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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-21
(45)【発行日】2023-03-02
(54)【発明の名称】粒子顕微鏡を用いる画像記録方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/22 20060101AFI20230222BHJP
   G06T 5/00 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
H01J37/22 502Z
G06T5/00 725
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021518103
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019076637
(87)【国際公開番号】W WO2020070156
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】102018124401.0
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】62/888,866
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】ザイドラー ディルク
(72)【発明者】
【氏名】コルブ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フートヴォール フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン イェンス ティモ
(72)【発明者】
【氏名】リーデセル クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ウォジェク クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】コレア ホアキン
(72)【発明者】
【氏名】ヘーゲル ヴォルフガング
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-298397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0348749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビーム粒子顕微鏡を用いた画像記録方法において、
複数の粒子ビームで対象を走査することと、前記粒子ビームにより生成される信号を検出することとによって、対象の複数の画像を記録することであって、
各記録画像は画像データに関連付けられ、
前記画像データの各々は複数の輝度値を含み、
前記複数の記録画像の各記録画像の前記輝度値は、前記複数の粒子ビームのうちの1つの粒子ビームにより生成される前記検出信号に基づいて特定される、
各輝度値は、前記記録画像の座標系内の位置及び前記対象上の位置に関連付けられる、という記録することと、
複数の関心領域を特定することであって、
各関心領域は、前記対象の少なくとも1つの位置に関連付けられる、という特定することと、
前記記録画像の各々において複数の画像領域を特定することであって、
前記複数の画像領域の各画像領域は、前記複数の関心領域のうちの1つの関心領域に関連付けられ、
各画像領域は、前記対象のその位置の、同じく前記画像領域に関連付けられる前記関心領域に関連付けられる近隣における位置に関連付けられる輝度値を含む、という特定することと、
複数の変位ベクトルを特定することであって、
前記複数の変位ベクトルの各変位ベクトルは、前記複数の画像領域のうちの一定の画像領域に関連付けられ、
前記一定の画像領域は、前記複数の関心領域のうちの一定の関心領域に関連付けられ、
前記一定の画像領域に関連付けられる前記変位ベクトルは、前記一定の画像領域に関連付けられる前記画像データを、同じく前記一定の関心領域に関連付けられる他の画像領域の画像データと相関させることによって特定される、という特定することと、
前記記録画像の前記画像データと前記特定された変位ベクトルに基づいて画像歪みを特定することと、
を含み、
前記複数の粒子ビームにおける隣接する粒子ビームは隣接する対象領域を走査し、
前記隣接する対象領域のペアは一部が重複し、
複数の関心領域が、それぞれ、少なくとも2つの隣接する対象領域の重複領域内にある前記対象上の位置に関連付けられる、
方法。
【請求項2】
前記記録画像の前記画像データ及び前記特定された画像歪みに基づいて結果の画像を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結果の画像を生成することにおいて、前記一定の記録画像のうちの一定の画像領域の少なくとも1つの輝度値は、前記結果の画像の座標系内の位置に関連付けられ、前記結果の画像の座標系内の前記位置は、前記一定の画像領域に関連付けられた前記変位ベクトルに基づいて特定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記記録画像の前記画像領域に対応付けられる前記変位ベクトルは相互に異なることができる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第一の変位ベクトルは、一定の記録画像の第一の画像領域に関連付けられ、
前記記録画像の前記第一の画像領域内の第一の位置に関連付けられる少なくとも1つの輝度値は、前記結果の画像の座標系内の前記結果の画像の第一の位置に関連付けられ、
第二の変位ベクトルは、前記一定の記録画像の第二の画像領域に関連付けられ、
前記第二の変位ベクトルは前記第一の変位ベクトルとは異なり、
前記記録画像の前記第二の画像領域内の第二の位置に関連付けられる少なくとも1つの輝度値は、前記結果の画像の座標系内の前記結果の画像内の第二の位置に関連付けられ、
この輝度値は、前記記録画像の前記第二の画像領域内の第二の位置に対応付けられ、
以下の関係が満たされる:
B2-B1=O2+V2-O1-V1;
ただし、
B1は前記結果の画像の座標系内の前記第一の位置の座標ベクトルを表し、
B2は前記結果の画像の座標系内の前記第二の位置の座標ベクトルを表し、
O1は前記一定の記録画像の座標系内の前記第一の位置の座標ベクトルを表し、
O2は前記一定の記録画像の座標系内の前記第二の位置の座標ベクトルを表し、
V1は前記第一の変位ベクトルを表し、
V2は前記第二の変位ベクトルを表す、
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第三の変位ベクトルは、前記一定の記録画像の第三の画像領域に対応付けられ、
前記第三の画像領域は、前記第一の画像領域と前記第二の画像領域との間に位置し、
前記少なくとも1つの輝度値は、前記結果の画像の座標系内の前記結果の画像の第三の位置に関連付けられ、
この輝度値は、前記記録画像の前記第三の画像領域内の第三の位置に関連付けられ、
以下の関係が満たされる:
|(O2-O1)i|>|(O3-O1)i|,
|(V2-V1)i|>|(V3-V1)i|,
ただし、
O3は前記一定の記録画像の座標系内の前記第三の位置の座標ベクトルを表し、
V3は前記第三の変位ベクトルを表し、
(O2-O1)iは差分ベクトル(O2-O1)のi番目の成分を表し、
(O3-O1)iは差分ベクトル(O3-O1)のi番目の成分を表し、
(V2-V1)iは差分ベクトル(V2-V1)のi番目の成分を表し、
(V3-V1)iは差分ベクトル(V3-V1)のi番目の成分を表す、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記画像領域に関連付けられる前記変位ベクトルは、相互に平行な向きとされる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象の同じ位置の近隣における前記位置は、前記記録画像の座標系内の前記対象のこの位置から、前記記録画像の座標系内の前記記録画像の最大直径の0.1倍より小さい距離に配置される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
各記録画像の前記画像領域の、前記記録画像の座標系内の任意の方向に測定される側方寸法は、前記各方向への前記記録画像の範囲の0.5倍よりそれぞれ小さい、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象の座標系内の前記関心領域の位置は事前に特定される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記関心領域の位置は、前記記録画像の解析に基づいて特定される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の画像の記録中に前記対象を前記粒子顕微鏡に関して固定された位置に維持することをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の画像の記録中に前記対象を前記粒子顕微鏡に関して変位させることをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の画像の記録中に前記対象を前記粒子顕微鏡に関して、前記対象の表面に平行な方向に変位させることをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の画像は次々に記録される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
一定の画像を記録することは、前記一定の画像の前の画像を記録することが完了した後にのみ開始される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記画像を記録することは、少なくとも1つの粒子ビームで前記対象を走査することと、前記少なくとも1つの粒子ビームにより生成される信号を検出することと、を含み、
前記記録画像の前記輝度値は、前記検出信号に基づいて特定され、
前記輝度値に関連付けられる前記記録画像の座標系内の前記位置は、前記走査中に発生する前記少なくとも1つの粒子ビームの走査位置に基づいて特定される、
請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
マルチビーム粒子顕微鏡を用いた画像記録方法において、
複数の粒子ビームの配列で対象の表面を走査して、前記対象に入射する前記粒子ビームの粒子により生成される信号を検出することであって、隣接する粒子ビームは隣接する対象領域を走査し、隣接する対象領域のペアは重複する、検出することと、
複数の画像を前記検出信号に基づいて生成し、各画像が前記複数の粒子ビームのうちの1つの粒子ビームにより生成される前記検出信号に基づくようにすることであって、各画像は対応する表面領域の画像である、生成することと、
各画像内の複数の画像領域を特定し、第一の画像の一定の画像領域へと画像化される前記対象の対象部分が第二の画像の画像領域にも画像化されるようにすることであって、前記第一及び第二の画像は、隣接する粒子ビームにより生成される検出信号に基づいて生成される、特定することと
前記画像の画像領域のペアの画像データを相関させることであって、画像領域の各ペアは、前記対象の同じ対象部分が前記画像領域のペアの両方の画像領域内に画像化されるように選択される、相関させることと、
前記複数の画像の画像歪みを、前記画像データの前記相関に基づいて特定することと、
を含む方法。
【請求項19】
組合せによる結果の画像を、前記複数の画像及び前記特定された画像歪みに基づいて生成することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の画像及び前記特定された画像歪みに基づいて、前記複数の生成された画像のうちの少なくとも1つの画像データに対応する前記対象上の位置を特定することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象は半導体回路であり、前記対象上の前記位置は、前記半導体回路の欠陥を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記隣接する対象領域のペアの重複部分は、画像領域ペアに画像化された複数の重複する対象部分を含む、請求項1821のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
隣接する粒子ビームのペアにより走査され、画像領域のペアに画像化される複数の重複する対象部分の数は、5より多く、特に10より多い、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第一の画像領域ペアに画像化される第一の対象部分は、前記隣接する粒子ビームによって、第二の画像領域ペアに画像化される第二の対象部分が同じ隣接する粒子ビームにより走査される前に走査され、
前記第一の画像領域ペアの前記画像データを相関させることは、前記同じ隣接する粒子ビームによって、前記第二の画像領域ペアに画像化される前記対象部分を走査することの前に開始される、請求項1823のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記第一の画像領域ペアの前記画像データを相関させることは、前記同じ隣接する粒子ビームにより前記第二の画像領域ペアに画像化される前記対象部分を走査することの完了より前に完了される、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年10月2日に出願された独国特許出願第10 2018 124 401.0号及び2019年8月19日に出願された米国仮特許出願第62/888,866号の優先権を主張する。これらの出願の全開示を参照によって本願に援用する。
【0002】
本発明は、粒子顕微鏡を用いて画像を記録する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
粒子顕微鏡は典型的に、画像化対象を取り付けるための対象マウントと、1つ又は複数の粒子ビームを発生させ、その1つ又は複数の粒子ビームを対象へと方向付ける粒子ビームコラムと、を含む。対象に入射する粒子により生成される信号が検出され、それによって検出信号の輝度値を対象上のその信号の発生位置に関連付けることができる。収集された輝度値と輝度値に関連付けられる対象上の位置は対象の画像を表し、例えばそれをスクリーン上に表示でき、それを解析でき、又はそれをその他の目的のために保存することができる。
【0004】
検出信号は信号ノイズにより影響を受けるため、所望の解像度及び画像品質を有する画像を取得するには、十分な量の信号を画像化対象の領域から収集する必要がある。信号の収集にはかなりの時間を要する。現実には、画像を生成するための信号を収集している間に、対象を保持する対象マウントが粒子ビームコラムに関して移動する、ということが起こりうる。このような移動は、機械的不安定さ、熱ドリフト、又はその他の理由に起因するかもしれない。このような移動の結果、検出信号と対象上の位置との関連付けが十分に明確でなくなり、結果として得られた画像はぼけるか、又は歪む可能性がある。さらに、対象に入射する粒子及び対象から出て検出信号を形成する粒子は、対象上に表面電荷を発生させる。表面電荷は、生成された画像中に画像アーチファクトを生じさせるかもしれない。
【0005】
従来の方法によれば、対象の複数の画像が逐次的に記録され、記録画像の各々の画像品質は、記録画像の組合せ又は重畳に基づいて計算される、結果の画像より低い。このような方法では、個々の記録画像の組合せ又は重畳によって、結果の画像を形成する際に、後続画像の記録中の粒子ビームコラムに関する対象ホルダの移動が勘案される。ここで、コンピュータ援用画像処理を用いて記録画像間の変位を特定できる。例えば、このような特定には、記録画像を相関させる方法が含まれてよい。こうした方法の例は、米国特許第7,034,296 B2号において示されている。
【0006】
コンピュータ援用画像処理により、それゆえ、より画像品質の低い複数の記録画像に基づいて、より高品質の画像が生成されるかもしれない。より高品質の画像は、例えばより高いコントラストノイズ比を示すかもしれない。例えば、より高品質の画像は、従来の重畳により得られる画像と比較して、より低い画像ぼけを示すかもしれない。画像ぼけは、例えばより低品質の画像の記録中にドリフトが関わり、より低品質の画像を組み合わせて、より高品質画像を形成する際にこのようなドリフトが正しく考慮されないと、より高品質の画像に影響を与えるかもしれない。さらに、より高品質の画像は、より低品質の画像の各々より高いコントラストノイズ比を示すかもしれない。
【0007】
さらに、コンピュータ援用画像処理を使用することによって、粒子光学画像中の表面電荷により生じた画像アーチファクトを軽減することができるか否かという問題が生じた。
【0008】
本発明は、上述の検討事項を考慮してなされた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、コンピュータ援用画像処理が改善された画像品質を提供する、粒子顕微鏡を用いた画像記録方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、粒子顕微鏡を用いた画像記録方法を提供し、この方法は粒子顕微鏡を用いて対象の複数の画像を記録することを含む。
【0011】
記録画像は、データ記録によって表される。データ記録は、時間、場所、検査対象対象の種類、倍率、対象の座標系若しくは粒子顕微鏡の座標系における画像化対象領域の座標、帯その他の項目名でのメタデータを含んでよい。記録画像は画像データをさらに含み、画像で下手は複数の輝度値を含み、各輝度値は記録画像の座標系内の位置及び対象上の位置に関連付けられる。
【0012】
各輝度値は例えば、粒子顕微鏡の粒子ビームが対象上の同じ位置に方向付けられている間(ドウェルタイム)に、一定の持続時間中に検出される検出信号の数を表してよい。検出信号は、粒子ビームの粒子によってそれらが対象に当たったときに生成される二次電子、後方散乱電子、X線、光、及びその他のイベントの検出から、検出イベントとすることができる。
【0013】
例示的実施形態によれば、対象上の、一定の輝度値に関連付けられる位置は、一定の輝度値を特定するための信号が収集されている間に粒子ビームが実際に方向付けられた対象上の位置である。
【0014】
例示的実施形態によれば、一定の輝度値に関連付けられる記録画像の座標系内の位置は、同じく一定の輝度値に関連付けられる対象上の位置に対応する。この関連付けは例えば、座標変換により表される対応とすることができ、これは対象の座標系内の対象上の位置を画像の座標系内の位置に基づいて計算することを可能にする。適当な座標変換は、例えば粒子顕微鏡に関する対象の測定位置、顕微鏡の倍率、及びその他のデータに基づいて特定できる。
【0015】
記録画像の座標系内の位置は、したがって、単純化の仮定を用いて対象の座標系内の対応位置に変換できる。1つの単純化の仮定によれば、画像の記録中、粒子顕微鏡に関する対象の位置はわかっているか、少なくとも変化しない。現実には、画像の記録中、対象は粒子顕微鏡に関して移動するかもしれず、又は粒子顕微鏡に関する粒子ビームの位置は予期せず変化するかもしれず、それによって粒子ビームは予想位置とは異なる位置において対象に入射するが、これは変位の量が分からないかもしれないからである。このような状況では、記録画像の座標系内の位置が対象の座標系内の位置を表す精度がより低い。ビームは対象の既知の位置に限定的な精度でのみ入射し、対象のこの位置は、ビームがこの位置で対象に入射するため、輝度値に関連付けられる。
【0016】
一定の輝度値に関連付けられる記録画像の座標系内の位置は、例えば、一定の輝度値を特定するための信号が検出されている間に、粒子顕微鏡のビーム偏向器に適用される励起に基づいて特定できる。偏向器の励起は、粒子ビームを対象上の所望の位置に方向付けるために適用される。
【0017】
画像を表す輝度値は、例えば、記録画像の座標系内の位置を表す整数インデックスを有する2次元行列として保存できる。しかしながら、記録された各輝度値を、記録画像の座標系内の位置を表す2つの追加の値と共に保存することも可能である。これらの値は、例えば整数又は浮動小数点により表すことができる。
【0018】
例示的実施形態によれば、画像の記録方法は、複数の関心領域の特定を含んでよく、対象上の少なくとも1つの位置がある関心領域に関連付けられる。
【0019】
例えば、関心領域は、対象の座標系内で予め特定できる。例えば、関心領域は、対象のうち重要な特徴を含むことが予想される領域とすることができる。例えば、対象が集積回路である場合、関心領域は、その集積回路において、回路の選択された特徴を見出すことのできる位置に関する情報を提供する、その集積回路の利用可能な設計データに基づいて特定できる。選択された回路素子は好ましくは、高コントラストの粒子光学画像の中で識別し、位置特定できる回路素子である。別の例によれば、関心領域の位置は、記録画像自体の解析に基づいて特定される。例えば、記録画像の1つ又は複数を解析して、高いコントラストを有する特徴を含む画像部分を表す、対応付けられた画像データを有する領域が記録画像内のどこにあるかを特定することができる。特定されたこれらの関心領域は、対象に関連付けることができ、対象の少なくとも1つの位置及び一般的には対象の複数の位置を含むことができる。
【0020】
別の実施形態によれば、画像の記録方法は、記録画像の各々における複数の画像領域の特定を含み、これらの画像領域の各々は複数の関心領域のうちの1つに関連付けられる。複数の画像領域は、画像領域の各々が、同じくこの画像領域内にある関心領域に関連付けられる対象のその位置の近隣にある位置に対応付けられる記録画像の輝度値を含むように特定される。
【0021】
画像領域は、記録画像の座標系内の延長領域とすることができる。本願に関して、画像領域は、画像データを「含む(comprise又はcontain)」。これは、画像データが画像領域の画像データとみなされるのは、記録画像の座標系内の位置に関連付けられる記録画像の画像データが延長領域内にあるときであることを意味する。
【0022】
対象の関心領域が例えば電子回路の素子である場合、一定の記録画像の各画像領域は、記録画像のこれらの画像データが、対応する関心領域に関連付けられる対象の位置の近隣にある対象上の位置に対応付けられる輝度値を含む画像領域に関連付けられるように選択される。これは、例えば、記録画像の複数の画像領域の各々が、記録画像の表現の中で対象の関心領域と少なくとも一部が重複する場合に満たすことができる。しかしながら、画像領域が常に記録画像の座標系内の対応する位置にある必要はない。これは特に、関心領域が記録画像の解析に基づいて特定される場合、又は対象が複数の画像の記録中に粒子顕微鏡に関して移動した場合に起こるかもしれない。対象の関心領域が例えば、対象の座標系内で事前に特定される場合、記録画像の、その関心領域に関連付けられる画像領域は、粒子顕微鏡に関する対象の位置、倍率、及びその他のデータを考慮して座標変換を用いて特定できる。
【0023】
別の例示的実施形態によれば、画像の記録方法は、複数の画像領域の画像領域の少なくとも幾つかに関連付けられる変位ベクトルを特定することを含む。ここで、一定の画像領域に関連付けられる変位ベクトルは、当該の一定の画像領域の画像データと他の1つの画像領域又は他の複数の画像領域の画像データとの相関に基づいて特定される。特に、相互に相関される画像領域は、複数の関心対象る領域のうちの同じ関心領域に関連付けられるかもしれない。相互に相関される画像領域は、例えば異なる記録画像の画像領域であり得る。
【0024】
1つの画像領域の画像データの他の画像領域の画像データとの相関は、例えば数学的関数により表すことのできる計算を含む。数学的関数は、相関されるべき画像領域の画像データを入力パラメータとして受けてよく、これらの入力パラメータに基づいて出力を計算してよい。出力は例えば、スカラ値、ベクトル等のスカラ値のタプル、及び画像データとすることができる。このような関数の一例は、2次元フーリエ変換を使用する畳み込み演算を行うことによって、2つの画像領域間の変位ベクトルを特定する関数である。このような計算方法の例は、Lauterborn et al.Kohaerente Optik-Grundlagen fuer Physiker und Ingenieure,Berlin Heidelberg 1993のA.1項に示されている。
【0025】
例えば、各関心領域について以下のステップを実行できる:まず、対象の関心領域に関連付けられる記録画像の画像領域を特定する。これは、対象のうち関心領域内にある特徴が、特定された画像領域内に含まれる画像データに基づいて生成される画像表現の中でも見えることを意味する。画像領域の表現の中で、対象の特徴は一般に、画像領域の同じ位置にはない。これは、例えば、対象の関心領域と記録画像の対応する画像領域との間の対応が、粒子顕微鏡に関する対象の変位によって、限定的な精度でしかわからないからである。画像の相関に基づいて特定される変位ベクトルは、このような変位を表す。さらに、変位ベクトルによって、記録画像の座標系内の画像領域の輝度値に対応付けられた位置を、それぞれの変位ベクトルによって変位させることが可能となり、それによって、変位の後に、異なる記録画像の画像領域の輝度値が対象上の同じ位置に関連付けられる。
【0026】
したがって、変位ベクトルを考慮に入れることによって、一定の品質の画像を表す画像データを含む画像領域の画像データを組み合わせて、より高品質の画像を表す画像データを有する画像を形成することが可能である。
【0027】
例示的実施形態によれば、画像の記録方法は、結果の画像の、記録画像の画像データをその結果の画像に対応付けることによる生成をさらに含み、各画像領域の複数の輝度値のうちの1つ又は複数の輝度値は、結果の画像の座標系内の位置に関連付けられ、結果の画像の座標系内の位置は、画像領域に関連付けられる変位ベクトルに基づいて計算される。
【0028】
異なる変位ベクトルに関連付けられる画像領域を有する一定の記録画像において、結果の画像に寄与する画像データは、記録画像内のそれらの位置に応じて異なる量だけ変位される。記録画像の座標系内の事前に特定された画像領域内の位置に関連付けられる少なくとも幾つかの輝度値は、この画像領域に関連付けられる変位ベクトルと等しい、又はこの変位ベクトルに基づいて計算されるベクトルによって変位される。他の輝度値の位置を変位させるためのベクトルは、例えば記録画像の画像領域に関連付けられる変位ベクトル群全体に基づいて特定できる。他の例によれば、他の輝度値の位置を変位させるためのベクトルは、これのような変位ベクトル間の内挿及び/又は外挿によって特定できる。幾つかの例によれば、他の輝度値の位置を変位させるための変位ベクトルは、選択された2次元基底関数群のパラメータを個々の関心領域に基づいて特定された変位ベクトルにフィットさせることによって特定できる。一定の位置における変位は、当該の一定の位置にパラメータ化された基底関数群を適用することによって計算できる。基底関数は、画像回転及び二次又はそれより高次の偏差等、顕微鏡の特徴的な歪み効果を説明するように選択されてよい。
【0029】
上述の画像の記録方法は、有利な点として、複数の画像の記録中に粒子ビームが対象に入射する位置が、粒子ビームが対象に入射すると予想される位置から逸脱する状況で使用でき、これらの逸脱は記録画像の全ての位置について同じではなく、それによって記録画像の座標系内の逸脱は場所ごとに異なる。これは、例えば対象上の局所化された表面電荷が入射粒子ビームを偏向させ、それが対象の全ての位置について同じわけではない場合に起こるかもしれない。このような状況で、上述の方法は、各記録画像の画像データを異なる変位ベクトルに基づいて変位させる柔軟な方法を提供し、それによって、高い品質と画像ぼけの少ない、結果の画像を生成できる。
【0030】
対象の複数の画像は、1つの粒子ビームを発生させる粒子顕微鏡又は複数の粒子ビームの配列を発生させるマルチビーム粒子顕微鏡を用いて記録できる。上述の方法は、複数の粒子ビームを発生させる粒子顕微鏡にとって特に有益であり、それは、個々の粒子ビームに、他の粒子ビームに関するドリフト又はその他の偏向が生じるかもしれないからであり、これは特に時間に依存するかもしれない。すると、記録画像の各々における画像領域を、各画像領域の画像データが1つの粒子ビームによってのみ生成されるように特定することが可能となる。換言すれば、変位ベクトルを各粒子ビームに対応付けることができ、この変位ベクトルは、他の粒子ビームに関する個々の粒子ビームの偏向の時間的変化さえも考慮することにより、個々の記録画像を重畳して、高い品質を有する結果の画像を形成することを可能にするかもしれない。
【0031】
別の例示的実施形態によれば、マルチビーム粒子顕微鏡を用いた画像記録方法は、複数の粒子ビームの配列で対象の表面を走査することと、対象に入射する粒子ビームにより生成される信号を検出することと、を含み、隣接する粒子ビームは隣接する対象領域を走査し、隣接する対象領域ペアは重複する。方法は、検出信号に基づいて複数の画像を生成し、各画像が複数の粒子ビームのうちの1つの粒子ビームによって生成された検出信号に基づくようにすることをさらに含んでよく、各画像は対応する表面領域の画像である。方法は、各画像内の複数の画像領域を、第一の画像の一定の画像領域へと結像される対象の対象部分が第二の画像の画像領域にも結像されるように特定することをさらに含んでよく、第一及び第二の画像は、隣接する粒子ビームによって生成された検出信号に基づいて生成される。方法は、画像の画像領域ペアの画像データを相関させることをさらに含んでよく、各画像領域ペアは、対象の同じ対象部分がその画像領域ペアの両方の画像領域内に結像されるように選択される。方法は、画像データの相関に基づいて複数の画像の画像歪みを特定することと、複数の画像及び特定された画像歪みに基づいて、組合せによる結果の画像を生成することと、をさらに含んでよい。
【0032】
[当初請求項1]
粒子顕微鏡を用いた画像記録方法において、
前記粒子顕微鏡を用いて対象の複数の画像を記録することであって、
各記録画像は画像データに関連付けられ、
前記画像データの各々は複数の輝度値を含み、
各輝度値は、前記記録画像の座標系内の位置及び前記対象上の位置に関連付けられる、という記録することと、
複数の関心領域を特定することであって、
各関心領域は、前記対象の少なくとも1つの位置に関連付けられる、という特定することと、
前記記録画像の各々において複数の画像領域を特定することであって、
前記複数の画像領域の各画像領域は、前記複数の関心領域のうちの1つの関心領域に関連付けられ、
各画像領域は、前記対象のその位置の、同じく前記画像領域に関連付けられる前記関心領域に関連付けられる近隣における位置に関連付けられる輝度値を含む、という特定することと、
複数の変位ベクトルを特定することであって、
前記複数の変位ベクトルの各変位ベクトルは、前記複数の画像領域のうちの一定の画像領域に関連付けられ、
前記一定の画像領域は、前記複数の関心領域のうちの一定の関心領域に関連付けられ、
前記一定の画像領域に関連付けられる前記変位ベクトルは、前記一定の画像領域に関連付けられる前記画像データを、同じく前記一定の関心領域に関連付けられる他の画像領域の画像データと相関させることによって特定される、という特定することと、
前記記録画像の前記画像データと前記特定された変位ベクトルに基づいて画像歪みを特定することと、
を含む方法。
[当初請求項2]
前記記録画像の前記画像データ及び前記特定された画像歪みに基づいて結果の画像を生成することをさらに含む、当初請求項1に記載の方法。
[当初請求項3]
前記結果の画像を生成することにおいて、前記一定の記録画像のうちの一定の画像領域の少なくとも1つの輝度値は、前記結果の画像の座標系内の位置に関連付けられ、前記結果の画像の座標系内の前記位置は、前記一定の画像領域に関連付けられた前記変位ベクトルに基づいて特定される、当初請求項2に記載の方法。
[当初請求項4]
前記記録画像の前記画像領域に対応付けられる前記変位ベクトルは相互に異なることができる、当初請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項5]
第一の変位ベクトルは、一定の記録画像の第一の画像領域に関連付けられ、
前記記録画像の前記第一の画像領域内の第一の位置に関連付けられる少なくとも1つの輝度値は、前記結果の画像の座標系内の前記結果の画像の第一の位置に関連付けられ、
第二の変位ベクトルは、前記一定の記録画像の第二の画像領域に関連付けられ、
前記第二の変位ベクトルは前記第一の変位ベクトルとは異なり、
前記記録画像の前記第二の画像領域内の第二の位置に関連付けられる少なくとも1つの輝度値は、前記結果の画像の座標系内の前記結果の画像内の第二の位置に関連付けられ、
この輝度値は、前記記録画像の前記第二の画像領域内の第二の位置に対応付けられ、
以下の関係が満たされる:
B2-B1=O2+V2-O1-V1;
ただし、
B1は前記結果の画像の座標系内の前記第一の位置の座標ベクトルを表し、
B2は前記結果の画像の座標系内の前記第二の位置の座標ベクトルを表し、
O1は前記一定の記録画像の座標系内の前記第一の位置の座標ベクトルを表し、
O2は前記一定の記録画像の座標系内の前記第二の位置の座標ベクトルを表し、
V1は前記第一の変位ベクトルを表し、
V2は前記第二の変位ベクトルを表す、
当初請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項6]
第三の変位ベクトルは、前記一定の記録画像の第三の画像領域に対応付けられ、
前記第三の画像領域は、前記第一の画像領域と前記第二の画像領域との間に位置し、
前記少なくとも1つの輝度値は、前記結果の画像の座標系内の前記結果の画像の第三の位置に関連付けられ、
この輝度値は、前記記録画像の前記第三の画像領域内の第三の位置に関連付けられ、
以下の関係が満たされる:
|(O2-O1)i|>|(O3-O1)i|,
|(V2-V1)i|>|(V3-V1)i|,
ただし、
O3は前記一定の記録画像の座標系内の前記第三の位置の座標ベクトルを表し、
V3は前記第三の変位ベクトルを表し、
(O2-O1)iは差分ベクトル(O2-O1)のi番目の成分を表し、
(O3-O1)iは差分ベクトル(O3-O1)のi番目の成分を表し、
(V2-V1)iは差分ベクトル(V2-V1)のi番目の成分を表し、
(V3-V1)iは差分ベクトル(V3-V1)のi番目の成分を表す、
当初請求項5に記載の方法。
[当初請求項7]
前記画像領域に関連付けられる前記変位ベクトルは、相互に平行な向きとされる、当初請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項8]
前記対象の同じ位置の近隣における前記位置は、前記記録画像の座標系内の前記対象のこの位置から、前記記録画像の座標系内の前記記録画像の最大直径の0.1倍より小さい距離に配置される、当初請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項9]
各記録画像の前記画像領域の、前記記録画像の座標系内の任意の方向に測定される側方寸法は、前記各方向への前記記録画像の範囲の0.5倍よりそれぞれ小さい、当初請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項10]
前記対象の座標系内の前記関心領域の位置は事前に特定される、当初請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項11]
前記関心領域の位置は、前記記録画像の解析に基づいて特定される、当初請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項12]
前記複数の画像の記録中に前記対象を前記粒子顕微鏡に関して固定された位置に維持することをさらに含む、当初請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項13]
前記複数の画像の記録中に前記対象を前記粒子顕微鏡に関して変位させることをさらに含む、当初請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項14]
前記複数の画像の記録中に前記対象を前記粒子顕微鏡に関して、前記対象の表面に平行な方向に変位させることをさらに含む、当初請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項15]
前記複数の画像は次々に記録される、当初請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項16]
一定の画像を記録することは、前記一定の画像の前の画像を記録することが完了した後にのみ開始される、当初請求項1~15に記載の方法。
[当初請求項17]
前記画像を記録することは、少なくとも1つの粒子ビームで前記対象を走査することと、前記少なくとも1つの粒子ビームにより生成される信号を検出することと、を含み、
前記記録画像の前記輝度値は、前記検出信号に基づいて特定され、
前記輝度値に関連付けられる前記記録画像の座標系内の前記位置は、前記走査中に発生する前記少なくとも1つの粒子ビームの走査位置に基づいて特定される、
当初請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項18]
前記画像を記録することは、複数の粒子ビームで前記対象を走査することと、前記複数の粒子ビームにより生成された信号を検出することと、を含み、
前記複数の記録画像の各記録画像の前記輝度値は、前記複数の粒子ビームのうちの1つの粒子ビームにより生成される前記検出信号に基づいて特定される、
当初請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項19]
隣接する粒子ビームは隣接する対象領域を走査し、
前記隣接する対象領域のペアは一部が重複し、
複数の関心領域が、少なくとも2つの隣接する対象領域内にある前記対象上の位置に関連付けられる、
当初請求項16に記載の方法。
[当初請求項20]
特に当初請求項1~19のいずれか1項に記載の方法と組み合わせられるマルチビーム粒子顕微鏡を用いた画像記録方法において、
複数の粒子ビームの配列で対象の表面を走査して、前記対象に入射する前記粒子ビームの粒子により生成される信号を検出することであって、隣接する粒子ビームは隣接する対象領域を走査し、隣接する対象領域のペアは重複する、検出することと、
複数の画像を前記検出信号に基づいて生成し、各画像が前記複数の粒子ビームのうちの1つの粒子ビームにより生成される前記検出信号に基づくようにすることであって、各画像は対応する表面領域の画像である、生成することと、
各画像内の複数の画像領域を特定し、第一の画像の一定の画像領域へと画像化される前記対象の対象部分が第二の画像の画像領域にも画像化されるようにすることであって、前記第一及び第二の画像は、隣接する粒子ビームにより生成される検出信号に基づいて生成される、特定することと
前記画像の画像領域のペアの画像データを相関させることであって、画像領域の各ペアは、前記対象の同じ対象部分が前記画像領域のペアの両方の画像領域内に画像化されるように選択される、相関させることと、
前記複数の画像の画像歪みを、前記画像データの前記相関に基づいて特定することと、
を含む方法。
[当初請求項21]
組合せによる結果の画像を、前記複数の画像及び前記特定された画像歪みに基づいて生成することをさらに含む、当初請求項20に記載の方法。
[当初請求項22]
前記複数の画像及び前記特定された画像歪みに基づいて、前記複数の生成された画像のうちの少なくとも1つの画像データに対応する前記対象上の位置を特定することをさらに含む、当初請求項20に記載の方法。
[当初請求項23]
前記対象は半導体回路であり、前記対象上の前記位置は、前記半導体回路の欠陥を含む、当初請求項22に記載の方法。
[当初請求項24]
前記隣接する対象領域のペアの重複部分は、画像領域ペアに画像化された複数の重複する対象部分を含む、当初請求項20~23のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項25]
隣接する粒子ビームのペアにより走査され、画像領域のペアに画像化される複数の重複する対象部分の数は、5より多く、特に10より多い、当初請求項24に記載の方法。
[当初請求項26]
第一の画像領域ペアに画像化される第一の対象部分は、前記隣接する粒子ビームによって、第二の画像領域ペアに画像化される第二の対象部分が同じ隣接する粒子ビームにより走査される前に走査され、
前記第一の画像領域ペアの前記画像データを相関させることは、前記同じ隣接する粒子ビームによって、前記第二の画像領域ペアに画像化される前記対象部分を走査することの前に開始される、当初請求項20~25のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項27]
前記第一の画像領域ペアの前記画像データを相関させることは、前記同じ隣接する粒子ビームにより前記第二の画像領域ペアに画像化される前記対象部分を走査することの完了より前に完了される、当初請求項26に記載の方法。
本発明の実施形態を、下記のような図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】粒子顕微鏡を用いた画像記録方法を説明する略図である。
図2図1の方法を説明する別の略図である。
図3】粒子顕微鏡を用いた別の画像記録方法を説明する略図である。
図4】マルチビーム粒子顕微鏡内の粒子ビームの配列によって操作される対象領域を示す粒子表面の正面図である。
図5】対象領域のより大きい部分を画像化する方法を説明する、図4と同様の対象表面の正面図である。
図6A図4の詳細の略図である。
図6B図6Aに示される対象領域に対応する例示的対象の画像の図である。
図7A図6Bに示される上の画像の重複部分の拡大図である。
図7B図6Bに示される下の画像の重複部分の拡大図である。
図7C図7A及び7Bに示される画像の、及び異なる画像の拡大部分の異なる画像を示す。
図7D図7A及び7Bに示される画像に基づいて特定される変位ベクトルの表現である。
図8A-8D】図7Dに示される変位ベクトルに基づいて特定できる画像歪みの説明的な表現を示す。
図9】マルチビーム粒子顕微鏡を用いた画像記録方法の実施形態を説明するフローチャートである。
図10】マルチビーム粒子顕微鏡を用いた画像記録方法の別の実施形態を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
粒子顕微鏡を用いた画像記録方法の実施形態を、図1及び2を参照しながら以下に説明する。図1は、粒子ビーム顕微鏡を用いた画像記録方法の詳細を示す略図であり、図2は、図1の記録画像から取得される結果の画像の詳細を説明する略図である。
【0035】
図1において実線で描かれている長方形11は、粒子顕微鏡を用いて記録される第一の記録画像を表し、図1において破線で描かれている長方形11’は、第一の記録画像11の記録に続いて粒子顕微鏡を用いて記録される第二の記録画像を表す。記録画像11、11’の各々は、複数の輝度値を含む画像データを含み、各輝度値は、記録画像の座標系内の位置及び対象上の位置に関連付けられる。
【0036】
輝度値は、粒子ビームが対象へと方向付けられる測定から、及び対象に入射する粒子ビームによって生成された信号が検出されている間に得られる。輝度値は、検出信号の輝度を表す。例えば、粒子ビームは対象を体系的に走査でき、輝度値は各走査位置について特定できる。このような状況では、輝度値を2次元配列として保存することが有利である可能性があり、配列の要素は輝度値によって特定され、他方で配列のインデックスはそれぞれの輝度値に関連付けられる記録画像の座標系内の位置を表す。配列の要素はすると、典型的に記録画像の「ピクセル」と呼ばれる。しかしながら、各輝度値を、記録画像内の輝度値の座標を表す2つの追加の値と共に保存することも可能である。これは、ラスタ走査方式のように、粒子顕微鏡の粒子ビームが対象上の、規則的な線と列の配列に配置されていない位置に逐次的に向けられる場合に有利である可能性がある。
【0037】
この説明的な例において、記録画像11及び11’を得るもとになった対象は、図1において三角形とひし形で表される3つの顕著な特徴を有する簡略化された均一な構造を有すると仮定される。3つの特徴のうちの1つ目は、第一の記録画像11の中で実線で示される三角形13により表される。対象のこの同じ特徴は、第二の記録画像11’の中では破線で示される三角形13’により表される。記録画像11及び11’の顕著な特徴13及び13’はそれぞれ、対象の同じ特徴の測定から得られたものではあるが、一致しないことが明らかである。図1の表現において、記録画像11及び11’の要素13及び13’はそれぞれ、ベクトルV1により変換された場合に特徴13が特徴13’と一致するという点で、対応する形状を有する。
【0038】
対象の別の顕著な特徴は、第一の記録画像11の中で実線で示される三角形15として表され、これは第二の記録11’においては破線で示される三角形15’として表されている。再び、記録画像11及び11’の特徴15及び15’はそれぞれ、対象上の同じ位置に関連付けられる測定輝度値から得られたものであるが、一致しない。図1のベクトルV2は、記録画像11の特徴15を、それが記録画像11’の特徴15’と一致するように変位させるための変位を表す。
【0039】
同様に、図1は対象の別の特徴も示し、これは第一の記録画像11では実線で描かれてるひし形14として表され、第二の記録画像11’では点線で示されるひし形14’として表されている。変位ベクトルV3は、特徴14を、それが特徴14’と一致するように変位させるための変位を示す。図1に示される説明的な例において、長方形11及び11’により表される記録画像の外側境界さえも一致していない。ベクトルV4は、長方形11をそれが長方形11’と一致するように変位させる変位を表す。変位V4は、例えば第一の記録画像11の記録の開始と第二の記録画像11’の記録の開始又は終了との間で発生する、粒子顕微鏡に関する対象の移動に起因する可能性がある。このような移動の原因は、例えば温度変化により引き起こされるドリフト等の不可避的なドリフト又は対象を保持する対象ホルダが粒子顕微鏡に関して移動される場合の意図的な変位である可能性がある。
【0040】
図1からは、変位ベクトルV1、V2、及びV3がそれらの量と方向に関して異なることも明らかである。これは、例えば入射粒子ビームにより生成できる対象上の局所的な表面電荷に起因する可能性がある。ここで、対象上の局所的な表面電荷の量と分布は時間に依存し、粒子ビームに使用される走査方式に依存する可能性があり、時間依存の局所的表面電荷は入射粒子ビームを偏向させるかもしれず、それによってこれは、粒子顕微鏡の現在の動作条件に基づく、及び局所化された表面電荷が存在しない場合に粒子ビームが入射するはずである予想位置から逸脱した位置において対象に入射する。したがって、記録画像の座標系と対象の座標系との間の座標変換をアフィン変換によって表すことは不可能かもしれない。
【0041】
変位ベクトルV1、V2、及びV3間の差は測定によって生じることが明らかである。しかしながら、変位ベクトルV4は、任意に選択できる。変位ベクトルV4が変化すると、変位ベクトルV1、V2、及びV3もそれに対応して変化し、その際、変位ベクトルV1、V2、及びV3間の差は保持される。図1の例では、変位ベクトルV4は、ベクトルV1及びV2の量の合計が最小となるように選択される。これは、要素13、13’、15、及び15’が、記録画像11及び11’の記録中に相互に関して移動しない対象上の特徴の測定から得られるとの仮定に基づく。
【0042】
図2は、記録画像11及び11’から得られる結果の画像21の略図である。結果の画像21は、記録画像11及び11’の画像データを組み合わせることによって得られる。
【0043】
記録画像11及び11’が従来の方法によって組み合わされた場合、第一の記録画像11の座標系の中で第一の記録画像11の輝度値に対応付けられた位置は変位ベクトルV4によって変位されて、第一の記録画像11の輝度値に対応付けられる結果の画像21の座標系内の位置が提供される。第二の記録画像11’の輝度値に関連付けられるその座標系内の位置は、結果の画像21内のこれらの輝度値の位置として、さらに変位させることなく、そのまま使用できる。
【0044】
第一の記録画像11内の特徴13から得られる輝度値はすると、第二の記録画像11’内の特徴13から得られる輝度値と一致しなくなるのは明らかである。その結果、記録画像11及び11’の中でそれぞれ特徴13及び13’として表される対象の特徴は、結果の画像の中ではぼけて見える。同じことが、記録画像11及び11’の中でそれぞれ特徴15と14及び15’と14’として表される対象の特徴にも当てはまる。
【0045】
記録画像11及び11’の画像データを組み合わせて結果の画像21を形成するための上述の例示的な方法では、前述の問題が勘案され、対象の特徴の表現がより鮮鋭で、よりぼけの少ない結果の画像を提供できる。
【0046】
この目的のために、対象の関心領域が特定される。対象の関心領域は、対象のうち、適当な要素を含む領域とすることができる。適当な要素は例えば、対象の粒子顕微鏡画像の中で容易に識別できる特徴とすることができる。適当な特徴は、例えば記録画像の中で識別可能な特徴であり、画像内の特徴の位置は高い精度で特定できる。十分な大きさを有し、記録画像内で高いコントラストで表現できる非周期的特徴は適当な特徴の例である。図1に関して上述した説明的な例では、2つの関心領域が特定される。2つの関心領域は、記録画像11及び11’において三角形13、13’、15、及び15’として表される対象の特徴を含む。対象の少なくとも1つの位置が各関心領域に対応付けられる。現実には、多くの位置を関心領域に対応付けることができ、それは、関心領域は対象上のゼロより大きい側方範囲を有するからである。例えば、関心領域は、対象上の側方範囲を有する適当な特徴が関心領域内に完全に含まれ、したがって関心対象の特徴となるように選択できる。
【0047】
対象の複数の関心領域の特定に続き、記録画像11、11’の中で複数の画像領域が特定される。記録画像11内で特定された画像領域は、図1において実線で示される長方形23及び25として表され、記録画像11’内で特定された画像領域は、図1において点線で示される長方形23’及び25’として表される。画像領域23、23’、25、及び25’の各々は、対象の正確に1つの関心領域に関連付けられる。
【0048】
画像領域の各々は、対象の関心領域の1つが記録画像内の画像領域内に含まれるように特定される。例えば、記録画像11内の画像領域23は、対象の関心領域の1つが画像領域23内にあるように特定される。この例において、対象の、画像領域23内の関心領域は、図1において三角形13として示される関心領域で一定の記録画像11は輝度値を含み、これは、説明のために三角形13の頂点において選択されており、図1でベクトルO1として表される、記録画像11の座標系内の座標を有する位置に関連付けられる。この輝度値はまた、三角形の特徴の頂点にある、対象の位置にも関連付けられる。
【0049】
上の説明では、輝度値が実測されており、それが対象上の、対象の関心領域にも関連付けられる位置に正確に関連付けられると仮定されている。図1の例に当てはめると、これは、対象上の、関心領域に関連付けられる少なくとも1つの位置が対象上の三角形の特徴の下側頂点であるとすると、粒子ビームをこの位置へと方向付けることによって、正確にこの位置に関連付けられる輝度値も取得しなければならないことを意味する。現実には、これが必ずしも当てはまるとは限らず、それは、粒子ビームはこの位置の近隣の1つ又は複数の位置にも向けられる可能性があるからである。このような近隣は、図1において円27で表されている。
【0050】
要約すると、記録画像11の画像領域23は、それが対象の1つの関心領域関連付けられるように、且つそれが対象の位置O1の近隣27内のある位置に関連付けられける輝度値を含むように特定され、この位置はまた、画像領域23に関連付けられる関心領域にも関連付けられる。
【0051】
他の画像領域23’、25、予備25’も、それに対応する方法で特定される。
【0052】
画像領域23、23’、25、及び25’の特定に続き、変位ベクトルは画像領域の各々に関連付けられる。図1の例において、変位ベクトルV1は画像領域23に関連付けられ、長さゼロの変位ベクトルは画像領域23’に関連付けられ、変位ベクトルV2は画像領域25に関連付けられ、長さゼロの変位ベクトルは画像領域25’に関連付けられる。
【0053】
変位ベクトルV1は、画像領域23の画像データを画像領域23’の画像データと、画像領域23’の変位ベクトルの長さがゼロであるとの制約を前提に、相関させることによって特定される。同様に、変位ベクトルV2は、画像領域25の画像データを画像領域25’の画像データと相関させることによって特定される。ここで、他の様々な方法にしたがって変位ベクトルを特定することが可能である。例えば、画像領域23及び23’に対応付けられる変位ベクトルは、長さゼロの変位ベクトルが画像領域23に関連付けられ、他方で、逆の向きであるが、図1に示される変位ベクトルV1と同じ長さを有する変位ベクトルが画像領域23’に関連付けられるように計算できる。また、画像領域23及び23’に関連付けられる変位ベクトルを、これらが同じ長さであるが、反対の方向を有するように特定することも可能である。変位ベクトルの他の特定方法も可能であり、同様に使用できる。
【0054】
画像領域に関連付けられる変位ベクトルの特定に続き、結果の画像21が記録画像11及び11’の画像データから生成され、その際、変位ベクトルV1及びV2が考慮される。
【0055】
具体的には、記録画像11の、三角形13の頂点の位置O1に関連付けられ、領域23内にある輝度値はまた、図2においてベクトルB1により表される座標を有する結果の画像21の座標系内の位置にも関連付けられる。この位置B1は、画像領域23に関連付けられる変位ベクトルV1に基づいて計算される。同じことが、画像領域23’内の三角形13’の頂点にある位置についても当てはまり、その結果、記録画像11及び11’の座標系内の別々の位置に関連付けられる輝度値は結果の画像21の座標系内の同じ位置に関連付けられることになる。
【0056】
画像領域に関連付けられる変位ベクトルに基づくこの計算は、それぞれの画像領域の少なくとも1つの輝度値について行われる。この計算はまた、そのような位置の近隣の位置に関連付けられる輝度値についても実行することが有利である可能性がある。例えば、三角形13に属する全ての輝度値は、変位ベクトルV1により変位させることによって、結果の画像21の表現の中で、高い鮮鋭さを有し、ぼけの少ない三角形13’’の表現を得ることができる。
【0057】
同様に、三角形15に属する全ての輝度値を、画像領域25に関連付けられる変位ベクトルV2を使って変位させることによって、三角形15’との正確な重畳を得ることができ、それによって、図2内の三角形15’’の表現は高いコントラストノイズ比と低いぼけを示す。
【0058】
結果の画像の中の対象の特徴の表現は、少なくとも、相関によってそのための変位ベクトルが特定された関連する画像領域を有する関心領域のより近隣にあるそのような特徴について、非常に鮮鋭にできることが明らかである。幾つかの状況において、対象の十分な数の関心領域を特定し、関心領域が相互に十分に短い距離だけ離間され、記録画像の全ての輝度値が関心領域に関連付けられる画像領域内にあるようにすることは不可能かもしれない。このような状況は例えば、対象上に、記録画像内で区別でき、十分に高いコントラストを有してこれらが相関を行うのに適しているような特徴が少数しか存在しない場合に生じうる。さらに、対象の関心領域の数はまた、方法の高いパフォーマンスのために減らすこともでき、それは、関心領域の数が少なければ、計算する必要のある相関の数も少なくなるからである。
【0059】
しかしながら、画像領域23、23’、25、25’に含まれない記録画像の画像領域についても、結果の画像の中で高い鮮鋭さと少ないぼけを示す表現を得ることは依然として可能である。例えば、画像領域23、23’、25、25’に含まれない画像領域も変位ベクトルに対応付け、対応する画像データを組み合わせて結果の画像21を形成する際に、これらの変位ベクトルを使用することも可能である。これについては、図1において、記録画像11ではひし形14として、記録画像11’ではひし形14’として表される対象の特徴に関して以下に説明する。変位ベクトルV3は、記録画像11のひし形14を含む画像領域に関連付けられる。変位へクトルV3は、ひし形14に含まれる画像領域に関連付けられる画像データの相関に基づいて計算されるのではなく、記録画像11及び11’の画像領域に関連付けられる変位ベクトル間の内挿を行うことによって計算される。別の例によれば、変位ベクトルV3は、画像データの相関に基づいてパラメータ化された選択された基底関数群に基づいて計算される。
【0060】
ひし形14は、記録画像11の座標系内で画像領域23及び25間に位置する。ひし形14を含む画像領域に関連付けることのできる変位ベクトルV3もまた、それぞれ画像領域23及び25の変位ベクトルV1及びV2の長さ及び方向の間の長さ及び方向を有すると仮定できる。それゆえ、ひし形14を含む画像領域の変位ベクトルV3は、変位ベクトルV1及びV2間の内挿によって特定できる。内挿を行うために各種の方法を使用できる。例えば、変位ベクトルが内挿により計算されることになる位置と対応する画像領域との間の逆距離は、内挿の重みとして使用できる。
【0061】
内挿による変位ベクトルの特定は、実際には十分に正確であり得るが、厳密ではない。これは図2において、変位ベクトルV3により変位された図1のひし形14が図1のひし形14’と厳密には一致せず、それによって結果の画像21内の結果のひし形14’’が若干ぼけたひし形であることで表されている。それでも、結果の画像により示されるぼけは、画像11及び11’を組み合わせる従来の方法と比較すると少ない。
【0062】
記録画像11の画像領域23は、記録画像11の第一の画像領域であり、これは第一の変位ベクトルV1に関連付けられる。少なくとも1つの輝度値は、結果の画像21において、結果の画像21の座標系内の位置B1に関連付けられ、この輝度値は、記録画像11の中では、記録画像11の座標系内の第一の画像領域23の第一の位置O1に関連付けられる。
【0063】
記録画像11の画像領域25はすると、この記録画像11の第二の画像領域であり、それは第二の変位ベクトルV2に関連付けられる。第一の変位ベクトルV1と第二の変位ベクトルV2は、相互に異なる。記録画像11の座標系における第二の画像領域25内の第二の位置O2に関連付けられる少なくとも1つの輝度値は、結果の画像21の中で、結果の画像21の座標系内の第二の位置B2に関連付けられる。
【0064】
これらの特定は、以下の関係が満たされるように行われる:
B2-B1=O2+V2-O1-V1
【0065】
図1に関連して説明した例において、ひし形14はほぼ要素13及び15間に位置付けられる。さらに、ひし形14は、画像領域23及び25の各々の外側に位置付けられる。図1のひし形14の位置は、図1ではベクトルO3により示されている。ひし形14はほぼ要素13及び15間に位置付けられているため、以下の関係が保持される:
|(O2-O1)i|>|(O3-O1)i|。
ここで、(O2-O1)iと(O3-O1)iは、ベクトルの差(O2-O1)と(O3-O1)のi番目の成分を示す。ベクトルXiのi番目の成分は、Xi=X*eiとして計算されてよく、式中、eiは記録画像の座標系内のi番目の単位ベクトルを示し、”*”はスカラ積を示す。
【0066】
記録画像11の、記録画像23及び25の外側の位置O3に対応付けられる輝度値は、結果画像21の、図2において座標ベクトルB3を有する位置に対応付けられ、これは変位ベクトルV3に基づいて計算される。変位ベクトルV3は、以下の関係が保持されるように内挿によって計算できる:
B3-B1=O3+V3-O1-V1且つ
|(V2-V1)i|>|(V3-V1)i|、
式中、(V2-V1)iと(V3-V1)iは、それぞれベクトルの差(V2-V1)と(V3-V1)のi番目の成分である。
【0067】
変位ベクトルは、画像領域に関連付けられる変位ベクトルV1及びV2に基づく上述の例示的な変位クトルV3と同様に記録画像の全ての画像データについて特定できる。スプライン方式等の多くの内挿及び外挿方法をこの目的のために使用できる。関心領域の数は上記の説明的な例では2とされたが、より多くの関心領域が使用できる。
【0068】
粒子顕微鏡を用いる画像記録方法の別の実施形態について、図3を参照しながら以下に説明する。図3は、対象31の表面の概略正面図である。粒子顕微鏡を用いて表面31の画像を記録するための方法が提供される。この例において、粒子顕微鏡は、複数の粒子ビームを対象の表面に同時に方向付けるマルチビーム粒子顕微鏡である。各粒子ビームは、その粒子ビームに関連付けられる対象領域33を走査できる。対象領域は正方形の形状であり、これらは相互に隣接して配置される。隣接する対象領域33のペアは相互に重複する。これは、対象の、対象領域33の1つの辺の付近にある位置はまた、この対象領域に隣接して配置された対象領域の辺の付近にもあることを意味する。対象の表面上のこのような位置は、2つ又は3つの粒子ビームにより走査され、したがって、これらの位置は2つ又は3つの記録画像内に含まれる。図3は、実線で描かれた長方形として1つの例示的な対象領域330を示し、他方で、例示的な対象領域330に隣接して配置された4つの対象領域331、332、333、及び334は破線で描かれた長方形として示されている。
【0069】
上述の例において、対象領域33の各々は正方形の形状を有し、対象領域は市松模様のパターンに配置される。その他の構成も可能である。例えば、対象領域は長方形の形状を有してよく、それによってこれらの辺のペアの長さは異なる。さらに、対象領域は例えば六角形であってもよく、対象領域はハニカムパターンに配置される。
【0070】
対象領域33を走査する粒子ビームは、二次電子等の信号を生成し、これを検出し、検出信号を発生したそれぞれの粒子ビームに対応付けることができる。輝度値は検出信号に基づいて特定でき、輝度値は、対象の座標系における、検出信号がその粒子ビームにより生成された時点でその粒子ビームが入射した位置に関連付けられる。一連の検出信号から得られた輝度値の連続は、記録画像の画像データを提供する。それゆえ、記録画像は各対象領域33に関連付けられてよい。
【0071】
図3のベクトルS0、S1、S2、S3、及びS4は、それぞれ対象領域330、331、332、333、及び334の対象の座標系内の位置を表す、対象の座標系内の位置ベクトルを表す。これらのベクトルは、例えば粒子顕微鏡の適当な較正によって得られたものであってよい。記録画像の座標系内の位置と対象の座標系内の位置との間の対応をこれらの位置ベクトルを使って特定することが可能である。
【0072】
対象は、粒子顕微鏡画像の中で認識可能な複数の顕著な特徴35を有する。これらの特徴は、対象上に規則的パターンで配置されてよい。これらの特徴のうち、対象領域330の近くにある小集合が図3においてひし形として概略的に示されている。これらの特徴は、上述の粒子顕微鏡を用いた画像記録方法のための関心領域を形成する。個々の対象領域33の記録画像はすると、複数の画像領域を含むことになり、複数の画像領域を各記録画像内で特定でき、各画像領域は顕著な特徴35に対応する1つの関心領域に関連付けられ、また、画像領域はそれぞれの関心領域内及びそれぞれの関心領域の近隣内の位置に関連付けられた輝度値を含む。図3に示される顕著な特徴35に対応する関心領域の部分は、隣接する対象領域331、332、333、及び334と隣接する部分において対象領域330の辺の付近に位置付けられる。
【0073】
前述のように、変位ベクトルは異なる画像の画像領域に関連付けることができ、異なる画像領域は対象の同じ関心領域に関連付けられ、変位ベクトルは、画像領域に対して行われる相関に基づいて特定される。このような変位ベクトルは、図3において説明のために長さが誇張されているベクトル37によって表されている。変位ベクトル37は、記録画像の対象領域330の画像領域に関連付けられ、画像領域は、同じ関心領域に関連付けられる隣接する対象領域331、332、333、及び334の画像内にある。
【0074】
変位ベクトル37の配置は、対象領域330の記録画像への結像がたる型画像歪みを含んでいることを示唆する。他方で、図3に示される変位ベクトルの配置はまた、中央の対象領域330に実質的に歪みがない場合、及び隣接する対象領域331、332、333、及び334の各々がピンクッション歪みを有するときにも説明できる。この不明瞭さは、隣接する対象領域の全ペア間の全ての重複部分を考慮することと、特定された変位の総量を最小化することによって解消できる。
【0075】
変位ベクトルは、変位ベクトル37に基づく内挿又は外挿を行うことによって、記録画像の座標系内の各位置に関連付けることができる。それゆえ、より歪みの少ない対象領域330の画像を得るために、これらの変位ベクトルに基づいて記録画像の輝度値に関連付けられる位置を補正することが可能となる。
【0076】
このようなプロセスは、対象の隣接する対象領域33の全ペア間の全ての重複部分に適用することにより、複数の粒子ビームにより記録される画像内の歪みの補正を特定することができる。これらの特定された歪み補正は、複数の粒子ビームによって記録される画像の歪みを補正するために使用できる。例えば、特定された歪み補正を使って個々の対象領域の画像データを組み合わせて、対象全体の高品質画像を形成することが可能である。しかしながら、組合せによる画像の生成は必要ではない。例えば半導体ウェハの欠陥の有無を評価する用途において、特定された歪み補正を使って画像の小さい一部に基づいてウェハの欠陥の位置を特定すれば十分であり、対象全体の組合せによる画像ははっきりとは計算されない。
【0077】
上述の図3の例において、変位ベクトル37は様々な方向に均等に分散されている。変位ベクトル37の配置は、画像歪みが画像の中央において消失していることを示唆する。他の例では、内挿により特定された変位ベクトルは画像領域の中央でも消失しないということが起こるかもしれない。
【0078】
内挿及び外挿を実行するために使用されるアルゴリズムの種類は多岐にわたり得る。例えば、画像領域に対応付けられる変位ベクトルを特定して、変位ベクトルの1つの要素が例えばゼロの所定の値を有するようにすることが有利かもしれない。粒子ビームが、例えば水平走査線に沿って対象を走査する場合、記録画像の座標系はその座標系の1つの単位ベクトルが走査線に平行となるように選択できる。すると、走査線に平行な向きではない単位ベクトルに対応する要素がゼロの値を有するように変位ベクトルを特定できる。これは、例えば2次元相関によって特定された変位ベクトルを走査線に平行な向きの単位ベクトルに投射することによって実現できる。その後、画像データの相関に基づいて特定される変位ベクトルはすると、走査線に平行な向きとされる。同様に、画像領域のこれらの変位ベクトルから内挿又は外挿により特定される変位ベクトルがこの方向に向けられる。具体的には、画像領域に関連付けられる変位ベクトルと内挿又は外挿によって特定される変位ベクトルは、相互に平行となる。このような方法は、粒子ビームで対象を走査する画像記録方法において発生する走査の歪みを補償するために特に有利である。
【0079】
図4は、マルチビーム粒子顕微鏡の中で粒子ビームの配列により走査される対象領域を説明する対象表面の正面図である。
【0080】
マルチビーム粒子顕微鏡は、複数の粒子ビームの配列を発生させる。粒子ビームの配列は対象を走査し、個々のビームは各々、長方形の対象領域51を走査する。各対象領域は、図4に示される例において、対象表面53上で10μmの高さと12μmの幅を有する。複数の粒子ビームの配列の隣接するビームは、対象表面53上の相互に隣接する対象領域51を走査する。ここで、隣接する粒子ビームにより走査される対象領域51はある量だけ重複し、これについては後でさらに説明する。
【0081】
各対象領域51に関連付けられる画像は、粒子ビームの配列で複数の対象領域51を走査することによって生成できる。複数の画像は、粒子ビームの配列の粒子ビームの束を共通に偏向させて、対象領域51が並行して走査されるようにすることによって同時に生成できる。
【0082】
マルチビーム粒子顕微鏡を使って同時に走査できる対象領域51は、粒子ビームの配列のパターンに対応するパターンに配置される。上述の例において、マルチビーム粒子顕微鏡は91の粒子ビームを使用し、対象領域51は線状に配置され、一番上の線55は6つの対象領域51を含む。各線の対象領域51の数は、中央の線57が11の対象領域51を含むまで、線ごとに1つずつ増やされる。そこから、各線の対象領域51の数は1つずつ減らされ、最終的に一番下の線59は再び6つの対象領域51を有する。
【0083】
対象表面53の、91のビームを使って同時に走査できる部分61は、階段状の境界を有する実質的に六角形の形状を有する。
【0084】
図5は、対応する対象領域51の91の画像についての毎回の記録の合間に対象表面53を電子顕微鏡に関して並進移動させることによって走査される、対象表面53の延長部分の図である。対象表面53を粒子顕微鏡に関して並進移動させ、六角形の部分61が対象の表面53の全体をカバーし、対象表面53の延長部分の画像が上述の手順により取得できることが明らかである。
【0085】
マルチビーム粒子顕微鏡に関する背景情報は、米国特許第9,536,702 B2号及びその中で引用されている別の文献に示されている。
【0086】
上述の例において、1つのビームで走査される対象領域51の大きさは10μm×12μmである。画像形成で使用されるピクセルサイズは、対象表面53上で2nmである。1つの対象領域の記録画像はしたがって、13,000,000のピクセルを有する。この例では、その画像データを保存するために使用される色深度は8ビットであり、それによって1つの画像に関連付けられる画像データの量は30MBである。ビームの数は91であるため、1つの対象部分61の1回の同時走査の画像データの量は2.73GBである。1回の同時走査の持続時間は1秒であり、それによって、対象表面53の1mm2を走査するのに必要な時間は2.35時間であり、生成される画像データの量は22.75TBである。
【0087】
一定の時間内でこのような量のデータを処理することは明らかに困難である。ここで、画像データに集約的な画像処理パイプラインを適用しなければ、個々の対象領域51の画像を相互に継ぎ合わせて図5に示されるような延長された対象領域の画像全体を形成できない点に留意されたい。
【0088】
例えば半導体内の欠陥のみを検出しようとする場合等、画像全体を表示する必要がない状況がある。しかしながら、このような状況でも、個々の画像の歪みを特定し、補正することができる。半導体応用では、歪みの結果として、主として、この特徴が回路設計に基づいて予想されるそれらの位置からシフトする。歪みの補正は、例えば特徴の大きさの5分の1より高い精度で本来の位置を回復しなければならない。特徴が40nmのコンタクトホールである場合、この精度は、ピクセルサイズが2nmであるとすると、4ピクセルに対応する8nmより高いことに対応する。
【0089】
図6Aは、図4の詳細を示す対象表面53の正面図である。隣接する対象領域51は特定の量だけ重複し、それによって、隣接する粒子ビームの対応するペアにより走査される対象領域51の隣接ペアの各々は、対象表面53上の重複部分63を共有する。
【0090】
図6Bは、粒子顕微鏡により記録される例示的な対象の2つの画像65及び66の一部を示す。
【0091】
図6Bに示される上の画像65は、図6Aにおいて「ID3」と表示された表面部分51から得られた画像の下部分であり、図6Bに示される下の画像66は、図6Aにおいて「ID1」と表示された対象領域51から記録された画像の上部分である。画像65及び66の各々は画像部分67を含み、これは対象表面53の隣接する対象領域51間の重複部分63の画像である。
【0092】
図7Aは、図6Bに示される上の画像65の画像部分67の拡大図であり、図7B図6Bに示される下の画像66の画像部分67の拡大図である。
【0093】
図7Cは、図7Aに示される画像部分67の輝度値を図7Bに示される画像部分67の輝度値から差し引くことによって得られる差分画像71を示す。
【0094】
対象領域53上の重複部分63内で、複数の重複対象部分73を画定し、選択できる。
【0095】
図7Cは、例示的な数として3つの重複する対象部分73とこれらの重複する対象部分73の拡大図75を示している。拡大図75の各々は、2つの画像65及び66間の重複する対象部分73間の変位を表す変位ベクトル77の表現を含む。変位ベクトル77は、2つの画像65及び66間の重複する対象部分73に関連付けられる画像データ間の相関に基づいて特定できる。
【0096】
図7Dは、隣接する対象領域51間の重複部分63の複数の重複する対象部分73を相関させることによって特定された複数の変位ベクトル77のグラフィック表現である。ここで、図7Cに示される3つの重複する対象部分73から得られた変位ベクトルは、実線で描かれた矢印により表され、図7Cに示されていないその他の重複する対象部分から得られた変位ベクトルは破線により描かれている。図の例において、重複する対象領域1つから得られる変位ベクトル77の数は9である。より多い、又はより少ない数の重複する対象部分73を使用して、より多い又はより少ない変位ベクトル77を特定できる。
【0097】
各対象領域51は、重複する部分63の周辺を含み、この周辺に沿って分散される複数の変位ベクトル77は前述のように特定できる。対象領域51の画像の周辺に沿って分散される多変位ベクトル77の全体は、対象領域51の、この対象領域51に関連付けられる画像への画像化の画像歪みを示す。換言すれば、変位ベクトル77若しくはこれらの変位ベクトルから導出されるデータ又は画像の周辺に沿って分散された変位ベクトルを表すデータは、重複する画像に含まれる画像歪みの「フィンガプリント」を表す。
【0098】
図8A、8B、8C、及び8Dは、画像の周辺に沿って分散される変位ベクトル77に基づいて特定できる例示的な画像歪みの説明のための表現を示す。図8Aはスケールエラーから生じる画像歪みを示し、図8Bは回転エラーから生じる画像歪みを示し、図8Cは、画像化において発生するせん断エラーから生じる画像歪みを示す。さらに、図8Dは、アフィン変換では表すことのできる二次歪みを示す。この歪みは、ビーム走査システムの不正確さから生じる歪みの例である。
【0099】
適当に選択された基底関数群を使って、歪みについて画像を補正することが可能である。ここで、1つの最適化プロセスで計算しなければならない全ての画像歪みが考慮されるかもしれず、それは、変位ベクトル77が画像の共通の重複部分から生じているからである。歪み補正方法は、全ての画像のうちの画像ごとに基底関数の重みを調整して、最終的に結果の変位ベクトルのフィンガプリント77が実質的に消失するか、最小値に到達するようにされてよい。通常、残留する変位ベクトルが残り、これは基底関数群を拡張することによって、より多くの補正自由度を追加することで排除できるか、又は残留する変位ベクトルの分布の標準偏差の幅が、例えば2ピクセルの閾値より低い場合には容認できる。
【0100】
画像歪みは、各対象領域51の各画像について特定できることが明らかである。これらの画像歪みは、組合せによる結果の画像が対象領域51の画像に基づいて生成される際に考慮できる。
【0101】
図9は、マルチビーム粒子顕微鏡を用いた画像記録方法の実施形態を説明するフローチャートを示す。具体的には、主プロセス102において、粒子顕微鏡の粒子ビームの配列が対象領域51を同時に走査し、これらの画像領域51の画像が得られる。制御システム101は、記録画像を画像データベース103に保存する。保存された画像は、後で解析するか、さらに処理することができる。このように画像をさらに処理することには、画像を継ぎ合わせて、より大きい、組合せによる結果の画像を形成することが含まれてよい。前述のように、組合せによる結果の画像を個々の画像の特定された画像歪みに基づいて生成することが有利である可能性がある。画像歪みの特定は、画像部分のペア間の相関に基づく変位ベクトル77の特定等の高コストの計算を含む。これらの計算には多大な計算時間が必要となり、これは幾つかの動作条件では、粒子顕微鏡を使用する画像記録に必要な時間と同じ又は同様の程度であり得る。
【0102】
個々の表面部分51が各々、上から下へのライン走査等の同じ走査方式で走査されると仮定すると、複数の重複する対象部分77の幾つかが他の重複する対象部分77より早く走査されることが明らかである。
【0103】
図9に示される方法において、計算ステップ105は、次の重複する対象部分77が2つの隣接する対象ビームによりすでに走査されたか否かを判断する。答えがノーであれば、プロセスはステップ107で待機する。答えがイエスであれば、ステップ109において、それ以前に利用可能となっていた重複する対象部分77が記録画像データから抽出される。ステップ111で、重複する対象部分77に対応する画像部分が「パッチ」として作成される。ステップ113でこれらの画像部分が解析され、これらが変位ベクトル77の特定に使用するのに適しているか否かが特定される。例えば、構造を全く示さない画像部分は有用ではない。したがって、ステップ113は、画像部分が対象上の特徴から得られる構造を含むか否か、且つ、これらの構造が、所望の方位範囲の変位ベクトルを特定できる向きを有するか否かを特定する。
【0104】
有用な重複する対象部分75に対応する変位ベクトル77がステップ115で特定され、ステップ119でデータベースに保存される。変位ベクトル77は、個々の画像の画像歪みを表し、後の時点で、画像データベース中に保存された画像を解析する際に使用できる。
【0105】
このプロセスは、図10に示されるフローチャートでより詳しく説明される。ステップ121で、データベース117に保存された変位ベクトルに基づいて対象領域51の各画像の画像歪みを特定できる。画像歪みは、粒子ビームの配列を使って同時に走査できる対象部分51の全体に関係する。ステップ123で六角形の表面部分61の画像をこの情報に基づいて一体に継ぎ合わせることができ、ステップ125でそれに対応する組合せによる結果の画像を出力できる。
【0106】
個々の粒子ビームに関連付けられる画像歪みが特定の時間にわたり十分に一定のままであると仮定すると、幾つかの記録された六角形の表面部分61に関する変位ベクトルの計算を省き、組合せによる結果の画像の生成において、それ以前に特定された画像歪みを素要することが可能となる。それゆえ、個別の粒子ビームに関連付けられる画像歪みは、定期的に、例えば10、20、50、又は100の六角形が走査されるごとに特定でき、それによって多くの計算時間を節約できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A-8D】
図9
図10