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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】粘弾性膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/26 20060101AFI20230221BHJP
   B05D 1/32 20060101ALI20230221BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20230221BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
B05D1/26 A
B05D1/32 B
B05D3/02 Z
B41F15/08 303Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019094387
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020189253
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177493
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 修
(72)【発明者】
【氏名】及川 和夫
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-052234(JP,A)
【文献】特開平09-237955(JP,A)
【文献】特開平10-118561(JP,A)
【文献】特開2011-100538(JP,A)
【文献】特開2002-307653(JP,A)
【文献】特開2000-085103(JP,A)
【文献】特開2014-004826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B41F 15/00-15/46
B41M 1/00-9/14
H01L 21/30-21/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、所望の形状の粘弾性部材からなる膜を形成する粘弾性膜の形成方法において、
貫通孔を複数備えたベース材を用意する工程と、
該ベース材上に所望の形状の粘弾性部材からなるパターン膜を形成する工程と、
前記パターン膜表面を前記基材に貼り付け、前記ベース材の前記貫通孔から前記パターン膜に風圧を与えて前記パターン膜を前記基材に貼り付けた状態で前記ベース材のみを分離し、前記基材上に前記パターン膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする粘弾性膜の形成方法。
【請求項2】
請求項1記載の粘弾性膜の形成方法において、
前記ベース材上に前記パターン膜を形成する工程は、
前記所望の形状に開口する孔部を複数有するマスク板を用意する工程と、
前記孔部内に該孔部より小さい前記貫通孔が配置するように前記ベース材上に前記マスク板を接触配置し、粘弾性部材を含む塗布材を前記孔部内にそれぞれ充填する工程と、
該孔部内に充填された前記塗布材に風圧を与えて前記所望の形状の塗布材を前記ベース材に貼り付けた状態で前記マスク板のみを分離し、前記ベース材上に前記パターン膜を形成する工程と、からなることを特徴とする粘弾性膜の形成方法。
【請求項3】
請求項1記載の粘弾性膜の形成方法において、
前記ベース材上に前記パターン膜を形成する工程は、
前記ベース材上にシート状の粘弾性部材からなる膜を形成する工程と、
前記シート状の粘弾性部材からなる膜に金型を押圧し、前記貫通孔上に前記パターン膜が配置するように前記シート状の粘弾性部材からなる膜から前記パターン膜を分離し、該パターン膜に風圧を与えて前記パターン膜を前記ベース材に貼り付けた状態でそれ以外の粘弾性部材からなる膜あるいは前記金型を除去し、前記ベース材上に前記パターン膜を形成する工程と、からなることを特徴とする粘弾性膜の形成方法。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか記載の粘弾性膜の形成方法において、
前記ベース材上に前記パターン膜を形成する工程は、前記粘弾性部材からなる膜を加熱し、前記ベース材上に硬化したパターン膜を形成する工程を含むことを特徴とする粘弾性膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘弾性部材からなる膜を比較的広い面積にわたって簡便に形成することが可能な粘弾性膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放熱材や電波吸収体として粘弾性部材が使用されている。一般的にこれらの粘弾性部材は、シート状の部材を所望の形状に切り抜き、所望の場所に一枚ずつ貼り付けて使用している。
【0003】
また粘弾性部材からなる膜は、液状の粘弾性部材をディスペンサを用いて塗布し、その後加熱することで固化、形成することもできる(例えば、特許文献1)。ディスペンサを用いて塗布する代わりにスクリーン印刷やステンシル印刷による形成も可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】再表2013-018253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粘弾性部材からなる所望の形状の膜を比較的広い面積(例えば1辺が50cm程度)の基材全面に形成するためスクリーン印刷、あるいはステンシル印刷を行う場合、粘弾性部材の粘度が高くなると所望の形状に開口した孔部に粘弾性部材が貼り付き、基材上に所望の形状の粘弾性膜が形成できないという問題があった。そのため、スクリーン印刷やステンシル印刷が可能な粘弾性部材の種類は限られていた。また特に開口面積が狭かったり、幅の狭い孔部に貼り付きやすく、所望の形状の粘弾性膜を形成できないという問題があった。本発明はこのような問題を解消し、広い面積の基材上に所望の形状の粘弾性部材からなる膜を容易に形成することができる粘弾性膜の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、基材上に、所望の形状の粘弾性部材からなる膜を形成する粘弾性膜の形成方法において、貫通孔を複数備えたベース材を用意する工程と、該ベース材上に所望の形状の粘弾性部材からなるパターン膜を形成する工程と、前記パターン膜表面を前記基材に貼り付け、前記ベース材の前記貫通孔から前記パターン膜に風圧を与えて前記パターン膜を前記基材に貼り付けた状態で前記ベース材のみを分離し、前記基材上に前記パターン膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本願請求項2に係る発明は、請求項1記載の粘弾性膜の形成方法において、前記ベース材上に前記パターン膜を形成する工程は、前記所望の形状に開口する孔部を複数有するマスク板を用意する工程と、前記孔部内に該孔部より小さい前記貫通孔が配置するように前記ベース材上に前記マスク板を接触配置し、粘弾性部材を含む塗布材を前記孔部内にそれぞれ充填する工程と、該孔部内に充填された前記塗布材に風圧を与えて前記所望の形状の塗布材を前記ベース材に貼り付けた状態で前記マスク板のみを分離し、前記ベース材上に前記パターン膜を形成する工程と、からなることを特徴とする。
【0008】
本願請求項3に係る発明は、請求項1記載の粘弾性膜の形成方法において、前記ベース材上に前記パターン膜を形成する工程は、前記ベース材上にシート状の粘弾性部材からなる膜を形成する工程と、前記シート状の粘弾性部材からなる膜に金型を押圧し、前記貫通孔上に前記パターン膜が配置するように前記シート状の粘弾性部材からなる膜から前記パターン膜を分離し、該パターン膜に風圧を与えて前記パターン膜を前記ベース材に貼り付けた状態でそれ以外の粘弾性部材からなる膜あるいは前記金型を除去し、前記ベース材上に前記パターン膜を形成する工程と、からなることを特徴とする。
【0009】
本願請求項4に係る発明は、請求項1乃至3いずれか記載の粘弾性膜の形成方法において、前記ベース材上に前記パターン膜を形成する工程は、前記粘弾性部材からなる膜を加熱し、前記ベース材上に硬化したパターン膜を形成する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の粘弾性膜の形成方法は、所望の形状の粘弾性部材(パターン膜)をベース材に形成し、このベース材上のパターン膜を基材に貼り付ける際、予めベース材に小さい貫通孔を形成しておくことで、この貫通孔を通してパターン膜等にガスを吹き付け風圧を与えながらベース材を離すことで、基材上に簡便に所望の形状の粘弾性部材等を形成することができる。ガスを吹き付け風圧を与えるための手段は、空気あるいは窒素等のガスを噴出させるブローガンを用いることができ、通常の電子部品の製造工程で使用している装置を利用する簡便な方法である。
【0011】
またベース材上にパターン膜を形成する際には、風圧を与えてパターン膜をベース材上に押し付けながらマスク板等を分離するため、マスク板等と接着力が大きい粘弾性部材を使用することができ、あるいは厚い粘弾性膜を形成することができるため、放熱効果や電波吸収効果の向上が期待できる最適材料を選択することが可能となる。また、マスク板の孔部等の開口面積が狭かったり、開口幅が狭い形状を形成する場合でも、マスク板の孔部等に充填された粘弾性部材を確実にベース材に転写することができるため、比較的微細な形状のパターン膜を形成することが可能となる。
【0012】
本発明は、広い面積に一括転写が可能であり、また比較的微細な形状でもベース材上に形成することができるため、シート状の粘弾性膜を所望の形状に切り抜き、基材上の所望の場所に1枚ずつ貼り付ける方法と比較して、作業性が向上するという利点がある。
【0013】
さらにパターン膜は固化しない状態で、あるいは固化した状態で用意しておくことができる。これは、例えば基材上にディスペンサを用いて所望の形状の膜を形成し、その後固化する方法と比較して、作業時間が大幅に短縮できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施例の製造工程の説明図である。
図2】本発明の第1の実施例の製造工程の説明図である。
図3】本発明に用いるベース材の平面図である。
図4】本発明に用いるマスク板の平面図である。
図5】本発明のベース材の貫通孔とマスク板の孔部との位置関係を説明する図である。
図6】本発明の第3の実施例の製造工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の粘弾性膜の形成方法は、基材上にパターン膜を転写する際、ベース材に予め形成した貫通孔からパターン膜に風圧を与えて、ベース材を分離し、基材上にパターン膜を形成する構成としている。さらにまた、ベース材上にパターン膜を転写する際、パターン膜に風圧を与えてマスク板等を分離し、ベース材上に所望の形状のパターン膜を形成する構成としている。以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の第1の実施例について説明する。図1および図2は、本実施例の粘弾性膜の形成方法の説明図である。台座1に形成された位置決め用ピン2に合わせて台座1上にベース材3をセットする。図3にベース材3の平面図を示す。図3に示すようにベース材3は後述するようにその表面に粘弾性部材を含む塗布材を所望の形状に形成し、その後その塗布材(パターン膜)を基材上に転写するために用いるもので、パターン膜に風圧を与えるための貫通孔4と位置決め用貫通孔4aが形成されている。図1(a)に示すように、位置決め用貫通孔4aに台座1の位置決め用ピン2を貫入させ、台座1上にベース材3をセットする。
【0017】
別にマスク板5を用意する。図4にマスク板5の平面図を示す。このマスク板5は粘弾性部材を所望の形状にパターニングするために用いられ、マスク部6と所望の形状に開口する孔部7とを備えている。図1(a)に示す例では、マスク板5の表面はスクリーンメッシュで覆われている。このマスク板5にも位置決め用貫通孔4bが形成されており、この位置決め用貫通孔4bに台座1上の位置決め用ピン2を貫入させ、ベース材3上にセットすることで、ベース材3とマスク板5の位置決めを行うことができる。なお、孔部7の配置や形状等は、図4に示すような対称性を有する形状等に限定されるものではなく、幅の狭い開口を有する等種々変更可能である。同様に貫通孔4の配置や形状等も、図3に示す形状等に限定されるものではない。
【0018】
しかしながら本発明では、後述するようにベース材3上に形成されたパターン膜8aを基材11に転写する際、ベース材3に形成した貫通孔4を通してパターン膜8aに風圧を与えてベース材3を分離する必要がある。図5はベース材3上にマスク板5を重ね合せ、マスク板5の孔部7内にベース材3が露出している状態を示している。図5に示すようにマスク板5の孔部7がベース材3の貫通孔4の形成された領域に重なるように形成することで、貫通孔4を通して風圧をパターン膜8aに与えることが可能となり、この風圧によりパターン膜8aが基材11に貼り付けられ、ベース材3のみを分離することが可能となっている。
【0019】
ベース材3とマスク板5を位置決めしてセットした後、粘弾性部材を含む塗布材8をマスク板5上に滴下し、スキージ9を図1(b)に示す矢印方向に移動させる。その結果、マスク板5表面のスクリーンメッシュを透過した塗布材8が孔部7に充填される(図1c)。
【0020】
ここで、通常のスクリーン印刷に使用されるインクでは、マスク板5を除去すればベース材3上に塗布材8が転写される。しかしながら、粘弾性部材はマスク板5との接着性が高く、この状態でマスク板5を取り外すとマスク板5の孔部7内に塗布材8が残ったままとなり、ベース材3上に転写することができない場合がある。特に厚く塗布材8を形成する場合にそのような不具合が発生しやすくなる。あるいは孔部7の面積が小さい場合や開口幅が狭い場合に、このような不具合が発生しやすくなる。
【0021】
そこで本実施例では図1(d)に示すように、マスク板5を分離する際、ノズル10から空気、窒素等のガスを吹き付け、その風圧により塗布材8をベース材3に押し付けながらマスク板5を分離することで、所望の形状の塗布材8(パターン膜8a)を確実にベース材3上に転写するように構成している。ノズル10からガスを吹き付ける位置は、図1(d)に示すようにマスク板5が上方に持ち上がる領域とすると、マスク板5の孔部7に接着して持ちあがった塗布材8を風圧により孔部7から分離し、ベース材3に接着させることができ好ましい。なお塗布材8の形状によって風圧の印加が必要な形状と不要な形状が存在する場合もあり、選択的に風圧を印加しても良い。
【0022】
図2(a)はベース材3上にパターン膜8aを転写し、パターン膜8aの表面を下側に向けた状態を示している。ここで、パターン膜8aの表面にダスト等が付着することを防ぐため、パターン膜8aの表面を保護膜で被覆しておいても良い。
【0023】
位置決め用貫通孔が形成されている基材11を用意し、この位置決め用貫通孔に台座1の位置決め用ピン2を貫入させ、粘弾性膜を形成する表面を上側に向けて台座1上に基材11をセットする。基材11の表面に図2(a)に示すベース材3を、位置決め用貫通孔4aに位置決め用ピン2を貫入させて接着させる(図2b)。パターン膜8aの表面を保護膜で被覆している場合は、保護膜を取り除き基材11上に位置決めし、接着させれば良い。
【0024】
次にベース材3を除去する。このときパターン膜8aと基材11との接着力が、パターン膜8aとベース材3との接着力より十分大きい場合、ベース材3はパターン膜8aを基材11上に残し分離される。しかしながら粘弾性部材は、ベース材3との接着性が強く基材11から剥離してしまう場合がある。そこで本発明では、図2(c)に示すようにベース材3を分離する際、ノズル10から空気、窒素等のガスを吹き付け、その風圧によりパターン膜8aを基材11に押し付けながらベース材3を分離することで、パターン膜8aを基材11上に転写するように構成している。ノズル10から印加される風圧は、ベース材3に形成されている貫通孔4を通してパターン膜8aに印加される。ノズル10からガスを吹き付ける位置は、図2(c)に示すようにベース材3が上方に持ち上がる領域とすると、ベース材3に接着して持ち上がったパターン膜8aが貫通孔4から与えられる風圧によりベース材3から分離し、基材11に接着させることができ好ましい。
【0025】
基材11上に転写されたパターン膜8aは、所望の加熱処理を行うことで固化し、粘弾性膜を形成することができる。以下、粘弾性膜上に所望の電子部品を載置することで粘弾性膜を放熱材として、あるいは別の部材と密閉封止するためのガスケットとして、あるいは電波吸収体等として機能させることが可能となる。
【0026】
このように本実施例では、図2(a)に示すパターン膜8aを備えたベース材3を用意しておけば、スクリーン印刷等同様、簡便にパターン膜8aを形成することが可能となり、非常に作業性が良い製造方法である。
【実施例2】
【0027】
次に第2の実施例について説明する。上記第1の実施例では、基材11上にパターン膜8aを形成した後、このパターン膜8aを固化していたが、この固化工程を変更することが可能である。具体的には、図2(a)に示すベース材3上にパターン膜8aを形成した後、ベース材3上でパターン膜8aを加熱し固化し、パターン膜8aを粘弾性膜とすることが可能である。
【0028】
この場合、第1の実施例で説明した基材11上へのパターン膜8aの貼り付け(図2b)は、硬化後の粘弾性膜の貼り付けとなり、基材11上へパターン膜8aの転写(図2c)は、粘弾性膜の転写となる。
【0029】
ベース材3上に形成される粘弾性膜が位置ずれしないように、ベース材3は固化のための加熱処理によって収縮等しない材料、あるいは加熱条件を選択するのが好ましい。
【実施例3】
【0030】
次に第3の実施例について説明する。上記第1の実施例では、スクリーン印刷によりベース材3上にパターン膜8aを形成していたが、抜き金型を用いてパターン膜8aを形成することもできる。
【0031】
まずベース材3を用意する。このベース材3は、上述の第1の実施例で説明したように貫通孔4と位置決め用貫通孔4aが形成されている。ベース材3の表面に粘弾性部材を含む塗布材8をシート状に形成する。図6(a)は、塗布材8を所望の形状に形成するために使用する抜き金型12の配置位置を模式的に示している。
【0032】
塗布材8に抜き金型12を押圧し、塗布材8を粘弾性部材として使用する領域(パターン膜8aとなる領域)とその他の領域とを切断分離する。その後、パターン膜8aとなる領域以外の領域の塗布膜8を除去する。ここで、粘弾性部材は抜き金型12との接着性が高く、図6(b)に示す状態で抜き金型12を取り外すと抜き金型12に接着したパターン膜8aがベース材3から剥離してしまう。そこで例えば、抜き金型12を残した状態で不要な部分の塗布材8を分離し、その後、抜き金型12を分離する際、ノズル10から空気、窒素等のガスを吹き付け、その風圧により塗布材8をベース材3に押し付けながら抜き金型12を分離する。このようにすると、所望の形状の塗布材8(パターン膜8a)を確実にベース材3上に転写することができる。パターン膜8aを形成した後、パターン膜8aの表面を保護膜で被覆しても良い。
【0033】
以下、上述の第1の実施例同様、位置決め用貫通孔が形成されている基材11を用意し、この位置決め用貫通孔に台座1の位置決め用ピン2を貫通させ、粘弾性膜を形成する上面を上側に向けて台座1上に基材11をセットする。基材11の表面に、パターン膜8aを転写したベース材3を、位置決め用貫通孔4aに位置決め用ピン2を貫入させて接着させる(図6d)。
【0034】
次にベース材3を除去する。ベース材3を分離する際、ノズル10から空気、窒素等のガスを吹き付け、その風圧によりパターン膜8aを基材11に押し付けながらベース材3を分離することでパターン膜8aを基材11上に転写する。ノズル10から印加される風圧は、ベース材3に形成されている貫通孔4を通して印加される。ノズル10からガスを吹き付ける位置は、図6(e)に示すようにベース材3が上方に持ち上がる領域とすると、ベース材3に接着して持ち上がったパターン膜8aが貫通孔4から与えられる風圧によりベース材3から分離し、基材11に接着させることができ好ましい。
【0035】
基材11上に転写されたパターン膜8aは、所望の加熱処理を行うことで固化し、粘弾性膜を形成することができる。以下、粘弾性膜上の所望の電子部品を載置することで粘弾性膜を放熱材として、あるいは別の部材と密閉封止するためのガスケットとして、あるいは電波吸収体等として機能させることが可能となる。
【0036】
このように本実施例においても、パターン膜8aを備えたベース材3を用意しておけば、スクリーン印刷等同様、簡便にパターン膜8aを形成することが可能となる。
【実施例4】
【0037】
次に第4の実施例について説明する。上記第3の実施例では、基材11上に所望の形状の塗布材8を形成した後、パターン膜8aを固化していたが、この固化工程を変更することが可能である。具体的には、ベース材3上にパターン膜8aを形成した後、ベース材3上でパターン膜8aを加熱固化し、パターン膜8aを粘弾性膜とすることが可能である。
【0038】
この場合、第3の実施例で説明した基材11上へのパターン膜8aの貼り付け(図6d)は、硬化後の粘弾性膜の貼り付けとなり、基材11上へパターン膜8aの転写(図6e)は、粘弾性膜の転写となる。
【0039】
ベース材3上に形成される粘弾性膜が位置ずれしないように、ベース材3は固化のための加熱処理によって収縮等しない材料、あるいは加熱条件を選択するのが好ましい。
【0040】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えばベース材上に所望の形状の粘弾性部材からなるパターン膜を形成する方法は、スクリーン印刷の代わりにステンシル印刷であっても良いし、公知の手法により形成することが可能である。またベース材3とマスク板5との位置決め方法や、ベース材3と基材11との位置決め方法は、位置決め用ピン2を用いる方法に限定されるものでもない。
【符号の説明】
【0041】
1: 台座、2:位置決め用ピン、3:ベース材、4:貫通孔、4a、4b:位置決め用貫通孔、5:マスク板、6:マスク部、7:孔部、8:塗布材、8a:パターン膜、9:スキージ、10:ノズル、11:基材、12:抜き金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6