(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】発熱部材の放熱構造
(51)【国際特許分類】
H01L 23/40 20060101AFI20230227BHJP
【FI】
H01L23/40 E
(21)【出願番号】P 2019062791
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】遠山 陽平
(72)【発明者】
【氏名】石坂 博昭
(72)【発明者】
【氏名】奥寺 暁大
(72)【発明者】
【氏名】平山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】杉村 竹三
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-332472(JP,A)
【文献】国際公開第2007/031750(WO,A2)
【文献】特開平09-232487(JP,A)
【文献】特開平09-199645(JP,A)
【文献】特開2003-046043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
H01L23/34 -23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して立設された発熱部材と、
該発熱部材に近接するとともに、並列配置される放熱部材と、
着脱自在の外装カバーと、
前記放熱部材と前記発熱部材との少なくともに一方を、他方に押し付ける押し付け部材とが備えられ、
前記外装カバーは、前記発熱部材が前記基板に対して立設する立設方向に沿って着脱自在に構成され、
前記押し付け部材は、
前記一方を前記他方に向けて押圧する押圧部と、
前記外装カバーの装着動作に伴い外力が作用する被作用部と、
所定の位置に固定されるとともに、前記被作用部に作用した外力に基づき、前記押圧部を移動可能に支持する支持部とが備えられ、
前記支持部は、
前記押し付け部材を枢動可能に枢支する枢支部で構成され、
前記押し付け部材は、
前記発熱部材と前記放熱部材とが対向する方向に向けて屈曲し、
前記枢支部に対して一端側に前記押圧部が備えられるとともに、前記枢支部に対して他端側に前記被作用部が備えられ、
前記押し付け部材は、前記外装カバーを装着する装着動作に伴って、前記他方に向けて前記一方を押し付けるとともに、
前記外装カバーの装着状態において、前記発熱部材と前記放熱部材とを接触させる
発熱部材の放熱構造。
【請求項2】
前記外装カバーの装着を解除した状態において、前記被作用部が所定の位置で留まるように位置規制する位置規制部が備えられた
請求項1に記載の発熱部材の放熱構造。
【請求項3】
前記押し付け部材は、前記外装カバーの前記立設方向と交差する面に設けられており、
前記外装カバーは、前記押し付け部材が配置された箇所を内部側に窪ませた
請求項1又は請求項2に記載の発熱部材の放熱構造。
【請求項4】
前記押し付け部材を、前記発熱部材と前記放熱部材とを接触させた状態で固定する固定部が備えられた
請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の発熱部材の放熱構造。
【請求項5】
前記押し付け部材に、前記一方を押し付ける箇所が前記他方に向けて突出する突出部が設けられた
請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の発熱部材の放熱構造。
【請求項6】
前記放熱部材に対して前記発熱部材が並列配置される方向と直交する方向に沿って、複数の前記発熱部材が縦列配置され、
前記押し付け部材は、
前記外装カバーを装着する装着動作に伴って、複数の前記発熱部材が前記放熱部材と前記他方に向けて前記一方を押し付け、複数の前記発熱部材と前記放熱部材とを接触させる
請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載の発熱部材の放熱構造。
【請求項7】
前記押し付け部材は、縦列配置された複数の前記発熱部材に対応するように複数配置され、
複数配置された前記押し付け部材同士を連結する連結部が備えられた
請求項6に記載の発熱部材の放熱構造。
【請求項8】
所望の位置に前記外装カバーを案内する装着案内部が設けられた
請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載の発熱部材の放熱構造。
【請求項9】
前記一方に、押し付けられる前記押し付け部材が当接する当接凹部が設けられた
請求項1乃至請求項8のうちのいずれかに記載の発熱部材の放熱構造。
【請求項10】
前記外装カバーの装着に伴って、前記押し付け部材が前記一方を押し付ける力を調整する調整部が設けられた
請求項1乃至請求項9のうちのいずれかに記載の発熱部材の放熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、基板に実装される発熱部材の放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱する電子部品や電子部品が実装された実装基板(これらをまとめて以下において発熱部材という)を基板に実装させた基板構造において、発熱部材の熱を放熱する放熱部材を発熱部材に併設した発熱部材の放熱構造が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の発熱部材の放熱構造では、基板に設置された放熱部材に対して、バネ性を有するクランプ部材で発熱部材を押し付けることで、発熱部材の熱を放熱部材に伝達させて放熱する構造が開示されている。
【0004】
なお、特許文献1に記載の発熱部品の放熱構造では、基板に対して発熱部材をハンダ実装したうえで、発熱部材と近接する位置に放熱部材を設置し、発熱部材を放熱部材に押付けるクランプ部材を放熱部材にネジ固定して組み付けることとなる。
【0005】
このようなクランプ部材のネジ固定は製品として実装する際に行われることが多いが、ネジ固定のために組み付け作業する空間、つまり発熱部材に対して放熱部材が配置された側と反対側の空間には、一般的に多くの他の電子部品やトランス、コネクタ等が設置されているため、組み付け作業時に作業者の手や道具が他の電子部品などと干渉したり、組み付け作業を行うスペースが確保できなかったりと、組み付け作業が複雑化していることがあり、発熱部材を放熱部材とを接触させるために手間を要する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述した問題を鑑み、発熱部材と放熱部材とを容易に接触させることができる発熱部材の放熱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、基板に対して立設された発熱部材と、該発熱部材に近接するとともに、並列配置される放熱部材と、着脱自在の外装カバーと、前記放熱部材と前記発熱部材との少なくともに一方を、他方に押し付ける押し付け部材とが備えられ、前記外装カバーは、前記発熱部材が前記基板に対して立設する立設方向に沿って着脱自在に構成され、前記押し付け部材は、前記一方を前記他方に向けて押圧する押圧部と、前記外装カバーの装着動作に伴い外力が作用する被作用部と、所定の位置に固定されるとともに、前記被作用部に作用した外力に基づき、前記押圧部を移動可能に支持する支持部とが備えられ、前記支持部は、前記押し付け部材を枢動可能に枢支する枢支部で構成され、前記押し付け部材は、前記発熱部材と前記放熱部材とが対向する方向に向けて屈曲し、前記枢支部に対して一端側に前記押圧部が備えられるとともに、前記枢支部に対して他端側に前記被作用部が備えられ、前記押し付け部材は、前記外装カバーを装着する装着動作に伴って、前記他方に向けて前記一方を押し付けるとともに、前記外装カバーの装着状態において、前記発熱部材と前記放熱部材とを接触させる発熱部材の放熱構造であることを特徴とする。
【0009】
上述の基板に実装された発熱部材は、基板に実装するトランジスタなどの電子部品、あるいはこれらの電子部品が別の基板に実装された電子部品実装基板であってもよい。
前記放熱部材は、例えば前記外装カバーの側壁である場合や、前記外装カバーに取り付けられた別部材である場合、前記外装カバーとは別体である場合を含む。
【0010】
上述の着脱自在の外装カバーとは、前記発熱部材が前記基板に対して立設する立設方向に沿って着脱させる構成や、前記外装カバーの端辺を枢動軸として枢動させることにより着脱させる構成、所望の位置にスライドさせて装着させる構成などを含む。
【0011】
なお、上述の所望の位置にスライドさせて装着させるとは、前記外装カバーを前記発熱部材に対する前記放熱部材の方向に移動させることをさす。すなわち、前記発熱部材に対する前記放熱部材の方向に前記外装カバーを移動させることにより、前記押し付け部材が前記発熱部材を前記放熱部材に押し付ける構成をさす。
【0012】
上述の前記発熱部材と前記放熱部材とを接触させるとは、直接的又は間接的に前記発熱部材と前記放熱部材とを接触させる場合を含む。具体的には、前記発熱部材と前記放熱部材とが直接接触している場合の他、絶縁シールなどの別部材を介して前記発熱部材と前記放熱部材とが接触している場合を含む。
【0013】
上述の屈曲とは、前記押し付け部材が折り曲げられている場合や、湾曲している場合を含む。
上述の前記発熱部材と前記放熱部材とが対向する方向に向けて屈曲とは、前記発熱部材に向けて凸状又は凹状に屈曲している場合を含む。
【0014】
前記枢支部は、前記押し付け部材が屈曲している箇所に設けられている場合に限定されず、屈曲していない箇所に設けられている場合も含む。
【0015】
この発明により、前記外装カバーを装着するだけで、装着状態において前記外装カバーの内部に配置される前記一方を、前記押し付け部材で前記他方に押し付けることができる。これにより、前記発熱部材と前記放熱部材とを容易に接触させることができる。
【0016】
また、前記外装カバーは、前記発熱部材が前記基板に対して立設する立設方向に沿って着脱自在に構成され、前記押し付け部材は、前記一方を前記他方に向けて押圧する押圧部と、前記外装カバーの装着動作に伴い外力が作用する被作用部と、所定の位置に固定されるとともに、前記被作用部に作用した外力に基づき、前記押圧部を移動可能に支持する支持部とが備えられている。
【0017】
これにより、前記外装カバーを前記立設方向に沿って装着させるだけで、前記被作用部に作用する外力を前記押圧部に伝達し、前記一方を前記他方に向けて押圧するように前記押圧部を移動させることができる。すなわち、前記外装カバーを前記立設方向に沿って移動させると言った単純動作により、前記一方を前記他方に押し付けることができるため、容易に前記発熱部材の熱を前記放熱部材に伝達させて放熱することができる。
【0018】
また、前記外装カバーを前記立設方向に沿って動かすだけであるため、前記基板に立設されている前記発熱部材以外の様々な電子部品などに、前記外装カバーの装着動作に伴って、前記押し付け部材が干渉することを防止できる。したがって、前記基板に立設した電子部品などが損傷することを防止できる。
【0019】
また、前記支持部は、前記押し付け部材を枢動可能に枢支する枢支部で構成され、前記押し付け部材は、前記発熱部材と前記放熱部材とが対向する方向に向けて屈曲し、前記枢支部に対して一端側に前記押圧部が備えられるとともに、前記枢支部に対して他端側に前記被作用部が備えられている。
【0020】
これにより、簡易な構造で前記発熱部材を前記放熱部材に押し付けて放熱することができる。
詳述すると、前記外装カバーの装着動作によって前記被作用部に対して外力が作用し、前記押し付け部材が前記枢支部を枢支軸として枢動する。これにより、前記押し付け部材の一端側に設けられた前記押圧部が前記一方を前記他方に押し付け、前記発熱部材と前記放熱部材とを接触させることができる。
【0021】
このように、前記外装カバーの装着によって前記押し付け部材を枢動させることで、前記外装カバーを立設方向に沿って装着させる際の外力を、前記一方を前記他方に押し付ける力に変化することができる。また、前記外装カバーを立設方向に沿って装着させる際の外力により、前記押し付け部材が枢動するため、
装着状態において前記押し込み部材の他端側に負荷がかかることなく、前記押し付け部材が損傷することを防止できる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記外装カバーの装着を解除した状態において、前記被作用部が所定の位置で留まるように規制する位置規制部が備えられてもよい。
この発明により、前記外装カバーが解除された状態において、前記押し付け部材が意図せずに他の部材と干渉することを防止できる。
【0023】
なお、上述の所定の位置で留まるとは、例えば、前記被作用部が所定の位置に配置されるように前記押し付け部材の位置を固定する場合や、前記被作用部が所定の位置よりも内側や外側に移動しないように、前記押し付け部材の移動を所定の範囲で規制する場合を含む。
【0024】
またこの発明の態様として、前記押し付け部材は、前記外装カバーの前記立設方向と交差する面に設けられており、前記外装カバーは、前記押し付け部材が配置された箇所を内部側に窪ませてもよい。
この発明により、窪ませた箇所に外力を作用させて前記外装カバーを装着させることで、前記押し付け部材を前記一方に確実に押し付けることができるとともに、省スペース化を図ることができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記押し付け部材を、前記発熱部材と前記放熱部材とを接触させた状態で固定する固定部が備えられてもよい。
この発明により、前記外装カバーが装着された状態で、前記発熱部材と前記放熱部材とが接触した状態を維持することができるため、例えば、車体の振動などにより、前記押し付け部材が前記一方を押し付ける方向と反対方向に意図しない外力が作用した場合であっても、前記発熱部材と前記放熱部材とが接触した状態を維持できるため、確実に前記発熱部材の熱を前記放熱部材から放熱させることができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記押し付け部材に、前記一方を押し付ける箇所が前記他方に向けて突出する突出部が設けられてもよい。
この発明により、前記押し付け部材が前記一方を確実に押し付けることができるため、より確実に前記放熱部材と前記発熱部材とを接触させることができ、より確実に前記発熱部材の熱を前記放熱部材で放熱させることができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記放熱部材に対して前記発熱部材が並列配置される方向と直交する方向に沿って、複数の前記発熱部材が縦列配置され、前記押し付け部材は、前記外装カバーを装着する装着動作に伴って、複数の前記発熱部材が前記放熱部材と前記他方に向けて前記一方を押し付け、複数の前記発熱部材と前記放熱部材とを接触させてもよい。
この発明により、前記外装カバーを取り付けるだけで、複数の発熱部材を一度に前記放熱部材と接触させることができるため、より容易かつ効率よく前記発熱部材の放熱を行うことができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記押し付け部材は、縦列配置された複数の前記発熱部材に対応するように複数配置され、複数配置された前記押し付け部材同士を連結する連結部が備えられてもよい。
この発明により、複数配置された前記発熱部材に対応するように配置した前記押し付け部材同士を前記連結部で連結されているため、前記押し付け部材の強度を向上させることができる。
【0029】
またこの発明の態様として、所望の位置に前記外装カバーを案内する装着案内部が設けられてもよい。
この発明により、前記外装カバーを所望の位置に容易かつ正確に装着させることができるため、より容易かつ確実に前記押し付け部材を前記一方に押し付けることができ、前記発熱部材と前記放熱部材とを確実に接触させることができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記一方に、押し付けられる前記押し付け部材が当接する当接凹部が設けられてもよい。
この発明により、前記押し付け部材を前記当接凹部に嵌めることができるため、前記一方に対する前記押し付け部材の位置ずれを防止できる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記外装カバーの装着に伴って、前記押し付け部材が前記一方を押し付ける押し付け強度を調整する調整部が設けられた
前記調整部は、前記外装カバーを装着する装着動作により、前記押し付け部材が前記一方を押し付ける押し付け強度を調整する構成や、前記外装カバーの装着後に前記押し付け部材が前記一方を押し付ける押し付け強度を調整する構成であってもよい。
【0032】
この発明により、前記一方を押し付ける押し付け強度を調整できるため、前記押し付け部材が過度に前記一方を押し付けたり、前記一方を押し付ける強度が弱かったりしたとしても、確実に前記一方を前記他方に押し付けることができるとともに、前記発熱部材の損傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0033】
この発明により、手間をかけずに発熱部材と放熱部材とを接触させることができる発熱部材の放熱構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図4】他の実施形態での放熱構造体の要部の縦断面図。
【
図5】さらに別の実施形態での放熱構造体の要部の側面図。
【
図6】さらに別の実施形態での放熱構造体の要部の側面図。
【
図7】第2実施形態の放熱構造体の要部の概略斜視図。
【
図8】第3実施形態での放熱構造体の要部の縦断面図での説明図。
【
図9】第4実施形態での放熱構造体の要部の縦断面図での説明図。
【
図10】第5実施形態での放熱構造体の要部の縦断面図での説明図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
この発明の第1実施形態の放熱構造体1について、
図1乃至
図3とともに説明する。
図1は放熱構造体1の要部の概略斜視図を示し、
図2は放熱構造体1の要部の概略分解斜視図を示し、
図3は放熱構造体1の要部の縦断面図による説明図を示している。
【0036】
詳述すると、
図1(a)は放熱構造体1の要部のみを切り出して、筐体内部の内部空間から視た概略斜視図であり、
図2は
図1で示す放熱構造体1の要部を各構成に分解した概略分解斜視図である。
なお、
図2には、押し付け部材30におけるα部及び枢支連結支持部40におけるβ部の拡大斜視図も示している。
【0037】
図3は放熱構造体1の要部の縦断面による説明図であり、詳しくは、
図3(a)はアッパーカバー12をアンダーカバー11に取り付ける前の状態の縦断面図を示し、
図3(b)はアッパーカバー12をアンダーカバー11に取り付けた状態の縦断面図を示している。
【0038】
ここで、放熱構造体1の高さ方向(
図1において上下方向)を上下方向Hとし、その上側を上側Huとし、下側を下側Hdとする。また、放熱構造体1の幅方向(
図1において右下と左上とを結ぶ方向)を幅方向Wとし、放熱構造体1における筐体10の内外方向(
図1において右上と左下とを結ぶ方向)における内側(
図1において右下側)を内側INとし、外側(
図1において左上側)を外側OUTとする。この上下方向Hと幅方向Wはそれぞれ直交している。
【0039】
放熱構造体1は、筐体10の内部に収納された発熱部品20の発する熱を筐体10の外部に放出する放熱構造体であり、例えば電気接続箱などに搭載されている。
この放熱構造体1は、
図1及び
図2に示すように、アンダーカバー11とともに筐体10を構成し、放熱部材として機能するアッパーカバー12と、筐体10の内側INに形成される内部空間に配置された基板13に実装された発熱部品20と、発熱部品20をアッパーカバー12に押付ける押し付け部材30と、押し付け部材30を枢支する枢支連結支持部40とで構成されており、筐体10に収容されている。
【0040】
筐体10は、底面11aと側面11bとで構成する上側Huが開放された凹状のアンダーカバー11と、上面12aと側面12bとで構成する下側Hdが開放された逆凹状のアッパーカバー12とを上下方向Hに組み付けた箱形で構成され、内部に内部空間を有している。なお、
図1及び
図2は、筐体10の一部しか図示していない。
【0041】
アンダーカバー11の側面11bには、基板13を設置できるように基板13の形状に合わせて設けられた設置部11cと、上方から装着するアッパーカバー12を所望の位置に装着できるように案内する案内部11dとが形成されている。
案内部11dは、側面11bの上端面の外側に形成されたテーパ面であり、内部に向かうに伴い下方に向けて連続的に傾斜している。
【0042】
放熱部材として機能するアッパーカバー12は、アンダーカバー11に対して上下方向Hから着脱自在に構成された放熱性の高い金属製のカバー体であり、上面12aと側面12bとの交差部分には、内側INに向けて突出する規制凸部12cが形成されている。また、アッパーカバー12の側面12bの内面には絶縁シート60が貼り付けられている。
【0043】
発熱部品20は、トランジスタなどの電子部品であり、アンダーカバー11にアッパーカバー12を装着させた装着状態において、側面12bと近接するとともに、内外方向に沿って並列配置されている。
【0044】
この発熱部品20は、底部から下方に延びる複数本(本実施形態では3本)の導電性を有する脚部21を備え、脚部21を基板13に設けたスルーホール13aに貫通させるとともに、基板13の底面側でハンダ固定されることで、基板13に発熱部品20を立設させて、実装することができる。なお、基板13に対して発熱部品20を立設する立設方向は上下方向Hと一致する。
また、内側IN側の主面には、中央部分を外側OUTに向けてわずかに窪ませた当接凹部22が設けられている。
【0045】
なお、脚部21をスルーホール13aに貫通させて実装した発熱部品20は、基板13の上面から適宜の間隔を隔てた高さに配置され、その下方に脚部21が露出する態様、つまり、脚部21で発熱部品20が支持された状態で実装している。
【0046】
押し付け部材30は、後述する枢支連結支持部40によって枢動可能に支持された部材であり、
図3に示すように、幅方向Wから視て、外側OUTに折れ曲がる「く」の字状に形成されており、折れ曲がり箇所には幅方向Wに沿った円柱状の枢支軸31が挿通されている。
【0047】
この押し付け部材30は、平板状に形成された押圧側本体32と、押圧側本体32の外側OUTの主面の中央部分やや上方から突出する平板状の被作用側本体33とで構成されている。すなわち、押圧側本体32と被作用側本体33との幅方向Wから視た交差部分に枢支軸31が幅方向Wに沿って挿通されている。
【0048】
押圧側本体32の下側Hdの中央部分は、発熱部品20を押し付ける押圧部321を構成しており、被作用側本体33の外側OUTの中央部分は、発熱部品20によって上方(上側Hu)に押し上げられる被作用部331を構成している。なお、押圧部321は外側OUTに向けて突出するように形成されており、被作用部331には下側Hdに突出するように形成されている。
【0049】
また、押圧側本体32は、幅方向Wから視て被作用側本体33よりも上側Huに突出しており、押圧側本体32の側面(幅方向端面)には、幅方向Wに沿って窪ませた係止凹部34が、枢支軸31よりも外側OUTの上方に設けられている(
図2中のα部参照)。
【0050】
枢支連結支持部40は、アッパーカバー12の上面12aから内側INに向けて延設しており、所定の間隔を隔ててもうけられた平板状の支持部41、41と、支持部41,41上端を連結する連結壁42とで構成されている。
【0051】
支持部41,41は、上面12aに固定された平板であり、下側Hdの中央部分には、押し付け部材30の枢支軸31を挿通させることができる貫通孔43が設けられている。また、支持部41,41の幅方向Wの内側には、幅方向Wに沿って突出させた係止凸部44が貫通孔43よりも外側OUTの上方に設けられている(
図2中のα部参照)。
【0052】
連結壁42は、支持部41,41の上端を連結する平板であり、押圧側本体32が上下方向Hに沿って配置されている状態において、被作用側本体33の外側OUT側主面の上方が当接するように構成されている。
これにより、被作用側本体33が内側INに枢動して他の部材と干渉することを防止できる。
【0053】
このように構成された押し付け部材30と枢支連結支持部40とは、
図1に示すように、枢支軸31を貫通孔43に挿通させることにより、押し付け部材30が枢支軸31を枢動軸として枢動できるように、枢支連結支持部40に支持されている。
【0054】
絶縁シート60は、絶縁性は有するものの、熱伝導性に優れたシート材であり、アッパーカバー12の側面12bの内面において、押し付け部材30と対応する位置に貼り付けられている。
【0055】
このように放熱構造体1は、
図3(a)に示すように、アッパーカバー12をアンダーカバー11に装着させた状態において、アッパーカバー12の側面12bの内面に張り付けられた絶縁シート60の内側INに、基板13に実装された発熱部品20が並列配置され、さらに内側INに配置された押し付け部材30により発熱部品20が外側OUTに押し付けている。
【0056】
次に、押し付け部材30で発熱部品20を側面12bに押し付ける方法について、
図3に基づいて簡単に説明する。
はじめに、押し付け部材30及び枢支連結支持部40が備えられたアッパーカバー12を、アンダーカバー11の上方に配置し、アンダーカバー11に装着するように、下側Hdに向けて移動させる(
図3(a)参照)。このとき、側面12bの下端部分が案内部11dによって所望の位置に案内される。
【0057】
これにより、押し付け部材30の下方に配置された発熱部品20の上面が被作用部331に当接して、被作用側本体33が枢支軸31を枢支軸として上方に押し上げられるように枢動する。これにより、被作用側本体33と一体構成された押圧側本体32も枢支軸31を枢動軸として枢動して、押圧部321が発熱部品20の内側INの内面を外側OUTに押し付け、発熱部品20が絶縁シート60を介して側面12bに接触させる(
図3(b)参照)。これにより、発熱部品20の熱を側面12bに伝達させることができ、側面12bから外部に放出することができる。
【0058】
なお、アッパーカバー12をアンダーカバー11に装着させた状態において、アッパーカバー12は基板13を囲繞するようにアンダーカバー11に装着されているため、筐体10の内部において基板13に実装された発熱部品20を保護することができる。
【0059】
またこの状態で、係止凸部44が係止凹部34に嵌合するとともに、被作用側本体33の上面が規制凸部12cと当接するため、枢支軸31aが過度に外側OUTに発熱部品20を押し付けることを防止できる。
【0060】
このように構成された放熱構造体1は、基板13に対して立設された発熱部品20と、発熱部品20に近接するとともに、並列配置される側面12bと、発熱部品20を保護する、着脱自在のアッパーカバー12と、発熱部品20を側面12bに押し付ける押し付け部材30とが備えられ、押し付け部材30は、アッパーカバー12を装着する装着動作に伴って、側面12bに向けて発熱部品20を押し付けるとともに、アッパーカバー12の装着状態において、発熱部品20と側面12bとを接触させるように構成されているため、アッパーカバー12を単に装着させるだけで、アッパーカバー12の装着状態において筐体10の内部に配置される発熱部品20を、押し付け部材30で側面12bに向けて押し付けることができる。これにより、容易に発熱部品20を側面12bに接触させることができる。
【0061】
また、アッパーカバー12は、発熱部品20が基板13に対して立設する上下方向Hに沿って着脱自在に構成され、押し付け部材30は、発熱部品20を側面12bに向けて押圧する押圧部321と、アッパーカバー12の装着動作に伴い外力が作用する被作用部331と、所定の位置に固定されるとともに、被作用部331に作用した外力に基づき、押圧部321を移動可能に支持する枢支軸31とが備えられていることにより、アッパーカバー12を上下方向Hに沿って装着させるだけで、被作用部331に作用する外力を押圧部321に伝達し、発熱部品20を側面12bに向けて押圧するように押圧部321を移動させることができる。
【0062】
すなわち、アッパーカバー12を上下方向Hに沿って移動させるといった単純動作により、発熱部品20を側面12bに押し付けることができるため、容易に発熱部品20の熱を側面12bに伝達させて放熱させることができる。
【0063】
また、アッパーカバー12を上下方向Hに沿って動かすだけであるため、アッパーカバー12の装着動作に伴って、基板13に立設されている発熱部品20以外の様々な電子部品などに押し付け部材30が干渉することを防止できる。したがって、基板13に立設した電子部品などが損傷することを防止できる。
【0064】
また、枢支軸31は押し付け部材30を枢動可能に枢支し、押し付け部材30は、発熱部品20と押し付け部材30とが対向する方向に向けて屈曲しており、枢支軸31に対して一端側に押圧部321が備えられるとともに、枢支軸31に対して他端側に被作用部331が備えられていることにより、より簡易な構造で発熱部品20を側面12bに押し付けて放熱することができる。
【0065】
詳述すると、アッパーカバー12の装着動作によって被作用部331に対して作用する外力により、枢支軸31を枢支軸として押し付け部材30が枢動し、押し付け部材30の一端側に設けられた押圧部321が発熱部品20を側面12bに向けて押し付け、発熱部品20と側面12bとを接触させることができる。
【0066】
このように、アッパーカバー12の装着によって押し付け部材30を枢動させることで、アッパーカバー12を上下方向Hに沿って装着させる際の外力を、発熱部品20を側面12bに押し付ける力に変換することができる。
【0067】
また、アッパーカバー12を上下方向Hに沿って装着させる際の外力により、押し付け部材30が枢動するため、装着状態において押し付け部材30の他端側(被作用側本体33)及び発熱部品20に負荷がかかることなく、発熱部品20及び押し付け部材30が損傷することを防止できる。
【0068】
また、アッパーカバー12の装着を解除した状態において、被作用部331が所定の位置で留まるように規制する連結壁42が備えられていることにより、アッパーカバー12が解除された状態において、押し付け部材30が意図せずに他の部材と干渉することを防止できる。
【0069】
また、押し付け部材30に、発熱部品20と側面12bとを接触させた状態で係止凸部44と係止して固定する係止凹部34が備えられていることにより、発熱部品20と側面12bとが接触した状態を維持することができる。
【0070】
これにより、例えば、車体の振動などにより、押し付け部材30が発熱部品20を押し付ける方向と反対方向に意図しない外力が作用した場合であっても、発熱部品20と側面12bの接触状態を維持できるため、確実に発熱部品20の熱を側面12bから放熱させることができる。
【0071】
さらにまた、押し付け部材30に、発熱部品20を押し付ける箇所が側面12bに向けて突出する押圧部321が設けられていることにより、押し付け部材30が発熱部品20を確実に押し付けることができる。このため、より確実に側面12bと発熱部品20とを接触させることができ、より確実に発熱部品20の熱を側面12bで放熱させることができる。
【0072】
また、所望の位置にアッパーカバー12を案内する案内部11dが設けられていることにより、アッパーカバー12を所望の位置に容易かつ正確に装着させることができ、より容易かつ確実に押し付け部材30を発熱部品20に押し付けて、発熱部品20と側面12bとを確実に接触させることができる。
【0073】
さらにまた、発熱部品20に、押し付けられる押し付け部材30が当接する当接凹部22が設けられていることにより、押し付け部材30を当接凹部22に嵌めることができるため、発熱部品20に対する押し付け部材30の位置ずれを防止できる。
【0074】
また、第1実施形態である放熱構造体1において、アッパーカバー12は平面上に形成しているが、必ずしも平面状である必要はなく、例えば、
図4に示すように、アッパーカバー12の上面12aにおける枢支連結支持部40が配置された箇所を内側INに窪ませてもよい。
【0075】
このように、アッパーカバー12における押し付け部材30が配置された箇所を、より正確には押し付け部材30を支持する枢支連結支持部40が配置された箇所を内側INに窪ませることにより、当該箇所に外力を作用させてアッパーカバー12を装着させることで、押し付け部材30を発熱部品20に確実に押し付けることができるとともに、省スペース化を図ることができる。
【0076】
また、第1実施形態である放熱構造体1において、支持部41には、枢支軸31の外径と略同一の内径を有する貫通孔43が設けられているが、例えば
図5に示すような、発熱部品20を押し付ける強度を調整可能な調整型貫通孔45を備えてもよい。
【0077】
以下、調整型貫通孔45及び調整型貫通孔45を備える枢支連結支持部40x及び放熱構造体1xについて、
図5及び
図6に基づいて簡単に説明する。ただし、以下で説明する構成のうち、上述した第1実施形態の放熱構造体1と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
図5は、枢支連結支持部40に対応する枢支連結支持部40x及び押し付け部材30,発熱部品20を幅方向Wから視た概略側面図を示し、
図6は、幅方向Wから視た側面図による押し付け部材30の移動を説明する説明図である。
なお、
図5及び
図6においては、アンダーカバー11及びアッパーカバー12の表示を省略する。
【0079】
図6について詳述すると、
図6(a)はアッパーカバー12をアンダーカバー11に装着する前の押し付け部材30及び枢支連結支持部40x、発熱部品20の側面図を示し、
図6(b)は、アッパーカバー12をアンダーカバー11に向けて下降させている途中の押し付け部材30及び枢支連結支持部40x、発熱部品20の側面図を示している。
【0080】
同様に、
図6(c)は、アッパーカバー12をアンダーカバー11に向けて下降させている途中の押し付け部材30及び枢支連結支持部40x、発熱部品20の側面図を示し、
図6(d)は、アッパーカバー12をアンダーカバー11に装着した状態の押し付け部材30及び枢支連結支持部40x、発熱部品20の側面図を示している。
【0081】
枢支連結支持部40に対応する枢支連結支持部40xに設けられた調整型貫通孔45は、枢支連結支持部40における貫通孔43に対応している。
この調整型貫通孔45は、支持部41xの板厚方向に沿って貫通するとともに、枢支軸31の外径と略同じ幅を有する貫通孔を、幅方向Wから視て階段状となるように上下方向Hに沿って複数配置して形成されている。
【0082】
詳述すると、調整型貫通孔45は、
図5に示すように、枢支軸31の外径と略同一の幅を有し、内外方向に沿った3本の貫通部451と、貫通部451の端部を上下方向に沿って連通させる2本の連通部452と構成され、3本の貫通部451が、内外方向にずれた状態で上下方向Hに沿って連続するように配置されている。
【0083】
より詳しくは、3本の貫通孔451のうち、中央に配置された貫通孔451bは、外側OUTの端部が、上方に配置された貫通孔451aの内側INの端部と部分的に重なるように位置に配置されるとともに、内側INの端部が下方に配置された貫通孔451cの外側OUTの端部と部分的に重なるように配置され、それぞれの対応する端部同士は、枢支軸31の外径と同じ幅を有する連通部452を介して挿通されている。
【0084】
なお、これらの貫通部451の内側IN及び外側OUTの端部は、それぞれ枢支軸31の外径と略同形の円弧状に形成されており、上下方向Hに沿った連通部452よりも内外方向の外側に突出するように配置されている。
【0085】
このように支持部41xに配置された調整型貫通孔45に挿通させた枢支軸31は、押し付け部材30を枢動可能に枢支するとともに、枢支連結支持部40に対する内外方向への移動を許容する。
【0086】
以下、枢支連結支持部40xと押し付け部材30による発熱部品20の押し付けについて、
図6に基づいて簡単に説明する。
アッパーカバー12をアンダーカバー11に装着する前の状態において、枢支軸31は調整型貫通孔45の上方(上側Hu)かつ外側OUT(貫通孔451aの外側OUT端部)に配置されている(
図6(a)参照)。
【0087】
この状態からアンダーカバー11にアッパーカバー12を装着させるように、アッパーカバー12を下降させることで、発熱部品20の上端面が被作用部331に当接し、枢支軸31を枢動軸として、被作用側本体33が上方に向かうとともに押圧側本体32が外側OUTに向かうように押し付け部材30が枢動する。これにより、押圧部321が発熱部品20を押し付けることとなる(
図6(b)参照)。
【0088】
この状況において、アッパーカバー12をさらに下降させることで、枢支軸31を枢動軸として押し付け部材30が枢動することとなるが、発熱部品20を介して側面12bと当接している押圧部321に作用する反発力により、押し付け部材30には内側INへの力が作用するため、押し付け部材30に挿通された枢支軸31が調整型貫通孔45(貫通孔451a)に沿って、押し付け部材30が下方かつ内側IN側に移動することとなる(
図6(c)参照)。
【0089】
そして、さらにアッパーカバー12を下降させてアンダーカバー11に装着させることにより、枢支軸31を枢動軸として押し付け部材30がさらに枢動するため、枢支軸31が連通部452及び貫通孔451bに沿って、押し付け部材30が下方かつ内側IN側に移動することとなる(
図6(c)参照)。
【0090】
これにより、押し付け部材30が発熱部品20を押し付ける力によって、押し付け部材30を内側IN側に移動させることができ、押し付け部材30が発熱部品20を側面12bに過度に押し付けることを防止し、発熱部品20や側面12bが損傷することを防止できる。
【0091】
このように、アッパーカバー12装着に伴って、押し付け部材30が発熱部品20を押し付ける押し付け強度を調整する調整型貫通孔45が設けられていることにより、発熱部品20を押し付ける押し付け強度を調整できるため、押し付け部材30が過度に発熱部品20を押し付けたり、発熱部品20を押し付ける強度が弱かったりすることを防止できる。
したがって、確実に発熱部品20を側面12bに押し付けることができるとともに、押し付け部材30の押しつけによる、発熱部品20の損傷を防止することができる。
【0092】
(第2実施形態)
また、本実施形態では、発熱部品20を一つとしているが、例えば
図7に示すように、発熱部品20を側面12bに沿って複数(2つ)配置してもよい。
なお、
図7は
図1に対応する概略斜視図であり、詳しくは、放熱構造体1Aの概略斜視図を示している。
【0093】
以下、発熱部品20を複数配置した放熱構造体1Aについて、
図7に基づいて簡単に説明する。ただし、以下で説明する構成のうち、上述した第1実施形態の放熱構造体1と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0094】
放熱構造体1Aは、発熱部品20が側面12bに沿って、すなわち発熱部品20が側面12bに対して並列配置された内外方向に対して直交する幅方向Wに沿って、2つ並んで縦列配置されているとともに、発熱部品20に対応するように、押し付け部材30A,30Aが2つ並んで枢支連結支持部40に支持されて配置されている。
この押し付け部材30A,30Aは、枢支軸31が共通していることを除いて、同じ構成をしている。
【0095】
また、放熱構造体1Aでは、押し付け部材30を支持する枢支連結支持部40A,40Aが二つ並んで配置されており、枢支連結支持部40A,40A同士が連結部46を介して連結されている。
【0096】
このように構成された放熱構造体1Aは、側面12bに対して発熱部品20が並列配置される方向と直交する方向に沿って、複数の発熱部品20が縦列配置され、押し付け部材30は、アッパーカバー12を装着する装着動作に伴って、複数の発熱部品20が側面12bと側面12bに向けて発熱部品20を押し付け、複数の発熱部品20と側面12bとを接触させることができるため、アッパーカバー12をアンダーカバー11に取り付けるだけで、複数の発熱部品20を一度に側面12bと接触させることができ、より容易かつ効率よく発熱部品20の放熱を行うことができる。
【0097】
また、押し付け部材30は、縦列配置された複数の発熱部品20に対応するように複数配置され、複数配置された押し付け部材30同士を連結する連結部46が備えられていることにより、押し付け部材30の強度を向上させることができるとともに、外装部材の装着動作により、確実にそれぞれの発熱部品20を側面12bに接触させることができる。
【0098】
(第3実施形態)
次に、この発明の第3実施形態の放熱構造体1Bについて、
図8とともに説明する。ただし、以下で説明する構成のうち、上述した第1実施形態の放熱構造体1と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0099】
図8は、放熱構造体1Bの要部の縦断面図を示し、詳しくは、
図8(a)はアンダーカバー11にアッパーカバー12Bを装着する前の放熱構造体1Bの縦断面図を示し、
図8(b)はアンダーカバー11にアッパーカバー12を装着させた状態の放熱構造体1Bの縦断面図を示す。
【0100】
放熱構造体1Bは、アンダーカバー11とともに筐体10を構成し、放熱部材として機能するアッパーカバー12と、筐体10の内側INに形成される内部空間に配置された基板13に実装された発熱部品20と、発熱部品20をアッパーカバー12に押付ける押し付け部材50Bとで構成され、筐体10に収容されている。
【0101】
押し付け部材50Bは、弾性を有する板状体で構成されており、
図8に示すように、幅方向Wから視て外側OUTが屈曲した、逆「く」の字状に形成されている。
詳述すると、押し付け部材50Bは、板状体を折り曲げて形成しており、上面12aに固定された平板状の固定部51Bと、固定部51Bの外側OUTの端部から下方かつ内側INに傾斜するように延出する傾斜部52Bとで一体構成されている。
【0102】
なお、固定部51Bと傾斜部52Bとの連結部位は、アッパーカバー12をアンダーカバー11に装着した装着状態において、発熱部品20よりも外側OUTに配置されている。すなわち、装着状態において発熱部品20の上方に傾斜部52Bが配置されている(
図8(b)参照)。
【0103】
このように構成された放熱構造体1Bは、
図8(a)に示すように、アンダーカバー11に装着させるために、アッパーカバー12を下側Hdに向けて移動させた際に、発熱部品20の上端が傾斜部52Bに当接する。
【0104】
ここで、押し付け部材50Bが弾性を有するとともに、傾斜部52Bが固定部51B(上面12a)に対して下方かつ内側INに傾斜するように構成されているため、発熱部品20の上面に当接することにより、押し付け部材50Bが発熱部品20を外側OUTに押し付けて、発熱部品20を側面12bに当接させることができる。
【0105】
このように、放熱構造体1Bは、基板13に対して立設された発熱部品20と、発熱部品20に近接するとともに、並列配置される側面12bと、着脱自在のアッパーカバー12と、発熱部品20を側面12bに押し付ける押し付け部材50Bとが備えられ、押し付け部材50Bは、上面12aに固定された固定部51Bと、下側Hdに向かうに伴い内側INに向けて傾斜する傾斜部52Bとで一体に構成されており、アッパーカバー12を装着する装着動作に伴って、側面12bに向けて発熱部品20を押し付けるとともに、アッパーカバー12の装着状態で、発熱部品20と側面12bとを接触させるため、アッパーカバー12を単に装着させるだけで、アッパーカバー12の装着状態において筐体10の内部に配置される発熱部品20を、押し付け部材30で側面12bに向けて押し付けることができる。これにより、容易に発熱部品20を側面12bに接触させることができる。
【0106】
(第4実施形態)
続いて、この発明の第4実施形態の放熱構造体1Cについて、
図9とともに説明する。ただし、以下で説明する構成のうち、上述した第3実施形態の放熱構造体1Bと同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0107】
図9は、放熱構造体1Cの要部の縦断面図を示し、詳しくは、
図9(a)はアンダーカバー11にアッパーカバー12を装着する前の放熱構造体1Cの縦断面図を示し、
図9(b)はアンダーカバー11にアッパーカバー12を装着させた状態の放熱構造体1Cの縦断面図を示す。
【0108】
放熱構造体1Cは、アンダーカバー11とともに筐体10を構成し、放熱部材として機能するアッパーカバー12と、筐体10の内側INに形成される内部空間に配置された基板13に実装された発熱部品20と、発熱部品20をアッパーカバー12に押付ける押し付け部材50Cと、発熱部品20の内側INに設けられた当接部70とで構成され、筐体10に収容されている。
【0109】
押し付け部材50Cは、弾性を有する板状体で構成されており、
図9に示すように、幅方向Wから視て外側OUTが屈曲した、逆「く」の字状に形成されている。
詳述すると、押し付け部材50Cは、上面12aに固定された平板状の固定部51Bと、固定部51Cの内側INの端部から、下方かつ外側OUTに傾斜するように延出する傾斜部52Cと、傾斜部52Cの下端から下方かつ内側INに傾斜するように延出する被作用部53Cとで一体構成されており、傾斜部52Cと被作用部53Cとの連結部分には、外側OUTに向かって突出する円弧状の押圧部54Cが形成されている。
【0110】
当接部70は、発熱部品20の内側INにおいて、発熱部品20よりも低い構成された樹脂製の柱体であり、発熱部品20と同様に、基端脚部71をスルーホール13aに挿通させてハンダ固定することで基板13に実装されている。なお、基端脚部71は脚部21よりも短くなるように構成されている。
【0111】
ここで、
図9(a)に示すように、アンダーカバー11に対してアッパーカバー12を装着させる前の状態において、押し付け部材50Cは発熱部品20よりも内側INに配置されているとともに、被作用部53Cは当接部70の上方に配置されている。
【0112】
この状態で、アンダーカバー11に装着させるため、アッパーカバー12を下側Hdに移動させることにより、被作用部53Cの下方に配置された当接部70が、被作用部53Cと当接し、被作用部53Cを上方に押し上げることとなる(
図9(b)参照)。
【0113】
ここで、下端が被作用部53Cと連結する傾斜部52Cは、上端が上面12aに固定された固定部51Cの内側INの基端に固定されているため、固定部51Cと傾斜部52Cとの連結部分を支点として、傾斜部52Cが枢動することとなる。これにより押圧部54Cが外側OUTに移動して、発熱部品20を押し付けることとなる。
【0114】
そしてアッパーカバー12をアンダーカバー11に装着させることで、当接部70が被作用部53Cを上方に押し上げ続けるため、押圧部54Cが発熱部品20を押し付けて側面12bに接触させ、発熱部品20の熱を側面12bから外部へ放熱することができる。
【0115】
このように、放熱構造体1Cは、基板13に対して立設された発熱部品20と、発熱部品20に近接するとともに、並列配置される側面12bと、発熱部品20を保護する、着脱自在のアッパーカバー12と、発熱部品20を側面12bに押し付ける押し付け部材50Cとが備えられ、押し付け部材50Cは、上面12aに固定された固定部51Cと、固定部51Cの内側INの端部から下方かつ外側OUTに傾斜するように延出する傾斜部52Cと、傾斜部52Cの下端から下方かつ内側INに傾斜するように延出する被作用部53Cとで一体構成で一体に構成されており、アッパーカバー12を装着する装着動作に伴って、側面12bに向けて発熱部品20を押し付けるとともに、アッパーカバー12の装着状態で、発熱部品20と側面12bとを接触させるため、アッパーカバー12を単に装着させるだけで、アッパーカバー12の装着状態において筐体10の内部に配置される発熱部品20を、押し付け部材30で側面12bに向けて押し付けることができる。これにより、容易に発熱部品20を側面12bに接触させることができる。
【0116】
なお、放熱構造体1Cにおいて、押し付け部材50C及び当接部70の材質を特に限定していないが、例えば外部に対して電磁波を通さない部材で構成することにより、内側INに配置された電子部品などに電磁波が影響を及ぼすことを防止できる。
【0117】
さらにいえば、放熱構造体1Cにおいて、押し付け部材50C及び当接部70が、幅方向Wにおいて発熱部品20を覆うように構成することにより、内側INに配置された電子部品などに電磁波が影響を及ぼすことをより確実に防止できる。
【0118】
(第5実施形態)
次に、この発明の第5実施形態の放熱構造体1Dについて、
図10とともに説明する。ただし、以下で説明する構成のうち、上述した第3実施形態の放熱構造体1Cと同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0119】
図10は、放熱構造体1Dの要部の縦断面図を示し、詳しくは、
図10(a)はアンダーカバー11にアッパーカバー12Dを装着する前の放熱構造体1Dの縦断面図を示し、
図10(b)はアンダーカバー11にアッパーカバー12を装着させた状態の放熱構造体1Dの縦断面図を示す。
【0120】
放熱構造体1Dは、アンダーカバー11とともに筐体10Dを構成し、放熱部材として機能するアッパーカバー12Dと、筐体10の内側INに形成される内部空間に配置された基板13に実装された発熱部品20と、発熱部品20をアッパーカバー12に押付ける押し付け部材50Cとで構成され、筐体10に収容されている。
【0121】
アッパーカバー12Dは、
図10(a)に示すように、上面12aに対応する上面12aDと、側面12bに対応する側面12bDとを分離可能に構成されている。
詳しくは、側面12bDの上端部分には、上面12aDを挿入可能な溝部12dDが幅方向Wに沿って形成されている。この溝部12dDに対して上面12aDを斜めから挿入し、溝部12dDを枢支軸として上面12aDを枢動させることにより、上方を閉鎖する構成である(
図9(a)参照)。
なお、本実施形態の構成に限らず、側面12bDと上面12aDとの間にヒンジを設けて枢動可能としてもよい。
【0122】
このように、溝部12dDに上面12aDの端面を挿入して枢動させることにより、押圧部54Cで発熱部品20を押し付け、発熱部品20と側面12bDとを接触させることができ、側面12bDから発熱部品20の熱を放熱することができる。
【0123】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
放熱部材は、側面12b(アッパーカバー12)に対応し、同様に、
外装カバーは、アッパーカバー12、12Dに対応し、
発熱部材の放熱構造は、放熱構造体1,1x,1A,1B,1C,1Dに対応し、
支持部及び枢支部は、枢支軸31に対応し、
位置規制部は、連結壁42に対応し、
固定部は、係止凹部34に対応し、
突出部は、押圧部321に対応し、
装着案内部は、案内部11dに対応し、
調整部は、調整型貫通孔45に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0124】
なお、以下の実施形態において、本実施形態と同じ構成については同一の番号を付しその説明を省略する。また、上述及び以下の実施形態に記載の内容は、それぞれの実施形態にのみ実施できるものではなく、効果を奏する限り適宜組み合わせを変更することができる。
【0125】
例えば、本実施形態において、発熱部品20は、基板13に実装するトランジスタなどの電子部品としているが、これに限定されず、電子部品が別の基板に実装された電子部品実装基板であってもよい。
また、本実施形態では、放熱部材をアッパーカバー12の側面12bとしているが、例えば、アッパーカバー12の側面12bや上面12aに取り付けられた部材や、アッパーカバー12とは別体で構成された放熱部材であってもよい。さらには、アッパーカバー12と別体で構成された放熱部材を基板13に立設してもよいし、別部材に固定してもよい。
【0126】
なお、放熱部材が側面12bと別体で構成されている場合、必ずしも押し付け部材30で発熱部品20を押し付ける必要はなく、例えば押し付け部材30で放熱部材を発熱部品20に押し付けてもよいし、放熱部材及び発熱部品20の両方を他方に向けて押し付けて接触させてもよい。
【0127】
さらにまた、アンダーカバー11に対して着脱自在のアッパーカバー12は、発熱部品20が基板13に対して立設する上下方向Hに沿ってアッパーカバー12を着脱させる構成や、アッパーカバー12の端辺を枢動軸として枢動させることにより着脱させるアッパーカバー12Dとしているが、これ以外にも、所望の位置からずれて配置された状態から、例えばネジ止めなどにより所望の位置にスライド移動させることで装着するとともに、押し付け部材50Cが発熱部品20を押し付ける構成としてもよい。
【0128】
すなわち、発熱部品20に対する側面12bの方向(外側OUT)に向けてアッパーカバーを移動させることにより、押し付け部材50Cが発熱部品20を側面12bに押し付ける構成としてもよい。さらには、幅方向Wに向けてアッパーカバーを移動させて、発熱部品20と対応する位置に押し付け部材50Cを配置させた後に、発熱部品20に対する側面12bの方向(外側OUT)に向けてアッパーカバーを移動させる構成としてもよい。
【0129】
また、アッパーカバー12は、装着状態において、発熱部品20が実装された基板13の外周面を側面12bで囲繞するように構成されているが、必ずしもこの構成である必要はなく、発熱部品20の周囲を囲う構成としてもよい。
【0130】
また、発熱部品20と側面12bとを間接的に接触させているが、直接的に接触させてもよい。この場合、発熱部品20とアッパーカバー12との間での電気的な接続は当然にないようにアッパーカバー12と発熱部品20の少なくとも一方に対応させる必要がある。
【0131】
また、本実施形態である第1実施形態において、アンダーカバー11にアッパーカバー12を装着していない状態において、押し付け部材30が過度に枢動しないように、連結壁42を設けているが、この構成に限らず、被作用部331が所定の位置に配置されるように押し付け部材30の位置を固定する構成としてもよい。
なお、当然ながら、押し付け部材30が内側INに枢動することを規制する構成を設けてもよい。
【0132】
また、放熱構造体1Cでは、内側INに配置された電子部品などに電磁波が影響を及ぼすことを防止するために、押し付け部材50C及び当接部70で、発熱部品20を覆うように構成することができるが、放熱構造体1B,放熱構造体1Dにおいて、押し付け部材50B、押し付け部材50Bにより、発熱部品20を覆うことで内側INに配置された電子部品などに電磁波が影響を及ぼすことを防止することができる。
【0133】
さらにまた、放熱構造体1xは、アッパーカバー12を装着する装着動作により、押し付け部材30が発熱部品20を押し付ける押し付け強度を調整する調整型貫通孔45を備えているが、このような構成に限定する必要はなく、例えば、アッパーカバー12の装着後に押し付け部材30が発熱部品20を押し付ける押し付け強度を調整する構成であってもよい。
具体的には、アッパーカバー12の装着後に、筐体10の外部からネジ止めなどの操作を行うことにより、押し付け部材30の位置を調整できる構成としてもよい。
【0134】
また、押し付け部材30においてアッパーカバー12を押し付ける部位の面積を広くしてもよい。これにより、広範囲で発熱部品20を押し付けることができるため、押し付ける力が集中することがなく、発熱部品20の損傷を防止できる。
【0135】
さらにまた、放熱構造体1において、押圧側本体32、被作用側本体33が可撓性を有する部材で構成されてもよい。これにより、発熱部品20が被作用側本体33を押し付ける際の衝撃や、押し付け部材30で発熱部品20を押し付ける力を押圧側本体32、被作用側本体33が吸収することができ、発熱部品20の損傷を防止できる。
【0136】
なお、押圧側本体32の内側INには放熱フィンを設けてもよい。
【符号の説明】
【0137】
1、1x、1A,1B,1C,1D 放熱構造体
11d 案内部
12、12D アッパーカバー
12b、12bD 側面
13 基板
20 発熱部材
22 当接凹部
30 押し付け部材
321 押圧部
331 被作用部
34 係止凹部
42 連結壁
46 連結部
45 調整型貫通孔
50B、50C 押し付け部材