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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】超音波検出器
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/521 20060101AFI20230221BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20230221BHJP
   G01S 15/931 20200101ALN20230221BHJP
【FI】
G01S7/521 Z
H04R1/02 330
G01S15/931
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018214639
(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公開番号】P2020085456
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】足立 紀子
(72)【発明者】
【氏名】三輪 守孝
(72)【発明者】
【氏名】平野 信光
(72)【発明者】
【氏名】武渕 堅次
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宗
(72)【発明者】
【氏名】瀬志本 明
(72)【発明者】
【氏名】口地 博行
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-244011(JP,A)
【文献】実開平07-012986(JP,U)
【文献】実開昭62-195782(JP,U)
【文献】特開2009-175119(JP,A)
【文献】特開2004-253911(JP,A)
【文献】特開2002-209294(JP,A)
【文献】登録実用新案第3034685(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52-7/64
G01S 15/00-15/96
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面に取り付けられ、超音波を送信する第1素子と、
前記取付面に取り付けられ、超音波を受信する第2素子と、
前記取付面に取り付けられ、前記取付面の振動を減衰させる制振材と
を備え、
前記制振材は、スリット状を有する複数の開口部を備え、
前記第1素子または前記第2素子は、前記制振材の互いに異なる前記開口部に配置される、超音波検出器。
【請求項2】
前記開口部として、
所定方向に沿った第1開口部と、
前記第1開口部と平行な第2開口部と
を含み、
前記第1素子は、前記第1開口部に配置され、
前記第2素子は、前記第2開口部において、前記第1素子の配置位置に対し前記制振材を介して前記所定方向に交差する方向に配置される、請求項1に記載の超音波検出器。
【請求項3】
前記第1素子は、前記第1開口部において前記所定方向における一端に配置され、
前記第2素子は、前記第2開口部において、前記所定方向における他端に配置される、請求項2に記載の超音波検出器。
【請求項4】
取付面に取り付けられ、超音波を送信する第1素子と、前記取付面に取り付けられ、超音波を受信する第2素子と、前記取付面に取り付けられ、前記取付面の振動を減衰させる制振材とを備え、
前記制振材は、前記第1素子と前記第2素子との間に配置されて開口部を備え、
前記開口部は、スリット状を有し、第1開口部と、前記第1開口部と平行な第2開口部とを含み、
前記第1素子は、前記第1開口部に配置され、
前記第2素子は、前記第2開口部に配置され、
2つの前記第1素子を備え、
前記第1開口部は、
第1方向に沿って延在する第1延在部分と、
前記第1延在部分の中途部において前記第1延在部分から分岐し、前記第1方向と異なる第2方向に沿って延在する第2延在部分と
を備え、
前記2つの第1素子のうち一方は、前記第1延在部分の一端に配置され、
前記2つの第1素子のうち他方は、前記第1延在部分の他端に配置される超音波検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を送信し、その反射波を受信することによって対象物を検知する技術が知られている。かかる技術は、たとえば車両周辺の障害物検知に利用される。
【0003】
特許文献1には、超音波を送信および受信する超音波センサを車体を構成する金属板の内側に取り付けることで、金属板越しに超音波を送信するとともに、対象物から反射してきた超音波を金属板越しに受信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2017/0059697号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、金属板中に生じる超音波の残響により、対象物から反射してきた超音波を適切に検出することが困難となるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題の一つは、超音波の反射波を適切に検出することができる超音波検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る超音波検出器は、一例として、取付面に取り付けられ、超音波を送信する第1素子と、取付面に取り付けられ、超音波を受信する第2素子と、取付面に取り付けられ、取付面の振動を減衰させる制振材とを備え、制振材は、スリット状を有する複数の開口部を備え、第1素子または第2素子は、互いに異なる開口部に配置される。よって、一例としては、超音波を送信する第1素子と超音波を受信する第2素子とを備え、第1素子または第2素子は、制振材の互いに異なる開口部に配置されることで、超音波を受信する第2素子に対し、超音波を送信する際の素子の振動を行わせないようにすることができる。これにより、第2素子に対して上記振動による残響を生じさせないようにすることができる。また、第1素子と第2素子との間に制振材を配置することで、第1素子から取付面を介して第2素子へ伝わる超音波の残響を減衰させることができる。このように、素子自体に生じる超音波の残響および取付面に生じる超音波の残響を低減することで、超音波の反射波を適切に検出することができる。
【0009】
上記超音波検出器において、前記開口部として、所定方向に沿った第1開口部と、前記第1開口部と平行な第2開口部とを含み、前記第1素子は、前記第1開口部に配置され、前記第2素子は、前記第2開口部において、前記第1素子の配置位置に対し前記制振材を介して前記所定方向に交差する方向に配置される。これにより、開口部の長手方向に沿った広い範囲に超音波を送信することができる。また、超音波の反射波をより広い範囲で受信することができる。
【0010】
上記超音波検出器において、前記第1素子は、前記開口部において所定の方向における一端に配置され、前記第2素子は、前記第2開口部において、前記所定の方向における他端に配置される。これにより、開口部の長手方向に沿った広い範囲に超音波を送信することができるとともに、超音波の反射波をより広い範囲で受信することができる。また、第2開口部を第1開口部と平行に設けることで、制振材の省スペース化を図りつつ、超音波の反射波を適切に受信することができる。
【0011】
上記超音波検出器は、取付面に取り付けられ、超音波を送信する第1素子と、前記取付面に取り付けられ、超音波を受信する第2素子と、前記取付面に取り付けられ、前記取付面の振動を減衰させる制振材とを備え、前記制振材は、前記第1素子と前記第2素子との間に配置されて開口部を備え、前記開口部は、スリット状を有し、第1開口部と、前記第1開口部と平行な第2開口部とを含み、前記第1素子は、前記第1開口部に配置され、前記第2素子は、前記第2開口部に配置され、2つの前記第1素子を備えていてもよい。また、前記第1開口部は、第1方向に沿って延在する第1延在部分と、前記第1延在部分の中途部において前記第1延在部分から分岐し、前記第1方向と異なる第2方向に沿って延在する第2延在部分とを備えていてもよい。また、前記2つの第1素子のうち一方は、前記第1延在部分の一端に配置され、前記2つの第1素子のうち他方は、前記第1延在部分の他端に配置されてもよい。2つの第1素子から送信された超音波が合成され、その合成波が第2延在部分に伝搬することで、より広い範囲に超音波を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に係る超音波検出器を含む障害物検知装置が搭載される車両の平面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る超音波検出器の構成を示す図である。
図4図4は、図3に示すIV-IV線矢視断面図である。
図5図5は、参考例に係る超音波検出器の構成を示す図である。
図6図6は、図5におけるVI-VI線矢視断面図である。
図7図7は、参考例に係る超音波検出器により送信される超音波および受信される超音波の時間変化を模式的に示した図である。
図8図8は、第1実施形態に係る超音波検出器により送信される超音波および受信される超音波の時間変化を模式的に示した図である。
図9図9は、第1素子を送信部として機能させ、第2素子を受信部として機能させる第1検出処理の動作例を示す図である。
図10図10は、第2素子を送信部として機能させ、第1素子を受信部として機能させる第2検出処理の動作例を示す図である。
図11図11は、第2実施形態に係る超音波検出器の構成を示す図である。
図12図12は、図11におけるXII-XII線矢視断面図である。
図13図13は、図12におけるXIII-XIII線矢視断面図である。
図14図14は、第3実施形態に係る超音波検出器の構成を示す図である。
図15図15は、第4実施形態に係る超音波検出器の構成を示す図である。
図16A図16Aは、図15におけるH部の模式拡大図である。
図16B図16Bは、図15におけるH部の模式拡大図である。
図16C図16Cは、図15におけるH部の模式拡大図である。
図17図17は、第5実施形態に係る超音波検出器の構成を示す図である。
図18図18は、第6実施形態に係る超音波検出器の構成を示す図である。
図19図19は、第7実施形態に係る超音波検出器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願に係る超音波検出器を実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る超音波検出器が限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0014】
(第1実施形態)
〔1.車両1の構成〕
図1は、第1実施形態に係る超音波検出器3を含む障害物検知装置が搭載される車両1の平面図である。
【0015】
図1に示す車両1は、例えば、エンジン等の内燃機関を駆動源とする自動車であってもよいし、モータ等の電動機を駆動源とする電気自動車や燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよい。車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置を搭載することもできる。車両1における車輪の駆動に関わる装置の方式、個数、及び、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0016】
超音波検出器3は、超音波を送信し、障害物に当たって反射した超音波を受信する。これにより、超音波検出器3を含む障害物検知装置は、車両1周辺の障害物の有無や障害物までの距離を検知することができる。
【0017】
第1実施形態に係る超音波検出器3は、車両1の車体を構成する金属板2の裏面、すなわち、外部に露出する面の反対側の面に取り付けられる。たとえば、図1に示すように、超音波検出器3は、車両1の側面に設けられるサイドドアを構成する金属板2R,2Lの裏面や、車両1の後方に設けられるバックドアを構成する金属板2Bの裏面等に取り付けられる。
【0018】
このように、超音波検出器3は、金属板2越しに超音波を送信し、障害物から反射した超音波を金属板2越しに受信する。かかる超音波検出器3は、車両1の外側から視認されないため、車両1の意匠性を損なうことなく、超音波を検出することができる。
【0019】
なお、超音波検出器3が取り付けられる場所は、サイドドアやバックドアに限らず、サイドミラーやバンパー等であってもよい。また、超音波検出器3が取り付けられる部材は、必ずしも金属であることを要せず、超音波を伝達し得るものであればよい。
【0020】
〔2.制御システム100の構成〕
車両1には、障害物検知装置を含む制御システム100が設けられる。かかる制御システム100の構成について図2を参照して説明する。図2は、第1実施形態に係る制御システム100の構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、制御システム100は、障害物検知装置の一例であり、複数の超音波検出器3と、ECU10と、車内ネットワーク20とを備える。
【0022】
ECU10は、車内ネットワーク20を介して制御信号を送ることにより、超音波検出器3を制御することができる。なお、ECU10は、上記の他、ブレーキシステムの制御、操舵システムの制御等も実行し得る。
【0023】
ECU10は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)11と、SSD(Solid State Drive)12と、ROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14とを備える。CPU11は、ROM13等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを実行することによって、障害物検知装置としての機能を実現する。RAM14は、CPU11での演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。SSD12は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であって、ECU10の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。CPU11、ROM13、およびRAM14等は、同一パッケージ内に集積され得る。ECU10は、CPU11に替えて、DSP(Digital Signal Processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。SSD12に替えてHDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよいし、SSD12またはHDDは、ECU10とは別に設けられてもよい。
【0024】
車内ネットワーク20は、たとえばCAN(Controller Area Network)として構成される。
【0025】
〔3.超音波検出器3の構成〕
次に、超音波検出器3の構成について図3および図4を参照して説明する。図3は、第1実施形態に係る超音波検出器3の構成を示す図である。また、図4は、図3に示すIV-IV線矢視断面図である。
【0026】
図3および図4に示すように、超音波検出器3は、第1素子31と、第2素子32と、制振材33とを備える。第1素子31、第2素子32および制振材33は、金属板2の裏面である取付面21に取り付けられる。
【0027】
第1素子31および第2素子32は、超音波の送信部および受信部として機能し得る。具体的には、第1素子31および第2素子32は、たとえば圧電セラミックス等の圧電材料および電極等を含んで構成され、逆圧電効果を利用することで超音波を発生させ、圧電効果を利用することで超音波を受信する。
【0028】
制振材33は、取付面21の振動を減衰させる。制振材33の材質は、特に限定されないが、たとえば、ゴム系、樹脂系、アスファルト系の材料を用いることができる。
【0029】
制振材33は、第1開口部331および第2開口部332を有する。第1開口部331および第2開口部332は、たとえば、制振材33を真円状にくり抜いた部分である。第1開口部331には第1素子31が配置され、第2開口部332には第2素子32が配置される。
【0030】
制振材33は、第1素子31と第2素子32との間に配置されることで、たとえば、第1素子31が超音波の送信部として機能する場合に、第1素子31から取付面21を介して第2素子32に伝わる超音波を減衰させることができる。また、第2素子32が超音波の送信部として機能する場合には、第2素子32から取付面21を介して第1素子31に伝わる超音波を減衰させることができる。これにより、障害物から反射してきた超音波を適切に検出することが可能となる。この点について、参考例と比較しつつ具体的に説明する。
【0031】
図5は、参考例に係る超音波検出器3Xの構成を示す図であり、図6は、図5におけるVI-VI線矢視断面図である。また、図7は、参考例に係る超音波検出器3Xにより送信される超音波および受信される超音波の時間変化を模式的に示した図である。また、図8は、第1実施形態に係る超音波検出器3により送信される超音波および受信される超音波の時間変化を模式的に示した図である。
【0032】
図5および図6に示すように、参考例に係る超音波検出器3Xは、取付面21Xに取り付けられる。取付面21Xは、たとえば車両を構成する金属板2Xの裏面である。
【0033】
超音波検出器3Xは、圧電材料および電極等を含んで構成される1つの超音波素子を有しており、かかる1つの超音波素子を用いて金属板2X越しに超音波の送信および受信を行う。
【0034】
このように、参考例に係る超音波検出器3Xは、1つの超音波素子を用いて超音波の送信および受信を行う。このため、図7に示すように、たとえば、超音波検出器3Xに比較的近い場所にある障害物から超音波S1が反射してきた場合であっても、超音波を送信する際の超音波検出器3X自体の振動の残響E1によって超音波S1が隠れてしまうことで、超音波S1を適切に検出することができないおそれがある。
【0035】
また、超音波は金属中では減衰し難いため、金属板2X中には、超音波S0の残響E2が長時間残り続けることとなる。このため、超音波検出器3Xから比較的遠い場所にある障害物から超音波S2が反射してきた場合であっても、金属板2Xに残り続ける残響E2に超音波S2が隠れてしまうことで、超音波S2を適切に検出することができないおそれがある。
【0036】
これに対し、第1実施形態に係る超音波検出器3では、第1素子31および第2素子32の2つの素子を設け、一方の素子を超音波の送信部として機能させ、他方の素子を超音波の受信部として機能させることとした。これにより、受信部として機能する素子(たとえば、第2素子32)には、超音波を送信する際の素子自体の振動の残響E1が生じない。このため、図8に示すように、残響E1の影響を低減させることができる。したがって、第1実施形態に係る超音波検出器3によれば、超音波検出器3に比較的近い場所にある障害物から反射してきた超音波S1を適切に検出することができる。
【0037】
また、第1実施形態に係る超音波検出器3では、第1素子31と第2素子32との間に制振材33を設けることで、送信部として機能する素子から受信部として機能する素子へ金属板2を介して伝わる超音波を制振材33により減衰させることとした。これにより、図8に示すように、金属板2中に生じる超音波の残響E2を低減させることができる。したがって、第1実施形態に係る超音波検出器3によれば、超音波検出器3から比較的遠い場所にある障害物から反射してきた超音波S2も適切に検出することができる。
【0038】
また、第1実施形態に係る超音波検出器3では、第1素子31を第1開口部331に配置し、第2素子32を第2開口部332に配置することとしたため、残響E1,E2をより確実に減衰させることができる。
【0039】
〔4.超音波検出器3の動作〕
次に、超音波検出器3の動作について図9および図10を参照して説明する。図9は、第1素子31を送信部として機能させ、第2素子32を受信部として機能させる第1検出処理の動作例を示す図である。また、図10は、第2素子32を送信部として機能させ、第1素子31を受信部として機能させる第2検出処理の動作例を示す図である。
【0040】
ECU10は、超音波検出器3を制御することにより、第1素子31から超音波を送信させて第2素子32に受信させる第1検出処理と、第2素子32から超音波を送信させて第1素子31に受信させる第2検出処理とを交互に切り替えながら繰り返し実行する。ECU10は、第1検出処理および第2検出処理のいずれかにおいて超音波検出器3が超音波を受信した場合に障害物Tを検知する。
【0041】
これにより、たとえば、図9および図10に示すように、障害物Tから反射した超音波が、第1検出処理において第2素子32(第1検出処理における受信部)に到達しなかった場合であっても、第2検出処理において第1素子31(第2検出処理における受信部)に到達する可能性がある。したがって、たとえば第1検出処理および第2検出処理の一方のみを行う場合と比較して、障害物Tから反射した超音波をより確実に検出することができる。
【0042】
なお、第1実施形態において、制振材33は、必ずしも第1開口部331および第2開口部332を備えることを要しない。たとえば、制振材33は、第1開口部331および第2開口部332のうち一方を備える構成であってもよいし、第1開口部331および第2開口部332を備えない構成であってもよい。すなわち、制振材33は、少なくとも第1素子31と第2素子32との間に配置されて、金属板2を介して第1素子31および第2素子32の一方から他方へ伝わる超音波を減衰するものであればよい。
【0043】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る超音波検出器3Aについて図11図13を参照して説明する。図11は、第2実施形態に係る超音波検出器3Aの構成を示す図である。また、図12は、図11におけるXII-XII線矢視断面図であり、図13は、図12におけるXIII-XIII線矢視断面図である。なお、ここでは、第1素子31が超音波の送信部として機能し、第2素子32が超音波の受信部として機能する場合を例に挙げて説明する。
【0044】
図11に示すように、第2実施形態に係る超音波検出器3Aは、第1素子31と、第2素子32と、制振材33Aとを備える。第1素子31、第2素子32および制振材33Aは、取付面21に取り付けられる。
【0045】
制振材33Aは、第1開口部331Aおよび第2開口部332Aを備える。第1開口部331Aおよび第2開口部332Aは、いずれもスリット状を有し、同一の方向に沿って平行に延在する。また、第1開口部331Aおよび第2開口部332Aは、短手方向に並べて配置される。
【0046】
第1開口部331Aにおける長手方向両端部のうち一方の端部には、第1素子31が配置される。また、第2開口部332Aにおける長手方向両端部のうち他方の端部、言い換えれば、第1素子31から遠い方の端部には、第2素子32が配置される。
【0047】
図12に示すように、第1素子31において発生した超音波は、金属板2のうち、第1開口部331Aによって露出した区間を、第1開口部331Aの一端から他端に向かって伝搬する。金属板2を伝搬する超音波は、金属板2上の各共振点において金属板2が振動することで、各共振点から空気中に放射される。
【0048】
金属板2中における超音波の伝搬速度は、空気中における超音波の伝搬速度よりも速い。このため、金属板2のうち、第1開口部331Aによって露出した区間から放射される超音波には、金属板2中および空気中における超音波の伝搬速度の差によって、金属板2に対して斜め方向の指向性が生じる。
【0049】
このように、第2実施形態に係る超音波検出器3Aによれば、スリット状の第1開口部331Aを設けることで、第1開口部331Aの長手方向に沿った広い範囲に超音波を送信することができる。また、金属板2に対して斜め方向の指向性を持った超音波を送信することができるため、金属板2の正面以外の任意の方向に存在する障害物を検知することができる。
【0050】
また、図13に示すように、障害物Tから反射してきた超音波は、金属板2のうち第2開口部332Aによって露出する区間の何れかの場所に到達した場合に、かかる区間を伝搬して第2素子32に到達することができる。このように、第2実施形態に係る超音波検出器3Aによれば、スリット状の第2開口部332Aに第2素子32を配置することで、障害物Tから反射してきた超音波を広い範囲で受信することができる。また、第2開口部332Aを第1開口部331Aと平行に設けることで、任意の方向から飛来する超音波を適切に受信することができる。また、省スペース化を図ることができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る超音波検出器3Bについて図14を参照して説明する。図14は、第3実施形態に係る超音波検出器3Bの構成を示す図である。図14に示すように、第3実施形態に係る超音波検出器3Bは、第1素子31と、第2素子32と、制振材33Bとを備える。第1素子31、第2素子32および制振材33Bは、取付面21に取り付けられる。
【0052】
第3実施形態に係る制振材33Bは、第1開口部331Bおよび第2開口部332Bを備える。第1開口部331Bおよび第2開口部332Bは、第2実施形態に係る制振材33Aと比較して、短手方向における幅(スリット幅)が広く形成されている。
【0053】
このように、第1開口部331Bのスリット幅を広くすることで、振動面が広がり、より強い強度で超音波が出力されるため、第2実施形態に係る超音波検出器3Aと比較して、超音波をより遠くまで伝搬させることができる。すなわち、第2実施形態に係る超音波検出器3Bによれば、第2実施形態に係る超音波検出器3Aと比較して、車両1からより遠くに存在する障害物を検知することができる。また、第2開口部332Bのスリット幅を広くすることで、第2実施形態に係る超音波検出器3Aと比較して、障害物から反射してきた超音波をより広い範囲で受信することができる。
【0054】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る超音波検出器3Cについて図15を参照して説明する。図15は、第4実施形態に係る超音波検出器3Cの構成を示す図である。
【0055】
図15に示すように、第4実施形態に係る超音波検出器3Cは、第1素子31C1,31C2と、第2素子32と、制振材33Cとを備える。第1素子31C1,31C2、第2素子32および制振材33Cは、取付面21に取り付けられる。
【0056】
制振材33Cは、第1開口部331Cと、第2開口部332Cとを備える。第1開口部331Cは、第1延在部分331C1と、複数(ここでは、3つ)の第2延在部分331C2~331C4とを備える。第1延在部分331C1は、第1方向に沿って延在する部分である。第1延在部分331C1の一端には、第1素子31C1が配置され、他端には、第1素子31C2が配置される。第1素子31C1,31C2は、同一波長の超音波を同一のタイミングで送信するようにECU10によって制御される。
【0057】
複数の第2延在部分331C2~331C4は、第1延在部分331C1の中途部から上記第1方向と異なる第2方向(ここでは、第1方向に対して直交する方向)に沿って延在する。複数の第2延在部分331C2~331C4のうち、第2延在部分331C3は、第1延在部分331C1の長手方向中央に設けられる。また、第2延在部分331C2は、第1延在部分331C1の一端に配置される第1素子31C1と第2延在部分331C3との間に設けられ、第2延在部分331C4は、第1延在部分331C1の他端に配置される第1素子31C2と第2延在部分331C3との間に設けられる。
【0058】
複数の第2延在部分331C2~331C4は、第1素子31C1,31C2により送信される超音波の波長の整数倍の間隔をあけて配置される。同様に、第1素子31C1と第2延在部分331C2とは、第1素子31C1,31C2により送信される超音波の波長の整数倍の間隔をあけて配置され、第1素子31C2と第2延在部分331C4とは、第1素子31C1,31C2により送信される超音波の波長の整数倍の間隔をあけて配置される。
【0059】
第2開口部332Cは、第1延在部分332C1と、複数(ここでは、3つ)の第2延在部分332C2~332C4とを備える。第1延在部分332C1は、第2開口部332Cのうち第1方向に沿って延在する部分である。すなわち、第2開口部332Cの第1延在部分332C1は、第1開口部331Cの第1延在部分331C1と平行である。第1延在部分332C1の端部には、第2素子32が配置される。
【0060】
複数の第2延在部分332C2~332C4は、第1延在部分332C1の中途部から上記第1方向と異なる第2方向(ここでは、第1方向に対して直交する方向)に沿って延在する。複数の第2延在部分332C2~332C4のうち、第2延在部分332C3は、第1延在部分332C1の長手方向中央に設けられる。また、第2延在部分332C2は、第1延在部分332C1の一端と第2延在部分332C3との間に設けられ、第2延在部分332C4は、第1延在部分332C1の他端と第2延在部分332C3との間に設けられる。また、複数の第2延在部分332C2~332C4は、第1開口部331Cが備える複数の第2延在部分331C2~331C4と互い違いに配置される。
【0061】
次に、第4実施形態に係る超音波検出器3Cの動作について図16A図16Cを参照して説明する。図16A図16Cは、図15におけるH部の模式拡大図である。
【0062】
第1素子31C1(図15参照)から送信された超音波は、図16Aに示すように、第1開口部331Cにおける第1延在部分331C1の一端から他端に向かって伝搬する。また、第1素子31C2(図15参照)から送信された超音波は、図16Aに示すように、第1延在部分331C1の他端から一端に向かって伝搬する。
【0063】
これらの超音波は、第1素子31C1および第1素子31C2から同一のタイミングで送信される。このため、図16Bに示すように、第1素子31C1および第1素子31C2から送信された超音波は、第1延在部分331C1の長手方向中央においてぶつかり合成される。この位置を合成ポイントPと記載する。また、第1素子31C1および第1素子31C2から送信される超音波の波長は同一であるため、合成ポイントPにおいて、第1素子31C1および第1素子31C2から送信される超音波の振幅よりも大きい振幅を持った合成波が発生する。
【0064】
合成ポイントPにおいて生じた合成波は、合成ポイントPから放射状に広がる。ここで、合成ポイントPである第1延在部分331C1の長手方向中央には、第2延在部分331C3が設けられている。このため、図16Cに示すように、合成ポイントPにおいて発生した合成波は、第2延在部分331C3にも伝搬する。
【0065】
また、超音波の波長の整数倍の間隔で配置される第2延在部分331C2,331C4についても同様である。すなわち、第1延在部分331C1において第2延在部分331C2,331C4が設けられる場所が合成ポイントPとなり、各合成ポイントPにおいて発生した超音波の合成波が、第2延在部分331C2,331C4を伝搬することとなる。
【0066】
このように、第4実施形態に係る超音波検出器3Cによれば、合成ポイントPを超音波の擬似的な送信源とすることで、第1素子31C1,31C2から送信されて第1延在部分331C1に沿って進む超音波を、第1延在部分331C1とは異なる方向に沿って延在する第2延在部分331C2~331C4にも伝搬させることができる。したがって、比較的少ない素子数でより広い範囲に超音波を送信することができる。
【0067】
また、第4実施形態に係る超音波検出器3Cによれば、第1開口部331Cの第1延在部分331C1または第2延在部分331C2~331C4から金属板2を介して空気中に送信された超音波の反射波を、第2開口部332Cの第1延在部分332C1または第2延在部分332C2~332C4で受けて第2素子32へ伝搬させることができる。
【0068】
なお、複数の第2延在部分331C2~331C4は、必ずしも、第1素子31C1,31C2から送信される超音波の波長の整数倍の間隔で配置されることを要しない。ECU10は、第1延在部分331C1から第2延在部分331C2~331C4に分岐する各地点において合成ポイントPが発生するように、第1素子31C1,31C2による超音波の送信タイミングをずらしてもよい。
【0069】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る超音波検出器3Dの構成について図17を参照して説明する。図17は、第5実施形態に係る超音波検出器3Dの構成を示す図である。
【0070】
合成ポイントPにおいて生じる合成波は放射状に広がるため、第2延在部分331C2~331C4は、必ずしも第1延在部分331C1に対して直交することを要しない。
【0071】
たとえば、図17に示すように、第5実施形態に係る超音波検出器3Dは、2つの第1素子31D1,31D2と、3つの第2素子32D1~32D3と、制振材33Dとを備える。第1素子31D1,31D2、第2素子32D1~32D3および制振材33Dは、取付面21に取り付けられる。
【0072】
制振材33Dは、第1開口部331Dと、複数の第2開口部332D1~332D3とを備える。第1開口部331Dは、第1延在部分331D1と、3つの第2延在部分331D2~331D4とを備える。第1延在部分331D1の一端には、第1素子31D1が配置され、他端には、第1素子31D2が配置される。
【0073】
複数の第2延在部分331D2~331D4は、それぞれ異なる方向に沿って延在する。具体的には、第2延在部分331D3は、第1延在部分331D1に直交する方向に延在する。一方、第2延在部分331D2および第2延在部分331D4は、第1延在部分331D1に対して斜め方向に延在する。具体的には、第2延在部分331D2および第2延在部分331D4は、第1延在部分331D1における第2延在部分331D2,331D4への分岐点から互いに遠ざかる方向に延在する。
【0074】
このように、複数の第2延在部分331D2~331D4をそれぞれ異なる方向に延在させることにより、たとえば複数の第2延在部分331D2~331D4を同一の方向に延在させた場合と比較してより広い範囲に超音波を送信することができる。
【0075】
複数の第2開口部332D1~332D3は、それぞれ第1開口部331Dにおける複数の第2延在部分331D2~331D4に隣接して配置され、第2延在部分331D2~331D4と平行に延在する。各第2開口部332D1~332D3の端部には、第2素子32D1~32D3が配置される。このように、第2延在部分331D2~331D4と平行に延在する第2開口部332D1~332D3を設け、各第2開口部332D1~332D3に第2素子32D1~32D3を配置することで、障害物から反射してきた超音波を適切に受信することができる。
【0076】
なお、ECU10は、たとえば、第1延在部分331D1における第2延在部分331D2~331D4への各分岐点において合成ポイントPが順番に発生するように、第1素子31D1および第1素子31D2から送信される超音波の送信タイミングを制御する。第2延在部分331D2~331D4が超音波の波長の整数倍の間隔で配置される場合には、上記制御は不要である。
【0077】
ここでは、第1開口部331Dが、それぞれ3つの第2延在部分331D2~331D4を有する場合の例を示したが、第2延在部分の数は、3つに限定されない。また、第2開口部332D1~332D3の数も、3つに限定されない。
【0078】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係る超音波検出器3Eの構成について図18を参照して説明する。図18は、第6実施形態に係る超音波検出器3Eの構成を示す図である。
【0079】
図18に示すように、第6実施形態に係る超音波検出器3Eは、2つの第1素子31E1,31E2と、4つの第2素子32E1~32E4と、制振材33Eとを備える。第1素子31E1,31E2、第2素子32E1~32E4および制振材33Eは、取付面21に取り付けられる。
【0080】
制振材33Eは、第1開口部331Eと、4つの第2開口部332E1~332E4とを備える。第1開口部331Eは、第1延在部分331E1と、4つの第2延在部分331E2~331E5とを備える。第1延在部分331E1の一端には、第1素子31E1が配置され、他端には、第1素子31E2が配置される。
【0081】
複数の第2延在部分331E2~331E5は、第1延在部分331E1に対して斜め方向に沿って且つ互いに平行に延在する。このように、複数の第2延在部分331E2~331E5を同一の方向に沿って延在させることで、たとえば、複数の第2延在部分331E2~331E5を異なる方向に沿って延在させた場合と比較して、金属板2から空気中に放出される超音波の密度を高めることができる。
【0082】
また、複数の第2延在部分331E2~331E5は、たとえば、第1素子31E1,31E2から送信される超音波の1波長分の間隔をあけて配置される。このように、第1素子31E1から送信される超音波と第1素子31E2から送信される超音波とを1波長ごとに合成して第2延在部分331E2~331E5に伝搬させることで、金属板2から空気中に放出される超音波の密度をさらに高めることができる。
【0083】
複数の第2開口部332E1~332E4は、それぞれ第1開口部331Eにおける複数の第2延在部分331E2~331E5に隣接して配置され、第2延在部分331E2~331E5と平行に延在する。各第2開口部332E1~332E4の端部には、第2素子32E1~32E4が配置される。
【0084】
ここでは、第1開口部331Eが、4つの第2延在部分331E2~331E5を有する場合の例を示したが、第2延在部分の数は、4つに限定されない。また、第2開口部332E1~332E4の数も4つに限定されない。
【0085】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態に係る超音波検出器3Fの構成について図19を参照して説明する。図19は、第7実施形態に係る超音波検出器3Fの構成を示す図である。
【0086】
図19に示すように、第7実施形態に係る超音波検出器3Fは、2つの第1素子31F1,31F2と、9つの第2素子32F1~32F9と、制振材33Fとを備える。第1素子31F1,31F2、第2素子32F1~32F9および制振材33Fは、取付面21に取り付けられる。
【0087】
制振材33Fは、第1開口部331Fと、9つの第2開口部332F1~332F9とを備える。第1開口部331Fは、第1延在部分331F1と、9つの第2延在部分331F2~331F10とを備える。第1延在部分331F1の一端には、第1素子31F1が配置され、他端には、第1素子31F2が配置される。
【0088】
第2延在部分331F3,331F6,331F9は、第1延在部分331F1に対して直交する方向に沿って互いに平行に延在する。また、第2延在部分331F2および第2延在部分331F4は、第2延在部分331F3の両側に配置され、第1延在部分331F1に対して斜めに且つ互いに遠ざかる方向に延在する。同様に、第2延在部分331F5および第2延在部分331F7は、第2延在部分331F6の両側に配置され、第1延在部分331F1に対して斜めに且つ互いに遠ざかる方向に延在する。同様に、第2延在部分331F8および第2延在部分331F10は、第2延在部分331F9の両側に配置され、第1延在部分331F1に対して斜めに且つ互いに遠ざかる方向に延在する。
【0089】
第2延在部分331F2,331F5,331F8は、互いに平行であり、第1素子31F1,31F2から送信される超音波の波長の整数倍の間隔をあけて配置される。同様に、第2延在部分331F3,331F6,331F9は、互いに平行であり、第1素子31F1,31F2から送信される超音波の波長の整数倍の間隔をあけて配置される。同様に、第2延在部分331F4,331F7,331F10は、互いに平行であり、第1素子31F1,31F2から送信される超音波の波長の整数倍の間隔をあけて配置される。
【0090】
ECU10は、第2延在部分331F2,331F5,331F8の延在方向に沿って超音波を送信する場合には、たとえば、第1延在部分331F1における第2延在部分331F2への分岐点において合成ポイントPが発生するように、第1素子31F1,31F2から送信される超音波の送信タイミングを制御する。また、ECU10は、第2延在部分331F3,331F6,331F9の延在方向に沿って超音波を送信する場合には、たとえば、第1延在部分331F1における第2延在部分331F3への分岐点において合成ポイントPが発生するように、第1素子31F1,31F2から送信される超音波の送信タイミングを制御する。また、ECU10は、第2延在部分331F4,331F7,331F10の延在方向に沿って超音波を送信する場合には、たとえば、第1延在部分331F1における第2延在部分331F4への分岐点において合成ポイントPが発生するように、第1素子31F1,31F2から送信される超音波の送信タイミングを制御する。これにより、超音波を任意の方向へ立体的に送信することができる。
【0091】
ここでは、第1開口部331Fが、9つの第2延在部分331F2~331F10を有する場合の例を示したが、第2延在部分の数は、9つに限定されない。また、第2開口部332F1~332F9の数も9つに限定されない。
【0092】
上述してきたように、実施形態に係る超音波検出器(一例として、超音波検出器3,3A~3F)は、第1素子(一例として、第1素子31,31C1,31C2,31D1,31D2,31E1,31E2,31F1,31F2)と、第2素子(一例として、第2素子32,32D1~32D3,32E1~32E4,32F1~32F9)と、制振材(一例として、制振材33,33A~33F)とを備える。第1素子は、取付面21に取り付けられ、超音波を送信する。第2素子は、取付面21に取り付けられ、超音波を受信する。制振材は、取付面21に取り付けられ、取付面21の振動を減衰させる。また、制振材は、第1素子と前記第2素子との間に配置される。
【0093】
このように、超音波を送信する第1素子と超音波を受信する第2素子とを備えることで、超音波を受信する第2素子に対し、超音波を送信する際の素子の振動を行わせないようにすることができる。これにより、第2素子に対して上記振動による残響を生じさせないようにすることができる。また、第1素子と第2素子との間に制振材を配置することで、第1素子から取付面を介して第2素子へ伝わる超音波の残響を減衰させることができる。このように、素子自体に生じる超音波の残響および取付面に生じる超音波の残響を低減することで、超音波の反射波を適切に検出することができる。
【0094】
また、実施形態に係る超音波検出器(一例として、超音波検出器3,3A~3F)において、制振材(一例として、制振材33,33A~33F)は、開口部(一例として、第1開口部331,331A~331F、第2開口部332,332A~332C,332D1~332D3,332E1~332E4,332F1~332F9)を備えていてもよい。また、第1素子または第2素子は、開口部に配置されてもよい。このように、制振材に開口部を設けて、第1素子または第2素子を開口部に配置することで、第1素子から取付面を介して第2素子へ伝わる超音波の残響をより確実に減衰させることができる。
【0095】
また、実施形態に係る超音波検出器(一例として、超音波検出器3A~3F)において、開口部(一例として、第1開口部331A~331F、第2開口部332A~332C,332D1~332D3,332E1~332E4,332F1~332F9)は、スリット状を有していてもよい。これにより、たとえば、第1素子をスリット状の開口部に配置することで、開口部の長手方向に沿った広い範囲に超音波を送信することができる。また、第2素子をスリット状の開口部に配置することで、超音波の反射波をより広い範囲で受信することができる。
【0096】
また、実施形態に係る超音波検出器(一例として、超音波検出器3A~3F)において、開口部は、第1開口部(一例として、第1開口部331A~331F)と、第1開口部と平行な第2開口部(一例として、第2開口部332A~332C,332D1~332D3,332E1~332E4,332F1~332F9)とを含んでいてもよい。また、第1素子は、第1開口部に配置され、第2素子は、第2開口部に配置されてもよい。これにより、開口部の長手方向に沿った広い範囲に超音波を送信することができるとともに、超音波の反射波をより広い範囲で受信することができる。また、第2開口部を第1開口部と平行に設けることで、制振材の省スペース化を図りつつ、超音波の反射波を適切に受信することができる。
【0097】
また、実施形態に係る超音波検出器(一例として、超音波検出器3C~3F)は、2つの第1素子(一例として、第1素子31C1,31C2,31D1,31D2,31E1,31E2,31F1,31F2)を備えていてもよい。また、第1開口部(一例として、第1開口部331C~331F)は、第1方向に沿って延在する第1延在部分(一例として、第1延在部分331C1~331F1)と、第1延在部分の中途部において第1延在部分から分岐し、第1方向と異なる第2方向に沿って延在する第2延在部分(一例として、第2延在部分331C2~331C4,331D2~331D4,331E2~331E5,331F2~331F10)とを備えていてもよい。また、2つの第1素子のうち一方は、第1延在部分の一端に配置され、2つの第1素子のうち他方は、第1延在部分の他端に配置されてもよい。2つの第1素子から送信された超音波が合成され、その合成波が第2延在部分に伝搬することで、より広い範囲に超音波を送信することができる。
【0098】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…車両、2…金属板、3…超音波検出器、10…ECU、31…第1素子、32…第2素子、33…制振材、331…第1開口部、332…第2開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19