(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】光造形用硬化性樹脂組成物、硬化物及び立体造形物
(51)【国際特許分類】
C08F 290/06 20060101AFI20230221BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20230221BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20230221BHJP
【FI】
C08F290/06
B29C64/314
B33Y80/00
(21)【出願番号】P 2022551333
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2022010456
(87)【国際公開番号】W WO2022209689
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2021063260
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】清水 郁馬
(72)【発明者】
【氏名】出口 義信
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-111226(JP,A)
【文献】特開平09-169827(JP,A)
【文献】国際公開第2016/072356(WO,A1)
【文献】特開2017-210539(JP,A)
【文献】特開2013-159691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/06
B29C 64/314
B33Y 80/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(A)と単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)と光重合開始剤とを含有する光造形用硬化性樹脂組成物であって、
前記ウレタン樹脂(A)における(メタ)アクリロイル基の含有量が0.8mmоl/g以上2.2mmоl/g以下であり、
前記ウレタン樹脂(A)が、下記式(1)、(2)、及び(3)のいずれかで表される少なくとも一つのポリイソシアネート(a1)と、
下記式(4)で表される水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)とを必須の反応原料とするものであり、
前記単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)の重合体のガラス転移温度が、50℃以上である光造形用硬化性樹脂組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
(上記式(1)、(2)、(3)中、R
1、R
2、R
3は、それぞれ炭素数1~20の直鎖のアルキル基を表す。
上記式(4)中、R
4
は水素原子またはメチル基を表し、nは1以上10以下の整数を表す。)
【請求項2】
前記光造形用硬化性樹脂組成物が、単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)及び2官能(メタ)アクリル系化合物(B2)を含有し、
前記光造形用硬化性樹脂組成物における前記ウレタン樹脂(A)の含有量が、1質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の光造形用硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記2官能(メタ)アクリル系化合物(B2)の重合体のガラス転移温度が、40℃以上である、請求項
2に記載の光造形用硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)が、下記式(5)で表される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の光造形用硬化性樹脂組成物。
【化5】
(上記式(5)中、R
5は水素原子またはメチル基を表す。R
6及びR
7は、それぞれ独立に、環構造を有してもよい炭素数1~40の1価の炭化水素基、前記炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子もしくは窒素原子に置換した基または水素原子であり、R
6及びR
7は互いに結合して環を形成してもよく、R
6及びR
7で表される炭素数1~40の1価の炭化水素基は、不飽和二重結合を含んでいても、含んでいなくてもよい。)
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の光造形用硬化性樹脂組成物の硬化反応物である硬化物。
【請求項6】
活性エネルギー線の照射を硬化条件とする、請求項
5に記載の硬化物。
【請求項7】
請求項
5または
6に記載の硬化物からなる立体造形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光造形用硬化性樹脂組成物、硬化物及び立体造形物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、樹脂成型品の製造方法として、3次元CAD等の立体デザインシステムにより設計した立体形状データをもとに、硬化性樹脂組成物を紫外線レーザー等の活性エネルギー線によって選択的に重合硬化させることにより、立体造形物を作製する光学的立体造形法(光造形法)が用いられている。この光学的立体造形法は、切削加工では困難な複雑な形状にも対応が可能であり、製造時間も短く、取扱いも容易であることから、樹脂成型品の他、工業製品の試作モデルの製造に幅広く用いられるようになってきている。
【0003】
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂にコンピューターで制御されたスポット状の紫外線レーザーを上から照射して所定厚みの1層を硬化させ、その造形物を1層分だけ下げることで層上に液状樹脂を供給し、同様に紫外線レーザー光で上記と同様に照射硬化させ積層する、この操作の繰り返しにより立体造形物を得る方法が挙げられる。また、最近では、スポット状の紫外線レーザーを用いる上記の点描方式に加えて、LED等のレーザー以外の光源を用い、複数のデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置したDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)と呼ばれる面状描画マスクを介して、光硬化性樹脂を入れた透明容器を通して紫外光を下から照射して所定の断面形状パターンの1層を硬化させ、その造形物を1層分だけ上に引き上げて、上記と同様に次の1層を照射硬化させ、順次積層して立体造形物を得る面露光方式が増加している。
【0004】
上記光学立体造形法に用いられる光硬化性樹脂に対する要求特性としては、粘度が低く、平滑な液面を形成することができること、優れた硬化性を有することなど様々なものが挙げられる。このような光硬化性樹脂としては、ラジカル重合性化合物を主体とする樹脂組成物が知られているが(例えば、特許文献1及び2参照。)、弾性率、及び耐衝撃性について昨今ますます高まる要求性能を満足するものではなかった。
【0005】
そこで、低粘度であり、かつ弾性率、及び耐衝撃性にも優れた硬化物を形成できる光造形用硬化性樹脂組成物が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7 228644号公報
【文献】特開2008 189782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低粘度であり、かつ弾性率、及び衝撃強度が大きく経時変化が少ない耐衝撃性に優れた硬化物を形成できる光造形用硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ウレタン(メタ)アクリレートにおけるアクリロイル基の含有量が特定の値を示す特定のウレタン(メタ)アクリレートを光造形用硬化性樹脂組成物に含有させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1](メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(A)と光重合開始剤とを含有する光造形用硬化性樹脂組成物であって、
前記ウレタン樹脂(A)における(メタ)アクリロイル基の含有量が0.8mmоl/g以上2.2mmоl/g以下である、光造形用硬化性樹脂組成物。
[2]前記ウレタン樹脂(A)が、下記式(1)、(2)、及び(3)のいずれかで表される少なくとも一つのポリイソシアネート(a1)と、水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)とを必須の反応原料とするものである、[1]に記載の光造形用硬化性樹脂組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
(上記式(1)、(2)、(3)中、R
1、R
2、R
3は、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。)
[3]前記式(1)、(2)、(3)中、R
1、R
2、R
3が、それぞれ直鎖のアルキル基である、[2]に記載の光造形用硬化性樹脂組成物。
[4]前記ウレタン樹脂(A)が、前記式(1)、(2)、(3)のいずれかで表される少なくとも一つのポリイソシアネート(a1)と、下記式(4)で表される水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)とを必須の反応原料とするものである、[2]または[3]に記載の光造形用硬化性樹脂組成物。
【化4】
(上記式(4)中、R
4は水素原子またはメチル基を表し、nは0以上10以下の整数を表す。)
[5]前記光造形用硬化性樹脂組成物が、単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)及び/または2官能(メタ)アクリル系化合物(B2)を含有し、
前記光造形用硬化性樹脂組成物における前記ウレタン樹脂(A)の含有量が、1質量%以上50質量%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の光造形用硬化性樹脂組成物。
[6]前記単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)の重合体のガラス転移温度が、50℃以上である、[5]に記載の光造形用硬化性樹脂組成物。
[7]前記2官能(メタ)アクリル系化合物(B2)の重合体のガラス転移温度が、40℃以上である、[5]に記載の光造形用硬化性樹脂組成物。
[8]前記単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)が、下記式(5)で表される、[5]または[6]に記載の光造形用硬化性樹脂組成物。
【化5】
(上記式(5)中、R
5は水素原子またはメチル基を表す。R
6及びR
7は、それぞれ独立に、環構造を有してもよい炭素数1~40の1価の炭化水素基、前記炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子もしくは窒素原子に置換した基または水素原子であり、R
6及びR
7は互いに結合して環を形成してもよく、R
6及びR
7で表される炭素数1~40の1価の炭化水素基は、不飽和二重結合を含んでいても、含んでいなくてもよい。)
[9][1]~[8]のいずれかに記載の光造形用硬化性樹脂組成物の硬化反応物である硬化物。
[10]活性エネルギー線の照射を硬化条件とする、[9]に記載の硬化物。
[11][9]または[10]に記載の硬化物からなる立体造形物。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、低粘度であり、かつ弾性率、及び衝撃強度が大きく経時変化が少ない耐衝撃性に優れた硬化物を形成できる光造形用硬化性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、以下に記載する構成要件の説明は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/またはメタクリロイルを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/またはメタクリルを意味する。
【0012】
(光造形用硬化性樹脂組成物)
本発明の光造形用硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(A)と光重合開始剤とを含有する
ウレタン樹脂(A)における(メタ)アクリロイル基の含有量は、0.8mmоl/g以上2.2mmоl/g以下である。
本発明の光造形用硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(A)及び光重合開始剤の他に、単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)及び/または2官能(メタ)アクリル系化合物(B2)を含有することができる。
また、本発明の光造形用硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)及び/または2官能(メタ)アクリル系化合物(B2)以外の3官能以上の他の(メタ)アクリル系化合物を含有することもできる。
さらにまた、本発明の光造形用硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、光増感剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機フィラー等のその他の添加剤を含有することもできる。
【0013】
<(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(A)>
本発明で用いるウレタン樹脂(A)は、該ウレタン樹脂(A)における(メタ)アクリロイル基の含有量が、0.8mmоl/g以上2.2mmоl/g以下を示す。
(メタ)アクリロイル基の含有量が特定の値であるウレタン樹脂(A)を硬化性樹脂組成物に含有させることで、該硬化性樹脂組成物は、下記実施例でも示す通り、低粘度であり、かつ弾性率、及び耐衝撃性にも優れた硬化物を形成することができる。
ウレタン樹脂(A)は、ポリイソシアネート(a1)と、水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)とを反応させることにより得ることができる。
【0014】
<<ポリイソシアネート(a1)>>
ポリイソシアネート(a1)としては、本発明で用いる(メタ)アクリロイル基の含有量が特定の値であるウレタン樹脂(A)が形成できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4 トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4 トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5 ナフタレンジイソシアネート、4,4’ ジイソシアナト 3,3’ ジメチルビフェニル、o トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記式(6)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。
【化6】
(式(6)中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1 6の炭化水素基の何れかである。R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1 4のアルキル基、または式(6)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。lは0または1~3の整数であり、mは1~15の整数である。)
【0015】
また、ポリイソシアネート(a1)が、特に下記式(1)、(2)、及び(3)のいずれかで表される少なくとも一つのポリイソシアネートであると、(メタ)アクリロイル基の含有量が本発明で規定する特定の値を示すウレタン樹脂(A)を形成するうえで、より好ましい。
ポリイソシアネート(a1)の好ましい実施態様として、下記<<<第一の実施態様>>>を挙げることができる。
【0016】
<<<第一の実施態様>>>
ポリイソシアネート(a1)が、下記式(1)、(2)、及び(3)のいずれかで表される少なくとも一つのポリイソシアネートであるとより好ましい。
【0017】
【0018】
【0019】
【化9】
上記式(1)、(2)、(3)中、R
1、R
2、R
3は、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
ポリイソシアネート(a1)として、上記式(1)~(3)で示すように、イソシアヌレート構造、ビュレット構造、またはアロファネート構造を有するポリイソシアネートを用いることがより好ましい。
式(1)、(2)、(3)中、R
1、R
2、R
3は、それぞれ直鎖のアルキル基であるとより好ましい。
【0020】
上述したポリイソシアネート(a1)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0021】
<<水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)>>
水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)としては、本発明で用いる(メタ)アクリロイル基の含有量が特定の値であるウレタン樹脂(A)が形成できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記各種の水酸基及び(メタ)アクリロイ
ル基を有する化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体や、上記各種の水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等も用いることができる。
【0022】
また、水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)が、特に下記式(4)で表される水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物であると、(メタ)アクリロイル基の含有量が本発明で規定する特定の値を示すウレタン樹脂(A)を形成するうえで、より好ましい。
水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)の好ましい実施態様として、下記<<<第二の実施態様>>>を挙げることができる。
【0023】
<<<第二の実施態様>>>
水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)が、下記式(4)で表される水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物であるとより好ましい。
【0024】
【化10】
上記式(4)中、R
4は水素原子またはメチル基を表し、nは0以上10以下の整数を表す。
水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)として、上記式(4)で示すように、カプロラクトン変性されている水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
【0025】
上述した水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0026】
<<ウレタン樹脂(A)の製造方法>>
ウレタン樹脂(A)の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、上記ポリイソシアネート(a1)と、上記水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)とを含有する反応原料を一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を分けて順次反応させる方法で製造してもよい。なお、低粘度であり、優れた弾性率及び耐衝撃性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、上記水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)が有する水酸基(OH)と、ポリイソシアネート(a1)が有するイソシアネート基(NCO)との当量比(OH/NCO)は、0.95/1.00~1.05/1.00の範囲であることが好ましく、1/1であることがより好ましい。
【0027】
ウレタン樹脂(A)の製造においては、触媒として、例えば、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫アセテート等を用いることができ、通常行われるウレタン化反応の条件で製造することができる。また、必要に応じて、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等の溶媒、あるいは、イソシアネートと反応する部位を含有しないラジカル重合性単量体のうち水酸基またはアミノ基を含有しないもの等を溶媒として用いることもできる。
【0028】
<<ウレタン樹脂(A)の特性>>
ウレタン樹脂(A)における(メタ)アクリロイル基の含有量は、ウレタン樹脂(A)の単位質量あたりの量(mmоl/g)である。
ウレタン樹脂(A)における(メタ)アクリロイル基の含有量は、0.8mmоl/g以上2.2mmоl/g以下を示すが、硬化物の硬度と耐衝撃性の両立という観点からは、1.0mmоl/g以上であることがより好ましく、1.2mmоl/g以上であることがさらに好ましく、2.0mmоl/g以下であることがより好ましく、1.9mmоl/g以下であることがさらに好ましい。
ウレタン樹脂(A)における(メタ)アクリロイル基の含有量は、例えば、1HNMR分析装置を用いて測定サンプルと内部標準の各ピークを帰属し、積分比により求める方法や、IR分析装置を用いて、アクリロイル基に起因するピークと標準物質の特定ピークとの比から検量線を作成し、定量する方法などで求めることができる。本出願においては、原料の(メタ)アクリロイル基の含有量(理論値)を基に、ウレタン樹脂(A)の(メタ)アクリロイル基含有量を算出した。
【0029】
<光重合開始剤>
本発明の光造形用硬化性樹脂組成物は、さらに、光重合開始剤を含有するものである。光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6 トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6 トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル、ポリメリックTPO-L等が挙げられる。
【0030】
その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad-1173」、「Omnirad-184」、「Omnirad-127」、「Omnirad-2959」、「Omnirad-369」、「Omnirad-379」、「Omnirad-907」、「Omnirad-4265」、「Omnirad-1000」、「Omnirad-651」、「Omnirad-TPO」、「Omnirad-819」、「Omnirad-2022」、「Omnirad-2100」、「Omnirad-2959」、「Omnirad-754」、「Omnirad-784」、「Omnirad-500」、「Omnirad-81」「Omnirad TPO-L」、「Omnipol TP」(IGM社製)、「カヤキュア-DETX」、「カヤキュア-MBP」、「カヤキュア-DMBI」、「カヤキュア-EPA」、「カヤキュア-OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア-10」、「バイキュア-55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア-PDO」、「クオンタキュア-ITX」、「クオンタキュア-EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure-1104」(Runtec社製)、等が挙げられる。
【0031】
光重合開始剤の添加量は、例えば、光造形用硬化性樹脂組成物中に、1 20質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0032】
<単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)>
(メタ)アクリル系化合物には、窒素含有(メタ)アクリル系化合物も含み得る。
例えば、(メタ)アクリル系化合物として、(メタ)アクリレート化合物や(メタ)アクリルアミド類などの(メタ)アクリル系化合物が挙げられる。
単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルメトキシ(メタ)アクリレート、2-エチルエトキシ(メタ)アクリレート、2-エチルブトキシ(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、2 (メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、グリセリンカーボネート(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-(1,2-シクロヘキサンジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
単官能(メタ)アクリル系化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、単官能(メタ)アクリル系化合物の中でも、低粘度であり、優れた機械的物性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、単官能(メタ)アクリル系化合物の重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」と略記する。)が、50℃以上である化合物が好ましい。なかでも、縮合多環構造、複素環構造等の環状構造を有する(メタ)アクリル系化合物が好ましく、さらに、イソボルニルアクリレート(Tg:94℃)、イソボルニルメタクリレート(Tg:180℃)、ジシクロペンテニルアクリレート(Tg:120℃)、ジシクロペンタニルアクリレート(Tg:120℃)、ジシクロペンタニルメタクリレート(Tg:175℃)が好ましい。
【0033】
なお、単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)を2種以上併用する場合は、2種以上の単官能(メタ)アクリル系化合物の共重合体のTgが50℃以上であることが好ましい。
【0034】
また、(メタ)アクリル系化合物(B1)としては、窒素含有(メタ)アクリル系化合物も含み得るが、特に下記式(5)で表される(メタ)アクリルアミドであると、硬化物の造形ステージへの密着性の観点から、より好ましい。
【0035】
【化11】
上記式(5)中、R
5は水素原子またはメチル基を表す。R
6及びR
7は、それぞれ独立に、環構造を有してもよい炭素数1~40の1価の炭化水素基、上記炭化水素基の炭素原子の一部が酸素原子もしくは窒素原子に置換した基または水素原子であり、R
6及びR
7は互いに結合して環を形成してもよく、R
6及びR
7で表される炭素数1~40の1価の炭化水素基は、不飽和二重結合を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0036】
式(5)で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、アクリロイルモルホリン、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドが挙げられ、なかでも、縮合多環構造、複素環構造等の環状構造を有する(メタ)アクリルアミド化合物が好ましく、アクリロイルモルホリン(Tg:145℃)が特に好ましい。
【0037】
<2官能(メタ)アクリル系化合物(B2)>
2官能(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、2官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
より具体的には、2官能(メタ)アクリル系化合物(B2)としては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンのエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート3 メチル-1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,3-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、2,5-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、2,6-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、1,3-アダマンチルジ(メタ)アクリレート、1,3-ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]アダマンタン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]-2,4,8,10-テトラオキソスピロ[5.5]ウンデカン等の2官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
これらの2官能(メタ)アクリル系化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、2官能(メタ)アクリル系化合物の中でも、低粘度であり、優れた機械的物性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、2官能(メタ)アクリル系化合物の重合体のTgが、40℃以上である化合物が好ましい。なかでも、ジプロピレングリコールジアクリレート(Tg:102℃)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Tg:110℃)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(Tg:111℃)がより好ましい。
【0038】
なお、2官能(メタ)アクリル系化合物(B2)を2種以上併用する場合は、2種以上の2官能(メタ)アクリル系化合物の共重合体のTgが40℃以上であることが好ましい。
【0039】
また、単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)と、2官能(メタ)アクリル系化合物(B2)とを併用することもできる。この場合、併用する(メタ)アクリル系化合物の共重合体のTgが40℃以上であることが好ましい。
【0040】
<他の(メタ)アクリル系化合物>
本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに必要に応じて、本発明の光造形用硬化性樹脂組成物には、上記単官能(メタ)アクリル系化合物(B1)及び/または上記2官能(メタ)アクリル系化合物(B2)以外に、3官能以上の(メタ)アクリル系化合物を併用して含有させることができる。この場合においても、併用させる(メタ)アクリル系化合物の共重合体のTgは40℃以上であることが好ましい。
【0041】
3官能以上の(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、EO変性グリセロールアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、(EO)或いは(PO)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレート;
【0042】
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の4官能(メタ)アクリレート;
【0043】
ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の5官能(メタ)アクリレート;
【0044】
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の6官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの3官能以上の(メタ)アクリル系化合物(より具体的には、(メタ)アクリレート)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0045】
<その他の添加剤>
また、本発明の光造形用硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、有機ビーズ、無機微粒子、有機フィラー、無機フィラー、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、着色剤等の各種添加剤を含有することもできる。
【0046】
本発明の光造形用硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することができる。
光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物、o-トリルチオ尿素等の尿素化合物、アントラキノン誘導体等の縮合多環系化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s-ベンジルイソチウロニウム-p-トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
【0047】
紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4 -ジメチルフェニル)-1,3,5 トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ 5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0048】
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0049】
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン、P-メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ニトロソアミン塩等が挙げられる。
【0050】
シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体等のアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。これらのシリコン系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0051】
フッ素系添加剤としては、例えば、DIC株式会社製「メガフェース」シリーズ等が挙げられる。これらのフッ素系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0052】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル・ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、特殊アミノシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2 メトキシエトキシ)シラン等のビニル系のシランカップリング剤;
【0053】
ジエトキシ(グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、2-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3 グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3 グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系のシランカップリング剤;
【0054】
p-スチリルトリメトキシシラン等のスチレン系のシランカップリング剤;
【0055】
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ系のシランカップリング剤;
【0056】
N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1、3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系のシランカップリング剤;
【0057】
3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド系のシランカップリング剤;
【0058】
3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピル系のシランカップリング剤;
【0059】
3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキンシラン等のメルカプト系のシランカップリング剤;
【0060】
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファイド等のスルフィド系のシランカップリング剤;
【0061】
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系のシランカップリング剤などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0062】
リン酸エステル化合物としては、例えば、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられ、市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-2」、「カヤマーPM-21」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-1M」「ライトエステルP-2M」、「ライトアクリレートP-1A(N)」、SOLVAY社製「SIPOMER PAM 100」、「SIPOMER PAM 200」、「SIPOMER PAM 300」、「SIPOMER PAM 4000」、大阪有機化学工業社製「ビスコート#3PA」、「ビスコート#3PMA」、第一工業製薬社製「ニューフロンティア S 23A」;分子構造中にアリルエーテル基を有するリン酸エステル化合物であるSOLVAY社製「SIPOMER PAM 5000」等が挙げられる。
【0063】
有機ビーズとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ ズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。これらの有機ビーズは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら有機ビーズの平均粒径は、1~10μmの範囲であることが好ましい。
【0064】
無機微粒子は、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン等の微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら無機微粒子の平均粒径は、95~250nmの範囲であることが好ましく、特に100~180nmの範囲であることがより好ましい。
【0065】
無機微粒子を含有する場合には、分散補助剤を用いることができる。
分散補助剤としては、例えば、イソプロピルアシッドホスフェート、トリイソデシルホスファイト、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタクリレート等のリン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの分散補助剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、分散補助剤の市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-21」、「カヤマーPM-2」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-2M」等が挙げられる。
【0066】
有機フィラーとしては、例えば、セルロース、リグニン、及びセルロースナノファイバー等の植物由来の溶剤不溶性物質等が挙げられる。
【0067】
無機フィラーとしては、例えば、ガラス(粒子)、シリカ(粒子)、アルミナシリケート、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
【0068】
レオロジーコントロール剤としては、例えば、楠本化成株式会社製「ディスパロン6900」等のアマイド・ワックス類;ビッグ・ケミー社製「BYK410」等の尿素系レオロジーコントロール剤類;楠本化成株式会社製「ディスパロン4200」等のポリエチレン・ワックス;イーストマン・ケミカル・プロダクツ社製「CAB-381-2」、「CAB 32101」等のセルロース・アセテート・ブチレートなどが挙げられる。
【0069】
脱泡剤としては、例えば、フッ素或いは、硅素原子を含んだオリゴマー、または高級脂肪酸、アクリル重合体等のオリゴマー等が挙げられる。
【0070】
着色剤としては、例えば、顔料、染料等が挙げられる。
【0071】
顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0072】
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。
【0073】
有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0074】
染料としては、例えば、モノアゾ・ジスアゾ等のアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリアリルメタン系染料等が挙げられる。これらの染料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0075】
<光造形用硬化性樹脂組成物の特性>
本発明の光造形用硬化性樹脂組成物におけるウレタン樹脂(A)の含有量は、粘度が高くなりすぎず実用上有効な粘度範囲を担保するという観点から、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
【0076】
(硬化物)
本発明の硬化物は、本発明の光造形用硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0077】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
【0078】
活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、50~5,000mJ/cm2であることが好ましく、300~1,000mJ/cm2であることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止または抑制ができることから好ましい。
【0079】
(立体造形物)
本発明の立体造形物は、公知の光学的立体造形法により作製することができる。
【0080】
光学的立体造形法としては、例えば、ステレオリソグラフィー(SLA)方式、デジタルライトプロセッシング(DLP)方式、インクジェット方式が挙げられる。
【0081】
ステレオリソグラフィー(SLA)方式とは、液状の硬化性樹脂組成物の槽にレーザー光線等の活性エネルギー線を点で照射し、造形ステージを移動させながら一層ずつ硬化して立体造形を行う方式である。
【0082】
デジタルライトプロセッシング(DLP)方式とは、液状の硬化性樹脂組成物の槽にLED等の活性エネルギー線を面で照射し、造形ステージを移動させながら一層ずつ硬化して立体造形を行う方式である。
【0083】
インクジェット光造形法とは、光造形用硬化性樹脂組成物の微小液滴を、ノズルから所定の形状パターンを描画するよう吐出してから、紫外線を照射して硬化薄膜を形成する方法である。
【0084】
これらの光学的立体造形法のなかでも、面による高速造形が可能なことからDLP方式が好ましい。
【0085】
DLP方式の立体造形方法としては、DLP方式の光造形システムを用いた方法であれば特に制限されないが、その造形条件としては、立体造形物の造形精度が良好となることから、光造形の積層ピッチが0.01~0.2mmの範囲であり、照射波長が350~410nmの範囲であり、光強度が0.5~50mW/cm2の範囲であり、1層当たりの積算光量が1~100mJ/cm2の範囲であることを要し、なかでも、より一層立体造形物の造形精度が良好となることから、光造形の積層ピッチが、0.02~0.1mmの範囲であり、照射波長が、380~410nmの範囲であり、光強度が、5~15mW/cm2の範囲であり、1層当たりの積算光量が、5~15mJ/cm2の範囲であることが好ましい。
【0086】
本発明の立体造形物は、高い弾性率を有し、耐衝撃性に優れることから、例えば、自動車部品、航空・宇宙関連部品、電気電子部品、家電、建材、インテリア、宝飾、医療材料等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0087】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0088】
以下の実施例で用いた材料は、次のとおりである。
・スミジュールN3300:下記式(a1-1)で表されるイソシアヌレートタイプヘキサメチレンジイソシアネート
・デュラネート24A-100:下記式(a1-2)で表されるビウレットタイプヘキサメチレンジイソシアネート
・BasonatHA300:下記式(a1-3)で表されるアロファネートタイプヘキサメチレンジイソシアネート
・VESTANAT T1890:下記式(a1-4)で表されるイソシアヌレートタイプイソホロンジイソシアネート
・イソホロンジイソシアネート:下記式(a1-5)で表されるジイソシアネート
・カレンズAOI:下記式(a1-6)で表される2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート
【0089】
・プラクセルFA5:下記式(a2-1)で表されるカプロラクトン5mol付加型2-ヒドロキシエチルアクリレート、水酸基価:81.8KOHmg/g、(メタ)アクリロイル基含有量(理論値):1.46mmоl/g
・プラクセルFA4DT:下記式(a2-2)で表されるカプロラクトン4mol付加型2-ヒドロキシエチルアクリレート、水酸基価:98.1KOHmg/g、(メタ)アクリロイル基含有量(理論値):1.76mmоl/g
・プラクセルFA2D:下記式(a2-3)で表されるカプロラクトン2mol付加型2-ヒドロキシエチルアクリレート、水酸基価:163.1KOHmg/g、(メタ)アクリロイル基含有量(理論値):2.87mmоl/g
・プラクセルFA10L:下記式(a2-4)で表されるカプロラクトン10mol付加型2-ヒドロキシエチルアクリレート(固形分70%)、水酸基価:31KOHmg/g、(メタ)アクリロイル基含有量(理論値):0.552mmоl/g
【0090】
・ACMO:下記式(b1-1)で表されるアクリロイルモルホリン(KJケミカルズ株式会社製)、Tg145℃、官能基数1
・NIPAM:下記式(b1-2)で表されるイソプロピルアクリルアミド(KJケミカルズ株式会社製)、Tg134℃、官能基数1
・FA-513AS:下記式(b1-3)で表されるジシクロペンタニルアクリレート(昭和電工マテリアルズ株式会社製)、Tg120℃、官能基数1
・DMAA:下記式(b1-4)で表されるジメチルアクリルアミド(KJケミカルズ株式会社製)、Tg119℃、官能基数1
・IBXA:下記式(b1-5)で表されるイソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)、Tg97℃、官能基数1
・TBCHA:下記式(b1-6)で表される4-ターシャリーブチルシクロヘキシルアクリレート(KJケミカルズ株式会社製)、Tg65℃、官能基数1
【0091】
・MIRAMER M210:下記式(b2-1)で表されるヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(MIWON社製)、Tg111℃、官能基数2
・MIRAMER M262:下記式(b2-2)で表されるトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(MIWON社製)、Tg110℃、官能基数2
・MIRAMER M222:下記式(b2-3)で表されるジプロピレングリコールジアクリレート(MIWON社製)、Tg102℃、官能基数2
・MIRAMER M240:下記式(b2-3)で表されるビスフェノールA EO変性ジアクリレート(MIWON社製)、Tg42℃、官能基数2
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
(合成例1:ウレタン(メタ)アクリレート(A1)の合成)
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた1リットルのフラスコに、株式会社ダイセル製プラクセルFA5(234質量部)、ターシャリブチルヒドロキシトルエン(0.6質量部)、メトキシハイドロキノン(0.06質量部)、ジブチル錫ジアセテート(0.06質量部)を加え、70℃に昇温し、住化バイエルウレタン株式会社製スミジュールN3300(65質量部)を1時間にわたって分割仕込みした。仕込み後、イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルが消失するまで70℃で反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート(A1)を得た。
原料のアクリロイル基含有量(理論値)から算出したウレタン(メタ)アクリレート(A1)1gあたりの(メタ)アクリロイル基の含有量は、1.14mmolであった(下記表1に記載。尚、下記合成例で得られた各ウレタン(メタ)アクリレートにおける(メタ)アクリロイル基の含有量も表1に記載する)。
【0101】
(合成例2:ウレタン(メタ)アクリレート(A2)の合成)
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた1リットルのフラスコに、株式会社ダイセル製プラクセルFA4DT(224質量部)、ターシャリブチルヒドロキシトルエン(0.6質量部)、メトキシハイドロキノン(0.06質量部)、ジブチル錫ジアセテート(0.06質量部)を加え、70℃に昇温し、住化バイエルウレタン株式会社製スミジュールN3300(75質量部)を1時間にわたって分割仕込みした。仕込み後、イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルが消失するまで70℃で反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート(A2)を得た。
【0102】
(合成例3:ウレタン(メタ)アクリレート(A3)の合成)
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた1リットルのフラスコに、株式会社ダイセル製プラクセルFA2D(192質量部)、ターシャリブチルヒドロキシトルエン(0.6質量部)、メトキシハイドロキノン(0.06質量部)、ジブチル錫ジアセテート(0.06質量部)を加え、70℃に昇温し、住化バイエルウレタン株式会社製スミジュールN3300(107質量部)を1時間にわたって分割仕込みした。仕込み後、イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルが消失するまで70℃で反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート(A3)を得た。
【0103】
(合成例4:ウレタン(メタ)アクリレート(A4)の合成)
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた1リットルのフラスコに、株式会社ダイセル製プラクセルFA4DT(155質量部)、ターシャリブチルヒドロキシトルエン(0.4質量部)、メトキシハイドロキノン(0.04質量部)、ジブチル錫ジアセテート(0.04質量部)を加え、70℃に昇温し、旭化成株式会社製デュラネート24A-100(48質量部)を1時間にわたって分割仕込みした。仕込み後、イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルが消失するまで70℃で反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート(A4)を得た。
【0104】
(合成例5:ウレタン(メタ)アクリレート(A5)の合成)
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた1リットルのフラスコに、株式会社ダイセル製プラクセルFA4DT(215質量部)、ターシャリブチルヒドロキシトルエン(0.6質量部)、メトキシハイドロキノン(0.06質量部)、ジブチル錫ジアセテート(0.06質量部)を加え、70℃に昇温し、BASF社製BasonatHA300(84質量部)を1時間にわたって分割仕込みした。仕込み後、イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルが消失するまで70℃で反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート(A5)を得た。
【0105】
(合成例6:ウレタン(メタ)アクリレート(A6)の合成)
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた1リットルのフラスコに、株式会社ダイセル製プラクセルFA4DT(211質量部)、ターシャリブチルヒドロキシトルエン(0.6質量部)、メトキシハイドロキノン(0.06質量部)、ジブチル錫ジアセテート(0.06質量部)を加え、70℃に昇温し、EvonikIndustries社製VESTANAT T1890(89質量部)を1時間にわたって分割仕込みした。仕込み後、イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルが消失するまで70℃で反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート(A6)を得た。
【0106】
(合成例7:ウレタン(メタ)アクリレート(A7)の合成)
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた1リットルのフラスコに、株式会社ダイセル製プラクセルFA5(258質量部)、ターシャリブチルヒドロキシトルエン(0.6質量部)、メトキシハイドロキノン(0.06質量部)、ジブチル錫ジアセテート(0.06質量部)を加え、70℃に昇温し、イソホロンジイソシアネート(41質量部)を1時間にわたって分割仕込みした。仕込み後、イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルが消失するまで70℃で反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート(A7)を得た。
【0107】
(合成例8:ウレタン(メタ)アクリレート(A8)の合成)
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた1リットルのフラスコに、株式会社ダイセル製プラクセルFA5(249質量部)、ターシャリブチルヒドロキシトルエン(0.6質量部)、メトキシハイドロキノン(0.06質量部)、ジブチル錫ジアセテート(0.06質量部)を加え、70℃に昇温し、昭和電工株式会社製カレンズAOI(50質量部)を1時間にわたって分割仕込みした。仕込み後、イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルが消失するまで70℃で反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート(A8)を得た。
【0108】
(合成例9:ウレタン(メタ)アクリレート(A9)の合成)
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた2リットルのフラスコに、イソホロンジイソシアネート(132質量部)、ターシャリブチルヒドロキシトルエン(1.6質量部)、メトキシハイドロキノン(0.2質量部)、ジブチル錫ジアセテート(0.2)質量部を加え、70℃に昇温し、ポリプロピレングリコール(数平均分子量2000)(596質量部)を1時間にわたって分割仕込みした。仕込み後、70℃で3時間反応させた後、株式会社ダイセル製プラクセルFA4DT(340質量部)を1時間にわたって添加した。添加後、イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルが消失するまで70℃で反応を行い、アクリロイル基を有するウレタン樹脂(A-9)を得た。
【0109】
(合成例10:ウレタン(メタ)アクリレート(A10)の合成)
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた1リットルのフラスコに、株式会社ダイセル製プラクセルFA10L(371質量部)、ターシャリブチルヒドロキシトルエン(0.6質量部)、メトキシハイドロキノン(0.06質量部)、ジブチル錫ジアセテート(0.06質量部)を加え、70℃に昇温し、住化バイエルウレタン株式会社製スミジュールN3300(40質量部)を1時間にわたって分割仕込みした。仕込み後、イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルが消失するまで70℃で反応を行い、溶剤を減圧留去し、ウレタン(メタ)アクリレート(A10)を得た。
【0110】
(実施例1:硬化性樹脂組成物(1)の調製)
撹拌機、温度計及び冷却管を備えた4つ口のフラスコに、合成例1で得たウレタン(メタ)アクリレート(A1)を30質量部、KJケミカルズ株式会社製ACMOを70質量部、IGM Resins社製Omnirad TPOを2質量部添加し、60℃以下で、均一溶解するまで撹拌し、硬化性樹脂組成物(1)を得た。
【0111】
(実施例2~23:硬化性樹脂組成物(2)~(23)の調製)
実施例1において、ウレタン(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル系化合物を表1または表2に示した組成及び配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて硬化性樹脂組成物(2)~(23)を得た。
【0112】
(比較例1~3:硬化性樹脂組成物(C1)~(C3)の調製)
実施例1において、ウレタン(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル系化合物を表3に示した組成及び配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて硬化性樹脂組成物(C1)~(C3)を得た。
【0113】
上記の実施例1~23、及び比較例1~3で得られた硬化性樹脂組成物を用いて、下記の評価を行った。
【0114】
[粘度の測定]
E型粘度計(東機産業株式会社製「TV-22」)を用いて、各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物の25℃における粘度を測定した。
【0115】
[試験片の作製]
光造形3Dプリンター(3D’LIGHT社製「Vittro P100」)を用いて、引っ張り試験用ダンベル、及びIzod(アイゾット)衝撃試験用テストピース(ASTM D256準拠)を作製した。尚、引っ張り試験用ダンベルはASTM D638 TYPE1の相似形状にて、全長が55mmとなるサイズで作製した。次いで、光造形により得られた上記引っ張り試験用ダンベル、及び上記Izod衝撃試験用テストピースをイソプロピルアルコールで洗浄し、常温で1時間乾燥後、後硬化としてXYZ Printing社製「Multicure180」を用いて、両面をそれぞれ波長385nmのLEDにて10分ずつ照射して、試験片1(引っ張り試験用ダンベル)及び試験片2(Izod衝撃試験用テストピース)を得た。
【0116】
[弾性率の測定方法]
INSTRON社製万能材料試験機「5965」により、引っ張り試験を行い、弾性率を測定した。尚、試験はロードセル1kN、引張速度1mm/min、引っ張り治具間距離38mmの条件で測定した。
【0117】
[Izod衝撃強度(耐衝撃性)の測定方法]
ASTM D256に準拠し、上記試験片2を用いて、株式会社東洋精機製作所製「アイゾットインパクトテスター」により、2.75Jのハンマーを用いて、Izod衝撃強度を測定した。試験は試験片2作製から1週間後及び3週間後にそれぞれ実施し、経時での変化率も算出した。尚、試験片2作製後から試験までの期間は室温25℃、湿度50%の環境下で保管した。
【0118】
実施例1~23、及び比較例1~3で得られた硬化性樹脂組成物の組成及び評価結果を下記表1~表3に示す。
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
硬化性樹脂組成物の粘度としては、造形性、造形機への負荷の観点から、1,100mPa・s以下であり、1,000mPa・s以下が好ましい。また、造形物の引っ張り試験における弾性率は、硬度的に0.5×109Pa以上必要であり、高いほど良好である。Izod衝撃強度は、耐衝撃性の観点から、18J/m以上であり、20J/m以上が好ましく、30J/m以上がより好ましい。さらに、長期にわたる使用を見越し、経時でのIzod衝撃強度の変化率は、50%未満であり、小さいほど良好である。
上記表の結果より、本発明の硬化性樹脂組成物は、低粘度であることが確認できた。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、弾性率に優れた硬化物を形成できることが確認できた。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、Izod(アイゾット)衝撃強度試験において、衝撃強度が大きく、経時変化が少なく、耐衝撃性に優れた硬化物を形成することができることが確認できた。本発明の硬化性樹脂組成物は、光造形用として有効に使用し得るものである。