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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】硬化物及び立体造形物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20230221BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20230221BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230221BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230221BHJP
【FI】
C08F290/06
B29C64/314
B33Y80/00
B33Y70/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018178787
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020050702
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】出口 義信
(72)【発明者】
【氏名】ティムトン ナルモン
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 正和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大介
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-535467(JP,A)
【文献】国際公開第2004/113056(WO,A1)
【文献】特表2020-505255(JP,A)
【文献】特開2019-182918(JP,A)
【文献】国際公開第2016/199611(WO,A1)
【文献】特開2015-021045(JP,A)
【文献】特開2002-179748(JP,A)
【文献】特開2002-053626(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2018-0102944(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2/00-2/60、6/00-301/00
B33Y10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂組成物の硬化反応物である硬化物であって、
前記硬化物の弾性率が、1500MPa以上であり、破断伸度が、10%以上であり、アイゾット衝撃強度が50J/m以上であり、
前記硬化性樹脂組成物が、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂と、
単官能(メタ)アクリレート化合物及び/または2官能(メタ)アクリレート化合物とを含有し、
前記ポリエステル樹脂の25℃における粘度が450mPa・s以上1500mPa・s以下の範囲であり、
前記単官能(メタ)アクリレート化合物及び/または前記2官能(メタ)アクリレート化合物の重合体のガラス転移温度が、80℃以上であることを特徴とする硬化物。
【請求項2】
前記単官能(メタ)アクリレート化合物が、(メタ)アクリロイルモルホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上である請求項1記載の硬化物
【請求項3】
前記ポリエステル樹脂が、芳香族多価カルボン酸を含有する多価カルボン酸と、(ポリ)アルキレングリコールと、一分子中に(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物との反応物である請求項記載の硬化物。
【請求項4】
活性エネルギー線の照射を硬化条件とする請求項1~のいずれか1項記載の硬化物
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項記載の硬化物からなることを特徴とする立体造形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化物及び立体造形物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、樹脂成型品の製造方法として、3次元CAD等の立体デザインシステムにより設計した立体形状データをもとに、硬化性樹脂組成物を紫外線レーザー等の活性エネルギー線によって選択的に重合硬化させることにより、立体造形物を作製する光学的立体造形法(光造形法)が用いられている。この光学的立体造形法は、切削加工では困難な複雑な形状にも対応が可能であり、製造時間も短く、取扱いも容易であることから、樹脂成型品の他、工業製品の試作モデルの製造に幅広く用いられるようになってきている。
【0003】
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂にコンピューターで制御されたスポット状の紫外線レーザーを上から照射して所定厚みの1層を硬化させ、その造形物を1層分だけ下げることで層上に液状樹脂を供給し、同様に紫外線レーザー光で前記と同様に照射硬化させ積層する、この操作の繰り返しにより立体造形物を得る方法が挙げられる。また、最近では、スポット状の紫外線レーザーを用いる上記の点描方式に加えて、LED等のレーザー以外の光源を用い、複数のデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置したDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)と呼ばれる面状描画マスクを介して、光硬化性樹脂を入れた透明容器を通して紫外光を下から照射して所定の断面形状パターンの1層を硬化させ、その造形物を1層分だけ上に引き上げて、前記と同様に次の1層を照射硬化させ、順次積層して立体造形物を得る面露光方式が増加している。
【0004】
前記光学立体造形法に用いられる光硬化性樹脂に対する要求特性としては、粘度が低く、平滑な液面を形成することができること、優れた硬化性を有することなど様々なものが挙げられる。このような光硬化性樹脂としては、ラジカル重合性化合物を主体とする樹脂組成物が知られているが(例えば、特許文献1及び2参照。)、硬化時に反り等の変形が発生するなどの問題があった。
【0005】
そこで、機械的物性に優れた硬化物を形成可能な材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-228644号公報
【文献】特開2008-189782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、機械的物性に優れた硬化物及び立体造形物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定の機械的物性を有する硬化物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、硬化性樹脂組成物の硬化反応物である硬化物であって、前記硬化物の弾性率が、1500MPa以上であり、伸度が、10%以上であり、アイゾット衝撃強度が50J/m以上であることを特徴とする硬化物及び立体造形物に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の硬化物は、優れた機械的物性を有する。なお、本発明でいう「優れた機械的物性」とは、「弾性率」が、1500MPa以上であり、「伸度」が、10%以上であり、「アイゾット衝撃強度」が50J/m以上であることを云う。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の硬化物は、硬化性樹脂組成物の硬化反応物であり、弾性率が、1500MPa以上であり、伸度が10%以上であり、アイゾット衝撃強度が50J/m以上であることを特徴とする。
【0012】
前記硬化性樹脂組成物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を含有するものが挙げられる。
【0013】
なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/またはメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/またはメタクリルを意味する。
【0014】
前記(メタ)アクリロイル基を有する樹脂としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂、(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。これらの(メタ)アクリロイル基を有する樹脂は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、低粘度であり、かつ優れた機械的物性を有する硬化物が得られることから、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂が好ましい。
【0015】
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と、(ポリ)アルキレングリコールと、一分子中に(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物のエステル化反応により得られるものが挙げられる。
【0016】
前記多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族多価カルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられる。これらの多価カルボン酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れた機械的物性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、芳香族多価カルボン酸が好ましい。
【0017】
前記(ポリ)アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタンジオール等が挙げられる。これらの(ポリ)アルキレングリコールは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い弾性率を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましい。
【0018】
前記一分子中に(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートの酸無水物付加物、ヒドロキシエチルアクリレートの酸無水物付加物、ラクトン付加ヒドロキシエチルアクリレートの酸無水物付加物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い弾性率、及び優れた耐衝撃性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0019】
前記ポリエステル樹脂の製造方法は、特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、先に多価カルボン酸と、(ポリ)アルキレングリコールとを脱水縮合反応させて、得られた反応生成物と、一分子中に(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物をさらに脱水縮合反応させる方法が好ましい。該反応は、例えば、多価カルボン酸と(ポリ)アルキレングリコールを200~280℃の温度範囲で、酸価5mg/KOH以下になるまで脱水縮合反応を行った後、触媒の存在下、一分子中に(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物、有機溶媒を加え、前記有機溶媒の沸点で還流しながら脱水縮合反応させる方法等により行うことができる。
【0020】
前記触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸などの酸性触媒が挙げられる。これらの触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0021】
前記有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、酢酸ノルマルブチル等の沸点が100~140℃の範囲のものが挙げられる。
【0022】
前記ポリエステル樹脂が有する(メタ)アクリロイル基の平均官能基数は、優れた伸度及び耐衝撃性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、1.5以上3以下の範囲であり、1.8以上2.2以下の範囲が好ましい。なお、本発明における平均官能基数とは、前記ポリエステル樹脂における、一分子あたりの(メタ)アクリロイル基の数をいう。
【0023】
前記平均官能基数は、下記の式により算出されるものである。
平均官能基数=[(末端基当量)/{ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)}]
末端基当量=56100/[{ポリエステル樹脂の水酸基価}+{ポリエステル樹脂の酸価}]
【0024】
なお、本発明において、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定される値である。また、本発明における水酸基価及び酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法に基づいて測定される値である。
【0025】
また、前記ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、低粘度であり、かつ、優れた機械的物性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、500~3,000の範囲が好ましい。
【0026】
また、前記ポリエステル樹脂の含有量は、低粘度であり、かつ、優れた機械的物性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、前記硬化性樹脂組成物中に50質量%以上であり、60~90質量%の範囲が好ましい。
【0027】
前記ウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、及び必要に応じて各種のポリオール化合物とを反応させて得られたものが挙げられる。
【0028】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式構造を有するポリイソシアネート;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物のヌレート変性体や、アダクト変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等を用いることもできる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0029】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物;前記各種の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
【0030】
前記ポリオール化合物は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビフェノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオール化合物;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
【0031】
前記エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸又はその無水物を反応させて得られるものが挙げられる。前記エポキシ樹脂は、例えば、ヒドロキノン、カテコール等の2価フェノールのジグリシジルエーテル;3,3’-ビフェニルジオール、4,4’-ビフェニルジオール等のビフェノール化合物のジグリシジルエーテル;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;1,4-ナフタレンジオール、1,5-ナフタレンジオール、1,6-ナフタレンジオール、2,6-ナフタレンジオール、2,7-ナフタレンジオール、ビナフトール、ビス(2,7-ジヒドロキシナフチル)メタン等のナフトール化合物のポリグリジシルエーテル;4,4’,4”-メチリジントリスフェノール等のトリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
【0032】
前記(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、水酸基やカルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(β)を更に反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られるものが挙げられる。
【0033】
前記アクリル樹脂中間体は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)の他、必要に応じてその他の重合性不飽和基含有化合物を共重合させたものであってもよい。前記その他の重合性不飽和基含有化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等のシクロ環含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0034】
前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)が有する反応性官能基と反応し得るものであれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレート化合物(α)として水酸基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてカルボキシ基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてグリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)として水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてグリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてカルボキシ基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0035】
前記硬化性樹脂組成物としては、さらに、単官能(メタ)アクリレート化合物、及び/または2官能(メタ)アクリレート化合物を含有することもできる。
【0036】
前記単官能(メタ)アクリレート化合物(B1)としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルメトキシ(メタ)アクリレート、2-エチルエトキシ(メタ)アクリレート、2-エチルブトキシ(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、(2ーメチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い弾性率を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、単官能(メタ)アクリレート化合物の重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」と略記する。)が、80℃以上である化合物が好ましい。なかでも、縮合多環構造、複素環構造等の環状構造を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、さらに、アクリロイルモルホリン(Tg:145℃)、イソボルニルアクリレート(Tg:94℃)、イソボルニルメタクリレート(Tg:180℃)、ジシクロペンテニルアクリレート(Tg:120℃)、ジシクロペンタニルアクリレート(Tg:120℃)、ジシクロペンタニルメタクリレート(Tg:175℃)が好ましく、アクリロイルモルホリンが特に好ましい。
【0037】
なお、前記単官能(メタ)アクリレート化合物を2種以上併用する場合は、2種以上の単官能(メタ)アクリレート化合物の共重合体のTgが80℃以上であることが好ましい。
【0038】
前記2官能(メタ)アクリレート化合物(B2)としては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンのエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート3-メチル-1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,3-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、2,5-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、2,6-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、1,3-アダマンチルジ(メタ)アクリレート、1,3-ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]アダマンタン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]-2,4,8,10-テトラオキソスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。これらの2官能(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い弾性率を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、2官能(メタ)アクリレート化合物の重合体のTgが、80℃以上である化合物が好ましい。なかでも、ジプロピレングリコールジアクリレート(Tg:102℃)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Tg:110℃)がより好ましい。
【0039】
なお、前記2官能(メタ)アクリレート化合物を2種以上併用する場合は、2種以上の2官能(メタ)アクリレート化合物の共重合体のTgが80℃以上であることが好ましい。
【0040】
また、前記単官能(メタ)アクリレート化合物と、前記2官能(メタ)アクリレート化合物とを併用することもできる。この場合、併用する(メタ)アクリレート化合物の共重合体のTgが80℃以上であることが好ましい。
【0041】
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、前記単官能(メタ)アクリレート化合物及び/または前記2官能(メタ)アクリレート化合物と、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物を併用することもできる。この場合においても、併用する(メタ)アクリレート化合物の共重合体のTgが80℃以上であることが好ましい。
【0042】
前記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、EO変性グリセロールアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、(EO)或いは(PO)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレート;
【0043】
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の4官能(メタ)アクリレート;
【0044】
ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の5官能(メタ)アクリレート;
【0045】
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の6官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの3官能以上の(メタ)アクリレートは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0046】
前記硬化性樹脂組成物は、さらに、光重合開始剤を含有するものである。前記光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等が挙げられる。
【0047】
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad-1173」、「Omnirad-184」、「Omnirad-127」、「Omnirad-2959」、「Omnirad-369」、「Omnirad-379」、「Omnirad-907」、「Omnirad-4265」、「Omnirad-1000」、「Omnirad-651」、「Omnirad-TPO」、「Omnirad-819」、「Omnirad-2022」、「Omnirad-2100」、「Omnirad-754」、「Omnirad-784」、「Omnirad-500」、「Omnirad-81」(IGM社製)、「カヤキュア-DETX」、「カヤキュア-MBP」、「カヤキュア-DMBI」、「カヤキュア-EPA」、「カヤキュア-OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア-10」、「バイキュア-55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア-PDO」、「クオンタキュア-ITX」、「クオンタキュア-EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure-1104」(Runtec社製)等が挙げられる。
【0048】
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、前記硬化性樹脂組成物中に、1~20質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0049】
また、前記硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することもできる。
【0050】
前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物、o-トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s-ベンジルイソチウロニウム-p-トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
【0051】
また、前記硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、有機ビーズ、無機微粒子、有機フィラー、無機フィラー、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、着色剤等の各種添加剤を含有することもできる。
【0052】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0053】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0054】
前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン、P-メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ニトロソアミン塩等が挙げられる。
【0055】
前記シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体等のアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。これらのシリコン系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0056】
前記フッ素系添加剤としては、例えば、DIC株式会社製「メガフェース」シリーズ等が挙げられる。これらのフッ素系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0057】
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル・ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、特殊アミノシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン等のビニル系のシランカップリング剤;
【0058】
ジエトキシ(グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、2-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系のシランカップリング剤;
【0059】
p-スチリルトリメトキシシラン等のスチレン系のシランカップリング剤;
【0060】
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ系のシランカップリング剤;
【0061】
N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1、3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系のシランカップリング剤;
【0062】
3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド系のシランカップリング剤;
【0063】
3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピル系のシランカップリング剤;
【0064】
3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキンシラン等のメルカプト系のシランカップリング剤;
【0065】
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファイド等のスルフィド系のシランカップリング剤;
【0066】
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系のシランカップリング剤などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0067】
前記リン酸エステル化合物としては、例えば、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられ、市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-2」、「カヤマーPM-21」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-1M」「ライトエステルP-2M」、「ライトアクリレートP-1A(N)」、SOLVAY社製「SIPOMER PAM 100」、「SIPOMER PAM 200」、「SIPOMER PAM 300」、「SIPOMER PAM 4000」、大阪有機化学工業社製「ビスコート#3PA」、「ビスコート#3PMA」、第一工業製薬社製「ニューフロンティア S-23A」;分子構造中にアリルエーテル基を有するリン酸エステル化合物であるSOLVAY社製「SIPOMER PAM 5000」等が挙げられる。
【0068】
前記有機ビーズとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ-ズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。これらの有機ビーズは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら有機ビーズの平均粒径は、1~10μmの範囲であることが好ましい。
【0069】
前記無機微粒子は、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン等の微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら無機微粒子の平均粒径は、95~250nmの範囲であることが好ましく、特に100~180nmの範囲であることがより好ましい。
【0070】
前記無機微粒子を含有する場合には、分散補助剤を用いることができる。前記分散補助剤としては、例えば、イソプロピルアシッドホスフェート、トリイソデシルホスファイト、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタクリレート等のリン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの分散補助剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記分散補助剤の市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-21」、「カヤマーPM-2」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-2M」等が挙げられる。
【0071】
前記有機フィラーとしては、例えば、セルロース、リグニン、及びセルロースナノファイバー等の植物由来の溶剤不溶性物質等が挙げられる。
【0072】
前記無機フィラーとしては、例えば、ガラス(粒子)、シリカ(粒子)、アルミナシリケート、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
【0073】
前記レオロジーコントロール剤としては、例えば、楠本化成株式会社製「ディスパロン6900」等のアマイド・ワックス類;ビッグ・ケミー社製「BYK410」等の尿素系レオロジーコントロール剤類;楠本化成株式会社製「ディスパロン4200」等のポリエチレン・ワックス;イーストマン・ケミカル・プロダクツ社製「CAB-381-2」、「CAB 32101」等のセルロース・アセテート・ブチレートなどが挙げられる。
【0074】
前記脱泡剤としては、例えば、フッ素或いは、硅素原子を含んだオリゴマー、または高級脂肪酸、アクリル重合体等のオリゴマー等が挙げられる。
【0075】
前記着色剤としては、例えば、顔料、染料等が挙げられる。
【0076】
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0077】
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。
【0078】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0079】
前記染料としては、例えば、モノアゾ・ジスアゾ等のアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリアリルメタン系染料等が挙げられる。これらの染料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0080】
本発明の硬化物は、弾性率が、1500MPa以上であり、伸度が、10%以上であり、アイゾット衝撃強度が50J/m以上であることを特徴とする。
【0081】
なお、本発明における硬化物の弾性率及び伸度は、下記の条件における引っ張り試験により得られた測定値に基づき算出されるものである。
【0082】
<引っ張り試験>
・試験片
光造形3Dプリンター(株式会社ディーメック社製「ACCULAS BA-30S」)を用いて、引っ張り試験用ダンベル(ASTM D638 TYPE1準拠)を作成し、次いで、光造形により得られた前記引っ張り試験用ダンベルをイソプロピルアルコールで洗浄し、常温で1時間乾燥後、後硬化として高圧水銀ランプにて、両面をそれぞれUV照射(10000mJ/cm)して得られたものを使用する。
・測定装置
島津製作所性オートグラフ「AG-Xplus 100kN」(ロードセル100kN、ヘッドスピード5mm/min、試験片幅10mm)
・測定方法
ASTM D638に準拠
【0083】
また、本発明におけるアイゾット衝撃強度は、下記の条件におけるアイゾット衝撃試験により得られた測定値に基づき算出されるものである。
【0084】
<アイゾット衝撃試験>
・試験片
光造形3Dプリンター(株式会社ディーメック社製「ACCULAS BA-30S」)を用いて、アイゾット衝撃試験用テストピース(ASTM D256準拠)を作成し、次いで、光造形により得られた前記テストピースをイソプロピルアルコールで洗浄し、常温で1時間乾燥後、後硬化として高圧水銀ランプにて、両面をそれぞれUV照射(10000mJ/cm)して得られたものを使用する。
・測定装置
株式会社東洋精機製作所製「ユニバーサルインパクトテスター」
・測定方法
ASTM D256に準拠
【0085】
本発明の硬化物は、より優れた機械的物性を有することから、弾性率が2000MPa以上が好ましく、伸度が20%以上が好ましく、アイゾット衝撃強度が60J/m以上が好ましい。
【0086】
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0087】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
【0088】
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、50~5,000mJ/cmであることが好ましく、300~1,000mJ/cmであることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止または抑制ができることから好ましい。
【0089】
本発明の立体造形物は、公知の光学的立体造形法により作製することができる。
【0090】
前記光学的立体造形法としては、例えば、レーザー光造形法、インクジェット光造形法が挙げられる。前記レーザー光造形法とは、光エネルギー吸収剤を含有する液状の硬化性樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように活性エネルギー線を選択的に照射して硬化層を形成し、次いで、その硬化層に未硬化液状の硬化性樹脂組成物を供給し、同様に活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する積層する操作を繰り返すことによって最終的に目的とする立体造形物を得る方法であり、具体的には、ステレオリソグラフィー(SLA)方式、デジタルライトプロセッシング(DLP)方式が挙げられる。
【0091】
前記ステレオリソグラフィー(SLA)方式とは、液状の硬化性樹脂組成物の槽に活性エネルギー線を照射し、造形ステージを下げながら一層ずつ硬化して立体造形を行う方式である。
【0092】
前記デジタルライトプロセッシング(DLP)方式とは、SLAが上から活性エネルギー線をレーザー光で照射するのに対し、DLPの場合は、下からプロジェクターによって活性エネルギー線を照射し液状の硬化性樹脂を硬化させる方式である。そのため、DLP方式の場合は、造形ステージは積層のたびに上に上がっていき、造形物は吊り下げられながら積層されることを特徴とする。
【0093】
前記インクジェット光造形法とは、光造形用硬化性樹脂組成物の微小液滴を、ノズルから所定の形状パターンを描画するよう吐出してから、紫外線を照射して硬化薄膜を形成する方法である。具体的態様の一例を簡単に説明する。インクジェット光造形法に用いる光造形装置は、目的とする立体造形物を光造形するための平面ステージと、平面ステージに対して少なくとも平行な平面上に移動可能なインクジェットノズルを少なくとも1個と、活性エネルギー線を照射するための光源を有している。CADデータ等に基づいて目的とする立体造形物の形状を、複数の断面形状に分割した断面形状データに応じた所望のパターンで、インクジェットノズルから硬化性樹脂組成物を吐出して、硬化性樹脂組成物からなる樹脂薄層を形成した後、光源から活性エネルギー線を照射して該樹脂薄層を硬化させる。次いで、該硬化させた樹脂薄層の上に、次の断面形状に応じてインクジェットノズルから硬化性樹脂組成物を供給する。以上を繰り返すことにより、各断面形状に相当する光硬化層を積層した光硬化物である立体造形物を得る。
【0094】
これらの光学的立体造形法のなかでも、レーザー光造形法が好ましい。
【0095】
本発明の立体造形物は、機械的物性に優れることから、例えば、自動車部品、家電、建材、インテリア、歯科材料等の用途において好適に用いることができる。
【実施例
【0096】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
【0097】
なお、本実施例において、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
【0098】
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC-8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL-H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC-8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0099】
(合成例1:(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂(1)の合成)
攪拌機、温度計及び水分離器を備えた4つ口のフラスコに、不活性ガス雰囲気中にてアジピン酸245質量部、ジエチレングリコール355質量部を230℃で5時間反応させて、ポリエステル樹脂(1-a)を得た。このポリエステル樹脂(1-a)の固形分酸価は、5mgKOH/gであり、水酸基価は、350mgKOH/gであり、数平均分子量(Mn)は、530であった。
【0100】
次いで、2L反応器に、得られたポリエステル樹脂(1-a)270質量部、アクリル酸134質量部、有機溶媒としてトルエン404質量部、触媒として硫酸20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノン0.4質量部を仕込み、攪拌下105~110℃で5時間反応させた後、反応液に水800質量部を加え、20℃で攪拌した後静置した。次いで、未反応のアクリル酸、触媒等を含む下層(水層)を分離し、上層(有機層)を減圧下、80℃でトルエンを留去して、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂(1)を得た。このポリエステル樹脂(1)が有する(メタ)アクリロイル基の平均官能基数は2であり、ポリエステル樹脂(1)の数平均分子量(Mn)は、600であり、25℃における粘度は、450mPa・sであった。なお、粘度は、E型粘度計(25℃)にて測定した値である。
【0101】
(合成例2:(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂(2)の合成)
攪拌機、温度計及び水分離器を備えた4つ口のフラスコに、不活性ガス雰囲気中にて無水フタル酸247質量部、ジエチレングリコール353質量部を230℃で5時間反応させて、ポリエステル樹脂(2-a)を得た。このポリエステル樹脂(2-a)の固形分酸価は、5mgKOH/gであり、水酸基価は、330mgKOH/gであり、数平均分子量(Mn)は、560であった。
【0102】
次いで、2L反応器に、得られたポリエステル樹脂(2-a)270質量部、アクリル酸126質量部、有機溶媒としてトルエン400質量部、触媒として硫酸20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノン0.4質量部を仕込み、攪拌下105~110℃で5時間反応させた後、反応液に水800質量部を加え、20℃で攪拌した後静置した。次いで、未反応のアクリル酸、触媒等を含む下層(水層)を分離し、上層(有機層)を減圧下、80℃でトルエンを留去して、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂(2)を得た。このポリエステル樹脂(2)が有する(メタ)アクリロイル基の平均官能基数は2であり、ポリエステル樹脂(2)の数平均分子量(Mn)は、680であり、25℃における粘度は、480mPa・sであった。
【0103】
(合成例3:(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂(3)の合成)
攪拌機、温度計及び水分離器を備えた4つ口のフラスコに、不活性ガス雰囲気中にてテレフタル酸161質量部、コハク酸115質量部、ネオペンチルグリコール263質量部を250℃で7時間反応させて、ポリエステル樹脂(3-a)を得た。このポリエステル樹脂(3-a)の固形分酸価は、5mgKOH/gであり、水酸基価は、210mgKOH/gであり、数平均分子量(Mn)は、1150であった。
【0104】
次いで、2L反応器に、得られたポリエステル樹脂(3-a)290質量部、アクリル酸110質量部、有機溶媒としてトルエン400質量部、触媒として硫酸20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノン0.4質量部を仕込み、攪拌下105~110℃で5時間反応させた後、反応液に水800質量部を加え、20℃で攪拌した後静置した。次いで、未反応のアクリル酸、触媒等を含む下層(水層)を分離し、上層(有機層)を減圧下、80℃でトルエンを留去して、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂(3)を得た。このポリエステル樹脂(3)が有する(メタ)アクリロイル基の平均官能基数は2.4であり、ポリエステル樹脂(3)の数平均分子量(Mn)は、1200であり、25℃における粘度は、1500mPa・sであった。
【0105】
(合成例4:(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂(4)の合成)
攪拌機、温度計及び水分離器を備えた4つ口のフラスコに、不活性ガス雰囲気中にて無水フタル酸247質量部、ジエチレングリコール353質量部を230℃で5時間反応させて、ポリエステル樹脂(4-a)を得た。このポリエステル樹脂(4-a)の固形分酸価は、5mgKOH/gであり、水酸基価は、330mgKOH/gであり、数平均分子量(Mn)は、560であった。
【0106】
次いで、続いて2L反応器に、得られたポリエステル樹脂(4-a)270質量部、アクリル酸57質量部、有機溶媒としてトルエン400質量部、触媒として硫酸16質量部、重合禁止剤としてハイドロキノン0.4質量部を仕込み、攪拌下105~110℃で5時間反応させた後、反応液に水800質量部を加え、20℃で攪拌した後静置した。次いで、未反応のアクリル酸、触媒等を含む下層(水層)を分離し、上層(有機層)を減圧下、80℃でトルエンを留去して、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂(4)を得た。このポリエステル樹脂(4)が有する(メタ)アクリロイル基の平均官能基数は1であり、ポリエステル樹脂(4)の数平均分子量(Mn)は、620であり、25℃における粘度は、400mPa・sであった。
【0107】
(合成例5:(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂(5)の合成)
攪拌機、温度計及び水分離器を備えた4つ口のフラスコに、不活性ガス雰囲気中にて無水フタル酸252質量部、ジエチレングリコール108質量部を230℃で5時間反応させて、ポリエステル樹脂(5-a)を得た。このポリエステル樹脂(5-a)の固形分酸価は、5mgKOH/gであり、水酸基価は、140mgKOH/gであり、数平均分子量(Mn)は、1500であった。
【0108】
次いで、2L反応器に、得られたポリエステル樹脂(5-a)270質量部、アクリル酸126質量部、有機溶媒としてトルエン400質量部、触媒として硫酸20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノン0.4質量部を仕込み、攪拌下105~110℃で5時間反応させた後、反応液に水800質量部を加え、20℃で攪拌した後静置した。次いで、未反応のアクリル酸、触媒等を含む下層(水層)を分離し、上層(有機層)を減圧下、80℃でトルエンを留去して、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂(5)を得た。このポリエステル樹脂(5)が有する(メタ)アクリロイル基の平均官能基数は3.6であり、ポリエステル樹脂(5)の数平均分子量(Mn)は、1600であり、25℃における粘度は、1800mPa・sであった。
【0109】
(合成例6:(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂の合成)
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン850」、エポキシ当量188g/eq.;以下、「液状BPA型エポキシ樹脂」と略記する。)435.1質量部、アクリル酸163.6質量部、重合禁止剤としてメトキノン(以下、「MQ」と略記する。)0.1質量部を仕込み、100℃に昇温した後、触媒としてトリフェニルホスフィン(以下、「TPP」と略記する。)1.2質量部を加えた。次いで、100℃で15時間反応を行うことで、(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂を得た。このエポキシ樹脂のエポキシ当量は、20,000g/eq.であり、酸価は、0.5mgKOH/gであり、溶液粘度(酢酸ブチル不揮発分80質量溶液)は1.8Pa・sであった。
【0110】
(合成例7:(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂の合成)
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、イソホロンジイソシアネート222質量部、ターシャリブチルヒドロキシトルエン1.0質量部、MQ0.2質量部、ジブチル錫ジアセテート0.05質量部を加え、70℃に昇温し、合成例2で得たポリエステル樹脂(2-a)170質量部(水酸基価330mgKOH/g)を1時間にわたって分割仕込みを行った。全量を仕込んだ後、70℃で3時間反応させ、次いで、2-ヒドロキシエチルアクリレート118.3質量部を添加し、さらに70℃で反応させ、イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルが消失するまで反応を行って、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂を得た。このウレタン樹脂の粘度は、35Pa・sであった。
【0111】
(実施例1:硬化物(1)の作製)
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、合成例1で得た(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂(1)70質量部、イソボルニルアクリレート(共栄社化学株式会社製「ライトアクリレートIB-XA」)30質量部、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド(IGM Resins社製「Omnirad TPO」)2質量部を全量仕込んだ後、60℃以下で、均一溶解するまで攪拌し、硬化性樹脂組成物(1)を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物(1)を光造形3Dプリンター(株式会社ディーメック社製「ACCULAS BA-30S」)を用いて、硬化物(1)を作製した。
【0112】
(実施例2~11:硬化物(2)~(11)の作製)
(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂、及び(メタ)アクリレート化合物を表1に示した組成及び配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて硬化物(2)~(11)を得た。
【0113】
(比較例1~8:硬化物(C1)~(C6)の調製)
実施例1で用いた(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂、及び(メタ)アクリレート化合物を表2に示した組成及び配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて硬化物(C1)~(C6)を得た。
【0114】
上記の実施例1~11、及び比較例1~6で得られた硬化物を用いて、下記の評価を行った。
【0115】
[試験片の作製]
光造形3Dプリンター(株式会社ディーメック社製「ACCULAS BA-30S」)を用いて、引っ張り試験用ダンベル(ASTM D638 TYPE1準拠)、及びアイゾット衝撃試験用テストピース(ASTM D256準拠)を作製した。次いで、光造形により得られた前記引っ張り試験用ダンベル、及び前記アイゾット衝撃試験用テストピースをイソプロピルアルコールで洗浄し、常温で1時間乾燥後、後硬化として高圧水銀ランプにて、両面をそれぞれUV照射(各10000mJ/cm)して、試験片1(引っ張り試験用ダンベル)及び試験片2(アイゾット衝撃試験用テストピース)を得た。
【0116】
[弾性率及び伸度の測定方法]
ASTM D638に準拠し、前記試験片1を用いて、島津製作所製オートグラフ「AG-Xplus 100kN」(ロードセル100kN、ヘッドスピード5mm/min、試験片幅10mm)により、引っ張り試験を行い、弾性率及び伸度を測定した。
【0117】
[アイゾット衝撃強度(耐衝撃性)の測定方法]
ASTM D256に準拠し、前記試験片2を用いて、株式会社東洋精機製作所製「ユニバーサルインパクトテスター」により、アイゾット衝撃強度を測定した。
【0118】
実施例1~11で作製した硬化物(1)~(11)の組成及び評価結果を表1に示す。
【0119】
【表1】
【0120】
比較例1~6で作製した硬化物(C1)~(C6)の組成及び評価結果を表2に示す。
【0121】
【表2】
【0122】
表1及び2中の「光重合開始剤」は、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド(IGM Resins社製「Omnirad TPO」)を示す。
【0123】
表1及び2中の「フェノキシエチルメタクリレート」のTgは、47℃である。
【0124】
表2中の「BPA(EO)10 ジアクリレート」は、エチレンオキサイド変性(10モル付加)ビスフェノールAのジアクリレートを示し、このTgは、3℃である。
【0125】
表2中の「ネオペンチルグリコールジメタクリレート」のTgは、56℃である。
【0126】
表2中の「DPHA」は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを示し、このTgは、68℃である。