(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】長尺部材の固定構造、固定部材、及び長尺部材の固定方法
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20230227BHJP
H02G 3/32 20060101ALI20230227BHJP
F16L 3/00 20060101ALI20230227BHJP
F16B 2/10 20060101ALI20230227BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
H02G3/04 068
H02G3/32
F16L3/00 F
F16B2/10 Z
F16B2/08 S
(21)【出願番号】P 2019033187
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】山内 裕司
(72)【発明者】
【氏名】佐川 正彦
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-116278(JP,A)
【文献】特開2017-158231(JP,A)
【文献】実開昭61-011003(JP,U)
【文献】特開2012-035803(JP,A)
【文献】特開2017-192162(JP,A)
【文献】実開昭64-030621(JP,U)
【文献】特開2014-050263(JP,A)
【文献】実開昭51-140563(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/32
F16L 3/00
F16B 2/10
F16B 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するとともに、長尺状に構成された長尺部材と、
前記長尺部材を湾曲させて固定する固定部材とで構成され、
前記固定部材は、
前記長尺部材を保持する複数の保持部と、
前記保持部同士を連結する連結部とで構成され、
前記連結部は、湾曲した前記長尺部材の曲げ方向内側に設けら
れ、
前記連結部は、
前記保持部同士を連結する連結部材と、
前記連結部材を取り付ける取付部で構成され、
該取付部が前記保持部に設けられるとともに、前記取付部に取付けられた前記連結部材を介して前記保持部同士を連結し、
前記取付部は、前記保持部の内部に前記連結部材を取付けるように構成された
長尺部材の固定構造。
【請求項2】
前記取付部は、前記連結部材を挿通可能な挿通孔が設けられた
請求項1に記載の長尺部材の固定構造。
【請求項3】
前記挿通孔は、前記保持部に保持された前記長尺部材における長手方向及び前記曲げ方向と直交する方向に開口する
請求項2に記載の長尺部材の固定構造。
【請求項4】
前記連結部材は、長さ調整可能な調整部が備えられた
請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の長尺部材の固定構造。
【請求項5】
前記連結部材は、前記長尺部材の曲げ方向内側への変形性を有する変形部材で構成された
請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の長尺部材の固定構造。
【請求項6】
前記連結部材が、環状である
請求項5に記載の長尺部材の固定構造。
【請求項7】
環状に形成された前記連結部材の一部が、湾曲した前記長尺部材の湾曲部分に固定された
請求項6に記載の長尺部材の固定構造。
【請求項8】
前記連結部材が、結束バンドで構成された
請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載の長尺部材の固定構造。
【請求項9】
前記保持部には、前記保持部に保持されている前記長尺部材における長手方向に沿った、前記長尺部材の移動を規制する移動規制部が設けられた
請求項1乃至請求項8のうちのいずれかに記載の長尺部材の固定構造。
【請求項10】
前記保持部は、前記保持部に保持されている前記長尺部材の長手方向から視て、前記長尺部材の周方向を囲繞する囲繞保持部で構成された
請求項1乃至請求項9のうちのいずれかに記載の長尺部材の固定構造。
【請求項11】
前記長尺部材が、
内部にワイヤーハーネスを挿通させるように中空状に形成されたコルゲートで構成された
請求項1乃至請求項10のうちのいずれかに記載の長尺部材の固定構造。
【請求項12】
可撓性を有するとともに、長尺状に構成された長尺部材を保持する複数の保持部と、
前記長尺部材を湾曲させた湾曲形状で、前記保持部同士を連結する連結部とで構成され、
前記連結部が、湾曲した前記長尺部材の曲げ方向内側に設けら
れ、
前記連結部は、
前記保持部同士を連結する連結部材と、
前記連結部材を取り付ける取付部で構成され、
該取付部が前記保持部に設けられるとともに、前記取付部に取付けられた前記連結部材を介して前記保持部同士を連結し、
前記取付部は、前記保持部の内部に前記連結部材を取付けるように構成された
固定部材。
【請求項13】
可撓性を有するとともに、長尺状に構成された長尺部材に、前記長尺部材の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて保持部を装着するとともに、
前記保持部同士を連結する連結部材と、前記連結部材を取り付ける取付部で構成され、該取付部が前記保持部に設けられるとともに、前記取付部に取付けられた前記連結部材を介して前記保持部同士を連結し、前記取付部が、前記保持部の内部に前記連結部材を取付けるように構成された連結部で、湾曲した前記長尺部材の曲げ方向内側を、前記長尺部材が所望の湾曲形状となるように前記保持部同士を連結する
長尺部材の固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、長尺状に構成された長尺部材の固定構造、前記長尺部材を固定する固定部材、及び、前記長尺部材の固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されている電気機器同士を電気的に接続している長尺状のワイヤーハーネスは、自動車の車両の凹凸形状に合わせて直線部分と湾曲部分とを組み合わせた2次元的、又は、3次元的に複雑な配索経路で配索されている。
【0003】
特に、ハイブリット車や電気自動車などに配策されているワイヤーハーネスは、高圧電線を含む電線群で構成されているため、しっかりと保護する必要がある。このようなワイヤーハーネスは、可撓性を有するとともに、長尺状に構成された中空状のコルゲートチューブ(以下、コルゲートとする。)に挿通させて保護していることがある。
【0004】
このようなワイヤーハーネスやコルゲートなどの長尺部材は、配索経路に応じて立体形状で固定されることが望まれている。 例えば、特許文献1に提案されているコルゲートは、ワイヤーハーネスを挿通可能な中空状の筒状体であって、長手方向に沿って凹部と凸部とが交互に配置された蛇腹構造で構成されており、配策されたワイヤーハーネスの湾曲部分の曲率に応じて、柔軟に湾曲させることができる。
【0005】
このように湾曲自在に構成されたコルゲートは、コルゲートに取付けられたクランプを介して自動車の車両本体などに据付けることで、所望の形状で固定することができる。これにより、配策経路に沿って配策されるワイヤーハーネスと同形状で固定されたコルゲートの内部にワイヤーハーネスを挿通させて保護できるとされている。
【0006】
しかしながら、例えば、ワイヤーハーネスやワイヤーハーネスを挿通させたコルゲートなどの長尺部材が、車両本体などの据付できる場所から隔離されている場合には、クランプなどを介して車両本体に据付けることができないため、重力などにより長尺部材を所望の形状で固定できないといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑み、長尺状に構成された長尺部材を所望の形状で固定できる長尺部材の固定構造、長尺部材を固定する固定部材、及び、長尺部材の固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、可撓性を有するとともに、長尺状に構成された長尺部材と、前記長尺部材を湾曲させて固定する固定部材とで構成され、前記固定部材は、前記長尺部材を保持する複数の保持部と、前記保持部同士を連結する連結部とで構成され、前記連結部は、湾曲した前記長尺部材の曲げ方向内側に設けられ、前記連結部は、前記保持部同士を連結する連結部材と、前記連結部材を取り付ける取付部で構成され、該取付部が前記保持部に設けられるとともに、前記取付部に取付けられた前記連結部材を介して前記保持部同士を連結し、前記取付部は、前記保持部の内部に前記連結部材を取付けるように構成された長尺部材の固定構造であることを特徴とする。
【0010】
またこの発明は、可撓性を有するとともに、長尺状に構成された長尺部材を保持する複数の保持部と、前記長尺部材を湾曲させた湾曲形状で、前記保持部同士を連結する連結部とで構成され、前記連結部が、湾曲した前記長尺部材の曲げ方向内側に設けられ、前記連結部は、前記保持部同士を連結する連結部材と、前記連結部材を取り付ける取付部で構成され、該取付部が前記保持部に設けられるとともに、前記取付部に取付けられた前記連結部材を介して前記保持部同士を連結し、前記取付部は、前記保持部の内部に前記連結部材を取付けるように構成された固定部材であることを特徴とする。
【0011】
さらにまたこの発明は、可撓性を有するとともに、長尺状に構成された長尺部材に、前記長尺部材の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて保持部を装着するとともに、前記保持部同士を連結する連結部材と、前記連結部材を取り付ける取付部で構成され、該取付部が前記保持部に設けられるとともに、前記取付部に取付けられた前記連結部材を介して前記保持部同士を連結し、前記取付部が、前記保持部の内部に前記連結部材を取付けるように構成された連結部で、湾曲した前記長尺部材の曲げ方向内側を、前記長尺部材が所望の湾曲形状となるように前記保持部同士を連結する長尺部材の固定方法であることを特徴とする。
【0012】
前記連結部は、別体で構成された連結部材と、該連結部材を取り付ける取付部とで構成された場合や、連結部材と取付部とが一体構成された場合を含む。なお、前記取付部は前記保持部と一体もしくは別体で構成されていてもよい。
また、前記連結部は、一つの前記保持部に対して複数設けられてもよい。
【0013】
前記長尺部材は、導体を束ねて構成されたワイヤーハーネスやワイヤーハーネスを保護するコルゲート、電力を送電するための送電用ケーブルや、信号などを通信するための通信用ケーブルなどを含む。
また、前記長尺部材は、例えば蛇腹構造のように、湾曲自在な構造を備えている場合や、可撓性を有する材質で構成されている場合、あるいはこれらを組み合わせることにより湾曲自在に構成され可撓性を有する場合を含む。なお、前記長尺部材は、全長に亘って可撓性を有する構成や、部分的に可撓性を有する構成を含む。
【0014】
上述の前記保持部同士を連結するとは、一つの前記連結部を介して前記長尺部材に保持させた複数の前記保持部を連結する場合や、複数の前記連結部を用いて複数の前記保持部を連結する場合を含む。
【0015】
前記連結部材は、紐などのように前記長尺部材に作用する復元力と反対方向に向けて作用させた外力により、撓むように変形する構成や弾性変形する構成の他、前記長尺部材の復元力と反対方向に作用させた外力により変形しない剛体で構成されたものを含む。
【0016】
また上述の連結する前記連結部材とは、前記長尺部材が湾曲した状態で固定できるように前記保持部同士を連結できればどのような構成であってもよく、例えば、帯状に形成された帯状部と、前記帯状部の一端側に設けられ、前記帯状部の先端を挿入した前記帯状部を固定できる固定部とで構成されたいわゆる結束バンドや、紐あるいは糸などの糸状体やゴムなどの弾性体を取付部に設けられた挿通孔に挿通できる構成や、前記取付部に係止させる係止部あるいは嵌合させる嵌合部が設けられた構成などを含む。
【0017】
上述の前記保持部の内部に前記連結部材を取付けるとは、前記保持部を挿通するように設けられた挿通孔に前記連結部材を挿通させて取付ける場合や、前記保持部が前記長尺部材を保持するための空間に前記連結部材を挿通させて取付ける場合、前記連結部材を連結させた取付部を前記保持部の内部に嵌合や係止させる場合を含む。
【0018】
この発明により、長尺状に構成された前記長尺部材を所望の形状で固定できる。
詳述すると、前記保持部を複数保持させた前記長尺部材を所望の形状となるように湾曲させ、前記保持部同士を前記連結部で連結することで、湾曲させた前記長尺部材の復元力に抗する張力を、前記連結部材に作用させることができる。これにより、前記長尺部材の復元を防止できるため、前記長尺部材を所望の湾曲形状で固定することができる。
【0019】
このように、車両本体に据付けるクランプなどの据付部材を用いることなく、前記固定部材で前記長尺部材を所望の湾曲形状で固定することができる。これにより、例えば車両本体などクランプを据付けるための固定箇所が近辺にない位置においても、前記長尺部材を所望の形状で固定できる。
【0020】
また、前記長尺部材を所望の形状で固定できるため、必ずしも前記長尺部材を据付けるために前記車両本体に這わせる必要がなく、前記長尺部材を短くなるように設計することができ、前記長尺部材の軽量化を図ることができる。
【0021】
また、前記連結部は、前記保持部同士を連結する連結部材と、前記連結部材を取り付ける取付部で構成され、該取付部が前記保持部に設けられるとともに、前記取付部に取付けられた前記連結部材を介して前記保持部同士を連結していることにより、前記長尺部材の湾曲形状に応じて前記連結部材を変更することができるため、容易に前記長尺部材を所望の湾曲形状で固定できる。すなわち、前記長尺部材の湾曲形状の設計の自由度を向上させることができる。
【0022】
具体的には、前記長尺部材を緩やかU字状となるように湾曲させる場合には、長い前記連結部材を選択でき、また前記長尺部材を急なU字状となるように湾曲させる場合には短い前記連結部材を選択できるため、前記長尺部材を所望の湾曲形状で固定することができる。また、状況に応じて、短い前記連結部材を複数連結させて所定の長さとした記連結部材を用いて前記保持部同士を連結することもできる。このように、前記連結部材と前記保持部とが別部材で構成されることにより、前記長尺部材を所望の湾曲形状となるように自由に設計し、所望の湾曲形状で固定することができる。
【0023】
また、前記連結部材と前記保持部とが別部材で構成されていることにより、湾曲させた前記長尺部材の復元力に合わせて適切な前記連結部材を選択したり、前記連結部材を複数つなげたりすることができるため、前記長尺部材の形状の設計の自由度をより向上させることができる。したがって、所望の配索経路などに合わせて前記長尺部材の形状を設計し、その形状で前記長尺部材を固定することができる。
【0024】
さらにまた、前記取付部は、前記保持部の内部に前記連結部材を取付けるように構成されていることにより、前記連結部材の一部が前記保持部に収納された状態で前記保持部同士を連結することができるため、省スペース化を図ることができる。これにより、湾曲した前記長尺部材の前記曲げ方向内側の空間を確保できる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記取付部は、前記連結部材を挿通可能な挿通孔が設けられてもよい。
【0026】
この発明により、前記挿通孔に挿通させた前記連結部材が、前記挿通孔の内周壁に対して固定されずに相対移動できる。このため、例えば前記ワイヤーハーネスを配索させている車両が振動した場合などにおいて、前記連結部材が振動に合わせて前記挿通孔を移動させることができ、前記連結部材にかかる負荷を軽減できる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記挿通孔は、前記保持部に保持された前記長尺部材における長手方向及び前記曲げ方向と直交する方向に開口してもよい。
この発明により、前記挿通孔に対して前記連結部材をより容易に挿通させることができる。
【0028】
詳述すると、湾曲させた前記長尺部材に視界を遮られることなく、前記挿通孔を目視できるため、容易に前記連結部材を前記挿通孔に挿通させることができる。これにより、前記長尺部材に保持された前記保持部同士を容易に連結させることができ、作業効率を向上させることができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記保持部には、前記長尺部材を保持した状態における前記長尺部材の長手方向に沿って、前記長尺部材を挿通させる貫通孔が設けられ、前記取付部は、前記貫通孔と連通しているとともに、前記連結部材を挿通可能な挿通部で構成されてもよい。
【0030】
この発明によると、前記取付部を前記保持部材の内部に設けることができるため、前記取付部が嵩張ることをより確実に防止できる。これにより、湾曲した前記長尺部材の前記曲げ方向内側の空間を確保できる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記連結部材は、長さ調整可能な調整部が備えられてもよい。
この発明により、前記長尺部材を所望の湾曲形状に固定する作業の作業性を向上させることができる。
【0032】
詳述すると、緩やかに湾曲した形状で固定された前記長尺部材において、前記保持部同士を連結する前記連結部材の長さを短くなるように調整することができる。これにより、前記保持部同士を接近させることができ、前記長尺部材をより湾曲させた状態で固定できる。また、前記保持部同士を連結する前記連結部材の長さが長くなるように調整することにより、前記長尺部材を緩やかな湾曲状態とすることができる。このように前記調整部を備えることにより、容易に湾曲形状を変更することができる。
【0033】
また、緩やかに湾曲させた前記長尺部材は復元力が小さいため、前記保持部同士を容易に前記連結部材で連結させることができる。このように前記保持部材を前記連結部材で連結させた後に、前記連結部材の長さを調整することにより、復元力による前記長尺部材の復元を防止しながら、前記長尺部材を急な湾曲形状に変形させることができる。
【0034】
このように、復元力が小さい状態で前記長尺部材を容易に一次固定できるとともに、前記連結部材の長さ調整を行うことにより、一次固定された前記長尺部材を所望の形状に固定することができ、効率よく前記長尺部材を所望の形状に変形させることができる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記連結部材は、前記長尺部材の曲げ方向内側への変形性を有する変形部材で構成されてもよい。
前記変形部材は、湾曲した状態で固定された前記長尺部材に対して、前記曲げ方向内側への外力が作用することで変形する連結部材をさし、例えば、前記曲げ方向内側に作用した外力により、前記連結部材に作用している張力が解除されて撓むように変形する糸状体や弾性体でもよいし、前記曲げ方向内側へ作用した外力により、楕円形状から円形状に構造が変化するような構造で構成されてもよい。
【0036】
この発明により、前記長尺部材に前記曲げ方向内側に向けた外力が作用した場合に、前記連結部材を変形し、外力を逃がすことができるため、意図せずに前記曲げ方向内側に向けた外力が作用することで、前記連結部材が損傷することを防止できる。したがって、前記長尺部材が所望の湾曲形状で固定された状態を維持できる。
【0037】
またこの発明の態様として、前記連結部材が、環状であってもよい。
またこの発明として、可撓性を有するとともに、長尺状に構成された長尺部材と、前記長尺部材を湾曲させて固定する固定部材とで構成され、前記固定部材は、前記長尺部材を保持する複数の保持部と、前記保持部同士を連結する連結部とで構成され、前記連結部は、湾曲した前記長尺部材の曲げ方向内側に設けられ、前記連結部は、前記保持部同士を連結する連結部材と、前記連結部材を取り付ける取付部で構成され、該取付部が前記保持部に設けられるとともに、前記取付部に取付けられた前記連結部材を介して前記保持部同士を連結し、前記連結部材は、前記長尺部材の曲げ方向内側への変形性を有する変形部材で構成され、前記連結部材が、環状である長尺部材の固定構造であることを特徴とする。
【0038】
この発明により、前記長尺部材に前記曲げ方向内側に向けて意図しない外力が作用した場合であっても、環状に形成された前記連結部材の形状が変化することで、前記外力を逃がすことができるとともに、意図しない前記外力が作用することにより前記連結部材が前記取付部から外れることを防止できる。
【0039】
またこの発明の態様として、環状に形成された前記連結部材の一部が、湾曲した前記長尺部材の湾曲部分に固定されてもよい。
前記湾曲部分は、前記長尺部材を保持するとともに、前記連結部材で連結された前記保持部同士の間において前記長尺部材が湾曲した部位をさす。
【0040】
この発明により、仮に前記連結部材が切れた場合であっても、前記連結部材が落下することを防止できる。
また、前記連結部材が湾曲した前記長尺部材の湾曲部分に固定されていることにより、前記長尺部材の復元力が、前記連結部材のうち前記取付部に取付けられた箇所のみに集中することを防止できる。これにより、前記連結部材が損傷することをより確実に防止できる。
【0041】
またこの発明の態様として、前記連結部材が、結束バンドで構成されてもよい。
この発明により、前記保持部同士を連結する前記連結部材を専用品でなく、汎用性の高い結束バンドとすることができるため、実用性を向上させることができる。
【0042】
またこの発明の態様として、前記保持部には、前記保持部に保持されている前記長尺部材における長手方向に沿った、前記長尺部材の移動を規制する移動規制部が設けられてもよい。
この発明により、前記長手方向に対して前記保持部が移動することを規制できる。すなわち、前記連結部材を前記長尺部材における所望の位置に保持させることができ、前記長尺部材を所望の湾曲形状で確実に固定できる。
【0043】
またこの発明の態様として、前記保持部は、前記保持部に保持されている前記長尺部材の長手方向から視て、前記長尺部材の周方向を囲繞する囲繞保持部で構成されてもよい。
前記囲繞保持部は、前記長尺部材に保持させた状態において、前記長尺部材の周方向を囲繞する構成であってもよく、また前記囲繞保持部同士を連結部で連結することにより、前記長尺部材の周方向を囲繞する構成としてもよい。
【0044】
この発明により、前記長尺部材を湾曲させることによる復元力が前記囲繞保持部に作用した状態でも、前記囲繞保持部が前記長尺部材を囲繞するため、前記囲繞保持部は前記長尺部材を確実に保持できる。したがって、前記長尺部材を所望の湾曲形状で固定することができる。
【0045】
この発明の態様として、前記長尺部材が、内部にワイヤーハーネスを挿通させるように中空状に形成されたコルゲートで構成されてもよい。
この発明により、ワイヤーハーネスに比べて復元力が強いコルゲートを、車体に配索されるワイヤーハーネスの形状に合わせて固定することができるため、据付ける据付け箇所がない場所でも確実に前記ワイヤーハーネスを保護することができる。
【0046】
またこの発明は、可撓性を有するとともに、長尺状に構成された長尺部材と、前記長尺部材を湾曲させて固定する固定部材とで構成され、前記固定部材は、前記長尺部材を保持する複数の保持部と、前記保持部同士を連結する連結部とで構成され、前記連結部は、湾曲した前記長尺部材の曲げ方向内側に設けられ、前記連結部は、前記保持部同士を連結する連結部材と、前記連結部材を取り付ける取付部で構成され、該取付部が前記保持部に設けられるとともに、前記取付部に取付けられた前記連結部材を介して前記保持部同士を連結し、前記保持部には、前記長尺部材を保持した状態における前記長尺部材の長手方向に沿って、前記長尺部材を挿通させる貫通孔が設けられ、前記取付部は、前記貫通孔と連通しているとともに、前記連結部材を挿通可能な挿通部で構成された長尺部材の固定構造であることを特徴とする。
【0047】
この発明によると、長尺状に構成された前記長尺部材を所望の形状で固定できる。また、前記長尺部材を所望の形状で固定できるため、必ずしも前記長尺部材を据付けるために前記車両本体に這わせる必要がなく、前記長尺部材を短くなるように設計することができ、前記長尺部材の軽量化を図ることができる。さらにまた、前記長尺部材の湾曲形状に応じて前記連結部材を変更することができるため、容易に前記長尺部材を所望の湾曲形状で固定できる。すなわち、前記長尺部材の湾曲形状の設計の自由度を向上させることができる。そして、前記取付部を前記保持部材の内部に設けることができるため、前記取付部が嵩張ることをより確実に防止できる。これにより、湾曲した前記長尺部材の前記曲げ方向内側の空間を確保できる。
【0048】
さらにまたこの発明は、可撓性を有するとともに、長尺状に構成された長尺部材と、前記長尺部材を湾曲させて固定する固定部材とで構成され、前記固定部材は、前記長尺部材を保持する複数の保持部と、前記保持部同士を連結する連結部とで構成され、前記連結部は、湾曲した前記長尺部材の曲げ方向内側に設けられ、前記連結部は、前記保持部同士を連結する連結部材と、前記連結部材を取り付ける取付部で構成され、該取付部が前記保持部に設けられるとともに、前記取付部に取付けられた前記連結部材を介して前記保持部同士を連結し、前記取付部は、前記保持部から突出するように設けてもよい。
上述の突出するとは、前記取付部が前記曲げ方向内側に設けていれば、どの方向に突出してもよい。
【0049】
この発明により、長尺状に構成された前記長尺部材を所望の形状で固定できる。また、前記長尺部材を所望の形状で固定できるため、必ずしも前記長尺部材を据付けるために前記車両本体に這わせる必要がなく、前記長尺部材を短くなるように設計することができ、前記長尺部材の軽量化を図ることができる。さらにまた、前記長尺部材の湾曲形状に応じて前記連結部材を変更することができるため、容易に前記長尺部材を所望の湾曲形状で固定できる。すなわち、前記長尺部材の湾曲形状の設計の自由度を向上させることができる。そして、前記取付部を外部から容易に目視できるため、前記取付部に前記連結部材を容易に取付けることができる。したがって、前記長尺部材の形状を固定させる作業の効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0050】
この発明により、長尺状に構成された前記長尺部材を所望の形状で固定できる長尺部材の固定構造、長尺部材を固定する固定部材、及び、長尺部材の固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図8】保持部をコルゲートに保持する工程の説明図。
【
図12】コルゲートの固定構造に外力が作用した場合の説明図。
【
図13】コルゲートを他の形状で固定した場合の概略図。
【
図14】他の実施形態の保持部及び取付部の構造を示す概略斜視図。
【
図15】他の実施形態の保持部及び取付部の構造を示す概略斜視図。
【
図16】取付部の他の構造を示すコルゲートの固定構造の正面図。
【
図17】他の実施形態のコルゲートの固定構造の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0052】
この発明の一実施態を以下図面とともに説明する。
図1はコルゲート10を所望の形状で固定した固定構造1の概略斜視図を示し、
図2はコルゲート10の説明図を示し、
図3は保持部20の概略斜視図を示し、
図4乃至
図6は保持部20の説明図を示し、
図7は結束バンド40の説明図を示す。
【0053】
ここで、便宜上、
図1中の上側及び下側を上方及び下方とし、
図1中の左方手前側を前方、右方奥側を後方とする。すなわち、左方手前側から右方奥側への方向に沿って視た図を正面図とする。なお、これらの方向に関しては
図2乃至
図17でも同様とする。
【0054】
図2について詳述すると、
図2(a)はコルゲート10の一部分の正面図を示し、
図2(b)は
図2(a)におけるα部の拡大図を示し、
図2(c)はα部の断面図を示す。
図4乃至
図7について詳述すると、
図4(a)は保持部20の正面図を示し、
図4(b)は保持部20の平面図を示す。
図5は
図4(a)におけるA-A矢視断面図を示し、
図6は
図4(b)におけるB-B矢視断面図を示す。
図7(a)は結束バンド40の概略斜視図を示し、
図7(b)はバンド部42を固定部本体41に挿通させた状態の固定部本体41の側方断面図を示す。
【0055】
図8はコルゲート10に保持部20を保持させる工程の説明図を示し、詳しくは、
図8(a)は上方から視た場合における、保持部20に対してコルゲート10を装着させる方法を説明するための概略断面図を示し、
図8(b)は保持部20を保持させた状態での
図8(a)に対応する概略断面図を示す。なお、
図8に示す断面図はB-B矢視断面図に対応しており、また図示を明確にするためコルゲート10についてはB-B矢視断面に対応する断面のみを表示している。
【0056】
図9及び
図10は、コルゲート10に保持された保持部20同士を結束バンド40で連結する工程を説明するための正面図を示す。なお、
図10には取付部30と固定部本体41との当接部位(β部)の拡大図も示す。
図11はコルゲート10の固定構造1の概略断面図を示すとともに、凹部11に入り込んだ上端側固定枠215(γ部)の拡大図も示す。
図12はコルゲート10の固定構造1に外力が作用した場合の正面図を示す。
【0057】
固定構造1は、
図1に示すように、U字形状に湾曲させた、可撓性を有するコルゲート10と、コルゲート10を湾曲形状で固定する固定部材2とで構成されている。このコルゲート10を固定する固定部材2は、コルゲート10に保持させる2つの保持部20と、保持部20同士を連結させる取付部30及び結束バンド40とで構成されている。
【0058】
なお、固定部材2において、保持部20に設けられた取付部30がU字形状に湾曲させたコルゲート10の曲げ方向内側に向くように保持部20は配置されており、取付部30同士を環状に形成した結束バンド40で連結することにより、コルゲート10に装着させた保持部20同士を連結している。
【0059】
コルゲート10は、ワイヤーハーネスが挿通可能な中空状の保護チューブであり、
図2に示すように、略円筒形状に構成されている。このコルゲート10は、外周面を全周に亘って窪ませた凹部11と、外周面を全周に亘って突出させた凸部12とをコルゲート10の長手方向に沿って、交互に配置した蛇腹構造で構成されている。
【0060】
凹部11は、
図2(b)及び
図2(c)に示すように、外径が凹部外径d1である略円筒形で構成さている。同様に、凸部12は、外径が凸部外径d2である略円筒形で構成されている。なお、凹部11の内周面は、凸部12の内周面よりも径内側に突出している。
このように外径が異なる凹部11と凸部12とを交互に配置したコルゲート10は、長手方向全体に亘って蛇腹構造で構成されているため、湾曲自在に構成されている。
【0061】
保持部20は、
図3に示すように、中空状の形成された略四角柱体であり、上面及び下面にはコルゲート10を挿通可能な貫通孔Hが設けられている。この保持部20は、コルゲート10を内部に収納するための開口を有する収納部21と、収納部21の開口を閉じる蓋部22と、収納部21に対して蓋部22を開閉自在に連結するヒンジ23とで構成され、収納部21及び蓋部22には、収納部21と蓋部22とを係止する係止部24、及び係止枠25が設けられている。
【0062】
収納部21は、
図4乃至
図6に示すように、上方から見て凹状に構成された収納部本体211(
図3及び
図5参照)と、収納部本体211の上端に構成された本体側上面部212(
図4(b)参照)と、収納部本体211の可鍛に構成された本体側底面部213とで構成されている(
図5参照)。
【0063】
収納部本体211は、
図4(b)及び
図5に示すように、上方から見て断面凹状に構成された柱体であり、一方側に開口部214が形成されているとともに、内部に矩形状に形成された収容空間が形成されている(
図5及び
図6参照)。すなわち、収納部本体211は略四角柱状に構成された保持部20の側面のうちの3面を構成している。
なお、収納部本体211の高さ(図面中の上下方向に対する長さ)は、コルゲート10を構成する凹部11同士の間隔の整数倍となるように構成されている。
【0064】
収納部本体211の上端に設けられた本体側上面部212は、コルゲート10を構成する凹部11の長手方向に対する長さと略同一の板厚を有する板状体であり、一方側が開口する平面視略U字状の上端側固定枠215が設けられている。すなわち、本体側上面部212には、平面視において一方側が開口する略U字状に形成された貫通孔が上下方向に沿って貫通している(
図4(b)参照)。
【0065】
なお、上端側固定枠215における略U字状の湾曲部分は、上端側内径d3が凹部11の凹部外径d1よりも長く、凸部外径d2よりも短くなるように構成されている。
【0066】
本体側底面部213は、本体側上面部212と同様に、コルゲート10を構成する凹部11の長手方向に対する長さと略同一の板厚を有する板状体であり、一方側が開口する平面視略U字状の下端側固定枠216が設けられている。すなわち、平面視において一方側が開口する略U字状に形成された貫通孔が上下方向に沿って貫通している(
図5参照)。
【0067】
なお、下端側固定枠216は、本体側上面部212に設けられた上端側固定枠215と同じ形状をしている。すなわち、下端側固定枠216における略U字状の湾曲部分は、下端側内径d4が凹部11の凹部外径d1よりも長く、凸部外径d2よりも短くなるように構成されている。
【0068】
収納部21に対して開閉自在に構成された蓋部22は、収納部21の一方側端部において上下方向に沿って設けられたヒンジ23を介して収納部21と一体に連結されており、ヒンジ23を枢動軸として枢動させることにより、開口部214が開いた開放状態と開口部214が閉じた閉塞状態とを移行することができる。
【0069】
なお、ヒンジ23は開口部214を形成する外壁(第1側面211aとする)の一方側端部において、上下方向に沿うように設けられている。
【0070】
収納部21に対して開閉自在に設けられた蓋部22の上端及び下端には、それぞれ閉塞平面221及び閉塞底面222が設けられている。なお、閉塞平面221及び閉塞底面222の板厚は、コルゲート10構成する凹部11の長手方向に対する長さと略同一となっている。
【0071】
閉塞平面221は、本体側上面部212と同じ板厚を有し、収納部21に対して蓋部22が閉じた閉塞状態において本体側上面部212と面一となるように構成されている。また、閉塞状態において、閉塞平面221の内部側端部には、本体側上面部212に設けられた上端側固定枠215における湾曲部分と同じ径(上端側内径d3)を有するように円弧状に窪ませた上端側円弧部223が形成されている(
図4(a)参照)。
【0072】
同様に、閉塞底面222は、本体側底面部213と同じ板厚を有し、閉塞状態において本体側底面部213と面一となるように構成されている。また、閉塞状態における保持部20の内部側端部には、本体側底面部213に設けられた略U字状の貫通孔における湾曲部分と同じ径(下端側内径d4)を有するように円弧状に窪ませた下端側円弧部224が形成されている(
図5参照)。
【0073】
このように構成された収納部21及び蓋部22は、閉塞状態において、上端及び下端に、凹部11の凹部外径d1よりも拡径となるとともに、凸部12の凸部外径d2よりも縮径となる略円形状に形成された貫通孔を形成する。なお、この貫通孔は保持部20に形成される貫通孔Hと連通されている。
【0074】
これにより、上端側固定枠215及び上端側円弧部223、下端側固定枠216及び下端側円弧部224とで凹部11の外周面を囲繞して保持することができる。また、上端側固定枠215及び上端側円弧部223と、下端側固定枠216及び下端側円弧部224とでコルゲート10の凹部11を保持することにより、コルゲート10に対して保持部20が上下方向に移動することを規制できる。
【0075】
また、蓋部22には、ヒンジ23と連結している端部と反対側の端部に、第1側面211aに沿って突出する係止部24が設けられている。
係止部24は、蓋部22の端部から第1側面211aに沿った平板状の係止板241と、係止板241の先端側において、係止板241から外側(係止板241の法線方向)に向けて突出する係止爪242とで構成されている。
【0076】
係止板241の上下方向の中央部分に設けられた係止爪242は、
図5に示すように、閉塞状態において、閉塞平面221側に向かうに伴い外側に突出するようなテーパ面で構成されており、先端部分はわずかに丸みを帯びている。また、係止板241の他端部分には閉塞状態における蓋部22と略平行となるように構成された係止面243が形成されている。
【0077】
一方で、蓋部22が形成されている外壁(第1側面211a)と対向する外壁(第2側面211bとする。)には、係止枠25が設けられている。
係止枠25は、第2側面211bを板厚に沿って貫通させて形成された枠体であり、係止部24を挿入して係止することにより蓋部22を収納部21に固定することができる。詳しくは、係止枠25は、所定の間隔を隔てて第2側面211bの外向きに突設する二本の被係止枠251,251と、被係止枠251,251の端部同士を上下方向に沿って架設する被係止面252とで構成されている。
【0078】
被係止枠251の突出方向の長さは、係止爪242のうち係止板241から最も外側に突出している突出部位まで距離よりもわずかに短く構成されており、外側端部を平板状の被係止面252が架設している。
このように構成された被係止枠251,251及び被係止面252により、係止部24を挿入可能な係止孔Kが形成される。
【0079】
この係止部24及び係止枠25は、収納部21に対して蓋部22を開いた開放状態からヒンジ23を枢動軸として枢動させることにより、係止板241及び係止爪242を係止孔Kに挿通するとともに、係止面243を被係止面252に係止させることができる。
【0080】
第2側面211bの上端には、上方に向けて突出する取付部30が設けられている。この取付部30は、
図6に示すように、略長円状に設けられた挿通孔31が設けられている。
挿通孔31は、係止枠25が設けられた第2側面211bの法線方向に沿って貫通した貫通孔であり、短軸方向の長さが後述するバンド部42の厚みに対して十分に長く(3倍以上とする)、長軸方向の長さがバンド部42の幅方向の長さよりも短くなっている(1.5倍以上とする)。すなわち、バンド部42を挿通させることができる大きさで構成されている。
【0081】
挿通孔31の短軸方向の長さが、バンド部42の厚みに対して3倍未満である場合、挿通させて円環状に形成されたバンド部42が挿通孔31内で移動が困難となるため、バンド部42にかかる負荷が増大するが、3倍以上とすることで結束バンド40に外力が作用した場合でもバンド部42が挿通孔31内で移動させることができるため、バンド部42にかかる負荷を軽減できる。
【0082】
同様に、挿通孔31の長軸方向の長さが、バンド部42の幅に対して1.5倍未満である場合も、挿通させて円環状に形成されたバンド部42が挿通孔31内で移動が困難となり、バンド部42にかかる負荷が増大する。これに対して、挿通孔31の長軸方向の長さをバンド部42の幅の1.5倍以上とすることで、結束バンド40に外力が作用した場合でもバンド部42が挿通孔31内で移動させることができるため、バンド部42にかかる負荷を軽減できる。
【0083】
結束バンド40は、
図7に示すように、筐体状に形成された固定部本体41と、固定部本体41から延出する帯状のバンド部42とで構成されている。このバンド部42は可撓性を有する部材で構成されており、表面(主面)には、後述する係止溝431と略同型の被係止片421が挿通方向に沿って複数並んで設けられている。
【0084】
固定部本体41は、所定の方向に貫通するとともに、バンド部42を挿通させて固定することができるバンド固定孔43が設けられている。
このバンド固定孔43は、バンド部42を挿通させる方向から視て矩形状に形成されており、内周面の一面(下端面)には、バンド部42を挿通させる挿通方向の基端側が、内周面の一面に対して略直角となるような係止溝431が複数並んで設けられている(
図7(b)参照)。
【0085】
このような固定部本体41に設けられたバンド固定孔43に対して、バンド部42を環状にするとともにバンド部42の先端部分を挿通させることにより、被係止片421の挿通方向の基端側を係止溝431係止でき、バンド部42が固定部本体41から外れることを防止できる。
【0086】
このとき、被係止片421が挿通方向に沿って複数並んで設けられていることから、バンド部42を所望の長さまで挿入することで環状に形成されたバンド部42の長さを適宜調整することができる。
【0087】
このように構成されたコルゲート10を所望の湾曲形状で固定する固定方法は、円筒状に構成されたコルゲート10の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて複数の保持部20を装着する工程と、コルゲート10を湾曲させるとともに、コルゲート10の湾曲させた状態でバンド部42を取付部30に挿通させて、保持部20同士を結束バンド40で連結する工程とで構成される。
なお、コルゲート10を湾曲させる前に、バンド部42を保持部20に設けられた取付部30に挿通させていてもよい。
【0088】
詳述すると、
図8(a)に示すように、収納部21に対して蓋部22を開いた開放状態において、凹部11が上端側固定枠215及び下端側固定枠216に入り込むように、コルゲート10を開口部214からスライドさせて装着させる。
【0089】
次に、ヒンジ23を枢動軸として収納部21に対して蓋部22を枢動させるとともに、係止部24を係止枠25に挿通させて係止させて、保持部20を収納部21に対して蓋部22が固定された閉塞状態とする。
【0090】
このとき、閉塞平面221及び閉塞底面222に形成された円弧状の上端側円弧部223及び下端側円弧部224が凹部11に入り込むこととなる。すなわち、上端側固定枠215及び上端側円弧部223、下端側固定枠216及び下端側円弧部224とで凹部11の外周面を囲繞することができる。これにより、保持部20をコルゲート10に対して装着させることができる。
なお、保持部20は、取付部30がコルゲート10の曲げ方向内側を向くようにコルゲート10に装着させている。
【0091】
このようにコルゲート10に対して装着された2つの保持部20のうちの一方の取付部30に設けられた挿通孔31にバンド部42を挿通させ、コルゲート10を所望の湾曲形状よりも緩い湾曲状態となるように湾曲させた後、バンド部42を他方の取付部30の挿通孔31に挿通させる。その後、バンド部42をバンド固定孔43に挿通させて、バンド部42を固定する。
【0092】
そして、
図9に示すように、環状に構成されたバンド部42をバンド固定孔43からバンド部42の挿通方向に向けて引っ張ることで、結束バンド40を介して連結された保持部20同士を接近させることができ、コルゲート10を所望の湾曲形状とすることができる。
最後に、コルゲート10が所望の形状に固定したのちに、固定部本体41を取付部30の曲げ方向外側の面と当接する位置に移動させる(
図10参照)。
【0093】
このようにコルゲート10に保持させた保持部20同士を結束バンド40で連結することで、湾曲させたコルゲート10が元の形状に戻ろうとする復元力Fと反対方向に作用する張力Tを結束バンド40に作用させることができる。これにより、コルゲート10を所望の湾曲形状で固定することができる。なお、本実施形態では、バンド部42に作用する張力Tを取付部30が受けることができるため、バンド部42が破損することを抑制することができる。
【0094】
また、所望の湾曲形状で固定されたコルゲート10を保持する保持部20は、本体側上面部212及び閉塞平面221と、本体側底面部213及び閉塞底面222とが形成する貫通孔Hの内径(上端側内径d3、下端側内径d4)が、凹部11の外径(凹部外径d1)よりも長く、凸部12の外径(凸部外径d2)よりも短くなるように構成しているため、上端側固定枠215、下端側固定枠216、上端側円弧部223、下端側円弧部224のそれぞれと凹部11との外周面との間には、
図11に示すように、隙間が形成されている。
【0095】
これにより、コルゲート10に保持させた保持部20は、コルゲート10の長手方向(コルゲート10に挿通するワイヤーハーネスの挿通方向)に対する移動が規制されるものの、コルゲート10の周方向に沿って回転させることができる。
【0096】
このため、車両の振動などによりコルゲート10に外力が作用した場合であっても、保持部20同士を連結している結束バンド40にかかる張力Tを緩めるように、保持部20はコルゲート10の周方向に沿って回転することができ、結束バンド40が破損を抑制できる。
【0097】
このように、可撓性を有するとともに、内部にワイヤーハーネスを挿通させるように中空状に形成されたコルゲート10と、湾曲させたコルゲート10を固定する固定部材2とで構成され、固定部材2は、コルゲート10を保持する複数の保持部20と、保持部20同士を連結する取付部30及び結束バンド40とで構成され、取付部30及び結束バンド40は、湾曲したコルゲート10の曲げ方向内側に設けられたコルゲート10の固定構造1とすることにより、ワイヤーハーネスを挿通させるコルゲート10を所望の形状で固定できる。
【0098】
詳述すると、湾曲させた状態のコルゲート10において、互いに接近する位置に保持させた保持部20同士を、取付部30を介して結束バンド40で連結することができるため、湾曲させることによりコルゲート10の曲げ方向外側に作用する復元力Fに対して、反作用として働く張力Tを結束バンド40に作用させることができる。これにより、コルゲート10が直線状に復元することを防止し、コルゲート10を湾曲形状で固定することができる。
【0099】
このように、取付部30を介して保持部20同士を結束バンド40で連結することで、コルゲート10を所望の湾曲形状で固定することができる。これにより、例えば車両本体などクリンプを用いて据付けするための据付け箇所が近辺にない場合であっても、ワイヤーハーネスの配策経路に沿ってコルゲート10を所望の湾曲形状で固定できる。したがって、確実にワイヤーハーネスを保護することができる。
【0100】
また、コルゲート10を所望の形状で固定できるため、必ずしもワイヤーハーネスを保護するコルゲート10を車両本体に這わせる必要がない。すなわち、必ずしもワイヤーハーネスを車両本体に這わせる必要がないため、ワイヤーハーネスの配索経路が短くなるように設計することができ、ワイヤーハーネス及びコルゲート10の軽量化を図ることができる。
【0101】
また、保持部20同士を連結する結束バンド40と、保持部20に設けられた、結束バンド40を取り付ける取付部30とで、保持部20同士を連結することにより、コルゲート10の湾曲形状に応じて保持部20同士を連結する結束バンド40を変更することができるため、容易にコルゲート10を所望の湾曲形状で固定できる。したがって、コルゲート10の湾曲形状の設計の自由度を向上させることができる。
【0102】
具体的には、コルゲート10を緩やかU字状となるように湾曲させる場合には、長い結束バンド40を選択し、またコルゲート10を急なU字状となるように湾曲させる場合には短い結束バンド40を選択することでコルゲート10を所望の湾曲形状で固定することができる。このように、結束バンド40と保持部20とが別部材で構成されることにより、コルゲート10を所望の湾曲形状に容易に設計し、所望の湾曲形状で固定することができる。
【0103】
また、結束バンド40と保持部20とが別部材で構成されていることにより、湾曲させたコルゲート10の復元力Fに合わせて適切な結束バンド40を選択したり、結束バンド40を複数つなげたりすることができるため、コルゲート10の形状の設計の自由度をより向上させることができる。したがって、ワイヤーハーネスの形状に合わせてコルゲート10の形状を設計し、その形状でコルゲート10を固定することができる。
【0104】
さらにまた、取付部30が、保持部20から突出するように設けられることにより、取付部30を外部から容易に目視できるため、容易に結束バンド40を取付部30に取付けることができる。したがって、コルゲート10の形状を固定させる作業の効率を向上させることができる。
【0105】
また、取付部30は、結束バンド40を挿通可能な挿通孔31が設けられていることにより、挿通孔31に挿通させた結束バンド40が、挿通孔31の内周壁に対して固定されずに相対移動できる。これにより、例えばワイヤーハーネスを配索させている車両が振動した場合などのように、挿通孔31に挿通させた結束バンド40が振動に合わせて移動し、結束バンド40にかかる負荷を軽減できる。
【0106】
さらにまた、結束バンド40は、長さ調整可能な係止溝431及び被係止片421が備えられていることにより、コルゲート10を所望の湾曲形状に固定する作業性を向上させることができる。
【0107】
詳述すると、緩やかに湾曲させたコルゲート10に保持された保持部20同士を結束バンド40で連結することにより、緩やかに湾曲した形状でコルゲート10を固定することができる。このように緩やかに湾曲した形状で固定したコルゲート10に対して、結束バンド40の長さを短くなるように調整することで、保持部20同士を接近させることができ、コルゲート10をより湾曲させることができる。また、結束バンド40の長さを長くなるように調整することにより、コルゲート10を緩やかな湾曲状態とすることができる。このように係止溝431及び被係止片421を備えることにより、容易にコルゲート10の湾曲形状を変更することができる。
【0108】
また、緩やかな状態で湾曲させたコルゲート10は、復元力Fが小さいため、コルゲート10に保持された保持部20を容易に結束バンド40で連結することができる。このように保持部20を結束バンド40で連結させた後に、結束バンド40の長さを調整することにより、復元力Fによる復元を防止しながら、コルゲート10を急な湾曲形状に変形させることができる。このように、復元力Fが小さい状態でコルゲート10を容易に一次固定できるとともに、結束バンド40の長さ調整を行うことにより、一次固定されたコルゲート10を所望の形状に固定することができ、効率的にコルゲート10を所望の形状に変形させることができる。
【0109】
また、結束バンド40は、コルゲート10の曲げ方向内側への変形性を有する変形部材で構成されていることにより、コルゲート10に曲げ方向内側に向けた外力Oが作用した場合であっても、結束バンド40を変形させて外力Oを逃がすことができるため、意図せずに曲げ方向内側に向けた外力が作用することで、結束バンド40が損傷することを防止できる。したがって、コルゲート10が所望の湾曲形状で固定された状態を維持できる。
【0110】
詳述すると、
図12に示すように、可撓性を有するとともに環状に形成されたバンド部42は、コルゲート10が所望の湾曲形状で固定されている場合において、略楕円状に形成されている。この状態において、コルゲート10に対して曲げ方向内側に向けた外力Oを作用させることにより、結束バンド40を円形状に変形させることができる。これにより、コルゲート10作用していた張力Tが弱くなり、結束バンド40が損傷することを防止できる。なお、外力Oが作用しなくなった場合に、確実にコルゲート10を所望の湾曲形状で固定できる。
【0111】
また、結束バンド40が、環状であることにより、上述のように、コルゲート10に曲げ方向内側に向けて意図しない外力が作用した場合であっても、環状に形成された結束バンド40の形状が変化することで、外力Oを逃がすことができる。これにより、意図しない外力Oが作用することにより、結束バンド40が取付部30から外れることも防止できる。
【0112】
さらにまた、結束バンド40が、保持部20同士を連結する結束バンド40を専用品でなく、汎用性の高い結束バンドで構成されていることにより、実用性を向上させることができる。
【0113】
また、保持部20は、保持部20が保持されたコルゲート10において、ワイヤーハーネスが挿通される挿通方向(本実施形態において上下方向)に沿って、コルゲート10の上下方向への移動を規制する上端側固定枠215及び上端側円弧部223、下端側固定枠216及び下端側円弧部224が設けられたことにより、
図11に示すように、ワイヤーハーネスの挿通方向に対して保持部20が移動することを規制できる。すなわち、結束バンド40をコルゲート10における所望の位置に保持させることができ、コルゲート10を所望の湾曲形状で確実に固定できる。
【0114】
また保持部20は、ワイヤーハーネスを挿通させる挿通方向から視て、コルゲート10の周方向を囲繞するように構成されることにより、コルゲート10を湾曲させることによる復元力Fが保持部20に作用した状態でも、保持部20(上端側固定枠215及び上端側円弧部223、下端側固定枠216及び下端側円弧部224)がコルゲート10を囲繞するため、保持部20はコルゲート10を確実に保持できる。したがって、コルゲート10を所望の湾曲形状で固定することができる。
【0115】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
長尺部材は、コルゲート10に対応し、
連結部は、取付部30及び結束バンド40に対応し、
連結部材は、結束バンド40に対応し、
調整部は、係止溝431及び被係止片421に対応し、
移動規制部は、上端側固定枠215及び上端側円弧部223、下端側固定枠216及び下端側円弧部224に対応し、
囲繞保持部は、保持部20に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0116】
なお、以下に記載の他の実施形態において、本実施形態と同じ構成については同一の番号を付しその説明を省略する。また、他の実施形態に記載の内容は、それぞれの実施形態にのみ実施できるものではなく、効果を奏する限り適宜組み合わせを変更することができる。
【0117】
例えば、本実施形態において、長尺部材はコルゲート10に対応しているが、可撓性を有していれば必ずしもコルゲート10である必要はなく、例えばコルゲート10に挿通させているワイヤーハーネスであってもよいし、電力を送電するための送電用ケーブルや、信号などを通信するための通信用ケーブルなどであってもよい。
【0118】
なお、長尺部材をワイヤーハーネスに比べて復元力が強いコルゲート10とした場合、コルゲート10を車体に配索されるワイヤーハーネスの形状に合わせて固定することができる。このため、車両本体のように、コルゲート10を据付ける据付け箇所がない場所でも確実にワイヤーハーネスを保護することができる。
【0119】
また、本実施形態では、保持部20がコルゲート10の周方向の回転を許容しているため、保持部20同士を取付部30及び結束バンド40で曲げ固定した際のコルゲート10の歪みなどが、自然に修正さることとなる。このように、長尺部材であるコルゲート10を保持する保持部20が、保持部20が保持された位置におけるコルゲート10の長手方向に沿った軸を回転軸とした回転を許容する回転許容保持部で構成されることにより、コルゲート10を曲げ固定した場合の歪みなどを気にすることなくコルゲート10を曲げ固定でき、作業性を向上させることができる。
【0120】
また、本実施形態において、コルゲート10は蛇腹構造で構成されることにより湾曲自在としているが、蛇腹構造の代わりに可撓性を有する材質を用いて湾曲自在としてもよく、また、これらを組み合わせることにより湾曲自在に構成されていてもよい。また、本実施形態のコルゲート10は全長に亘って蛇腹構造で構成されているが、部分的に可撓性を有するように構成されていてもよい。
【0121】
また、例えば、本実施形態において、取付部30と結束バンド40とが別体で構成されているが、結束バンド40と取付部30とが一体構成されていてもよい。また、本実施形態において、取付部30が保持部20と一体で構成されているが、別体で構成され、取付部30を保持部20に固定するように取付ける構成としていてもよい。
【0122】
なお、本実施形態において、一つの保持部20に対して一つの取付部30が突出しているが、例えば、
図13(a)に示すように、第1側面211aに取付部30xがもう一つ突出していてもよい。このように構成することにより、コルゲート10をS字状に湾曲させた状態で固定することができる。
【0123】
さらにまた、
図13(b)に示すように、複数の結束バンド40を取付部30に挿通させることにより、複数の保持部20を連結してもよい。これにより、例えばM字状などのようにU字状以外の湾曲形状を形成することができる。このように保持部20を結束バンド40などの連結部材で連結することにより、様々な湾曲形状とすることができるため、複雑に配策されたワイヤーハーネスを保護することができる。
【0124】
また、本実施形態において、結束バンド40を用いているが、例えば紐や糸などの糸状体としてもよいし、ゴムなどの弾性材としてもよい。さらに、バンド部42等を挿通孔31に挿通させる構成だけでなく、フック状に形成された係止部をバンド部42の端部に設け、挿通孔31やこれに対応した被係止支部に係止させてもよいし、バンド部42の端部を挿通孔31やこれに対応した被係嵌合部に嵌合させる構成としてもよい。
【0125】
さらには、結束バンド40の代わりに、変形性を有さない剛体を用いてコルゲート10の湾曲形状を固定してもよい。しかしながら、剛性を有する場合、外力に対する柔軟性が欠けるため、結束バンド40の代わりに用いるものとしては、変形性を有する方が好ましい。
【0126】
また、本実施形態では、取付部30が保持部20の外部に突出した構成としているが、この構成に限定されず、例えば、取付部30が保持部20の内部に結束バンド40を取付けるように構成されてもよい。
【0127】
具体的には、
図14に示すように、挿通孔31を貫通孔Hと貫通する挿通部35として、保持部20に対応する保持部20a(第2側面211b)に設けてもよい。なお、
図14に示す実施形態では、挿通孔31は保持部20に構成される貫通孔Hと挿通しているが、例えば環状を形成可能に構成された挿通孔35a,35aを、保持部20に対応する保持部20bに設けてもよい(
図15参照)。また、挿通部35を設ける代わりに、貫通孔Hを挿通部35の代わりとしてもよい。
【0128】
このように、取付部30が保持部20の内部に結束バンド40を取付けるように構成されることにより、保持部20に結束バンド40の一部が収納された状態で保持部20同士を連結することができるため、結束バンド40が外部に突出して嵩張ることを防止でき、省スペース化を図ることができる。これにより、湾曲したコルゲート10の曲げ方向内側に空間を確保できる。
【0129】
また、
図14に示すように、保持部20は、コルゲート10を保持した状態において、挿通するワイヤーハーネスの挿通方向(コルゲート10の長手方向)に沿うとともに、長手方向に沿ってコルゲート10を保持する貫通孔Hを有し、取付部30は、貫通孔Hと連通しているとともに、結束バンド40を挿通可能な挿通部35で構成されることにより、取付部30を保持部20材の内部に設けることができるため、取付部30が嵩張ることをより確実に防止できる。
【0130】
さらにまた、本実施形態では、挿通孔31が、曲げ方向の内側に向けて開口している構成としているが、例えば、
図16に示すように、保持部20が保持された位置において、ワイヤーハーネスをコルゲート10に挿通させる挿通方向及び前記曲げ方向と直交する方向に開口する挿通孔31a(挿通孔31に対応する)が取付部30a(取付部30に対応する)に設けられてもよい。
【0131】
この構成によると、湾曲させたコルゲート10に視界が遮られることなく、挿通孔31を目視することができるため、挿通孔31に対して結束バンド40を容易に挿通させることができる。これにより、コルゲート10に保持された保持部20同士を容易に連結させることができ、作業効率を向上させることができる。
【0132】
また、
図17に示すように、環状に形成された結束バンド40の一部を、例えば固定用バンド50などを用いて湾曲したコルゲート10の湾曲部分に固定してもよい。これにより、仮に結束バンド40が切れた場合であっても、結束バンド40が落下することを防止できる。
【0133】
さらにまた、結束バンド40が湾曲したコルゲート10の湾曲部分に固定されていることにより、コルゲート10の復元力Fが、結束バンド40のうち取付部30に取付けられた箇所のみに集中することを防止できる。これにより、結束バンド40が損傷することをより確実に防止できる。
【0134】
さらにまた、本実施形態では、保持部20をコルゲート10に保持させた状態において、コルゲート10の周方向を保持部20が囲繞するように、保持部20が平面視で略四角形状に構成されているが、この構成に限定する必要はなく、例えば平面視においてC字状に構成されていてもよい。また仮に保持部20が平面視においてC字状に構成されている場合には、保持部20同士を結束バンド40で連結することにより、保持部20における開口部分に亘って結束バンド40を取付けることで、コルゲート10の周方向を囲繞してもよい。
【0135】
また、コルゲート10の一部分を囲繞する保持部20は筐体状構成されているが、例えば紐や帯などのように変形性を有していてもよい。なお、保持部20がワイヤーハーネスなどを保持する場合には、例えばワイヤーハーネスを束ねている結束バンドなどに引っかけて保持部20を所望の位置で保持させてもよい。
【符号の説明】
【0136】
1 固定構造
2 固定部材
10 コルゲート
20 保持部
215 上端側固定枠
216 下端側固定枠
223 上端側円弧部
224 下端側円弧部
30 取付部
31 挿通孔
40 結束バンド
421 被係止片
431 係止溝
H 貫通孔