(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】キャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20230221BHJP
A23L 7/10 20160101ALN20230221BHJP
【FI】
A23L19/00 Z
A23L19/00 A
A23L7/10 Z
(21)【出願番号】P 2019096154
(22)【出願日】2019-05-22
【審査請求日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2018097519
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・ウェブサイトのアドレス https://www.saladclub.jp/company/press/2018_10_19_1.html 掲載日 平成30年10月19日・販売した場所 Amazon.co.jpウェブページ(https://www.amazon.co.jp/dp/B07K4WBLF2) 販売日 平成30年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518179302
【氏名又は名称】株式会社サラダクラブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山本 遼
(72)【発明者】
【氏名】倉田 幸治
(72)【発明者】
【氏名】千田 茂和
(72)【発明者】
【氏名】市田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】千代田 路子
(72)【発明者】
【氏名】下橋 真人
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-198587(JP,A)
【文献】特開2007-053969(JP,A)
【文献】特開平11-155513(JP,A)
【文献】特開2004-261110(JP,A)
【文献】特開2019-201632(JP,A)
【文献】特開2020-080702(JP,A)
【文献】特開平04-341139(JP,A)
【文献】特開2013-074827(JP,A)
【文献】特開2017-143817(JP,A)
【文献】Cookpad, ☆キャベツの芯☆節約チャーハン,[クックパッド]簡単おいしいみんなのレシピが367万品,2016年05月17日,[検索日:2022/4/21],<URL: https://cookpad.com/recipe/3880258>
【文献】Rakutenレシピ,ダイエットにもキャベツの芯入りごはん,2017年04月25日,[検索日:2022/4/21],<URL:https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1310007919>
【文献】Riced Veggies Cauliflower,2017年03月22日,[検索日:2022/4/21],<URL: https://greengiant.com/products/detail/green-giant-riced-cauliflower>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品であって、
前記裁断物の50質量%以上が茎及び中肋を裁断した物であり、
前記裁断物の70質量%以上が0.5mm以上12mm以下の大きさであり、ボイル処理されたもの、スチーム処理されたもの、及び、殺菌液によって殺菌処理されたものから選ばれるものであり、
前記容器中の前記裁断物の含有量が40質量%以上である、
ことを特徴とする、容器詰め米飯様食品。
【請求項2】
請求項1記載の容器詰め米飯様食品であって、
前記茎が、原料キャベツの茎切断面から根反対方向5mm以上の茎部である、
容器詰め米飯様食品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の容器詰め米飯様食品であって、
前記裁断物が凍結物である、容器詰め米飯様食品。
【請求項4】
キャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品の製造方法であって、
前記裁断物の50質量%以上が茎及び中肋を裁断した物であり、
前記裁断物の70質量%以上が0.5mm以上12mm以下の大きさであり、
前記裁断物をボイル処理するボイル処理工程(ただし、沸騰した湯で柔らかくなるまで煮込む処理と、炊飯器で炊飯する処理と、を除く)、前記裁断物をスチーム処理するスチーム処理工程、及び、前記裁断物又は裁断前のキャベツを殺菌液によって殺菌する処理工程のうち少なくとも一つを行なう工程を含
み、
前記容器中の前記裁断物の含有量が40質量%以上である、
容器詰め米飯様食品の製造方法。
【請求項5】
請求項
4に記載のキャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品の製造方法であって、
前記裁断物をボイル処理するボイル処理工程及び前記裁断物をスチーム処理するスチーム処理工程のうち少なくとも一方を行なう加熱処理工程と、
前記加熱処理工程後に前記裁断物を凍結する凍結工程と、
を有することを特徴とする容器詰め米飯様食品の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の容器詰め米飯様食品の製造方法であって、
前記凍結工程では、60分以内に前記裁断物を-10℃になるまで冷却することで凍結する、
容器詰め米飯様食品の製造方法。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の容器詰め米飯様食品の製造方法であって、
前記ボイル処理工程を含み、
前記ボイル処理工程の前に、前記裁断物をカルシウム塩の水溶液に浸漬する浸漬処理工程をさらに含む、
容器詰め米飯様食品の製造方法。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか1項に記載の容器詰め米飯様食品の製造方法であって、
前記裁断物に付着した水分を、脱水、または、遠心分離による液切りをする工程をさらに含む、
容器詰め米飯様食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食事の糖質を低減することができるキャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、肥満や糖尿病等の生活習慣病の増加が社会問題となっている。その原因として、食生活の変化による糖質や脂質の過剰摂取が挙げられるため、主食となる食品や飲料を中心に低糖質食品が求められている。
【0003】
これまで、前記低糖質食品として、特許文献1に示されるような、米に顆粒状のコンニャク等を配合するダイエット用主食や、特許文献2に示されるような、難消化性デキストリン等の食物繊維が添加された米が知られているが、風味が物足りないものになってしまう問題や、食感が柔らかくなりすぎてしまう問題等があったため、新規な低糖質食品を検討する余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-28554公報
【文献】特開2001-57854公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、食事の糖質を低減することができるキャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、キャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品であって、前記裁断物の特定量以上が茎及び中肋の裁断物であり、特定の大きさである前記裁断物が特定割合であることを特徴とすることにより、意外にも、食事の糖質を低減することができるキャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)キャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品であって、
前記裁断物の50質量%以上が茎及び中肋の裁断物であり、
前記裁断物の70質量%以上が0.5mm以上12mm以下の大きさである、
ことを特徴とする、容器詰め米飯様食品、
(2)前記茎が、原料キャベツの茎切断面から根反対方向5mm以上の茎部である、
ことを特徴とする、(1)に記載の容器詰め米飯様食品、
(3)前記裁断物が凍結物である、
ことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の容器詰め米飯様食品、
(4)(3)に記載の容器詰め米飯様食品の製造方法であって、
前記裁断物をボイル処理するボイル処理工程及び前記裁断物をスチーム処理するスチーム処理工程のうち少なくとも一方を行なう加熱処理工程と、
前記加熱処理工程後に前記裁断物を凍結する凍結工程と、を有することを特徴とする容器詰め米飯様食品の製造方法、
(5)前記凍結工程では、60分以内に前記裁断物を-10℃になるまで冷却することで凍結する、(4)に記載の容器詰め米飯様食品の製造方法、
(6)前記加熱処理工程は前記ボイル処理工程であり、
前記ボイル処理工程の前に、前記裁断物をカルシウム塩の水溶液に浸漬する浸漬処理工程をさらに含む、(4)又は(5)に記載の容器詰め米飯様食品の製造方法、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、食事の糖質を低減することができるキャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、格別に断らない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0010】
<本発明の特徴>
本発明は、キャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品であって、前記裁断物の特定量以上が茎及び中肋の裁断物であり、特定の大きさである前記裁断物が特定割合であることを特徴とすることにより、意外にも、食事の糖質を低減することができるキャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品が得られることを特徴とする。
【0011】
<米飯様食品>
本発明において、米飯様食品とは、後述する特定の大きさに裁断したキャベツを好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、特に好ましくは100%用いたものであり、米飯と同様の方法で喫食するものである。具体的には、米を炊飯した程度の温度まで前記米飯様食品を加熱した後、そのまま喫食しても良いし、前記米飯様食品の上にカレーや中華丼の具等の具材をかけてから喫食しても良い。
【0012】
また本発明において、米飯様食品には、キャベツの裁断物以外に、本発明の効果を失わない範囲で別の食材が含まれてもよい。前記別の食材としては、米飯、麦飯、五穀飯等の穀類や、ニンジン裁断物、タケノコ裁断物、ひじき、肉裁断物、薄揚げ裁断物、こんにゃく裁断物、炒り卵、錦糸卵、スイートコーンなどの具材類、および、ソース、カレー、コショウ、塩、油、マヨネーズ等の調味料類を用いることができる。
【0013】
<キャベツ裁断物>
本発明において、キャベツ裁断物とは、キャベツの茎及び葉を後述する特定の大きさに裁断したものであり、前記キャベツ裁断物のうち50%以上が、キャベツの茎及びキャベツの中肋の裁断物である。前記キャベツ裁断物のうち好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上が前記キャベツの茎及び中肋の裁断物であるとよい。キャベツの茎及び中肋の裁断物を前記範囲とすることで、千切りキャベツのようなシート状のキャベツ裁断物ではない塊状のキャベツ裁断物の割合が多くなるので、歯ごたえと風味がしっかりと感じられる米飯様食品となる。
【0014】
特にキャベツの茎は、食物繊維を豊富に含むため非常に固く、後述のような大きさの裁断物を多量に得ることが難しいが、前記キャベツ裁断物のうち20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上が前記キャベツの茎の裁断物であるとよい。キャベツの茎の裁断物を前記範囲とすることで、食物繊維を豊富に摂取でき、かつ米飯に似た甘味を呈する米飯様食品となる。
【0015】
<キャベツ裁断物の大きさ>
本発明において、キャベツ裁断物の70%以上が0.5mm以上12mm以下の大きさのキャベツ裁断物である。前記大きさのキャベツ裁断物含有割合の下限値は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であるとよい。本発明におけるキャベツ裁断物のうち特定の大きさのキャベツ裁断物が前記範囲の含有割合であることで、口当たりが良く、食感も良い米飯様食品となる。なお、本発明における裁断物の大きさとは、裁断物の最大長のことであり、例えば、キャベツ裁断物の形状が直方体であれば対角線が最大長であり、楕円体であれば最も長い直径が最大長に相当する。
【0016】
<茎部>
本発明において、キャベツ裁断物のうち茎裁断物は、原料キャベツの茎切断面から根反対方向に5mm以上の茎部を裁断したものであるとよい。より好ましくは、原料キャベツの茎切断面から根反対方向に10mm以上の茎部を裁断した物であるとよい。前記範囲の茎部を茎裁断物とすることで、キャベツの茎表面に付着している微生物の数が少ない茎部を米飯様食品に用いることができるため、本発明の容器詰め米飯様食品を流通させる際、鮮度をより長い期間維持することができる。
【0017】
<中肋>
本発明において、中肋の裁断物とは、キャベツの葉において葉の根元から葉先に向かって存在する主脈を前述する特定の大きさに裁断したものである。本発明の容器詰め米飯様食品に前記中肋の裁断物が含まれることで、歯ごたえと風味がしっかりと感じられる米飯様食品となる。
【0018】
<キャベツの裁断方法>
本発明において、キャベツの裁断方法は、前述した大きさにキャベツを裁断できれば特に制限されないが、例えば、ダイサー等の裁断機によって裁断することができる。具体的には、キャベツの茎や中肋等を、キャベツ原体から切り離し、裁断幅を前述の大きさに設定したダイサーに前記キャベツの茎や中肋等を投入することで、本発明のキャベツ裁断物を得ることができる。
【0019】
<容器>
本発明の容器詰め米飯様食品に用いる容器は、食品用として通常に用いられる容器であれば特に制限はないが、温度20℃の環境下で24時間、酸素の内外分圧差1atm、米飯様食品1gあたりの酸素透過量が1cc/day・atm・g以上である容器を使用することが好ましい。前記容器の酸素透過度の下限値は、より好ましくは1.5cc/day・atm・g以上、特に好ましくは2cc/day・atm・g以上である。また、前記容器の酸素透過度の上限値は、より好ましくは5cc/day・atm・g以下、特に好ましくは4cc/day・atm・g以下であるとよい。本発明に用いる容器の酸素透過度が前記範囲であることで、米飯様食品を流通させる際、鮮度をより長い期間維持することができる。
【0020】
容器の酸素透過度を前記範囲に調整する手段としては、特に制限はなく、使用する材質の種類を調整する手段、使用する材質の厚さを調整する手段、容器に微細孔を開孔して調整する手段、及びこれらの手段を組合せることが挙げられる。前記酸素透過度であれば容器の材質や厚さは特に制限はなく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(NY)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、等の単層材料、及びこれらを積層した多層材料を用いることができる。容器の表面はシーラント層を設けたものでも、防曇処理をしたものでも良く、また、透明であっても、不透明であってもよい。前記容器の形状、寸法は特に制限はなく、容器の形状としては、例えばトレー、袋、箱等から任意に選択し、単独又はこれらを組み合わせて使用することができる。
【0021】
<容器詰め米飯様食品の製造方法1>
本発明の容器詰め米飯様食品の製造方法としては、前述の裁断方法によってキャベツの茎や中肋等を特定の大きさに裁断し、容器に充填すれば、特に制限されるものではない。例えば、原料キャベツから茎や中肋等を切出す工程、前記切出した茎や中肋等を次亜塩素酸等の殺菌液で殺菌する工程、前記殺菌された茎や中肋等をダイサー等によって特定の大きさに裁断する工程、前記裁断された茎や中肋等を次亜塩素酸等の殺菌液で殺菌する工程、前記殺菌された茎や中肋等の裁断物を脱水する工程、前記脱水された茎や中肋等の裁断物を容器へ充填密封する工程を行うことで、本発明の容器詰め米飯様食品を流通させる際、鮮度をより長い期間維持することができる。
【0022】
<凍結物>
本発明の容器詰め米飯様食品は、前述したキャベツの裁断物を凍結させた凍結物であってもよい。凍結することによって容器詰め米飯様食品の長期保存が可能となる。
【0023】
<容器詰め米飯様食品の製造方法2>
本発明の容器詰め米飯様食品の製造方法の別の態様は、キャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品の製造方法であって、前記裁断物の50質量%以上が茎及び中肋の裁断物であり、前記裁断物の70質量%以上が0.5mm以上12mm以下の大きさであり、前記裁断物をボイル処理するボイル処理工程及び前記裁断物をスチーム処理するスチーム処理工程のうち少なくとも一方を行なう加熱処理工程と、前記加熱処理工程後に前記裁断物を凍結する凍結工程と、を有する。このような構成を有することにより、米飯様食品を冷凍保存できる。また、このような構成を有することにより、冷凍による離水が抑制されて、シャキシャキとした良好な食感の米飯様食品を製造できる。
【0024】
<キャベツの裁断物>
本発明の製造方法に用いるキャベツの裁断物は、50質量%以上が茎及び中肋の裁断物であり、裁断物の70質量%以上が0.5mm以上12mm以下の大きさであればよい。このような裁断物は前述の裁断方法によって得ればよい。また、例えば、前述の通り、原料キャベツから茎や中肋等を切出す工程、前記切出した茎や中肋等を次亜塩素酸等の殺菌液で殺菌する工程、前記殺菌された茎や中肋等をダイサー等によって特定の大きさに裁断する工程、前記裁断された茎や中肋等を次亜塩素酸等の殺菌液で殺菌する工程、前記殺菌された茎や中肋等の裁断物を脱水する工程等を行なって、キャベツの裁断物を準備してもよい。キャベツの裁断物については前述の説明に準じ、同じ説明は繰り返さない。
【0025】
<加熱処理工程>
本発明における加熱処理工程は、キャベツ裁断物をボイル処理するボイル処理工程及び前記裁断物をスチーム処理するスチーム処理工程のうち少なくとも一方を行なう工程である。
【0026】
<ボイル工程>
本発明におけるボイル工程は、キャベツ裁断物をボイル処理する工程である。ボイルの温度は、特に制限がなく、例えば、ボイルの時間、目的とする食感等に応じて適宜設定すればよい。例えば、ボイルの温度は、70℃以上が好ましく、また、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。この範囲の温度とすることで歯ごたえがよりしっかりと感じられる米飯様食品となる。ボイルの時間は、特に制限がなく、例えば、ボイルの温度、目的とする食感等に応じて適宜設定すればよい。例えば、ボイルの時間は、30秒以上が好ましく、1分以上がより好ましい。また、10分以下が好ましく、3分以下がより好ましい。この範囲の時間とすることで歯ごたえがしっかりと感じられ、保存性に優れた米飯様食品となる。なお、冷凍保存された米飯様食品において「保存性」とは、凍結直前と、冷凍保存した後とを比較した、食品の性状の変化をいい、例えば、「保存性に優れる」とは、米飯様食品の例えば、臭気、外観等の性状の変化がより少ないことをいう。
【0027】
<浸漬処理工程>
本発明では、ボイル工程の前に、キャベツ裁断物をカルシウム(Ca)塩の水溶液に浸漬する浸漬処理工程を含むことがより好ましい。浸漬処理工程を行なうことで、冷凍による離水がより抑制されて、シャキシャキとした食感がより良好な米飯様食品を製造できる。Ca塩の種類は特に制限がなく、例えば、乳酸Ca、塩化Ca等が挙げられ、中でも乳酸Caがより好ましい。乳酸Caを用いることで、歯ごたえがよりしっかりと感じられる米飯様食品となる。Ca塩の水溶液の濃度は特に制限がなく、例えば、0.1%以上が好ましく、0.3%以上がより好ましく、0.5%以上がさらに好ましい。また、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、歯ごたえがよりしっかりと感じられ、Ca塩の味に与える影響が抑制された米飯様食品となる。浸漬する時間は特に制限されず、例えば、キャベツ裁断物に十分にCa塩が浸透する時間であればよい。より具体的には、浸透する時間は、例えば、0.5時間以上が好ましい。また、浸透する時間は、2時間以下が好ましい。この範囲の時間とすることで、Ca塩はより好適にキャベツ裁断物に浸透する。水溶液の温度は特に制限がなく、キャベツ裁断物の性状に影響の少ない温度であることが好ましく、例えば、10℃以上が好ましい。また、当該温度は、25℃以下が好ましい。この範囲の温度とすることでキャベツ裁断物の性状への影響をより抑えてCa塩を浸透させることができる。なお、ボイル工程の前に行なうことに代えて、または共に、ボイル処理の際に湯にCa塩を加えることで、Ca塩の水溶液に浸漬させる形態も本発明の一態様である。ただし、食感を良好にし、Ca塩の味に与える影響を抑える観点からは、ボイル工程の前に浸漬処理工程を行なうことがより好ましい。
【0028】
<スチーム工程>
本発明におけるスチーム工程は、キャベツ裁断物をスチーム処理する工程である。スチーム処理の具体的な方法は特に制限されず、例えば、蒸煮器等を使用して蒸煮処理をすればよい。スチーム処理による加熱温度は特に制限されず、例えば、加熱の時間、目的とする食感等に応じて適宜設定すればよい。例えば、当該加熱温度は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、また、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。この範囲の温度とすることで歯ごたえがよりしっかりと感じられる米飯様食品となる。加熱時間は、特に制限がなく、例えば、加熱温度、目的とする食感等に応じて適宜設定すればよい。例えば、加熱時間は、1分以上が好ましく、4分以上がより好ましく、また、30分以下が好ましく、15分以下がより好ましく、9分以下が特に好ましい。この範囲の時間とすることで、食感がよりよく、保存性により優れた米飯様食品となる。
【0029】
なお、ボイル工程を行なう形態と同様に、スチーム工程の前に前述した浸漬工程を行なってもよい。ただし、スチーム工程を行なう場合は、浸漬工程を省略しても、歯ごたえがしっかりと感じられる米飯様食品となる。
【0030】
<冷却工程>
本発明の製造方法では、後述する凍結工程の前に、キャベツ裁断物を冷却する冷却工程を行なうことがより好ましい。後述する凍結工程の凍結効率をより向上させることができる。冷却方法は特に制限されず、例えば、流水に曝すことによる冷却、真空冷却が挙げられ、中でも真空冷却がより好ましい。真空冷却することにより、食味により優れ、保存性がより良好な米飯様食品となる。真空冷却の方法は特に制限されず、例えば、真空冷却器を用いればよい。冷却温度は特に制限されず、例えば、室温(例えば20℃)程度である。
【0031】
<脱水工程>
本発明における製造方法では、後述する凍結工程の前に、キャベツ裁断物に付着した水分を除去する脱水工程を行なうことがより好ましい。また、前述の冷却工程の後に脱水工程を行なうことが好ましい。脱水工程を行なうことにより、水っぽさのより少ない米飯様食品となる。脱水の方法は特に制限されず、例えば、キャベツ裁断物に付着した水分を除去できる方法を採用すればよい。例えば、遠心分離機を用いればよい。
【0032】
<凍結工程>
本発明の製造方法では、ボイル工程又はスチーム工程の後に裁断物を凍結する凍結工程を行なう。前述した冷却工程、脱水工程を行なう場合には、これらの後に凍結工程を行なう。凍結工程を行なうことにより、冷凍保存が可能となるので、米飯様食品を長期に保存することができる。
【0033】
凍結方法は特に制限されずキャベツ裁断物を凍結させることできればよい。凍結方法の中でも、急速凍結がより好ましい。急速凍結の条件として、例えば60分以内に、好ましくは30分以内に、キャベツ裁断物を、例えば-10℃以下、好ましくは-18℃以下になるまで冷却して凍結することがより好ましい。また、凍結温度の下限値は特に制限されないが、例えば、食品用途の従来公知の急速凍結装置を用いれば凍結可能な、-30℃、-40℃等が挙げられる。
【0034】
<冷凍食品の容器>
凍結されている本発明の米飯様食品に用いる容器は特に制限がなく、例えば、冷凍食品用として通常に用いられる容器が挙げられる。冷凍食品用の容器としては、例えば、紙パック、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール等の容器であってもよい。また、単層材料、及びこれらを積層した多層材料を用いることができる。容器の表面はシーラント層を設けたものでも、防曇処理をしたものでも良く、また、透明であっても、不透明であってもよい。容器の形状、寸法は特に制限はなく、容器の形状としては、例えばトレー、袋、箱等から任意に選択し、単独又はこれらを組み合わせて使用することができる。
【0035】
<喫食方法>
凍結されている本発明の米飯様食品を喫食するときは、当該米飯様食品を適宜解凍したり、温めたりすればよい。解凍したり温めたりする方法としては特に制限されず、例えば、湯煎、電子レンジによる加熱等が挙げられる。
【0036】
以下、本発明の実施例、比較例を述べ、本発明を更に説明する。なお、本発明はこれらに限定するものではない。
【実施例】
【0037】
[実施例1]
以下の工程により、実施例1のキャベツ裁断物を用いた容器詰め米飯様食品を得た。
【0038】
(茎部切り出し工程)
収穫後のキャベツを茎切断面から根反対方向に10mmの部分で切断し、茎底部とキャベツ本体に切り分けた。前記キャベツ本体を半割処理し、前記半割処理済キャベツの茎部及び茎部に隣接する中肋を切り出した。なお、前記茎部及び茎部に隣接する中肋を切り出した際、中肋に隣接する葉部も同時に切り出された。
【0039】
(殺菌処理工程)
前記キャベツの茎部及び茎部に隣接する中肋(中肋に隣接する葉部を含む)400gを次亜塩素酸ナトリウム水溶液6000g(有効塩素濃度:200ppm)に2分間浸漬して殺菌処理を行った。
【0040】
(裁断工程)
前記殺菌処理済キャベツの茎部及び茎部に隣接する中肋(中肋に隣接する葉部を含む)を裁断幅3mmに設定したダイサーにより裁断処理し、キャベツ裁断物を得た。
【0041】
(殺菌処理及び液切り工程)
前記キャベツ裁断物400gを次亜塩素酸ナトリウム水溶液6000g(有効塩素濃度:100ppm)に2分間浸漬して再度殺菌処理を行い、その後、遠心分離機(DT2型、大栄製作所製)を用いて液切り処理(処理条件:回転数1100rpm、1分間)を行うことで、キャベツの裁断物を用いた米飯様食品を得た。
【0042】
(充填工程)
前記キャベツの裁断物を用いた米飯様食品100gを、トレー(発泡ポリプロピレン製、最大収容容量280ml)に充填した後、前記トレーに嵌合蓋(耐熱二軸延伸ポリスチレン製、直径約10mm空気穴を1個有する)をすることで密閉し、前記密閉トレーを袋(二軸延伸ポリプロピレン製、厚さ30μm、最大収容容量900mL、直径約0.1mm微細孔を2個有する)に入れた後、前記袋の開口部をヒートシールすることで、キャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品を得た。
【0043】
実施例1で得られた容器詰め米飯様食品は、表1で示すように、キャベツの茎及び中肋の裁断物がキャベツ裁断物全体に対して80%含有されており、また、大きさが0.5mm以上12mm以下であるキャベツ裁断物がキャベツ裁断物全体に対して92%であった。
【0044】
[実施例2]
実施例1と同様の製法で殺菌処理及び液切り工程まで行い、キャベツの裁断物を得た。前記キャベツの裁断物を、キャベツ裁断物全体に対して茎及び中肋の裁断物が65%、さらに目開き12mmの篩を通過し、かつ目開き0.5mmの篩を通過しなかったキャベツ裁断物がキャベツ裁断物全体に対して85%となるように調製した後、実施例1と同様の充填工程を行うことで、実施例2の容器詰め米飯様食品を得た。
【0045】
[実施例3]
キャベツ裁断物全体に対してキャベツの茎及び中肋の裁断物が55%となるように調製した以外は実施例2と同様にして、実施例3の容器詰め米飯様食品を得た。
【0046】
[比較例1]
キャベツ裁断物全体に対してキャベツの茎及び中肋の裁断物が40%となるように調製した以外は実施例2と同様にして、実施例3の容器詰め米飯様食品を得た。
【0047】
[実施例4]
キャベツ裁断物全体に対してキャベツの茎及び中肋の裁断物が75%、目開き12mmの篩を通過し、かつ目開き0.5mmの篩を通過しなかったキャベツ裁断物がキャベツ裁断物全体に対して85%となるように調製した以外は実施例2と同様にして、実施例4の容器詰め米飯様食品を得た。
【0048】
[実施例5]
目開き12mmの篩を通過し、かつ目開き0.5mmの篩を通過しなかったキャベツ裁断物がキャベツ裁断物全体に対して75%となるように調製した以外は実施例4と同様にして、実施例5の容器詰め米飯様食品を得た。
【0049】
[比較例2]
目開き12mmの篩を通過し、かつ目開き0.5mmの篩を通過しなかったキャベツ裁断物がキャベツ裁断物全体に対して65%となるように調製した以外は実施例4と同様にして、比較例2の容器詰め米飯様食品を得た。
【0050】
[試験例1]
実施例1乃至5及び比較例1乃至2で得られた容器詰め米飯様食品を、品温が80℃になるまでレンジで加熱した後喫食し、以下の評価基準に従って官能評価を行った。結果は表1に示す。
【0051】
<風味に関する評価基準>
◎:キャベツ本来の甘味が十分に感じられ、米飯様食品として大変好ましい。
○:キャベツ本来の甘味が感じられ、米飯様食品として好ましい。
△:キャベツ本来の甘味がほのかに感じられ、米飯様食品として問題がない程度。
×:キャベツ本来の甘味が全く感じられず、米飯様食品として好ましくない。
【0052】
<食感に関する評価基準>
◎:歯ごたえが非常に良く、口当たりも非常に柔らかいため、米飯様食品として大変好ましい。
○:歯ごたえが良く、口当たりも柔らかいため、米飯様食品として好ましい。
△:歯ごたえがない部分、或いはゴツゴツとした口当たりの部分があるものの、米飯様食品として問題がない程度。
×:歯ごたえがない部分、或いはゴツゴツとした口当たりの部分があり、米飯様食品として好ましくない。
【表1】
【0053】
[実施例6]
実施例1と同様の製法でキャベツの裁断物を用いた米飯様食品を製造した後、前記キャベツの裁断物を用いた米飯様食品100gを、袋(二軸延伸ポリプロピレン製、最大収容容量900ml、直径約0.1mm微細孔を1個有する)に充填した後、前記袋の開口部をヒートシールすることで、実施例6の容器詰め米飯様食品を得た。
【0054】
[実施例7]
実施例1と同様の製法でキャベツの裁断物を用いた米飯様食品を製造した後、前記キャベツの裁断物を用いた米飯様食品100gを、フランジを有するトレー(ポリプロピレン製、最大収容容量350ml)に充填した後、前記トレーのフランジ部にフィルム(PET/PE/PP製、直径約0.5mm微細孔を1個有する)をヒートシールすることで密閉し、実施例7の容器詰め米飯様食品を得た。
【0055】
[実施例8]
実施例1と同様の製法でキャベツの裁断物を用いた米飯様食品を製造した後、前記キャベツの裁断物を用いた米飯様食品100gを、フランジを有するトレー(ポリプロピレン製、最大収容容量350ml)に充填した後、前記トレーのフランジ部にフィルム(PET/PE/PP製、直径約0.5mm微細孔を2個有する)をヒートシールすることで密閉し、実施例8の容器詰め米飯様食品を得た。
【0056】
[試験例2]
実施例1及び実施例6乃至8で得られた容器詰め米飯様食品を、温度15℃の条件下で保存し、保存5日後の米飯様食品の状態を以下の評価基準に従って官能評価を行った。結果を表2に示す。なお、酸素透過度については、以下の方法で測定した。
【0057】
すなわち、実施例1及び試験例1乃至4で使用した各種フィルムにより、窒素で満たされた容器開口部を覆い、20℃大気圧下24時間後の容器中酸素濃度を測定し、前記酸素の初期濃度と24時間後濃度の中央値を内圧とみなした時の内外分圧差及び米飯様食品量で前記酸素の増加量を除することにより、前記各種フィルムの24時間、酸素の内外分圧差1atm、米飯様食品1gあたりの酸素透過量を算出した。
【0058】
<臭気の評価基準>
◎:製造直後と比較してほとんど変化がない。
○:製造直後と比較して少し臭気がある。
△:製造直後と比較して臭気があるが、製品としては問題がない。
×:製造直後と比較して強い臭気があり、製品として問題がある。
<外観の評価基準>
◎:製造直後と比較してほとんど変化がない。
○:製造直後と比較して少し褐変している。
△:製造直後と比較して褐変しているが、製品としては問題がない。
×:製造直後と比較してひどい褐変があり、製品として問題がある。
【表2】
【0059】
実施例1乃至5より、キャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品であって、前記裁断物の50%以上が茎及び中肋の裁断物であり、前記裁断物の70%以上が0.5mm以上12mm以下の大きさであることを特徴とすることにより、歯ごたえがよく、キャベツ本来の甘みが感じられ、食事の糖質を低減することができるキャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品が得られることがわかる。また、実施例1及び実施例6乃至8より、前記容器詰め米飯様食品を流通させる際、鮮度をより長い期間維持するために、前記容器詰め米飯様食品における容器の酸素透過度の下限値は好ましくは1cc/day・atm・g以上、より好ましくは1.5cc/day・atm・g以上、特に好ましくは2cc/day・atm・g以上とするとよいことがわかる。また同様に、前記容器詰め米飯様食品における容器の酸素透過度の上限値は、より好ましくは5cc/day・atm・g以下、特に好ましくは4cc/day・atm・g以下とするとよいことがわかる。
【0060】
[実施例9]
以下の工程により、実施例9の凍結されたキャベツ裁断物の米飯様食品(以下、「冷凍米飯様食品」という。)を得た。
【0061】
まず、茎部切り出し工程、殺菌処理工程、裁断工程は実施例1と同様に行った。
【0062】
(前処理工程(浸漬工程))
キャベツ裁断物を乳酸カルシウムの15℃の3.0%水溶液に60分間浸漬した。
【0063】
(ボイル工程(ブランチング))
湯に前処理工程後のキャベツ裁断物を入れて、90℃で2.0分間ボイルした。
【0064】
(流水冷却工程)
キャベツ裁断物を15℃の流水に1分間曝して冷却した。
【0065】
(脱水工程)
遠心分離機を用いて1100rpmで1分間、冷却後のキャベツ裁断物を脱水した。
【0066】
(凍結工程)
ブラストチラー(Fukushima B-460)を用いて、30分で、-20℃まで冷却することで急速凍結し、冷凍米飯様食品を得た。その後、袋(ポリアミドとポリエチレンのラミネートフィルム製、厚さ70μm)にキャベツ裁断物を入れて、-5℃以下で1週間保存した後に評価に用いた。
【0067】
[実施例10]
前処理で用いたカルシウム塩を塩化カルシウムにした以外は実施例9と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0068】
[実施例11]
前処理工程で用いた乳酸カルシウムの水溶液の濃度を0.3%、ボイルの温度を75℃とした以外は実施例9と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0069】
[実施例12]
前処理工程で用いた乳酸カルシウムの水溶液の濃度を1.0%とした以外は実施例11と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0070】
[実施例13]
前処理工程で用いた乳酸カルシウムの水溶液の濃度を3.0%とした以外は実施例11と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0071】
[実施例14]
前処理工程で用いた乳酸カルシウムの水溶液の濃度を1.0%、浸漬時間を10分、ボイルの温度を75℃とした以外は実施例9と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0072】
[実施例15]
前処理工程の浸漬時間を180分とした以外は実施例14と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0073】
[実施例16]
前処理工程及びボイル工程を行なわず、以下のスチーム工程を行なった以外は実施例9と同じ操作を行なって冷凍米飯様食品を得た。
【0074】
(スチーム工程(ブランチング))
蒸気室内にキャベツ裁断物を格納して、100℃の水蒸気で3分間加熱することで蒸煮処理を行なった。
【0075】
[実施例17]
スチーム工程の加熱時間を10分にした以外は実施例16と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0076】
[実施例18]
流水冷却工程の代わりに以下に示す真空冷却工程を行なった以外は実施例17と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0077】
(真空冷却工程)
真空冷却機(品川工業所 FC-100)を用いて、5分で、15℃まで冷却した。
【0078】
[実施例19]
スチーム工程の加熱時間を6.0分とした以外は実施例18と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0079】
[実施例20]
スチーム工程の前に、乳酸カルシウムの水溶液の濃度を1.0%としたこと以外は実施例9の前処理工程と同じ前処理工程を行なった。スチーム工程以降は実施例19と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0080】
[実施例21]
前処理工程を行なわず、ボイル工程では加熱温度を75℃、加熱時間を0.5分とした以外は実施例9と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0081】
[実施例22]
流水冷却工程の代わりに実施例19で行なった真空冷却工程を行なった以外は実施例21と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0082】
[実施例23]
ボイル工程の加熱時間を2.0分とした以外は実施例21と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0083】
[実施例24]
ボイル工程の加熱温度を80℃、加熱時間を1.0分とした以外は実施例21と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0084】
[実施例25]
ボイル工程の加熱温度を90℃とした以外は実施例21と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0085】
[実施例26]
ボイル工程の加熱時間を2.0分とした以外は実施例25と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0086】
[実施例27]
ボイル工程時に湯に乳酸カルシウムを3%となるように添加した以外は実施例26と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0087】
[実施例28]
乳酸カルシウムの代わりに塩化カルシウムを3%となるように添加した以外は実施例27と同じ操作を行って冷凍米飯様食品を得た。
【0088】
[試験例3]
実施例9乃至28で得られた凍結米飯様食品を品温が80℃になるまでレンジで加熱した後喫食し、以下の評価基準に従って官能評価を行った。結果を表3に示す。
【0089】
<食感に関する評価基準>
◎:離水がほぼない、又は、シャキシャキした食感をしっかり残している。
○:離水が少ない、又は、シャキシャキした食感をある程度は残しているがほぼ問題がないレベル。
△:離水している、シャキシャキしていない、又は、固いが、辛うじて米飯様食品として食すことは可能なレベル。
×:離水が激しく、全くシャキシャキしていない、又は固すぎて、米飯様食品として好ましくない。
【0090】
<保存性に関する評価基準>
◎:凍結直前と比較して臭気・外観ともに変化が無い。
○:凍結直前と比較して臭気が若干感じられるか、又は、若干褐変しているが、問題がない。
△:凍結直前と比較して臭気が強くなるか、又は、褐変しているが、辛うじて米飯様食品として食すことは可能なレベル。
×:臭気が強すぎる、又は褐変が激しく、米飯様食品として好ましくない。
【0091】
<食味に関する評価基準>
◎:えぐみがなく、キャベツの甘みを残している。
○:若干のえぐみがあるが、ほぼ問題がないレベル。
△:えぐみがあるが、辛うじて米飯様食品として食すことは可能なレベル。
×:強いえぐみがあり、米飯様食品として好ましくない。
【0092】
【0093】
実施例9乃至28より、キャベツの裁断物を用いた容器詰め米飯様食品の製造方法であって、50質量%以上が茎及び中肋の裁断物であり、前記裁断物の70質量%以上が0.5mm以上12mm以下の大きさであり、前記裁断物をボイル処理するボイル処理工程及びスチーム処理するスチーム処理工程のうち少なくとも一方を行なう加熱処理工程と、前記加熱処理工程後に前記裁断物を凍結する凍結工程を行なうことにより、米飯様食品を製造できることが分かる。
【0094】
また、実施例9乃至20より、(i)前記裁断物をカルシウム塩の水溶液に浸漬する浸漬処理工程及び浸漬処理した前記裁断物をボイル処理するボイル工程、又は(ii)裁断物を蒸煮するスチーム工程、後に前記裁断物を凍結する凍結工程を行なうことにより、食感のより良い米飯様食品を製造できることが分かる。
【0095】
また、実施例9及び10より浸漬処理工程にカルシウム塩として乳酸カルシウムを用いることで、食感がより優れる米飯様食品を製造できることが分かる。また、実施例16乃至20より、スチーム工程を行なう場合は、カルシウム塩の水溶液への浸漬処理を行なっても行わなくても、食感の良い米飯様食品を製造できることが分かる。また、実施例16乃至19より、スチーム工程の蒸煮の時間が4分以上15分以下の範囲であることにより、保存性により優れた飯様食品を製造できることが分かる。また、実施例17及び18より、脱水工程前の冷却を真空冷却とすることで食味により優れる米飯様食品を製造できることが分かる。