(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】冷却ガス区画および対応する溝ならびに単極静電クランプ電極パターンを備える静電チャック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230221BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230221BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/31 C
H01L21/302 101B
H01L21/302 101G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021102828
(22)【出願日】2021-06-22
(62)【分割の表示】P 2019534967の分割
【原出願日】2018-04-05
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マチュシキン・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】コメンダント・キース・ロレンス
(72)【発明者】
【氏名】ホランド・ジョン・パトリック
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-136104(JP,A)
【文献】特開2011-114178(JP,A)
【文献】特開2015-088743(JP,A)
【文献】特開2010-141081(JP,A)
【文献】特開2014-072355(JP,A)
【文献】特開2005-079415(JP,A)
【文献】特開2006-013256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/31
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムのための静電チャックの底板に接合された、前記静電チャックの天板であって、
複数の別個の冷却ガス溝セットを有する前記天板の本体であって、前記複数の別個の冷却ガス溝セットの各々は、1つ以上の冷却ガス供給穴を有する、本体と、
前記本体に配置された単極クランプ電極であって、複数の分離した冷却ガス溝開口セットを有する溝開口パターンを備える、単極クランプ電極と、
を備え、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットの各々は、前記複数の分離した冷却ガス溝開口セットのそれぞれの上に配置される、天板。
【請求項2】
請求項1に記載の天板であって、
前記単極クランプ電極は、円形状である、天板。
【請求項3】
請求項1に記載の天板であって、
前記単極クランプ電極は、前記本体の中央から前記本体の外周に径方向に延びる、天板。
【請求項4】
請求項1に記載の天板であって、
前記単極クランプ電極は、前記天板の径方向表面領域の95%を覆う、天板。
【請求項5】
請求項1に記載の天板であって、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットの各々は、前記複数の分離した冷却ガス溝開口セットのそれぞれの上方の中央に位置する、天板。
【請求項6】
請求項1に記載の天板であって、
前記天板の前記本体は、前記単極クランプ電極である1つのクランプ電極のみを備え
、
少なくとも、
前記天板の前記本体は、同時に1つの基板のみを支持するように構成されていることと、
前記単極クランプ電極は、同時に1つの基板のみ前記天板の前記本体にクランプするように構成されていることと、
のうちの少なくとも1つを満たす、天板。
【請求項7】
請求項1に記載の天板であって、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットの各々は、前記天板の上面全体に冷却ガスを分配するための複数の冷却ガス溝を備える、天板。
【請求項8】
請求項1に記載の天板であって、
前記溝開口パターンは、前記複数の別個の冷却ガス溝セットの配置パターンに類似する、天板。
【請求項9】
請求項1に記載の天板であって、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットは、
第1の冷却ガス溝セットと、
第2の冷却ガス溝セットと、を含み、
前記第1の冷却ガス溝セットは、前記第1の冷却ガス溝セットおよび前記第2の冷却ガス溝セットが、前記天板の中央から延びる同じ径方向に延びる線の中央に位置するように、前記第2の冷却ガス溝セットと径方向に並ぶ、天板。
【請求項10】
請求項1に記載の天板であって、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットは、
第1の冷却ガス溝セットと、
第2の冷却ガス溝セットと、を含み、
前記第1の冷却ガス溝セットは、前記第2の冷却ガス溝セットから径方向外向きに配置され、前記第2の冷却ガス溝セットから環状にオフセットされる、天板。
【請求項11】
請求項1に記載の天板であって、
前記複数の
分離した冷却ガス溝開口セットは、
第1の冷却ガス溝開口セットと、
第2の冷却ガス溝開口セットと、を含み、
前記第1の冷却ガス溝開口セットは、前記第1の冷却ガス溝
開口セットおよび前記第2の冷却ガス溝
開口セットが、前記天板の中央から延びる同じ径方向に延びる線の中央に位置するように、前記第2の冷却ガス溝開口セットと径方向に並ぶ、天板。
【請求項12】
請求項1に記載の天板であって、
前記複数の分離した冷却ガス溝開口セットは、
第1の冷却ガス溝開口セットと、
第2の冷却ガス溝開口セットと、を含み、
前記第1の冷却ガス溝開口セットは、前記第2の冷却ガス溝開口セットから径方向外向きに配置され、前記第2の冷却ガス溝
開口セットから環状にオフセットされる、天板。
【請求項13】
請求項1に記載の天板であって、
前記溝開口パターンには、前記天板の別個の冷却ガス溝セットと同数の冷却ガス開口部がある、天板。
【請求項14】
請求項1に記載の天板であって、さらに、
前記天板の複数の冷却ガス区画を分離する複数のシールであって、前記複数の冷却ガス区画の各々は、前記複数の別個の冷却ガス溝セットの2つ以上を有する、複数のシールを備える、天板。
【請求項15】
請求項14に記載の天板であって、
前記複数の冷却ガス区画の最も外側の冷却ガス区画における前記複数の別個の冷却ガス溝セットの各々は、複数の溝、および、一連の環状要素として配置された複数の供給穴を有し、
前記複数の冷却ガス区画の3つ以上の最も内側の冷却ガス区画における前記複数の別個の冷却ガス溝セットの各々は、径方向に延びる溝と、複数の環状に延びる溝と、を有する、天板。
【請求項16】
請求項15に記載の天板であって、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットの各々の前記複数の環状に延びる溝は、前記径方向に延びる溝の対応する溝から離れて延びる、天板。
【請求項17】
請求項14に記載の天板であって、
前記複数の冷却ガス区画は、同心円状である、天板。
【請求項18】
請求項14に記載の天板であって、
前記複数の冷却ガス区画の1つは、
第1の冷却ガス溝セットであって、
第1の径方向に延びる溝と、
前記第1の径方向に延びる溝から延びる第1の複数の溝と、を有する第1の冷却ガス溝セットと、
第2の冷却ガス溝セットであって、
第2の径方向に延びる溝と、
前記第2の径方向に延びる溝から延びる第2の複数の溝と、を有する第2の冷却ガス溝セットと、を有し、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットは、前記第1の冷却ガス溝セットおよび前記第2の冷却ガス溝セットを含む、天板。
【請求項19】
請求項18に記載の天板であって、
前記第1の複数の溝は、第1の複数の分岐路ペアを有し、
前記第2の複数の溝は、第2の複数の分岐路ペアを有し、
前記第1の複数の分岐路ペアは、前記第2の複数の分岐路ペアと同じ円形路に沿って延び、ギャップにより前記第2の複数の分岐路ペアと分離され、
前記ギャップは、前記第1の複数の分岐路ペアと前記第2の複数の分岐路ペアとの間に配置される、天板。
【請求項20】
静電チャックであって、
基板に静電気的にクランプするように構成された請求項1に記載の前記天板と、
前記底板と、
前記天板を前記底板に接合する中間層と、
を備える、静電チャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理システムの静電チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載の背景技術の説明は、一般に、本開示の内容を提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、この背景技術欄のみならず、出願時に他に先行技術と見なされない説明の態様において記載される範囲において、明示的にも黙示的にも本開示に対する先行技術として認められない。
【0003】
基板処理システムは、半導体ウエハなどの基板のエッチング、堆積、および/または、他の処理を実施するために用いられてよい。基板上で実施されうる例示的なプロセスは、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)プロセス、物理気相堆積(PVD)プロセス、イオン注入プロセス、ならびに/または、他のエッチング、堆積、および洗浄プロセスを含むがそれらに限定されない。例として、エッチングプロセス中に、基板は、基板処理システム内の静電チャック(ESC)上に配置されてよく、基板上の薄膜がエッチングされる。
【発明の概要】
【0004】
基板処理システム用の静電チャックが提供されており、静電チャックは、底板、底板上に配置された中間層、および天板を備える。天板は、中間層を介して底板に結合され、基板に静電気的にクランプするように構成される。天板は、単極クランプ電極およびシールを備える。単極クランプ電極は、冷却ガス溝開口セットを有する溝開口パターンを備える。シールは、冷却ガス区画を分離する。冷却ガス区画は、4つ以上の冷却ガス区画を備える。各冷却ガス区画は、別個の冷却ガス溝セットを備える。天板は、別個の冷却ガス溝セットを備える。各別個の冷却ガス溝セットは、1つ以上の冷却ガス供給穴を有し、それぞれの冷却ガス溝開口セットに対応する。
【0005】
他の特徴では、冷却ガス溝開口セットは、天板の1つ以上の層および単極クランプ電極の層に配置される。他の特徴では、冷却ガス溝開口セットは、別個の冷却ガス溝セットの下方にそれぞれ配置される。他の特徴では、各冷却ガス溝セットは、冷却ガスを天板の上面全体に分配するための冷却ガス溝を備える。
【0006】
他の特徴では、最も外側の冷却ガス区画における各別個の冷却ガス溝セットは、一連の環状要素として配置された溝および供給穴を備える。3つ以上の最も内側の冷却ガス区画における各別個の冷却ガス溝セットは、径方向に延びる溝および環状に延びる溝を備える。
【0007】
他の特徴では、各別個の冷却ガス溝セットの環状に延びる溝は、対応する径方向に延びる溝から離れるように延びる。他の特徴では、溝開口パターンは、別個の冷却ガス溝セットの配置パターンに類似する。他の特徴では、溝開口パターンには、天板の別個の冷却ガス溝セットと同数の冷却ガス開口がある。
【0008】
他の特徴では、冷却ガス区画の1つは、第1の冷却ガス溝セットおよび第2の冷却ガス溝セットを備える。第1の冷却ガス溝セットは、第1の径方向に延びる溝、および、第1の径方向に延びる溝から延びる第1の溝を有する。第2の冷却ガス溝セットは、第2の径方向に延びる溝、および、第2の径方向に延びる溝から延びる第2の溝を有する。別個の冷却ガス溝セットは、第1の冷却ガス溝セットおよび第2の冷却ガス溝セットを備える。他の特徴では、第1の溝は、第1の分岐路ペアを備える。第2の溝は、第2の分岐路ペアを備える。第1の分岐路ペアは、第2の分岐路ペアと同じ円形路に沿って延び、ギャップによって第2の分岐路ペアによって分離される。ギャップは、第1の分岐路ペアと第2の分岐路ペアとの間に配置される。
【0009】
他の特徴では、別個の冷却ガス溝セットは、第1の冷却ガス区画に配置された第1の冷却ガス溝セット、および、第2の冷却ガス区画に配置された第2の冷却ガス溝セットを備える。第1の冷却ガス溝セットは、第1の冷却ガス溝セットおよび第2の冷却ガス溝セットが、天板の中心から延びる同じ径方向に延びる線上の中央に位置するように、第2の冷却ガス溝セットと径方向に並ぶ。
【0010】
他の特徴では、別個の冷却ガス溝セットは、第1の冷却ガス区画に配置された第1の冷却ガス溝セット、および、第2の冷却ガス区画に配置された第2の冷却ガス溝セットを備える。第1の冷却ガス溝セットは、第2の冷却ガス溝セットから径方向外向きに配置され、第2の冷却ガス溝セットから環状的にオフセットされる。
【0011】
他の特徴では、冷却ガス溝開口セットは、第1の冷却ガス区画の下方に配置された第1の冷却ガス溝開口セット、および、第2の冷却ガス区画の下方に配置された第2の冷却ガス溝開口セットを備える。第1の冷却ガス溝開口セットは、第1の冷却ガス溝セットおよび第2の冷却ガス溝セットが、天板の中心から延びる同じ径方向に延びる線の中央に位置するように、第2の冷却ガス溝開口セットと径方向に並ぶ。
【0012】
他の特徴では、冷却ガス溝開口セットは、第1の冷却ガス区画の下方に配置された第1の冷却ガス溝開口セット、および、第2の冷却ガス区画の下方に配置された第2の冷却ガス溝開口セットを備える。第1の冷却ガス溝開口セットは、第2の冷却ガス溝開口セットから径方向外向きに配置され、第2の冷却ガス溝セットから環状的にオフセットされる。他の特徴では、冷却ガス区画は、同心円状である。他の特徴では、単極クランプ電極は、天板の径方向表面領域の少なくとも95%を覆う。
【0013】
本開示のさらなる適用領域は、発明を実施する形態、特許請求の範囲、および図面から明らかになるだろう。発明を実施する形態および特定の例は、例示のみの目的を意図し、本開示の範囲を限定する意図はない。
本開示は、以下の形態により実現されてもよい。
[形態1]
基板処理システムのための静電チャックであって、
底板と、
前記底板上に配置された中間層と、
前記中間層を介して前記底板に接合され、基板に静電気的にクランプするように構成された天板と、を備え、
前記天板は、
複数の冷却ガス溝開口セットを有する溝開口パターンを備える単極クランプ電極と、
複数の冷却ガス区画を分離する複数のシールと、
を有し、
前記複数の冷却ガス区画は、4つ以上の冷却ガス区画を含み、
前記複数の冷却ガス区画の各々は、複数の別個の冷却ガス溝セットを備え、前記天板は、前記複数の別個の冷却ガス溝セットを有し、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットの各々は、1つ以上の冷却ガス供給穴を有し、前記複数の冷却ガス溝開口セットのそれぞれに対応する、静電チャック。
[形態2]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記複数の冷却ガス溝開口セットは、前記天板の1つ以上の層に配置され、前記単極クランプ電極の層上に配置される、静電チャック。
[形態3]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記複数の冷却ガス溝開口セットは、前記複数の別個の冷却ガス溝セットのそれぞれ下方に配置される、静電チャック。
[形態4]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記複数の冷却ガス溝セットの各々は、冷却ガスを前記天板の上面全体に分配するための複数の冷却ガス溝を備える、静電チャック。
[形態5]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記複数の冷却ガス区画の最も外側の冷却ガス区画における前記複数の別個の冷却ガス溝セットの各々は、複数の溝、および、一連の環状要素として配置された複数の供給穴を有し、
前記複数の冷却ガス区画の3つ以上の最も内側の冷却ガス区画における前記複数の別個の冷却ガス溝セットの各々は、径方向に延びる溝、および、複数の環状に延びる溝を有する、静電チャック。
[形態6]
形態5に記載の静電チャックであって、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットの各々の前記複数の環状に延びる溝は、前記径方向に延びる溝の前記対応する溝から離れて延びる、静電チャック。
[形態7]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記溝開口パターンは、前記複数の別個の冷却ガス溝セットの配置パターンに類似する、静電チャック。
[形態8]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記溝開口パターンには、前記天板の別個の冷却ガス溝セットと同数の冷却ガス開口部がある、静電チャック。
[形態9]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記複数の冷却ガス区画の1つは、
第1の冷却ガス溝セットであって、
第1の径方向に延びる溝と、
前記第1の径方向に延びる溝から延びる第1の複数の溝と、を有する第1の冷却ガス溝セットと、
第2の冷却ガス溝セットであって、
第2の径方向に延びる溝と、
前記第2の径方向に延びる溝から延びる第2の複数の溝と、を有する第2の冷却ガス溝セットと、を有し、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットは、前記第1の冷却ガス溝セットおよび前記第2の冷却ガス溝セットを含む、静電チャック。
[形態10]
形態9に記載の静電チャックであって、
前記第1の複数の溝は、第1の複数の分岐路ペアを有し、
前記第2の複数の溝は、第2の複数の分岐路ペアを有し、
前記第1の複数の分岐路ペアは、前記第2の複数の分岐路ペアと同じ円形路に沿って延び、ギャップにより前記第2の複数の分岐路ペアと分離され、
前記ギャップは、前記第1の複数の分岐路ペアと前記第2の複数の分岐路ペアとの間に配置される、静電チャック。
[形態11]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットは、
第1の冷却ガス区画に配置された第1の冷却ガス溝セットと、
第2の冷却ガス区画に配置された第2の冷却ガス溝セットと、を含み、
前記第1の冷却ガス溝セットは、前記第1の冷却ガス溝セットおよび前記第2の冷却ガス溝セットが、前記天板の中央から延びる同じ径方向に延びる線の中央に位置するように、前記第2の冷却ガス溝セットと径方向に並ぶ、静電チャック。
[形態12]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記複数の別個の冷却ガス溝セットは、
第1の冷却ガス区画に配置された第1の冷却ガス溝セットと、
第2の冷却ガス区画に配置された第2の冷却ガス溝セットと、を含み、
前記第1の冷却ガス溝セットは、前記第2の冷却ガス溝セットから径方向外向きに配置され、前記第2の冷却ガス溝セットから環状にオフセットされる、静電チャック。
[形態13]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記複数の冷却ガス溝開口セットは、
第1の冷却ガス区画の下方に配置された第1の冷却ガス溝開口セットと、
第2の冷却ガス区画の下方に配置された第2の冷却ガス溝開口セットと、を含み、
前記第1の冷却ガス溝開口セットは、前記第1の冷却ガス溝セットおよび前記第2の冷却ガス溝セットが、前記天板の中央から延びる同じ径方向に延びる線の中央に位置するように、前記第2の冷却ガス溝開口セットと径方向に並ぶ、静電チャック。
[形態14]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記複数の冷却ガス溝開口セットは、
第1の冷却ガス区画の下方に配置された第1の冷却ガス溝開口セットと、
第2の冷却ガス区画の下方に配置された第2の冷却ガス溝開口セットと、を含み、
前記第1の冷却ガス溝開口セットは、前記第2の冷却ガス溝開口セットから径方向外向きに配置され、前記第2の冷却ガス溝開口セットから環状にオフセットされる、静電チャック。
[形態15]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記複数の冷却ガス区画は、同心円状である、静電チャック。
[形態16]
形態1に記載の静電チャックであって、
前記単極クランプ電極は、前記天板の径方向表面領域の少なくとも95%を覆う、静電チャック。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示は、発明を実施するための形態および付随の図面からより十分に理解されるだろう。
【0015】
【
図1】本開示の実施形態によるESCを組み込んだ基板処理システムの例の機能ブロック図。
【0016】
【
図2】本開示の実施形態による、千鳥状の溝セットを有する冷却ガス溝パターン、および、対応するクランプ電極パターンを備える4つの冷却ガス区画を組み込んだESCの例の斜視図。
【0017】
【
図3】本開示の実施形態による、いくつかの径方向に並ぶ溝セットを有する冷却ガス溝パターン、および、対応するクランプ電極パターンを備える4つの冷却ガス区画を組み込むESCの例の斜視図。
【0018】
【
図4】本開示の実施形態による、径方向に並ぶ溝セットを有する冷却ガス溝パターン、および、対応するクランプ電極パターンを備える3つの冷却ガス区画を組み込んだ別のESCの例の斜視図。
【0019】
【
図5】本開示の実施形態による、ガス供給穴部分を備える冷却ガス溝開口部を含む4つの冷却ガス区画のクランプ電極パターンおよび冷却ガス溝開口パターンを有する単極クランプ電極の例の上面図。
【0020】
【
図6】本開示の実施形態による、冷却ガス溝開口部ならびにガス供給および戻り穴部分を含む4つの冷却ガス区画のクランプ電極パターンおよび冷却ガス溝開口パターンを有する単極クランプ電極の例の上面図。
【0021】
【
図7】本開示の実施形態による、シール、メサ、冷媒溝、および単極クランプ電極を表すESCの天板部分の断面側面図。
【0022】
【
図8】本開示の実施形態による、冷却ガス溝の底部の冷却ガス供給穴を表すESCの一部の例の断面図。
【0023】
【
図9】本開示の実施形態による、冷却ガス溝開口セットおよび対応する冷却ガス溝セットを含むシール区画の例示的な一部の上面図。
【0024】
図面では、参照番号は、類似および/または同一の要素を特定するために再利用されてよい。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ESCは、基板の処理中に基板を保持する。ESCは、例えば、真空処理チャンバにおいて静電力を用いて基板を定位置に保持する。ESCは、誘電材料(例えば、セラミック)およびバルク(または、厚い)底板によって形成された薄型天板(例えば、1.25ミリメートル(mm)の厚さ)を含む2枚の板の配置を有してよい。天板は、シール、メサ、冷媒溝、および電極を備えてよい。シールは、ESCの上面と基板との間の冷却区画を分離する。基板は、処理の間、シールおよびメサの上に配置され、基板をESC上に静電気的にクランプする電極を介して静電力によってESCに保持される。
【0026】
基板とESCの天板との間の熱接触は、処理中の基板の温度を調節するために必要である。このことは、実施されるプロセスが基板からの吸熱または基板への熱調達を含むかどうかに関わらず当てはまる。冷却ガス(例えば、ヘリウムガス)は、(i)基板の接触面と天板との間、および、(ii)天板のシールの間に含まれてよい。シールは、基板と天板との間に配置され、天板の不可欠な部分である。シール区画は、基板が天板に静電気的にクランプされたときに形成される。シール区画は、シール間で径方向に、および、天板の上面と対向する基板の底面(または、裏面)との間で垂直方向に配置される。冷却ガス漏れは、シール区画の間、および/または、最も径方向外側のシール区画と真空処理チャンバの内側との間で起こりうる。
【0027】
過剰な量のガス漏れなしにシール区画に提供されうる冷却ガス圧の量は、電極および対応するクランプシステムによって提供される静電クランプ力によって制限される。基板をESCの天板上に保持するために提供されたクランプ力が大きいほど、提供されうる冷却ガス圧は高くなる。そのため、基板と天板との間の熱伝達に影響を及ぼすために用いられうる冷却ガス圧の量には制限がある。
【0028】
また、熱伝達率、冷却ガス圧、および、基板とESCの天板との間の距離などのパラメータが関係する。例えば、距離が短くなるにつれて、熱伝達率は高くなる。しかし、距離の短縮は、基板と天板との間の圧力の不均一を引き起こす横流動コンダクタンス量の減少をもたらす。結果として生じた圧力変化は、(i)基板とESCとの間で大域的に基板温度の上昇を引き起こす、および/または、(ii)ESCの上面領域全体にわたる領域において局所的に温度の不均一を引き起こす、不適切な熱伝達を引き起こしうる。冷却ガスの供給および圧力は、適切な熱伝達を提供するように調節されてよい。冷却ガス溝は、温度の不均一を防ぐために、組み込まれて均一に冷却ガスを分配するのを助けてよい。
【0029】
冷却ガス溝と静電クランプ電極との間の距離が所定の距離より短い場合は、冷却ガス溝と静電クランプ電極との間で絶縁破壊、および、続いてアーキングが起こりうる。例えば、薄天板と、天板の上面付近および1つ以上の冷却ガス溝付近に配置されたクランプ電極とを有するESCは、クランプ電極と冷却ガス溝との間で絶縁破壊およびアーキングを経る可能性がある。アーキングは、ESCに修復不能な損害を与え、不具合の原因になりうる。
【0030】
本明細書に記載の例は、冷却ガス溝とクランプ電極との間に適切な分離を提供しながら冷却ガスを均一に分配する、冷却ガス溝パターンおよび対応するクランプ電極を有する天板を備えたESCを含む。冷却ガス溝パターンは、冷却ガスを均一に分配して基板の裏面を適切に冷却するために天板の上面全体に均一に配置された樹木模様の溝セットを含む。冷却ガス溝は、天板全体にわたる冷却ガスの分配を促進する。クランプ電極は単極電極であり、各ESCは1つの非分割クランプ電極を備える。クランプ電極は、ESCの所定の径方向表面領域以上を覆い、それぞれの溝開口パターンを有する。クランプ電極は、天板全体/基板接合面領域全体の所定量(例えば、95%以上)を覆うことによって、向上した基板のクランプを提供する。クランプ力は、電極の表面領域に比例する。溝開口パターンは、絶縁破壊およびアーキングを防ぐために、クランプ電極と冷却ガス溝との間に所定量の空間を提供する。
【0031】
図1は、ESC101を組み込む基板処理システム100を示す。ESC101は、本明細書に開示のESCのいずれかと同様に、または類似して構成されてよい。
図1は、容量結合プラズマ(CCP)システムを示すが、本明細書に開示の実施形態は、トランス結合プラズマ(TCP)システム、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマシステム、誘導結合プラズマ(ICP)システム、および/または他のシステム、ならびに、基板支持体を備えるプラズマ源に適用可能である。本実施形態は、PVDプロセス、PECVDプロセス、化学強化プラズマ気相堆積(CEPVD)プロセス、イオン注入プロセス、プラズマエッチングプロセス、ならびに/または、他のエッチング、堆積、および洗浄プロセスに適用可能である。
【0032】
ESC101は、天板102および底板103を備える。2つの板102および103は、セラミックおよび/または他の適した材料で形成されてよい。開示のESCの板102および板103、他の天板および底板、ならびに他の特徴は、
図1~8に示される例に関して以下にさらに説明される。
図1~8のESCはそれぞれ、特定の特徴を有して他の特徴を有していないように示されているが、各ESCは、本明細書および
図1~8に開示の特徴のいずれかを含むように変更されてよい。
【0033】
基板処理システム100は、処理チャンバ104を備える。ESC101は、処理チャンバ104に囲まれている。処理チャンバ104は、上部電極105などの他の部品も囲み、RFプラズマを含む。動作中に、基板107は、ESC101の天板102に配置されて静電気的にクランプされる。例えのみでは、上部電極105は、ガスを導入して分配するシャワーヘッド109を備えてよい。シャワーヘッド109は、処理チャンバ104の上面に結合された一端を含むステム部111を備えてよい。シャワーヘッド109は、一般に円筒形であり、処理チャンバ104の上面から離間した位置でステム部111の反対側の端から径方向外向きに延びる。基板対向面またはシャワーヘッド109は、プロセスガスまたはパージガスが通る孔を備える。あるいは、上部電極105は伝熱板を備えてよく、ガスは別の方法で導入されてよい。板102および板103の1つまたは両方は、下部電極として機能してよい。
【0034】
中間(または、接合)層114は、板102と板103との間に配置される。中間層114は、天板102を底板103に接合してよい。例として、中間層は、天板102を底板103に接合するのに適した接着材料で形成されてよい。底板103は、裏面(または、冷媒)ガスを基板107の裏面に、冷媒を底板103を通じて流すための1つ以上のガス流路115および/または1つ以上の冷媒流路116を備えてよい。
【0035】
RF生成システム120は、RF電圧を生成し、上部電極105および下部電極(例えば、板103内の1つ以上の電極121)に出力する。上部電極105およびESC101の1つは、直流的にもしくは交流的に接地されてよい、または浮遊電位状態であってよい。例えのみでは、RF生成システム120は、1つ以上の整合分配ネットワーク124によって上部電極105および/またはESC101に供給されるRF電圧を生成する1つ以上のRF生成器122(例えば、容量結合プラズマRF発電機、バイアスRF発電機、および/または、他のRF発電機)を備えてよい。例として、プラズマRF生成器123、バイアスRF生成器125、プラズマRF整合ネットワーク127、およびバイアスRF整合ネットワーク129が示されている。プラズマRF生成器123は、例えば、6~10キロワット(kW)以上の電力を生成するハイパワーRF生成器であってよい。バイアスRF整合ネットワークは、板103のRF電極121などのRF電極に電力を供給する。
【0036】
ガス供給システム130は、1つ以上のガス源132-1、132-2、・・・、および132-N(総称して、ガス源132)を備える(Nはゼロより大きい整数)。ガス源132は、1つ以上の前駆体およびそのガス混合物を供給する。ガス源132は、エッチングガス、キャリアガス、および/または、パージガスを供給してもよい。気化前駆体が用いられてもよい。ガス源132は、バルブ134-1、134-2、・・・、および134-N(総称して、バルブ134)、ならびに、マスフローコントローラ136-1、136-2、・・・、および136-N(総称して、マスフローコントローラ136)によってマニホルド140に接続される。マニホルド140の出力は、処理チャンバ104に供給される。例えのみでは、マニホルド140の出力は、シャワーヘッド109に供給される。
【0037】
基板処理システム100は、さらに、温度調節器142を含む冷却システム141を備える。システムコントローラ160とは別に示されているが、温度調節器142は、システムコントローラ160の一部として実装されてよい。板102および板103の1つ以上は、複数の温度調節された区画を備えてよい。
【0038】
温度調節器142および/またはシステムコントローラ160は、1つ以上のガス源132からガス流路115への流れを制御することによって基板を冷却するために、ガス流路115への裏面ガス(例えば、ヘリウム)の流量を制御してよい。温度調節器142は、流路116を通る第1の冷媒の流れ(冷却液体の圧力および流量)を制御するために、冷却アセンブリ146と連通してもよい。第1の冷却アセンブリ146は、冷却液体をリザーバ(図示せず)から受け取ってよい。例えば、冷却アセンブリ146は、冷媒ポンプおよびリザーバを備えてよい。温度調節器142は、底板103を冷却するために、流路116を通って冷媒を流すように冷却アセンブリ146を動作させる。温度調節器142は、冷媒が流れる量および冷媒の温度を制御してよい。温度調節器142は、処理チャンバ104内部のセンサ143から検出されたパラメータに基づいて、流路115および流路116に供給されるガスおよび/または冷媒の圧力および流量を制御する。温度センサ143は、抵抗温度装置、熱電対、デジタル温度センサ、および/または、他の適した温度センサを備えてよい。エッチングプロセスの間、基板107は、高出力プラズマの存在下で所定の温度(例えば、摂氏120度(℃))まで加熱されてよい。流路115および流路116を通るガスおよび/または冷媒の流れは、底板103の温度を低下させ、基板107の温度を低下させる(例えば、120℃から80℃に冷却する)。
【0039】
バルブ156およびポンプ158は、反応物質を処理チャンバ104から排出するために用いられてよい。システムコントローラ160は、供給されたRF電力レベル、供給されたガスの圧力および流量、RF整合などを制御することを含む基板処理システム100の部品を制御してよい。システムコントローラ160は、バルブ156およびポンプ158の状態を制御する。ロボット170は、ESC101に基板を供給し、ESC101から基板を撤去するために用いられてよい。例えば、ロボット170は、基板をESC101とロードロック172との間で搬送してよい。ロボット170は、システムコントローラ160によって制御されてよい。システムコントローラ160は、ロードロック172の動作を制御してよい。
【0040】
電源180は、基板107を天板102に静電気的にクランプするために、高電圧を含む電力を単極クランプ電極182に提供してよい。電源180は、システムコントローラ160によって制御されてよい。バルブ、ガスおよび/または冷媒ポンプ、電源、RF生成器などは、アクチュエータと呼ばれてよい。ガス流路、冷媒流路などは、温度調節要素と呼ばれてよい。
【0041】
図2は、天板202および底板204を備えるESC200を示す。天板202は、中間層(その例は
図1に示される)を介して底板204に接合されてよい。天板202は、(i)シール(または、ガス冷媒)区画208A、208B、208C、208D、および(ii)区画208Aを処理チャンバ(例えば、
図1の処理チャンバ104)の内部から隔離するシール206A、206B、206C、206Dを備える。区画208は、同心円状である。各シール区画208は、メサ209を備える。メサ209は、天板202全体に、および/または、所定の寸法を有する所定のパターンで、均一に配置されてよい。ESC200は4つの冷却ガス区画を有するように示されているが、ESC200は、3つ以上の冷却ガス区画を有してよい。3つの区画を有するESCの例は、
図4に示されている。シール206は、環状形状で、天板202から上向きに突出している。シール206は、天板202と同じ材料で形成されてよく、天板202の一部として一体成形されてよい。シール206は、図のように同心円状である。
【0042】
最も径方向外側のシール区画208Aは、連続する、同一の円(または、円形路)に沿って延びる冷却ガス溝210A、210B、210C、210Dを備える。冷却ガス溝210は、総称して、円形状であって複数のギャップを有する1つの分割溝と呼ばれてよい。1つの分割溝は、任意の数のギャップおよび対応する溝を有してよい。一実施形態では、1つの分割溝のギャップ数は、分配の均整を維持しながら冷却ガス分配を改善するために最小限にする。冷却ガス溝210はそれぞれ、冷却ガス(例えば、ヘリウム)が通って冷却ガス溝210に供給される任意の数の冷却ガス供給穴を有してよい。ガス供給穴の例は、
図8に示されている。
【0043】
各シール区画208は、複数の冷却ガス溝セットを備え、各冷却ガス溝セットは、樹木状で、径方向に延びる溝と、複数のペアの環状に延びる溝(分岐路ペアと呼ばれる)とを備える。各冷却ガス溝セットは、任意の数の分岐路ペアを有してよい。図の例では、シール区画208Bは、9つの冷却ガス溝セットを備え、シール区画208Cは、7つの冷却ガス溝セットを備え、最も径方向内側のシール区画208Dは、4つの冷却ガス溝セットを備える。例として、径方向に延びる溝220および分岐路222、分岐路224、分岐路226、分岐路228は、シール区画208Bの冷却ガス溝セットの1つとして特定される。シール区画208Cおよびシール区画208D各々の冷却ガス溝セットの1つは、それぞれ230および240に指定される。各分岐路ペアの分岐路は、互いに対向し、分岐路が対応する径方向に延びる溝と交わる対応する交点から反対方向に離れて延びる。
【0044】
図2では、冷却ガス溝セットの溝は、線として示されている。実際は、溝は、冷却ガスをシール区画208の隅々まで導いて均一に分配する浅いトレンチである。各溝は、対応する最大深さおよび対応する最大幅を有する。例として、各溝は、100ミクロン(μ)の最大深さを有し、300μの最大幅を有してよい。溝は、不均一な深さを有するため、長方形の断面を有さない可能性がある。図のように、各冷却ガス溝セットの分岐路の長さは、最も径方向外側の分岐路が最長に、最も径方向内側の分岐路が最短になるように、対応する径方向に延びる溝に沿って減少する。
【0045】
例として、各冷却ガス溝セットは、1つ以上の対応する冷却ガス供給穴を有してよい。各冷却ガス溝セットは、1つ以上の対応する冷却ガス戻り穴を有してよい。一実施形態では、冷却ガス溝セットは、冷却ガス供給穴を備え、冷却ガス戻り穴を備えない。別の実施形態では、冷却ガス溝セットは、冷却ガス供給穴と冷却ガス戻り穴とを備える。別の実施形態では、各冷却ガス溝セットは、ただ1つの冷却ガス供給穴と、ただ1つの冷却ガス戻り穴とを備える。冷却ガス供給穴は、対応する径方向に延びる溝の最も径方向外側の端で溝の交点に設置されてよい。各溝の交点は、径方向に延びる溝が2つの分岐路の最も内側の端と交わるところである。冷却ガス戻り穴は、(i)径方向に延びる溝の最も径方向内側の端、(ii)対応する冷却ガス溝セットの溝における冷却ガス供給穴から最も遠い点、または(iii)その間の点にあってよい。
【0046】
天板202は、対応するクランプ電極パターン(その例は
図5~6に示される)を有する1つの単極電極(以下、電極)を備えてよい。電極は、冷却ガス溝開口パターンを有し、開口部は、各冷却ガス溝、ならびに、対応する天板の対応する供給穴および戻り穴のために提供される。冷却ガス溝開口パターンは、1つ以上の冷却ガス溝および/または対応する冷却ガス溝セットの1つの形状より大きい、ならびに、それに似た冷却ガス溝開口部を有する。このことは、
図5~7に関して以下にさらに説明される。
【0047】
各シール区画の冷却ガス溝セットは、同じシール区画の他の冷却ガス溝セットにおける分岐路と連続する分岐路を備える。例えば、シール区画208Bの各冷却ガス溝セットの最も外側の分岐路は、同一の円(または、円形路)に沿って連続して延びる。同一の円(または、円形路)に沿う分岐路は、同じ長さを有するように示されていないが、同一の円(または、円形路)に沿う各分岐路は、対応する径方向に延びる溝がそれぞれ2つの等しい長さの分岐路間の中央に位置するように同じ長さを有してよい。各冷却ガス溝セットの分岐路は、円周方向のギャップ(例えば、冷却ガス溝セット252の分岐路と冷却ガス溝セット254の分岐路との間のギャップ250)によって隣接する冷却ガス溝セットから分離される。
【0048】
各シール区画の径方向に延びる各溝は、他のシール区画の径方向に延びる溝とずらして配置される。これは、
図3のESCの径方向に延びる溝とは異なる。1つのシール区画から別のシール区画に延びる冷却ガス溝はない。このことは、各シール区画のために選択された圧力および温度を維持するのに役立つ。
【0049】
図3は、天板302および底板304を備えるESC300を示す。天板302は、中間層(その例は
図1に示される)を介して底板304に接合されてよい。天板302は、シール(または、ガス冷媒)区画308A、308B、308C、308Dを隔離するシール306A、306B、306Cを備える。区画308は、同心円状である。各シール区画308は、メサ309を備える。ESC300は4つの冷却ガス区画を有するように示されているが、ESC300は、3つ以上の冷却ガス区画を有してよい。3つの区画を有するESCの例は、
図4に示されている。シール306は、環状形状で、天板302から上向きに突出している。シール306は、天板302と同じ材料で形成されてよく、天板302の一部として一体成形されてよい。シール306は、図のように同心円状である。
【0050】
最も径方向外側のシール区画308Aは、連続する、同一の円(または、円形路)に沿って延びる冷却ガス溝310A、310B、310C、310Dを備える。冷却ガス溝310は、総称して、円形状であって複数のギャップ(溝のない領域)を有する1つの分割溝と呼ばれてよい。1つの分割溝は、任意の数のギャップおよび対応する溝を有してよい。冷却ガス溝310はそれぞれ、冷却ガスが通って冷却ガス溝310に供給される任意の数の冷却ガス供給穴を有してよい。ガス供給穴の例は、
図8に示される。
【0051】
各シール区画308は、複数の冷却ガス溝セットを備え、各冷却ガス溝セットは、樹木状で、径方向に延びる溝と、複数のペアの環状に延びる溝(分岐路ペアと呼ばれる)とを備える。各冷却ガス溝セットは、任意の数の分岐路ペアを有してよい。図の例では、シール区画308Bは、9つの冷却ガス溝セットを備え、シール区画308Cは、7つの冷却ガス溝セットを備え、最も径方向内側のシール区画308Dは、4つの冷却ガス溝セットを備える。例として、径方向に延びる溝320および分岐路322、分岐路324、分岐路326、分岐路328は、シール区画308Bの冷却ガス溝セットの1つとして特定される。シール区画308Cおよびシール区画308Dの各々の冷却ガス溝セットの1つは、それぞれ330および340に指定される。各分岐路ペアの分岐路は、互いに対向し、分岐路が対応する径方向に延びる溝と交わる対応する交点から反対方向に離れて延びる。
【0052】
図3では、冷却ガス溝セットの溝は、線として示されている。実際は、溝は、冷却ガスをシール区画308の隅々まで導いて均一に分配する浅いトレンチである。各溝は、
図2のESCに関して上述されたように、対応する最大深さおよび対応する最大幅を有する。図のように、各冷却ガス溝セットの分岐路の長さは、最も径方向外側の分岐路が最長に、最も径方向内側の分岐路が最短になるように、対応する径方向に延びる溝に沿って減少する。
【0053】
例として、シール区画308の各冷却ガス溝セットは、1つ以上の対応する冷却ガス供給穴を有してよい。各冷却ガス溝セットは、1つ以上の対応する冷却ガス戻り穴を有してよい。一実施形態では、冷却ガス溝セットは、冷却ガス供給穴を備え、冷却ガス戻り穴を備えない。別の実施形態では、冷却ガス溝セットは、冷却ガス供給穴と冷却ガス戻り穴とを備える。別の実施形態では、各冷却ガス溝セットは、ただ1つの冷却ガス供給穴と、ただ1つの冷却ガス戻り穴とを備える。冷却ガス供給穴は、対応する径方向に延びる溝の最も径方向外側の端の溝の交点に設置されてよい。各溝の交点は、径方向に延びる溝が2つの分岐路の最も内側の端と交わるところである。冷却ガス戻り穴は、(i)径方向に延びる溝の最も径方向内側の端、(ii)対応する冷却ガス溝セットの溝における冷却ガス供給穴から最も遠い点、または(iii)その間の点にあってよい。
【0054】
天板302は、対応するクランプ電極パターン(その例は
図5~6に示される)を有する1つの単極電極(以下、電極)を備えてよい。電極は、冷却ガス溝開口パターンを有し、開口部は、各冷却ガス溝、ならびに、対応する天板の対応する供給穴および戻り穴のために提供される。冷却ガス溝開口パターンは、1つ以上の冷却ガス溝および/または対応する冷却ガス溝セットの1つの形状より大きい、ならびに、それに似た形状の冷却ガス溝開口部を有する。このことは、
図5~7に関して以下にさらに説明される。
【0055】
各シール区画308の冷却ガス溝セットは、同じシール区画の他の冷却ガス溝セットにおける分岐路と直列する分岐路を備える。例えば、シール区画308Bの各冷却ガス溝セットの最も外側の分岐路は、同一の円(または、円形路)に沿って連続して延びる。同一の円(または、円形路)に沿う分岐路は、同じ長さを有するように示されていないが、同一の円(または、円形路)に沿う各分岐路は、対応する径方向に延びる溝がそれぞれ2つの等しい長さの分岐路間の中央に位置するように同じ長さを有してよい。各冷却ガス溝セットの分岐路は、円周方向のギャップ(例えば、冷却ガス溝セット352の分岐路と冷却ガス溝セット354の分岐路との間のギャップ350)によって隣接する冷却ガス溝セットから分離される。
【0056】
各シール区画308のいくつかの径方向に延びる溝は、他のシール区画308の他の径方向に延びる溝と径方向に並ぶ。例えば、径方向に延びる溝360、溝362、溝364は、連続して同じ直線に沿って延びる。径方向に延びる溝は、シール306Bおよびシール306Cによって分離される。1つのシール区画から別のシール区画に延びる冷却ガス溝はない。このことは、各シール区画のために選択された圧力および温度を維持するのに役立つ。
【0057】
図4は、天板402および底板404を備えるESC400を示す。天板402は、中間層(その例は
図1に示される)を介して底板404に接合されてよい。天板402は、シール(または、ガス冷媒)区画408A、408B、408Cを隔離するシール406A、406B、406Cを備える。区画408は、同心円状である。各シール区画408は、メサ409を備える。ESC400は3つの冷却ガス区画を有するように示されているが、ESC400は、3つ以上の冷却ガス区画を有してよい。シール406は、環状形状で、天板402から上向きに突出している。シール406は、天板402と同じ材料で形成されてよく、天板402の一部として一体成形されてよい。シール406は、図のように同心円状である。
【0058】
最も径方向外側のシール区画408Aは、連続する、同一の円(または、円形路)に沿って延びる冷却ガス溝410A、410B、410C、410Dを備える。冷却ガス溝410は、シール306Aの内側に沿って延びる
図3の冷却ガス溝310と異なり、シール406Bの外側に沿って延びる。冷却ガス溝410は、総称して、円形状であって複数のギャップを有する1つの分割溝と呼ばれてよい。1つの分割溝は、任意の数のギャップおよび対応する溝を有してよい。冷却ガス溝410はそれぞれ、冷却ガスが通って冷却ガス溝410に供給される任意の数の冷却ガス供給穴を有してよい。ガス供給穴の例は、
図8に示される。
【0059】
各シール区画408は、複数の冷却ガス溝セットを備え、各冷却ガス溝セットは、樹木状で、径方向に延びる溝と、複数のペアの環状に延びる溝(分岐路ペアと呼ばれる)とを備える。各冷却ガス溝セットは、任意の数の分岐路ペアを有してよい。図の例では、シール区画408Bは、10の冷却ガス溝セットを備え、シール区画408Cは、10の冷却ガス溝セットを備える。例として、径方向に延びる溝420および分岐路422、分岐路424、分岐路426、分岐路428は、シール区画408Bの冷却ガス溝セットの1つとして特定される。シール区画408Cの冷却ガス溝セットの1つは、430に指定される。各分岐路ペアの分岐路は、互いに対向し、分岐路が対応する径方向に延びる溝と交わる対応する交点から反対方向に離れて延びる。
【0060】
図4では、冷却ガス溝セットの溝は、線として示されている。実際は、溝は、冷却ガスをシール区画408の隅々まで導いて均一に分配する浅いトレンチである。各溝は、
図2のESCに関して上述されたように、対応する最大深さおよび対応する最大幅を有する。図のように、各冷却ガス溝セットの分岐路の長さは、最も径方向外側の分岐路が最長に、最も径方向内側の分岐路が最短になるように、対応する径方向に延びる溝に沿って減少する。
【0061】
例として、シール区画408の各冷却ガス溝セットは、1つ以上の対応する冷却ガス供給穴を有してよい。各冷却ガス溝セットは、1つ以上の対応する冷却ガス戻り穴を有してよい。一実施形態では、冷却ガス溝セットは、冷却ガス供給穴を備え、冷却ガス戻り穴を備えない。別の実施形態では、冷却ガス溝セットは、冷却ガス供給穴と冷却ガス戻り穴とを備える。別の実施形態では、各冷却ガス溝セットは、ただ1つの冷却ガス供給穴と、ただ1つの冷却ガス戻り穴とを備える。冷却ガス供給穴は、対応する径方向に延びる溝の最も径方向外側の端の溝の交点に設置されてよい。各溝の交点は、径方向に延びる溝が2つの分岐路の最も内側の端と交わるところである。
【0062】
天板402は、対応するクランプ電極パターン(その例は
図5~6に示される)を有する1つの単極電極(以下、電極)を備えてよい。電極は、冷却ガス溝開口パターンを有し、開口部は、各冷却ガス溝、ならびに、対応する天板の対応する供給穴および戻り穴のために提供される。冷却ガス溝開口パターンは、1つ以上の冷却ガス溝および/または対応する冷却ガス溝セットの1つの形状より大きい、ならびに、それに似た形状の冷却ガス溝開口部を有する。このことは、
図5~7に関して以下にさらに説明される。
【0063】
各シール区画408の冷却ガス溝セットは、同じシール区画の他の冷却ガス溝セットにおける分岐路と直列の分岐路を備える。例えば、シール区画408Bの各冷却ガス溝セットの最も外側の分岐路は、同一の円(または、円形路)に沿って連続して延びる。同一の円(または、円形路)に沿う分岐路は、同じ長さを有するように示されていないが、同一の円(または、円形路)に沿う各分岐路は、対応する径方向に延びる溝がそれぞれ2つの等しい長さの分岐路間の中央に位置するように同じ長さを有してよい。各冷却ガス溝セットの分岐路は、円周方向のギャップ(例えば、冷却ガス溝セット452の分岐路と冷却ガス溝セット454の分岐路との間のギャップ450)によって隣接する冷却ガス溝セットから分離される。
【0064】
各シール区画408のいくつかの径方向に延びる溝は、他のシール区画408の他の径方向に延びる溝と径方向に並ぶ。例えば、径方向に延びる溝420、溝460、溝462、溝464は、連続して同じ直線に沿って延びる。図の例では、それぞれの直線に沿って延びる、4つの他の同様な一連の径方向に延びる溝がある。径方向に延びる溝は、シール406Bおよび中央領域470によって分離される。1つのシール区画から別のシール区画に延びる冷却ガス溝はない。このことは、各シール区画のために選択された圧力および温度を維持するのに役立つ。
【0065】
図5は、クランプ電極パターン502および冷却ガス溝開口パターン504を有する単極クランプ電極500を示す。パターン502およびパターン504は、4つの冷却ガス(または、シール)区画用であり、4つの冷却ガス区画の各々は、それぞれの冷却ガス開口部506A、開口部506B、開口部506C、開口部506Dを備える。パターン502およびパターン504は、3つ以上の冷却ガス区画のために変更されてよい。冷却ガス開口部506は、対応するガス供給部分(そのいくつかは510に指定される)を有する。
【0066】
一実施形態では、単極クランプ電極500は、ESCの天板の径方向表面領域の所定の割合よりも多くを覆う導電膜層である。単極クランプ電極500のクランプ電極パターン502は、使用時に単一電位である一体構造を提供する。クランプ電極パターン502は、天板全体に向上したクランプ力を提供する。図の例では、単極クランプ電極は、
図1の電源180から電力を受け取ってよい。単極クランプ電極は、電源180に接続されうる端末に接続されてよい。
【0067】
対応する天板の各シール区画のための一定数の冷却ガス開口部が示されるが、各シール区画には任意の数のガス開口部が備えられてよい。各冷却ガス開口部506Aは、複数のガス供給穴部分、および、直列に接続された溝開口部を有する。例えば、1つの冷却ガス開口部506Aのガス供給穴部分および溝開口部は、520および522に指定される。各冷却ガス開口部は5つのガス供給穴部分を有するように示されているが、冷却ガス開口部506Aは、図とは異なる数のガス供給穴部分を有してよい。ガス供給穴部分は、天板の対応する冷却ガス溝の複数の冷却ガス供給穴に対応する。最も外側の区画の冷却ガス溝セットごとに複数の冷却ガス供給穴を有することによって、冷却ガス圧は、天板の周辺近くに維持される。これにより、天板の最も径方向外側のシール(例えば、
図2のシール206A)を通る冷却ガス漏れが補われる。
【0068】
冷却ガス開口部506B、冷却ガス開口部506C、冷却ガス開口部506Dの各々は、径方向に延びる部分(そのうちの1つは530に指定される)および分岐ペア部分(径方向に延びる部分530の片側から延びるそれぞれの分岐部分は、532、534、536、538に指定される)を有する。径方向に延びる部分および分岐ペア部分は、天板の対応する径方向に延びる溝および溝分岐ペアの下にある。径方向に延びる溝は、径方向に延びる部分上方の中央に位置する。溝分岐ペアは、分岐ペア部分の上方の中央に位置する。径方向に延びる部分530は、ガス供給開口部分540を備える最も径方向の外側の端を有する。図のように、分岐路ペア部分の長さは、最も径方向外側の分岐路部分が最長に、最も径方向内側の分岐路部分が最短になるように、対応する径方向に延びる部分に沿って減少する。
【0069】
単極クランプ電極500の冷却ガス溝開口パターン504は、最も径方向内側の冷媒区間に対応する単極クランプ電極500の部分が異なること以外は、
図2のESC200に類似した溝パターンに対応する。対応する天板の最も径方向内側の冷媒区画は、冷却ガス溝セットごとに2つの分岐路ペア(冷却ガス溝セットごとに3つの分岐路ペアの代わりに)を有するため、単極クランプ電極500は、冷却ガス開口セットごとに2つの対応する分岐路ペア部分を有する。
【0070】
図6は、ガス供給部分およびガス戻り部分を備える冷却ガス開口部を含む4つの冷却ガス区画のクランプ電極パターン600および冷却ガス溝開口パターン602を有する単極クランプ電極600を示す。戻り部分に対応する戻り穴を有することによって、冷却ガス流は増加してよい。単極クランプ電極600は、単極クランプ電極600が径方向内側の3つの区画における冷却ガス溝開口部のためのガス戻り部分を備えること以外は、
図5の単極クランプ電極500に類似する。
【0071】
パターン602およびパターン604は、4つの冷却ガス(または、シール)区画用であり、4つの冷却ガス区画の各々は、それぞれの冷却ガス開口部606A、冷却ガス開口部606B、冷却ガス開口部606C、冷却ガス開口部606Dを備える。冷却ガス開口部606は、対応するガス供給部分(そのいくつかは610に指定される)を有する。一実施形態では、単極クランプ電極600は、ESCの天板の径方向表面領域の所定の割合よりも多くを覆う導電膜層である。単極クランプ電極600のクランプ電極パターン602は、使用時に単一電位である一体構造を提供する。クランプ電極パターン602は、天板全体に向上したクランプ力を提供する。
【0072】
各冷却ガス開口606Aは、複数のガス供給穴部分および直列に接続された溝開口部を有する。例えば、1つの冷却ガス開口部606Aのガス供給穴部分および溝開口部は、620および622に指定される。各冷却ガス開口部606Aは5つのガス供給穴部分を有するように示されているが、冷却ガス開口部606Aは、図とは異なる数のガス供給穴部分を有してよい。ガス供給穴部分は、天板の対応する冷却ガス溝における複数の冷却ガス供給穴に対応する。最も外側の区画の冷却ガス溝セットごとに複数の冷却ガス供給穴を有することによって、冷却ガス圧は、天板の周辺近くに維持される。これにより、天板の最も径方向外側のシール(例えば、
図2のシール206A)を通る冷却ガス漏れが補われる。
【0073】
各冷却ガス開口部606B、606C、606Dは、径方向に延びる部分(そのうちの1つは630に指定される)および分岐路ペア部分(径方向に延びる部分630の片側から延びるそれぞれの分岐部分は、632、634、636、638に指定される)を有する。径方向に延びる部分および分岐路ペア部分は、天板の対応する径方向に延びる溝および溝分岐路ペアの下にある。径方向に延びる溝は、径方向に延びる部分上方の中央に位置する。溝分岐ペアは、分岐ペア部分の上方の中央に位置する。径方向に延びる部分630は、ガス供給開口部分640を備える最も径方向外側の端を有する。図のように、分岐路ペア部分の長さは、最も径方向外側の分岐路部分が最長に、最も径方向内側の分岐路部分が最短になるように、対応する径方向に延びる溝に沿って減少する。
【0074】
単極クランプ電極600の冷却ガス溝開口パターン604は、最も径方向内側の冷媒区画に対応する単極クランプ電極600の部分が異なること以外は、
図2のESC200と類似の溝パターンに対応する。対応する天板の最も径方向内側の冷媒区画は、(冷却ガス溝セットごとに3つの分岐路ペアの代わりに)冷却ガス溝セットごとに2つの分岐路ペアを有するため、単極クランプ電極600は、冷却ガス開口セットごとに2つの対応する分岐路ペア部分を有する。
【0075】
図7は、シール702、メサ704、冷媒溝706、および単極クランプ電極(その部分708が図示されている)を表すESCの天板の部分700を示す。部分700は、例えば、
図2の天板202の一部であってよい。シール702は、天板の他の部分より上のレベルに上向きに突出してよい。メサ704は、シール702と同じ高さを有するように示されているが、様々な高さを有してよく、シール702より低いまたは高くてよい。例として、少なくともいくつかのメサ704の高さは、10μであってよい。一実施形態では、シール区画を分離している天板のシール702および/または他のシールの高さは、メサ704の高さなどの周囲の表面フィーチャの高さの0~100%に等しくてよい。
【0076】
単極クランプ電極の部分708は、溝706から所定の距離だけ離れている。これにより、部分708と溝706との間の領域における天板700の絶縁破壊が防止される。冷却ガス溝706は、本明細書に開示の冷媒溝の例であり、様々な深さおよび幅を有する。最大深さは、溝の中央である。最大幅(例えば、300μ)は、溝の上面である。単極クランプ電極の深さD1は、例えば、300μであってよい。冷却ガス溝706の深さD2は、例えば、100μであってよい。単極クランプ電極は、
図7において分離した部分708を有するように示されているが、部分708は、単極クランプ電極の他の部分によって接続されている。一実施形態では、平面は、単極クランプ電極の全ての部分を通って径方向に延びる。
【0077】
図8は、天板852、中間層854、および底板856を備えるESCの部分800を示す。底板856は、裏面ガスをガス流路862に導くガス流路860を備え、ガス流路862は、ガス流路860から中間層854を通り、冷却ガス供給穴863を通って冷却ガス溝864に延びる。冷却ガス供給穴863は冷却ガス供給穴の例として提供されているが、上述の冷却ガス戻り穴は、冷却ガス供給穴863と同様に構成され、ガス流路860およびガス流路862と同様の対応するガス流路を有してよい。単極クランプ電極の部分866も示されている。
【0078】
図9は、ESCの天板904のシール903の間に配置された単極クランプ電極の冷却ガス溝開口セット901および対応する冷却ガス溝セット902を備えたシール区画の例示部分を示す。セット901およびセット902は、分岐路ペアと分岐路開口ペアとの間の関係を示すための例として提供される。本明細書に開示の溝および/または溝開口部は、同様の関係を有してよい。冷却ガス溝開口セット901は、径方向に延びる溝906および環状に延びる溝(または、分岐路ペア)908を備える。冷却ガス溝セット902は、径方向に延びる溝開口部910および環状に延びる溝開口部(または、分岐開口ペア)912を備える。
図9は、径方向に延びる溝906の最も径方向外側の端におけるガス供給穴914、および、径方向に延びる溝906の最も径方向内側の端におけるガス戻り穴916の例も示す。冷却ガス溝開口セット901は、上から見ると、冷却ガス溝セット902ならびに穴914および穴916の下にあり、それらを囲む周囲である。冷媒溝開口セット901は、冷却ガス溝セット902ならびに穴914および穴916から少なくとも所定の距離にある。
【0079】
上述の例は、複数の区画のために改善された静電クランプおよび冷却ガス分配を提供するように構成された電極パターンおよび冷却ガス溝パターンを含む。本明細書に開示のESCは、異なる冷却ガス圧(例えば、10トル(T)から80Tの間)に設定されうる複数の冷却ガス区画を備える。区画は、中央円形区画および複数の対応する同心区画を備えてよい。各区画は、対応する冷却ガス溝にありうる所定数(例えば、4つ以上)の冷却ガス供給穴を有してよい。
【0080】
複数の区画を有するESCにとって、隣接する区画からの圧力の影響を最小にし、区画(径方向)温度同調を効率的にするために、区画全体および区画の各境界(例えば、シール接合部)において冷却ガスの十分な供給があることは重要となりうる。開示のパターンは、絶縁材料の破壊現象なしに冷却ガスのこの供給および対応する分配を提供することを容易にする。開示の溝パターンの別の利点は、区間の間の冷却ガス漏れによる温度ドリフトの影響を低減するシール接合部全体に沿って冷却ガスを効率的に配送する能力である。シールは、摩耗するにつれて区間の分離において効率が悪くなるため、このことが特に当てはまる。開示の高コンダクタンス溝は、各区画の等圧状態を作り出すのを助ける。メサおよび他の構造の高さは、ガスの流れに対して高インピーダンスを生じさせることができる。開示の溝は、ガス流を増加させることによって、この高いインピーダンスを補う。
【0081】
冷却ガス溝の下に静電クランプ電極を設置することで、薄い誘電材料全体に高電界を生成し、冷却ガス溝における着火、および/または、静電クランプ電極と冷却ガス溝との間で絶縁材料の破壊をもたらしうる。開示の例は、冷却ガス溝の直下にクランプ電極を備えていない。各クランプ電極は、冷却ガス溝が設置されて冷却ガス溝の直下に開口部を有する層の下にある天板の層にある。クランプ電極の材料は、冷却ガス溝から少なくとも所定の距離だけ離れている。冷却ガス開口部の領域は、対応する冷却ガス溝の領域よりも大きい。
【0082】
薄天板によって、下地の導電バス層を介して接続された複数の別個の電極を備えることは難しく実行不可能になる。開示の例は、各々がそれぞれのESCの単層に配置される単極クランプ電極を含む。対応する溝パターンは、各環状区画の等圧状態を作り出すことを助け、内部誘電層にクランプ電極が存在するギャップを有する。分配溝パターンは、冷却ガス圧、冷却ガス区画寸法などに基づいて、様々な異なるパターンを用いてよい。区画ごとにより多くの環状溝を使用することで、分配が向上する。一実施形態では、各区画内の環状溝は、環状の切れ目(または、同一の円に沿う隣接する溝間のギャップ)を備える。区間の2つの隣接する径方向の切れ目(または、シール)間にある環状溝の各セット内では、環状溝は、分岐路パターンを形成するために径方向の溝によって接続される。径方向の溝は、各分岐路パターン内に連続性を提供し、冷却ガス分配を向上させる。一実施形態では、各分岐路パターンは、冷却ガスが供給される少なくとも1つの穴を備える。
【0083】
開示のパターンは、少数の層を有する薄天板への単極クランプ電極の使用を可能にする。例えば、1~1.25mmの厚さ、および、適度に厚いグリーンシート構造(例えば、0.3~0.8mm)を有する薄天板において下地の導電バス層によって相互接続された複数の電極層を有することは、実行可能ではない。グリーンシート構造とは、薄材料(例えば、誘電性テープ)の積層、および、板を形成するために積層を焼結することを指す。バス層には不適切な層があるため、このタイプの天板のために下地バス層を製造することは難しい。また、複数の電極層を含む積層は、上面に近すぎて、周囲の誘電材料によって破壊しうる。開示の不連続な分岐したヘリウム溝パターンは、ESCの上面付近(上面から所定距離内)に配置された連続した単極クランプ電極(例えば、複数区間に分割されていない単極クランプ電極)を提供しながら、均一な冷却ガス分配を提供する。上面は、天板と基板との間に存在する冷却ガスに曝露される表面である。上面は、基板の裏面に面してよい。
【0084】
前述の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、その適用、または使用の限定を意図するものではない。本開示の広域の教示は、様々な形態で実施されうる。そのため、本開示は特定の例を含むが、他の変更は、図面、明細書、およびそれに続く特許請求の範囲を検討すれば明らかになるため、本開示の真の範囲はそれに限定されるべきでない。方法における1つ以上の工程は、本開示の原理を変更せずに異なる順序で(または、同時に)実行されてよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は、特定の特徴を有するように上述されているが、本開示の実施形態に関して説明された1つ以上のそれらの特徴は、他の実施形態において、および/または、明記されていないが他の実施形態の特徴との組み合わせで実施されうる。つまり、記載の実施形態は、相互に排他的ではなく、1つ以上の実施形態の互いの並べ替えは、本開示の範囲内に留まる。
【0085】
要素間(例えば、モジュール間、回路素子間、半導体層間など)の空間的関係および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「隣り合う」、「上に」、「上方」、「下方」、および「配置された」を含む様々な用語を用いて説明される。「直接」と明記されない限り、第1の要素と第2の要素との間の関係が上記開示で説明されるときは、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係でありうるが、第1の要素と第2の要素との間に1つ以上の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的な関係でもありうる。本明細書では、A、B、およびCのうちの少なくとも1つとの表現は、非排他的なロジック、または、を用いるロジック(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0086】
いくつかの実施形態では、コントローラは、上述の例の一部でありうるシステムの一部である。かかるシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と統合されてよい。電子機器は、システムの様々な部品または副部品を制御しうる「コントローラ」と呼ばれてよい。コントローラは、処理条件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)生成器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給の設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツール、および/または、特定のシステムに接続またはインタフェースされたロードロックに対するウエハ搬送を含む、本明細書に開示のプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0087】
概して、コントローラは、命令を受け取り、命令を発行し、動作を制御し、クリーニング動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、記憶装置、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、1つ以上のマイクロプロセッサ、もしくは、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに伝達される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であって、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハダイの製作中における1つ以上の処理工程を実現してよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、コントローラは、システムと統合または結合された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、もしくはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよく、またはそのコンピュータに結合されてよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってよい、または、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にするファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または実施の基準を調査し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理工程を設定し、または、新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じて、プロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよい。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の動作中に実施される各処理工程のためのパラメータを特定するデータ形式の命令を受け取る。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、コントローラがインタフェースするまたは制御するように構成されるツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。そのため、上述のように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク接続される1つ以上の個別のコントローラを含むことや、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的に向かって協働することによって分散されてよい。かかる目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として)位置し、協働してチャンバにおけるプロセスを制御する1つ以上の集積回路と連通する、チャンバ上の1つ以上の集積回路であろう。
【0089】
制限するのではなく、例示のシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、クリーンチャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/もしくは製造において関連もしくは使用しうる任意の他の半導体処理システムを含んでよい。
【0090】
上述のように、ツールによって実施されるプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つ以上と連通してよい。