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特許7231617生理学的冷涼活性成分の使用、及びそのような活性成分を含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】生理学的冷涼活性成分の使用、及びそのような活性成分を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20230221BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20230221BHJP
   A61K 31/341 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 31/36 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 31/4155 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 31/443 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 31/4436 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20230221BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20230221BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230221BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230221BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230221BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230221BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20230221BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230221BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20230221BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230221BHJP
   C07C 323/41 20060101ALI20230221BHJP
   C07D 213/75 20060101ALI20230221BHJP
   C07D 233/88 20060101ALI20230221BHJP
   C07D 307/14 20060101ALI20230221BHJP
   C07D 307/22 20060101ALI20230221BHJP
   C07D 317/58 20060101ALI20230221BHJP
   C07D 333/36 20060101ALI20230221BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20230221BHJP
   C07D 407/12 20060101ALI20230221BHJP
   C07D 407/14 20060101ALI20230221BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20230221BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20230221BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20230221BHJP
   A23G 4/12 20060101ALN20230221BHJP
   A23G 9/00 20060101ALN20230221BHJP
   A23L 29/256 20160101ALN20230221BHJP
【FI】
A61K8/49
A23L33/10
A61K31/341
A61K31/36
A61K31/381
A61K31/415
A61K31/4155
A61K31/4402
A61K31/443
A61K31/4436
A61K45/00
A61K47/46
A61P13/10
A61P17/02
A61P35/00
A61P43/00 111
A61Q5/00
A61Q5/04
A61Q11/00
A61Q17/04
A61Q19/00
C07C323/41
C07D213/75
C07D233/88
C07D307/14
C07D307/22
C07D317/58
C07D333/36
C07D405/12 CSP
C07D407/12
C07D407/14
C07D409/12
C07D409/14
A23G3/34 101
A23G4/12
A23G9/00 101
A23L29/256
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020512032
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018073486
(87)【国際公開番号】W WO2019043164
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】17188719.3
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨイン,ベノイト
(72)【発明者】
【氏名】オンゴウタ,イェカテリナ
(72)【発明者】
【氏名】バッケス,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ブロドハーゲ,ラヒム
(72)【発明者】
【氏名】マチネク,アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】ロゲス,フーベルト
(72)【発明者】
【氏名】ムント,スザンネ
(72)【発明者】
【氏名】ゾマース,トム
(72)【発明者】
【氏名】スブコヴスキー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッテンベルク,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイゼル,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲル,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ボルシュヴァイラー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ペルツァー,ラルフ
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-503486(JP,A)
【文献】特表2013-511270(JP,A)
【文献】特表2016-508122(JP,A)
【文献】国際公開第2017/058594(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
A23G 1/00-9/52
A23L 21/00-29/30
A23B 4/00-5/22
C07B 31/00-63/04
C07C 1/00-409/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷メントール受容体TRPM8の調節の非治療的方法であって、受容体を構造型1の化合物、並びにこれらの化合物の塩、並びに場合によって立体異性的に純粋な形態のこれらの化合物又はそれらの立体異性体の混合物からなる群から選択される少なくとも1種のモジュレーターと接触させ、
構造型1の化合物が、以下の化合物からなる群Aから選択される、方法。
【表1】
【請求項2】
前記調節が、冷メントール受容体TRPM8のin vitro及び/又はin vivo調節である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物の塩が、無機又は有機の一塩基性又は多塩基性カルボン酸との酸付加塩である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
受容体を、ヒトTRPM8受容体を組換えにより発現する細胞を使用した細胞活動試験において、これらの細胞のCa2+イオンの透過性を調節する少なくとも1種のモジュレーターと接触させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
モジュレーターが、細胞のCa2+イオン透過性に対する作動効果又は拮抗効果を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
モジュレーターが、TRPM8受容体作動物質である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
人間及び/又は動物における冷感の非治療的誘引のための、請求項6に定義されるモジュレーターの使用。
【請求項8】
モジュレーターを含むパッキング又は布地を用いた冷感の非治療的誘引のための、請求項7に記載の請求項6に定義されるモジュレーターの使用。
【請求項9】
請求項6に定義されるモジュレーターの少なくとも1種、2種、3種又はそれ以上を含む組成物を使用して、皮膚若しくは粘膜上の冷涼効果、及び/又は、モジュレーターが同じ濃度のFEMA 4809若しくはFEMA 4496と単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較してより早期に開始する冷涼効果を達成する、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
組成物が、請求項6に定義されるモジュレーターの少なくとも1種、2種、3種又はそれ以上を組成物の総重量に対して0.1重量ppm~10重量%の(総)量で含む、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
皮膚若しくは粘膜上の冷涼効果が、モジュレーターが同じ濃度のN-エチルメンタンカルボキサミドと単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較して延長された冷涼効果である、請求項9又は10に記載の使用。
【請求項12】
皮膚若しくは粘膜上の冷涼効果が、モジュレーターが同じ濃度のN-エチルメンタンカルボキサミドと単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較して少なくとも10分延長された冷涼効果である、請求項9から11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用のための、請求項1から6のいずれか一項に定義されるモジュレーター。
【請求項14】
TRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための、請求項13に記載のモジュレーター。
【請求項15】
以下の化合物:
【表2】
からなる群Aから選択される化合物、又はそのような化合物の塩。
【請求項16】
前記化合物の塩が、無機又は有機の一塩基性又は多塩基性カルボン酸との酸付加塩から選択される、請求項15に記載の化合物、又はその塩。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の化合物を含む組成物。
【請求項18】
TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用のための、請求項1から6のいずれか一項に定義される少なくとも1種のモジュレーターを含む組成物。
【請求項19】
TRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
a)食品、
b)口腔ケア製品、
c)パーソナルケア製品、
d)フォーム及びゲル
からなる群から選択される、請求項17から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
食品が、アイスクリーム、ムース、クリーム、飲料及び菓子類から選択され、口腔ケア製品が、練り歯磨き、マウスウォッシュ及びチューインガムから選択され、パーソナルケア製品が、スキンケア又は毛髪ケア製品、例えばサンクリーム、日焼け止めクリーム、ローション及びシャンプー、並びにパッチ剤から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
求項1から6のいずれか一項に定義されるモジュレーターの1種、2種、3種又はそれ以上を含む、栄養、口腔衛生若しくは娯楽目的のアロマ混合物及び製剤又は化粧製剤からなる群から選択され、前記モジュレーターが、アロマ混合物又は製剤の総重量に対して0.05重量ppm~10重量%の(総)量で存在する、請求項17から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記モジュレーターが、アロマ混合物又は製剤の総重量に対して0.1重量ppm~10重量%の(総)量で存在する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
(1)生理学的冷涼作用を有する1種以上のさらなる物質であって、さらなる物質、又はさらなる物質の1種、2種以上若しくは全てが、(i)風味付け効果をもたらす、又は(ii)風味付け効果をもたらさない、物質、
及び/或いは
(2)生理学的冷涼効果を有さない1種以上のアロマ
及び/又は
(3)生理学的冷涼効果を有さず、三叉神経効果又は食欲誘発効果を有する1種以上の物質、及び/又は
(4)(iii)1種の化合物又は(iv)2種以上の化合物であって、独立して、又は(iv)の場合には集合的に、風味調節効果及び/又は三叉神経刺激及び/又は食欲誘発刺激をさらにもたらす化合物
をさらに含む、請求項17から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
モジュレーターが同じ濃度のN-エチルメンタンカルボキサミドと単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較して少なくとも10分延長された皮膚及び/若しくは粘膜上の生理学的冷涼効果、並びに/又は、モジュレーターが同じ濃度のFEMA 4809若しくはFEMA 4496と単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較してより早期に開始する冷涼効果を達成するための、人間及び/又は動物における冷感の非治療的誘引のための請求項7に記載の使用であって、
皮膚及び/又は粘膜への生理学的冷涼効果を達成するのに十分な量の請求項17から23のいずれか一項に定義される組成物を適用するステップ
を含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、冷メントール受容体TRPM8の新規モジュレーター、これらのモジュレーターを使用してTRPM8受容体を調節する方法、冷感を誘引するためのモジュレーターの使用、及びこれらのモジュレーターを使用して生成される組成物に関する。
【0002】
特定の態様において、本発明は、既知の冷涼活性成分(活性物質)、例えばN-エチルメンタン-3-カルボキサミド(WS3)と比較してより長期間冷涼効果が有利に持続する皮膚若しくは粘膜上の冷涼効果、及び/又は既知の冷涼活性物質、例えばFEMA 4809又はFEMA 4496と比較してより早期の冷涼効果の開始を達成するための、少なくとも1種のそのようなモジュレーターを含む組成物に関する。
【0003】
さらに、本発明の特定の態様は、そのような選択されたTRPM8受容体モジュレーターを含む組成物に関し、組成物は特定の目的を果たす。
【0004】
さらに、本発明はまた、記載の組成物が使用される、皮膚又は粘膜上の生理学的冷涼効果を達成する方法に関する。
【0005】
本発明のさらなる態様は、以下の説明、実施例、及び特に添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【背景技術】
【0006】
生理学的冷涼活性物質は、通常、例えば溶媒の蒸発時のように物理的冷涼化が実際には生じない場合であっても、皮膚又は粘膜上、例えば口腔、鼻腔及び/又は咽頭腔内の粘膜上に冷涼感印象をもたらすために使用される。使用される生理学的冷涼活性物質は、個々の成分であってもよく、又は混合物であってもよい。ここで、in vitroで受容体に影響し、また(それと共に)生理学的冷涼作用の付与に関連する全ての化合物が、実際に皮膚又は粘膜上でin vivoでそのような効果を生じるわけではないことが考慮されるべきである。より具体的には、そのような効果は、常に同じように進行するとは限らない。これは、例えば、特定の化合物が冷涼な印象の付与に関連する受容体の作動物質であるという事実のみから、付与される生理学的冷涼効果の強度及び経時的な冷涼効果の強度の進行を結論付けることができないことを意味する。
【0007】
最も広く知られている生理学的活性冷涼物質はL-メントールであるが、これは、例えば強い臭気の印象、高い揮発性、並びに比較的高濃度での苦い及び/若しくは鋭い固有の味、又は皮膚への刺激効果等のいくつかの欠点を有する。
【0008】
したがって、L-メントールの不利な特性を有さない強い冷涼活性物質に関する研究が、これまですでに行われている。例えば、DE 2 608 226ではメントールの乳酸エステルが、DE 4 226 043ではメントール及びポリオールとの混合カーボネートが、またEP 0 507 190ではメントンケタールが記載されている。
【0009】
US 5,725,865及びUS 5,843,466による二酸のメンチルモノエステルは、目的の自然発生的代替物質であるが、感覚試験において上述の冷涼活性物質の強度を達成することができない。
【0010】
J. Soc. Cosmet. Chem. 1978、29、185~200ページは、約1200種の化合物に関する研究の結果を示しており、N-エチル-L-メンタンカルボキサミド(「WS3」)及び特にNα-(L-メンタンカルボニル)グリシンエチルエステル(「WS5」)という化合物が最も強い冷涼活性物質であることが判明した。しかしながら、後者は、強い効果を有するものの、加水分解に敏感であり、それ自体はごくわずかな冷涼効果しか有さない対応する遊離酸Nα-(L-メンタンカルボニル)グリシンを形成するという欠点を有する。記載の詳細な研究にも関わらず、特にその苦さ及び/又は他の三叉神経効果に関する潜在的冷涼活性物質の特性の体系的予測は不可能であり、また説明されていない。例えば、メンタンカルボキサミドのクラスに含まれる多くの分子もまた強い冷涼効果を有するが、多くの場合それと同時に顕著な苦味を有し(例えばJP 2004-059474によるN-(アルキルオキシアルキル)メンタンカルボキサミド)、又はさらに強い刺激効果を有する(WS5:N-[[5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンエチルエステル、US 2005/0222256)。
【0011】
JP 2004-059474では、Nα-(メンタンカルボニル)アルキルオキシアルキルアミドが説明された。この物質は、強い冷涼効果及び高い加水分解安定性を有するものの、極めて苦いという欠点を有し、したがって食品及びフェイスケア目的の化粧製品には使用できない。
【0012】
さらに、JP 2005-343795では、メンチルグリオキシレート及びその水和物が冷涼物質として説明されている。
【0013】
これまで製造及び使用されている冷涼活性物質の概要は、M. Erman、Perfumer & Flavorist 32(10)、20~35ページ(2007)及びM. L. Dewis in D. J. Rowe、Chemistry and Technology of Flavors and Fragrances、Blackwell Publishing Ltd、Oxford 2005、212~222ページに見出すことができる。
【0014】
冷メントール受容体TRPM8(冷膜受容体(cold membrane receptor)(CMR)1とも呼ばれる)は、一過性受容体電位イオンチャネルのファミリーに属し、特定のニューロン群において特異的に発現し、Ca2+イオンを選択的に通過させる細孔を細胞膜に形成する(それぞれの場合において4単位が組み合わさって四量体を形成する)。タンパク質は、6つの膜貫通ドメイン、並びに細胞質C及びN末端を有する。低温(好ましくは10~25℃)がこの受容体を刺激してシグナル伝達をもたらし、これが神経系によって冷感として解釈される。受容体は、2002年に初めて複数の出版物において冷受容体として説明された(Peier AMら、A TRP channel that senses cold stimuli and menthol. Cell. 2002年3月8日、108(5):705~15ページ;McKemy DDら、Identification of a cold receptor reveals a general role for TRP channels in thermosensation Nature 2002年3月7日、416 (6876): 52~8ページ;Zuker CS. Neurobiology: A cool ion channel Nature 2002年3月7日、416 (6876): 27~8ページ)。
【0015】
冷涼化合物、例えばメントールはすでに、爽快感及び清浄性を伴わせるために長い間香料及び付臭剤産業において重要な役割を果たしている。化合物メントールに関しては、TRPM8受容体の天然モジュレーターとして作用することが示されている(McKemy D.D.、Molecular Pain 1、2005、16;McKemy D.D.、Nature 416、2002、52~58ページ;Peier A.M.、Cell 108、2002、705~715ページ;Dhaka A.、Annu. Rev. Neurosci. 29、2006、135~161ページ)。メントールの適用によってTRPM8が活性され、これにより冷感ニューロンへのCa2+の流入がもたらされる。生じる電気シグナルは、最終的に冷感として認識される。過剰のメントール濃度は、刺激及び麻酔効果をもたらす。さらに、様々な出版物が、同様の効果を有するメントール誘導体について説明している(英国特許1971 # 1315761 Watson H.R.、J. Soc. Cosmet. Chem. 29、1978、185~200ページ;Furrer S.M.、Chem. Percept. 1、2008、119~126ページ)。また、顕著なTRPM8調節をもたらす、構造的にはメントールに関連しない個別の化合物、例えばイシリン(Wei E.T.、J. Pharm. Pharmacol. 35、1983、110~112ページ;WO 2004/026840)、WS-23、又は特許出願WO 2007/019719に詳説される化合物等がある。
【0016】
TRPM8受容体又はその昆虫類似体を調節する物質のさらなる効果は、昆虫に対する忌避効果(WO 2002/015692、WO 2004/000023、US 2004/0028714)、並びに抗腫瘍療法における活性(例えば前立腺腫瘍に対する影響)、炎症性痛覚/痛覚過敏の処置における活性、及び膀胱症候群又は過活動膀胱の処置におけるTRPM8拮抗物質としての効果(Beck B. Cell Calcium、41、2007、285~294ページ;Levine J.D. Biochim. Biophys. Acta、Mol. Basis Dis. 1772、2007、989~1003ページ;Mukerji G.、BMC Urology 6、2006、6;US 2003/0207904;US 2005/6,893,626;Behrendt H.J.による論文 2004、University of Bochum;Lashinger E.S.R. Am. J. Physiol. Renal Physiol. Am J Physiol Renal Physiol. 2008年6月18日[印刷前のEpub]、PMID: 18562636)である。
【0017】
しかしながら、これまで発見されているTRPM8のモジュレーターの多くは、作用の強度、作用期間、皮膚/粘膜刺激、臭気、味、溶解度及び/又は揮発性に関して欠陥を有する。
【0018】
出願人の以前の国際特許出願PCT/EP2009/061019は、TRPM8受容体の調節のための個別の化合物を提案している。例えば、以下の化合物が開示されている。
【0019】
【化1】
これらの化合物はまた、以下のように市販されている。
CAS番号:99602-94-5(3R-cis形態)としての化合物1
CAS番号:165753-08-2としての化合物2
CAS番号:338771-57-6としての化合物3
CAS番号:878942-21-3としての化合物4
CAS番号:748783-13-3(立体化学なし)としての化合物5
【0020】
さらに、ここで、同様にTRPM8受容体の調節のための化合物が提案されている出願人の国際特許出願PCT/EP2010/067936が参照される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の主な目的は、これまでに知られているモジュレーターの代替物質として、好ましくはそれより好適な薬剤として使用され得る、優れた生理学的冷涼効果を有する新たな物質、好ましくはTRPM8受容体の調節をもたらす物質を特定することであった。そのような化合物は特に、化粧品部門(例えば毛髪ケア、スキンケア、口腔ケア)、食品及び飼料、布地、OTC製品(例えば火傷用軟膏)、医薬品(例えば腫瘍処置、膀胱虚弱)又は包装における使用にも好適となるべきである。特定される化合物又は化合物の混合物は、好ましくは、固有の味が最小限であり、特にあるとしても苦味がごくわずかであり、もたらされる刺激が最小限となるべきである。
【0022】
本発明の目的の達成のために、特に長期持続性の冷涼感を付与し得る活性物質を有する組成物が特に研究された。これらの組成物は、好ましくはさらに、特に強い、及び/又は迅速に開始する冷涼な印象を付与し得るものであった。
【0023】
口腔粘膜上では、先行技術において知られている上述の従来の冷涼物質の多くは、全てほぼ同一の冷涼特性を示す。それらによって付与される爽快な冷感は約0.5分後に開始するが、次いで3~5分でピークに達した後比較的すぐに再び横ばいとなり、冷涼性は最長30分の全期間にわたり明確に認識可能であり、経験により示されるように、強度及び期間は用量の変化によってごくわずかな程度だけ影響され得る。しかしながら、消費者側では、使用者による対応する爽快感及び満足感の認識に関連する、特に長期持続性の冷涼効果が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
驚くべきことに、本発明に従って使用される化合物は、in vivoで皮膚又は粘膜上での特に長い冷涼効果を達成するという共通の特性を有することが判明した。これは、本出願において言及されるTRPM8作動物質では予測不可能でもあり、これらの作動物質の全てに該当するわけでもない。
【0025】
先行技術ではこれまで、具体的に、本発明による使用のための化合物が特に好適な冷涼効果を付与することができるということを示すものはなかった。長期持続性の冷涼効果を定量化するために、N-エチルメンタン-3-カルボキサミドを用いた比較試験を行うことができる。これらの比較試験では、当業者は、本発明による使用のための化合物又は化合物(複数)をN-エチルメンタン-3-カルボキサミド(WS3とも呼ばれる)と、好ましくは同じ濃度で交換する。次いで、それぞれの組成物の冷涼効果を互いに比較する。本発明による使用のための化合物が検査される組成物中に100ppmを超える濃度で存在する場合、冷涼効果がWS3と比較して延長されたかどうかに関して評価するために、好ましくは、試験される組成物は、本発明の使用のための化合物が100ppmの濃度で存在するように希釈されるべきである。当然ながら、WS3を含む比較組成物に対しても同じ希釈ステップが行われるべきである。
【0026】
これに関連して、対応する比較において、本発明による使用のための化合物を含む組成物の冷涼効果が、比較試験と比較して好ましくは少なくとも10分、より好ましくは少なくとも15分、さらに好ましくは少なくとも20分、及び特に好ましくは少なくとも30分延長されることが好ましい。
【0027】
本発明の主な目的は、本発明に従って、冷メントール受容体TRPM8の調節、好ましくはin vitro及び/又はin vivo調節の非治療的方法であって、受容体を以下の構造型1:
【0028】
【化2】
(式中、
R1は、以下の構造:
【0029】
【化3】
(式中、
Zは、O及びSからなる群から選択され、
nは、0又は1であり、
mは、
- 1であり、Yは、水素であり、R8は、直鎖若しくは分岐状C1~C5アルカン、好ましくはC5アルカンであり、又は、Yは、NR9若しくはCR9であり、R9は、R8と一緒になって、部分若しくは完全飽和5員若しくは6員環を形成し、或いは、
- 0、2又は3であり、Yは、水素であり、R8は、直鎖若しくは分岐状C1~C5アルカン、好ましくはC5アルカンであり、又は、Yは、NR9若しくはCR9であり、R9は、R8と一緒になって、芳香族、部分若しくは完全飽和5員若しくは6員環を形成する)からなり、
R2は、直鎖若しくは分岐状C1~C5アルキル基、5員若しくは6員シクロアルキル基又は5員若しくは6員アリール基であり、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基は、場合によって1個又は2個の(環)ヘテロ原子を含み、
R3、R4、R5、R6及びR7は、同じ又は異なり、
水素、
ハロゲン、
NH2、OH、SH、ハロゲン及び直鎖若しくは分岐状C1~C6-アルキル基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ若しくは4つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有する直鎖若しくは分岐状C1~C6-アルキル基、
NH2、OH、SH、ハロゲン及びC1~C6-アルコキシ基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ若しくは4つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有する直鎖若しくは分岐状C1~C6-アルコキシ基、
NH2、OH、SH、ハロゲン、直鎖若しくは分岐状C1~C6-アルキル基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ若しくは4つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有する単環式若しくは多環式アリール、アリールアルキル及びヘテロアリール基(ヘテロアリール基は、同じ又は異なる、O、N及びSからなる群から選択される1個、2個、3個又は4個の環ヘテロ原子を有する)からなる群から選択され、又は
2つの隣接するR3、R4、R5、R6及びR7基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、直鎖若しくは分岐状C1~C6-アルキル基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有し、同じ若しくは異なる、O、N及びSからなる群から選択される1個、2個若しくは3個の環ヘテロ原子を有する、4、5、6若しくは7員の単不飽和若しくは多価不飽和ヘテロ環式環を形成し、
Xは、
-C1~C4-アルキレン基、-C2~C4-アルケニレン基、及び-A-C1~C4-若しくは-C1~C4-A-アルキレン基又は-A-C2~C4-若しくは-C2~C4-A-アルケニレン基(ここで、Aは、O、S又はNHである)からなる群から選択され、或いは、
化学単結合である)の化合物、
並びにこれらの化合物の塩、特に、無機又は特に有機の一塩基性及び特に多塩基性カルボン酸との酸付加塩、
並びに場合によって立体異性的に純粋な形態のこれらの化合物又はそれらの立体異性体の混合物からなる群から選択される少なくとも1種のモジュレーターと接触させる、方法によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
文献では、TRPP8、LTRPC6、CMR1、MGC2849、一過性受容体電位カチオンチャネルサブファミリーMメンバー8といった「TRPM8」の様々な同義語が存在する。本発明の範囲は、全ての呼び方を含む。また、受容体の全ての機能的改質、例えば、より具体的にはスプライス変異体、アイソフォーム、例えばTRPM8 CRA_a、TRPM8 CRA_b、及び異なる生物、例えば人間、マウス、ラット等からの全ての類似受容体が含まれる。様々な受容体のヌクレオチド又はアミノ酸配列はそれ自体知られており、配列データベースに記録されている。例えば、hTRPM8の配列情報は、ナンバーNM_024080で登録されている。
【0031】
本発明に関連する「モジュレーター」は、in vivo及び/又はin vitro、特にin vivoでTRPM8受容体の作動物質及び/又は拮抗物質として作用し得る化合物である。
【0032】
ここで、好適なモジュレーターは、拮抗物質又は作動物質としてのみ、特に作動物質としてのみ、又は拮抗物質及び作動物質の両方として作用し得る。ここで、特に、選択される特定のモジュレーター濃度に応じて、作動効果又は拮抗効果を確立することが可能である。
【0033】
ここで、「作動物質」とは、TRPM8受容体の活性化を付与し、すなわち冷感ニューロンへのCa2+の流入を誘引し、したがって冷感を付与する化合物である。
【0034】
一方、「拮抗物質」とは、このTRPM8受容体の活性化に対抗し得る化合物である。
【0035】
本発明のモジュレーターは、可逆的又は不可逆的に、特異的又は非特異的に、TRPM8受容体分子に結合することによりその効果を発揮し得る。通常、結合は、受容体分子とのイオン性及び/又は非イオン性、例えば疎水性相互作用を介した非共有結合である。ここで、「特異的」とは、1つ以上の異なるTRPM8受容体分子(例えば異なる起源のTRPM8分子又は異なるアイソフォーム)との排他的な相互作用を含む。一方、「非特異的」とは、モジュレーターと、異なる機能及び/又は配列の複数の異なる受容体分子との相互作用であるが、その結果、TRPM8受容体の所望の作動及び/又は拮抗調節(上述の通り)が検出され得る。
【0036】
本発明のモジュレーターは、特に、人間及び/又は動物における冷感の誘引に役立つ。本明細書に記載の細胞活動試験において化合物がhTRPM8に対する作動効果を示す場合、好ましくは「冷感の誘引」が存在する。
【0037】
本発明の組成物は、各組成物において慣例的な構成物質だけでなく、有効量の本発明の少なくとも1種のモジュレーターを含む。これに関連して、「有効」とは、組成物の適用(例えば皮膚への適用)後に所望の効果、例えば薬理学的効果又は感覚効果、例えば嗅覚的冷涼効果を付与するのに十分なモジュレーターの濃度を意味する。
【0038】
別段に指定されない限り、以下の一般的定義が本発明に関連して適用される。
【0039】
ハロゲン:F、Cl、Br又はI
【0040】
アルキル及びそれから誘導される基、例えばアルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノにおける全てのアルキル部分:1~4個、1~6個、1~8個又は1~10個の炭素原子を有する飽和、直鎖又は分岐状ヒドロカルビル基、例えば
- C1~C6-アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル及び1-エチル-2-メチルプロピル
- C1~C4-アルコキシを含むC1~C6-アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシ又は1,1-ジメチルエトキシ、
及び、例えば、ペントキシ、1-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ、3-メチルブトキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、1,2-ジメチルプロポキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、1-エチルプロポキシ、ヘキソキシ、1-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、4-メチルペントキシ、1,1-ジメチルブトキシ、1,2-ジメチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、2,3-ジメチルブトキシ、3,3-ジメチルブトキシ、1-エチルブトキシ、2-エチルブトキシ、1,1,2-トリメチルプロポキシ、1,2,2-トリメチルプロポキシ、1-エチル-1-メチルプロポキシ又は1-エチル-2-メチルプロポキシ、
【0041】
シクロアルキル(環):3~20個の炭素原子を有する炭素環式基、例えば
- C3~C12-シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、又は
- C3~C7-シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、
基は、任意の好適な炭素原子を介して分子の残りに結合し得る。
【0042】
アルキレン:1~20個の炭素原子を有する直鎖又は単一若しくは複数分岐状炭化水素架橋基、例えば
- -CH2-、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)2-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH3)-CH2-、(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6、-(CH2)7-、-CH(CH3)-CH2-CH2-CH(CH3)-又は-CH(CH3)-CH2-CH2-CH2-CH(CH3)-から選択されるC1~C7-アルキレン基、又は
- -CH2-、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)2-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH3)-CH2-から選択されるC1~C4-アルキレン基。
【0043】
アルケニレン:2~20個の炭素原子を有する単不飽和又は多価不飽和、特に単不飽和の上記アルキレン基の類似体、特にC2~C7-アルケニレン又はC2~C4-アルケニレン、例えば-CH=CH-、-CH=CH-CH2-、-CH2-CH=CH-、-CH=CH-CH2-CH2-、-CH2-CH=CH-CH2-、-CH2-CH2-CH=CH-、-CH(CH3)-CH=CH-、-CH2-C(CH3)=CH-。
【0044】
アリール:6~20個、特に6~10個の環炭素原子を有する単環式又は多環式、好ましくは単環式又は二環式の場合によって置換された芳香族基、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル、例えば1-又は2-ナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル、インデニル及びフェナントレニル。これらのアリール基は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ若しくは6つの同一又は異なる置換基を場合によって有してもよい。
【0045】
アリールアルキル:上記アルキル基のアリール置換類似体(アリールは同様に上述の定義を有する)、例えばフェニルメチル又はフェニルエチルから選択されるフェニル-C1~C4-アルキル基。
【0046】
ヘテロシクリル(ヘテロ環式環):O、N及びSの群からの1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含む5~7員飽和、部分不飽和又は芳香族ヘテロ環又はヘテロシクリル基、例えば、
- 1~2個の窒素原子及び/又は酸素若しくは硫黄原子、又は1個若しくは2個の酸素及び/若しくは硫黄原子を環員として含む5員又は6員飽和又は単不飽和ヘテロシクリル、例えば2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-テトラヒドロチエニル、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、3-イソオキサゾリジニル、4-イソオキサゾリジニル、5-イソオキサゾリジニル、3-イソチアゾリジニル、4-イソチアゾリジニル、5-イソチアゾリジニル、3-ピラゾリジニル、4-ピラゾリジニル、5-ピラゾリジニル、2-オキサゾリジニル、4-オキサゾリジニル、5-オキサゾリジニル、2-チアゾリジニル、4-チアゾリジニル、5-チアゾリジニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジニル、2-ピロリン-2-イル、2-ピロリン-3-イル、3-ピロリン-2-イル、3-ピロリン-3-イル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、1,3-ジオキサン-5-イル、2-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-ヘキサヒドロピリダジニル、4-ヘキサヒドロピリダジニル、2-ヘキサヒドロピリミジニル、4-ヘキサヒドロピリミジニル、5-ヘキサヒドロピリミジニル及び2-ピペラジニル、
- 炭素原子に加えて1個、2個若しくは3個の窒素原子、又は1個若しくは2個の窒素原子、及び1個の硫黄又は酸素原子を環員として含む5員芳香族ヘテロシクリル(=ヘテロアリール又はヘタリール)、例えば2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、及び1,3,4-トリアゾール-2-イル、
- 1個、2個、3個又は4個の窒素原子を環員として有する5員芳香族ヘテロシクリル(=ヘテロアリール又はヘタリール)、例えば1-、2-又は3-ピロリル、1-、3-又は4-ピラゾリル、1-、2-又は4-イミダゾリル、1,2,3-[1H]-トリアゾール-1-イル、1,2,3-[2H]-トリアゾール-2-イル、1,2,3-[1H]-トリアゾール-4-イル、1,2,3-[1H]-トリアゾール-5-イル、1,2,3-[2H]-トリアゾール-4-イル、1,2,4-[1H]-トリアゾール-1-イル、1,2,4-[1H]-トリアゾール-3-イル、1,2,4-[1H]-トリアゾール-5-イル、1,2,4-[4H]-トリアゾール-4-イル、1,2,4-[4H]-トリアゾール-3-イル、[1H]-テトラゾール-1-イル、[1H]-テトラゾール-5-イル、[2H]-テトラゾール-2-イル及び[2H]-テトラゾール-5-イル、
- 酸素及び硫黄から選択される1個のヘテロ原子、並びに場合によって1個、2個又は3個の窒素原子を環員として有する5員芳香族ヘテロシクリル(=ヘテロアリール又はヘタリール)、例えば2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、3-又は4-イソオキサゾリル、3-又は4- イソチアゾリル、2-、4-又は5-オキサゾリル、2-、4-又は5-チアゾリル、1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル、1,3,4-チアジアゾール-2-イル、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル及び1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、
- 炭素原子に加えて1個若しくは2個、又は1個、2個若しくは3個の窒素原子を環員として含む6員ヘテロシクリル(=ヘテロアリール又はヘタリール)、例えば2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、2-ピラジニル、1,2,4-トリアジン-3-イル;1,2,4-トリアジン-5-イル、1,2,4-トリアジン-6-イル及び1,3,5-トリアジン-2-イル、
【0047】
特に上記の基に関する置換基は、特にケト基、-COOH、-COO-アルキル、-OH、-SH、-CN、アミノ、-NO2、アルキルから選択され、又は、アルキル基中の1個以上の水素原子がハロゲンにより置き換えられてもよい。
【0048】
本発明の方法の好ましい実施形態において、構造型1の化合物は、以下の化合物からなる群Aから選択される。
【0049】
【表1】
【0050】
示された名称とそれぞれの式の画像との間に差がある場合には、式の画像により示されるものが優先される。
【0051】
ここで、以下の化合物からなる群Bから選択される群Aからの化合物が特に好ましい。
【0052】
【表2】
【0053】
以下の化合物からなる群Cから選択される群A及びBからの化合物がさらに好ましい。
【0054】
【表3】
【0055】
本発明の1つの形式において、構造型1の化合物は、WO2011/061330に記載の化合物から選択されない。
【0056】
したがって、本発明の好ましい実施形態において、構造型1の化合物は、以下の化合物:
【0057】
【化4】
(式中、
R1は、以下の構造:
【0058】
【化5】
(式中、
Zは、O及びSからなる群から選択され、
nは、0又は1であり、
mは、0であり、Yは、NR9又はCR9であり、R9は、R8と一緒になって芳香族又は完全飽和5員又は6員環を形成する)からなり、
R2は、直鎖若しくは分岐状C1~C5アルキル基、5員若しくは6員シクロアルキル基、又は5員若しくは6員アリール基であり、シクロアルキル基及びアリール基は、同じ又は異なるO、N及びSから選択される1個又は2個の(環)ヘテロ原子を場合によって含み、
R3、R4、R5、R6及びR7は、同じ又は異なり、
水素、
ハロゲン、
NH2、OH、SH、ハロゲン及び直鎖若しくは分岐状C1~C6-アルキル基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ若しくは4つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有する直鎖若しくは分岐状C1~C6-アルキル基、
NH2、OH、SH、ハロゲン及びC1~C6-アルコキシ基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ若しくは4つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有する直鎖若しくは分岐状C1~C6-アルコキシ基、
NH2、OH、SH、ハロゲン、直鎖若しくは分岐状C1~C6-アルキル基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ若しくは4つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有する単環式若しくは多環式アリール、アリールアルキル及びヘテロアリール基(ヘテロアリール基は、同じ又は異なる、O、N及びSからなる群から選択される1個、2個、3個又は4個の環ヘテロ原子を有する)からなる群から選択され、又は
2つの隣接するR3、R4、R5、R6及びR7基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、直鎖若しくは分岐状C1~C6アルキル基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有し、同じ若しくは異なる、O、N及びSからなる群から選択される1個、2個若しくは3個の環ヘテロ原子を有する、4、5、6若しくは7員の単不飽和若しくは多価不飽和ヘテロ環式環を形成し、
Xは、
-C1~C4-アルキレン基、-C2~C4-アルケニレン基、及び-A-C1~C4-若しくは-C1~C4-A-アルキレン基又は-A-C2~C4-若しくは-C2~C4-A-アルケニレン基(ここで、Aは、O、S又はNHである)からなる群から選択され、或いは、
化学単結合である)、
並びにこれらの化合物の塩、特に、無機又は特に有機の一塩基性及び特に多塩基性カルボン酸との酸付加塩、
並びに場合によって立体異性的に純粋な形態のこれらの化合物又はそれらの立体異性体の混合物からなる群Dから選択されない。
【0059】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、構造型1の化合物は、以下の化合物からなる群Eから選択されない。
【0060】
【表4】
【0061】
本発明の代替の実施形態において、上述の群Dの化合物は、本発明に関連して好ましい使用のための化合物である。
【0062】
さらなる代替の実施形態において、上述の群Eの化合物は、本発明に関連して好ましい使用のための化合物である。
【0063】
本発明の方法において、特にその好ましい形式において、受容体を、好ましくは、ヒトTRPM8受容体を組換えにより発現する細胞を使用した細胞活動試験において、これらの細胞のCa2+イオンの透過性を調節する少なくとも1種のモジュレーターと接触させる。
【0064】
本発明の方法において、好ましくは上記で好ましいものとして説明された実施形態において、モジュレーターは、細胞のCa2+イオン透過性に対する作動作用又は拮抗作用を有する。
【0065】
モジュレーターがTRPM8受容体作動物質である特に好ましい形式での本発明の方法の実行が、特に好ましい。
【0066】
本発明のさらなる態様は、特に好ましい方法の1つ以上において、人間及び/又は動物における冷感の非治療的誘引のための本発明のモジュレーターの使用を含む。
【0067】
好ましくは、上述の使用における本発明のそのようなモジュレーターは、好ましくは、モジュレーターを含むパッキング又は布地を介した冷感の非治療的誘引に使用される。
【0068】
本発明の使用の1つの代替例において、本発明の、特に好ましい形式のモジュレーターの少なくとも1種、2種、3種又はそれ以上を、組成物の総重量に対して好ましくは0.1重量ppm~10重量%の(総)量で含む組成物を使用して、モジュレーターが好ましくは同じ濃度のN-エチルメンタンカルボキサミドと単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較して好ましくは少なくとも10分好ましく延長された皮膚若しくは粘膜上の冷涼効果、及び/又は、モジュレーターが好ましくは同じ濃度のFEMA4809若しくはFEMA4496と単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較してより早期に開始する冷涼効果を達成することが好ましい。
【0069】
本発明に従って使用される化合物の長期持続性冷涼効果を定量化するために、N-エチルメンタン-3-カルボキサミドを用いた比較試験(上述の通り)を行うことが好ましい。
【0070】
好ましくは、本発明のモジュレーターは、好ましいものとして説明された使用の1つのためのものであり、それぞれすでに説明された群A、群B若しくは群Cから選択され、又は別の実施形態においては群D若しくは群Eから選択される。
【0071】
本発明のさらなる態様は、TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用、好ましくはTRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための上述のモジュレーターに関する。
【0072】
本発明は、さらに、構造型1の新規化合物自体に関する。より具体的には、本発明は、それぞれ本明細書で説明された群A、群B若しくは群C、又は群D若しくは群Eから選択される化合物、或いはそのような化合物の塩、特に、無機又は特に有機の一塩基性又は特に多塩基性カルボン酸との酸付加塩から選択される塩に関する。
【0073】
本発明は、さらに、本明細書に記載の使用とは無関係に、構造型1の新規化合物、特にそれぞれ本明細書で説明された群A、群B若しくは群C、又は群D若しくは群Eから選択される化合物を含む組成物に関する。
【0074】
本発明のさらなる態様は、TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用、好ましくはTRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための少なくとも1種の上述のモジュレーターを含む組成物に関する。
【0075】
好ましい実施形態において、本発明のそのような組成物は、TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用、好ましくはTRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための組成物であり、
a)食品、好ましくはアイスクリーム、ムース、クリーム、飲料及び菓子類、
b)口腔ケア製品、好ましくは練り歯磨き、マウスウォッシュ及びチューインガム、
c)パーソナルケア製品、好ましくはスキンケア又は毛髪ケア製品、例えばサンクリーム、日焼け止めクリーム、ローション及びシャンプー、並びにパッチ剤、
d)フォーム及びゲル
からなる群から選択される。
【0076】
特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、特に好ましいものとして上記で説明された一実施形態における、TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用、好ましくはTRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための組成物であり、上述のモジュレーターの1種、2種、3種又はそれ以上を含む、栄養、口腔衛生若しくは娯楽目的のアロマ混合物及び製剤又は化粧製剤からなる群から選択され、前記モジュレーターは、アロマ混合物又は製剤の総重量に対して0.05重量ppm~10重量%、好ましくは0.1重量ppm~10重量%の(総)量で存在する。
【0077】
好ましくは、TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用、好ましくはTRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための本発明のそのような組成物は、
(1)生理学的冷涼作用を有する1種以上のさらなる物質であって、さらなる物質、又はさらなる物質の1種、2種以上若しくは全てが、(i)風味付け効果をもたらす、又は(ii)風味付け効果をもたらさない、物質、
及び/或いは
(2)生理学的冷涼効果を有さない1種以上のアロマ
及び/又は
(3)生理学的冷涼効果を有さず、三叉神経効果若しくは食欲誘発効果を有する1種以上の物質、
及び/又は
(4)(iii)1種の化合物又は(iv)2種以上の化合物であって、独立して、又は(iv)の場合には集合的に、風味調節効果及び/又は三叉神経刺激及び/又は食欲誘発刺激をさらにもたらす化合物
をさらに含む。
【0078】
生理学的冷涼効果を有するさらなる物質は、例えば、WO 2014/090293 A1に記載のもの、好ましくはメントール、メントール化合物、Optamint又はハッカ油を含む。
【0079】
メントール化合物は、好ましくは、メントール、メンチルメチルエーテル、メントングリセリルアセタール(Frescolat(登録商標)MGA、FEMA GRAS 3807)、メントングリセリルケタール(FEMA GRAS 3808)、乳酸メンチル(Frescolat(登録商標)ML、FEMA GRAS 3748)、メントールエチレングリコールカーボネート(Fresolcat(登録商標)MGC、FEMA GRAS 3805)、メントールプロピレングリコールカーボネート(Frescolat(登録商標)MPC、FEMA GRAS 3806)、メンチルN-エチルオキサメート(Frescolat(登録商標))、コハク酸モノメチル(FEMA GRAS 3810)、グルタル酸モノメンチル(FEMA GRAS 4006)、メントキシ-1,2-プロパンジオール(FEMA GRAS 3784)、メントキシ-2-メチル-1,2-プロパンジオール(FEMA GRAS 3849)並びにメンタンカルボン酸エステル及びメンタンカルボキサミド、例えばWS-3(FEMA GRAS 3455)、WS-5(FEMA GRAS 4309)、WS-12(Frescolat(登録商標)SC-1、FEMA GRAS 4681)及びWS-23(FEMA GRAS 3804)、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0080】
Optamintは、50を超える異なる天然精油及び天然又は天然同一アロマの混合物である。Optamintは、好ましくは、例えば異なるペパーミント油及びスペアミント油、並びにユーカリ(Eucalyptus globulus)油、ダイウイキョウ(star anise)油、メントール、メントン、イソメントン、酢酸メンチル、アネトール、ユーカリプトール等の混合物である、様々な(部分分画)油の可変の組成を有する。したがって、Optamintの組成を正確に記述するのは不可能である。Optamint(登録商標)製品シリーズは、Symrise AGから市販されている。
【0081】
皮膚及び/又は粘膜上の生理学的冷涼効果を達成するための人間及び/又は動物における冷感の非治療的誘引のための本発明のモジュレーターの使用の好ましい実施形態において、特に好ましい方法の1つ以上において、冷涼効果は、モジュレーターが好ましくは同じ濃度のN-エチルメンタンカルボキサミドと単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較して少なくとも10分延長され、並びに/又は、冷涼効果は、モジュレーターが好ましくは同じ濃度のFEMA4809若しくはFEMA4496と単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較してより早期に開始し、使用は、
皮膚及び/又は粘膜への生理学的冷涼効果を達成するのに十分な量の、特に1つ以上の好ましい実施形態における上述の組成物を適用することを含む。
【0082】
より好ましくは、本発明のそのような使用におけるモジュレーターは、上述の群Aから選択される。
【0083】
本発明の活性物質は、ヒト化粧品及びケア、特にスキンケア及び毛髪ケアにおける広範な使用分野を有するが、薬理学的にも、並びに食品及び布地製品においても、さらには忌避剤及び殺虫組成物の構成物質としても使用され得る。
【0084】
本発明の組成物は、特に、皮膚用化粧品、毛髪用化粧品、皮膚科学、衛生又は医薬製品であってもよい。より具体的には、特に冷涼効果を有する本発明の活性物質は、皮膚用化粧品及び/若しくは毛髪用化粧品に、又は口腔ケア組成物として用いられる。
【0085】
本発明の毛髪ケア又はスキンケア組成物又は製剤は、特に、水性界面活性調製物の形態の、エマルジョン剤、分散剤、懸濁剤、乳液剤、ローション剤、クリーム剤、バルサム、軟膏、ゲル剤、顆粒剤、散剤、スティック調製物、例えばリップスティック、フォーム、エアロゾル又はスプレーの形態である。そのような製剤は、局所調製物に極めて好適である。好適なエマルジョン剤は、水中油エマルジョン剤及び油中水エマルジョン剤又はマイクロエマルジョン剤である。
【0086】
一般に、毛髪用又は皮膚用化粧製剤は、皮膚(局所的)又は毛髪への適用に使用される。ここで、「局所調製物」とは、活性物質を皮膚に微細に分布した状態で、例えば皮膚を通して吸収可能な形態で適用するのに好適な製剤を意味するように理解される。この目的に好適な例は、水溶液及び水性アルコール溶液、スプレー、フォーム、フォームエアロゾル、軟膏、水性ゲル、O/W若しくはW/O型エマルジョン、マイクロエマルジョン、又は化粧スティック調製物である。
【0087】
本発明の化粧組成物の一実施形態において、この組成物は、担体を含む。好ましい担体は、水、ガス、水ベースの液体、油、ゲル、エマルジョン若しくはマイクロエマルジョン、分散液又はそれらの混合物である。指定された担体は、良好な皮膚適合性を示す。局所調製物には、水性ゲル、エマルジョン又はマイクロエマルジョンが特に有利である。
【0088】
本発明の教示はまた、個体の、好ましくは哺乳動物の、特にヒト、家畜又は飼育動物の処置のための医薬製品における本明細書に記載の活性物質の使用を含む。この目的のために、活性物質は、少なくとも1種の本発明の活性物質及び任意のさらなる活性物質と一緒に薬学的に適合性の賦形剤を含む医薬組成物の形態で投与される。これらの組成物は、例えば、経口、直腸内、経皮、皮下、静脈内、筋肉内又は鼻腔内経路で投与され得る。
【0089】
好適な医薬製剤又は組成物の例は、固体医薬形態、例えば散剤、顆粒剤、錠剤、トローチ剤、サシェ剤、カシェー剤、糖衣錠、カプセル剤、例えば硬及び軟ゼラチンカプセル剤、坐剤又は膣用医薬形態、半固体医薬形態、例えば軟膏、クリーム、ヒドロゲル、ペースト剤又はパッチ剤、並びに液体医薬形態、例えば液剤、エマルジョン剤、特に水中油エマルジョン剤、懸濁剤、例えばローション剤、注射及び注入製剤、点眼及び点耳剤である。埋め込み型放出デバイスもまた、本発明の阻害剤の投与に使用され得る。さらに、リポソーム、ミクロスフェア又はポリマーマトリックスを用いることも可能である。
【0090】
本発明の生成物又は製剤又は組成物の生成において、本発明の活性物質は、通常、賦形剤と混合される、又は賦形剤で希釈される。賦形剤は、活性物質のビヒクル、担体又は媒体として機能する固体、半固体又は液体材料であってもよい。ここで、(同時に存在する本発明の1種以上の活性物質の)活性成分含量は、幅広い範囲内で変動し得、例えば、それぞれ組成物の総重量に対して、約0.05重量ppm~10重量%、好ましくは0.1重量ppm~10重量%のppm範囲内である。
【0091】
好適な賦形剤は、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ及びメチルセルロースを含む。さらに、製剤は、薬学的に許容される担体又は慣例的な補助剤、例えば滑沢剤、例えば獣脂、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油;湿潤剤;乳化剤及び懸濁剤;防腐剤、例えばヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピル;酸化防止剤;抗刺激剤;キレート剤;コーティング補助剤;エマルジョン安定剤;フィルム形成剤;ゲル形成剤;消臭剤;味補正剤(taste corrector);樹脂;親水コロイド;溶媒;可溶化剤;中和剤;透過促進剤;顔料;第四級アンモニウム化合物;再脂肪化(refatting)及び過脂肪化(superfatting)剤;軟膏、クリーム剤又はオイルベース剤;シリコーン誘導体;展着補助剤;安定剤;滅菌剤;坐剤ベース;錠剤化補助剤、例えば結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤又はコーティング剤;噴射剤;乾燥剤;不透明化剤;増粘剤;ワックス剤;可塑剤;ホワイトオイルを含んでもよい。この種の形式は、例えばFiedler, H.P. Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie、Kosmetik und angrenzende Gebiete[Lexicon of Auxiliaries for Pharmacy, Cosmetics and Related Fields]、第4版、Aulendorf: ECV-Editio-Kantor-Verlag、1996、又はHager's Handbuch der Pharmazeutischen Praxis[Hager's Handbook of Pharmaceutical Practice]、Springer Verlag、Heidelbergに示されるように、専門家の知識に基づく。
【0092】
本発明の組成物は、慣例的な添加剤又は補助剤だけでなく、化粧品及び/又は皮膚科学的及び/又は薬理学的活性物質をさらに含んでもよい。
【0093】
好適なさらなる活性物質の限定されない例は、以下を含む。
【0094】
好適な化粧用及び/又は皮膚科学的活性物質は、例えば、着色活性物質、皮膚及び毛髪用色素沈着剤、色付け剤、日焼け剤、漂白剤、角質硬化物質、抗微生物活性物質、光フィルター活性物質(photofilter active)、忌避活性物質、充血性物質(hyperemic substance)、角質溶解及び角質可塑化物質(keratoplastic substance)、ふけ防止活性物質、消炎剤、角質化物質、酸化防止活性物質及びフリーラジカル捕捉剤として作用する活性物質、皮膚保水又は保湿物質、再脂肪化活性物質、抗エリテマトーデス又は抗アレルギー活性物質、分岐状脂肪酸、例えば18-メチルエイコサン酸、並びにそれらの混合物である。
【0095】
自然又は人工UV線照射を行わない皮膚の日焼けに好適な人工日焼け活性物質;これらは例えばジヒドロキシアセトン、アロキサン及びクルミの殻抽出物である。好適な角質硬化物質は、一般に制汗剤にも使用される活性物質であり、例えば、硫酸アルミニウムカリウム、アルミニウムヒドロキシクロリド、乳酸アルミニウム等である。
【0096】
微生物を破壊又はその増殖を阻害するために使用される抗微生物活性物質。したがってそれらは、防腐剤、及び体臭の発生又は強さを低減する消臭物質の両方として役立つ。これには、例えば、当業者に公知の慣例的な防腐剤、例えばp-ヒドロキシ安息香酸エステル、イミダゾリジニル尿素、ホルムアルデヒド、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸等が含まれる。そのような消臭物質の例は、リシノール酸亜鉛、トリクロサン、ウンデシルエン酸アルキロールアミド、クエン酸トリエチル、クロルヘキシジン等を含む。
【0097】
毛髪用化粧又は皮膚用化粧調製物を生成するのに好適な補助剤及び添加剤は当業者に公知であり、化粧品のハンドブック、例えばSchrader、Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika [Fundamentals and Formulations of Cosmetics]、Huthig Verlag、Heidelberg、1989、ISBN 3-7785-1491-1に見出すことができる。補助剤及び添加剤は、好ましくは、化粧品として、及び/又は薬学的に許容される補助剤である。薬学的に許容される補助剤は、製薬分野、食品技術及び関連分野における使用が知られている補助剤、特に関連する薬局方(例えばDAB、Ph. Eur.、BP、NF)に列挙されているもの、及び生理学的用途に不可能ではない特性を有する他の補助剤である。
【0098】
好適な補助剤は、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、防腐剤、酸化防止剤、抗刺激剤、キレート剤、エマルジョン安定剤、フィルム形成剤、ゲル形成剤、消臭剤、親水コロイド、溶媒、可溶化剤、中和剤、透過促進剤、顔料、第四級アンモニウム化合物、再脂肪化及び過脂肪化剤、軟膏、クリーム又はオイルベース剤、シリコーン誘導体、安定剤、滅菌剤、噴射剤、乾燥剤、不透明化剤、増粘剤、ワックス、可塑剤、ホワイトオイルであってもよい。この種の形式は、例えば、Fiedler, H.P. Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete、第4版、Aulendorf: ECV-Editio-Kantor-Verlag、1996に示されるように、専門家の知識に基づく。
【0099】
さらなる好適な添加剤は、香油、毛髪用ポリマー、毛髪用及び皮膚用コンディショナー、グラフトポリマー、水溶性又は水分散性シリコーン含有ポリマー、光安定剤、漂白剤、ケア剤、着色剤、色付け剤、日焼け剤、染料、増ちょう剤、保湿剤、再脂肪化剤、コラーゲン、タンパク質加水分解物、脂質、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、皮膚軟化剤、可塑剤、過酸化物分解剤から選択される。
【0100】
好適な補助剤及び添加剤の例は、以下を含む。
【0101】
(1)アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)及びその誘導体、ペプチド、例えばD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン及びそれらの誘導体(例えばアンセリン)、カロテノイド、カロテン(例えばβ-カロテン、リコペン)及びそれらの誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル並びに他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン及びグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、及びラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリル及びそのグリセリルエステル)及びその塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸及びそれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)、並びにスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシミン)、特に極めて低い耐性用量のもの(例えばpmol~μmol/kg範囲)、並びに(金属)キレート剤(例えばα-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA及びそれらの誘導体、不飽和脂肪酸及びその誘導体(例えばγ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びそれらの誘導体、ユビキノン及びユビキノール及びそれらの誘導体、ビタミンC及びその誘導体(例えばアスコルビン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、トコフェロール及び誘導体(例えば酢酸ビタミンE、トコトリエノール)、ビタミンA及び誘導体(パルミチン酸ビタミンA)並びにベンゾインの安息香酸コニフェリル、ルチン酸(rutic acid)及びその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク樹脂酸(nordihydroguaiac resin acid)、ノルジヒドログアイアレチン酸(nordihydroguaiaretic acid)、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びそれらの誘導体、マンノース及びその誘導体、亜鉛及びその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレン及びその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベン及びその誘導体(例えばスチルベンオキシド、トランス-スチルベンオキシド)から選択される酸化防止剤。
【0102】
(2)過酸化物分解剤、すなわち過酸化物、より好ましくは脂質過酸化物を分解することができる化合物。これらは、有機物質、例えばピリジン-2-チオール-3-カルボン酸、2-メトキシピリミジノールカルボン酸、2-メトキシピリジンカルボン酸、2-ジメチルアミノピリミジノールカルボン酸、2-ジメチルアミノピリジンカルボン酸を意味すると理解される。
【0103】
(3)増粘剤、例えば架橋ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリサッカリド及びその誘導体、例えばキサンタンガム、寒天、アルギン酸塩又はチロース、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース又はヒドロキシカルボキシメチルセルロース、脂肪アルコール、モノグリセリド及び脂肪酸、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン。特に、非イオン性増粘剤が使用される。
【0104】
(4)E番号を有する以下に列挙される防腐剤:
【0105】
【表5】
【0106】
同じく本発明に従い好適なのは、化粧品において慣例的な防腐剤又は保存補助剤、例えば、ジブロモジシアノブタン(2-ブロモ-2-ブロモメチルグルタロニトリル)、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、イミダゾリジニル尿素、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-クロロアセトアミド、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、ホルムアルデヒド放出剤である。
【0107】
同じく防腐剤として好適なのは、フェニルヒドロキシアルキルエーテル、特に、いくつかの微生物に対するその殺菌及び菌類駆除効果のため、フェノキシエタノールの名称で知られている化合物である。
【0108】
他の抗微生物剤もまた同様に、本発明の調製物への組込みに好適である。有利な物質は、例えば、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(イルガサン)、1,6-ジ(4-クロロフェニルビグアニド)ヘキサン(クロルヘキシジン)、3,4,4'-トリクロロカルバニリド、第四級アンモニウム化合物、チョウジ油、ハッカ油、タイム油、クエン酸トリエチル、ファルネソール(3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエン-1-オール)、並びに公開特許明細書DE-37 40 186、DE 39 38 140、DE-42 04 321、DE-42 29 707、DE-43 09 372、DE-44 11 664、DE-195 41 967、DE-195 43 695、DE-195 43 696、DE-195 47 160、DE-196 02 108、DE-196 02 110、DE 196 02 111、DE-196 31 003、DE-196 31 004及びDE-196 34 019、並びに特許明細書DE-42 29 737、DE-42 37 081、DE-43 24 219、DE-44 29 467、DE-44 23 410及びDE-195 16 705に記載の活性物質又は活性物質の組合せである。炭酸水素ナトリウムもまた有利に使用され得る。抗微生物ポリペプチドもまた同様に使用され得る。
【0109】
(5)UV-B及び/又はUV-A領域のUV線を吸収する光フィルター活性物質。好適なUVフィルターは、例えば、2,4,6-トリアリール-1,3,5-トリアジンであり、アリール基は、それぞれの場合において、好ましくはヒドロキシ、アルコキシ、特にメトキシ、アルコキシカルボニル、特にメトキシカルボニル及びエトキシカルボニル、並びにそれらの混合から選択される少なくとも1つの置換基を有してもよい。さらに、p-アミノ安息香酸エステル、桂皮酸エステル、ベンゾフェノン、ショウノウ誘導体、及びUV線を阻止する顔料、例えば二酸化チタン、タルク及び酸化亜鉛が好ましい。
【0110】
有用なUVフィルター物質は、任意の所望のUV-A及びUV-Bフィルター物質を含む。その例は、以下を含む。
【0111】
【表6】
【0112】
本発明の化粧用及び皮膚科学的組成物又は製剤はまた、有利には、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、酸化鉄(例えばFe2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化マンガン(例えばMnO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化セリウム(例えばCe2O3)、対応する金属の混合酸化物、及びそのような酸化物のブレンドからなる群から選択される金属酸化物及び/又は他の難水溶性若しくは非水溶性金属化合物をベースとする、UV線を阻止する無機顔料を含んでもよい。
【0113】
ここで、無機顔料は、コーティングされた形態であってもよく、すなわち表面処理されていてもよい。この表面処理は、例えば、DE-A-33 14 742に記載のそれ自体公知の方法によって、顔料に疎水性薄層を提供することからなってもよい。
【0114】
(6)忌避活性物質、すなわちヒトからある特定の動物、特に昆虫を撃退する又は追い払うことができる化合物。これらは、例えば、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、N,N-ジエチル-m-トルアミド等を含む。
【0115】
(7)皮膚のかん流を刺激する好適な充血性物質は、例えば、精油、例えばハイマツ(dwarf pine)抽出物、ラベンダー抽出物、ローズマリー抽出物、セイヨウネズ(juniper berry)抽出物、焼き栗抽出物、カバノキ葉抽出物、干し草の種(hayseed)抽出物、酢酸エチル、ショウノウ、メントール、ペパーミント油、ローズマリー抽出物、ユーカリ油等である。
【0116】
(8)好適な角質溶解及び角質可塑化物質は、例えば、サリチル酸、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸及びその塩、硫黄等である。好適なふけ防止活性物質は、例えば、硫黄、硫黄ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、硫黄リシノールポリエトキシレート、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオン等である。
【0117】
(9)皮膚刺激に対抗する好適な消炎剤は、例えば、アラントイン、ビサボロール、Dragosantol、カモミール抽出物、パンテノール等である。
【0118】
(10)化粧品又は薬学的に許容されるポリマー、例えばカチオン性、両性及び非荷電ポリマー。
【0119】
好適なポリマーは、例えば、ポリクオタニウムというINCI名称を有するカチオン性ポリマー、例えばビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat FC、Luviquat HM、Luviquat MS、Luviquat Care)、硫酸ジエチルで第四級化されたN-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat PQ11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat E Hold)、カチオン性セルロース誘導体(ポリクオタニウム-4及び-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム-7)及びキトサンである。
【0120】
また、好適なカチオン性(第四級化)ポリマーは、Merquat(ジメチルジアリルアンモニウムクロリドをベースとするポリマー)、Gafquat(ポリビニルピロリドンと第四級アンモニウム化合物との反応により形成された第四級ポリマー)、ポリマーJR(カチオン基を有するヒドロキシエチルセルロース)及び植物ベースカチオン性ポリマー、例えばグアーポリマー、例えばRhodiaからのJaguar製品である。
【0121】
また、さらに好適なポリマーは、非荷電ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドン並びに酢酸ビニル及び/又はプロピオン酸ビニルのコポリマー、ポリシロキサン、ポリビニルカプロラクタム、及びN-ビニルピロリドンとの他のコポリマー、ポリエチレンイミン及びその塩、ポリビニルアミン及びその塩、セルロース誘導体、ポリアスパラギン酸塩及びその誘導体である。これらは、例えば、Luviflex(登録商標)Swing(ポリ酢酸ビニル及びポリエチレングリコールの部分けん化コポリマー、BASF)を含む。
【0122】
また、好適なポリマーは、非イオン性の水溶性又は水分散性ポリマー又はオリゴマー、例えばポリビニルカプロラクタム、例えばLuviskol(登録商標)Plus(BASF)、又はポリビニルピロリドン及び特にそれとビニルエステル、例えば酢酸ビニルとのそれらのコポリマー、例えばLuviskol(登録商標)VA 37(BASF);ポリアミド、例えばDE-A-43 33 238等に記載のイタコン酸及び脂肪族ジアミンをベースとするものである。
【0123】
また、好適なポリマーは、両性又は双性イオンポリマー、例えばAmphomer(National Starch)の名称で入手可能なオクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/tert-ブチルアミノエチルメタクリレート/ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、及び例えばドイツ特許出願DE 39 29 973、DE 21 50 557、DE 28 17 369及びDE 37 08 451に記載の双性イオンポリマーである。アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸又はメタクリル酸コポリマー、並びにアルカリ金属及びそのアンモニウム塩が、好ましい双性イオンポリマーである。さらなる好適な双性イオンポリマーは、Amersetteの名称(AMERCHOL)で市販されているメタクリロイルエチルベタイン/メタクリレートコポリマー、並びにヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート及びアクリル酸(Jordapon(D))のコポリマーである。
【0124】
また、好適なポリマーは、非イオン性のシロキサン含有水溶性又は水分散性ポリマー、例えばポリエーテルシロキサン、例えばTegopren(登録商標)(Goldschmidt)又はBesi(Wacker)である。
【0125】
以下は、本発明の活性物質の個々の具体的な使用形態の例としての詳細な解説である。
【0126】
冷涼スキンケア及び毛髪ケア製品:
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、冷涼毛髪ケア若しくはスキンケア製品、又は皮膚用クレンザー若しくは毛髪シャンプーである。
【0127】
好ましい皮膚用クレンザー又は毛髪シャンプーは、液体からゲルの稠度を有する石けん、例えば透明石けん、高級石けん、消臭石けん、クリーム石けん、乳児用石けん、皮膚保護石けん、研磨用石けん及び合成洗剤、ペースト状石けん、グリース状石けん及び洗浄ペースト剤、剥離用石けん、保水ワイプ、液体洗浄剤、シャワー及び入浴剤、例えば洗浄ローション、シャワーバス及びゲル、フォームバス、オイルバス及びスクラブ剤、シェービングフォーム、ローション及びクリームである。
【0128】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の組成物は、シャワーゲル、シャンプー製剤又は入浴剤である。この種の製剤は、少なくとも1種の本発明の活性物質、並びに典型的にはベース界面活性剤としてのアニオン性界面活性剤、並びに補助界面活性剤としての両性及び/又は非イオン性界面活性剤を含む。さらなる好適な活性物質及び/又は補助剤は、一般に、脂質、香油、染料、有機酸、防腐剤及び酸化防止剤、並びに増粘剤/ゲル形成剤、皮膚用コンディショナー、並びに保水剤から選択される。
【0129】
原則的に、活性成分含量は、例えば0.05重量ppm~10重量%、好ましくは0.1重量ppm~10重量%の幅広い範囲にわたり変動し得る。
【0130】
i)皮膚への適用用の組成物の特定形式:
好適な皮膚用化粧組成物は、例えば、フェイストニック、フェイスマスク、消臭剤及び他の化粧ローションである。装飾用化粧品における使用のための製品は、例えば、コンシーラースティック、ステージメイクアップ、マスカラ及びアイシャドー、リップスティック、コールペンシル、アイライナー、頬紅、パウダー及び眉ペンシルを含む。
【0131】
さらに、本発明の皮膚科学的組成物は、毛穴クレンジングのための鼻用ストリップ、抗ニキビ組成物、忌避剤、シェービング組成物、アフターシェーブ及びプレシェーブ用ケア組成物、アフターサンケア組成物、脱毛組成物、毛髪着色剤、インティメートケア組成物、フットケア組成物、並びに乳児ケアにおいて使用され得る。
【0132】
本発明のスキンケア組成物は、特にW/O又はO/W皮膚用クリーム、デイクリーム及びナイトクリーム、アイクリーム、フェイスクリーム、皺取りクリーム、日焼け止めクリーム、保水クリーム、漂白クリーム、セルフタンニングクリーム、ビタミンクリーム、皮膚用ローション、ケアローション及び保水ローションである。
【0133】
皮膚用化粧及び皮膚科学的組成物は、特に、組成物の総重量に対して約0.05重量ppm~10重量%、好ましくは0.1重量ppm~10重量%の割合で少なくとも1種の本発明の活性物質を含む。
【0134】
適用分野に応じて、本発明の皮膚用化粧組成物は、スキンケアに好適な形態で、例えばクリーム、フォーム、ゲル、スティック、ムース、乳液、スプレー(ポンプスプレー又は噴射剤含有スプレー)又はローションの形態で適用され得る。
【0135】
本発明の活性物質及び好適な担体だけでなく、皮膚用化粧調製物はまた、上述の皮膚用化粧品において慣例的なさらなる活性物質及び補助剤をさらに含んでもよい。これらは、好ましくは、乳化剤、防腐剤、香油、化粧品活性物質、例えばフィタントリオール、ビタミンA、E及びC、レチノール、ビサボロール、パンテノール、光安定剤、漂白剤、着色剤、毛染め、日焼け剤、コラーゲン、酵素、タンパク質加水分解物、安定剤、pH調整剤、染料、塩、増粘剤、ゲル形成剤、増ちょう剤、シリコーン、保湿剤、再脂肪化剤、並びにさらなる慣例的添加剤を含む。
【0136】
皮膚用化粧及び皮膚科学的組成物の好ましい油及び脂肪成分は、上述の鉱油及び合成油、例えばパラフィン、シリコーン油及び8個を超える炭素原子を有する脂肪族炭化水素、動物及び植物油、例えばヒマワリ油、ココナツ油、アボカド油、オリーブ油、ラノリン、又はワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル、例えばC6~C30脂肪酸のトリグリセリド、ワックスエステル、例えばホホバ油、脂肪アルコール、ワセリン、水添ラノリン及びアセチル化ラノリン、並びにそれらの混合物である。
【0137】
特定の特性、例えば触れた時の感触、展着特性、耐水性並びに/又は活性物質及び補助剤、例えば顔料の結合の改善を確立するために、皮膚用化粧及び皮膚科学的調製物はまた、シリコーン化合物をベースとするコンディショニング物質をさらに含んでもよい。好適なシリコーン化合物は、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン又はシリコーン樹脂である。
【0138】
化粧用又は皮膚科学的調製物は、当業者に公知の慣例的方法によって生成される。
【0139】
本発明の皮膚科学的組成物は、活性物質を好適な補助剤(賦形剤)と混合する、又はそれで希釈することによって生成され得る。賦形剤は、活性物質のビヒクル、担体又は媒体として機能し得る固体、半固体又は液体材料であってもよい。所望により、当業者に公知の様式でさらなる補助剤が添加される。さらに、ポリマー及び分散物は、好ましくは固体薬物形態用のコーティング又は結合剤としての、又はその中の、製薬における補助剤として好適である。それらはまた、クリーム中で、並びに錠剤コーティング及び錠剤結合剤として使用され得る。
【0140】
好ましくは、化粧用及び皮膚科学的組成物は、エマルジョン剤、特に油中水(W/O)又は水中油(O/W)エマルジョン剤の形態である。しかしながら、他の種類の製剤、例えばゲル剤、油、オレオゲル剤、W/O/W又はO/W/Oエマルジョン剤の形態等の多重エマルジョン、無水軟膏又は軟膏基剤等を選択することも可能である。乳化剤不含製剤、例えば水性分散剤、ヒドロゲル剤又はピッカリングエマルジョン剤もまた有利な実施形態である。
【0141】
エマルジョン剤は、既知の方法によって生成される。少なくとも1種の本発明の活性物質だけでなく、エマルジョン剤は、一般に、水の存在下で、慣例的な構成物質、例えば脂肪アルコール、脂肪酸エステル及び特に脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸、ラノリン及びそれらの誘導体、天然若しくは合成油、又はワックス、並びに乳化剤を含む。エマルジョン剤の種類に特定の添加剤の選択、及び好適なエマルジョン剤の生成は、例えば、参照により本明細書に明確に組み込まれる、Schrader、Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika、Huthig Buch Verlag、Heidelberg、第2版、1989、パート3に記載されている。
【0142】
例えば皮膚用クリーム等のためのW/Oエマルジョン剤の形態の好適なエマルジョンは、一般に、好適な乳化剤系を使用して油相又は脂肪相中に乳化された水相を含む。水相を提供するために、高分子電解質複合体が使用され得る。
【0143】
エマルジョン剤の脂肪相中に存在し得る好ましい脂肪成分は、炭化水素油、例えばパラフィン油、パーセリン油、ペルヒドロスクアレン及びこれらの油中のマイクロクリスタリンワックスの溶液;動物又は植物油、例えば甘扁桃油、アボカド油、カロフィラム(calophyllum)油、ラノリン及びその誘導体、ヒマシ油、ゴマ油、オリーブ油、ホホバ油、カリテ油、ヒウチダイ(hoplostethus)油;大気圧下での蒸留開始点が約250℃であり、蒸留終了点が410℃である鉱油、例えばワセリン油;飽和又は不飽和脂肪酸のエステル、例えばミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸i-プロピル、ミリスチン酸ブチル又はミリスチン酸セチル、ステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸エチル又はパルミチン酸イソプロピル、オクタン酸又はデカン酸トリグリセリド及びリシノール酸セチルである。
【0144】
脂肪相はまた、他の油に可溶性のシリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びシリコーングリコールコポリマー、脂肪酸、並びに脂肪アルコールを含んでもよい。
【0145】
本発明の活性物質だけでなく、ワックス、例えばカルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライトワックス、並びにオレイン酸カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム、ミリスチン酸カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム、リノール酸カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム、並びにステアリン酸カルシウム、マグネシウム及びアルミニウムを使用することも可能である。
【0146】
さらに、本発明のエマルジョン剤は、O/Wエマルジョンの形態をとってもよい。そのようなエマルジョン剤は、典型的には、油相、水相中の油相を安定化する乳化剤、及び通常は濃縮形態である水相を含む。有用な乳化剤は、好ましくはO/W乳化剤、例えばポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル又は部分エステル化グリセリドである。
【0147】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の組成物は、シャワーゲル、シャンプー製剤又は入浴剤である。
【0148】
この種の製剤は、少なくとも1種の本発明の活性物質、並びに典型的にはベース界面活性剤としてのアニオン性界面活性剤、並びに補助界面活性剤としての両性及び/又は非イオン性界面活性剤を含む。さらなる好適な活性物質及び/又は補助剤は、一般に、脂質、香油、染料、有機酸、防腐剤及び酸化防止剤、並びに増粘剤/ゲル形成剤、スキンコンディショナー、並びに保水剤から選択される。
【0149】
これらの製剤は、特に、製剤の総重量に対して2重量%~50重量%、例えば5重量%~40重量%、又は8重量%~30重量の界面活性剤を含む。
【0150】
洗浄、シャワー及び入浴剤において、パーソナルクレンザーに慣例的に使用されるアニオン性、非荷電、両性又はカチオン性界面活性剤のいずれかを使用することが可能である。
【0151】
好適なアニオン性界面活性剤は、例えば、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイソチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルファ-オレフィンスルホネート、特にアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びアンモニウム並びにトリエタノールアミン塩である。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボキシレートは、分子内に1~10個のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド単位、好ましくは1~3個のエチレンオキシド単位を有し得る。
【0152】
これらは、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンを含む。
【0153】
好適な両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート又はアルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホジアセテート又はアルキルアンホジプロピオネートである。
【0154】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン又はコカンホプロピオン酸ナトリウムを使用することが可能である。
【0155】
好適な非イオン性界面活性剤の例は、直鎖又は分岐状であってもよいアルキル鎖内に6~20個の炭素原子を有する脂肪族アルコール又はアルキルフェノールと、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応生成物である。アルキレンオキシドの量は、アルコール1モル当たり約6~60モルである。さらに、アルキルアミンオキシド、モノ-若しくはジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、エトキシ化脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシド又はソルビタンエーテルエステルが好適である。
【0156】
洗浄、シャワー及び入浴剤はまた、慣例的なカチオン性界面活性剤、例えば第四級アンモニウム化合物、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリドを含んでもよい。
【0157】
さらに、シャワーゲル/シャンプー製剤は、増粘剤、例えば塩化ナトリウム、PEG 55、プロピレングリコールオレエート、PEG 120メチルグルコースジオレエート等、及び防腐剤、さらなる活性物質及び補助剤及び水を含んでもよい。
【0158】
ii)毛髪への適用用の組成物の特定形式:
さらなる好ましい実施形態において、本発明の組成物は、毛髪トリートメント組成物である。
【0159】
本発明の毛髪トリートメント組成物は、特に、組成物の総重量に対して約0.05重量ppm~10重量%、好ましくは0.1重量ppm~10重量%の範囲内の量で少なくとも1種の本発明の活性物質を含む。
【0160】
好ましくは、本発明の毛髪トリートメント組成物は、整髪フォーム、毛髪用ムース、毛髪用ゲル、シャンプー、毛髪用スプレー、毛髪用フォーム、毛先用液体(end fluid)、パーマネントウェーブ用中和剤、毛髪着色剤及び漂白又はホットオイルトリートメントの形態をとる。適用分野に応じて、毛髪用化粧調製物は、(エアロゾル)スプレー、(エアロゾル)フォーム、ゲル、ゲルスプレー、クリーム、ローション又はワックスの形態で適用され得る。毛髪用スプレーは、エアロゾルスプレー及び噴射ガスを有さないポンプスプレーの両方を包含する。毛髪用フォームは、エアロゾルフォーム及び噴射ガスを有さないポンプフォームの両方を包含する。毛髪用スプレー及び毛髪用フォームは、好ましくは、主に水溶性又は水分散性成分を、又はそれのみを含む。本発明の毛髪用スプレー及び毛髪用フォームに使用される化合物が水分散性である場合、それらは、典型的には1~350nm、好ましくは1~250nmの粒径を有する水性微粒分散液の形態で用いられ得る。これらの調製物の固体含量は、典型的には、約0.5重量ppm~20重量%の範囲内である。これらの微細分散液は、一般に、その安定化のためにいかなる乳化剤又は界面活性剤も必要としない。
【0161】
特定の実施形態において、本発明の毛髪用化粧製剤は、a)0.0001重量%~50重量%又は0.001重量%~10重量%又は0.005重量%~1重量%の少なくとも1種の本発明の活性物質、b)20重量%~99.95重量%の水及び/又はアルコール、c)0重量%~50重量%の少なくとも1種の噴射ガス、d)0重量%~5重量%の少なくとも1種の乳化剤、e)0重量%~3重量%の少なくとも1種の増粘剤、並びに最大25重量%のさらなる構成物質を含む。
【0162】
「アルコール」は、化粧品において慣例的な任意のアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、n-プロパノールを意味するように理解される。
【0163】
ここで、極めて特異な特性が確立される場合には、本発明の活性物質と組み合わせて使用され得る化粧品において知られている全てのスタイリング及びコンディショナーポリマーもまた含まれる。
【0164】
好適な従来の毛髪用化粧品ポリマーは、例えば、ここで参照される上述のカチオン性、アニオン性、非荷電非イオン性及び両性ポリマーである。
【0165】
ある特定の特性を確立するために、調製物はまた、シリコーン化合物をベースとするコンディショニング物質をさらに含んでもよい。好適なシリコーン化合物は、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン、シリコーン樹脂又はジメチコンコポリオール(CTFA)及びアミノ官能性シリコーン化合物、例えばアモジメチコン(CTFA)である。
【0166】
本発明のポリマーは、毛髪スタイリング調製物、特に毛髪用スプレー(エアロゾルスプレー及び噴射ガスを有さないポンプスプレー)及び毛髪用ムース(エアロゾルムース及び噴射ガスを有さないポンプムース)における整髪剤として特に好適である。
【0167】
好ましい実施形態において、スプレー調製物は、a)0.0001重量%~50重量%又は0.001重量%~10重量%又は0.005重量%~1重量%の少なくとも1種の本発明の活性物質、b)20重量%~99.9重量%の水及び/又はアルコール、c)0重量%~70重量%の少なくとも1種の噴射剤、d)0重量%~20重量%のさらなる構成物質を含む。
【0168】
噴射剤は、毛髪用スプレー又はエアロゾルフォームに慣例的に使用される噴射剤である。プロパン/ブタン、ペンタン、ジメチルエーテル、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152 a)、二酸化炭素、窒素又は圧縮空気の混合物が好ましい。
【0169】
本発明に従って好ましいエアロゾル毛髪用フォームの製剤は、a)0.0001重量%~50重量%又は0.001重量%~10重量%又は0.005重量%~1重量%の少なくとも1種の本発明の活性物質、b)55重量%~99.8重量%の水及び/又はアルコール、c)5重量%~20重量%の噴射剤、d)0.1重量%~5重量%の乳化剤、e)0重量%~10重量%のさらなる構成物質を含む。
【0170】
使用される乳化剤は、毛髪用フォームに慣例的に使用される乳化剤のいずれかであってもよい。好適な乳化剤は、非イオン性、カチオン性若しくはアニオン性、又は両性であってもよい。
【0171】
非イオン性乳化剤(INCI命名法)の例は、ラウレス、例えばラウレス-4;セテス、例えばセテス-1、ポリエチレングリコールセチルエーテル;セテアレス、例えばセテアレス-25、ポリグリコール脂肪酸グリセリド、ヒドロキシル化レシチン、脂肪酸のラクチルエステル、アルキルポリグリコシドである。
【0172】
カチオン性乳化剤の例は、セチルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムジヒドロゲンホスフェート、セチルトリモニウムクロリド、セチルトリモニウムブロミド、ココトリモニウムメチルサルフェート、クオタニウム-1~x(INCI)である。
【0173】
アニオン性乳化剤は、例えば、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルファ-オレフィンスルホネート、特にアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びアンモニウム並びにトリエタノールアミン塩の群から選択され得る。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボキシレートは、分子内に1~10個のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド単位、好ましくは1~3個のエチレンオキシド単位を有し得る。
【0174】
本発明に従ってスタイリングゲルに好適な製剤は、例えば、次の組成のものであってもよい:a)0.0001重量%~50重量%又は0.001重量%~10重量%又は0.005重量%~1重量%の少なくとも1種の本発明の活性物質、b)80重量%~99.85重量%の水及び/又はアルコール、c)0重量%~3重量%、好ましくは0.05重量%~2重量%のゲル形成剤、d)0重量%~20重量%のさらなる構成物質。
【0175】
ゲル形成剤の使用は、ゲルの特定のレオロジー特性又は他の性能特性を確立するために有利となり得る。使用されるゲル形成剤は、化粧品において慣例的な任意のゲル形成剤であってもよい。これらは、軽度に架橋したポリアクリル酸、例えばカルボマー(INCI)、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン改質セルロース、ポリサッカリド、例えばキサンタンガム、カプリル/カプリントリグリセリド、アクリル酸ナトリウムコポリマー、ポリクオタニウム-32(及び)流動パラフィン(Paraffinum Liquidum)(INCI)、アクリル酸ナトリウムコポリマー(及び)流動パラフィン(及び)PPG-1トリデセス-6、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、ステアレス-10アリルエーテルアクリレートコポリマー、ポリクオタニウム-37(及び)流動パラフィン(及び)PPG-1トリデセス-6、ポリクオタニウム37(及び)プロピレングリコールジカプレートジカプリレート(及び)PPG-1トリデセス-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-44を含む。
【0176】
特定のシャンプー製剤は、a)0.0001重量%~50重量%又は0.001重量%~10重量%又は0.005重量%~1重量%の少なくとも1種の本発明の活性物質、b)25重量%~94.95重量%の水、c)5重量%~50重量%の界面活性剤、c)0重量%~5重量%のさらなるコンディショナー、d)0重量%~10重量%のさらなる化粧品構成物質を含む。
【0177】
シャンプー製剤において、シャンプーに慣例的に使用されるアニオン性、非荷電、両性又はカチオン性界面活性剤のいずれかを使用することが可能である。
【0178】
好適なアニオン性界面活性剤は、例えば、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルファ-オレフィンスルホネート、特にアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びアンモニウム並びにトリエタノールアミン塩である。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボキシレートは、分子内に1~10個のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド単位、好ましくは1~3個のエチレンオキシド単位を有し得る。
【0179】
例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンが好適である。
【0180】
好適な両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート又はアンホプロピオネート、アルキルアンホジアセテート又はアンホジプロピオネートである。
【0181】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン又はコカンホプロピオン酸ナトリウムを使用することが可能である。
【0182】
好適な非イオン性界面活性剤の例は、直鎖又は分岐状であってもよいアルキル鎖内に6~20個の炭素原子を有する脂肪族アルコール又はアルキルフェノールと、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応生成物である。アルキレンオキシドの量は、アルコール1モル当たり約6~60モルである。さらに、アルキルアミンオキシド、モノ-若しくはジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド又はソルビタンエーテルエステルが好適である。
【0183】
さらに、シャンプー製剤は、慣例的なカチオン性界面活性剤、例えば第四級アンモニウム化合物、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリドを含んでもよい。
【0184】
シャンプー製剤において、本発明の活性物質と組み合わせて慣例的なコンディショナーを使用して、特定の効果を達成することができる。
【0185】
これらは、例えば、ポリクオタニウムというINCI名称を有する上述のカチオン性ポリマー、特にビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat FC、Luviquat HM、Luviquat MS、Luviquat Care)、硫酸ジエチルで第四級化されたN-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat D PQ11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat D Hold)、カチオン性セルロース誘導体(ポリクオタニウム-4及び-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム-7)である。さらに、タンパク質加水分解物及びシリコーン化合物をベースとするコンディショニング物質、例えばポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン又はシリコーン樹脂を使用することが可能である。さらなる好適なシリコーン化合物は、ジメチコンコポリオール(CTFA)及びアミノ官能性シリコーン化合物、例えばアモジメチコン(CTFA)である。さらに、カチオン性グアー誘導体、例えばグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(INCI)を使用することが可能である。
【0186】
冷涼口腔ケア組成物:
本発明の口腔ケア組成物は、それ自体公知の様式で、例えば練り歯磨き、歯磨きゲル、又は水性若しくは水性アルコールマウスウォッシュとして製剤化され得る。
【0187】
本発明の口腔ケア組成物は、組成物の重量に対して、好ましくは0.05重量ppm~10重量%、より好ましくは0.1重量ppm~10重量%の総量の少なくとも1種の本発明の活性物質を含む。
【0188】
さらに、口腔ケア組成物、特に練り歯磨きはまた、研磨剤、例えば酸化ケイ素水和物、リン酸二カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸カルシウム及び酸化アルミニウムを含んでもよい。例えば、増粘性の析出ケイ素及び研磨析出ケイ素の混合物を使用することも可能である[Handbook of Pharmaceutical Excipients、The Pharmaceutical Society of Great Britain、1 Lambeth High Street, London SE 1 7JN, England、253~256ページ]。前者は、そのチキソトロピー特性のために使用され、後者は、歯の表面に接着する物質の除去におけるそのより良好な効能のために使用される。材料は中程度の硬度の非晶質固体であると同時に、それを不溶化してそのバイオアベイラビリティを低減するいかなる水垢も含有しないために石灰化剤として使用されるフッ化物と全て完全に適合性であることから、これらの生成物の使用によって軽度の研磨効果が確保される。
【0189】
本発明の口腔ケア組成物の製剤、例えば練り歯磨きはまた、その特性を改善し、製造を容易にするために、好適な添加剤及びビヒクルを含んでもよい。これらは、例えば、結合剤、増粘剤、芳香剤、染料、防腐剤、湿潤剤若しくは保湿剤、界面活性剤、滑沢剤、不透明化剤、再石灰化剤、界面活性剤、緩衝剤、アルコール、ビタミン、水、追加の活性物質及びそれらの混合物から選択される。
【0190】
使用される結合剤は、この種の製剤の生成に通常使用される任意の薬剤、例えばトラガカントガムであってもよい。結合剤は、製剤中に総量の0.5~1.5重量%の量で存在してもよい。
【0191】
また、有機増粘剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム及びCarbopolを口腔ケア組成物中に組み込むことも可能である。また、適切なレオロジーを提供するために、無機増粘剤、例えばシリカ増粘剤、ケイ酸アルミニウムナトリウム及びクレイを使用することも可能である。増粘剤は、製剤中に総量の0.5~5重量%の量で存在してもよい。
【0192】
練り歯磨きは、好適な慣例的芳香剤、例えばペパーミント香料の添加により芳香が付けられてもよい。中でも、チョウジ油、桂皮油、ペパーミント油及びスペアミント油を含む精油が同様に好適である。芳香剤は、製剤中に総量の0.5~15重量%の量で存在してもよい。
【0193】
練り歯磨きの製造において慣例的に使用される任意の染料、例えばブリリアントブルーFCF、C.42090[KIRSCH PHARMA]が染料として使用され得る。染料は、製剤中に総量の0.001~0.005重量%の量で存在してもよい。
【0194】
防腐剤は、任意の慣例的な薬剤、例えば安息香酸の誘導体、例えばp-ヒドロキシメチルベンゾエートであってもよい。防腐剤は、製剤中に総量の0.1~0.3重量%の量で存在してもよい。
【0195】
ナトリウムサッカリン又はシクラミン酸及びその誘導体、例えばシクラミン酸ナトリウムが、甘味料として使用され得る。甘味料は、製剤中に総量の0.08~0.15重量%の量で存在してもよい。
【0196】
練り歯磨きの乾燥及び硬化を防止するために使用される湿潤剤又は保湿剤は、特に、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、キシリトール及び液体ポリエチレングリコールから選択され、特にソルビトール、グリセロール及びキシリトールの混合物であり、例えば総量の1~60重量%の割合である。
【0197】
滑沢剤は、練り歯磨きの製剤中に慣例的に使用される任意の薬剤、例えば本発明の練り歯磨きへの良好なレオロジー特性の付与に寄与する界面活性剤であるジメチコン(ジメチルポリシロキサンのポリマー)であってもよい。滑沢剤は、製剤中に総量の0.25重量%~0.75重量%の量で存在してもよい。
【0198】
乳白剤として、典型的に使用される薬剤のいずれか、例えば二酸化チタンが使用され得る。乳白剤は、製剤中に総量の0.05重量%~1重量%の量で存在してもよい。
【0199】
再石灰化剤として、フッ化物源、例えばフッ化ナトリウム、フッ化スズ(II)及びモノフルオロリン酸ナトリウムが使用されるが、これは、このようにして、細菌代謝の結果生じる有機酸により引き起こされた白色病変の再石灰化のための薬剤として活性フッ化物の100%が使用されるためである。再石灰化剤は、製剤中に総量の0.2重量%~0.4重量%の量で存在してもよい。
【0200】
典型的には、慣例的な構成物質、例えばアニオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、N-ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム及びアルキルグリセリルエーテルスルホン酸ナトリウムが存在することもさらに可能である。界面活性剤は、製剤中に総量の0.05重量%~5重量%の量で存在してもよい。
【0201】
所望により、本発明により提案される練り歯磨きはまた、ビタミンA、ビタミンB5、ビタミンC及びビタミンE並びにそれらの混合物で形成される群から選択されるビタミンを含んでもよい。使用される場合、各ビタミンは、製剤中に総量の0.1重量%~5重量%の量で存在してもよい。これらのビタミンは、そのままで、プロビタミンの形態で、又は許容され得る薬学的塩の形態で使用されてもよい。一般にそのパルミチン酸塩の形態で使用されるビタミンAは、口腔粘膜の上皮形成を促進し、歯茎を保護する。ビタミンB5、より具体的にはD-パンテノールは、鎮痛、治癒及び抗炎症効果を有し、上皮粘膜を保護し、創傷の上皮形成を促進し、瘢痕を滑らかにし、抜歯、歯肉炎、口内炎、歯科補綴物の挿入後の痛み、潰瘍、粘膜への外傷性損傷、慢性及び再発性アフタから生じる創傷の処置に好適である。ビタミンCは、口腔粘膜の上皮を再生し、コラーゲン合成及び免疫系(炎症メカニズム)を促進し、細菌から保護する食細胞の能力を増大させる。通常はその酢酸塩の形態で使用されるビタミンEは、鎮痛及び抗炎症効果を有し、フリーラジカルの形成に起因する脂肪過酸化及び環境からの汚染物質(オゾン、タバコの煙等)から口腔粘膜を保護し、創傷治癒を促進する。これらのビタミンの1種以上の添加により、本発明は、上述の特性だけでなく、保護を提供し歯垢及び歯石形成の指数、並びに細菌汚染の指数を低減する、口腔粘膜の膜の能力を増大させる抗炎症機能及び鎮痛効果も有する練り歯磨きを提供する。
【0202】
追加の活性物質は、例えば、抗微生物及び歯垢浸透性薬剤、例えばベータ-ナフトール、チモール、クロロチモール及びヘキシルレゾルシノール;又は抗菌化合物、例えば第四級アンモニウム化合物;歯石抑制剤、例えばピロリン酸四ナトリウム、GANTREZ Polymer(登録商標)S-70、トリポリリン酸ナトリウム及びクエン酸亜鉛;過酸化物化合物、例えば過酸化水素及び無機過酸化物である。
【0203】
場合によって、約6~8のpHを維持するのに好適な濃度で存在する緩衝剤、例えばリン酸アルカリ金属緩衝剤も使用され得る。カリウムイオンの存在は、過敏症軽減効果をさらに発揮する。
【0204】
水又はアルコールは、組成物の総量の1重量%~20重量%の割合で存在してもよい。
【0205】
アルコールと組み合わせて、又はアルコールの代わりに、グリコール化合物、例えばグリセロール、ソルビトール又はプロピレングリコールを使用することも可能である。
【0206】
本発明の口腔ケア組成物は、好適な量の各種構成物質を、例えば撹拌パドルを備えた反応器内で混合することによって容易に生成され得る。
【0207】
冷涼パッチ剤:
原則的に、活性成分含量は、例えば0.05重量ppm~10重量%、好ましくは0.1重量ppm~10重量%の幅広い範囲にわたり変動し得る。
【0208】
本発明のパッチ剤は、任意の所望の様式で、例えばマトリックスシステム、膜システム又は不織布システムにより構築され得る(Drug Dev. Ind. Pharm. 14 (1988)、183~209ページ;Drug Dev. Ind. Pharm. 13 (1987)、589~651ページ;Drugs of Today 23 (1987)、625~646ページ)。
【0209】
その最も単純な形態のマトリックスシステムは、可撓性支持箔、活性物質を含有する接着性マトリックス、及び除去用箔の3つの部分からなる。非粘着性マトリックスが使用される場合、支持箔の縁領域に、皮膚への接着のための接着剤を提供する必要がある。
【0210】
一方、膜システムは、可撓性支持箔、溶解又は懸濁した活性物質を含有する貯蔵部、活性物質放出を制御するための膜、膜に取り付けられた接着剤層、及び除去用箔の少なくとも5つの部分を有する。
【0211】
不織布システムでは、活性物質を含む層は、活性物質溶液又は懸濁液が含浸された吸収性不織布又は多孔質ポリマーからなる。支持箔にしっかりと結合されたこの層は、除去用箔で被覆される。支持箔の縁には、皮膚に貼り付けるための接着剤が提供されている。
【0212】
原則的に、本発明の全ての活性物質は、このようにして製剤化され得る。
【0213】
使用される補助剤は、パッチ剤の製造に慣例的な補助剤である。接着剤、一般的には-70~-10℃の間、特に-55~-25℃の間のガラス転移温度を有するポリマー、並びにこの接着剤及び活性物質で被覆された担体フィルムだけでなく、乳化剤、増粘剤及び活性物質放出に影響することが意図される物質、並びに他の補助剤が多くの場合添加される。
【0214】
上述の低いガラス転移温度を有する粘着性ポリマーは、例えば、米国特許第2,973,282号及び第3,307,544号から公知である。接着テープ及びフィルムは、単なる接触でヒトの皮膚に粘着すべきであるが、ほぼ残留物を残すことなく再び取り外しできるように、接着剤層の凝着力及びその担体フィルムへの接着力は、皮膚への接着力より大きくなるべきである。これらは、一般に、2~12個、特に4~8個の炭素原子を有するアルコールのアクリル酸及びメタクリル酸をベースとするコポリマーを含み、共重合形態の多くの他のコモノマー、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル又は酪酸ビニル、他のビニル化合物、例えばスチレン、並びにブタジエンを含んでもよい。特に、アクリル酸ブチル及びアクリル酸2-エチルヘキシルが強調されるべきである。ポリマーは、2つ以上の共重合可能な二重結合を有する少量のコモノマー、すなわち例えばジアクリレート、例えばブタンジオールジアクリレート、若しくはジビニル化合物、例えばジビニルベンゼンの添加により架橋されていてもよく、又は、他の架橋剤、例えばメラミン-ホルムアルデヒド樹脂の添加により架橋されていてもよい。使用される粘着性ポリマーはまた、様々な分子量のポリイソブチレン及びポリビニルエーテルであってもよい。
【0215】
分散物の粒径は、50~500nmの間、特に50~200nmの間となるべきである。粒径及び架橋度は、重合条件及びコモノマーに応じて公知の様式で調整され得る。より小さい粒径及び高いレベルの架橋は、活性物質放出を増加させることができる。
【0216】
マトリックスパッチ剤は、活性物質を好適なポリマー溶液に溶解又は微細分散させ、次いでローラ又はスキージ塗布法を用いてこの活性物質含有自己接着性組成物をドローダウンしてフィルムを生成することにより、慣例的な様式で製造され得る。いくつかの場合において、ポリマー溶液への添加前に、有機溶媒、例えばエタノール又はアセトンに活性物質を溶解又は超微細分散させることが適切である。これによって、ポリマー中の活性物質のより良好な分布を達成することができる。
【0217】
パッチ剤はまた、ドイツ特許出願P 38 07 283.1に従い、微粉形態(200μm未満、特に50μm未満の粒径)の活性物質を水性ラテックス分散液に組み込む、又は水性乳化剤溶液中に分散若しくは溶解し、この混合物を水性ラテックス分散液中に10~80℃、特に30~70℃の温度で混合することにより製造されてもよい。さらに、水溶液中の活性物質の塩はまた、活性物質が主に水溶性イオン化形態であるpHで、ポリマー分散液と混合されてもよい。pHを調整することにより、活性物質は次いで非荷電非水溶性形態に変換され、同時に分散液に乳化される。
【0218】
適切には、まず活性物質が帯電され、乳化剤及び水が添加され、次いでそれらがポリマー分散液と混合される。このようにして得られた活性物質含有分散液は、場合によってさらなる補助剤が加えられ、前述のようにそれ自体公知の様式で支持箔上にドローダウンされてフィルムが形成され、乾燥される。ここで、乾燥温度は、室温~100℃の間であってもよく、急速乾燥の目的と、フィルム内の気泡形成及び活性物質への熱ストレスの回避の目的との間で最適なのは、一般に35~45℃である。
【0219】
このプロセスは、有機溶媒を回避する大きな利点を有する。しかしながら、マトリックスパッチ剤の他の全ての慣例的製造方法もまた、原則的に有用である。
【0220】
得られるフィルムは、10~800μm、好ましくは50~300μmの厚さを有する。フィルムは連続的に、又はバッチ式で製造され得る。塗布法は、フィルムが所望の厚さに達するまで複数回繰り返されてもよい。粘着性ポリマー層は、1重量%~40重量%、特に5重量%~25重量%の範囲内の濃度で活性物質を含む。膜システムにおける貯蔵液体、及び不織布システムの場合には不織布又は多孔質ポリマーが含浸される活性物質溶液又は分散液にも、同じ濃度が適用される。
【0221】
活性物質及びポリマーの両方に使用される乳化剤は、その目的において慣例的な界面活性剤、例えば、アニオン性界面活性剤の例として比較的長鎖の脂肪酸及び(場合によってエトキシ化された)脂肪アルコールの硫酸モノエステルのナトリウム塩、並びに非イオン性界面活性剤及び補助乳化剤の例としてポリエトキシル化アルキルフェノール及び比較的長鎖の脂肪アルコール(例えばヘキサデカン-1-オール)及びグリセロール脂肪酸部分エステルである。
【0222】
すぐにドローダウンできる物質の所望の粘度は、例えばポリアクリル酸又はセルロース誘導体で調整され得る。
【0223】
フィルムの凝着、ひいては結合特性を改善するために使用され得る追加の架橋剤の例は、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を含む。
【0224】
膨張剤、例えばポリビニルピロリドン、セルロース誘導体又はポリアクリレートは、フィルムが増加した量の水を吸収することができ、ひいては拡散抵抗が低下するため、活性物質の放出を改善する目的に効果的である。活性物質の放出はまた、親水性可塑剤、例えばグリセロール、プロパン-1,2-ジオール、ポリエチレングリコール、及び親油性可塑剤、例えばトリアセチン、フタル酸ジブチル又はミリスチン酸イソプロピルの添加により改善され得る。
【0225】
マトリックスパッチ剤は、典型的には、1次活性物質放出を提供する。活性物質を吸着する充填剤、例えばaerosil、微結晶セルロース又はラクトースの使用は、ほぼ0次の放出をもたらす。
【0226】
活性物質含有自己接着性組成物がその上で乾燥される支持箔は、適切には、活性物質及び水蒸気の両方に対して事実上不透過性である。これは、例えば、アルミニウム-プラスチック複合箔、金属化プラスチック箔、活性物質側にポリ塩化ビニリデン等のバリア層が設けられたポリマーフィルム、又は単純なポリマーフィルム、例えばポリエステルフィルムからなってもよい。
【0227】
膜システムにより構築された本発明のパッチ剤は、同様に慣例的な様式で製造される(例えばEP 0186 071 A2、US 4 262,003)。
【0228】
不織布システムにより構築されたパッチ剤は、支持箔に固定された不織布又は多孔質ポリマーに、親水性又は親油性の溶媒又は溶媒混合物中の活性物質の溶液又は分散液を含浸させることにより製造される。次に、除去用の不透過性箔が取り付けられる。
【0229】
冷涼食品:
本発明の(周囲温度での)冷涼食品は、固体、液体、半固体、ペースト状、クリーム状又はフォーム状形態であってもよい。冷涼食品は、従来の食品構成物質だけでなく、少なくとも有効(すなわち冷涼効果のある)量の少なくとも1種の本発明の活性物質を含む。
【0230】
ここで、典型的な構成物質は、脂肪、炭水化物、タンパク質、食物繊維、水、アルコール等である。
【0231】
タンパク質含量は、例えば、食品の総重量に対して0重量%~50重量%であってもよく、
脂肪含量は、例えば、食品の総重量に対して0重量%~50重量%であってもよく、
炭水化物含量は、例えば、食品の総重量に対して0重量%~90重量%であってもよく、
食物繊維含量は、例えば、食品の総重量に対して0重量%~90重量%であってもよく、
水含量は、例えば、食品の総重量に対して0重量%~95重量%であってもよく、
アルコール含量は、例えば、食品の総重量に対して0重量%~15重量%であってもよく、
本発明の活性物質の割合は、例えば、食品の総重量に対して0.05重量ppm~10重量%、好ましくは0.1重量ppm~10重量%の範囲内であってもよい。
【0232】
炭水化物の例は、例えば、モノ-及びジサッカリド、グルコース、ガラクトース、マンノース、ラクトース、マルトース及びスクロース;フルクトース及びマンノース;ポリサッカリド、例えばデンプン、マルトデキストリン;小麦粉である。
【0233】
「食物繊維」という用語は、可溶性食物繊維、不溶性食物繊維、発酵性食物繊維、非発酵性食物繊維又はそのような食物繊維の任意の組合せに関する。食物繊維は、例えば、ダイズ繊維、ペクチン、特定の難消化性デンプン、オリゴフルクトース、イヌリン、オート麦繊維、エンドウ繊維、グアーガム、アカシアガム、改質セルロースを含み得る。
【0234】
脂肪構成物質は、食品における使用に好適であることが知られている任意の脂質又は脂肪であってもよい。典型的な脂肪は、乳脂肪、ベニバナ油、キャノーラ油、卵黄脂質、オリーブ油、綿実油、ココナツ油、パーム油、パーム核油、ダイズ油、ヒマワリ油、魚油、及び全ての上述の油から得られる留分、例えばパームオレイン、中鎖トリグリセリド(MCT)、及び脂肪酸エステルを含み、脂肪酸は、例えば、アラキドン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、リノレン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、カプロン酸である。また、高いオレイン酸含量を有する様々な油の形態、例えば高オレイン酸ヒマワリ油及び高オレイン酸ベニバナ油が、本発明の使用に好適であると考えられる。
【0235】
タンパク質は、食品における使用に好適であることが知られている任意のタンパク質及び/又はアミノ酸混合物であってもよい。典型的なタンパク質は、動物性タンパク質、植物性タンパク質、例えばダイズタンパク質、乳タンパク質、例えば脱脂乳タンパク質、乳漿タンパク質及びカゼイン、並びにアミノ酸(又はその塩)、例えばイソロイシン、フェニルアラニン、ロイシン、リシン、メチオニン、トレオニン、トリプトファン、アルギニン、グルタミン、タウリン、バリンである。好ましいタンパク質源は、場合によってアミノ酸が添加された乳漿タンパク質、カゼインナトリウム又はカゼインカルシウムである。いくつかの用途では、好ましいタンパク質源は、場合によってアミノ酸が添加された加水分解タンパク質(タンパク質加水分解物)である。
【0236】
タンパク質加水分解物は、食品に使用される任意の好適なタンパク質加水分解物、例えばダイズタンパク質加水分解物、カゼイン加水分解物、乳漿タンパク質加水分解物、他の動物性及び植物性タンパク質加水分解物、並びにそれらの混合物であってもよい。本発明の組成物中のタンパク質加水分解物は、好ましくは、短鎖ペプチド及びアミノ酸を含み、場合によって追加のアミノ酸が添加されたダイズタンパク質、乳漿タンパク質又はカゼインタンパク質加水分解物である。好ましい実施形態において、本発明に従い好適なタンパク質加水分解物は、高い割合の遊離アミノ酸(例えば40%超)及び低分子量ペプチド断片を含む。
【0237】
本発明の組成物中の加水分解タンパク質はまた、好ましくは、栄養学的にバランスのとれたアミノ酸含量を提供するために、様々な遊離アミノ酸と混合されていてもよい。そのような遊離アミノ酸の例は、L-トリプトファン、L-メチオニン、L-シスチン、L-チロシン及びL-アルギニンを含む。
【0238】
本発明の食品はまた、場合によってビタミン及びミネラルを含んでもよい。当業者は、正常な生理学的機能に必要な特定のビタミン及びミネラルに関して確立されている最低要件を熟知している。当業者はまた、そのような組成物の加工及び保存中のある特定の損失を補うために、食品に適切なさらなる量のビタミン及びミネラル構成物質が添加されなければならないことを認識している。本発明の組成物は、場合によって、栄養目的で大量のビタミン及びミネラルを含有する。
【0239】
本発明の組成物中に存在し得るミネラル、ビタミン及び他の栄養素の例は、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンD、イノシトール、タウリン、葉酸、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、コリン、カルシウム、リン、ヨウ素、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、塩化物、カリウム、ナトリウム、ベータ-カロテン、ヌクレオチド、セレン、クロム、モリブデン及びL-カルニチンを含む。ミネラルは、典型的には塩形態で添加される。
【0240】
本発明の組成物は、場合によって、また典型的には乳化剤及び/又は安定剤、例えばレシチン(例えば卵若しくは大豆由来)、改質レシチン(例えば酵素的若しくはアセチル化)、カラギーナン、キサンタンガム、モノ-及びジグリセリド、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、脂肪酸のスクロースエステル、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル又はそれらの任意の混合物を含む。
【0241】
本発明の組成物は、場合によって、おいしさを改善するために、1種以上の天然又は合成風味担体を含む。この部門において使用される任意の風味担体、例えばイチゴ、サクランボ、チョコレート、オレンジ、ココナツ、バニラ;スパイス、例えばナツメグ及び桂皮;又はクエン酸を使用することが可能である。天然風味担体、例えばココナツ片が使用されるいくつかの場合において、構成物質は、組成物の全体的栄養プロファイルに寄与し、すなわち、脂肪、タンパク質及び/又は炭水化物構成物質の品質及び量に寄与する。
【0242】
本発明の組成物はまた、場合によって、組成物の栄養プロファイルに寄与する、及び/又は所望の風味特性、例えば風味又は口当たりの向上を付与し得る様々な他の構成物質を含む。そのような構成物質は、落花生、レーズン、チーズ粉末、酢、塩、重炭酸ナトリウムを含む。バーの場合、組成物には、典型的にはチョコレート又は芳香付きコーティング(例えばチョコレート、バニラ、イチゴ等)が提供される。
【0243】
本発明の組成物はまた、場合によって、視覚的印象を改善するために、天然又は合成染料を含む。
【0244】
本発明の組成物は、複数の物理的具現化形態、例えば成人若しくは小児用の液体経腸栄養食品若しくは飲料の形態、半固体形態、例えばブラマンジェ、クリーム、ムースの形態、又は固体形態、例えば栄養バー若しくはビスケットの形態であってもよい。
【0245】
本発明の組成物は、食品技術において公知の標準的方法によって、例えば、参照により完全に組み込まれる以下の出版物:米国特許第4,670,268号、米国特許第4,497,800号、米国特許第4,900,566号、米国特許第5,104,677号、米国特許第5,389,395号、及び米国特許第5,223,285号;Chocolate, Cocoa and Confectionery: Science and Technology、第3版、Bernard W. Minifie、Van Nostrand Reinhold、New York、1989、502~506ページに記載のものと類似した方法によって生成され得る。
【0246】
栄養バー及びビスケットの場合、目標は、典型的には物理的成形後に組成物を焼くことである。
【0247】
本発明の組成物は、所望により、公知の方法によって、例えば熱処理、例えばオートクレーブ処理若しくは滅菌若しくは照射によって滅菌されてもよく、又は無菌的方法によって生成及び包装されてもよい。
【0248】
本発明の組成物は、食品の保存に好適であることが知られている任意の種類の容器又はパッキング、例えば紙、ガラス、コーティングされたボール紙、プラスチック又はコーティングされた金属缶にパッキングされ得る。
【0249】
本発明の組成物は、栄養学的にバランスがとれていてもよい。「栄養学的にバランスがとれた」という用語は、組成物が、長期間にわたり健康なヒトの生活を維持するのに適切な栄養素を含むことを意味するように理解される。
【0250】
本発明の活性物質で改質された布地製品:
本発明の活性物質による布地の改質は、様々な観点から興味深い。
【0251】
例えば、冷涼化合物による布地の改質は、特に、経皮的移動により活性物質が例えば局所的又は全身的にその効果を示し得るような、衣料品が皮膚に直接接触する用途が見出される。近年、「健康添加剤(wellness additive)」、すなわち健康を促進する物質で改質された布地が報告されている(R. Breier 「Megatrend Wellness - Innovative Ideen fur die Textilausrustung [Wellness, The Megatrend - Innovative Ideas for Textile Modification]」、31. Aachener Textiltage November 2004)。
【0252】
殺虫のための改質、例えば、蛾の被害等に対抗するためであるが、特にまた蚊等の寄生虫を撃退するための布地の改質もまた、材料保護の点で興味深い。
【0253】
活性物質による布地の改質における根本的問題は、布地担体への活性物質の結合であり、これは一方で改質の恒久性を確保しなければならず、他方で活性物質がその効果を失わないように選択されなければならない。この目的のために、先行技術において様々な手法が提案されている。
【0254】
例えば、布地への活性物質の結合にシクロデキストリンが提案されている(例えば、DE-A-19810951及びEP-A-0 392 608を参照されたい)。シクロデキストリンは、デンプンの酵素分解により形成される環式オリゴサッカリドである。最も一般的なシクロデキストリンは、それぞれ6個、7個及び8個のα-1,4-結合グルコース単位からなるα-、β-及びγ-シクロデキストリンである。シクロデキストリン分子の特徴的な特性は、寸法がほぼ変化しないその環構造である。環の内径は、α-シクロデキストリンでは約570pm、β-シクロデキストリンでは約780pm、及びγ-シクロデキストリンでは約950pmである。その構造に起因して、シクロデキストリンは、飽和までの様々な量でゲスト分子、特に疎水性ゲスト分子を含むことができる。
【0255】
EP-A-1710345は、少なくとも30%のアミロース含量を有するアミロース含有物質を用いて布地に結合した、低分子量の芳香剤及び他の有機活性物質による布地の改質を記載している。
【0256】
アミロース含有物質のアミロース含量の結果、活性物質は布地に結合し、長期間効果が持続されるように制御された様式で放出される。活性物質は、シクロデキストリンと同様の様式で、アミロースのらせん構造により形成された空洞内に包接化合物の様式で可逆的に結合し、これにより第1に布地担体の表面上への活性物質の固定が達成され、第2に制御放出が可能になると想定される。
【0257】
本発明の布地の改質のために、アミロースだけでなく、原則的に全ての物質、特に、少なくとも30重量%、特に少なくとも40重量%のアミロース含量を有するアミロース含有デンプン、すなわち天然デンプン、改質デンプン及びデンプン誘導体が好適である。デンプンは、天然であってもよく、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、ジャガイモデンプン、ソルガムデンプン、コメデンプン若しくはクズデンプンであってもよく、又は、天然デンプンの部分消化により得られたもの、若しくはそれにより化学改質されたものであってもよい。同様に、純粋なアミロースそのもの、例えば酵素的手段により得られたアミロース、例えばスクロースから得られたアミロースもまた好適である。同様に、全アミロース含量が混合物の総重量に対して少なくとも30重量%である限り、アミロース及びデンプンの混合物もまた好適である。ここで、及び以降において、アミロースとデンプンとの混合物の場合、アミロース又はアミロース含有物質に関連する重量%での数字は全て、別段に明示されない限り、常にアミロース+デンプンの総重量に対することが明らかである。
【0258】
本発明に従って特に好適なのは、アミロース含有物質、特にアミロース及びアミロース含有デンプン及びアミロース/デンプン混合物であり、アミロース含量は、物質の総重量に対して少なくとも40重量%、特に少なくとも45重量%である。一般に、アミロース含量は、90重量%以下、特に80重量%以下である。そのような物質は公知であり、市販されている。例えば、アミロース含有デンプンは、CerestarによりAmylogel(登録商標)の商品名で、並びにNational StarchによりHYLON(登録商標)V及びVIIの商品名で販売されている。
【0259】
活性物質及び布地の結合を達成するために、布地は、いずれの場合も布地の重量に対して一般に少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1重量%、特に少なくとも2重量%の量のアミロース含有物質で改質され得る。一般に、アミロース含有物質は、布地の触覚特性に悪影響を及ぼさないために、布地の重量に対して25重量%以下、多くの場合20重量%以下、特に15重量%以下の量で使用される。
【0260】
布地材料は、まず初めにアミロース含有物質そのもので改質され、次いでこのように改質された布地は、活性物質の好適な調製物で処理される。このようにして、布地材料に存在するアミロース含有物質に活性物質が追加される。
【0261】
代替として、アミロース含有物質を活性物質と一緒に使用して布地を改質することが可能である。ここで、活性物質及びアミロース含有物質を、別個の成分の混合物として、又はすでに予め作製されたアミロース/活性物質複合体の形態で用いることが可能である。
【0262】
一般に、活性物質は、所望の効果に十分な量で使用される。上限は、使用されるアミロース含有物質のアミロース単位の最大吸収能力により決定され、物質のアミロース含量に対して一般に20重量%以下、多くの場合10重量%以下である。所望により、活性物質は、一般に、アミロース含有物質のアミロース含量に対して0.00001重量%~15重量%、0.0001重量%~10重量%、0.001重量%~5重量%、0.005重量%~1重量%、又は0.1重量%~10重量%又は0.5重量%~5重量%の量で使用される。
【0263】
布地改質はまた、本発明の活性物質と、それ自体布地改質に好適であることが知られている他の活性物質との組合せを使用して達成され得る。
【0264】
好適なさらなる活性物質は、活性物質として知られ、生物形態、例えばヒト及び微生物を含む動物において生理学的効果を誘引する、原則的に全ての有機化合物及び有機化合物の混合物である。これらは、シクロデキストリンと包接化合物を形成することが知られている活性物質を含む。特に好適な活性物質は、ヒドロカルビル基、並びに特に脂肪族、脂環式及び/又は芳香族構造を有するものである。活性物質の分子量は、典型的には1000ダルトン未満であり、多くの場合100~600ダルトンの範囲内である。また、無機化合物、例えば、周知であるようにシクロデキストリン内に結合し得る過酸化水素も好適である(これに関しては、F. Vogtle、Supramolecular Chemistry、第2版、B. G. Teubner、Stuttgart 1992、シクロデキストリン及びそこで引用されている文献を参照されたい)。
【0265】
さらなる活性物質は、特に、医薬活性物質、及び生物形態、特にヒトの健康を促進し、一般に「健康添加剤」とも呼ばれる活性物質を含む。医薬活性物質とは異なり、健康添加剤は、必ずしも治療効果を有する必要はない。その代わり、健康促進効果は、多くの要因、例えばケア効果、誘引効果、化粧効果又は他の効果に基づき得る。同じく好適なのは、寄生生物に対して作用する有機活性物質である。これらは、例えば、菌類及び/若しくは微生物に対して作用する活性物質、例えば殺菌剤及び殺細菌剤、又は有害動物、例えばナメクジ、蠕虫、ダニ、昆虫及び/若しくはげっ歯類に対して作用する活性物質、例えば殺線虫剤、軟体動物駆除剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、殺鼠剤及び忌避活性物質、並びに雑草に対する活性物質、すなわち除草剤、又は芳香剤を含む。
【0266】
好ましい医薬活性物質は、皮膚を通して吸収可能であることが公知のものである。これらは、例えば、イブプロフェン、フルルビプロフェン、アセチルサリチル酸、アセトアミドフェン、アポモルフィン、ブチル化ヒドロキシトルエン、カマズレン、グアイアズレン、クロルタリドン、コレカルシフェロール、ジクマロール、ジゴキシン、ジフェニルヒダントイン、フロセミド、ヒドロフルメチアジド、インドメタシン、リン酸イプロニアジド、ニトログリセリン、ニコチン、ニコチンアミド、ウアバイン、オクスプレノロール、パパベリンアルカロイド、例えばパパベリン、ラウダノシン、エタベリン及びナルコチン、並びにまたベルベリン、さらにレチノール、トランス-レチノイン酸、プレチノール(pretinol)、スピロノラクトン、スルピリド、テオフィリン、テオブロミン、コルチコステロイド及び誘導体、例えばテストステロン、17-メチルテストステロン、コルチゾン、コルチコステロン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、フルドロコルチゾン、フルオコルトロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロゲステロン、特に、エストロゲン及びゲスターゲン、例えばエストラジオール、エストリオール、エチニルエストラジオール3-メチルエーテル、ノルエチステロン及びエチステロン、並びにまたフェネチルアミン及び誘導体、例えばチラミン、アドレナリン、ノルアドレナリン及びドーパミンを含む。
【0267】
寄生生物に対する効果を有する本発明に従って好適である活性物質の例は、www.reith-pfister.de/w.list.html及びwww.hclrss.demon.co.uk/class_pesticides.htmlで引用されている殺線虫剤、殺細菌剤、殺菌剤、殺虫剤、防虫剤、ダニ駆除剤及び軟体動物駆除剤である。
【0268】
殺細菌及び殺菌物質の例は、抗生物質、例えばシクロヘキシミド、グリセオフルビン、カスガマイシン、ナタマイシン、ポリオキシン、ストレプトマイシン、ペニシリン又はゲンタマイシン;
有機化合物及び殺生物性金属の錯体、例えば銀、銅、スズ及び/又は亜鉛の錯体、例えばビス(トリブチルスズ)オキシド、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛及びナフテン酸スズ、オキシン-銅、例えばCu-8、トリス-N-(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)アルミニウム、N-(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)トリブチルスズ、ビス-N-(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)銅;
第四級アンモニウム塩、例えばベンジル-C8~C18-アルキルジメチルアンモニウムハライド、特にクロリド(塩化ベンザルコニウム);
脂肪族窒素殺菌剤及び殺細菌剤、例えばシモキサニル、ドジン、ドジシン(dodicin)、グアジジン(guazidine)、イミノクタジン、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、トリデモルフ;
過酸化基を有する物質、例えば過酸化水素、及び有機過酸化物、例えば過酸化ジベンゾイル;
有機塩素化合物、例えばクロルヘキシジン;
トリアゾール殺菌剤、例えばアザコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、プロピコナゾール、テトラコナゾール、テブコナゾール及びトリチコナゾール;
ストロビルリン、例えばジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン及びトリフロキシストロビン;
スルホンアミド、例えばトリルフルアニド及びジクロフルアニド;
ヨウ素化合物、例えばジヨードメチルp-トリルスルホン、ナプコシド(napcocide)、3-ヨード-2-プロピニルアルコール、4-クロロフェニル3-ヨードプロパルギルホルマール、3-ブロモ-2,3-ジヨード-3-プロペニルエチルカーボネート、2,3,3-トリヨードアリルアルコール、3-ヨード-2-プロピニルn-ヘキシルカルバメート、3-ブロモ-2,3-ジヨード-2-プロペニルアルコール、3-ヨード-2-プロピニルフェニルカルバメート、3-ヨード-2-プロピニルn-ブチルカルバメート、O-1-(6-ヨード-3-オキソヘキサ-5-イニル)フェニルカルバメート、O-1-(6-ヨード-3-オキソヘキサ-5-イニル)ブチルカルバメート;
イソチアゾリノン、例えばN-メチルイソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-N-メチルイソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-N-オクチルイソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)オン、4,5-トリメチルイソチアゾール-3-オン及びN-オクチルイソチアゾリン-3-オンを含む。
【0269】
殺虫剤及びダニ駆除剤の例は、
有機ホスフェート、例えばアセフェート、アザメチホス、アジンホス-メチル、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロルフェンビンホス、ダイアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エチオン、フェニトロチオン、フェンチオン、イソキサチオン、マラチオン、メタアミドホス、メチダチオン、メチル-パラチオン、メビンホス、モノクロトホス、オキシデメトン-メチル、パラオキソン、パラチオン、フェントエート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ホレート、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロチオホス、スルプロホス、トリアゾホス又はトリクロルホン;
特にピレスロイド、例えばアクリナスリン、アレスリン、ビオアレトリン、バートリン、ビフェントリン、ビオエタノメトリン、シクレトリン(cyclethrin)、シクロプロトリン、シフルトリン、ベータ-シフルトリン、シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、シペルメトリン、α-シペルメトリン、β-シペルメトリン、λ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、シフェノトリン、デルタメトリン、ジメフルトリン、ジメトリン、エンペントリン、フェンフルトリン、フェンピリトリン、フェンプロパトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フルシトリネート、フルビネート(fluvinate)、タウ-フルビネート(tau-fluvinate)、フレトリン(furethrin)、ペルメトリン、ビオペルメトリン、trans-ペルメトリン、フェノトリン、プラレトリン、プロフルトリン、ピレスメトリン、レスメトリン、ビオレスメトリン、シスメトリン、テフルトリン、テラレトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、エトフェンプロックス、フルフェンプロックス、ハルフェンプロックス、プロトリフェンブテ(protrifenbute)及びシラフルフェン;
ピロール及びピラゾール殺虫剤、例えばアセトプロール、エチプロール、フィプロニル、テブフェンピラド、トルフェンピラド、クロルフェナピル及びバニリプロールである。
【0270】
忌避活性物質の例は、特に、アントラキノン、アクリジン塩基、ナフテン酸銅、ブトピロノキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、ジメチルカルベート(dimethyl carbate)、エトヘキサジオール、ヘキサミド、メトキン-ブチル、N-メチルネオデカンアミド、ショウノウ、ベルガモット油、除虫菊、チョウジ油、ゼラニウム油、タイム油、並びに特にジエチル-m-トルアミド及び2-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルプロピル1-ピペリジンカルボキシレート(ピカリジン)である。
【0271】
健康添加剤の例は、特に、以下で列挙される物質及び物質の混合物であり、例えば、
脂肪、好ましくは植物起源の脂肪、例えばレシチン、
植物油、例えばホホバ油、ティーツリー油、チョウジ油、月見草油、アーモンド油、ココナツ油、アボカド油、ダイズ油等、
脂肪酸、例えばω-6-脂肪酸、リノレン酸、リノール酸、
動物又は植物起源のワックス、例えばミツロウ、キャンデリラワックス、シアバター、ショレアバター(shorea butter)、マンゴー核バター、木ロウ等、
ビタミン、特に脂溶性ビタミン、例えばトコフェロール、ビタミンE、ビタミンA等、
コルチコステロイド、例えばコルチゾン、コルチコステロン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、フルドロコルチゾン、フルオコルトロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロゲステロン、
アミノ酸、例えばアルギニン、メチオニン、
植物抽出物、例えば藻類抽出物、セイヨウトチノキ抽出物、マンゴー抽出物等である。
【0272】
本発明の改質の洗浄性能の改善のために、アミロース含有物質が結合剤により布地に固定されると有用であることが分かっている。有用な結合剤は、第1にフィルム形成非水溶性ポリマー、第2に加熱されると重合する低分子量の反応性物質が挙げられる。一般に、結合剤は、アミロース含有物質と非水溶性ポリマーとの重量比が1:1~100:1の範囲内、好ましくは1.5:1~50:1の範囲内、特に2:1~20:1の範囲内であるような量で使用される。
【0273】
一般に、フィルム形成ポリマーは、微粉化ポリマー粒子の水性分散液の形態で使用される。本発明の成功には、粒径はそれほど重要ではない。しかしながら、粒径は一般に5μm(重量平均)未満であり、一般に50nm~2μmである。
【0274】
フィルム形成ポリマーは、特に、-40~100℃、好ましくは-30~+60℃、特に-20~+40℃の範囲内のガラス転移温度TGを有してもよい。ポリマー結合剤が複数のポリマー成分を含む場合、少なくとも主構成物質がこの範囲内のガラス転移温度を有するべきである。主構成物質のガラス転移温度は、特に、-30℃~+60℃の範囲内、より好ましくは-20℃~+40℃の範囲内である。好ましくは全てのポリマー構成物質がこれらの範囲内のガラス転移温度を有する。報告されるガラス転移温度は、ASTM-D 3418-82に従うDSCにより決定される中心点温度に関連する。架橋性結合剤の場合、ガラス転移温度は未架橋状態に関連する。
【0275】
好適なフィルム形成ポリマーの例は、以下のポリマークラスに基づく。
(1)ポリウレタン樹脂、
(2)アクリレート樹脂(直鎖アクリレート:アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートのコポリマー)、
(3)スチレンアクリレート(スチレン及びアルキルアクリレートのコポリマー)、
(4)スチレン/ブタジエンコポリマー、
(5)ポリビニルエステル、特にポリ酢酸ビニル、及び酢酸ビニルとプロピオン酸ビニルとのコポリマー、
(6)ビニルエステル-オレフィンコポリマー、例えば酢酸ビニル/エチレンコポリマー、
(7)ビニルエステル-アクリレートコポリマー、例えば酢酸ビニル/アルキルアクリレートコポリマー及び酢酸ビニル/アルキルアクリレート/エチレンターポリマー。
【0276】
そのようなポリマーは公知であり、市販されており、例えば以下の名称の水性分散液の形態のクラス(2)~(7)のポリマーである:ACRONAL、STYROFAN、BUTOFAN(BASF AG)、MOWILITH、MOWIPLUS、APPRETAN(Clariant)、VINNAPAS、VINNOL(WACKER)。本発明の方法に好適な水性ポリウレタン分散液(1)は、特に、布地のコーティングに使用されるものである(例えば、J. Hemmrich、Int. Text. Bull. 39、1993、No. 2、53~56ページ;「Wassrige Polyurethan-Beschichtungssysteme」[Aqueous Polyurethane Coating Systems]Chemiefasern/Textilind. 39 91 (1989) T149、T150;W. Schroer、Textilveredelung[Textile finishing] 22、1987、459~467ページを参照されたい)。水性ポリウレタン分散液は、例えばAlberdingkからAlberdingk(登録商標)、BAYER AGからImpranil(登録商標)、Stahl(Waalwijk、オランダ)からPermutex(登録商標)、BASF SEからの商品名で市販されており、又は、それらは、例えば「Herstellverfahren fur Polyurethane」[Production methods for polyurethanes] in Houben-Weyl、「Methoden der organischen Chemie」[Methods of Organic Chemistry]、E20巻/Makromolekulare Stoffe[Macromolecular Substances]、1587ページ、D. Dietrichら、Angew. Chem. 82 (1970)、53ページ以下、Angew. Makrom. Chem. 76、1972、85ページ以下及びAngew. Makrom. Chem. 98、1981、133~165ページ、Progress in Organic Coatings、9、1981、281~240ページ、若しくはRompp Chemielexikon [Rompp's Chemical Lexicon]、第9版、第5巻、3575ページに記載の公知の方法によって調製され得る。
【0277】
フィルム形成ポリマーは自己架橋性であってもよく、これは、ポリマーが、組成物を場合によって加熱により乾燥させた場合に、互いに、アミロースの官能基と、又は低分子量架橋剤と反応して結合を形成する官能基(架橋性基)を有することを意味する。
【0278】
架橋性官能基の例は、脂肪族を介して結合したOH基、NH-CH2-OH基、カルボキシレート基、無水物基、キャッピングされたイソシアネート基及びアミノ基を含む。反応基としてまだ遊離OH基を有するポリマーが使用されることが多い。一般に、反応性官能基の割合は、ポリマーのkg当たり0.1~3molである。架橋は、相補的反応性を有する官能基の反応によりポリマー内でもたらされ得る。好ましくは、ポリマーの架橋は、架橋剤の官能基に対するその反応性に関して相補的である反応基を有する架橋剤を添加することによりもたらされる。相補的反応性を有する官能基の好適な対は、当業者に公知である。そのような対の例は、OH/COOH、OH/NCO、NH2/COOH、NH2/NCO及びM2+/COOHであり、ここで、M2+は、二価金属イオン、例えばZn2+、Ca2+、又はMg2+である。好適な架橋剤の例は、ポリウレタンに関して以下で言及されるジ-又はポリオール;第一級又は第二級ジアミン、好ましくは第一級ジアミン、例えばアルキレンジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、N,N-ビス[(アミノプロピル)アミノ]エタン、3,6-ジオキサオクタンジアミン、3,7-ジオキサノナンジアミン、3,6,9-トリオキサウンデカンジアミン又はJeffamine、(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)メタン、(4,4'-ジアミノ-3,3-ジメチルジシクロヘキシル)メタン;アミノアルコール、例えばエタノールアミン、ヒドロキシプロピルアミン;エトキシ化ジ-及びオリゴアミン;脂肪族又は芳香族ジカルボン酸のジヒドラジド、例えばアジピン酸ジヒドラジド;ジアルデヒド、例えばグリオキサール;部分又は完全O-メチル化メラミン、及び平均して2つ以上、好ましくは3つ以上のイソシアネート基、又は可逆的にブロックされた、例えば亜硫酸水素塩でブロックされたイソシアネート基を有する化合物又はオリゴマーである。この場合、架橋剤とポリマー結合剤との比は、ポリマー結合剤の反応基(ポリマーの反応基の総量)の架橋剤の反応基とのモル比が、一般に1:10~10:1の範囲内、好ましくは3:1~1:3の範囲内となるような比である。典型的には、ポリマー結合剤(固体として計算される)と架橋剤との重量比は、100:1~1:1の範囲内、特に50:1~5:1の範囲内である。
【0279】
アミロース含有物質を非水溶性ポリマーに固定する代わりに、アミロース又はアミロース含有物質はまた、アミロースのOH基に対して反応性である少なくとも1つの基、及び布地材料の繊維上の官能基、例えばOH基、NH2基又はCOOH基に対して反応性である少なくとも1つのさらなる官能基を有する反応性化合物で布地材料上に固定されてもよい。反応性化合物は、上述の架橋剤、及びDE-A 40 35 378においてシクロデキストリンの固定に関して提案されている物質、例えば尿素又は尿素様化合物のN-ヒドロキシメチル及びN-アルコキシメチル誘導体、例えばジメチロール尿素(ビス(ヒドロキシメチル)尿素)、ジ(メトキシメチル)尿素、ジメチロールアルカンジオールジウレタン、例えばN,N-ジメチロールエチレン尿素(N,N-ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリン-2-オン)、N,N-ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(N,N-ビス(ヒドロキシメチル)-4,5-ジヒドロキシイミダゾリン-2-オン)、ジメチロールプロピレン尿素等を含む。そのような材料は、例えばBASF SE.からのFixapret(登録商標)及びFixapret(登録商標)-ecoの商品名での、布地の商業的改質のための水性製剤の形態である。布地材料上のアミロース含有物質の固定に利用され得る反応性材料はまた、特に、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の(場合によって可逆的にブロックされた)イソシアネート基を有する化合物、特に、重亜硫酸塩又はCH-酸性化合物又はオキシメン、例えばブタノンオキシムで可逆的にブロックされ、DE 2837851、DE 19919816及び以前の欧州特許出願第03015121号に記載のポリエーテル-及びポリエステルウレタンをベースとするポリイソシアネートプレポリマーを含む。そのような生成物はまた、例えばRotta GmbH、MannheimからPROTOLAN(登録商標)367及びPROTOLAN(登録商標)357の商品名で市販されている。
【0280】
アミロース含有物質はまた、同様の様式でシクロデキストリンの固定において知られている手順を使用して固定されてもよく、シクロデキストリン、又はこの場合ではアミロース含有物質には、例えばそれ自体公知の様式でジカルボン酸又はジカルボン酸無水物、例えばマレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸若しくはアジピン酸と、イソシアネート、例えばトルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート若しくはヘキサメチレンジイソシアネートと、又はアミノカルボン酸と、これらの化合物に存在する官能基の一方のみがアミロース含有物質のOH基と反応し、他方が繊維材料の反応基への結合に確保されるように反応させることによって、反応性アンカーが付与される。反応性アンカーはまた、1,3,5-トリクロロトリアジン、2,3-ジクロロキノキサリン-5,6-カルボニルクロリド及びクロロジフルオロピリミジンとの反応により、アミロース含有物質上で生成され得る。
【0281】
さらに、アミロースの固定はまた、アルコキシシラン、例えばジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラエトキシシラン、並びにこれらの化合物の二量体、三量体及びより高次の縮合生成物を使用して達成され得る。
【0282】
このように、原則的に全ての布地材料、すなわち未完成材料又は完成材料を改質することが可能である。ここで、及び以降で、布地材料は、織布、ループドロー編布(loop-drawn knitted fabric)、ループ形成編布(loop-formed knitted fabric)及び不織布を含む。布地材料は、天然繊維糸、合成繊維糸及び/又は混合糸から構築されていてもよい。原則的に、有用な繊維材料は、布地の製造に慣例的に使用される全ての繊維材料を含む。これらは、綿、毛、麻繊維、サイザル繊維、亜麻、ラミー、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビスコース繊維、絹、アセテート繊維、トリアセテート繊維、アラミド繊維等、及びこれらの繊維材料の混合物を含む。
【0283】
アミロース含有物質での布地材料の改質又は処理は、それ自体公知の様式で、例えばシクロデキストリンでの布地の改質に関するDE-A 4035378に記載の方法を用いて行うことができる。
【0284】
例えば、アミロース含有物質が、場合によって活性物質との複合体として、生地を製造するための繊維、フィラメント及び/又は糸にすでに紡糸されている方法を挙げるべきである。
【0285】
しかしながら、多くの場合、布地材料は、仕上げ前又は仕上げ後に、アミロース含有物質又はアミロース含有物質及び活性物質の複合体で処理される。一般に、この目的のために、布地は、アミロース含有物質及び場合によって十分な量の活性物質を含む水性液で処理される。適用様式、及びアミロース含有物質が適用される所望の量に応じて、液中のアミロース含有物質の濃度は、1重量%~40重量%の範囲内、特に2重量%~20重量%の範囲内、特に4重量%~15重量%の範囲内である。
【0286】
処理様式はそれほど重要ではなく、例えば、噴霧適用等による最小限の適用の形態、パッド-マングルでの通常の適用の形態、又は高湿度適用として行うことができる。ここで、布地材料は、水性液に浸漬される。その後、場合によって、例えば約30%~120%の液吸収率(liquor pickup)まで圧搾することにより過剰の液が除去されてもよい。
【0287】
布地をアミロース含有物質又はアミロース含有物質及び活性物質の複合体で処理する別の様式は、所望量のアミロース含有物質及び場合によって活性物質が、例えば(改質される布地の質量に対して)0.5重量%~20重量%で存在する水で液を調製することである。布地材料は、この目的に好適な改質集合体(modification aggregate)(例えばウィンチベック(winch beck)、ローラーベック(roller beck)、パドル等)において、ある特定の期間、例えば10~60分の間処理液に浸漬され、次いで上記のように圧搾及び/又は紡糸される。ここで、液の比は、一般に1:2~1:50の範囲内、特に1:3~1:20の範囲内である。
【0288】
そのような方法は、例えば、H. K. Rouette、Lexikon der Textilveredlung[[Lexicon of Textile Finishing]、Laumann-Verlag、Dulmen 1995、669ページ以下から当業者に公知である。
【0289】
一般に、液による処理に続いて乾燥操作が行われる。ここで、温度は、一般に100~200℃の範囲内、好ましくは120~180℃の範囲内である。乾燥は、この目的において慣例的な装置で、完成した材料の場合には例えばタンブル乾燥により上記の温度で行うことができる。未完成の材料の場合、適用に続いて、一般に、1つ以上のテンターフレームを通して布地材料が導かれる。
【0290】
アミロース含有物質がフィルム形成ポリマーと一緒に使用される場合、乾燥によって布地繊維上にアミロース含有物質が固定される。一般に、その場合の乾燥温度は100℃以上であり、好ましくは120~200℃の範囲内、特に140~180℃の範囲内である。一般に、乾燥は、1~10分、特に1~2分の期間にわたり行われるが、より長い乾燥時間もまた同様に好適である。
【0291】
水性液での処理には、水性液並びにアミロース含有物質及び場合によって活性物質が、水性液中のアミロース含有物質及び活性物質の分散に好適な少なくとも1種の表面活性物質(又は界面活性物質)を含む場合が有利であることが分かっている。表面活性物質は、好ましくは、オリゴマー又はポリマー分散剤である。「オリゴマー又はポリマー分散剤」という用語は、低分子量表面活性物質とは対照的に、一般に少なくとも2000ダルトン、例えば2000~約100000ダルトン、特に約3000~70000ダルトンの範囲内の数平均分子量を有する分散剤を包含する。
【0292】
一般に、水性液は、アミロース含有物質に対して0.5重量%~20重量%、好ましくは1重量%~18重量%、特に5重量%~15重量%の量のポリマー又はオリゴマー分散剤を含む。
【0293】
好適なオリゴマー又はポリマー分散剤は、水溶性であり、非荷電及び両性水溶性ポリマー、並びにカチオン性及びアニオン性ポリマーの両方を含み、後者が好ましい。
【0294】
非荷電ポリマー分散剤の例は、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、好ましくはブロックコポリマー、ポリビニルピロリドン、及び酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマーである。
【0295】
それらがカルボキシル基及び/又はスルホン酸基を有する、好ましいアニオン性オリゴマー又はポリマー分散剤の特徴は、典型的には塩として、例えばアルカリ金属塩又はアンモニウム塩として使用されることである。
【0296】
好ましいアニオン性分散剤は、例えば、セルロースのカルボキシル化誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、エチレン性不飽和C3~C8-モノ-及びC4~C8-ジカルボン酸、例えばアクリル酸の、メタクリル酸の、マレイン酸の、イタコン酸のホモポリマー、上記の少なくとも2つの異なるエチレン性不飽和C3~C8-モノ-及びC4~C8-ジカルボン酸のコポリマー、並びに上述のエチレン性不飽和C3~C8-モノ-又はC4~C8-ジカルボン酸の少なくとも1種と少なくとも1種の非荷電コモノマーとのコポリマーである。非荷電コモノマーの例は、N-ビニルラクタム、例えばN-ビニルピロリドン、脂肪族C2~C16-カルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、上述のエチレン性不飽和カルボン酸のアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド等、ヒドロキシ-C1~C4-アルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチルアクリレート及びメタクリレート、エチレン性不飽和C3~C8-モノ-又はC4~C8-ジカルボン酸とポリエーテルとのエステル、例えばアクリル酸又はメタクリル酸とポリエチレンオキシド又はエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーとのエステル、ビニル芳香族、例えばスチレン、及びC2~C16-オレフィン、例えばエチレン、プロペン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン等である。さらに、エチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及びアクリルアミドプロパンスルホン酸のホモポリマー、並びにそれらと上述のコモノマーとのコポリマーが好ましい。コポリマーにおいて、エチレン性不飽和酸の割合は、いずれの場合もポリマーを構成する全てのモノマーの総重量に対して一般に少なくとも20重量%であり、90重量%、特に80重量%の値を超えない。
【0297】
上述の酸の少なくとも1種及び少なくとも1種のコモノマーのコポリマーは、この目的において公知であり、市販されており、例えば、アクリル酸及びマレイン酸のコポリマーがBASF SEからSokalanの商品名で市販されている。
【0298】
同様に好ましいアニオン性分散剤は、フェノールスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合物及びナフタレンスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合物(例えばBASFからのTamol及びSetamolの商品名)、並びにリグノスルホネートである。
【0299】
また、使用可能な分散剤は、低分子量のアニオン性、非イオン性、カチオン性、両性及び双性イオン性界面活性剤である。好適な界面活性剤は、例えば、C8~C18-アルキルサルフェートのアルカリ金属、アンモニウム又はアミン塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム;C8~C18-アルキルスルホネート、例えばドデシルスルホネート;C8~C18-アルキルエーテルサルフェート;及びC8~C18-アルキルエトキシレート;ポリオキシエチレンソルビタンエステル;C8~C18-アルキルグリシネート;C8~C18-アルキルジメチルアミンオキシド;ベタイン等である。アルキルサルフェート及びアルキルスルホネートが好ましい。
【0300】
アミロース含有物質がフィルム形成非水溶性ポリマーと一緒に使用されない場合、布地は、別個のステップにおいてポリマーで処理され得る。より具体的には、処理は、アミロース含有物質と一緒に行われる。したがって、特定の実施形態は、水性液が上述の種類の分散したフィルム形成非水溶性ポリマーをさらに含む方法に関する。ここで、フィルム形成ポリマーの量は、アミロース含有物質と非水溶性ポリマーとの重量比が1:1~100:1の範囲内、好ましくは1.5:1~50:1の範囲内、特に2:1~20:1の範囲内であるように選択される。
【0301】
布地は、別個の操作で、又はアミロース含有物質による改質と併せた操作で、活性物質により改質され得る。
【0302】
布地が別個の操作で活性物質で改質される場合、布地は、活性物質の水性液で同様に適切に処理される。この目的のために、典型的には非水溶性である活性物質は、一般に、場合によって好適な表面活性物質を使用して、水中に乳化又は分散される。好適な表面活性物質は、特に、上述の低分子量界面活性剤であり、中でも好ましくは非イオン性界面活性剤、特にポリオキシエチレンソルビタンエステル、モノ-又はオリゴサッカリドとC6~C18脂肪酸とのエステル、より好ましくはC8~C18-アルキルエトキシレート、特に6~50の範囲内のエトキシ化レベルを有するものである。一般に、水性液は、0.1重量%~10重量%の量、特に0.2重量%~5重量%の量の活性物質を含む。表面活性物質の量は、活性物質に対して一般に0.5重量%~50重量%の範囲内、特に3重量%~30重量%の範囲内である。活性物質は、その目的において慣例的な方法により、例えばパッド-マングルを用いて水性液から適用され得る。
【0303】
代替として、活性物質及びアミロース含有物質での改質を1つの操作で行うことが可能である。ここで、手順は、原則的に、アミロース含有物質での改質に関して説明された通りであってもよく、アミロース含有物質の水性液はここでは少なくとも1種の活性物質を追加的に含む。活性物質は、別個に、又は包接化合物の形態で、すなわちアミロース含有物質を有するホスト-ゲスト複合体の形態で液に添加されてもよい。
【0304】
本発明は、織布、編布、不織布等を含む任意の布地の改質に利用され得る。布地材料の種類は、主に所望の最終用途によって導かれる。
【0305】
改質される布地は、既製品、例えば下着及び上着、例えばシャツ、ズボン、ジャケット、アウトドア、トレッキング及び軍用衣料を含む衣類、屋根、テント、メッシュ、例えば蚊帳、並びにカーテン、ハンドタオル及びバスタオル、シーツ類等であってもよい。
【0306】
同様に、改質は、ベール又はロール形態の素材に行われてもよい。
【0307】
寄生生物、例えば昆虫及びコナダニに対する活性物質で改質された布地は、マダニ、ダニ、ノミ等に対する保護のための、人間の保護だけでなく特に動物保護に好適である。
【0308】
布地材料は、天然繊維糸、合成繊維糸及び/又は混合糸から構築されていてもよく、布は、典型的には、10~500g/m2、好ましくは20~250g/m2の範囲内の坪量を有する。原則的に、有用な繊維材料は、布地の製造に慣例的に使用される全ての繊維材料を含む。これらは、綿、毛、麻繊維、サイザル繊維、亜麻、ラミー、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビスコース繊維、絹、アセテート繊維、トリアセテート繊維、アラミド繊維等、及びこれらの繊維材料の混合物を含む。また、ガラス繊維及び上述の繊維材料とガラス繊維との混合物、例えばガラス繊維/ケブラー混合物も好適である。
【0309】
上述のアミロース系活性物質改質により、活性物質は、数回の洗浄後でもそれで改質された布地内に保持される。さらに、このようにして改質された布地は、心地よい手触りを特徴とし、これは特にこれらの布地から製造された衣服の着心地に有利である。
【0310】
冷涼タバコ製品:
原則的に、活性成分含量は、例えば0.05重量ppm~10重量%、好ましくは0.1重量ppm~10重量%の幅広い範囲にわたり変動し得る。
【0311】
本発明の活性物質はまた、タバコ製品の製造に有利に使用され得る。そのようなタバコ製品の例は、葉巻、巻きタバコ、パイプタバコ、噛みタバコ及び嗅ぎタバコを含む。
【0312】
冷涼添加物が加えられたタバコ製品の製造は、それ自体公知であり、例えば、参照により明確に組み込まれるUS 3,111,127、US 5,752,529及びUS 2005/0000529に記載されている。
【0313】
冷涼パッキング材料:
本発明の活性物質はまた、パッキング材料の製造に有利に好適である。
【0314】
それらは、それ自体公知の様式で同様に製造される。ここで、活性物質は、遊離形態若しくは例えばカプセル化形態でパッキング材料内に組み込まれてもよく、又は遊離形態若しくはカプセル化形態でパッキング材料に適用されてもよい。
【0315】
例えば、対応する改質プラスチックパッキング材料は、ポリマーフィルムの製造に関連する文献の詳細に従って製造可能である(例えば、Ullmann、第6版、2003、第36巻、567ページ)。好適な様式でコーティングされた紙の製造も同様に公知であり、例えば、Ullmann、第25巻、106ページ以下、第6版、2003に記載されている。
【0316】
本発明のさらなる態様は、以下の実施例、及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【実施例
【0317】
実施例は、本発明を例示するのに役立ち、それにより本発明を制限しない。別段に示されない限り、全ての数値は重量基準である。
【0318】
活性物質の生成:
本発明に従い使用される構造型1の活性物質は、それ自体公知である化合物であるか、又は有機合成分野の当業者により公知の合成法に基づいて調製され得る。
【0319】
ヒトTRPM8のクローニング:
ヒトTRPM8受容体のクローニングの出発点は、LnCaP cDNAバンクである。これは、例えば、市販のもの(例えばBioChain、Hayward、USAから)であるか、又は標準キットを使用してアンドロゲン感受性ヒト前立腺腺癌細胞株(例えばATCC、CRL1740又はECACC、89110211)から生成されてもよい。
【0320】
コード化TRPM8配列(例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=nuccore&id=109689694を参照されたい)は、標準的方法を用いてPCR増幅及びクローニングされ得る。このようにして単離されたヒトTRPM8遺伝子を、プラスミドpInd_M8の生成に使用した。
【0321】
代替として、TRPM8遺伝子はまた、合成的に生成されてもよい。
【0322】
HEK293試験細胞の生成:
ヒトTRPM8 DNAを有する生成された試験細胞系は、安定してトランスフェクトされたHEK293細胞株であった。ここで、導入されたプラスミドを介して、テトラサイクリンによるTRPM8発現の誘引の選択肢を提供するHEK293が好ましい。
【0323】
好適な試験細胞系の生成方法は、当業者に公知である。例えば、使用される細胞の生成は、Behrendt H.J.ら、Br. J. Pharmacol. 141、2004、737~745ページ、又はBehrendtによる論文「Vergleichende funktionale Untersuchungen des Hitze-Capsaicin-Rezeptors (TRPV1) und des Kalte-Menthol-Rezeptors (TRPM8) in rekombinanten und nativen Zellssystemen」[Comparative Functional Studies of the Heat Capsaicin Receptor (TRPV1) and the Cold Menthol Receptor (TRPM8) in Recombinant and Native Cell Systems](例えば、http://www-brs.ub.ruhr-uni-bochum.de/netahtml/HSS/Diss/BehrendtHansJoerg/diss.pdfで入手可能)から推察され得る。これらの出版物の開示は、参照により明確に組み込まれる。
【0324】
TRPM8モジュレーターのアッセイ:
Behrendt H.J.ら、Br. J. Pharmacol. 141、2004、737~745ページの文献においてすでに説明されている試験と同等の試験を行う。受容体の作動性又は拮抗性は、Ca2+-感受性染料(例えばFURA、Fluo-4等)を用いて定量され得る。作動物質自体は、Ca2+シグナルの増加をもたらし、拮抗物質は、例えばメントールの存在下で、Ca2+シグナルの低減をもたらす(いずれの場合も、Ca2+により異なる蛍光特性を有するようになるFluo-4染料を用いて検出される)。
【0325】
まず初めに、それ自体公知の様式で、形質転換HEK細胞の新鮮培養物を細胞培養瓶内で生成する。トリプシンを用いてHEK293-TRPM8試験細胞を細胞培養瓶から剥離し、96穴プレート(Greiner #655948 ポリ-D-リシン被覆)で40 000細胞/ウェルを100μlの培地に播種する。TRPM8受容体の誘引のために、テトラサイクリンを成長培地に添加する(DMEM/HG、10%FCSテトラサイクリン不含、4mM L-グルタミン、15μg/mLブラストサイジン、100μg/mLハイグロマイシンB、1μg/mLテトラサイクリン)。翌日、細胞にFluo-4AM染料を追加し、試験を行う。この目的での手順は、以下の通りである。
- 各ウェルに、100μlの培地(DMEM/HG、10%FCSテトラサイクリン不含、4mM L-グルタミン、15μg/mLブラストサイジン、100μg/mLハイグロマイシンB、1μg/mLテトラサイクリン)それぞれに対し100μl/ウェルのCa-4 Kit染色溶液(RB 141、Molecular Devices)を添加する。
- インキュベータ内で、30分/37℃/5%CO2、30分/RTでインキュベートする。
- 試験物質(200μlのHBSS緩衝液中異なる濃度)、並びに陽性対照(200μlのHBSS緩衝液中異なる濃度のメントール、イシリン及びイオノマイシン)、並びに陰性対照(200μlのHBSS緩衝液のみ)を調製する。
- 試験物質を50μl/ウェルの量で添加し、485nmの励起、520nmの発光で蛍光の変化を測定し(例えばFLIPRアッセイ機器(Molecular Devices)又はNovoStar(BMG))で、異なる物質/濃度での作用強度を評価し、EC50値を決定する。
【0326】
試験物質は、アッセイにおいて0.1~200μMの濃度で3連で使用する。通常、化合物はDMSO溶液中に維持し、アッセイには2%の最大DMSO濃度に希釈する。
【0327】
説明されたアッセイの性能の場合、内部評価では、驚くべきことに、本発明に従って使用される(本明細書に記載の)化合物は、TRPM8の作動物質として特に好適であることが示された。
【0328】
例として選択された本発明のモジュレーターに関して確認されたEC50値を、以下の表に示す。
【0329】
【表7】
【0330】
合成例:
1)N-エチル-2-メチルスルファニルエタンアミンの調製
【0331】
【化6】
1,1-ジメトキシ-2-(メチルチオ)エタン(21.5mL、161.07mmol、1.0当量)をHCl溶液(0.5M、323mL、1.0当量)に溶解し、50℃で1時間撹拌する。反応混合物をRTに冷却し、CH2Cl2(500mL)で抽出する。合わせた有機相をNa2SO4で脱水する。アルデヒド溶液をTHF(500mL)で希釈し、0℃に冷却し、次いでエチルアミン(水中70%の溶液、15.57mL、241.61mmol、1.5当量)、酢酸(9.1mL、161.07mmol、1.0当量)及びNa2SO4(250g)と混合する。16時間後、Na2SO4を通して反応混合物を濾過し、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(37.6g、177.17mmol、1.1当量)と混合する。反応混合物をRTで16時間撹拌する。珪藻土を通して固体を濾過し、溶液を減圧下で濃縮する。粗生成物を減圧下(7mbar、60℃)で蒸留する。化合物をさらに分析することなく使用する。
収率:23%。
【0332】
2)N-エチル-3-メチルスルファニルプロパン1-アミンの調製
【0333】
【化7】
メチオナール(25.0g、240.0mmol、1.0当量)をTHF(1000mL)に溶解し、0℃に冷却し、次いでエチルアミン(水中70%の溶液、23.2mL、360.0mmol、1.5当量)、酢酸(13.6mL、240.0mmol、1.0当量)及びNa2SO4(250g)と混合する。16時間後、Na2SO4を通して反応混合物を濾過し、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(55.95g、264.0mmol、1.1当量)と混合する。反応混合物をRTで16時間撹拌する。珪藻土を通して固体を濾過し、溶液を減圧下で濃縮する。粗生成物を減圧下(7mbar、60℃)で蒸留する。化合物をさらに分析することなく使用する。
収率:31%。
【0334】
3)N-ピリジン-、N-フェニル-及びN-1H-ピラゾールアミンの調製
1,1-ジメトキシ-2-(メチルチオ)エタン(1.0当量)をHCl溶液(0.5M、1.0当量)に溶解し、50℃で1時間撹拌する。反応混合物をRTに冷却し、CH2Cl2(全体で3mL/mmol)で抽出する。合わせた有機相をNa2SO4で脱水する。アルデヒド溶液を0℃に冷却し、次いでアミン(1.0当量)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.5当量)及び酢酸(1.0当量)と混合する。反応混合物をRTで16時間撹拌する。NaHCO3溶液の添加により反応を停止させる。水相をCH2Cl2で3回抽出し、合わせた有機相をNa2SO4で脱水し、減圧下で濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=19:1)により精製する。
【0335】
N-(2-メチルスルファニルエチル)ピリジン-2-アミン
【0336】
【化8】
収率84%
化合物をさらに分析することなく使用する。
【0337】
N-(2-メチルスルファニルエチル)アニリン
【0338】
【化9】
収率:85%
化合物をさらに分析することなく使用する。
【0339】
N-(2-メチルスルファニルエチル)-1H-ピラゾール-5-アミン
【0340】
【化10】
収率:84%
化合物をさらに分析することなく使用する。
【0341】
4)N-(2-メトキシエチル)アニリンの調製
【0342】
【化11】
1,1-ジメトキシ-2-(メチルオキシ)エタン(10g、83.23mmol、1.0当量)をHCl溶液(0.5M、1.0当量)に溶解し、50℃で1時間撹拌する。反応混合物をRTに冷却し、CH2Cl2(全体で3mL/mmol)で抽出する。合わせた有機相をNa2SO4で脱水する。アルデヒド溶液を0℃に冷却し、次いでアニリン(7.75g、83.23mmol、1.0当量)、ナトリウムシアノボロヒドリド(5.75g、91.55mmol、1.1当量)及び酢酸(4.7mL、83.23mmol、1.0当量)と混合する。反応混合物をRTで16時間撹拌する。NaHCO3溶液の添加により反応を停止させる。水相をCH2Cl2で3回抽出し、合わせた有機相をNa2SO4で脱水し、減圧下で濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=19:1)により精製する。
収率:19%
化合物をさらに分析することなく使用する。
【0343】
5)本発明のシンナミド又はフェノキシアセトアミドの調製
方法A
桂皮酸又はフェノキシ酢酸(1.5当量)及びN-メチルホルムアニリド(MFA)(1滴)をCH2Cl2(5mL/mmol)に溶解し、0℃に冷却し、塩化オキサリル(3.0当量)と混合する。反応混合物をRTで2時間及び40℃で1時間撹拌し、減圧下で濃縮する。トリエチルアミン(4.0当量)及び各アミン(1.0当量)をCH2Cl2(4mL/mmol)に溶解し、0℃に冷却する。粗生成物をCH2Cl2(1mL/mmol)に溶解し、滴下により徐々に添加する。反応混合物をRTで16時間撹拌する。NaHCO3溶液の添加により反応を停止させる。水相をCH2Cl2で抽出し(3回)、合わせた有機相をNa2SO4で脱水し、減圧下で濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。
【0344】
方法B:
桂皮酸又はフェノキシ酢酸(2.0当量)及びMFA(1滴)をCH2Cl2(5mL/mmol)に溶解し、0℃に冷却し、塩化オキサリル(4.2当量)と混合する。反応混合物をRTで2時間及び40℃で1時間撹拌し、減圧下で濃縮する。ピリジン(2.0当量)及び各アミン(1.0当量)をCH2Cl2(4mL/mmol)に溶解し、0℃に冷却する。粗生成物をCH2Cl2(1mL/mmol)に溶解し、滴下により徐々に添加する。反応混合物をRTで16時間撹拌する。NaHCO3溶液の添加により反応を停止させる。水相をCH2Cl2で抽出し(3回)、合わせた有機相をNa2SO4で脱水し、減圧下で濃縮する。粗生成物をエタノール(15mL/mmol)に溶解し、NaOH(5.0当量)と混合する。15分後、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を水と混合し、CH2Cl2で3回抽出する。合わせた有機相をNa2SO4で脱水し、減圧下で濃縮する。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=25:75→45:55)により精製する。
【0345】
6)(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-フェニルプロパ-2-エンアミドの調製
【0346】
【化12】
方法A:収率71%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.59 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.49 - 7.41 (m, 2H), 7.41 - 7.35 (m, 1H), 7.28 - 7.22 (m, 2H), 6.85 (dd, J = 8.1, 1.7 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.10 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 5.93 (s, 2H), 4.06 - 3.99 (m, 2H), 2.74 - 2.68 (m, 2H), 2.16 (s, 3H).
【0347】
7)2-(4-メチルフェノキシ)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-フェニルアセトアミドの調製
【0348】
【化13】
方法A:収率87%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.46 (dd, J = 8.3, 6.4 Hz, 2H), 7.43 - 7.37 (m, 1H), 7.30 - 7.23 (m, 2H), 7.01 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.67 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 4.34 (s, 2H), 3.98 - 3.90 (m, 2H), 2.70 - 2.61 (m, 2H), 2.25 (s, 3H), 2.13 (s, 3H).
【0349】
8)(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-エチル-N-(2-メチルスルファニルエチル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0350】
【化14】
方法A:収率31%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.63 (d, J = 15.2 Hz, 2H), 7.06 - 6.96 (m, 4H), 6.81 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.66 (dd, J = 15.0, 6.4 Hz, 2H), 6.00 (s, 4H), 3.62 (dd, J = 8.6, 6.4 Hz, 4H), 3.52 (q, J = 7.2 Hz, 4H), 2.78 - 2.68 (m, 4H), 2.19 (s, 6H), 1.26 (t, J = 7.2 HZ, 3H), 1.19 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
【0351】
9)(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-(2-ピリジル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0352】
【化15】
方法A:収率5%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.55 (ddd, J = 4.9, 2.0, 0.9 Hz, 1H), 7.75 (td, J = 7.7, 2.0 Hz, 1H), 7.64 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 7.23 (ddd, J = 7.4, 2.7, 1.0 Hz, 2H), 6.90 (dd, J = 8.2, 1.7 Hz, 1H), 6.81 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.76 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.26 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 5.96 (s, 2H), 4.26 - 4.16 (m, 2H), 2.89 - 2.75 (m, 2H), 2.15 (s, 3H).
【0353】
10)(E)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-3-(p-トリル)-N-(2-ピリジル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0354】
【化16】
方法A:収率10%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.55 (dd, J = 5.4, 2.0 Hz, 1H), 7.75 (td, J = 7.8, 2.0 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 7.29 - 7.21 (m, 4H), 7.12 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 6.40 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.30 - 4.16 (m, 2H), 2.87 - 2.74 (m, 2H), 2.33 (s, 3H), 2.15 (s, 3H).
【0355】
11)(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0356】
【化17】
方法B:収率10%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.63 (d, J = 15.2 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 6.83 (s, 1H), 6.74 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 14.7 Hz, 1H), 6.25 (s, 1H), 5.95 (s, 2H), 4.03 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.78 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.16 (s, 3H).
【0357】
12)(E)-N-エチル-N-(2-メチルスルファニルエチル)-3-(p-トリル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0358】
【化18】
方法A:収率41%
窒素での2つの回転異性体がスペクトルに現れる。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.69 (d, J = 15.3 Hz, 2H), 7.42 (d, J = 7.8 Hz, 4H), 7.18 (d, J = 7.9 Hz, 4H), 6.79 (dd, J = 15.4, 5.7 Hz, 2H), 3.67 - 3.57 (m, 4H), 3.53 (q, J = 7.1 Hz, 4H), 2.78 - 2.68 (m, 4H), 2.37 (s, 6H), 2.19 (s, 6H), 1.27 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.20 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0359】
13)(E)-N-エチル-3-(4-メトキシフェニル)-N-(2-メチルスルファニルエチル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0360】
【化19】
方法A:収率12%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.69 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 7.53 - 7.44 (m, 2H), 6.96 - 6.83 (m, 2H), 6.70 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.62 (dd, J = 8.5, 6.6 Hz, 2H), 3.53 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.78 - 2.69 (m, 2H), 2.19 (s, 3H), 1.27 - 1.19 (m, 3H).
【0361】
14)(E)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-フェニル-3-(p-トリル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0362】
【化20】
方法A:収率79%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.65 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.48 - 7.41 (m, 2H), 7.41 - 7.35 (m, 1H), 7.29 - 7.23 (m, 2H), 7.19 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.08 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.23 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.07 - 3.99 (m, 2H), 2.75 - 2.67 (m, 2H), 2.31 (s, 3H), 2.16 (s, 3H).
【0363】
15)(E)-3-(4-メトキシフェニル)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-フェニルプロパ-2-エンアミドの調製
【0364】
【化21】
方法A:収率85%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.64 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.48 - 7.41 (m, 2H), 7.42 - 7.34 (m, 1H), 7.28 - 7.21 (m, 4H), 6.82 - 6.78 (m, 2H), 6.15 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.06 - 4.00 (m, 2H), 3.78 (s, 3H), 2.75 - 2.67 (m, 2H), 2.16 (s, 3H).
【0365】
16)2-(4-メトキシフェノキシ)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-フェニルアセトアミドの調製
【0366】
【化22】
方法A:収率89%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.50 - 7.41 (m, 2H), 7.40 (s, 1H), 7.29 - 7.22 (m, 2H), 6.76 (t, J = 9.1 Hz, 2H), 6.71 (s, 2H), 4.32 (s, 2H), 3.99 - 3.88 (m, 2H), 3.73 (s, 3H), 2.72 - 2.59 (m, 2H), 2.13 (s, 3H).
【0367】
17)(E)-N-エチル-N-(3-メチルスルファニルプロピル)-3-(p-トリル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0368】
【化23】
方法A:収率50%
窒素における2つの回転異性体がスペクトルに現れる。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.69 (d, J = 15.3 Hz, 2H), 7.47 - 7.39 (m, 4H), 7.18 (d, J = 7.9 Hz, 4H), 6.93 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 3.51 (dt, J = 14.2, 7.8 Hz, 8H), 2.55 (t, J = 7.0 Hz, 4H), 2.37 (s, 6H), 2.11 (s, 6H), 1.99 - 1.87 (m, 4H), 1.39 - 1.08 (m, 6H).
【0369】
18)(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-エチル-N-(3-メチルスルファニルプロピル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0370】
【化24】
方法A:収率66%
窒素での2つの回転異性体がスペクトルに現れる。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.62 (d, J = 15.3 Hz, 2H), 7.11 - 6.97 (m, 4H), 6.87 - 6.76 (m, 2H), 6.66 (d, J = 15.3 Hz, 2H), 5.99 (s, 4H), 3.59 - 3.43 (m, 8H), 2.62 - 2.49 (m, 4H), 2.12 (s, 6H), 1.99 - 1.90 (m, 4H), 1.26 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.19 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0371】
19)(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(3-メチルスルファニルプロピル)-N-フェニルプロパ-2-エンアミドの調製
【0372】
【化25】
方法A:収率98%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.57 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 7.48 - 7.42 (m, 2H), 7.41 - 7.34 (m, 1H), 7.23 - 7.18 (m, 2H), 6.85 (dd, J = 8.1, 1.7 Hz, 1H), 6.73 - 6.72 (m, 2H), 6.72 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.10 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 5.93 (s, 2H), 3.95 - 3.89 (m, 2H), 2.56 - 2.49 (m, 2H), 2.06 (s, 3H), 1.94-1.84 (m, 2H).
【0373】
20)(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(2-メトキシエチル)-N-フェニルプロパ-2-エンアミドの調製
【0374】
【化26】
方法A:収率61%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.58 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.46 - 7.40 (m, 2H), 7.40 - 7.33 (m, 1H), 7.29 - 7.24 (m, 2H), 6.85 (dd, J = 8.1, 1.6 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.12 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 5.93 (s, 2H), 4.00 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 3.60 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 3.33 (s, 3H).
【0375】
21)(E)-3-(4-メトキシフェニル)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-(2-ピリジル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0376】
【化27】
方法A:収率10%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.55 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 7.75 (td, J = 7.7, 2.0 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.35 - 7.28 (m, 2H), 7.23 (dd, J = 7.5, 4.5 Hz, 2H), 6.94 - 6.73 (m, 2H), 6.31 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 4.26 - 4.18 (m, 2H), 3.80 (s, 3H), 2.85 - 2.76 (m, 2H), 2.15 (s, 3H).
【0377】
22)2-(4-メチルフェノキシ)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-(2-ピリジル)アセトアミドの調製
【0378】
【化28】
方法A:収率19%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.50 - 8.44 (m, 1H), 7.77 (td, J = 7.8, 2.0 Hz, 1H), 7.30 - 7.25 (m, 1H), 7.23 (ddd, J = 7.3, 5.0, 0.7 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 6.64 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 4.68 (s, 2H), 4.10 - 4.00 (m, 2H), 2.77 - 2.69 (m, 2H), 2.25 (s, 3H), 2.12 (s, 3H).
【0379】
23)(E)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-3-(p-トリル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0380】
【化29】
方法B:収率50%
1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 10.91 (s, 1H), 7.69 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 5.5 Hz, 2H), 7.10 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 6.46 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 6.24 (s, 1H), 4.04 (t, J = 13.1, 6.2 Hz, 2H), 2.78 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.32 (s, 3H), 2.16 (s, 3H).
【0381】
24)2-(4-メチルフェノキシ)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)アセトアミドの調製
【0382】
【化30】
方法B:収率64%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.57 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.71 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.23 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.53 (s, 2H), 4.01 - 3.83 (m, 2H), 2.77 - 2.62 (m, 2H), 2.23 (s, 3H), 2.11 (s, 3H).
【0383】
25)2-(4-メトキシフェノキシ)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)アセトアミドの調製
【0384】
【化31】
方法B:収率53%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 10.72 (s, 1H), 7.58 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.77 (s, 4H), 6.24 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.54 (s, 2H), 3.93 (dd, J = 8.5, 6.3 Hz, 2H), 3.73 (s, 3H), 2.72 (dd, J = 8.6, 6.2 Hz, 2H), 2.13 (s, 3H).
【0385】
26)(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)プロパ-2-エノイルクロリドの調製
【0386】
【化32】
52.7g(274.2mmol)の3,4-ジオキシメチレン桂皮酸、529mLのトルエン及び1.60gのDMFの最初の投入物を、57℃に加熱する。30分以内に、44.1g(371mmol)の塩化チオニルを57~60℃で滴下添加する。溶液をさらに1時間60~65℃で撹拌し、次いで約300mLの体積まで濃縮する。3×289mLのトルエンを添加し、各分量を標準圧力下で再び留去する。
【0387】
27)(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-フェニル-N-テトラヒドロフラン-3-イルプロパ-2-エンアミドの調製
【0388】
【化33】
7.5gのトルエン中の0.72g(3.4mmol)の3,4-メチレンジオキシシンナモイルクロリドに、50℃で、4mLのトルエン中の0.52g(5.14mmol)のトリエチルアミン、次いで0.52g(3.19mmol)のN-フェニルオキソラン-3-アミンを添加する。混合物を60℃で8時間撹拌し、RTに冷却する。有機相を、水、1N塩酸、水、飽和NaHCO3溶液、及び再び水で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮した。
収率:39%
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.56 (d, J = 15.4 Hz, 1H); 7.50 - 7.38 (m, 3H); 7.22 - 7.12 (m, 2H); 6.81 (dd, J = 8.2, 1.6 Hz, 1H); 6.71 (d, J = 8.0 Hz, 1H); 6.67 (d, J = 1.6 Hz, 1H); 5.96 - 5.85 (m, 3H); 5.29 (dq, J = 8.3, 5.5 Hz, 2H); 4.04 (dd, J = 9.3, 6.7 Hz, 1H); 3.79 (dd, J = 9.3, 5.1 Hz, 1H); 3.74 - 3.53 (m, 1H); 2.20 - 2.12 (m, 1H); 1.96 - 1.77 (m, 1H).
【0389】
28)(E)-N-フェニル-3-(p-トリル)-N-テトラヒドロフラン-3-イルプロパ-2-エンアミドの調製
【0390】
【化34】
7.5mLのトルエン中の0.56g(3.0mmol)の4-メチルシンナモイルクロリドの溶液に、0.46g(4.5mmol)のトリエチルアミンを滴下添加する。その後2分以内に、4mLのトルエン中の0.46g(2.8mmol)のN-フェニルテトラヒドロフラン-3-アミンの懸濁液を量り入れる。混合物をRTで46時間、及び50℃で11時間撹拌する。後処理のために20mLの水を添加し、有機相を除去し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣を酢酸エチル/ヘプタンから再結晶させる。
収率:0.32gの生成物
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.63 (d, 1H), 7.50 - 7.40 (m, 3H), 7.22 (d, 2 H), 7.14 (d, 2H), 7.07 (d, 2H), 6.06 (d, 1H), 5.34 - 5.26 (m, 1H), 4.05 (t, 1H), 3.83 - 3.78 (m, 1H), 3.71 (dd, 1H), 3.61 (dd, 1 H), 2.30 (s, 3 H); 2.25 - 2.14 (m, 1 H); 1.90 - 1.81 (m, 1H).
【0391】
29)N-フェニルテトラヒドロチオフェン-3-アミンの調製
【0392】
【化35】
反応器に、まず91.1g(0.968mol)の2-アミノピリジン、1591mLのトルエン、98.4g(0.963mol)のテトラヒドロチオフェン-3-オン及び81.6gの酢酸を投入する。室温で、288g(1.36mol)のナトリウムトリアセトキシボロヒドリドを30分以内に少量ずつ添加する。残渣を115mLのトルエン中で濯ぎ、混合物を室温で21時間撹拌する。次に、混合物を4.85Lの10%Na2CO3水溶液に15℃で量り入れ、さらに500mLのトルエンと混合する。撹拌を15~20℃で約20分間継続し、水相を取り出し、500mLのトルエンで再び抽出する。有機相を合わせ、2Lの水及び280gの10%HClと混合する。混合物をさらに10分間撹拌し、有機相を取り出して廃棄する。水相を2回、それぞれ500mLのトルエンで洗浄し、これを同様に廃棄する。次に、水相を2Lの水及び1Lのトルエンと混合し、274mLの10% NaOHでpH10.3に調整する。混合物をさらに10分間撹拌し、有機相を取り出し、水相をもう1度250mLのトルエンで再び抽出する。合わせた有機相を200mLの水で1回洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮する。
残渣:45.3g(28%)
【0393】
30)(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(2-ピリジル)-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルプロパ-2-エンアミドの調製
【0394】
【化36】
約235mLのトルエン中の約57.7g(274mmol)の3,4-メチレンジオキシシンナモイルクロリドの溶液に、約50℃で、264mLのトルエン中の41.6g(0.411mol)のトリエチルアミン及び46.5g(258mmol)のN-フェニルテトラヒドロチオフェン-3-アミンを添加する。混合物を55℃で1時間、次いでRTで一晩撹拌する。懸濁液を0℃に冷却し、濾過する。濾過残渣を40℃で2Lの酢酸エチルに入れ、それぞれ500mLの水で3回洗浄する。混合物を標準圧力で約600mLの体積レベルまで濃縮し、3時間以内に約0℃まで冷却し、さらに1時間撹拌する。これに続いて濾過を行い、濾過ケーキを80mLの氷冷酢酸エチルで洗浄する。濾過ケーキを乾燥させ、1670mLのイソプロパノールに入れ、還流加熱する(溶液)。混合物を670mLの体積レベルまで濃縮し、20℃まで冷却し、濾過する。残渣を50mLの氷冷i-PrOHで洗浄し、乾燥させる。
残渣:59.8g(収率:62%)
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.63 (d, 1H); 7.84 (td, J = 7.7, 2.0 Hz, 1H); 7.60 (d, J = 15.3 Hz, 1H); 7.39 (ddd, J = 7.5, 4.9, 0.9 Hz, 1H); 7.22 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.82 (d, 1H); 6.72 (d, J = 8.0 Hz, 1H); 6.68 (d, J = 1.6 Hz, 1H); 5.94 (s, 2H); 5.80 (d, J = 15.3 Hz, 1H); 5.32 - 5.15 (m, 1H); 3.12 (dd, J = 10.1, 6.9 Hz, 1H); 2.94 - 2.81 (m, 2H); 2.72 (ddd, J = 10.3, 7.8, 2.4 Hz, 1H); 2.35 - 2.25 (m, 1H); 1.90 - 1.79 (m, 1H).
【0395】
31)(E)-3-(p-トリル)-N-(2-ピリジル)-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルプロパ-2-エンアミドの調製
【0396】
【化37】
10mLのトルエン中の0.74g(4.1mmol)の4-メチルシンナモイルクロリドの初期投入物に、0.52g(5.1mmol)のトリエチルアミンを添加する。次に、4.8mLのトルエン中の0.65g(3.4mmol)のN-テトラヒドロチオフェン-3-イルピリジン-2-アミンを量り入れ、混合物を50℃で1時間撹拌する。混合物をRTで20mLの水でクエンチする。沈殿固体を濾過し、水及び少量のMTBEで洗浄し、乾燥させる。
収率:57%
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.64 (br s, 1H); 7.83 (td, J = 7.7, 2.0 Hz, 1H); 7.67 (d, J = 15.4 Hz, 1H); 7.39 (dd, J = 7.5, 4.9 Hz, 1H); 7.22 (d, J = 7.8 Hz, 1H); 7.16 (d, J = 8.1 Hz, 2H); 7.07 (d, J = 8.0 Hz, 2H); 5.94 (d, J = 15.4 Hz, 1H); 5.32 - 5.20 (m, 1H); 3.13 (dd, J = 10.2, 6.9 Hz, 1H); 2.96 - 2.80 (m, 2H); 2.78 - 2.66 (m, 1H); 2.40 - 2.23 (m, 4H); 1.94 - 1.78 (m, 1H).
【0397】
32)(E)-3-(4-メトキシフェニル)-N-(2-ピリジル)-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルプロパ-2-エンアミドの調製
【0398】
【化38】
11mLのトルエン中の0.81g(4.1mmol)の4-メトキシシンナモイルクロリドの初期投入物に、0.52g(5.1mmol)のトリエチルアミンを添加する。次に、4.8mLのトルエン中の0.65g(3.4mmol)のN-テトラヒドロチオフェン-3-イルピリジン-2-アミンを量り入れ、混合物を50~60℃で1時間撹拌する。混合物をRTで20mLの水でクエンチする。沈殿固体を濾過し、水及び少量のMTBEで洗浄し、乾燥させる。
収率:69%
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.65 (d, 1H); 7.83 (td, J = 7.7, 1.8 Hz, 1H); 7.65 (d, J = 15.4 Hz, 1H); 7.39 (dd, J = 7.3, 5.0 Hz, 1H); 7.22 (d, J = 8.6 Hz, 3H); 6.80 (d, J = 8.7 Hz, 2H); 5.85 (d, J = 15.4 Hz, 1H); 5.32 - 5.20 (m. 1H), 3.78 (s, 3H); 3.13 (dd, J = 10.1, 6.9 Hz, 1H); 2.97 - 2.80 (m, 2H); 2.75 - 2.69 (m, 1H); 2.35 - 2.25 (m, 1H); 1.94 - 1.74 (m, 1H).
【0399】
33)(E)-3-フェニル-N-(2-ピリジル)-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルプロパ-2-エンアミドの調製
【0400】
【化39】
9mLのトルエン中の0.68g(4.1mmol)のシンナモイルクロリドの初期投入物に、0.52g(5.1mmol)のトリエチルアミンを添加する。次に、4.8mLのトルエン中の0.65g(3.4mmol)のN-テトラヒドロチオフェン-3-イルピリジン-2-アミンを量り入れ、混合物を50~60℃で1時間撹拌する。混合物をRTで20mLの水でクエンチし、有機相をもう一度20mLの水で洗浄する。有機相をNa2SO4で脱水し、回転蒸発により濃縮する。これに続いて、n-ヘプタン/EtOAcからの再結晶を行う。
収率:50%
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.65 (dd, J = 4.8, 1.8 Hz, 1H); 7.84 (td, J = 7.7, 2.0 Hz, 1H); 7.70 (d, J = 15.4 Hz, 1H); 7.42 - 7.35 (m, 1H); 7.32 - 7.12 (m, 6H); 5.99 (d, J = 15.4 Hz, 1H); 5.35 - 5.13 (m, 1H); 3.14 (dd, J = 10.2, 6.9 Hz, 1H); 2.97 - 2.81 (m, 2H); 2.72 (m, 1H); 2.31 (m, Hz, 1H); 1.99 - 1.70 (m, 1H).
【0401】
34)N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)アニリンの調製
【0402】
【化40】
まず、96.1g(1.0mol)のフルフラールを400gの塩化メチレンに投入する。次に、111.8g(1.2mol)のアニリンを40℃で滴下添加する。混合物を0℃に冷却し、400gのメタノール及び56.7g(1.5mol)のボロン酸ナトリウムを慎重に添加し、混合物を0~5℃で1時間撹拌する。混合物を水でクエンチし、メタノールを留去する。その後、混合物を450gのHCl(10%)で中和し、MTBEで抽出する。有機相を乾燥及び凝縮し、生成物を蒸留して、さらに精製せずに使用する。
【0403】
100gのフルフリルフェニルアミンをまず250mLのエタノールに投入し、4gのPd/Cを添加する。反応器に水素(10bar)を供給し、混合物を50℃で18時間撹拌する。混合物をRTで濾過し、直接蒸留する。
収率:58%
【0404】
(E)-3-81,3-ベンゾジオキソ-5-イル)-N-フェニル-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミドの調製
【0405】
【化41】
まず、1.14g(11.3mmol)のトリエチルアミン及び1.95g(11mmol)の2-テトラヒドロフルフリルフェニルアミンを30gのトルエンに投入する。次に、4.52g(21.5mmol)の3,4-メチレンジオキシシンナモイルクロリドを量り入れ、混合物を100℃でさらに2時間撹拌する。混合物をRTで50gの水に注ぎ、固体を吸引濾過する。相分離後、有機相を乾燥させ、濾過し、回転蒸発により濃縮する。これに続いて、シリカゲルカラム(AcOEt)に通過させる。
収率:76%
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.58 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.47 - 7.39 (m, 2H), 7.39 - 7.33 (m, 2H), 7.33 - 7.28 (m, 1H), 6.84 (dd, J = 8.1, 1.7 Hz, 1H), 6.72 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.70 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 6.13 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 5.92 (s, 2H), 4.21 - 4.08 (m, 1H), 4.00 (dd, J = 13.7, 4.8 Hz, 1H), 3.89 - 3.81 (m, 1H), 3.84 - 3.75 (m, 1H), 3.77 - 3.68 (m, 1H), 1.98 (ddd, J = 6.9, 4.2, 1.9 Hz, 1H), 1.96 - 1.79 (m, 2H), 1.68 - 1.54 (m, 1H).
【0406】
35)以下の化合物もまた、上述の方法と同様にして調製することができる。
(E)-3-(4-メトキシフェニル)-N-フェニル-N-テトラヒドロフラン-3-イルプロパ-2-エンアミド
【0407】
【化42】
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2) δ 7.52 (d, 1H); 7.48 - 7.35 (m, 3H); 7.27 - 7.11 (m, 4H); 6.77 (d, 2H); 5.97 (d, 1H); 5.29 - 5.13 (m, 1H); 3.95 (dd, 1H); 3.74 (s, 3H); 3.70 (dd, 1H); 3.63 (q, 1H); 3.54 (td, 1H); 2.21 - 2.05 (m, 1H); 1.74 - 1.36 (m, 1H).
【0408】
2-(4-メチルフェノキシ)-N-フェニル-N-テトラヒドロフラン-3-イルアセトアミド
【0409】
【化43】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.56 - 7.36 (m, 3H); 7.30 - 7.16 (m, 2H); 7.02 (d, 2H); 6.66 (d, 2H); 5.25 - 5.09 (m, 1H); 4.25 (d, 1H); 4.21 (d, 1H); 3.98 (dd, 1H); 3.78 (dd, 1H); 3.67 (td, 1H); 3.60 - 2.48 (m, 1H), 2.25 (s, 3H); 2.23 - 2.07 (m, 1H); 1.85 - 1.75 (m, 1H).
【0410】
2-(4-メチルフェノキシ)-N-フェニル-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルアセトアミド
【0411】
【化44】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.55 - 7.35 (m, 3H); 7.24 - 7.15 (m, 2H); 7.02 (d, 2H); 6.66 (d, 2H); 5.34 - 4.97 (m, 1H); 4.22 (s, 2H); 3.04 (dd, 1H); 2.84 (td, 1H); 2.74 - 2.50 (m, 2H); 2.37 - 2.10 (m, 4H); 1.65 (qd, 1H).
【0412】
(E)-N-シクロヘキシル-3-(4-メトキシフェニル)-N-(3-チエニル)プロパ-2-エンアミド
【0413】
【化45】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.60 (d, 1H); 7.37 (dd, 1H); 7.25 (d, 2H); 7.08 (dd, 1H); 6.88 (dd, 1H); 6.81 (d, 2H); 6.05 (d, 1H); 4.71 - 4.61 (m, 1H); 3.79 (s, 3H); 1.86 (d, 2H); 1.76 (d, 2H); 1.61 (d, 1H); 1.44 (qt, 2H); 1.13 (qd, 2H); 1.03 - 0.90 (m, 1H).
【0414】
N-シクロヘキシル-2-(4-メチルフェノキシ)-N-(3-チエニル)アセトアミド
【0415】
【化46】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.45 -7.30 (m, 1H); 7.16- 7.08 (m, 1H); 7.02 (d, 2H); 6.87 (dd, 1H); 6.69 (d, 2H); 4.61 - 4.49 (m, 1H); 4.28 (s, 2H); 2.25 (s, 3H); 1.83 (m, 2H); 1.74 (d, 2H); 1.59 (d, 1H); 1.39 (q, 2H); 1.09 (qd, 2H); 0.94 (qt, 1H).
【0416】
N-シクロヘキシル-2-(4-メトキシフェノキシ)-N-(3-チエニル)アセトアミド
【0417】
【化47】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.38 (dd, 1H); 7.11 (dd, 1H); 6.87 (dd, 1H); 6.82 - 6.62 (m, 4H); 4.62 - 4.48 (m, 1H); 4.26 (s, 2H); 3.74 (s, 3H); 1.82 (d, 2H); 1.73 (d, 2H); 1.59 (d, 1H); 1.39 (qt, 2H); 1.09 (qd, 2H); 0.94 (qt, 1H).
【0418】
(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(テトラヒドロチオフェン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
【0419】
【化48】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.68 - 7.54 (m, 2H); 6.89 (d, 1H); 6.81 (s, 1H); 6.74 (d, 1H); 6.31 (d, 1H); 6.24 (s, 1H); 5.96 (s, 2H); 4.29 - 4.17 (m, 1H); 3.67 (br s, 2H); 2.92 (dt, 1H); 2.81 (dt, 1H); 2.18 - 1.81 (m, 4H).
【0420】
(E)-3-(p-トリル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(テトラヒドロチオフェン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
N-(テトラヒドロチオフェン-2-イルメチル)-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール-3-アミンを使用して調製を行い、最後にTHF中のフッ化テトラブチルアンモニウムで脱保護を行う。
【0421】
【化49】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.75 - 7.55 (m, 2H); 7.32 - 7.20 (m, 2H); 7.09 (d, 2H); 6.43 (d, 1H); 6.22 (s, 1H); 4.30 - 4.18 (m, 1H); 3.75 - 3.62 (m, 2H); 2.96 - 2.86 (m, 1H); 2.85 - 2.74 (m, 1H); 2.31 (s, 3H); 2.13 - 1.77 (m, 4H).
【0422】
(E)-3-(4-メトキシフェニル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(テトラヒドロチオフェン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
N-(テトラヒドロチオフェン-2-イルメチル)-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール-3-アミンを使用して調製を行い、最後にTHF中のフッ化テトラブチルアンモニウムで脱保護を行う。
【0423】
【化50】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.73 (d, 1H); 7.65 (s, 1 H); 7.32 (d, 2H); 6.84 (d, 2H); 6.38 (d 1H); 6.26 (s, 1H); 4.37 - 4.21 (m, 1H); 3.79 (s, 3H); 3.75 - 3.61 (m, 2H); 3.00 - 2.89 (m, 1H); 2.89 - 2.79 (m, 1H); 2.18 - 1.83 (m, 4H).
【0424】
2-(4-メチルフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(テトラヒドロチオフェン-2-イルメチル)アセトアミド
【0425】
【化51】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.57 (d, 1H); 7.00 (d, 2H); 6.71 (d, 2H); 6.24 (d, 1H); 4.55 (q, 2H); 4.18 - 4.04 (m, 1H); 3.68 - 3.50 (m, 2H); 2.93 - 2.67 (m, 2H); 2.23 (s, 3H); 2.08 - 1.80 (m, 4H).
【0426】
2-(4-メトキシフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(テトラヒドロチオフェン-2-イルメチル)アセトアミド
【0427】
【化52】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.58 (d, 1H); 6.76 (s, 4H), 6.24 (d, 1H); 4.53 (q, 2H); 4.13 (q, 1H); 3.72 (s, 3H); 3.65 - 3.46 (m, 2H); 2.94 - 2.84 (m, 1H); 2.84 - 2.74 (m, 1H); 2.09 - 1.73 (m, 4H).
【0428】
(E)-3-(p-トリル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルプロパ-2-エンアミド
【0429】
【化53】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.76 - 7.56 (m, 2H); 7.21 (d, 2H); 7.07 (d, 2H); 6.24 (d, 1H); 6.17 (d, 1H); 5.37 - 5.22 (m, 1H); 3.10 (dd, 1H); 2.92 - 2.80 (m, 1H); 2.76 (t, 1H); 2.69 (ddd, 1H); 2.36 - 2.22 (m, 4H); 1.78 (qd, 1H).
【0430】
(E)-3-(4-メトキシフェニル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルプロパ-2-エンアミド
【0431】
【化54】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.77 - 7.53 (m, 2H); 7.25 (d, 2H); 6.79 (d, 2H); 6.24 (d, 1H); 6.09 (d, 1H); 5.40 - 5.16 (m, 1H); 3.79 (s, 3H); 3.10 (dd, 1H); 2.92 - 2.82 (m, 1H); 2.76 (t, 1H); 2.75 - 2.65 (m, 1H); 2.31 - 2.22 (m, 1H); 1.85 - 1.70 (m, 1H).
【0432】
2-(4-メトキシフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルアセトアミド
【0433】
【化55】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.62 (d, 1H); 6.76 (s, 4H); 6.23 (d, 1H); 5.25 - 5.14 (m, 1H); 4.35 (s, 2H); 3.73 (s, 3H); 3.07 (dd, 1H); 2.84 (dd, 1H); 2.78 - 2.59 (m, 2H); 2.34 - 2.15 (m, 1H); 1.84 - 1.70 (m, 1H).
【0434】
(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N,N-ビス(2-ピリジル)プロパ-2-エンアミド
【0435】
【化56】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.48 (d, 2H); 7.80 (t, 2H); 7.73 (d, 1H); 7.52 (d, 2H); 7.25 - 7.16 (m, 2H); 6.92 (d, 1H); 6.80 (s, 1H); 6.77 (d, 1H); 6.19 (d, 1H); 5.97 (s, 2H).
【0436】
(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
【0437】
【化57】
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.61 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 6.90 (d, J =7.7 Hz, 1H), 6.83 (s, 1H), 6.74 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.42 (d, J = 15.2 Hz, 1H), 6.21 (s, 1H), 5.95 (s, 2H),4.22 (qd, J = 7.2, 4.2 Hz, 1H), 4.13 (dd, J = 13.8, 4.1 Hz, 1H), 3.95 - 3.84 (m, 1H), 3.78 (td, J = 7.9, 6.2 Hz, 1H), 3.68 - 3.60 (m, 1H), 2.10 - 1.96 (m, 1H), 1.99 - 1.82 (m, 2H), 1.62 (ddt, J = 15.6, 12.0, 8.1 Hz, 1H).
【0438】
(E)-3-(p-トリル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
【0439】
【化58】
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 11.26 (s, 1H), 7.68 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.10 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 6.55 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 6.21 (s, 1H), 4.22 (qd, J = 7.1, 4.1 Hz, 1H), 4.18 - 4.10 (m, 1H), 3.90 (dt, J = 8.3, 6.8 Hz, 1H), 3.78 (td, J = 7.9, 6.1 Hz, 1H), 3.73 - 3.57 (m, 1H), 2.32 (s, 3H), 2.12 - 1.96 (m, 1H), 1.98 - 1.80 (m, 2H), 1.61 (ddt, J = 12.0, 8.4, 7.2 Hz, 1H).
【0440】
(E)-3-(4-メトキシフェニル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
【0441】
【化59】
1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 8.15 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 7.63 - 7.61 (m, 2H), 7.62 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 6.93 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.92 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 4.14 (qd, J = 7.1, 3.6 Hz, 1H), 3.97 - 3.87 (m, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.83 - 3.73 (m, 1H), 3.57 - 3.47 (m, 1H), 3.32 - 3.25 (m, 1H), 2.04 (dddt, J = 9.5, 8.4, 6.9, 4.9 Hz, 1H), 1.98 - 1.88 (m, 2H), 1.69 (ddt, J = 12.1, 8.6, 7.1 Hz, 1H).
【0442】
2-(4-メチルフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)アセトアミド
【0443】
【化60】
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.54 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 6.72 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.28 (s, 1H), 4.66 - 4.48 (m, 2H), 4.2 - 4.1 (m, 1H), 4.0 - 3.9 (m, 1H), 3.9 - 3.8 (m, 1H), 3.8 - 3.7 (m, 1H), 3.64 (dd, J = 13.6, 7.7 Hz, 1H), 2.24 (s, 3H), 2.03 - 1.78 (m, 3H), 1.66 - 1.52 (m, 1H).
【0444】
(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(2-ピリジル)-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
【0445】
【化61】
1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 8.53 (ddd, J = 4.9, 2.0, 0.8 Hz, 1H), 7.75 (ddd, J = 8.1, 7.4, 2.0 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 7.33 (dt, J = 8.1, 1.0 Hz, 1H), 7.22 (ddd, J = 7.4, 4.9, 1.0 Hz, 1H), 6.89 (dd, J = 8.1, 1.6 Hz, 1H), 6.80 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.75 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.27 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 5.95 (s, 2H), 4.24 - 4.18 (m, 2H), 4.04 - 3.98 (m, 1H), 3.73 (ddd, J = 8.3, 7.2, 6.5 Hz, 1H), 3.67 (td, J = 8.0, 5.9 Hz, 1H), 1.99 (dddd, J = 11.9, 8.6, 6.5, 5.2 Hz, 1H), 1.94 - 1.87 (m, 1H), 1.87 - 1.79 (m, 1H), 1.63 (ddt, J = 12.2, 8.6, 6.9 Hz, 1H).
【0446】
(E)-3-(p-トリル)-N-(2-ピリジル)-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
【0447】
【化62】
1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 8.53 (dt, J = 4.8, 1.9, 0.7 Hz, 1H), 7.74 (td, J = 7.7, 2.0 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.25 (s, 2H), 7.22 (ddd, J = 7.4, 4.9, 0.9 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.40 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 4.25 - 4.21 (m, 2H), 4.05 - 3.99 (m, 1H), 3.77 - 3.70 (m, 1H), 3.67 (td, J = 8.0, 6.0 Hz, 1H), 2.33 (s, 3H), 2.04 - 1.96 (m, 1H), 1.96 - 1.87 (m, 1H), 1.87 - 1.78 (m, 1H), 1.64 (ddt, J= 12.3, 8.5, 7.0 Hz, 1H).
【0448】
(E)-3-(4-メトキシフェニル)-N-(2-ピリジル)-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
【0449】
【化63】
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.53 (ddd, J = 5.0, 2.0, 0.8 Hz, 1H), 7.74 (td, J = 7.7, 2.0 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 7.34 (dd, J = 7.5, 1.0 Hz, 1H), 7.32 - 7.28 (m, 2H), 7.21 (ddd, J = 7.4, 4.9, 1.0 Hz, 1H), 6.85 - 6.78 (m, 2H), 6.33 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 4.27 - 4.17 (m, 2H), 4.07 - 3.96 (m, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.93 - 3.62 (m, 2H), 2.09 - 1.75 (m, 3H), 1.64 (ddt, J = 11.6, 8.2, 6.7 Hz, 1H).
【0450】
(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-エチル-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
【0451】
【化64】
窒素での2つの回転異性体がスペクトルに現れる。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.66 - 7.55 (m, 2H), 7.06 - 6.95 (m, 4H), 6.81 - 6.74 (m, 3H), 6.70 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 5.98 (s, 4H), 4.17 - 4.02 (m, 2H), 3.93 - 3.82 (m, 3H), 3.82 - 3.69 (m, 2H), 3.69 - 3.56 (m, 4H), 3.56 - 3.42 (m, 2H), 3.20 (dd, J = 13.8, 7.3 Hz, 1H), 2.08 - 1.97 (m, 2H), 1.97 - 1.79 (m, 3H), 1.63 - 1.52 (m, 3H), 1.23 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.18 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0452】
N-エチル-2-(4-メトキシフェノキシ)-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)アセトアミド
【0453】
【化65】
窒素での2つの回転異性体がスペクトルに現れる。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 6.93 - 6.86 (m, 4H), 6.82 (dd, J = 9.2, 1.7 Hz, 4H), 4.71 (dd, J = 14.6, 1.3 Hz, 2H), 4.66 (dd, J = 14.1, 1.0 Hz, 2H), 4.15 - 4.06 (m, 1H), 4.06 - 3.99 (m, 1H), 3.90 - 3.80 (m, 2H), 3.76 (s, 6H), 3.79 - 3.69 (m, 2H), 3.66 - 3.57 (m, 1H), 3.54 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.47 - 3.31 (m, 3H), 3.13 (dd, J = 13.9, 7.5 Hz, 2H), 2.07 - 1.94 (m, 2H), 1.94 - 1.78 (m, 4H), 1.58 - 1.44 (m, 2H), 1.21 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.13 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0454】
(E)-N-フェニル-3-(p-トリル)-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
【0455】
【化66】
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.65 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.45 - 7.38 (m, 2H), 7.38 - 7.33 (m, 1H), 7.33 - 7.28 (m, 2H), 7.18 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.06 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.26 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.21 - 4.14 (m, 1H), 4.01 (dd, J = 13.7, 4.8 Hz, 1H), 3.88 - 3.69 (m, 3H), 2.30 (s, 3H), 2.02 - 1.78 (m, 3H), 1.67 - 1.56 (m, 1H).
【0456】
(E)-3-(4-メトキシフェニル)-N-フェニル-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド
【0457】
【化67】
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.63 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.46 - 7.39 (m, 2H), 7.38 - 7.32 (m, 1H), 7.32 - 7.28 (m, 2H), 7.27 - 7.21 (m, 2H), 6.79 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.17 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.17 (qd, J = 6.8, 4.9 Hz, 1H), 4.02 (dd, J = 13.6, 4.9 Hz, 1H), 3.88 - 3.80 (m, 1H), 3.82 - 3.75 (m, 1H), 3.78 (s, 3H), 3.73 (ddd, J = 8.3, 7.4, 5.8 Hz, 1H), 2.06 - 1.94 (m, 1H), 2.03 - 1.78 (m, 2H), 1.68 - 1.56 (m, 1H).
【0458】
2-(4-メチルフェノキシ)-N-フェニル-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)アセトアミド
【0459】
【化68】
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.43 (dd, J = 8.2, 6.4 Hz, 2H), 7.41 - 7.35 (m, 1H), 7.34 - 7.29 (m, 2H), 7.01 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 6.72 - 6.64 (m, 2H), 4.36 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 4.31 (d, J = 14.7 Hz, 1H), 4.12 (qd, J = 6.6, 4.6 Hz, 1H), 3.89 - 3.78 (m, 2H), 3.72 (td, J = 7.8, 5.9 Hz, 2H), 2.24 (s, 3H), 2.04 - 1.78 (m, 3H), 1.62 - 1.53 (m, 1H).
【0460】
2-(4-メトキシフェノキシ)-N-フェニル-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)アセトアミド
【0461】
【化69】
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.47 - 7.40 (m, 2H), 7.40 - 7.34 (m, 1H), 7.34 - 7.28 (m, 2H), 6.77 (d, J = 9.3 Hz, 2H), 6.72 (d, J = 9.4 Hz, 2H), 4.38 - 4.24 (m, 2H), 4.17 - 4.06 (m, 1H), 3.88 - 3.78 (m, 2H), 3.78 - 3.69 (m, 2H), 3.73 (s, 3H), 2.05 - 1.77 (m, 3H), 1.64 - 1.53 (m, 1H).
【0462】
(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-エチル-N-[2-(2-チエニル)エチル]プロパ-2-エンアミド
【0463】
【化70】
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.65 (d, J = 15.2 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 15.2 Hz, 1H), 7.18 - 7.10 (m, 2H), 7.06 - 6.98 (m, 2H), 6.97 - 6.89 (m, 4H), 6.88 - 6.83 (m, 2H), 6.79 (t, J = 8.2 Hz, 2H), 6.66 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 6.44 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 5.98 (s, 4H), 3.66 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 3.50 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.37 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.19 - 3.09 (m, 4H), 1.19 (t, J = 7.1 Hz, 6H).
【0464】
官能評価:
FEMA4809と比較した本発明のアミドの冷涼強度:
5%糖溶液中の2ppm又は20ppmの本発明のアミドの試験溶液を、熟練したパネリスト(n=10~11)により官能評価し、2ppmの比較化合物FEMA4809を含有する溶液と比較した。ここで評価したのは、1(非常に弱い)~9(非常に強い)のスケールでの初期冷涼強度、全体的冷涼強度及び長期持続作用であった。
【0465】
【表8】
【0466】
本発明のアミドでは、より速い冷涼効果の開始、参照と同等の、又はそれより良好な明確な冷涼プロファイル、及び際立って長期持続性の冷涼効果が明確に示されている。
【0467】
参照化合物(FEMA 4809、4496)及びWS3と比較した本発明のアミドの時間-強度プロファイル:
時間-強度プロファイルを確立するために、熟練したパネリスト(n=8~11)の口腔を1口分の試料溶液(2ppmのFEMA 4809又は50ppmのFEMA 4496又は50ppmの1)~5))で40秒間濯がせた。次に、スケールを使用して、認識された冷涼強度を決められた間隔で評価した。
【0468】
【表9】
【0469】
本発明のアミドでは、WS3に対して際立ってより速い、又は少なくとも同等の速さの冷涼作用の開始が見られた。さらに、冷涼効果はWS3の場合よりも長期間持続し、参照化合物(FEMA 4809、FEMA 4496)の場合と同程度の長さの期間持続したが、これらは際立って遅い冷涼作用の開始を示した。
【0470】
使用例:
練り歯磨き
好適な練り歯磨きは、以下のベース製剤に従って製造され得る。
【0471】
【表10】
【0472】
例示的練り歯磨きにおける、本発明に従う使用のための化合物の冷涼強度の経時的進行の評価:
本発明に従う使用のための冷涼物質を、以下のように練り歯磨きに組み込んだ。
【0473】
【表11】
【0474】
得られた練り歯磨きの官能特性を、熟練したパネル(6名)により評価した。この目的のために、まず本発明の化合物を含む練り歯磨きで30秒間歯を磨き、次いで練り歯磨きの泡を吐き出し、口を水で1回濯いだ。試験者は冷感の強度を0(冷感なし)~9(極めて強い冷感)のスケールで評価した。冷感は、30秒後、並びに1分、5分、10分、20分、30分、45分及び60分後に評価した。
【0475】
試験された本発明の化合物は、例えば、化合物(E)-N-フェニル-3-(p-トリル)-N-テトラヒドロフラン-3-イルプロパ-2-エンアミド、(E)-3-(4-メトキシフェニル)-N-(2-ピリジル)-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルプロパ-2-エンアミド、(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-フェニル-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)プロパ-2-エンアミド、(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-フェニルプロパ-2-エンアミド、2-(4-メチルフェノキシ)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-フェニルアセトアミド、(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-エチル-N-(2-メチルスルファニルエチル)プロパ-2-エンアミド及び(E)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-3-(p-トリル)-N-(2-ピリジル)プロパ-2-エンアミドであったが、特に化合物(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(2-ピリジル)-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルプロパ-2-エンアミド、(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-(2-ピリジル)プロパ-2-エンアミド、(E)-3-(p-トリル)-N-(2-ピリジル)-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルプロパ-2-エンアミド、(E)-3-フェニル-N-(2-ピリジル)-N-テトラヒドロチオフェン-3-イルプロパ-2-エンアミド、(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-フェニル-N-テトラヒドロフラン-3-イルプロパ-2-エンアミド及び(E)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-(2-メチルスルファニルエチル)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)プロパ-2-エンアミドであった。
【0476】
比較として、同じ組成であるが従来の冷涼物質としてN-エチルメンタン-3-カルボキサミド(「WS3」、US 4,150,052もまた参照されたい)を含む練り歯磨きを試験した。
【0477】
結果は、本発明の冷涼物質が、迅速に認識可能な強度、及び冷たさの認識の期間の両方に関して、従来使用されているものより際立って優れていることを示した。したがって、本発明の冷涼物質は、歯磨きの1時間後であっても、非常に際立って認識可能な冷感を付与し、一方この冷感は、従来の比較化合物の場合、この時間後にはすでに完全に消失している。
【0478】
チューインガム
好適なチューインガムは、以下のベース製剤に従って製造され得る。
【0479】
【表12】
【0480】
「砂糖不含製剤」の場合、グルコースシロップ及び粉砂糖を、糖アルコールであるマンニトール、キシリトール及びソルビトール、「Palatinit」並びに他の合成甘味料、例えばサッカリン、シクラメート、アセスルファム-K及びアスパルテームで置き換えることも可能である。
【0481】
化粧用日焼け止め製剤
以下の製剤は、少なくとも無機顔料及び有機UVフィルターの組合せを含む化粧用日焼け止め製剤を説明している。
【0482】
以降で指定される製剤は、当業者に知られている慣例的な様式で生成される。
【0483】
【表13】
【0484】
ブラマンジェ
調製法(100ml当たり)
【0485】
【表14】
【0486】
調製:
水の9/10を43.3℃に加熱する。脱脂粉乳を水に溶解する。油を60℃に加熱し、カラギーナン及び油溶性ビタミンを油に添加する。油を混合して生成物とする。改質デンプン、バニラ香料及びビタミンプレミックス以外の他の構成物質を添加する。混合物を均質化する。徐々にデンプンを添加する。活性成分、ビタミン及び香料を添加する。固体含量を標準化する。無菌ユニット内で加熱し、投与量にパッキングする。
【0487】
本発明の活性物質での布地改質
まず初めに、570gの脱イオン水を10gの標準市販防腐剤と混合することにより、アミロース含有デンプンの水性スラリーを調製する。それに20gのカルボキシメチルセルロースを溶解し、次いで50重量%のアミロース含量を有する400gのアミロース含有デンプンを添加し、撹拌しながらスラリーを生成した。
【0488】
これに続いて、以下の2つの方法の1つにより、アミロース含有デンプンを含む水性液を生成した。
【0489】
方法1:水で希釈することにより、各スラリーを5重量%又は15重量%のデンプン含量に調整する。
【0490】
方法2:各スラリーを、まず5重量%又は15重量%のデンプン含量まで水で希釈し、次いで30g/Lの30重量%水性ポリウレタン分散液(非イオノゲン)と混合する。
【0491】
これに続いて、アミロース含有デンプン及び本発明の活性物質で織布を改質する。
【0492】
124g/m2の坪量を有する綿織布試験片を、布の重量に対して80重量%の液吸収率まで、パッド-マングルを用いて上述のように調製した液の1つで処理する。これに続いて、120℃で2分間乾燥させる。
【0493】
次に、このようにして改質された布試験片を、79~80重量%の液吸収率まで、パッド-マングルを用いて1重量%~7重量%の活性物質含量を有する本発明の活性物質の水性エマルジョン/懸濁液を布試験片に適用することにより、水性活性物質製剤で処理する。次に、このようにして処理された布試験片を、家庭用乾燥機内で15%の残留含水率まで乾燥させる。
【0494】
このようにして製造された活性物質が追加された布を、次いで、例えば皮膚との接触時の冷涼効果又は昆虫に対するその忌避効果に関してさらに検査することができる。
【0495】
マウスウォッシュ香料
本発明の冷涼物質を使用した冷涼作用を有するマウスウォッシュ香料の製造
以下を混合した(別段に指定されない限り、数値は全て重量%である)。
【0496】
【表15】
【0497】
香料をそれぞれ、そのまま使用可能なマウスウォッシュに0.15重量%の濃度で、又はマウスウォッシュ濃縮液に3重量%の濃度で組み込んだ。経験を積んだ熟練したパネルによる官能評価では、香料が、マウスウォッシュの使用後約1時間にわたり持続する、非常に長期持続性の爽快効果を迅速に開始させることが示された。
【0498】
チュアブル菓子
本発明の冷涼物質を使用した冷涼なラズベリー風味を有するチュアブル菓子の製造
別段に指定されない限り、数値は全て重量%である。
【0499】
【表16】
【0500】
製造手順:
a)70℃で2時間ゼラチンを水(ゼラチンの量の1.8倍)で膨潤させる、
b)糖、シロップ、水、脂肪及びレシチンを123℃で沸騰させる、
c)ゼラチン溶液を沸騰した混合物と徐々に混合する、
d)ラズベリー香料、乳酸メンチル及び本発明の冷涼物質を混合し、場合によって着色剤を入れて撹拌する、
e)得られた物質を冷却テーブル上で約70℃にし、次いでフォンダンを添加し、引張機械で約3分間空気を含ませる、
f)次いで、チュアブル菓子混合物を切断し、パッキングする。
【0501】
チュアブル菓子を食べると、噛んでいる間に爽快で冷涼なラズベリー風味が認識される。
【0502】
フルーツガム
本発明の冷涼物質を使用した、長期持続性の爽快で冷涼な味を有するフルーツガムの製造
別段に指定されない限り、数値は全て重量%である。
【0503】
【表17】
【0504】
上記使用例は、それぞれの製品群からの他の製品に対しても、適切な場合には行うのが困難ではないと当業者にみなされる変更を加えて適用され得る。本明細書に基づいて、本発明の化合物が、場合によりわずかな変更を加えて大きな複雑性を伴わずにお互いに交換可能であることが、当業者には難なく理解される。また、当業者には容易に明らかとなるように、使用される本発明の化合物又は混合物の濃度は可変である。さらに、各使用例における製品特定のさらなる構成物質は、当業者には容易に認識され得る様式で、同様に他の製品に典型的な構成物質と交換可能であり、又はそれにより補完され得る。多くのそのような製品特定の構成物質は、上記説明において開示されている。
以下は、本発明の実施形態の一つである。
(1)冷メントール受容体TRPM8の調節、好ましくはin vitro及び/又はin vivo調節の非治療的方法であって、受容体を以下の構造型1:
【化71】
(式中、
R 1 は、以下の構造:
【化72】
(式中、
Zは、O及びSからなる群から選択され、
nは、0又は1であり、
mは、
1であり、Yは、水素であり、R8は、直鎖若しくは分岐状C 1 ~C 5 アルキル基、好ましくはC 5 アルキル基であり、又は、Yは、NR 9 若しくはCR 9 であり、R 9 は、R 8 と一緒になって、部分若しくは完全飽和5員若しくは6員環を形成し、或いは、
0、2又は3であり、Yは、水素であり、R 8 は、直鎖若しくは分岐状C 1 ~C 5 アルキル基、好ましくはC 5 アルキル基であり、又は、Yは、NR 9 若しくはCR 9 であり、R 9 は、R 8 と一緒になって、芳香族、部分若しくは完全飽和5員若しくは6員環を形成する)からなり、
R 2 は、直鎖若しくは分岐状C 1 ~C 5 アルキル基、5員若しくは6員シクロアルキル基又は5員若しくは6員アリール基であり、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基は、場合によって1個又は2個の(環)ヘテロ原子を含み、
R 3 、R 4 、R 5 、R 6 及びR 7 は、同じ又は異なり、
水素、
ハロゲン、
NH 2 、OH、SH、ハロゲン及び直鎖若しくは分岐状C 1 ~C 6 -アルキル基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ若しくは4つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有する直鎖若しくは分岐状C 1 ~C 6 -アルキル基、
NH 2 、OH、SH、ハロゲン及びC 1 ~C 6 -アルコキシ基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ若しくは4つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有する直鎖若しくは分岐状C 1 ~C 6 -アルコキシ基、
NH 2 、OH、SH、ハロゲン、直鎖若しくは分岐状C 1 ~C 6 -アルキル基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ若しくは4つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有する単環式若しくは多環式アリール、アリールアルキル及びヘテロアリール基(ヘテロアリール基は、同じ又は異なる、O、N及びSからなる群から選択される1個、2個、3個又は4個の環ヘテロ原子を有する)からなる群から選択され、又は
2つの隣接するR 3 、R 4 、R 5 、R 6 及びR 7 基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、直鎖若しくは分岐状C 1 ~C 6 アルキル基からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つの同一若しくは異なる置換基を場合によって有し、同じ若しくは異なる、O、N及びSからなる群から選択される1個、2個若しくは3個の環ヘテロ原子を有する、4、5、6若しくは7員の単不飽和若しくは多価不飽和ヘテロ環式環を形成し、
Xは、
-C 1 ~C 4 -アルキレン基、-C 2 ~C 4 -アルケニレン基、及び-A-C 1 ~C 4 -若しくは-C 1 ~C 4 -A-アルキレン基又は-A-C 2 ~C 4 -若しくは-C 2 ~C 4 -A-アルケニレン基(ここで、Aは、O、S又はNHである)からなる群から選択され、或いは、
化学単結合である)
の化合物、
並びにこれらの化合物の塩、特に、無機又は特に有機の一塩基性及び特に多塩基性カルボン酸との酸付加塩、
並びに場合によって立体異性的に純粋な形態のこれらの化合物又はそれらの立体異性体の混合物からなる群から選択される少なくとも1種のモジュレーターと接触させる、方法。
(2)構造型1の化合物が、以下の化合物からなる群Aから選択される、(1)に記載の方法。
【表18】
(3)受容体を、ヒトTRPM8受容体を組換えにより発現する細胞を使用した細胞活動試験において、これらの細胞のCa 2+ イオンの透過性を調節する少なくとも1種のモジュレーターと接触させる、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)モジュレーターが、細胞のCa 2+ イオン透過性に対する作動効果又は拮抗効果を有する、(1)、(2)又は(3)に記載の方法。
(5)モジュレーターが、TRPM8受容体作動物質である、(1)から(4)のいずれかに記載の方法。
(6)人間及び/又は動物における冷感の非治療的誘引のための、(1)から(5)のいずれかに定義されるモジュレーターの使用。
(7)モジュレーターを含むパッキング又は布地を用いた冷感の非治療的誘引のための、(6)に記載の(1)から(5)のいずれかに定義されるモジュレーターの使用。
(8)(1)から(5)のいずれかに定義されるモジュレーターの少なくとも1種、2種、3種又はそれ以上を組成物の総重量に対して好ましくは0.1重量ppm~10重量%の(総)量で含む組成物を使用して、モジュレーターが同じ濃度のN-エチルメンタンカルボキサミドと単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較して好ましくは少なくとも10分好ましく延長された皮膚若しくは粘膜上の冷涼効果、及び/又は、モジュレーターが同じ濃度のFEMA 4809若しくはFEMA 4496と単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較してより早期に開始する冷涼効果を達成する、(6)に記載の使用。
(9)モジュレーターが、(2)に定義される群Aから選択される、(7)又は(8)に記載の使用。
(10)TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用、好ましくはTRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための、(1)から(5)のいずれかに定義されるモジュレーター。
(11)以下の化合物:
【表19】
からなる群Aから選択される化合物、又はそのような化合物の塩、特に、無機若しくは特に有機の一塩基性若しくは特に多塩基性カルボン酸との酸付加塩から選択される塩。
(12)(11)に記載の化合物を含む組成物。
(13)TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用、好ましくはTRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための、(1)から(5)のいずれかに定義される少なくとも1種のモジュレーターを含む組成物。
(14)TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用、好ましくはTRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための(13)に記載の組成物、又は(12)に記載の組成物であって、
a)食品、好ましくはアイスクリーム、ムース、クリーム、飲料及び菓子類、
b)口腔ケア製品、好ましくは練り歯磨き、マウスウォッシュ及びチューインガム、
c)パーソナルケア製品、好ましくはスキンケア又は毛髪ケア製品、例えばサンクリーム、日焼け止めクリーム、ローション及びシャンプー、並びにパッチ剤、
d)フォーム及びゲル
からなる群から選択される、組成物。
(15)TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用、好ましくはTRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための(13)若しくは(14)に記載の組成物、又は(12)に記載の組成物であって、(1)から(5)のいずれかに定義されるモジュレーターの1種、2種、3種又はそれ以上を含む、栄養、口腔衛生若しくは娯楽目的のアロマ混合物及び製剤又は化粧製剤からなる群から選択され、前記モジュレーターが、アロマ混合物又は製剤の総重量に対して0.05重量ppm~10重量%、好ましくは0.1重量ppm~10重量%の(総)量で存在する、組成物。
(16)(1)生理学的冷涼作用を有する1種以上のさらなる物質であって、さらなる物質、又はさらなる物質の1種、2種以上若しくは全てが、(i)風味付け効果をもたらす、又は(ii)風味付け効果をもたらさない、物質、
及び/或いは
(2)生理学的冷涼効果を有さない1種以上のアロマ
及び/又は
(3)生理学的冷涼効果を有さず、三叉神経効果又は食欲誘発効果を有する1種以上の物質、及び/又は
(4)(iii)1種の化合物又は(iv)2種以上の化合物であって、独立して、又は(iv)の場合には集合的に、風味調節効果及び/又は三叉神経刺激及び/又は食欲誘発刺激をさらにもたらす化合物
をさらに含む、TRPM8受容体のモジュレーターとしての使用、好ましくはTRPM8受容体を調節する治療的方法における使用のための(13)、(14)若しくは(15)に記載の組成物、又は(12)に記載の組成物。
(17)モジュレーターが同じ濃度のN-エチルメンタンカルボキサミドと単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較して少なくとも10分延長された皮膚及び/若しくは粘膜上の生理学的冷涼効果、並びに/又は、モジュレーターが同じ濃度のFEMA 4809若しくはFEMA 4496と単に交換された同じ構成の組成物の冷涼効果と比較してより早期に開始する冷涼効果を達成するための、人間及び/又は動物における冷感の非治療的誘引のための(6)に記載の使用であって、
皮膚及び/又は粘膜への生理学的冷涼効果を達成するのに十分な量の(12)から(15)のいずれかに定義される組成物を適用するステップ
を含む、使用。
(18)モジュレーターが、(2)に定義される群Aから選択される、(17)に記載の使用。