ゴバン プラコ
【氏名又は名称原語表記】Saint-Gobain Placo
【住所又は居所原語表記】Tour Saint-Gobain, 12 Place de l’Iris, 92400 Courbevoie, France
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ゲーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ニーダーマイア
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム デングラー
(72)【発明者】
【氏名】ゲオアク ダクセンベアガー
(72)【発明者】
【氏名】ハモウダ ジャフェル
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-051396(JP,A)
【文献】国際公開第2004/039749(WO,A1)
【文献】特表2016-521243(JP,A)
【文献】特開平02-296780(JP,A)
【文献】特表2004-508259(JP,A)
【文献】特表2004-521852(JP,A)
【文献】特表2016-532631(JP,A)
【文献】特開2003-292990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00-28/36
C04B 38/00-38/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性石膏組成物の総重量を基準として、
i) 少なくとも40.0重量%の石膏、および
ii) 少なくとも0.002重量%、好適には少なくとも0.005重量%の、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤
を含み、
前記石膏が、前記石膏組成物中の石膏の総割合を基準として、少なくとも0.5重量%の再生石膏分を有する水性石膏組成物であって
前記再生石膏分が、シロキサン含有再生石膏であることを特徴とする、水性石膏組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩が、式(I):
CH(SO)COOM (I)
[式中、Rは、6~16個のC原子を有する直鎖状または分子鎖状アルキル基またはアルキレン基であり、MおよびMは、互いに独立して、H、Li、Na、K、Ca/2、Mg/2、アンモニウム、またはアルカノールアミンを表す]
の化合物である、請求項記載の組成物。
【請求項3】
が、8~16個のC原子を有する飽和直鎖状アルキル基である、請求項記載の組成物。
【請求項4】
およびMがNaを表す、請求項または記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも0.001重量%の、アルファスルホ脂肪酸二塩とは異なる少なくとも1種の補助界面活性剤をさらに含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の補助界面活性剤が、アルキルポリグリコシド、アルキルアミドベタイン、グルタメート、スルホケトン、スルフェート、イセチオネート、N-アシルアミノ酸化合物、スルホアセテート、スルホネート、スルホスクシネート、タウレート、ベタイン、両性界面活性剤、アルカノールアミド、アミンオキシド、カルボキシレート、アルキルエトキシレート、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、タンパク質加水分解物、シリコーン、脂肪アルコール、タンパク質誘導体、二塩の漂白剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの混合物から成る群より選択される、請求項記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の溶媒をさらに含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
セルロースエーテル、消石灰、デンプン、加工デンプン、疎水化剤、鉱物添加剤、低密度骨材、繊維、促進剤、増粘剤、遅延剤、気孔形成剤、起泡剤、膨潤剤、フィラー、ポリアクリレート、分散剤、流動化剤、超吸収体、および安定化剤から成る群より選択される1種以上の添加剤をさらに含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
0.0001~1.0重量%の遅延剤および/または0.01~2.0重量%の流動化剤をさらに含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
請求項1からまでのいずれか1項記載の組成物を含む、物品。
【請求項11】
スタッコ石膏、モルタル石膏、機械用石膏塗壁材、塗壁石膏、接着石膏、接合石膏、充填石膏、断熱石膏、床用石膏、既製塗壁石膏、大理石石膏であるか、または石膏含有既製部材、石膏繊維ボード、石膏含有ウォールボード、不織布でライニング加工された石膏ボード、および石膏含有成形体である、請求項10記載の物品。
【請求項12】
a) 少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤によるフォームを準備する工程、
b) 水、石膏、および任意で添加剤を含む組成物を準備する工程、
c) 工程a)により準備されたフォームを加えて、工程b)で得られた組成物にずり応力を与える工程
を含み、
前記石膏が、前記組成物中の石膏の総割合を基準として、少なくとも0.5重量%の再生石膏分を有する、水性石膏組成物の製造方法であって
前記再生石膏分が、シロキサン含有再生石膏であることを特徴とする、水性石膏組成物の製造方法。
【請求項13】
水性石膏組成物中の石膏の総割合を基準として、少なくとも0.5重量%の再生石膏分を有する水性石膏組成物の湿潤密度を低減させるための、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤の使用であって、
前記再生石膏分が、シロキサン含有再生石膏であることを特徴とする、使用
【請求項14】
少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩が、請求項からまでのいずれか1項記載の化合物である、請求項13記載の使用。
【請求項15】
少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤によるフォームを準備する工程、
水、石膏、および任意で添加剤を含む組成物を準備する工程、
フォームを加えて、前記組成物にずり応力を与える工程
得られた組成物を熱的に乾燥させる工程
を含み、
前記石膏が、石膏の総重量を基準として、少なくとも0.5重量%の再生石膏分を有する石膏ボードの製造方法であって、前記再生石膏分がシロキサン含有再生石膏であることを特徴とする石膏ボードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生石膏と、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤とを含有する石膏組成物、これを製造する方法、および本発明による石膏組成物を含有する物品に関する。本発明はさらに、少なくとも0.5重量%の再生石膏分を有する水性石膏組成物の湿潤密度を低減させるための、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤の使用に関する。
【0002】
建築産業では、様々な種類の石膏含有建材が使用されている。石膏含有建材は、石膏、例えば、スタッコ石膏、モルタル石膏、機械用石膏塗壁材(Maschinengipsputze)、塗壁石膏(Putzgipse)、接着石膏、接合石膏(Fugengipse)、充填石膏(Spachtelgipse)、断熱石膏、床用石膏(Estrichgipse)、既製塗壁石膏、および大理石石膏(Marmorgipse)を含む。石膏含有建材はさらに、石膏含有既製部材、例えば、石膏プラスターボード(Gipskartonplatten)、石膏繊維ボード、石膏含有ウォールボード、不織布でライニング加工された石膏ボード、および石膏含有成形体を含む。
【0003】
石膏産業では、再生石膏材料を再び製造プロセスに返送することがメーカーに義務付けられている。これは、石膏を含有する建築廃棄物および解体廃棄物であると理解され、これは殊に、石膏ボード(石膏プラスターボード、石膏繊維ボード、フル石膏ボード(Vollgipsplatten))である。石膏ボードの廃棄物は、例えば、石膏プラスターボードの製造または建物の新築、ならびにリノベーションおよび解体作業において端材として生じる。
【0004】
しかしながら、再生石膏の利用には、石膏ボードの廃棄物に含有される添加剤を理由に材料の品質が非常に様々であるという問題がある。
【0005】
例えば、ウェットルーム仕上げのために使用される疎水化された石膏プラスターボードは、非常に強い消泡効果のあるシロキサン割合を含む。石膏プラスターボードの製造では、予め生成されたフォームが石膏スラリーに加えられて、生成物の密度が低減させられる。よって、シロキサン含有再生石膏が石膏プラスターボードの製造において存在することは、消泡効果を理由として、大きな欠点になることが多い。
【0006】
よって、含有される再生石膏材料の量および品質とは無関係に効果的に発泡可能な石膏組成物が必要とされている。
【0007】
したがって、本発明の課題は、発泡効率の阻害なく再生石膏を添加することが可能な石膏組成物を提供することであった。
【0008】
この課題は、水性石膏組成物であって、該石膏組成物の総重量を基準として、
i) 少なくとも40.0重量%の石膏、および
ii) 少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む、少なくとも0.002重量%、好適には少なくとも0.005重量%の発泡剤
を含み、石膏が、該石膏組成物中の石膏の総割合を基準として、少なくとも0.5重量%の再生石膏分を有する、水性石膏組成物により解決された。
【0009】
ここで驚くべきことに、特に二塩界面活性剤構造、殊にアルファスルホ脂肪酸二塩が、シロキサン含有材料に対して堅牢に作用し、それによりシロキサンの気泡破壊効果が大幅に減少することが分かった。再生石膏分とは無関係に、アルファスルホ脂肪酸二塩系フォームを使用した場合のフォーム収量は、石膏ボードの製造においてほぼ一定のままである。
【0010】
よって、本発明の好ましい実施形態によると、再生石膏分とは、シロキサン含有再生石膏である。
【0011】
本発明のさらなる好ましい実施形態によると、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩とは、式(I):
CH(SO)COOM (I)
[式中、Rは、6~16個のC原子を有する直鎖状または分子鎖状アルキル基またはアルキレン基であり、MおよびMは、互いに独立して、H、Li、Na、K、Ca/2、Mg/2、アンモニウム、またはアルカノールアミンを表す]
の化合物である。
【0012】
は、8~16個のC原子を有する直鎖状アルキル基であることが好ましい。
【0013】
およびMは、Naを表すことが特に好ましい。
【0014】
本発明のさらなる実施形態によると、この組成物はさらに、少なくとも0.005重量%、好ましくは少なくとも0.002重量%の、アルファスルホ脂肪酸二塩とは異なる少なくとも1種の補助界面活性剤を含有する。
【0015】
少なくとも1種の補助界面活性剤は、アルキルポリグリコシド、アルキルアミドベタイン、グルタメート、スルホケトン、スルフェート(特に、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート)、イセチオネート、N-アシルアミノ酸化合物、スルホアセテート、スルホネート、スルホスクシネート、タウレート、ベタイン、両性界面活性剤、アルカノールアミド、アミンオキシド、カルボキシレート、アルキルエトキシレート、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、タンパク質加水分解物、シリコーン、脂肪アルコール、タンパク質誘導体、二塩の漂白剤、非イオン性界面活性剤、およびそれらの混合物から成る群より選択されることが特に好ましい。
【0016】
本発明のさらなる実施形態によると、この組成物はさらに、少なくとも1種の溶媒を含有する。
【0017】
本発明のさらなる好ましい実施形態によると、この組成物は、セルロースエーテル、消石灰、デンプン、加工デンプン、疎水化剤、鉱物添加剤、低密度骨材、繊維、促進剤、増粘剤、遅延剤、気孔形成剤、起泡剤、膨潤剤、フィラー、ポリアクリレート、分散剤、流動化剤、超吸収剤、および安定化剤から成る群より選択される1種以上の添加剤を含有する。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によると、石膏組成物はさらに、0.0001~1.0重量%の遅延剤および/または0.01~2.0重量%の流動化剤を含む。
【0019】
本発明はさらに、先に記載の石膏組成物を含む物品に関する。
【0020】
この物品は、スタッコ石膏、モルタル石膏、機械用石膏塗壁材、塗壁石膏、接着石膏、接合石膏、充填石膏、断熱石膏、床用石膏、既製塗壁石膏、大理石石膏であるか、または石膏含有既製部材、例えば、石膏プラスターボード、石膏繊維ボード、石膏含有ウォールボード、不織布でライニング加工された石膏ボード、および石膏含有成形体であることが殊に好ましい。
【0021】
本発明はさらに、水性石膏組成物の製造方法であって、
a) 少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤によるフォームを準備する工程、
b) 水、石膏、および任意で添加剤を含む組成物を準備する工程、
c) 工程a)により準備されたフォームを加えて、工程b)で得られた組成物にずり応力を与える工程
を含み、石膏が、組成物中の石膏の総割合を基準として、少なくとも0.5重量%の再生石膏分を有する、方法に関する。
【0022】
本発明はさらに、組成物中の石膏の総割合を基準として、少なくとも0.5重量%の再生石膏分を有する水性石膏組成物の湿潤密度を低減させるための、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤の使用に関する。
【0023】
少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩が、先に挙げた化合物のうちの1つであることが殊に好ましい。
【0024】
以下で、本発明についてより正確に記載する。
【0025】
先に説明したように、本発明による組成物は、少なくとも0.5重量%の再生石膏分を有する石膏を含有する。
【0026】
本発明の文脈において、「石膏」という用語は、その水不含もしくは水和形態にある硫酸カルシウム化合物、例えば結晶形態にあるこの化合物から成る石膏岩、ならびに相応する建築材料、例えば、式CaSO・xHOの硫酸カルシウム半水和物、二水和物もしくは無水物[式中、xは、0、1/2、または2である]、またはそれらの混合物に関連する。
【0027】
本発明による石膏組成物は、石膏組成物の総重量を基準として、少なくとも40.0重量%、より好ましくは45.0~70.0重量%、特に好ましくは50.0~65.0重量%の石膏を含有する。
【0028】
本発明により使用される石膏の再生石膏分は、組成物中の石膏の総割合を基準として、少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも2.0重量%、特に好ましくは少なくとも5.0重量%である。
【0029】
本発明の文脈において、「再生石膏」という用語は、石膏含有物品の製造において既に使用され、前述の物品から回収された石膏に関連する。再生石膏が得られる石膏含有物品の例は、スタッコ石膏、モルタル石膏、機械用石膏塗壁材、塗壁石膏、接着石膏、接合石膏、充填石膏、断熱石膏、床用石膏、既製塗壁石膏、大理石石膏、ならびに石膏含有既製部材、例えば、石膏プラスターボード、石膏繊維ボード、石膏含有ウォールボード、不織布でライニング加工された石膏ボード、および石膏含有成形体である。
【0030】
再生石膏は、製造プロセスに返送された石膏含有物品に含有される添加剤を含有することが一般的である。例えば、ウェットルーム仕上げのために使用される疎水化された石膏プラスターボードには、シロキサンまたはワックスエマルションが含有されている。
【0031】
本発明による再生石膏は、シロキサンを含有することが好ましい。シロキサンは、式:
2-3 0-1Si-[O-Si-O-SiR 2-3
[式中、Rは、水素またはアルキル基を表し、Rは、存在する場合、末端基R 2-3 0-1Si-とSiR 2-3との間に閉環を形成する-O-基を表し、nは、0~100の値を有し得る]
の直鎖状または環状化合物である。Rがアルキル基である場合、これは、直鎖状または分枝鎖状C~C10アルキル基であることが好ましい。Rは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、またはn-ヘキシルであることが好ましい。Rは、メチルであることが特に好ましい。
【0032】
殊に、再生石膏は、再生石膏の総重量を基準として、少なくとも0.01重量%のシロキサン、より好ましくは0.02~5.0重量%のシロキサン、特に好ましくは0.05~2.0重量%のシロキサンを含有する。
【0033】
よって、本発明による石膏組成物は、石膏組成物の総重量を基準として、少なくとも0.01重量%のシロキサン、より好ましくは0.01~2.0重量%のシロキサン、特に好ましくは0.02~1.0重量%のシロキサンを含有する。
【0034】
さらに、本発明による石膏組成物は、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含有する発泡剤を、石膏組成物の総重量を基準として、少なくとも0.005重量%、または少なくとも0.007重量%、または少なくとも0.01重量%含有する。
【0035】
さらなる実施形態において、本発明による石膏組成物は、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含有する発泡剤を、石膏組成物の総重量を基準として、少なくとも0.002重量%、より好ましくは少なくとも0.003重量%、特に好ましくは少なくとも0.005重量%含有する。
【0036】
一実施形態において、発泡剤は、発泡剤の総重量を基準として、少なくとも30重量%、少なくとも45重量%、または少なくとも60重量%の少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む。発泡剤は、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩から成ることが特に好ましい。
【0037】
発泡剤は、発泡剤の総重量を基準として、少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも25重量%、特に好ましくは少なくとも30重量%の少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含むことが好ましい。発泡剤は、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩から成ることが特に好ましい。
【0038】
本発明の文脈において、「発泡剤」という用語は、特定の膜形成能力を有し、それにより液体中でのフォームの生成を促進する界面活性物質に関連する。
【0039】
少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩は、式(I):
CH(SO)COOM (I)
[式中、Rは、6~16個のC原子を有する直鎖状または分子鎖状アルキル基またはアルキレン基であり、MおよびMは、互いに独立して、H、Li、Na、K、Ca/2、Mg/2、アンモニウム、またはアルカノールアミンを表す]
の化合物であることが好ましい。ここで、特に好ましいアルカノールアミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびモノイソプロパノールアミンである。
【0040】
さらに、基Rがアルキレン基である、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩における式(I)の化合物の割合が、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩の総重量を基準として、3重量%以下であることが当てはまる。
【0041】
は、8~16個のC原子、より好ましくは9~16個のC原子、特に好ましくは10~12個のC原子を有する飽和直鎖状アルキル基であることが好ましい。
【0042】
特に好ましくは、基Rがデシル基および/またはドデシル基である、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩における式(I)の化合物の割合が、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩の総重量を基準として、90重量%以上であることが当てはまる。
【0043】
およびMは、Naを表すことが特に好ましい。
【0044】
よって、本発明による少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩は、2-スルホドデカン酸の二ナトリウム塩、2-スルホテトラデカン酸の二ナトリウム塩、またはそれらの混合物であることが特に好ましい。少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩は、2-スルホドデカン酸の二ナトリウム塩と2-スルホテトラデカン酸の二ナトリウム塩との混合物であることが特に好ましい。
【0045】
式(I)の化合物は、当業者に公知の関連するあらゆる方法により製造可能である。ここで、特に好ましい製造方法は、相応するカルボン酸のスルホン化である。ここで、相応するカルボン酸、殊に相応する脂肪酸と、気体状の三酸化硫黄とが反応させられ、三酸化硫黄は、脂肪酸に対するSOのモル比が1.0:1~1.1:1の範囲にある量で使用されることが好ましい。そのようにして得られた、酸性スルホン化生成物である粗生成物は、続いて部分的または完全に中和され、その際、水性NaOHによる完全な中和が好ましい。必要に応じて、洗浄工程を設けてもよい。
【0046】
さらなる好ましい実施形態によると、本発明による石膏組成物は、少なくとも1種の補助界面活性剤を、石膏組成物の総重量を基準として、少なくとも0.002重量%、より好ましくは少なくとも0.003重量%、特に好ましくは少なくとも0.005重量%含有する。
【0047】
少なくとも1種の補助界面活性剤は、アルファスルホ脂肪酸二塩とは異なる少なくとも1種の発泡剤である。
【0048】
少なくとも1種の補助界面活性剤は、アルキルポリグリコシド、アルキルアミドベタイン、グルタメート、スルホケトン、スルフェート(特に、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート)、イセチオネート、N-アシルアミノ酸化合物、スルホアセテート、スルホネート、スルホスクシネート、タウレート、ベタイン、両性界面活性剤、アルカノールアミド、アミンオキシド、カルボキシレート、アルキルエトキシレート、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、タンパク質加水分解物、シリコーン、脂肪アルコール、タンパク質誘導体、二塩の漂白剤、非イオン性界面活性剤、およびそれらの混合物から成る群より選択される発泡剤であることが好ましい。
【0049】
好ましいアルキルポリグリコシドは、式(II):
-O-[G] (II)
[式中、Rは、8~18個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル基および/またはアルキレン基を表し、Gは、5個または6個のC原子を有する糖残基を表し、pは、1~10の数を表す]
の化合物である。
【0050】
好ましいアルキルアミドベタインは、式(III):
-CO-NH-(CH-N(CH-CH-COO (III)
[式中、Rは、7~19個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル基またはアルキレン基を表し、yは、2~4の範囲の整数である]
の化合物である。
【0051】
好ましいN-アシルアミノ酸化合物は、式(IV):
OOC-CH-CH-CH(NH-CO-R)-COOM (IV)
[式中、Rは、7~19個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル基またはアルキレン基を表し、基MおよびMは、互いに独立して、H、Li、Na、K、Ca/2、Mg/2、アンモニウム、およびアルカノールアミンから成る群より選択される]
のN-アシルグルタミン酸化合物であることが好ましい。
【0052】
本発明のさらなる実施形態によると、この組成物は、少なくとも1種の溶媒をさらに含有する。この組成物は、石膏組成物の総重量を基準として、0.0001重量%~0.2重量%の少なくとも1種の溶媒を含有することが好ましい。
【0053】
溶媒は、ヘキシレングリコール、(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、エタノール、プロパナール、n-プロピルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、酢酸-n-プロピルエステル、酢酸-n-ブチルエステル、1-ペンチルアセテート、2-ペンチルアセテート、3-ペンチルアセテート、イソペンチルアセテート、1,1-ジメチルプロピルアセテート、2-メチルブチルアセテート、2-エチルヘキシルアセテート、2-ブトキシエタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-オール、2-ヘキソキシ-1-エタノール、2-(2-ヘキシルオキシエトキシ)エタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、メトキシプロポキシプロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、ジ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、トリ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、2-ブトキシエチルアセテート、2-(2-ブトキシエトキシ)エチルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、およびそれらの混合物から成る群より選択されることが好ましい。
【0054】
本発明による石膏組成物は、発泡剤を、非発泡形態で、または予め生成されたフォームとして含有していてもよい。予め生成されたフォームを製造する方法は、当業者に公知である。
【0055】
予め生成されたフォームは、50~180g/L、より好ましくは60~140g/L、特に好ましくは70~120g/Lのフォーム密度を有することが好ましい。
【0056】
本発明による石膏組成物は、石膏組成物の総重量を基準として、石膏を、好ましくは少なくとも40.0重量%、より好ましくは45.0~75.0重量%、特に好ましくは50.0~65.0重量%含み、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤を、少なくとも0.005重量%、より好ましくは少なくとも0.007重量%、特に好ましくは少なくとも0.01重量%含み、任意で、少なくとも1種の補助界面活性剤を、少なくとも0.002重量%、より好ましくは少なくとも0.003重量%、特に好ましくは少なくとも0.005重量%含み、任意で、少なくとも1種の溶媒を、少なくとも0.0001重量%、好適には0.0005重量%~0.2重量%含み、水を、20.0~65.0重量%、より好ましくは30.0~55.0重量%、特に好ましくは35.0~50.0重量%含む。
【0057】
さらなる実施形態において、本発明による石膏組成物は、石膏組成物の総重量を基準として、石膏を、好ましくは少なくとも40.0重量%、より好ましくは45.0~75.0重量%、特に好ましくは50.0~65.0重量%含み、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤を、少なくとも0.002重量%、より好ましくは少なくとも0.003重量%、特に好ましくは少なくとも0.005重量%含み、任意で、少なくとも1種の補助界面活性剤を、少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.002重量%、特に好ましくは少なくとも0.003重量%含み、任意で、少なくとも1種の溶媒を、少なくとも0.0001重量%、好適には0.0005重量%~0.2重量%含み、水を、20.0~65.0重量%、より好ましくは30.0~55.0重量%、特に好ましくは35.0~50.0重量%含む。
【0058】
よって、本発明による石膏組成物は、好ましくは0.3~1.5、より好ましくは0.5~1.0、特に好ましくは0.7~0.8の水石膏値(Wassergipswert)を有する。
【0059】
さらに、本発明による石膏組成物は、添加剤を加えることにより変性されてもよい。一般的に、石膏組成物は、流動挙動または硬化プロセスに影響を与える添加剤を含有する。例えば、本発明による石膏組成物は、セルロースエーテル、消石灰、鉱物添加剤、低密度骨材、繊維、促進剤、増粘剤、遅延剤、気孔形成剤、起泡剤、膨潤剤、フィラー、ポリアクリレート、分散剤、流動化剤、超吸収剤、および安定化剤から成る群より選択される1種以上の添加剤を含有していてもよい。
【0060】
よって、本発明による石膏組成物は、石膏組成物の総重量を基準として、少なくとも40.0重量%、より好ましくは45.0~70.0重量%、特に好ましくは50.0~65.0重量%の石膏、少なくとも0.005重量%、より好ましくは少なくとも0.007重量%、特に好ましくは少なくとも0.01重量%の、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤、任意で、少なくとも0.002重量%、より好ましくは少なくとも0.003重量%、特に好ましくは少なくとも0.005重量%の少なくとも1種の補助界面活性剤、任意で、少なくとも0.0001重量%、好適には0.0005重量%~0.2重量%の少なくとも1種の溶媒、20.0~65.0重量%、より好ましくは30.0~55.0重量%、特に好ましくは35.0~50.0重量%の水、および0.0~5.0重量%、より好ましくは0.0001~3.0重量%、特に好ましくは0.001~1.0重量%の添加剤を含み、より好ましくはこれらのものから成る。
【0061】
好ましい実施形態において、本発明による石膏組成物は、石膏組成物の総重量を基準として、少なくとも40.0重量%、より好ましくは45.0~70.0重量%、特に好ましくは50.0~65.0重量%の石膏、少なくとも0.002重量%、より好ましくは少なくとも0.003重量%、特に好ましくは少なくとも0.005重量%の、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤、任意で、少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.002重量%、特に好ましくは少なくとも0.003重量%の少なくとも1種の補助界面活性剤、任意で、少なくとも0.0001重量%、好適には0.0005重量%~0.2重量%の少なくとも1種の溶媒、20.0~65.0重量%、より好ましくは30.0~55.0重量%、特に好ましくは35.0~50.0重量%の水、および0.0~5.0重量%、より好ましくは0.0001~3.0重量%、特に好ましくは0.001~1.0重量%の添加剤を含み、より好ましくはこれらのものから成る。
【0062】
好ましくは、本発明による石膏組成物は、遅延剤、促進剤、および/または流動化剤を含有していてもよい。
【0063】
本発明の文脈において、「遅延剤」という用語は、石膏組成物の硬化プロセスを遅らせる添加剤に関連する。遅延剤についての非限定的な例は、酒石酸、クエン酸およびそれらの塩、グルコネート、タンパク質加水分解物、重縮合されたアミノ酸、ホスフェート、錯化剤、ヒドロキシカルボン酸、糖類、オルガノホスフェート、ならびにそれらの混合物である。
【0064】
本発明の文脈において、「促進剤」という用語は、石膏組成物の硬化プロセスを加速させる添加剤に関連する。促進剤についての非限定的な例は、KSOおよび微細に粉砕された二水和物である。
【0065】
本発明の文脈において、「流動化剤」という用語は、石膏組成物の流動挙動に影響を与える添加剤に関連する。本発明による石膏組成物に適した流動化剤は、ナフタリンスルホネート、メラミンスルホネート、リグニンスルホネート、ケトン樹脂、ポリアリールエーテル、およびポリカルボキシレートエーテル系の流動化剤である。
【0066】
本発明による石膏組成物は、0.0001~1.0重量%の遅延剤および/または0.01~2.0重量%の流動化剤を含有することが特に好ましい。
【0067】
よって、本発明による石膏組成物は、石膏組成物の総重量を基準として、少なくとも40.0重量%、より好ましくは45.0~70.0重量%、特に好ましくは50.0~65.0重量%の石膏、少なくとも0.005重量%、より好ましくは少なくとも0.007重量%、特に好ましくは少なくとも0.01重量%の、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤、任意で、少なくとも0.002重量%、より好ましくは少なくとも0.003重量%、特に好ましくは少なくとも0.005重量%の少なくとも1種の補助界面活性剤、任意で、少なくとも0.0001重量%、好適には0.0005重量%~0.2重量%の少なくとも1種の溶媒、および20.0~65.0重量%、より好ましくは30.0~55.0重量%、特に好ましくは35.0~50.0重量%の水、0.0001~1.0重量%の遅延剤、および0.01~2.0重量%の流動化剤、および0.0~5.0重量%、より好ましくは0.0001~3.0重量%、特に好ましくは0.001~1.0重量%の添加剤を含み、より好ましくはこれらのものから成る。
【0068】
好ましい実施形態において、本発明による石膏組成物は、石膏組成物の総重量を基準として、少なくとも40.0重量%、より好ましくは45.0~70.0重量%、特に好ましくは50.0~65.0重量%の石膏、少なくとも0.002重量%、より好ましくは少なくとも0.003重量%、特に好ましくは少なくとも0.005重量%の、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤、任意で、少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.002重量%、特に好ましくは少なくとも0.003重量%の少なくとも1種の補助界面活性剤、任意で、少なくとも0.0001重量%、好適には0.0005重量%~0.2重量%の少なくとも1種の溶媒、および20.0~65.0重量%、より好ましくは30.0~55.0重量%、特に好ましくは35.0~50.0重量%の水、0.0001~1.0重量%の遅延剤、および0.01~2.0重量%の流動化剤、および0.0~5.0重量%、より好ましくは0.0001~3.0重量%、特に好ましくは0.001~1.0重量%の添加剤を含み、より好ましくはこれらのものから成る。
【0069】
本発明による石膏組成物の湿潤密度は、好ましくは1400kg/m未満、より好ましくは1250kg/m未満、特に好ましくは1100kg/m未満である。
【0070】
本発明はさらに、本発明による石膏組成物を含有する物品に関する。
【0071】
この物品は、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%の本発明による石膏組成物を含有する。
【0072】
本発明の好ましい実施形態において、この物品は、本発明による石膏組成物から成る。
【0073】
前述の物品は、スタッコ石膏、モルタル石膏、機械用石膏塗壁材、塗壁石膏、接着石膏、接合石膏、充填石膏、断熱石膏、床用石膏、既製塗壁石膏、および大理石石膏、ならびに石膏含有既製部材、例えば、石膏プラスターボード、石膏繊維ボード、石膏含有ウォールボード、不織布でライニング加工された石膏ボード、および石膏含有成形体であることが好ましい。
【0074】
この物品は、石膏プラスターボードであることが特に好ましい。
【0075】
本発明はさらに、水性石膏組成物の製造方法であって、
a) 少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤によるフォームを準備する工程、
b) 水、石膏、および任意で添加剤を含む組成物を準備する工程、
c) 工程a)により準備されたフォームを加えて、工程b)で得られた組成物にずり応力を与える工程
を含み、石膏が、組成物中の石膏の総割合を基準として、少なくとも0.5重量%の再生石膏分を有する、方法に関する。
【0076】
本発明による方法の工程a)によると、石膏物品の重量を低減させるために、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤による予め生成されたフォームが準備される。フォームは、適切なフォーム製造機を用いて、発泡剤、空気および水を含有する混合物から製造される。石膏組成物のためのフォームを製造する方法は、当業者に公知である。
【0077】
フォームが製造される混合物は、少なくとも1種の溶媒をさらに含有することが好ましい。フォームが製造される混合物は、フォームの総重量を基準として、0.5重量%~30.0重量%の少なくとも1種の溶媒を含有することが好ましい。
【0078】
溶媒は、ヘキシレングリコール、(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、エタノール、プロパナール、n-プロピルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、酢酸-n-プロピルエステル、酢酸-n-ブチルエステル、1-ペンチルアセテート、2-ペンチルアセテート、3-ペンチルアセテート、イソペンチルアセテート、1,1-ジメチルプロピルアセテート、2-メチルブチルアセテート、2-エチルヘキシルアセテート、2-ブトキシエタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-オール、2-ヘキソキシ-1-エタノール、2-(2-ヘキシルオキシエトキシ)エタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、メトキシプロポキシプロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、ジ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、トリ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、2-ブトキシエチルアセテート、2-(2-ブトキシエトキシ)エチルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、およびそれらの混合物から成る群より選択されることが好ましい。
【0079】
少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤は、先に挙げた化合物のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0080】
工程b)によると、水と、石膏と、任意で、先に挙げた添加剤のうちの1つ以上とを含有する組成物が準備される。石膏は、組成物中の石膏の総割合を基準として、少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも2.0重量%、特に好ましくは少なくとも5.0重量%の再生石膏分を含む。
【0081】
前述の再生石膏は、先に記載のシロキサン含有再生石膏であることが好ましい。
【0082】
工程a)により準備されたフォームを加えて、工程b)で得られた組成物にずり応力を与える工程により、本発明による石膏組成物が得られる。
【0083】
本発明はさらに、組成物中の石膏の総割合を基準として、少なくとも0.5重量%の再生石膏分を有する水性石膏組成物の湿潤密度を低減させるための、少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩を含む発泡剤の使用に関する。
【0084】
少なくとも1種のアルファスルホ脂肪酸二塩が、先に挙げた化合物のうちの1つであることが殊に好ましい。
【0085】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するものである。
【0086】
実施例
1) 方法
湿潤密度
石膏組成物の湿潤密度を測定するために、各組成物を既知の体積のガラスビーカーに充填し、続いて秤量することで、重量と体積との比を測定した。
【0087】
フォーム密度
フォーム密度を測定するために、各フォームを既知の体積のガラスビーカーに充填し、続いて秤量することで、重量と体積との比を測定した。
【0088】
2) 再生石膏の製造
石膏スラリーを製造するために、300gのベータ半水和物(排煙脱硫から得られる)を、3.0gのシロキサン(Silres BS94、Wacker Chemie社)を含有する201.0gの水に入れ、15秒にわたり浸漬した。続いて、この混合物を、30秒にわたり285rpm/分でせん断し、型に注いだ。15分後、試料を型から取り出し、1時間にわたり150℃で、飽和した水蒸気雰囲気で熱処理した。続いて、試料を一定の質量に達するまで40℃で貯蔵した。
【0089】
さらなる加工のために、試料をボールミルで約10μmのd50に粉砕し、その後、5時間にわたり150℃でか焼した。室温に冷却した後に、再生石膏を適用試験に使用することができた。
【0090】
3) 脂肪アルキルエーテルスルフェート界面活性剤をベースとする組成物
まず、脂肪アルキルエーテルスルフェートをベースとするフォームを製造した。
【0091】
そのために、ロータ/ステータシステムに基づくフォーム製造機を用いて、圧縮空気を加えながら、0.40%の界面活性剤溶液(Vinapor GYP2680、BASF)をフォームにした。調整されたフォーム密度は、75g/Lであった。
【0092】
参照混合物R1
石膏スラリーを製造するために、350gのベータ半水和物(排煙脱硫から得られる)を、0.035gの遅延剤(Plastretard)および3.3gの微細に粉砕された二水和物と一緒に均質化し、続いて、1.05gのベータナフタリン流動化剤を含有する234.2gの水に入れて、15秒にわたり浸漬した。続いて、この混合物を、30秒にわたり1600rpm/分でせん断した。その間、脂肪アルキルエーテルスルフェートをベースとするフォーム(18.2g、密度75g/L)を添加した。これにより生じてからすぐの参照混合物1の密度は、1050kg/mであった。
【0093】
参照混合物R2
参照混合物R2の製造を参照混合物R1と同様に行ったが、5%のベータ半水和物をシロキサン含有再生石膏と置き換えた点で異なっていた。参照混合物R2の湿潤密度は、1380kg/mに増加した。
【0094】
4) アルファスルホ脂肪酸二塩界面活性剤をベースとする組成物
まず、アルファスルホ脂肪酸二塩をベースとするフォームを製造した。
【0095】
そのために、ロータ/ステータシステムに基づくフォーム製造機を用いて、圧縮空気を加えながら、C12/14アルファスルホ脂肪酸Na二塩をベースとする0.40%の界面活性剤溶液をフォームにした。調整されたフォーム密度は、75g/Lであった。
【0096】
参照混合物R3
石膏スラリーを製造するために、350gのベータ半水和物(排煙脱硫から得られる)を、0.035gの遅延剤(Plastretard)および3.3gの微細に粉砕された二水和物と一緒に均質化し、続いて、1.05gのベータナフタリン流動化剤を含有する234.2gの水に入れて、15秒にわたり浸漬した。続いて、この混合物を、30秒にわたり1600rpm/分でせん断した。その間、アルファスルホ脂肪酸二塩をベースとするフォーム(18.2g、密度75g/L)を添加した。これにより生じてからすぐの参照混合物1の密度は、1100kg/mであった。
【0097】
例E1(本発明)
例E1の製造を参照混合物R3と同様に行ったが、5%のベータ半水和物をシロキサン含有再生石膏と置き換えた点で異なっていた。本発明による例の湿潤密度は、わずか1170kg/mにだけ増加した。
【0098】
参照混合物および本発明の例の組成および特性は、表1に要約されている。
【0099】
【表1】
【0100】
これらの結果は、脂肪アルキルエーテルスルフェートをベースとするフォームを有する再生石膏含有組成物の場合、著しい湿潤密度の増加が観察される一方で、アルファスルホ脂肪酸二塩をベースとするフォームを使用した再生石膏含有組成物は、再生石膏を含有しない参照混合物よりもわずかに高い湿潤密度しか有しないことを示す。