IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】プリウェットモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230227BHJP
   C25D 7/12 20060101ALI20230227BHJP
   C25D 17/00 20060101ALI20230227BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
H01L21/304 648K
C25D7/12
C25D17/00 L
H01L21/288 E
H01L21/304 643A
H01L21/304 647Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022569485
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2022030266
【審査請求日】2022-11-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】矢作 光敏
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-249495(JP,A)
【文献】特許第6990346(JP,B1)
【文献】特開2022-063026(JP,A)
【文献】特開2011-211095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304-21/308
H01L 21/02 -21/033
H01L 21/288
H01L 21/768
C25D 3/00 - 7/12
C25D 17/00 -17/28
C23C 18/00 -18/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理面を上向きにした基板の裏面を保持するように構成されたステージと、
前記ステージを回転させるように構成された回転機構と、
前記ステージの上方に配置されたノズルを有し、前記ノズルを介して前記ステージの方向に洗浄液を供給するように構成された洗浄液供給部材と、
前記ステージに保持された基板の被処理面に脱気液を供給するように構成された脱気液供給部材であって、前記ノズルと前記基板の被処理面との間の供給位置、および前記ノズルと前記基板の被処理面との間から退避した退避位置、の間で移動可能に構成された、脱気液供給部材と、
を含む、
プリウェットモジュール。
【請求項2】
脱気液を貯留するように構成された循環槽と、
前記循環槽と前記脱気液供給部材とを接続する供給配管と、
前記供給配管を介して前記循環槽に貯留された脱気液を前記脱気液供給部材に供給するためのポンプと、
前記供給配管の前記ポンプの下流側から分岐して前記循環槽に接続する第1の循環配管と、
前記供給配管の前記第1の循環配管の分岐箇所より下流側を開閉するように構成された供給弁と、
前記第1の循環配管を開閉するように構成された第1の循環弁と、
を含む、
請求項1に記載のプリウェットモジュール。
【請求項3】
前記ステージ、前記洗浄液供給部材、および前記脱気液供給部材を収容するプリウェットチャンバの底部に接続された排液配管と、
前記排液配管から分岐して前記循環槽に接続する第2の循環配管と、
前記排液配管の前記第2の循環配管の分岐箇所より下流側を開閉するように構成された排液弁と、
前記第2の循環配管を開閉するように構成された第2の循環弁と、
をさらに含む、
請求項2に記載のプリウェットモジュール。
【請求項4】
前記供給位置に配置された前記脱気液供給部材と前記ノズルとの間の洗浄位置において被処理面を上向きにした基板を保持するとともに、前記ステージとの間で基板を受け渡すために昇降するように構成された基板ステーションと、
前記基板ステーションの昇降路を遮蔽および開放するように構成されたシャッター部材と、
をさらに含む、
請求項1に記載のプリウェットモジュール。
【請求項5】
前記シャッター部材は、前記洗浄位置に配置された前記基板ステーションに保持された基板に対して前記ノズルから洗浄液を供給するときに前記基板ステーションの昇降路を遮蔽し、前記基板ステーションと前記ステージとの間で基板の受け渡しが行われるときに前記基板ステーションの昇降路を開放するように構成される、
請求項4に記載のプリウェットモジュール。
【請求項6】
前記シャッター部材は、
複数枚のプレートと、
前記複数枚のプレート間に設けられたレールと、
前記レールに沿ってスライド移動可能なスライダであって、前記複数枚のプレートを連結するスライダと、
前記複数枚のプレートをスライド移動させて広げることによって前記基板ステーションの昇降路を遮蔽するとともに、前記複数枚のプレートをスライド移動させて畳むことによって前記基板ステーションの昇降路を開放するように構成された駆動機構と、
を含む、
請求項5に記載のプリウェットモジュール。
【請求項7】
前記シャッター部材は、
巻き取り可能なスクリーン部材と、
前記基板ステーションの昇降路を遮蔽するように前記スクリーン部材を広げるための駆動力を供給する駆動機構と、
前記駆動力が供給されていないときに前記スクリーン部材を巻き取るための巻き取り機構と、
を含む、
請求項5に記載のプリウェットモジュール。
【請求項8】
前記シャッター部材は、
シャフトと、
前記シャフトに対して回転可能に接続された主翼、および前記主翼の回転に連れられて前記シャフトに対して回転するように構成された副翼を含む、複数枚のカバー部材と、
前記主翼を一方向に回転させて前記複数のカバー部材を広げることによって前記基板ステーションの昇降路を遮蔽するとともに、前記主翼を反対方向に回転させて前記複数のカバー部材を畳むことによって前記基板ステーションの昇降路を開放するように構成された回転機構と、
を含む、
請求項5に記載のプリウェットモジュール。
【請求項9】
脱気液を貯留するように構成された循環槽と、
前記循環槽と前記脱気液供給部材とを接続する供給配管と、
前記供給配管を介して前記循環槽に貯留された脱気液を前記脱気液供給部材に供給するためのポンプと、
前記供給配管の前記ポンプの下流側から分岐して前記循環槽に接続する第1の循環配管と、
前記供給配管の前記第1の循環配管の分岐箇所より下流側を開閉するように構成された供給弁と、
前記第1の循環配管を開閉するように構成された第1の循環弁と、
前記ステージ、前記洗浄液供給部材、および前記脱気液供給部材を収容するプリウェットチャンバの底部と前記循環槽とを接続する第2の循環配管と、
をさらに含む、
請求項4から8のいずれか一項に記載のプリウェットモジュール。
【請求項10】
前記ノズルから供給され前記シャッター部材から滴下した洗浄液を受けるように構成されたドレンパンと、
前記ドレンパンが受けた洗浄液を前記プリウェットチャンバの外部に排出するためのドレン配管と、
をさらに含む、
請求項9に記載のプリウェットモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、プリウェットモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
基板(例えば半導体ウェハ)にめっき処理を行うためのめっき装置は、脱気処理などの各種の前処理を基板に対して行うプリウェットモジュールと、前処理が行われた基板にめっき処理を行うめっきモジュールと、を備えている。
【0003】
例えば特許文献1には、第1の基板と第2の基板を同時に保持可能な基板ホルダを備えたプリウェットモジュールが開示されている。このプリウェットモジュールは、第1の基板を脱気槽に浸漬して脱気処理しながら第2の基板に洗浄液を供給して洗浄処理するなど、複数の基板に対して異なる前処理を並行して効率よく実行するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第7008863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術は、プリウェットモジュールの構造を小型化することについては考慮されていない。
【0006】
すなわち、従来技術では、脱気液を貯めた脱気槽と、脱気槽の上方から洗浄液を供給するノズルと、の間に基板ホルダを配置し、基板ホルダを上下反転させたり上下方向に移動させたりしながら前処理を行う。この構成では、基板ホルダを上下反転および上下移動させるために広いスペースが必要となるので、プリウェットモジュールのサイズ、特に高さ方向のサイズが大きくなる。
【0007】
そこで、本願は、異なる前処理を行うことができる小型のプリウェットモジュールを実現することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、被処理面を上向きにした基板の裏面を保持するように構成されたステージと、前記ステージを回転させるように構成された回転機構と、前記ステージの上方に配置されたノズルを有し、前記ノズルを介して前記ステージの方向に洗浄液を供給するように構成された洗浄液供給部材と、前記ステージに保持された基板の被処理面に脱気液を供給するように構成された脱気液供給部材であって、前記ノズルと前記基板の被処理面との間の供給位置、および前記ノズルと前記基板の被処理面との間から退避した退避位置、の間で移動可能に構成された、脱気液供給部材と、を含む、プリウェットモジュールが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図3図3は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
図4A図4Aは、図3に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
図4B図4Bは、図3に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
図4C図4Cは、図3に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
図5図5は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
図6A図6Aは、シャッター部材の構成の一例を概略的に示す図である。
図6B図6Bは、シャッター部材の構成の一例を概略的に示す図である。
図7A図7Aは、シャッター部材の構成の一例を概略的に示す図である。
図7B図7Bは、シャッター部材の構成の一例を概略的に示す図である。
図7C図7Cは、シャッター部材の構成の一例を概略的に示す図である。
図8A図8Aは、シャッター部材の構成の一例を概略的に示す図である。
図8B図8Bは、シャッター部材の構成の一例を概略的に示す図である。
図9A図9Aは、図5に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
図9B図9Bは、図5に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
図9C図9Cは、図5に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
図9D図9Dは、図5に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
図9E図9Eは、図5に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
図9F図9Fは、図5に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
図9G図9Gは、図5に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
図9H図9Hは、図5に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0011】
<めっき装置の全体構成>
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。図1、2に示すように、めっき装置1000は、ロードポート100、搬送ロボット110、アライナ120、プリウェットモジュール200、プリソークモジュール300、めっきモジュール400、洗浄モジュール500、スピンリンスドライヤ600、搬送装置700、および、制御モジュール800を備える。
【0012】
ロードポート100は、めっき装置1000に図示していないFOUPなどのカセットに収納された基板を搬入したり、めっき装置1000からカセットに基板を搬出するためのモジュールである。本実施形態では4台のロードポート100が水平方向に並べて配置されているが、ロードポート100の数および配置は任意である。搬送ロボット110は、基板を搬送するためのロボットであり、ロードポート100、アライナ120、プリウェットモジュール200およびスピンリンスドライヤ600の間で基板を受け渡すように構成される。搬送ロボット110および搬送装置700は、搬送ロボット110と搬送装置700との間で基板を受け渡す際には、図示していない仮置き台を介して基板の受け渡しを行うことができる。
【0013】
アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるためのモジュールである。本実施形態では2台のアライナ120が水平方向に並べて配置されているが、アライナ120の数および配置は任意である。プリウェットモジュール200は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール200は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリウェットモジュール200が上下方向に並べて配置されているが、プリウェットモジュール200の数および配置は任意である。
【0014】
プリソークモジュール300は、例えばめっき処理前の基板の被めっき面に形成したシード層表面等に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸などの処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリソークモジュール300が上下方向に並べて配置されているが、プリソークモジュール300の数および配置は任意である。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。本実施形態では、上下方向に3台かつ水平方向に4台並べて配置された12台のめっきモジュール400のセットが2つあり、合計24台のめっきモジュール400が設けられているが、めっきモジュール400の数および配置は任意である。
【0015】
洗浄モジュール500は、めっき処理後の基板に残るめっき液等を除去するために基板に洗浄処理を施すように構成される。本実施形態では2台の洗浄モジュール500が上下方向に並べて配置されているが、洗浄モジュール500の数および配置は任意である。スピンリンスドライヤ600は、洗浄処理後の基板を高速回転させて乾燥させるためのモジュールである。本実施形態では2台のスピンリンスドライヤが上下方向に並べて配置されているが、スピンリンスドライヤの数および配置は任意である。搬送装置700は、めっき装置1000内の複数のモジュール間で基板を搬送するための装置である。制御モジュール800は、めっき装置1000の複数のモジュールを制御するように構成され、例えばオペレータとの間の入出力インターフェースを備える一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0016】
めっき装置1000による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロードポート100にカセットに収納された基板が搬入される。続いて、搬送ロボット110は、ロードポート100のカセットから基板を取り出し、アライナ120に基板を搬送する。アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット110は、アライナ120で方向を合わせた基板をプリウェットモジュール200へ受け渡す。
【0017】
プリウェットモジュール200は、基板にプリウェット処理を施す。搬送装置700は、プリウェット処理が施された基板をプリソークモジュール300へ搬送する。プリソークモジュール300は、基板にプリソーク処理を施す。搬送装置700は、プリソーク処理が施された基板をめっきモジュール400へ搬送する。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。
【0018】
搬送装置700は、めっき処理が施された基板を洗浄モジュール500へ搬送する。洗浄モジュール500は、基板に洗浄処理を施す。搬送装置700は、洗浄処理が施された基板をスピンリンスドライヤ600へ搬送する。スピンリンスドライヤ600は、基板に乾燥処理を施す。搬送ロボット110は、スピンリンスドライヤ600から基板を受け取り、乾燥処理を施した基板をロードポート100のカセットへ搬送する。最後に、ロードポート100から基板を収納したカセットが搬出される。
【0019】
<プリウェットモジュールの構成>
次に、プリウェットモジュール200の構成を説明する。本実施形態における2台のプリウェットモジュール200は同一の構成であるので、1台のプリウェットモジュール200のみを説明する。
【0020】
図3は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。図3に示すように、プリウェットモジュール200は、基板WFを保持するように構成された円板形状のステージ220を備える。ステージ220は、基板WFの被処理面WF-aの裏面を保持するための基板保持面220aを有しており、被処理面WF-aを上向きにした状態で基板WFを保持するように構成されている。ステージ220は、図示していない真空源に接続されており、基板WFの裏面を真空吸着することによって基板WFを保持するように構成される。ステージ220の下面の中央には鉛直方向に伸びるシャフト222が取り付けられている。プリウェットモジュール200は、シャフト222の軸周りにステージ220を回転させるように構成された回転機構224を備える。回転機構224は、例えばモータなど公知の機構によって実現することができる。回転機構224は、洗浄処理および脱気処理を行っているときにステージ220を回転させるように構成される。
【0021】
プリウェットモジュール200は、基板WFの被処理面WF-aを洗浄するための洗浄液を供給する洗浄液供給部材260を備える。洗浄液供給部材260は、基板WFの被処理面WF-aと対向するようにステージ220の上方に配置されたノズル262を有する。ノズル262には、洗浄液を供給するための配管270が接続されている。配管270には、配管270を開閉するための供給弁272が設けられる。供給弁272を開いているときに図示していない貯留タンクからノズル262に洗浄液が供給される。洗浄液供給部材260は、ノズル262を介してステージ220の方向に洗浄液を供給するように構成されている。これにより、ステージ220に保持された基板WFの被処理面WF-aを洗浄することができる。洗浄液供給部材260は、図示していない駆動機構によって水平方向(基板WFの被処理面WF-aに沿う方向)に揺動するように構成されてもよい。
【0022】
プリウェットモジュール200は、基板WFの被処理面WF-aに脱気液を供給するための脱気液供給部材250を備える。脱気液供給部材250は、脱気液を吐出するためのノズル252を有する。脱気液供給部材250は、例えばモータなどの回転機構254によって移動可能に構成されている。具体的には、脱気液供給部材250は、脱気液供給部材250を支持するシャフト256の周りに旋回することにより、ノズル262と基板WFの被処理面WF-aとの間の供給位置、およびノズル262と基板WFの被処理面WF-aとの間から退避した退避位置、の間で移動可能に構成されている。
【0023】
図3は、脱気液供給部材250が供給位置にある状態を示しており、後述する図4Aは、脱気液供給部材250が退避位置にある状態を示している。脱気液供給部材250が供給位置にある状態において、ノズル252は、基板WFの被処理面WF-aの中央に対応する位置に配置される。回転機構224によって基板WFを回転させながらノズル252から脱気液を供給すると、被処理面WF-aの中央に供給された脱気液は遠心力によって被処理面WF-aの全体に広がるので、被処理面WF-aの全体を脱気処理することができる。
【0024】
プリウェットモジュール200は、脱気液を貯留するように構成された循環槽202と、循環槽202と脱気液供給部材250とを接続する供給配管240と、を備える。また、プリウェットモジュール200は、供給配管240を介して循環槽202に貯留された脱気液を脱気液供給部材250に供給するためのポンプ204と、ポンプ204から吐出された脱気液に含まれる溶存酸素を除去するための脱気ユニット206と、脱気ユニット206から吐出された脱気液に含まれる塵などを除去するためのフィルタ209と、を備える。プリウェットモジュール200は、供給配管240のポンプ204の下流側(具体的にはフィルタ209の下流側)から分岐して循環槽202に接続する第1の循環配管244と、供給配管240の第1の循環配管244の分岐箇所240aより下流側を開閉するように構成された供給弁242と、第1の循環配管244を開閉するように構成された第1の循環弁246と、を備える。
【0025】
プリウェットモジュール200は、ポンプ204を駆動し、供給弁242を開き、第1の循環弁246を閉じることによって、脱気液供給部材250に脱気液を供給することができる。一方、プリウェットモジュール200は、ポンプ204を駆動し、供給弁242を閉じ、第1の循環弁246を開くことによって、第1の循環配管244を介して脱気液を循環させながら脱気液に含まれる溶存酸素を除去することができる。
【0026】
プリウェットモジュール200は、ステージ220、洗浄液供給部材260、および脱気液供給部材250を収容するプリウェットチャンバ210の底部に接続された排液配管280と、排液配管280から分岐して循環槽202に接続する第2の循環配管286と、を備える。また、プリウェットモジュール200は、排液配管280の第2の循環配管286の分岐箇所280aより下流側を開閉するように構成された排液弁282と、第2の循環配管286を開閉するように構成された第2の循環弁284と、を備える。
【0027】
プリウェットモジュール200は、基板WFの洗浄処理を行っているときには、排液弁282を開き、第2の循環弁284を閉じる。これにより、洗浄処理に用いられた洗浄液は、排液配管280を介してプリウェットチャンバ210の外部に排出される。一方、プリウェットモジュール200は、基板WFの脱気処理を行っているときには、排液弁282を閉じ、第2の循環弁284を開く。これにより、脱気処理に用いられた脱気液は、第2の循環弁284を介して循環槽202に戻される。
【0028】
次に、プリウェットモジュール200の動作について説明する。図4A図4Cは、図3に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
【0029】
図4Aは、プリウェットモジュール200のアイドリング状態を示している。図4Aに示すように、アイドリング状態では、プリウェットモジュール200は、回転機構254によって脱気液供給部材250を旋回させて、脱気液供給部材250を退避位置に配置する。また、プリウェットモジュール200は、供給弁272を閉じる。また、プリウェットモジュール200は、ポンプ204を駆動し、供給弁242を閉じ、第1の循環弁246を開く。また、プリウェットモジュール200は、排液弁282を閉じ、第2の循環弁284を開く。これにより、プリウェットモジュール200は、第1の循環配管244を介して脱気液を循環させながら脱気液に含まれる溶存酸素を除去する。
【0030】
図4Bは、アイドリング状態の後に基板WFの洗浄処理を行っている状態を示している。図4Bに示すように、洗浄処理の際には、プリウェットモジュール200は、基板WFを保持するステージ220を回転させる。また、プリウェットモジュール200は、供給弁272を開く。また、プリウェットモジュール200は、排液弁282を開き、第2の循環弁284を閉じる。これにより、洗浄液供給部材260のノズル262から基板WFの被処理面WF-aに洗浄液が供給される。被処理面WF-aに供給された洗浄液は、基板WFの回転に伴う遠心力によって被処理面WF-aに沿って広がり、被処理面WF-aを洗浄する。洗浄液は基板WFの端部から落下し、プリウェットチャンバ210の底面の傾斜によって排液配管280に導かれ、プリウェットチャンバ210の外部に排出される。
【0031】
図4Cは、洗浄処理の後に基板WFの脱気処理を行っている状態を示している。図4Cに示すように、脱気処理の際には、プリウェットモジュール200は、脱気液供給部材250を旋回させて、脱気液供給部材250を供給位置に配置する。また、プリウェットモジュール200は、供給弁272を閉じる。また、プリウェットモジュール200は、供給弁242を開き、第1の循環弁246を閉じる。また、プリウェットモジュール200は、排液弁282を閉じ、第2の循環弁284を開く。これにより、脱気液供給部材250のノズル252から基板WFの被処理面WF-aの中央に脱気液が供給される。被処理面WF-aの中央に供給された脱気液は、基板WFの回転に伴う遠心力によって基板WFの端部のほうに広がり、被処理面WF-aが脱気される。脱気液は基板WFの端部から落下し、プリウェットチャンバ210の底面の傾斜によって排液配管280に導かれ、第2の循環配管286を介して循環槽202に戻される。
【0032】
本実施形態によれば、被処理面WF-aを上向きにした基板WFに対して脱気処理を行うので、被処理面を下向きにした基板を脱気液に浸漬させる方式に比べて、被処理面にWF-aに気泡が溜まるのを抑制することができる。また、本実施形態によれば、ノズル262を介して被処理面WF-aに洗浄液を供給するので、基板を浸漬させる方式に比べて、洗浄液の使用量が少なくなり、排液処理も簡便に行うことができる。さらに、本実施形態によれば、ステージ220に保持された基板WFに対して洗浄処理および脱気処理を行うことができるので、従来技術のように基板を保持する機構を上下反転させたり上下移動させたりする必要がない。したがって、基板を保持する機構を上下反転および上下移動させるためのスペースが不要となるので、プリウェットモジュール200のサイズ、特に高さ方向のサイズを小さくすることができる。その結果、本実施形態によれば、異なる前処理(洗浄処理と脱気処理)を行うことができる小型のプリウェットモジュール200を実現することができる。なお、本実施形態では、めっき装置1000が、上下配置された2台のプリウェットモジュール200を備える例を示したが、プリウェットモジュール200を小型化することができるので、例えば3台のプリウェットモジュール200を上下配置することもできる。
【0033】
次に、プリウェットモジュール200の他の実施形態を説明する。図5は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。図3を用いて説明したプリウェットモジュールと同様の構成については説明を省略する。
【0034】
図5に示すように、プリウェットモジュール200は、基板WFの保持および受け渡しを行うための基板ステーション230を備える。基板ステーション230は、供給位置に配置された脱気液供給部材250とノズル262との間の洗浄位置において被処理面WF-aを上向きにした基板WFを保持するとともに、ステージ220との間で基板の受け渡すために昇降するように構成されている。具体的には、基板ステーション230は、基板の被処理面の裏面を保持するための第1のアーム部材230-1および第2のアーム部材230-2を備える。第1のアーム部材230-1と第2のアーム部材230-2は水平方向に並べて離間して配置されている。第1のアーム部材230-1と第2のアーム部材230-2は、互いに近づく方向および離れる方向に移動可能になっている。第1のアーム部材230-1と第2のアーム部材230-2は、互いに近づいた基板保持位置にあるときに基板を保持するように構成される。第1のアーム部材230-1と第2のアーム部材230-2は、ステージ220に対して基板の受け渡しを行う際に、昇降するように構成されている。
【0035】
プリウェットモジュール200は、基板ステーション230の昇降路を遮蔽および開放するように構成されたシャッター部材290を備える。シャッター部材290は、洗浄位置に配置された基板ステーション230に保持された基板WFに対してノズル262から洗浄液を供給するときに、図5に示すように、基板ステーション230の昇降路、つまり基板ステーション230とステージ220との間を遮蔽するように構成される。一方、シャッター部材290は、例えば後述の図9Bに示すように、基板ステーション230とステージ220との間で基板の受け渡しが行われるときに、基板ステーション230の昇降路を開放するように構成される。
【0036】
本実施形態では、回転機構224は、脱気処理を行っているときにステージ220を回転させるように構成される。また、本実施形態では、排液配管280は設けられておらず、その代わりに、第2の循環配管286がプリウェットチャンバ210の底部と循環槽202とを直接接続している。第2の循環配管286には弁は設けられていない。これにより、脱気処理に用いられた脱気液は循環槽202に直接循環される。また、プリウェットモジュール200は、ノズル262から供給されて基板WFを洗浄した後にシャッター部材290から滴下した洗浄液を受けるように構成されたドレンパン296を備える。また、プリウェットモジュール200は、ドレンパン296が受けた洗浄液をプリウェットチャンバ210の外部に排出するためのドレン配管288を備える。ドレン配管288は、第2の循環配管286とは独立して洗浄液を排出するように構成されている。これにより、洗浄液が循環槽202に混入するのを抑制することができる。
【0037】
次に、シャッター部材290の詳細を説明する。図6Aおよび図6Bは、シャッター部材の構成の一例を概略的に示す図である。図6Aに示すように、シャッター部材290は、左右対称に配置された第1のシャッター部材290aと第2のシャッター部材290bとを有する。シャッター部材290は、第1のシャッター部材290aおよび第2のシャッター部材290bを開閉することによって、基板ステーション230の昇降路を開放および遮蔽するように構成される。第1のシャッター部材290aと第2のシャッター部材290bは同様の構成を有するので、第1のシャッター部材290aについてのみ説明する。
【0038】
図6Aおよび図6Bに示すように、第1のシャッター部材290aは、複数枚(本実施形態では4枚)の矩形のプレート293-1~293-4を有する。プレート293-1~293-4の間にはレールおよびスライダが設けられている。プレート293-1~293-4は、レールおよびスライダを介して相互にスライド移動できるように連結されている。具体的には、プレート293-2の上面には、第1のシャッター部材290aの開閉方向に伸びるレール293-2bと、レール293-2bに沿って移動可能なスライダ293-2cと、が設けられている。プレート293-1は、スライダ293-2cを介してプレート293-2に連結されている。これにより、プレート293-1は、プレート293-2対してスライド移動可能に連結される。同様に、プレート293-2は、プレート293-3対してスライド移動可能に連結され、プレート293-3は、プレート293-4対してスライド移動可能に連結される。ドレンパン296は、プレート293-4の下端部の下方に配置される。
【0039】
プレート293-1は、第1のシャッター部材290aの開閉方向に直交する方向の両端部に形成された土手293-1aを有する。土手293-1aが形成されていることによってプレート293-1の上面に滴下した洗浄液が、第1のシャッター部材290aの開閉方向に直交する方向に流れ落ちるのを防止している。この点はプレート293-2~293-4も同様である。また、プレート293-1~293-4の上面は、第1のシャッター部材290aを閉じたときに、ドレンパン296の方向に下る傾斜面を形成する。これにより、プレート293-1~293-4の上面に滴下した洗浄液はドレンパン296に流れ込む。
【0040】
プレート293-4の下端部は、第1のシャッター部材290aの開閉方向と直交する水平方向に伸びる固定軸291に接続されている。プレート293-4は、固定軸291周りに回転可能になっている。一方、プレート293-1の上端部は、第1のシャッター部材290aの開閉方向と直交する水平方向に伸びる可動軸292に接続されている。可動軸292の両端部はそれぞれ支持柱294に接続されている。支持柱294はそれぞれ回転機構295に接続されており、回転機構295を中心に回転可能になっている。回転機構295は、プレート293-1~293-4を広げるようにスライド移動させて基板ステーション230の昇降路を遮蔽するとともに、プレート293-1~293-4を畳むようにスライド移動させて基板ステーション230の昇降路を開放するように構成された駆動機構の一例である。回転機構295は、例えばロータリシリンダなど公知の機構によって実現することができる。
【0041】
図6Bの視点において支持柱294を時計回りに回転させることによって、第1のシャッター部材290aを遮蔽状態(基板ステーション230の昇降路を遮蔽した状態)にすることができる。一方、図6Bの視点において支持柱294を反時計回りに回転させることによって、プレート293-1~293-4を畳んで第1のシャッター部材290aを開放状態(基板ステーション230の昇降路を開いた状態)にすることができる。なお、第1のシャッター部材290aと第2のシャッター部材290bは、左右対称で同様の構成を有するが、図6Aに示すように、遮蔽状態においてプレート293-1の上端部同士が上下方向に重なるように配置されている。これにより、シャッター部材290に滴下した洗浄液が、第1のシャッター部材290aと第2のシャッター部材290bとの間から落下するのを抑制することができる。
【0042】
シャッター部材290は、脱気液に洗浄液が混入するのを抑制する機能を有する。すなわち、第1のシャッター部材290aと第2のシャッター部材290bを遮蔽状態にすることによって、基板ステーション230に保持された基板WFの洗浄に用いた洗浄液が、ステージ220に保持された基板に滴下したり、プリウェットチャンバ210の底部に混入したりするのを抑制することができる。具体的には、ノズル262から吐出された洗浄液は基板ステーション230に保持された基板WFを洗浄した後、プレート293-1~293-4の上面に滴下し、プレート293-1~293-4の傾斜に沿ってドレンパン296に流れる。ドレンパン296に流れた洗浄液は、ドレン配管288を介してプリウェットチャンバ210の外部に排出される。
【0043】
なお、上記では一例としてスライド式のシャッター部材290を説明したが、この構造に限定されない。図7A図7Cは、シャッター部材の構成の一例を概略的に示す図である。図7A図7Cに示すように、ロール式のシャッター部材290を用いることもできる。すなわち、シャッター部材290は、左右対称に配置された第1のシャッター部材290aと第2のシャッター部材290bとを有する。第1のシャッター部材290aと第2のシャッター部材290bは同様の構成を有するので、第1のシャッター部材290aについてのみ説明する。
【0044】
第1のシャッター部材290aは、巻き取り可能なスクリーン部材297を有する。スクリーン部材297は、一例では樹脂製のものを用いることができるが、これに限定されない。スクリーン部材297の下端部は、第1のシャッター部材290aの開閉方向と直交する水平方向に伸びる固定軸291に接続されている。固定軸291は、ぜんまいバネ298に接続されている。一方、スクリーン部材297の上端部には、第1のシャッター部材290aの開閉方向と直交する水平方向に伸びる棒状のフレーム297-1が固定されている。
【0045】
図7Cに示すように、フレーム297-1は、両端部が中央部よりも高くなるように斜め上に伸びる傾斜部297-1aを有する。傾斜部297-1aが形成されていることによってスクリーン部材297の上面に滴下した洗浄液が、第1のシャッター部材290aの開閉方向に直交する方向に流れ落ちるのを防止している。スクリーン部材297の上面は、第1のシャッター部材290aを閉じたときに、ドレンパン296の方向に下る傾斜面を形成する。これにより、スクリーン部材297の上面に滴下した洗浄液はドレンパン296に流れ込む。
【0046】
フレーム297-1の両端部はそれぞれ支持柱294に接続されている。支持柱294はそれぞれ回転機構295に接続されており、回転機構295を中心に回転可能になっている。回転機構295は、基板ステーション230の昇降路を遮蔽するようにスクリーン部材297を広げるための駆動力を供給する駆動機構の一例である。ぜんまいバネ298は、この駆動力が供給されていないときにスクリーン部材297を巻き取るための巻き取り機構の一例である。上記の実施形態と同様に、図7Aの視点で支持柱294を時計回りに回転させることによって、第1のシャッター部材290aを遮蔽状態にすることができる。また、支持柱294を反時計回りに回転させることによって、スクリーン部材297がぜんまいバネ298によって巻き取られて、第1のシャッター部材290aを開放状態にすることができる。
【0047】
図8Aおよび図8Bは、シャッター部材の構成の一例を概略的に示す図である。図8Aおよび図8Bに示すように、シャッター部材290は扇型のカバー部材を含んでいてもよい。すなわち、シャッター部材290は、複数枚(本実施形態では4枚)の扇形状の板状のカバー部材298-1~298-4を有する。カバー部材298-1~298-4は、相互に角度をずらせて上下方向に重ねて配置される。カバー部材298-1~298-3は、鉛直方向に対して僅かに傾斜したシャフト299-1に対して回転可能に接続されている。カバー部材298-1は、シャフト299-1に対して回転可能に接続された主翼であり、カバー部材298-2、3は、主翼の回転に連れられてシャフト299-1に対して回転するように構成された副翼である。カバー部材298-4は、シャフト299-1に対して固定接続された固定翼である。本実施形態では、カバー部材298-1が最上位に配置され、カバー部材298-4が最下位に配置される。
【0048】
シャッター部材290は、カバー部材298-1(主翼)をシャフト299-1の周りに回転させるための回転機構299-2を有する。回転機構299-2は、例えばロータリシリンダなど公知の機構によって実現することができる。回転機構299-2によってカバー部材298-1(主翼)を回転させることによって、シャッター部材290を遮蔽状態と開放状態の間で切り替えることができる。すなわち、回転機構299-2は、主翼を一方向に回転させてカバー部材298-1~298-4を広げることによって基板ステーション230の昇降路を遮蔽するように構成される。また、回転機構299-2は、主翼を反対方向に回転させてカバー部材298-1~298-4を畳むことによって基板ステーション230の昇降路を開放するように構成される。
【0049】
より具体的には、カバー部材298-1は、円弧形状の外周部に切り欠き298-1aが形成されている。これにより、カバー部材298-1の円弧形状の外周部の両端には突起298-1b、298-1cが形成される。カバー部材298-2も同様に円弧形状の外周部の両端に突起298-2b、298-2cが形成される。2つの突起298-2b、298-2cのうち、カバー部材298-1と重なるほうの突起298-2bには、カバー部材298-1の突起298-1cの高さまで上方向に伸びるピン298-2dが形成されている。
【0050】
図8Aの視点でカバー部材298-1(主翼)を反時計回りに回転させると、突起298-1cがピン298-2dに接触する。これにより、カバー部材298-1(主翼)は、カバー部材298-2(副翼)を連れて反時計回りに回転させる。また、カバー部材298-3(副翼)はカバー部材298-2と同様の構造を有している。したがって、カバー部材298-2(副翼)は、カバー部材298-3(副翼)を連れて反時計回りに回転させる。カバー部材298-4(固定翼)は、シャフト299-1に対して固定接続されているので、カバー部材298-3の突起がカバー部材298-4のピンに接触すると、カバー部材298-1~298-3の回転は止まる。これにより、カバー部材298-1~298-4が広げられて、シャッター部材290は遮蔽状態となる。シャフト299-1が鉛直方向に対して傾斜しているので、カバー部材298-1~298-4の上面は、図8Bに示すようにドレンパン296の方向に下る傾斜面を形成する。これにより、カバー部材298-1~298-4の上面に滴下した洗浄液はドレンパン296に流れ込む。なお、本実施形態では、シャフト299-1が鉛直方向に対して傾斜した例を示したが、これに限らず、シャフト299-1は鉛直方向に伸びていてもよい。この場合であっても、カバー部材298-1~298-4は、ドレンパン296の方向に下る傾斜面が形成されていればよい。
【0051】
一方、遮蔽状態から図8Aの視点でカバー部材298-1(主翼)を時計回りに回転させると、突起298-1bがピン298-2dに接触する。これにより、カバー部材298-1(主翼)は、カバー部材298-2(副翼)を引きずって時計回りに回転させる。同様にカバー部材298-2(副翼)はカバー部材298-3(副翼)を引きずって時計回りに回転させる。カバー部材298-3の突起がカバー部材298-4のピンに接触すると、カバー部材298-1~298-3の回転は止まる。これにより、カバー部材298-1~298-4が畳まれて、シャッター部材290は開放状態となる。
【0052】
本実施形態によれば、従来技術のように基板を保持する機構を上下反転させたり上下移動させたりする必要がない。したがって、基板を保持する機構を上下反転および上下移動させるためのスペースが不要となるので、プリウェットモジュール200のサイズ、特に高さ方向のサイズを小さくすることができる。また、本実施形態によれば、基板ステーション230とシャッター部材290を設けたことによって、基板の洗浄領域と脱気領域を分離することができるので、洗浄処理と脱気処理を並行して効率よく行うことができる小型のプリウェットモジュール200を実現することができる。
【0053】
次に、図5に示したプリウェットモジュール200の動作について説明する。図9A図9Hは、図5に示したプリウェットモジュールの動作を概略的に説明するための図である。
【0054】
図9Aは、基板WFの洗浄処理を行っている状態を示している。図9Aに示すように、洗浄処理の際には、プリウェットモジュール200は、搬送ロボット110から受け渡された第1の基板WF-1を基板ステーション230によって保持する。このとき、基板ステーション230は、ノズル262の直下(ノズル262とシャッター部材290の間)の洗浄位置に配置されており、被処理面WF-1aを上向きにして第1の基板WF-1の裏面を保持する。プリウェットモジュール200は、シャッター部材290を遮蔽状態にする。
【0055】
プリウェットモジュール200は、脱気液供給部材250を退避位置に配置する。プリウェットモジュール200は、ポンプ204を駆動し、供給弁242を閉じ、第1の循環弁246を開く。これにより、プリウェットモジュール200は、脱気液を循環させながら脱気液に含まれる溶存酸素を除去する。また、プリウェットモジュール200は、供給弁272を開く。これにより、洗浄液供給部材260のノズル262から第1の基板WF-1の被処理面WF-1aに洗浄液が供給される。洗浄液は被処理面WF-1aを洗浄した後にシャッター部材290に落下し、シャッター部材290の傾斜によってドレンパン296に流れる。ドレンパン296に流れた洗浄液は、ドレン配管288を介してプリウェットチャンバ210の外部に排出される。
【0056】
第1の基板WF-1の洗浄処理が終了したら、図9Bに示すように、プリウェットモジュール200は、供給弁272を閉じる。続いて、プリウェットモジュール200は、シャッター部材290を開放状態にする。続いて、プリウェットモジュール200は、基板ステーション230を基板の受け渡し位置まで下降させて第1の基板WF-1をステージ220に受け渡す。
【0057】
続いて、図9Cに示すように、プリウェットモジュール200は、基板ステーション230を洗浄位置まで上昇させる。続いて、プリウェットモジュール200は、脱気液供給部材250を供給位置に配置する。
【0058】
続いて、図9Dに示すように、プリウェットモジュール200は、ステージ220を回転させるとともに、供給弁242を開き、第1の循環弁246を閉じる。これにより、脱気液供給部材250のノズル252から第1の基板WF-1の被処理面WF-1aの中央に脱気液が供給される。被処理面WF-1aの中央に供給された脱気液は、第1の基板WF-1の回転による遠心力によって第1の基板WF-1の端部のほうに広がり、被処理面WF-1aを脱気する。脱気液は第1の基板WF-1の端部から落下し、プリウェットチャンバ210の底面の傾斜によって第2の循環配管286に導かれ、循環槽202に戻される。
【0059】
続いて、図9Eに示すように、プリウェットモジュール200は、搬送ロボット110から受け渡された第2の基板WF-2を基板ステーション230によって保持する。また、プリウェットモジュール200は、シャッター部材290を遮蔽状態にする。
【0060】
続いて、図9Fに示すように、プリウェットモジュール200は、供給弁272を開く。これにより、洗浄液供給部材260のノズル262から第2の基板WF-2の被処理面WF-2aに洗浄液が供給され、被処理面WF-2aが洗浄される。本実施形態によれば、第1の基板WF-1を脱気処理すると同時に第2の基板WF-2を洗浄処理することができるので、複数の基板に対して異なる前処理を並行して効率よく実行することができる。
【0061】
続いて、図9Gに示すように、プリウェットモジュール200は、供給弁242を閉じ、第1の循環弁246を開く。また、プリウェットモジュール200は、脱気液供給部材250を退避位置に配置する。
【0062】
続いて、図9Hに示すように、プリウェットモジュール200は、第1の基板WF-1を搬送装置700によってプリウェットモジュール200から搬出する。プリウェットモジュール200は、以後、後続の基板に対して同様の処理を繰り返す。
【0063】
本実施形態によれば、従来技術のように基板を保持する機構を上下反転させたり上下移動させたりする必要がない。したがって、基板を保持する機構を上下反転および上下移動させるためのスペースが不要となるので、プリウェットモジュール200のサイズ、特に高さ方向のサイズを小さくすることができる。その結果、本実施形態によれば、異なる前処理(洗浄処理と脱気処理)を並行して行うことができる小型のプリウェットモジュール200を実現することができる。
【0064】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0065】
本願は、一実施形態として、被処理面を上向きにした基板の裏面を保持するように構成されたステージと、前記ステージを回転させるように構成された回転機構と、前記ステージの上方に配置されたノズルを有し、前記ノズルを介して前記ステージの方向に洗浄液を供給するように構成された洗浄液供給部材と、前記ステージに保持された基板の被処理面に脱気液を供給するように構成された脱気液供給部材であって、前記ノズルと前記基板の被処理面との間の供給位置、および前記ノズルと前記基板の被処理面との間から退避した退避位置、の間で移動可能に構成された、脱気液供給部材と、を含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0066】
また、本願は、一実施形態として、脱気液を貯留するように構成された循環槽と、前記循環槽と前記脱気液供給部材とを接続する供給配管と、前記供給配管を介して前記循環槽に貯留された脱気液を前記脱気液供給部材に供給するためのポンプと、前記供給配管の前記ポンプの下流側から分岐して前記循環槽に接続する第1の循環配管と、前記供給配管の前記第1の循環配管の分岐箇所より下流側を開閉するように構成された供給弁と、前記第1の循環配管を開閉するように構成された第1の循環弁と、を含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0067】
また、本願は、一実施形態として、前記ステージ、前記洗浄液供給部材、および前記脱気液供給部材を収容するプリウェットチャンバの底部に接続された排液配管と、前記排液配管から分岐して前記循環槽に接続する第2の循環配管と、前記排液配管の前記第2の循環配管の分岐箇所より下流側を開閉するように構成された排液弁と、前記第2の循環配管を開閉するように構成された第2の循環弁と、をさらに含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0068】
また、本願は、一実施形態として、前記供給位置に配置された前記脱気液供給部材と前記ノズルとの間の洗浄位置において被処理面を上向きにした基板を保持するとともに、前記ステージとの間で基板を受け渡すために昇降するように構成された基板ステーションと、前記基板ステーションの昇降路を遮蔽および開放するように構成されたシャッター部材と、をさらに含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0069】
また、本願は、一実施形態として、前記シャッター部材は、前記洗浄位置に配置された前記基板ステーションに保持された基板に対して前記ノズルから洗浄液を供給するときに前記基板ステーションの昇降路を遮蔽し、前記基板ステーションと前記ステージとの間で基板の受け渡しが行われるときに前記基板ステーションの昇降路を開放するように構成される、プリウェットモジュールを開示する。
【0070】
また、本願は、一実施形態として、前記シャッター部材は、複数枚のプレートと、前記複数枚のプレート間に設けられたレールと、前記レールに沿ってスライド移動可能なスライダであって、前記複数枚のプレートを連結するスライダと、前記複数枚のプレートをスライド移動させて広げることによって前記基板ステーションの昇降路を遮蔽するとともに、前記複数枚のプレートをスライド移動させて畳むことによって前記基板ステーションの昇降路を開放するように構成された駆動機構と、を含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0071】
また、本願は、一実施形態として、前記シャッター部材は、巻き取り可能なスクリーン部材と、前記基板ステーションの昇降路を遮蔽するように前記スクリーン部材を広げるための駆動力を供給する駆動機構と、前記駆動力が供給されていないときに前記スクリーン部材を巻き取るための巻き取り機構と、を含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0072】
また、本願は、一実施形態として、前記シャッター部材は、シャフトと、前記シャフトに対して回転可能に接続された主翼、および前記主翼の回転に連れられて前記シャフトに対して回転するように構成された副翼を含む、複数枚のカバー部材と、前記主翼を一方向に回転させて前記複数のカバー部材を広げることによって前記基板ステーションの昇降路を遮蔽するとともに、前記主翼を反対方向に回転させて前記複数のカバー部材を畳むことによって前記基板ステーションの昇降路を開放するように構成された回転機構と、を含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0073】
また、本願は、一実施形態として、脱気液を貯留するように構成された循環槽と、前記循環槽と前記脱気液供給部材とを接続する供給配管と、前記供給配管を介して前記循環槽に貯留された脱気液を前記脱気液供給部材に供給するためのポンプと、前記供給配管の前記ポンプの下流側から分岐して前記循環槽に接続する第1の循環配管と、前記供給配管の前記第1の循環配管の分岐箇所より下流側を開閉するように構成された供給弁と、前記第1の循環配管を開閉するように構成された第1の循環弁と、前記ステージ、前記洗浄液供給部材、および前記脱気液供給部材を収容するプリウェットチャンバの底部と前記循環槽とを接続する第2の循環配管と、をさらに含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0074】
また、本願は、一実施形態として、前記ノズルから供給され前記シャッター部材から滴下した洗浄液を受けるように構成されたドレンパンと、前記ドレンパンが受けた洗浄液を前記プリウェットチャンバの外部に排出するためのドレン配管と、をさらに含む、プリウェットモジュールを開示する。
【符号の説明】
【0075】
200 プリウェットモジュール
202 循環槽
204 ポンプ
210 プリウェットチャンバ
220 ステージ
224 回転機構
230 基板ステーション
240 供給配管
240a 分岐箇所
242 供給弁
244 第1の循環配管
246 第1の循環弁
250 脱気液供給部材
252 ノズル
254 回転機構
260 洗浄液供給部材
262 ノズル
280 排液配管
280a 分岐箇所
282 排液弁
284 第2の循環弁
286 第2の循環配管
288 ドレン配管
290 シャッター部材
290a 第1のシャッター部材
290b 第2のシャッター部材
293-1~293-4 プレート
293-2b レール
293-2c スライダ
295 回転機構
296 ドレンパン
297 スクリーン部材
298-1~298-4 カバー部材
299-1 シャフト
299-2 回転機構
WF 基板
WF-a 被処理面
【要約】
異なる前処理を行うことができる小型のプリウェットモジュールを実現する。
プリウェットモジュール200は、被処理面WF-aを上向きにした基板WFの裏面を保持するように構成されたステージ220と、ステージ220を回転させるように構成された回転機構224と、ステージ220の上方に配置されたノズル262を有し、ノズル262を介してステージ220の方向に洗浄液を供給するように構成された洗浄液供給部材260と、ステージ220に保持された基板WFの被処理面WF-aに脱気液を供給するように構成された脱気液供給部材250であって、ノズル262と基板WFの被処理面WF-aとの間の供給位置、およびノズル262と基板WFの被処理面WF-aとの間から退避した退避位置、の間で移動可能に構成された、脱気液供給部材250と、を含む。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H